08/01/01 00:31:49 gYnQt3BW
その霧が晴れるまでに数秒を必要とした。
薄暗い室内、その姿はなかなか見えてこない。
まず、輪郭が見えた。
見上げるほどに高い、筋肉隆々とした逆三角形のシルエットだ。
それをもって風見が口を開く。
『ぬわはははははは、縛りが甘いわ!!』
「いやお前誰だよ!?」
ツッコんだ一人が吹き飛び、何か金属製の器具が崩れ落ちる音がしたのでみんな黙った。
『きつく縛るってことは、元からそれだけロープに負荷がかかってるってこと。
そうすればするほど、少しの力で簡単に引きちぎれることに気付かないだなんて。
全くSMのSの字も知らない素人の仕事だわ。大体縛るっていうのはね―』
色々と人類平均を飛び越えたことをのたまいながら、
『―って聞いてないか。腰抜かしちゃってるみたいだもの』
それを聞いて、彼女の身の丈が高くなったのではなく、自分達が床にへたりこんでいるのだとようやく気付いた。
しかしそんな些事は今の男子生徒たちにとって問題ではない。最優先事項が他にある。
脚よりむしろ腕を使ってどうにか後ろへと逃げるが、風見はこちらを悠然と見渡し、
『さーて、まずはどの猿からちょん切ってやろうかしら―』
一歩を踏み出し、
『……え?』
踏み出そうとしてすっ転んだ。
『ちょ、やっ、やだっ、足ほどくの忘れてたっ』
地響きを立てながら小動物のように暴れる風見。
今襲えばどうにか手篭めにできそうな状態だったが男子生徒たちは一目散に逃げ出した。とてもそんな気にはなれなかったので。
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「俺が見せられたのは大体こんな夢だった」
「嘘つけ―!!」
風見は全力の蹴りを叩き込んだ。
あー……
陵辱だなんて風見がかわいそうだと思います><