07/02/20 14:43:31 tBrz8bZM
「麻衣のことが好きだから。…それに麻衣も、あの夢のせいで俺を好きになり始めてるって感じたから」
「あたしが…ぼーさんを…」
滝川の腕の中で麻衣が自らに確認をするように小さく呟く。麻衣の肩から僅かに力が抜けたのを滝川は見逃さない。
「うん。だからさ、麻衣と本当にそうなるためには何でもするって決めたんだよ。麻衣が揺れてるなら思いっきり
ガクガク揺さぶって俺の方に倒れてくるようにしようってな。」
「ぼーさんの、方に?」
小さな子供のように甘く拙い話し方で彼の言葉を繰り返す麻衣に、滝川はにやりと悪戯っぽく笑ってみせる。
「そう。俺の方に。俺、もう他の誰にも麻衣を渡すつもりないから。決めたって言っただろ?…まあ幸い、俺ってば
結構カッコイイと思うし?麻衣も結構俺のビジュアルまんざらでもないだろ?ていうか結構好みだろ? それでー、
麻衣が気持ちよくなることいっぱいしまくってー、もう麻衣が俺無しじゃ生きていけないッ!ってくらい俺に
メロッメロにさせて俺から離れられなくなるようにしてー、それからー、毎日毎日麻衣が好きなのは俺だーって
言い続けて、そのうちに『あれ?そうかも?』って麻衣に思い込ませてやるのさ」
麻衣の緊張と怯えをやんわりと解くように、わざと今まで通りのふざけた口調で、けれども本音を交えて言い放つ。
「ふふ……やだ……ぼーさん…本当に、ずるい……」
麻衣の顔にこの部屋に来てから初めて笑顔が浮かぶ。彼女の潤んだ瞳に安堵の光がようやく宿ったことに、滝川は
全てを忘れて喜んでしまいそうになり、慌てて心中で自分を叱咤する。まだ気を抜いてはいけない。
もう、あと一歩。
「そうとも!俺は狡いんですよー。だって麻衣よりずっと大人だからね。……だからー、可愛い麻衣ちゃんをゲット
出来ちゃうなら、俺は何だってするんだってば。……さっきからずっと、そう言ってるだろう?」
「……うん……ふふっ……」
いつもの麻衣の、愛らしい笑顔と笑い声。ようやく、ここまできた。麻衣を、手に入れる。
「やーっと、笑ったな。……ごめんな。ちょっと怖い思いさせたかな。でもさ、俺も必死なわけよ。わかってよ。
麻衣とさ、本当に離れたくないんだ。麻衣のこと、死ぬほど好きなの。だから、な」
さあ、チェックメイトだ。
「俺とずっと一緒にいて、麻衣」