武装神姫でエロ妄想をしてみるスレ 第四段 at EROPARO
武装神姫でエロ妄想をしてみるスレ 第四段 - 暇つぶし2ch2:ねここのマスター ◆MEIoBOt9Bc
06/10/20 02:47:50 pvRFt8Ot
初めて立てました(汗
というわけでお付き合いくだいませ


「ここまで……きたよ」

「その様ね」

運命の巡り合わせ、若しくは宿命?

「今度は負けないの……っ」

「良い心意気ね、でもまだ私には及ばないかしら?」

あの人と対峙するその舞台は

「それでも、行くのっ!」


 ねここの飼い方、そのきゅう いっかいめ(1/7)


「ではお願いしますね、風見さん」
「はい……わかりました」
ここはホビーショップ・エルゴ。いつの間にかすっかり常連になった今日この頃です。
そして今店長に言われたのは、今週末に開催されるエルゴ主催のエルゴ改装記念大会、それへの参加打診でした。
何でもランクフリーの大会だそうで、サードランカーの私たちにも折角だから出てほしいとの事。
まぁその日は何も予定はなかったのだし、構わないのだけれども……
「雪乃ちゃん、何で店長さんを睨み付けてるの……?」
「いえ別に? 監視してるだけですから」
「? まぁいいけれど」
先日以来、どうも雪乃ちゃんの店長を見つめる視線が冷ややかな気がする。
雪乃ちゃんはこの前静香さんから頂いたケープを身につけてて、それが彼女の凛々しさを引き立ててるのだけれど、
この場合剃刀みたいな鋭い雰囲気を増幅させてる気もするかなぁ、あはは……
そういえば店長さんもねここを見るとたまに極度に顔が緩むし…・・・なんだろうね、いったい。


3:ねここのマスター ◆MEIoBOt9Bc
06/10/20 02:49:53 pvRFt8Ot
(2/7)

……・・・で、早くも当日になったわけなのだけれども

「ねここちゃーん、目線こっちにお願いしまーす!」
「こうかにゃー☆」
「ねここちゃん、こっちにもっ」
「いぇーい♪」
「ゆきのんも一緒に目線を!」
パァン!
「ゆきのん言うなぁ!」
「マジカルハウリンちゃーん♪決めポーズしてくださいー!」
「あ…愛ある限り戦い続けましょぅ!マジカル☆ハウリン参上ぅ!…・・・うぅぅ」
何故かメイド服姿で愛嬌を振りまくねここ。
一緒に連れ出されて恥ずかしくてしょうがない、同じくメイド服姿の雪乃ちゃんと静香さんちのココちゃん。
バシャバシャと降り注ぐシャッター音とフラッシュ、そこは何故か撮影会場になっていたわけで。

「て~んちょ~~ぉ~~?」

ジト目で店長を睨み付ける私、
「あははは……要望が多くて断りきれなかったんだよ。
 神姫アイドルランキングで絶大な人気を誇るねここ&ゆきのん、マジカル☆ハウリンがウチの常連だってのは有名でね。
 一部からはやらないと爆破するぞなんて脅迫まで、いや大変だったんだから」
ウンウンと一人頷く店長。へーそうなんですか(棒読み)
その横の台で大会のデータ管理をしてる、相変わらずウサ大明神様なジェニーちゃんがジト目で店長を睨んでる。
「それにほら、オープニングイベントとしては大盛況だよ、どうだいこのお客さんの数はっ!」
カメラ小僧ばっかじゃないですか……まぁ女性ファンも多いみたいですが。
「……で、いい加減に打ち切って大会始めないんですか。このままだと撮影会で終わっちゃいそうですよ」
「おぉっと!? もうこんな時間か。そうだね始めないとまずいかー!」
バタバタと臨時ステージに向けて駆けていく店長さん。これでやっとねここたちも解放されそうよね。
「あ、ジェニーちゃん。報酬として最新型のファーストリーグランカー用トレーニングマシン一式、宜しく」
「判りました、風見さん」
口の端だけでニヤリと笑いあう私たちがそこにいた。

4:ねここのマスター ◆MEIoBOt9Bc
06/10/20 02:52:05 pvRFt8Ot
(3/7)

「ねここ、雪乃ちゃん。お疲れ様~」
「結構楽しかったね~、ユキにゃん☆」
「そうですか……? 私はゲッソリした気がします…・・・」
あの撮影会場の地獄の中から何とか二人を回収し、控え室で装備を整えてあげて、
今は試合の順番が来るまで片隅のベンチで待機中。
ちなみに今回1マスター1神姫制という事で、雪乃ちゃんは応援に専念。
するといきなり
「こんにちは、お久しぶり」
と、いきなり見知らぬ男の人に声を掛けられる。
「あの~、どちらさまですか?」
「う~ん、みたようなぁ、みないようなぁ」
私もねここも思い出せない。雪乃ちゃんの関係者でも…・・・ないみたいね。
「……うぅ、覚えてないかぁ、一回ちょこっとあったこっきりだもんな。
 俺は凪千晶 、一応風見さんとねここちゃんのデビュー戦の相手だった者なんだけど」
『……あー』
ぽむ、と相槌を打つ私とねここ。
そうかこの人が十兵衛ちゃんのマスターかぁ。忘れもしないよ、十兵衛ちゃんの事は。
「と、十兵衛~。こっちにおいで」
「はぁ~ぃ」
そう彼が呼ぶと、会場の片隅で談笑してる神姫たちの内の1人がくるっと振り向いて、とてとてとこちらへやってくる。
「改めて紹介するよ、コイツが十兵衛。よろしくな」
「十兵衛です、よろしくお願いしますね~」
にこ、っと柔らかい笑みを浮かべるストラーフ型MMOの十兵衛ちゃん。何か以前対戦した時とはイメージが違うような……
でもその左目には、相手に一度見たら忘れ難い印象を与える眼帯をつけていて。
……そういえば今彼女が着てる服、どーっかでみたような・・・・・・何時頃の古いヤツだったかしら……
「こちらこそよろしくね、ねここも雪乃ちゃんもご挨拶を」
「ねここなの、やっとまた会えたの」
「雪乃です、以後お見知りおきを」
…・・・ん、何かねここも少し雰囲気が違うかな。まぁ、気持ちはわかるけどね。
「ちなみに今日は、凪さんと十兵衛ちゃんも大会に出場を?」
「ああ、折角なので出てみようと言う事になってね。
 それに冬の大会でねここちゃんの試合を見て以来、十兵衛が興味を持っている様だからね」
「冬の試合、見てたんですか」
「ああ、バッチリと見させてもらったよ。良い物見せて貰いました」
そう言われるとねここじゃないけどなんか面映ゆい、デビュー戦の時2秒で倒しているねここを、そこまで高評価するなんて。
ねここもにゃぁ~、って顔して頬をポリポリ指でかいてて。なんか照れてるみたい。
「と言うか俺たちも出てたんだけどなあ。クラス違うからみてなかった?」
「いや~、まぁちょっと色々ありまして。あははは……・・・」
あのピz(ry)相手で結構時間取っちゃってたし、その後はねここが心配ですぐに帰っちゃったからねぇ。
今度はこっちが乾いた笑いでお茶を濁す羽目になってしまいました。



5:ねここのマスター ◆MEIoBOt9Bc
06/10/20 02:54:07 pvRFt8Ot
(4/7)

「風見さん、第一筐体の方へどうぞ」
ジェニーのアナウンスが響く、どうやら出番みたい。
「それじゃ行きましょ、ねここ」
「うん☆」
ねここは今日も元気いっぱいだ。と、十兵衛ちゃんがねここに
「一回戦、頑張ってね。勝ち進めば準決勝で会えるから、お互いに頑張りましょっ」
「ねここ、絶対十兵衛ちゃんと勝負するんだからっ!」
おー、ねここが燃えている。大変珍しい光景。


第一試合はあっさりとねここの勝利でした。
両手に装備した蓬莱壱式をむやみやたらに撃ちまくるハウリン相手に、開始直後に懐へ飛び込み、そのままラッシュで終了。
今のねここは普通のサード相手なら、分身する必要が無いほどに熟練してきたみたい。
カッコいいんだけど、うるうるねここが見られないと思うとちょっと残念かな~
「大勝利ぃ~、へぷっ!?」
あ、コケた……
この新筐体、アクセスポッドも新型でデザインも多少リニューアルしてて。
つまり以前の感覚で私の胸に飛び込もうとしたねここは、見事に足をひっかけちゃったわけで。
「はぅぅ~。みさにゃぁぁん(>△<;)」
「よしよし、痛くないからね~」
ふふ、こういうところは変わってなくて嬉しいかも。

その後も勝利を積み重ねていったねここ。
どうやら今回は、強めの神姫たちは都合良くバラけたようで。
更にねここのいるブロックには余程の実力を持った神姫はいなかったみたい。
ねここにとっては幸運といえるのかな、順調に勝ち進めた。


そして迎えた準決勝……

電脳フィールド内で対峙する、ねここと十兵衛ちゃん。
何の因果か、選ばれたフィールドは新人戦の時と同じ広大な新都心エリア。

『さぁ準決勝第二試合は因縁の試合!新人戦で会い交えた事もある二人が激突ダァ!』

……ジェニーさん、やたらとテンション上がってますね。

そのナレーションを無視して、お互いに語り掛ける二人。
「ここまで……きたよ」
「その様ね」
その瞳は二人とも真っ直ぐで
「今度は負けないの……っ」
「良い心意気ね、でもまだ私には及ばないかしら?」
どちらが勝っても負けても、いい勝負になりそうな気がした。
「それでも、行くのっ!」

 
 『試合、開始っ!!!』

6:ねここのマスター ◆MEIoBOt9Bc
06/10/20 02:56:09 pvRFt8Ot
(5/7)

「とぁーっ!」
「………っち」
舌打ちする銃兵衛。
開始直後、ねここはシューティングスターのリミッターを解除して最大加速。一瞬でビルの陰へと飛び込む。
その推力でなんとか開始直後の一撃を回避したみたいで。
「避けたよっ! ちょっと翼がチリチリしてるけど!」
それでもシューティングスター左翼に焦げ目が、まさに間一髪。
『……ねここ、行こう。やれる限りをつくさなきゃ』
私はねここに、最後の一押しをしてあげて
「……うん。わかったの、みさにゃん!」
ねここは凛とした表情になると、再びシューティンスグターを吹かしだし……
神姫に搭載できる程度の小型ジャマーでは有効半径は広くなく、
レーザーライフルのような直射武器で遠距離攻撃を行われた場合、殆ど効果がない。
だからプチマスィーンズにもジャマーを搭載している。
通常シューティングスターの大加速による大量の熱源を囮に、その隙を狙ってマスィーンズを接近させるのだけれども、
今回その手が効くとも思えない。
だから今回は
「一瞬でビルの影から影へと移動とはね。やるじゃない、ねここちゃん」
シューティグスターをフルブーストさせ、ビルからビルへと一瞬で移動するねここ。
でも直線軌道では狙撃されてしまう為に、足を使ってかなり小刻みな軌道を行ってる。
だけど、それはねここの脚部に巨大な負担をかけていて……
再び近くのビルに飛び込むねここ。
「ふぅ……あとちょっとっ」
『そうね、でもここから先は障害物がない』
そう、十兵衛ちゃんは公園地帯の広場の真ん中に陣取っているため、ココから先は障害物が殆どないのだ。
あっても木や木造の簡便な建築物が殆どのため、レーザーライフルの出力ならば一発で貫通してしまう。

『………一か八か、賭けてみる、ねここ?』

「うんっ☆」
迷いのない澄んだ声、その声で私の方が迷ってたことに気づかされる。
『それじゃあ……GOっ!』

「ふぁいやぁーっ!」

残りの全燃料を一気に燃やし尽くすかのように、オーバーブーストを掛けるねここ。
弾丸の様なスピードで一直線に十兵衛ちゃんへと迫る。
だけど十兵衛ちゃんは既にレーザーライフルを構え、正確にねここのデッドポイントを撃ち抜こうと……

「……っ!」

7:ねここのマスター ◆MEIoBOt9Bc
06/10/20 02:58:12 pvRFt8Ot
(6/7)

ドガアアァァァァァァァァァァン!!!!!!!

轟音と大爆発がフィールド中に轟く。

(ふふ。その手は冬の大会の時に見させて貰ったのよ、ねここちゃん。 さぁ、次気配を見せた時が終わりよ……
 ……おかしい、前方の爆発の熱量が異常すぎる。センサーが少し焼け付い…た!?)

今回は気化燃料を使っていたのだ。気化爆弾にも流用可能な物を。
それを命中直前に任意に爆発させ、十兵衛ちゃんのセンサーの機能を一瞬でもいいから無力化させようと。
そして成功した、高精度センサーは熱量を感知しすぎ、ほんの一瞬ではあるが機能低下が起こった。

「いける……っ!」
一瞬の隙があればねここには十分。シューティングスターに搭載していたプチマスィーンズを爆発に紛らせて射出。
イリュージョンシステムをフル稼働させてそのまま一気に決め技に持ち込む!

「ねここぉぉ!フィンガー!!!」

それは十兵衛の腹部を捕らえた……かに思われたが

「うそっ! だって今そこに!?」



8:ねここのマスター ◆MEIoBOt9Bc
06/10/20 03:00:22 pvRFt8Ot
(7/7)

ねここの研爪は虚しく空を斬っていた。
気がつけば辺りには霧、不穏な空気が張り詰めていて。
「どこ……きゃっ!?」
一瞬の勘で、背後にバックステップ!
それと刻を同じく、つい一瞬前までねここの居た空間はライトセーバーに切り裂かれていた。
いや、胸部装甲表面に切り裂かれた跡がくっきりと残っている。
「ほぅ……流石だな。我を覚醒めさせるだけの事は、在る…」
何、雰囲気が違いすぎる。あれは……っ!?
『ねここ。気をつけてっ』
「うん、わかってるけどぉ…っ」
無意識のうちにジリジリと後退りするねここ、今のレンジは完全にねここの得意距離のはずなのに。

『十兵衛ちゃんに勝つためにここまで強くなったんでしょ、しっかりするの!』

「……そうだったよ、ね。」
勇気を振り絞るように相手を睨みつけ、ファイティングポーズを取り直すねここ。
力を溜めるように大地を踏みしめ……そしてっ

『くっらえぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!』

疾いっ、雪乃ちゃんとの時以上!
イリュージョンシステムの全能力と、ねここの全能力が合わさり、無数のねここが十兵衛へと攻撃をしかけようと……!

『ねここぉぉぉ!フィンガー!!!』

「…浅い…」

激突した二人から強烈なスパークが飛び散る!

……一瞬とも永遠とも思える瞬間が過ぎ去り、その場には佇む二人。
やがて、ねここがぐらりとスローモーションのように崩れ落ちる。
崩れ落ちたねここの胸元には、ライトセーバーが墓標のように突き刺さって……

「…我に手傷を負わせるとは…その名…覚えておこう……」

十兵衛の胸元には、三本の鋭い傷痕が残されていた。


『試合終了。Winner,十兵衛』



9:ねここのマスター ◆MEIoBOt9Bc
06/10/20 03:02:32 pvRFt8Ot
○あとがき
えぇと、今回も燃え路線で行ってしまいました(汗
萌え(とエロ・・・あるのかっ)は後半のドキドキ☆ハウリン戦でお見せしたいと思います!

10:ねここのマスター ◆MEIoBOt9Bc
06/10/20 03:58:50 pvRFt8Ot
SS感想(総合)掲示板
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11:D・D・D (1/5)
06/10/20 18:35:17 1se09jsv
 その日はみんなの雰囲気がおかしかった。
 あの時のことを思い返すと、『私』こと『黒子』はそう感じる。
 白子が裏に何か隠していそうな笑みを浮かべているのはいつものこととして、それでも彼女の目が違っていた。
 猫子は尻尾をぱたぱたさせながら落ち着きなく部屋の中を歩き回っていた。頬が薄紅に染まっているのは、いつもより皮膚排熱の量が多いからだ。何を熱心に演算処理していたのだろう。
 いつも冷静な犬子の調子もおかしかった。同じ場所をぐるぐるぐるぐる歩き回っている。どうやら考え事をしている様子だったのだけれど、猫子と同じように頬が染まっていた。
「……なんだかみんな変ですよ、オーナー」
「変だよな」
 私に言われるまでもなく気づいていたらしい。
 頷いたオーナーは、けれど困った表情をした。
「原因はなんだと思う?」
「私に聞かないでください」
「そりゃそーか」
 頭を掻きつつ、オーナーが言った。
「みんな、どうしたんだ?」
 その言葉に、ぴくん、と体を震わせる三人。
 でも、
「なんでもないです」
 白子は澄ました顔でこっちを見るだけだし、
「にゃは~」
 猫子はにやにやしながらこっちを見るだけだし、
「……っ」
 犬子は顔を赤らめて視線を逸らすだけだった。
「原因を教えてくれないときはどうしたらいいと思う?」
「だから私に聞かないでください」
「……黒子は平気なんだな」
 あ、そういえば。

12:D・D・D (2/5)
06/10/20 18:36:00 1se09jsv
「でも私と三人の違いと言っても……ありすぎて困りますが」
「タイプ差もあれば個体差もあればメモリ差もあればOS差もあるな。いや、でも、三人が同じ状態になっているのに、黒子だけ違うってのは妙か」
 確かに妙。
 でも、多分……。
「いえ……それだと、多分、OS差ではないでしょうか」
「あ」
 オーナーの視線がPCに繋いでいるコネクタへと注がれる。
 大当たりです。
「定期アップデートか。買い物出てる間にやったかもしれないな―おい、白子!」
「はーい?」
 にこにこしながら近づいてくる白子をオーナーが無造作にひっ掴む。
 ……胸に触らないでください。
「やーん、えっち」
「棒読みかよ」
 突っ込みつつも白子にコネクタを接続し、バージョンを確認するオーナー。
 えっちえっちーとうるさい彼女を解放して、次に、私。
「……ドンピシャ」
 オーナーが口の端を歪めて笑った。
「ウィルスかホールでもあったんでしょうか」
「ちょっと待ってろ、調べる」
 そう言ってキーボードを叩き始めるオーナー。
「一緒にスキャンしておきましょうか?」
 検索をかける間にウィルススキャニングをしておけば時間を有効に活用できる。
 そう思って言ったのだけれど……。
「どこにあるんだ、そんな機材」
「え?」
 メモリ領域を検索。何秒とかからず結果が返る。
 オーナーの家にはウィルススキャニングの器械がない。
 大掃除の際にも、見た覚えがない。

13:D・D・D (3/5)
06/10/20 18:36:33 1se09jsv
「……珍しいですね」
「大元のアップデートしかしないんだ。メンテもやってるんだし、いらないだろ」
 ディスプレイを睨みつけながら言うオーナーの口調は、ちょっとだけ、厳しい。
 何か理由でもあるのかな、と思う。何か問題が。主にお金の面で。
 ……神姫四体の購入費と維持費にもっていかれている、とか。
 あー、うん、すごくそれっぽい。
 よくよく思い返してみれば、この家には私たち用に調整されたものがほとんど無い。
 あるのもゲームのコントローラくらいだ。
 洗浄も洗面器に薬剤を張って済ませるし、眠る場所は小さなクッションの上。
 有り物を有効活用しよう、と頭を回してくれているのは分かるから、それに不満はないけれど……。
「……んー?」
 オーナーが首をひねった。
「どうしました?」
「それらしい情報が引っかからないんだよなぁ。巨大掲示板も覗きにいったけど、その類の話題は皆無」
 あらゆる場所から情報が集約する某巨大掲示板群。
 内容の正確さはともかく、素早さ、という点で考えるなら、それはとても優れていると言える。
 そこに何もないということは、本当に問題がなかったということだろう。
 念のため、と、私はディスプレイを覗かせてもらった。
「……ほんとに無いですね」
「信用ないな、俺」
 小さく笑うオーナー。
「……そんなつもりでは」
「知ってる」
 くつくつ笑うオーナー。
 怒った方がいいのだろうか。……妙に気恥ずかしいんだけれど。
 気を紛らわすため、私はディスプレイをじぃっと見つめて―
 ―気づいた。

14:D・D・D (4/5)
06/10/20 18:37:13 1se09jsv
「変です、オーナー」
「どうした」
「武装神姫スレッドの最終読み込み時間、見てください」
 オーナーが、あ、と声を漏らした。
「俺らが買い物してる時じゃないか。……つーことはここを見て……?」
 オーナーがスレッドを開き、チェックし始める。
 でもその声は、私の耳にはほとんど届きはしなかった。
 私の聴力デバイスが、彼女たちの小さな声を捕らえていたから。
(見つかっちゃった)
(夜まで待つつもりだったけど……)
(仕方ないのだ。今するのだ)
「……? 何を」
 振り向いた私は、
 硬直した。
「まさか……」
 オーナーが呟く。
 振り向く。

 ―ぱか
 ―ぱか

 体育座り、というものを想像して欲しい。
 そこから上体を逸らし、床に着ける。
 ささやかな胸となめらかなお腹のラインに目を奪われた次の瞬間、
 両膝がゆっくりと左右に開く。

15:D・D・D (5/5)
06/10/20 18:37:49 1se09jsv
 ―ぱか
 ―ぱか

 なんのモールドもディテールもないけれど、人はそれのみに興奮するのではない。
 顔を真っ赤にして、
 両手を胸の上で組み合わせて、
 寝食を共にしている見知った少女が、
 小さく震えながら股を開いたり閉じたりするその姿は―
「―お願いだからやめてくれ」
 見てる方が恥ずかしいんだ、と、オーナーは言った。
 嘘吐きだ、と私は思った。
 ……嬉しそうな顔してたクセに。

 ―武装神姫が発売された直後、某巨大掲示板群にてひとつの格言が生まれた。
 らしい。
 ―その格言は荒ぶる武士(と書いてもののふと読む)の心を安らげる代物。
 らしい。
 ……あの、正直、信じられないんですけど。
『神姫の股を開いたり閉じたりして落ち着け』って、何語ですか?


 D・D・D―END.
(どこにでもいるオーナーと・どこにでもいる神姫の・どうってことない日常風景)

16:D・D・D (END)
06/10/20 18:41:02 1se09jsv
踏み台希望。
来たれ小ネタと萌えとエロ!

17:名無しさん@ピンキー
06/10/20 19:01:43 5occBvx+
前スレ>>387

あ、ここがバトルSSスレだったというわけか。
それならば勘違いしていた自分に非がある。
言いがかりで申し訳ないm(__)m


18:前スレ387
06/10/20 19:38:45 kLB/jIa2
>>ID:5occBvx+
何その開き直った言い方。気に食わないね。
議論のための議論がしたないら、どっか逝ってよ。
それこそスレ違い。

19:名無しさん@ピンキー
06/10/20 19:59:27 W4OAd8gr
荒れそうなふいんきをふきとばすために数レスほど書き込ませてもらいます。
ssなんて書いたことのない俺みたいなヘタレでも投下てきますよ、とスレの空気作りに励んでみます。
連投規制のために時間がかかると思いますが

20:はるかな
06/10/20 20:01:24 W4OAd8gr
 彼方の姉である久瀬冬香は今、親友の瀬野 遥(せのはるか)の家に来て居た。
 ─正確に言えば瀬野家の浴室にである。
 湯舟につかる遥を横目に、スポンジでガッシガッシと身体をこすりながら神姫について話す。
「では家族の承諾は得られたんだな?」
「うん、それどころか神姫用におこずかいまでくれたわよ。パパなんか後でちゃんと紹介しなさい、だって」
「いいことだ。何しろ下手なペットより扱いが難しいからな。家族の理解がなければ手を出すべきではない」
 アヒルちゃんのゴムを巻ながら、そういうトラブルがあるんだろうな、と考える。
 ─神姫症候群。何もヲタクな男性ばかりがなるわけではない。トラブルも様々だろう。
「まあ、君のご両親なら大丈夫だとは思っていた。ひととおり済んだらお披露目するといい」
「うん。そうする。でもなんかママあたり私よりハマりそうな気がする」
 くすくすと笑う遥だが、次の瞬間勢い良く立ち上がる。アヒルちゃんが湯舟から飛び出しそうになるほどだ。
「ああ、もうっ、どうして冬香ってばそんな肌傷めるようなこすり方するのよ!」
「そうか?」
「カラスの行水もダメ。せっかく白い肌してるんだからもったいないわよ」
 冬香の手からスポンジを取り上げ、優しく磨きあげるようにこする。
「素材は逸品なのに持ち主が無頓着ってのがくやしいわね、ほんとに」
「別に誰かに見せるつもりも触れさせる予定もないのだかな」
 こうなった遥には何を言ってもムダだと諦め、なすがままにさせる冬香。こういったところはウチの彼方に似ているな。そうい
えばそろそろアイツも神姫を立ち上げた頃か。などと考えていると、いつの間にか背後の遥がブツブツ呟いている。
「……誰かさんに見せるつもりも触れさせる予定もあったんだけどね、なのにあいつはパカパカやってるわけで……」
「ゴホン。それくらいでいいだろう。充分暖まったしそろそろあがるとしよう」
「え?ああ、うん、そうね」
 重症だな、とそっと溜め息をもらす冬香。流石に妙なことを呟きながら胸元をまさぐられるのは勘弁して欲しかった。

21:はるかな
06/10/20 20:03:29 W4OAd8gr
「さて、髪も乾かしたしそろそろいいか?」
「うーん、就寝前のお手入れは女の子の義務なんだからもうちょっと気にした方がいいのに」
 それではいつものお泊まりではないかと無理矢理神姫のパッケージを押し付ける。
「御希望の騎士型MMS、サイフォスだ」
「わ、ありがとーって、あれから良く調べたらコレ、発売は来月じゃなかった?」
 パッケージには限定品を示すロゴマークがあるが、素人の遥にはそこまでは分からない。
「何、イベントの先行販売品だ。来月の一般販売品とは少し違うところがあるかもしれないが、気にするほどではない。それから
ちょっと早い誕生日プレゼントと言いたいところだが、初めての自分の神姫だからな。ちゃんと自腹切った方がいいだろう」
「はいはい。前のバイト代残ってるから大丈夫よ。神姫用のおこずかいは周辺機器ってのに使うわ。結構かかるんでしょ?」
 定価の金額を受け取り財布にしまう冬香。ネットではその倍以上の値段で売買されているがおくびにもださない。
「最低限必要なものはパッケージ内にあるし、トレーニング機器は私が提供しよう。遥のPCはややスペック不足だが、こいつは新
型だからな。充分な性能を発揮できる筈だ」
「って、いいの?高いんじゃないこれ」
「最初は彼方にやるつもりだったが気が変わった。甘やかすのは趣味じゃない。それにこいつは元々タダで手に入れた物だからな」
 気にせずに使うといいと言う冬香に、今でも充分弟クンを甘やかしてるよねというツッコミや機械の入手方法を訊ねるというこ
とは賢明にも堪えることができた。
「う、なんか緊張してきた」
 外箱からブリスターを引き出す。結構かさばるが思った以上に軽い。
「ところで先に渡しておいた解説本は読んだか?」
「う……あーうん。神姫本体に解説機能があるってところまでは。後はわかんないところは質問するから」
 嘆息する冬香。マニュアルは分からなくなった時に初めてひらくタイプだ。
「まあいい。初心者ならではの楽しみや喜びもあるしな。一応正しい手順で開封しないと起動しないからな」
「え?ああそうなの?でも綺麗ねー」
 ブリスター越しに見てもコバルトブルーの鎧は美しく、まるで宝石のよう。やや艶を抑えた金色の装飾も遥の趣味に合っていた。
 一般販売品とは色味が違うのだが、遥がそれを知るのは後日。今はただ玩具と侮っていたことも忘れて見入った。
「気に入ってくれたようで何より。しかしそれは見るだけのものではないぞ?さあ、開けてみるといい」
「うん……」
 個人認証を済ませ、ブリスターの蓋を外す。武装神姫本体にオーナー情報と共に起動信号が送信される。
「うわぁ」
「うむ」
 金色に輝く髪と青い目の心持つ人形。遥だけの武装神姫が目覚める。

22:はるかな 彼方編
06/10/20 20:05:30 W4OAd8gr
「話は師匠から聞いている。心配はいらん、俺に任せろ。コーチと呼んでくれてかまわんぞ?」
 登校早々、朝の挨拶もそこそこにそう言ったのは田上孝一(たがみこういち)。久瀬彼方(くぜかなた)の友人である。
 頭脳明晰、スポーツ万能、容姿まあまあ。ただし人間性に問題のある重度のヲタク。そんな悪友ではあるが、初めて神姫を手に
する彼方にとっては心強い味方であった。

「わざわざご免ね」
「何、俺みたいな人種にとっては初心者に対して知識を披露するのは大きな楽しみさ」
 放課後、早速彼方の部屋に訪れた孝一。主の性格を表したきちんと整頓された部屋を見回す。ガラクタで埋もれた自分の部屋と
違って神姫が飛び回るには充分な広さだろう。
「さて、神姫はあると聞いているがモノは何だ?アーンヴァルか?猫好きなお前ならマオチャオか?」
「あ、うん。姉さんが誕生日プレゼントってこれを」
 彼方が見せたのは店頭販売されている神姫のものより大きなパッケージ。そこには限定品を示すロゴマーク。
「これは!?フブキの限定版!し、渋い。渋すぎるぜ。師匠はどっからこんな物を……」
 限定版フブキ─神姫装備デザインコンテストでの上位入賞者の作品を商品化したもので、特別な強アイテムはないが忍者とい
うコンセプトにマッチした装備はアイディア、デザインともに優れ多くのオーナーが入手に躍起になった逸品である。
「凄いの?ていうか何で姉さんのこと師匠って呼ぶのさ」
「何でって、それは……げふんげふん。とにかくレアものだからな。フブキそのものの一般販売はしているが、こいつは一部のモ
ニター品含めて少数しか出回ってないんだ」
 大事にしろよと言われ、姉に感謝する彼方。やっぱりすごいや姉さん。
「まずはショップ巡りを楽しむものだが、ブツがあるのなら即起動だな。そのパッケだけでも必要な物は揃ってる」
「うん、そうなんだけど……まず気になるところを確認したいんだ。ネットで調べたりしたんだけど」
 とフブキのマニュアルを広げる。ゲームでも最初にマニュアルを読むタイプである。
「この初期設定の項目なんだけど……」
「ああ、神姫はあらかじめ人格設定がされているんだ。機種ごとにも傾向がある。マオチャオなら猫っぽい言動や動作するって感
じだが細かい部分はランダムだな。フブキならゴザル言葉使ったりするかもな」
 オーナーや環境によって変化していくのが神姫の売りだが、起動前からある程度の設定付けをするオーナーもいると説明する。
「小さな女の子に買い与える場合なんかはあまり気が荒い神姫じゃマズイしな。他に性格や口調の変更は起動後にやると人格部分
に悪影響が出ることもあるから注意な」
 色々大変なんだねぇともらす彼方。応答は続くが一部を抜粋。

─データのバックアップはノイズ除けの為にもケーブル接続で行うことをお薦め致します。
「充電パッドに寝かせておいても充電できるけどな、バックアップも同時に有線でやれ。何より有線式はロマンなんだよ!」
「……ロマン?」
「くっ、いつだってヲタクの夢を壊すのは一般人のそういう冷めた目なんだっ」

─生物駆除に使用する際のセキュリティ設定について。
「ゴキやネズミ取りに使うオーナーもいるってことだ。完全自律型AIにやらせるのはどうかって意見もあるが」
「あーポイポイさんとかあったね。うちでは買わなかったけど」
「ポイポイさん、神姫と一緒にすると戦闘始めることもあるぞ」

─共通ジョイントによりさまざまなパーツ交換が可能です。
「アムドラってのを使っている写真見たけど、他社製品だよね?規格一緒なの?」
「大人の事情です。アンマリツッツコンジャダメデスヨ?」

「あの、その。パカパカってあの人がやってた……」
「お前にはまだ早い!ってかお前だけはソッチに染まらんでくれ!俺が師匠にコロサレル!」

23:はるかな 彼方編
06/10/20 20:07:31 W4OAd8gr
「さて、とりあえず疑問には答えたが。付き合いは短くとも分かるぞ。何を気にしてる?言ってみろ」
 オーナー登録に必要なデータをPCに打ち込み、パッケージの認証チップに送信したところまで進めると孝一は尋ねた。
「うん……」
 言い淀む彼方に、こりゃ真面目に聞いた方がいいなと居住まいを正す孝一。
「武装神姫とどう付き合ったらいいのかなって……」
「は?」
 付き合う?デートしたりデコチューしたりパカパカしたりとか?
「武装神姫ってロボットだよね、玩具って扱いだけど感情素子をもった成長型のAIを搭載した」
「ああ、玩具ってわりには高性能だな」
「持ち主が生殺与奪権を持っているのはペットと同じだけどさ、人を模した感情と人格、言ってみれば人と同じ心を持ってる」
 なんとなく彼方が言いたいことが分ってきた。
「俺が知っているオーナーは、神姫を相棒と呼んでいるのが多いな。大雑把に言えばバトルで勝利するのが目的で、共に戦うパー
トナーだな。他には友人か。家族とさえ呼んでいるのも多いだろう」
「でもやっぱり武装神姫はロボットで、オーナーとは対等には成り得ないよね?それでも友達や家族になれるものなの?」
 彼方のあまりにも真摯な表情に息を飲む。
「犬や猫のペットの場合は、それでも飼い主を嫌うことができるでしょ。でも武装神姫は必ずオーナーを慕うように『設定』され
ているじゃない」
 神姫のあり方を否定しているのではないと補足する。
「決して自分を嫌わない、法や倫理規定に反しないかぎり『命令』には服従する。こんな関係を『心』を持った存在に成立させて
いるんだよ?これって歪なことじゃないかな」
「神姫じゃなくてオーナー側のことを言ってるんだな?」
 ─神姫症候群。武装神姫にのめり込み過ぎて対人関係はおろか日常生活にも支障をきたすということを指す新語だ。
 ワイドショーで評論家がしたり顔で武装神姫を叩いている理由のひとつであり、また社会現象として放置できない事実でもある。
「絶対反論や反撃できない相手に人がどれだけ残酷になるのか知ってるよ。ひどいことするだけじゃなくて、溺愛するあまり病む
ことだってある。あの人だって最初はああじゃなかった。僕がどうなるかなんて分からないじゃないか」
「そっか。そういや、お前は神姫を知る為に始めるってことだったな」
(こいつは俺が知っているどのオーナーよりも、武装神姫に真面目に向き合おうとしているのかもしれん)
 しばし考え込み、孝一は考えたことを口にした。
「無垢な子供なら素直にお友達。メーカーとしての基本は戦い競う為の遊具。寂しい奴の話し相手に、特殊な性癖の対象ってのも
あるだろう。身内がいない老夫婦が購入することもあるし、対人恐怖症の治療ってのも聞いたことがある。だが、こればっかりは
お前次第としか言えることはない」
 フブキが入ったパッケージを見下ろす。
「お前に求められるのは覚悟だ。このままやめちまうのもアリだろが、始めるってことは何にせよ覚悟がいるってことだ。彼方が
どんなオーナーになるか誰にも分からん。だがお前には師匠もいるし俺もいる。何かあったら頼れ。そもそもオーナーと神姫だけ
の閉じた関係になるには、お前の周りにはお節介が多過ぎる。嫌だと言っても踏み込んでやるからな」
「……」
 惚けるように見つめる彼方。ひとつ頷くととびっきり上等の笑顔を見せた。
「ありがとう孝一」
「お、おお。いいって、神姫に関しては俺はコーチだからな」
 ぽやぽやと嬉しそうに微笑む彼方をよそに、今の笑顔を写真に撮れれば高く売れるんだがなぁと邪な考えを浮かべる孝一。
「師匠にバレたら折檻だけどな」
「え?なに?」
「いや、とりあえず起動しちまうか。後は取り出すだけだからな。俺は外で待っててもいいぞ」
「なんでさ。別に雛鳥の刷り込みがあるわけじゃないでしょ?」
「ああ、いや。神姫の起動を神聖視する連中もいるしな、気にならないんならいいんだ」
「ふーん、色んな人がいるんだね」
 そういやあの人もド?ル絡みで妙な儀式みたいなことしてたっけ、なとど考えながらパッケージを開封していく。
 一見ただのブリスターパックだがそこはハイテクの固まりである武装神姫。起動に必要な正規の手順を経て、ようやく開く。
「うわぁ」
「おお」
 銀色にも見える青い髪と目の心持つ人形。彼方だけの武装神姫が目覚める。

24:はるかな 彼方編
06/10/20 20:08:54 W4OAd8gr
今回は以上です。
本文が長過ぎとか言われてあわてて分割したりしました。
唐突に妄想ネタの続きです。とりあえずは遥と彼方ということで「はるかな」とかつけてみたり。なんか23の名前欄おかしくないですか?
ちゃんと続けられるかどうか分かりませんが、手が動くかぎりがんばってみます。
それぞれの神姫の性格とかどうしよう。萌とか燃えが書ければなぁ。でもそういうことを考えるのは楽しいですね。
新規の書き手さんも気軽に書き込んでほしいですね。
ついでに簡単にキャラ説明を。

瀬野 遥(せのはるか)。遥編の主人公。
遥は好きな相手が神姫にヤバいくらいハマってしまっているので、神姫で復讐を企んでいます。
しかし根は素直で優しいため、神姫そのものに怒りや嫌悪感を抱くことはありません。
きっかけはともかく、ごく普通に神姫にハマっていくことでしょう。

久瀬冬香(くぜふゆか)。彼方の姉にして遥の親友。
神姫世界を遥に紹介していくキャラ。やたらとあちこちにコネやツテを持っているが、本人は神姫オーナーではない。
一部からは師匠とか姐さんと呼ばれている。

久瀬彼方(くぜかなた)。彼方編の主人公。
彼方は付き合っている女性が神姫にヤバいくらいハマってしまっているので、神姫そのものに警戒心を抱いています。
またヲタクの友人はいるものの本人はごく普通の少年で、神姫については一般人程度の知識しか持たず勘違いや偏見も持っています。
神姫とどう付き合って行くかが彼方編の本筋となる予定です。

田上孝一(たがみこういち)。
神姫世界を彼方に紹介していくキャラ。社交性の高さからあちこちにコネやツテを持っているが、本人は神姫オーナーではない。
こみパの大志的な役割ですが、性格ははっちゃけられませんでした

25:名無しさん@ピンキー
06/10/20 20:28:56 otlLJVle
職人認定なんてして気取ってる時点で気軽に書き込めないと思うがな
名無しの投稿者とコテを比べて、コテの方が優れているって考えもアレだし、その考え方が今の状況を生み出してるんじゃないの?

26:名無しさん@ピンキー
06/10/20 20:41:31 pvRFt8Ot
>>25
何処を読んでも認定や優れているなんて言ってるようには思えないんだが
せいぜい新規投稿者が「職人の~」って言ってる程度だと思う
ちゃんと読み返しましょうよ
それにオブラートに包まない、そう言う方がさらに状況を悪化させてると思うよ

27:名無しさん@ピンキー
06/10/20 20:41:53 hX9DkYgi
>>25
いや、誰がそういう考え方をしているのか読み取れないのですが。
職人認定というか、続き物やある程度の長編を書くには区別のために名前欄に入れなきゃいけない、ってぐらいだろうし。


28:名無しさん@ピンキー
06/10/20 20:58:26 otlLJVle
スマンな。前スレのが、そう受け取れたもんで


29:名無しさん@ピンキー
06/10/20 21:05:50 pvRFt8Ot
>>28
>>それを維持し続けて、しかも読む側から評価される一部の書き手が
職人として認知される。

この辺りかな? これは読み側から見て
「ああ、この人いっぱい書いてて、しかも上手(等ete)だなぁ、まるで職人さんだ」
って思う、ってことだと思いますが。
認知と認定は違いますよ、一応は。

30:前スレ387
06/10/20 21:06:31 kLB/jIa2
>>28
思い込みと決め付けで、身勝手な議論しないでくれる?
人のレス引っ張ってまで議論したいなら、ちゃんと日本語ぐらい
読めるようになってからにしてほしいね!

こじつけと屁理屈しか捏ねくれないのに、批評家気取りかよw
笑わせんな。

31:名無しさん@ピンキー
06/10/20 21:11:15 3/wmmxy6
毎回スレの序盤でいちゃもんつける奴がでてくるなw
まぁみな落ち着け

32:柏木な人 ◆pOFl4h0hqw
06/10/20 21:14:28 21dlhr2G
>>28
エロパロ&文章創作板に寄り付かない事をオススメする。
SSを上げているところは、どうしたってそうなる。

「閉鎖的だ~」と言う奴が出てくるのもお決まりのパターンやしな。
正直なトコロ、ありきたりの展開に二ヨニヨしてまつw

打開策
 ↓

なにもかも、気にするほどの事でも無いじゃん?
SSなんて、たかが妄想の垂れ流しなんだし。
目くじら立てるほどの価値は無ぇ。

ハァハァする価値ならあるがな!

33:チアキ ◆xHz9G8fJy6
06/10/20 21:20:07 U5pTKnmY
な、なんだこの画像は!!
そこには衝撃の画像があった。
犬子が座っている。その目の前には灰色の円柱。そして円柱には金色の水がモールドされている。
俺はは思わず自分の犬子を呼び出した。
「おおい!」
「?はい?なんですご主人様?」
俺は手のひらに犬子を乗せる。
「いわれた通りにするんだ!」
「は、はいぃ!」
俺は手のひらに犬子を乗せたまま指示をした。
「四つんばいになって片足上げるんだ!」
「え?えぇぇぇぇ!?」
「いいから!たのむから!」
「うぅ…一体どうしたんですかぁ?」
俺の手のひらで恥ずかしながらポーズを取る犬子。
そしてその手をおれはそのままパソコンの画面の前に持っていき、
画面内の黄金色の水のちょろっと出た箇所に犬子の股を重ねた。
「おおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
おれは感激してしまった。感激しすぎて俺のマイサンが過剰反応した。
「???いったい何を…??」
恐る恐る後ろの画面を見る犬子。
「…!!」
犬子はにやけ面のマスターと画面を交互に見る。
は、恥ずかしい!!
「ごしゅじんさまぁぁぁぁx!!!!!」
「うお!?」
犬子は骨型ランチャーを構え怒りの一撃をお見舞いした。
「ご、ごめんな…さいorz]

ちゃんちゃん!


34:名無しさん@ピンキー
06/10/20 21:20:17 TAD/Qemp
>>32
描き手自ら「板に寄りつくな」って言うのも、言い過ぎではないか?
そんな展開になるから、俺みたいに「SSは独立して、本スレにネタは集約してはどうか?」と言いたくなってしまう。

>正直なトコロ、ありきたりの展開に二ヨニヨしてまつw
他のSS板とかは見たことがないので、これがありきたりなのかは分からないが、文末に「w」をつけてまでして
書く必要はあるのかね?

と、散々書いてしまったが、みんな本スレ499を見て頭を冷やそうぜ!


35:チアキ ◆xHz9G8fJy6
06/10/20 21:21:58 U5pTKnmY
どうだ!人柱になったぜ!!おまいらも続け!

…すいませんすこし股開いたり閉じたりしてきますorz

36:名無しさん@ピンキー
06/10/20 21:25:17 3AkVd0fO
>>35
いや、よくやってくれたと思う。
いい加減この流れが嫌になってきてるので、SS書ける人投下ぷりーずm(__)m

37:名無しさん@ピンキー
06/10/20 21:29:08 1se09jsv
>>36
ちがう、もっと率直に言うんだ!

CC(屮゚Д゚)屮カモーン

38:名無しさん@ピンキー
06/10/20 21:29:26 X2Leze/l
バトルとか燃えとか萌えとかネタとかジャンル分けして
各ジャンルに文字を割り当てて貼る時にその文字を一行目にでも入れといて
各自NG指定すりゃ良いんじゃないの

39:柏木な人 ◆pOFl4h0hqw
06/10/20 21:44:46 21dlhr2G
>>34
うん、反省。
オンラインゲームだとアタリマエに日常会話に入ってくるけど、
嫌いな人は欠片もきらいなのが「w」でした。

40:ねここのマスター ◆MEIoBOt9Bc
06/10/20 21:46:41 pvRFt8Ot
さぁ、続いていってみましょー!!!(ヤケクソ

(ふぅん……これはなかなか、そういえば家の倉庫にもあったわね)
「雪乃、ちょっとこちらへおいでなさいな」
「何ですか、鈴乃嬢?」
「あら、背中に何かついてるわ。取ってあげるから後ろ向いてごらんなさいな」
「……ホントでしょうね、お嬢」
疑い深いわね……
「ホントですのよ~。そのままじゃねここちゃんに会った時に笑われちゃうかもしれませんよ」
「う……ではお願い、します…」
くるっと後ろを向く雪乃
「……早く取ってくださいよ」
でもこれだけじゃまだよね~
「あら、ちょっと変なとこにあるわね。悪いけど四つんばいになってくれるかしら?」
「!?なんでっ…!?」
「ねここちゃんにぃ~」
「うぅぅ……わかりましたよぅ」
ショボンと四つんばいになる雪乃……今ねっ!
例の金色の水がモールドされている円柱を雪乃のお尻の後ろにササっと置く!
(パシャ!)
「……何見てるんですかアズサ」
「いいえ。雪乃の恥辱をみてるだけですよ?」
「………もういいですかお嬢。」
ササっとそのブツを引っ込める私。
「ええ、よいのですことよ」(にっこり)

……数日後、神姫裏アイドルランキングで大絶賛となる映像が今ここに誕生したのだった、まる

41:名無しさん@ピンキー
06/10/20 21:48:08 EEc11WMK
以下は、割とリアルで起こった出来事です

「マスター、大変です!」
「どうした、アーンヴァル(仮名)?」
「私のアルヴォLP4ハンドガンが見当たりません!」
「あぁ、お前にショットガン持たせたから台座の横に追いといた大きい方の拳銃か。
 ……あれ、俺その後どうしたっけ?」

やばい、またどこかに引っ掛けて落としたか?
そして神姫達を含むアクションフィギュアを飾ってる棚の後ろと言えば……
今まで集めに集めた先輩フィギュアたちの箱の山!
これはまずい、前もそこに落として帰ってこなかった部品もあるというのに。
しかも今回は俺だけの問題じゃない。彼女達はれっきとした「意思」を持っている。
下手したら泣いてしまうかもしれん。女の涙は苦手だ。

仕方なく、覚悟を決めてマウンテンサイクルの発掘にかかる。
すると出るわ出るわマシンロボやトランスフォーマー、装着変身にGFF、
ヒカリアンと言った大先輩方……の空き箱。中身は皆別の場所に保管しているので
呪われるとかいった事はないだろうが、これって実は効率悪いんじゃなかろうか?
場所2倍取るし。日焼けで痛んでるのもあるし、箱にこだわらず処分する日が近いのかもしれない。

けなげにも他の神姫達もアーンヴァル(仮名)のために、空き箱の整理に協力してくれる。
ゴメンよお前達、整理整頓が苦手なマスターで。
アーンヴァル(仮名)、空中からライトで照らしてくれてありがとう。今回は本当にスマン。
ストラーフ(仮名)、空き箱を綺麗に並べてありがとう。サブアームが心強いよ。
ハウリン(仮名)、匂いをかぎまわってくれるのか。さすが犬娘、頼りにしてるぞ。
マオチャオ(仮名)、お前は……百均グッズで作った寝床で居眠りですかそうですか。

42:名無しさん@ピンキー
06/10/20 21:49:01 EEc11WMK
……ダメだ! 何度一番下まで探しても見つからん!
「マスター……ありがとうございました。もういいです。
 あの銃持ちにくかったですし、それにまだレーザーライフルもPDW9もありますし、
 他にも先輩方から余った武装も貸して頂けますし、だから、だから……」
だーっ、やっぱし泣いちゃった!
他の娘達が慌てて慰めに入り、マオチャオ(仮名)も起きてきてその輪の中に入っていく。
皆良い娘達だ。この娘達にめぐり合わせてくれた神に感謝。
「ゴメンよ、不注意なマスターで。でもいつかもっといい武器を手に入れてやるからさ、
 元気出してくれよ……な?」
「ますたぁ……ヒック」

ふと、そこでアーンヴァル(仮名)を元気付けているマオチャオ(仮名)に目が留まる。
そういえば猫とか犬とかって自分の気に入った物をどこかに隠すとか聞いたことあるな。
……もしや!
そう思った俺は慌ててマオチャオ(仮名)の寝床のタオルをどけ、下の小物入れを漁る。
女の子の秘密を覗くなんて良くないと言われそうだがこの際無視だ。

結論から言いましょう。ありました、ハンドガン。
マオチャオ(仮名)本人もすっかり忘れていた様子で、アーンヴァル(仮名)に平謝り。
マスターとしては他の娘に示しがつかないので
とりあえずマオチャオ(仮名)の股を開いたり閉じたりして罰を与える事にした。
まぁともかく見つかって良かった良かった。部屋も多少なりとも片付いたし。
こっちは汗だくだけど。
こうして平和な秋の夜長は更けていったとさ。
どっとはらい。

43:マイティの人
06/10/20 21:51:52 IC9CQA82
【ジャンル:バトル】

マイティの人です。
書き手は書くことしか出来ないので……。
今回はライバルの登場です。


 仰向けに寝ながら、神姫スケール換算地上千メートルを、高速巡行するマイティ。
 手足には軽量で対実弾防御力のあるカサハラ製鉄ヴァッフェシリーズのプロテクターを
着込み、クリティカルな胸部には同根装備のアーマー、頭にはヘッドセンサー・アネーロをかぶる。
 右手はミニガンではなく、アルヴォPDW9。アーンヴァルの実弾射撃武装はどちらもケース
レス方式をとっている。飛び出した薬莢が飛行機動を阻害する恐れがあるためだ。とくに
高速移動時にその弊害が見られ、だからミニガンは飛行時に正面へ撃つことができない。
 背中のウイングユニットには、ありとあらゆる推進装備がくっつけられている。エクステンド
ブースター、ランディングギア。そしてヴァッフェシリーズのスラスター。融通の利く動きはほとんど
できないが、一方向に集中したノズルは莫大な推進力を生み出す。アラエル戦のバトルプルーブ
を経て、各パーツの配置が一新され、よりパワーロスが少なくなった。
 翼の一方に、バランスの低下を承知で、LC3レーザーライフルを搭載していた。この装備方法
では飛んでいる方向にしか撃てない。巡行武装だと割り切っている。
 ここはホビーショップ・エルゴの対戦ブースである。このたびの大改装でセカンドリーグにも
参加できるようになり、マスターは二駅をまたぐ必要がなくなったのだった。
対戦相手がいない場合、こうして一人でテストモードが出きる。トレーニングマシンが普及
してから使われなくなった機能だが、現在でも律儀に入れられている。
「どうしてトレーニングマシン、使わないんです?」
 店長が訊いた時、
「実戦に使われるフィールドの方が役に立つ」
 とマスターは答えた。
 確かにトレーニングマシンと実際に試合に使用されるフィールドには若干の差がある。しかし
それは本当に若干なもので、だから皆将来的な経費が押さえられるトレーニングマシンを買うのである。
 マスターの家にも無論、トレ-ニングマシンはある。
「マイティ、どうだ」
 バーチャル空間の中を飛び回るマイティに話し掛ける。
『やっぱり空気の重さが違います。マシンでできたような無茶な機動が、たぶん出来ません』
 バトルスペースのマシンパワーに、やはりトレーニングマシンはかなわない。戦闘中はだいたい
高速で動く神姫には、この差は場合によっては致命的な差となる。
 マスターもマイティも、今、一種のマンネリを覚えていた。
 バトルの成績は悪くはない。ファーストへの昇格はいまだ高嶺の花だが、それでも順当に戦えている。
 バトルのアクセス料金、マイティの武装代、メンテナンス料金、武装神姫というカテゴリにかかる
料金はすべて、いわゆるファイトマネーでまなかうことが出来た。
 余談ではあるが、この「勝てばそれなりに報酬がもらえる」という制度が実現したことが、
武装神姫の世界的な発展につながった一翼を担っていると言っても過言ではない。実現に
あたっては「ゲームがけがれる」とか「ギャンブルだ」などという辛辣な批判ももちろんあった。
しかし結果として、良い方向に実現した。
 第三次世界大戦も起こらなかったし、宇宙人の侵略もなかったのだ。ゲームに報酬が設定
された所で、なんのことがあろうか。と、人々が思ったかどうかは分からないが。
 閑話休題。
 ともかくそれでも、何か初期のキラキラした感覚が鈍くなってきていることは、お互いに
分かっていた。
 その対処法が分からない。
 結局問題は棚上げで、今に至る。

44:名無しさん@ピンキー
06/10/20 21:52:16 XGU2Kg9F
「女の子の犬は片足をあげてしませんよ?」との突っ込みが欲しかっただけなのに orz カエレネェ

45:マイティの人
06/10/20 21:53:03 IC9CQA82
『Here comes a new challenger』
ジャッジAIが挑戦者を告げる。
 テストモード中はオンラインオフラインに関わらず、対戦受付はオープンにしてある。当たり
前だがシャットアウト機能は無い。対戦スペースにいるのはすべからく対戦許可とみなされるのだ。
 相手はオンラインからだった。
『よろしくお願いします』
 当り障りの無い挨拶。女性らしい。
「よろしく」
 マスターは適当に答える。
 相手はセカンド。大体自分と同じような戦績。いや。
 最近特に伸びてきている。
 マイティがいったん待機スペースへとリターン。
『どうします?』
「例の機能を使ってみようと思う」
『じゃあ、初期装備はこのままですね』
「なるべく広いフィールドの方が良いが、狭くてもすぐ対応できる」
『分かりました』
 マイティ、準備完了。
 すぐに周囲のポリゴンがばらばらになり、フィールドが再構成される。

『バトルスタート。フィールド・地下空間01』

 広大な空洞。高さもあるが、下は一面湖だった。所々に浮島があり、またいたるところに石
の柱が立っている。
 一方の入り口から、マイティが巡行飛行状態で入場。
 もう一方から入ってきたのは、ストラーフタイプだった。
 かなり軽装である。
 ヴァッフェシリーズのブーツを履き、大腿と手首には同根装備のスパイクアーマーをそれぞれ
取り付けている。胸部はハウリンの胸甲・心守。
 頭部にフロストゥ・グフロートゥ、二の腕にフロストゥ・クレインを装備しているが、あれでは
武器を使用できない。アクセサリーと割り切っているのだろうか。
 主武装が新装備のサイズ・オブ・ザ・グリムリーパーと、二体のぷちマスィーン、肆号と
オレにゃんしかなかった。プチマスィーンはどちらも射撃用のマシンガン。
 何よりも特徴的なのは、メガネをかけていることだった。
「軽装備……?」
 それに装飾が過ぎる。
 マイティは疑問に思った。
『何か仕込んでいるのかもしれない。気をつけろ』
「了解」
 そのまま巡航で近づく。ためしにレーザーライフルを二、三発撃ってみる。
 ストラーフが消える。
「!?」
『光学迷彩だ。センサーをサーマルに切り替えろ』
「は、はい」
「はっずれ~♪」
 真上から声が聞こえた。背筋が一気に凍りつき、マイティは慌てて後方にマシンガンの
銃口を向けようとする。
 がごんっ
 胸部をしたたかに打たれ、マイティは失速。落下した。
「な、なに?」
 マイティは何が起こったのか分からず混乱した。姿勢を制御するのを忘れる。

46:マイティの人
06/10/20 21:54:52 IC9CQA82
『マイティ、機体を起こせ!』
 はっ、と気づいてフラップを最大限に傾ける。
 水面すれすれでマイティは水平飛行に移る。水しぶきが上がる。
 胸部アーマーがべっこりとひしゃげていた。ストラーフは鎌の背でなく、刃で打った。アーマー
が無ければ負けていた。
「マスター、今のは!?」
『分からん。瞬間移動に見えた。今解析している』
『調べても無駄よ』
 相手のオーナーが言った。
『本当に瞬間移動ですもの』
『何?』
 マスターのモニターに相手の画面が現れた。眼鏡を掛けた黒髪の女性。
『公式武装主義者(ノーマリズマー)のマイティに会えて嬉しいわ』
『もう二つ名がついているのか。光栄だな』
『セカンドながらあの鶴畑を倒した実力派ですもの。神姫に入れ込んでいる人間なら、だいたい
知っているわ』
『さしずめそちらは特殊装備主義者(スペシャリズマー)というわけか。マイティ』
「は、はい」
『装備Bに切り替える』
「分かりました」
 マスターがコンソールを操作する。
 マイティはウイングユニットを丸ごと切り離すと、浮島の一つに着地。シロにゃんにコントロール
が移ったウイングユニットは、ランディングギアを浮島に落とす。
『サイドボード展開。装備変更』
 マイティの脚からブーツが消え、代わりにランディングギアが瞬時に装着される。肩と大腿
のプロテクター、そしてひしゃげた胸部アーマーがポリゴンの塵と化し、ふくらはぎのアクセサリ
ポケットが肩に移動。
 武装にも変更が加えられた。アルヴォPDW9が消失し、カロッテTMPが出現。
 左手首のガードプレートが、右手首同様ライトセイバーに代わる。
 予備武装としてランディングギアにバグダント・アーミーブレードを装備。
 最後に、天使のような翼が背中から生える。「白き翼」だ。
『飛び方は覚えているな』
「はい。さんざん練習しましたから」
『よし、行け』
 ひと羽ばたき。それだけで、マイティは相手のストラーフの立つ浮島へ急速に接近した。
 バララララララ
 接近しつつTMPを撃つ。
 ストラーフはまたもや消失。真左に反応。
 左を向いて確認する隙も惜しんで、マイティは反射的に左手のライトセイバーをオン。その
まま切り付ける。
「おっと」
 ストラーフは、上、に避けた。
 間違いない。こいつは飛べるのだ。
どうやって?
『原理は不明だが瞬間移動が主な移動手段だ。姿勢制御による若干の移動を、頭と二の腕
のブレードと手足でやっている』
 マスターが解析した。
 なんて飛び方!

47:マイティの人
06/10/20 21:55:39 IC9CQA82
 後方からがっちりと拘束される。
「おしまいね」
 ストラーフがくすっ、と笑う
 鎌が首筋に当てられようとする。
 マイティは両肘で相手の腹を打つ。
「やばーん!」
 飛び去りながら、ストラーフが叫ぶ。
「うるさいっ」
 マイティはTMPを精密射撃。
 しかし鎌をくるくると回転させ盾にされる。
 二体のぷちマスィーンズが反撃の連射。
 マイティは白い翼を前方で閉じる。
 翼の表面に銃弾が当たる。が、ダメージは無い。翼は盾にもなるのだ。
「ばあ」
 翼を開いた途端、目の前に舌を出したストラーフ。瞬間移動だ。
 ガキンッ!
 突き出された鎌を、TMPで受ける。TMPは壊れて使い物にならなくなった。
 ライトセイバーを伸ばす。ストラーフはあろうことかぷちマスィーンを盾にして後退。マスィーンズ
は爆砕。ポリゴンになって消える。
「マスター、瞬間移動のパターンは!?」
『今のところ直線距離でしか移動していない』
 つまりいきなり後ろに回り込まれることは無いということ。だが、横に移動した後、後ろに、
と二段階を踏めばそういった機動も出来てしまう。
 あまり意味が無い。
「そうよ、この瞬間移動は自由自在なのよ」
 マイティの懸念を見透かしたかのように。ストラーフは笑った。
「しかも」
 真横。
「何度も使えちゃう」
 真後ろ。
「くうっ……!」
 マイティは宙返り。ランディングギアでオーバヘッドキックを浴びせる。
「きゃんっ!?」
 頭に命中。ストラーフは急速に落下する。マイティはアーミーブレードを両手に装備。
「やったわねぇっ」
 浮島を蹴り、目の前に瞬間移動。
 予想通り!
 マイティはブレードを振り下ろす。
 瞬間移動した直後は瞬間移動できない。当てられる!
 しかし、ストラーフは消えていた。
「予想通り」
 頭上から声。姿勢制御による限定機動!
「お返しよ♪」
 頭をぶん殴られ、マイティは一瞬気を失う。
 屈辱。殴られるのは一番そう。これは人間も神姫も変わらなかった。
「シロにゃん!」
「にゃーっ!」
 いつのまにか接近していたウイングユニットがストラーフに体当たりを仕掛ける。
「そんなハッタリ無駄!」
 ズバッ
 鎌で一刀両断。ウイングユニットは消えてしまう。

48:マイティの人
06/10/20 21:56:58 IC9CQA82
『主義と固執は違うのよ』
 ストラーフのオーナーが言う。
『何を……』
『通常装備だけではおのずと限界がある。あなたも薄々感づいているはず』
『何が言いたい』
 マスターは苦虫を噛み潰したような顔をした。
『あなたの実力ならファーストには行けるでしょう。でも、ファーストでは固執は許されないわ。
認められたあらゆる手段を使わなければ勝てない場所よ』
『アドバイスのつもりか』
『あなたがあの片足の悪魔と戦いたいのなら、ね』
『……!!』
 その名前が出てきたことに、マスターは驚きを隠せなかった。
 モニターから嫌な音がした。
 ストラーフの鎌が、マイティの額を刺し貫いていた。
 驚愕に目を見開くマイティ。ポリゴンの火花を撒き散らして、消滅。

『試合終了。Winner,クエンティン』
 マスターは初めて、相手の神姫の名前を知った。

 マスターはしばらく、コンソールに手をつきながら前を見つめていた。
 ハッチの開いたポッドに座り込みながら、マイティはおどおどするしかない。
「帰るぞ」
 唐突にそういわれたので、マイティは立ち上がる際転びそうになってしまう。
 ねぎらいの言葉を掛ける店長も無視して、マスターは足早に店を出た。




49:チアキ ◆xHz9G8fJy6
06/10/20 22:08:14 U5pTKnmY
>>44
そ う だ っ た の か ! !
勉強不足スマンorz


50:名無しさん@ピンキー
06/10/20 22:25:49 W4OAd8gr
うむ。この流れは多少の妄想は書き込みできそうだね。
神姫の2036年世界では軍事、犯罪、人権の問題はなんとなく大丈夫な設定。
夕方5時にテレビで放映できる程の安心アニメ設定な感じで。だってどれも真面目に考えると神姫なんて技術的にできても玩具として市販されるわけねーってなるし。

51:名無しさん@ピンキー
06/10/20 22:27:16 W4OAd8gr
ごめんなさい。本スレとの誤爆……
今日はもう寝よう。

52:名無しさん@ピンキー
06/10/20 22:29:58 ruRyC0+e
……「ドキドキハウリン」「アニメ化」 この2つのキーワードが頭をよぎった。

53:ドキドキハウリン
06/10/20 22:51:21 bLwGAtiv
「静香、大変です!」
「……どしたのココ。あたし、次の大会に使う服の準備で忙しいんだけどー」
「わ、私達が、アニメ化しちゃうそうですよ!」
「そうよ? 言ってなかったっけ?」
「聞いてませんよ……。だって(自主規制)は(自主規制)だし、(自主規制)は
(自主規制)になってるし、(自主規制)だって(自主規制)じゃないですか! 
こんな第三次世界大戦がいつ起こるかって時代に、どこのテレビ局がアニメ
なんてやるって言うんですか!」
「…………」
「神姫だってもともとは軍事兵器の民間転用だって忘れたんですか!?」
「…………」
「答えてください、静香!」
「……テレビ東京があるじゃない」
「…………納得です」


 >>52の書き込みにそんな夢を見た今日この頃。

54:ねここのマスター ◆MEIoBOt9Bc
06/10/20 22:57:25 pvRFt8Ot
「ねここ、雪乃ちゃん大変よ! 貴方たちを1日中Webカメラで中継しちゃおうって企画が!」
「……私はともかくねここは一日中寝てたりしますよ、つまらなくありません?」
「……それはそれで?」

と、>>53の書き込みを見て自分に欝になった今日この頃

そして テレ東、見事納得。やっぱ大きいお友達前提の深夜枠ですかねっ

55:チアキ ◆xHz9G8fJy6
06/10/20 22:59:16 U5pTKnmY
「大変ですマスター!」
「どうした十兵衛!!」
「新番組のお知らせです!
魔女っ子神姫ドキドキハウリン!毎週水曜午後六時からテレビ東京で放送開始です!」
「なんだって!?これは絶対チェックしないと!!って俺達は!?」
「私達はどっちかと言えば深夜帯かと…」
「う…」

「ま、魔女っ子神姫ドキドキハウリン!水曜六時! ここに、はいぱー☆降臨っ!」
「ま、魔法使って無いです…(ゴスッ!)うが!」
「言うなって…」

番宣CM風(十兵衛編)でした。



56:名無しさん@ピンキー
06/10/20 23:08:27 4YYm+t/D
流れを完全に無視して超短編投下。
白くなかったらすまん。


あるマオチャオの1日?

ボクはネコなのにゃ。
ボクの名前はまだ登録されてにゃい、だからご主人様はボクを「ネコ」と呼ぶにゃ


今日は朝から煮干をもらったにゃ。
とってもおいしかったにゃ。

それからご主人様はあそんでくれたにゃ。
でも急にボクを置いて出かけていったにゃ。

さびしいにゃ。 部屋に一人だととってもさびしいにゃ。
さびしくてたまらなくて、ヒザを抱えたままボクは寝ちゃったにゃ。




「ネコ、ネコ?起きろ~~」

ふにゃ……?
ご主人にゃ、ご主人が帰って来たにゃ!!!

ぼくはご主人様に抱きついたにゃ。

ふにゅ?これなんにゃ?
ぷれぜんと?

……これ、ボクの大好きなねこまんまセットにゃ。

ありがとうなのにゃ、ご主人様!!

名前をまだくれにゃいけど、こんにゃふうにボクにおいしいご飯をくれるご主人様がボクは大好きなのにゃ。

~end~

57:マイティの人
06/10/20 23:10:01 IC9CQA82
「マスター、早く、早くテレビをつけてください!」
「いったいどうしたんだマイティ、そんなに慌てて」
「魔女っ子神姫ドキドキハウリンがはじまっちゃいます!」
「何っ!? それは大変だ。これを機会に60型大画面立体テレビと10chサウンドシステムと
共鳴振動ソファを買ってホームシアターを作るぞ!」
「きゃー、マスターってば太っ腹ー!!」

 キャラが違うorz

58:ねここのマスター ◆MEIoBOt9Bc
06/10/20 23:15:45 pvRFt8Ot
「わぁ~い、ドキドキハウリンの時間だぁ☆」
「今週はどんなコスチュームなのか楽しみですね、ねここ」
「うん☆先週はメイドさんで~、その前はナースさんで、そのまた前は婦警s……」
「あれって毎回ココちゃんが実際に着た画像を資料として送ってるらしいわよ」
「……既にコレ1年近くやってますよ」

……こんな感じでリトライorz

59:アネゴ書き
06/10/20 23:21:31 pS/vunO8
いまさら短編にも戻せないので投下してしまいます。


大会後、旅館大木楼。

「ただいま~」
「おかえりなさい、三郎さ…ひいっ!」
良美が見たものは玄関に捨てられているボロ雑巾(注:三郎)と3人の女性。
「さ、三郎さん…」
「良美さん、今日この人たち泊めてやって……たの……む…」
「三郎さん!三郎さん!」
すぐに男手を呼ぶ良美。
その様子をみて静香が奈緒に質問する。
「良美さんという方、三郎さんのお姉様ですか?それにしては顔が似てないようですが…」
「あの方は三郎様の同級生でお母様ですわ。」
「はぁ?」×複数
その場にいる誰一人、それを理解できる人はいなかった。

宴会場ではすさまじい奇声とその他もろもろの笑い声が聞こえてくる。
「ごめんね良美ちゃん、この埋め合わせは必ずするから」
「いいのよ、支払いは奈緒さんが持ってくれますし、うちも久々に潤って…」
「……本当にゴメン、いろんな意味で」
良美は三郎の額に絆創膏を貼り、鼻先をこつんとつつく。
「はい、おしまい」
「あ痛っ!…それもこれもあの明日香とかいう銭ゲバ娘のせいで…」
「あらあら…」
良美は押し入れの奥からあるケースを取り出す。
「三郎さん、ちょっとお仕置きしてあげましょうよ、ふふふ…」
中を見た三郎は驚愕した。
「こ、こいつは!」

60:アネゴ書き
06/10/20 23:22:41 pS/vunO8
宴会場に帰ってくると、そこでは3人の女性が仲良く語らっていた。
みんなに声をかける。
「おーい、露天風呂使ってもいいってよ!」
女性陣から歓声が沸き起こる。やはり女性は温泉好きだ。
「そうそう、神姫用のフレッシュ(肌色)素体あるから貸し出ししてくれるってさ」
武装神姫の電子頭脳はすべて頭部に搭載されていて、頭部は耐水耐圧がしっかりしているが、ボディは基本的に生活防水程度しかなされていない。
温泉のような特殊な水質に対応した耐水素体の貸し出しを行なっている旅館もあるのだ。
明日香がギロリと睨む。
「混浴……じゃないわよね」
「ああ、大丈夫。俺は気にしないから」
「絶対入ってこないでよ!」

各々の部屋へ戻る女性陣を尻目に、三郎はニヤリとほくそ笑んだ。
(ふふふ、俺の作戦にかかったな…)
その手にはあのケースが握られていた。

「すごい大きさですわね…」
バスタオルを巻き、肩にココを乗せた静香は感嘆した。
乳白色に濁ったその天然温泉はかなりの広さで、暗さも相まってかなり幻想的だ。
「あら、このお湯、まるで三郎様の精の色みたいですわ」
「な、奈緒!あんたまさか…」
静香と明日香が明らかに狼狽している。
「ちょっと話を聞かせてもらいましょうか…」

61:アネゴ書き
06/10/20 23:23:41 pS/vunO8
「……三郎の母親にもびっくりしたけど」
「奈緒、あなたもひどい目にあったわね」
明日香と静香はため息を吐いた。
「あら、私は幸せですわよ。男の人が入ってくるときってすごく切なそうな顔するんですもの」
さらりと言ってのける奈緒。
「こんな年下に性を語られるとは…」
「なんか惨めね」
二人には奈緒が大人に見えた。

「きゃーーっ!」
突然の悲鳴。
それは4人の誰も発していない。ということは…
「マルコ!」
「ココ!」
その時、露天の岩の上に立っていたのは…
「あら、三郎様」
「あら、じゃないわよ!」
奈緒のとぼけた応対にとっさに身を湯に沈める二人。
乳白色の温泉のせいでその肢体はかろうじて隠されたが、体を出すことができない。
「ふふふ、そこの銭ゲバ娘!今こそ復讐のときだ!」
二人の神姫を抱えてきたのは…
「へ、兵士?」
そう、迷彩服に身を包んだ黒人のフィギュアだった。
「神姫の素体にミリタリーフィギュアの外装を装備した「ボブ」と「ジョン」だ!」
2体のフィギュアは「ハ~イ」などと手を振っている。
「なんて悪趣味な…けどマルコがそう簡単にやられるはずが…」
「分かってないなぁ。この耐水素体は外部から操作できるんだぜ」
三郎が勝ち誇ったように笑う。
「サブロー!あったよー!」
アネゴが走り寄ってくる。
「あらあら、それは…」
そう、静香が作ったココのコスプレ服である。
三郎は満足気にうなずく。
「ボブ。マルコにセーラー服を着せてあげるんだ」
「イエッサー!」
「いやぁぁぁ!やめてぇ!」
明日香の悲鳴が響く。

62:アネゴ書き
06/10/20 23:24:40 pS/vunO8
「あらココ、素敵な格好ね」
メイド服に身を包んだココはペタンと腰を落とした。
アネゴがコントローラーの説明をする。
「…これでジョンとココの操作法はバッチリだよ」
「じゃあ…ココ、ご奉仕して差し上げなさい」
立ち尽くすジョンの股間にココの顔を近付ける。
「静香…やめてください、やめてください」
唯一自由になる首を背け、抵抗するココ。
「ジョンさん、ココの頭を掴んでしまいなさい」
「ねじこんでやるヨ!」
ジョンは頭を掴み、自らの股間にココの顔を押しつけた。
「んー!んんんーっ!」
ココがビクンビクンと震える。快感を伝える電気信号が走っているのだろう。
「いい反応よ、ココ。私嫉妬しちゃうわ」

痙攣し、仰向けに転がるマルコ。
立ち上がったボブが、自らの股間に手を掛ける。
三郎はコントローラーのオタマジャクシボタンを押した。
その瞬間、ボブの股間から白い粘液が発射された。
「ローション発射!」
「きゃあああああっ!」
マルコと明日香が同時に叫んだ。
まるでエロ漫画のように大量に放出される液体がマルコに降り注ぐ。

ココはM字開脚状態で身動きが取れない。
「静香…恐い…恐いです…」
「ココ、とってもきれいよ」
ジョンかゆっくりを腰を合わせる。
股間部と股間部が触れ合った瞬間、ココが叫んだ。
「痛い、イタァァァァァイイッ!」
「あら、すごくリアルね」
ジョンはゆっくりと腰を動かし始めた。
「あっ!がっ!あうっ!中に、中にビリビリくるっ!」
股間が触れ合うたびにココは激しく震えた。
「股のジョイントを砕いてやるゼ!」
「あぐっ!ううーっ!静香ぁ、静香ぁっ!ふぇぇぇん!」

63:アネゴ書き
06/10/20 23:25:45 pS/vunO8
作業を続けているボブを見ながら三郎が続ける。
「これって親父の持ち物なんだけどさ、神姫同士のエロい様を見ながら自分達もやるとサイコー!ってことで自作したらしいんだ」
「変態…」
「貴様の目の前でボブがマルコにエロいことをするのだ!」
「いやー!変態!変態ーっ!」
明日香のリアクションを見て三郎が勝ち誇った顔をする。
「あ、ココはお返ししますね」
「いや、ココにもやっちゃってくださいな」
突拍子もない静香の言葉に場が凍り付く。
「ココが私の作った服で黒人にいいようにされる姿が見たいわ…」
「し、静香…そんなぁ…」
このマスターと神姫は普通とは違うようだ。

「明日香ぁ、体が動きません…」
セーラー服姿にされたマルコのスカートの中にボブが顔を入れる。
「俺のテクをくらいな!」
その瞬間、マルコの体がビクンと跳ねた。
「あっ、あっ!なにっ!これっ!」
「性感帯に位置する部分に微弱な電気発生機があって、人間のような快感を擬似体感できるんだと」
「明日香、明日香…ひぐっ!ううっ!」
「三郎!それ以上やったらコロス…マジコロス…」
近くに寄ってきた奈緒が明日香にそっと耳打ちした…
「………円でよ……かしら?」
「よし、マルコ!遠慮なく花を散らしなさい!」
「明日香……私を売りましたね」

64:アネゴ書き
06/10/20 23:26:50 pS/vunO8

マルコは四つんばいにされ、その後ろにボブが立った。
ボブがマルコの脚を掴む。
三郎がニヤリと笑う。
「さぁ、手押し車の時間だ」
手押し車の態勢で股間部が接触する。その瞬間、マルコの股に電流が走った。
「ああああああっ!放して、股から離れて!」
「このままで5m歩くんだ!」
「イエス、ボス」
ボブは容赦なく行動を開始した。

「ココ~ココ~、大丈夫~」
静香の問いにもココは答えない。
力なく下がる四肢をよそに、ジョンは必死に腰を打ち付けている。
「さすがに底無しが相手じゃキツイわねぇ…」
ジョンは何度目かのローションをココに発射した。
ココの素体は白く塗れ、まるでマオチャオのようだ。

「あと…30cm…ひぎっ!」
手押し車で必死に歩くマルコ。
「関節が…バカになっぢゃヴヴヴヴッ!」
マルコはゴール目前で力尽きてしまった。ボディが小刻みに震えている。
「ゴールできなかったネ、お仕置きヨ!」
ボブが乱暴にマルコを掴みあげ、顔面にローションをぶちまけた。
「ぶぶっ、むぶうっ…」
すさまじい水圧にマルコは目も開けられない。

「これはエグいわね…」
明日香もさすがに引いている。
「結構つらいんですよ。繋がったまま肘に力を入れるって。」
「へ?」
奈緒の言葉に明日香が凍り付いた。

三郎は満足した笑みをうかべる。
「よし、ボブ!最後はあの銭ゲバ女にローション発射だ!」
ボブがゆっくり歩いてくる。
「……いい加減にしろーーっ!」
明日香は湯から上がり、ボブを掴むと思いっきり投げる。
それは空気を裂きながら三郎目がけ飛んでいき、三郎に命中した。

65:アネゴ書き
06/10/20 23:27:56 pS/vunO8
「はぁ、はぁ…」
明日香は隠すものも隠さずにズカズカと三郎に詰め寄った。
「おい、さぶろ……」
気絶した三郎の股間がもぞもぞしている。
奈緒が駆け寄ってそのファスナーを下ろすと…
「アネゴお姉様!」
「よ、よう」
アネゴはバツの悪そうな顔をして笑う。
「他の神姫がよろしくやってるから、アタシもちょっと…」
見ればアネゴは三郎のモノを大事に抱え込んでいる。「三郎様の男根、独り占めなんてずるいわお姉様!」
「ここんとこ奈緒ばっかりじゃないか!」

明日香は二人の争いを呆れたように見ているしかない。
「どうしたの?」
静香がやってきたので、明日香は斯く斯く然々と説明する。
「まったく、こんなバカのどこがいいんだか…」

「うふふ、私も一度やってみたいわ…」
「静香さん、興味本位で握らないでください!」
「だから最初はアタシだって!」
静香も争奪戦に加わってしまい、明日香は頭を抱えて湯槽に戻っていった。
「旅は女を大胆にするのね…」

ココとマルコはまだ犯され続けていた。
「マスター、たすけてくださぁぁぁぁい~」

おしまい

66:アネゴ書き
06/10/20 23:30:41 pS/vunO8
投下完了だが、>>62>>63が逆だorz

色々削ったりして餅米落ちちゃったから作品に愛がないぜ…自己嫌悪。

67:新参者1/2
06/10/20 23:57:29 HSPhsvZL
新規もちゃんと入れるよって証明のために初参加
日常系単発シーンものでいければいいな、と思ってます。
(突貫作成なんでこれで終わるかもしれないですけど)

<<ある日のウェイ>>
『さて、次の挑戦者は―!』
 背後、テレビから聞こえてくるのは騒がしいだけの音。
 たしか神姫が参加する運動会のようなものだと思っていたが、ちょっと雰囲気が違うようだった。
 俺は興味ないから見てないし、見る気もない。
 テレビを見ているのはハウリンモデルの神姫、ウェイだ。
 彼女は今日買ってあげた椅子に行儀よく座って、コーラ片手にテレビと見つめていた。
 公式バトルには参加したがらないウェイだが、他の神姫が戦ったり競い合ったりするのを見るのは嫌いではないという。
 もっとも、見ている間表情を変えないのだから楽しんでいるのかはよくわからないが。
 そんな彼女がテレビに夢中?になっているのを幸いとばかりに、俺はパソコンと向き合っていた。
 モニターに写っているのは検索画面の一覧、三日ほど前から調べ残りはわずかとなっていた。
 検索内容は『ストラーフモデル 販売情報』だった。
 ウェイに友達としてもう一人神姫を増やそうと思っていたのだが。
 ―やっぱりどこ品切れか。
 ウェイに聞こえないよう心の中でつぶやく。
 この三日間、武装神姫を取り扱っているすべての店を調べた。だがどこもかしこもストラーフモデルは完売状態だった。
「人気ありすぎ」
 自分でも予想外だった事態に思わず声が漏れた。
 すこし残念に思いつつも、展開していたウィンドウのいくつかを閉じる。
 あと調べていないのは聞いたこともないような怪しげな名前の店ばかり。
 もしなければここは素直に諦めよう。そう思ってマウスに手をかけたところで―
「主? 一昨日から何を真剣に見ているのですか?」
 すぐ耳元からウェイの声が聞こえてきた。
 まずい! 俺は慌ててダミー用の画面を開く。
 ウェイは起動時にちょっとあって、俺に対してすこし偏愛傾向にあった。
 なんというか、ものすごく嫉妬深いのだった。
 俺が他の神姫のことを話すだけですぐに機嫌が悪くなるし、新しい神姫を買おうと話したときなどは「やっぱりわたしはいらない子なのですね」なんて、
しばらく部屋の陰に隠れてでてこなかったこともあるくらいだ。
 だから今回もストラーフモデルを探してたことは内緒だったのだが。
「主。主はやはり、わたしよりも生身の人間が好きなのですね」
 寂しげなウェイの声に、パソコンのモニターに目を向けて―思考が止まった。
 写っていたのはダミー用のニュースサイトではなくて、
「ですが……あの、これはすこし……」
 ごにょごにょと歯切れ悪くウェイの声は小さくなっていった。

68:新参者2/2
06/10/20 23:58:23 HSPhsvZL
 ウェイが困るのも当然だろう。写っていたのはストラーフ探す片手間でやっていたエロ画像保存の、その一画面だった。
 しかも内容は自律式触手型玩具による陵辱映像。
たぶん一般男性なら目を背けつつも体の一部が反応してしまうような強烈なシーンだった。
「いや、これは、さっき間違って……本当はこっち……って、あ」
 自爆した。たしかに今俺は自爆スイッチを押してしまった。
 だってエロ画像が消えて出てきたのは、
「……そういうわけですか」
 『ストラーフ完売』『ストラーフ再販は○月』『ストラーフ 入荷待ち』『ストラーフ安く売ります』
 ……などと、ストラーフを買おうとしているようにしか見えない画面の数々だった。
「わたしだけって言ったのに……」
 肩に痛みが走った。ウェイの小さな指がまるで穴を開けようかという強さで突き立てられる。
 横を見ればその瞬間に目潰しでもくらいそうで、正面を向いたまま俺はパソコンの電源を落とした。
 真っ暗になった画面に自分の引きつった顔とうつむいたウェイの姿が映っていた。
「あるじ……」
 冷たく、思い声が直接鼓膜を震わせる。
「撃っていいですか?」
「ごめんなさい、アレしますから許してください」
 モニター越しに見えるウェイはいつの間にか蓬莱一式を構えていた。
 彼女の周りにいるプチマスィーンが持ってきたのだろう。相変わらずいい仕事しやがる。
「アレですか。なら許します」
 即答だった。さすがはアレの効果。ちょっと辛いが蓬莱一式を喰らうよりはマシだろう。
 こないだなんて丸一日意識を失ってたからなぁ。
「主、早くしてください」
 なんて考えている間にもすでにウェイは準備万端なようだった。
 「はぁ」とためいきをついて彼女が横になったベッドに俺自身も体をもぐりこませる。
 そして……
「はぁ、ぁ……あるじさまぁ――」
 明かりが消され、暗くなった部屋の中にウェイの喘ぎ声が響く。
 その声に無意識ながらも下半身の一部が反応しているが、決してやましいことはしていない。
 俺がしているのはただ彼女の髪を撫で続けているだけだった。
 ウェイが安心して眠れるように一緒に寝て、抱きしめて、頭を撫で続ける、朝まで。
 それがアレの内容だった。
 ウェイは撫でられるのが好きで、本当に気持ちよさそうな顔で眠っているのだが、
「ぁ、ぃぁ……」
 寝言とはいえ、なぜそんな声が出るのか疑問に思いつつも、
「明日はきついなぁ」
 時計を見つつため息をつく。朝までまだ4時間もあるのかと。
 それまで喘ぎ声、性的悪戯不可、不眠、という三重苦に耐えなければならない。
 自分に非があるとはいえ、やっぱりこれは拷問ではないかと思う、ある夜のことだった。

69:ダメ師匠
06/10/21 00:02:13 +EbJQTRH
>>67氏GJ!
んじゃ似非相撲投下ー

エストの未勝利記録更新も2桁に差し掛かったある日、一通の手紙が届いた。
面倒な事は省くが、未勝利者を対象とした特別な大会のお知らせらしい。
正直なところ乗り気ではないのだが、当の本人がワクテカしてる訳なので連れてってやるか。

あー、そのー、うーん、会場間違えたか?
目の前にある立て看板には
”ドキッ、神姫だらけの相撲大会(ポロリがあるよ)”
これはまたいつの時代のバラエティー番組ですか。
「私は相撲でも頂点に立つ神姫です。」
いやいやエストさん、頂点に立ってないから呼ばれてるんですよ、と。
これ以上無駄な労力費やす前に受付済ませて準備をしてしまおう。
「こちらが今日のレギュと装備となっております。」
相手の装備を全部剥くか、ステージから押し出せばOKなのか。
つか主催が剥くとか書いてる時点で怪しいな。
装備はこの肉襦袢もどきのみで、勝敗に関係なくポイント加算、と。
必要以上にギャラリーが多いのは気になるが、まあ何とかなるだろう。

風船に手足が生えたような姿の神姫がお互いに睨み合うが、かろうじて手が相手に届く状態では微笑ましいだけだな。
歓声が上がっている、どうやらマオチャオがステージから落とされたらしい。
ん?何か様子がおかしいぞ。
肉襦袢が割れてマオチャオに絡み付き、まるで着ている服が破れて素肌が露出しているような状態に見える。
要は素体の色を全部肌色にしただけなのだが、見る人によってはエロくみえるんだろう。
パシャパシャ
一斉にフラッシュが焚かれ、敗者の痴態がカメラに収められる。
神姫でポロリなんておかしいと思った、意図的にポロリっぽく見せてるだけじゃないか。
この様子だと剥いた時にも同じ状態になってそうだな。
「帰るか。」「帰りましょう。」

珍しく息が合い帰宅する訳だが、家に着くまで肉襦袢状態で肩の上に乗せる事になり、違う意味で恥ずかしい思いをした。


70:チアキ ◆xHz9G8fJy6
06/10/21 00:05:16 SjpXVNTU
>>67
あなたの勇気にGJ!!


71:マイティの人
06/10/21 00:17:49 SvYNoH/l
どうもどうも、マイティの人です。
新参者さん本当にGJ。
そして私は久しぶりにえちぃの書いてみますよヒャッホー!


ぱかぱか。
「うーむ、やっぱり何度見ても素晴らしい……」
 ぱっかぱか。
「ご主人様、口調が変わってます」
 股を開いたり閉じたりしながら、私、犬型MMSハウリン『シエン』は言った。
 あれからご主人様は、毎晩のように私にこの、……その、「ぱかぱか」をさせる。
 正直に言って何度やっても恥ずかしくて仕方が無いのだが、ご主人様が喜ぶなら,と、私
は拒否しない。まあ、そもそも、やれと言われれば神姫に拒否権など無いのだけれど。
 それに、これを始めてから一向に気になってしょうがないものがあるのだ。
 ご主人様の股間部の、ふ、ふ……ふくらみだ。
 私のこの行為でご主人様が欲情しているというのは、役に立っているところは嬉しいのだ
が、素直に喜べない所は、ある。
 それにご主人様はあそこを大きくさせるだけで,行為に及ぼうとはしない。こんなことを言う
のも悪いが、躊躇無くやるような外見をしているというのに。こんなこと考えるのは神姫として
ありえないことだろうか。バグが発生しているのかもしれない。ずっとATに乗って揺さぶられて
戦っているから、ノイズか何かが拡大しているのかもしれない。少なくとも今は、定期的に
スキャニングしても何も出ない。
いたって正常。
でも……。
私はついに思い立つ。
ぱかぱかをやめて、座る。
「ん、どした? もう嫌か?」
 私はテーブルを降りて、迷うことなくご主人様のふくらみの前に降り立った。ぽす、と座布団
が小さな音を立てる。
「すみません。動かないでいてください」
「お、おい!?」
 声をあげるご主人様を無視して―無視できるということはやっぱりバグってるのかも
しれない―、私はズボンのファスナーを下ろす。そして中のトランクスをずらした。
 ぼろん、と、ご主人様の巨大な一物が私の前に躍り出た。べち、とぶつかってしまって、
転んでしまう。
「し、シエン……」
「大丈夫です。楽にして、差し上げます」
 私は起き上がって、両手で彼のモノを抱きかかえる。雄の臭いが嗅覚センサーを刺激す
る。嫌な臭いじゃ、ない。ご主人様の、ニオイ。

72:マイティの人
06/10/21 00:19:10 SvYNoH/l
 好き―。
 私は恍惚状態に落ちながら、小さな舌を竿に這わせる。
 ちゅっ、ちゅる……ぺちゅ、れるれる。
 淫猥な音が部屋に広がる。食物を消化できる神姫は、唾液だって分泌できる。人間のそれ
とは大きく成分が違うが……、こういう用途に関しては、効果は一緒だ。
「ぐ、うぅ……」。
 ご主人様が耐えられず、横になる。
 私は彼の上に乗って、足も彼の肉棒に絡みつかせる。
 熱くなっているのが分かる。彼のモノも、私自身も。
 全身から分泌される汗、冷却液さえ、潤滑油にして満遍なくまぶす。
 これくらいでいいでしょう。
 私は全身を使って、ご主人様のものをしごき上げる。なめることも忘れない。
くちゅっ、ぷちゃっ、ぢゅにゅっ、ぬちっ
 さらに激しく水音が響く。
 もう彼の臭いが私に移っちゃっているかもしれない。
 でも、損なのは気にならない。むしろうれしい。
 カリの裏側を、舌でねぶり、手でこする。男の人はここが気持ちいいのだ。どこで知ったか
って? それは秘密。
「うおぉ……」
 気持ちよさそうにご主人様がうめく。とろとろと先走り汁がにじみ出てきて、私の体を汚していく。
 私の中から快感の波がやってくる。神姫だって気持ちよさを感じるプログラムはある。
アングラの愛玩用素体など使わなくたって。
「あぁ、はっ、ふうう……」
 声を漏らしてしまう私。こんなにエッチな声が出せちゃうんだ。
 さらにトリップしつつ、動きを激しくする。
ぢゅ、ぐちゅっ、ずちゅ、むぢゃっ
「ご主人様、気持ちいいですか、はうっ、気持ちいいですか?」
 私の声はご主人様には届かない。彼は快楽に身をゆだねているだけだ。私だって、もう
何を言っているのか分からなかった。
 一物が一段と大きく膨らみ、根元から熱いものがこみ上げてくるのが分かった。
 あ、そろそろ、イきそう。
「だめだ、シエンっ……そろそろ、出ちまう」
「いい、ですよぉっ……。出してっ、ください。わ、私に、かけてくださいっ!」
「ぐおぁっ!」
びびゃっ!
 精液がてっぺんから勢いよく飛び出した。
びゅぐるるっ、びるびっ、びゅるっ、びるるぅっ!
「ああっ、熱い! こんなに、いっぱいぃ!」
 大量の白濁液が、真上から私に滝のように降り注ぐ。
 一段と濃いオスの臭いが私のボディの上から下まで染み付いてゆく。
 びゅびぅっ、びゅるぐっ、ぶびゅるっ、ぶゅるるるっ!
「ご、ご主人様、ごぼ、おぼれちゃい、ますぅ……」
 彼の液体に浸かりながら、私は気を失った。

 それからどうしたかって?
 どうもしませんよ。私たちはいつもどおり、ATに乗って戦って、ファイトマネーをもらって
食べていってます。
 ただ私は、毎晩体を洗うのが日課になりましたけれど。




73:67 ◆Liqlb.lHs6
06/10/21 00:36:27 3AiMeHCO
この際バトル云々は他の方に任せるとして、自分はこう言った最初の形で行かせてもらいます。


○月+日

昨日考えたとおり朝一でメーカーに電話を入れ、自分の犬子と猫子の状況を説明。その上で大丈夫なのかと聞いてみた。
白子と黒子が来た当初は小さい子供くらいの挙動だったので許容出来たが、犬子と猫子はあまりにも犬と猫そのまま過ぎる。
実際、電話を掛けながら二人を構っているが、犬子は俺の投げたボールを追いかけてるし、猫子はねこじゃらしと格闘中。
武装神姫分があまりにも希薄過ぎる…。
で、メーカー側の返答は、薄々予想はしていたが『仕様』との事。
元々モチーフとなっている犬と猫を髣髴とさせる行動をするようプログラムされているが、それには個体差があり、家の神姫はそれが特に強く出ているらしいと言うのがメーカー側の見解。
ではアレですか?犬子が朝夕に散歩に行きたがるのも、猫子が家の柱で爪を研ぐフリをするのも仕様だと?
まんまではないかと言う言葉を飲み込んで、電話を切る。
仕様だと言い切られれば、こちらとしても納得せざるを得ない。

視線を横に向けると、白子に仰向けにされてお腹を撫でられている犬子と、黒子に咽喉を撫でられてゴロゴロと咽喉を鳴らす猫子。
これでは武装神姫と言うよりも、白子と黒子のペットではないのだろうか?
家の犬子と猫子が特に犬や猫としての行動が強く出ているのなら、他の家ではどの位なのだろう?
疑問が湧いてくるが、敢えて無視する。と言うよりも、これはこれで良いのではないかと納得する。
俺は犬も猫も好きなのだ。
白子と黒子と一緒に犬子と猫子を構いながら、不良品ではないだけマシだと多分に無理矢理結論付けて納得する。
さて、思考を切り替えよう。
犬子と猫子がどれだけ成長出切るか、それは俺にかかっているのだから。
さしあたっては言葉を教える事からだ。
今はまだ『ワン』とか『ニャー』とかしか言えない二人だが、武装神姫なのだから学習能力は白子と黒子と同じだけの物はあるのだろうし、覚えられるだろう。
そう思い立った俺は、母親が折角だからと取っておいた幼児向けの絵本を探しに行く。
気分は親と言うよりは、まだ飼い主の感覚に近い。

どうやら白子と黒子以上に手の掛かる娘になりそうな予感がして、苦笑か微笑みか判らない笑顔を浮かべる俺がいた。

74:Pale Perfect Plastic Princess 全 ◆SSHandMXxU
06/10/21 00:50:54 DapWpzFn
>>1 スレたて乙。
また乗り遅れ気味…。 でも無理矢理乗るぜ! 新スレ祝いだぜ!(ぇ?

<<Pale Perfect Plastic Princess>> ~風景ver.1~
 男は、夕暮れに翳った自分の部屋で、無心に小さな金属のパーツを弄り回していた。
 相変わらず、掃除をされた痕跡もない雑然とした室内。付けっぱなしのモニターからは、
軽快なBGMに乗ってアナウンスが流れていた。
 「…! …★☆!! 新番組『魔女っ子神姫ドキドキハウリン』!毎週○曜、午後6時、
好評放送中! …ご主人さまのハートを吠莱壱式で、GET!はうりんぐ!見てくれない
マスターはマァジカルステッキでポカポカ!なのだ!…」
 そんな、苦笑を誘う通俗なキャッチコピーも、男には何の反応も起こさなかった。ただ、
薄暗くなっていく部屋の中で、憑かれたように手の中のパーツと格闘し続ける。
 ふっ、と、男の手元が、いや、部屋が明るくなった。男はまるでうなされ続ける悪い眠り
からふっと目覚めたように、手元から目を上げた。
 「マスター…」
 部屋の壁際、シーリングライトのスイッチの脇、気遣わしげな表情を浮かべたストラーフ
型の神姫、リリスが佇んでいた。
 「…あ、ああ…」
 「目に悪いわ、マスター。明かりもつけないで。」
 「………。」
 リリスは、たしなめるようにそう言って、軽やかに跳躍した。
 ナイロンとポリカーボネイト繊維で編まれた、リリスの人造頭髪が冴え冴えとした灯火
を跳ね返して光跡を残す。青銀色の、つややかな髪が流星のように空間に尾を引いた。
 リリスは苦も無く男の前のローテーブルに降り立つ。着地したすぐそばに、彫像のよう
に座して動かない真珠色のアーンヴァル型神姫、コード=セラフを見とめると、リリスは
腰をかがめて、コード=セラフの白金色の前髪に口づけた。
 男は手を止めたまま一連の叙情映画でも見るように、その風景を眺めていた。美しい、
あまりにも美しく一片の無駄もない、神姫たちの動き。その姿。その占める空間の存在。
 リリスは、呆けたように自分たちを眺める男を振り仰ぐと、つかつかとテーブルを横切
って男の手首に自分の小さな、人の指先ほどの手をそっと添えた。
 「もう…無理ばかりして。少しは休みながらやらないと…。それに、食事だって…」
 「…ああ。」
 その口ぶりはまるで男の母親のようだった。それとも家族、いや、恋人、だろうか?
 リリスは手のひらのセンサーで男の体温、脈拍、生体電流を感知し、即座に健康状態
をチェックする。
 ほっ、と、あきらめたようにため息をつきながら、リリスが顔をあげた。その視線が、
男の視線と絡み合う。何の言葉もかわさず、一人と一体が膨大な情報の奔流を交感する。
そこにあるのは、ただ二つの存在。だが、いまはまだその意味を、二つ自身以外には
理解できない。やがてそれが揺るぎなく確かな存在となることを、一人と一体もまだ、
はっきりと知ってはいなかった。
 部屋の中には、付けっぱなしのモニターから、相も変らぬ華やかな音声と派手な宣伝
文句が流れ続けていた。
 世界を満たした夜のしじまに、男の部屋の窓から煌々と白い光が漏れていた。…。

さぁて、また書いてくるかなぁ。書けるかなぁ…。
多分相手にされてないから言っちゃうけど、俺は気が向いたらバトルだろうがエロだろうが
何でも書くんだぜ!俺の書きたいものを書きたいときに書くんだぜ!だから触るななんだぜ!
まあ、才能とアイデア追いつかなくって書けてないから、その…まあ、ゴニョゴニョ。

75:名無しさん@ピンキー
06/10/21 00:55:17 P06aDWG3
>67 ◆Liqlb.lHs6氏
正直ファンです。
続きが読めてしあわせ。



76:67 ◆Liqlb.lHs6
06/10/21 01:22:19 3AiMeHCO
>>75
ありがとうございます。
以降はこの形のままで行くと思いますので、
よろしければこれからもお願いします。
感想なども言って下さると参考になりますのでどうぞ。

77:FOUNDLING DOG WALTZ
06/10/21 01:42:35 BPpdn7O3
お疲れ様です。やっと書きあがったので投下しますー。




 夜。
 寒さが強くなってきた、夜の商店街。
 そこに氷雪恋は立っていた。
 玩具屋のショーケース、そこに飾られている武装神姫。
 それを恋はずっと見つめていた。
 買えない。お金がない。小学生のお小遣いではとても足りない。
 そこに男たちが声をかける。
「ねぇお嬢ちゃん、神姫欲しいの?」
「俺たちが買ってあげようか?」
 下心丸出しの下卑た笑い。
「ちょっとビデオ撮らせてくれるだけでいいからさぁ」
「そうそう」
 無言を肯定と受け取ったか、男たちは恋の手首を掴み、路地裏へと連れて行く。
 恋はただ無言のまま連れられ、夜の闇に消えていった。


神姫狩りシリーズ 03


FOUNDLING DOG WALTZ


「納得、いかねぇ」
 時刻は土曜の昼、場所は警察署。
 桐沢静真(きりさわしずま)は、不貞腐れていた。
「なんで俺がケンカでしょっぴかれなきゃならねーんだ、くそっ!?
 おまけにあのクソ兄貴っ!」
 ここから回想。
『あ、もしもし警察ですけど。仕事中に申し訳ありません。実はお宅の弟さんが…』
『ウチにそんな弟はいないので煮るなり焼くなり犯すなり好きにしちゃってください。あと伝言よろしく。強く生きろ赤の他人、さいでに泊まってけ。兄は忙しいのだ。以上』
『……だそうだが?』
 警官が同情したような目で見る。
『チクショーッ!?』
『なんかお前も大変だな……まあ強く生きろ少年』
 短いが回想終わり。
「あーくそ、気分悪っ」
 足元に転がっていた空き缶を思いっきり蹴飛ばす。からん、といい音を立てて盛大に転がっていく。
 空を大きく飛んだ、わけではないのはご愛嬌。
「きゃっ」
 空き缶が転がった先から、女の子の声が聞こえた。
「んぁ?」
 静真がその方向を見る。
「お前は……昨日の」
 そこには、沈んだ表情で恋が立っていた。
「あの……昨日は、ありがとうございました……」


78:FOUNDLING DOG WALTZ
06/10/21 01:43:57 BPpdn7O3
 状況を端的に記すと、恋が男たちに連れ込まれたときに静真が都合よく現れて助けた、
 ただそれだけの話である。うん、よくある話だ。
 ただ、ちょうど静真が腹の虫が最悪に悪かった時だったので路地裏どころか表通りでの大乱闘になってしまい、血ぃ出るわ粗大ゴミは飛ぶわの大立ち回り。
 恋はそのあまりの乱闘ぶりに怖くなって逃走。まあ小学生の女の子だから当然といえば当然である。
 かくて、「女の子を助けに入った」という美談部分は被害者逃亡のために無かったことになり、あとはものすごい大乱闘だけが残る。かくして見事に警察行き。
 いちいち女の子を助けに入った、とあえて言うのもかっこつけてるみたいでなんか嫌だし、相手の男たちは自分らの悪事を自分から吐く訳もない。
 ギャラリーのみなさんは事情を知らず喧嘩しか見ていない、かくして単なる傷害事件の出来上がり、というわけであった。
 まあ、静真や相手が未成年の高校生なのが幸いであった。相手は元々普段から素行の悪い不良たちであったため、静真も停学ぐらいで済むという話。
 ちなみに、いまさら停学になった所で問題はない。何故なら皆勤賞の野望は先月に兄によって阻まれてしまったからである。おのれ。

「ま、そういうわけだから気にするなよ。元々ムシャクシャしてたから丁度いい、ってばかりに自分で売ったケンカだし。だからお前にどうこう言うつもりはねぇし」
 静真は歩きながら恋に言う。
「でも……」
「そうよ。静真の自業自得だもの。貴女が気にする必要はないわ」
 静真の鞄から声がする。
「!?」
「おい、ベル…っ、外で出るなって」
 静真の静止も聞かず、カバンのジッパーが内側から開けられ、小さな人影が飛び出す。
「武装…神姫…?」
 静真の肩にのったそれは、悪魔型、ストラーフタイプ。
 ただひとつ違うのは、ボディがまるでアーンヴァルタイプかのように、白い事。そして、巫女服のような神姫サイズの衣服を着ていることだった。ちなみに、巫女服のような、と称したのは、袴部分がミニスカート状になっているからである。
「ええ、そうよ。初めましてお嬢さん。私はベル。よくありそうな名前なのは静真のネーミングセンスの悪さだから気にしないで」 
「だからお前はオーナーを敬うって気持ちをだな…ん? どうした?」
 恋がベルを凝視していることに気づいた静真が問いかける。
「いえ……なんでもないです」
「なんでもないことないだろ。あ、いやな、この服は俺の趣味じゃないぞ、こいつが服を着せろってうるさくて」
「そうじゃないんです。ただ……ちょっと、思い出してしまって」
「武装神姫…?」
「はい……」
 それきり、恋はしばらくの間、口を閉ざす。ややあって、ぽつり、と言った。
「私も、神姫が欲しかったんです。そして、その願いはかなったけど……」
「けど?」
「……殺されたんです。いきなり襲われて。
 わかってる、本当はそれでよかったんだって。私は……でも、それでも、あの子は私の友達だった…」
(……)
 事情はわからない。静真にはわかるはずもない。彼女はきっと色々な事があったのだろう。
 その傷は彼女自身のもので、知り合ったばかりの自分が口を出していいものではないのだろう。
(でもまあ、ほっとけねぇよなぁ)
 関係ないと突き放すのは簡単だが、それはなんというか嫌だと思う。美学、なんて大層なものじゃない。性分、ってやつだろう。
 静真は恋に追いついて言う。
「恋ちゃん、だったっけ。今時間ある? ちょっと見せたい、面白い場所があるんだけど」

79:FOUNDLING DOG WALTZ
06/10/21 01:44:58 BPpdn7O3



「レンタルシンキブース…?」
 恋は、その店の看板を読み上げる。
「ああ。ま、入って入って」
「お邪魔します…」
 自動ドアの前に立ち、中に入る。すると、
「いらっしゃいませにゃーーーっ☆」
 いきなり、甲高い声が響いた。
 テーブルの上にさらにテーブル。小さい。そしてそこに猫型MMS、マオチャオが座り、笑顔で手を振っている。
「ここは…? え、ええと、こんにちは……」
「うにゃ。お客さん初めてだネ? アタシは受付嬢のマオファ。よろしく。んー、しかし…しずっち、まさかお前さんがロリコンだったとは痛たっ!?」
 静真のデコピンがマオファに炸裂する。
「黙れバカ猫。香織さんは?」
「てんちょーならすぐくると思うけど。それよりも誰がバカ猫だにゃ、だいたい…」
「え、ええと……?」
 展開においつけずにうろたえる恋。
 そのとき、受付の奥のドアが開く。
 そこから現れた20代半ばぐらいの眼鏡の女性が、マオファをひょい、と掴みあげる。
「うにゃ?」
「はいごめんねー。あら静真君じゃなーい、久しぶりやなー。何やそちらのお嬢さんは? 何、キミロリコンやったん?」
「はははははははははあんたら揃いも揃ってなあこんちくしょう」
「日ごろの行いね」
「てめぇまでっ!? あー、ごほん。えーと、ここはだな」
「まあまあ」
 女性…香織が静真の言葉をさえぎる。
「百聞は一見にしかずや。見てもらったほうが早いし、びっくりすると思うけどな?」


「わぁ……」
 思わず声が漏れる。
 広い部屋は、デパートや遊園地の遊具スペースのような様々なおもちゃが置いてあり、そこには子供たちと、武装神姫が遊んでいた。
「武装神姫……こんなに」
「そや。たくさんおるやろ? この店はな、武装神姫を貸し出して遊んでもらう店やねん。
 ある意味、神姫たちの孤児院みたいでもあるわな」
「孤児院…?」
 香織に続き、ベルが言う。
「そう。ここの半数の子たちはね、捨て神姫なの。人間の都合で捨てられた子、飽きられた子、壊されてそのまま廃棄を待つだけだった子……それを物好きなこの人が、借金してまで買い集めたりあるいは貰ったりして来て」
「ベルちゃんあのな。物好きはないやろ」
「じゃあ酔狂、ね。新しく売るんじゃなくて、子供のお小遣いで借りれるような金額で貸し出すなんて、酔狂もいいところ。儲け、出てないんでしょう? まったく、理解できないわ」
「あいかわらず言うことキツいなぁ。まあソコがかわいいんやけどね」
「そぅかぁ?」
 静真が嫌な顔をする。
「そうや。んーと、こほん。まあそんなワケでな。武装神姫って、結構高いやろ? 特に拡張パーツやらなにやらそろえたりとかはとても子供じゃ無理や。
 親に買ってもらえたり、お年玉貯金でどうにか出来る子はまだええ。
 でも買えん子はぎょーさんおる。わかるやろ」
「はい……」
「そんな子たちのためにやな、武装神姫を貸し出して、遊んだり話したりする店や、ここは。
 武装神姫は人間の友達、パートナーや。人間は、特に子供たちはもっともっと神姫と触れ合わなあかん。ロボット技術が発達して文明が豊かになっても、大切なものは何も変わらん。
 心や。心と心の触れ合い、コミニュケーションが大切や。
 そしてせっかくの心をもった人間のパートナーとなれるロボット。こりゃもう、触れ合う機会はあればあるほどええ。違うか?」
「違わないと、思います…」
 目を輝かせる香織に、恋も頷く。
「まあ、えらそな事言うとるけどな、確かにベルちゃんの言うとおりに酔狂かもしれへん。
 だけど見てみ。ここに来てくれる子供たちの笑顔。
 私はこれが見たくてこの商売やってんねや」
 香織に促されて、恋は見回す。
 確かに、そこには笑顔があった。

80:FOUNDLING DOG WALTZ
06/10/21 01:45:48 BPpdn7O3

 ……私も、あんなふうに笑えるのかな。

 恋は思う。
 思えば。サマエルと共にいた時、私はこんな風に笑えていただろうか。
 覚えていない。
 それが、寂しかった。



 この店には、神姫サイズの遊戯場から、神姫のオンライン仮想バトルの機械まで揃っていた。
 バトルに関しては店の性質上、公式リーグへの登録は行わずにオンラインでの草バトルを行っているらしい。
 確かに、レンタル屋という性質上、ひとつの神姫のオーナーは毎回変わるし色々と面倒だから、だ。だがそれで特に不都合はないとのことである。
 確かにこの店の客層は、いずれ神姫を購入し公式リーグで戦うための練習を行うユーザーや、単純に神姫と遊ぶ目的の子供などが大半を占めている。
 まあ、中には……

「はぁはぁ犬子たんの素体萌え~」
「お股を開いたり閉じたりさせて下さい!」

 なんてのもいるのだが。あ、撃たれた。
 閑話休題。
 客はここに用意されている神姫たちを指名して借り受ける。値段は、店内では一日500円、一泊二日で800円。
 人気のある神姫は中々借りることもできないのも、「レンタルビデオ屋と同じ」である。
 そこ、間違ってもホ○テ○みたいと言うな。

「……」
 だが、恋はその光景を黙って見ているだけだった。
 お金は確かに、神姫と遊ぶくらいのお金はある。しかし、どうにも気が乗らないのだ。
 考えることが多すぎる。考えてしまうことが多すぎる。
 捨てられた神姫。壊された神姫。ここにいる大半は、そうして死んでいく運命だった成れの果て。
 捨て犬。捨てられたペット。ゴミ。いらない子。
 そういう単語が次から次へと浮かぶ。
 だから、思ってもいないこと、思ってはいけないことが次々と浮かぶ。
 サマエルの眼差し。友達だった。友達だった? 本当に?
 あの女は言った、操られていると。
 それは嘘。私は自分の意思で。自分の意思で? 自分の意思で多くの神姫を操った?
 違う。
 何が違うの?
 友達? 笑わせる。道具のように扱った。道具のように扱われた。だから道具のように。
 友達という言葉で隠して、自分の醜い欲望を隠して。
 何が違う。
 ここにいる神姫たちを捨てたオーナーたちと……何が違う!
 ―何も、違わない。
 だから私は、ここにいる子たちのように笑う資格はない。笑う権利もない。
「お、おい恋ちゃん!?」
 恋は、罪悪感に苛まされて立ち上がり、走り去る。静真はあわてて後を追おうとするが、しかしベルに止められた。
「放っておきなさい」
「でもよ……!」
 ベルは神姫サイズの湯のみにお茶を淹れて飲みながら静かに言う。
「構って慰めるだけが優しさじゃないわ。どんな物語も、乗り越えるのは本人よ」
「だからって、見捨てられるかよ」
 それに、ここに連れてきたのがまずかったのかも知れないし。そういう静真にベルは平静に答える。
「見捨てるのと放っておくのは違うわ。それにね静真、あなたは彼女をここに連れてきた、それでよかったのよ。

81:FOUNDLING DOG WALTZ
06/10/21 01:46:55 BPpdn7O3
 どんな形であれ、前進することはいい事よ。ただ立ち止まるよりは」
 後は、道を間違ったり踏み外すようならそのときに支えてあげればいい。でも、今は違う。
 ベルはそう続けて、お茶を飲み干した。
「――でも、それでも。賢い思考よりも愚直な行動を取るのよね」
 律儀にも聞くだけ聞いた後で再び追いかけて走り去った自分のマスターを見送る。
「本当に愚かで――人間って、本当に理解できないわ」
 その光景を香織はカウンターで眺めて、思う。
 確かにそうかもしれへんな。でもね、ベルちゃん?
 そう憎まれ口を叩くあんたの顔、いっぺん鏡見てみぃや。
 すごく、優しい……いい顔、しとるよ?




「はぁ、はぁ……」
 走った。恋は荒い息を整える。ここはどこだろう。
 まだ店の中、建物の中のようだ。
「倉庫……?」
 暗い部屋の中に陳列された棚。神姫のパーツやそのほかの玩具が並んでいる。

「誰」

「!?」
 恋の耳に声が聞こえた。
「誰……誰かいるの?」
「人間は質問に質問で答えるのか?」
 恋の言葉に、声は答える。
 やがて恋の目が暗闇に慣れる。棚の奥に、それは座っていた。
「神…姫?」
 犬型MMS、ハウリン。それが棚に座っていた。
「そうだよ。見れば判るだろ」
 その神姫は、ぶっきらぼうに言い放つ。
「用がないんなら出てけよ。オレは人間は嫌いなんだ」
「人間は、嫌い……?」
「ああ。好きになれって言うほうがどうかしてる。勝手に作り出して勝手に戦わせて、勝手に捨てる。
 どの道壊すのなら、心なんて付けるなって言うんだ」
「そう…嫌いなの。
 気が合うね、私も……嫌いになったところ、人間がじゃなくて、自分自身がだけど」
「はぁ?」
 その言葉に、神姫は怪訝そうに声を返す。
 恋は、ゆっくりとそのハウリンの元に歩き、腰を下ろす。
「あなたの言うとおりだと思う……人間(わたし)は、本当に身勝手で。
 私も……自分の気持ちしか考えなくて。ずっと一人だったから、だから……自分のさびしさを埋めるための道具としか見てなかったんだと思うの。
 それに、もっと早く気づいていたら……そしたらあの子と、本当に友達になれてたのかも……」
「……よくわかんねぇけどお前も大変だったんだな。
 いつだってそうさ。気がついたときには遅すぎる。
 オレだって、マスターとは強い絆で結ばれてた。そう思ってた。……オレの場合は、気づかなきゃよかったのかもな。
 オレがマスターに、道具としてしか見てもらえなかったって。
 勝ち続けてきた便利な道具は、一度負けたときにその理由を失うって」
「……」
「オレはね、結構有名なランカーだったんだ。常勝無敗。いずれはトップに近づけるはずだった。
 だけど……あの時全てが狂ったのさ。いや、最初から狂ってた、か。
 オレのマスター、不正してたんだ。オレも知らなかった。そして本部から刺客が送られてきた。
 神姫狩り、ってヤツさ。非公式のハンター。九ツ首のヴァッヘバニー、クトゥルフオブナイン。
 強かったよ。それで負けちまってさ。
 オレが戦ってる間、マスターはどうしたと思う? 逃げたんだよ。オレを置いてな。ああ、でもそれでもよかった。マスターが無事だったら。
 そしてオレは壊れた体を引きずって、なんとか家に戻ったら……笑い話さ。もう家には何も残ってなかった。小さなアパートだったけど、オレたちにとってそこは大切な、帰る場所だったはずなのに。
 何もかもなくした、んじゃない。最初からオレは……何もなかった。ただの、捨て駒だったんだ。
 それに気づいてしまうぐらいなら、いっそ何も知らないまま壊れて死ねばよかったんだろうけどな」
 ハウリンは自嘲する。

82:FOUNDLING DOG WALTZ
06/10/21 01:48:04 BPpdn7O3
 ハウリンは言って気づく。となりの人間の肩が震えていることに。
「お前……泣いてんのか?」
「だって……ごめんなさい、ひどいことして……本当に……」
「……」
 その恋の言葉にハウリンは少し黙り、
 ばこん。
「痛っ!?」
 恋の手を思いっきり蹴飛ばした。
「バカかお前。なにがごめんなさい、だ。お前がやったんじゃねぇ、それとも何か。人間代表のつもりか? うぬぼれんなよ、バーカ」
「バ、バカって……バカって言うほうがバカで……」
「なにベタな返ししてんだよ。小学生かおめーは」
「……小学生です。五年生……」
「……マジかよ。くそ、しくじったな畜生。
 あー、まあ、そのなんだおめー。とにかくお前が悪いわけじゃねぇから泣くなバカ。
 ……まあ、でもその気持ちだけはありがたくうけとっといてやるよ」
 そっぽを向き、ハウリンはつぶやく。
「うん……ありがとう」
「謝ったり礼いったりちぐはぐなやつだな、えーと……」
「恋、です。ひゆき、れん。恋する、って書いて恋」
「そうか。オレは……普通にハウリンでいいよ。名前なんかとっくに捨てた」
 オーナーに捨てられたときに。そう続けるハウリンに、恋は少し考えて言った。
「じゃあ……私が名前をあげるよ」
「は?」
「名前がないと、誰からも呼ばれないでしょ。それって、悲しいと思うから」
 自分が、そうだったように。
「……ハティ。どうかな。月を呑む狼、フェンリルの仔、ハティ」
「……ハティ、か……」
 ハウリンは、その響きを反芻するように何度か口にする。
「気に入らなかった?」
「さあな。だけど、もらえるものはもらっといてやるよ、レン」
 そっぽを向きながらハティは答える。その言葉に、恋は笑顔を浮かべた。

「……出番なし、か」
 倉庫の前のドアを背に、静真は笑いながらかるくため息をつく。
「ま、邪魔者は退散、かな。追いかけてって何もせずに戻るってぇのは、ベルの奴に色々とまた言われそうだけど……ん?」
 立ち去ろうとすると、廊下の向こうから見知った顔の子供が走ってくる。
「静にーちゃん、大変だよ!」
「どうした?」
「なんか怖い男の人達が店に!」
「なんだって!?」




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