07/05/08 23:21:32 I7+Lgx2d
とにかくダングイスが書きたい。しかし漏れには文才が乏しい。文才が乏しい漏れにはこういうのしか書けないのだ…。
ライカと絡ませたいな……もっと妄想しなければ…。
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「やめて。耳が腐るわ」
「…な……なっ…」
場所はトルバス神曲学院、数ある教室の一つ、専門課程生徒が基礎課程生徒へ勉強を教える授業のフォロンが担当する教室。
今回は少々珍しい事が起こった。
いつもは静かなプリネシカがダングイスに冷たく暴言を言い放つ。
教室に居る全員が凍りついてしまったかのように、あまりの以外さに固まって動かなくなった。
ダングイスも予想外の出来事でワンマン・オーケストラによる神曲の演奏が中断された。
しかし教室に居た者の中で最もプリネシカの変わり様に意外性を感じたのは、彼女と最も長い時間を共に過ごしている双子の姉のペルセルテだ。
今のプリネシカの姿は、ペルセルテも初めて見る程に珍しい姿であった。
普段はとても大人しく、暴力的な雰囲気など微塵たりとも縁のないプリネシカ。
いつもは潤い帯びた可愛らしい瞳が今は、汗が引き背筋が凍ってしまいそうな位に鋭く凍てついてしまう眼差しに変わっている。
その眼差しの意味は怒りを表す。
かっとなって頭に血が昇るような単純に熱くなる怒りではなく、腹の底から渦巻く苛立ちを隠す冷めた怒り。
いつもと全く違う、プリネシカの凍てつく怒りを帯びた鋭い眼差しはダングイスを射抜いている。
「精霊の反応をうかがうまでもないわ。あなたの演奏は雑音以下よ」
「…なんだ、と…っ!?」
ダングイスの眉が震え、徐々に怒りで顔が赤くなっている。
「聞いているだけで、いえ、耳に入るだけでハラワタが裂けそうな位にむかむかするの」
「おまえに…何が分かる……」
暴言を吐き散らすプリネシカに対するダングイスの怒り。それはプリネシカの冷めた怒りとは反対の熱い怒り。
「あなたの演奏は程度の低い自己満足の垂れ流しに過ぎない。口から血を吐きそうな位に気分を不愉快にさせてくれたわ」
「精霊でもないくせに……ダンティストでもないくせに……特別優れているわけでもないくせに…おまえ……レベルの低いおまえ如きに何が分かるんだ!
ボクの天才的な神曲の素晴らしさが分かってたまるかよ!」
貶されている事を認められないダングイス。冷たく言い放ってくるプリネシカに対して勢い良く指刺しながら大声で怒鳴り散らし返した。
ダングイスはさらに血圧が上昇し血管が浮き出て顔が真っ赤になってしまう。
眉間に沢山の皺がより眉が鋭利につりあがる。
髪の毛があまりにも凄まじい怒りで逆立ってしまい、その怒髪が今にも天を衝きそうだ。
「分かってたまるかよぉぉおおおおおっ!」
―ガシャァンッ!
やり場の無い怒りを我慢出来ず、背負っていたワンマン・オーケストラを豪快に投げ捨ててしまった。
車一台分の値段もする精密機器である、とても易々と取替えが出来ないワンマン・オーケストラを。
「誰も分かっちゃいない。ボクは天才だ! ボクは天才なんだっ!
ボクの神曲に精霊が集まらないのはボクのせいじゃない!
ボクの類い稀なる超越的な才能を恐れる嫉妬深い哀れなダンティストがボクの周りだけ精霊が居ない状態にしているだけなんだ!
分かったか愚民共っ!」
とんでもない勘違いを饒舌に言い放つ。
常時目には見えないがどこにでも居る無数の精霊を、誰か固有の者の周りだけ精霊の居ない状態にする事はとても難しい。
そのような難しい事が出来るダンティストならば大抵の者は恐れる必要など微塵もない。
ダングイスのような一度も実績を示していない者など語るまでもない。
ダングイスの思考を一言で言えば自身を神聖視し過ぎている。
「…………」
プリネシカは無言で凍りつく様な冷めた瞳でダングイスを睨み続ける。
「…はぁ……はぁ……なんだよぉ、その目はぁっ…!」