【貴方が居なければ】依存スレッド【生きられない】at EROPARO
【貴方が居なければ】依存スレッド【生きられない】 - 暇つぶし2ch250:名無しさん@ピンキー
07/03/15 15:48:38 yAxZWCkU
さぁ、張り切って保守だ。

251:名無しさん@ピンキー
07/03/18 17:56:25 6kSqgD99
ほしゅ

252:名無しさん@ピンキー
07/03/23 01:36:15 tmSqC8qK
ほしゅ

253:名無しさん@ピンキー
07/03/26 02:27:41 kVerkYes
age誰かかいてくれ

254:名無しさん@ピンキー
07/03/26 03:32:56 TItFuck3
仕事が明けたら書く予定。
今月はまず無理、すまん。

255:籠城戦 ◆DppZDahiPc
07/03/26 22:16:28 T+voQeH/
思いつきで書いた故か、キャラのビジュアルイメージすらない状態で書き。
気付けば、容姿描写がないことに気付いた。
だから
・女子中学生
・へたれ気障吸血鬼兄さん
を、適当に思い浮かべながら読んでくれ。

……SS書きとして、グダグダなことを言いつつ、保守投下

全4レス、本番なし



256:食事狂1/4 ◆DppZDahiPc
07/03/26 22:18:36 T+voQeH/
 夕日に焼ける旧びた校舎。授業も終わり、まだ部活も本格始動しないこの時期、校舎の中はまるで安置所のような静寂に包まれる。
 それを、

 コツコツコツ

 破る、足音。乱れなきパーカッション、急ぐような三拍子―床を蹴る音。
 静寂な校舎の中響く音を、人外の聴力で聞き耳を立てながら、彼は歌う―足音の主に聞かれぬよう/静かに/密やかに、故国の歌を。
 彼女の足音、その主旋律は、彼の故国にある大河の流れによく似ていた。奔る風の歌に酷似していた。彼の母が歌う子守唄そのまま。
 彼は、歌う、故国の歌を。
 それを―

 コンコン

 ―ノックの音が妨げる。
 足音は止まっていた。
 この時期、この時間、この部屋を訪れるのは一人しかいない。
「どうぞ」
 彼が言うや、扉は盛大に開かれ、
「―おや?」
 怒り顔の彼女がそこにいた。
「どうしました?」
 彼が訊くのへ、彼女/有守るいが応える。怒りの文言。
「どうしたもこうしたもないよっ。なんなのさっ、これ!」
 そういって差し出されたのは―1輪の薔薇。
「ああ」彼は朗らかに微笑むと。
「内緒の合図という奴ですよ。<キス>させていただくのに、いちいち貴女の教室まで往っては要らぬ疑いをかけられてしまいます」
「……だから、薔薇?」
「ええ、洒落てるでしょう?」
 そういって彼は得意げに鼻を鳴らした。
 だが―
「洒落はしゃれでも、こんなのダジャレじゃないのさっ」
 るいは切れた。響く大声。
「こんなん下駄箱に置いてあったら、誰だって今日何かあるって気付くって」
「……そ、そうですか?」
 彼は何を怒られているのか理解できないようすで、怯え怯え応えたが。
「ですが、中々ステキな誘い方だとは思いませんか?」
「しっつこいっ!」
 るいは手に持っていた鞄を、床に投げつけた。
「あんまり言ってると<吸わせて>あげないさっ!」
 その言葉に、彼が慌てる。
「そ、そんな、あんまりですっ。我々吸血鬼にとって、<キス>は身体を維持するのにどれだけ大切なことか、忘れたわけではないでしょう」

257:食事狂1/4 ◆DppZDahiPc
07/03/26 22:20:46 T+voQeH/
「ええ、もちろん覚えてるよ。<吸わ>ないと灰になるっていうんでしょ? 灰になったら、砂丘にでも蒔いてやるのさ。金輪際復活しないように」
「そんな殺生な。この人でなし、人外外道」
「マジに人外畜生のあんたには言われたくないわっ」
「そんな酷いっ!」
 そう叫ぶや、彼はめそめそ泣きはじめた。
 るいより頭二つは高い身長を丸めて泣くものだから、その姿は不気味なことこのうえない。
 るいは、無視しよう、無視しようと思いながらも―結果的には、
「いいから、泣いてないで<キス>しなさいよ。この後、私デートあるんだから」
 その言葉に、今まで泣いていた彼がぴくりと動きを止め。まるで油の切れたブリキ玩具のような動きで身体を起こすと。
「まだ、あの洟垂れ小僧と付き合っているのですか」
「なによ。飯島くんの悪口言う気?」
「―いえ、別に」
 白けたような表情で彼は応えた。
 気に入らないのだろうか? わたしが飯島くんと付き合っていることが―彼女は想い―否定する。
 一瞬でも浮かべてしまった、甘い希望に。
 そう、この人外外道が飯島くんとつきあっているのにいい顔しないのは、わたし/るいが処女でなくなってしまうかもしれないから。
 彼にとってるいの血は、脳が蕩けるような極上のワイン。
 ほんの数的舐めるだけで、折れた肋骨がくっつくほどの力を与えるらしい。
 故に、彼はるいを手放したくないし。その血の魔力が弱まるから、処女でなくなってしまうことを嫌がる。
「……大丈夫」
 るいは呟くように言った。
 すっ、と。スカートの裾をあげていき、ピンクの下着が露出する直前で止める。
 白い太ももが露になる。
 それを見て、彼の眼に、それまでのちゃらけたものとは明らかに違う色が浮かんだ。
 それは―獣の眼。
 しかし、
「まだ、処女だよ。童貞さん」
 その眼をるいは畏れない。
 その眼はるいにとって、今最も必要としている、狂暴な光。
「それは良かった」
 彼は笑った。口元だけで。
「もっとも、あの小僧に貴女に手を触れるだけの勇気があるとは思えませんが」
 自信満々に言い切った。
 その根拠のない自信に、るいは思わず笑ってしまう。
「では、<キス>を―ああ、そうそう。この後デートなのでしたら、首元にキスしたほうが?」
「…………ばか」
 るいは小さく呟き、指差す。
「ここに、して。ここなら、外から見えないから」
 そこは―

258:食事狂3/4 ◆DppZDahiPc
07/03/26 22:22:55 T+voQeH/
 吸血鬼の口元に月。狂暴で、無邪気な月の笑み。どうしようもない歓喜の発露。
 ―処女の内腿。
 まだ処女の少女は、淫猥で淫乱な要求に、自ら赤らむ。
 それを見て、吸血鬼に惨酷な要望が募る―この少女を、娘にしたい。自らだけのものにしたい。
 ―だが、その考えは、直ぐに打ち消した。
 そうするのは、彼のポリシーに反するし。なにより、彼女との契約に反する。
 無限、永劫、虚無の命を持つ獣にとって、契約は自ら足らしめる、数少ない要素、故に吸血鬼は約束を破らない。
 彼女との契約―彼が新たな血液提供者を見つけるか、彼女が処女を捧げてもいいと想う男と出会うまで、彼女は彼に血を与え、彼はそれ以上を要求しない。
 だから
「かしこまりました、レディ」
 跪き、恭しく頭を下げる。
「―では、」
 口元に光る、犬のような牙。
「いただきます」
 そっと
 静かに顔を寄せ―

 ちく

 白い太ももに牙が刺さり、ぷくっと赤い珠が傷口よりこぼれ、涙跡。
 それを舌ですくい、舐めとり、嚥下する。
 彼の身内に迸るような電流/甘く切ない衝動/揺れる激情/歓喜―血が、全身に流れていく。
「おいしい?」
 るいの言葉、喘ぎ。
 彼は頷き、応える。
「毎夜、求めたくなるほど」
 そういって、傷口にキスをした。
 こぼれる血を吸い、傷口から血を吸い、強く強く強く、彼女の身体から血を吸う。
 彼女の膝が震え―倒れそうになったが、彼の頭に手をつき、免れる。
 その体勢のまま、僅かな時間、彼に血を与え続ける。
 そして、気付く、自らのしている体勢、その拙さ。
 ―でも
 いいや
 その体勢は、まるで彼の顔を、股間におしつけているかのようだったし。実際あたっていたが。
 他に誰もいないという開放感では、そんなこと気にならなかった。

 血を吸われる、その快感。
 眼が覚めるような―蕩けるような―自分と世界の狭間が理解できなくなるような―どうしようもない―甘い―
「…………あっ」
 彼女は、倒れた。
 その身体を、彼は受け止め、抱いた。


259:食事狂4/4 ◆DppZDahiPc
07/03/26 22:28:21 T+voQeH/
 彼女の意識がまどろんでいるのを知りながら、普段の彼女なら絶対にさせてくれないほど強く、抱擁した。その華奢な身体を。
 花のような香りがした。
 ソレに気付き、彼は手を伸ばし、触れ―泣きそうな顔をした。
 キス/吸血されると強い性的快感が得られる。
 それが、彼女を引き止めていると知っていた。
 吸血の快感は、人によっては、セックスを凌駕する。―彼女はそういう体質だったのだ。
 故に、これから、彼女が人間の男と付き合ってセックスしても。
 それは、この逢瀬で与えられる快感には程遠い。
 彼は、泣きそうな顔をして、想った。
 弱っていたとはいえ、旧き血の自分が、こんな幼子を狂わせてしまった―その罪を、彼は想った。
 後悔している。言葉で言い尽くせぬほど―しかし、だ。
 彼はその罪に酔っている、どうしようもなく。この少女を手放したくなかった。
 たとえ、吸血鬼に変えてでも。
 彼女と、一緒に居たい。
 故に、彼は想った。
 旧き血の我と、少女を巡って争う一人の少年のことを―
「まあ、知ったこっちゃありませんが」
 まだ白い空に、月が微笑んでいた。


おしまい


260:名無しさん@ピンキー
07/03/28 19:43:57 mv9wHS9f
GJ!

261:名無しさん@ピンキー
07/03/29 11:26:53 4QzQJYFF
吸血GJ!
吸血スキーなので美味しく頂きました。

262:名無しさん@ピンキー
07/03/30 20:53:34 yLBoWZP1
どこかで
田上好きなカリスマ歌手と社会人みたいなシュチュな小説を見た。
おそらく依存っぽかったんだかどこでみたかいまいち覚えていない。ということで情報求む

263:名無しさん@ピンキー
07/03/31 21:16:55 YdO7k4RA
傍から見ると、「男が女にベタ惚れ、女、絶対的に優位」に見えるのに
実は女のほうが男に依存、というのに萌える。
・・・めったに見ないんだけどねorz

264:名無しさん@ピンキー
07/03/31 21:27:13 R4iu6PUc
>>263
よく分からんが
普段は
男「なあ、デート行こうぜ」
女「はいはい、今度ね。―ああ、牛乳切れてたから、買ってきて」
とか言いながら。
いざ男が他の女に口説かれてるのをみると
女「今からデート行くわよ」
とか言い出すタイプか?

265:名無しさん@ピンキー
07/04/01 00:14:49 OTw5wlLY
>>262
たぶん、気の強い娘がしおらしくなる瞬間に…スレの彼女は〇〇〇だと思う

266:名無しさん@ピンキー
07/04/01 00:33:02 KXC+BgCa
保守
>>264それだけで射精した。続きプリーズ

267:名無しさん@ピンキー
07/04/01 02:14:11 IPaYyPz0
>265
㌧クス

268:名無しさん@ピンキー
07/04/02 10:47:29 qZ5ub/An
>>263
なんとなくGS美神の美神と横島を連想した

269:名無しさん@ピンキー
07/04/09 00:51:10 BjAZBbk9
こんないいジャンルなんだ。誰か書いてくれ。


え?俺?俺には文才がry

270:名無しさん@ピンキー
07/04/09 07:37:36 wsfac5WC
なあに、書いてる内にこなれてくるさ。

271:名無しさん@ピンキー
07/04/14 10:27:59 nqKJ6Q4Z
236
これなんてご愁傷様二ry

272:名無しさん@ピンキー
07/04/15 01:31:10 3I1GaK2l
愉快なヘビくん

273:名無しさん@ピンキー
07/04/15 01:47:29 en/1e2OX
「なるたる」の高飛車お嬢と、その幼馴染が263ぽい。

274:名無しさん@ピンキー
07/04/19 02:27:42 v5MbI4/r


275:名無しさん@ピンキー
07/04/21 10:13:10 Je8BCzJv
hosyu

最近電王の良太郎の姉さんが弟依存キャラっぽく見えるのは俺だけか?

276:名無しさん@ピンキー
07/04/26 01:59:08 XWboQyy5
保守。

277:名無しさん@ピンキー
07/04/28 06:40:15 ljkK2kPF
保守

278:名無しさん@ピンキー
07/04/28 12:07:43 GMdhxcl9
好きなジャンルなんだけど需要ないのかなぁ
退魔師くんとかすごい面白いんだが

279:名無しさん@ピンキー
07/05/01 22:31:09 wkcA+r7t
依存を書いてくれる職人さんがいなければ生きられない

280:名無しさん@ピンキー
07/05/02 21:37:01 INkU5Bfi
hagedou

281:名無しさん@ピンキー
07/05/03 10:25:48 4W4+HFvP
URLリンク(www.uploda.net)

ヤンデレスレ保管庫を参考に作ってみた。
うpロダの性質上、二日以内に消えるらしひ。

282:名無しさん@ピンキー
07/05/05 12:49:12 jSVMsd/c
チクショウ…遅かったか…

283:名無しさん@ピンキー
07/05/05 14:36:09 FADkE4s/
>>281
もっかいうpして~

284:名無しさん@ピンキー
07/05/05 15:13:47 UkotH/k0
URLリンク(kasamatusan.sakura.ne.jp)

再うp

285:名無しさん@ピンキー
07/05/05 23:55:02 g20MSZa3
なぜスレがあるのにわざわざうpロダにうpるんだ
お願いします
頼むから普通に投下してください

286:名無しさん@ピンキー
07/05/06 08:13:30 Fcky+YYk
>>>285
いや、作品じゃなくて仮の保管庫だから。


287:名無しさん@ピンキー
07/05/07 21:24:31 ea0vcJfC
流れ無視してすいません。
周囲には冷たいイメージで知られている女が、(周囲の評判は度外視)男のいいなり。
しかしそれは弱みを握られて強制させられているわけではなく、女の依存によるもの。
男に必要とされることに喜びを感じるが、その反面必要とされなくなることを恐れる・・・
こういうシチュエーションの作品(18禁ゲーム・雑誌何でも)見たことありますか?
この場合、たいてい男は引くものなのですが、男がいいように利用していたら更に良いです。

288:名無しさん@ピンキー
07/05/08 21:18:01 a5hVgEaN
その展開いいね、クズ主人公ってのが更にいい。

289:名無しさん@ピンキー
07/05/11 00:43:48 GoGW8744
これでdatたら諦める

290:名無しさん@ピンキー
07/05/12 00:20:19 zpCpi4ot
あと十日もすれば補給が途絶えて2ヶ月になるか。
需要があるのに供給が無い…。(´;ω;`)

291:名無しさん@ピンキー
07/05/15 03:22:32 GS/5EKRY
やっぱもう無理か?
なんとなくだか書くの難しそうな気がするし。

292:名無しさん@ピンキー
07/05/15 19:49:21 GtPCa8RE
今初SS頑張って書いてる。
今月中には投下したいけどエロ描写がうまくいかん。
俺としてもこのスレは萌えポイント高いし、無くなってほしくないから頑張るよ

293:名無しさん@ピンキー
07/05/15 19:51:50 rpA4HHDl
よし、それなら保守ろうぞ。


294:名無しさん@ピンキー
07/05/15 21:07:39 i+mE0Kll
伊坂幸太郎の「重力ピエロ」の弟が妹だったら、俺は全力で萌えた。
あれは依存とはちょっと違うのかもしれないけど。

295:名無しさん@ピンキー
07/05/16 02:15:50 rx4sIUJ8
292と職人の為に全力保守

296:名無し@ピンキー  ◆x/Dvsm4nBI
07/05/16 21:37:12 Vxzs8j1h
なんとなく書いてみたので投稿。
263を意識しつつ。えろなし冒頭のみ。
続きを書くかも不明。
保守代わりに

297:僕の仕事はやくざ屋さん  ◆x/Dvsm4nBI
07/05/16 21:38:05 Vxzs8j1h
天国のお父さんお母さん、僕は立派に社会人になりました。
見城刀19歳は住み込みで今でも働いています。
社会人ははじめの仕事を三年間続けろとの教えどおり、働き始めてから
無能とか雑魚とか世界一向いてないとか言われつつも今でも頑張ってます。
料理を作りながら物思いにふけっていると。

「おい!刀!朝飯はまだかっ!」
「おそいおそいおそーい!おなか空いたおなか空いた!!」
ああ、職場の上司から仕事の催促が~

「はい。ただいまお持ちします。親分、お嬢さま。今日は豚汁と焼き鮭です。」
「うんうん!おいしそうな匂い。刀ほめてあげるわ。」
「ま、人生間違いはつき物だ。おめーは料理人にでもなるんだったな。」
「ほめられてるのか貶されてるのかわかりませんねー。」

はい僕は今、鬼城組というところで働いています。
俗にやくざ屋さんと呼ばれる職業です。鬼城組は中堅のやくざだったのですが、
二年前に崩壊。借金だけが残り部下は四散という…倒産しちゃったんです。

僕はやくざ屋さんとしては、老人に恐喝なんてできませんし強い人には勝てないですし、
まして追い込んでいくようなことはできなかったので邪魔者扱いでした。
他の優秀な方はそれぞれ別の場所に再就職なされたのですが、僕だけはできなかった
んです。

持ち家を処分したことと、両親が事故で亡くなった際保険金があり、2億程度の
財産が僕には残っていましたので暫くぷらぷらするかとも思ったのですが…。


298:僕の仕事はやくざ屋さん  ◆x/Dvsm4nBI
07/05/16 21:38:48 Vxzs8j1h
両親を亡くして途方にくれたときにお嬢には僕を拾ってもらった義理もあるし、
親分さんにもよくしてもらっていたので借金をお金で清算し、今までどおり
おいていただくことにしました。
そういうわけで、僕だけがここで働いています。

もちろん、お二人には生活能力なんてものは存在しなかったので全て僕が
取り仕切っています。お金の面に関しても趣味の読書から得た知識から、
残った財産を運用しています。

家事一切を引き受け、お金を稼ぎ、給料を頂く。立派な社会人ですね。うん。
しかし、何より一番大変な仕事は…

「ほら、刀。ぼやぼやしてないで学校までエスコートなさい!ぐずぐずしない!」
「はい!ただいま!すぐ行きます!」
「ほらっ!いくわよ。はやく!」

お嬢さまのお世話だったりします。
今もエスコートといいつつ、僕の腕を引きずっています。せっかちなんだから…。
三年前、小さな暴君だった彼女は今では女帝といった風情に成長しています。
外見は見目麗しい大和撫子なのですが…。
今日も意味もなく殴られたり文句を言われながら今日も女学院への道を歩いていきます。
僕は高校に通えなかったのでお嬢さまには是非楽しんでいただきたいものです。


299:名無し@ピンキー  ◆x/Dvsm4nBI
07/05/16 21:40:57 Vxzs8j1h
以上。
まだこの先はさっぱり考えてません。

300:名無しさん@ピンキー
07/05/17 00:03:35 8etTjLK7
ヤクザって就職になるのか?wwwwww

301:名無しさん@ピンキー
07/05/17 01:49:33 48un/f7g
もう数百年くらい投下がなかった気がするよ・・・・
>>299超GJ!つかみだけでここまで期待させてくれる作品はなかなか無いぞ。
ゆーっくり考えて神作を投下してくれ!

302:名無しさん@ピンキー
07/05/17 08:13:38 rlO207Jy
>>299
兎にも角にもGJ

303:名無しさん@ピンキー
07/05/17 11:42:48 UPnWvOWb
久々のGJ!
依存でツンデレかw

304:名無し@ピンキー  ◆x/Dvsm4nBI
07/05/17 15:10:29 7Btrd6CD
続き書いてみた。
難しいです。相変わらずのエロなしです。

305:僕の仕事はやくざ屋さん  ◆x/Dvsm4nBI
07/05/17 15:11:11 7Btrd6CD
お嬢さまを学校に送った後はお金を稼ぎます。最近はパソコンとインターネットが
あればどこでも仕事ができるので便利です。
そして、学校が終わるころにお迎えに行きます。今日はお嬢さまがなかなか出て
こられません。掃除当番でしょうか。

「遅いですねー。何かあったのでしょうか…。」
「え…うそ…刀お兄様!!!」

うわっ。ぼーっとしてたら急に名前を呼ばれて抱きつかれました。
凄い美少女です。栗色の髪の綺麗な…大和撫子。ただし、お嬢さまが元気すぎて生命力が
溢れているような感じだとすると、大人びたしっとりとした雰囲気を持ってます。
しかし…

「えっと…僕には妹なんていないのですが…」

そう、僕は一人っ子です。目の前にいる見知らぬ美少女は生き別れの妹か
何かなんでしょうか。天国のお父さんお母さん、不倫はよくないです。
美少女は僕を半泣きで上目遣いで睨んでます。

「兄様酷いです~従妹の刃霧(はぎり)ですよ。ご無事だったんですね!」
「あー。刃霧ちゃんか。すっかり大きくなっちゃってー。」
「いきなり失踪しちゃって…心配したんですからね!」

なるほど見城家本家の跡取り娘、刃霧ちゃんでした。
天国の以下略、疑ってごめんなさい。
そういえば、叔父さんに住み込みで働くことを連絡していませんでした。
これはうっかり。しかし、時の流れは速いです。ちっちゃかった刃霧ちゃんも
すっかり綺麗になりました。まさか、こんなとこで再会するとは。


306:僕の仕事はやくざ屋さん  ◆x/Dvsm4nBI
07/05/17 15:12:21 7Btrd6CD
「こちらの進学校に入学なされて…うちに住んでくださるといわれてましたのに…。」
「まあ、色々ありまして。」

まさか、両親が亡くなって公園で進学先をどうしようか悩んでいるときに、
お嬢さまに自殺しようとしていると勘違いされて、なし崩し的にやくざ屋に
なってしまったとは言えません。

「今からでも遅くありません、うちに来てください。お願いですから~。
うう…寂しいです…暖かい…すりすり。」
「申し訳ないのですが、僕は社会人でして住み込みで働いていますので…。」
昔と変わらず甘えん坊です。しかし、泣きながら抱きつかれると困りますね。
大人になってますし…お嬢さまが来る前に離れていただかないと…。

「…刀!何やってるの!!お、女の子抱きしめて…ふ、不潔ですわー!!!」
て、手遅れでした。問答無用の左ストレート、通称幻の左を食らいました。痛いです。
他のお嬢さま方が優雅にしずしずと歩いている中、本気ダッシュの左ストレート。
さすがはお嬢さまです。

「申し訳ありません、お嬢さま。三年ぶりに従妹と再会したものですから。
 この子は従妹の見城刃霧です。」
「あの…刀お兄様。この方は?」
刃霧ちゃんが、お嬢さまのほうを見て言いました。両者殺気が篭っている気がするのは
気のせいでしょうか。

「こちらは、今僕がお使えさせて頂いている方でして…鬼城沙耶(おにしろさや)様です。」
「お…お仕え!お兄様がですか!」
「そう…下僕ともいいますわね。彼は私のモノ。私のために働いているの。
 私が死ねといえば死ぬの。私の所有物で全ては私の自由なの。」
「もしかして…あ、貴女が…お兄様の人生を狂わせたのですねっ!」
「ちょ、ちょっと~仲良くしましょうよ。」
「「刀(お兄様)は、黙っていなさい!」」
「は、はい!!!」
な、なんか非常に相性が悪いようです。二人はにらみ合ってます。

「刀…私、刃霧さんとお話があるので先に戻っていてください。」
「…わかりました。今日は美味しいもの作りますね。」
「お兄様、沙耶さんは私が送りますのでご心配なく。」
威勢ほど口が強くないお嬢さまが少し心配ですが、刃霧ちゃんの護衛も
いますし体は大丈夫でしょう。僕は買い物をして一度帰ることにしました。


307:僕の仕事はやくざ屋さん  ◆x/Dvsm4nBI
07/05/17 15:13:58 7Btrd6CD
「雨が降りそうですね…。それじゃ戻りますか。」
荷物を置き傘をもって、再び女学院前に戻ります。まだお話は続いているようですので
陰で終わるのを待ちます。予想通りお嬢さまの劣勢のようです…。刃霧ちゃんは
頭の回転が速いですからね…ああいえいえ、お嬢さまが頭が悪いとはいいませんよ?
ただ野生の直感で生きてるだけです。

「お兄様は絶対に取り戻しますからっ!」

どうやら話が終わったようです。刃霧ちゃんはお迎えの車に乗って去っていきました。
お嬢さまは立ち尽くしています。気位が高いお嬢さまは敵と認識した相手に送られる
などということを良しとはしないと解っていました。
さて、雨も降ってきましたし帰りますか…。
お嬢さまは泣いてます…僕はゆっくり笑顔で歩み寄ります。いつもどおりに。

「お嬢さま。傘をお持ちしました。帰りましょう?」
「お、遅いぞ刀!待ちくたびれたぞ。さっさと帰るぞ。ふん!」

お嬢さまは僕から一本傘を受け取ると、それを茂みのほうに投げ捨てました。
泣き顔を見られたくないのか赤くなってそっぽを向いてます。

「刀!傘が一本しかないぞ。全くお前は用意が悪いな。よし、優しい私がお前を
 一緒に傘に入れてやろう!感謝しろ!!もっと近くに寄れ。濡れるだろう。」
「ありがとうございます。お嬢さま。」
こうして、今日も僕は腕にお嬢さまのぬくもりを感じながら帰宅します。

「お前は…ずっと一緒にいるよな…どこもいかないよな?」
「僕は鬼城組の一員ですよ。お嬢さま。」
僕が頭をなでると猫のように気持ちよさそうにし、その後顔を赤くして子供扱いするなと怒られました。


308:名無し@ピンキー  ◆x/Dvsm4nBI
07/05/17 15:16:11 7Btrd6CD
以上です。よく考えたら二億円って多いよね。
と思いましてこんなお話に。

309:名無しさん@ピンキー
07/05/17 16:45:38 OH2wdgNa
ツンデレなのに依存!
主従なのに依存!
この先どうなるのかwktkですよ。GJです!

310:名無しさん@ピンキー
07/05/17 17:02:02 MHt9sJhN
ツンデレ+依存は最近好きな組み合わせだな。
このあとの展開が楽しみです。

311:名無し@ピンキー  ◆x/Dvsm4nBI
07/05/18 11:54:35 lvCpKlRC
最弱やくざとツンデレ娘。
続き投下します。

312:僕の仕事はやくざ屋さん  ◆x/Dvsm4nBI
07/05/18 11:55:32 lvCpKlRC
「…ごちそうさま。」
夕食を終えるとお嬢さまが自室に戻られます。

「なーんか、最近沙耶の元気がねえな。おめーなんかしたんじゃないだろうな。」
あれから数日が経ちました。親分の言うとおり最近お嬢さまの元気がありません。
今日もいつもなら5杯はご飯をお代わりするのにたったの2杯です。

「僕の従妹にあってからですね。そのとき口喧嘩で負け…いてっ!」
どこからともなくしゃもじが飛んできました。

「おめーにもちゃんと親戚はいたんだな。」
「ええ、偶然にもお嬢さまと同じ学校でした。再会してから毎日待ち構えてますね。」
毎朝、放課後、共に刃霧ちゃんはお嬢さまと口喧嘩を繰り返してます。
仲良くしてほしいのですが。
「悪いが元気付けてやってくれよ。あれが大人しいと調子がでねえ。」
そうですね。らしくありません。何を悩んでいるのか聞くことにします。

紅茶をいれ、お嬢さまのドアをノックします。
「お嬢さま、食後の紅茶をお持ちしました。」
「…いらない。」
む…困りました。
「お嬢さまの大好きな、僕の手焼きクッキーも用意しています。」
「…いらない。」
甘いものでもつれないとは…。相当悩んでらっしゃいますね。
「では、紅茶がご入用になるのをここでお待ちしています。」
ドアに背中を向けます。持久戦です。10分後、お嬢さまがドア越しに
声をかけてきました。


313:僕の仕事はやくざ屋さん  ◆x/Dvsm4nBI
07/05/18 11:56:36 lvCpKlRC
「刀…うちに来たこと後悔してる?」
「お嬢さま、心配なさってくれてるんですか。」
「ばっ!違うわよ!!こんな若いころからやくざになるってあんまりないから…
 一般論よ一般論!!誰があんたなんか!」
ドア越しでもお嬢さまの表情が想像できます。わかりやすい方です。

「ひょっとして刃霧ちゃんに何かいわれましたか?」
「そ、それは…。」
どうやらその辺りで気になることがあるようです。

「本当なら刀は、県内一の進学校に入学してエリートになるはずだったのを、
 滅茶苦茶にしたって。人生を変えたって…」
しゃくりあげる声が聞こえます。お嬢さまは誤解されているようです。

「お嬢さま…聞いていただけますか?」
「………」
「お嬢さまと出会ったあの日、僕は確かに悩んでました。自殺は考えてなかったんですが。」
あははと笑う僕。

「悩んでた内容は…決められたレールを走るか、新天地の誰も知らない場所に引っ越して
 自分を知る人がいないところでやり直すか…。現状維持か逃げるかで悩んでたんです。
今思うと情けない話です。」
僕は続けます。きっと真剣に聞いてくださってるはずですから。

「その二つの道しかないと思っていた僕をお嬢さまはかなり強引でしたが、第三の道を
 紹介してくれました。お嬢さまらしい道なき道を進むような荒っぽさでしたが…。」
「荒っぽくて悪かったな。どうせ女らしくない!」
「まあ、お陰で自分の力で生きようと思えたんです。その手段がたまたまやくざ屋さん
 でしたってことで…。欠片も向いてなかったのが面白いですね。」
「よかったのか?それで。本当なら学校いってもっと気楽に生きれたかもしれない。
 私なんかの面倒を見なくてもよかったんだぞ?私…迷惑だろ?」
気弱そうな声。元気ですけど人一倍お嬢さまは寂しがり屋です。


314:僕の仕事はやくざ屋さん  ◆x/Dvsm4nBI
07/05/18 11:58:11 lvCpKlRC
「後悔はしていません。ここでの生活は楽しいですしね。自分の意思で、自分の足で
 生きています。確かに滅茶苦茶に人生は変わりましたが、いい方向に変わったんだと
 思いますよ。ですから、お気になさらずに。僕はいつもの元気なお嬢さまが好きですよ。」
がちゃり…と、背中でドアが開く音が聞こえました。
納得してくださったようです。よかった。お嬢さまはぬいぐるみが好きで、部屋の中は
女の子らしい可愛いものとぬいぐるみで溢れています。入るとぶかぶかのパジャマを
きたお嬢さまが迎えてくれました。

「はいれ。紅茶が冷める。あ、明日からまたちゃんとこき使ってやる。」
「了解です。お嬢さま。」
顔を赤くしてそっぽを向くお嬢さま。どうやら元気は出たようです。

「あのその…か、刀。そのす、好きって、わ、私はそのわ、私っ…!!」
「うーん。お嬢さま見てると我侭な妹ってこんな感じなんだろうなーって思うんですよね。
 困るけどいいなーって…えええ、お嬢さまその握りこぶしはっ、ちょまって!!」
僕は何故か怒ったお嬢さまに、ぼこぼこにされました。

次の日の朝。

「刀!おかわりっ!!」
「はい。お嬢さま。まだまだありますからね。」
これでおかわり6杯目です。本調子に戻ったようです。

「刀!学校行くぞ。はやくはやく!」
今日もお嬢さまと腕を組んで学校に向かいます。天気のいい空を見ながら
いい一日であることを僕は祈りました。


315:名無し@ピンキー  ◆x/Dvsm4nBI
07/05/18 12:02:17 lvCpKlRC
今日はここまでです。
まったり連載します。

316:名無しさん@ピンキー
07/05/18 12:27:34 kMEeHKjG
可愛いじゃないかお嬢様

317:名無しさん@ピンキー
07/05/19 04:13:35 lFM1T/hc
ツンデレヤクザっ娘ktkr!!GJ!
それにしても嬉しい事に投下ペース早いな。
いい職人さんが過疎を救ってくれそうだ。

318:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
07/05/19 08:27:26 e35mWojK
<志穂理さん>

遅いです。
待ち合わせの時間に、五分遅刻です。
何度言ってもダメなのですね。
いい加減直さないと、社会で恥ずかしい思いをするのは啓太さんですよ。
……行きましょうか。
「どこへ?」ですって?
そこのラブホテルです。
お昼ごはん? ……お弁当を作ってきました。
映画? ……見たいものはありません。
カラオケ? ……ホテルにもあります。
散歩? ……ホテルの入り口まで手をつなぎましょう。
「いや、ちょっと……」って、何を恥ずかしがっているのですか。
せっかくの休日に何をしにきたと思っているのです。
私は啓太さんとセックスしに来たのですよ。
啓太さんも私とセックスしに来たのでしょう?
いつもだらだらと過ごして、ホテルに入る頃には疲れ切って、
セックスも五回くらいしかしなくて、お互い物足りない思いになるのは愚かなことです。
無駄なことは省きましょう。
……啓太さんと丸一日いっしょに過ごせるのは週に一回しかないのですから。

お風呂、上がりましたか。
ああ、もう。ぽたぽた水たらさないで。
ちゃんと拭いてから上がってきてください。
ほら、バスタオルです。髪を拭いてください。
だからいっしょに入りましょうって言ったじゃないですか。
啓太さん、頭洗うの下手です。身体洗うのも下手です。まったく。
……拭き終わったら、そこに座ってください。
今日は啓太さんにお説教があります。

319:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
07/05/19 08:28:07 e35mWojK
……啓太さん、浮気しましたね?
白を切っても無駄ですよ。
先週、会社の同僚の伊沢圭子とデートに行きましたね?
……行きましたね?
……行、き、ま、し、た、ね?
よろしい。
啓太さんはとても愚かですが、素直なところだけは良いです。好きです。大好きです。
写真だのビデオだのをいちいち突きつけて追求する時間が省けます。
伊沢圭子については色々調べました。
彼女がその今週に退職してからは啓太さんと接点がまったくなくなったのも確認しています。
ああ、彼女がなぜ辞めたかなどは私に聞かないで下さい。
私は伊沢圭子と直接会っていませんから。
調査と交渉を依頼したやくざ……いえ、探偵社の方が何をしたのかは知りません。
とにかく、伊沢圭子はもう啓太さんと一生関わることはありません。
そのことについては忘れなさい。いいですね?
彼女も、もともと啓太さんの事を好きというわけではありませんでしたし。
そうですよ。
勘違いしないで下さい。
伊沢圭子が啓太さんにアプローチしてきたのは、啓太さんが魅力的な男性だからではありません。
私の彼氏だから、ですよ。
<T大出で、大企業の後継ぎ娘で、雑誌にも<美人お嬢様>として載った女の彼氏>。
彼女が興味を持ったのは、その肩書きです。
啓太さん自身ではありません。
そのままの啓太さんを好きなのは、世の中で私くらいですよ。
その辺はちゃんと認識してもらわないと困ります。
……なんですか?
言っておきますが、啓太さんは、モテません。
金輪際、女の子に好意を持たれるような男の人ではありません。
先ほども言いましたが、私、道明寺志穂理(どうみょうじ・しほり)の彼氏という以外に、
啓太さんが女の子にとって魅力的な要素は何一つありません。

320:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
07/05/19 08:29:19 e35mWojK
だから、啓太さんが女の子からデートに誘われるとか、
いっしょに遊びに行くとか、あわよくばセックスをするとか、
そういうことを期待してはいけません。
啓太さんは、生まれてから死んでお墓に入るまで、そういうことには一切無縁です。
啓太さんがセックスをしたいのなら、プロの女の人にお金を払って、
そういう風俗のお店でしなければ、できません。
……本当に行ったらおち×ちんチョン切りますよ?
まあ、プロの女の人も、貧乏で冴えない啓太さんに、いいサービスしてくれることなどないです。
おざなり手抜きな行為で、いやいやお相手することでしょう。
お金を払ってそんな思いするなんて、とっても惨めですよ。
素人相手は金輪際無理。
プロ相手もよくない。
啓太さんは、女の子と楽しくセックスするのは無理な人なんです。
……でも、私は例外ですよ。
私は啓太さんとセックスしてあげます。
高校の頃からずっとそうだったでしょう?
こうやって啓太さんのおち×ちんを手でしごいて、お口でしゃぶって、胸で挟んで。
いつでも好きなときに啓太さんに私のおま×こを貸してあげてるじゃないですか。
啓太さんは変態さんですから、すぐに調子に乗って私のお尻でしたがったじゃないですか。
私が今までに一度だって拒んだことがありますか? ないでしょう?
啓太さんは、他の女の人にまったくモテない劣等人間なので、
私がその分セックスさせてあげるんです。なんでもさせてあげるんです。
まったく。
幼稚園でも小学校でも中学校でもまったくモテなかったのに、
高校でナンパデビューだ、とか勘違いして隣の席の私に声をかけたのが
そもそもの始まりでしたね。
おかげで、私は十年も啓太さんの性奴隷です。
毎日毎日啓太さんの粘っこい精子をかけられたり飲まされり、穴と言う穴に注がれて
十年経ってしまったのですよ。少しは反省してください。
反省したら、死ぬまでこれ、続けてください。

321:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
07/05/19 08:30:00 e35mWojK
ほら、もう啓太さんのおち×ちんビンビンじゃないですか。
私の手でシコシコされて、タマタマをもきゅもきゅ揉まれて、
すごく元気になっちゃったじゃないですか。
いまどき、中学生でもこんなにすぐに勃起しませんよ。
普通の日本人の男の人は、ストレスでセックスレスになるくらい元気がないんです。
啓太さんは脳天気だから、こんなにおち×ちんが元気なんです。
頭空っぽだから、タマタマに精子がたまっちゃうんです。
少しは反省してください。
お気楽フリーターなんかやめてください。
もっとちゃんと、真面目に将来を考えてください。
父と会ってください。婚姻届に判子押してください。婿養子に来てください。
啓太さんのこと、一生大事にしますからっ!!
あ……。
もう出そうなんですか?
啓太さん、相変わらず早漏です。
手コキだけでイくなんて、小学生以下です。恥ずかしいです。
おま×こに入れている余裕はなさそうですね。
最初の精子の濃い、元気な精液は子宮に貰うつもりでしたのに。
しかたないです。
お口でしてあげますから、出してください。
唇でしごいて、舌先で先っぽをなめ回して、イく瞬間に鈴口をちゅっと吸ってあげます。
だから、啓太さんは精子を思いっきり出していいのですよ。
ほら。
ほら、ほら。
ほら、ほら、ほら。
私のお口の中に、精子出してください。
啓太さん、私のお口でイって、濃ゆいのをいっぱい出したら、
ごほうびに啓太さんの精子、全部飲んであげます。
だから、思いっきり出してください。

322:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
07/05/19 08:30:40 e35mWojK
……本当に思いっきり出しましたね。
啓太さんは、遠慮と言うことを知らない人です。社交辞令を真に受けちゃう人です。
お口に出していいとは言いましたけど、こんなに出すなんて。
飲みきれなくて吐き出してしまうところではないですか。
……全部飲みましたけどね。
高校の頃から、毎日しているのですもの、失敗はしません。
でも、啓太さん、量多すぎです。
啓太さんは何のとりえもないですけど、精液だけはいっぱい出るから、私大変です。
私以外の女の人は、絶対に啓太さんの彼女や奥さんになれません。
それに精子、濃ゆいです。濃すぎです。
何で毎回こんなに濃いのが出るのですか?
毎日のフェラチオとセックスを一回ずつ増やさないと駄目ですね。
なんですか。
またおち×ちん、大きくして。
今出したばかりなのに、啓太さん、いやらしいです。獣です。
こんないやらしい獣、放っておいたら警察に捕まっちゃいます。
だから、私が全部絞ってあげます。
「次はおま×こでしたい」だなんて破廉恥なこと言わないで下さい。
いくら彼女だからって、嫁入り前の女の子にそんなことしようだなんて、犯罪です。
でも私以外に、啓太さんにセックスさせてあげる女の子はいないので、
私のおま×こを使わせてあげます。感謝してください。
……私だって感謝してるんですから。
啓太さん、産まれてずーっと友達もいなかった、地味な女の子に告白してくれたんですもの。
啓太さん、キスとか、デートとか、セックスとか、ずっと憧れてたもの、全部くれたんですもの。
いいです。何も言わないで下さい。
でも、心の中で、少し感謝してください。
大人になっても、お化粧覚えて綺麗になっても、私、啓太さんと毎日セックスしてあげてるんですもの。
だから、感謝して、はやく私のお婿さんになってください。

323:ゲーパロ専用 ◆0q9CaywhJ6
07/05/19 08:31:21 e35mWojK
……いいですか、入れますよ。
ほらっ……ふあっ……んっ!!
だめです!
大きすぎます!
啓太さんのおち×ちん、大きすぎます!
ひっ、だめ、腰を掴んで引き寄せないで!
わた……わたしっ……!
ふあっ、それ、だめっ! だめです!
耳たぶ噛んじゃだめぇ!! 首筋なめちゃだめぇ!!
ち、くび……つままないでぇ……。
しぬ、死んじゃう……いっ……あひいいっ!
あ、なか……中に……。
子宮が、子宮があ……。
あう……あう……。
そ、そこはお尻の……だめぇ。そっちまでされたら、私、わたし……。
いっ……ひっ……。
ふああっっ……!!


……啓太さん。
シャワーあびたら、もっとちゃんと頭を拭いてください。
水滴がぽたぽた落ちてます。
もうっ! タオルこっちにください。
私が拭いてあげます。
まったく、世話が焼ける人です。
はい。
お弁当です。
お腹減ったでしょう? いっぱい食べてください。
啓太さんの好きな物、色々入れてきました。
よく噛んで食べるのですよ。
食べ終わったら、よく歯を磨いてください。
食後三分以内に、最低三分以上かけて磨いてくださいね。
歯磨きが終わったら、……また、セックスしてください……。

                                      fin



324:名無しさん@ピンキー
07/05/19 15:06:17 hZloRSie
なんというヒモ生活……
女の一人称だけでハァハァしてしまった
このSSは間違いなくGJ

ところでこの男会社員? フリーター?

325:名無し@ピンキー
07/05/19 16:15:44 o8sV2YqM
地雷女GJ!
これはいい…

地味で免疫のない人には気をつけよう

326:名無しさん@ピンキー
07/05/19 19:34:46 zck1vR3G
>>323
GJ
ゲーパロさんのSSはどれもこれもツボだわ

327:名無しさん@ピンキー
07/05/20 00:35:47 KWUUFZrk
GJ!

これはもしかして、以前の依存妻の娘ですか?
だとしたらあの母にしてこの娘あり。
げに恐ろしい。

328:名無し@ピンキー  ◆x/Dvsm4nBI
07/05/20 09:43:17 5tUCpEAv
そして続き投下。
軽依存。他の方の重依存作品にwktkしつつ
投稿します。

329:名無し@ピンキー  ◆x/Dvsm4nBI
07/05/20 09:43:58 5tUCpEAv
数日が経ちました。今、僕のおかれてる立場を一言で表すなら、
針のむしろ…というのがしっくりきます。

「…お兄様の馬鹿っ!」
「刀の馬鹿………(ぷいっ)」
「いい加減機嫌直してくださいよ~。謝ってるじゃないですか。」

帰りの車内で二人から責められる僕。
事の発端は二日前、刃霧ちゃんが叔父さんに一度挨拶に来てほしいという
言葉から始まりました。例によってお嬢さまは物凄くごねたのですが、
僕自身、一度はいかないといけないと感じていたので、親分に許可を貰って
泊りがけで挨拶にいくことにしました。

「あんた一人じゃ心配だから私も行ってあげるっ!」

と、何故かお嬢さまも付いてきてしまいました。
刃霧ちゃんの実家、見城家の本家は鬼城の家が四つほど入りそうな、まさにお屋敷という
建物です。グループ企業を持つ大金持ちで普通に生きている分には雲の上。僕も
血縁がなければこんな場所に出入りすることはなかったでしょう。

で、数年ぶりに叔父さんと会ったのですが…自分がどう生きてきたか、
ヤクザ時代の苦労話、今どういう風にお金を稼いでいるかなど話している間に
意気投合してしまい、お嬢さま方をそっちのけで夜遅くまで話し込んでしまったのです。

「でも、よかったです。お兄様。お父様と気がお会いになったようで…。」
「色々参考になりましたよ。やはり、実際に重責をこなしている人の会話は
 ためになります。鬼城の家の財産運用の効率も上がりそうです。」
「ぷ~、また刀難しい話して~!」
「…い、痛いですお嬢さま。髪ひっぱらないでっ!」
刃霧ちゃんは、そんな僕たちを見て怪訝そうな顔で質問して来ました。

「お兄様…沙耶さんの家はお兄様しか働いていないのですよね?」
「ええ。僕だけです。」
「料理は誰がなさってるんです?」
「僕です。和洋中全部作れますよ。」
「掃除は?」
「僕です。コツがあるんですよね。掃除って。」
「…洗濯とか買い物とか裁縫とか…」
「僕ですね。特売めぐりも得意ですし、手洗いもできますよ。」
「それで、お金も稼いでいられると…。」
「はい。財産を運用してお金を稼いでます。やりがいがありますね。」
「お兄様失礼ですがお給料はいかほど頂いているのですか?」
「月10万貰ってます。若者には破格ですよね~。本がたくさん買えます。」
おおっ。なんだか刃霧ちゃんから怒りのオーラが立ち込めてます。


330:名無し@ピンキー  ◆x/Dvsm4nBI
07/05/20 09:46:26 5tUCpEAv
「お兄様…やはり、私の家に来ましょう。仕事でしたらきっといくらでもあります。」
「ちょ、ちょっと!人の使用人勝手に連れて行こうとしないでくれる?」
お嬢さまと刃霧ちゃんが再びにらみ合います。

「お兄様がなさっている仕事は正当に評価されてません。血縁として、
 見過ごすわけにはいきません。私でしたら最低その10倍は出します。」
「そんなの人の勝手でしょっ!それに決めるのは刀よ。」
「でしたら…お兄様が自分で決めてくださればいいのですね。」
お嬢さまは僕を不安そうな顔で見つめてます。

「そ、そうよ。刀の自由よ。私は刀を束縛したことなんてないんだから!」
「わかりました。それで決めていただきましょう。」
あの…僕をおいていかないでください。

さらに、数日後の夜…僕は親分に呼び出されました。
「おい、飲め。」
「僕は未成年なんですが…。あ、どうもありがとうございます。」
日本酒をお互いに注ぎあいます。

「今日これが着たんだ。おめー宛に。」
「えー何々。ああ、叔父さんからですね。本家の跡取りとして、婿養子に…
 って!!えええええっ。」
「落ち着け。でだ、正式に跡継ぎにする前に自分のところで仕事を教えたいから
 金渡すからそちらで解雇してくれといってきやがった。」
ぐっと酒を飲み干す親分。僕は少し頭が麻痺してます。

「まあ丁度いい頃合かもしれん。この結婚云々はともかく、お前さんは
 そろそろ自由になっていいと思うんだ。ヤクザとしてははっきりいって
 おめーは使いもんにならんが、堅気の仕事なら有能といっていいくらい
 できるだろう。いつまでも俺たちがお前さんを縛るのはいかん。」
「縛るなんて…。僕は自分の意思でここにいるんですよ。」
「それでもだ。二年前、お前のお陰で俺は殺されずにすみ、借金で沙耶を風呂に
 沈めずにすんだ。それだけでも、命を懸けて返さないといけない恩義があるのに
 若い青春のときを俺たちの世話だけで終わらせちまった。いつまでもお前に
 甘えてるわけにもいかねえ。恩がいつまでも返せねえ。」
「親分は親と思え、兄貴分は兄弟と思え…。教えてくれた人はもうここには
 いませんが…。親を助けるのに理由なんてないし、まして恩を着せようなんて
 考えたこともないですよ。お嬢さまもそういう意味では妹みたいなもんです。」
僕は真実そう思ってます。だから、こうして働いているのです。

「今にして思うと俺の人を見る目は節穴で、沙耶の人の見る目が正しかった。
 情けない話だがな。…お前がここに残る未練を残さないよう、あいつは嫁に
 やることにした。俺はここに残るが…鬼城組は終わりだ。」


331:名無し@ピンキー  ◆x/Dvsm4nBI
07/05/20 09:48:43 5tUCpEAv
「え…お嬢さまを…嫁に…?」
頭に強い衝撃が走りました。

「俺の昔の部下が始めた組だ。今伸びている。うちからも人が流れたはずだ。」
「絶対いやっ!!!!」
ガンっと大きな音を立てて入ってきたのはお嬢さまでした。

「沙耶お前も聞き分けろ。いくらこいつの意思っていっても友人も恋人も
作れなかったのは俺たちのせいだ。笑って送ってやるのが一番こいつのためだ。」
「刀は私のよ!刀がいない生活なんて考えられないし、刀がいないと生きていけないっ!
 知らない人の嫁にいくなんてまっぴらごめん!」
「あ、お嬢さん!」
親分はお嬢さんの頬を叩きました。娘に甘い方で今まで怒ったことなんて
一度もなかったのに…。しかし、それでもお嬢さまは親分を睨みつけてます。

「今のお前にゃ刀は勿体無い。釣り合わない。諦めろ。人に頼ってばかりのお前じゃ
 刀の負担になるだけだ。」
「そんなこと、知らないわよ!私は絶対いや!」
そこまでいうとお嬢さまは走って部屋を出て行きました。

「親分…僕のために…ありがとうございます。今はお嬢さまを追いかけてきます。」
「すまん…頼む。」

僕はお嬢さまのいる場所はわかっていました。
僕たちが出会った近くの公園…。いました。う…お嬢さまが三人に絡まれてます。
サングラスをかけ、ドス(刃は削ってます)を取り出します。
そして、なるべく低い声で、

「…組長のお嬢さまを絡むとは…いい度胸してるな。」

脅すと逃げていきました。お嬢さまが抱きついてきたので大丈夫と
背中を軽く何度か叩きます。襲われなくてよかったです。
僕は喧嘩は弱いのです。

332:僕の仕事はやくざ屋さん  ◆x/Dvsm4nBI
07/05/20 09:50:23 5tUCpEAv
「あはは、腰が抜けました…お嬢さま、大丈夫ですか?」
「馬鹿!おそい!」
「遅くなって申し訳ありません。」
「いや…いつでも遅くても絶対刀は私を助けてくれてる。ありがと。」
お嬢さまが落ち着くのを待って、聞きます。夜の公園は人影もなく、
街灯だけが僕たちを照らしています。

「…いつから…お聞きでした?」
「全部。父さんが真剣な顔してたから気になって。」
お嬢さまは困ったように微笑んでいます。

「刃霧は刀を好いてるわ。それに実家は裕福で彼女も彼女の父も貴方を認めてる。」
「でも僕は彼女に恋愛感情を持っていません。」
そう…妹以上の感情をまだ持っていないのです。

「でも、刃霧は刀に好かれるように頑張ると思う。多分、刀のためって
 考えるならお父さんは正しい。だけど…」
お嬢さまは僕の胸に頭をつけて、魂から搾り出すような声で言いました。

「父さんの言ってることもわかるっ!だけど…だけど!私は刀がいないと…
 母さんみたいに、みんなみたいに、いなくなっちゃったら生きていけないよ!」
「お嬢さま…」
「勝手だよね。いつも迷惑ばかりかけて、愚痴聞かせて、すぐ怒って…
 嫌われるようなことばかりしてるのに、一方的に頼って…でも、一緒にいたいの。
 他の女と仲良くしてる刀なんて想像するだけで泣きたくなるの…。」
お嬢さまが僕の胸で泣いてます。いつも強気なお嬢さまの弱い一面。

「刀…私結婚なんていやだよお…助けてよぉ…刀と一緒にいたいよぉ…」
「お嬢さま…僕はお嬢さまの前向きな性格にいつも助けられてます。
 それに…成長はこれからしていけばいいじゃないですか。今はいつものように
 僕に命令してくださればいいのですよ。」
「…お願い。この婚約…破談にして。」
「了解です。お嬢さま。僕は貴女を必ずお守りします。」
お嬢さまの顔を見つめます。泣きはらしていますが街灯の淡い灯りに照らされたそのお顔は非常に
端正な顔をしています。そして、生命力に溢れてます。顔を赤くして見上げてくる
彼女を見ていると護らなければならないという使命感が沸いてきます。
お嬢さまはまだ震えていたので、安心させるために抱きしめておでこにキスしました。

「契約完了です。」
「馬鹿、刀…契約ならこっちっ……んっ!」
お嬢さまはそういって僕の顔を両手で掴むと僕の唇を奪いました。


333:名無し@ピンキー  ◆x/Dvsm4nBI
07/05/20 09:53:53 5tUCpEAv
今日はここまでです。
なんとか完投できそうな目処が。

334:名無しさん@ピンキー
07/05/20 10:17:44 7Ax1zG+t
>>333
GJ!!

335:名無しさん@ピンキー
07/05/20 11:10:46 SjPLFf8e
GJです!お嬢様の逆襲にwktk

336:名無しさん@ピンキー
07/05/21 03:15:49 h7azsM9c
>>333これは最高!GJ!俺のツボにストレートに来た!

一時期は恐ろしい程に過疎ってたけど・・・・本当にいい職人達が来てくれた。
ありがとう!

337:名無し@ピンキー  ◆x/Dvsm4nBI
07/05/21 15:33:26 iWGEN4E/
様々な葛藤の末、最終回です。
軽依存ツンデレ娘と最弱やくざ。

338:僕の仕事はやくざ屋さん  ◆x/Dvsm4nBI
07/05/21 15:35:27 iWGEN4E/
次の日、僕は鬼城の親分と袂を分かったお嬢さまの婚約相手、風谷組の組長の
ところに来ていました。知り合いも多いため、舐められないように対策を立て、
乗り込みます。

「鬼城組の者だ。風谷組長に面通しをお願いしたい。婚約の件だ。」
しかし…怖いですね。ですが、引くわけにもいきません。
組長は、老境に入ったばかりの鋭い眼光の人でした。うちの親分が
岩のようなどっしりした人とすればこの人は刀といったところでしょうか。
背後には何人か護衛が控えています。そのうち一人は20台前半。
立ち位置と服装からして息子…婚約相手でしょう。風格のある人です。

「何か用かな?婚約の件は大体まとまっているはずだが…。」
組長がいいます。僕はつばを飲み込み、いいました。

「婚約を破棄していただきたい。」
周りがざわめきます。当然でしょう。こちらから頼んだことなのですから。
何人かが怒りで僕を抑えようと動きます。

「てめえ、下っ端の癖に何言ってやがる!」
「動くな!僕の体にはここにいる全員を吹き飛ばせる火薬を巻いてある。死ぬぞ!」

準備その一です。あんま使いたいとは思いませんが。上着を脱いでそれを見せます。
続いて、先に考えておいた台詞を言い放ちます。これで動けないでしょう。
「俺は確かにそうだった。だけど、鬼城組を全員見限った中で俺だけは残った。
 借金を完済し、財産を作って親分を命を懸けて守り、義理を貫いているんだ。
 義理も知らない三下は引っ込んでいてもらおう。」

そして、相手に向き合い、僕の財産から用意したものを渡します。
天国以下略、お金は人助けで使いきりました。
「申し訳ありません。失礼しました。ですが、交渉に来たのです。
 できれば、脅しなどは使いたくありません。まず違約金として二千万の
 用意があります。」
「ふむ…。だが、俺たちの間で約束を違えるってのは金の問題じゃない。
 けじめの問題だ。どうけじめつけるんだ?」

婚約相手の男がいいます。知性を感じさせる鋭い眼光…相当な方のようです。
僕は最後の手段として用意したものを出しました。


339:僕の仕事はやくざ屋さん  ◆x/Dvsm4nBI
07/05/21 15:36:27 iWGEN4E/
大きな白い手ぬぐいと鉈です。使わずにすめばよかったのですが…。
「俺がけじめを…責任を取らせていただきます。」

白い布をデスクに引き右手で鉈を持ち上げ…
左小指に向かって躊躇なく振り落としました。想像以上の激痛が左小指に
走り、左小指の先が転がります。勝負どころなので僕は痛みを感じていないよう
振舞います。叫びたいほど激痛が走っているのですが…
「まだ、足らないなら次に行きますが。」
「はっはっは、いい度胸だ。わかった。お前のけじめ見届けた。認めよう。」

組長さんが笑って認めてくれました。婚約者の方も笑って頷いてます。
「誰か応急処置してやれ。婚約の約定書もそいつに渡してやれ。
しかし、どうしてそこまでする?。」

婚約者の男が僕に聞きました。僕は痛みを堪え、笑っていいました。
「惚れた女も守れないような人は男じゃありませんので。」

帰宅後予想通りというかなんというかお嬢さまに怒られました。
お嬢さまの部屋でずっと説教されています。
「馬鹿!馬鹿馬鹿あほ!馬鹿!馬鹿!刀!何馬鹿なことしてるの!」
「お嬢さま、馬鹿言わないでくださいよー。」
「馬鹿を馬鹿といって何が悪いのよ!」
「ちゃんと仕事したじゃないですかー。」
「馬鹿!一生残るような怪我までして…がぶっ!!!」
「ぎゃー、痛いイタイいたいっ!!!噛まないで!!」
左小指に噛みつかれるのは洒落になりません。

「馬鹿…もう二度とこんなことしないでよ…。刀が怪我したって私は嬉しく
 ないんだからね…。もう…。」
「ええ、ですから…僕が二度とこんなことをしないようにお嬢さまが僕を
 見張ってくださいますか?」
「なっ!!か、刀!!それって…その…。」
僕は笑顔でいいました。
「お嬢さま。僕はお嬢さまが好きです。これからは貴女が僕を頼るように僕も貴方を頼ります。
 親分さんの課題についてはこれから二人で一緒に考えましょう。ずっと一緒です。
一生僕に甘えてくださって構いません。お嫌ですか?」

「それはその…私も…私も刀が…ああもう!むむむ…返事はこうだ!!」
そういうとお嬢さまは僕を押し倒すと、キスをしました。
本当に素直で可愛くて…いとおしい人です。


340:僕の仕事はやくざ屋さん  ◆x/Dvsm4nBI
07/05/21 15:37:25 iWGEN4E/
エピローグ

「親分、お嬢さんを私に下さい。」
お嬢さまの気持ちを確認した後、親分のところへお願いに行きました。
勝手に破談にし、小指を落としたことで一発殴られましたが、

「お前さんがそれでいいならくれてやる。早く孫の顔見せろよ。」
と、快く認めてくれました。
後日、叔父さんにも断りの連絡を入れました。感謝はしていますが、
自分の人生は自分で切り開いていくのです。

「お、お嬢さま!包丁の持ち方はこうです。そうじゃありませんっ!」
「ええいっ!難しいわね。鈍らだわ…切れない。」
「こうです。一緒にやりますよ。」
「えへへ~。うん!」

それからというものお嬢さまも家事を手伝うようになりました。
出来ることからゆっくり学んでいくそうです。壮絶にお嬢さまは
不器用ですから、覚えるには非常に時間がかかりそうです。
こういうとき背中から羽織るように手伝うとお嬢さまはとても嬉しそうな
顔をしてくれるので僕も幸せな気分になります。

「お兄様はいつか必ず取り返して見せますからね!!」
「べ~!刀はずっと私と一緒なんだから!!」

刃霧ちゃんとお嬢さまの関係は相変わらずです。喧嘩するほど
仲がいいといいますが気が合うのでしょう。
こんな平和な日々がずっと続くことを祈りつつ、よく晴れた青空を見上げました。


─────────天国のお父さんお母さん。僕は今幸せです。


341:名無し@ピンキー  ◆x/Dvsm4nBI
07/05/21 15:39:01 iWGEN4E/
というわけで終了です。
応援してくださった方々、ありがとうございました。

次書く機会があったらねっとりしたのに
挑戦してみたいと思います。

342:名無しさん@ピンキー
07/05/21 17:39:15 AFlLrov6
>>341
GJ。
ネタがタイムリーだ・・・
たしか綺麗に切断されてれば病院で縫合できるらしいな。

343:名無しさん@ピンキー
07/05/21 20:00:49 NxmpRDIA
うほーーーーGJ!!!
お嬢様かわいいよお嬢様

やっぱりヤクザのケジメは小指なのねw

344:名無しさん@ピンキー
07/05/21 22:54:40 OTdGgY8s
>>318
ママは依存妻とは関係ありませんよね?
作中の「女子大生」かと思いましたが、違うようですし・・・

345:名無しさん@ピンキー
07/05/22 10:28:59 Ap5K86Y1
>>327>>344
むしろ関連があるのは嫉妬修羅場スレの嫉妬妻・道明寺静子のほうだと思う。
苗字が一緒だし。

346:名無しさん@ピンキー
07/05/23 02:50:01 s4mkYxbN
>>341最強の神GJ!
暖かい気持ちになったよ。age

347:依存型ハーレム
07/05/24 06:49:36 LBhAuQu0
僕は八戸 月(やど らいと)少し名前が変わっている割と普通の男だった。
だけど何の因果か18で信仰宗教の『教祖』いや『新世紀の神』になってしまった。

18の誕生日ささやかに(親の)知り合い等が船上パーティーを開いてくれていると
蝗の群れのような女の子達に浚われ
彼女達に王子様、あるじさま、主と持ち上げられました

こんなことになった原因は僕が『モテモテ』だったかららしいです、
昔からユニークな娘に好かれて『女の子同士のころ…喧嘩が激しいので』【←打ち消し線】……
転校が多いので全国規模でかなりな人数になってたらしい

でみんな運命の人を捜すうちに出会いあってハナシあいの結果こうなったらしい

巫女頭の狩須(かりす)・M・ドミナが
「王子さまをもう哀しませたくないから仲良く」

生贄頭の真空(マゾら)レイ
「皆、あるじさまのモノに」
メンバー筆頭、海部(アマ)さんご
「喧嘩(コロ)しあわないから捨てないで」

と全裸で迫ってきまして、みんなの躊躇い傷と捨てられそうな子犬のごとき瞳に勝てませんでした

348:教団の朝 依存型ハーレム
07/05/24 07:25:53 LBhAuQu0
朝は何時も温かだ、僕が眠っている間に教団の大温泉(掛け流し)に入れてくれる

朝のご奉仕らしいけれど僕は聴いてしまったのだ、
彼女達は朝飲泉のしてると、その、僕の出汁がでたもので

朝のお風呂では彼女達が体で体を洗ってくれる
躯の隅々まで彼女達が恍惚としながら舐め清めるのだ。

それが済むと朝食、毎朝オートミールだとミルクだ。
口移しの
朝食は時間がかかる一口毎に人が変わるのだ、口移しの恍惚感でトぶらしい。
らしいと言うのは、崩れるたびにすぐ次の人と交代するからだ。


349:名無しさん@ピンキー
07/05/24 10:50:07 Xc9zXJGj
>>347->>348
設定は面白いと思いますが…

書き込む前に自分で推敲するのと
(脱字が気になりました)
あと文の末尾は「です・ます」調かそうでないか
どちらかに統一するとわかりやすいですよ

頑張ってください

350:名無しさん@ピンキー
07/05/24 19:56:12 LBhAuQu0
了解した、ただ続きは遠いのでネタのパクリ元をご紹介する
当板のハーレムスレ
『アカ・ソ・ノモノ』氏の『巫女妹信者暴力姉引きこもり居候借金お嬢様メイド』
リンク集兼保管庫は以下に
URLリンク(marie.saiin.net)

ラブラブなハーレムは独占欲を依存度や(嫌われる)恐怖が上回るから産まれる、そう思えた

351:名無し@ピンキー  ◆x/Dvsm4nBI
07/05/24 20:45:49 SSXp0WuQ
折角だから俺はこのスレを選ぶぜ!

というわけで、投下場所を悩みつつもこちらへ。

352:凶犬と少女たち  ◆x/Dvsm4nBI
07/05/24 20:49:40 SSXp0WuQ
高校入学───初日、俺、犬塚八代(いぬつかやしろ)は停学一週間食らった。

入学式当日、地味な眼鏡のおさげ髪の女が四人の男に絡まれているのを
見た俺は助けることにした。

何も女を助けたかったとかそんなのじゃない。
ただ、女一人に四人で絡むような男が気に食わなかっただけだ。
また着たら俺に言えというと女─新庄菖蒲は礼と次は自力で解決すると
いって去っていった。強気なやつだ。

別に恩に着せたいわけでもなかったので俺はただの日常の1ページと
考えていた。代償が喧嘩両成敗の停学ってのは痛かったが。


「よう、ハチ!今日からお前も登校か。」
バンと背中を叩いてきたのは中学時代からの親友、犬飼一志だ。
180cmを越える背の高さに甘いルックス。平均の身長と堅苦しい
と言われる俺と何故友人でいられるか自分でも不思議である。
ちなみに俺をハチと呼ぶのはこいつだけだ。

「ああ、えらい目にあったな。初日から全く。」
「だな。四人ぼこぼこにして一人腕へし折ればそりゃ停学にもなる。」
中学時代、俺のあだ名は狂犬だった。売られれば買い、手加減を知らないのが理由だ。
一志のあだ名は猛犬。喧嘩大好きで獰猛なのだ。だが、そこに暗さは無い。

こいつは社交的だが俺は内向的。だが、何故か気があった。
暇なときはいつもつるんでいたし、困ったときは助け合った。

反対な部分は他にもある。一志は女好きで二股三股当たり前といった感じなのに
対し、俺は中学時代は全く他人との関わりに興味が無かった。
恋なんて勿論しなかった。


353:凶犬と少女たち  ◆x/Dvsm4nBI
07/05/24 20:51:06 SSXp0WuQ
学校に着いた。入学式ではクラスに入る前に問題を起こしたため、
席がわからない。座席表を確認し、席に座る。
回り目の目は案の定、腫れ物を見るような目だ。
いつもどおり気にすることは無い。ふと隣を見た。

そこには、物憂げな顔をして一人座る、美しい少女がいた。
長い綺麗な黒髪、平均より少し高い身長。均整の取れたプロポーション。
少し影があって、おどおどした暗そうな雰囲気を覗けば完璧だと思えた。
良家のお嬢さまといったところか。
朝の喧騒の中、静かに一人座っているそんな彼女に声をかけた。
理由はわからない。そうしないといけない気がした。
笑顔は作れなかったが。

「おはよう。」
「…っ…おはようございます…。」
怖がらせただろうか。なんか驚いている。
まあ、初日から停学くらうような相手なら無理も無いか。

「俺は今日からこのクラスに通う、犬塚八代。君は?」
「はい…神城佐久耶(かみしろさくや)申します。」
「よろしく。」
「こ、こちらこそ…その…よろしくお願いします。」

人に対し無関心なはずの自分がなぜか声をかけてしまった。
理由がよく判らないままに時が過ぎ、昼になった。
彼女は誰とも話そうとしなかった。誰も話しかけようとしなかった。

「隣いいか?」
「あ…どうぞ…。」
彼女の前に座り黙々と食事する。

「なぜ一人で食べるんだ。一週間もあれば友達くらいいるだろう?」
「えと…その…いないから…友達…。」
話を聞くと、男は怖くて女からは何故か避けられるという。


354:凶犬と少女たち  ◆x/Dvsm4nBI
07/05/24 20:51:54 SSXp0WuQ
「俺は怖いか?」
「うん…少し…ごめんなさい。」
「いい。怖がられるのに慣れてるから。」
周りの視線は俺たちに向かっている。興味深そうに、嫉妬交じりに、
嫌悪感をこめた目で。

「犬塚君…私といると貴方も…。」
「俺は元々だ。余計な気は必要ない。君は…皆と仲良くしたいのか?」
「うん、できれば…。」
「そうか。」
会話はそこまでだった。
俺はなんとかしてやりたいと思った。

放課後、帰ろうとした俺に神城は申し訳なさそうに声をかけてきた。

「あの…犬塚君、ごめんなさい。」
「なんだ?」
「実は犬塚君が休み中に学級委員に決まってしまったの…。
 今日は放課後、学級委員の集まりがあって…。」
どうもいつの間にやら面倒な仕事が割り振られていたらしい。

「別に神城のせいじゃないだろ。どこでやってるのか教えてくれ。」
「え…うん。女子は私なの…。案内するね。」
「ああ、ありがとう。」
大方、女子に推薦されて嫌がらせに初日から停学の厄介そうな俺が
選ばれたんだろう。

「犬塚君っていい人だね。もっと怖い人かと思ってた。」
「いい人か。初めて聞いたな、そんな評価は。」
俺は今日一日で彼女が笑ったのを始めてみた。
穏やかな…すみれの花のような落ち着いた笑顔だった。

学級委員の集まっている場所に行くと見覚えのある女がいた。
地味なめがねのおさげの女。あまり気にせず、決められた席に座る。
「こんにちは、犬塚君…だよね?」
「ああ。」
「学級委員だったんだ。これからよろしく。」
「よろしく。」

ぶっきらぼうに答える。会話する興味は沸かなかった。


355:凶犬と少女たち  ◆x/Dvsm4nBI
07/05/24 20:52:58 SSXp0WuQ
退屈な予定調和の会議が終わり、帰宅の準備をする。
「神城。駅まで一緒に帰るか。」
「え、あ、はい。お願いします。」

そこでふと、昼の出来事を思い出した。
「新庄。お前も一緒に駅まで帰らないか?」
「え、二人じゃなくていいの?」
「そんな関係じゃない。」

そうして駅まで三人で歩いた。
話しかけるのはもっぱら新庄だった。地味な外見とは裏腹に、会話が巧みで
明るくて人を退屈させない。面倒見もいいらしく、学級委員には自分で立候補したと聞いた。
一方、神城は人見知りしているのか相槌を打つだけだった。
計算違いだ。女同士、上手くすれば会話も弾むかと思ったのだが。
駅に着くと、俺と新庄が同じ路線。神城は反対の路線と分かれた。

「犬塚君、神城さんと仲いいの?」
「席が隣だった。後はなんとなく協力してやろうと思った。」
「協力?」
「友達がいないらしい。性格は特に悪くは無いと思うが。」
「なんとなく判るなあ。」
「それで、新庄にあいつと仲良くなってもらおうと思った。」
「ふーん。判った…いいよ。借りもあるし。」
「ありがとう。強引に借りを取り立てるみたいで悪いな。」
新庄は引き受けてくれた。いい奴だ。俺自身はどうすればいいのか。


翌日の昼、新庄は違うクラスの俺たちのところに昼を食べに来てくれた。
周りの視線は相変わらずだが、気にはしなかった。

「わー。神城さんの弁当おいしそうだねー。これ交換しない?」
「はい。どうぞ…私のでよければ。」
「弁当は自分で作ってるのか?」
「いえ…作ってもらってます。犬塚君は?」
「八代でいい。友人は皆…いや、一人を除いてそう呼んでる。俺は自作だ。」
「ええ!八代君意外だねー。神城さんもそう思うよね?」
「はい…。あっ…ごめんなさい。」
「一人暮らしだから仕方がない。」
「今度ご飯作りにいってあげるよ。」
「いらん。」
こんな感じで始まった、俺たちの友達関係は暫く続いた。
そして破綻した。俺のせいで。

356:凶犬と少女たち  ◆x/Dvsm4nBI
07/05/24 20:56:19 SSXp0WuQ
俺は少しずつでも、神城をクラスに馴染ませてやりたかった。
だが、俺は親友である一志のように明るい性格ではなかった。
今のままでは難しいと考えた俺は無理に明るく振舞うようにした。

男女問わず話をするようにし、誠実に物事に応対した。
初めは印象が最悪だったが、新庄が停学の事情を広めてくれたらしく
皆、俺を受け入れてくれた。社交的な一志にも相談して力になってもらったりした。
そして、俺を通じて神城をゆっくりとクラスに馴染ませた。

神城のノートを見せてもらうと、勉強は出来そうだったので会話を合わせるために
必死で遅れを取り戻し、さらに全て理解できるように勉強した。

趣味が読書と聞くとお勧めの本を全て図書館で借りて読み、自分なりに要点を
まとめるなどして、会話できるようにした。

二ヶ月経つと、クラスの印象は変った。
神城の笑顔も良く見るようになり、クラスに溶け込み始め、
会話は殆ど俺とだったが、何人かとは話せるようになった。

新庄も神城の悩みを聞いたり、相談したりできる仲になった。
俺はいつの間にか神城のことが本気で好きになり─告白した。そして振られた。
彼女には好きな人がいたのだ。そしてその相手はよりにもよって、
───親友の犬飼一志だった。


357:名無し@ピンキー  ◆x/Dvsm4nBI
07/05/24 20:58:48 SSXp0WuQ
ここまで。
またよろしくお願いします。
前作よりは依存強めに。

358:名無しさん@ピンキー
07/05/25 00:08:49 LptZEWUB
むう、誰が誰に依存するのか・・・
続きを読まなければ分からない。

359:名無しさん@ピンキー
07/05/25 03:47:06 x1ThHaHH
これはっ・・・・やばい続きが気になりすぎる!GJ!

360:名無し@ピンキー  ◆x/Dvsm4nBI
07/05/25 09:46:55 it4e0Rnf
NTRとかはないけど
人によっては不快になるかも。

というわけで依存部分まで投下。

361:凶犬と少女たち  ◆x/Dvsm4nBI
07/05/25 09:48:49 it4e0Rnf
情けないことに俺は二日ほど抜け殻のように日を過ごした。
目的は無くなり、惰性で習慣となった勉強や新しい友人との会話はしていたが
心配されたくらいだから相当酷かったのだろう。
俺は神城とは距離を置き、昼食は屋上で一人、取るようになっていた。
だが、今日は来客があった。見慣れた地味な眼鏡とおさげ、でも明るい友人。

「いたいた、八代君。ここんとこ変だから心配したよ。佐久耶も教えてくれないし。」
「神城に告白して振られた。しつこく付き纏うのは趣味じゃない。」
「そか…。」
深くは追求しない。そんな気配りのできるこいつはありがたい奴だ。

「元の自分に戻るだけだ。気遣うこともない。お前も俺と一緒にいる必要は無い。」
「さびしいこというね。」
「一人は楽だ。」
「そうかな。私も邪魔?」
「いや、俺は友人と思ってる。いい奴だし世話になってるしな。」
そういうと新庄は隣に座った。

「別にいい奴じゃないよ。私、佐久耶にずっと嫉妬してた。」
「そうか。」
「うん。八代君に世話焼いてもらえて、暗くなりそうだった高校生活も
 明るくしてもらって…。独占してた。私と再会したとき覚えてる?」
「学級委員会のときか。忘れた。」
「だろうね。私、八代君が同じ委員だって知ってすごく嬉しくて。
 だけど話しかけてもそっけなくて泣きそうだったよ。」
「すまない。」
「しかも、一緒に帰ろうって喜ばしておいて言うことは佐久耶のことだし。」
「全く最低だな。」
新庄は一度言葉を止めた。
そしてこちらを向いて笑顔で続けた。

「私はね…助けてもらったときからずっと八代君が好きだった。今はもっと好き。」
「ごめんな、気づかなくて。だけど今は答えられない。時間をくれ。」
「勇気使い切っちゃった。次は振るにしろ受けてくれるにしろ、そちらからね。
 ああ、後私は名前で呼んでるからそっちも菖蒲って呼んで。」
溜め込んだ想いを全部言い終えた彼女は晴々としていた。


362:凶犬と少女たち  ◆x/Dvsm4nBI
07/05/25 09:50:25 it4e0Rnf
数日後、一志から電話がかかってきた。

「おい、ハチ。あれどういうことだ。」
「何だ。」
「お前のとこの…神城に告られた。付き合ってんじゃなかったのか。」
「告って振られた。」
「そうか、ハチこんなこと初めてだったのにな…お前のお陰で俺も珍しい体験をした。」
「どんなだ?」
「初めて女をこっちから振ったぜ。完膚なきまでに。」
「らしくないな。」
「わかってら。だがな、あれほど不愉快な思いをしたのは初めてだ。」
「どういうことだ?」
「俺はあいつのためにお前がどれ程無理したか知ってる。」
「そうだな。自分でも驚きだ。」
「逆で考えてみろ。俺が本気で好きになった奴が別に好きでもないお前に告ってきたら
 お前はどう思うんだ。他の女を全部捨ててもいいと思うほどの奴が。」
「確実に不愉快だな。」
「もっといい奴さがせ。お前も。あいつはやめたほうがいい。」
「一志もいい加減一人に決めろ。刺されるぞ…それとすまない。」
「俺は修羅場が好きなんだ。じゃ元気出せよ。これ以上暗くなられたらかなわん。」
俺はほっとしたような悔しいような情けないような気分になりながら夕食を
作った。気力がわかないのでインスタントでその日は済ませた。


それから数日、ようやく落ち着いた俺は普通にクラスの連中と付き合えるように戻った。
冷静になってまわりを見ると─神城はまた一人に戻っていた。

俺がおかしくなっていたせいで色々な噂が立っていたらしい。
初めてあったときのような物憂げな表情で彼女は席に座っていた。

「おはよ。」
「あ…おは…よう。もう話してくれないかと……っ…」
「馬鹿、泣くな。」
「ごめん…なさい…。」
「俺のあれも忘れろ。二度は言わん。友達として付き合っていけばいい。」
俺の努力は徒労だったのだろうか。自分がいなければ未だに、クラスとの
コミュニケーションが取れないとは。

「犬飼君に言われたの…。彼は凄く怒ったんです。お前はなんにもわかってないって。
 大事な親友のことを何も理解できないような奴は絶対ごめんだって。」
「そうか。すまんな。ある意味俺のせいだ。」
彼女は泣きながらも笑顔で続けた。

「ううん。犬飼君の言うとおりでした。二週間、八代君も菖蒲もそばに
 いない学校の時間は初めの一週間と…中学の頃と同じで…。灰色で
 全然楽しくなかったんです。」
「頑張ればよかったんだ。もう俺がいなくとも大丈夫なはずだ。」
「うん…。でも話してて気づいたの。みんなが心配してるのは八代君でした。
 それだけのことをしてたんだって。」
「だが、別に神城が間違ったことをしたわけじゃない。気にするな。」
「私…離れてやっとわかったんです…。八代君がいないと寂しいの…。
 勝手なことばかりで悪いけど、もし前の告白が有効なら…私と付き合って…
 ごめん本当に勝手ですよね…。」
「わかった。付き合おう。」
俺は即答した。そして、彼女は笑顔を見せてくれた。
それは掛け値なしに美しかったが、俺は何か間違えたようなそんな不安に駆られた。

363:凶犬と少女たち  ◆x/Dvsm4nBI
07/05/25 09:51:38 it4e0Rnf
放課後、神城に先に帰ってもらい俺は屋上に菖蒲を呼び出した。

「前の返事だが…。俺は神城と付き合うことになった。」
「そっか…でもそれでいいの?」
菖蒲の顔が曇る。その言葉の意味を俺は正確に理解している。
一志の電話での台詞と朝の神城の態度と言葉で判断した。
恐らく間違っていない。

「あいつは俺が好きなわけじゃない。」
「うん…そうだよ。それでも?」
「ああ。まだ俺は好きだから。」
「今までのことを考えると…永遠に好きになってもらえないかもしれないよ?」
「そうでないことを祈る。」
「私はもう手伝えないよ?いつ怒りに任せて手を出すか判らないから。」
「判った。今まで本当に助かった。」
「八代君とは友達でいていいよね?」
「当然だ。菖蒲は親友だ。」
「ありがと。それじゃまた明日。」
菖蒲はそれだけ言って走って帰っていった。
俺は彼女を泣かせた。


付き合い始めてから佐久耶は前より俺に寄りかかるようになった。
自分から外への窓口を作らず、全て俺を通して外と交流する。

「ああ、最近仲がおかしかったのは俺がセクハラしたせいだ。」
「嘘―。犬塚君って意外とむっつりさんだったんだね。」
「佐久耶が可愛いからついな。お陰で二週間謝り倒すことになった。」
「もう、惚気ちゃってー。変な噂流れたから心配したじゃない。」
クラスメイトの女子に少しおどける。こんなのもすっかり慣れた。
悪い噂を自分を悪役にして消していく。
本当は触れてすらいない。

「八代君…一緒に帰ろ?」
「ああ、すぐに行く。それじゃ、みんな…また明日。」
笑顔の佐久耶と並んで駅まで歩く。はたから見れば恋人に見えるかもしれない。
彼女の好きな話題で話し、楽しませる。
だが、俺が触れると彼女は俺に恐怖の目を見せる。
手を繋ごうとすると露骨に嫌がる。

その日は一志が俺の住処を訪れていた。

「お前、神城と付き合ってんだってな。」
「ああ。」
「早く別れろ。あいつは…あいつは!」
「判ってる。お前は正しい。だが、好きなんだ。」
「難儀な性格だな。だから女は嫌いなんだ。困ったらすぐ言えよ?」
「ああ。それはおいといて期末の範囲だが…」
期末は学年一位だった。一志はなんとか全教科赤点を免れた。
いつも女を侍らせてるこいつが女嫌いであることは俺だけが知っている。

俺にとって長い一学期が終わった。
学校は拷問だ。好きな女は俺がいないと何も出来ず、俺には恐怖と嫌悪を向ける。
精神が擦り切れそうになっていたそんな頃、学校は終わった。

364:凶犬と少女たち  ◆x/Dvsm4nBI
07/05/25 09:52:50 it4e0Rnf
こちらから二人で遊ぼうと連絡を入れても佐久耶は断るため、夏休みは
一志や菖蒲と殆ど過ごした。クラスメイトの誘いのときだけ佐久耶を誘い、
それ以外殆ど関わらなかった。俺も疲れていたのかもしれない。

一志は菖蒲は気に入っていた。馬鹿なことをしたり、海、キャンプ、
うちへの泊まりこみ…三人での夏休みは本当に楽しかった。

夏が終わると以前と同じような日々が変らず始まっていたが、二学期のある日、
ついに事件は起きた。

朝、駅の階段で佐久耶を見つけた俺は挨拶をしようと近づこうとしたが、
目の前で彼女が足を滑らせ、俺はそれを受け止めた。
結構な高さから落ちてきたため、階段では自分も踏ん張れず結局一番下まで
落ちて彼女をかばったために背中を強く打った。幸いにも荷物を下敷きに
することが出来たので怪我は無かった。運動神経に感謝したのは初めてだ。

「ごほっ…おい。気をつけろよ。佐久耶、怪我は無い…」
ぱんっ!!!
自分に何が起きたかわからなかった。
頬に痛みが走る。彼女は怒りに満ちた目で俺を見ている。
次の瞬間にはいつもの気弱な目に戻り、泣きそうになりながら学校に走っていった。
俺はそれを何も考えずに見送った。

教室に入ると全員の目がこちらに向いた。
通学時間帯だったお陰で見たものがいたのだろう。
そして男も女も俺に寄ってくる。残りのものは佐久耶に非難の視線を向けている。

「犬塚君…朝のあれ何…?」
「ああ、あれは……俺が変なことを言ったせいで佐久耶が驚いて足を滑らせたんだ。
 かばったのも無茶するなって怒られたよ。俺は心配かけてばかりだ。俺が悪いんだ。」
真顔で言い切れた。質問してきたクラスメイトも信じさせれるだろう。

「そ…そうなの?」
「違うでしょ!何でそこまで庇うのよ!!」
隣のクラスの菖蒲がいつの間にか教室に来ていた。こいつも見てたのか…。
本気で怒っている彼女の肩を叩いて俺は言った。

「菖蒲、いいんだ。」
「よくない!佐久耶!あんた何様よ!!いつも、八代に頼って!縋って!
離れようとしたら好きでもないのに縛りつけて!」
「菖蒲!!やめろ!!よせ!」
これ以上言わせるわけにはいかない。
俺は菖蒲を後ろから羽交い絞めにし、口を押さえた…が、
次の瞬間に噛み付かれ、離される。

「命懸けであんた助けた八代をあんな眼で叩くなんて…私の恩人を…
 私の好きな人を傷つけて…それでも平然としてるあんたを私は…
 私は…絶対に許さない!!」
羽交い絞めにされながら怒りに震える菖蒲を俺は必死に抑えながら、
佐久耶を見た。彼女は怯えていたがやがて口を開いた。


365:凶犬と少女たち  ◆x/Dvsm4nBI
07/05/25 09:53:44 it4e0Rnf
「仕方…ないんです。明るくて友達も多い菖蒲さんには判らない。」
「判る…わけないでしょう。あんたの気持ちなんか。」
「八代君は私の始めての友達です。中学まで誰も私と仲良くなんて
 してくれなかった。彼だけなんです。私が怖がっても気長に接してくれたのは。」
「あんた、そんな人に何してるか自覚…してんの。」
「彼は暗くてどうしようもない私を好きになってくれて…。本当に嬉しかったんです。
 彼がいて、みんなと仲良くできるようになって…だけど、私は他に好きな人がいたの。
断るしかないじゃないですか。」
「だったらなんで後で受けたのよ!それで八代が今どんだけ傷ついてんのよ!」
「彼がいなくなったらみんな私から離れていったんですよ…。彼は仕方ないとしても
菖蒲さんもみんなも好きな人も私を否定して…私は怖かったんです…一人に戻るのが。」
「そんな理由で…利用したの…」
菖蒲の顔は怒りを通り越して真っ青になっていた。
俺は佐久耶の告白にはそれほど驚かなかった。鋭い痛みは走ったが判っていたことだ。
彼女はその美しいといえる愁いを帯びた顔を向けて続けた。

「八代君は人気があるから…他の人と付き合うと私と入れなくなります。だから…
 お願いしたんです。でもどうしても…男の人として好きになれなかったんです。
 好きでない人に触られたらどうしても嫌なんです。無理なんです!」
「本当にどうしょうもない女…。」
「いいんだ、菖蒲。判っていたしその上で俺も好きでやってるんだ。」
「いいわけ…ないでしょう。私は無愛想な一匹狼だった八代がどれ程の努力を
 して、無理をしてみんなに溶け込もうとしたか知ってる。私のせいで停学まで
 受けて、白い眼で見られてたはずなのに。それなのに…こんな奴のせいで…」
菖蒲は俺の胸に頭をつけて泣いていた。
抱きしめる資格は俺には無いので代わりに頭を撫でていた。

「佐久耶がいなければそもそも努力すらしなかった。感謝してるんだ。」
「私もうやだよ。辛すぎるよ…わああぁぁぁぁぁぁぁっ!」
俺は菖蒲が泣き終えるまで好きにさせた。
彼女が泣き終えたとき佐久耶の味方は……俺しかいなかった。


366:名無し@ピンキー  ◆x/Dvsm4nBI
07/05/25 09:55:08 it4e0Rnf
ここまで投下。
後はもう一度書き溜めてからにします。

367:名無しさん@ピンキー
07/05/25 10:01:48 0ePqYUmK
GJ
弦楽器を糸のこで奏でた極上の音楽だな
何時誰が切れるかキリキリくる
続きか気になって仕事にならん!

368:名無しさん@ピンキー
07/05/25 10:04:02 H13fVsMX
もう俺にはwktkしかできない

369:名無しさん@ピンキー
07/05/25 11:22:39 rdwe0ovX
展開は面白いのだが、あまりにも文章が淡々としていて、
キャラ描写も少なく、普段の様子なども描かれずに、
~~した、~~だった、な文章が続くせいで話に入り込み
づらいのが、すごくもったいないと思う。


370:名無しさん@ピンキー
07/05/25 15:53:11 4BugM/77
こんな神達が集うスレを見つけられた今日という日に感謝。

371:名無しさん@ピンキー
07/05/25 18:26:11 Vr6aTq+E
ゲーパロ専用さん来ないかな~

372:名無しさん@ピンキー
07/05/26 03:10:41 p9nd+MWE
なんなんだこの複雑神SSは・・・・神GJ!
そして>>365の才能に嫉妬と尊敬を表さなくてはならんな。

それにしても少し前までには考えられなかったほどに活気があるな。
過疎を救ってくれた職人さん達には感謝してもしきれない、ありがとう。

373:名無しさん@ピンキー
07/05/29 03:12:27 sMWKPDRW
あげ

374:マンネリ打破と依存
07/05/29 12:51:56 nIK+6iMM
保守!
3レス使用
1冒頭

2依存娘
3サイコ
の分岐

375:マンネリ打破と依存 冒頭
07/05/29 12:52:48 nIK+6iMM
最近マンネリを感じた僕等はSMに手を出したんだ。
でもそれは単なるスパイスで終わらなかった、僕等は暖かな底なし沼に溺れたんだ。

僕と彼女が僕と愛玩奴隷(ペット)になるのにさほど時間はかからなかった。

もともと四六時中僕の浮気を心配していた彼女は
近頃では四六時中僕の命令を実行して幸せだった

この間は僕の物だってもっと感じたいって『首輪』を欲しがった。

『ネックレス』や『チョーカー』をつけてあげても物足りなさそうだった

376:マンネリ打破と依存 冒頭
07/05/29 13:00:10 nIK+6iMM
とうとう『大型犬の首輪』をと思ったけれどもそこで彼女が言ったんだ
『キスマークで首輪を頂戴?人の手が入らないように』
翌日その首輪は消えました
だから毎日つけてあげるんです

彼女の細い首に毎日キスマークを

377:マンネリ打破と依存 冒頭
07/05/29 13:08:01 nIK+6iMM
けれどもそれが儀式からいつしか習慣になっていって。
またマンネリに




だから首に輪を直接あげたんです。あの細い首に両手をかけて、こうキュッと
これならもう消えません。
彼女は
『ずっと変わらず、アナタのなかにいられる』

って喜んでくれました。

378:名無しさん@ピンキー
07/05/29 20:35:13 l3KbJXpg
・・・

379:名無しさん@ピンキー
07/05/29 20:40:35 lj16HTbo
え?ここで終わり?


380:名無しさん@ピンキー
07/05/30 06:15:50 7tdicVDI
ドーセ保守

381:名無しさん@ピンキー
07/05/30 21:36:22 Zi7ZPtjp
捕手

382:名無しさん@ピンキー
07/05/31 20:42:08 ZOCyaFwI
狂犬と症状たちの続き待ち保守

383:名無しさん@ピンキー  ◆x/Dvsm4nBI
07/05/31 21:19:28 g9djrSXk
何度も書き直してました。
短めですが方針は決めたので次はなるべく早めに。

少し開きましたが投下します。


384:凶犬と少女たち  ◆x/Dvsm4nBI
07/05/31 21:22:23 g9djrSXk
 その日の昼、俺は初めて悪意が眼に見えるものだということを知った。
 流石の俺も30人からの悪意の視線を受けたことは無いが、それを受けても
一応恋人である綺麗な長い黒髪を持つ美女…佐久耶は物憂げにはしているものの
それほど気にしている様子は無い。

「どうしたの?八代君。食べないんですか?」
「俺はむしろ佐久耶がいつもどおり食べているほうが驚きなんだが。」
「え、だって八代君がいますし…。」
 朝の事件は菖蒲が変りに日頃の俺の思いをぶちまけたせいか俺自身は冷静で
周りを見渡す余裕もある。特に女子の視線が厳しい。
 それにも気がつかないというのは…。

「佐久耶。もう手遅れだとは思うが空気を読めるようになれよ。」
「空気を読む…超能力か何か…ですか?」
「だめだな…どうしたもんか。」
「八代君、お困りでしたら私も手伝いますけど…」
 彼女は困ったように首をかしげている。羨ましいことにそもそも気づいていないらしい。
 本当に困った…これからどうするか。

「八代~学食にご飯食べにいこ。」
「菖蒲か。見てのとおり弁当なんだが…。」
 考え込んできたときに教室におさげにメガネの見慣れた友人、菖蒲が入ってきた。
 地味な外見と違って表情が豊かでころころ変る。朝のことは吹っ切ったのかいつも通りだ。

「たまにはいいじゃない。二人で食べにいこ?」
「しかし、今離れるわけにはな…」
と眼で教室中を見ろと合図する。こいつなら分かるだろう。
 菖蒲は苦笑して納得したが、それまで黙っていた佐久耶が口を開いた。

「あの…菖蒲さん。ごめんなさい…人の恋人を連れて行こうとしないでもらえると…
 矢代君は私の恋人なので…」
 教室中の空気が凍るというのはこういうことを言うのだろうか。
 五秒ほど教室の喧騒が途絶えた。菖蒲は怒りを通り越して呆れ果て
俺も何も言えずに佐久耶を見つめる。冗談で言っている顔つきではない。

「八代…本当にこの人大丈夫なの?」
「流石に自信無くなってきたな。」
 菖蒲が何か気持ち悪いようなものを見たような声で呟く。
 今日のところは菖蒲に引いてもらい、昼食を再開したがあまりの視線の圧力に
味を感じることは出来なかった。


385:凶犬と少女たち  ◆x/Dvsm4nBI
07/05/31 21:24:01 g9djrSXk
「それじゃ佐久耶、学級日誌返してくるから待っててくれ。」
「はい。お待ちしています。」
放課後、日誌を職員室に返すために廊下を歩きながら佐久耶について考える。
結局、昼食時も休み時間も朝の事件がなかったように佐久耶はいつも通りで、
人助けに恩を着せるのは主義でないはないから俺に対しては問題があるわけじゃないが
他ならぬ俺自身に同情が集まることによって、佐久耶が悪い立場に立たされているのは問題だ。
 そこまで考えて、あそこまでいわれても佐久耶を中心に考えてる自分に苦笑した。

「おい、佐久耶もど…ん?」
 日誌を返し教室に戻ると佐久耶がいなかった。先に帰ったかと少し考え、頭を振る。
鞄が机に放置されてあるということは…トイレか誰かに連れて行かれたか…。落ち着いて
携帯に電話する…繋がった!

「おい。もしもし!佐久耶どこだ?」
「ザーッ………何…………ざけて………やめ………」
ついに、実力行使まで…。会話から場所がわからないため、廊下の窓を調べつつ
女子トイレ前で電話を鳴らして音を確認。いないことを確かめ急いで屋上へと
駆け上がる…裏庭の女四人…あれか!!

「そこの三人!何をしている!」
「あ、犬塚君…」
 俺がついたとき佐久耶は、校舎の壁に追い詰められて問い詰められていた。
その暗いながらも綺麗な顔は怯えを浮かべている。俺が到着すると彼女は
すぐに俺の背中へと隠れた。決して触れないようにしながら。
 佐久耶を見ながらクラスメイトの女子三人は憎らしげに、また、ばつが悪そうにしている。

「犬塚君…朝の女の子じゃないけど見てるの辛すぎるのよ。もう…」
「すまない。俺のせいで。」
「何で謝るの!悪いのは全部その女じゃない!」
「俺も今の状態は望ましいわけではない。だが、こういう風に一人を攻撃するのは
 俺の顔に免じて勘弁してやって欲しい。頼む。」
そういって頭を下げるとさらに複雑そうな顔になったが自分たちも悪いと思っているのか
それとも言いたいことが判ってくれたのか去ってくれた。
だが、どうにかしないと守ろうとしてきた俺のせいで全員が敵に回るという皮肉なことに
なるという予感が消えない。


386:凶犬と少女たち  ◆x/Dvsm4nBI
07/05/31 21:24:45 g9djrSXk
「佐久耶。大丈夫か?」
「うん少し怖かったですけど…ありがとう。」
そういって少し微笑む佐久耶は西に傾いた太陽の光を浴びて絵になっていたし、
ずっと見ていたかったが、意を決して一日考えてきた結論を佐久耶に話すことにした。

「やっぱり恋人はやめにしないか?」
「八代君も…私のことを嫌いになりましたか?当たり前ですよね…」
 佐久耶は悲しそうに少し眼をふせ、力なく呟く。

「俺は佐久耶を嫌いになどはならない。だが、佐久耶は俺のことが好きじゃないんだろ?」
「はい…でも、いつか好きになれるかもしれませんし…。」
「付き合って三ヶ月、俺なりに努力したつもりだ。だが、変っていない。これ以上
 変らないのなら、俺の存在は佐久耶にとって害にしかならない。」
「そんなこと…八代君のお陰でかなり助かってます。」
「友達という関係で行こう。それ以上の関係は佐久耶へのいらん敵意を増やすだけだ。」
 そう…相手が好きでないとわかっていながら付き合おうと考えた俺がまずかったんだ。
結局、大勢を傷つけただけに終わってしまった。しかし、佐久耶は涙を浮かべながら真剣に叫ぶ。

「他の人なんてどうでもいいじゃありませんか。他の人からどう思われるかで
 考えるなんてそんなの間違ってます!」
「佐久耶と初めて話した日に、佐久耶には普通の高校生活を送ってもらいたいと
 思っていたんだ。俺がいるとそれが出来なくなる。」
「いいんです…。八代君がいてくれたら…八代君だけで…八代君さえいてくれれば…。」
「友達に戻っても、今までどおりできる。」
 佐久耶が俺の手を両手で掴んだ。その両手から彼女の震えが伝わってくる。だが、
彼女は震えながらも泣きながらもしっかりと手をその両手を握る。

「お願いします…。私も…私も怖いけど…努力しますから…お願いですから私を捨てないで!!」
「………だめだ。一度恋人としては離れたほうがお互いのためだ。友人としては今までどおりだから
 心配するな。佐久耶を捨てるわけじゃない。今日は帰る。また明日な。」
 俺は心を鬼にして彼女の手を引き剥がし、久しぶりに一人で家への帰途に着いた。
 慣れていたはずの孤独からの寂しさと心の痛みが胸に刺さっていた俺は一志と菖蒲に
電話し、二人のために晩御飯を振舞った。
 次の日から佐久耶との関係がどうなるのか、このときは想像もできなかった。


387:名無しさん@ピンキー  ◆x/Dvsm4nBI
07/05/31 21:26:51 g9djrSXk
投下終了です。

388:名無しさん@ピンキー
07/05/31 21:48:02 r0X77rlM
この女救いようがねぇえGJ!

何かヤンデレとか言うものの臭いがしてきたように感じたが・・・。
もうね。
主人公が可哀想で可哀想で。
菖蒲ちゃん可愛くて可愛くて。

大団円でなくても、それなりのハッピーエンドになることを願う。

職人◆x/Dvsm4nBI 氏に感謝。

389:名無しさん@ピンキー
07/05/31 22:00:31 10dM4bTf
相変わらずGJ!!

390:名無しさん@ピンキー
07/05/31 22:13:47 lvyq93XX
投下しまーす(´・ω・`)初SSで駄作の上途中ですが。




4月。俺はこの高校にきて3年になる。進学校で、前にいた就職8割の高校より張り合いも出るし、教えていて楽しい。忙しい。とにかく忙しい。その所為か、妻もいなければ彼女もいない。職場恋愛は、、、無いな。平均年齢が高すぎだ。
でも最近ちょっと楽しいことができた。ちょうど灰色の大地に春風が吹き始めたかのように、、、いや、そんないいものじゃないな。
こうやって掃除を見てると――
「山本先生ー!!」
――ほら、来た。
俺は頬の筋肉がゆるむのを抑えながら振り向いた。
「お前、掃除行けよ」
「もう終わらせましたー!先生に早く会いたくって。」
「……ったく、毎日毎日……」
そうは言うが、正直ここまで慕ってくれるのは嬉しい。それを言ってやれば喜ぶだろうか?いや、俺の性に合わないな。
「お前、勉強はちゃんとしてるのか?」
「う、、、数学わかりません。」
「俺が去年教えてやったところがわからないとか、まさか言わないよな?」
「そんなこと言いませんよ!先生の数学わかりやすいですから。何で学年上がってきてくれなかったんですか?」

正直それは俺にもわからない。去年入学してきたこいつらを1年間見て、一緒に2年もやっていきたいと思っていた。残念だが校長や学年主任の決めたことだ。
「…俺に聞くなよ。俺だって悲しいんだから。」
それだけ言って、この空気に耐えられなかった俺は担当のクラスに向かった。淋しそうな顔をして立ち尽くす夏目を残して。


391:名無しさん@ピンキー
07/06/01 01:33:42 oyEk/MwX
狂犬と少女、いつも楽しく読ませて貰ってます。
今回も凄く楽しかったです、風邪には気をつけて無理しないでね。
携帯から失礼しましたm(..)m

392:名無しさん@ピンキー
07/06/01 05:43:38 jLUQ75Zf
狂犬と少女
えー更新

いや『GJ』だと終わった感があるし『続きだわぁい』は作品にあわないな。


断崖絶壁から真綿の命綱をクビにぶらーんな感じがたまらねー

393:名無しさん@ピンキー  ◆x/Dvsm4nBI
07/06/01 20:00:58 fQQHEu3O
今日も投下します。
次は少し時間がかかると思います。

394:狂犬と少女たち  ◆x/Dvsm4nBI
07/06/01 20:02:16 fQQHEu3O
「八代おはよ。今日もいい天気だね。」
「おはよう。今日は雨だ。」
 朝、電車から降りると菖蒲が後ろから挨拶してきた。振り向くと知らない女が
そこには立っていた。

「………菖蒲か。随分と変装したな。」
「お洒落っていってよね。さて、恋人もいないそうだし今日はお供してもいいよね。」
「ああ。そうだな。」
 駅の階段を歩きながら菖蒲を眺める。いつもの長い三つ編みは解いてストレートにし、
やぼったい眼鏡はコンタクトにしたのかつけていない。眼は相変わらずの活力に輝き、
以前の地味な印象は全くない。

「本当に驚いた。急にどうしたんだ?」
「え……似合ってない?」
「いや…明日からラブレターの処理が大変だろうというくらいに似合ってる。」
「ほんとっ!よかったー。でもラブレターは一枚だけでいいんだけどね。」
 そういっていたずらっぽく微笑んだ。笑うと他人を元気にさせるような雰囲気に
してくれるところは変わってない。冗談を言い合いながら駅を出るとそこには
思いがけない人がいた。黒い綺麗な長い髪の美しい人…昨日別れたはずの恋人…

「おはようございます、八代君。菖蒲さん。」
 俺は戸惑った。朝に佐久耶と同じ時間帯の電車になることはあっても先に来て
待っているというのは今までにはなかったからだ。その彼女は曇りのない上品な
笑顔を浮かべながら頭を下げた。

「おはよう、佐久耶。でもあんた昨日八代と別れたんでしょう。今更何か用?」
 菖蒲が動揺する俺に代わって笑顔で返す。だが、眼は笑ってない。佐久耶は
それに対してはいささかも動じず、

「朝、一緒に登校するのは付き合ってる恋人でしたらそれ程おかしいことでは
 ないと思いますが…行きましょう八代君。菖蒲さん。失礼します。」
「あ、おい!」
 そういって俺の腕に自分の腕を絡ませて歩き出した。振りほどくのは簡単だったが、
彼女の腕は小刻みに震えており、そんな彼女を理解できず成すがままになってしまった。
 去り際に最後に見た菖蒲の眼には強い決意の光があった。


395:狂犬と少女たち  ◆x/Dvsm4nBI
07/06/01 20:03:50 fQQHEu3O
 私は駅で八代と佐久耶を見送りながら、改めて佐久耶と戦う決心をした。
 ただの嫉妬かもしれないけど、相手は友人としか思っていないかもしれないけど、
それでも自分の好きな人が不幸の泥沼に沈むのをほうっておきたくはなかった。

 私は学校へと急ぎ、同じクラスの一志と相談することにした。彼のことは噂しか
知らないときはただの女たらしと嫌っていたけど、友人として付き合う分には頼りになるし
誠実な人柄だった。昨日も放課後女と会うとかいっていたにも関わらず、八代に呼ばれて
すぐに来たのは少し変だと思ったからだろう。
 私は彼に朝の出来事を話し、感想を求めた。

「なるほどな。そうは簡単にはいかないとは思っていたが…。」
「一志はどう思う?」
「ほっとくとハチは一生あいつを抱える羽目になるな。」
「八代が彼女を完全に見捨てるってことはやっぱりない?」
 一志は笑って肩をすくめた。

「絶対無い。わかってていってんだろ?」
「うん…八代は困った人をほっておける性格じゃないしね…」
 彼はうって変って真剣になり、私を見つめ衝撃的なことを話し始めた。

「これから言うことは他言無用だ。あいつにも。いいか?」
「うん?何かわからないけど話すなというなら。」
「あいつが人を助けるのは性格だからじゃない。強迫観念に近い。なんで狂犬と
呼ばれていたと思ってるんだ。心当たりはあるだろ?」
「え…。」
「あいつは母親に裏切られてるからな。理由は違うが俺と同じで。」
「じゃあ…。」
「ハチは生真面目な男だ。だから、そんな人間にはなりたくないと思っていた。
 交際は広くは持たず、交際した人間には誠実だ。女嫌いでもあったから、あいつが
 好きな人ができたって聞いたときは驚いたさ。」
「一志がとっかえひっかえしてるのは女嫌いだからなのね。」
「さてね。」
 私は少し考えた。努力の理由、そして、報われなくとも続ける理由。そもそも、
八代は相手に期待していないのかもしれない。だけど…

「やっぱり、佐久耶との関係はこのままにはしたくないわ。私を好きになって
 貰えないとしても、友達としてもほっておきたくない。」
「そうだな。人の色恋沙汰に首を突っ込むのは性にはあわないが、融通の利かない
 我らが友人のために骨を折るとするか。しかし、女はやはり怖いな。」
「あんまり舐めてると後ろから刺されるわよ?」
「やれやれ…大分わかってきたと思っていたが理解不能な女が身近に二人もいるからなあ。」
 彼は困ったように苦笑いしていった。話も終わったので席に戻ろうとした私に
一志は忘れてたことを思い出したと笑っていった。

「その格好のほうがいつもより美人だぜ。いつものもいかにも委員長って感じでいいがな。」
「そ。ありがと。一志が私を褒めるなんて…ああ、だから今日雨なのかな?」
 私も笑い返して軽く流した。

396:狂犬と少女たち  ◆x/Dvsm4nBI
07/06/01 20:04:44 fQQHEu3O
 結局その日は一日、佐久耶は俺に必要以上に触れてきた。それは今までのことを
考えると異常だし、不思議だった。おかげで周りの空気は昨日よりさらに悪化し、
さらに、彼女自身触れることを嫌がっているようなことも悩みになっていた。

「佐久耶。何を考えている?」
「恋人なのですから、これくらい普通ですよ。」
 放課後雨の中、駅までの道を二人で歩いていた。一人で帰ろうとしたがついてきたのだ。
 彼女は笑顔でそういうがその何も悪意のないその笑みに俺は少し違和感を覚えた。

「昨日、恋人ではなく友達に戻そうといったはずなんだが…。」
「私は…努力するって決めたんです…。好きになるように…好きになってもらえる
 ようにって…。」
「怖いんだろう。嫌ならやめといたほうがいい。」
「確かに怖いです。だけど…嫌なわけじゃないんです!」
 佐久耶はまるでそれが義務であるかのように俺の腕を掴んだ。だがやはり、無理は
しているようで嬉しさよりは困惑しか感じなかった。

「無理はするな。手を離すんだ。」
「嫌です。私は八代君の近くにいたいんです。」
 今日の学校での周囲の状態、昨日のことを思うと俺もとめることの出来ない最悪の
事態に陥ることに今のままではなりそうであって、そのためには何とかして関係を
変えなければならなかった。どういえば納得してくれるのか…。

「俺はもう佐久耶のことが好きなわけではない。お互い好きじゃない以上、
 無駄な努力だ。もういいだろう。やめてくれ。」
「八代君が好きでいてくれたとき私は好きでなかったけれども付き合うことが出来ました。
 私は今八代君のことが好きですから付き合うことは出来るはずです。」
 彼女の顔は真剣で、その美しい顔で俺を見上げている。嘘をついている雰囲気はない。
 この手だけは使いたくはなかったが…。俺は意を決して言った。

「俺は他に好きな女が出来た。だから一緒にいられると迷惑だ。」
「……嘘です……。八代君は私を…私だけを…そして私も…」
「人の心は変わるものだ。俺はもう友人としか見れない。」
 俺は彼女の手を離し、一人で駅のホームへと歩いた。彼女は暫く俯いていたが
俺の後ろをゆっくり歩いて付いてきていた。


397:狂犬と少女たち  ◆x/Dvsm4nBI
07/06/01 20:05:27 fQQHEu3O
「おはよう八代。今日はいい天気だね。」
「またそれか…おはよう、菖蒲。今日は晴れたな。」
 電車から降りると昨日と同じように菖蒲がいた。イメージチェンジをした彼女は
目立つのかちらちらと視線がこちらに向いている。
 駅から出ると予想通り佐久耶がいた。

「おはようございます。八代君、菖蒲さん。」
「おはよう。佐久耶。急ぐからまたな。」
 眼を合わせず、挨拶だけをして彼女の前を通り過ぎた。後ろから付いてきているの
はわかっていたが、見ないようにして菖蒲と並んで歩く。

「ねえ、いいの?」
「何がだ?」
「佐久耶ほっといて。」
「そうしないと駄目だ。佐久耶の立場がますます悪くなって危険になる。」
「そっか…。色々大変だね。」
「自業自得だ。俺の責任だからな。」
 菖蒲は困ったような笑みを浮かべていった。

「他の人と付き合えばいいじゃない。そしたら流石に離れるでしょ?」
 俺は何も言わずに苦笑して首を横に振った。惚れた弱みもあるし、他の人と
付き合うと彼女を見捨てることになる。
 一番いいのは俺を見限って自立し、一人で溶け込むことだろうがそれが出来るとも
思えず、正直手詰まりを感じている。自分自身どうしたいのかも判然としない。
 結局この後は菖蒲とも何も話さずにただ学校へと向かった。
 この日の昼、彼女は珍しく用事があるからと一人でクラスを出て行った。


398:名無しさん@ピンキー  ◆x/Dvsm4nBI
07/06/01 20:06:51 fQQHEu3O
投下終了です。

399:名無しさん@ピンキー
07/06/01 20:18:12 CEt5SyDT
乙、続きwktk


400:名無しさん@ピンキー
07/06/01 22:37:35 UsFIi6vV
あー、なんかこの佐久耶って女、知り合いにそっくりでむかつくわww
リスカ女なんだがなwwwww

401:名無しさん@ピンキー
07/06/02 00:31:25 4gewqmff
このスレでこの傾向の作品が見られるとは・・・GJ!

402:名無しさん@ピンキー
07/06/02 03:50:03 5wops/Ra
なんかヤンデリズム感じた。GJ!

403:名無しさん@ピンキー  ◆x/Dvsm4nBI
07/06/03 10:56:05 z966MeLB
続き投下します。

404:名無しさん@ピンキー  ◆x/Dvsm4nBI
07/06/03 10:56:47 z966MeLB
 私は八代君に今日のお昼は用事があることを告げて隣の教室へと行くことにしました。
 彼と食べる食事の時間は私にとっては大事なひと時なのですが、今日ばかりは私と
彼の時間を続けるために使う必要がありました。
 教室に入ると何やらざわめきましたが、気にせず目的の人を探します。丁度
お一人のようで助かりました。

「今日は、菖蒲さん。」
「佐久耶…珍しいわね。何か用?」
 私は彼女の前に座り、話しかけます。彼女は驚いたような顔をしてこちらを向きました。

「実は菖蒲さんにお願いがあるのですが。」
「ふーん。何かしら。」
「八代君に近づかないで頂けないでしょうか。」
 そう…きっと八代君に元気がないのはこの人が私たちに余計なちょっかいをかけている
からに違いない。彼女は未だに知らない振りをしています。私が何も知らないとでも
思っているのでしょうか。

「言ってる意味がわからないんだけど…。」
「私は彼とお付き合いさせていただいているので、彼を惑わすようなことを
 しないで欲しいんです。」
「わけわからないこといわないで欲しいわね。まず、彼は恋人はいないって言ってるわ。」
「そんなことはありません。今は少しお互いが誤解してるだけで、恋人同士です。」
 そう、お互いが誤解をしているだけです。私は彼が好きになってきているのですから
少し努力すれば元に戻るのです。

「…愛想をつかされたんじゃないの?」
「そんなことはありません。あの後、私が危ないときに助けてくださいましたし。」
「そもそも付き合ってたの?佐久耶は八代の家にすら行った事無いでしょう。私は
 一志と一緒に食事に呼ばれたり出かけたりしてるわ。まだ、私のほうが近いんじゃない?」
「それはこれから解決していけばいいんです。男の人が怖くて今まで努力を
 してこなかったから…克服すれば上手く行くんです。」
 私たちが上手くいっていないときに菖蒲さんは入ってきました。髪形を変えたり
おしゃれになったのは八代君に近づくために違いありません。でも、そんなことは
許しません。彼は私と一緒にいるのですから。彼女は少し怒ったような感じに
なってきていますが、ここで負けるわけにはいきません。

「八代は迷惑しているわ。佐久耶が近くにいる限り、彼は休まらないのよ。
 本当に好きなら身を引くべきじゃないの?」
「それは菖蒲さんが彼のことが好きだからでしょう。彼を盗りたいから言っているんでしょう。
 八代君はほかに好きな人がいるとか嘘をついてまで私から離れようとしています。
 菖蒲さんが彼を誘惑して悩ませているんでしょう。あなたこそ迷惑じゃないですか。」
 次の瞬間、頬に強い衝撃を受けました。周りの人たちも何事かとこちらを向いています。
 私はそれでも彼女から目を離しませんでした。

「佐久耶。あんたは本当にどうしょうもないわね。本当にほかに好きな人がいるかも
 しれないでしょう。いつまでも八代に縋ってるんじゃないわよ。」
「私には彼が必要なんです。だからどんなことがあろうと菖蒲さんにはお渡しできません。
 別れるつもりもありません。話はそれだけですので失礼しますね。」
 言うことをいった私は教室に戻りました。例え本当に八代君が菖蒲さんを好きになった
としても渡せないのです。私は一人に戻ることは絶対に嫌なのですから。


405:名無しさん@ピンキー  ◆x/Dvsm4nBI
07/06/03 10:57:38 z966MeLB
 放課後、俺は屋上で人を待っている。待ちながら考えることは後悔ばかりだ。あの時、余計な
気を回さなければ俺の親友はあそこまで精神をすり減らすことはなかったかもしれない。
 後悔先に立たずとはよく言ったもんだ。
 今からやることが上手くいっても失敗してもハチは傷つくだろう。

 俺は女は嫌いだ。これから会うのは女の中でも一番嫌いなタイプだ。他人に寄生して
自分は何もしない。さらに厄介なことにこいつは宿主を共倒れさせる宿り木だ。例えどうなろうとも
宿主たる親友のために、俺は泥をかぶることに決めた。
 携帯電話を弄りながら待つこと五分。屋上の扉が開いた。現れたのは長い黒髪の…
恐らく学年で一番であろう美人。一度振った相手だ。

「よう、待ってたぜ。神城さん。」
「犬飼君…だったんですか…。」
 朝、俺は彼女の下駄箱にラブレターを入れておいた。昔と反対に。彼女は驚いて
俺を見つめている。

「こうやって二人で会うのは三ヶ月ぶりってとこか。」
「はい。そうですね…。あの時は犬飼君が八代君の親友だなんて知りませんでした。
 …犬飼君が怒ったのも無理ないですね。」
「まあな。今では少し後悔している。」
 一応、嘘ではない。もう少しよく人柄を知っていれば無用の努力と心労を掛けずに
こいつを排除できたんだ。

「それで…何か御用ですか?」
「ああ。前に断っておいてなんだが…俺と付き合って欲しい。」
 そこまで言って相手の返答を待つ。自分からこういうことを言ったのは初めてだ。
 望んだものでもないが、二度も経験のないことをさせられるとは…。

「犬飼君にはたくさん彼女がいらっしゃいますし、私は必要ないでしょう。」
「ほー、そういうことも知ったわけだ。」
「……八代君に聞いたわけではありませんよ?」
「ああ。わかってる。でもって、そいつらとは全員別れた。」
 彼女は強い風に髪をなびかせながら少し考えていった。

「昔……助けていただいたお陰で私は犬飼君が好きになりました。ですが、今の私は
 八代君の恋人です。申し出を受けるわけにはいきません。」
「あいつはお前さんをただの友達だって言ってたぜ?」
「それはただの誤解です。では、お話がそれだけでしたら失礼します。」
 そういい残して彼女は去っていった。失敗したか…面倒だがまあいい。
 後は任せるとしよう。だが、あいつも苦しめるようにならないとは限らないな…。
あまり明るい未来といえない考えに苦笑しつつ、俺は携帯電話を取り出した。

「全く女ってのは怖いぜ。」



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