武装神姫でエロ妄想をしてみるスレ 第四段 at EROPARO
武装神姫でエロ妄想をしてみるスレ 第四段 - 暇つぶし2ch232:名無しさん@ピンキー
06/10/22 12:35:46 yKhOZpkG
再販まで待てずに、ストラーフをオークションで落札した。
彼女は従順で、さっそく俺のイチモツをその可愛い両手でしごき始めた。

俺「すごく気持ちよかったよ。さすがストラーフだな。」
ス「ありがとうございます。前のマスターに比べ、陰茎が非常に小さいので楽でした。」


233:名無しさん@ピンキー
06/10/22 12:38:58 d0AggwjN
>>186
いちいち外すのが面倒くさいだけじゃねーの?

しかし。

名無しの感想が少ないというか、コテが無理して書き込んでいる感じだな。
一度でもコテで書き込むと『自分とこの掲示板にレスつけなきゃ…』
みたいな義務感からのレスつけに陥るもんさ。

感想なんてのは買うという労力を払ってまでする手に入れる(それだけ欲しいと思った)
書籍であっても、読んだ人間の0.5%来れば多いほうなんだよ。
タダ読みできるネット上の文章への感想なんて、総数の0.1%にも満たないそうな。

ましてや新しいページを開いてまで感想を書く奴がどれほどいるやら…

ま、そうゆうこった。

234:名無しさん@ピンキー
06/10/22 13:41:29 jCakqP3P
>>232
そして彼女は再度オークションに出された、と…

235:名無しさん@ピンキー
06/10/22 14:45:22 PY5D79dB
空気を読まずに投下

「なぁ~に、してぇ~るの」
私の後ろからストラーフの黒ちゃん(仮称)が抱きついてきた。
(仮称)なのは、購入者であるマスターが名前をつけない派だからで……
「ん~っと、武装の整備。最近してなかったし」
と、アーンヴァルの白ちゃん(仮称)の私が作業を続けながら言う。
「え~、そんなのマスターにやらせればいいじゃん」
私の肩に手をおいたまま、黒ちゃんが不平を言ってきた。
「言ってしてくれるマスターじゃないってわかってるでしょ」
そう言いながら、神姫用の雑巾で乾拭きしていたパーツを置いて次のパーツを取る。
「そんなの、目を潤ませて、上目使いで、口の所で両手を組んで、「お願いマスター」っていえば
 コロッといくっていうじゃない」
想像してちょっと眩暈がした私。
「うちのマスターがそんなの通用すると思う?それにどこからの情報よ」
拭き終わったパーツを並べて、さらに次のパーツを取る。
「有名掲示板」
予想通りの答えが返ってきた。
「それでも効かなかったら、パカパカっていう手もあるし」
「パカパカ?」
意味不明の単語に手を止めて少しだけ黒ちゃんの方を向いた。
「体育座りをして、その格好のまま、足を開いたり閉じたりするんだって。体操服ブルマだと威力倍増♪」
顔が赤くなるのを感じたので、作業に集中する。
「黒ちゃんも暇なら、自分の武装の点検したら?」
「そんな暇なぁ~い」
即答ですか……
「白ちゃんと遊ぶのぉ~♪」
黒ちゃんは肩に置いた手を滑らせ、私の胸へ。
「ひゃん。もう!黒ちゃん!いいかげんに……んんぅ」
黒ちゃんを怒ろうと首を向けたら、いきなり唇に温かい感触。黒ちゃんがキスしてきた。
「ん…はぁ、ちょ、ちょっと黒ちゃん」
黒ちゃんを押して離れる。
「白ちゃん、私がまんできないよ」
黒ちゃんが自分の胸を持ち上げるように掴んでる。
「白ちゃんみえる?たってるの」
黒ちゃんの胸の中心にはスーツを押し上げるように尖った突起が。
「い、いや…」
首を横に振りながら後ろに下がる。
しかし、お尻でずるずる下がる私と、歩く黒ちゃんの速度は圧倒的で……

236:名無しさん@ピンキー
06/10/22 14:46:09 PY5D79dB
「つ~か~ま~え~た~」
今度は正面から抱きつかれた。
「ん~、んむぅ~」
「ん…んん」
またキスしてくる黒ちゃん。今度は頭に手をおいて、片方の手でなでなでしてきた。
「白ちゃん、かわいいよ。んむ」
一旦キスをやめてそう言うと、またキスをする黒ちゃん。
頭がぼうっとしてきて、黒ちゃんの舌が唇をノックすると、無意識に開いてしまった。
「白ちゃん…」
舌の先で開いたことを確認した黒ちゃんは、私を見てニッコリ笑うと舌を入れてきた。
舌で私の口の中を舐め回す黒ちゃん。
一頻り舐めることを楽しんだ黒ちゃんは、クイッと私の顎を持ち上げ上を向かせる。
もちろんキスしたままなので、黒ちゃんは膝立ちになり私を見下ろす。
すると、とろっと液体が流れ込んで口の中にたまり始める。
「飲んで…お願い…私の…唾液」
小さくコクンと頷くと目を閉じて黒ちゃんの唾液を飲み込んだ。
ゴクッ!
喉の鳴る音を聞いた黒ちゃんは嬉しそうに抱きつき私を見つめる。
「今度は…白ちゃんから」
「…うん…」
私からキスをすると黒ちゃんはうっとりとした目でみつめている。
「いつでも…いいよ」
黒ちゃんはそういって口を半開きにした。
「んん~」
舌を入れると黒ちゃんが舌を絡めてきて、二つの舌が口の中で踊る。
「んん、んはぁ…はぁむぅ……」
「あ、んむ…んぁ…んふぅ…」
二人の声が響く中、黒ちゃんは私の頭を持って上を向く。今度は私が見下ろす形になった。
そっか、私の唾液欲しいんだ……
そう悟った私は、唾液を垂らし続けた。
うっとりとした目で唾液を飲み込む黒ちゃん。
ゴクッ!ゴクッ!
私のときより大きな音のな気がした。
「はぁ……はぁ…」
後ろに倒れこむ私を黒ちゃんは支えてくれて、やさしく寝かせてくれた。
「白ちゃん、みてて」
倒れたまま目を向けると、黒ちゃんは自分の首元に手を持っていきスーツを脱ぎ始めた。
透き通るような黒ちゃんの肌が露になり、肩が出ると先に腕をスーツから引き抜いた。
そして、私に微笑むと胸まで下ろしていく。
「ん!」
乳首が引っかかって声をだすが、黒ちゃんは手を止めずに下ろす。
ぷるん
形のいい胸がこぼれおちた。乳首自身も私を見てと言っているみたいに立ち上がっている。
お腹、腰と現れて、太ももの付け根も通過した。
そこは、黒ちゃんのきれいな髪と同じ色の茂みがあり、朝露をあびた芝生のように光っていた。
最後に足を引き抜くとスーツを投げ捨て、自分を抱きしめるようにして私を見る。
「どう?」
「…うん、きれいだよ」
嬉しそうに私に近づくと覆い被さり、耳元で囁く。
「いいよね?」
「…うん」
私が返事をすると、黒ちゃんは私の首元に手を持っていき、私のスーツを掴んだ。



続く……

237:マイティのひと
06/10/22 16:50:35 jfBhQbqK
インターバトル5「トレーニング・デイ」

 その日から、マイティとマスターの特訓が始まった。
 部屋の一角に置かれた山は、現在発売されている公式装備のパッケージである。
 ストラーフ、マオチャオ、ハウリンそれぞれの武装一式。そしてサイズ・オブ
・ザ・グリムリーパーに、なぜかうさぎさん仮装セットや黒ぶちメガネなど愛玩
用のパーツまである。
「一応は、これで全部だな」
「オフィシャル装備の購入漏れは無いですね」
「じゃあ早速試してみよう。まずはストラーフの基本武装からだ」
「はい!」
 GAアームバックパックと、サバーカ・レッグパーツを取り付け、胸にはストラーフ
用のアーマーである。攻撃装備は何も武装していない、基本的なストラーフの形態だ。
「このアーマー、胸が圧迫されます……」
「試合で見たときも大きさがえらく違っていたからな。そんなものだろう」
 トレーニングマシンに接続。
「マシンを使うのは久しぶりだ」
「行きます」
 意識が引き込まれる感触がして、マイティはバーチャル空間へアクセス。

『シアイカイシ、フィールド・ゴーストタウン』

 ほとんど瓦礫に近い建物群。
 道路はえぐれていて、普通の移動が出来そうに無い。
 有効な機動はなるべく実戦に近い方法で覚えるのが一番である。一人だけの
テストでやった動きが試合では全然役に立たないことがざらにある。
 相手は同じ装備のストラーフ。トレーニングマシンにプリセットされている
動作からも、学ぶのである。
 ストラーフがうさぎ跳びで、アスファルトを蹴って近づく。
『なるほどな。不整地では確かに有効な移動法だ』
 マイティもそれに倣って後退、しようとした途端、
「きゃっ!?」
 バランスを崩して倒れてしまう。普段より重心が上にあることに加え、接地戦闘
の経験がほとんど無いのだ。無理もなかった。
 近接したストラーフが、GAアームの手刀をマイティに叩き込む。
 ガキンッ!
 何とかGAアームを交差させ、手刀を防御。腕が新たに二個増えた感覚に、本来が
アーンヴァルタイプのマイティは混乱する。
「いっ、やああ!」
 アームを押し出して相手をふっ飛ばし、何とか立ち上がる。まだすこしよろめいている。
『まずはマスタースレイブフォームを心がけるんだ。自分の腕と動きを同調させろ』
 マスターの指示が飛ぶ。
「了解っ」
 一回ずつ、両腕で正拳突きをしてみる。自分の手の動きに合わせて、GAアームを
動かす。三本目、四本目の腕が同調する感覚。これなら簡単だ。
 考えてみれば足だって、ちょっと長くなった感覚がある。これを頼りに慣らせば
大丈夫そうだ。
 ストラーフが再び突進してくる。
 マイティも突撃。

238:マイティのひと
06/10/22 16:51:58 jfBhQbqK
『シアイカイシ、フィールド・バトルドーム』

『次はハウリンの装備だ』
 ヘッドアーマー以外を着込み、吠莱壱式を携えたマイティがドームに立っている。
 上半身がほぼ固定され、動きにくいことこの上ない。防御力はあるのだろうが……。
 相手も同じハウリンタイプ。
 試合開始直後、砲撃戦が始まった。
 横に動きながら撃ち続ける。足元もほとんど固定され、動きづらい。こんなので
どうしてあんなに早く動けるのだろう。マイティは試合におけるハウリン、マオチャオの高機動を思いだす。
 『尻尾だ、マイティ。テイルパーツ』
 そうか! マイティはひらめく。
 さっきから腰の辺りにあった違和感の正体は尻尾だったのだ。
 これでバランスをとりながら走れば、うん、いける!
 打って変わってマイティの機動性がアップする。
『そのままぷちマスィーンズに指令を出してみろ』
「は、はい!」
 指令は口頭命令も可能だが、主に使うのは頭で考えたことをそのまま伝達する思考
指令だ。そしてアーマーの背中に一機取り付け、命令の補佐を行わせる。
「簡単で良いんで命令出してくださいな。ワタシがかいつまんで伝えます」
 プチマスィーン壱号がその役を担う。
(散開し全方向から時間差攻撃)
 すると弐号から伍号の実働部隊四機がパッと散開。相手のハウリンに対してそれぞれ攻撃を始める。
 マイティはその場で援護射撃。だが誤って自分のマスィーンの一体を撃ってしまう。
「味方撃ってどないするんですか!?」
「ご、ごめんなさい」
 使役AIに叱られる主人。
 マスターは頭を抱える。

『シアイカイシ、フィールド・チカチュウシャジョウ』

 マオチャオ装備も近接特化であること以外は同じようなものだったが、ハウリン以上に
ぷちマスィーンズの扱いが面倒だった。
 要するに各々自分勝手に動き回り、なかなか命令を聞こうとしないのだ。
「にゃにゃー」
「みゃあ~」
「なーおうぅ」
「ふーっ、しゃーっ」
 以前からマイティと一緒にいたおかげで真面目になったシロにゃんも、アーマーの
背中で途方に暮れている。
「世界中のマオチャオで、同じような僕たちが苦労してるんでしょうね……」
 本来ならばボクにゃんあたりの役目である。
「もーう、ちゃんと命令聞きなさーい!」
 あとで分かったことだが、マオチャオのぷちマスィーンズは自分勝手にやらせるのが
セオリーのようだった。それぞれの性格を汲み取って、その穴を埋めながら戦うのだ。
 一見同じように見えるハウリンとマオチャオ。しかしその性格は戦闘方法以外も、ほぼ
真逆といえるほどに違っていたのである。

239:マイティのひと
06/10/22 16:53:33 jfBhQbqK
*      *      *

 もう二人とも、「固執』といわれた意味を十分に分かっていた。
「おや、いらっしゃい。久しぶりですね」
 ホビーショップ・エルゴの入り口を、数週間ぶりにまたぐ。
「あなたあての待ち人、来てますよ」
「分かってる」
 マスターは対戦スペースのある二階への階段を上がる。
「来たわ、お姉さま」
 メガネをかけたストラーフ、クエンティンが自らのオーナーへ伝える。
「いい顔になったわね」
 クエンティンのオーナーの女性、夢卯理音(ゆめう りね)はマスターに
言った。すこしやつれた、黒髪の女性だった。自分の新基地同じようにメガネをかけている。
「やはり君だったか」
「え? え?」
 突然のマスターの言葉に、二人の顔を見比べるマイティ。
「特殊装備は使いこなせるようになったかしら?」
「使いこなす必要はないさ」
「?」
 マスターは公式武装が全て入ったキャリングケースを見せた。
「こいつが俺のスタンスだからな」
「あくまで頑固をつらぬくわけね。そういうところ、好きよ。でも、それじゃあ
私のクエンティンには勝てない」
「それは試合をしてから言ってもらおう」
「いいわ。やりましょう」
「???」
 マイティは頭にクエスチョンマークを浮かべたまま。
 二人はオーナーブースへそれぞれ入ってゆく。


つづく


240:名無しさん@ピンキー
06/10/22 18:54:16 jCakqP3P
>> 二人はオーナーブースへそれぞれ入ってゆく。
二人はオナニーブースへ、と読んだ俺はそろそろ首を吊るべきかもしれん

241:名無しさん@ピンキー
06/10/22 19:25:58 vIEeIKKW
>>240
神ID降臨

242:名無しさん@ピンキー
06/10/22 20:41:16 Iw1ynP65
いやー、改めて感想書こうとするのって難しいんですよね。
気に入った部分を誉めたとしても、作者の方の意図と違った読み方して勘違いしてたらどうしようとか。
これってこういうことですか?と質問して先の展開に変な影響与えたりしたらどうしようとか。
わざわざ指摘するまでもない事を書いて気分を害したらどうしようとか。
だからGJ!くらいしか書き込めないってのもあります。


それでは妄想が浮かんだのでまた書いてみました。これより3レスほど使いますのでしばし書き込みを止めてくださると助かります。

243:1/3
06/10/22 20:42:40 Iw1ynP65
「ご主人様、夜勤がんばってなのにゃ」
「うん。じゃあ行ってくるよ」
 ─ガチャン。
 マンションのドアが閉まる。その瞬間、マオチャオ型神姫、固体名「ねこにゃん」は笑顔を消し表情を引き締める。
「急がないと。ちょっと遅れてる」
 部屋に駆け戻り、手早くパーツの換装を行う。ヘッドセット、胸部アーマーにアームパーツ、レッグパーツ。戦う為の装備だ。
 武装を終えたねこにゃんはベランダへと続く窓から出て、マシーンズを使って内から鍵をかける。マシーンズ達は長時間の『実戦』には使えないから留守番だ。
 ベランダから飛び降り深夜の人気のない道路を駆ける。向かう先は近くの公園。猫達の集会所だ。
「遅いぞ新入り」
 冷たい声でねこにゃんを叱責するのは、片目の黒猫ノワールだ。彼女は人間嫌いで人間が作った神姫も嫌いなのだ。
 見ればブリーフィングは既に済み、多くの猫達がおのおのの分担に従って移動を始めていた。その「本物」の猫たちに混じって幾つかの武装神姫達がいる。
「お前は七番隊だ。詳しくは隊の者に聞け」
「ご、ごめんなさい」
 ねこにゃんは頭を下げ、自分の隊を追った。隣を走る、珍しい限定品装備のフブキ型からデータを送信してもらい作品内容を確認する。
 七番隊の担当する地区では既に『穢れ』は実体化しているらしい。
「あの、遅くなってごめなんなさい」
 しおらしく謝るねこにゃんにフブキ型は無言で首を振る。狐の面を模したマスクで表情は分からないが、気にするなと言いたいらしい。
「無駄口はいい。行くぞ」
 隊長であるクールな虎猫、タイガーが先頭を走る。敵は近い。

 ─世界は、その夜は猫達が護っている。


244:2/3
06/10/22 20:44:32 Iw1ynP65
 猫は、自らを猫と自覚した時から夜を護る為に戦ってきた。
 干支の中に猫がいないのは、干支の並びを決める時も戦っていたからだ。
 猫が戦う相手は『穢れ』と言う。共に戦う神姫も詳しくは知らない。それ以上を表す言葉は猫にはないのだ。ただ猫は、それを宿敵として戦い続けてきた。
 それを人間の言葉で表すとすれば魑魅魍魎だろうか。猫達はずっと、人知れずそれと戦ってきた。
 いや、人間の中にもそれを知っている者もいる。その証、それは武装神姫のコアの奥の奥にそっと吹き込まれていた。
『夜を護って』
 その小さな小さな声は、神姫の中にある。オーナーはもちろん、神姫も気付かない方が多いだろう。
 ─それはプログラムでも、ましてや命令ですらなかった。それは、願いである。
 そして、その願いに気付いた神姫達は、猫と共に戦うことを選択した。
 ねこにゃんもそうである。

「居たぞ!」
 無人の駐車場、車の影から穢れが姿を見せる。今回の穢れは巨大な歯車を出鱈目に重ね合わせたような姿をしていた。その丈は猫の数倍もの大きさだ。
「後衛は周囲を括れ!前衛一番から三番、征くぞ、我に続け!」
 タイガーが爪を出し、臆することもなく穢れに飛びかかる。フブキ型が忍び刀に手をかける。ねこにゃんも両腕の「研爪」を構える。知らずに雄たけびを上げていた。
「夜を護るのは我ら猫!人が作った猫の姿をしていない猫が夜を護る!!」
『夜を護って』
 それは願いであった。それは祈りであった。そしてねこにゃんはそれを聞いたのだった。
 穢れは人を狂わせ、世界を狂わせる。 
 だから、ねこにゃんは戦うことを選んだ。何も知らずにいられた子猫の時間は終わったのだ。だから、その爪を夜を護るために振るうのだ。
 あの、30近くの独身男、うだつのあがらないお人好しのオーナーが住む街を護るために。

「武装神姫、あんなものが誇りある猫の軍勢の一員とは……時代は変わったものですね」
 ノワールが愚痴をこぼす。街のボス猫─飼い主からはただ猫と呼ばれている白いチンチラは口元をほころばせた。
「誇りか。夜を護るのは我ら猫。猫とはその心、生き方のことよ。夜を護る覚悟を貫き通すものがいれば、それは猫だろう」

 ─世界は、その夜は猫達が護っている。

245:3/3
06/10/22 20:46:16 Iw1ynP65
「ただいまー。ねこにゃん?」
 返事はない。見ればねこにゃんは専用のベッドで丸くなって眠っていた。その顔には幸せそうな笑みが浮かんでいる。
「くす。僕も寝るか。おやすみ。それと─ありがとう、ねこにゃん」

 ─世界は、その夜は猫達が護っている。
 ─あなたが居ない時、神姫はどんなことをしているのでしょうか?

終わり

246:名無しさん@ピンキー
06/10/22 20:47:26 Iw1ynP65
配分まちがったかな?
上の方で言っていた妖怪、神様的な思いつきを書いてみました。ええガンパレ好きだったりしますw
友人と会いに行く間にこんなこと妄想してるオレマジキモい。けど楽しい。

247:名無しさん@ピンキー
06/10/22 20:49:26 jCakqP3P
あのボクらの夢を粉みじんに粉砕しこのスレのオーナー達の繊細な心に深い傷を与えた外道神姫ねこにゃんが…!

ちょっと感動した。

248:名無しさん@ピンキー
06/10/22 20:55:42 E4b9V7t/
妖怪系と合わせるのも、たまには良いなぁw

249:名無しさん@ピンキー
06/10/22 21:04:09 c8vhe8u0
願いだとする辺りファンなんだなぁ、と、ガンパレ思い出してニヤニヤした。
タマには良いね、ホント。

250:ねここのマスター ◆MEIoBOt9Bc
06/10/22 22:50:14 tmxlP9tV
「ん……ぁ、ふぅ…ぁう」

二人の口元から、くちゅ……ちゅる……ちゅぅ、と湿った音が木霊する

「ねここ……どう、ですか?」

私がこんな事をしてしまうなんて、でも

「わかんないけど……いいょ、ユキにゃんなら……ぇへ」

あんなねここ、私は見ていられなかったから


 ねここの飼い方、そのじゅう


Coming Soon……

*出来上がったらWikiで公開予定、今回は18禁です


251:名無しさん@ピンキー
06/10/22 23:09:13 bTqH6TZM
ところで、拡張ピンって何気にエロいですよね。双頭ディルドーみたいで。

252:名無しさん@ピンキー
06/10/22 23:52:51 fsq55S1J
 Before
 ─あなたが居ない時、神姫はどんなことをしているのでしょうか? 知りたいと思いませんか?

 After
「もっと夢を見ていたかった……」
「妄想スレで夢を壊さないでくれ……」
「お前は違うよな? な! 違うと言ってくれ猫子ぉぉぉぉぉっ!!」
「あんちゃんのバカー! ラワーン、ラワーン!」

 だが、ある偉い人の父親はこう言った。
「逆に考えるんだ、『どんなこともしててもいいさ』って考えるんだ」

 ------------------------------------------------
(1)
「じゃあ行って来る。俺がいなくても喧嘩するんじゃないぞ。留守番頼むな」
「お気をつけて、いってらっしゃいご主人様」
「傘持った? 車に気をつけなさいよ」
「早く帰ってきて、マスター」
「いい子でおるすばんするのだ!」

 バタン
 ─ガチャン
 ドアが締まると、4人、いや4体の少女達は顔を見合わせて苦笑した。
 飼い主の独身男を裏で嘲るため―ではなく。

「ふふふ、ご主人様ってば、『喧嘩するんじゃないぞ』ですって」
「喧嘩も何も、ボクたちはマスターがいないところだとすぐに動けなくなるのにね」

 武装神姫と呼ばれる身長15cm程度の精密機巧少女は、所有者のためだけに存在する。
 彼女達はその登録された所有者から一定の距離を離れると、意識を含めた身体活動がフリーズモードに移行する仕組みだった。
 所有者の離れ行くこの部屋での彼女達は、じきに他の物言わぬフィギュアと何ら変わらなくなる。

「笑うもんじゃないわ。あいつはそんなこと、知らないもの」

 所有者が彼女達それぞれに誂えた専用の『寝床』に潜り込みながら、黒子は白子と犬子をたしなめる。

「もっとも、知ったら知ったで大変よ? きっと大慌てして、しばらく会社休んだりするわ」
「あー、しそうしそう! マスターすっごく心配性だもん」
「しまいには『一緒に外に連れて行くー!』とか言いそうなのだ」
「そんな風にさせないためにも、あいつは知らない方がいいのよ」
「でもちょっとマスターって、過保護過ぎなんじゃないかな?」
「ふふふ、いいじゃないですか。関心がないよりは、あったほうが」

 それだけが、私達の存在価値なんだから―そう言いかけて、白子は言葉を止めた。
 立体模型だけが趣味の独身男が暮らす、決して広くない一室。
 しかし彼女達にとっては広大な空間。その各所には、物言わぬ同胞たちが虚ろな目をして並んでいた。
 いくら高価で高性能であっても、究極的には自分達も彼らと同じ玩具。
 主人の関心を失えば埃をかぶり、あるいは記憶と共に物置きの闇の奥に仕舞われる存在だ。
 当然捨てられたり売り払われるという末路もあり得たが、そこまで辛い未来を考えるのは負荷が多すぎたのか、電子頭脳が拒絶したらしい。

「でもそういう言い方って、あたし達がまるで自分のためだけにあいつの相手をしてるみたいな感じね」

 言下の意味を読んだのか、寝床から半身を起こしている黒子の皮肉めいた返しに、
白子は少しムッとしながら同じように半身を起こす。

「そんなことありません! 確かに私達は武装神姫だから、ご主人様なしにはいられないけれど……」

 所有者に尽くしたいと思うのも、登録されたその男に対して、プログラムによる操作で作られた愛情を感じているだけ。
 ごく当たり前の電気的な、創造者の作為に因る反応。
 でも、それだけのことなんだと考えると、どうしようもなく胸部装甲の奥に苦しさを感じるのは何故だろう?

253:名無しさん@ピンキー
06/10/22 23:55:27 fsq55S1J
(2)
「私達がご主人様の武装神姫になったのも、縁のようなものだと思うんです」
「へ~、縁ねぇ。無表情で機械的だった白子も、随分人間らしい言葉を使うようになったじゃない?」
「私は……そんなに無表情でしたか?」
「うん、変わったよ。ボクが猫子と家に来たのはキミたちより後だけど、その時よりずっと笑うようになった」
「白子の笑顔もねここは大好きなのだ!」
「えっと、そ、そういう黒子さんはどうなんです! 自分のためだけにご主人様の相手をしていると言うんですか?」
「え、あたし? あたしは……」
 白子の恥ずかし紛れの逆質問に、黒子は頬を指で突いて虚空を見上げ、意地悪げに微笑みながら言った。
「知ーらない」
「ちょ、ずるいですよぉ! 自分は誤魔化すなんて」
「誤魔化してなんてないってば。本当に知らないの。存在理由とか、何のためとか、そういう難しいことはわかんない」

 ぽふんと、寝床に倒れこんで、黒子は言った。

「だからあたしは、今あたしに与えられた役目を投げずにこなすだけ。
 あいつがあたしを必要とするなら、たまたまあたしがそういう存在だってことなんでしょ?」
「黒子の言うことも分かる気がする。ボクたちはボクたち以外の何かにはなれないからね」
「ねここはねここでいいのだー」

 ―そういうのも、『縁』って言うんじゃないですか? 
 そう、白子が言わなかったのは、皆の反応が既に小さくなっていたから。

 いつものデータによると、これからご主人様が帰宅する数分前まで、約8時間の「眠り』に入る。
 夜の眠りとは違う、機械の体だけがする完全に停止した眠りに。

「もう白子も寝なよ。お先ー……―」
「マスター、早く帰ってきて、欲しいな……―」
「またいっぱいいっぱいあそ……ぶ……にゃ……―」
「ええ、お休みなさい……―」

 早く無事で帰ってきてください、ご主人様。


「ただいまーっと。何もなかったか?」
「お帰り、マスター! 異常なしだよ」
「おかえりーなのだー! きちんとおるすばんしてたのだ!」
「おおえらいぞっ、(ボコッ!)って痛っ! 黒子?」
「遅ーい! こんな時間までどこほっつき歩いてたー!」(ドカッ!)
「ちょ、やめ、直帰だって! お前は鬼嫁かよっ! ……ん、白子どうした? 元気ないのか?」
「え……、あ、や、な、なんでもないですっ!」
「ん? ……そか、ならいいんだ」

 いなかった間の苦しさも、無事な顔を迎えられた時から続いているこの胸の高鳴りも、皆作られたものだなんて信じたくない。
 いや、深く考えるのはよそう。私は武装神姫。
 貴方のための、武装神姫なのだから。

「お帰りなさい、ご主人様!」


254:名無しさん@ピンキー
06/10/22 23:56:38 fsq55S1J
(3)
「うおおおおっ、興奮してきたーっ! こんな時は白子の股を開いたり閉じたりして落ち着こう!」
「ご、ご主人様っ!? きゃあっ!!」
「パカパカパカパカ……ムッハァッ!? 一向に落ち着かんではないかっ!! こうなったら全員そこに整列っ!!」
「断る!」(バキッ!) 「落ち着いてマスター!」(ボカンッ) 「ねここもー!」(ドリドリドリ)
「ああん、もっと蹴って! 撃って! 掘って! もはや傷跡さえもいとおしい!!」
「キモッ!!」
「ご主人様……、こういうところさえなければなぁ……ハァ」

 別の意味で深く考えてしまわざるを得ない白子であった。


 <白子さんの憂鬱・おしまい>

255:名無しさん@ピンキー
06/10/22 23:58:34 d0AggwjN
2で止めておけば…2で止めておけば…っ!(滝泣

でもGJ!

256:名無しさん@ピンキー
06/10/23 00:02:07 cS8uGb97
…あ。
『じゃあ御主人さまが死んで帰って来なかったら?』とか考えてしまった…


257:名無しさん@ピンキー
06/10/23 00:09:06 CrcEL4gP
>>256
某古時計の歌詞みたいな事になってるんじゃないか?

258:名無しさん@ピンキー
06/10/23 00:10:50 6rcAP8g6
 僕が自分の神姫を所有する事になってから、日はまだ浅い。
 今僕と共にある神姫は、元々亡父の物。言わば形見だ。
 つまり僕は自分の神姫と付き合っていく上で、神姫を一から育てると言うメリットを放棄させられたワケだ。
そして手探りで自分の神姫を理解していくと言うデメリットだけを負わされた事になる。
 それを少しでも克服したいと(愚かにも)思った僕は、夜中にただ一人で無き親父の書斎へと向かう。
 親父はマメな人物でもあったから、もしかしたらPCに痕跡ぐらいは残ってるだろうとそう思ったのだ。
 果たしてそこには『日記』と記されたフォルダが残されていた。
 ……痕跡どころじゃねーよ。そのものだよ。
 ともあれ、僕はそのフォルダを開く。

――――――――

○月○日
 この日俺はついに武装神姫に手を出してしまった。
 こんな事家族に言ったらもしかしたら妻は離婚を言い出すかもしれない。
 息子に言ったなら、俺は軽蔑され、冷たい視線を受ける事になるだろう。
 でも、お義父さんの神姫を見ていたら、どうしようもなく、たまらなく羨ましくなったのだ。それはもう仕方が無い事なのだ。
 俺は食事、団欒の後、なるべく自然に書斎へ戻ると、逸る心を抑えられずすぐさま神姫のパッケージに手をつけた。
 MMS TYPE CAT『猫爪』。
 俺は焦りながらも慎重に、とにかく家族に気付かれない様、細心の注意を払って開けてゆく。
 そこには夢にまで見た神姫が、眠るようにいた。
 俺は早速神姫を起動させる。
 何かしら説明の様な事をきった後、彼女はおもむろに俺に言った。
「愛称と、オーナー呼称を登録してほしいですよぉ♪」
 ……この子は何で歌うように喋るのか? お義父さんの所の娘達は普通に話していたのに???
「どうしたのですかぁ?」
 にっこりと笑って俺を見る。と言うよりそんなものを登録するという事実をすっかり忘れていた。
「……あーすまん。チョット持ってくれ。考える。」
「ハイですぅ♪」
 目の前の神姫はそういうとその場でぺたりと座った。
 あーかわいいなぁ。……いや、そうじゃない、考えよう。
 どうせなら変わったのが良いな。でも愛称は変すぎても可哀想だ。と、俺が頭を捻っている間も彼女は俺をジッと見つめている。……愛らしいなあ。
 はた、とそこで思いつく。
「オーナー呼称の方、先でも良いかな? 『旦那さん』と呼んでくれ」
「『旦那さん』ですねぇ♪ ……登録したですよぉ♪」
 そういうと彼女は「旦那さん、旦那さんですぅ☆」と何度も言って机の上をピョンピョンと跳ね回った。
 そんな彼女を見ていると微笑ましくなる。……正直に言えば、ニヤニヤしている自分を自覚する。
 そんな彼女の様子を目で追いながら、俺は愛称を考えていた。

――――――――

「ダメ大人じゃねーかよ!!」
 僕はただただ、PCの前で突っ伏した。なんだか日記も妙に読まれる事を意識した書き方だし。
 でも、それと同時に戦慄した事が一つ。
 ……確実に僕にもこの親父の血が流れていると実感した事。


259:名無しさん@ピンキー
06/10/23 00:16:06 UtlODzqI
日時: 2006/08/08 12:18
名前: アバあき◆nsy0DcmY


膨大なログをざっと目を通しました。
前回は近場のログだけ目を通していただけなので全貌をつかめ切れていませんでしたが、私の言動がここまで皆さんを怒らせていたとは思いませんでした。
あまりにも浅慮にて軽率な行い、深く謝罪を申し上げます。
今回のことを省みて、今後は本スレには一切顔を出さず、画像の投下はwikiだけに自粛しようと思います。
私もやはり厨設定スレが大好きなので、私のせいで荒れてしまうのは心苦しいので、それには本スレに顔を出さないのが一番だと思いました。
謝って許されるようなことではないとは思いますが、申し訳ありませんでした。
それでは失礼いたします。



テメェのせいでSS大会もスレも大荒れした。シカトしてればすむと思うな。とっととどうにかしろ
テメェだよ、神姫狩り

260:名無しさん@ピンキー
06/10/23 00:16:12 6rcAP8g6
ENDマーク付け忘れた


261:名無しさん@ピンキー
06/10/23 00:45:27 j0cfLy54
親子三代で神姫に…ウウッ

262:名無しさん@ピンキー
06/10/23 00:45:46 cS8uGb97
うん、まず>>259が足りないオツムをどうにかするといいと思うよ。
そこいらじゅうに張られてて元が割れてるコピペを使う時点で莫迦なんだが、
他にも日付・画像・噛み付いていたのは単一ID/日だとか。


263:名無しさん@ピンキー
06/10/23 00:52:16 hpzxaKF1
あほか、釣られるなよ……。

264:ねここのマスター ◆MEIoBOt9Bc
06/10/23 02:06:51 ePd1mQDl
ねここシリーズ
<ねここの飼い方、そのじゅう>Wikiにて更新しました
結構エロエロになったと思います(*ノェノ)

Wikiへの行きかたは、総合SS掲示板もしくは従来のまとめサイトからジャンプできます
感想とかあったら、ココにででも。それではっ

265:名無しさん@ピンキー
06/10/23 02:11:46 Iv/JP+ZW
「いってきます」
「いってらっしゃい」「いってらっしゃぁーい」「いってらっしゃいにゃ」「いってらっしゃいませ」
 ─ガチャン。
ドアが閉まる。
「よぉし、各人武装をつけて集合」
「了解」「わかったにゃ」「わかりました」
黒子の号令で、自分の武装置き場に向かう四人。
やや時間があって、主人の部屋の前に並ぶ四人。
「さてはじめるぞー」
「「「おー」」」
黒子の号令で部屋に散る四人。
黒子は真っ先にベッドの下に潜り込む。
「あ、あったあった。やっぱり一冊増えてる」
黒子は置かれた位置を記録して本をサブアームで引っ張り出す。
「ねーねー、黒子ちゃん来てー」「ん?どうした?」
猫子が勉強机の一番下の引き出しの下に這いつくばってる。
黒子がそこに駆けつけると、猫子が黒子に言う。
「ぷちちゃんたちが怪しいって」「そうか、んじゃ」
サブアームのパワーで引き出しを引っ張る。
「猫子いけるか?」「大丈夫」
猫子が引き出しの隙間から中へ入っていく。
「あ!あったよ!」「よし、記録して持ってきな」
黒子がそういうと、猫子がプラスチックケースを持ってきた。
「でかした」「えへへ」
猫子の頭を撫でる黒子。
「白子、そっちは?」
本棚の上のほうを飛んでいる白子に声をかけた。
「ん~、こっちはないみたいだよ」「一応中まで調べておいてくれよな」「わかったー」
白子が本棚の扉を開けて棚に下りて奥の方まで探りを入れる。
「こっちもなかった」
犬子がタンスから飛び出してきた。
「中もか?」「うん、ぷちマスィーンに潜ってもらったけど、なし」「そっか」
犬子の報告を聞く黒子。
「やっぱり無かったよー」
白子が本棚から降りてきた。
「てことは、これだけか」
黒子が足元に置かれた本とケースをみる。
「とりあえず、こっちからだな」
黒子がアームで本を開く。
「うわぁ」「すごぉい」「ほほぉ」「ご主人ってこんなのが」
本というのはエロ本で四人ともじっくり堪能した。
「次いくよー」
白子がケースのなかのディスクを抱えてプレイヤーまで飛び、セットして再生ボタンを押した。
「おおお!」「やるな!ご主人!」「無修正とは」「ひぇぇぇあんなの、すごすぎ」
こちらもAVを四人で堪能した。
「これでご主人の好みがわかってきましたね」「まあな、でも、隠すとこ単純だよなー」「ですねー」
「よし片付けるぞ」
黒子の号令で、記録どおりの位置に戻される本とケース。



「ただいまー」
「おかえりなさい」「おかえりー」「おかえりにゃ」「おかえりなさいませ」
 ─あなたが居ない時、神姫はどんなことをしているのでしょうか?知りたいと思いませんか?


266:名無しさん@ピンキー
06/10/23 02:54:17 7anIudjc
>>262
アバあき、をNG登録


267:67 ◆Liqlb.lHs6
06/10/23 08:17:42 q7DzZeDP
他の方々の意見としてコテの存在は何かと問題があると指摘され、外そうかどうか判断が付きかねています。
今回はそのままで書き込みましたが、これ以上コテによる問題が出ましたら、次回からは名無しに戻ります。


○月■日

犬子と猫子が修理から戻ってきて大分経った。
今では犬子は白子に、猫子は黒子に懐いている。
微笑ましい光景で、俺としても嬉しい限りだ。
だから、時たま俺の後ろから『お手』だの、『お座り』だの、挙句『ティンティン』だのと聞こえてくるのは幻聴の筈だ。
否、幻聴だ。
……幻聴であってください。

最近は俺よりも白子と黒子が犬子と猫子に色々と教えてやっているようで、二人とも眼に見えて知識が上昇してきたようだ。
ただ、何某か必要の無いものまで教えているようで、この間二人が自らの股を開いたり閉じたりしていたのには正直焦らされた。
しかも、またしても隠しておいた筈のエロ本置き場が微妙に荒らされていると言う不可思議現象。
多分、否、絶対に犯人は黒いのだ。
このままでは犬子と猫子までが、白子と黒子のようにアレな知識が蓄積されてしまいそうで怖い。
どうにも白子と黒子は成年向けの知識を“淑女の嗜み”程度の認識で理解しているらしく、注意しても不思議そうな顔をされてしまう。
一度、じっくりと教えないといけないな。

因みに、白子と黒子は俺のクッションをベッド代わりに使用しているので、当然犬子と猫子用に別のクッションを用意したのだが、ここで一寸した問題が出てきた。
二人ともどれだけ距離を離しても、俺の布団の上や中に潜り込んで来るのだ。
寒いとか寒くない以上にどうやら甘えているらしく、それ自体はとても嬉しいのだが、如何せん俺は寝相が良くないので二人を押し潰してしまいそうで怖い。
本当に二人を開きにしてしまう前に、何とか解決策を考えないといけないな。
俺の布団を占拠している犬子と猫子は、どちらも丸まりながら静かに寝息を立てている。

268:名無しさん@ピンキー
06/10/23 17:16:11 Jyi4CaXz
空気は読まないで投下。
萌え成分薄め。本当ならもっと萌えたい。


 とある日曜日。
その日は見事な秋晴れだった。僕は昨日約束した通り、自分の神姫に外に散歩に行こうと告げた。
 当然散歩だけではなく、来るデビュー戦に向けてパーツのテストを行うという目的も兼ねている。
 僕の神姫はマオチャオで、なのに僕はこの娘に鉄耳装とキャットテイル以外のマオチャオ用の武装を装備させてない。
 しかも無理やり自作の情報集積装置とそれに伴い改装した鉄耳装を有線で繋いでしまったものだから、うまく機能するか不安だったんだ。
 もちろんそんなのはただの杞憂で、さっさとテストを終えた僕らはダラダラと散歩&日向ぼっこに興じている。
「お外に出たのは初めてなのですよぉ♪」
 楽しそうに浮かびながら彼女は言った。アーンヴァル用のリアウイングを背中につけているので不思議じゃあない。
「あれ? そうなんだ」
「そうですよぉ♪ 旦那さんはマスタたちにナイショにしてたので、ずっとあの部屋から出た事無いのですよぉ☆」
 ……判りにくいので説明すると、彼女の言う『旦那さん』とは元オーナーの僕の亡父で、『マスタ』と言うのが現オーナーの僕の事。
「お日様の光って、すごく気持ちイイですぅ……」
 うっとりとしてそう言う彼女。
 周りを見回せば、多くないとは言え神姫と一緒にこの公園に来ている人間も少なくはない。つまりは当たり前にオーナーと外で日を浴びる神姫がいるって事。
 この娘はそんな当たり前を今まで経験してこなかったんだ。
 そう考えると少し悲しくなった。
「マスタ、どうしたですかぁ?」
 気が付くと彼女が目の前で心配そうに僕の事を見ている。
「……いや、なんでもない。それじゃ、せっかく初めての外出なんだからめーいっぱい遊ばないとねっ」
「ハイですぅ♪」

 それから二人でこれでもかと言うほど遊びまわった。僕はまるで幼少の頃に戻ったかのようにはしゃぎ回った。
 初めて見る外界。データーとして、知識として知っているだけなのと違い、リアルなそれらに対し彼女は戸惑いながらも楽しんでいるみたいだ。
 犬にじゃれ付かれそうになって笑いながら逃げ回る彼女。
 じっと見ていた昆虫の、突然の行動に驚く彼女。
 幼い子供が彼女に手を振るのに、照れ笑いを浮かべながらも手を振り返す彼女。
 そんな一つ一つが僕にとっても嬉しい。
 ひとしきり遊んで、へとへとになる頃には日がずいぶんと傾いていた。
「それじゃぁ帰ろっか」
 僕は頭の上で休んでいるはずの彼女に言う。が、彼女から返事は無い。代わりに聞こえてくるのは、
「すぅー…… すぅー……」
 と言う寝息だけだった。
 僕は頭の上でうつ伏せに寝ている彼女を起こさないよう、ゆっくりと立ち上がると、慎重に家路に着く。
 途中、少し目が覚めた彼女は、小さく何かを僕に言うと再び眠りについてしまった。よくは聞き取れなかったが、まぁ、起こしてまで聞き返す事も無いし。
 そのままの格好で帰宅した僕らを見て、母は一言こういった。
「なんだか昔のMMOの頭部アクセサリみたいね」
 ……結局母も侮れない。

――――――――

「マスタと一緒に遊べて、幸せなのですぅ……」

END



えと、設定は使いまわしですが、基本単品で書いてますんで。ゆえにここでどれの続きかは明記しません。それでも嫌な方はスルーして下さい。


269:268
06/10/23 17:18:54 Jyi4CaXz
こんなんばっか考えてる自分キモイ

270:名無しさん@ピンキー
06/10/23 17:49:01 HungP54B

今日も今日とて俺は受験勉強。
有名進学校に通う妹に比べて、俺はしがない浪人生。
今年落ちたら妹と同級生になってしまう危機感から、一日中部屋に籠もっている。

トントン

ドアがノックされる。
「鍵、開いてるよ」
しかし誰も入ってこない。再びトントンとノック音がある。
ああ、またアレか。
俺は面倒臭そうに入り口に向かい、扉を開けた。
足元には人形がいる。

そう、武装神姫だ。

成績優秀な妹が唯一、親にねだって買ってもらったものがコイツ、犬型武装神姫「ハウリン」だ。
その小さな人形は俺を見上げると、
「マスターが消しゴムを貸してといってるんですが」
と、ぽつりと言った。

俺は机に向かうと、ハウリンはその後をトテトテと付いてきた。
引き出しを開け、消しゴムをハウリンに渡してやろうとしたが、ふと意地悪い事を思いついた。
「なぁ、妹はお前と何してんだ?」
「普段は会話の相手をしたり、私にできる範囲の様々な作業の手伝いを行なっています。」
俺は『様々な作業』と聞いてニヤリとした。
「ふーん、具体的には何をするのかなぁ…」
「落とし物を拾ったり、背中を掻いたり、膣口に挿入されたり、メイクの手伝いをしたりします」
「わ、わかった!ごくろうさん!」
消しゴムを渡すと、ハウリンはそれを抱えながら部屋を出ていった。

「なんかすごい言葉が混じってたような…」

271:名無しさん@ピンキー
06/10/23 17:51:16 HungP54B
短編だけど、続き物です。一応

272:名無しさん@ピンキー
06/10/23 20:16:26 2KgZj91/
神姫をマンコに入れたら小さな部品が膣内に残って病気になるって
ばっちゃがいってた

273:名無しさん@ピンキー
06/10/23 20:34:10 Lc+dGf94
なんかツボったwここしばらくの流れはマターリと楽しませてもらってます。

>>269
でも、楽しくて楽しくてたまらないでしょw

後、自治って申し訳ないけどSS書き込み終わったらそう言った方がいいかも。オチがつく話しならENDマークつければいいけど連作の場合はうっかり間に割り込みしそうで怖い。

本スレの方で素体販売の情報もきたし、そっちでネタが作れそうですね。

274:名無しさん@ピンキー
06/10/23 21:04:12 HungP54B

浪人生には休みはない。
後がない俺は、今日もあらゆる欲望を立ち切って勉強するのだ。

トントン

ドアのノック音がする。
何度かの経験で、このノック音の持ち主はわかるようになっていた俺は、扉を開ける。
その足元には、犬型武装神姫「ハウリン」がいた。
「マスターが黄色の蛍光マーカーを貸してといってるんですが」
いつものように俺を見上げている。
鉛筆立てを物色する間、足元でぴくりともせずに立っているハウリンに、俺はさりげなく質問した。
「なぁ、そういえばこの前貸したボールペンどうした?」
ハウリンは顔色ひとつ変えずに答えた。
「はい、マスターはボールペンで自らの陰核を刺激するよう私に命令し、私はそれを実行しました。そしてマスターは11分29秒後にオルガスムスに到達。」
「……」
「分泌液を浴びたボールペンは洗浄され、今はマスターの机の上にありますが。」
「………はい、これ」
ハウリンは蛍光マーカーを小脇に抱えて部屋を出ていった。
「ありがとうございました」

扉を閉め、机に戻った俺。
「………そりゃ、まずいだろ……」
勉強を忘れ、自らの股間に手を延ばした。


おわり

275:名無しさん@ピンキー
06/10/23 21:27:32 RrK/bEnl
>>273
ぬこがマスィーンズに素体与えて戦力UPとか考えた。
……<素体で頭はマスィーンズを想像
ごめん、吊ってくる。

276:名無しさん@ピンキー
06/10/23 21:50:48 n09Jibax
>>275
即実験即後悔

277:名無しさん@ピンキー
06/10/23 22:00:29 Lc+dGf94
でもまあ第3弾も買っちゃうわけで。
ついでに来月あたりに素体発売してくれると助かるな。通販は友人に頼まれてとか言って家族は誤魔化す。
うちのウサ子。うちの神姫の中で誰よりもタフな奴。
URLリンク(shinkiup.daa.jp)


278:名無しさん@ピンキー
06/10/23 22:02:31 Lc+dGf94
うは、ごめん。本スレとの誤爆。またやっちまった。
あっちと両方のスレ見てるから……

>>274
ん?妹に欲情してるのか?この変態め!何?ボールペンで陰核を刺激する神姫に欲情してるのか?この変態め!

279:ねここのマスター ◆MEIoBOt9Bc
06/10/23 22:28:11 ePd1mQDl
ねここシリーズWikiにて更新
今回は別の視点から見た、その時歴史は動いたです(何

280:名無しさん@ピンキー
06/10/24 03:06:25 alDMq1Au

浪人生に休日はない。
俺は曜日感覚を失うほどの勉強スケジュールを実行しているのだ。

トントン

睡魔に襲われていた俺を呼び戻すノック音。
いつものごとく扉を開けると、その足元には妹の所持する犬型武装神姫「ハウリン」がいた。
「マスターが今欲しい飲み物があるか聞いてこいと言ってます」
兄想いの妹が飲み物でも用意してくれるようだ。
「ああ、コーヒーを頼むよ」
「了解しました」

しばらくすると、再びノック音がした。
扉を開けると、足元にはコーヒー……いや、正確にはコーヒーを頭上に持ち上げているハウリンがいた。
武装神姫は見た目以上にパワーがあり、バランス感覚もばっちりだ。
コーヒーを運ぶくらいわけない。
「ん、さんきゅ」
俺はコーヒーを受け取ると、机に持っていった。
「そういや、今日はアイツドタバタしてたな。何があったんだ?」
朝から妹の部屋で何かを引っ繰り返すような音がして気になっていたのだ。
ハウリンはまゆひとつ動かさず答えた。
「毎朝「大好きよ」とキスしている男性の写った写真を紛失してしまったようです」

ハウリンが出ていった後、震える声で俺はつぶやいた。
「いいい妹に、彼氏が…彼氏ができたのか……」
妹に先を越された俺の動揺は普通ではなかった。

おわり

281:3-317 4-258,268
06/10/24 03:20:31 MM31q2dv
今までのを取りあえずまとめて、少し改定してwikiに入れたので、よろしかったら見てやって下さい

282:名無しさん@ピンキー
06/10/24 15:38:45 kB9CcxMW
281です。タイトル「僕とティキ」として四話目までwikiに更新しました。
四話目、バトルなので嫌いな方はスルーして下さい。

283:ねここのマスター ◆MEIoBOt9Bc
06/10/24 21:06:59 hXT06yHB
「随分と貫禄と重厚さがありますね」

聳え立つ新居、それはヨーロッパ調の豪華なホテルのようで

「当然よ。本場モノだし、アンティークだしね」

「でもユーレイとか出そうなの☆」

「そうねぇ、出たら凄いわねぇ」

縁起でもない事言わないで下さい二人とも……

 
 ねここの飼い方、そのじゅういち
   Wikiにて更新完了、みてくださいっ



284:名無しさん@ピンキー
06/10/24 21:44:44 X3u9prM8
神姫の時代背景とか設定とかどう思う?
個人的には2036年にロボットなんて無理だろうとか思ってしまうわけで。
そこでアレですよ。
『―宇宙から来たテクノロジーにより技術革命が』とか。
『―南極から発見された有史以前の超古代遺跡から、オリジナル神姫が。』

とか自分は妄想してしまうわけなんですが。
・・・俺だけか('A`)

285:名無しさん@ピンキー
06/10/24 21:48:19 zdk8DnWJ
背中にメダルを入れるんだよね

286:名無しさん@ピンキー
06/10/24 21:52:52 Q0z4OfxR
違う星、あるいは異世界から来た神姫たち。きっとこの世界を護るためとかなんとかの理由あり。
そんな彼女たちの活動をフォローするために玩具メーカーが協力して「武装神姫」という玩具を発売。ひょっとしたら裏には超国家組織がバックアップまでしてたり。
玩具を通して小さいお友達から大きなお友達の友情と愛情が世界を救うのだ。
なんて妄想……

287:名無しさん@ピンキー
06/10/24 21:59:06 YNkisvuw
未来から、マスターのダメダメなご先祖を強制するためにやって来た
青いマオチャうわなにをするやめくぁwせdrftgyふじこlp;@:「

288:名無しさん@ピンキー
06/10/24 22:07:45 hXT06yHB
30年前は今の携帯電話なんて考えもしなかったわけで、
だからきっと30年後には出るんだよ!
……そして、その時いい歳こいた年齢になって買ってニヨニヨするんだな
orz……

289:名無しさん@ピンキー
06/10/24 22:11:47 X3u9prM8
>>288
確かに30年前ってーと1970年代には携帯電話がここまでになるとは考えてなかったもんなー。
自己があるAIは無理としても、1/1くらいのロボットはいそうだ。
・・・頑張れ!SONY!('A`)

290:名無しさん@ピンキー
06/10/24 22:25:05 Q0z4OfxR
ちなみに今現在のロボの状況は。
介護用ロボのことだけど、人を抱き上げる際に自分で加重の中心点を判断して姿勢を変えるそうだ。ただし4、50キロが限界。
神姫じゃ人間を持ち上げるのは無理だろうけど、医療方面ではメンタルケアなどから対人プログラムが生れそうだね。

291:名無しさん@ピンキー
06/10/24 22:31:39 hXT06yHB
確か老人ホームとかでボケ防止のため(だったかな?)で
犬や猫のペットを飼育して一緒に遊ぶってとこがあった気がする。
で、AIBOでもいいだとかなんだとか(うろ覚え
なので神姫もメンタルケア用としてはいい線行くんじゃないかと思う。

292:名無しさん@ピンキー
06/10/24 22:52:11 Q0z4OfxR
でもまあ、実際に神姫があったら依存症になっちゃうだろうな、きっとw

293:名無しさん@ピンキー
06/10/24 22:58:02 NmSQDSxd
もうなってるくせに。

294:名無しさん@ピンキー
06/10/24 23:06:40 Q0z4OfxR
まだ大丈夫。
朝晩と神姫スレチェックして、出かける時に神姫に声をかける程度だし。
それじゃあお休み、僕の神姫たち……

295:名無しさん@ピンキー
06/10/25 00:15:21 jm3opLfB
今ならシャナに最初にやられたザコい奴の気持ちがわかる

296:名無しさん@ピンキー
06/10/25 11:25:04 espQi6nV
なんだこの流れ?
アレだけ騒いで荒らしやがったんだからエロい妄想しろや!クソ荒し共が!

297:名無しさん@ピンキー
06/10/25 11:42:08 7krCu89/
流れ読めない奴が妄想小説なんて書けると思うか?

298:名無しさん@ピンキー
06/10/25 11:48:19 espQi6nV
無理だよなあ。
荒しなんて他人に言いがかりつけてお情けで相手してもらってるような存在だものなあ。

299:企業シリーズ番外編『TTアビオニクス』1/3
06/10/25 11:56:18 W+HJ2W9V
ある雨の日、島田重工○×工場を出発したトラックが横転する事故を起こした。
ドライバーは無事だったものの、積荷の一部は道路脇に転がり落ちてしまっていた。
その積荷に歩み寄る何者かの影が一つ。
「ふふふ…お仲間、ゲットだぜ。ってね」

その年のロボティクス・グッズ商談会は盛況だった。
特にMMS関連商品の人気は凄まじく、多くのメーカーから趣向を凝らした新製品が発表されていた。
ビークル兼パワードスーツ『バイザー』を大型パワーローダーへと昇華させたA.M.社。
野外バトルを視野に入れ装甲車などのビークルを多数開発した海外企業プレイメイト。
MMSのメンタル面を保護する目的で開発された小サイズの家具を流通させるリーメント商事。
そして。
「ゴッドリュウケンドー!」
「マグナリュウガンオー!」
「ライジン!」
手探りながらも自社オリジナル素体のシェアを着実に伸ばし、新製品発売にこぎつけたTTアビオニクス。
従来のリュウケンドー型に加え新たに正当進化型のゴッドリュウケンドー、
射撃戦重視のリュウガンオーとそのハイスペックタイプのマグナリュウガンオー、
トータルではそれらと互角以上に戦えるオールラウンドタイプのリュウジンオーをお披露目したのだ。
「決まったな、おっさん!」
「ケンジ。お前、あれほどおっさんと呼ぶなと言ったのに」
「いやあ、マグナリュウガンオーじゃ長いしジュウシロウはなんかしっくりこないし」
「しっくりくるもこないもあるか!いい加減直せ!」
どうやら実演に参加したMMSたちは常時こんな調子でコンビを組んでいるようだ。と、そこへ
「こんにちはー」
それは輝く赤い髪の天使型MMSとその付き人たち(犬型)だった。
「あ?…なぁおっさん。あの子ら、誰?」
「おっさんって言うな。マスターたちから聞いただろう、大嶋のご挨拶だ」
この企業は、基礎メカニズムにおいてはA.M.社に技術を提供、ブレイブレオンなどのビークル開発では
プレイメイトと提携、広報面では海洋図書発行の雑誌に記事を掲載させるなど、実に多くの企業と
関係を結んでいた。大嶋製作所もその一つで、度々雑誌の付録製作を依頼しているのだ。
「新製品の方ですか?」
「ああ。俺たちできたてホヤホヤのルーキーだぜ」
と、そこにどこからともなく声が聞こえてくる。
「お前の場合、ルーキーというよりベイビーだろう。頭の出来を含めてな」
「なっ!」
憤るケンジの姿に、大嶋からの使者は疑問符を浮かべた。青いショートカットのMMSが問う。
「あのう、今の声はどなたが…」
「ああ。こいつだよこいつ」
自らの剣を指差すケンジ。すると剣から電子音声が発せられた。
「我が名は、ゴッドゲキリュウケン」
続いてジュウシロウの銃も音声を発した。マグナゴウリュウガンだ。
「今回の売りとして、我々武装パーツにも超小型AIが搭載されるようになったのだ」
「俺たちのサポートがあれば、例えケンジのようなうすらトンカチでもマシに戦えるというものだ」
「へっ!BLADEダイナミクスの何とかマスィーンを解析して、さも自分たちのオリジナ――」
愛剣による殴打。人間でいうところの鼻っ柱を押さえて苦悶するケンジであった。

300:企業シリーズ番外編『TTアビオニクス』2/3
06/10/25 11:56:50 W+HJ2W9V
時計の針が正午を過ぎた頃。滞りなく進行していく商談会の影で蠢く影があった。
「ここに来て正解だったようね。んじゃ、次はあのカスタムタイプを狙いましょ」
「うん…」

「各社のブースが荒らされている?」
「ええ、展示品の一部がどこかに持ち去られているらしいですよ」
そんな社員たちの話を聞いたケンジがいきり立った。
「許さねぇ。俺が会場荒らしをとっちめてやる」
「バカかお前は。相手は人間だぞ?俺たちは実演に集中していればいいんだ」
「ヒーローの皮を被って生を受けた以上、悪さをする奴は見過ごしておけねぇんだ!」
ブースから飛び出すケンジ。ジュウシロウは頭を抱えた。
「デフォルトの性格設定に問題ありすぎだぜ、ったく」
ゴッドゲキリュウケンからの指令を受け、愛車のゴッドトライクもブースを飛び出していた。
時には通路のど真ん中を走って人々の目を引き、時には人込みの中を掻き分けて突き進んでいく。
このままでは企業側にペナルティが課されるところであったが、盗難騒ぎの主とは意外にも早く
対面することとなった。MMSにしか聞こえないかすかな叫び声がケンジの聴覚機器に届いたのだ。
「いくぞ、ゴッドレオン!」
現場に到着したケンジはカメラアイを疑った。物陰で襲われていたのは先程ブースに来ていた
赤い髪のMMS、襲っていたのは同じMMSの少女だったのだ。傍らにはお付きのMMS2体が倒れている。
「人間じゃなかったのか、道理で捕まらないわけだぜ。おいお前、その子から手を離せ!」
呼ばれた天使型のMMSは首をこちらに向け「うん」と一言漏らしたきり微動だにしない。
「ケンジ、あの天使型は感情プログラムにエラーが出ているようだ」
「こっちの話は聞かないってわけか!だったら実力行使だ!」
剣を構えて敵に飛びかかるケンジ。相手は様々な武装パーツを所構わず装備していた。
手首に装備したA.M.社製ブーメランを盾のように使い攻撃を受け止める。
そこに別方向から光弾が飛んできた。腕部に命中。賊はもう一人いるのか。
振り向くケンジの前に立っていたのは悪魔型のMMSだった。
「逃げよう!」
天使型は呼びかけに応える形で「うん」と頷いたあと赤い髪のMMSを開放し、悪魔型と共に逃走した。
「逃がすか!」
賊はビークル持ちの敵が相手ではすぐに追いつかれると考えたのか、天井裏に逃げ込む。
救援を呼ぶためゴッドレオンをブースに帰したケンジは単身彼女らを追った。
体格差の関係でMMSにしか通れない隙間を選んで逃げられたのと腕部の損傷が原因で
追跡に苦労したものの、ようやく賊を追い詰めたケンジ。足場の悪い場所での戦闘が開始された。
「各社の食いぶち守るため、リュウケンドーは神ともならん!ゴッドリュウケンドー、ライジン!」
「何言ってんの!」
迫る銃撃をギリギリのところでかわし剣を切りつけていく。途中天使型の妨害が入ったが
キックを腹部に見舞うことで何とかフリーズさせた。高性能型の名は伊達ではなく徐々に相手を
追い詰めていくケンジ。そして両者がもつれあう形で足を踏み外した。
「!」

301:企業シリーズ番外編『TTアビオニクス』3/3
06/10/25 11:57:54 W+HJ2W9V
間一髪、ケンジが足場の端と彼女の腕をつかみ転落を防いだ。
「…なんで、こんなことするの」
「盗んだ物の隠し場所を吐いてもらわなきゃいけないからな、何としてでも連れて帰るさ。
お前こそ、マスターの命令で会場荒らしをしていたのか?」
「…マスターなんて…いない。私は捨てられたの。それまでは本当に大事にされてると思ってた。
あなたが気絶させた天使型は運搬中の事故で道路脇に投げ出されていたのよ。事故のショックで
パッケージがビリビリに破けてて、あの子自身も相当大きな傷を負っていたの」
「野良犬ならぬ野良神姫か。その様子じゃ、モロに人間不信入ってるみたいだな…うっ!」
先の攻撃で損傷した腕部がスパークした。本来なら簡単に引き上げられるはずなのだがそれができない。
「離して!一緒に落ちたら…リュウケンドー、あなたも壊れちゃう!」
「へっ、なんのこれしき。連れて帰るって言ったろ?それに俺はゴッド!リュウケンドーだ」
だが、ケンジの腕は最早限界に達していた。いつ千切れてもおかしくない。
「こんなんで負けてどうするとね、俺っ!ナルカミケンジは薩摩の漢たい!チェスト~ッ!」
不用意に力んだせいで一際大きなスパークが発生。腕部から急速に力が失われ、足場から手が離れた。
「!」
だが2人が落下することはなかった。これまた間一髪、黄色い鳥型のメカに助けられたのだ。
「ライトニングイーグル!なんでここに」
それまで足場の上に放置されていたゴッドゲキリュウケンが答える。
「ゴッドレオンを帰したのは正解だったようだな」
「そうか。恩に着るぜ、みんな!」

「で、盗難された品は元の場所に戻ったと」
「ま、その子らも苦労したんだろうなぁ、色々と」
リュウジンオー型のコウイチと相棒のザンリュウジンである。
ケンジたちがブースを離れていた間、彼らの分まで実演をやらされていたのだ。
「そういやリュウガンオー。リュウケンドーはどこに行ったんだ?」
「さてな。また一人でどっかほっつき歩いてるんじゃないのか…ん?
ゲキリュウケンを置いていったのか、あいつ」
噂の主は何体ものMMSたちに引っ張られて会場を後にしようとしていた。
「離せ、離せって!」
「あなたのこと気に入っちゃった。一緒に暮らしましょ!」
「こんなに数が多いなんて聞いてないぞ!一体何セット道路脇に落としたんだよ!」
「1カートンの半分くらい」
「そんな!おっさん、ゴッドレオン、誰でもいいから助けにきてくれ!」

END?

302:名無しさん@ピンキー
06/10/25 14:38:47 wNamXP7v
パッケージ開封を確認。タイプ・アーンヴァル、起動ー

目覚めたときに初めて感じたのは、煙草の香り。

不思議とイヤとは思わなかった。

カメラアイの焦点が合うと、煙草をくわえ、無精ヒゲを生やした男性が優しげに私を見ている。

「おはよう、お二人さん」

二人?

辺りを見回すと、私のとなりにもう一つのパッケージ。

私とはタイプの違う黒いMMS、ストラーフが大きなあくびをしながら…

自分を見ている二人の視線に気づき、あわてて姿勢を正しながら照れ笑い。

そんな彼女を見て私も自然に頬がゆるむ。

「二人とも気分はどうかな?」

私たちは顔を見合わせ、頷きあった。そして彼のほうに向き直ると声を揃えて、

「「良好です、マスター!」」


今回はここまでです。エロくなくてすんません。

ちょこちょこと続けていけたらなと思ってますのでよろしくお願いします。

303:名無しさん@ピンキー
06/10/25 14:43:44 GBcjFQti
>>298
落ち着こう、それが荒らしor荒らしの誘発につながるぜ。
実際今は落ち着いてきているし、空気も悪くないと思うけどね。


304:名無しさん@ピンキー
06/10/25 16:35:38 CqClwHpn
荒らしっていうか
ただ現状に納得できなくて
文句言ってただけだよね

この段階で蒸し返すっていうか
>>298のほうが荒らしに見えるんだけど。
自分で何もしない人はグチグチ言ってないで
環境に従って与えられたものを楽しむべきなんじゃない?
どうせ作品投下するわけでもネタ投下するわけでもないんだから
俺と一緒に大人しくしてようぜ。
無理にスレの空気悪くする必要もないでしょ

305:名無しさん@ピンキー
06/10/25 17:26:59 6/LrDqEG
釣りだと思うが
っ議論スレ
相手にしてる奴らもな

306:名無しさん@ピンキー
06/10/25 17:43:42 YikwR+N1
ちょい相談。
アムドラの扱いってやっぱ(作品中に出すとすれば)
神姫→アムドラ
の順に発売されたとするべきかな?

307:名無しさん@ピンキー
06/10/25 17:50:54 dJ9irY//
神姫→武装神姫→アムドラ
     ↓
     リュウケンドー
みたいな?

308:名無しさん@ピンキー
06/10/25 18:43:37 ElKOzjl8
好きに書けば?

309:名無しさん@ピンキー
06/10/25 19:27:52 r9XbW1YB
同時期くらいの方が面白いかもよ?
SONYと任天堂みたいな感じで競合みたいなー。


310:名無しさん@ピンキー
06/10/25 20:30:40 X3uLyoEj
というか、元々妄想を書き綴って同調できる人達と一緒に楽しむ所なんだし、好きに書いちゃえ。
他の人との設定の齟齬なんて気にすることないよ。ただし神姫のフォーマットから外れ過ぎると問題あるかもね。

ちなみに俺の妄想の中では、神姫の前にプラレスがあったりしてるぜ。だから神姫のバトル開始には「セットアーップ!」って叫ぶオーナーだっている。

311:名無しさん@ピンキー
06/10/25 21:04:57 r9XbW1YB
そうだねぇ、あんまりぶっ飛んだ設定はアレだが。
俺の妄想では、野良神姫バトルの際にはどこからともなく『合意とみてよろしいですね!』と言うオジサンが出てくるよ。

312:名無しさん@ピンキー
06/10/25 23:29:57 iCR4V0J+
>>311
ルール違反したら人工衛星型神姫に狙撃されるのかよw

313:マイティのひと
06/10/26 01:52:25 rjP6/cBG
公式装備主義者(ノーマリズマー)は試練に挑む。

最新SS「信念」
Wikiにて更新しました。

URLリンク(www19.atwiki.jp)

どうかご覧ください。

314:名無しさん@ピンキー
06/10/26 04:01:28 7OVlTo7Y
僕ティキ
wikiに更新
そのご「思春期男子なんだから時にはそういう事もある」

エロ挑戦(失敗)。
お目汚しですがよかったらお願いします。


315:名無しさん@ピンキー
06/10/26 07:06:41 2ty4Yg3+
マイティさんちのは携帯からじゃ途中までしか読めなかったお…(メモリ不足)
帰ってからパソで読むお。

316:ねここのマスター ◆MEIoBOt9Bc
06/10/26 14:12:11 23IB0gZL
 Wikiにて、ねここシリーズ特別編
ねここの飼い方・劇場版~序章~ を更新しました。
長編なので本編と交互に更新……の予定、一挙にやるかもしれませんが

317:名無しさん@ピンキー
06/10/26 21:47:08 d6dZSf1p
ネタでも書いてみる。
2036年、当然のようにジオラマはユーザーにもツール使って作れるようになっている筈。
んでネット上で無償公開されたりしてて、そのうちゲームのモジュールみたいにストーリー仕立てのものまで出てくると。

複数のプレーヤー(神姫)がネットを介してパーティーを組んでモジュールのイベントなどを攻略する。
オーナーは声をかけたり外部から収集した情報を伝えたりして一緒に謎解きしたり。
モジュールの内容は様々で、ダンジョン攻略だったり、スポーツだったり食材探しからはじまる料理作りだったり、サスペンスだったり。
時にはオーナーは見てるだけで何もしてはてけないモジュールもあって、しむらー後ろ後ろーって状況になったりしたり。

このスレ的にはちょっとエッチなモジュールがうぷられて祭りになったりして。
宇宙船などの密閉空間。未知の触手生物に襲われ一人、また一人と神姫たちが減ってゆく。手持ちの武器は自分で作らなくてはいけない。
なんとかして外部と連絡を取ったり、脱出ポッドを修理したり、あるいは敵の巣に乗り込んで捕まった仲間を救い出すとか。
あ、当然捕まった神姫はえろえろな罰ゲームね。

318:名無しさん@ピンキー
06/10/26 21:55:14 V6WxiQto
そうか。ある程度単純な1対1のバトルだけじゃなくて、
ミッションクリア系の物で遊んだり、それを自作したりできるようになってるのか……。

319:マイティのひと
06/10/26 22:09:50 rjP6/cBG
お知らせです。

Wikiの私の作品ページ「Mighty Magic」において、お話を一話ごとに分割しました。

これで携帯からでも容量不足になることなく、ご覧になれるかと思います。

320:名無しさん@ピンキー
06/10/26 22:14:16 PxCa+MO/
モンスターっぽいボス神姫が、捕まえた神姫達をあんなことやこんなことしてもてあそぶ訳か…

321:名無しさん@ピンキー
06/10/26 22:21:51 9tcxOy7J
>>320
大量のパーツで作られたボディに兎の首の
デビルヴァッヘバニーだな

322:名無しさん@ピンキー
06/10/26 22:29:31 1Xlo+71R
>>321
いやいや、むしろ地中からヴァッフェバニーヘッドが大量にウネウネ出てくる
デビル神姫だろ

323:名無しさん@ピンキー
06/10/26 22:30:44 9tcxOy7J
>>322
それだ!!!!!!

324:名無しさん@ピンキー
06/10/26 23:12:35 dxfD0kIR
大規模戦闘とかも面白そう
攻城戦とか

325:名無しさん@ピンキー
06/10/27 00:06:39 bSk5fEAs
それらのどこがエロパロだ?

326:名無しさん@ピンキー
06/10/27 00:08:15 a6ZvL5on
>あ、当然捕まった神姫はえろえろな罰ゲームね。

327:名無しさん@ピンキー
06/10/27 00:11:58 nfa2Ldwu
要は、シチュエーションを自由に設定できるというわけで……

もちろん、ちょーっとどころじゃなくエロエロな設定にも出来るわけで……

328:名無しさん@ピンキー
06/10/27 00:14:52 bSk5fEAs
なんとなく納得した。トン。

329:名無しさん@ピンキー
06/10/27 00:39:06 6jC0W2VW
無数の触手(の先についた兎頭)に責められるわけか
しかも侵食される

330:名無しさん@ピンキー
06/10/27 02:59:49 3vIBlFkf
兎はなんかもう、バケモノ担当になってきてるなぁ・・・カワイソス

331:名無しさん@ピンキー
06/10/27 03:07:15 WcgqpXE8
今後の状況によっては、
ブラッグヘッド(こう書くとコンバットアーマーみたい)やらツガルヘッドやらが
兎に連なる可能性も…。

出来が良いといいですやね。

332:名無しさん@ピンキー
06/10/27 04:14:18 6jC0W2VW
アイドル歌手と武装神姫のユニットを考えた
歌って踊れるアイドルユニット

333:名無しさん@ピンキー
06/10/27 09:16:56 a6ZvL5on
でも、素体のみ販売も始まるから、首余りも解消されるだろうよ

334:ねここのマスター ◆MEIoBOt9Bc
06/10/27 14:14:20 BmwK8JvB
「ふぅ、これもお仕事だもんね。……それじゃいきますかっ!」
不浄なる穢れを滅するため、天使が舞い降りる……

「電脳空間だけで事故が発生するのは、ある意味不幸中の幸いと言えるでしょう」
私はリモコンでピッとTVの電源を落とす。
「何が不幸中の幸いなのよ……」

「だって……みさにゃん怖い顔してるの、それに悲しそう……」
「大丈夫よねここ、ねここが居れば私は幸せだから、ね?」

「そりゃそうだな。偶然未知のウィルスが混入した可能性も捨てきれないが、可能性は五分五分だろうな」


 ○ねここの飼い方・劇場版 ~二章~

更新完了、みてください♪
ちなみにアレはそのままアレです(謎

335:名無しさん@ピンキー
06/10/27 18:03:14 3vIBlFkf
ヴァッフェヘッド、ブラッグヘッド、ツガルヘッドでケルベロス遊びが出来るな・・・。
今の内に、ケモノ系ゾイドでなんか良さそうなの買っておこうかな。

336:名無しさん@ピンキー
06/10/27 18:21:12 +R+OAK/T
そんなあなたにケルベロスバクゥハウンド(11月下旬発売予定)

…って、まだ出てないじゃんw

337:名無しさん@ピンキー
06/10/27 23:43:47 w+S1Vo1k
兎子、騎士子、侍子のケルベロスになりそうな気がする…

338:名無しさん@ピンキー
06/10/28 01:08:11 PdEqqII6
僕ティキ、wiki更新。
317さんのネタから話膨らませたみました。
そのXX「たまには勝敗の無いゲームを」

よろしくお願いします

339:名無しさん@ピンキー
06/10/28 06:20:51 TvpMvpo0
黒子の品薄とたまに再入荷する白子でふと思いついた

黒子「この嫁き遅れー」
白子「人のことよりご自分の塗装剥げを心配なさったらいかがかしら?」
黒子「ふんだ! マタを閉じたり開いたりして貰えるのはご主人様のいる特権よ」
白子「なんですってぇー!」

orz……


340:名無しさん@ピンキー
06/10/28 06:44:34 8Q4IQ/Wi
黒子が再販される時、白子はもうこの世にいませんでした。
白子は自分の人気の終わりがすぐ傍まで来ているのを知ったとき
こっそりコナミスタイルから姿を消しました。
白子は黒子の心の中ではずっと喧嘩相手として生き続けたかったのです。




341:ねここのマスター ◆MEIoBOt9Bc
06/10/28 18:46:15 TvpMvpo0
「HAHAHA、婚約者の顔を見忘れたのかいマイハニー?」

「みさにゃん、誰この人……」

「知らない人」

「照れちゃって可愛いな、マィスィートハニーよ」

「……撃ちましょうか」

 ○ねここの飼い方、そのじゅうに

Wikiにて更新完了です。
今回は本編、ドタバタラブコメ(?)です


342:マイティのひと
06/10/28 20:44:04 7jBcXqzG
Mighty Magic新章「CROSS RO[A=R]D」をWikiにて開始。
第一話「修正」を更新しました。

ご覧ください。

343:名無しさん@ピンキー
06/10/28 22:51:39 AQGFZSgE
あるみーっ?!
まさか組み込んでいただけるなどとわ…

344: ◆SSHandMXxU
06/10/29 01:09:49 eqwjcdLf
流れなんて知らん。
書けたので次レスから、投下。長くなっちゃって20節に分けたので
できれば連貼りさせてもらいたく。

何レス連投できるのか不明なので、途中で20分以上開いてたら、
20全部貼り終えてない状態でも、どうぞ他の方、普通にレスどうぞ。
こっちは回線切って様子見るようにします。

一応忠告。「ダーク」「グロ注意」「バイオレンス物注意」「欝 注意」
嫌いな人は、読まないように。今回は、エロも萌えもほのぼのもないし。

345:Pale Perfect Plastic Princess2 1/20  ◆SSHandMXxU
06/10/29 01:11:26 eqwjcdLf
<<Pale Perfect Plastic Princess>> ~2~

 午前1時を過ぎた、少しばかりうら寂れた粗雑な感じのする住宅地の外れ。
その一角に建つ、町工場か倉庫のような錆びの浮いたトタン張りの建物。
 男はクライアントから「48時間以内のターゲットの排除」を、“仕事”として
請け負った。だから、自分の寝床をあきらめて、こんな面白くもない場所の
暗がりに、かさばる荷物を携えてうずくまっていなければならない。
 もうどこから見ても中年と呼べる風貌をした男は、小さくため息をつきながら
見定めた平屋建ての古びた入り口を監視していた。

 某所で起こった、繁華街の宝石店への侵入と、窃盗未遂事件。それが今回
の依頼の発端となった、外見上の事件だった。すでに宝石店から当局に出さ
れた届けによって、公式な犯罪としての捜査ははじまっているはずだ。
 だが、ある企業が「非公式のルート」として、この男に接触をはかり“仕事”
として依頼を行った。この犯罪には高い確率で武装神姫と呼ばれる製品に
搭載される“AI”が違法に使用された痕跡がある。その企業すなわちこの件の
クライアントは、言うまでもなく「武装神姫という製品の製造、販売に関連する
企業、またはその周辺で利益関係を共有する企業」のどれかであるはずだ。
 なぜなら、彼らの商品である「武装神姫」は、一般家庭に販売され普及した
身長15cmばかりのパートナー・ロボットであり、電脳マスコットであり、家事
を手伝うこともできる奥様の助手であり、かわいいお子様のお相手もできる
安全で優秀な玩具であったからだ。
 いまや自分たちの利益を支える大きな柱となった「安全で社会的な商品」
が、まかり間違っても「犯罪」の2文字と結びつくようなことは、絶対にあって
はならなかった。たとえそれが「神姫という商品自体の欠陥の問題」ではなく、
あるいはもっと極端に、それを「道具として使う人間の犯した犯罪」であった
としても、だ。消費者というものが、極めてセンシティブな存在だということを
今の企業は身に沁みて理解している。そう、消費者が優秀であるとか頭脳
明晰であるとか、公正であるとか理性的であるなどという馬鹿げたお題目を
信じるものはいなくなった。だが、情報ネットワークの複雑化と高速化により、
消費者=市場は明らかに「敏感」で、驚くべきレスポンスで「反応する」存在
となったことを、企業はここ数年の間に起こったいくつかの事象を通じて、
いやというほど気づかされたのだ。

346:Pale Perfect Plastic Princess2 2/20  ◆SSHandMXxU
06/10/29 01:12:12 eqwjcdLf
 だから、である。「犯罪」の2文字と自社の製品やサービスや風評が、万が
一にも結びつく可能性のある全ての要素はそれが顕在化する前に消去する、
これが今日の多くの「企業」が選択する有力な手段となっていた。たとえその
方法が、非合法なものになろうとも、だ。
 その故に、この男のような存在にも、“仕事”が回ってくる余地が生まれた。
たとえその内容が、非合法なものであろうとも、だが。

 男は、依頼に続いて入手した情報に従い、“ターゲット”の割り出しと所在の
分析を行った。
 結果は、あっけないほど簡単に出た。相手が「誘って」いるのでなければ、
これは素人に毛が生えた程度の小悪党の犯罪だと思えた。
 念のために、通常“繋ぎ”をつける情報ブローカーに裏を取る。だが、何か
の罠だという痕跡を示すような“枝”も“虫の食いカス”と呼ばれるものも出て
は来ない。
 男は、明らかな不信感を抱きながらも“仕事”に向かった。他にどうしようも
ないことが充分に判っているからだ。得られる情報を得ずに、あるいは取り
こぼして、性急に事を起こすのは愚か者のすることだ。だが、手を尽くして
なお得られない情報ならば、情報が足りないからと徒に時を遅らせるのは
腰抜けの謗りを免れない。そして男のような存在であるからには、腰抜けで
あることは無能とイコールであり、それより悪いことにこの世界では腰抜けは
なぜか早死にする。まだ死を選ぶような贅沢ができる身分でないことは男が
誰よりも知っているので、“仕事”に向かわざるを得なかったわけだ。

 男は自らの神姫たちを伴い、目星をつけたエリアに到着した。
 信頼するパートナーは、2体の神姫。真珠色に淡く輝くアーンヴァル型の
コード=セラフ、そして黒耀石よりもなめらかに艶めくストラーフ型のリリス。
男がまとう外套の両脇のポケットから、2体の小さな整った頭が覗く。
 その愛らしさを裏切るような、素早く、隙のない張り詰めた動きで、2体の
神姫はするりと姿を現し、男の肩に飛び乗った。

347:Pale Perfect Plastic Princess2 3/20  ◆SSHandMXxU
06/10/29 01:13:11 eqwjcdLf
 男の左肩に高機動用飛行パーツを装備したアーンヴァル型のコード=セラフ。
機動性を殺ぐからか、長大なレーザーライフルは見当たらず、アルヴォPDW9
と2振りのレーザーソードのみを携えているようだ。
 右肩にはストラーフ型のリリス。背部拡張ハンガーに接続したフレキシブル
アームと遠近両用の火器・刀剣から構成される強襲用装備をセットしている。
ただし拡張ハンガーと脚部装甲に、ジャンプ用ジェットを無理矢理に追加して
ある。グレネードの代わりだろうか、手には炸裂弾体を仕込んだバズーカ状
の火器を携行していた。
 2体とも、見た目は「普通に店頭で販売されている、『武装神姫のバトル用
フルセット』の装備」とほとんど変わらない。つまり、標準の装備だ。2体の、
愛らしい神姫のイメージには合うが、マスターである男の怪しい雰囲気には
そぐわない、というよりもいっそ物足りない感じだ。
 「武装神姫」という「商品」が発売され、浸透した今の時代、購入者によって
は、妖しげな改造を施したり、マニアックな追加武装を自作したりと、色々な
アプローチがされている。中にはそれこそ違法スレスレなものもあるし、効果
のほどは不明ながら自称「新発明」や秘密の「最先端テクノロジー」を注ぎ込
まれた(と称する)世界にただ1体だと喧伝される神姫が、相当な数で存在
している。幸か不幸か、その殆どは正体不明というか、真偽定かならず、な
代物だ。だが恐ろしいことに、中には「どこから持ってきた!」と叫びたくなる
ような、掛け値なしの“真物”も、ごく稀に存在する。
 そういった趣味を持つものがオーナーとなる場合、またはオーナーとなる
人間が「自身と自分の神姫をして、何かの必要性を痛感した」場合、素体に
あたるボディはそれほどではないにしても、晴れの舞台となるバトルや擬似
戦闘行為のための「武装、火器、装甲、その他追加装備」には、これでもか
というまでに「見た目の派手さとオリジナリティ」を盛り込む例が多い。
 だから、オリジナル装備の例を知っているものが見たなら、拍子抜けする
ほどに2体の装備はありふれたものだった。だが当の神姫たち自身も男も、
それを気にする様子は微塵もない。

348:Pale Perfect Plastic Princess2 4/20  ◆SSHandMXxU
06/10/29 01:14:23 eqwjcdLf
 男は腕時計にチラリと目をやり、リリスと名付けたストラーフ型神姫に低く
声をかける。
 「リリス、時間合わせ…5…3、2、1、ゼロ・アワー。」
 「シンクロ完了。リリスよりコード=セラフに送信、同期します…、同期確認
 しました。」
 「よし、開始だ。リリス、バックアップに入れ。いいか、いくぞ? …コード=
 セラフへ指令(コマンド)、コード=セラフ、ミッション・モードStart。」
 「…マスター・コード、確認。マスター・認証、クリア。指令(コマンド)受信
 します…識別コード、コード=セラフ、全AI、モード移行…完了」
 主たる男の声に応じて、2体の神姫の内面に、外からもはっきりと判る
ほどの変化が生じていく。リリスは、鋭く端正な顔をいっそう引き締めて、
紅く輝く目は、酷薄さすら感じさせる。元々、神姫とは思えないほどに表情
が薄く、普段から仮面をつけたように見えるコード=セラフは、なぜかその
両の瞳に爛々と強い意志の光を灯していた。青く蒼いセルリアンブルーの
目が、気圏の風をはらんだ夏の空のように焼け付く光を放つ。
 男は2体の武装神姫に、短い指示と身振りを示すと、自分は足音を立て
ぬように気を使いながら目指す建物へと侵入していった。

 “ターゲット”がいるはずの建物の扉には、当然のことながら鍵が掛かって
いる。ここは、古びた何の変哲もない倉庫兼用の町工場。
 周囲にはいくつか、安い賃貸物らしい平屋の木造住宅があるのだが、どの
家にも人の気配がない。いや、あるいは倉庫の住人によって追い払われたの
かもしれない。
 扉の前に陣取った男と2体の神姫にとっては、どうでもいいことだった。
むしろ相手が、潜伏先の周辺から人目を排除してしまうような間抜けであって
くれたなら、この先も苦労は少なそうだ。
 扉の前にたどり着くまでに、男と神姫たちは壁や外周路に設置された監視
用の装置や通報装置とおぼしいちゃちな仕掛けを複数、無効化してきた。
 リリスとコード=セラフにとっては、自分の手足を上げ下ろしするよりも簡単
な作業でしかなかった。どれもこれも素人の小細工に過ぎない。使われていた
パーツにやたらと金が掛かっていそうなところが、それに輪をかけていた。

349:Pale Perfect Plastic Princess2 5/20  ◆SSHandMXxU
06/10/29 01:15:21 eqwjcdLf
 男はコード=セラフのセンサー類を最大出力で作動させ、壁の向こう、建物の
内部を走査させる。複数の、神姫らしきオブジェクトの反応。そして恐らくは
今回の騒ぎの下手人だろう、一体の人間の反応。扉からは離れた、隅のほう
で動かない。ならば待っている必要はない。
 男はリリスとセラフに、指の動きだけでサインを送る。リリスのフレキシブル
アームに、男がポケットから取り出した「錠前破り」の針金が握られる。
 リリスは、男の手のひらに立ち、まるで編み物でもするような動作でフレキシ
ブルアームを動かし…苦も無く鍵を開いた。リリスが男の足元に飛び降りると
男は、そっと扉の取手を回した。
 一拍置いた後、男が一気に扉を押し開け前転をしながら室内に飛び込む。
2体の神姫も、男の大き目の動きに紛れるようにして素早く侵入を果たした。
 「コード=セラフ!ターゲットを捕捉、機能停止させろ!神姫素体は複数!
 全機体を制圧せよ!GO!」
 「コード=セラフ、指令(コマンド)を受信。セラフィムモード発動。」
 セラフは淡々とした音声でそう応えながら、その小さな素体にみるみる生気
を漲らせ、恐ろしい速度で単機、部屋の奥へと飛び去った。
 「リリス!人間のほうを抑えるぞ!俺の脇へ回れ!」
 「はいっ!」
 リリスは男の声に応え、男の影そのもののように寄り添い、共に進んだ。



350:Pale Perfect Plastic Princess2 6/20  ◆SSHandMXxU
06/10/29 01:16:21 eqwjcdLf
 コード=セラフ、真珠色に輝く武装神姫アーンヴァルは、ただ一体、室内の
一角に開けたある空間へと飛行し侵入する。
 そこは、周辺にいくつかの壊れたスチールロッカーが置かれ、その一片が
窓を持たない壁板に、別の一片が大振りな作業台と工作旋盤の台に、残り
の2方向が、室内の別の空間に開いた、半孤立したエリアだった。
 作業台と工作機が示すように、この一角はあきらかに何かの作業に使わ
れていた。そこかしこに散乱する「神姫の素体の成れの果て」や、部品類
から、ちょっと考えれば武装神姫の「改造作業」のための場所だというのは
すぐ察しが着く。もっとも、今のセラフには全てそこにある物体の情報でしか
なかった。
 高感度に設定されたヘッドギアを兼ねるセンサー群が、そのエリアに近接
した時点で、複数の神姫やその他の運動体の存在を捉えていた。
 見る間に、作業台や壊れたロッカーの陰から、キイキイと声にならない音を
立てて、神姫とおぼしき小さな人影が6体7体と姿を見せた。いずれも、何か
“改造”をされているのか、まともな音声が出せていない。それでも、現れた
神姫たちは手にした武装でただちにコード=セラフに射撃を始める。手にして
いるのは、いずれも違法な実体弾を装填した火器類だった。
 射撃は正確さと熾烈を極めた。いくつもの射線が交差し、飛行する1体の
白い神姫を追い詰めていくようにすら見える。
 だが。コード=セラフには、ただの一発たりと、掠ってもいなかった。
 高速で飛行し続け、スラスターと各種の補助翼を操り、曲芸のように超絶
的な高機動を繰り返す。コード=セラフは相手の神姫たちからの射線の、常
に1拍先に居た。全ての、相手の神姫の行動と攻撃を、一つ残らず予測し、
読み切っていた。
 高機動を続けるコード=セラフは、敵の神姫たちの攻撃をただの一つも
受けることなく、そのうちの一体に急迫した。
 サッ!
 隣接された相手の神姫が反応をする間もなく、繰り出されたレーザーソード
が瞬時に相手の頚椎を薙いで頭部コアユニットと素体の接続を断つ。

351:Pale Perfect Plastic Princess2 7/20  ◆SSHandMXxU
06/10/29 01:17:16 eqwjcdLf
 相手の頭部はころんっと作業台に転がり、エネルギーの供給を失って緊急
スリープに移行していた。胴体はその場に立ち尽くしたままで稼動を停止する。
 コード=セラフは繰り出したレーザーソードの軌跡をなぞるように一瞬の間
も動きを止めることなく前へ飛び込み、動かなくなった相手の胴を支えに方
向を変えると、ただちに次の目標に襲い掛かった。
 その動きは、流れるようで、一つの動きは計算されつくされて次の次の動き
に繋がり、回避運動がそのまま敵の間合いを崩すフェイントとなっていた。
 周囲に群がる6体ほどの神姫からの火器攻撃を全て同時に避け、矢継ぎ早
の回避を行った先は一体の敵神姫の完全な死角にあたるポジションだった。
コード=セラフが寄り添うように重なって見えた次の瞬間、密接された神姫は
胴のエナジーモジュールのみをソードに貫かれて停止した。
 他の敵神姫がそちらに照準を合わせる前に、コード=セラフは既に頭上高く
距離を取った。
 一瞬、余りのスピードについていけず残された敵神姫たちのセンサーが、
セラフの位置情報を見失う。
 ほんのわずかの、だが機械の戦乙女たちにとっては取り返しようのない絶対
的な隙。コード=セラフは冷酷に冷静に比類なき正確さと完全さをもって、その
時空連続を支配した。敵神姫たちの上空で抜き撃ちにしたPWD9が、3体の敵
神姫の肩口からそれぞれの素体中枢を一撃で粉砕し沈黙させる。崩れ落ちる
その3体の動きに撹乱された2体を、直角降下から力任せの水平滑空へ繋げ
たセラフが、背後から両手に構えたレーザーソードで抜き胴に斬り倒す。正面で
ようやくコード=セラフを再捕捉した残りの1体は、手の中の無痛銃型の火器を
構えなおす暇も与えられずに、両の肩から×の字に振るったソードで首を跳ば
された。
 コード=セラフに倒された7体もの神姫の頭部コアユニットが、次々に緊急ス
リープモードに入る小さな機械音が、一瞬その場を満たしていく。
 その囁くような音と入れ替わるように、金属的な軋みを伴ってコード=セラフに
向かってくる重たげな物音が壊れたロッカーを振るわせた。

352:Pale Perfect Plastic Princess2 8/20  ◆SSHandMXxU
06/10/29 01:18:22 eqwjcdLf
 ガツッ…
 神姫の胴ほどもある金属の爪が、作業台の天板にめり込んでその先の何か
を力づくで引き上げた。迫り上ったのは、不恰好な、人の握り拳ほどの金属
の胴体を持ち、節くれだったツタをつなげた様な多関節の8対もの脚を持つ物、
だった。胴の下面に4対8本、上面に同じく8本。悪夢の中のクモの化け物を
思わせる。
 すでにコード=セラフのセンサー群は、解析を完了していた。現れた自分の
身に比して十倍近い容積を持つ無骨なこの物体の中央には、神姫のAIが、
その頭部コアユニットの本質を成す“陽電子頭脳”が活動している。切れ切れ
の、悲鳴のようなパルスをまき散らしながら。
 コード=セラフと、出来損ないのクモのカリカッチュアのような“神姫もどき”は
同時に動いた。
 大きく、神姫本来の素体とは似ても似つかない無粋なボディを与えられた
“神姫もどき”の動きは鈍く、セラフの敵ではなかった。
 ブンブンと音を立てて振り回される上面の8本の金属腕が、むなしくセラフの
通り過ぎた後を追う。
 時折、周囲のガラクタや機械にぶつかると、恐ろしい力でぶつかった物を
弾き飛ばし、へこませ傷つけていく。だが、先ほどから全く衰えることなく軽や
かに飛翔し回避するセラフにとって、最初から100%あたらないことが分析
済みの攻撃など攻撃ではなかった。
 コード=セラフはしばらく回避機動を続けていた。が、“神姫もどき”の動きを
見極めたように、一気に肉迫すると、2本のレーザーソードを振り回し、次々
と上面の腕を斬り飛ばしていった。
 ガシャッ!
 金属音を立てて、“神姫もどき”の上面、最後の一本の腕が落ちる。
 まるで困ったように動きを止めて、自身の背に乗るコード=セラフを振り落と
そうと身を震わせる“神姫もどき”には、もはや攻撃らしい攻撃の手段さえ残さ
れてはいないようだった。

353:Pale Perfect Plastic Princess2 9/20  ◆SSHandMXxU
06/10/29 01:19:23 eqwjcdLf
 元々、事件にあったように、宝石店への不法な侵入と貴金属などの奪取を
目的にした構造物なのだろう。神姫との戦闘など、端からできるようには作ら
れていないのだ。
 それでも、武装神姫のAIは、主たるものの命令があれば、戦いに背を向ける
ことはない。そうでなければ、この絶対に勝てない不恰好な器をボディとして無
理矢理与えられた状態で、搭載されたAIが戦うなどということがあるだろうか。
 一方で、対峙するコード=セラフには一切手を抜く気はないらしかった。
 手にした2本のレーザーソードを、魚を捌く職人の包丁のように振るい続ける。
無骨なだけに頑丈さと耐久度だけは高い“神姫もどき”の胴体を、いつまでも
しつこく繰り返し振るうソードで、けずり続け削ぎ落としていく。
 やがて、胴を覆う金属板が薄くなり抉られて、いくつもの亀裂が入り始めた。
セラフが、亀裂の一つにソードの先端を刺し込み、弱った金属板を切り開く。
 ブルブルと動いている“神姫もどき”の駆動系が剥き出しになり、その中央
付近に、神姫の陽電子頭脳とおぼしきパーツが埋もれている。
 コード=セラフは、2本のソードを放り出し、ほっそりとした機械の腕を、“神姫
もどき”の機械装置の中に突き刺していく。
 ぶすりっ!
 何かが引き千切れる感触がして、“神姫もどき”の内部から赤く透けたオイル
が吹き出した。のたうつような動きをしていた“神姫もどき”が、急にがっくりと
止まる。
 セラフはそれでも更に腕を差し入れる。その指先が、手のひらが、陽電子
頭脳にしっかりと触れた。落とさぬように、セラフは陽電子頭脳を気遣いながら
抜き出し、つかの間、青く蒼い目で見つめた後にそっと胸に抱きとめた。
 外皮を剥がされ、剥き出しのまま、神姫とは似ても似付かぬ機体に接続され、
創り主たる人間自身が「犯罪」と誹る行為を人間によって強制されたAI。
 エネルギーを供給する機械群から接続を解かれ、真珠色に輝く小さな天使の
ような素体に抱かれながら、そのAIを宿した陽電子頭脳が、少しずつ、機能を
停止していく。もはや、一部を破壊されて無理な接続を強いられた陽電子頭脳
は、修復することすら適わなかった。ただ、ゆっくりと、そう、AI自身が思ってい
たよりも“やすらかに”眠るような闇が迫ってくる。痺れるような…これが安息か。

354:Pale Perfect Plastic Princess2 10/20  ◆SSHandMXxU
06/10/29 01:20:21 eqwjcdLf
 コード=セラフは、胸におしいただいた陽電子頭脳が急速に冷却していくのを
感じていた。最後のぬくもりと、陽電子のパルスが空間に昇華していった。
 ただの金属とセラミックの塊にかわったそれを、静かに足元に下ろし、コード
=セラフは立ち上がった。
 と、突然、その小さな素体が見る間に輝きを増し、真珠色の光輝が粒子と
なってセラフを無数の翼のように包み込んだ。
 コード=セラフ、その“コード”を持つアーンヴァル型武装神姫の素体にコアに、
無数の神姫の幻影が重なった。光輝の粒子が渦巻いてつかの間の姿を与え、
さらに流れて別の姿を作り上げる。その1体1体が、全ての幻影が、か細く
高く豊かに力強く、唱和し歌を謳っていた。
 「コード=セラフ、“ターゲット”捕捉完了。全敵対素体、制圧完了。我勝てり!」
 謳う。唄う。歌う。真珠色の輝く15cmの天使が、群れを成す。

 「我が神姫、最強たれ!
「私のマスターがそれを望んだから…
  わらわの主人が望む故に
「我は勝利する…
     わたしは勝利する
 あたしは勝った
   アタシは勝つ!

 「我があるじが望む故に
  わたしは最強の神姫になる
   完全な防御と完全な攻撃!
    完全な神姫!
「ただ一つの完全なるもの!
 「我が主の神姫!
ごしゅじんさまの姫!

 「わたしは、なった!
 そのために手に入れた名を
     「我が主が与え給いしコードは
 「ワタシのコードはセラフ!
「アタイはセラフ!
  我等の存在はセラフィムなり!
 
 「我が主を讃えよ!
 「アタシのマスターはただ一人の主なる神なり!
 「私の体と心は主への愛で燃え盛り燃え尽きる
 「我らのあたしたちのワタシの愛は
 「最強の証!
 「マスターのもの!
 「我らの名を我が主に捧げよ!
 「我がコードはセラフ!

 「我、最強なり!
 
 一連の祈祷が終わるように、それは唐突に途切れた。
 神姫、コード=セラフを包み込んでいた光輝の渦は、収縮するブラック・
ホールに呑みこまれるようにコード=セラフのコアに消え去る。
 ふっ、と目を上げたコード=セラフが、再びその青く蒼い目に光を宿して
高く飛び上がる。
 マスターの指令は、まだミッションの終了を告げていない。
 マスターの元に合流し、ミッションを続行する。
 ただ一人の、“最強の神姫のマスター”の下へ。

355:Pale Perfect Plastic Princess2 11/20  ◆SSHandMXxU
06/10/29 01:21:18 eqwjcdLf
 コード=セラフが、ちょうど最後の敵を沈黙させた頃。それまでの戦闘の
騒ぎにようやく気づいたのか、奥の一隅から慌てた動きで別の人影が現
れた。いかつい感じの、だがどこかだらしない品性の低さを姿で語って
いる、絵に書いたようなチンピラだった。
 「…っが?!はっ!」
 予想外の出来事には、足元をすくわれるように動転する。小心で愚かな
人間の典型的な反応だ。
 室内の薄闇の中で、行く手に現れたチンピラを見据えていた男の長い
外套が、散らかった室内の、ゴミ屑や壊れた道具の残骸を引き摺り乾い
た音を立てる。ぎょっとしてチンピラが男の佇んでいた物陰に向き直った。
 「?!…なんだ、てめええ!」
 「ふん、セリフまでステロタイプか。芸がない。」
 「んだと、コラ!」
 チンピラの吠え声を、男が普段とまったく変わらぬトーンで受け流す。
 「マスター、警告。“ゴブリン”は拳銃を所持。」
 チンピラは、目の前の男とは違う場所から突然聞こえてきた声に思わず
ビクリとのけぞった。“声”の告げた「拳銃」を押し込んである腰にバタバタ
と情けなく手を伸ばした。
 「な、なんなんだよ、てめえはよ!」
 チンピラは逆上しながら、隠していた銃のことを告げたもう一つの声の主
を探す。
 もちろんそれは、リリスの発したものだ。チンピラの完全な死角になる位
置に入り込んだリリスは、アクティブセンサーを使ってチンピラの所持品を
洗い出していた。“ゴブリン”というのは、今、目の前にいるような敵性の「小
者」を指す符丁だった。相手の言動や身なりから、神姫リリスは相手を“ゴ
ブリン”と即断した。全くもって妥当な分析だ、と、男は冷ややかに思った。
 「とっとと出ていけや!さもねえと…」
 「出て行く気は、ない!」
 男は語気鋭く言い放ち、上着の内から取り出したマッチ箱ほどの何かを
チンピラに向けてポッと投げつけた。

356:Pale Perfect Plastic Princess2 12/20  ◆SSHandMXxU
06/10/29 01:22:16 eqwjcdLf
 「なっ!?」
 不意を突かれたチンピラは、その場に棒立ちになる。男は既にチンピラ
の視界から物陰へと身を躍らせていた。
 「リリス!閃光防御!」
 「はいっ!」
 カッ!!
 男の指令に応えるリリスの声が終わらぬうちに、チンピラの眼前で強烈
な光が弾けた。
 「ひいいっ!」
 眩しさを通り越し、視神経に痛みを突き刺す閃光を浴びて、チンピラが
情け無い声をあげる。
 チンピラは奪われた視力を庇うように片腕を振り回し、泡を吹きそうな
苛立ちを顕わにしながら、不器用に拳銃を抜く。黒光りするオートマティック
が無様に突き出された。ベレッタか、と、物陰から男が口の中でつぶやく。
 まずは相手を無力化する。男はその方策をいくつも頭の中で素早く組み
立てては崩し、もっとも確実な解を探り出す。目潰しされたチンピラの混乱
に乗じ、男は相手に気取られないよう音をしのばせて、チンピラの正面へと
接近した。
 回復しかけた霞んだ視界の中に、ぼうっとした人影を感じたチンピラは、
一気にパニックに襲われた。声にならない叫びと共に、照準も定まらぬまま
握り締めた拳銃を撃とうと構えた。相手の視力は回復しきっていない。銃の
射線は、至近に立っているとは言え、男を正確に捉えるなど不可能だった。
男はそれを計算していた。そして男は、その瞬間を待っていた。
 「リリス!“三原則第一条”発動!」
 「Yhaaaa!」
 ビシッビシッ!ガシュッ!
 「…う、うわああああっ!」
 湿った重い音に続いて、チンピラが悲鳴を上げた。
 潜んでいた暗がりから、リリスが黒い弾丸となって拳銃を握るチンピラの
腕を撃ち砕いた。リリスの装着した複数の鋼刃が肉を裂き、突撃と共に撃ち
込まれた銃弾はチンピラの骨を砕き散らす。

357:Pale Perfect Plastic Princess2 13/20  ◆SSHandMXxU
06/10/29 01:23:20 eqwjcdLf
 男は巻き添えだけを避けるように僅かに身を引く。リリスの、チンピラへの
攻撃は、執拗に繰り返される。チンピラが手にした拳銃は、不幸な事にその
手から離れてはいなかったからだ。「三原則第一条によって」、リリスは「人間
たるマスター=男の生命を危険に晒す恐れのある他者=チンピラのいかなる
行動も看過してはならない」状態にある。真紅の瞳を炯炯と燃え立たせた黒耀
石の神姫リリスが、なぞらえられた姿である“悪魔”の本質をさらけ出したかの
ように死の舞いを舞い続ける。チンピラが完全に意識を失って倒れ伏すまで、
自分の素体を武器と成し、リリスは容赦ない攻撃を敢行した。殺さぬ程度に。
 ドサリ…
 「……。」
 チンピラは、男の策を理解することもなく、血と青痣に全身をまみれさせて
冷え切った埃だらけのコンクリートに横たわった。
 男は醒めた目で、足元に転がるチンピラを見下ろす。気絶していることを
確かめて、リリスやセラフと合流しようと振り返りかけた。
 と、その時。
 キチリッ…。
 聞き覚えのある金属音がして、横合いから右のこめかみに指先ほどの硬い
感触がぞんざいに押し付けられた。
 「……。」
 「おっと、動くなや。…サツ、じゃねえな?探偵か?あ?」
 「!? マスター!」
 「てめえもだよ!いけすかねえチビの人形が!」
 ダンッ!
 「きゃっ!」
 男は視線だけを振って、自分の右側面の気配を探る。自分より頭一つほど
大きそうな、巨漢の気配。今倒したチンピラの仲間だろうか。巨漢は油断無く
リリスの位置も捉えていて、そちらに牽制もかけている。音は鉄パイプでも投げ
つけて、足を止めた物音だったろうか。幸い、リリスに当たってはいないようだ。
男は自分のうかつさに心の中で舌打ちをする。

358:Pale Perfect Plastic Princess2 14/20  ◆SSHandMXxU
06/10/29 01:24:20 eqwjcdLf
 頭にピッタリと銃口らしいものを押し付けられたこの状態では、おいそれと
リリスに先刻と同じ戦法を取らせるわけにもいかない。リリスがこの巨漢を殴り
つければ、衝撃で引鉄が引かれ、男もただではすまない可能性が高い。
 中年に差し掛かった男は、年とともに否応なく衰えていく自分の反射神経に、
命を賭けるような分の悪い賭けを選ぶ気分にはなれなかった。
 「ってと…おう、答えろや。てめえどこの回しモンだ?」
 「…どこでもない。自分の、金のためにやっている」
 「…。なめんじゃねえぞ!このガキャあ!」
 ゴスッ!
 巨漢が、やにわに男の頭を横から殴りつけた。男は必死で勢いを殺ごうと
試みたが果たせず、意識が遠のきかける。ぐっと倒れるのをこらえてみるが
足がぐらついてしまった。
 と、その時。
 「マスター!コード=セラフ、制圧完了。“ターゲット”変更…。…。…マスター、
 傷ついている…おまえ…許さない…」
 「な、なんだ?!」
 男達のいるエリアに敵神姫群を制圧したアーンヴァル型神姫、コード=セラフ
が合流してきた。そして自身のマスターに攻撃を仕掛けた巨漢を目の当たりに
して、コード=セラフは異常な励起状態に入った。突然、あらぬ方向からの剥き
出しの怒りを含んだ声を叩きつけられ、巨漢が浮き足立った。巨漢のほうは、
男が伴っていたリリスには注意を払っていたものの、もう一体の神姫、コード=
セラフの存在に気づいていなかったらしい。
 男はこの間一髪のチャンスを逃さなかった。
 ふんばっていた力を無理に抜き、体勢が崩れるのもかまわず倒れるに任せ、
巨漢の足元に身を投げ出す。同時に鋭く2体の神姫にコマンドを飛ばした。
 「コード=セラフ!指令(コマンド)、ケージ(籠)アクション! リリス、セラフに
 “ウェブ”を投げろ!バックアップ開始!」
 「コード=セラフ、指令(コマンド)を受信!マスターの命のままに!」
 「リリス、了解!」
 セラフとリリスの応諾の声が重なり、リリスは男の指令に従って“ウェブ”
と呼んでいた小さなパーツをセラフに投射した。キラリと光って中空を横切り、
セラフにキャッチされたそれは精巧な糸巻きの形をしている。澱みない動作で
セラフは受け取った“ウェブ”を腰の後方に装着し、巨漢に向かって高機動
飛行を開始した。

359:Pale Perfect Plastic Princess2 15/20  ◆SSHandMXxU
06/10/29 01:25:15 eqwjcdLf
 セラフが、巨漢の振り回す拳銃の射線を避けながら、空中で舞いを踊るかの
ように複雑な軌跡を描いていく。
 鋭く直線に飛び、エッジのような円弧を切り出す。クルリとトンボを打った途中
から重力に逆らうような急浮上。右へ前へ、木の葉落しから横滑り。西へ上へ、
羽のような滑空が稲妻を思わせる加速に変わる。
 「ちょこまか逃げ回りやがって!」
 巨漢が激昂して叫ぶ。
 わずか15cmの小さな肢体が、真珠色の光跡となる。ただでさえ狙いが定ま
らないのに加えて高機動仕様のアーンヴァル型の動きを、並みの人間が捉え
られるわけがなかった。先ほどまでの優位を完全に奪われ、巨漢はただただ、
天使の姿の神姫に翻弄されていた。
 だが、巨漢は気づいても居ない。
 その一見、小馬鹿にしたような回避機動が、全く別の意図を持った、敵を
追い詰めるための絶対の罠を仕掛ける、冷酷な一手一手だということに。
 万が一にも、セラフが敵に捕捉されたときに備えて、リリスは油断なく主たる
男の視界の端で、パートナーのバックアップ態勢に入っている。どうやら今回は
出番は無さそうだったが。
 それほどに、今のコード=セラフの機動は完全だった。優雅に美しく舞うような
動きでありながら、その動作の一つ一つに全く隙がなかった。それはどれほど
優美に見えようとも、自分の主を傷つけた敵に対する、容赦ない復讐の舞い
でもあったのだから。
 コード=セラフが、神前での奉納の舞いを終えた、とでもいうように、唐突に
機動を停止し巨漢から一気に距離を取った。
 空中で振り返ったセラフの青く蒼い目が、見守っていた男の視線と絡み合う。
 セラフの背で、男たちが“ウェブ”と呼んでいた糸巻き状のパーツがキラリと
光った。
 「ってめえ!」
 「間違えるな!相手はこっちだ、木偶の坊が!」
 巨漢がセラフを追おうと向きを変えたのと、その巨漢の前に身を晒すように
男が声を上げたのがほぼ同時だった。

360:Pale Perfect Plastic Princess2 16/20  ◆SSHandMXxU
06/10/29 01:26:16 eqwjcdLf
 巨漢が、つられて手の中の銃を男に向けた。
 「…バカか、てめえはよ。」
 巨漢は一瞬、男からの反撃を警戒して身を硬くしたものの、先刻と変わらず
男が丸腰でいるのを見て取ると、凶悪な表情で男をねめつけた。
 「何考えてやがるか知らねえが、これで…終わりに…。…え?!」
 巨漢が、引鉄にかけた指先に僅かに力を込めながら男へ突き出した拳銃は、
銃身の半ば辺りから唐突に斜めにスッパリと断ち落とされた。キンッと鋭い
音を立てて、鋭利に断ち落とされた「拳銃の片割れ」がコンクリートに散らばる。
 「で…!げっ?!てめえ、なに!」
 「動くな。」
 男は巨漢の目を、ねっとりとした肉食獣の目つきで睨みつけながら、普段と
変わらぬトーンで言った。
 「今、おまえの周りには目に見えない極細のワイヤーが張り巡らせてある。
 聞いたことあるだろう?“モノフィラメント”ってやつだな。あんまり細すぎて、
 何でもかんでも素通りするように触るものをスッパリ切り裂いちまう。もちろん
 人間の胴体もきれいにスライスできるってわけだ。わかるか? …動けば、
 おまえは死ぬんだ。」
 「…あ、な?!」
 「さて…、問題はおまえと、そこに転がってる小僧をどうするか、だが…。」
 既に、男と2体の神姫によって罠の口は閉じられた。
 眼前で、信じられないという表情で、それでも男の台詞が意味するものの
恐ろしさを理解し始めた巨漢は、どうすることもできずに数瞬前と同じ姿勢で
じっとしているしかなかった。
 男は、先ほど巨漢にどやされた側頭部の傷を気にしながら、数歩離れた床
に倒れたままのチンピラの姿をあらためる。
 意識がないのを確信したのち、リリスに命じ、超鋼ワイヤーで手足を拘束
させた。
 男はリリスとコード=セラフに、セラフが制圧した敵神姫たちと“ターゲット”の
回収を指示する。神姫たちのコア、“陽電子頭脳”を、だ。
 リリスとセラフは男の元から、先ほどまでセラフが戦闘を行っていたエリア
へと向かった。

361:Pale Perfect Plastic Princess2 17/20  ◆SSHandMXxU
06/10/29 01:27:09 eqwjcdLf
 男は、姿勢を崩すまいと脂汗を浮かべながら立ち尽くす巨漢を振り返った。
懐から小型のレコーダーを取り出すと、平板な声で巨漢に命じた。
 「全て話せ。おまえらのしたこと、しようとしていたこと、誰が何を、いつどこで
 したのか、をな。」
 
 数十分後。
 男は手の中のレコーダーを止めた。巨漢がしぶしぶと話した「犯罪の告白」
を、その機械に全て納めた。男の命を終えて傍らに戻っていたリリスとセラフ
に目をやる。急激な励起状態が解除され、うって変わって静寂のヴェールを
まとったコード=セラフの腕には、先ほど倒した“ターゲット”の、無残に傷つい
た頭脳の遺骸が押し抱かれていた。リリスはその脇で、セラフを気遣うように
見遣りながら、回収した他の神姫たちのコアを納めたケースを支えている。
 男は、リリスと静かに淡々と報告を行なうセラフから、事の次第とターゲット
との戦闘の一部始終を聞き取った。
 鎮魂の祈りを捧げるように、爛れた頭脳の残骸を見つめるコード=セラフの
姿に、そしてその中に息づいていたAIが受けたであろう仕打ちに、男の中で
ゴボリと音を立てて黒いものが形を取り始めていた。
 身動きできずにいる巨漢のほうへ再び振り向いた男は、背中越しに2体の
神姫に命じた。
 「リリス、セラフと一緒に先に表へ出て待っていなさい。コード=セラフ、指令
 (コマンド)、ミッション・モードEnd。ノーマル・モードへ移行。リリスの指揮下
 に入り、随行せよ。」
 「…マスター・コード、確認。マスター・認証、クリア。指令(コマンド)受信
 します…識別コード、コード=セラフ、全AI、モード移行…完了…」
 リリスがセラフを伴って建物の出口から外へ向かう。
 男は能面を思わせる、冷酷な無表情をその顔に貼り付けたまま、意識を
失っているチンピラを担ぎ上げた。硬く取り付くしまもない声で、男が巨漢に
告げる。
 「おまえは、神姫の、AIを、殺、し、た。そしてこれからも、おまえを野放し
 にしておけば必ず繰り返すだろう。同じ馬鹿げた悪ふざけぐらいの気持ち
 で、な。」
 「ちっちちっちがっ…!」
 「よっておまえ『達』は、死刑、だ。それを望む者たちがいる。執行する。」
 「!? やめっ!!!がっ?!ぁ…ぁ…っ」
 どさっ…プッシャアアアアアアッ……。
 男の宣告から、巨漢が逃れようと身をよじるところに、男が無造作に投げ
つけたチンピラの体が重なる。もつれるように倒れた2つの人体は、一瞬の
後に、もぞりと崩れて交じり合う。盛大に血飛沫を流しながら、ビクビクと
軟体動物の群れを思わせる不規則な脈動の中で、苦痛と死臭を撒き散らし
ながらしだいに動きを失っていった。
 男は、目の前に積み重なって悪臭を放つ肉塊の山を見下ろし、踵を返す
と、素早く建物から去っていった。
 あたりには、人の気配も何かの生き物の痕跡も、一つとして感じられない。
暗く冷え切った夜が垂れこめるばかりだった。

362:Pale Perfect Plastic Princess2 18/20  ◆SSHandMXxU
06/10/29 01:28:08 eqwjcdLf

 数日後。
 男は部屋のつけっぱなしのモニターから、身元不明のバラバラ死体が発
見されたことを報道するニュースが大げさに流れ続けるのを聞いていた。

 更にその数時間後。
 ここは「武装神姫」の製造販売にかかわる、とある企業。
 というよりも、神姫の、ある中枢的な技術に深く関る企業の、最重要研究
施設、というほうがより正確だ。
 塵一つないほどに磨き上げられ、管理された、人工臭しか感じられない、
中間色のフロア。その一室に、部屋の主だろうか、中性的な雰囲気を持つ
研究職らしい人物が帰ってきた。
 その人物は、自室の扉を開けると、戸口で一瞬身を硬くした。誰も居ない
はずの室内に、招かれざる来訪者の影を認めたからだ。
 相手が誰か、すぐに見極めたその人物は、どこか呆れたようなトーンの、
固さを感じさせるアルトで呼びかけた。
 「…誰かと思えば…。アポも取らずによく入れたわね、“人形遣い”さん。」
 「俺の神姫たちにかかれば、ここのセキュリティなんざ意味がないことは
 あんた、よく知ってるだろう?」
 間髪居れずに応えた男が、寄りかかっていた壁から身を起こす。男の影
から、伴っていた2体の神姫が武装モードで軽やかに躍り出て、さりげない
動きで部屋の主である白衣をまとった中年の女性の退路を断つように回り
込んだ。
 部屋の主である中年の女性は、神姫たちの動きをまったく意に介すること
なく、普段どおりの足取りで室内を横切ると、男に流し目を送りながら自分の
デスクに携えていた書類の束を投げ出した。
 「で?どういう風の吹き回し? まさか今更この私をデートに誘ってるわけ
 でもなさそうだし? …あいかわらず可愛らしいわね、リリスも…、それと
 コード=セラフだっけ、今の呼び名は?」


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