06/11/17 19:35:18 MU8RtdPM
「お昼前なのにそんな食べて大丈夫~~?」
「だって完食しないとスタンプもらえないからさ~~」
ゲフーとはしたないおくびを洩らす佐々かなこは文化祭を堪能していた。
「次 お化け屋敷寄ってこーか!」
「私なんか緊張して気が気じゃないのに……度胸あるなぁ」
一方の高槻よしのは後に控えるクラスの劇に胃が痛む思いだった。
「あ……とその前に」
かなこが珍しく弱弱しい声で訴える。
「あたしトイレ寄ってくね」
「あ、待ってるよ」
「いい、先いっちゃって!」
「そ?じゃあ向こうでね」
女子特有の集団行動に馴染まない友人のさばさばした態度が
かなこには有難かった。
「えーっと……どっちだったかな……」
校内でも普段は足を踏み入れない棟の中でかなこは急いだ。
「あれ?違う……あっちだったかな」
慌てたかなこは人目を避けるように走ったが、焦れば焦るほど足はもたつき、
展示に使われず祭の喧騒から離れた暗い廊下を彷徨った。
「どうしようどうしよう。もーやばいよー」
耐えるのが苦しくなってきたかなこは何かを抑えるべくその場に立ち尽くした。