とある魔術の禁書目録 2フラグ目at EROPARO
とある魔術の禁書目録 2フラグ目 - 暇つぶし2ch700:名無しさん@ピンキー
06/12/19 12:18:56 sD55xrZl
>>695
たしか色がなくなるとかつくとかだったか?超うろ覚え。

701:名無しさん@ピンキー
06/12/19 13:45:08 EJ2Ysh0z
>>698
違うぜブラザー。
ロリペド逆レイプ話だYO

702:名無しさん@ピンキー
06/12/19 17:27:38 Zc+QHMUB
ロリとペドの違いがよくわかんないんだが、

  ロリ:インデックス
  ペド:小萌先生
           これで良いですか?

703:名無しさん@ピンキー
06/12/19 17:51:31 3dWgGrs5
それはもしかしてギャグで言っているのか?

704:名無しさん@ピンキー
06/12/19 18:27:16 tQCVn1q1
ぺドは両刀使いのことだぜブラザー

705:名無しさん@ピンキー
06/12/19 18:28:10 tQCVn1q1
すまなかった

706:名無しさん@ピンキー
06/12/19 18:30:45 dllS6HaS
ペド野郎:青ピ
ロリコン:小鳥遊

707:名無しさん@ピンキー
06/12/19 18:50:27 LrYJZrkU
ロリコンは見てるだけで満足できる紳士です。
ペドフィリアは手を出さないと燃焼出来ない鬼畜です。

708:名無しさん@ピンキー
06/12/19 20:01:04 3jO+Qy8G
>>704
( ゚Д゚)

(  Д ) ゚ ゚

709:名無しさん@ピンキー
06/12/19 20:04:30 cLgWKRpM
ペド:幻想殺しで消滅する

710:名無しさん@ピンキー
06/12/19 20:15:02 3dWgGrs5
704よ、それはペドじゃなくてバイだ。

711:名無しさん@ピンキー
06/12/19 20:20:54 piSMeMMQ
ロリは中学生から、ペドは生まれたときから中学生まで

712:名無しさん@ピンキー
06/12/19 20:27:32 HzmX+JXi
>>700
それもシリーズの一つ。

あのメーカーが作ってるゲームは全部ANOSシステム。
簡単にいうとノベルゲームの履歴機能を逆手にとったシステム。
記憶をなくしてる上条にははまると思ったんだ。
まあ、これ以上はすれ違いなんで興味がある人は「自転車創業」でぐぐってくれ。
個人的にはかなりお勧め。

713:名無しさん@ピンキー
06/12/19 20:36:49 0abvj8Xd
そう、あたしたちは(ry

714:名無しさん@ピンキー
06/12/19 22:07:52 SQzbQjWT
ロリやペドの人は日夜法律と闘ってるんだぜ。
合法と言う言葉をスルーする武士も居る。

715:名無しさん@ピンキー
06/12/20 00:27:23 fgW+jQSy
SAMURAIなら平気じゃね?

716:名無しさん@ピンキー
06/12/20 01:25:42 rV54GUES
はわわ、御主人様限界突破しちゃいますぅ><

717:名無しさん@ピンキー
06/12/20 07:36:08 1rrubQvt
禁書キャラも限界突破出来てるよ。

718:名無しさん@ピンキー
06/12/20 13:18:58 VtdYgExB
オリアナさんとかオルソラさんとか。

719:名無しさん@ピンキー
06/12/20 14:26:00 dH7cnPkO
小萌先生もある意味突破してる

720:名無しさん@ピンキー
06/12/20 17:38:09 4z95xYBY
クリスマスも近いっつーことで、サンタなオルソラを>>725にプレゼント

721:名無しさん@ピンキー
06/12/20 17:51:10 BXZ7dj3S
どこぞの撲殺天使もびっくりな衣装になりそうですね

722:名無しさん@ピンキー
06/12/21 00:10:22 iIAKyZli
オオオオオオオオオオオ
ねーちんが……ねーちんが

723:名無しさん@ピンキー
06/12/21 02:17:13 56qghVoq
もらした?

724:名無しさん@ピンキー
06/12/21 03:01:03 XN2u6sK2
つまり当麻はねーちんに逆レイプされるとな

725:名無しさん@ピンキー
06/12/21 06:54:27 qidSrVDE
ぱっつんぱっつんなミニスカサンタオルソラをいただきました。

726:名無しさん@ピンキー
06/12/21 08:28:59 56qghVoq
>>720から>>725
気が変わった、返せ

727:名無しさん@ピンキー
06/12/21 09:15:14 FxZSS67C
>>720>>725が争っている隙に、ミニスカサンタお姉さまは頂いていきますわ

728:名無しさん@ピンキー
06/12/21 10:54:12 4udXR21N
トナカイの着ぐるみを着たミサカを貰っていきますね?

729:名無しさん@ピンキー
06/12/21 11:35:01 NUPeWr97
正直、貰っていく系は本スレでやってくれと言いたい

730:名無しさん@ピンキー
06/12/21 17:14:56 UmTh0opj
正直な話風斬はエロくね?
眼鏡は淫乱の法則だよ!

731:名無しさん@ピンキー
06/12/21 20:20:47 uh1IVr7e
絡ませづらい!エロいけどエロいことしてるところが想像できない!

732:名無しさん@ピンキー
06/12/21 21:11:53 LfOoqQvW
OKOK.
巨乳はエロイで良いよ。

733:579
06/12/22 00:16:53 KKgpuTrZ
えらくレスが進んだけど投下は無かったんですね…。
オルソラさん、投下します。前書いた王様ゲームとおまけの後くらいの気分で。
推敲は甘いのでごめんなさい。

「なんか大騒ぎになっちまって悪かったな、オルソラ。こんな遠くまで来てくれたのに」
 すでに夜も更けて、街灯が辺りを照らす大通りで上条当麻は黒衣のシスターに声を掛け
た。この学園都市に宗教関係者が何の会議にやってきたのだろう、とは思ったし、その会
議が終わったら少し閑があるのでございます、宜しかったらお会いしませんか―と、今、
隣を歩くシスター、オルソラ・アクィナスから連絡を受けたときは驚きもしたが、自分に
会いに来てくれる、ということが上条にとっては素直に嬉しかった。
 が―、何時のまにやら(元からいたインデックスも含め)上条の学生寮に詰めかけた
少女たちと結局大騒ぎになってしまい、オルソラとはゆっくり話すことも出来なかったよ
うな気もする。

「ふふ。よろしいのでございますよ。あなた様の普段の姿をお見せいただきましたし―、
わたくしも楽しかったのでございますよ?」

 オルソラはそう言うと柔らかく微笑んだ。その表情に思わず赤面しそうになり、上条は
空を見上げて無理やりに話を逸らす。
「ついこの間まで寝苦しかったのに、大覇星祭が過ぎたら随分と涼しくなったんだ。夜と
もなると冷えるな。オルソラは寒くないか?」
 ちらりと横目で隣を見る。黒衣のシスターはさっきと同じ、柔らかな笑みを浮かべたま
まだ。顔を向けるのが何故か気恥ずかしい。「なんか上着でも持ってくるんだったな」
「肉の苦しみは心の……と言うのは以前言ったのでございましたか。それにもうひとつ、
今のわたくしには心を暖めていただけるものがございますから、ちっとも寒くないのでご
ざいますよ」
 オルソラの台詞は噛み締めるような響きだった。その響きに思わず上条はオルソラを見
つめる。今度はオルソラが目を逸らしたような気がする…が、やはり気のせいだろうと上
条は正面に目を戻した。
 そうこうしているうちに、オルソラの泊まっているホテルが見えてくる。

734:579
06/12/22 00:18:29 KKgpuTrZ

 学園都市にもホテルなどの施設はある。大覇星祭などで父兄等の観客を受け入れなけれ
ばならないし、科学の最高学府として学会等も数多く開かれるから、そういった人々の落
ち着き先は当然用意されているのだ。ただ、学園都市に住む上条のような学生・生徒らに
は縁がない、と言うだけのこと。先日の大覇星祭で両親が泊まった宿を除きにいくような
こともなかったから、オルソラとともにロビーへ入った上条は物珍しさにキョロキョロす
るばかりだ。
「普通に生活してると、学園都市にこんなホテルがあるなんて気にもしないからなんか見
回しちまうよな。ま、それはそうと今日は大騒ぎになっちまって。あとはゆっくり休んで
くれよ、俺はこれで帰るから……っておい、何してるのオルソラさん?」
 気がつくとオルソラに腕を組まれてエレベーターに乗り込んでいる。
「先ほどは冷えると申してらっしゃいましたから、熱いお茶などお飲みになってお帰りに
なるとよろしいのでございますよ。わたくしが淹れて差し上げますから、お部屋へ参りま
しょう」
「っていやそんな、悪いし!」
 一応遠慮してみせる上条だが、こういうときのオルソラが意外と強引なのはキオッジア
でも感じた部分だ。それに、腕を組まれてしまって、オルソラの豊満な部分が当たってし
まっている。その想像以上の柔らかさに体が強張ってしまって、
「まーまーなのでございますよ」
と言いながら手を引くオルソラに、体を任せざるを得ない上条なのだった。とりあえず、
「(オルソラさん?何か当たって上条さんはドキドキバクバクなのですが?)」と小声で
……というか掠れ声で呟いたら「(当ててるのでございますよ)」と聞こえてきたような
気がするが、それもきっと気のせいに違いないと考えることにした。


(はっ!オルソラの胸の感触に気を取られていやいやいやそうじゃなくって兎に角何だか
気が付いたらでっかい部屋にっ!)
 こう見えて純情な上条がお色気シスターさんに腕を組まれていることに気を取られてい
るうちに、どうも彼女の部屋に付いていたらしい。エントランスにミニ・バー、横にはク
ロークルーム、進んでいくと豪奢なソファがしつらえられていて、奥にセミダブルベッド
が二つ並んだ広くて豪華な部屋だ。
「すごい部屋だな……俺の部屋の何倍有るんだ?学会とかでやってくる偉い先生とかはこ
んなとこに泊まるのか。うらやましいモンだな…」
「ええ、このような立派な部屋は必要なかったんでございますけど、イギリス清教のほう
で気を遣って下さったんでございましょう…あら?どうかなさいましたか?」
 ここのところ、病院以外でベッドに寝たことのない上条は、思わずふらふらとベッドに
近づいて手をついていたのだった。

735:579
06/12/22 00:19:23 KKgpuTrZ
「あ、いや、すまん。最近はベッドで寝たことが無くってさ、ほら、インデックスがいる
だろ、それでずーっとユニットバスに毛布持ち込んで寝てるんだ。ふかふかのベッド素敵
だなー、って見入っちまった」
 正直な心情を吐露する。何時だったか、インデックスがいかにももうひとり分のスペー
スがあるかのように寝ているところを見たことが有るが、だからといって上条は女の子と
同衾してしまうほど図太い神経は持ち合わせていないし、抑えが効く自信も―有るとは
言い切れない。
 その結果がユニットバス立てこもりなのだが、この豪華な部屋に仕付けられた寝心地の
良さそうなベッドにはさすがに羨望を覚えてしまったのだ。
 それを聞いて、オルソラが微笑みながら答える。
「そうだったのでございますか。それは大変でございますね…。そう言うことでございま
したら、わずかな間ではございますけど、少し寝ころんでいったらよろしいのでございま
すよ。わたくしはその間にお茶を淹れて参りますから」
 一瞬迷った上条だったが、ふかふかのベッドが気になって仕方がない。
「じゃあ、ちょっとだけ…悪いな、オルソラ」と言うと、靴を脱いでベッドの上に横たわ
った。横目にオルソラがこっちを見ながら笑みを浮かべてミニ・バーの方へ向かうのが見
えて少し気恥ずかしかったが、上等なベッドの包まれるような感触に思考が真っ白になっ
ていった。

(あー、いいなあ、こんなベッド…体思いっきり伸ばしてもまだ余るよ…それにふかふか
だし…)

「お茶が入ったのでございますよ……まあ。本当に、お疲れでございましたのですね…」
 部屋に戻ったオルソラが見たのは、すっかり寝入ってしまった上条の姿だった。
 お茶の載った盆をとりあえず置いてしまうと、眠ってしまった少年の隣に腰掛ける。
「今回のことでは―お仕事を言い訳にしましたけども…本当はあなた様のいる学園都市
と聞いて…是が非でもわたくしに行かせて頂きたいと、無理にお願いしたのでございます
よ…。何故だかお分かりになられますか、―かみじょう、とうま、さん」
 眠る少年に語りかけるオルソラ。一言一言を紡ぐごとに動悸が激しくなり、顔や体が火
照っていくのが判る。
「こんなときでもなければ申し上げられませんけど―さっき話したわたくしの心を暖め
てくださるもの―それは、とうま、さん、あなた様なのでございますよ…?」
 相手が眠ってしまっているとはいえ、これだけのことを搾り出すのにかなりの体力を消
費してしまったような感覚だ。それに、あえて当麻、と名前を呼ぶことにも気持ちを奮い
立たせていた自分に気づく。
 しかし、ここまで来たらもう止められない。
 上条の頬に手を伸ばす。
 そしてそのまま―少女オルソラ・アクィナスは上条当麻にそっと口づけた。

736:579
06/12/22 00:20:14 KKgpuTrZ



 窓から明かりが差す。うっすらと意識が覚醒してくる。横になっているが、体を伸ばし
ている。ベッド?おかしいな、入院してた覚えは無いんだが…と上条当麻はぼんやりと考
え―

 ガバアッッ!体を起こし、慌てて辺りを見渡す。サァーと血の気の下がる音が聞こえた。
「えっ、えええーっ、あのままホテルに?夕べの記憶無いんですけどっ?えっ、ええっ」
 頭を抱えて大騒ぎする声に、上条の傍らで動くものがあった。
「んっ……。あら、おはようございます。よく眠れましたでございますか?」
 慌てて傍らを見る。と、バスローブ姿のオルソラ・アクィナスがゆっくりと上半身を起
こすところだった。体を起こすその際に、肩の部分が少しずれて艶かしいうなじ、そして
豊かな谷間が見えてしまった。
 それを見て、上条の頭の中ではは混乱するよりむしろハイそれまでよ、といった感じで
『カーン』と鐘がなった気がした。

「……えっと、……こんなこと聞くのも何なんですが……オルソラさん……どういうこと
でこういう状況になっているのでせう……?」
 搾り出すようにして尋ねる。
「あら…そんな…わたくしの口から夕べなにがあったか言えだなんて…そんな」
 しかし、肝心のオルソラは頬に手を当て、顔を赤らめてそう言うだけだった。
(―一体どうなったんですかーっ!上条さんはひょっとして取り返しのつかないことを
しましたかーっ!ひいいいいいいいっ)
 実際上条はただ寝ていただけなのだが―これ以上述べるのは酷というものだろう。



 その後ホテルから出るのにオルソラまで連いてきて、ジョギングをしていた吹寄制理さ
んに見つかって毛虫でも見るような目で見られたり、こういうときになぜか現れる青髪ピ
アスにやっぱり発見されて思わずオルソラの手を引いて逃げてしまったらそれを白井黒子
に見られていて、御坂美琴に有ること無いこと吹き込まれて顔面を抉られたり、朝帰りに
今までにない調子で怒りを爆発させたインデックスに気を失うほど頭を噛まれたりしたの
だが、まあそれは別のお話ということで。

737:579
06/12/22 00:21:37 KKgpuTrZ
以上。
またなんか書けるといいなあ。長編書ける人ってすごいね。

738:名無しさん@ピンキー
06/12/22 01:23:01 hKkEPSBT
GJ!

739:名無しさん@ピンキー
06/12/22 02:14:47 6OVnTXtY
濡れ場カットかよ!
頼むよ、神

740:名無しさん@ピンキー
06/12/22 07:55:19 4I66akU3
投下乙。
しかし、我等が上条はそうじゃないだろ!
実は起きててオルソナの告白聞いちゃって、ソレを悟られて…。
ってのが上条クォリティでしょ?

741:名無しさん@ピンキー
06/12/22 09:00:55 tDhUgwFI
チクショウ、ほのぼのだぜ(*´Д`)

742:名無しさん@ピンキー
06/12/22 14:20:21 sBu+Orm9
久々の投下、GJでした!
最近は投下されることが稀になってきましたね・・・。

743:名無しさん@ピンキー
06/12/22 22:28:52 uyWT+8PP
実はフタナリでアッーじゃねぇの?

744:名無しさん@ピンキー
06/12/22 23:14:53 TwZt6HtG
誰が!?

745:名無しさん@ピンキー
06/12/22 23:38:42 2wQiwnIi
本命:ミーシャ
対抗:ミサカ妹の誰か
大穴:当麻さん

746:名無しさん@ピンキー
06/12/22 23:55:03 HipZkvYA
小萌先生が当麻をアッーだろう。

747:1/5
06/12/23 17:18:20 dpiizb41
私も含めた世界を『俺達』と言い切る少年に、貸しとか借りとか考えていた自分の小ささが恥ずかしくなった。
聖人と呼ばれていても、人間性とは関係ない。
「ありがとう」
辛うじてそれだけ言った後、無意識に右手が出た。
「お?……握手?」
苦笑しながらその手を見る上条だったが、暫し悩んだ後、恥ずかしそうに手を握る。
「美人のお姉さんと握手するのは、上条さんも照れますね」
等と……あれ?
不思議な感覚に、握りしめた右手を見つめる。
「神裂?どーかした?」
「いや……ちょっと、気に成る事が有るのですが」
右手を握り締めたまま、左手でも握手してみる。
――やはり……おかしい。
「おーい、神裂さん?」
右と左で感覚がまったく違った。
右手が伝える違和感が気に成って、左手も添えてみる。
上条当麻の右手『幻想殺し』
特に危害を与えられる物ではないはずなので、無造作に手にとって見たが……
「おーい、どうした?なんかあったのか?神裂」
黙って手を握りしめる私を不思議そうに見つめていたが、私はそれ所ではなかった。
右手を胸の谷間に埋めて抱きしめる。
「うおぉぉぉぉぉ、神裂ぃぃぃぃ」
真っ赤に成った上条が逃れようともがくが、逃がさないように強く抱きしめる。
逃げようとする上条当麻と、逃すまいとする私の間で暴れる右腕が、勢い良く胸に当たる。
「ちょっ、なんだっ?神裂っ、正気か?」
胸に当てていた手のひらを一旦離す。
上条が安心した様に力を抜いた瞬間に、手を口元に持ってくる。
そっと、指先に唇を這わせる。
「うおっ、なんだっ、なんなんだっ」
上条当麻までの距離を一歩詰め、手首を胸で固定する。
指先で唇を刺激していたが、もっと強い刺激を求めて指を咥えた。
あまりの展開に付いて行けない上条が呆然と見詰めている間に、くちゅくちゅと指をしゃぶる。
左手で自分の胸を上条の腕に押し付ける。
痺れるような甘い感覚。
私は……生まれたときから聖人だったから……。
聖域たる私の身体は、何者にも侵される事は無かった。
異性の手、守りも無くそれに触れたのは、間違いなく生まれて初めてだった。
自分自身に対してすら、七つの大罪たる『色欲』から守られていたため、免疫も無かった。
『上条の右腕』そこに触れている部分のみが、聖人では無く女に成る。
初めて知った事実と快感に、神裂は流され続ける。

748:2/5
06/12/23 17:19:00 dpiizb41
(やばいっ、やばすぎるっ)
まるでアレをしゃぶる様に、一心に指を吸い続ける神裂だったが、
(目、目が……いってらっしゃるっ)
焦点も合わずに、必死に全身で右腕にぶつかって来ていた。
正直今すぐ襲い掛かりたい衝動に駆られていたが……
(土御門っ、奴が……奴がドアの外にっっっ)
何が起きたか分からなかったが、こんなところを見られる訳には行かなかった。
(俺は良いけどっ)
お見舞いに来るだけであれだけからかわれた神裂が、どれだけ茶化されるのか想像するだに恐ろしかった。
(魔術かなんかなのか?こいつって聖人とかって……特別なんだよな?)
実はまったく違うのだが、神裂が魔法を解くために自分の右手を使っているのだと思った上条は、
動きを止めさせるために神裂を抱きしめると、右手で頭を撫で始めた。
(洗脳には効いたけど……どうだっ?)
「うあっ……ひどっ……もっと……」
耳元で囁かれる台詞に理性を焦がされながら、上条は頭を……髪を撫で続けた。
「ずるっ…………髪より……やぁ……」
グネグネと押し付けられる身体は、インデックスや御坂より遥かにボリュームが有った。
(てか、直接こんなに接触するのって、始めてかも)
インデックスが噛み付くときなのは、もっと密着しているわけだが……
(女の人って……いいなぁ……)
「ひぅっ……もっ……だめっ……うそ……髪だけでっっっ」
一瞬全身を硬直させた神裂が、ぐったりと力を抜いた。
「神裂?」
荒い息をするだけで返事の無い神裂を自分の横に寝かせる。
潤んだ瞳が何か言いたげに上条を見つめていたが、恥ずかしくなって目を逸らす。
「えーと……落ち着きましたかー神裂さん?」
土御門に聞こえないように耳元で囁くと、それだけで目を見開いた神裂がビクビクと震えた。
(なんだか分からんが、まだ駄目みたいだなぁ)
「土御門は俺が相手しときますから、落ち着いたら……」
そう言われるまで土御門の存在をすっかり忘れていた神裂は、一瞬で真っ青になった。
ごそごそとベットから降りて、廊下を窺う上条を恐々と見つめる神裂は、年相応の女の子に見えた。
「あー、廊下すぐには居ないみたいです」
(……もーちょっと堪能すればっ……上条さんの根性無しっ)
今更な後悔をかみ締めながら、まだ息の整わない神裂の側に戻る。
「……す、すいませんでした」
神裂は泣き笑いの様な表情で上条に何とかそれだけ伝える。
「んーいいよ、魔術の攻撃か何かなんだろ?まだ出切る事ある?」
実態とまったく違う、上条の認識に安堵した。
(実は生まれて始めての官能に溺れてました)
言える筈なかった。
「……すいませんが、もう暫くだけここで休んでてよろしいですか?」
もう少しだけ側にいたかった。
「おぅ、じゃ俺、土御門の相手してくるな」
とことんまで鈍い上条は、数十秒後に泣き始める神裂を置いて廊下に立ち去ってしまった。

749:3/5
06/12/23 17:19:38 dpiizb41
「だめだっ」
あれから一週間。
「何をしても……」
神裂は焦れていた。
繰り返し繰り返し自慰をしてもイクどころか……
「気持ちよくもならない……」
脳に焼きつくように残った上条との記憶は、あんなにも気持ち良いのに。
「いやだ……いやだ……いやだ……いやだ……」
自分の指でも、恥を忍んでこっそり買いに行った道具達でも。
「気持ち良くならないっ」
一度知ってしまった快感に、毎夜毎夜夢では上条の指に狂わされていた。
痛い位胸を絞っても、優しく触れても、小さく振動する機械を当てても。
――無造作に触れる上条の足元にも及ばない。
「いらないっ……こんな身体っっっ」
もどかしさに涙を流しながら上条の右腕を求める神裂に、もう殆ど理性は残っていなかった。

750:4/5
06/12/23 17:20:10 dpiizb41
「やぁっと、退院ですよっと」
なぜか見舞いに来てくれた土御門と病院の廊下を歩いていた。
「いやー、上やんが無事で良かった良かった」
「は?」
土御門の不穏な発言に、ちょっと怯えながらも確認してしまう。
「何か有ったのでせうか?」
「いやちょっと、警備員と風紀委員がなぎ倒されて侵入者が有っただけにゃー」
…………
「いや……結構大事じゃねーか?」
「しかも、俺の知り合いっぽいんで、監視されてたりするんだが……」
そこまで話しながら病院を一歩出た瞬間、横殴りの突風に煽られて一瞬黙る。
「上やんにも……って?」
上条当麻は消失していた。
「えーーと……そーいや、今の風……ながーい髪があったような……」
目の色を変えた警備員が殺到してくる様を見つめながら、土御門は呟く。
「何が有ったのかはさっぱりだけどにゃー、上やん無事に帰ってくるかにゃー」

751:5/5
06/12/23 17:21:28 dpiizb41
病み上がりの身体を信じられないGで引っ張られたため、上条当麻の意識はあっさり失われていた。
何の準備の無い侵入だったので宿も取れない神裂は、その辺のビルの屋上に上条を連れ込んでいた。
「これ……これぇ……」
期待に震えながら、神裂はジーンズの隙間から『聖域』に直接触れさせる。
「ふあっ……」
自分の指を使って、上条の指を執拗に絡ませる。
「あぁっっっっ、これぇぇぇぇぇ」
両腕で上条の右腕を抱きしめながら、全身を動かして快感を貪っていた。
気を失っていただけの上条が意識を取り戻した時には……
自分の腕の上で疲れ果てている神裂と、じっとりと濡れた指先……
「こ、これはなんだ?」
「お、起きてしまわれましたか……」
はにかむ神裂を見ながら、パニックに陥っている上条に神裂は請う。
「……た、たまにで結構ですのでっ……」
いつもの凛々しさを振り捨て、年下の少年に取り縋る。
「こ、これからも……たまにっ」
この一週間を思い返し、断られた時に恐怖に震えながら願う。
「な、何でもしますからっ……」
上条の言葉を待った……


という幻視をしたので書いてみたり。
続き誰か書きません?
当麻の台詞次第でラブラブも陵辱も思いのままなんですが……

なんだか続きが書けなくて。

752:名無しさん@ピンキー
06/12/23 17:58:34 nhVBNPbM
この発想はなかった。
GJ!!

753:名無しさん@ピンキー
06/12/23 21:54:55 WYCU/c5h
「・・・・上条君。上条君。上条君上条君上条君上条君上条君上条君上条君上条君上条君上条君上条君
上条君上条君上条君上条君上条君上条君上条君上条君上条君上条君上条君上条君上条君上条君
上条君上条君上条君上条君上条君上条君上条君上条君上条君上条君上条君上条君上条君上条君
上条君上条君上条君上条君上条君上条君上条君上条君上条君上条君上条君上条君上条君上条君
上条君上条君上条君上条君上条君上条君上条君上条君上条君上条君上条君上条君上条君上条君
上条君上条君上条君上条君上条君上条君上条君上条君上条君上条君上条君上条君上条君上条君
上条君上条君上条君上条君上条君上条君上条君上条君上条君上条君上条君上条君上条君上条君
上条君上条君上条君上条君上条君上条君上条君上条君上条君上条君上条君上条君上条君上条君
上条君上条君上条君上条君上条君上条君上条君上条君上条君上条君上条君上条君上条君上条君
上条君上条君上条君上条君上条君上条君上条君上条君上条君上条君上条君上条君上条君上条君」





「私は。あの女を。絶対に。許さない」

754:名無しさん@ピンキー
06/12/23 22:01:32 vb0u13yw
すげぇJ! 今後に来すル

755:名無しさん@ピンキー
06/12/23 23:11:41 +OJDXNIC
ワッフルワッフル!

756:名無しさん@ピンキー
06/12/24 04:35:22 kcbPtcpB
>>753
そのセリフだけでwktkしてしまう俺修羅場スレ住人

ワッフルワッフルワッフルワッフル

757:名無しさん@ピンキー
06/12/24 05:03:28 Vk/wWJ1U
>>753
元ネタ何?

758:名無しさん@ピンキー
06/12/24 07:20:24 3v3kq2XH
>>756
3P、4Pで皆仲良くが駄目と申すか?
略奪愛って素敵。

759:579
06/12/24 12:22:56 191KTfk4
オチも意味もなくビリビリ投下。

 さすがに今度ばかりは切れてしまった。

 登校時に見かけて声をかけたのに、『あいつ』は同級生っぽい、自分の知らない女の子
との会話に夢中で振り向きもしなかった。その上、そのスタイルの良い女子生徒が飲んで
いたペットボトルに平然と口を付けていた。
 半ドンで下校して、そこで『あいつ』を見かけたら、今度は違う女の子と仲良さげに歩
いていて、今度も無視された。
 頭を冷やそうと一度寮に帰って、もう一度街に出かけたら、今度は真っ白な修道服の西
洋人の女の子―プライベートっぽい時間に見かけるとなぜか必ず一緒にいる―と腕を
組んだり、顔を寄せ合ったり、抱きつかれて嬉しそうにしていた。声をかけることもでき
なかったが、一瞬、銀髪の少女がこちらを見たような気がする。その後何かしきりに話し
かけられていたから、自分が居るのを見つけて、『あいつ』の注意をそらして自分を見つ
けられないようにしていたに違いない。

―『どこに住んでる誰なの?とうまのガールフレンドかなんか?』

 あの銀髪の少女に言われた台詞を思い出す。
 今から思えば、なんと白々しいことを聞かれたのだろうか。きっとあの少女は、自分の
立ち位置を十分に理解した上での牽制としてあの言葉を放ったに違いない。

 そして今、『あいつ』が一人で居るところを見かけて声をかけたのに、何度も何度も声
をかけたのに、やっぱり『あいつ』は自分だけを無視して。
 我慢などできようはずが無い。今までだって、耐え難かったのだ。
 あの時は、自分を―夏休み最後の日に聞いてしまった言葉は、間違いなく自分のため
だけのものだったのに。
 許せない。

「毎回毎回あたしのことだけ無視してんじゃないわよっ!結局アンタなんかと馴れ合った
のが間違いだったのよ!今日こそ間違いなく本気よっ?やっぱりあたしはアンタを絶対倒
すんだからっ!!」
 叫んだときには、目が潤んでいた。それからあと一言でも口に出したら、きっと涙が溢
れてくる。だから唇をきつく結んで、その少年―上条当麻を睨みつけたのだ。

760:579
06/12/24 12:23:35 191KTfk4



「毎回毎回あたしのことだけ無視してんじゃないわよっ!結局アンタなんかと馴れ合った
のが間違いだったのよ!今日こそ間違いなく本気よっ?やっぱりあたしはアンタを絶対倒
すんだからっ!!」
 突然後ろから怒鳴られて、上条当麻は何事かと振り向いた。
「……あー、なんだ御坂か。いきなり怒鳴るなよ。人目くらい気にしろ?」

 今日も朝からロクなことが無かった。余裕を持って学生寮を出たと思ったら曲がり角で
吹寄制理とぶつかって、寝ぼけているとか何とか言われて無理やり何か飲まされて窒息し
かけるし、学校では教科書は忘れるわ雑用は押し付けられるわその他諸々、帰りには姫神
秋沙が何を思ったか淡々と、しかし辛辣な口調で女の子に無節操だと身に覚えの無いこと
を詰問されるし、帰れば帰ったでインデックスに「お出かけ」を強要されて散財した上に、
何度か噛み付かれもした。その上冷蔵庫は空っぽで、買い物へ出るのも二度手間の無駄足
である。すっかり疲れきって、通行人にぶつからないことだけしか考えずに歩いていたの
だが―
(何だいきなり怒鳴りつけて?上条さんはお疲れだから適当にしてほしいのですが?)
 悪いとは思ったが、怒鳴り声とともに現れた御坂美琴にはちょっとうんざりした。
 が。
 今回は明らかに様子が違う。
 本気だと叫んで、睨みつけたまま一言も無い。
「何マジになってんだ?レベル5の御坂さんが俺みたいなレベル0にマジで喧嘩売ったっ
て、評価に傷が…」
 いつもならここでもう一言ありそうなものなのに。
 学園都市屈指の能力者である少女は、潤んだ瞳できつく睨み返すだけだった。

761:579
06/12/24 12:24:09 191KTfk4

「……判ったよ。本当に、本気だな?」
 少女の瞳を見つめ返す。それから、一歩前に進み出た。
 一瞬、御坂美琴の瞳が揺らぐ。体を引いてしまいそうになったが、無理矢理に堪えた。
再び正面を睨むと、そこに立つ少年に向かって、無数の電撃の矢が放たれる。しかし、少
年が構えた右手にその攻撃はみるみる掻き消されていくばかりだ。
「なんで、なんでよっ!当たりなさいよっ!アンタなんか!アンタなんかっ!」
 涙が溢れる。視界が霞んだ。放ち続ける電撃の矢がどうなっているのかもよく判らなく
なってきた。
(・・・泣いて・・・る?俺のせい?でも・・・)
 冷静さを欠く御坂美琴の攻撃は単調で、強弱もフェイントもない。気を抜けるようなも
のではないことは確かだが、それでもただ受け続けることは易しかった。右手で電撃を受
けつつ、上条は少女に一歩一歩近づく。
(マジったって、理由もなしに女の子が殴れるかよ)
 軽く肩でも叩いて、真剣に問いかければ。冷静さを少しでも取り戻せば。
 全部では無くとも、少しくらいはこの理由を話してくれるだろう。そう考えて、御坂美
琴に向かってゆっくりと手を伸ばし―



「あ」
 肩を叩こうとした。反射的に逃げた少女の体を追って手を伸ばした。
 むにゅ。

 二人の目が、上条の手の先に伸びて、それから互いを見つめる格好になる。
 怒りに支配されていた瞳が一瞬色を失い、同じく怒りの赤に染まっていた顔も数瞬だけ
その色を冷ますと。
 ボンッ!と音でも立ったような勢いで、御坂美琴は耳まで真っ赤に染めると。
 上条当麻に鷲掴みにされた(といっても掴むほども大きくないのだが)胸の隆起からそ
の手を振り解いて。

 脱兎のごとく走り去った。

「みっ、御坂っ!これは事故でっ!上条さんは決してやましい気持ちでアナタサマのム、
ムネを触ったワケではなくっ!」
 取り残された上条の言い訳だけがその場で空回りする。発展途上ながらも意外に自己主
張をしていた「それ」の感触に、決してわざとではないのに、頭が混乱して、言葉はさら
に空回りして―上条当麻はただただ頭を抱えるばかり。

762:579
06/12/24 12:25:20 191KTfk4
勢いだけでやった。ちょっと後悔してる。
本当にオチはありません。

763:名無しさん@ピンキー
06/12/24 13:12:06 NkrASRhm
一番槍GJ
続きマダー?(AA略)

764:名無しさん@ピンキー
06/12/24 13:21:56 gLAFWJzF
しんがりGJ
帰ってからは部屋から白黒追い出して寝床にこもって×××××ですね?

765:名無しさん@ピンキー
06/12/24 13:58:02 rNLHmjys
いやいや、ストーキングしていた白黒が消毒と消毒と美琴の微乳を責めあげるんですよ
なんにしても、GJ!

766:名無しさん@ピンキー
06/12/25 01:14:05 UmpUjse+
修羅場!
修羅場を求めよ。

767:名無しさん@ピンキー
06/12/25 01:47:32 cupbU1vQ
>764
5文字?

768:名無しさん@ピンキー
06/12/25 02:17:33 TWITSpOb
>>767
『あいつ』の名前 + で + 漢字二文字 にすれば丁度5文字

769:名無しさん@ピンキー
06/12/25 04:19:36 X1q05pxK
美乳とはこれつまり微乳。

770:名無しさん@ピンキー
06/12/25 09:46:09 nGJvfi/X
有志からのSSが届くまでの間。
寝取られが似合う禁書キャラを挙げて見ようではないか。

771:名無しさん@ピンキー
06/12/25 10:31:57 yiDlPFed
満場一致で姫神、以上終了。

772:名無しさん@ピンキー
06/12/25 10:56:07 a0VWn+Xz
いや、上条さんだろう

773:名無しさん@ピンキー
06/12/25 12:04:46 mfq6Qq+2
……つまりカミジョーさんを姫神から寝取ると。

774:名無しさん@ピンキー
06/12/25 12:21:22 CFh0r92u
あんまり違和感が無い所が困る。
どっちでも良いね。

775:名無しさん@ピンキー
06/12/25 17:00:01 S0tX20gK
黒子を美琴から寝取る。
難易度高いなw

776:名無しさん@ピンキー
06/12/25 17:04:45 kOt6RPIS
>>775
鬼才あらわる

777:名無しさん@ピンキー
06/12/25 19:35:47 IzbCkZL3
むしろ百合ッ子の寝取りは基本だと思っている俺がいる。


778:名無しさん@ピンキー
06/12/25 19:56:40 IdzXdTZf
人知れず>>620の続き

779:誰が為にカミジョーは行く
06/12/25 19:57:30 IdzXdTZf

二人と別れてからコーナーの入り口で待つまでの約三十分、姫神は服の密林から出てくる当麻と美琴の姿を見つけた。
寄りかかっていた柱から体を離し、「こっち」と二人を呼ぶ。
「─う、うっさいわね。たまたまだったのよ今日は」
「そりゃあまた頻度の高いたまたまなこった。─おお、そっちか」
姫神の姿を認めた当麻と美琴が並んで歩いてくる。
当麻の右手─何人もの命と、敵までも救った『幻想殺し』は──今ではただの荷物持ちだ。
中身は見ずとも、おそらく二人で選んだ服が入っているだろう。
「遅くなってゴメンな。携帯で連絡してから随分経っちまったし、待っただろ」
「大丈夫。ここに来たのはほんの少し前」
「ならよかった。 いやぁーコイツが選ぶ服をいちいち着るもんだから無駄に時間喰っちまってな」
「そっ、そりゃ肌触りとかあるでしょ。 そういう細かい所が大切なのよ」
「どうだかなー単にお腹周りが気になる年頃だったり」
なんだとビリビリィ!とやっぱりいつもの流れになった。

「………」
傍でグーパンチ時々雷な美琴の様子を見ている姫神には分かる。
何だかほくほくしてる。
というかさっきから微妙に口元が緩んでる。
(……別に。大したことではないけど)
ちなみに、姫神の『ほんの少し』というのは二十五分くらいのことである。
一人になった後、何故かあっさりと服を決めてすぐにここに来た。
『十分くらいで終わるとから、先に終わったら少しだけ待っててくれ』
と伝えられ、結局倍以上の時間を待ったことには決して怒ってはいない、決して。


780:誰が為にカミジョーは行く
06/12/25 19:58:24 IdzXdTZf

「そろそろ昼前だし、どっかそのへんにでも食いに行くか」
いつの間にか当麻は携帯を取り出しており、液晶画面を見てそう言った。。
つられて姫神も服を入れた袋を左手に持ち替え、携帯(使いすぎはダメなのですよー?の御達し)を取り出す。
昼の一時過ぎ。 確かに腹も気になる時間だ。
「そうね、アタシもさっきから歩き回っててお腹減ってたし」
「とか言って馬鹿食いするなよ? せっかくサイズ合わしてたのにどっかのバカみたいにバカバカ食ってたら
せっかく買った服のボタンがプチンとアッハッハってごめんなさいごめんなさいプチンってキレないでください電撃はもっと駄目ーッ!!」
当麻の生命線がプチンと切れそうになっている横で、姫神は「んー」と午前に見た案内板を思い出していた。
「確か。一階に外食店系が集中してたと思う」
「そ、そうか。 んじゃ降りてみるか」
ようやく防衛戦を果たした当麻が言う。
「あーもうこんにゃろうなんで当たらないのよ……」
殲滅戦に失敗した美琴が続ける。
「そういやどこに入るのよ。 やっぱファミレス? ハンバーガーでもいいけど」
その提案に、当麻は何故か姫神の顔をチラッと見てから首を振って、
「いや、別のにしよう」
「? どうしてよ」
少しムッとなった美琴が聞き返す。
「あー……姫神はちょっと前に大怪我しててな。
退院はしてるけど、病み上がりだしあんまり重いのはよくないから、な?」
最後は本人に確認するかのように言った。
対して姫神は、当麻の思いがけない言葉に少しキョトンとしている。
「でも。もう一週間前のことだし。そんなに気を使わなくてもいいのに」
遠慮しがちな姫神に、当麻が手を振って答える。
「いいっていいって気にすんな。もっと自分の体を大切にしろよ?」
彼の普段の行動を見ている者なら、十中八九「お前が言うかッ」と答えるだろう。
だが彼女は他に何も言わず小さく、
「……ありがとう」
「あーだから気にするんじゃありません。 それよか行きたい店がありゃ遠慮せず言ったらいいぞ」
「うん」
やや俯きながら姫神が肯定する。 その表情は、少しだけ綻んでいた。。


781:誰が為にカミジョーは行く
06/12/25 19:59:38 IdzXdTZf

「─ってなワケで御坂、それでいいよな?」
「へっ!? あっ、そ、そうね……」
突然話を振られた美琴が、少し慌てたように答える。
「そんじゃ一階に降りよう。こっちは上りだから下りは反対側だな」
目の前のエスカレーターの周りの通路に沿うように当麻が歩き始め、それに習い姫神が後に行く。
やや反応が遅れた美琴は、二人の後に続く形となった。

「─そういや、──の店に─?」 「屋外の─。─と思うの」
「ほほう、─それも─」 「む。確かに──、─だけじゃ─」
「……」
眼前での会話は、不可視のほんわかシールドによってほぼ進入不可能である。
堅固な壁の外で美琴は一人ムスッとした顔をしているしかなかった。
(べぇーつーに、体調の心配は良い事だしね)
今の美琴の中に、怒りやそれに準ずるような感情はない。
(……悪いことじゃないけど)
例えるなら、とある教師が教え子達と一緒に遊園地のローラーコースターに乗ろうとして、
すみませんが小学五年生までの方は保護者同伴で……と一般社会の先入観を悲観したり、
申し訳ございませんが身長140cm未満の方は……と5cmの距離の偉大さに打ちひしがれたり、
更にはベンチで一人アイス片手に正座している所に、教え子達が笑いながら手を振っていたことに─
──要するに拗ねている。
「………ん?」
不意に感じる違和感。
発信源は、前を歩く二人。
「……」
ゆっくりと瞼を閉じ、数十秒前までの光景を思い浮かべる。
それを瞼に焼き付けながら、またもゆっくりと眼を開く。
「……………………………………ほーおぉ」
圧縮された20cmの空間に対して、確かな感情があった。


782:誰が為にカミジョーは行く
06/12/25 20:01:59 IdzXdTZf

空になっている左手と、姫神の右手に握られている荷物を見て当麻は思う。
(─ここはやっぱり持つべき……だよな、うん)
一人分だけを持つというのは何となく不公平な気がする。
姫神の分を持つ義務はなかったのだが、先程の発言もあった手前なので、結局
「あー姫神、荷物持ってやるよ。丁度左腕空いてるし」
と、当麻が左手を差し伸べ、「ほれ」っと姫神の右手の買い物袋を掴んだ。
突然の行動に驚いた姫神が一瞬硬直して、
「別に。これくらいは自分でする」
「まーまー、一つも二つも同じだし」
「いいの。自分で持つ」
何故か頑なに拒否を示す。 多分何回繰り返しても同じ結果かもしれない。
(変なところで頑固なんだよなこいつ。 ……おお?)
そこで、とある考えを思いついた当麻は、ニヤァと口の端を吊り上げた。
ふっふっふ、ととても良いとは言えない笑いを作る。 というかむしろ邪悪だ。
視線の先は、二人の境界。
「……? どうしたの」
当麻の様子に疑問を抱いたのか、姫神が問う。
「いやーこれはアレですなぁ」
「アレって。 何」
聞き返されて、当麻は自分の左手と姫神の右手によって宙に浮く袋を見つめながら、

「周りから見ると……誤解を生む景色だったり?」

瞬間、ババッ!と姫神が弾かれる様に手を離す。
「っしょっと」と袋を持ち直す横で、姫神は当麻に分かる程度に赤くなった。
明らか不意打ちを喰らった様子を見て、してやったりとでも言うような顔をする。
「……。」
「睨んだって無駄ですよーっだ! さてさて行きますかい」
少しだけ複雑な表情になっている姫神を、嘲笑うかのようにスタスタと歩いていく。
(大覇星祭の時もそうだけど、気にしてないようで気にしてるタイプだからなー)
なっはっはーと闊歩する当麻の後ろを、姫神と美琴が黙って付いてくる。
ガキ大将にでもなったかのように、二人を先導していく。
そんな時

─パチィッ

「ん」
不意に、何かが聞こえたような気がして辺りを見回すが、特に何も変わったことはなかった。
(ま、気のせいか)
当麻は特に気に留める事もなく、再び歩を進めた。

783:誰が為にカミジョーは行く
06/12/25 20:02:58 IdzXdTZf

「─チーズケーキとチョコレートケーキ、ご注文は以上で宜しいでしょうか?」
「あーすんません……まだか御坂」
「あ、あとちょっと」
美琴は小さく唸りながら目を細めメニューから目を離さない。
周りの客の声とお冷の氷の音が、より時の流れを遅く感じさせていた。

三人が訪れたのは、正面入り口の反対側にある控えめなオープンカフェだ。
パリをイメージしたようなお洒落な店で、オープンテラスには程よいくらいに陽光が射している。
加えて学生でも食べやすい値段とメニューの豊富さがあり、小さいながらも人気がありそうなカフェだった。
「………えーっと」
ケーキだけでも40種を超えるメニューを見ながら、美琴は思考する。
(……苺タルト……子供っぽい………チーズケーキ……被ってる………イカ墨ケーキ……合うんかいッ)
既にメニューに目を通し始めて三順目を経過している。 が、結論には至らない。
「決まんねーんなら次の追加で頼むぞ? それでいいか?」
どこかデジャヴを感じた当麻が腕を組みながらそう言った。
「あ、ちょっ! そのっ」
─ええい何でもいいからとにかく!
名前さえちゃんと確認せずに、ザーッと上から下へフードメニュー欄を"眺める"のではなく"流す"。
その時、美琴の目にある一つの料理名が飛び込んできて─

「ほ、ホットドックッ!」

─躊躇えばよかった。
「ホットドック、ですね。以上で宜しいですか?」
ウェイトレスが少し慌てたように伝票にペンを走らせる。
「あっ!? ……はい」
諦めと後悔を半々ずつ胸に溜めて虚しそうに美琴が答える。 というか取り消した方が後で後悔するだろう。
「いつからホットドック愛好家になられたんで? それともアレか、御坂センセーはホットドックを守ろうの会常盤台中支部長なんすか?」
「うるさい。こんなもん腹が膨れりゃなんでもいいでしょうがッ!」
わーますます誰かさんに似てきてるー、と当麻が呆れたように首を振った。


784:誰が為にカミジョーは行く
06/12/25 20:04:28 IdzXdTZf

ぎゃあぎゃあと騒ぐ二人を姫神がぼんやりと眺めている内に、ウェイトレスが料理を持ってきた。
三人の目の前に綺麗に並べ終えると、ごゆっくりと伝票を置いて静かに歩いていく。
「さーて食べるかー、いただきますっと」
流石に高校生(+α)が揃って『いただきます』とはいかないものの、それぞれがフォークやら素手やらで手を付けていった。
「昼下がりのお洒落なオープンテラス。 と、そこへ突然現れた妖怪『一人だけ料理鷲掴み』」
「マヂで殺ふわよ」
「あーはいはい頬張る美琴たん萌すいませんすいませんもう言いませんところで姫神はどうしてチョコケーキにキャロットジュースなの!」
「逸らすなっ!」
「チョコレートと人参。共に貧血防止やスタミナ向上効果。さらに増血作用があったり」
コップを片手に、姫神が淡々と説明する。
「あ、何だそういう事か」
対して当麻は、自分の考えとまるっきり違っていたような反応を見せる。
「? 君は何を想像してたの」
「へ? いやーてっきりこの前テレビでやってた美肌かと、もしくはただの嗜好」
「……怒る方にする」
とりあえずじとーっと睨んでおいた。


「─ほーほー、成る程」
「それとカフェでよく飲むコーヒー。 実は鉄分吸収阻害効果がある」
「へー。自分で詳しい言うだけのことはあるじゃねーか」
姫神による豆知識披露コーナー(コーヒーなだけに、と突っ込んだら更に三割増しくらい睨まれた)を聞きながら食事を進める。
パッ見無表情でも、当麻にしてみれば話をする姫神が誇らしそうにしていることくらいは分かった。
おそらく、姫神秋沙という人物にもう少し連射機能を付けたトークがあれば『えっへん』とか『フッ』とか言ってただろう。無表情で。
そんな姫神もやはり友人との食事が楽しいのか、いつもよりもちょっぴり楽しそうに見える。
「……」
そんな中黙々ともぐもぐホットドックを食べている美琴は思う。 またかこの野郎。
「ふー食ったぜ食ったよ食いました、っとごちそーさん」
カチャリとフォークを皿に置いて静かに当麻が両手を合わせた。
男の当麻にとっては満腹とは言いがたい食事だが、空腹を解消するくらいにはなったようだ
一方姫神は話をすることに夢中だったのか、まだ四割ほどケーキが皿に残っている。
会話に参加していなかった美琴も、思ったより大きいサイズのホットドックを三分の一ほどを残して紅茶を飲んでいた。
「あー……ちょっといいか?」
呼びかけに、二人がそれぞれ当麻に焦点を当てる。
「ちょっくら夕食の食材を買ってくる。 ここに来る途中に食料品店あったろ、あそこでな」 
最近色々と忙しかったため、上条家の食物は確実に減少している。
せめて今日の夕食の食材を買いに行かなければ確実に死人が一名出るだろう。
(アイツが餓死するかオレが食われるかの死活問題だよな……)
その提案に、美琴が何故か少し考えた後、
「あーはいはい行っといで。もう少し掛かりそうだし」
と、手をひらひらと振って答えた。
「そうか。んじゃ行って来る」
「いってらっしゃい」
さりげなく手を振る姫神に返した後、席を離れ再びデパートの中に入っていった。

かくして、三人は二人となる。

785:誰が為にカミジョーは行く
06/12/25 20:06:19 IdzXdTZf

『あらあらーん?何でしょうねぇ今のやり取り。 まるで会社に出勤する殿方を玄関先まで送り出すみたいなぁ?
  ねぇアナター、今晩は早く帰ってきてねー……ですの、ぷぷっ!』
多分美琴の同室の後輩が見ればこう言ってただろう。 実際はもっと酷いかも知れない。
「どうしたの?」
当麻が消えた方向を睨みつけている美琴に、姫神が首を傾げた。
「へっ? あっ、いや、別になんでもないんだけど」
「そう」
微妙に素っ気無く返して、そのまま手に持っていたジュースに口をする。
腹八分目で収まるかどうか分からないホットドックを前に、美琴も食事を再開させた。
「あー……やっぱりあそこのホットドックの方が美味しいわね。 まぁ値段が四倍くらい違うからしかたないけど」
「御坂さん。意外とお嬢様?」
「え……っとまぁ、アイツよりは」
「ふむ」
言って、姫神は一口分に切ったケーキを口に運ぶ。
『意外』という言葉が少々引っかかったが、何も言わないことにした。


「……こほん。……」
「……」
暫しの間、人の口から出る音はなくなった。
聞こえるのは、食器が擦れる音と、遠くから聞こえる笑い声。
それと、サァッと二人の触れ幅の違う髪を静かに揺らす風だけだ。
「……ふう」
「………」
カチャカチャ、とフォークでケーキを口に運ぶ姫神。 無言で。
カプリ、とパンと具とをバランスよく食べている美琴。 無言で。
チチチ、と群れを成して空を飛ぶ小鳥達。 とても元気そうに。
仮にここが、添水鳴り響く長閑な日本庭園を茶室から眺めているという情景なら全く違和感はないだろう。むしろ似合う。
だが、今周りに溢れているのは雑談や笑い声である。
見方によっては悠然とも一触即発とも言えるような雰囲気で、二人は食事を進めている。
「……」
「……」
程よい昼下がりの陽光が、美琴の肌を撫でている。
遠くのから、店員がお客を呼び込む声がする。
風に揺られた長い髪を、姫神が緩やかに掻き上げる。

時計の針は、丁度二時。

786:誰が為にカミジョーは行く
06/12/25 20:07:43 IdzXdTZf

「ハイハイハイちょっとそこの元気なさそうな人ッ! 『マムシハンバーグ』が今人気だよっ、試食でもしていきなッ!」
あーこういう人どこにでもいるよなー、とか考えながら当麻は安売りの鶏肉を漁っていた。 
年齢と覇気からして大のつくベテランだろう、今も貧相な高校生を捕まえているところだった。 ご愁傷様。
(それにしても)
値段と量を瞬時に見分けていきながら、当麻は思考する。
(どうなってんだろなー、あの二人)
その中から手に取った一パックを買い物カゴに入れて、次なる野菜コーナーへと向かう。
(……まぁ美琴は結構人がいいし、姫神も人付き合いは苦手でもないだろ)
ふと前を見ると、小さな子供が二十本ほどの缶コーヒーをカゴに入れて走っていく姿が見える。飲むんだろうか?
(女同士だし、話に華が咲いてるだろ……アイツが馬鹿やらない限り)
途中、お得な値段で置いてあった食パンをインデックス用に二、三袋カゴに入れる、
そしてそのまま道なりに進もうと足を出した時、

チリンチリーン。と鐘を鳴らすような音が聞こえて、
「店内のお客様各位に申し上げます! 只今より三十分間のタイムセールを行います! 対象商品は鳥のもも肉、豚ひき肉、さらに─」

大急ぎで来た道を戻っていった。



ようやく食べ終わった。
空になった皿を見て、御坂美琴は静かに溜息をつく。
紅茶でしっかりと胃に流し込んで、テーブルの上のおしぼりを手に取る。
そして
「……ちょっといい?姫神さん」
ゆっくりと口を切った。
その呼びかけに、チョコレートケーキを味わっていた姫神がこちらの方を見て、
「どうぞ」
しっかりと答える。
美琴は、頭の中で自分が質問する内容を何度も確認して、
「その……アイツとは、ただのクラスメートなの?」
解釈次第では、どうとでも取れるような質問をぶつける。 もちろんワザと。
対して姫神は少しばかりキョトンとしている。 おそらく質問の意味がよく分からなかったのだろう。
ようやくその意味が分かると、特に反応を見せることもなく、
「ただの。と言えばそうかもしれないけど。違うとも言えばそうなるかも」
落ち着いた様子で曖昧に返す。 無論故意に。
その反応に美琴は「ふーん」とだけ答えて、紅茶を飲む。
(ってことは、やっぱりアタシと同じようなもんね……)
どのように同じなのかはあえて避けるが、おそらく当たっている。
「それじゃあ」
今度はこちらから、とでもいう風に姫神が口を開いて、

「あなたは。上条君のガールフレンド?」

危うく紅茶を吹きかけた。


787:誰が為にカミジョーは行く
06/12/25 20:09:16 IdzXdTZf

どうやら紅茶が横道に逸れたのか、目の前の美琴は涙目で少し赤くなりながらけほけほと咽返っている。
(……まぁ。そうだとは思ってたけど)
分かり易すぎる。
誰がどう見ても慌てていることくらい分かるだろう、とある不幸な少年を除いて。
『私が聞いたのは単なる女友達って意味なんだよっ!』と記憶の中で銀髪シスターの言葉が繰り返される。
因みにその少女から「あいさとか以外にあんまり当麻のガールフレンドに会った事ないかも」言われ硬直したのはまた別のお話。
「けほっ……はぁッ、ふぅ……」
ようやく落ち着いた美琴が、息を整え持ったままだったカップをテーブルに置く。
「……そういえばあん時のシスターもそっちの意味で使ってたわね」
「別に深い意味はないの。 友達なのかどうか聞いただけ」
「いや、そっ、ただの……と、友達よ」
奥歯どころか口腔全部に物が挟まったような言い方である。
少し面白くて滲み出てきそうな微笑みを抑えつつ、あくまで平然を装う。
(あの子もそうだけど。中学生にまでとは。 しかも)
今美琴の着ている制服を見れば、ほとんどの学生が無言のプレッシャーを受けるだろう。
プリッツスカートに半袖のブラウスと袖なしセーター、そしてその『常盤台中学』の校章を見れば、
「……?」
不意に、姫神の頭に何かが引っかかる。
「? 顔に何か?」
いつの間にか顔を凝視していたらしい。 美琴が自分の頬を不思議そうに撫でる。
「……もしかして」
「……もしかして?」
「前にどこかで会った?」
「へっ? アタシは今日始めて会ったんだけど」
「……ごめん。見間違えだったみたい」
首を振って、何でもないよ、と答えた。


とある病室で、やれやれ、という溜息が漏れる。
「ん…あっ、当麻さんそこは…、とミサカは微力な抵抗を…ぅん……すぅ……」
「……医者としては平常な夢を見て欲しいんだけどね」


788:誰が為にカミジョーは行く
06/12/25 20:11:19 IdzXdTZf

とりあえず一杯食わされた。
何とも言えない気持ちになったのでとりあえず紅茶をもう一杯頼んでおいた。
(アイツと同級生だから忘れてたけど……年上なのよね一応)
問題はそこである。
上条当麻は自分の事を、『女友達』というより『(悪)友達』の方が多い割合で扱っている。
しかし姫神に対するそれは、友達はもちろん女性意識が高い。
仲の良いと言えば確かインデックスと呼ばれていたシスターがいたが、何となく扱いが小動物的なので今は無視。
「むぅ……」
改めて両者のスペックを比較してみる。
姫神が着ているのは、少しフワッとした白のブラウスと青っぽいシルクのギャザースカート、
そしてその上からは紺のガーディガンを羽織っている。 どこか当麻の母親に似ているような服装だ。
しかし、向こうが『貴族の令嬢』という形容なら、姫神は『温和な姉』と言ったところか。
どこかぼんやりとした態度がなければ、麗らかとも言える容貌に長い黒髪。
今どちらが女性らしいといえば、二対八くらいの割合で票が集まるだろう。
(くっそー……せめて当たり障りない服を着とくんだった……)
昨夜、数少ない私服の中から散々悩みぬいた末の結果で、
下手に新品やら凝ったのを選ぶと何となく狙った感がしそうなのである。
しかし、そこまで考えていて今買った服を着ようという考えに至らなかったのが不思議だなぁ。(他人事)

「ま、まぁ友達と言っても? 一緒に登下校したりたまに食事したりするくらいだけどね」
とりあえず自分のレベル引き上げを狙ってみるが、発想が既に小学生レベルだった。
対して姫神は、「私も。そこまで仲が良いわけじゃないけど」とぼんやりしながら、
「強いて言えば。上条君から遊びに誘われる程度だし」
「へっ、ぇ……そうなの、そう」
美琴的判定負け、ちょっと凹んだ。

「……にしてもアイツ性格はホント困ったもんよね」
「それには。大いに同意する」
どうやら姫神の方も共通認識を持っていたらしい、こくこくと肯定している。
「不幸不幸言ってる割に自分から首突っ込むし」
「しかも。結構な頻度で」」
「女の子のためなら命張るようなよく分からん熱血野郎だし」
「毎回。ボロボロで」
「ま、前もアタシを、何時何処で何度でも、たっ、助けてやるとか、ぃったり……」
「うん。そういうことを。誰にでも言う人だし」
「なっ……っ、でしょうね」
さり気なく作戦失敗。 むしろこっちにダメージ。
(……やっぱり誰にでも手ぇ出してんのかあの馬鹿は……!)
パチッ、パチッと音をさせればさり気なさも何もないのだが、冷静に紅茶を飲む様子を見せる。
「でも。そのどれか一つが欠けても。上条当麻という人はないだろうし」
不意に、姫神がそんな事を言った。
「ま、まぁ確かに、たまーに良いとこもあるんだけどさ、たまに」
「うん。彼の周りに人が集まるのは。そういう理由だと思う。 それに」
それに? と美琴が聞き返すと、姫神はよく見ないと分からない程度に顔を赤く染めて、

「ナイトパレードに誘ってくれた時は。私も嬉しかった」

みさかみこと は 300ポイント の ダメージ を うけた!


789:誰が為にカミジョーは行く
06/12/25 20:15:02 IdzXdTZf

とある昼下がりのオープンカフェに、動揺感が走る。

──だ、この威圧感─ちょっと、あそこの─女──まさか、アレは…?─前に座ってる─誰─?
─ベル5?──何かイベントなのかも──し怒ってないか─と、ミサカはミサ─

それぞれが何かしらの違和感や威圧感、好奇心により、喧騒が生まれた。
オープンカフェの前に、即席の人だかりが出来上がる。
彼らの目線の先にいるのは、二人の少女。
一人は、二皿目のチョコレートケーキに手をつけていて、
一人は、三杯目の紅茶を緩やかに飲んでいる。
どちらも微笑みながら、穏やかな談笑を交わしている─表面上は。

─何か、バチバチって音─すみませーん、コーヒー──今細かく光ったぞ─だから前の人誰─
──あれ、携帯が─ェ繋いでる時に急に止まるンじゃ─怖ぇ……─っさとイくぞ─

紅茶を緩やかに飲んでいる少女─御坂美琴からは、少なくとも抑え切れてない威圧感と電撃が漏れだしている。
対して目の前に座る少女─姫神秋沙は、幾つかの過去の経験によりこれくらいは何ともない、寧ろ少し楽しそうだった。

「─、──」 「──。───」

人ごみからは会話はよく聞き取れないが、一歩近づくことに尋常ではないプレッシャーが彼らに襲い掛かるのでこれ以上の接近を断念した。

「─……──、─?」 「─。───。──。」 「……──?」 「───。─」 「! ……──」

ズオオオォッ!とまた一段階重圧感が増したため、彼らはもう一歩下がることにした。



790:誰が為にカミジョーは行く
06/12/25 20:17:08 IdzXdTZf

お気楽な鼻歌を混じりに、当麻は二人を待たせているカフェへと向かう。
(いやーイイ買い物だったなー。 ここ二、三ヶ月で一番お買い得商品だったぜい)
ふんふふーん♪ と軽快なリズムを取りながら、デパート反対側入り口までやってきた。
「………?」
カフェの周りに、何やら人が集まっているような気がする。
(この時間から混む店なのか? だとしたらラッキーだったな)
そんな事を考えながらやって来て、あーちょっとごめんよーと言いながら人ごみをかき分けようと、
その脚が、カフェへと一歩近づいた瞬間、


ズンッ、と凶悪な重圧が当麻の体に圧し掛かった。


「なっ……!」
──んだよこりゃ!?
頭に、肩に、腕に、足に、毛髪の一本一本にまで伝わる威圧感。
踏み出した足は硬直し、四肢で胴を支えるだけで精一杯だ。
不意に体が呼び覚ました、アドリア海での一戦。
ローマ正教の司祭──絵に描いたような原理主義者ビアージオから降り注いだ、あの十字架。
それに劣らぬ物理的精神的プレッシャーが、当麻の体に襲い掛かっている。
(まさ、か……ま、じゅつし、か……!?)
ぞくっ、と背中に悪寒が走る。
床に落ちた袋がガサッと音をたてる。 震えはしないものの、足が麻痺していた。
だが、
(……冗談じゃねぇぞ)
上条当麻はある魔術師に誓った。 御坂美琴を必ず守る、と。
上条当麻は自分自身を悔やんだ。 もう姫神秋沙を傷つけない、と。
二つの思いが、壊されるかもしれない。
(そんなのは……もう御免だ……!)
震える脚を、奮える心で止め。
壊そうとする意思を、殺そうとする意志で止め。
上条当麻は、重圧の中心へと大きく踏み出す。
「御坂ぁ! 姫神っ! 大丈夫……」
やがて、視界に入った美琴と姫神の微笑み合う姿に安堵し───


──発信源が分かると、ゴロゴロゴローッ!と盛大に転がっていった。

791:名無しさん@ピンキー
06/12/25 20:18:27 IdzXdTZf
投下終了。 誤字脱字は脳内変換で
それではまた

792:名無しさん@ピンキー
06/12/25 20:23:12 u7Alphhg
一番槍GJ!

793:名無しさん@ピンキー
06/12/25 20:46:12 CFh0r92u
しんがりHG

794:名無しさん@ピンキー
06/12/25 20:50:31 JKPx9+6M
お前を置いて行けるか!!

GJ!

795:名無しさん@ピンキー
06/12/25 20:52:46 FyEDBs+V
これは。とてもいい修羅場。GJ・・・

796:579
06/12/25 21:54:50 KfQzXc2n
俺って運が悪いかも知れない。投下しようとすると神がいらっしゃる。
グス。

* * * * *

『とある従妹の台風上陸』

『おにーちゃんおにーさんおにーさまあんちゃんあにじゃあにきあにうえあいうえお!お
にーちゃんのかわいい乙姫ちゃんだよう!』

 液晶画面に『実家』と表示されて呼び出し音を鳴らす携帯を通話にして、上条当麻の鼓
膜に最初に響いたのはそんなけたたましい少女の声だった。
「うおっ!実家って突然何かと思ったらお前かよっ!デカイ声で怒鳴るんじゃねえ!鼓膜
が破れるっ」
 電話の向こうの声は、海で従妹だと聞いた竜神乙姫の声らしかった。
 らしかった、と言うのは上条が記憶喪失な上、海では『御使堕し』に巻き込まれ、乙姫
の姿はあの御坂美琴と入れ替わってしまっていたため、まったく彼女の声に聞き覚えがな
いからだ。
 しかし、あの事件のさなか、御坂美琴の姿をした乙姫に対し、相当乱雑な扱いをしたに
もかかわらず平然としていた(多少は不満そうだったが)ところを見る限り、この従妹に
対してはこんな対応で構わない…はずだろう。
 携帯電話から大音量で漏れた女の子の声に、インデックスがこちらを見て不機嫌そうな
表情になっているが、とりあえずはスルーする。
「なんでお前がおれんち…というか親父んとこから電話してるんだ?夏休みは終わっただ
ろうに。まあ、それはいいとして何の用だよ」

797:579
06/12/25 21:55:44 KfQzXc2n

『へっへー。私、実は学園都市の高校を受験する予定なのだー。で、おじさんにおにーち
ゃんに学園都市の案内してもらえるように頼みに来てたのっ!でね、今度の土日にそっち
行くから泊めてねっ!はいおじさん』

 いきなりの爆弾発言である。上条は飲みかけだったコップのお茶をブバアッ!っと派手
に噴き出すと、
「おいこらちょっと待て!勝手に話まとまってるんじゃねえ!って…」電話に向かって叫
びだしたが、返って来たのは父・刀夜の声であった。
『あー、当麻か。そういうわけだからちゃんと面倒見てやるんだぞ。竜神のおじさんもお
前が見るんなら行かせていいって言ってくださってるんだ。乙姫ちゃんも真剣に自分の進
路を考えてるんだから、いい加減なことはするな?じゃあ母さん』
『当麻さん?良いかしら……』
 電話から詩菜の声がする。しかし、突然の災難に上条は口から幽体離脱でもしそうな状
態であり、もはや電話の声など耳に入っていなかった。その隣でカタカタとファックスが
紙片を吐き出す。呆然とする上条のそばで、ひとりでに動き出す機械に一瞬ビクッとした
ものの、インデックスがその紙片を取り上げた。

「土曜日9時30分バスで学園都市に到着。おにーちゃんと学校見学しながら…デ、デー
ト。おにーちゃんちで…お泊まり。日曜日、おにーちゃんに…街の…案内してもらいなが
ら…デ、…デー…ト……」

 文面を読み上げたインデックスが、顔をヒクヒクと引きつらせながら上条を見る。表情
は笑っていても、目はまったく笑っていないのだが―上条は上条で携帯電話を片手にま
だ固まっていた。
「とうま?お…おとひめって海にいた子だよね?従妹なんだよね!?とうまは血の繋がっ
た女の子相手にどうしてたのかじっくり聞かせてほしいかもってその前にやっぱり当麻の
頭をカミクダク!」
 上条当麻がなんだか理由もわからず頭蓋に走る激痛で気を失い、正気を取り戻したのは、
それから約30分は後だった。

798:579
06/12/25 21:56:32 KfQzXc2n



 土曜日の朝。
 何とかして小萌先生に預けようと無駄な努力を重ねたものの、それがまったくの無駄に
終わったのは、上条の隣でカフェオレの紙パックのストローに口を付けつつ、ジト目で少
年を睨む純白のシスターを見れば一目瞭然だ。
 いい天気なのに、暗鬱とした気分が上条を包む。少年は肩を落とすばかりだ。
 電話が来たのが水曜日。なぜか不機嫌を募らせ続ける銀髪のシスターさんに何度噛み付
かれたか、もう数えることさえ恐ろしい。上条はバス停の待合所の柱に手を着くと、
「不幸だ…」
と何度目になるかさえ知れない呟きを繰り返した。
 そこへ、聞きなれた声で上条へ呼びかけがあった。
「休日のこんな朝から。二人でどこかへお出かけ?」
 顔を上げた先に居たのは、コンビニ袋を片手に下げ、簡素なブラウスにロングスカート
姿の姫神秋沙だった。
「あー、ひめが「聞いてよ聞いてよあいさ!とうまがまた……」
 上条が挨拶もする間もさえもなく、インデックスが姫神に少年にとっては冤罪としか思
えないことをまくし立てた。
 少女たちの粘着系の視線が上条を襲う。
(……一体上条さんが何をしましたか?不幸だって叫んどけってことですか?)
 とは言え、朝も早いのにもう叫ぶだけの元気もない。ふたたびがっくりと肩を落とす。
(あー……、もうどうにでもなってクダサイなのですよ…って、そういや乙姫ってどんな
顔してんだ?どうすんの、俺迎えに来た相手の顔もわからないじゃん!まずいよ!)

799:579
06/12/25 21:58:47 KfQzXc2n

 と、背後で大型車両の停車音。ぷしゅー、とエアシリンダーの音がして乗降口のドアが
開く。上条が振り向こうとすると、
「おにーちゃん!乙姫さんの到着っ!待ちわびてドキドキしてた?してた?」
 かわいらしいが、けたたましい声とともに背後から強烈な体当たりを食らった。そのま
ま少女っぽい二の腕が上条の首に回ってくる。
「だあああっ」
 突然の衝撃に、転倒をこらえて足を踏ん張る。背中に張り付く少女に振り向こうとして、
銀髪と黒髪の二人の少女と目が合ってしまった。嫌な汗が額を伝った。口を開こうとした
その瞬間―、
「アンタ?本っ当に見せ付けてくれるわね?たまたま見かけたからおはようって言ってや
ってたのにスルーして、で、それ?」
 反対方向に、表情は笑顔、しかし額に青筋を立てた御坂美琴が髪に青白い電気火花を立
てながら仁王立ちしていた。

「え?御坂?居たの?って何ですかその表情?ってお前らも何よその目はっ」
 未だ顔も見ない従妹を背中に貼り付けたまま、上条当麻は死を覚悟した。

* * * * *

以上。修羅場ってきそうなのが書きたかった。従妹ちゃん再登場はあるのか、原作っ!

800:579
06/12/25 22:05:33 KfQzXc2n
>>759-761の続きって需要ある?書きかけて大放置中。

801:名無しさん@ピンキー
06/12/25 22:46:32 icie8sen
一番槍GJ
需要ならココにノ

802:名無しさん@ピンキー
06/12/25 22:55:49 mfq6Qq+2
>>800
ええ、とても。
お姉さまの出番はいつ何時であろうとも心待にしておりますわ

803:名無しさん@ピンキー
06/12/25 23:11:38 LX2rwK47
>>800
ありますよー


804:名無しさん@ピンキー
06/12/26 02:42:32 cbYZchiu
>>800
GJ!ギブミー乙姫モア!

805:名無しさん@ピンキー
06/12/26 09:46:00 lwWouis5
>>790可愛いよ>>790
GJ

806:名無しさん@ピンキー
06/12/27 18:42:37 3x3bR4Hx
そろそろ大晦日だな。
年越しそばを用意してインデックスを迎えるとしよう。


…10人前で足りるよな?

807:名無しさん@ピンキー
06/12/27 23:17:04 zQqkrDgl
「天丼と海鮮丼の特上5こずつとね、寿司のこの一番おおきい皿のやつも2巡したいかも。
 えーとあとはメニュー全部一品ずつ持ってくるよーに! もちろん……全部『とくじょー』で。
 『おぷしょんめにゅー』も全部欲しいかも、焼き鳥は…タレ塩両方。
 とりあえずは以上で…とうまとうま、他の店のメニューも見せて欲しいかも」

808:名無しさん@ピンキー
06/12/27 23:22:48 ykO1+11T
女子高生探偵乙www

809:名無しさん@ピンキー
06/12/27 23:56:33 095MpuCB
日本神道ではとりわけ多くの神が出てくるらしい。
ここは神道の世界なのか?

>>791,800=579
GJ&ワッフルわっふる

810:名無しさん@ピンキー
06/12/28 00:39:55 WT1d5JV/
>>808
あの女子高生探偵は計算だと一日の食費が約15万円程度かかるらしい。

811:名無しさん@ピンキー
06/12/28 16:35:12 V8YhV2pL
インデックスなら一日30万はかたい。

812:名無しさん@ピンキー
06/12/28 17:19:28 ZTIRjxtR
>>810
体を売った値段かと思ってしまった・・・

813:名無しさん@ピンキー
06/12/28 20:54:24 Ct73+iuw
『存在感無いんだよお前は!!』


上条君があんな酷い事言う訳無いわ・・・・。
聖人(あの女)になにか吹き込まれたんだわ。

アイツさえ消えれば・・・・。

!

そうね。消せばいいのね。





そして斧を見つけた彼女は満面の笑みをこぼした

814:名無しさん@ピンキー
06/12/28 21:36:47 BRyFGdzq
返り討ちあっちゃう。
取り敢えず核用意しろ

815:名無しさん@ピンキー
06/12/29 05:25:52 o9w/Psyu
正月と言えば姫初め

さあ誰とする?

816:名無しさん@ピンキー
06/12/29 07:42:01 1k2YAuIc
姫神。

やっぱ姫神は輪姦されてるのが似合うわ。
なあ!そうだろ皆!

817:名無しさん@ピンキー
06/12/29 12:40:19 aNzA6NZC
輪姦→上条登場→ラブラブ  が理想

818:名無しさん@ピンキー
06/12/29 13:11:03 SdnCwV1n
ちょっと待てお前等!

初夢ネタを忘れてるぞ!!!

819:名無しさん@ピンキー
06/12/29 16:59:04 Tu2C3kcc
禁書の恰好をしたねーちんとほんのり黒いオルソラがおっぱい祭を開催する







夢を見た

820:名無しさん@ピンキー
06/12/29 18:58:39 xrcbI2sp
>819
その夢をぶち殺す

821:名無しさん@ピンキー
06/12/29 19:22:02 dMUW7iYO
>>820
させん!

822:579
06/12/29 20:05:10 OXTO2L3p
>>759-761の続き。2レス。タイトル思いつかない。
『超電磁砲はお年頃』とか?センスねぇー…orz

(2)
 何で怒っていたのかも思い出せない。頭の中は真っ白になっている。走っている途中で
涙もすっかり乾いてしまった。御坂美琴が今、確かに感じているのは、
 耳まで火照りきった顔と体と。走ってきたからではない、が、激しい動悸の治まらない
心臓と。

―『あいつ』に触れられた胸に残る生々しい感触。

 初めて男に触られた。その男が『あいつ』だった。動悸が治まらない。頭の中は混乱の
極みだ。でも―嫌じゃ、無かった。
 寮の部屋に乱暴に駆け込む。白井黒子は居ない。ベッドに倒れこんで、枕を抱き寄せる。
 深呼吸。冷静になろうと頭を動かす。
(く、黒子は…風紀委員の訓練とか言ってたっけ…外泊がどうとか……なんか騒いでたけ
ど…あたし、ひとりか)
 今晩はルームメイトが居ないことに気がつくと、なぜか触れられた部分の感触が生々し
く蘇り、心臓がまたドキンと跳ねた。
 『あいつ』、上条当麻はあの時、『……判ったよ。本当に、本気だな?』そう言って。
 でもなぜかその目は少し悲しそうで。
 その瞳を思い出して、胸がキュッと痛む。その瞬間、押さえつけていた何かが忍び出て
きてしまった。背筋からつま先まで、突然電流が走ったような感覚に襲われ、思わず上条
に触れられた膨らみかけの胸を手で触れる。
「んっ」
 また電流が体を巡る。そのまま、当てた手で自分の胸をまさぐった。
(あいつの…手が…ここ…、触って……どうして感触が消えないのよ…?)
 制服の上から胸を触る指に力がこもる。もどかしい。ブラウスを捲り上げて下から手を
入れ、ワイヤーの入っていないブラジャーをずらして直接指を這わせていく。
「…ふっ、ふあぅ」

823:579
06/12/29 20:05:41 OXTO2L3p

 この手が。自らの胸を這い回るこの手が『あいつ』の手だったら。そう思うと、入り込
んではいけない興奮に自分が落ちていくような気がした。下腹部に集まるもどかしい感触
に、枕を掴んでいた手が伸びる。いけないことをしようとしている―よりにもよって、
『あいつ』を思い浮かべながら。でも、止まらない。ショーツの上から不器用になぞりあ
げる。
(…やだ…体操着穿いてない…いつも穿いてるのに…見せる気だったって思われ…)
 虚ろになりつつある意識の中で、突然そんな考えが頭をよぎる。途端に、ショーツの真
ん中にぐっしょりと染みができる。下半身からの突き上げるような快感に、抑えられない
嬌声が漏れた。
「やっ、あっ、ふああぁっ」
 胸を触っていた手ももはや弄るだけでは我慢できない。いつしか固く突き上げていた乳
首を手のひらの中央で押さえつけながら強く揉みしだく。下半身も、濡れてしまったショ
ーツが指の感触を殺してしまう。引き摺り下ろそうとして、秘所から手が離れてしまった
ことに強いもどかしさを覚えた。両の太股を擦り合わせて、少しでも濡れた部分へと快感
が伝わるように腰をくねらせる。その事が却ってショーツを下ろす邪魔をする。悪循環。
 膝までショーツが下りてしまうと、太股の間に強引に指を差し入れる。
「やっ、あっ、とうま、とうまぁ…」
 いつの間にか『あいつ』の名を叫んでいた。それを止める理性も吹き飛んだのか。指が
秘所の割れ目を激しく上下する―指を中に入れることは無意識が拒否しているが―そ
れでも自慰の経験など無いに等しい御坂美琴には強すぎる刺激だ。別の指が陰核に伸びる。
もう一方の手も、小さな乳房を刺激することを止めようとしない。

「と…うま、とおま、やはっ、らめ、ひゃあああああああうううっ」

 何度目かの少年の名を叫ぶのと同時に、御坂美琴は絶頂を迎えた。指の隙間から愛液が
漏れ出す。鼓膜に残る、少年の名を切なげに呼ぶ自分の声。脳裏に焼き付いて離れないあ
の顔。
 そんな感触なんて今までほとんど知らなかったのに。『あいつ』を思い浮かべるだけで
簡単に達してしまった。真っ白になっていく頭で御坂はぼんやりと思う。
(そんなんじゃない…そんなんじゃないはずなのに…でも…)
 しかし、意識はそんな否定など無駄だとでも言うように―掠れていった。

824:579
06/12/29 20:09:05 OXTO2L3p
だらだら続いてしまってます。あと2回か3回くらい。
懲りずにお付き合いいただけると嬉しい。

>>804
乙姫は原作で出番が無くてタダでさえ勝手描写だし
極端にオリキャラに走るのも何だし難しいねえ。

825:名無しさん@ピンキー
06/12/29 21:57:35 0Wmjv6w7
一番槍GJ
続いてもなんら問題ない。むしろ続けてください。

826:名無しさん@ピンキー
06/12/29 22:03:44 9ttrpR//
2番槍GJ!!

827:名無しさん@ピンキー
06/12/29 23:21:32 0rWnmlOM
ネ申再臨す。

828:名無しさん@ピンキー
06/12/30 15:02:52 yJxE2ldx


829:名無しさん@ピンキー
06/12/30 17:23:17 uuWMzkHr


830:名無しさん@ピンキー
06/12/30 17:24:34 sX/k7FWA
i


831:名無しさん@ピンキー
06/12/30 17:34:57 wYoGiFu0
えいしょう ねんじろ!

832:名無しさん@ピンキー
06/12/30 17:37:57 zj5ZxpEZ
>>816
全く思わない。

833:名無しさん@ピンキー
06/12/30 18:33:41 yJxE2ldx
>>832

同意

834:名無しさん@ピンキー
06/12/30 19:03:49 kRf/AgCg
わっちは輪姦まんせー派。

835:名無しさん@ピンキー
06/12/30 19:11:35 wYoGiFu0
ここは双方の意見を拾ってだ。
輪姦されてから愛のあるセクスで良いじゃないか。

836:名無しさん@ピンキー
06/12/30 19:24:55 wYoGiFu0
……いや、むしろ。
愛のあるセクスの後に輪姦かしらん?
承太郎!君の意見を聞こう

837:名無しさん@ピンキー
06/12/30 19:39:01 zfI93NHN
俺は純愛で二人して一日中ベッドの中にいるようなのが好き……
しかし輪姦好きな奴らもいる……


つまり、『両方のシチュ書けばいいんじゃね?』という形になるな

838:名無しさん@ピンキー
06/12/30 19:45:58 N3iENKse
上条当麻が沢山出てきて、輪姦すれば良いじゃね?

839:名無しさん@ピンキー
06/12/30 19:50:08 gXItP5uT
>>838
人間国宝認定

840:名無しさん@ピンキー
06/12/30 20:01:00 fZKJcBqt
輪姦と3P、4Pの違いは何か?
それは女の子が嫌がってるか、嫌がってないかの違いになるとばっちゃが言ってた。

841:名無しさん@ピンキー
06/12/30 20:51:54 1FqB+pyS
じゃあ、上条さんが増えても解決にはならないんですね

842:名無しさん@ピンキー
06/12/30 23:20:36 3mklh6OD
相手が感じたら和姦って法則が何ゆえかあってな。

843:名無しさん@ピンキー
06/12/30 23:22:47 UpSHStAk
しかし「感じてないという割には濡れ濡れじゃねえかよぉ」的な台詞も多いと意見してみたり

844:名無しさん@ピンキー
06/12/30 23:24:05 92+7p1qG
くっ、くやしい……(ビクビクッ  ←和姦

845:名無しさん@ピンキー
06/12/30 23:30:14 q/Xtao3E
>>842
強姦魔の理論って怖いわー。
ジョースターさん速くry

846:名無しさん@ピンキー
06/12/30 23:57:57 PbrvTn+i
>>844
そうか!クリムゾンは全部和姦物だったんだ!

847:名無しさん@ピンキー
06/12/31 00:32:11 DlH0W5Aq
犯される直前にヒーロー登場→救出→セクロス
という王道が俺のジャスティス

848:名無しさん@ピンキー
06/12/31 00:50:52 aGipZC0N
愛のあるセクロス→帰り道→暴漢達がリンカーン
というある意味王道もジャスティス?

849:名無しさん@ピンキー
06/12/31 02:06:18 YfY++K0r
上条さんに開発されきった姫神、上条さんと青ピ・土御門・アステカその他にマワされる…
ってこれも多人数プレイか?でも女の子側も気持ち良くなってもらわないと…って気もする。

ちなみに俺のジャスティスは裸に首輪+リードの御坂のお散歩

850:名無しさん@ピンキー
06/12/31 02:09:23 t74ya7v2
気に入らないシチュはスルー
これエロパロの常識

こんな事で討論してたら職人さんが気軽に投下できなくなるだろうが

851:名無しさん@ピンキー
06/12/31 02:18:45 bzgYIyx9
ただの雑談じゃないのか

852:名無しさん@ピンキー
06/12/31 09:11:35 kgTkDuO7
一度話しだすと止まらないのが禁書系の板

853:名無しさん@ピンキー
06/12/31 19:58:36 haqsstZi
>>843
ぶっちゃけ体を守るために膣液が出ます
嫌がってても反射的身体動作だから仕方ない

854:名無しさん@ピンキー
07/01/01 00:01:56 wh97KeFT
あけおめですよー

855:名無しさん@ピンキー
07/01/01 00:23:02 uoMRxQTq
あけましておめでとうってエロくね?

856:名無しさん@ピンキー
07/01/01 01:04:09 RetySVrU
あけおめことよろとな

857:名無しさん@ピンキー
07/01/01 06:18:06 aQLTTuUT
あけおめー
誰も居なさそうなのでこっそり投下
……今スレでは初だなぁ

858:上条当麻の一歩踏み外した生活
07/01/01 06:19:08 aQLTTuUT
「お待たせしましたです、上条ちゃん。……ベンチなんかに寝そべって、どうかしたんですー?」
ベンチの上で力なく横たわる上条に、小萌先生が質問する。
「いや、なんて言うか精神的に打ちのめされたというか」
先刻の吹寄制理との邂逅で、メンタルなポイントをガシガシと消費したようである。
「?……まぁ上条ちゃんがよく分からない事を言うのはいつもの事ですし良いですけど」
「良くないです。何ですかその評価」
「それよりも早く起きてくださいです。姫神ちゃんが待ってますよ」
上条の批難をさらりと流して、早く起きろ、とばかりに急かす。
その小萌先生の要求に従って上体を起こしあたりを見回すが、
「あれ、姫神は?」
視界の中には見慣れた巫女さんの姿は無い。
「姫神ちゃんなら向こうですよー」
上条の問に答えて小萌先生が示した先は、婦人服売り場の中にあるフィッティングルームだった。
「……えーと」
「さ、行くですよ上条ちゃん」
状況が良く飲み込めない、といった風の上条の手をとって、小萌先生はそのフィッティングルームへと歩き出そうとする。
「え、っと。え?この行為は何故ゆえでしょうか小萌先生」
「上条ちゃんは姫神ちゃんのいろんな姿は見たくないんです?」
姫神のいろんな姿、と聞いて上条の脳裏を過ぎったのは、

 『んっ。はぁっ……。もっと……感じさせて……』
 『ぅむっ。……ちゅ……ちゅうぅっ。……ふふっ。いっぱい出たね』
 『あっ。まっ。って……。もぅ……駄目ぇ…………』

(いやいやいや!小萌先生はそう言う意味で言ったんじゃないっての!!)
「上条ちゃん。上条ちゃーん」
小萌先生の呼びかけが耳に入り、上条は内へと向かっていた意識を外界へと向ける。
そこは既にフィッティングルームの前だった。どうやら姫神の痴態を思い返してトリップしてしまったようである。
「またぼんやりしてたですよ?疲れているんですか?」
「あーと、そうかもしれないです」
小萌先生の言葉に深く考えずに返答する。
「いやそれよりも。わたくしめがここに連れてこられた理由をご説明いただけますでしょうか」
周りの視線が気になるのか、いつもよりも幾分トーンダウンした口調で小萌先生へと質問を投げかける。
「先生さっき言ったですよね。『上条ちゃんの出番はその後なのですよー』って」

859:上条当麻の一歩踏み外した生活
07/01/01 06:20:11 aQLTTuUT
返ってきたのはついさっきも聞いた言葉だった。
「……ってそれって荷物持ちって意味じゃ無かったんですか?」
「何言ってるんですかー。最初からそういう段取りだったはずですよ?」
「いやまぁ確かに姫神に誘われた段階ではそういう事になってはいましたが今は小萌先生がいるから別にファッションとかに疎い一男子生徒の意見など取り入れる必要はないかと思うのですがっ!?」
「上条ちゃん、それ、本気で言ってるです?」
「当たり前じゃないですか」
上条の返事に小萌先生は大きな溜息を一つ零す。
「姫神ちゃんの前途は暗いですねー……」
「え?何か言いました?」
小萌先生の呟きが聞こえなかったか、上条が聞き返す。
「……何でもないですー」
上条の問いにそう返して、小萌先生はフィッティングルームのカーテンに手をやる。
「それじゃー心の準備はおーけーですか?上条ちゃん」
しかし、その問い掛けに応答をしたのは上条ではなく。
「……小萌先生。本当に。見せないと駄目?」
その敷居布一枚隔てた先で先程とは異なった装いになっているであろう姫神の方だった。
「姫神ちゃん、さっきまで結構乗り気だったじゃないですか。どうしちゃったんです?」
「それは。……何でもない。開けていいよ」
何かを言いかけたが、それを口にすることなく姫神は肯定の意を告げた。
「はいはーい、それじゃー上条ちゃん、しっかり見てくださいですー」
どこか嬉しそうに、小萌先生は掴んでいたカーテンを一気に引き開ける。
開けた視界の先に、上条は一人の少女の姿を見た。その少女とはもちろん姫神秋沙なのだが、上条には一瞬誰だか判らなかった。
灰地に茶のアーガイルセーターに赤緑系地のスカート、さらに黒のニーソックスと言う、姫神秋沙と言う少女の装いとしては新鮮味のある取り合わせだ。スカートの丈は制服よりもやや短めで、膝元がやや頼りないのかもぞもぞと動いている。
「どうですかー?上条ちゃん」
「いや、どうって言われても……そういう格好もいいと思うぜ、姫神」
じーっと観察している所に小萌先生に水を向けられて、上条は素直な感想を述べる。その感想に対し姫神は、気恥ずかしさが先に立つのか離れていても分かる位に赤面して俯いている。その手は何かに耐えるようにギュッと体の前面で握られていて―。
(ん?)
その光景に、上条は何か引っかかるものを感じた。それは言葉で表すと既視感と表すことも出来る些細な違和感。
しかし、なにに対してそう感じたのか上条が思考するよりも早く、
「はい、じゃあ次の服に着替えて下さいです姫神ちゃん」
小萌先生がカーテンを閉めてしまっていた。

結論から言うと、この場で上条が違和感の正体に気付くことは、無かった。




860:上条当麻の一歩踏み外した生活
07/01/01 06:21:14 aQLTTuUT
そこから先は、もはや小萌先生の主導の下で行われるファッションショーだった。モデル・姫神秋沙、演出・小萌先生、観客・上条当麻というかなり限定的なショーではあったが。
姫神の服装も今までの巫女姿とは一線を画したパターンで統一されているらしく、季節外れのミニスカートで出てきたときは流石の上条も驚きのあまりに硬直してしまっていた。
「さぁて、次に行くですよー」
先程からやけにノリノリの小萌先生が、何度目かのカーテンの開帳を執り行う。今度の姫神の服装は見覚えのあるカラーリングだった。白のブラウスに赤地のプリーツスカート。スカートの丈は膝下よりもやや下で、その格好はまるで。
「ほぉー。いつもの格好、洋服バージョンって感じだな」
上から下までまじまじと見ながら、上条がそう洩らす。確かにその配色はいつもの彼女の格好である所の巫女装束と同じであった。
上条の感想を受けて、またも姫神の体がピクリと反応する。最初の時は微細な反応だったそれも、ここに来るとあからさまに分かる位に姫神の体が震える。
「上条ちゃんも段々乗り気になって来たですねー」
「えぇ。どれだけここに陣取ってると思ってるんですか。もうここまで来たら人の視線なんか気にしないで開き直るですよ?」
あっはっはー、と半ばヤケになりながら上条は小萌先生にそう答える。

その時だった。

突然、姫神がその場から走り出した。
あまりの急な事態に、二人の反応が遅れる。
先に我に返ったのは上条だった。
「姫神!?」
立てかけてある衣服に紛れて見え辛くなっていく背中を追いかけるべく、自らも駆け出そうとする。そのタイミングで隣に居た小萌先生も自分を取り戻す。
「か、上条ちゃん!」
「小萌先生はここに残って店員さんに説明なりお願いします。このままだと姫神が万引き犯になっちまいますから」
「わ、わかったです」
そう言い残して、上条は姫神を追う為に走り出した。




861:上条当麻の一歩踏み外した生活
07/01/01 06:22:17 aQLTTuUT
行間 二

まず気付いたのは、彼から香ってくる匂いだった。
学校で挨拶する時。街中で出会った時。
彼の体から嗅ぎ覚えのある類の香りがすることに気付いたのが、そもそもの始まりだったと思う。
ソレがどんな種別の匂いなのかを思い出した日の夜から、あの悪夢は蘇えってきた。
その時は、彼に記憶を塗りつぶしてもらう事で振り払う事が出来た。
出来たと、その時は信じられた。

次に気付いたのも、同じく彼からの匂いだった。
今までは、自分以外にその匂いを染み込ませていたのは一人だけだったはずなのに。
今日、現れた時の彼はいつもと違う匂いをさせていた。
ソレを察した瞬間、自分の体の奥から熱が滲み出てくるのがわかった。
しかし、彼の身の回りを考えれば、いずれはそうなった事、と自分を誤魔化した。
誤魔化して、しまった。

その次は、偶然出会ったクラスメイトと話している姿だった。
恐らくここに来る前に、何がしかをしてきたはずの彼はそれでも自然体で。
その姿を見て、心の中に何かがささくれ立っていくのが感じ取れた。
彼にとって、その行為は特別な物ではないのかも知れない。そんな考えが頭をよぎっていった。
それでも、今までの彼の生活を振り返ってみれば、自分と関係を持った後もいつもと変わらなかったではないか、と。
そう、思い込んだ。

そして、小萌が推し進めたあのファッションショー。
「いつもと違う姿を見せれば、流石に上条ちゃんも意識すると思うのですよ」と言った小萌の言葉通り、彼はいつもよりも私の事を注視してくれた。
その視線は普段と同じものだったのに。
私の体はソレにさえ反応してしまった。
事がここに到って、ようやく、私は。
自分が『大丈夫』ではないと、解ってしまった。



もしかしたら、とは思っていたのだ。
本当は、前提から既に間違っていたのかもしれない、と。
何度、体を重ねても。
幾度、精を注がれても。
精神(こころ)に纏わり付く悪夢(ゆめ)は消えてはくれなかった。
それどころか。
悪夢は白昼夢となって自分の世界を塗りつぶし始めていた。
白昼夢は、感覚こそ当時のまま明確に伝えてくるが、それ以外の情報はあやふやで。
それでも唐突に襲ってくる事には変わりがなく。
だから、更に彼を求めてしまうのだ。

こうして走っている今だって(今でも)。
私のカラダは(ココロが)。
彼を求めて(欲しがって)。

私は。
駄目なのかも。
……知れない。






862:上条当麻の一歩踏み外した生活
07/01/01 06:23:20 aQLTTuUT
それなりに人のいるデパートの通路では、なかなかトップスピードでは走れない。
人の流れの中を走りなれた、それこそ例えば上条の様な経験を積んでいない姫神の足では、追跡者からは逃れられない。
事実、後続の上条は既にくっきりはっきりと姫神の背中を捉えている。
最初に付いたアドバンテージも、二人の体力差を考えればそれ程のものでもなかったようだ。
あと五歩。四歩。三歩。
ここまでくれば、少し手を伸ばしさえすれば、届く。
「姫が―」
「何をやっている上条当麻ー!!」
その瞬間、上条の体に何かがぶつかってきた。
「がはぁ!?」
それなりにスピードが乗っていた事に今日一日の運動による消耗が拍車を掛けて、上条はその衝撃が導くままにごろごろごろー、と床を転がっていく。
「ひ、姫……」
それでも去っていく姫神の方へと手を伸ばすが、先程の衝撃の原因がその前に立ち塞がる。
「貴様と言う奴は本当に……」
その人物は、先程別れた吹寄制理だった。ちなみに衝撃の正体はすれ違い様のジャンピングニーだ。
「やっぱりさっきあった時に釘を刺しておくべきだったな。まさか公衆の面前で女子を追い回すような愚行に出るとは思わなかったぞ!?」
信じてたのに!と言いながら、吹寄は上条の襟首を掴んで体を引きずり起こす。
「ちょっ、まっ、吹よっ……」
半ば首を絞められるような形になり、うまく言葉が出てこない上条。そんな上条はお構い無しに、吹寄は更に責め立てる。
「大体だ、さっき貴様は同行人がいると言ってなかったか!?そちらを放って何をしている!それともあれはその場凌ぎの方便だったのか?」
ギリギリと締め上げる吹寄の手を何とか払い、上条は事情を説明する。
「げほっ……。だから、今走っていったのがその同行人でな、しかもあれは姫神だぞ。気付かなかったのか?」
「…………私服姿をはじめて見た」
だから気付かなかった、と言いたいらしい。
「あぁ、まぁ良いけど。いや良くない。見失っちまった」
と、言って上条は走り去っていった方向に視線を向ける。
「とりあえず俺は姫神を探さなきゃならん」
そう告げてくる上条に、吹寄が協力を申し出る。
「貴様に見失わさせたのはあたしに責があるからな。手伝おう」
「そうか。なら四つ角ばかし向こうの洋服店に小萌先生が居る筈だから、そっちの方に行ってみてくれるか?俺は先に追いかけているから」
「分かった」
吹寄の申し出を受けて、上条は再び走り出した。


863:名無しさん@ピンキー
07/01/01 06:25:09 aQLTTuUT
今回はここまで
また寸止めでごめんなさいorz
次来る時はエロしかないと思いますんで、それで勘弁して下さい

ちなみに行間二は挿話とリンクしていたりいなかったり

ではまた
ことよろー

864:名無しさん@ピンキー
07/01/01 07:55:46 UI15/eCn
グッジョブグッジョブ
秒速十万八千光年でGJ

865:名無しさん@ピンキー
07/01/01 09:09:14 bCH2orzh
セラエノからGJ

866:名無しさん@ピンキー
07/01/01 10:44:56 GSTAd7Ys
GJ!
最近なんだか小萌センセーが姫ちゃんに(ry

867:名無しさん@ピンキー
07/01/01 10:56:26 vIMi9NT0
GJ!!!
新年早々、神降臨!!

868:名無しさん@ピンキー
07/01/01 12:25:35 rt7/bwPp
ここでは姫神人気だなー
原作での扱いが嘘みたいだ

869:名無しさん@ピンキー
07/01/01 14:30:18 9suPrt9K
あけましてGJ!
良いお年玉をもらった。

870:名無しさん@ピンキー
07/01/01 14:32:37 HgQ8KmNa
吹寄さんキャラ違くね?

871:名無しさん@ピンキー
07/01/01 21:41:38 gfAnRV4h
GJ!
姫神さん最高ですね

872:名無しさん@ピンキー
07/01/01 21:55:48 aKZ4LrZf
うむ、新年早々良いものを見られた、ぐっじょぶ。



初詣はココ、姫神神社でいいですか?

873:名無しさん@ピンキー
07/01/03 12:19:06 PWBeJS/G
保守

874:名無しさん@ピンキー
07/01/03 17:56:06 SJFMZ5uB
振袖のねーちん

偶然が重なり帯の端を掴む上条さん







いえ、決して正月ボケではないですよ?

875:579
07/01/03 18:46:17 vdS4GjGx
保守されてるーっ!

保管庫で『超電磁砲はお年頃』に決定されちゃったので(笑)その続き。

876:579
07/01/03 18:48:09 vdS4GjGx
(3)
 翌日は休日。しかし、御坂美琴は一歩も部屋から出ることはなかった。上条本人がどう、
とか言うのではなく、上条の姿を思い浮かべながらあんな行為に及んでしまった自己嫌悪
からだ。
 隠し続けている『それ』の正体に薄々気づきはじめてしまった。あの時漏れ出してしま
ったがために。しかし、それが再びあってはならない―そんな気がする。現実の『あい
つ』。指の感触。妄想の中の『あいつ』。真っ白になったあの時。自己嫌悪。そんなもの
がグルグルと頭の中を経巡り―
「お姉様!ただいま帰りましたの!お姉様のいない一夜、黒子は黒子は…」
 騒がしい白井黒子の声に、少女は現実へと引き戻された。
「あら、黒子…おかえ…」
 言いかけて、ルームメイトにそのありきたりな台詞を遮られる。
「お姉様?何か元気がありませんわ?まさかあの殿方に何かされてしまったとか?そうな
ら許しませんわあの類人猿!今すぐにでも…」
 プチッ、と御坂美琴の頭の中で音がする。ベッドの上で膝を抱えていたが、バッと床に
立ち上がると、
「あたしとあいつの間に何があろうとアンタには関係ないじゃない!ちょっとは口を塞い
でたらどうなの?!」
 思わず叫び声が出る。激昂した台詞を口にして、それでも再び憂鬱な気分だけが戻って
くる。そのまま床にしゃがみこむ。

 その晩、そして翌朝と、白井黒子は御坂美琴と目を合わせなかった。

877:579
07/01/03 18:48:43 vdS4GjGx


 翌日の放課後。寝不足も重なって憂鬱な気分が晴れないまま、御坂美琴は街を歩いてい
た。無意識に上条と遭遇することの多い地区へと足が向かう。
(あいつの…どこが悪かったの…?どっこも悪くない…それに…あれは…じ、事故だし)
 朝食中も、授業中も、昼休みも、午後になっても頭の中は少年のことばかり。授業中、
何の問題が起きなかったのも、レベル5の御坂に対して「たまにはあんなこともあるだろ
う」と教師が見逃していたからと言うだけに過ぎない。
 正直なところ、視点も定まっていないような状態だ。道路の向こう側を騒がしい高校生
っぽい一団が通り過ぎていった。と、そのうちの一人が道路を無理やりに横断し―

「御坂じゃねーか。この前はすまなかったな、わざとじゃないんだ…で、それもなんだけ
どさ、あ、いやもちろんわざとじゃねーぞ?ま、とにかく何か上条さんがお前を怒らせる
ことをしたんじゃねーかって心配してたんだ。どっかで話でも…」

 少女の意識がはっきりしたのは、目の前で件の少年―上条当麻が心配そうな顔で自ら
の顔を覗き込んでいるまさにそのときだった。
(上条当麻っ…!な、なんで?)
 自分の理不尽な怒り。その後のちょっとしたアクシデント。そしてその夜…。瞬間的に
頭の中を駆け巡った記憶に、猛烈な羞恥心が重なった。まるで瞬間湯沸かし器のように全
身が火照る。
「み、御坂?そんなに怒ってた、いや、いるのか?話くらいは出来ないか?」
 上条当麻が手を差し出す。

「…や、やだっ」
 しかし、御坂美琴自身の意思に反して―むしろ意思が反応するその前に―耳まで赤
く染めた少女はその手を払いのけると、再び脱兎のごとく駆け出していた。

 呆然と立ちすくむ上条を残して。

878:579
07/01/03 18:49:18 vdS4GjGx

「なんで?なんであたしがあいつから逃げなきゃ…それに、あいつから声、掛けてくれた
のに…」
 上条当麻から思わず逃げ出して、御坂美琴は激しい動悸を繰り返す胸に手をやる。
 その瞬間、またも『あの感触』、そして、その後のことが急激にフラッシュバックした。
(あいつがわざとあんなことやるはずないじゃない…絶対やらないわよね…あ、アレだっ
てあたしが勝手に……ってそれは…関係なくってっ!どうして逃げちゃうのよあたし…)

 何も考えられずに滅茶苦茶に走ってきたが、足は無意識に寮へと向かっていたらしい。
周りの見慣れた風景に思わずため息が出たが、取りあえずは部屋に戻ってしまうことにし
た。夕べとさらに様子が違うことを見かねたか、白井黒子がおずおずと何か言ってきてい
た様だが、耳には入らない。夕食も味が全くしなかった。その頃には白井も声をかけるの
を諦めたようだが、美琴はそのことにも気が付かなかった。
 ベッドにもぐりこんで思い出すのは『あいつ』―上条当麻の顔。
(そう言えば、今日はなんだか心配そうにあたしを見てたっけ…あいつ、何にも悪くない
のに…)
 漠然とそんなことを考えながら、御坂美琴は枕へ顔を埋める―。


 ちなみに御坂美琴が走り去った後、上条はいつもの面々から
「いったいカミやん、チュ、チューガクセー、それもとと常盤台のお嬢様に何やらかした
ねんっ…って、ま、まさかっ」
とか、
「君は。そうやっていろいろな女の子をその気にさせて。切って捨てて」
とか、
「アンタには本当に見境ってものが無いみたいね?一度頭蓋骨切開して検査でも…」
等々の散々な罵倒を受けた上、そのことを土御門元春が禁書目録のシスターに告げたため
に気を失うまで頭蓋を噛まれ、気が付くとまた噛まれると言うことを繰り返したのだが、
本題には関係ないのでこの程度に留めておこう。

879:579
07/01/03 18:50:28 vdS4GjGx
もちっと続く。
プロットから進みません。ガンバッテカクヨー。

880:名無しさん@ピンキー
07/01/04 05:55:29 k/eskUEs
GJ!!
続き待ってます!!

881:名無しさん@ピンキー
07/01/04 13:05:51 pbt1JO/8
美琴が可愛すぎる…

GJ!!!!11

882:名無しさん@ピンキー
07/01/05 18:16:43 7PbxZBCO


883:名無しさん@ピンキー
07/01/05 21:29:05 xmOPFNJd
美琴かわいいよ美琴

しかし、なんでSSが投下されたほうが流れが滞っちゃうんだろうなぁ



職人さんが少ないから仕方がないのかな

884:名無しさん@ピンキー
07/01/05 22:03:00 w4SUFZcF
ここで逆レイプが似合うフラグガールズを1人。

885:名無しさん@ピンキー
07/01/05 22:03:55 iVbEipDL
姫神

886:名無しさん@ピンキー
07/01/06 02:10:19 +h4/ToCh
黒子の瞬間移動すげえよ。
おなぬーしている上条さんが、
いく直前で美琴の前に強制的に瞬間移動させられるのを妄想した。


887:名無しさん@ピンキー
07/01/06 07:28:43 OmZC8P8H
>>885
禁書の黒成分を1人で補ってくれますね。

888:名無しさん@ピンキー
07/01/06 19:10:21 0ABoTT98
触れてなければテレポートは出来ないしカミジョーさんには効きませんので

889:名無しさん@ピンキー
07/01/06 21:14:00 AYj2vQ09
>>888
逆ならいいんじゃね?
何かの理由で上条の部屋に突撃したら、上条さん自家発電中。
たまたまその目の前にテレポートした黒子と御坂。
ちょうどその時のオカズが御坂で…







うん、ゴメンgdgdですねハイ

890:名無しさん@ピンキー
07/01/07 00:43:38 4CWUno95
>>889
いやいや、黒子オンリーで出現→場所が悪く顔s(ry

891:名無しさん@ピンキー
07/01/07 02:13:11 s4Txy1+Z
この流れならば言える。
当麻×黒子っぽいものを書いてみたんだけど、需要あるかな?

タイトルは【クロキス~鉄矢でしか伝わらない思い~】

いや、なんだ。ごめんなさい。

892:名無しさん@ピンキー
07/01/07 02:14:27 wm5+ia/K
それをわざわざ私の口から言わせるんですか?

893:名無しさん@ピンキー
07/01/07 02:17:03 UCdogwDM
インデックスが10日飯抜きになったあとくらい需要あるぜ

894:名無しさん@ピンキー
07/01/07 02:24:44 woCDgfkl
>>891
いや、なんだ。投下してくださいお願いします

895:名無しさん@ピンキー
07/01/07 03:00:15 pdAU3l3M
幻想殺しは自分のイチモツにも有効なのか?
触るたびに萎えるとおなぬー出来ねえw

896:名無しさん@ピンキー
07/01/07 03:07:57 eByyQQDq
勃起は幻想なのかよ

897:名無しさん@ピンキー
07/01/07 08:14:23 kXLWi2tI
つ左手

898:名無しさん@ピンキー
07/01/07 09:20:05 ydRc0z6d
くれ~なずむ~まちの~ひか~りとかげの~なか♪

899:名無しさん@ピンキー
07/01/07 12:47:31 HtE5kem3
>>891
ここに需要があります。

900:クロキス~鉄矢でしか伝わらない思い~
07/01/07 14:56:10 rY2khwcE
<1> はじめてのキス略してはじキス 前編 

 なんでこんな事になっているんだろう。
 最初に白井黒子が思った事はそれだった。
 目の前には先程部屋に招きいれた男の顔がドアップで存在している。
 唇には何やら生暖かい感触を感じ、何故か知らないが顔が熱くなってきた。
「……」
「……」
 今日はなにやら黒子がお姉さまと慕う御坂美琴に用事があると聞いて部屋に入れてから数十秒。
 取り敢えず前と同じ様に布団に座らせようと思ったら、男が"運悪く"落ちていた鉄矢を踏んでこけた。
 それだけの筈だったのだ。
 しかし、それが男の驚きの声に振り向いただけで、まさかこんな事態になるとは。
 ようやく事態に頭がついてきたのか男の方から勢い良く唇を離した。
「わ、わりぃ!」
 顔を真っ赤にしつつ叫ぶ男――上条当麻は黒子から距離を取って勢い良く頭を下げる。
 それに対して黒子は体を起こしてただ頭を下げている当麻をボーッとした瞳で見るだけだ。
 暫くしてようやく思考が復帰したのか、黒子は恥、涙、怒と表情を三段移行させ、
「――ッ!」
 顔を朱に染めて目を釣り上げ、足のホルダーから鉄矢を引き抜き構えた。
「って、ちょっと待ってー!それは流石に上条さんでも死んじゃいますからー!?」
「問答無用ー!乙女の唇を奪っておいてもう生かしてはおけませんわウフアハハハー!」
 後半の方は自分で言った事に涙目になりつつ、もうわけのわからない思考で笑いしか出て来ない。
 取り敢えず目の前のこの馬鹿を串刺しにしてから考えよう。そうしよう。
「覚悟―」
 即座に暴走したままの思考を一つの方向に纏め行動に出ようと一歩踏み出した瞬間だ。 
「あらっ?」
 何か足に妙な感覚。
 地面を前へと滑るような感覚だ。
 状況確認。
 現在進行形で、自分で自分の鉄矢をふんずけて宙へ身を投げ出している途中。
 向かう先には腰を引いて身長差の埋まったのか、男の顔が。
 このままではどうなる?
 頭突き?否、このままでは―、
「「――ッ!?」」
 ドサリという何かがまとめて倒れるような音が部屋に響いた。
 暫しの沈黙と共に再び唇に伝わる生暖かい感触。
 我を忘れて停止している二人。
 その沈黙を破るかのように扉を開ける音と共に足音と声が聞こえてきた。
「ただいまー。やー、疲れたわ。定期検査なんて面倒臭いも……の……」
 聞こえてくる声は黒子がお姉さまと慕う御坂美琴のものだ。
 しかし、その言葉の後半は途切れ途切れになり、最後には黙ってしまった。
 それもそうだろう。
 当麻が何かをまたしでかしてトラブルを起こした結果、こうなったならまだわかる。
 しかし、現在の状況は当麻が押し倒して唇を奪っているわけではない。
 "白井黒子の方から押し倒して唇を奪っているかのようなシュチュエーション"なのだから。
 慌てて当麻は唇を離し、
「ぷはっ、って、待ってくださいまし、美琴さん!?これは不可抗力であり、私めが白井の―」
「うふふ、何を弁解しようとしてるのかしら。別にほら、貴方達がどういう関係だからって私の知ったことじゃないわよ?」
 何やら美琴がなにか言っているという事はわかったが、黒子には美琴の声はあまり聞こえていなかった。
 ただ呆然として唇を指でなぞるだけだ。
……せ、せかんどきすまで……。
 頭の中は真っ白。
 ただ、キスをしたという事実だけが漠然と頭の中で自己主張を続けていた。
 その事実を再確認するなり、黒子は顔を爆発させるかのように真っ赤に染め、目の前の男を見やる。
 彼は押し倒されたままの状態でなにやら必死に叫んでいる。
 まだ頭がハッキリしていないせいか、何を言っているのかはよくわからない。
「だから、それは誤解だって言ってんだろ!?って、のぁっ、バチバチさせるなぁああああ!?」
「うるさいうるさいうるさい!とっとと、どきなさいこの馬鹿!」
「と言いましても白井さんがどいてくれないとわたくしめも動けないのでございます、はい!」

901:クロキス~鉄矢でしか伝わらない思い~
07/01/07 14:57:45 rY2khwcE
「黒子もいつまでも止まってないで、早くどきなさい!この馬鹿黒コゲにするから!」
「ひぃ!それは実質的な死刑宣告!?上条さんはまさにデッドオアダイな状況んっ!?」
 彼の顔がこちらを向いた。
 同時に、なんだかよくわからないけど身体が勝手に動いた気がする。
「!?」
……あれ?わたくし、何をやってるんですの?
 状況証明。
 唇には再び生暖かい感触が。
 目の前には先程と同じくらい大きく見える当麻の顔がある。
 つまり―、
「……?」
 首を傾げるがその先が出て来ない。
 はて、何をやったのやら、と美琴を見て見れば顔を真っ赤に染めて眉を立てて震えていた。
「あ、えあ、ななななななっ?!」
 なんであんなに舌が足りてないのだろうか。
……だけど、そんなお姉さまも可愛らしくてグッと来るものが―で、なんで殿方の顔がこんな近くにあるんですの?
 簡単な事だ。またキスして―、
「――ッ!?」
 その事実に気づくや否や顔を離して立ち上がる黒子。
 現実が身に染みてくるようにやって来てはそれを否定しようと頭の中で何かが弾ける。
 ついには自分でも何をしたのかわからなくなり、呆然としている当麻を見てから美琴を見て、出口へと走り始めた。
 自分の口を両手で塞ぎつつ顔を真っ赤にして靴も穿かずに部屋を飛び出す。
 そのまま寮の出口へと走り、自動ドアが開くのも待たずに空間移動で寮の外に出てまた走り出す。
 正直、自分でもどこに行くのかわからないまま、白井黒子は夜の闇へと消えて行った。

  ○◇○

 上条当麻は床に倒れ伏したまま、停止していた。
 記憶喪失になって以来、自分はキスなんてした覚えがない。
 つまり、もしかして、これは正真正銘のファーストキスになるのだろうか、と思考は取り敢えず現実逃避していた。
 それもそうだ、この目の前でビリビリと凄まじい電力を発揮している御方と目を合わせたい等という変わり者は
 居るだろうか。いや、居まい。
「というわけで、上条さんは命乞いをしてみようと思うのですが、駄目でしょうか?」
 俯いていたビリビリ娘こと御坂美琴は顔を上げる。
 そこにある表情は意外にも笑顔だった。
 何か一線を越えてしまったような笑顔だったが。
「だめよ」
 語尾に音符マークが付きそうな程清々しく優しくそして楽しそうな声。
 まるでそれは当麻を迎えに来た天使のラッパの音色の様でもあり、同時に鎮魂歌の様にも聞こえた。
 上条当麻がそれに対して笑顔で頷く。

 瞬間、世界は白い閃光に包まれた。

 ○◇○

 確かに上条当麻という人物は恋敵という事以外では悪い人ではない、と白井黒子は思う。
 しかし、それとこれとは話が別だ。
 どうして自分はあんな行動に出たのか、ブランコに揺られつつ考えるものの全く検討もつかない。
 初めてのキスでなにやら変な方向に目覚めてしまったのかとも思うが、それは即座に否定。
 そんな性癖が自分にあったのだとしたら由々しき事態だ。
 いや、それはそれで御坂美琴にそれを理由にしてキスを迫ることも出来なくもないような気もする。
「はぁ……出来るわけないですのに……」
 思考がようやく冷却されてきた。
 詰まるところ熱に浮かされてついつい非常識な行動を取ってしまっただけなのだ。そうなのだ。
 よし、と黒子は立ち上がる。
 まずは美琴への弁解と、当麻への対応だ。
 ついついその場の勢いでやっちゃいましたの、テヘ☆とでも言えば平気だろう。
 うんうん、と頷いたところで誰かが公園の入り口から走ってくるのが見えた。
 おや、と首を傾げてみればそれは目的の人物の一人である上条当麻だった。
 これは好都合とばかりに手を振ってみれば彼の後ろから―修羅が追ってきていた。


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