06/10/18 00:58:26 pa3KOd5n
前スレ>>942の続き 一応此方にも投稿
「知ってんだな。 なら、話は早い」
ハセヲはそう言うと、組んでいた腕を下ろして小さく笑った。
ハセヲは何か、あの黒い点について知っているのだろうか。
「なぁ、ハセヲ………あんたとエンデュランスとの試合の時も、昨日天狼に会った時も、その『黒い斑点』が見えたんだ。
あれは一体、何なの………?」
『黒い斑点』。 ハセヲが言うに、『この世界のどこにも存在していない、しかし確実にここに在るもの』。
気になる。 存在していないけど確実に在るものって、一体どういうことだろ?
まあでも、何となくは分かる。
アレは、普通の『The World』には存在し得ないものだって事は………。
「………あの黒い斑点は、『AIDA』と称されるモノだ。
お前も察してる通り、この世界には存在し得ない、仕様外の存在。
アレは、プレイヤーに様々な影響を与える謎の現象なんだ」
淡々と話す、ハセヲ。
どうやらあの黒点――"AIDA"は、プレイヤーに様々な影響を与えるらしい。
………様々な、影響? もしかして、天狼の異変とか、アタシが『The World』の中に意識を引き込まれたことも、やっぱりアレが原因………?
「あの黒点………"AIDA"は、今凄まじい勢いでPCからPCへと感染して行っているらしい。
ほら、この前サーバー閉じ込め事件があっただろ? あの時以来、『感染者』は増え続けてる。
そして、"AIDA"本体や『感染者』にPKされたプレイヤーは、未帰還者………リアルで意識不明に陥る可能性がある」
「何だって!?」
BBSや巷で噂に噂を呼んでいる『未帰還者』。
まさかそれを生み出す原因が、その"AIDA"だったとは。
だとしたら、それに取り憑かれたような風だった天狼が危ない。
確かに昨日、アタシは見た。 アタシを陵辱している天狼の背後に揺らめいていた、黒い斑点を………
「………ハセヲ、実は天狼が、その"AIDA"に取り憑かれているかもしれないんだ!
こうしちゃ居られない………早く天狼を助けなきゃ………!!」
ハセヲの言う事が真実だとしたら、あれだけ沢山の黒点に憑かれていた天狼は、かなり危険な感じだった。
何とかして天狼から"AIDA"を分離しなければならない。
………どうやればいいのか、分からないけど。
でも分かる分からない以前に、まずは天狼と面と向かって話し合うしかない。
ちゃんと天狼についてる"AIDA"の事を説明して、その上で………CC社にメールしよう。
管理者ならば、こういった事情に対してもきちんと対処してくれるはずだ。
でもハセヲが発した答えは、予想だにして居なかった一言だった。
「………"AIDA"の能力ってのは、PCをキルして未帰還者にするだけじゃないんだぜ。
分かりやすく"AIDA"の『力』に関して説明してやるよ………」
"身を持って、な"
「―――!?」
瞬間。
ハセヲの右肩から、無数の黒い"手"が伸びる。
凄まじいスピード。 避けるどころか、視認することすら出来なかった。
一瞬にして、アタシはその黒い手によって両手の自由を奪われてしまった。
何が何だか分からない。 恐る恐る、ハセヲの顔を見る。
表情は良く分からなかった。 だって、ハセヲのPCを、画面を埋めつくすほどの"AIDA"が、覆い隠していたから。
次回は明日………次から、ちょっと展開を変えてみよう(´・ω・`)
コレの次くらいにリアル編かな………