ゴーストハント/悪霊シリーズでハァハァat EROPARO
ゴーストハント/悪霊シリーズでハァハァ - 暇つぶし2ch750:緋背β版@リン綾子
07/05/17 22:37:52 Vjm+SfKR

「ちょっと待って、リンが買った車って…」
「フーガですよ、白の。この間の調査で持ってきてたじゃないですか」
 色々なことが綾子の頭の中を駆けめぐる。あのナルですら拒絶した助手席、そこに自分は何時間も座っていた。
 それも自主的ではなく、リンに促されるように乗せられたのだ、あの席以外に座れないようにもなっていた。人はおろか荷物すらリンが乗せなかった席、なぜそこに自分が…。
「いよーっす! あ、綾子じゃん」
 滝川の脳天気な声が事務所に響くと、麻衣がアイスコーヒーを淹れるために席を立った。
「なんだよ、連絡一つよこさないで、心配してたんだぜ」
 綾子の頭をくしゃくしゃと撫でると、麻衣からアイスコーヒーを受け取り、そのまま綾子の隣に座った。
 急にリンとの夜が再生され、頬が熱くなる。何度もリンは滝川を引き合いに出し、羞恥と苦悶に身を焦がしたあの夜。
「わ、悪かったわよ」
「そんな言い方ねーじゃん、俺さ、あの日心配だったから残ってやろうと思ったんだぜ」
「うそ」
 意外な一言だった。目を丸くして滝川を見ると、滝川は頭を掻いて天井を見上げた。
「でも、リンがいいって言ってたし、俺がいたところで出来ることは限られてるしな、結局東京に戻ったんだけど」
 なんと言うことだろう、もしあの夜滝川がいたら…。
「そういや、綾子を動かさないで一泊させるってのもリンの提案だったよな」
「うんうん、すごい気を遣ってたよね。久々にリンさんやっさしーウェーブがアタシの中で巻き起こったわ」
「綾子、リンにちゃんと礼いっといたか?」
 リンはそんなことおくびにも出していなかった。ただ、自分が倒れたから、仕方なく看病を引き受けただけだと思っていた。どういうことだ、さっきの助手席といい、今の話といい…。
「あれ、リン?」
 滝川の声に反応し、資料室に目をやると、ドアが少し開いていた。
「あれ~、まただ」
「そろそろ修理しないといけませんね」
 滝川と綾子の疑問の顔に、安原が応えた。
「最近、資料室のドアが馬鹿になっちゃって、すぐカパカパ開くんですよ」
 声に反応したのか、資料室のドアがパタンと閉められた。
 ふと、あのドアはいつから開いていたのだろうかと不安がよぎった。

 ハンカチを事務所に忘れたと気づいたのは、八時も半を廻っていた時だった。
 用事で渋谷にいた綾子は、まだ事務所は開いているかと麻衣にメールを送った。案の定麻衣達は帰っているという連絡が届く。
 大したものではない、次来たときにでもと思っていると、麻衣からまたメールが入った。
『リンさんならまだいると思うよ』
 息を呑んだ。


751:緋背β版@リン綾子
07/05/17 22:39:17 Vjm+SfKR

 アルミのドアノブを引くと、部屋の暗さに驚かされた。
(鍵をかけ忘れたの? でもメールでは…)
 暗闇に目が慣れてくると、一筋の光が見えた。
(資料室…リンか…)
 会いたい気持ちはある、しかし、まだ二人きりで会う決心はつかない。
 身体だけの関係、一夜限りの関係…。リンはそういう関係を望んで自分を抱いたのだろうか。
 だとしたら、今会ってもリンは眉をひそめて不快を顕わにするだろう。そうしたら自分は二度と立ち直れない。
(でも、これは恋なの?)
 綾子自身も、リンに抱いている感情が何であるのかは特定できなかった。リンが与える快楽をもっと貪りたいだけなのかも知れない。
(どうしたらいいの)
 滝川への慕情が消えたわけではない、綾子の心は揺れ動いていた。
(リン…)
 声をかける勇気はない。せめて姿だけでも…。救いを求めるような目で、綾子は資料室を覗いた。

 椅子に腰掛け、右手に握った布をしげしげと眺めている男が見えた。右半分を覆う前髪で表情は分からない。
 しばらく眺めていると《ある事》に気づき、金縛りにあった様に身体が動かなくなった。
(あのハンカチ…私の…!)
 何故リンが持っているのか、何か特別な意味があるのか、表情が見えない分、想像は加速する。
 右手に持っていたハンカチは、いつのまにか左手に持ち替えられていた。
(まさか、落ちているのを拾っただけよ、誰のだろうかって………………ぁ)

 ハンカチを、赤い何かがなぞった。

(………………うそ) 

 舌。
 赤く見えたのは、舌だ。

 気づいた瞬間金縛りが解け、咄嗟に後じさった。
 微かにヒールと床が当たって音がしたことは、綾子には分からなかった。それよりも心臓が早鐘を打つ音で頭は一杯になった。
 見てはいけないモノを見てしまった。嫌悪感や、怒りは沸いてこない。ただ、禁忌を犯した様な恐怖に包まれた。
 明るいところを見てしまって、夜目が利かなくなってしまったが、早急にここからでなければならない。
 綾子が玄関側に身体を向けると、廻りは更に一段階暗くなった。
 疑問に思うこともなく、玄関まですすっと、すり足で近づいた。
 気温がさっきよりも暖かく感じるのは、早鐘を打っている自分のせいか。
 手探りで、ドアノブを掴んだ。

752:緋背β版@リン綾子
07/05/17 22:41:55 Vjm+SfKR

(?)

 やわらかい感覚だった。いや、具体的に言えば硬いのだ。
 ただ、《アルミのドアノブ》の硬さには程遠い。
 そして、金属とは到底思えない《温もり》を感じた。
 だから、やわらかい以外の形容が出てこなかった。
 形状も、普段使い慣れているドアノブと形状が異なっている。
 握れない、握れるほどの薄さではない、平坦なはずのノブが、ごつごつしている。

 広いはずの部屋なのに、狭く、息苦しく感じた。
 なぜ、さっきから気温が上昇しているのか。

 早鐘を打つ心臓、よくよく聞いてみれば、音が二重に聞こえる。

 ちらりと横目で後ろを見ると…
 ――――資料室の一筋の光は消え て い  た   。




753:緋背β版@リン綾子
07/05/17 22:43:22 Vjm+SfKR


「ヒッ」
「誰だ」
 抑揚のない声を聞くと同時に、後ろからはかい締めにされた。
 先程までぴったりと綾子の後ろに張り付いていた人間は、ドア横のスイッチを慣れた手つきで切り替え、ドア横の白熱灯だけをぼんやりと点かせた。
「…松崎さん」
 声の主は、さぞかし驚き、安堵した様な演技をしながら、綾子に声をかけた。
「ああ、驚いた。泥棒かと思ったんですよ。」
 綾子の総身はぶるぶると震え、呼吸もままならなくなった。
 演技を演技だと教えている様な口振り、未だに解かれない拘束、腰あたりに伝わる膨大な熱。何もかもが怖かった、恐怖のあまり失禁しそうだ。
「どうしたんです、寒いのですか? …ああ、失礼」
 背後の男も白々しすぎるのかと思ったのか、容易に拘束を解いた。綾子は初めて後ろを振り返った。
「…リン」
 口元だけ嗤っている。
「忘れ物…しちゃって…それで」
「なら、一緒に探しましょう」
「いいの、たいしたものじゃないから」
「遠慮しないで下さい、松崎さんらしくない」
 リンはゆったりとドア側に回り、施錠した。
 トリガーを引く様な音に聞こえた。
「で」
 リンの顔から嗤いが消えた。
「何を、見たんです?」

「何も…」

「見たんですね」

 この世の終わりに逆上する様な表情を浮かべ、カツ…カツ…と靴音が綾子に歩み寄った。
 後じさっても応接スペースがあるだけで、出口にはいけない。しかし、足は勝手に後ろに向かう。
「ねえ…」
 泣きそうな声だった。しかし、リンは表情一つ変えずにじり寄ってくる。
「きゃっ」
 ヒールが地を這う配線コードの束に躓くと、倒れる前にリンの腕ががっちりと綾子を掴んだ。
 掴む腕からは優しさが滲んでいるのに、この恐怖は何だろうと、泣きそうになった。しかし、ここで泣いたり助けを求めたら、恐ろしい結末が待っていそうだ。
 リンは腕を捕らえると、そのままソファーに押し倒した。
 リンの足元ばかり見ていた綾子は、恐る恐る顔を見上げた。
「リン…」
 やるせない男の顔だった。置いてけぼりを喰らって、全てに見放された子供のように、泣きそうな顔だった。

「私を、ハンカチと同じ目に遭わせて」

 本当はそれを望んでいたのだ。二週間、ずっと――
 目を見開いた男の頬に両手を添えると、慎ましやかに唇を合わせた。





754:緋背β版@リン綾子
07/05/17 22:46:48 Vjm+SfKR
751から753はある意味本番シーンより勃起ものとか
思う少数派は自分一人でいい。

エロパロなのに汁気がなくて申し訳ないです。
次は夏頃に投下しようと思っています。

755:名無しさん@ピンキー
07/05/17 23:30:18 7hIVaFJP
いやいや、確かにヤってないのに充分にエロいですよ。素晴らしいです。

って、次は夏!? なに、そのコミックス版並の焦らしプレイ!
がんがって保守して待ってます。


756:名無しさん@ピンキー
07/05/17 23:54:10 4K6HcqGQ
本番どころか絡みなしでも手に汗握ってしまいました。
相変わらずねっとりとエロチックですねえ。
思わずハンカチと同じ目に遭わせてほしくなりました。
綾子もいいけど、リンの粘っこさもたまりません。


夏が待ち遠しい限りです。

757:名無しさん@ピンキー
07/05/18 11:52:35 wShyI05n
九州では既に夏並に暑いわけだが。



……訳のわからんことを言いつつ続きを熱望致しております。

758:名無しさん@ピンキー
07/05/18 12:47:14 j1UqdPiq
いいよいいよ!リンさんえろい、もっとやれw
うーん夏までか待てない
ところでログが480kb超えているけれど
ここのdat落ちっていくつ?

759:名無しさん@ピンキー
07/05/19 02:21:32 Kz17vveQ
すんげぇドキドキしました。
夏って何月からだっけと思わず考えてしまうほど続きが待ち遠しいです。

>>758
500kbで圧縮対象、515kbで書き込み不可、だったような気が。
そろそろテンプレ決めて次スレ立てた方がいいかも。


760:名無しさん@ピンキー
07/05/19 12:00:28 AhTi6/3Y
500kbで書き込み不可

761:名無しさん@ピンキー
07/05/22 13:46:23 IVDU/aHj
神キタ━━(゚∀゚)━━!!
きゅんきゅんが止まりませんでした。んもうリンさんったらリンさんったら
相変わらず変態!!(褒め言葉)
助手席エピソードは乙女チックでよいですな。ハァハァしますな。

って、夏!?夏!?夏ですか神!?
……カレンダー上は6月から夏だよね?

ハンカチに顔埋めて泣きながら待ってます。


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