忍たま乱太郎のエロ小説at EROPARO
忍たま乱太郎のエロ小説 - 暇つぶし2ch800:名無しさん@ピンキー
07/10/17 00:22:07 djwxedzp
gjgj!
左近かわいいなオイ!


>>799
つティッシュ

801:名無しさん@ピンキー
07/10/17 00:35:56 F52J6nt4
左近が押し倒されてるじゃないかwwこれは期待!!

802:名無しさん@ピンキー
07/10/17 02:50:24 tjxC5aB1
不覚にも左近に萌えたww
続き正座して待ってるがんがれ!

803:名無しさん@ピンキー
07/10/26 17:25:55 GRyCAdvt
保守だらん

804:名無しさん@ピンキー
07/10/29 19:59:20 BGwBt0oE
ほす

805:名無しさん@ピンキー
07/10/31 00:32:12 +bRJkCcF
捕手

806:名無しさん@ピンキー
07/11/02 21:29:38 YFy3D3eR
42巻読んでから、>>356をどうにも意識してしまう・・・

807:名無しさん@ピンキー
07/11/03 01:22:45 1H7ePd0u
まさかこんなことになるとは思わなかったんだぜ

808:名無しさん@ピンキー
07/11/03 09:15:17 F9ds4aQD
>>806
自分は42巻読んでる時>>290がちらついてしまったorz

809:名無しさん@ピンキー
07/11/03 15:33:36 c+M028/C
>>290を読む前に42巻読んでよかった・・・
でもすげぇ良い文章。虎若の掴みにくいキャラをつかんでる。
ここって全般的にクオリティ高いよね。

"にっき"は最高だと思う。

810:名無しさん@ピンキー
07/11/03 18:21:33 rLCU3AW/
それが鉢屋クオリティ?

811:名無しさん@ピンキー
07/11/04 22:14:31 b8OSrN/s
鉢屋クオリティwww

812:名無しさん@ピンキー
07/11/05 00:09:49 0vhlQCo7
>>290の虎タンの
「あの…あの…」ってやつ42巻でも言ってて
今になって癖なんだとわかったけど
特徴掴むのうまいし早いなあと改めて感心してしまった

813:名無しさん@ピンキー
07/11/05 08:27:44 dgcuiJyO
>240
見てきて納得してフイタw
今になって見ると目のつけどころが先見の明があるな

あと晴れて新婚になった里芋ミスマイの
(レス番)の続きも職人さんにぜひ書いてほしい

814:名無しさん@ピンキー
07/11/05 08:29:26 dgcuiJyO
レス番間違えたorz
>>240じゃなくて>>290だった・・・

815:名無しさん@ピンキー
07/11/06 11:49:16 ICw0KWnh
>>290人気杉ww

816:名無しさん@ピンキー
07/11/06 13:53:08 WSTyhjQr
まあ出来はいいからな。

817:名無しさん@ピンキー
07/11/06 19:47:50 +g7t7fNv
小松田×事務のおばちゃんとそれを出歯亀する吉野先生の話が読みたい。

818:名無しさん@ピンキー
07/11/07 21:21:30 uzNUzT7T
>>817
おばちゃん×小松田っぽくてもよければ週末くらいにアップさせてもらいます
吉野先生は出せるか分からないけど

819:名無しさん@ピンキー
07/11/09 09:22:28 4qT7I0Mg
シリアスなのかギャグなのか、wktkして待ってます!

820:事務員のおばちゃん×小松田①
07/11/10 19:22:57 fC41fgz9
とりあえず書けたので投下させてもらいます。
熟女ダメな人はスルーの方向でよろしくw



事務員のおばちゃん、当年とって五十二歳。
夫と死に別れて二十余年、女手ひとつで育てあげた子供達は立派に成人し、
職場ではベテラン事務員として確固たる地位を築いている。
不満など何一つなかったはずの生活。
しかし、「彼」がこの忍術学園にやって来て以来、たった一つだけ足りないものがあることに気付かされた。
彼こと小松田秀作は、偶然の巡りあわせで学園の事務員になった、十六歳の青年だ。
若く可愛らしく、そしてとんでもなく仕事の出来ない彼を、
彼女は初めのうちこそ出来の悪い息子のように思っていた。
しかし、暑い日に着物の袖や裾をまくって瑞々しい肌を無防備に
晒している様子や、低学年の生徒にまじってはしゃぎ回っている最中に
垣間見せる若い筋肉の躍動を目にするうち、その思いは少しずつ形を変え…
今や秀作の存在は一人の「男」として、彼女の身体に忘れかけていた女の疼きを蘇らせるのだった。

821:事務員のおばちゃん×小松田②
07/11/10 19:23:41 fC41fgz9
秀作が、くノ一教室の生徒の落し物であろう香袋を嗅ぎながら
自慰をしているのを見つけたのは、そんなある日のことだった。
近頃くノ一の間では、ある店の香袋を袴下帯の中に入れておけば周りよりも早く
女になれるという噂が流行しており、誰もが競い合うようにそれを実行していた。
いくら将来場合によっては文字通り体を張った忍務をもこなすようになるくノ一の
たまごとはいえ、今はまだろくに胸も膨らんでいないようなあどけない娘達である。
教職員の中にはいい顔をしない者も多く、職員会議でも度々問題になっていた。
当然、秀作もそれを知らないはずがない。
あるいは、おっとりしていかにも初心そうな彼のことだから、彼女達から
香袋を見せびらかされ、からかわれるようなこともあったかもしれない。
(あらぁ…小松田君たら…)
実年齢以上に童顔で言動も幼い彼にも年相応の性欲があり、
年下の少女の下着の中身を想像して股間を熱くしている。
それはひどく新鮮な光景のように思えた。
そして次の瞬間おばちゃんは、叶わぬものと思っていた密やかに燃える欲望が
現実のものとなる機会を捕まえたことに気付き、口角をつり上げた。
「まあまあ、ねんねちゃんだとばっかり思っていたけど、小松田君も男なのねえ」
しわがれた猫撫で声に、秀作の体は何寸か飛び上がったようだった。
「…あ、ああ…」
ぎこちなく振り返った顔は今にも泣きそうな情けない表情をしていたが、
股間のものは咄嗟のことに対応しきれずにいるのか、まだ形を保ったままだった。
しっかりと剥けきり露出したつるつるの亀頭が意外で、おばちゃんは思わずごくりと唾を飲み込んだ。
「いいのよ、男の子なら当たり前のことなんだから。今更驚きゃしないわよ」
今にもその弾力に富んだ性器にむしゃぶりつきたい衝動を抑えて
笑顔を作り、彼女はまだ動けずにいる秀作ににじり寄った。
その腕をむんずと掴み、強引に己の胸元に持って行かせる。
「女の体に興味があるなら私が教えてあげる…」
甘い囁きに、嫌悪のためかそれとも他の何かを感じたのか、秀作の肌がかすかに粟立った。

822:事務員のおばちゃん×小松田③
07/11/10 19:24:35 fC41fgz9
おばちゃんは秀作を抱きしめるようにして、両の乳房の谷間に顔を埋めさせた。
豊満で垂れ気味のほどよいたるみが、ふかふかの布団の感触を思い起こさせる。
心地好い息苦しさが何故か懐かしく、秀作は思わずお母さん…と呟いていた。
もっと触ってごらんと言われるままに、両手を使って持ち上げるように揉みしだく。
その肉は指の隙間からこぼれてしまいそうなほど柔らかく、乳首は大きめだが予想外に綺麗な色をしていた。
赤ん坊のようにちゅうちゅうと吸いつくと、おばちゃんは恍惚として身を捩らせた。
「ああ…上手よぉ、小松田君」
それは、喘ぎというよりも幼児のよちよち歩きを誉めるような優しい声音だった。
秀作は不思議な安心感に包まれ、一方ではますます昂りを強くした。
「いやあん、大きいわあ…」
おばちゃんは嬉しげに感嘆すると、その緩くカーブした屹立の形に添って
軽くしごき、じゅばじゅばと音を立てながら美味しそうにしゃぶり始めた。
年季の入った舌技に、秀作の陰茎はびくびくと脈打ち、すぐにも発射しそうになってしまう。
「んぁあ…っ、おばちゃぁん…!」
たまらなくなった秀作は、甘えた声をあげながらおばちゃんを押し倒した。
「うふふ、焦らないの」
おばちゃんは秀作の頭を撫でるとするすると帯を解き、袴を脱いだ。
鬱蒼と湿った茂みが現れ、その下の黒っぽく淫水焼けした大きなビラビラが、
醜悪でありながら強烈な魅力を持った蝶のように秀作を誘った。
「若い子みたいにキレイじゃないけど、中身はおんなじよ」
導かれるがまま、思いきって先端を押しあてたが早いか、秀作の雄は初めての領域にずぶずぶと滑り込んでいた。

823:事務員のおばちゃん×小松田④
07/11/10 19:25:23 fC41fgz9
「うわああ…何これ、すごぉい…っすごいですっ…ううぅ…」
ぬるぬると温かく、奥へいけばいくほど締めつけてくる天然の名器。
それはまるであやかしに惑わされ、快楽という名の底なし沼に足を踏み入れてしまったかのようで、
もはや相手が母親より遥かに年上の熟女であることなど秀作の頭から吹き飛んでいた。
「うおっ、おおおおっ!!」
完全に目覚めた男の本能に突き動かされ、ただひたすら熟れに熟れた粘液まみれの媚肉の味を貪ることだけを考え、夢中で腰を振る。
おばちゃんもまた女──否、一頭の雌になり、獣のような喘ぎ声をあげた。
「あ゛あ゛あ゛ああぁーーーー!!何年ぶりかしら!若い童貞チンポいいわあああーーーっっ!!」
勢いに任せて突きまくるだけの、秀作の稚拙な動き。
若い女なら厭うたかもしれないが、おばちゃんの母性そのものである膣内はそれすらも優しく受け止め、歓喜した。
俗に「腐る寸前の食物こそ美味い」などと言うが、彼女の肉体はまさにその言葉の通りだった。
秀作がピストンするたびに、乳房だけでなく二の腕や腹もたぷたぷと揺れる。
常識的な感覚では決して美しいとは思えないものかもしれないが、今はそれがいっそ艶めかしく見えた。
特に優しく包み込み、時に激しく締めあげ、おばちゃんは確実に秀作を追い立てていった。
「うぅっ、おぁあ…おばちゃぁん!僕、もう出ますぅうう!!」
「いいわよ、そのまま全部出しなさい!おばちゃんのお×こが全部飲んであげるからっ!!」
「あう…お、おばちゃん、おばちゃんっ、イイですうぅ…くっうううう!!!」
「ぉあああ~くるぅ…!小松田君、分かるう!?おばちゃんのお×この中、小松田君の熱いのでいっぱいよぉぉ!!」
すでにその役目を終えているにも関わらず、おばちゃんの子壺は秀作の
青臭い種の全てを絞り取ろうとしているかのごとく激しく収縮し、
絶頂後の倦怠を感じさせる暇も与えない極上の余韻を彼に与えた。

824:事務員のおばちゃん×小松田⑤
07/11/10 19:26:21 fC41fgz9
「おばちゃん、なんて言うか、その…ありがとうございました。
女の人の本物のお×こって、想像してたよりずっとスゴイですねえ…」
秀作が、いつも通りのおっとりした口調で率直な感想を述べる。
その顔には、心なしか行為の前に比べて幾分かの精悍さが宿っているように見えた。
頼りなさが服を着て歩いているような彼だが、男として自信をつけたことが、よい作用を及ぼしたのかもしれない。
「いやねえ、私もいい思いをしたんだからお互い様よ。
…また女の体が恋しくなったらいつでも言いなさい。
間違っても、くノ一の娘っ子達に手を出したりしちゃ駄目だからね」
「分かってますよう。女の子も男の子も、大事なよそのお子さんを預かってるんですから」
「まあ、一丁前に学園の職員らしい口きいて」
慈愛に満ちた表情で目を細めたおばちゃんが頭を撫でてやると、秀作は照れくさそうに笑った。
おばちゃんの心中には、息子の成長を喜ぶ母のような気持と、このまま手なずければ
「逆"紫の上"」も夢ではないかもしれないと舌なめずりする欲望とが相半ばしていた。

825:事務員のおばちゃん×小松田(蛇足)
07/11/10 19:30:33 fC41fgz9
すっかり衣服を整えて表に出たおばちゃんの足が、数歩行ったところでふいにぴたりと止まった。
視線も姿勢も動かさず、しかし確かにそこに感じる気配に向かって言う。
「…吉野先生、覗き見だなんて趣味が悪いですよ。それとも、奥様だけでは満足出来ないでいらっしゃるのかしら?」
まだ何色にも染まりきっていない若い男もいいが、他の誰かのものである男というのもまた魅力的だ。
胸に満ちる新しい期待に、おばちゃんの唇は再び妖艶な笑みを形作った。



短い上に尻切れですがひとまず完。
>>817のイメージと違ってたらすいません。
このスレってわりと何でもアリなかんじだから
読むのも投下するのも楽しいですねw

826:名無しさん@ピンキー
07/11/10 21:01:24 PlSWIGJV
鬼才あらわるwwwww

827:名無しさん@ピンキー
07/11/10 21:55:59 uLnUgVmy
超待ってた!
ギャグだと思ってたら真面目にエロでびっくりしたが面白かった

吉野先生逃げてー超逃げてー

828:名無しさん@ピンキー
07/11/10 23:44:00 WiG5Q3jG
なんぞこれwwww
このスレ作品ごとに空気違いすぎて面白いgjgj!

829:名無しさん@ピンキー
07/11/10 23:48:20 sIBLnOJy
なんなんだいったいwwwwwGJw



それにしても低学年書きの人はたいてい途中で居なくなってしまうな(´・ω・`)

830:名無しさん@ピンキー
07/11/11 01:07:25 gs9Z3ZUh
見てたらなんか書いてみたくなってきた
クオリティが低いのはお約束できるが

女の子か女体化だったらどっちがいい?

831:名無しさん@ピンキー
07/11/11 01:12:55 Tz5vgpvt
最近女体化なかったから見てみたい

832:名無しさん@ピンキー
07/11/11 01:19:40 qHJcR0Ke
熟女を書くのが上手いなら是非、猪名寺夫妻も見てみたいな
しかしなんというかまあ本当に鬼才だwww

>>830
書きやすい方選べばいいよ
女体化はちょっと苦手だが、たまにはいいかも

833:名無しさん@ピンキー
07/11/11 01:27:43 kyRd1kH0
>830
できれば女で。
キャラもリクエストできるなら個人的には里芋行者×ミスマイタケがいいなあ。
女体化は嫌いじゃないが、相当クオリティ高くないと素直に楽しめない。

834:名無しさん@ピンキー
07/11/14 09:23:53 RgiBgFh1
携帯から失礼します

>>829
ゆきさこはいますよー
PCがアク禁食らったのかなんだかよく分かりませんがスレに書き込めないのでちまちま誤字修正しつつ様子見てます
しかしいつになったら書き込めるようになるんだろう……orz<ナニモシテネーヨ

835:名無しさん@ピンキー
07/11/14 10:26:36 boJ4b/w0
「ふたなり」という設定はこのスレではOKなんだろうか?
倒錯的で面白そうな気がするんだが。

836:名無しさん@ピンキー
07/11/14 13:08:35 o1F9IN1o
>>834
がんがれ…OTZいつまでも待ってる

だが、あく禁て解除に半端なくかかるはずだ。

837:名無しさん@ピンキー
07/11/14 19:19:35 K7g7SDm6
誰か美人のお姉さんに変装したきり丸を犯すやつ書いてくれよ

しんべヱ「美人のお姉さんで~す」
きり丸「あっはぁ~ん」
山賊「やんややんや」

これ、わかるな?

838:名無しさん@ピンキー
07/11/14 22:05:46 7Jl1dNhc
>>837
そういうのは該当スレでやってくれよ…
数字とかあるだろ?

839:名無しさん@ピンキー
07/11/15 16:25:03 USCzPbR4
>>838
中身はどうであれ頼む姿勢がな、腐厨の臭いする
露群れ

840:名無しさん@ピンキー
07/11/15 16:42:38 USCzPbR4
アンカ間違えた
>>837だった

>>838さんごめんなさいorz
ROMってきます

841:名無しさん@ピンキー
07/11/15 19:16:50 doSgXziH
>>837
腐女子はそんな事言わない。

842:名無しさん@ピンキー
07/11/15 22:32:58 pmVZvYxs
どうでもいいんじゃないか。

843:名無しさん@ピンキー
07/11/15 23:08:05 R7jjnnfz
女体化はなあ…
巧い人のを一つ二つ読むなら面白いけどあんまり続くと食傷してしまう
ってか、ここはあくまで「エロパロ板」なわけで…
(女体化はノマではなく801の派生形ってイメージが強いんだが)
ナルトみたく女体化(?)がオフィシャルなジャンルならまた違うのかもしれないけど

844:にっきの人 ◆Vkqg3/8uas
07/11/16 03:18:56 NFmeY76D
お久しぶりですノシ
ネタできたので投下します。
以前あったレスに触発されて、潮江とそうこちゃん。
39巻の四コマ参照。まだ前振りだが長い。先も長い。

845:当世忍たま恋愛事情1
07/11/16 03:21:01 NFmeY76D

晩秋の午後、日暮れ間近の夕空を、どんより重く埋め尽くす灰色の雲を見上げ、
雪でも降るかな、と仙蔵は首をかしげた。
霜月も半ばをすぎ、そろそろ風の寒さが骨身に染み入る季節になってきた。
忍びとして、暑さ、寒さに関わりなく行動できるよう、鍛えてはいるが、
どれほど心身を鍛えようと、寒いものは単純に寒い。
ことに、木枯らしが鋭く梢を鳴らし、曇天低いこんな日は、自主鍛錬などさぼって、
布団に潜り込みたくなるのが人情というものだ。
頭まですっぽり布団をかぶり、柑子はまだ早いから、熟れた柿などかじりながら。
たっぷりと熱い茶を満たした土瓶でも、懐炉代わりに傍らに置いて。
それはいいな、と仙蔵はしみじみ思った。寒い日の熱い茶はいいものだ。
身も心も芯から温まる。
熱された土瓶の口から、ほかほか立ち上る淡い湯気を見れば、どんな寒さも忘れられるだろう。
たとえば今、目の前に広がる、薄ら寒いほど珍妙な光景なども。

忍たま長屋の六年生棟。い組の居室が並ぶ一角。
この時期、寒風を避けるため、どの部屋も昼間から障子を締めきっているのが普通だ。
しかしただ一つ、風が吹こうと雪が降ろうと、いつでも戸が開け放たれている部屋がある。
心頭滅却すれば火もまた涼し、ならば同様に、寒さもぬくいと感じるようになるはず。
これも一つの鍛錬だ、というのがその部屋の主、六年い組潮江文次郎の言い分だ。
忍術学園一忍者している、学園一ややこしい男は、学園で五指に入るずれた男でもあった。
今日も開けっ放しの戸のそばで、文次郎はいつものように、こちらへ背を向け座っていた。
まだ日はあるのに、奇妙に薄暗く感じる部屋の中、円座も敷かず、冷えた床板の上に直座りしている。
背中を丸めて床を睨み、なにやら一心に考え込んでいる。隈だらけの目元は、真剣そのものだ。
その隣では、なぜか六年ろ組の七松小平太が、大の字になって寝転んでいた。
もっとも、こちらも鍛錬と称しては、地中深い穴の中で寝たり、炎天下に校舎の屋根で寝たりと
奇行が目立つ人間なので、組違いの部屋の床で寝るくらいは、むしろまともな部類に入る。
ただ一つ問題があるとすれば、その口からもうもうと、雲をもしのぐ黒い煙が出ている点だろう。
戸口に立ち尽くす仙蔵の鼻腔を、煙と火薬の匂い、そして一瞬だけ、なにやら甘い匂いが掠めていった。



846:当世忍たま恋愛事情2
07/11/16 03:23:10 NFmeY76D

「……人間狼煙とは斬新な発想だが、屋内で上げるのはやめてくれ。近所迷惑だ」
口を押さえて咳き込みながら、ずかずか部屋に入り込み、仙蔵は白目をむいた小平太を
足先でつついた。
その口からぼふっと、またひときわ大きく煙が立ち上る。
それはいったん部屋に充満し、視界と空気を濁したあと、やがて開け放たれた障子から、
ゆっくり外へ流れ出ていった。
鴨居をすべり、忍たま長屋中に広がっていくそれを見送り、やれやれと肩をすくめる。
この展開は予想外だ。
そもそも仙蔵が寒い中、潜り込んでいた布団から這い出てここまで来たのは、この煙のせいだった。
午後も早いうちから暖かな布団に潜り込み、甘悪い楽しみを貪っていたのに、突然流れ込んできた
黒い煙に邪魔をされ、とてもうたた寝どころではなくなってしまったのだ。
自堕落な幸福を取り戻すため、仕方なく布団から這い出し、元凶を探りに来たのだが。
まさかそれがこんなところで、小平太の口から出ていようとは。
いやまったく、予想外だ。
まあ実のところ、誰の口から出てようと尻から出てようと、かまわないし興味もない。
仙蔵としては、ただこの煙が止まって、また呑気なうたた寝が楽しめればいいのだから。
ともかく原因はわかった。さてどうする。外に放り出すか、口に布でも詰めてみるか。
だがこの勢いだ、その程度では治まらないかもしれない。なんといっても土台が小平太だし。
口を塞いだら、今度は耳から出てくるかも。

おや、それはちょっと面白いぞ?

気絶して転がる友人を、思わずまじまじと凝視する。
そっと手を伸ばした仙蔵を、振り返った隈だらけの三白眼が、ぎろりと睨みつけた。
「なにが人間狼煙だ。そんな理不尽な術がどこにある、アホたれが」
「お前にアホといわれるとは、嫌な世の中になったものだなあ」
「だまれ悪魔。原因知りたきゃ教えてやる。これだ」
大げさに肩をすくめる級友に、文次郎は見下ろしていた床から掬い上げた塊を
ぽいと投げつけた。
反射的に受け止め、手の中を見下ろして、仙蔵はかすかに眉をしかめた。
「まんじゅう?」
それは、皮の白さも艶やかな、小さなふかし饅頭だった。
形は小さいが、ふかふかと柔らかく、そのわりにずっしり重い。皮は薄く、中の餡の
甘い色が透けている。実にうまそうだ。
よく見れば同じものが、文次郎の膝元に山盛り積み重ねられていた。
饅頭からバッタまで、口に入れば皆いっしょのこの男にしては、珍しくいい物を
持っているじゃないか。
なんとなく感心しながら、鼻を寄せて匂いをかいでみる。
辺りに満ちた火薬と煙の匂いに混じり、ふわりと甘い香りが漂った。
「これがどうした?」
「中に火薬玉が入ってる」
ぼそりと低い声に、さっと顔を離して級友を見やり、仙蔵は続けて足元を見下ろした。
相変わらず白目をむいて、もくもくと煙を吐く小平太をしばらく見つめる。
「いいんじゃないか。鉄粉お握りよりつかえそうだ」
「俺が作ったんじゃない。さっき廊下を歩いてたら、通りすがりのくのたまに食えと渡されたんだ」

いたずらにしちゃあタチが悪いから、一応先生にいっとくかと考えてるんだが、と、
不機嫌に呟かれたその言葉に、今度は目を見張って級友を見つめる。
やがて仙蔵は、ため息をつきながら首をふった。



847:当世忍たま恋愛事情3
07/11/16 03:25:16 NFmeY76D

「死に急いだな会計委員長。くのいちの恨みを買うとは愚かなことを」
半分だけ憐れみをこめた視線に、文次郎がぎょっと目を見開いた。
「はあ!?なにを言いだす!俺は何にもしとらんぞ!」
「嘘つけ。じゃあなんで火薬玉饅頭なんぞ渡されるんだ。お前にだったんだろう?」
「知らん!こないだ、足音で重量測定する法を復習してた時に会った奴が、殴っちゃってごめんなさい、
これお詫びです食べてくださいとか言って押し付けてきただけだ!」
「明らかにそれが原因じゃないか。可愛い台詞にだまされおって、奴らの常套手段だろうに。
だいたい、忍術学園で抱かれたくない男ぶっちぎり一位と言われるお前が、もてることなどあるはずが」
「変な異名をつけるんじゃねえ!それにくのいちの言うことなぞ、真に受けとらんわ!」
「どうだかな。やれやれまったくこのバカたれめが、女の体重など調べるのがそもそもの……
ん?待てよ、それでどうして小平太の口から煙が出るんだ?」
「ちょうど部屋の前で穴を掘っていたんでな。言ったろう、くのいちから渡されたものを、
いきなり食うほど俺は抜けとらん。まずは毒見が鉄則だ」
「ああなるほど、小平太なら不死身だし適任だなっていやいや」

ケンゴシくらいかと思ってたが、火薬玉とは予想外だった。侮りがたしくのいち。
悔しそうに吐き捨てる文次郎に、仙蔵はあきれ果てた視線を向けた。
「怪しいとわかってるものを友達に食わせたのか。実にひどい奴だなお前は」
「お前にひどいと言われるたあ、嫌な世の中になったもんだ」
「お互い様だ」
「まあいい。そういうことならそれでもかまわん。ようし、くのたまだろうが剣豪だろうが、
この潮江文次郎を敵に回す気ならば容赦はせんぞ。相手になってやる、返り討ちだ!」
「菓子折りもって謝りに行ったほうが、面倒がないと思うがな」
煙だらけの部屋の中で、気勢を上げる文次郎を横目で眺め、仙蔵はひとつ大きくあくびをした。
「で、いったい誰に恨まれたんだ?お前が体重量ってしまったのは、どの子だ」
何気ない言葉に、ギンギンと吊り上っていた文次郎の眉が、ふと寄った。
手元の饅頭を拾い上げ、ためつすがめつ眺めながら首をひねる。

「それが、よくわからん」
「わからんって」
「くのたまどもとはあまり関わらんからな。顔は覚えているんだが。ほれ、なんか眉と足の太い、
くのいちのくせに色気がなくてガキっぽい……ギョーコだったかソースだったかそんな名前の」
「……まだまだいろんなところで、女の恨みを買ってそうだなお前は」

天井を仰いでため息をつくと、仙蔵は文次郎に向け、面倒くさそうに饅頭を投げ返した。
はあ?と眉をしかめる級友から目を逸らし、返す手で、未だ煙を吐き続ける小平太の足をつかむ。
当初の目的を果たすべく、薄闇の迫り始めた部屋から人間狼煙を引きずり出しながら、
仙蔵は口の端を吊り上げ、部屋の主の顔を見返した。
「やるなら一人でやれ。あと、当分の間は私に近寄るなよ。巻き添えを食うのはごめんだからな。
まあ、墓穴くらいは掘ってやってもいいが。綾部に頼んで」
「言われんでも近寄るかあ!」
「うわ!ばかやめろ!」

くわっと歯をむき、両の拳を握り締めた文次郎の手の中で、二つの火薬玉入り饅頭が
勢いよく破裂した。



848:当世忍たま恋愛事情4
07/11/16 03:27:23 NFmeY76D

「……なんかまた、煙が上がったわよ~」
「今度こそ文次郎先輩が食べた?え、握りつぶしたの?」
「やだ、仙蔵先輩アフロ」

くのいち教室の屋根の上で、色とりどりの忍び衣装が、花のように揺れている。
いくつも上がる黄色い声に、寒風吹きすさぶ晩秋の夕暮れ空さえ、明るくなるようだ。
「なかなか狙い通りには行かないわねー、そうこちゃん」
ぺたっと屋根に張り付き、忍たま長屋へ向けた遠眼鏡を覗き込むトモミの声に、
少し後ろで座り込んでいたそうこが、はっと顔を上げた。
少年めいた凛々しい顔の中で、つり気味の目が困ったように伏せられる。
「あー、うん、そうね」
「ばれちゃったし、次はどうしようか。落とし穴でも掘る?」
「確実にしとめる手を考えないと。文次郎先輩って丈夫そうだから」
「女の子の体重、勝手に量るような不埒者には、重ーい罰を与えないとね」
二度とやる気が起きなくなるくらい。
みかの低い呟きに、屋根に張り付くくのたまたちが一斉にうなずいた。

「そうこちゃんが怒るのは当然よ。これじゃおちおち廊下も歩けないもの」
「噂じゃ一匁単位で当てるって言うじゃない。しかもかなり正確に」
「それは抹殺しないとだわ……」
「みんなで協力するからね。頑張ろうねそうこちゃん!」
「でも火薬玉饅頭って使えるわね。あたしも今度作ってみよう」
「あたしはやっぱり毒饅頭かな」

再び、きゃぴきゃぴきゃっきゃと笑いさざめきだした少女達の群れからそっと離れると、
風の中、そうこは一人、小さくため息をついた。

どうしよう。みんな誤解してる。
本当は、ごく普通の饅頭を作ったつもりだったとか。
それどころかそもそも自分は、文次郎に恨みなんか抱いてないなんて、今さらいえない。
むしろ抱いているのは、もっと別のものだなんてことも。

そうこが、忍たま六年の潮江文次郎と口をきいたのは、先日廊下で図らずも、
体重を量られてしまった時がはじめてだ。
だが実は、文次郎のことはその前から知っていた。
というか、ずっと追いかけてきたのだ。こっそりとだが。
最初は周りと同じように、変人で有名な六年生を引き気味に見物していただけだった。
だが、面白がってずっと見ているうちに、実は意外に頼りがいのあるところや、真面目一徹で
努力家なところなどが、なんだかだんだん、かっこよく思えてきてしまったのだ。

そうこ十一歳、思春期の盲目的な初恋、到来であった。



849:当世忍たま恋愛事情5
07/11/16 03:29:48 NFmeY76D

あんなのに、あたしどっかおかしいんじゃない、と悩んだこともある。
くのたま間では絶大な不人気を誇る文次郎だ。言ったら自分も引かれそうな気がして、
友達に相談することもできない。
千々に乱れる思いに、一人ため息をついた夜もあった。
とはいえ、男子忍たまとはめったに顔を合わせる機会もないし、そもそも相手とはまともに
口をきいたこともない。遠くからときどき眺めるだけでも、それなりに満足できていたのだ。
あの、体重事件が起きるまでは。
その場では恥ずかしさや驚きで、思わず殴り飛ばしてしまい、あとで悔やんだそうこだったが、
逆にこれをいい機会にできないかと考えなおした。
お詫びを口実にすれば自然に話もできる。それどころか、うまくやれば今よりも、親しく
なれるかもしれない。
いけるんじゃない!?と、うきうきしながら饅頭を作り、待ち伏せて、何とか渡すことに成功した。
まではよかった。

普通のものを作ったはずなのに、なんで饅頭の中に火薬玉が入ってしまったのか。
それはそうこにもわからない。くのいちの本能かもしれない。
こっそり行動していたはずなのに、饅頭を渡すところを友達に見つかってしまったのも誤算だ。
さらには、誤解が誤解を呼んでいつのまにか、そうこを中心とした文次郎征伐隊が
結成されてしまったのは、計り知れない大誤算だった。

「さすがにもう食べないわよねー」
「あ、伊作先輩と不運委員たちが来た」
「戻ろうか、寒いわ」
「明日からの計画も練らないとね」

すっかり暗くなった屋根の上で、花色の忍び衣装がそろそろと動き出した。
一番後ろでのろのろと動きながら、そうこはまたため息をついた。
文次郎が食べなくてよかったが、絶対自分が意図的に火薬玉を入れた、と思われているだろう。
誤解を解きたいが、この状況ではどうすればよいやら。考えるだけで気が重い。
ついでに自分があげたものを、火薬玉が入っているとは知らないはずなのに、文次郎が
先に他人に食べさせたことにも、実はちょっと落ち込んでいる。
そりゃ、食べ物は毒を疑えが忍者の鉄則だけど。
そういう、忍者忍者したところがいいと思ってるんだけど。
夕暮れの風は、肌身より心に冷たく吹きつける。またため息をついて縄梯子に手をかけたところで、
誰かにぽんと肩をたたかれた。
「そうこちゃん、風邪でも引いた?」
なんかさっきから元気ないけど、と心配そうに覗きこんできたのは、同じくのたまのユキだった。
色の薄いふわふわした髪が、強い風になびいている。くるりと目の丸い、人形のように愛らしい
その顔を思わず見つめ、そうこはあわてて首を振った。
「え、別にい!?」
「そう?」
「うん!ほら、ユキちゃんも行こう。本当に風邪引いちゃうよ?」
すばやく目を逸らし、ごまかすように笑いながら、すごい勢いで縄梯子を下りていく友達を見送る
ユキの眉が、いぶかしげに寄った。
風に乱れる髪をおさえ、忍たま長屋に目をやり、梯子を降りる友達を見下ろし、また長屋を見る。
一番星より明るい目が数回、不思議そうに瞬いた。
やがて梯子の下から、なにしてんのユキちゃん、と呼ぶ声が聞こえた。生返事を返し、一つ首を
かしげると、ユキもまたゆっくりと、屋根から降りていった。

人気のなくなったくのいち教室の屋根を、昇りはじめたばかりの月光が淡く照らす。
冴え冴えとした光の中、忍たま長屋の六年棟で、軽快な破裂音と甲高い悲鳴が、
今日の名残のように響き渡った。




850:名無しさん@ピンキー
07/11/16 06:54:11 K59YHkhd
>>844
久し振りですGJ!!
前フリが文学チックなのは作法クォリティww



>>843
需要があるのも事実だし、要するに縛りや薬と同じ感じな特殊シチュなんだから注意さえあれば良いジャマイカ

851:名無しさん@ピンキー
07/11/16 08:47:41 QpGFy9E+
gjgjgj!!

続き期待してるよ!

852:名無しさん@ピンキー
07/11/16 11:55:35 dbWzJW6J
>>にっきの人
相変わらずGJです!!!
終始煙を吐き続ける小平太バロスwwww

853:名無しさん@ピンキー
07/11/16 21:06:53 qqXpcIxn
>850
>要するに縛りや薬と同じ感じな特殊シチュなんだから注意さえあれば良いジャマイカ

いや全然ちがうよ
男×女と男×元男じゃん・・・

854:名無しさん@ピンキー
07/11/16 21:37:48 K59YHkhd
>>853

それ違うと捕らえる人と捉えない人が居てだな…いい加減ループなスレ違いネタだから嫌なモノはスルーすれば良い。

因みに俺はスルー

855:名無しさん@ピンキー
07/11/16 23:26:52 +2tTB1l9
いっそのこと、女体化専用スレでも作ればいいんじゃまいか

856:名無しさん@ピンキー
07/11/17 01:05:42 Mds+HEBx
>>844 おお… 続きが待ちきれない!

857:名無しさん@ピンキー
07/11/17 14:21:52 jq/fzVXa
>>844
お久しぶりですにっきの人!!そうこちゃん可愛いよハアハア
15歳と11歳の恋か~、現代では想像しにくいけどこの時代ならアリか。
続きが楽しみで待ちどおしい!!


858:名無しさん@ピンキー
07/11/17 21:41:22 NpWKFfPC
文次郎のセクロス拝めるのでしょうか
見たいような見たくないような…ギンギーン

859:名無しさん@ピンキー
07/11/18 10:37:41 cNbVJcRl
にっきの文次郎の修行の成果を考えると、そうこちゃんが心配です。

860:名無しさん@ピンキー
07/11/18 21:30:53 4jOvcoPY
硬度と持久力と破壊力だっけ?
そうこちゃんにげてーーー!!

861:名無しさん@ピンキー
07/11/21 13:00:28 kVOjn5ZQ
前回の日記シリーズと繋がってるとしたらその問題があったな。
まあこの場合は別シリーズと考えた方がよさそうだが。

むしろ文次郎の場合、「くのいちに惑わされる訳にはいかん!!」とか言って
折角のお誘いも断りそうだ。頑張れそうこちゃん!

862:名無しさん@ピンキー
07/11/21 13:19:47 iQrJdI58
潮江に惚れるとは、そうこちゃんも勇者だな

863:名無しさん@ピンキー
07/11/22 22:29:32 G5g0h/ti
>おや、それはちょっと面白いぞ?
>「ああなるほど、小平太なら不死身だし適任だなっていやいや」
アクエリアス返せw

864:名無しさん@ピンキー
07/11/23 19:57:45 VhG+YqUU
圧縮きたら困るので保守してみる。

865:名無しさん@ピンキー
07/11/23 20:34:47 HJdV4joG
ageなきゃ意味ない罠。

それにしても案外冷静ない組ワロスwww

866:きり丸
07/11/24 02:48:30 qZGEqcNr
>>73

> 「……気持ち良かったかい?」
> 「せ…んせ…い… わたし… 何で…?…」
> 「身体が大人に近付いてきてる証拠だよ。これからの修行はもっと
> 厳しいものになるから、覚悟して。
> 身体が成熟してくるとどうしても肉の欲が強くなる。
> でもそれに溺れてちゃ一人前のくの一には到底なれない。」
> 「は…い…」
> 「…大丈夫。僕たちがしっかり教えて行ってあげるから。」
> 「はい、お願いします…!」
> 「じゃあ、次、トモミちゃんだから… 呼んでおいてくれるかな?」
> 「はい! わかりました! 失礼します!」

867:名無しさん@ピンキー
07/11/24 10:58:38 fGWfSrWw
きり丸は何がしたいんだw

868:名無しさん@ピンキー
07/11/26 00:32:54 pgRcjWn3
>>866
バロスwwww

869:当世忍たま恋愛事情6
07/11/28 00:42:45 utI5D67y

続きです。

>>861
うんにゃ、繋がってるw



忍術とは、突き詰めれば諜報活動に他ならない。
武術、戦術と修学内容は多岐にわたるが、学園でもっとも重きを置かれているのも、
情報収集に関する授業だ。
それ故、忍術学園の生徒は普段から、学園内外のあらゆる情報に意識を傾けるくせがついている。
だから、六年い組の地獄の会計委員長、潮江文次郎が、くのたまといさかいを
起こしているらしい、という話も、瞬く間に学園中の人間の知るところとなった。



その日、放課後の会計委員室は、一種異様な空気に包まれていた。
秋の後期決算の真っ只中、呑気におしゃべりできる状況でないのは確かだが、部屋に満ちた
沈黙の深さは異常なほどだ。
そろばんの玉をはじく軽快な音も、息がつまるような重苦しさを晴らす助けにはならない。
物理的な圧力さえ感じさせるそれに、ひそかにため息をつきながら、田村三木ヱ門はそっと
部屋の中を見回した。

一年い組の佐吉は先ほどから、筆を握ったきり、青くなってじっと下を向いたままだ。
は組の団蔵はうろうろと目線を泳がせてばかりで、手の方はすっかりお留守になっている。
三年ろ組の神埼左門は、出来上がった計算結果を一心不乱に用紙に写しているが、何故かそろばんを
見つめたままなので、書き込みが全部ひとマスずつずれている。
そして会計委員長、潮江文次郎は、普段以上に隈の浮かんだ目を吊り上げ、恐ろしいほどの速度で
そろばんの玉をはじいていた。

弾かれるひと玉ごとに、沈黙が深まる。
墨の一文字ごとに、重苦しさが部屋に広がる。
委員長の一挙手一投足で、胃がきりきりと軋む。
もはや耐え難いほどに高まった緊張感の中、便所に行くふりをして逃げ出そうか、だが優秀な
上級生として、下級生を見捨てて逃げ出すのはあまりに無責任か、と三木ヱ門が悩み始めたとき、
唐突にそろばんを弾く音が止まった。
「田村。手がとまっとるぞ」
なんで自分だけ怒られるんだと思いながら、ほとんど反射的にすみません、と頭を下げる。
ふんと鼻を鳴らして室内を見回し、一斉に目を逸らした下級生達を睨んで、文次郎はまあいい、と
横を向いた。
「そろそろ休憩にするぞ。そうそう、お前ら饅頭でも食わんか。差し入れだ」

ほれ、と突き出されたそれを見た瞬間、これまでに倍する緊張感が、室内を駆け巡った。
委員長が自分の傍らから取り上げたのは、花柄の大きな風呂敷包みだった。武骨な手には不似合いな、
異様に可愛らしい模様が目に痛い。
無表情な文次郎の手の下で、ゆさゆさと重く揺れるそれを見て、佐吉が涙を浮かべて後ずさった。
団蔵は身を乗り出し、左門がきりりと肩をすくめる。
委員会の開始前、さりげないふりをして文次郎が持ち込んだそれこそが、この日、会計委員室を
沈黙と緊張の重圧に落とし込んだ、元凶だったのだ。


870:当世忍たま恋愛事情7
07/11/28 00:44:50 utI5D67y

「……忍道の第一は、いかなる手段を用いようと任務を果たすことにある。知っとるな」
「はあ」
突然始まったご高説に、三木ヱ門は思わず間の抜けた声を返した。
いったいなんだと、下級生達も背後から顔を出す。
文次郎の眉間の皺が深まった。
「果たすための第一は、まず自身が生き延びることだ。そのためには草を噛み、泥水をすすることも
厭うてはならん。いや、いざとなったら毒の入った食い物でも、栄養に変えねばならん」
隈だらけの目が、くわっと見開かれた。
「だから忍者は普段から、体を毒に慣れさせておく必要があるのだ!」
声にならない悲鳴が、会計委員室を震わせた。

「やっぱりそれ、くのいちが作った毒入り饅頭なんですね!?」
「安心しろ、致死量でないのはすでに小平太で確認済みだ。味は普通の饅頭だし、毒消しも用意した」
「ちっとも安心できません!」
「ひどいや、なんで嘘なんかつくんですか!ただの饅頭って言ったくせに!」
「それは毒入りか判別する鍛錬も兼ねようとだな……本当のこと言ったらお前ら喰わんだろうが!」
「当たり前です!」
「後輩を鍛えてやろうという、先輩心をなんだと思っとる!いいか、こういう時は発想を逆転させろ。
これは毒ではない。我ら会計委員の鍛錬のため、敵から送られた塩なのだ!」
「くのいちが敵なのは先輩だけです!」

むしろ先輩が敵です、とはさすがに口に出さず、三木ヱ門は背中にへばりつく下級生ごと、
後ろにずり下がった。
逃げる会計委員たちを追いかけて、じりじりと文次郎が迫る。
大股に長机を乗り越え、手には饅頭の包みを揺らし、ぎらぎらと目を輝かせるその顔は、悪鬼羅刹も
裸足で逃げ出しそうなほどだ。
もはや毒より委員長が怖い。
左門の口からひええ、と悲鳴が上がった。一年生二人はとっくに泣き出している。
両耳から交互に入り込んでくる甲高い泣き声が、三木ヱ門の鼓膜を苛んだ。

ああ、ここに鹿子かユリコがいてくれたら。
迫りくる恐怖の中、切ない願いが三木ヱ門の心を駆け抜けた。

「一年ボーズでも、一人三つまでは大丈夫だ。俺や田村なら六つはいけるぞ」
「遠慮しますお一人でどうぞ!」
「四の五の言わんと食え、余ったらもったいないだろうが!」
「食べきろうってほうがどうかしてます!」
「お残しは許しまへんでえ!」
「先輩キャラが違う!」

ごつ、と鈍い衝撃が背中を走った。左門がぐえ、と声を上げる。ついに壁際まで追い詰められたのだ。
潰されたか、団蔵のうめき声も聞こえるが、振り返ることもできない。
鼻息すら届きそうな距離で、文次郎がにやりと口の端を歪めた。風呂敷包みの中から取り出した饅頭を、
ことさらゆっくりとこちらに差し出す。
見た目はほこほことうまそうなのが、却って恐ろしい。
「年功序列だ。お前からいけ」
前門の上学年、後門の下学年。中間管理職の中学年に、もはや逃げ場はない。
泣き叫ぶ一年生の声が渦巻く、会計委員室の外でカラスが数羽、なにかの予兆のように
しゃがれた鳴き声を上げた。


871:当世忍たま恋愛事情8
07/11/28 00:49:05 utI5D67y

図書室の前を通りかかったところで、突然かけられた声に、六年は組の食満留三郎は振り返った。
開いた扉から、六年い組の立花仙蔵が顔をのぞかせていた。
にこにこと、妙に機嫌のいい笑みを浮かべ、両手にはなにやら大きな荷物を抱えている。
うろんに見返す食満に、仙蔵はいや助かったと笑いながら、持っていた荷物の片端をぐいと押し付けた。
「すまんがこれ、いっしょに持ってくれ。一人では少々重くてな」
「……俺は委員会に行くところなんだが」
「私もだ。これは作法委員の備品でな。どうせ方向は同じじゃないか、手伝え」
一瞬、蹴り飛ばして先に行こうか、という考えが心を掠めたが、気を取り直す。
なんだかよくわからないが、これが委員会用の備品なら、どうせ管理するのは用具委員である自分だ。
壊しでもしたら面倒くさい。
黙って差し出された一端をつかみ、歩き出した食満を、相変わらず機嫌のいい顔の仙蔵が追った。

晩秋にしては暖かな日差しが照らし出す、放課後の廊下は行きかう生徒でいっぱいだった。
一年生から六年生まで、色とりどりの制服の間をすり抜けながら、食満はふと仙蔵を振り返った。
どうしたと言いたげに見返す生白い顔に、抱えた荷物を揺すり上げる。
「ところでこれは、いったいなんだ」
「先ほど言った通り、作法用のフィギアだが」
「なんで作法のフィギアに手足がついてるんだ?」
「顔だけでは不便だろう」
不可解な仙蔵の言葉に首をかしげ、食満は改めて自分の手元を見下ろした。

面に胴体、手足までついたそれは、人間の姿をしていた。ひどく精巧な出来だが、しかし作法用の
ものにしては、武将や雑兵には見えない。
顔つきや体つきが、どう見ても女だ。
目鼻は刺繍だが、口はぽかんと穴が開いており、奥深い。なにでできているのか、表面は弾力のある
手触りのいい素材で、なぜだか妙に暖かかった。聞けば、湯が入っているのだ、という。
「何しろ寒くなってきたからな。しもやけになっても困るだろう。夏場は冷たいのもいいかもしれんが」
派手なこしらえの小袖の、胸元や腰周りを大胆に盛り上げ、長い髪をゆらゆら揺らすそれを、
通りすがりの一年生達が興味深げに見送っていった。

「図書室にあった南蛮渡りの持ち出し厳禁文書を元に、長次と私が私財を投じて作り上げ、
先ほど完成したところだ。美術監修に小平太、専門知識提供に伊作の協力も得ている。
手触り、弾力、内部の構造および繊細さ、すべて天下無敵の出来映えだぞ」
「お前らは何をやっとるんだ」
「ちなみに名前は、南極三号さんだ」
うまくできたから、とりあえず委員会の後輩に見せてやろうと思ってな、と笑う仙蔵の顔は、
子供のように無邪気で得意げだ。
意外にいい先輩なところもあるんだな、と、食満はこっそり感心した。
「授業内容にどうやって組み込ませるかが難しいところだが、駄目なら作法の裏備品に……だがせめて
予算会議は通したいところだ。文次郎に賄賂代わりに貸し出してみるか……」
でも壊されそうだしなあ、と、そっとフィギアの足を撫でる仙蔵を、食満はまた振り返った。
仙蔵の言葉に、ここしばらく、気になっていたことを思い出したのだ。

「文次郎といえば、奴がくのたまといさかいを起こしているというのは本当か?」
三号さんを見つめていた仙蔵の吊り目が、おかしそうに瞬いた。
「ああ。奴らしい、実にアホらしい理由でな。食堂がお手伝いの名の下に占拠されて、毎食毒を
盛られるもので、ここしばらく奴の食事は池の蛙ばかりだ」
「食事を押えられるのは厳しいな……。しかしさっき、饅頭抱えて歩いているのを見かけたが」
「部屋の前にあったやつだろう。他から隠れるみたいにして、ときどきこっそり差し入れがあるんだ。
詫びの文章が着いているそうだが、食堂のものより何より、それが一番毒性が強いらしい」
おかげで小平太はすっかり医務室の常連だ、と笑う仙蔵に生返事を返し、食満は少し足を速めた。

同級生の災難は自業自得のようだし、周囲に影響を及ぼすものでないなら、放置しておいていいだろう。
武闘派で通ってはいるが、基本、食満は保守的な男なのだ。


872:当世忍たま恋愛事情9
07/11/28 00:51:21 utI5D67y

「捨てるのももったいないから、リサイクルするといっていたが、何に使う気なのだろうな?」
首をかしげる仙蔵を促し、抱えたフィギアの生暖かい肩を揺すり上げる。
歩きながら、食満はもう一つ気になったことを聞いてみた。
「ところで仙蔵」
「なんだ」
「これは、なにに使うものなんだ?」
「……知りたいか?」
背後でふと、笑う気配がした。
「ではうちの後輩と一緒に教えてやろうか。ああ、それはいいな。ぜひそうしろ。なに気にするな。
お前には秋口に、随分世話になったからな」

今度は私が、指導してやろう。

暖かな日差しの下だというのに、突然冷たいものが食満の背筋を駆け上がった。
本能的な危機感が胸を横切った。反射的に手裏剣を探りかけた手を、意思の力で必死に押しとどめる。
手のひらに、じわりと冷たい汗が吹き出した。
どうしたと軽い調子で声をかけられたが、何故か、振り返ることが出来ない。
しっかりしろ俺、何を怯える。振り返り、ただ一言、それはどういう意味だと問えばいいだけだ。
だがそれが、何故か、どうしても出来ない。
背後から薄ら寒い笑い声が聞こえてくる。それは低く、長く、食満の心臓をえぐっていった。



放課後の廊下を走りながら、そうこはああどうしよう、と、何度目かのため息をついた。
この数日の間に、乙女の自尊心を無残に踏みにじる、忍たま潮江文次郎成敗すべしの声は、
くのいち教室内でいよいよ高くなっていた。
それに伴い、くのいちご自慢の各種罠や毒物が、次々と彼の六年生に襲いかかっている。
相手はさすがに六年生、大概の罠は突破され、文次郎に被害が及んでいる様子はないのだが、
それでも面倒をこうむっているのは確かだ。
何より文次郎からすれば、そうここそが一連の災害の首謀者に見えているだろう。
好きな人にそんな風に思われている、と考えるだけで、気が滅入った。
そんなつもりじゃないのに。誤解を解きたい。だが、自分のために懸命な(半分以上楽しんで
いるのだろうが)友達に、なんといえばいいのか。
二つの思いの間で、引き裂かれそうなこの頃のそうこだった。

障害は、乙女心をさらに燃え上がらせる重要な要素だ。
ちょっとだけ、なんだか浪漫ちっくな展開だわと思ってしまうのは、思春期ゆえと勘弁して欲しい。

それでもせめてもの詫びのしるしに、と、せっせと饅頭やお握りを差し入れしているのだが、
悲しきはくのいちの習性、どうしてもそこに、毒やかんしゃくだまを入れずにはいられない。
気づくのはいつも、渡してしまった後だ。
そうして日々、誤解は深まっていく。
今日も、今度こそと気合をこめて作った饅頭に、ちょっとヤバイ系の毒物を仕込んでしまったことに
気づいて、一人慌てているそうこなのだ。

今日は、謝ろう。
今までみたいにこそこそ物だけ置いていくんじゃなくて、ちゃんと正面から謝ろう。
恥ずかしいし、怒られるだろうけど、嫌われるかもしれないけれど、ちゃんと誠心誠意謝ろう。
好きだとはいえないまでも、それで何とか誤解をとくのだ。
とりあえず、相手が饅頭をうっかり口に入れる前に。
穏やかな秋の陽光を切り、廊下を駆け抜け、柵を飛び越し、校舎内に到達する。この時間なら
文次郎はおそらく委員会のはずだ。
会計委員室はどこだったろう、と焦りながら廊下の角を曲がったところで、目の前に大きな影が
立ちふさがった。
反射的に飛び退り、思わず構える。そこでそうこははたと息を呑んだ。
目の前に、目の周りだけでなく顔までどす黒く染めた、文次郎が立っていた。


873:当世忍たま恋愛事情10
07/11/28 00:54:08 utI5D67y

「し」
おえ先輩、と言いかけた言葉が途中で止まる。想い人の予想外の登場に、心臓が激しく高鳴った。
顔が熱くなる。目の前がぐるぐる回りだす。
こんなことじゃくのいち失格だ。あたしって本当に恋する乙女、と妙な感動が頭の中を駆け巡った。
文次郎のほうといえば、腹を押え、うつむき加減に立ち尽くしたまま、ぼんやりした目で
そうこを見ているだけだ。そこには特別の感情はない。
呆然と立ち尽くすそうこからすぐに目を逸らし、二、三歩進みかけたところで、その足が止まった。
「……結果確認にきたのか、くのたま」
しゃがれた声に、今日も渋いわ、と、また心臓が高鳴った。
「え」
「饅頭の効果を確かめにきたんだろうが。最初のも、昨日置いてったのもお前だろう」
「あ、あたしのこと、覚えててくれたんですか?」
「忘れるか」
世界のどこかで、軽やかな音楽が鳴り響いた気がした。心ごと、体が宙に浮かび上がる。
いや待って、と、慌ててそうこは気を取り直した。この顔色からしてこの人は多分、毒饅頭を
口に入れたのだ。まず謝らないと。いやその前に解毒剤を。

あたしの作った饅頭食べてくれたんだ、と、再びずれた感動がそうこを襲った。

「……小平太は駄目だ、用量判定には規格外すぎる……あいつはせいぜい、毒見までだ」
「あの、先輩もしかしてお饅頭食べてくれたんですか?」
ぶつぶつと何かを呟きながら、またよろよろ進みはじめた文次郎が足を止め、振り返った。
うららかな秋の日差しの中、どす黒い顔が異様に沈んでえる。
そこに、壮絶な笑みが浮かんだ。
「食ったとも。ほぼ無味無臭な上、餡の甘さで舌の感覚もごまかせる。毒も仕込みもいい選択だ。
かなり効いたぞこのやろう」
褒められた。
またもや浮かび上がりかけた心のまま、上ずった声でそうこは続けた。
「本当ですか!?」
「おう、おかげで会計委員は全滅だ。どけ。保健室に追加の毒消し取りにいかにゃならんのだ」
いそがんと田村がやばい、とまたぶつぶつ言いながら、足を引きずるように歩き出した文次郎を
そうこはしばし、ぽかんと見つめた。

会計委員全滅。
そうか、後輩にもあげたんだ。
別にいいんだけど。一人で食べるには多すぎたし。
うん、意外と後輩思いなのね。新しい一面が知れて得したじゃない。

少しだけ沈んだ心を抱えて、またはたと気を取り直す。
忍びの心得も忘れてばたばたと、廊下を踏み鳴らして文次郎に駆け寄る。胡散臭そうな目にも負けず
前に回りこむと、そうこは必死に言い募った。
「あの、毒消しとりに行くならお手伝いします!ううん、あたしが取って」
「いらん」
返答は、無残なまでにはっきりしていた。
顔色が悪いにもかかわらず、見下ろしてくる文次郎の目はぎらぎらと、恐ろしいほどに輝いている。
そこにはやはり、なんの感情も伺えなかった。
「毒消しのふりして毒を仕込まれたらたまらん。くのいちなんぞ信用できるか」
どけ、と短く言い捨て、軽くそうこを押しのけて歩き出す。
よたよたと進んでいく後姿を、そうこはもはやかける言葉もなく呆然と見送った。

怒られるのも、怒鳴られるのも覚悟していた。
だがこんな風に、完全に拒絶されるのは、それよりもはるかにつらい。
されても仕方ないことをしたのだから、しょうがないのだけど。


874:当世忍たま恋愛事情11
07/11/28 00:56:15 utI5D67y

もう一度声をかける勇気も湧かず、きびすを返す。
いたたまれなかった。ひどくこの場から、逃げ出したかった。
そういえば謝ってない、という思いが心を掠めたが、足を止めることは出来なかった。
だが数歩進んだところで、おい、と低い声に呼び止められた。
振り返ると、文次郎がじっとこちらを見ていた。
どす黒い顔の中で、焦点のぼやけた目がそうこを見つめている。一瞬、再び胸が高鳴ったが、
だが何故か視線が合わない。
文次郎はじっとそうこを見つめていた。正確にはその、廊下を踏みしめた足元を。
深々と寄せられた太い眉が、かすかに吊り上る。
「お前、この前より太ったか?」

心の中で、何かがぴしりとひび割れた。

「……なによバカー!」
廊下の真ん中で、ほうろく火矢が炸裂した。普段ならどうということもなかっただろうが、
毒に冒され動きの鈍い文次郎は、それを真正面から受けてしまう。
廊下の隅まで吹っ飛んだ六年生にとどめの棒手裏剣を打ち込み、そうこは煤で汚れた忍び装束の
袖で、ぐいぐいと顔を拭った。
「なにそれ、そんな言い方することないでしょバカ!無神経!謝りにきたのに!」
「ちっとも謝ってねえだろうが!」
「言わせてくれないんじゃない!」
廊下にへばったままだが、さすがに手裏剣は打ち返し、怒鳴り返す文次郎にそうこも怒鳴る。
方々の教室から、なんだなんだと顔を覗かせた数人の生徒が、流れる火薬の匂いに慌てて顔を引っ込めた。
「毒盛っといて何を抜かすか!」
「わざとじゃないわよ!だからここまできたんじゃない!だいたいなんで今体重の話なわけ!?」
「体重舐めるな、忍びにとっては重要だぞ!そもそも忍び込みにしろ体術にしろだなあ……」
「そんな話してんじゃないわよ!あたしはただごめんなさいって」
「ああ?今度は何の作戦だ?俺はそう簡単には引っかからんぞくのたま!」

謝りにきたはずなのに、なんであたし、怒鳴りあいなんかしてるんだろう。

先ほどから、拭っても拭っても流れてくるものは、決して火矢の煙が原因ではない。
でも相手にはそう見えてるんだろうな、と、そう思ったらまた袖が濡れた。
「もういい、なによバカ潮江!ばかモン!」
「先輩をつけんか下級生!」
ぼーんと間抜けな音を立てて、煙玉が破裂した。
廊下に並ぶ教室のあちこちで、咳き込む声と窓を開ける音が響く。
白く風を濁す煙に紛れ、くのいち教室へと走りながら、情けなさと悔恨と絶望に、
そうこは何度も顔を拭った。


875:当世忍たま恋愛事情12
07/11/28 00:58:34 utI5D67y

曲がり角から、白く煙った廊下の様子を伺い、どうやら終わったようだと食満はため息をついた。
隣で南極三号さんを背にかばった仙蔵が、風の匂いに鼻をうごめかす。
「火薬の量が多いな。まあ個人の趣味の範囲だが」
「あれが、件のくのたまか?」
「そのようだな。昨日、文次郎の部屋に饅頭もってきた子だ」
火薬の扱いはいいが、忍び込みはまだまだだな、とうなずく仙蔵から目を逸らし、煙の晴れてきた
廊下に目を移す。
へたり込んでいた文次郎は、ちょうど立ち上がったところだった。よろよろしながら壁に手をつき、
去っていったくのたまを振り返りもせず、また歩き出す。
次々開いた教室の戸から、何人もの生徒がおっかなびっくり、その後姿を見送っている。
「だんだん直接攻撃になってきたな。しかし、あまり派手にやるのは忍びらしくない」
「……なあ、俺の勘違いかもしれないんだが」
同じようによろめく後姿を見送りながら、食満はポツリと呟いた。

「あの子、文次郎のことが好きなんじゃないのか?」
「それはないだろう」

思わず振り返る。
三号さんを背中におぶり、見返す仙蔵の顔はあくまで真面目だ。
「一秒足らずで否定するなよ」
「そんな物好きがこの世にいるか。もしそんなことがあるなら、褌一丁で滝に打たれてもいい」
「お前は本当にいい友達だよなあ」
「好きな奴に毒は盛らんだろう。それにあいつは、忍術学園抱かれたくない男第一位だぞ」
「なんだそれは」
「ちなみに二位は、三位と僅差で私だった。同時に抱かれたい男上位三人にも入っていたが」
「……文次郎はちゃんと保健室に辿り着けるかな」
「食満、お前は正直あまり技術がなさそう第一位だ」
「黙らんと口にナメクジ押し込むぞ」

吹きぬける風は強さを増していくが、それでも空気はうっすら濁ったままだ。
視界は白くぼやけ、先が見通せない。
しずまりかえった廊下を、一人黙々と歩く文次郎は、やはり振り返る気配もなかった。





※作中のランキングはあくまで作者の創作であり、実際の人物とは何の関係もありません。


876:当世忍たま恋愛事情 補足
07/11/28 01:07:23 utI5D67y

間が思いっきり抜けていた!!
6と7の間にこれが入ります。正直スマンカッタorz

「ま、まんじゅう!?」
「毒饅頭ですか!?」
「ばくれつ饅頭ですか!?」
「饅頭に見せかけた石つぶてですか!?」
「何をいっとるかあ!」
沈黙を押しのけ、わっと湧き上がった下級生の必死な問いかけに、いつものように文次郎が吼える。
「ただの饅頭にきまっとるだろうが!」
「本当ですか!?食べたら吹っ飛んだりするんじゃないですか!?」
「わけのわからんことを言わんと大人しく喰え!」
「だって先輩、くのいちとけんかしてるんでしょ!?この前だって火薬饅頭もらってたって乱太郎が」

団蔵が立ち上がり、果敢に叫ぶ。だが文次郎のひと睨みに、うぐ、と黙り込んでその場に硬直した。
このいらんこと言いが、とため息をつきながら、仕方なく三木ヱ門も立ち上がった。すばやく駆け寄って
襟をつかみ、固まった小さな体を自分の後ろに引っ張り込む。
佐吉と左門がばたばたと、そこに続いた。
三木ヱ門を先頭に、ぎゅっと身を寄せ合う会計委員達の前で、文次郎の眉間の皺が深くなった。
「……知っとったか」
「学園中の噂ですから……」
懲りない団蔵の口を、佐吉がばちんと平手で塞ぐ。
再び訪れた、数瞬の重苦しい沈黙の後、静かな呟きが委員長の口から漏れた。


877:名無しさん@ピンキー
07/11/28 01:10:52 Sg9uSpux
ランキングわろたww

878:名無しさん@ピンキー
07/11/28 01:37:46 sCYd1BvZ
日記の人の三木ヱ門はいつだって可哀相だ。だがそこが良い。

そして留三郎以外の6年は馬鹿だw大馬鹿者だwwww何作ってんだwwバロスwwww

879:名無しさん@ピンキー
07/11/28 13:04:37 nTXBI6xG
三木ヱ門の年功序列カワイソスwww
ご飯が蛙ヒドスww

抱かれたい男1位は伊作あたりかと

880:名無しさん@ピンキー
07/11/28 17:36:21 wQY3WmmW
>うんにゃ、繋がってるw

そ、そうこちゃんにげてーーー!!超にげてーーー!!

881:名無しさん@ピンキー
07/11/28 19:19:53 MlTgH2q9
>>4

> シンベー(名前あやふや)「「○○ちゃ~ん」
> ○○ちゃん(名前忘れた)「シンベーさまー、気持ちいいですー」

> こんなんしか思い浮かばんかった

882:名無しさん@ピンキー
07/11/28 19:59:54 WEcKqsXz
おもしろかった!GJ!


文次郎はモテると思うぞ。
一部に。

883:名無しさん@ピンキー
07/11/28 22:48:05 sCYd1BvZ
>>882
なるほど、にっきの蜂谷なんかにだな

884:名無しさん@ピンキー
07/11/29 00:46:18 wZ0yF4Fg
仙蔵は食満の知らないところでもう既に
褌で滝に打たれ、ナメクジを口に押し込まれている件。

885:名無しさん@ピンキー
07/11/29 11:44:52 H1uCMFcD
三木ヱ門の無事を祈りつつGJ!!
南極三号さんもこれからどう絡んでいくのか楽しみだ。

ランキングの基準は何なんだろなぁ、顔なのかテクなのか

886:名無しさん@ピンキー
07/11/29 12:07:58 RfoE6tUL
>>885
基準は投票したくのいち個人個人だろうw


887:名無しさん@ピンキー
07/12/01 22:03:07 XJ7TIOvl
ほす

888:名無しさん@ピンキー
07/12/02 17:26:04 wLVJu7Pe
>>1

> エロ小説のスレッド

889:名無しさん@ピンキー
07/12/05 08:38:05 OG1FckhA
職人待ち(*゚∀゚)∩age

890:名無しさん@ピンキー
07/12/05 15:13:21 +CHKHwBN
最近寒くなってきたので南極三号さんに暖めてもらいたい今日この頃。

891:名無しさん@ピンキー
07/12/05 16:23:28 ys3n5c4s
は組の親同士とか結構読んでみたいんだけどな

892:名無しさん@ピンキー
07/12/05 17:09:32 g4zkWzbB
ほしのあきちゃんそっくりなほしのまきちゃんです。

URLリンク(www.yourfilehost.com)
URLリンク(www.yourfilehost.com)
URLリンク(www.yourfilehost.com)

893:名無しさん@ピンキー
07/12/06 23:57:18 hxnxlad0
ゆきさこ続きってまだ需要ある?
知らない間に規制解けてたみたいだ・・・

894:名無しさん@ピンキー
07/12/07 01:40:21 4q3pghC9
>>893
オカエリー!!!!(゚∀゚*)
あるあるあります

895:名無しさん@ピンキー
07/12/07 14:59:43 IYbaPXws
>>893
解禁おめでとうございます!
ずっと待ってたんだよぉおお~

896:ユキ×左近 >>795の続き
07/12/08 12:59:48 +R8MjTTq
>>894さん
>>895さん
ありがとうございます!遅くなってしまいすみません!

※今回もというかやっぱり左近が可哀想です。
左近を愛してくれる人募集中。以下本編。


*****


生まれたままの姿になったユキちゃんは、変な話だけど、女なんだって思い知らされた。

「あんたも、脱ぎなさいよ」
恥じらいの為に赤く染まった頬。
それでもユキちゃんは強気に笑って、僕の帯を解きにかかった。
体の中心が信じられないぐらい熱くて、息苦しい。
布団に押し付けられたまま、されるがままになっている僕。
弱くて汚くて卑怯で、最低な、僕。
「ュ、キ、ちゃ…」
涙が止まらないから嗚咽交じりで、僕はわけも分からず顔をふりながらユキちゃんを呼んだ。
まだ間に合うよって。もうこんな事しなくていいんだよって。
そういいたかった。
でもユキちゃんは眉を寄せて、笑う。
「ユキちゃんじゃなくてトモミちゃん。ほら、目つぶって。私はトモミちゃ…ううん、トモミだから。ね?」
無理だよ。だって、君はユキちゃんじゃないか。
僕は川西左近で、それ以外の誰にもなれないように。
僕が、三郎次じゃないように。

897:ユキ×左近
07/12/08 13:00:22 +R8MjTTq
ユキちゃんが僕の手を掴んで、ゆっくり自分の胸へと当てた。
初めての感触に、頭がくらくらする。
そんな知識もたいしてない筈なのに、卑しい体は本能のままに動く。
気持ち悪い。そう、思った。
「…ぁ、っん」
いつもの意地悪ばっかり言ってる声とは全然違う、ユキちゃんの『女』の声。
熱い息が僕のおでこにかかって、気がおかしくなりそうだった。
ユキちゃんの首筋から流れる汗が、重力に乗って僕の上に落ちる。
―熱い。
「…ね、下、も…っ、そこ、ばっかじゃ、なく…っ」
ユキちゃんが僕のモノを握る手にきゅっと力を込めて、体がはねる。
声だけは出しちゃいけないから、手を当てて必死に我慢して、また涙がこぼれた。
通いなれた保健室が、全く違う場所に感じるほど空気が熱い。
それはまるで、今のこの現状が夢の世界みたいに思わせる、そんな空間だった。
でも手当てが終わってないユキちゃんの肩から流れる赤い糸を見るたび、これが現実なんだと思い知らされて。
腕を掴まれて、うながされるままユキちゃんの中心を触っているこの行為が、現実なんだと。
思い知らされて。
「っぁあ、あっはっ、ま、まって…っ、入れ、イっ」
ほとんど僕に乗っかる形で、ユキちゃんはがくがく震えていた。
知識は乏しいけど、それが絶頂への合図なんだって事はなんとなく分かった。
もしかしたら、これで終わりなのかなという淡い期待を抱いて更に指を動かす。
ユキちゃんは入れて欲しそうにしてたけど、それだけはしたくなかった。
僕なんかが相手だと、ユキちゃんが汚れちゃうような気がしたから。

ユキちゃんは、別に聖女でもなんでもないのに。


898:ユキ×左近
07/12/08 13:00:54 +R8MjTTq
「待ってっ、ま、やっあっ、っまっ…!」
「ひゃっ…っ!」
突然、強い快感が与えられて、僕は情けない声を上げた。
しまったと思ったときにはもう遅い。
先ほどまでうつろな目をしていたユキちゃんが、はっきりした目でこっちを見ていた。
「ぁ…」
「さ、こん?」
興奮の為か、それとももっと他に理由があるのか、目じりに涙を浮かべてユキちゃんは僕を見る。
体を起こすのが辛いのか、頭だけ起こした状態。
密着した体が、ユキちゃんの荒い息が、僕の体を更に熱くする。
でも心は逆に、どんどん冷めていってる気がした。
「馬鹿、危うく、イク、とこだった、わ。…今、入れるから」
のろのろと体を起こして、ユキちゃんは荒い息のまま言った。
やめてよそんな事しなくていいよ。
これ以上三郎次になりたくないよ。
「あんたは寝てて、いいから。私が、動くから、いい?」
「ユキちゃ…」
「トモミ、だってば」
悲しそうな、寂しそうな顔をして、ユキちゃんは僕の額を小突いた。
ユキちゃんは、どうしてこんなに強いんだろう。
僕は三郎次になんてなりたくないのに。
それでもユキちゃんはトモミちゃんになろうとする。辛くないわけがないのに。
誰かの代わりなんて、それが例えどんな人だろうと、辛い事なのに。

899:ユキ×左近
07/12/08 13:01:29 +R8MjTTq
「っあぁ、ぁ、んん…!」
目の前がちかちかする程の圧迫感。
でも、それ以上の、快感。
ゆっくりとした動きであることがもどかしい。
無意識のうちに、腰が更なる快感を求めて動き出す。
「っひ…っあぁ…!」
その途端、ユキちゃんが悲痛な声をあげた。
上になっている分、彼女にかかる負担はきっと僕の想像以上だ。
ユキちゃんは上を見上げているので、表情は確認できない。
だけど、なんとなく泣いているような気がした。

三郎次なら、こんな時どうするだろう。

僕が咄嗟に考えた事は、そんな事だった。
必死に普段のあいつの行動を考えたけど、やっぱり答えは出ない。
だって、三郎次ならそもそもこんな事になるわけがないから。
女を抱くにしたって、あいつならもっとうまくやる。
こんな事態は招かない。
また涙が溢れてくるのが分かって、僕は顔を背けた。
ユキちゃんがこっちを見ない事は分かっていたけど、それでも僕は何かから逃れようと必死で。

900:ユキ×左近
07/12/08 13:02:34 +R8MjTTq
ふと、滲む視界に見慣れたものが見えた。
いつどこで転がったのか、ふとんの端に落ちていたものは包帯だった。
もしかすると、さっきユキちゃんを手当てしていたものが引っかかってきたのかもしれない。
いや、そんな事はどうでもいい。
それが目に見えた瞬間、僕は行動していた。
「え・・?」
ユキちゃんの困惑した声が聞こえる。
同時の止まった快楽が苦しくって、僕は腰を突き上げた。
「ちょ、ゃ、まっ」
熱い。熱くてたまらない。
さっさと熱を吐き出してしまいたくて、流れる涙もほおって僕は無我夢中で動いた。
「ユキ」
「え、あっ、やっ!」
ユキちゃんの白い肌に重なる、真っ白な包帯。
ユキちゃんも泣いてるのかな、と思った。見えないから分からないけど。
勝気で睫の長い、大きな目はその包帯にしっかりと覆われて、僕はそれが解けない様に彼女の頭の後ろで固定した。
まるで抱きしめてるみたいだ。何度も何度も夢に見たみたいに。

「っぁあ…!ふ、あっあっやっ!」
「ユキ…っ」

ねえ、ユキちゃん。
やっぱり僕は君が好きなんだ。

「ひぁっ、あっあぁ!」
「ユキっ!」

あいつに恋する君が。

「あぁ、もうっだっさぶ、ろじっぁああ!!」


あいつを想うユキちゃんが、……好きなんだよ。



901:ユキ×左近
07/12/08 13:03:32 +R8MjTTq
もう一度、今度はしっかりと包帯を巻ききる。
ユキちゃんは複雑そうな顔で手当てをする僕の手元を見ていた。
体が熱を持ったためか、再び血を噴出した傷が痛々しい。
まるで僕の心みたいだなと馬鹿な事を考えて、思わず苦笑した。
「寝る前にこの薬塗って。三日分作っておいたから」
「うん…」
ユキちゃんは僕を見て何か言おうとしていたみたいだったけど、それを止めるように僕は救急箱へと意識を向けた。
傷つきたくないのかもしれない。
ありがとうとかごめんとか、そんな言葉は聞きたくなかった。
薬をしまってしまえばやる事も無いはずなのに、僕は無意味に中をがさがさといじる。
ふと、換気の為に開けた扉から笑い声が聞こえた。
あの声はアホのは組だ。
そういえば乱太郎がもうすぐ交代に来る時間かもしれない。
目を腫らしていたらなんと言われるだろう。そんな事を考えていると、不意にユキちゃんが動いた。
「左近」
ユキちゃんの高い声で紡がれる僕の名前。
いつもならとても嬉しいのに、なんだか素直に喜べない。
「何?」
振り返らずに返事をした。
少し震えてしまった声に、舌打ちしたくなる。
ユキちゃんが何を言いたいのか、なんとなく分かった。
そんな事言わないでほしいのに。
余計惨めになるだけなのに。

902:ユキ×左近
07/12/08 13:07:08 +R8MjTTq
「…ごめんね。あたしはトモミちゃんじゃないし、あんたは、…あいつじゃないのに」
言われた言葉は、やっぱりというかなんというか、思っていた通りの言葉だった。
ありがとう、ごめんね、と。
同じ言葉を何度か繰り返して、ユキちゃんは立ち上がる。
僕の返事は元より期待してなかったのか、あっさりとしたその態度に、また少し傷ついた。
から、と控えめな音と共に保健室の扉が閉まる。
ユキちゃんと一緒に外からの笑い声も消えて、まるで一人取り残されたような、そんな気持ちになった。
「あ…」
ぽたっと手の甲に落ちた雫に、思わず声をあげる。
止めようと思ったのに、後から後から流れる雫は全く止まる気配を見せなかった。
「やだな、涙腺緩んでんのかな」
乱太郎が来たらなんて言い訳すればいいんだろう。
あいつらの前ではきちんと「先輩」をしていたいのに。
弱いところなんて見せたくないのに。
三郎次みたいに、強い先輩でいたいのに。
「…三郎次の、馬鹿野郎」
八つ当たりだ。分かってる。
でも言わずにはいられなかった。
僕があいつだったら、絶対こんな事起きなかったから。
なんであいつはユキちゃんを好きにならないんだろう?
三郎次にはもったいないぐらいの女性だよ、馬鹿。

どうしてだろう。さっきまであんなに嫌だったのに。
今はこんなにも願うんだよ。

―僕は、三郎次になりたい。

ほんの一瞬でもいい。ユキちゃんの中で、僕はあいつになれた?

903:ユキ×左近
07/12/08 13:11:28 +R8MjTTq
以上です。
左近好きさん本当にすみませんでした。

書いてて思ったこと。
場面を想像したら普通に百合臭いというかユキ×あやかにしか見えない。
・・・・ごめん左近

904:名無しさん@ピンキー
07/12/08 22:04:52 LAaeGss5
(*゚∀゚)=3
GJ!!!!


イヤイヤまだ左近にもチャンスは有りそうなEDでした…

905:名無しさん@ピンキー
07/12/12 00:32:15 /fvgR1LH
くの一の三人組ってよく乱太郎たちとペア組んだりするよね。
なぜか最近までずっとくの一の中で一番トモミがリーダー格っぽいから
乱太郎&トモミ・きり丸&ユキ・しんべい&おしげだと思っていた。
ビデオ借りてきてトモミとユキが逆だったことにビックリ。


906:名無しさん@ピンキー
07/12/12 01:17:52 DwLYSlLo
>>905
四期だったか…監督が同人誌を読んで宗旨替えしてしまったそうだ

907:名無しさん@ピンキー
07/12/12 01:30:40 /fvgR1LH
4期から乱太郎&トモミ きり丸&ユキになったの?
紛らわしいことしてくれるよ監督。しかも同人誌の影響てw


908:名無しさん@ピンキー
07/12/13 01:00:30 H8RZpp2G
>>771

> 待てよ。
> 女体化がアリなら、リリーばあちゃんの若返りもアリじゃね?

909:名無しさん@ピンキー
07/12/13 14:26:03 bGgDt1h4
こないだから新手のウィルスなのか嵐なのか

910:名無しさん@ピンキー
07/12/14 00:57:54 FJeUAAun
滝 夜 叉 丸 先 輩
をどなたかお願いします

911:名無しさん@ピンキー
07/12/14 15:30:27 kNnCKh/F
期待

912:名無しさん@ピンキー
07/12/14 20:51:29 vCLSCaaI
滝夜叉丸×山ぶ鬼が見たい

913:名無しさん@ピンキー
07/12/14 21:39:52 9iIeFm72
何期を見てて何期を見てないかよく覚えてないけど・・・
基本的には乱&ユキ、きり丸&トモミってイメージがあった。
でもしんべエとおしげ以外はその時によってよくバラけてたよね


914:名無しさん@ピンキー
07/12/14 22:19:53 ki355W6Z
滝夜叉丸はあっちのほうも成績優秀なのか、
それともてんでだめなほう(にっきのような)なのか、好みが分かれそうだね。

915:名無しさん@ピンキー
07/12/14 22:28:54 QLJ0kmL2
教科で房術ならうんだと学年一成績優秀かもしれないけど
滝夜叉丸だからなぁ。。
先輩はなぜ忍術学園に四年も居いるのにくの一達に夢を抱けるのだろうか

916:名無しさん@ピンキー
07/12/15 06:18:31 sIifi5sa
>>912
二年後ならアリだよな…

917:名無しさん@ピンキー
07/12/15 14:18:58 7PsL2x+y
滝夜叉丸はモテると舞い上がるようなタイプだから
いざ! となると駄目だめになりそうだな。
意外と成績優秀でも面白そうだけどw

918:名無しさん@ピンキー
07/12/16 01:37:00 a7IBzU+u
伊作にぴったりの相手って登場しないかなー。
登場するとしたらやっぱり優しくてお人よしで、不運なくの一なのかな。

919:名無しさん@ピンキー
07/12/16 08:56:59 n0xhbU4S
>>917
おもっくそ朝から晩までのめくるめくデート計画を練るが彼女には見透かされている。
そんな滝夜叉丸先輩。
滝トモは年齢差が調度良いかもしれん

920:名無しさん@ピンキー
07/12/16 21:21:36 GwXjcpwW
滝夜叉丸先輩の逢引きは常に白菜畑です。
で、大木先生に見つかって怒られると。

921:名無しさん@ピンキー
07/12/17 10:11:10 esmwTgNd
白菜に種を仕込むんだな?アホスw

922:名無しさん@ピンキー
07/12/17 13:03:41 IsJjy48p
あの滝夜叉丸はまだ初を迎えていないだろwww
12~16歳じゃなかったか?

923:名無しさん@ピンキー
07/12/17 16:29:35 JNvMQpOA
あの当時の成人(+嫁もらえる年齢)は15歳くらいだったみたいよ。
貴族や武士ならそれより早い早婚も多かったそうな。

924:名無しさん@ピンキー
07/12/17 18:50:45 Sc0E1w2k
>>918そんなくの一だったらぜひ登場してほしいけど多分出ないし
腐女子のバッシングが・・・。でもくの一ってもうひとクラスあるんだよね。



925:名無しさん@ピンキー
07/12/17 21:32:39 IsJjy48p
>>924
腐要素餅だが歓迎だ。アマコさんが恋愛要素は入れたく無いんだとさ

926:名無しさん@ピンキー
07/12/17 22:34:47 9y96ouxq
>>918は文体とかなんか中学生ぽいけど
ここ未成年は閲覧禁止だぞ

927:名無しさん@ピンキー
07/12/17 23:05:10 erqWckez
>>926 お前の文体も大人には見えないが。

928:名無しさん@ピンキー
07/12/17 23:25:48 gZA6DzXJ
滝夜叉丸はとても13歳には見えないなwww
なんかもう成人してそうだ

929:名無しさん@ピンキー
07/12/18 00:35:14 cmGsR7Pn
声が高木ってだけでもうwww
いや好きだけどね高木

930:名無しさん@ピンキー
07/12/18 01:04:31 tDDrHW4M
もう900超えてるしこのまままったり流して投下は次スレになるのかな

931:名無しさん@ピンキー
07/12/18 01:25:02 ueAWucDZ
>>929
つガロード


間違っても、半妖とかおにぎりとか想像してはいけないwww

932:名無しさん@ピンキー
07/12/20 10:14:57 L2yTzu2k
昔の房事に興味ある人は『夜這いの民俗学』という本がけっこう参考になるぞ
昔の日本の性生活がよくわかる
今の性教育なんて目じゃねーやこりゃ

933:名無しさん@ピンキー
07/12/21 23:36:52 h5DXtZDX
王道だけど乱ユキときりトモ見たい
おしげちゃんとしんべヱは本編で充分お腹一杯かな

934:名無しさん@ピンキー
07/12/22 00:05:00 FJvZx7OA
愛がある乱ユキが見たい

935:名無しさん@ピンキー
07/12/24 19:10:09 L4UbJ+5L
兵太夫とミカがみたい。サイトでハマッた。

936:名無しさん@ピンキー
07/12/25 11:04:24 TRE/U0o/
サラスト見て、三木ユキいいかなと思った。


『三木ェ門先輩やめてくださいっ』


色んなシチュエーションが頭の中を駆け巡った。

937:名無しさん@ピンキー
07/12/25 13:33:15 dgIdh7bK
>>936
そのいろいろなシチュエーションとやらをplz

938:名無しさん@ピンキー
07/12/25 14:19:16 Y2Vlx4Sn
乱ユキときりトモは確かに見たい


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