07/06/14 13:59:35 e8tFe9ww
その胸の前でギュ、と手を重ね 俯いて猶も頬を濡らし続ける矢射子に
困り切った顔で宏海は問いかける。
だが
「――違うの
嬉しいの…
宏海が『これからの事 一緒に』って…言ってくれて…
今 初めて…恋人同士に…なれたのかな、って…そう思って…
あたし…宏海のこと 好きになって…本当によかった…!」
矢射子は泣き笑いの顔を上げ、指で目尻を拭う。
「矢射子…」
それまで『ふつうにしてりゃかわいい』とか『黙ってりゃ結構美人』とか
条件付きで思ってきた宏海だったが、この時ばかりは違った。
目の前で喜びの涙を流す彼女に抱いた感情。
そう それを言葉に表すなら――
『いとおしい』