.hackのエロパロ vol.10at EROPARO
.hackのエロパロ vol.10 - 暇つぶし2ch100:名無しさん@ピンキー
06/10/22 05:06:42 rkJHk7LV
おまいら乙
ハセヲ×カール×揺光投下

101:名無しさん@ピンキー
06/10/22 05:08:14 rkJHk7LV

「あの、すみません。仁村先輩はいらっしゃいますか?」

3年の教室に来るのは相変わらず緊張する。
同じ校舎のはずなのに、階が違うだけで何となく空気まで違って思えるからだ。
2年に進級して少しはこの空気に慣れたと思っていたはずなのに、やはりいつも緊張を禁じえない。

「仁村っちー、後輩ちゃんがご指名ー!」
「仁村っち言うな」

クラスメイトを軽く小突きながら長身の少女が近づいてくる。
3年の仁村潤香だ。2年の倉本智香と同じ図書委員、つまりは先輩に当たる存在。
背のあまり高くない智香からすれば、まさに潤香は大女だった。
あの坂本竜馬の姉の乙女姉さんが五尺八寸、174cmだっと言われているが彼女は更にでかい。

「どした、智香」
「えと……折り入って、相談したいコトあるんだけど……ダメ?」
「いいよ。放課後、図書館に……ってあんた今日、当番だったか」
「うん」
「なら準備室で待ってな。あ、あたしのカールには触るんじゃないよ」
「分かってるって」

カールと言うのは文字通り、あのカール。
某明治製菓が1968年に製造開始した、あのカールである。
今年2018年にめでたく50周年を突破、潤香の大好物であり非常食でもある。
偏食家の潤香は弁当の類を嫌い、いつも図書準備室に篭ってカールばかり食べているのだ。
無論、図書委員の仕事はほったらかしで……。





****************************





「私のオススメはコレだな、新潟限定のかに味カール。
 名古屋限定の手羽先味カールもイケる。おっと、やらないからな」
「お菓子の自慢はいいからさぁ、アタシの話も聞いてよ……」
「聞いてるさ」

放課後―――。
約束通り潤香は知香の相談に乗るべく図書準備室の戸を叩いた。
いや、ただしは買い置きしていたお菓子を摂取するためだが、今はそんなことはどうでもいい。

「死の恐怖のハセヲなら、あたしも聞いたことある」
「ホント?」
「あたしのクラスにも《The World》やってる奴は何人もいるし。有名っぽいね、そのPKK」
「元PKK。今はイイ奴だよ、すごく」
「それも知ってる。あんた、ハセヲとパーティ組んでるんだろ?」
「うん、まぁ……ね」


102:名無しさん@ピンキー
06/10/22 05:09:35 rkJHk7LV

「あんたゲームやっててブッ倒れて、そのまま意識不明のまま入院しちゃったもんな。
 昔のあたしと同じで、あの時はさすがに驚いた」
「ん……その辺のことはちょい曖昧なんだけど」
「ゲームに取り込まれてたんだろ? あたしも未帰還者だったし、大体のことは分かってる」

揺光のリアル、倉本智香が未帰還者になったように。
この仁村潤香もまた未帰還者の1人だった。ただし、それはもう8年も前のこと。
まだ《The World》がR:1と呼ばれていた頃の話だが。

「んで? 今日の相談内容ってソレ? CC社相手に告訴でもしようって?」
「違う違う! そーじゃなくてさ、何て言うか……」
「……男だろ?」
「うっ」
「相手はそのハセヲって子?」
「よ、よく分かったね……」
「てか、最初っからバレバレ」

智香と潤香は学年は違うものの既に1年以上の交友関係にある。
高校の入学式の日、図書館を見学に来た新入生の智香を案内したのが
その日委員会の仕事を担当していた潤香だった。が、それ以前に交友はあった。
《The World》で知香は初心者PCの揺光、潤香は碧星宮の宮皇兼PKKのカールとして。

「智香が恋愛ねぇ……こりゃ今年は猛吹雪が吹くね。いや、札幌にレギオンが降ってくるかも」
「そ、そんなに変かな? 似合わないかな?」
「そゆんじゃないよ。あんたが気に入ったんならいい奴なんでしょ、その子」
「うん……」

親友以上の潤香だから、包み隠さずに話すことができる。
もう揺光とカールとしての友情はないかもしれないけど、今は智香と潤香としての友情がある。
そう思えるから、智香は潤香に何でもいいから助言をしてもらいたかった。

「その子にはもう、好きって言った?」
「あ……それは、まだ。メールでフラワーギフト貰って……告白されたんだけど……」
「ほーう。……で、あんた。まさか返事しなかったとか?」
「『アンタの気持ちは受け取ったよ。胸にしまっておくね』って返事はした。
 あと、『アタシ、裏切ると怖いから!』って……最後に書いちゃった、みたいな……?」
「……最後でやっちゃったねぇ。そりゃ引くわ」

いくら好きの裏返しでも、これはキツイとさすがの潤香も思った。
智香は外見はそれなりに遊んでいる様な感じはするが根は真面目な子だ。
普段から委員会の仕事をロクにしない潤香から見れば、よほどの優等生だったのだ
(それでも潤香自身、やる気の無ささえなければ優等生の部類に属してはいるが)。
それはゲームの中でも同じで、少なくとも潤香がカールとしてプレイしていた頃の智香、つまりは揺光も悪い子ではない。
打ち解ければ人懐っこい子犬のようにじゃれて来る姿は今も鮮明に覚えているし。

「おばあちゃんが言っていた……。頭は鍛えなくていい、ただし男を見る目だけは鍛えておけ。って……」
「勉強苦手なアタシに対する嫌味にしか聞こえないんだけど……」

潤香の言う「おばあちゃん」とは彼女の母方の祖母の仁村タキ江のことだ。
智香が潤香の家に遊びに行った時に何度か会ったことがある。
つい数年前まで美大入試のための塾で講師をしていたこともあるらしい。
遊びに行った時「潤ちゃんがこんな可愛いお友達を連れて来るなんて!」と感激されたものだ。
更に言及すると、潤香の母は離婚経験がある。孫の潤香にそんなことを教えるのも、無理もない気はするが……。


103:名無しさん@ピンキー
06/10/22 05:11:22 rkJHk7LV

「智香としてはどうしたい? ハセヲって子と付き合いたいの?」
「まぁ……そりゃ……」
「なら付き合えばいいじゃん」
「付き合いたいけど……」
「おんやぁ、まだ他に問題あり?」
「ハセヲの周り……アタシの他にも色んなPCがいてさ……ハードル高い、って言うか……」

聞けばそのハセヲと言うPCの周囲には
電波系呪療士娘、ツンデレ系年増拳術士、ロリショタ系小学生魔導士、ネカマ撃剣士、電波系美青年斬刀士
などが存在していると言う。後半の2人についてはよく分からなかったが、とにかくそーいうコトらしい。

「くっくっく……何ソレ。面白いね、そのハセヲって子」
「笑い事じゃないって! ホント毎日大変なんだぞ!」
「智香、口調が揺光になってる」
「うわっ、ゴメン……ともかく、アタシとしてはもうちょっと……ハセヲと親密になりたいなぁ……って」
「んー。事情は分かった」

智香の話を聞いてる間もカールを口に運び続けていた潤香の動作が止まる。
と思いきや、指についたお菓子のカスを舌で数回舐め取り、ティッシュで拭いて丸めてゴミ箱へポイ。
食べている間に何か名案が浮かんだらしく、珍しく気だるそうな顔が明るく見えたのは智香の錯覚ではない。

「最近面白いことなくて暇だったし。協力したげる」
「え、潤香が……? で、でも、アンタ、もう《The World》引退したんじゃ?」
「再手続きすりゃいいさ。
 あんた達が頑張ったおかげで、もうAIDAだか山田だかってのはいなくなったんでしょ?」
「う、うん」
「決まり。まだカールのPCデータ廃棄してないし、再ログインするよ」

カールのPCデータ―――あの“喪服の魔女”の異名を持つ鎌闘士(フリッカー)のことだ。
銀色の髪と群青色のドレスが映える、PKに襲われていた初心者時代の揺光の窮地を救った戦乙女。
天狼以前の碧星宮の宮皇でもあり、揺光が宮皇を目指すきっかけとなった女性PC。それがカール。

「潤香、いいの? もうゲームやらないって言ってたのに」
「気が変わった。それに約束したろ? “いつか、また一緒に遊ぼう”って」
「あ……」



“あんたは強くなる。自分に馬鹿正直な奴ほど強くなるって天狗のオッサンも言ってたし”
“だ、誰が馬鹿だっ!?”
“揺光”

“いつか、また一緒に遊ぼう”
“……絶対だからな!”



「……覚えてて、くれたんだ?」
「忘れないよ」
「そっか……えへへ、ちょっと感動――」
「それにそのハセヲって子にも興味あるし」
「そ、それだけは絶対ダメ―――――――ッ!!!」
「そうだな。図書館内は静かにしなきゃダメだな」
「あぅ……」


104:名無しさん@ピンキー
06/10/22 05:13:11 rkJHk7LV

《智香が潤香に相談を持ちかけてから約3週間後――――》


「でな、俺はその子に言ったんだよ。
 何かあればすぐに呼んでください、貴女のクーンが何処にでも駆けつけます、ってな。 
 いやー我ながら決まったね、アレは!」
「クーンも飽きねぇな……」

ハセヲだ。
今日はついてねぇ日だぜ……見りゃ分かると思うがクーンに絡まれてる。
噴水広場で待ち合わせしてた矢先にコレだ……テンション下がるな、まったく。

「お前さぁ……今更だけどこのゲームに何求めてんの?」
「強いて言うなら出会い、だな。
 現実に疲れた女性達が新たな出会いを求めて《Thw World》にやって来る。
 俺はそんな彼女達のココロのスキマを埋めるためにログインしているのかもしれない……一個のクーンとして!」
「やってることは喪黒福造よりタチ悪ぃーぞ」

結局はナンパ目的だしな、コイツの場合。
AIDA事件以降もクーンのナンパ癖は治りきってないらしく、未だに色んなPC連れてるのよく見るし。
何つーか……コイツだけは見習っちゃいけない気がする、男として。

「ハセヲの方はどうなんだ」
「何が」
「今年で高3だろ? そろそろ彼女の1人や2人出来たんじゃないか?」
「1人はともかく、2人もいらねーっつの。フタコイじゃあるまいし」

……だからコイツには絡まれたくないんだ。
話題がどーにも一方的過ぎて敵わねぇ。早く終わらねーかな……。

「ハセヲ」
「あ」
「お待たせ」

やれやれ……やっと来た。

「おぉ……おぉぉぉ!!! ハセヲ、お前いつの間にこんな美人とお近づきになったんだ、おい!?
 水臭いなぁ~、俺にも紹介してくれれば良かったのに!」
「あのな……俺は出会い系サイトの回しモンか?」

クーンが鼻息を荒くするのは無理もない。
俺が待ち合わせていた相手―――――カールは、確かに美人だった。
知り合ってまだ日は浅いけど、俺は最近よくカールとパーティを組んでんだ……揺光も一緒にな。

「初めまして、美しいお嬢さん。俺は――」
「“鋼の貴公子ジーク”も今はただのナンパ野郎とは……年月って残酷」
「え……なッ……?」
「今のあんたの姿見たらアルフが泣くよ」
「ジ、ジークって……キミは……!?」
「ハセヲ、行こ。揺光が待ってる」
「ん、そだな」

懲りずにナンパしてきたクーンを一蹴、カールがゲートの方へ背を向けた。さすがだ。
俺もカールを追う形でゲートに向かう。てか……クーンの奴は固まって何してんだ? ジーク?
まぁいいか、さっさと行こう。揺光を待たせるのも悪いしな。


105:名無しさん@ピンキー
06/10/22 05:15:10 rkJHk7LV

「時間通りだな」
「おっす、揺光」
「う、うん。おっす」

何かここんところ、いつもこのメンバーのような気がする。
俺とカールと揺光の、この3人な。揺光達とパーティ組むのも嫌いじゃねぇし、これはこれで気に入ってるけど。

「で、今日は何すんだ?」
「ハセヲとイチャイチャできる場所ならどこでもいい」
「カッ、カールッ!」
「冗談だって。早とちりはイックナ~イ」
「冗談でもそういうのは禁止!」
「お前ら、仲いいのなw」

確か……今週で3週間だな、カールと知り合って。
揺光の紹介で一緒にパーティ組むようになったけど、どーにも掴み所が無いって言うか……強ぇけど。
それに調べて分かったことがある。カールと言や、俺がPKKになる前に名を馳せていたPKKの名だった。
PKK兼ハンター。どーりでカールと一緒に居るといつもの倍近くPKに襲われるはずだぜ……全部返り討ちだけどな。

「カールと揺光って姉妹みたいだよな。こうして見ると」
「あたしはこんなちっさい妹、持った覚えはないけど」
「ア、アタシもこんなでっかいお姉ちゃんはパス!」
「ほら、やっぱな」

息が合ってんじゃん、絶対。あーでも身長差は確かにあるな。カールがでかすぎるってのもあるけど。
それとも揺光がちっさいのか? ゲームで身長低めに設定してるってコトは、揺光のリアル、何センチなんだろ……。

「リアルの揺光はあたしよりちっさいよ。17歳女子の平均身長以下だね」
「うわーうわーっ! 何言ってんだよ!」
「? お前らリアルでも知り合いなワケ?」
「そだよ、学校同じだもん。な、揺光」
「う、うん」

そーいうコトか。この2人、何かやけに親しげだとは思ってけどな。
でもいいのか? そんな簡単にリアルのことバラしちまって。ネトゲ初心者じゃあるまいし。
まぁこの際、もうちょっと探り入れてみるか……。

「カールも北海道なんだな。一緒のクラスなのか?」
「いや、あたしが3年で揺光が2年。でも委員会は同じ、図書委員」
「へぇ。でも学年違うけど、お前らリアルでも仲良さそうじゃん」
「良いよ。今年のエトワール選に一緒に出るくらいだし?」
「いつからアタシ達、アストラエアの乙女になったんだよ……」

やべ、やっぱコイツら面白ぇ。
あの揺光がここまで気ぃ許すってことは、実際リアルでも相当仲良いんだろ。
揺光が振り回されっぱなしってのも、意外な一面を垣間見た感じだ。

「ハセヲはあたし達のリアルに興味ある?」
「いや、そーいうワケじゃねーけど……」
「揺光はね、あるって。きみのリアルに興味しんし~ん、もっと仲良くなりたいんだってさ」
「……そうなのか?」
「……うん」

俺のリアルねぇ……メールでほとんど教えたはずだけど。
メール……メールと言や……俺、揺光に告ったんだったな……すっかり忘れてた……。


106:名無しさん@ピンキー
06/10/22 05:16:44 rkJHk7LV
2人一緒じゃダメですか? .hack//ZERO 第2巻の発売マダー? 何のことです?
おやすみおまいら

107:名無しさん@ピンキー
06/10/22 05:38:59 CBS03jc9
>>106
っっっっっっGGGJJJ!!!これはいい・・・!

つか仕事早ぇぇぇ
続き超wktk

108:名無しさん@ピンキー
06/10/22 09:20:23 ecyp9dsF
GJ!というか、フラワーギフト送ったらそういう返事が返ってくるのか~。こいつはやり直すしかないな。

109:名無しさん@ピンキー
06/10/22 09:22:32 B5G27EZw
>>札幌にレギオンが降ってくるかも

ガメラwwww


110:名無しさん@ピンキー
06/10/22 10:03:21 yo1bgVpi
GJ!
>>ネカマ撃剣士
これってアスタ?サブロー?どっちだろ
 

111:名無しさん@ピンキー
06/10/22 10:27:39 XOBH5J9g
>>106
GJ!正直終始wktkしまくりw
そういや志乃も戻ってるハズだよな。
揺光は知らないがタビーという伏兵も。

112:名無しさん@ピンキー
06/10/22 10:29:21 SM1rBlID
>>106
めちゃGJ!!!!!
>>110
それ俺も思った!

113:名無しさん@ピンキー
06/10/22 10:50:45 v8yzv6Yj
>>110
どっちでもいい!
どっちも好きだから!!

114:名無しさん@ピンキー
06/10/22 11:28:59 qVnxStyN
>>106
毎回話し作るの上手すぎ!超GJ!!
次もwktkして待ってるよ

115:名無しさん@ピンキー
06/10/22 12:07:02 cIkYVRD/
>>106
毎度GJ!


所で誰か、カールについて3行でまとめてくれ

116:名無しさん@ピンキー
06/10/22 12:43:06 yo1bgVpi
>>115
前作(ゲームより前だけど)で
未帰還者になった(たぶんスケィスにやられた)
重斧使い

117:名無しさん@ピンキー
06/10/22 13:02:01 8ZEQ4Uoa
>>115
小説.hack//ZEROの主人公
徳岡の娘で未帰還者
アウラの育ての親

118:名無しさん@ピンキー
06/10/22 13:10:07 cIkYVRD/
>>116-117
サンクス!

119:名無しさん@ピンキー
06/10/22 13:43:46 JSh8t1yK
揺光の知り合いってのは創作だよな!?

120:名無しさん@ピンキー
06/10/22 14:00:26 BLPrX8Q5
>>119
うん

121:名無しさん@ピンキー
06/10/22 22:37:59 a2bNZlhz
>「おばあちゃんが言っていた……。頭は鍛えなくていい、ただし男を見る目だけは鍛えておけ。って……」
(天上天下唯我独尊なヒーロー)きたかw

>>106
二巻は・・・もう・・・・(つд`;)

122:名無しさん@ピンキー
06/10/22 22:48:53 wvjfYpmg
天道だよな?だよな?>おばあちゃんが言っていた

123:名無しさん@ピンキー
06/10/22 23:18:20 8ZEQ4Uoa
やっぱりアイツであってたのかww>おばあちゃん
見た瞬間噴きかけてたんだ…

124:名無しさん@ピンキー
06/10/22 23:25:08 m1OyM98b
ライダーチョップのセリフから考えると、
.hack的にはひいおばあちゃんの方が良くないか?


125:名無しさん@ピンキー
06/10/22 23:34:28 +YeAT+bC
あいつカブト世代か、それとも再放送かな。
PKから助けると毎回「君にはヒーローの素質があるのかもしれない!」と熱く語るのはいいんだがまず自分がPKに狙われないように気をつけろと小一時間

126:揺光モノ「光の中に咲き誇る花」 ハセヲ?編5
06/10/23 00:30:15 PLedxmlh
>>27の続き
「さて。 じゃ、まずはしゃぶってもらおうか」
そう言ってハセヲは、ひざまづくアタシの前に仁王立ちして、そして――はちきれんばかりに直立したソレを、アタシの顔に押し付けてきた。
鼻をつく独特の匂い。
ハセヲのそれが、アタシのほっぺに当たる。
「ゆっくりと、飴を舐めるようにしゃぶるんだ」
「………はい」
言われるままに、アタシはハセヲのモノに口をつけた。
先端に優しく口付けをする。
そのまま、舌をチロチロと這わせ亀頭を唾液で綺麗にしていく。
「ん、んふ、んは」
一度肉棒から口を離し、今度はすべるように裏筋を攻めて行く。
時折ピクピクと動く、ハセヲのソレ。
ただ無心に、しゃぶり続けた。
「………っ、中々うまいじゃないか。 じゃ、そろそろ咥えてくれよ」
ハセヲに命じられ、アタシはソレから口を離す。
亀頭とアタシの口が、白い透明な糸で繋がる。
そしてそれを手繰り寄せ、今度は――お口全体で、ハセヲのモノを飲みこんだ。
「んふ、ふぐう、ん」
予想以上に大きいハセヲのモノは、尚もアタシの口内でピクピクと痙攣を起こしている。
その鼓動を感じながら、アタシはただひたすらに口を前後に動かし、ハセヲの肉棒を刺激した。
「うはっ、揺光ちゃん、その調子! ………じゃなくて、その調子だ、揺光」
………? 何だか今のハセヲの言動がおかしかった気もするけど、そんな事は今のアタシには気にならない。
ただ無心にハセヲのモノを刺激し続けた。
「んちゅ、んく」
「うぉ………揺光………! で、射精る………!!」
瞬間、アタシの口内でハセヲのモノが膨張した。
そしてハセヲは一気にアタシの口から肉棒を抜き取ると、欲望のままに白い精を放出した。
アタシの顔やネコミミに大量の白濁液が飛び掛る。
呆然とするアタシをよそに、ハセヲは満足げな顔だった。
「………ふう、やっぱりネコミミ装備の女の子に顔射するってのは最高の気分だな。
 さて、揺光………本番は、ここからだぜ………」
ハセヲの顔が歪む。
彼の体を包む"AIDA"は、さらに活発に揺らめいていた。

――――――――――

「………遅ぇな。 何してやがんだ、揺光のヤツ」
学校から帰ってきてすぐPCを起動した俺は、揺光からのメールが送られている事に気づいた。
どうやらアリーナ戦に向けてレベル上げに行きたいらしい。
それはまぁそれで都合が良かったのだが。 揺光にもう一人のアリーナメンバー、アトリの事紹介しねぇといけねぇし………
「ログインはしてるんですか? 揺光さん」
と、不意にアトリが話しかけてきた。
俺がログインした時には既にアトリがカオスゲートで待っていたのだ。 アトリも揺光と同じく俺とレベル上げに行こうとしていたらしい。
揺光の誘いもあるし、アトリの方はエリアワードが決まっていなかったため、メンバーの顔合わせも兼ねて揺光が来るのを待っていたのだった。
しかし、揺光からのメールが来てからかれこれ20分。
「………ログインはしてるみたいだけどな。 仕方ねぇ、先にエリア行ってるか」
ショートメールを送っても返事がねぇ。 単に離席してるだけなのか、それとも………
俺の脳裏に、この時一瞬、黒い斑点の光景が蘇ってきた。 クソ、何でこんな事に頭が回らなかったんだ………!
杞憂だとは思いたいが、可能性はけしてゼロではない。 急がなければ。
俺はアトリと共に、揺光のメールに書かれていたエリアワードを打ち込んだ。

忙しくて執筆遅れ気味

127:名無しさん@ピンキー
06/10/23 00:36:17 ejNRjfe1
犬と小豆娘の話を考えてるけど
どうみても悲恋です本当にありがとうございました

>>126
GJ
ていうかAIDAハセヲ、お前の正体まさかwwwwww

128:名無しさん@ピンキー
06/10/23 00:37:07 OVxK1RFM

揺光ちゃんてw


まさか正体は増殖の人?
合ってても間違っててもスルーでいいけど

129:名無しさん@ピンキー
06/10/23 00:43:17 ejNRjfe1
ていうか、旧保管庫消えちゃってるね
きついなあ


130:名無しさん@ピンキー
06/10/23 00:45:32 r06ALKHt
朔×望書いたし、次は…ハセヲ×朔望にするか

131:名無しさん@ピンキー
06/10/23 01:12:37 r06ALKHt
今日はちょっと疲れたから、明日書くことにする。

132:名無しさん@ピンキー
06/10/23 01:40:55 YMNlDKAG
>>126
GJ!
こんなことするのはもはや奴しかいないwwwww

133:名無しさん@ピンキー
06/10/23 01:51:17 pNAdUrvO
さすが増殖、天晴れじゃ!!wwwww

134:名無しさん@ピンキー
06/10/23 01:54:41 m+RwXUSC
ついにやりやがったあの野郎おおおおお
個人的にはあくまで強気の揺光が好きだけど
こういうのも悪くないね。うん

135:名無しさん@ピンキー
06/10/23 02:14:10 ZAkn2Ru7
久しぶりにきたら神が増殖wwwwwwwww
とりあえず神全員GJ!!!!!!
そして増殖の人には国民栄誉賞を(`∀)ノシポイッ

136:名無しさん@ピンキー
06/10/23 15:10:27 7rhuvG19
規制だチクショウ

137:名無しさん@ピンキー
06/10/24 00:47:32 k9BpvI1x
ハセヲ×朔望いきます。

8月。世間ではもう夏休み。そして小学生であるあの二人もしかり。そんな8月のある日。あの二人は東京にいた。
何故二人が東京にいるのか。それは望がハセヲ。つまり亮に会いに東京に行くと言い出したからである。

8月某日。和歌山県某所。
「僕、ハセヲにいちゃんに会いに行く」
「何やて?」
「今度のお盆の時期に、ハセヲにいちゃんに会いに行くんだ。何でも、東京で大きなイベントがあるらしくてさ。3日間だけ地方からたくさんの人が来るから、東京に来るならその時期が良いって」
「ちょい待ち! いつそんな連絡の取り合いしとったんや」
「えっと…おととい…お父さん達にはもう言ってあるんだけど…」
「………ウチも行く」
「え?」
「ウチも行く言うたんや。望一人だけ行かせるのも危なっかしいし、ハセヲが何かせんように見張るためにウチも行ったる!」
「一緒に行きたいなら、素直に行きたいって言えば良いのに…」
「何や?」
「何でもありません…」

とまあ、そんなやり取りがあり、二人は今東京にいるのだ。しかし、東京は広い。そう簡単に亮の家に行き着けるわけでもない。おまけに今二人がいる場所は以上に人が多い。
「なんなんやこの人の数は。東京はほんまにメッチャ人が多いな」
「うん…」
二人は今、亮が指定した待ち合わせ場所、新橋駅のSL前にいた。
「ったく、人を呼び出しといて自分は遅刻かいな。何考えとるんやハセヲは」
「もうすぐ来ると思うんだけど…」
朔と望は目の前を流れていく人の流れを見ていた。リュックを背負った者やどこかに二人で出かけるのであろう老夫婦、カップル、様々な人々が二人の前を通り過ぎた。
「あ、来た」
亮の姿を見ると、望の目は輝いた。
「わりぃ、待たせたな」
「ほんまやで、呼び出したんなら先にきとくのが男ってもんやろ!」
「………朔も来てたのか」
「なんや、ウチがおったら不満か」
「別に。てっきり望一人で来るもんだと思ってたからな」
「始めはそのつもりだったんだけど、お姉ちゃんが一緒に来たいって言うから」
「そうか…」
亮はちらりと腕時計を見た。
「時間的にはちょうどいいな。行くぞ」
「行くって、どこに?」
「国際展示場」
亮は駅へ向かう人の流れへ向かって歩き出した。朔と望もそれについて行った。

138:名無しさん@ピンキー
06/10/24 00:56:16 k9BpvI1x
国際展示場へ向かう電車の中はかなり込んでいた。
「なんでこんなに人がおるんや」
「今日はイベントのある日だからな。この電車に乗ってる客のほとんどがイベント目当ての奴らだよ」
「なんか、鉢巻きした人とかアニメの話とかしてる人がいっぱいいる」
「そういう連中の集まりだからな。もうすぐ着くぞ」
電車は国際展示場に到着した。亮は帰りの切符を3人分買うと、某建物へ向かう人の列に加わった。
「離れんなよ、迷子になんぞ。しっかしすげえ人だな。よくもまあ、日本中からこんだけ集まったもんだ」
亮と朔、望は数十分をかけてようやく建物に入ることが出来た。本来こういうイベントにはまったく興味を示さない亮だが、今日だけはしぶしぶやって来たのだ。その理由は、誘われたからである。

以上。今日はここまで。
8月のイベントって言ったらあれしかないですよねえ。

139:名無しさん@ピンキー
06/10/24 00:59:53 wtTxYdY/
夏コミktkr
誘ったって誰だwwwwwww

140:名無しさん@ピンキー
06/10/24 01:01:53 vy7fazOl
>>138
GJ!
誘ったのってまさか同人誌書いてるあの子かwwww

141:名無しさん@ピンキー
06/10/24 01:37:08 dx2eH+P1
>>138札幌から遠路遥々御苦労様ですなw

142:名無しさん@ピンキー
06/10/24 01:40:58 aee/bNqM
てか朔も確か夏&冬コミ参加してるんじゃなかったかw
あ、委託参加か

143:名無しさん@ピンキー
06/10/24 02:17:29 bywxfki6
おまいら乙
ハセヲ×カール×揺光投下

144:名無しさん@ピンキー
06/10/24 02:18:44 bywxfki6

「旋風!」
「滅双刃!」

俺と揺光の双剣技がほぼ同時にモンスターに炸裂する。
斬るタイミングもフッ飛ばすタイミングもほぼ同時、ありえねぇくらいに。
ちなみに今倒した奴が最後だったからこれで戦闘終了。無様なモンだぜ……。

「息ぴったりじゃん、きみ達」
「は?」
「おんなじ技で同時にトドメって滅多に決まんないよ」
「偶然だろ」

そりゃ飽くまで確率論じゃね?
たまたま俺が双剣をメインウエポンに設定してて、揺光と同じ技出して、同じ敵倒した、ってだけだろ?
なぁ、そうだろ揺光……って聞こうとしたら、揺光は揺光で何かダンマリ決め込んでるし。

「ところでさ」
「あん?」
「前から聞こうと思ってたんだけどハセヲの装備してるその双剣、見かけないタイプだね」
「旋式・鈷風鉈のことか?」

まぁ、一応レア度5だしな。
珍しいっちゃ珍しいかもしれねぇけど。

「そのタイプの武器って確かアリーナタイトルマッチの優勝商品だっけか。
 でもハセヲが紅魔宮で優勝したのって2017年だろ? 旋式・鈷風鉈って2016年の優勝商品じゃなかったっけ」
「つか、これ元々俺のじゃないし」
「どゆこと?」
「揺光と交換したんだよ。な、揺光」
「う、うん……」

結構前になるんだが……揺光が
「アタシの旋式・鈷風鉈とハセヲの回式・卦針を交換して欲しい」って言ってきたことがある。
断る理由もなかったし、もう卦針よりも攻撃力のある武器も持ってたから
「別にトレードじゃなくてもただでプレゼントしてやるよ」って言ったら
「トレードじゃなきゃヤダ!」と言って譲らなかった。
まぁ、最後は揺光の言う通りトレードで互いに交換、ってコトになっちまったワケだが。

「ってコトがあった。随分前だけど」
「へぇ。揺光も隅に置けないな」
「な、何がさ」
「ハセヲが使ってた武器が欲しかったんじゃないの?」
「そっ、そんなんじゃないって! きょ、今日のカール、何か変だぞ!」
「あたしはいつでも変だよ」

……そうだったのか?
てか何で俺の使ってた武器を揺光が欲しがるんだ? 分かんねぇ。

「それで? ハセヲと交換した回式・卦針の使い心地はどうなのかな? かな?」
「べ、別にそんなのどーだっていいだろ……」
「……ふーん。ね、ハセヲ。あたしもハセヲが装備してたアイテム、何か欲しいな。プレゼントしてよ」


145:名無しさん@ピンキー
06/10/24 02:20:15 bywxfki6

「カール! 何言ってんのさ!?」
「だって揺光ばっかハセヲにプレゼントしてもらってズルイじゃん」
「アタシ達のはプレゼントじゃなくてトレードだよ!」
「どっちでもいいよ。あたしもハセヲの使ってたモノ、欲しいし」
「ハ、ハセヲ、本気にしちゃダメだぞ!」
「(何ケンカ始めてんだろ、コイツら……)」

……別にプレゼントくらいよくね?
俺が装備してたアイテムってのが何か引っ掛かるけど。
カールにプレゼントすんなら、やっぱ鎌系の武器かアクセサリ類だろうか。
てか今はそーいう雰囲気じゃねぇな、どう見ても。さすがに俺でも空気くらい読めるぜ……。

「プレゼントがダメならデートでもいい。今度一緒にマク・アヌでゴンドラ遊覧イベント出よっか?」
「そ、そんなのダメなんだからな! 絶対許さないんだからな!?」
「何でそこでお前がキレてんだ、揺光」
「そだよ。決定権はハセヲにあるんだし」
「とにかくっ! ダメなものはダメっ!」

妙な雰囲気になってきたな……。
つーかカールは揺光をわざとからかってる様にしか見えねぇんだが。
揺光は揺光はまんまと乗せられてるし……何なんだ、一体。

「デートくらいいいじゃん」
「よくないよ! ア、アタシだって……まだハセヲと……したコトないのに……」
「ハセヲ、そなの?」
「や、俺に言われても」

いきなり俺に方向転換かよ。

「きみ達付き合ってるんじゃないの? 有名だよ、ハセヲと揺光の宮皇カップル」
「ハセヲ……な、何とか言い返してよぉ……」
「何とかって言われてもな……」

何つー目で人の顔見てんだ揺光の奴……。
普段は勝気なんだが、智香モードになったら急にしおらしくなるから困る。
結構中身は女の子してるからな……下手に傷つけるワケにゃいかねーし。

「ならしちゃえば、デート」
「は?」
「どうせならゲームじゃなくてリアルですればいい。
 もうすぐ夏休みだし、揺光がハセヲの居る東京まで遊びに行けばいいんだ」 
「東京にねぇ……まぁ、揺光が来たいってんなら俺は別に構わねぇけど」
「え……ホントに……?」
「ただ遊びに行くだけじゃ芸がないな。ハセヲ、2~3日泊めてあげなよ」
「と、泊めるって……」

泊める泊めないは別にして、だ。智香とは一度リアルで会ってみたかったし。
今までそーいう話なかったから機会なかったけど。

「この子、夜のレインボーブリッジ見に行きたいんだって」
「あー。そーいやそんなコト言ってたっけ」
「ハセヲもその気になってくれてよかったな、揺光。あんたが裏切ると怖いってトコ、見せなくて済みそうだ」
「カッ、カッ、カールッ!」
「……そんなコトも言われた気がする」

“一途でしつこいぞ”とか“裏切ると怖いから!”って……何か、怖い気がするの俺だけか?。


146:名無しさん@ピンキー
06/10/24 02:21:50 bywxfki6

数日後。

「約束が違うよ、潤香!」
「だって。あんたとハセヲ、全然進展しないんだもん」
「うぅ~~。絶対ダメだって……ヤバイって……」
「あんただってハセヲに会いたいでしょ? ならいいじゃん。
 東京に2~3日行くくらいさ。一夏の冒険みたいでカッコイ~」

いつもの放課後。
図書準備室でのお茶会。

「それに……ハ、ハセヲの家に泊まるんだし……何か間違いがあっちゃ……ダメだと思うし……」
「間違い? 間違いって何?」
「ふ、不順異性交遊……とか……」
「おんやぁ? 智香ちゃんはそーいうのに興味あるんだ?」
「な、ないよっ!」

こういう時の潤香は本当に意地が悪いと智香は思った。
潤香自身もかつては自虐的な時期があったのだが、最近は智香という恰好の玩具が見つかったせいもあって
現在は自虐性はなりを潜め、後輩いぢめが専らの趣味のようになっている。
これも一種の親愛の念なのだろうが、智香にとっては堪ったものではない。

「不順か、そーでないかはともかくだ。
 お年玉くらい貯めてるだろ? 新千歳から羽田まで往復でも3万かからないよ、今時」
「出せるけど……あ、会うのはやっぱり恥ずかしいよ……」
「ゲームで散々会ってるくせに」
「それとこれとは話が違~~~うっ!!!」

智香にとって拷問とほぼ差し支えの無い事態だった。
とんとん拍子で話が進み、本当に夏休みにハセヲの……三崎亮の家に
ホームステイ(?)しに行くことになってしまったせいで、ここ数日夜も眠れない日々が続く。

「だって……アタシ、ハセヲと初対面の時にさ、すごい嫌な奴だったもん……」
「それ聞いた。彼の首絞め上げて
『ライバルゥ~? コイツがぁ~? ……弱そうだよ?』って言ったんだろ?」
「お、思い出させないでよ……あれはアタシの黒歴史……」
「マウンテンサイクルに封印しなきゃな」

正直言ってどの面下げて会えばいいのか分からない。
ハセヲが何のために戦っていたのか理解できなかった当時の智香。
出会う度に衝突を繰り返して、彼のことを全く理解しようとしなかったあの頃。
彼は何も言わずに受け入れてくれたけれど、智香はまだ内心、脅えていた。
本当に自分は許されたのか、と。

「あんたも色々悩み多いな。いいね、青春って感じ」
「全部潤香のせいだよ……」
「あの子の気持ちに応えたいんだろ? 根性見せな」
「う、うん」
「2人で回る場所はあたしがチョイスしとくよ。あたしは東京観光においても頂点に立つ女だ」
「……え、遠慮しとく」


147:名無しさん@ピンキー
06/10/24 02:23:37 bywxfki6

*********************



「(か……買っちゃった……)」

とうとう智香は新千歳発成田行きの往復チケットをネット予約してしまった。
バイト経験のない智香にとって航空チケット購入は痛い出費だが
2018年の正月は特に多めにお年玉を貰っておいたのが幸いしたようだ
(2017年に意識不明になったため、親戚一同の見舞金に近い意味での寄付、とも言えるが)。

「(買っちゃった……買っちゃった……買っちゃったぁ!)」

カール……潤香にそそのかされた感も拭えないものの、智香は後悔はしていない。
自分でも妙な感覚だとは感じる。
彼に、ハセヲに会えると考えただけで胸の奥がドキンと高鳴るのだ。
それに伴って、どんどん頭の中がハセヲの姿や声で埋め尽くされてゆく。
場所は選ばない。
授業中でも掃除中でも委員会の仕事中でも下校中でも家の中でも風呂の中でもベッドの中でも。
心地が良い、考えるだけで心地がよかったから。

「(はは……アタシのキャラじゃないって……)」

自分はもっと違う人を好きになると考えていたのに。
けど、そういう理屈は考えるだけ無駄と最近分かるようになった。
恋愛は本能でするものだと。
自然界の動物の雌は、より強い子孫を産むために強い雄を伴侶に選ぶ。
そして同時に、恋愛は肉でするものだとも悟る。

「(こうしちゃいられない、東京行くまでにダイエットしとかなきゃ!)」

何しろ最近はカップ麺の食べ比べブームが再発して体重が増加傾向にある。
意識不明になった時、全国ネットのニュースで智香の顔写真が公開されてしまったワケだが
2016年の高校入学時に撮影した写真だったのが唯一の救いだった。
どう見ても1年前に比べて体重増えています。本当にありがとうございました。

「(そのためにカップ麺は……断つ!)」

脱ダム宣言ならぬ、脱カップ麺宣言がここになされたのだった。

「(どんな服持ってけば良いかな……やっぱ新しく買った方がいいのかな?)」

東京なら北海道と違って日中の暑さも変わってくるだろう。
その辺も考慮しておいた方がいいかもしれない。

「(ハセヲは……亮は、どんなのが気に入ってくれるかな……)」

今度の初対面は失敗をしないように。
一期一会の心を忘れずに。

「(早く……会いたい)」

心地よい胸の高鳴りを感じながら、智香の鏡との睨めっこは続く―――――。


148:名無しさん@ピンキー
06/10/24 02:25:05 bywxfki6
ラ・メーン……フランス料理か? 真心がこもったカップ麺? 何のことです?
おやすみおまいら


149:名無しさん@ピンキー
06/10/24 02:55:36 WzloxUB/
>>148
うひょぉぉぉぉGJ!!!!!

150:名無しさん@ピンキー
06/10/24 08:01:02 4fU/YFMn
うはwww最高wwww

151:名無しさん@ピンキー
06/10/24 09:47:26 Z5wSvHfp
電車の中で読んじまったよ!!
ニヤニヤしながら読んでたから絶対変な人だと思われた…

152:名無しさん@ピンキー
06/10/24 14:35:16 k9BpvI1x
>>138の続き

「東エリアC45って何処だよ」
建物の中を、亮は朔と望と一緒に歩き回っていた。初めて来たのだから、迷うのも無理は無い。
ちなみに今亮達は反対側の西塔にいた。
「あほ、ここは西側やないか。ちゃんと掲示板見いや」
「あ? あ、マジだ。ってことはあっちかよ」
亮はブツブツ文句を言いながら反対側へ移動した。
「C45…」
亮達は番号を確かめながら一つずつ調べていった。そして。
「おーい、亮~」
手を振っている智香を見つけた。その顔はどこか嬉しそうだった。
「やっと見つけたぞ…ったく、もうちょっとちゃんと見取り図とか書いとけっての」
亮は智香のもとへ行った。
「あれ? その二人は?」
「あ? ああ、この二人は」
「ひょっとして…朔と望?」
「よく分かったな」
「髪型が似てるから」
智香は驚いたような顔をしていた。
「そう言えばなんでこの二人が一緒にいるの?」
「東京に来たいって言うから、今日来いって言ったんだよ」
「ふ~ん」
智香は朔と望をまじまじと見つめた。と、ここで何かふと思いついたかのように手を叩いた。
「そうだ。二人ともいっそのことコスプレしてみたらいいんじゃない? 二人に丁度良さそうな衣装もあるし」
「え?」
智香は紙袋に手を入れると、ごそごそと漁りだした。そして、何かの衣装を2つ取り出した。
「じゃ~ん」
「……おい、これは…」
「ザ・ワールドの衣装やないか!」
「なんでそんなもん、お前が持ってるんだよ」
「ここで知り合った、作家仲間の人がくれたの」
「これ、見た感じサイズがぴったりだよぉ」
「なんでいい具合に2つあるんだよ。お前の仲間はエスパーか?」
亮達はその衣装を見てちょっと引いていた。
「細かいことは気にしない! ほら、これあげるからこれでも着てコミケを楽しみな」
智香は朔と望に無理やり衣装を押し付けた。
「……どうしよう…? ハセヲにいちゃん」
「俺に聞くな」
「あ、そうそう。着るんなら西塔のコスプレブースがあるからそこの更衣室で着替えな。後はその格好でウロウロしてようが構わないからさ」
「誰も着る言うて無いやないか!」
亮は頭を掻くしかなかった。

西塔・コスプレブース。
当然のことながら、亮達は注目を集めていた。
「目立ってるね…お姉ちゃん…」
「言うな。わかっとる」
目立つのも無理はない。何せ、双子がザ・ワールドの衣装を着て立っているのだ。
「…すげえ、あれ本物の双子か?」
「みたいだぞ」
「あの右の子男のかな? なんか可愛い…」
男子はもちろん、女子も当然突如現れた二人組みに興味津々だった。
「……」
亮はなんともいえない顔をしていた。

とりあえずはここまで。続きは夜にでも

153:名無しさん@ピンキー
06/10/24 16:35:18 g0QauKg8
>>148
アプカルルでハセヲとカールのコンビで絵描かれてそうだな。
ちょっと不機嫌になる智香に何故か悪い気がしない潤香とかね!

154:名無しさん@ピンキー
06/10/24 16:40:17 Yw9h4Nlr
>>152
会場の片隅に、愛猫の追悼写真集売ってるお兄さんがいたりして。

155:名無しさん@ピンキー
06/10/24 18:23:38 I0n1UVur
外に出てきているということは一応社会復帰はできたんだ。

156:名無しさん@ピンキー
06/10/24 22:56:39 O0Tsz0Yl
ありそうだなw夢が膨らむww

157:名無しさん@ピンキー
06/10/25 01:22:20 19x31l46
>>152の続き

周りはすっかり好奇の目で3人を見ていた。というより、一部の人間の心を見事に掴んだようだ。
「見てみて、あの右の男の子。可愛くない?」
「うん。隣のお姉ちゃんかな?」
「じゃあ、その隣で半分諦めが入ってる男の人は?」
「うーん、なんだろう。あの二人の知り合いかなんかじゃない?」
とか、
「きた、きた、きたあああああああ!」
と叫ぶ者がいたり。
「あの左の女の子、げき萌えだね」
「うむ」
「実にかわゆい…片割れが男なのは残念だが、あの子だけでもお持ち帰りをしたいものだ」
とか言う者が続出だった。
その一方で、コスプレブースの入り口が少々騒がしかった。
「ああ?」
「なんや?」
亮と朔はその方向を見つめた。そこにいたのは。二人の良く知っているあいつだった。
「お客さん、困りますよ。ナンパは規則で禁止されているでしょ。ちょっと事務所まで来てください」
「な、何すんだ放せ! 俺はただあの子にデートを申し込んだだけじゃねえか!」
「だからそれがナンパなんですよ! おとなしく事務所に来なさい!」
「くそ、放せ! ん?」
「「!!」」
亮と朔は騒ぎの元凶と目が合った。
「おお、ハセヲに朔じゃないか。ちょっと助けてくれ」
「ひ、人違いだ」
「そうやそうや」
二人はあえて他人のふりをした。関わってはいけない。直感的にそう感じたからだ。
「無視か? 無視なのか? てか、何で朔といっしょにいるんだよ。お前そっちの趣味が」
(無視だ、無視…)
二人は徹底して無視をした。
「ハセヲ、助けてくれよ。なあ」
朔は咄嗟に亮の腕を取るとその場から逃れるために演技をした。
「お、お兄ちゃん。ウチいきたい所があるねん! はよ行こう!」
「あ? ああ、そうだな…ほら、お前も行くぞ、望」
「え? あ、待って」
「ちょ、待ってくれ! ハセヲ!」
3人はなんとかその場から逃げ出した。

158:名無しさん@ピンキー
06/10/25 01:23:30 19x31l46
しまった。続きは明日って書き忘れた。

159:名無しさん@ピンキー
06/10/25 02:40:02 4J99gvx1
おまいら乙
ハセヲ×カール投下

160:名無しさん@ピンキー
06/10/25 02:41:18 4J99gvx1

「ちゃお。ハセヲ」
「話って何だ?」

ハセヲだ。
揺光達と一緒にエリアで遊んでから何日かたったある日。
今日は珍しくカールから呼び出された。
呼び出された場所は《Δ 隠されし 禁断の 聖域》。
普段は揺光も一緒に行動することが多いだけに、何となく新鮮味があるっちゃあるが……何の用だ?
ここには……あんまいい思い出ねぇんだけどな……。

「んー。揺光のコトについて」
「カールも心配性だな。ちゃんと2~3日くらい世話できるっての」
「そゆんじゃないよ。そゆんじゃなくてだね、ハセヲ」
「?」

少し芝居がかった動きを見せながらカールが笑う。
ステンドグラス越しに降り注ぐ光の中で俺を見つめるカールの姿は、何だかいつもと違って見えた。。
と言うより、このカールと言うPCとは初めて会った気がしない。
姿形さえ違うけれど、銀色の髪と黒衣、俺の……ハセヲのPCとよく似ている。
揺光の友達っつーコトでパーティを組んだりして遊んじゃいるが、
不思議な既視感を感じることも多々ある。

「きみは揺光をどう思ってる?」
「どうって……好きか嫌いか、ってコトか」
「びみょーに違う。あたしがきみに聞いてるのは“Like”or“Love”のどっち、ってコト」

Likeは好き、Loveは愛してる……って、オイ。
何つーコト聞いてくるんだ、コイツは。

「いや、いきなり言われても……」
「それじゃきみは、揺光を好きでもないのにメールで告白しちゃったワケ?」
「そーじゃねぇよ……好きだけど……愛してる、ってのはまだ分かんねぇ……」
「ふーん。それとも昔の女のコト、まだ忘れられないとか?」
「……!」

何となく分かってきたぜ……。
どうしてカールがわざわざこのグリーマ・レーヴ大聖堂に俺を呼び出したのかがな……。
この場所は、俺が始めて三爪痕(トライエッジ)と戦った場所。
そして、志乃がオーヴァンにPKされて意識不明にされた場所。
コイツは確かめたいんだ、俺のココロを。

「怒ってんじゃないよ。むしろ、それ結構フツー」
「……」
「あたしもねぇ。好きな子くらいいたよ」
「……カールにか?」
「ひど。あたしだって人を好きになることくらいあるって。
 あれはあたしが……小学5年の頃か。その子とはここで会ったの」
「この大聖堂でか……?」
「そそ。R:1時代だけどねー」

この大聖堂はロストグラウンドだ。発見されたのは2016年初期。
R:1時代から色々と曰くのあった場所らしいけど、詳しいことは俺も知らない。
ただ、三爪痕絡みの噂は結構初期から耳にしていたとは思う。
同時に、白いドレスの少女の噂も。


161:名無しさん@ピンキー
06/10/25 02:42:36 4J99gvx1

「ばみょん!」
「……は?」
「いいから、ハセヲも言ってみてよ」
「ヤダ」
「言えって」
「……ば、ばみょん」

何だ、何だ、何をやらせたいんだ、この女。
人を寄せ付けない様な態度とったり、たまに子供みたいにはしゃいだり……変な奴だと思った。
揺光の話だと、1年くらい前のカールは“喪服の魔女”なんて呼ばれてたPKK兼ハンターだったはずなんだが。
何つーか……俺の前だと妙に子供っぽい、つーか……。

「くっくっく……やば、おかしいw」
「あのなぁ……お前が言えっつったんだろうが」
「や、すまんね。ハセヲが何となーく昔好きだった子に雰囲気似てたから、もしかしてー?って」
「あん?」
「ソラって子だったの。字は楚良。
 最初に会った時は松尾芭蕉の弟子の曽良が由来って言ってたのに、実際は違う字だった。
 あの時は『やられた~』って思ったね」
「……」
「んで、ハセヲ。芭蕉って俳号は芭蕉(はせを)とも読めるっしょ?
 だからね、きみの噂を聞いた時にもしかしたらアイツが戻ってきたのかな?って思ったの」

……偶然だろ。
別にハセヲの名前に、そこまでの意味はねーよ……ありゃしねぇんだ、んなもん。

「でもやっぱ人違い。アイツはもっと軽い奴だったし、ハセヲとは性格全然違うし?」
「……おい。んなコト言うために呼んだのか? 揺光の話じゃなかったのか?」
「慌てなさんなって」

それまでの態度が嘘のように、次の瞬間にはもうカールの顔から笑みは消えていた。

「あたしはね、ハセヲ。
 揺光の保護者気取るつもりはこれっぽっちもない。
 でも、あの子がきみとリアルで会う前に確かめなきゃいけないコトがある」

カールの手中に顕現する大鎌。
ブゥンと風を凪ぐ音が大聖堂の中に木魂した。
……そーいうコトかよ!

「きみがあの子を守れるだけの強さがあるかどうか……見極めさせてもらうよ」
「いーのか? 揺光はPKとかPKK、嫌ってんだぞ」
「勘違いはイクナーイ。これはPKじゃなくて……んー決闘? 揺光争奪戦みたいな?」
「争奪戦って……何、お前、そーいう趣味?w」
「さぁ。どうでしょう」

どうやら避けられねぇみたいだな。真顔で殺気放ってやがる。
……面白ぇ。元碧星宮の宮皇だったか、この女。太白以来だぜ、宮皇相手は。
揺光争奪ぅ? いいぜ、お前を倒して証明してやる。

「Xthフォームとやらにならなくていーの?」
「抜かせ。ありゃとっておきだ」
「見たいなぁ。揺光はXthフォームのハセヲもお気に入りらしいし」
「前置きはいい……行くぜ!」
「ふふん」


162:名無しさん@ピンキー
06/10/25 02:44:26 4J99gvx1

………。
……。
…。

「どした? もう息切れ?」
「うっせ。まだ準備運動だっての」

この女……メチャクチャ強ぇ!
鎌闘士(フリッカー)だと思ってナメてたぜ、
接近戦に持ちこめば何とかなるって発想は甘かったっぽいな……!

「あたしがどーして“死神”じゃなくて“魔女”って呼ばれてるか知ってる?」
「さぁな。水銀燈みてぇな格好だからじゃねぇの?」
「ぶー、ハズレ。読んで字の如し……ってね!」
「がっ!?」

にゃろう……こんな距離から攻撃呪紋ブチ込みやがった!

「呪紋もイケるクチなんだよ、あたしは」
「……だからPKどもに魔女って呼ばれてんのか」

寸でのところで大剣にメインウエポンをチェンジ、
カールの放った火球つぶてを何とか全て叩き落すことが出来た。
鎌闘士の魔力値じゃここまでの威力は出せねぇ……パラメーター上げるアイテムで
ドーピングしたってところか。手が込んでやがる。

「今のを避けたか……逃げてばかりじゃあたしには勝てないぞ、ハセヲ」
「隙窺ってんだ。気にすんな」
「そうそう、がんばれ、がんばれ。揺光のためにもね」
「へっ……」
「んじゃ、そろそろ本気でやらせてもらおうかな」
「(本気だぁ……!?)」

今まで手ェ抜いてたってコトかよ!?

「魔女には使い魔が付き物だろ? 見せてあげる、あたしの使い魔」
「使い魔? ゼロの使い魔ってか?」
「残念、あたしが呼び出すのはゼロじゃない……第一相だ」
「……ッ!?」

何だ……何を始める気だ、カールの奴!?

「おいで……おいで……あたしを……追いかけてこいっ!!!」
「んだと……この感じは……まさか……!?」

憑神(アバター)!?

『■■■■■■――――――――!!!!!』

ソイツは、大聖堂の張り詰めた空気をまさしく叩き割って現れやがった。
ひび割れた空間からヌゥッと覗くのは、血か泥に塗れたような渋柿色の布切れを纏う巨人。
全身を覆うそれは防具と言うよりは寧ろ拘束具。右手にでけぇ大鎌を掲げながら、3つの目がギランと輝く。
オイオイ……冗談じゃねぇぞ! コイツは、この憑神はッ!!!

「マジかよ……!」
「スケィスとの付き合いは……実はあたしの方が長いんだな、コレが」


163:名無しさん@ピンキー
06/10/25 02:46:05 4J99gvx1
瞳震え頬濡らす朝は やさしいウソをついて?
キミ求め彷徨っている どうか見失わないように? 
何のことです? 
おやすみおまいら

164:名無しさん@ピンキー
06/10/25 02:58:18 QOGiSznq
超展開キタコレ


165:名無しさん@ピンキー
06/10/25 03:34:06 2vEiXvFa
凄い展開キタ━━(゚∀゚)━━!?
GJ!

166:名無しさん@ピンキー
06/10/25 04:40:28 GfT+HVq+
ヤベェ、ハセヲほっぽいてカールにハマりそうだ!!
とにかくGJ!!!

167:名無しさん@ピンキー
06/10/25 09:52:05 1O8Deff6
AIバスタのソラ仕様のスケィスか

168:名無しさん@ピンキー
06/10/25 10:36:46 19x31l46
>>157のつづき

コスプレブースから逃れた3人は、東塔に戻ってきていた。
「ったく、何であいつがいるんだよ」
「ウチが知るか」
ブツブツ言いながら、3人は智香の元へ戻ってきた。その途中、やはり注目を集めていたが。
「なんや! 人の事じろじろ見て! 言いたい事あるんならはっきり言いや!」
朔は噛み付いた。周りの者はあわてて目を背け、何事もなかったかのように歩き出した。
「ふん」
「あ、おかえり~」
「お帰りじゃねえよ。めっちゃ注目集めてたじゃねえか」
「いいじゃない。可愛いんだから」
「可愛いねえ…」
亮は改めて朔と望を見た。
「…たしかに、まあ、可愛いんじゃね?」
「~~~! べ、別にあんたの為に着とる訳やない! 望が着とるからウチも仕方なく着とるだけや!」
何故か朔は顔を真っ赤にして亮に噛み付いた。
(うれしいんだ…)
望はそう思った。
「本当はこんなん着たくないけど、望が着とるからきとるんや! そこんとこ勘違いしたらあかん! ええか、もう一回言うけど、別にあんたのために着とる訳やない!」
何故か超必死になって朔は言い訳をしていた。
「別に俺は着ろとは言ってねえだろ。それに何赤くなってんだよ」
(朔ってこんなキャラだったっけ?)
智香は二人のやり取りを見ながら不思議に思った。
「お姉ちゃんどうしたの? 顔真っ赤だよ?」
「やかまし!」
「痛い」
朔は望の頭をはたいた。
「まあ、あんたが言うならもう少しこの格好でいたるわ」
「別にいやなら着替えていいんだぞ。無理してきている必要なんてないんだからな」
亮は朔が何を言おうとしているのか全く理解していなかった。
「ったく、はじめからそうして欲しいなら素直に言えばいいんや。仕方ないから、今日はこの格好でいたる。ほんまに、しゃあないなあハセヲは」
「いや、言ってねえだろ」
(……なんだろう。この気持ち。なんか亮と朔を見ていると心の中に何かこう、もやもやと…)
智香の心に少しだが、嫉妬の心が芽生えた。だが、智香はそれに気づかなかった。

つづきは夜~。

169:名無しさん@ピンキー
06/10/25 16:40:24 d8nFAP2O
>>168
確かにツンデレ(自爆型)です。ごちそうさまでした。GUUUUUUUUJOOOOOOOB!!!

170:名無しさん@ピンキー
06/10/25 17:20:18 9CPTR9jL
>>168
グッっっジョーブ!!

171:名無しさん@ピンキー
06/10/26 00:32:04 PId1qalA
GJ!!そして今は夜…wktk!!

172:名無しさん@ピンキー
06/10/26 00:40:34 H9Ucxe8j
>>163>>168
ちょ!マジGJ!!
最高だ…神ばっかだここ

173:名無しさん@ピンキー
06/10/26 01:02:59 YSNrj0al
よっしゃ待たせた! >>168の続きいくぜい!

「亮」
「あん?」
「あたしのど乾いた。ジュースとおにぎり買ってきて!」
「んなもん自分で行けよ。何で俺が」
「いいから! 早く!」
智香の気迫に負け、亮は渋々だが内部にあるコンビニにジュースとおにぎりを買いに行くことにした。
「ちょい待ち、ハセヲ。ウチも行く! ウチも丁度飲み物買いたかったんや」
朔は亮を追いかけた。それを見た智香の心にやはり嫉妬の炎が燃え上がった。
「望、ちょっと店番お願い! ジュース買ってきてあげるから!」
それだけ言うと、二人の後を追いかけた。
「ええ!? ちょっと! 揺光ねえちゃん!」
望はいきなり店番を頼まれ、揺光を止めようとしたが、すでにその姿はなかった。望は仕方なく、揺光達が帰ってくるまで店番をする事にした。

コンビニ。
朔は何故か嬉しそうに亮と店に入ろうとした。その時である。亮の腕を掴んで智香が引きとめた。
「どうした、智香」
「なんや? (っち、邪魔しいが…)」
「待って、やっぱりあたしも一緒に行く(亮と二人っきりで買い物なんて、そうはさせないよ)」
「一緒に行くって、お前店番は?」
「望に頼んできた。さ、行こう亮」
智香は亮の腕に自分の腕を絡めた。
「あ? ああ…」
「~~~!」
朔も負けじと反対側の腕に自分の腕を絡めた。
「ハセヲ、何しとるんや。はよ行くで」
「え? ああ…」
亮は何か背中を滑り落ちる冷たいものを感じた。この時、朔と智香の間で火花が飛び散っていたのを、遠巻きから見ていたギャラリーは見逃さなかった。
「ハセヲ(亮)、行くで。(行くよ!)」
「あ? おい、どうしたんだ二人とも。イテ、擦れてる! 擦れてるから!」
二人に引きずられるようにして、亮はコンビニに入っていった。そんな亮の様子を見て、ギャラリー達は無事を祈ったとか祈らなかったとか。

174:名無しさん@ピンキー
06/10/26 01:24:55 YSNrj0al
朔と智香がコンビニでバトルを繰り広げていたころ、望が店番を始めたせいなのか、女子の客が足を止めていく割合が上がっていた。
「あの~」
「あ、はい」
「これ、下さい」
「あ、はい。えっと…値段は分からないんですけど、たぶんここに書いてある値段じゃないかと」
「はい、代金」
「ありがとうございました~」
望から同人誌を受け取った女子は何故か満足した表情で帰っていった。
(ハセヲにいちゃん達早く帰ってこないかなぁ…)
さっきから何やら周りの女子(大人含む)達にじろじろ見られ、望は少し縮こまっていた。
(なんだろう…なんか物凄く見られてる)
見られている原因は望の格好にあるのだが、そんなこと、望は知る由もない。最も、格好云々ではなく、望が狙われているのだが。

一方コンビニでは、二人の戦いが始まっていた。
「ウチはこっちを見たいんや。手え放しい」
「あら、あたしだってこっちを見たいんだよ」
「だったら、ハセヲはいらんやろ」
「あら、だったら朔だって亮はいらないでしょ」
「ウチが先にハセヲと買い物にきたんや。それにハセヲもうちと一緒が良いにきまっとる!」
「何言ってんのさ。あたしとの方が言いに決まってるよ」
「ウチや!」
「あたし!」
この時、亮は確かに二人の間ですさまじい火花が散っているの見た。亮はちらりと周りを見た。みんな店内で繰り広げられている女の戦いにびっくりしていたが、亮と目が合うと咄嗟にそむけた。店員に至っては、「あんたも大変だねえ」と言わんばかりの表情で見ていた。
(なんなんだよ、畜生…)
亮心の中でそう思った。

以上、今日はここまで!


175:名無しさん@ピンキー
06/10/26 01:31:26 PId1qalA
>>174
GJ!!
浦山氏すぎるぜ…ハセヲ…


望の運命にガクブルしつつwktk!

176:名無しさん@ピンキー
06/10/26 01:33:14 O8Cog9S0
可哀相なエン様…だが乙

177:名無しさん@ピンキー
06/10/26 02:34:08 Wjv7NX/H
何故だ…何故ここまで神が増えたのにハセ志乃が来ないんだ…

178:名無しさん@ピンキー
06/10/26 04:38:51 hl+0JR3r
ハセ志乃は公式から燃料たっぷりだからな…だが読みたいのは事実
でも過去に長いの投下されてるぞ?過去ログ漁れ

179:名無しさん@ピンキー
06/10/26 07:35:56 UILhtITI
>>177
志乃DDされたから出番ないが一応継続中だぞ

180:名無しさん@ピンキー
06/10/26 12:54:43 JGfUrjGP
今月のアルコル読んで本気で揺光×七星に目覚めた
誰かキボン

181:名無しさん@ピンキー
06/10/26 17:53:07 tYEAHlj2
過去ログを探しても見れない件

182:名無しさん@ピンキー
06/10/26 21:20:38 nfuCNifI
望がお持ち帰りされそうな予感……GJ。

183:名無しさん@ピンキー
06/10/26 23:35:23 SHvGsD15
>>182
一番初めにハセヲ×朔望っていってるんだから信じてます、信じてます

・・・・

184:名無しさん@ピンキー
06/10/26 23:47:59 ahWoeOdW
オーヴァンとパイが互いの秘部を覗きあう話をお願いします

185:名無しさん@ピンキー
06/10/27 00:02:48 0603CmSH
そういや過去ログって1~3、9,10しか見れないよね

186:名無しさん@ピンキー
06/10/27 00:26:39 gsARZsKA
>>184
パイがオーヴァンのちくわの先から覗き込む話を想像したが、違うな。
互いの眼鏡を取る話と見た。またマニアックな…

187:名無しさん@ピンキー
06/10/27 00:53:22 AxJoAieO
色んな神々方の作品に毎日ハァハァもんで最高だが
自分もハセ志乃読んでみたいぜよ!

188:名無しさん@ピンキー
06/10/27 01:12:49 5tFnIAUP
書いてみたいけど志乃のキャラがまだ掴めん
揺光やアトリなら書きやすいんだが

189:名無しさん@ピンキー
06/10/27 01:17:37 EIla+mqj
くっそお!みんなご免!>>174の続きが思いつかなかった。ホントご免!明日まで待って

190:名無しさん@ピンキー
06/10/27 01:52:50 bDaTlxPe
>>189
つづきもにすごくたのしみにまってるけど、いそがなくていいから、ね?
ぜんらでまってる。

191:名無しさん@ピンキー
06/10/27 02:46:47 1PJE8x3I
おまいら乙
ハセヲ×カール投下

192:名無しさん@ピンキー
06/10/27 02:47:29 1PJE8x3I

「カール……お前……碑文使い……ッ!?」
「モルガナ因子を持つ者を須らく、そう呼ぶのであれば……うん、あたしも碑文使いだな」

紅い巨人を脇に携えながらカールが威圧する。
外見の違いはあるっちゃあるが、見間違えるはずがない……あれは、スケィスだ!

「ただし、このコはこの世界の住人じゃない。前のバージョンだ」
「前……!?」
「強いて言うなら、そう……スケィスR:1(リヴィジョン:ワン)ってとこかね」

R:1……だと? R:2じゃなくてか? 
あの妙な紅い布といい、確かに俺の知っているスケィスとはどこか異質な感じがする。
でも本当にカールの言っていることが本当だとして、カールはいつ碑文使いに目覚めた?
どうして俺と同じようにスケィスを憑神として喚べる? 分からねぇ、分からねぇぞ……!

「あたしは本気を見せたぞ。次はきみの本気を見せてよ」
「くっ……!」
「もったいぶってると」
『■■■――――――――――!!!』
「やばいかもよ?」

カールの攻撃意思を感じ取ったらしく紅いスケィスが突進して来る。
大聖堂に轟音が響き、大振りに振られた鎌が木椅子を紙屑のようになぎ払う様は圧巻。
怪獣映画を見てるみてぇな気分だった……ここまで冷静な俺自身にもびっくりだが。

『■■――――!!』
「うおっ!?」

大剣で受け止めようとしても、とんでもない馬鹿力で軽くフッ飛ばされちまう!
機動性なら俺の方が上っぽいが、攻撃力だけならカールのスケィスの方が……やべぇかもな。
こりゃあいつの言う通り、本気になるしかなさそうだ!

「悪い魔女からお姫様を救うのは、王子様の宿命だぞっ!」
『■■■■――――――――――!!!!』

電子音みてぇな雄叫びを上げながらスケィスの豪腕が迫る。
並みのPCなら一撃死だろう。今の俺だって例外じゃない。てか何が王子様だ。テニスか?
とにかく……3rdフォームじゃ、ここまでが限界だ。三爪痕との最初の闘いがそうだったみてぇに。
異形には異形を、規格外には規格外を……ってな。
カールは俺の強さを見極めるためにこの戦いを仕掛けてきた。
その意図が揺光のためかどうかはこの際関係ねぇ……俺も応えてやるよ、お前のココロに!

「ハセヲ! スケィスを通して、あたしの想いが伝わってるかな!?」
『■■■■■――――――――――!!!!!』
「伝わってるよねぇっ!?」

へっ……一撃一撃に想いを込めろ、ってか?
伝わってるさ、リアルで痛ぇくらいに伝わりまっくてる!

『■■、■■■……■―――――!?』
「……どうしたっ、スケィス!」

急にスケィスが動き止めたんで焦ってんのか?
でもまだ慌てる時間じゃねぇぞ。お前、見たがってたよな……俺の本気を。
大サービスだ、見せてやるぜ……限界のその先ってやつを!


193:名無しさん@ピンキー
06/10/27 02:48:56 1PJE8x3I

ソレはどす黒い混沌から生じた。
黒の中にありながら無二の白を纏う者。
死を背負いながら同時に生をも背負う不確定な存在。
ただ分かっているのは、ソレに常識と言った概念が一切通用しない、その事実のみ。

「待たせたな」

スケィスの拳がゆっくりと押し戻される。
その声を聞いた時、カールは全身の産毛が逆立つ感覚を覚えた。
似ている。
かつてこの大聖堂で彼と出合った時の様に、ゾクゾクと全身を巡る快感にも似た感覚。

『■■……■■■―――――!!!!!』
「吼えるな」

次の瞬間にはもうスケィスの姿はその場から消え失せ、影も形も無い。
アッと言う間に吹き飛ばされて大聖堂の壁にめり込み、ぴくりとも動かないのだ。
白煙の先に、彼が居る。カールは胸の高鳴りが押さえられない。
かつて大好きな彼と邂逅した時でさえこんなに高鳴らなかったのに。
心音を刻むことを忘れていたカールの心臓が、今になってやっと脈打ちはじめる。

「それが……きみの……!」
「Xthフォームだ」

気高き白。その両の腕に握られた双銃(トゥーガン)。
本来ならば3rdフォームまでしか成長しないはずの錬装士の、更に限界を超えた姿。
ゲームの仕様にない、異端者がそこに立っていた。

「ふ……ふふっ……すごっw」

間髪入れず、カールの手中から幾本もの光の矢が飛び出してハセヲを襲う。
だがハセヲは微動だにしない。全て視えている。
修練を積んだプロボクサーが素人のパンチの軌道を読む際にスローモーションの様に見えるように。
ゆっくりと双銃でロックをしながら。
ごく自然に、目の前を舞う塵をはたく様な動作で。全ての攻撃を、迎撃する!

「馬鹿な……相殺っ!?」
「ふん」

カールから余裕が消えた。ハセヲも双銃を消し、身構える。
カールは再び大鎌を構えて単身、宙を舞いハセヲに踊りかかる。
が、鎌が振り下ろされた時、既にハセヲはカールの手首を掴み動きを封じていた後。
身体の自由が全く効かない。恐怖や畏怖と言うよりは、寧ろ絶対的な実力差を感じて感動すら覚える程に。

「言った筈だぜ……とっておきだってな」
「はは……驚いたな……まるで次元が違うじゃん……」

壁に追い詰められカール。
ハセヲの手はカールの両腕を締め上げ、自由を奪っている。
蹴りを入れてもいいが十中八九避けられるだろう
スケィスを呼ぼうにもあの様子では再起不能。戦闘続行は無理だ。

「ったく……手間かけさせやがって」
「ちぇー。これまでか」

ハセヲがXthフォームとなった瞬間から、カールの敗北は既に決まっていたのだ。


194:名無しさん@ピンキー
06/10/27 02:50:44 1PJE8x3I

「スケィスのこととか聞いても無駄なんだろ?」
「謎は女を女にするからね」
「何だそりゃ」

戦いが終わった後いつの間にか紅いスケィスは消えていた。
カールが戦う意志を無くした以上、俺がXthフォームになっている必要もない。
終わった。1時間くらい戦っているような気がしたが、実際には10分と満たなかったのは意外だったけどな。

「でも本当強いよ、ハセヲ。びっくりした」
「久々に本気で戦ったぜ。お前も十分強いじゃねぇか」
「揺光が好きになっちゃうのも分かるな、何となく」
「へいへい」

AIDA事件以来……本当に久々にXthフォームになった。
もう俺の中のモルガナ因子は枯渇したと思ってたんだが……まだ残ってたんだな……。
スケィスも呼べなくなってた、ってのに。

「あーでも、ちょい残念」
「何が」
「早くハセヲに会えてたら……きみの隣りに居たのはあたしだったかもね」
「……」

まぁ……悪い気はしねぇけど。

「あたしとハセヲ、何となくPCの雰囲気が似てるし」
「そーだな」
「ま。それはスルーして、だ」
「スルーかい」

前言撤回。やっぱこの女、変。

「揺光のコト……智香のコト、よろしく」
「……あぁ」
「あの子、結構夢見がちってか空想好きなとこあるのね。
 図書委員の仕事してる時も何か考えながらボーッとしてる時あるし」
「へぇ」
「揺光のキャラはロールだと思った方がいい。本当のあの子はすごい繊細なんだ、うん」

会えば分かるさ。
約束した以上、責任は果たすつもりだ。
でなきゃ、わざわざカールが俺と戦った意味がねぇもんな。

「俺はもうタウンに戻るぞ。カールはどうすんだ」
「もうちょいここにいるよ」
「そっか。じゃな」
「ばいばい」

喪服の魔女は伊達じゃなかった。
Xthフォームにならなきゃ、まず勝てなかったはずだ。
揺光がカールに憧れて宮皇になろうとした、ってのも頷ける。
何があいつをあそこまで強くさせたのかは分からねぇけど……俺と同じ様な何かは感じる。
揺ぎ無い決意、あいつも何かを成す為にこの世界にログインしてるんだろうか。

「いいなぁ、揺光」

大聖堂の扉を開けて出て行く時、そんなカールの声がかすかに聞こえた気がした。


195:名無しさん@ピンキー
06/10/27 02:52:23 1PJE8x3I

「ふー。派手に散らかした」

そう言ってカールは紅いスケィスが暴れた痕跡を見てため息をつく。
思い出の多い場所だけに、あまりこの大聖堂を破壊したくはなかった。
だが、スケィスを召喚するにはどうしてもR:1に縁のあるエリアでないといけないという鉄則がある。
他のロストグラウンドでも良かったが……どうせなら《隠されし 禁断の 聖域》で戦ってみたかったのだ、カールは。

「あそこまで強ければ……ま、大丈夫」

揺光からハセヲの強さは聞いていた。
だがそれは飽くまで常識の範囲内でのこと。
実際のハセヲの強さは、もはや常識外れのものであり、カールの敵うものではない。
何故なら想いの強さが違う。
スケィスを通してカールはハセヲに自分の想いをぶつけたが、それすらも一蹴する程の力。
かつてのカールも、あんな強大な力を欲していた。悪意をばら撒けるだけの力を。

「でも……本当にいなくなってたんだな」

もうこの大聖堂にアウラの像はない。
かつては……R:1時代の大聖堂には、確かに鎖で雁字搦めにされた少女の像があったのに。
今ではもう、存在しない。
本当に、この世界に愛想を尽かしてしまったのだろうか?

「キー・オブ・ザ・トワイライト……きみの探し物だ、ハセヲ」

一時期、アウラはカールと共に行動していた。
つまりカールはキー・オブ・ザ・トワイライトの所有者の1人だったことになる。
ただしドットハッカーズと呼ばれる勇者のパーティに名を連ねることはなく、隠された歴史の編纂者として。
三爪痕とカールがこの場所で戦ってから既に2年……随分と経つ。
あの時、カールは自分の持てる全ての悪意を彼にぶつけた。
つまらない現実に入るより、いっそのこと、ずっと楚良と追いかけっこを続けていた方が楽しかったのだ。
それを終わらせてしまった、勇者カイトが憎くて憎くて。

「さて。戻るか。ゲームは一日一時間と」

どうせ壊れた椅子などはCC社のデバッカー達がすぐにも修正するだろう。
カール自身が修正してやることも出来たが、ここ最近チート行為とはご無沙汰なので自信がない。
思えば、随分とカールは変わった。もう自虐的な8年前の彼女ではない。


『おかえりなさい。母さん』


「……?」

ふと、カールの立ち去る間際にそんな声が聞こえた。
だが振り向いても誰もいるはずもなく、相変わらず大聖堂はしんと静まり返るのみ。
幻聴? いや、少なくともカールはそうは思わなかった。そこにあると思えば、必ずあると。

「……ただいま。アウラ」

今度は振り向くことはなく。けれど、いつかまた会えると信じて――――――――。


196:名無しさん@ピンキー
06/10/27 02:54:29 1PJE8x3I
カールルートのフラグ回収終了? 揺光ルート攻略開始? 何のことです?
おやすみおまいら


197:名無しさん@ピンキー
06/10/27 02:56:33 oVzPvbJY
リアルタイム遭遇北ー!!
GJです!!
カールカッコイイよカール(*´Д`)ハァハァ

198:名無しさん@ピンキー
06/10/27 03:05:52 GNMBmAp9
リアルタイム更新キター!
オルバグドーンGJ!!
スケィス懐かしいよスケィス

199:名無しさん@ピンキー
06/10/27 03:19:03 +IU2R2he
>謎は女を女にする

バーローかよwwwwww
乙乙

200:名無しさん@ピンキー
06/10/27 04:40:02 mU6u/LlW
もうvol.3にカール出せよ

201:名無しさん@ピンキー
06/10/27 19:04:58 IPcN7ft1
もし本当にvol3にカール出たら3本買うよ

202:名無しさん@ピンキー
06/10/27 19:27:36 aeH0GcbM
店舗特典のテレカ目当てなら3本もありかなw
メッセ、祖父、メディアランドで

203:名無しさん@ピンキー
06/10/27 20:41:04 2CnHrLLm
揺光×ボルドーのレイプ物を投稿しようと思うんですがどうでしょう?

204:名無しさん@ピンキー
06/10/27 20:50:01 QLAMqgi4
頼む

205:名無しさん@ピンキー
06/10/27 21:02:51 wq9Rs6So
>>203
いいぜぇ…来い!来いよ!
俺はここにいる!

206:名無しさん@ピンキー
06/10/27 21:59:57 T1qwapQZ
カプの順序はそれでいいのか?
遥光攻めのレイプ物?

207:名無しさん@ピンキー
06/10/27 22:43:18 5tFnIAUP
逆希望

208:名無しさん@ピンキー
06/10/28 01:06:11 OwuFptcU
>>174の続き出来た!

「はう~この子可愛い~! お持ち帰りした~い!」
一人の婦女子が望に抱きついた。
「うわあ!」
いきなり抱きつかれ、望はびっくりした。
「こら、明美! 何やってるの! 駄目でしょ!」
望に抱きついた明美を叱ったのは彼女の親友、奈緒である。
「お持ち帰りにはちゃんと順序があるんだから、ちゃんと順序を踏まないと」
「ええ!?」
てっきり明美を叱るのだとばかり思っていた望は意表を突かれた。
「あ、そうだよね~。では、改めて… お持ち帰りさせてください」
明美はまじめな顔で言った。
「えっと、ごめんなさい」
望は謝った。
「何故!?」
明美は素でびっくりしていた。ちなみに明美は17歳。奈緒も同様である。
「まあ、普通に考えればそうよね。こんな可愛い子、じゃない、こんな可愛い男の子、じゃなくて、普通はお持ち帰りさせてくださいって言っても、断られるわよね」
「え~、じゃあ、お菓子あげるから、お姉ちゃん達とちょっと一緒に遊ばない?」
「だから、そうじゃないでしょ。口説き落とすにも順序があるんだって。見てなさい」
奈緒は咳払いをすると、望に向き直った。そして、言おうとしたその時である。
「あの、僕、知り合いのお姉ちゃんに店番頼まれてて、それで、帰ってくるまでここから動けないんです。だから、お姉ちゃん達と遊ぶことは出来ません。ごめんなさい!」
望は深々と頭を下げ、侘びた。
「…お姉ちゃん。…いい響きだわ…もう1回言ってもらえない?」
奈緒はちょっと興奮気味だった。
「え…いいですけど…えっと……お姉ちゃん」
それを聞いた奈緒は何故かプルプルと震えていた。そして。
「来たあああああああああああああ!」
叫んだ。それはもう思いっきり。
「最高…お姉ちゃんって呼ばれるの最高…これはもう、男子が妹に「お兄ちゃん」って呼ばれるのと同じくらい最高よ!」
「私も来たああああああ! 私一人っ子だから、なんか良い!」
二人のいきなりの暴走に、望はちょっとびっくりした。と同時に、
(この人たち、大丈夫かな…)
と、思った。
「はあ…はあ…最高…良すぎ…私なんだか鼻血が出てきそうだわ…」
「私も…」
いや、二人とももう出ている。周りの者はそう思ったが何も言わないことにした。
「私の弟になってください!」
奈緒は望の肩を掴むとそう言った。
「え!? えっと…それは出来ません」
「何故に!?」
「僕、双子のお姉ちゃんがいるし、それにハセヲにいちゃんって言う、お兄ちゃんみたいな人がいますから」
「くううう~! 私があなたの双子のお姉ちゃんになりたかった!」
「ハセヲって男子が憎い!」
明美と奈緒はたいそう悔しがった。
(本当に大丈夫かなこの人たち…)
望は更に心配していた。

以上。今日はここまで。



209:名無しさん@ピンキー
06/10/28 03:23:57 +QaPOPVo
変態が たくさんで うれしい! 


実にうれしい

210:名無しさん@ピンキー
06/10/28 08:45:37 3RbOV+qz
腐女子達に萌えた

211:名無しさん@ピンキー
06/10/28 12:59:28 5v01XHc5
しのぉぉぉぉぉぉぉ!

212:悲しみの揺光
06/10/28 20:30:28 qcYj5JDI

揺光に匿名のメールが入った。
内容は、天楼(漢字不明)が変になった、原因を教えてくれるというものだった。
「天楼が変になった理由が解る・・・」
揺光は、何も疑わず、指定された、エリアへと行った
エリアに着き、奥へ進むと
「ようこそ」
完全にアイダ感染者となっていたボルドーに背後をとられた
アイダを知らない揺光でも、こいつが天楼と同じようになっていることが、一目でわかった
そこで
「誰だ!」
揺光が少し距離をとって双剣を出そうとしたが・・・
黒い斑点が腕に絡み付いて拘束されてしまい、身動きがとれない
ボルドーは、ゆっくりと揺光に歩み寄り頬を撫でた。
「何をする気だ!」
揺光は、必死にボルドーを睨み付けた
しかし、ボルドーはその声を無視した
ボルドーの手が揺光の胸に触れた
「ひゃん!」
揺光は、ビクッとなった。
「やめろ!」
しかしボルドーに触るのをやめない
「あんたが・・・」
ボルドーは呟いた
「え?」
「あんたが、この胸で、私のハセヲを誑かしたんだね~!」
と揺光に服を破りとった


今日は疲れているのでここまでです。

残酷な天使達の続き書こうかな~・・・と思う今日この頃


213:名無しさん@ピンキー
06/10/28 20:35:19 bTzVVPTp
最初の明美のセリフが笑えた

214:名無しさん@ピンキー
06/10/28 20:51:00 R4e6wimt
不覚にもボルドーに萌えた

215:名無しさん@ピンキー
06/10/28 21:56:50 KDRPYN5a
>>212
天楼じゃなく天狼だお

216:名無しさん@ピンキー
06/10/28 22:40:27 yaRqZggb
ハセヲのXthフォームいいww

217:名無しさん@ピンキー
06/10/28 23:12:55 3RbOV+qz
>>212
GJ!期待大!
天楼って中華料理屋さんみたいだね。

218:名無しさん@ピンキー
06/10/28 23:30:38 bBjqURCs
つまり、北京ダックがある。

219:名無しさん@ピンキー
06/10/28 23:52:17 xtlrjx84
>>212
残酷な天使達の続きも楽しみにしているものがここに


220:名無しさん@ピンキー
06/10/29 00:42:43 q71GJeLN
>>208の続き~

明美と奈緒は何故か立ち去ろうとはしなかった。それどころか、色々質問攻めにしていた。
「ねえ、君のお姉ちゃんってどんな人?」
「優しい…のかな。ゲームの中で僕が貯めたお金を勝手に使ったりはするけど、でも、僕の事をちゃんと心配してくれたりしてくれるよ」
「ふむふむ」
「で、ハセヲにいちゃんって人はどんな人?」
「いい人だよ。死の恐怖って恐れられてるけど、僕はそうは思わないな。だって優しいし。なんだかんだ言ってお姉ちゃんを助けてくれたりするし。あ、あの人だよ」
ちょうど、ぐったりとした亮が智香と帰ってきた。心なしか智香は嬉しそうだ。
「あのぐったりしてる人?」
「うん」
「望、ただいま」
「おかえり、揺光姉ちゃん。あれから結構売れたよ」
その言葉のとおり、用意していた同人詩は結構売れていた。
「おお~、ほんとだ。ありがとう望。はい、これ、約束していたジュース」
「ありがとう」
「結構様になってるじゃないか、望」
明美と奈緒はじーーーーーーーーーっと、亮を見た。
「な、何だよ……」
亮は思わず後ずさった。
「「じい~~~~~~~~~~~~~~」」
明美と奈緒はそれはもう、穴が開くくらい亮を見つめた。
「だから、何だよ……」
「どうしたのあの二人?」
智香は何故明美と奈緒が亮を見つめているのか分からず望に聞いた。
「さあ…あれ? お姉ちゃんは?」
「トイレに行ってからくるって」
「そうなんだ…僕も、トイレに行ってこようかな」
「行って来なよ。店番はもういいからさ」
「うん、ありがとう」
望は用を足すべくトイレに向かった。
「あ、私他のサークルも回るんだった。それじゃ」
「そういえば私も。それじゃ」
望がトイレに向かった姿を見た明美と奈緒はわざとらしくその場を去った。後には訳の分からないでいる亮と智香が残った。


221:名無しさん@ピンキー
06/10/29 00:44:11 q71GJeLN
さあ、果たしてこれからどうなるか… 続きは今度~

222:名無しさん@ピンキー
06/10/29 02:06:23 Ar+YVKnv
どうなるんだ…気になるじゃないか…
ともあれGJ!

223:パック ◆JuT3jsxZbo
06/10/29 05:57:01 3svhN0Yj
激しく遅レスですが、感想くださった方、待つと言ってくださった方本当にありがとうございます。
ただ、申し訳ありませんが今書いてる話ではBセットのエロはなしです。
要望があれば会社の同僚に口説かれてそのまま・・・・・・みたいな小話なら出来ますけど。
あと誤字脱字の指摘、ありがとうございます。今度があったら修正しときます。

>>178
最近の新作ラッシュの中、言及していただきありがとうございます。
せっかく志乃PTインも確定したことだし例のやつ編集して上げたいんですが、
パソコン吹っ飛んだおかげでファイルが残ってないんですよね。
自分の話が自分で読めないというこのジレンマ・・・・・

>>179
えーと、勘違いだったら恥ずかしいんですが俺の話のことですよね?
俺の場合ハセヲは完全に志乃ありきのキャラクターとして書いてるんで、
そういってもらえると嬉しいです。

さて、ずいぶん久しぶりな気もしますが今回の分行きます。

224:痛みの果てに 25
06/10/29 05:58:18 3svhN0Yj
「くそっ……」
M2Dを乱暴な手つきで外して、三崎リョウは握り締めた拳を机に叩きつけた。
低い音とともに拳が鈍く痛み、それが過敏になった神経を逆撫でする。
大聖堂を訪れたあの日以来、リョウはひたすらディスプレイに向かい続けていた。
目的はただ一つ、三爪痕の追跡である。
追跡といっても、検索エンジンに語句を打ち込んで掲示板の過去ログを総ざらいする程度ではない。
リョウが行使した手段は、より積極的なもの―The WorldでのPKKだった。
PKを専門に狙うPK、PKK。
一見調査とは程遠い、ともすれば単なる八つ当たりにも見える行為だったが、リョウは聡明な少年である。
少なくとも、学校の成績は良い。だからこの選択にも、ちゃんとした理由があった。
三爪痕がロストグラウンドに出没するPKである以上、それに近い存在から探っていくのが適当な追跡線である。
必然的に情報収集の主な対象はPKとなるが、
彼らは特に必要がないにもかかわらず他のプレイヤーを攻撃して楽しむ悪趣味な好事家、
現実でいえば職業犯罪者のような存在である。
「教えてください」と聞いても素直に答えることはないだろうし、運良く情報を得られてもそれが真実とは限らない。
従って彼らから嘘偽りのない情報を聞き出すには、
力の差を誇示し彼らが本音を吐かざるを得ない状況に追い詰めなければならない。
リョウにとってPKKは、必要に迫られた結果だったのである。
しかし、Δ・ΘサーバのめぼしいPKをほぼ全員狩り出したにもかかわらず得られた情報は皆無だった。
レベル差が大きかったおかげで経験値を稼ぐことも出来ず、結局成果といえば
BBSに「おかしなプレイヤーがいる」という話題を提供したぐらいである。

225:痛みの果てに 27
06/10/29 05:58:50 3svhN0Yj
淡い眠りを、甲高い電子音が破る。
曖昧な意識のまま手を動かし、リョウは電子音を鳴らし続ける携帯電話を掴んだ。
反射的に通話ボタンを押し、耳に当てる。
「もしもし」
「ちーっす、ハッセヲー!……って、もしかして寝てた?」
「何だ萌か……」
「何だって何よー!なんか全然連絡ないから、心配して電話したのにさー!」
「ああ……」
そういえば、彼女の声を久しぶりに聞いた気がした。
ここ一週間殆ど外に出ず、携帯にも触れていなかったのだから当然と言えば当然だが。
「忙しかったんだよ、色々。それよりお前はどうなんだよ、宿題終わったか?」
後ろめたさから、リョウは話題をそらす。
正直言えば、彼女のことは完全に忘れていた。
The Worldで想うのは黄昏の旅団とオーヴァン、そして志乃の事ばかりだった。
「まーそこそこかな。あーあ、ハセヲは良いよねー、なんでも器用に出来て」
「別に……これぐらい普通だろ。で、何の用事なんだ?」
「だから、心配になったんだよ。ハセヲって意外と体力ないし、夏バテしてないかなと思って」
「平気だって、これでも病気はほとんどしてないんだから。それより自分のこと心配しろよ、
新学期まで十日もないんだぜ」
いつも通りの、軽口の応酬。
ただそれだけなのに、リョウは心が安らぐのを感じた。
単に気分転換と言うだけではない。
萌の明るい声は、まるで麻酔か何かのようにリョウの痛みを消してくれる。
思えば、付き合いだしたきっかけもそうだった。
一ヶ月前、志乃を失って腑抜けになっていた自分が萌の快活な声にどれだけ救われたか。
それなのに……

226:痛みの果てに 26
06/10/29 05:59:23 3svhN0Yj
「未帰還者が出た」という噂からクエスト「痛みの森」に参加してもみたが、それも特に進展はなく徒労に終わった。
狂った難易度のダンジョンはいい修行になったし、
クリアリザルトでジョブエクステンドできたのはよかったが、その程度は通常のプレイの延長に過ぎない。
クエスト自体も連動の伏線なのか何なのか知らないが消化不良気味な内容だったし、
途中で三郎とか名乗る変なPCには付きまとわれたし……
思い返したことで沈んでいく気分を振り払うように、リョウは目を閉じて伸びをした。
瞬間、目眩が走り体を椅子ごと倒しそうになる。
何とか体勢を立て直しながら、リョウは最後に休憩したのを思い出そうとした。
今が夜中の一時、起きて朝飯食ったのが十時だったから……
気がつくと、半日以上ほぼ不休でPCに向かっていた計算になる。
一応細かい休憩はしているはずだが、食事は食べていない。
というか、時間の経過を認識していなかった。
「ははは……」
思わず声に出して笑って、リョウは机に倒れこんだ。
心身ともに磨耗しているのが、自分でもわかる。
「やべーな、こりゃ寝ないと」
ぼさぼさの髪を掻きながら、リョウは椅子から立ち上がった。
両親は不在だから別に規則正しい生活を演出する必要はなかったが、無理して徹夜する必要もない。
それに、後十日もして夏休みが明ければ学校が始まる。
三爪痕の追跡がいつ終わるかはわからないが、それに引きずられてリアルの生活が破綻しては本末転倒だ。
自分の行動を鈍い頭で吟味しながら、リョウは農業用トラクターのような足取りでベッドへ歩く。
倒れこんで目を閉じると、すぐに睡魔がやって来た。
志乃の顔を思い浮かべながら、リョウは眠りに落ちていった。

227:名無しさん@ピンキー
06/10/29 06:00:17 3svhN0Yj
送信順をミスしました。
タイトル横のナンバリングに従って読んでください。

228:痛みの果てに 28
06/10/29 06:01:11 3svhN0Yj
「ちょっとハセヲー、聞いてる!?」
「ああ、わりぃ。ちょっとぼうっとしてた。なんだ?」
自己嫌悪に沈みかけたリョウの意識を、萌の声が現実に引き戻す。
「まったく、ほんとに重症みたいだね。ご飯作りに行ってあげようか、って聞いたの」
「あ、それは……」
萌のこういう申し出は、ここ一ヶ月では珍しくない。
場合によっては用事が勉強会やら新メニューの味見だったりするし、場所は萌の家だったりすることもあが、それは結局どうでもいい。
二人が会うときの符丁のようなものである。
両親は仕事で家を空けており、しばらくは帰ってこない。
普段だったら茶化しながらも頷く所だ。
だが―
「あれ?もしかして、親御さんいるの?」
「いや、そういうわけじゃないんだが……」
「どっか出てるの?」
「家にいるけど……」
躊躇いがちだったのでごまかす事が出来ず、馬鹿正直に答える。
それでも、頷くことは出来ない。
「だったら別にいいじゃん。決まりねー!それじゃ、すぐ行くから!」
「おい!ちょっと待て!」
リョウが慌てて叫んだときには、既に通話は終わっていた。
携帯からは抑揚のない電子音しか聞こえない。
「くそっ」
小さく吐き捨てて、リョウは携帯をベッドに投げ捨てた。
まったく、あいつは所々でどうしてこうも強引なんだ?

229:痛みの果てに 29
06/10/29 06:01:55 3svhN0Yj
「ちゃーっす、ハセヲー!」
萌はそれから三十分ほどでやってきた。
玄関を開けた瞬間その満面の笑顔が目に入って、寝起きのリョウは思わずげっそりしてしまった。
黒いタンクトップの上に白いキャミソールワンピという服装は彼女の華奢な体つきを魅力的に見せていたが、
ショルダーバッグから覗く長ネギが全てを台無しにしている。
「あれ?なんかテンション低くない?」
「起きたばっかなんだよ。つーか、前から思ってたんだけどお前どうしてそんなに元気なんだ」
「いやー、それだけが取り柄だからね。それじゃ、あたしの料理で元気にしてあげる。キッチン借りるね」
笑顔のままそういうと、萌は勝手知ったる他人の家と言わんばかりに上がりこむ。
暑気当たりではない頭痛を感じながら、リョウはとりあえず食堂で待つことにした。
椅子に座って待っていると、隣接したキッチンからは作業の音が聞こえてくる。
この間、リョウはすることがない。
そんなに料理がしたければ自分の家でやらば良いんじゃないかと思うのだが、
彼女に言わせるとリョウの家のほうが設備が整っているからやりやすいらしい。
単に家に招きたがらないリョウを説き伏せるための口実のような気もするが、真偽はいまだわからない。
退屈を紛らわそうと、滅多に見ないテレビをつける。
たまたま映ったチャンネルでは、昼下がりという時間らしくソープオペラを流していた。
念のため追記するが、
ソープオペラとは石鹸会社がメインスポンサーを務める事から付けられた主婦向け昼ドラのことである。
決していかがわしい意味ではない。
やることもないので、しばらくの間リョウはドラマに見入った。

230:痛みの果てに 30
06/10/29 06:02:27 3svhN0Yj
「夏生、僕には君が必要なんだ!」
「やめて、英明さん!私の心を乱さないで!」
どうやら昔別れた女のところに、未練を持った男が押しかけてきているという状況らしい。
見苦しいものだと思った瞬間、リョウは苦笑した。
人のことは言えない、自分の志乃に対する想いの方がよほど見苦しい。
気持ちを認められず、好きだとわかったら嫉妬と自己嫌悪から当り散らして。
休まず待ってくれていた彼女の心遣いでやっと仲直りできたと思ったら、衝動的に告白して逃げた。
自分が志乃に惹かれた理由は数え切れないほど挙げる事が出来るが、志乃は自分の何処に惹かれたのだろうか。
付き合いだしてから何度か聞いてみたが、彼女ははぐらかすばかりで教えてくれなかった。
そして今、自分は見舞いにも行かず他の女に手料理など振舞われている。
本当に、北岡秀一でも弁護のしようがなく、最低だ。
「どうしても帰らないというのなら……私にも考えがあるわ!!」
感想に浸っていたリョウの耳を、テレビのスピーカーから響く甲高い女の叫び声がついた。
思わず画面を見ると、女がマンションに備え付けられていた消火器を手に持っていた。
そのまま栓を引き抜き、二酸化炭素の白粉を男に向かって噴射する。
リョウは思わず口を開けたままドラマに見入ってしまった。
いくらストーカーを撃退するためとはいえ、そこまでするか?
「うわー、壮絶だね」
料理を手に抱えてきた萌が、リョウの心を代弁する。
振り返ると、その左手には大柄なナイフが握られていた。

231:痛みの果てに 32
06/10/29 06:53:57 EUZORraS
「な、何だよそれ!」
「何って、ナイフだけど」
「何に使うんだよ!怖ぇぇよ!」
「ああ……ローストビーフ焼いたから。いやー、ハセヲの家はすばらしいね。うちとはオーブンの格が違うよ」
「キッチンで切って来ればいいだろ!」
「いや、食べる直前に切り分けたほうが美味しいから」
「いいから!頼むから仕舞ってくれ!!!」
「むー、しょうがないなー。じゃあ向こうで切って来るよ。
ちなみにその場合味・香り・見た目その他一切に関するクレームは受け付けないから、そのつもりでね!」
不満そうに唇を尖らせながら、萌は再びキッチンへ消えた。
(心臓に悪い……)
まだリズムが戻らない胸を押さえながら、リョウは視線をテレビに移した。
既にドラマ本編は終わったらしく、やけに大仰な音楽とともに真っ赤なタイトルバックだけが映っている。
「はいはいー、ハッセヲー、ご飯だよ」
テレビの映像が洗剤のコマーシャルに切り替わると同時に、
萌がにこにこと笑いながら切り分けられた肉が乗った大皿を持ってきた。
起伏の薄い胸には、ブチネコがプリントされたエプロンがかかっている。
「まだまだあるよー、夏バテしないように色々作ったから!」
皿を置いた萌が踵を返し、キッチンへとんぼ返りする。
今度は先ほどよりは少し小さい皿を両手に抱えている。
それを何度か繰り返し、最後に透明のグラスを置いて萌はリョウの向かいに腰をおろした。
テーブルには先ほどのローストビーフのみならず茄子のお浸し中華風、ゴーヤチャンプルー、
韓国風ニンニクスープなど無国籍で多彩な料理が並んでいる。
「よく作ったな、こんなに」
「えへへー、ハセヲに元気になって欲しくて」
頬を僅かに赤らめながら、萌がはにかむ。
付き合いだしてから見せるようになった、心底愛らしい表情。
ともすれば媚びているようにも見えるが、
大輪のひまわりのような彼女の明るさはそんな嫌らしさを微塵も感じさせない。
「……まあ、どうせ食いきれないけどな。どう見ても作り過ぎだ」
「もー!どうしてそういう事言うのー!?」
リョウはそんな本心を素直に出せず、いつものように減らず口を叩く。
萌はそれが気に入らず、小さい拳を丸めて抗議する。
そんなやり取りは、この夏休みの間数え切れないぐらい繰り返されたものだった。

232:パック ◆JuT3jsxZbo
06/10/29 06:55:14 EUZORraS
今度はナンバリングミス。
さっきのは31です。何度も申し訳ありません。

233:痛みの果てに 32
06/10/29 07:01:05 EUZORraS
三十分後。
「ふぅ……意外と食えるもんだな」
椅子にもたれたままテーブルを見て、リョウはぽつりと呟いた。
萌が運んできた料理は明らかに二人分を超えていたが、結局全部平らげてしまった。
母親や志乃程ではないにしても、やはり萌は料理が上手い。
「でしょー!これもやっぱり料理人の腕がいいからかな」
リョウの独り言を、食器を片付けるためにキッチンと食堂を行き来していた萌が耳ざとく聞きつける。
「腹減ってたからな。何食ったってこういうときは何食っても上手く感じるもんだ」
「どうして素直に褒めてくれないのかなぁ……まあ、そういうところも好きだけど」
好きと言う言葉に、リョウの背筋が一瞬凍る。
「お前、そういうこと口に出すなよ」
「別にいいじゃない、本当のことだし」
「本当のことでも口に出さないほうがいいこともあるだろ」
「それじゃ、口より態度で示した方がいい?」
そう言った瞬間、萌は素早くリョウに体を近づけ唇を重ねた。
華奢な右手が肩に触れ、唇を割って舌が侵入してくる。
リョウは何とか離れようとするが、唇で伝わる快感が感覚を麻痺させ、結局足を痙攣させることしか出来ない。
「ふふ、どう?こっちも料理ぐらい上手くなったでしょ」
唇を離した萌が、猛禽のように目を細めてリョウを見つめる。
言葉を紡ぐ度に唇から唾液が滴り落ち、それがリョウの欲望を刺激した。
「お前、真昼間から……」
「ふっふー、いつぞや朝からあたしに襲い掛かってきたのは誰だったかな?それに……」
肩を抑えたまま、萌が左手をリョウの体に滑らせていく。
滑らかな掌の感触が薄いTシャツ越しに素肌を撫で、情動が疼き始める。
萌は顔を少しずつ近づけながら腕を少しずつ降ろし―
「ここはしっかり反応しているみたいだけど?」
硬く熱を帯び始めた下腹部で、動きを止めた。


234:おまけ@志乃PTIN確定記念
06/10/29 07:06:10 EUZORraS
それは記憶の中でダイヤモンドのように輝く、今は遠い蜃気楼。

「おはよう、ハセヲ」

天から響くような、ウィスパーボイス。
見上げれば、初夏の明るい日差しが彼女を照らしていた。
真昼の光に照らされたその微笑みは、余りに眩しくて――

「どうしたんだよ、その服」
「……一種の決意表明かな。それに……」
「?」
「ハセヲとおそろいでしょ?ペアルック、ふふ、リアルじゃ恥ずかしくて出来ないからね」
「な、なんだよそれ!」

架空の世界で刻まれる、真実の日々。

「スイカズラの花言葉……知ってる?」

「愛の絆……」

恋は心を溶かす、砂糖の甘さ。

「なあ、その……俺のこと、どうして好きになったんだ?」
「それはね……ふふっ、やっぱり内緒」

蜜月は夏至の夜のように過ぎ―

「ごめん、私、行かなきゃ……」

終わりは突然に訪れる。

「泣いちゃ駄目だよ、男の子でしょ」

どんなに遠く、儚くても。
一度その夢に魅せられた少年は、追い続けるしかない。
永遠の輝き、人はそれをフローレンスと名づけた。

Addition Track:Slightly Mirage Comming sonn.

235:パック ◆JuT3jsxZbo
06/10/29 07:06:46 EUZORraS
以上。
途中時間が空いてIDが変わってるのは連投規制に引っかかったせいです。
次回は11/1、水曜日(予定)。

236:名無しさん@ピンキー
06/10/29 11:15:26 /uOMS9nE
>>235
乙です!
いつもいつも素晴らしい小説を本当にありがとうございます!
パックさんの小説が大好きです!
次回も楽しみに待ってます。
あと質問なんですが、出来たらパックさんの今までの作品を
まとめてゆっくり読み返したいのですが、個人サイトとか作成される予定はありますか?

ここで聞くのがまずかったらすみません

237:名無しさん@ピンキー
06/10/29 13:43:03 tIyVgbTi
>>235
GJです
続きwktk

238:名無しさん@ピンキー
06/10/29 14:32:10 r6u1eNqw
>>パックさん
GJGJGJ

タビー・・・いい娘だなー(´;ω;`)

239:名無しさん@ピンキー
06/10/29 23:23:43 5FCF34pF
ハセヲ×揺光がよみたい・・

240:名無しさん@ピンキー
06/10/30 00:18:43 ptmr4EDc
>>235
読んだの途中からだけど、毎度神!
ハセヲと志乃大好きな人間なんで、美味しい所が
ちらほらみられて最高だったよ。
勿論タビーも良い味だしててGJ!
おまけも楽しめましたお腹一杯。
続きもwktkしてます。

>>236
同じく、このスレに来たのが今の10スレ目で初めてなんだけど
過去の作品もぜひ見たいね。
保管庫があるっぽいし、そこに保存とかじゃ駄目なんだろうか?
今は更新止まっちゃってるようだけど・・・

241:名無しさん@ピンキー
06/10/30 00:58:25 Dyj4tdUJ
過去スレならにくちゃんねるで最近のは全部見られるんじゃね?

242:名無しさん@ピンキー
06/10/30 01:03:45 +hvfjh6K
>>220のつづき~
友達に聞いて確認した。望のしゃべり方はばっちりだ。たぶん…

「あ、おねえちゃん」
「なんや、望もトイレかいな」
「うん」
「そうか、ウチは先に戻っとるで」
「うん、分かった」
数分後、用を足し終わり、揺光達の元へ戻ろうとする望の腕を掴む者がいた。望が振り向こうとすると、人気のない入り組んだスペースへと連れ込まれた。
「え? あ、あの…」
何が起こったか分からない望の前にいたのは、明美と奈緒の二人だった。
「えっと、何か…?」
「ちょっとお姉ちゃん達と一緒に遊ぼう。いい事してあげるから」
「え?」
明美はそれだけ言うと、望を思いっきり抱きしめた。
「!? な、なんですか!?」
いきなり抱きしめられ、望は驚いた。
「ん~、やっぱり可愛い~。男にしておくのは勿体無いくらい」
「ちょっと、いつまで抱きついてんの明美」
「もうちょっとだけ~」
明美は望を放そうとはしなかった。望は何か喋りたいが、明美の胸の間に顔があるため思うように喋ることが出来なかった。
「ったく、仕方ないわねえ…あんた、当初の目的忘れてるでしょ?」
「覚えてるって」
当初の目的。どうやら明美達の目的は自分にあるようだと望は思った。しかし、彼女達が自分に何の目的があるのかと言うことは流石に分からなかった。
明美は望の耳に息を吹きかけると、そのまま片手を下半身へ移動させた。
「な、なにしてるんですか!?」
「何って…ナニだよねえ?」
明美は奈緒に確認を取った。
「うん、ナニだね」
奈緒はうなずいた。望は二人が言っていることをすぐには理解できなかった。そんな知識もないからだ。
「大丈夫だよ、優しくしてあげるから」
「そうそう。お姉さん達に任せてれば全部大丈夫だよ」
「だから、なにがですか!」
「だから、ナニ」
望は明美の片腕に抱かれながらも、抵抗しようと少し暴れた。
「もう、仕方ないなあ」
しかし、相手は女子と言えども自分より年上で背も高い。あっという間に明美に羽交い絞めにされてしまった。
「奈緒」
「オッケ~」
明美は望のズボン状丸めているスカートの裾を掴むと、そのまま裾を引っ張り出し、スカートの形状に戻した。
「ふふふ~、君のここはどんな大きさかなあ」
「は、はなしてください!」
望は何とか抵抗を試みようとはしたものの、羽交い絞めにされていたため、それは出来なかった。
奈緒は望のスカートに手をかけると、そのままめくりあげた。

243:名無しさん@ピンキー
06/10/30 01:03:48 cyTRSq3o
>>241
初期、2、3、9辺りしか見つからなかった

244:名無しさん@ピンキー
06/10/30 01:04:50 +hvfjh6K
望が明美達に襲われていたころ、智香はご機嫌だった。理由は簡単。亮が隣にいるからである。では何故亮が隣にいるのか。それは、智香の手伝いをするためである。
「なあ」
「何? 亮」
「俺、手伝いに来たんだよな」
「そうだよ」
「じゃあ、何で腕組んでんだよ」
「せっかく亮と二人っきりなんだ。良いだろこれくらい」
智香は亮の肩に自分の頭をもたれさせた。が、それもそう長くは続かない。
「あーーーーーー! 人がおらん隙に何しとんねん!」
トイレから帰ってきた朔に現場を見られた。
「っち…」
智香はばつが悪そうに舌打ちした。
「今、舌打ちしなかったか?」
「してないよ」
「……そうか」
亮は舌打ちのことを智香に尋ねたが、智香の何故か恐怖を感じさせるような笑顔に何も言えなくなってしまった。
「お帰り朔、早かったじゃねえか」
「ウチがトイレに行っとる間にハセヲいちゃいちゃするたぁええ度胸や!」
「いちゃいちゃ? してたか?」
「ウチに聞くな!」
何故かハセヲに思いっきり当たった。
「…何怒ってんだよ」
「別に、ウチはハセヲが誰といちゃいちゃしようがかまへん。けど、時と場所を考ええや」
「お前、さっきと言ってる事違うぞ」
「なんや?」
「何でもありません」
亮は朔の今にも「お前の首根っこ引っ掻いてやろうか」的な目に何もいえなかった。

とりあえずはここまで。つづきは今度~

245:名無しさん@ピンキー
06/10/30 01:05:39 cyTRSq3o
乙!望大丈夫か?www
それと割り込みスマソ

246:名無しさん@ピンキー
06/10/30 01:40:12 HZtlyVzA
>>242
書くこと字体は否定しないのでせめて書き始める前にオリキャラ×望がある、位いってくださいorz

247:名無しさん@ピンキー
06/10/30 01:58:27 hPpSeA1N
おまいら乙
ハセヲ×揺光+カール投下

248:名無しさん@ピンキー
06/10/30 01:59:32 hPpSeA1N

「で、どうだったんだ。100位以内には入れた?」
「何とかね……」
「くっくっく。どした、もっと喜びなよ」
「この2週間ばっかし徹夜で勉強してたから、喜ぶ気力も残ってませーん……」
「ほほう」

2018年・1学期末の定期試験。
智香は何とか両親との約束通り100位以内に入ることができた。
100位以内に入れば夏休みに東京に行ってもよいと約束し、死に物狂いで勉強した結果である。
特に苦手な英語を重点的に復習、分からないとことろは恥を忍んで1学年上の潤香に見てもらった。
《The World》もログインをしばらくしていない。夜食のカップ麺も食べていない。
それだけ自身を追い詰め、ついに勝ち取ったのだ。自由を。

「親も驚いてたなぁ……」
「当然。あたしが勉強見てやったんだ」
「その点については感謝してるよ……んで、潤香はどうだったのさ」
「いつも通り。学年10位以内にゃ入ってた」
「その余裕ぶりがムカツク……ぬぬぬ……アタシの遥か上じゃん……」

涼しい顔でそう言ってのける潤香の余裕は、やはりさすが。
世の中は不公平だ。
智香ではどう頑張っても100位以内に入るのがやっとなのに潤香は普通に20位以内。
この差は何なのか。できることなら少しそのIQを分けてほしい。ついでに背も。

「元気がない時はアレだ。カラオケにでも行くか?」
「珍しー。潤香から誘うなんて」
「行くの? 行かないの?」
「……行く」




**********************




「もう言わないで 呪文めいたその言葉 愛なんて鎖のように重い
 囁いて パパより優しいテノールで どんな覚悟もできるならばー!」

歌っているのは智香。誘ったはずの潤香はすでに2時間以上マイクも持たず静観。
スイッチの入ってしまった智香は放っておくのが一番だと潤香はよく分かっている。
しばらく歌わせてやれば、そのうちいつものテンションに戻るはずだろうし。

「さあ誓ってよ その震える唇で 蜜を摘む狩人のトキメキ
 触っていい この深い胸の奥底を 射抜く勇気があるのならばー!
 貴方捕まえたら 決して逃がさないようにしてー! …………ふぅ~」
「おつ。あんたもローゼン……ってかアリプロ好きだな」
「まだまだ、こんなもんじゃないからね……次は亡國覚醒カタルシスいくよ!」

熱唱を続ける智香を傍らで見つつ室内電話を手に取り、
延長を願い出る潤香の顔は―――何故か1曲も歌っていないにも関わらず満足気だった。


249:名無しさん@ピンキー
06/10/30 02:00:48 hPpSeA1N

「うぉ~す……」
「よ、揺光? どした、何か声が変だぞ」
「カラオケで歌い過ぎちゃって……はは」

ハセヲだ。
定期試験も終わって久々にログインしてみると、揺光の声が随分としゃがれててビビった。
俺らの他にもアトリやガスパーももう定期試験が終わった頃だろう。
シラバスの奴は8月上旬まで大学の試験が長引くってよ。ご苦労なことで。

「何か……久しぶりだよね。こうやって会うの」
「2週間ぶりってとこか」
「試験勉強してたからさ、全然ログインする暇なかったもん」
「お前んとこも試験終わったのか」

コイツの口から試験勉強なんて単語が出るとはな。
揺光も今年で高2だし受験のこととかも考えてんだろうけど。
でも塾とか行ってる気配はないな、独学か?

「あ、それでね。東京行き、親の許可もらえたよ」
「そか」
「そか、で済ますなよなぁ~。大変だったんだぞ、学年100位以内に入るのが条件でさ……」
「てコトはお前、今まで100位以内に入ったことなかったんだw」
「うっ」

こりゃマジでなかったっぽいな。
メールでも勉強の話すると機嫌悪くなるし。
……別に頭悪くても俺は構わねぇけど。

「な、何だよー! ハセヲのために頑張ったんだぞー!」
「あん? 俺のため?」
「あ、ち、違う! もう飛行機のチケット予約してあるし! 
 その……行けなかったら勿体無いし……キャンセル代とられるのもシャクだし……!」
「へいへい。そーいうコトにしといてやる」

揺光なりの照れ隠しなんだろうけど……バレバレ。
まぁでも、これで正式に東京行きが決まったワケだ。
補習のこととかも考えると7月下旬か8月初旬ってとこか?

「とにかく! ……ちゃんと迎えに来てくれよ。
 アタシ、東京行くの初めてで右も左も分かんないし……」
「成田に着いたら携帯でゲートの場所教えろ。俺もお前がこっちに着く頃に迎えに行ってやっから」
「荷物、一旦ハセヲの家に置いていい?」
「あぁ」
「じゃ、そのあと遊びに連れてってくれる?」
「いーぜ」
「あは。やったw」


揺光の……智香の顔も知ってるし、大丈夫だろ。
その日の服装とか聞いてりゃすぐ見つかるだろうし。……空港が混んでなけりゃの話だが。
でもこれって……オフだよな? いや、宿泊オフ?
家に女の子泊めるってもの初めてだしな……やっぱ掃除くらいはしといた方がいーんだろうか。
晩飯は……やっぱラーメンか?


250:名無しさん@ピンキー
06/10/30 02:02:21 hPpSeA1N

「どーする? 久々にクスエトでもやるか」
「ん……そだね……どうしよっか」

こういう時って会話に困る。
リアルで会った時もこういう感じの流れになっちゃマズイな。
何か会話しねぇと間が持たねぇっつーかさ。

「あーやっぱ……ハセヲと一緒なら……どこでもいいや」
「……」
「……アタシ、何か変なこと言った?」
「いや……」

こいつはたまにドキリとさせるセリフを平気で言う。
今のは聞いてた俺の方が恥ずいんだが……。
最初に会った頃に比べるとだいぶ親しみやすくなった気はするっちゃするが、何かこう……
上手く言葉にできねぇ……。

「ね。ハセヲ」
「ん」
「アタシと一緒に遊んでてさ、楽しい?」
「……」
「アタシはさ、アンタと一緒に遊んでる時が一番楽しいよ」
「……」
「ハセヲは……どう?」

どうって……答えは一つだろ、そりゃ。

「……楽しい」
「ホント?」
「ホントだ」
「ホントにホントにホント?」
「嘘ついてどーする」

子供みてぇな奴。
いつもと態度違うと何か調子狂うな。
……俺の前でだけオープンなだけか?

「そっか、楽しいか……エへへ、良かった」
「何だ、それが聞きたかったのか?」
「会う前に聞いておきたかっただけ」
「あんまリアルに期待すんな。何処にでもいそうな奴だし、俺」
「そだっけ?」
「前に写メで写真送ったろ」
「あ、ゴメン。見てない」

コイツは……。
自分から写メ交換しようって言ってきたクセに……しょうがねぇなぁ。
俺は智香を知ってるけど、智香は三崎亮を知らないってか。



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