07/04/28 03:44:23 AJGd6zxW
「あっ……つぅっっ!?」
仁露が「本当に」熱さを感じて我に返ると、足元が、比喩抜きに燃えていた。
そうだ、ここは自室だ。
彼女から一日つけたままでいろと言われたライターを前にして妄想にふけるうち、
ライターが倒れて落ちたことに気付かず、服に火が付いていたのだ。
慌ててライターを立てて遠ざけ(幸い消えなかった)、
服に移りかけていた火を踏み消す。
「罰が当たった、んでしょうか……」
「おい、なんか焦げくせえぞ?」
一息ついたところで、ドラクロワが異変を察知したのか、
部屋の外から問いかけてきた。
「大丈夫ですよ」
努めて平静を装って返答する。
「ならいいけどよ。あのライター消しとけよ、危ねえから」
「消しません」
「……忠告は、したぜ」
呆れたようなため息と共に、去っていく気配がした。
先ほど避けておいたライターに目をやる。
「すみませんでした。温子……と」
実界では名前呼びは目立つ。彼女を、どう呼ぶべきなのだろうか?
しばらく考え、正解を思いついて、
仁露は苦笑と共にライターに向かって謝罪した。
「すみませんでした、部長」