忍たま乱太郎のエロ小説at EROPARO
忍たま乱太郎のエロ小説 - 暇つぶし2ch671:名無しさん@ピンキー
07/08/25 18:09:37 DeaO4H/p
久々に来たら凄い大作が・・・!!

672:名無しさん@ピンキー
07/08/25 23:44:07 Z5GWb3nA
>>671
この名作をまとめて一気に読めたことはある意味ラッキーだぞw
俺はというと、毎回ワクテカワクテカうるさかった人です。

今でもサブユキにワクテカしてるわけですがww

673:名無しさん@ピンキー
07/08/29 16:56:21 7yowOgSe
日記の人乙!
てかワザ名が次から次へとでてくるあたりが面白かった!

674:名無しさん@ピンキー
07/08/30 19:35:06 W/GEdbfL
にっきの人は本当の神!

GJ!

675:にっきの人
07/09/01 02:10:51 38s1RaKn
職人待ちの間に、ひみつにっき後日譚。
食満講習会のその後。やたら長いので覚悟してくれイ。


676:講習会はカオス!の段
07/09/01 02:12:58 38s1RaKn

食満留三郎は、悩んでいた。
夏の暑さもさめやらぬ長月初旬。山深き忍術学園の領内も、まだまだ熱気に包まれている。
放課後になっても、未だ高く上ったままの太陽に照らされ、ここ、六年は組の教室は
蒸し風呂のような暑さだ。
一刻も早く涼を取ろうと、級友達は皆、授業が終わると同時に出て行ってしまい、
今、教室には食満の姿しかない。
食満もできることなら、さっさとここを出たいと思っている。じりじりと肌を焼く陽光は
痛いほどだし、窓を開けてもそよとも動かない暑苦しい空気は、不快の一言だ。
だが、一つの大きな葛藤が、食満の動きを止めていた。

行くべきか。いや、行かねばならん。それはわかっているがだがしかし。

うるさいほどの蝉の鳴き声に包まれて、悶々と脂汗を流す食満の耳に、教室の戸が開く
軽やかな音が響いた。
「留三郎、ここにいたのかい。そろそろ行かないと時間がなくなるよ?」
半分開いた戸の隙間から顔をのぞかせたのは、級友の善法寺伊作だった。
大風呂敷を背負って、汗を拭き拭きにこりと笑っている。だがその背の荷物は
いつもの落とし紙ではなく、何冊もの分厚い本の山だ。
汗も干上がるような熱気の中だというのに、食満の背筋をぞくりと妙な寒気が襲った。
今度はなにを持ってきやがった。
だが、見当たらないから迎えにきたんだよ、さあ行こう、と手を振る級友の顔に浮かぶのは、
爽やかな笑顔ばかりだ。
邪気のかけらもないその顔と、無償の友情が生み出す圧迫に負けて、留三郎は不承不承、重い腰を上げた。
「……ああ、そうだな」
どちらにしろ、行かないわけにはいかないのだ。自分の撒いた種なのだから。

食満が、委員会の下級生から奇妙な質問を受けたのは、新学期が始まってすぐの頃だった。
それは奇妙というより、この年代ならある意味、当然出て来る疑問といえたが、自分もまだ
思春期の食満には、非常に答えにくい難問だった。
もう少し年が近ければ、ただの猥談として楽しめたかもしれない。だが相手は、食満の半分も
背がないような、つぶらな瞳の一年生ばかりだ。罪悪感に苛まれ、とてもそんな気にはなれない。
かといって、先生に聞け、と突き放すのは、頼られているという思いが邪魔をした。
結局、食満がとった方法は、本題には触れず適当な話でごまかすという、忍法『煙に巻く』だった。
子供は飽きっぽい。適当な話を長々続けていれば、そのうち飽きて他に興味を移し、忘れるだろう。
少々無責任だが、そうしてお茶を濁すつもりだったのだ。
だが、そんな食満の思いを嘲笑うかのように、事態は想像もしていなかった方向へと進んでいった。

人気のない廊下は、教室よりは涼しかったが、空気がよどんでやはり暑苦しい。
足元で、ぎしぎし軋む床板の音さえ不快だ。
「今日は何人くらい来るかなあ。最近大繁盛だよね」
隣で、背中の荷物を揺すり上げながら笑う級友の顔も、なんだか鬱陶しい。
ひっきりなしに流れる汗を拭う手の陰で、食満はこっそり小さなため息をついた。
「さあな」
「みんな期待してるんだよ。こないだなんかあの野村先生まで、よろしく頼むってお菓子を
差し入れてくださったじゃないか」
「そうだな」
「前振りの神話も植物と昆虫も終わったから、今日からはいよいよ哺乳類だしね!」
生返事にも、気を悪くした様子なく振り返ると、伊作は食満をじっと見つめ、かたく拳を握りしめた。
「ついに大詰めだね!最上級生の面目にかけても成し遂げないと!」
瞳を燃え上がらせ、頑張ろう!と一人張り切る伊作に答えず、食満はただとぼとぼと歩き続けた。


677:講習会はカオス!の段2
07/09/01 02:15:01 38s1RaKn

善法寺伊作は、いい奴だ。
どんなに話を長引かせても、決して諦めず聞き続ける下級生に閉口して、どうしたものかと
友人たちに相談した時。
誰もが逃げるか、逆に面白がって聴講にきやがるかだったのに、伊作だけは真摯に話を聞いてくれた。
あまつさえ、何か私にできることがあればと、講習会の手伝いまでしてくれている。
本当は手伝いではなく、どうやったらうまいこと話を打ち切れるかの助言が欲しかったのだが、
それでもその心遣いはありがたかった。
ああ、いいやつなのだ。話は長いがうまいし、気がよくて、友情にも厚い。同学年には稀有な存在だ。
それは確かだ。だがしかし。

伊作が参加するようになってから、講習会の聴講者が、どういうわけかどんどん増えていくのだ。

伊作の話は実にうまい。食満が、本題をごまかして流そう流そうとするたびに、横から上手に
そのしっぽを捕まえて、筋を戻してしまう。
さまざまな資料を駆使し、つけたしをして先へと進め、また食満に戻す。ごまかす隙もない。
これは困ると、何度か話しあいもしてみたが、遠慮するなよと笑うばかりで、どうも通じない。
どうやら伊作はこれを、純粋に『上級生による下級生のための優しい性教育講座』だと
思い込んでいるらしいのだ。
おかげで食満の話は、学術的、文学的な方面へまで広がりを見せ、下級生はまったく飽きる様子も
なく、それどころか目を輝かせて聞き入り、さらには口コミで噂が広がって聴講者が増えるという、
悪循環に陥っている。
教師陣も止めるどころか、積極的に生徒を送り込んでくる始末だ。とくに低学年の受け持ちに
その傾向が強い。
今では忍術学園の生徒の八割が『食満講習会』に参加しているといわれている。
もともとは委員会内部だけの話だったのに、事態はもはや、食満の意思ではどうにもできない
状態にまで膨らんでしまっていた。
そう、もはや、腹をくくらねばならないほどに。

薄暗い廊下をとぼとぼ進みながら、ちらりと横目で級友を盗み見る。
今日のために長次に借りようと目をつけてた本が、ちょうど貸し出し中だったんだよ、と
残念そうに首をひねりながら、伊作はのほほんと笑っている。
わかっている。もともとは自分が悪い。それに善法寺伊作本人は、ただひたすらいい奴なのだ。
ただ、自分も気づかぬうちに周囲まで巻き込む、最強の不運の持ち主なだけで。



用具委員会室は、渦巻く熱気と人いきれで息もできないほどだった。
一年生から六年生まで、色とりどりの制服が、狭い部屋にぎゅうぎゅうづめに入り乱れ、まさしく
足の踏み場もない状態だ。窓も戸も開け放たれているが、風がないため部屋の温度は上がるばかりで、
あちこちで真っ赤な顔の下級生がへたりこんでいるのが見える。
戸口に立ち尽くす食満の隣から、室内を覗き込んだ伊作が眉をひそめ、たいへんだ、熱中症に
なっちゃうぞ、と呟いた。
だが、食満はそれどころではなかった。
「よお!遅かったな留三郎、伊作!先にはじめてたぞ!」
「……なにやってんだ小平太ァ!」
一瞬の自失の後、思わず上げたひっくり返った叫びに、返されたのは高らかな笑い声だった。
教室前方に据えられた黒板の前で、ばたばたと両手を振っているのは、六年ろ組の七松小平太だ。
同じくろ組の中在家長次と、妙なにやにや笑いを浮かべたい組の立花仙蔵を従え、山積みの本とともに
教壇の上でふんぞり返っている。
その顔は、夏空と同じほど晴れ晴れとした笑みに覆われ、いつもどおり無駄に元気いっぱいだ。
しかし問題はそんなことではない。

「お前、それ!黒板になに描いてるんだ!」
「もちろん今日のお題だ!私は回りくどいのは苦手だからな、直接的表現でいくぞ!任せとけ!」
「誰がお前に任せるといった!」
聞いてるだけじゃ足りんのか!と、怒りのままに投げた手裏剣は、小平太の顔をかすめて
背後の黒板に突き刺さった。
正確には、黒板いっぱいに描かれた、どへたくそな大股開きの図のど真ん中に。


678:講習会はカオス!の段3
07/09/01 02:19:07 38s1RaKn

なにかの本から写し取ったものだろうか。関節も奥行きも無視して描かれたそれは、あまりにも
下手すぎて、一瞬ナメクジの群れか山盛りまんじゅうにしか見えない。
そのため下級生のほとんどは、ただぽかんと見つめているだけだ
だがわかるものにはそれが、秘所もあらわに松葉くずしでまぐわう男女、ということが見て取れるだろう。
しかもただの交合ではない。背景にはイカめいたタコも描かれ、長い腕を睦みあう男女に複雑に絡めている。
巨大な吸盤を有する腕のうち、二本は大きく開かれた女体の股に潜り込み、一本が口へともぐりこんでいた。
松葉くずし二本挿し、同時三穴触手攻め。どういう趣味だ。
ご丁寧にも部分的に赤のチョークを使い、棒と穴だけは異様にリアルに描かれたそれは、
稚拙な分だけひどく卑猥だった。

食満の到着に気づいた下級生が、あちこちから先輩こんにちは、と元気なあいさつをよこしてきた。
ひときわいい声は、おそらく一年は組の連中だろう。目の前の衝撃的な光景にそぐわない、
無邪気な声がいっそ無残だ。
いたたまれなさをこらえながら、食満は大急ぎで教壇へと駆け寄った。
教壇の前には、用具委員の富松作兵衛が、縄でぐるぐる巻きになって転がされていた。
横では一年ろ組の平太が、なぜか頭巾を目の下まで下ろして、おろおろしている。
あわてて猿轡を外してやると、珍しくも作兵衛が、うわーんと大きな泣き声を上げた。
「先輩すみません、俺じゃ止められませんでした!平太の目隠しが精一杯で……!」
「気にすんな、お前はよくやった。しんべヱと喜三太はどうした?」
「今日はまだ来てなくて」
「よしわかった。あとは任せろ」
すすり泣く後輩たちを、すばやく後に下がらせて、一つ大きく息をつく。
そして食満は刀に手をかけ、ゆっくりと黒板を振り返った。
暑さと怒りで真っ赤に燃え、口から炎を吹かんばかりの食満を見て、小平太がだってさあ、と
口を尖らせる。

「ずっと聞いてきたけど、お前の説明遠まわしすぎて、わかるものもわかんないぞ。
あれじゃ教わるほうがかわいそうだ」
「こんなもんいきなり見せられるほうがもっとかわいそうだ!」
「なんで!滝夜叉丸は気絶するほど感動してたぞ!?私はこの手の指導にはかなり自信が」
「いやいや、そうでもないぞ小平太。現に三年と四年が五人ばかり、鼻血を吹いて保健室送りに
なったじゃないか。食満の教育もそれなりに功を奏していたと」
「お前が黒幕か仙蔵!」

打ち込んだ数本のくないは、すべて小刀に弾き返された。
汗一つ浮かべず涼しげに食満を見やると、仙蔵は学園一のサラストヘアを、さらりと優雅にかきあげた。
「だって、小平太のほうが面白くなりそうじゃないか。いろいろと」
「悪魔かお前は!」
ぎりりと睨み合う二人の間に、火花が飛び散る。ただでも蒸れた室内の空気が、さらに温度と湿度を
増していく。
突然始まった最上級生の諍いを、周辺の下級生は固唾を呑んで見守るばかりだ。
熱気に当てられたか、数人が気を失って倒れこむ。あわてて伊作が駆け寄った。
相手はい組の優等生。だが、今の食満に負ける気はなかった。有無を言わせずたたっ斬るか、いやまず
黒板を消すのが先か、といっそ冷静に考えながら、あたりに鋭く視線を走らす。
その目が、教壇に積み上げられた本の山にとまった。
「……なんじゃこりゃああ!」
一番上に置かれた冊子をつかみ取り、またもや悲鳴を上げた食満に、小平太が嬉しそうに目を輝かした。
「それか!すごいだろう、長次説き伏せてやっと借りられたんだ!教本に使おうと思って!」
「美熟女秘膜八方破れ……新妻秘穴ドドメ色奇譚……こんなグロいもんで何を教える気だ!?
ていうかそもそも『秘密文書』は、六年以外閲覧禁止だろうが図書委員長!」

周囲の騒ぎも気に留めず、教壇の横でもくもくと押し花のしおりを作っていた長次が、ふと顔を上げた。
怒り狂う食満を見て、むっつり押し黙ったまま懐に手を入れると、そこから数枚の小判を取り出し
軽く振ってみせる。
説明は終わった、とばかり、また押し花作成に精を出す長次に代わり、教壇から飛び降りた小平太が
ふんぞり返って胸を張った。


679:講習会はカオス!の段4
07/09/01 02:21:10 38s1RaKn

「半年分の小遣いをはたいた!かなり痛いが、でもまあ、可愛い後輩のためならエンヤコラだ!」
「お前の優しさは、方向性が間違っている!」
「あ、それ私が借りようと思ってたやつだ」
後ろでマイペースに、倒れた下級生の手当てをしていた伊作が、これまたマイペースに呟いた。
聞き捨てならない台詞のような気もしたが、今は追求している余裕がない。
あえて級友に背を向け、前方の三敵に向き直る。
「もういい、お前ら出て行け、退場だ!いやもう今日は休講だ!全員退避!駆け足!」
「そうはいくか。こんな面白いもの、見届けずにおられるものか。それいけ小平太!」
「任せろ、小遣い分は教えるぞ!それじゃあまず四十八手から!」
「いい加減にしやがれって……」
「ちょっと待ったあ!」
「今度はなんだあ!」

突然の横槍に、血汗を吹かんばかりの勢いで食満が振り返る。
同時に、開け放たれた窓の外で、ぼーんと派手な煙玉が上がった。
瞬く間に白煙が、よどんだ空気に混じり部屋を埋める。最上級生達はすばやく口を覆ったが、
部屋のあちらこちらで咳き込む声が上がった。
吹き始めた夕暮れの風に、ようやく目と喉を焼く刺激が洗い流されたとき、食満は、窓枠に一人の
人影があるのに気づいた。
ひょろりと背の高いその人影は、不安定な窓枠の上で両手を突き上げ、右足を後ろに折って立っていた。
いわゆる『グリコのポーズ』だ。
人のよさそうな顔には柔和な笑みが浮かんでいるが、なぜかその顔も、まとった五年生の制服も、
もさもさの髪も、傷だらけでずたずたのぼろぼろだった。
ヒメジョオンを本の間に挟みながら、長次がちらりと窓を見上げた。
「不破……いや、鉢屋か……」
「ご名答!」
ぱあんと小気味いい音を上げ、頭上で両手が打ち鳴らされた。忍術学園で一、二を争う有名人の登場に、
煙玉でざわついていた室内の騒ぎが、少し鎮まる。
窓枠に片足で立ったまま、にっこり微笑むと、鉢屋は奇妙に血走った目で教壇前の上級生たちを見た。

「やあやあ、久方ぶりに学園にもどってみれば、こんな面白いことが起きていようとは!
ぜひ私も参加させてください先輩方!僭越ながらこの鉢屋三郎、子供の性教育には少々の実績が!」
「引っ込め五年ボーズ!今日は終いだ!」
「なに言ってんだ、やるぞ!」
「鉢屋、随分テンション高いな。なにかあったのか」
「いえ、押入れに監禁されたあと、二日ほど山で逆さづりにされたので、頭に血が上ってるだけです」

どつき漫才はツッコミの強さが命!このくらいは序の口ですよ!と瞳を燃やして拳を握る鉢屋に、
今、ツッコミを入れるものは誰もいない。
いや俺が入れてやるべきか。なんといっても相手は窓辺でここは三階、ちょっと押したらそれで終いだ。
なんとなくだが、そうすべきだという気がする。
噂に聞き及ぶこの有名人の性格と、噂以上の異様なテンションに、食満の忍びとしての勘が
警告を発しているのだ。
こいつは、危険だと。
だが、食満がほとんど無意識に窓辺ににじり寄ったところで、まるでそれに気づいたかのように
鉢屋が振り返った。
「そうそう、その山でまた一つ、実績を積んできたんです」
さあ来たまえ!と浮かれた掛け声に続き、窓枠にかぎ縄が引っかかった。
部屋中の視線が集まる中、ずるずると、それを伝って窓枠に姿を現した人物に、小平太が
あれっと呟いて目を丸くした。

「三之助じゃないか!」
「裏裏山で偶然会ったんです。彼が通りかかってくれなければ、私は脳みそ破裂するところでした」
「なーんだ、いないと思ったらまた行方不明だったのかあ!」
「なんでもぜひ、七松先輩に伝えたいことがあるそうなので、こうして連れてきました」
「へえ!なんだ?」


680:講習会はカオス!の段5
07/09/01 02:23:14 38s1RaKn

窓枠の上で、鉢屋が親しげに肩に手を回しているのは、体育委員の三年生だ。
暴君七松によく従う、健気な後輩の一人だと聞いている。
だが、なんだか変じゃないか?と食満は首をかしげた。
テンションの高すぎる鉢屋の隣にいるからかもしれないが、こちらは逆に、テンションが低すぎるように
思える。
目も据わっているし、むっつり黙り込んだ丸長の顔は痩せこけて青白く、表情も空ろだ。
次屋と同級の富松作兵衛が、心配そうにこちらを見ている姿が、視界の隅に映った。
後輩のためにも、とりあえず大丈夫か、と声をかけてみたが、まるで聞こえていないかのように返答はない。
かわりによろよろと教壇へ目をやると、次屋は腕を組んでにこにこ見下ろす小平太に向かい、
ぐっと拳を突き出した。

「七松先輩ー!」
「応!どうした!」
「俺は、俺は、間違ってましたー!」
「ふーん!そっかー!」
「俺が今まで学んできたことは、間違いだらけだったんです!ざるです!いやそばです!」
「そりゃたいへんだー!」
「でももう大丈夫です!俺、大宇宙の真理を学びましたー!」
「おお!やったなー!」
「ねはんのそこでぱらいそとも交信しました!今では小宇宙も燃やせます!」
「よくわかんないけどよかったなー!」
「はい、だからわかったんです!……七松先輩、あなたの教えは間違っているのだということが!」
「ええー!?」
「でもあんしんしてください!おれがしんりをおしえてさしあげます!とうかこうかんで!」

どよめきが室内を轟かせた。食満も、仙蔵さえ目を見張る。
体育委員の暴君に逆らう下級生など、これまで一人もいなかったのだ。ましてや三年生如きが。
なんという命知らずだ。これは勇気というより暴挙だろう。
部屋の隅々から、同学年と思しき数人が、早まるな三之助、帰ってこい!と悲鳴を上げている。
だが、次屋の目は据わったままだ。黒目と黒目の間も離れているし、表情は空っぽで、
おそらく同輩の声も届いていないのではないか。
意識がどこかへ飛んでいる。まるで幻術にでもかかってしまったかのようだ。
いや、これってかかってんじゃないか?
はたとして、食満は横を見た。窓枠の鉢屋三郎は辺りを睥睨しながら、にこにこと笑ったままだ。

邪気のかけらも伺えないその笑顔に、不覚にも、背筋がぞっと総毛だった。

動けない食満の前で、小平太が不安そうに仙蔵を振り返った。
「どうしよう仙蔵、私、間違ってるって!」
「心配するな、今さらなんだ。お前はたいてい間違ってるじゃないか」
「そうか、じゃあ大丈夫だな!」
仙蔵の助言にはまったく説得力がなかったが、なぜか小平太は納得したようだ。
晴れ晴れした顔に戻り、よーしそれじゃあ、勝負だ三之助!と、腕を振り回す。
いやなんでそうなるんだと思う食満の、心の突っ込みは届かない。先輩からの熱い呼びかけに、
魂の抜けたような次屋の顔が、ふらふらと上がった。

同時に、戸の向こうから飛び込んできたほうろく火矢が、その頭を直撃した。


681:講習会はカオス!の段6
07/09/01 02:25:22 38s1RaKn

ごーんと鈍い音とともに、次屋が白目をむいてあおむけに倒れこんだ。
床に頭を打ちつける寸前で、食満の伸ばした手が、かろうじてその襟首をつかむ。
床を転がる火矢に悲鳴が上がったが、すばやく拾い上げた仙蔵が、火はついていないよと肩をすくめた。
だが、火がついていなくても、硬いほうろく火矢は、投げれば危険なことに変わりはない。
気絶したことで、ある意味次屋は救われたのだが、それとこれとは別問題だ。
どこから出したか、火器厳禁の札を掲げる長次とともに戸を睨むと、食満は、誰だこら!と怒声を上げた。
「火薬をおもちゃにするな!」
「すみません適当なもんがなくて!……許せよ三年ボーズ!せめて今はすべてを忘れて眠れ!」
「ああ、ぶら下がってないからもしやと思ったら!ついに下級生に被害が出ちまったか!」
間髪いれず飛び込んできたのは、二人の五年生だった。
床に伸びた次屋を見て、がっくり肩を落とすうち一人の姿に、あちこちで豆腐小僧だ、と低い囁きが飛んだ。
「やあ兵助、八左ヱ門!迎えがないから勝手に戻ってきたぞ!」
張り詰めた空気を読まず、にこやかに手を振る鉢屋に、豆腐小僧が顔を上げた。
生真面目そうな顔が、怒りと悲しみに染まる。

「鉢屋三郎!なんてひどいことしやがる、相手は下級生だぞ!」
「はっはっは!私は後輩だってかまわないで食っちまう人間なんだぜ!」
「待て待てなに言ってんだ!」
「おいおい君達、勘違いしているようだから言っておくが、私は彼を救ってやったんだぞ?
なにやらひどい目にあったらしくてね。まんじゅうこわいと呟きながら、怯えきってふらふら山を
さまよっていたから、いやな記憶を忘れられるよう、幻術をかけて」
「え、そうなのか?」
「別の知識を刷り込んでおいた」
「違うトラウマ植えつけただけじゃねえか!」

竹谷八左ヱ門の剛拳が、鉢屋の足元の窓枠を破壊した。ひらり華麗に飛び上がり、床に降り立った
鉢屋を、久々知兵助の手裏剣が襲う。
すごい、前で見よう!と立ち上がった火薬委員の四年生を、一年生と二年生が押さえつけて引き倒した。
にやりと笑ってそれもかわした瞬間、鉢屋の首に、音もなく窓から伸びた縄標の一端が巻きついた。
クエっと変な声を上げて倒れこんでも、締まらないよう、縄と首の間に手を通しているところは、
さすが鉢屋三郎だろう。
思わず感心した食満の眼前に、夕日を背負った黒い人影が、窓から化鳥のように飛び込んできた。

壊れた窓枠に足をかけ、縄を引き絞るその人物は、床に倒れる鉢屋三郎と、同じ制服、寸分変わらぬ
背格好に顔、髪型をしていた。
ただ一つ違うのは、人のよさそうな顔に、ギンギンの怒りを浮かべているところだ。
忍び刀を握りしめ、怒りの形相もものすごくにじり寄る人影を見て、鉢屋が転がったまま、
嬉しそうに片手を上げた。

「やあ雷蔵!やっとあらわれたな我が相方!」
「勝手に相方にするなってば!そんなの今日こそ解散だ!」
「なんの、明日には再結成だ!」
「いい加減にしろ三郎!君ってやつは、何人不幸にしたら気がすむんだ!?いったいあの三年生に
なにを吹き込んだ!」
普段穏やかな不破雷蔵の、容赦のない怒声に、部屋の片隅で図書委員の下級生が縮み上がる。
見上げる鉢屋の眉が、悲しげに寄った。
「君まで私を疑うのか?別に大人になったら三本に増えるとか、硬度も砲丸を貫けるほどになるとか、
長さは通常三尺八寸なんてことは教えてないぞ?」
「嘘つけ!普段は体内に収納しているからわからないんだとか、穴は五つあるとか、うち二つは偽物で、
間違ったところに入れるとちょん切れるとか言ったんだろう!」
「だから、頑張りすぎると口から出るなんて、信じたのは君くらいのもので」
「もうよせ雷蔵!聞いてるこっちの心が痛い!」


682:講習会はカオス!の段7
07/09/01 02:27:32 38s1RaKn

蒼白になって耳を押さえ、首を振る久々知の横で、だから吊るすより埋めときゃよかったんだ、
と、竹谷がため息をついた。
「あんなところで迷い癖出すから」
「わかってる、ぼくの過ちだったよ。もう迷わない。今ここで、五年分の決着をつける!」
ぎりりと縄を引き絞り、真剣な目で睨んでくるその顔を、同じ顔が寂しげに笑って見返した。
「悲しいものだな、若さゆえの過ちというものは」
「過ってんのはお前のほうだ!」
「過るより謝れっての!」
「そうはいくか。一度ネタを出したら後には引かない、芸のためなら親友も泣かす。それが芸人魂!
それが鉢屋クオリティ!」
「お前は芸人じゃなくて忍たまだあ!」

鉢屋と不破の間で張り詰めていた縄が、音を立てて千切れ飛んだ。
くない一閃、首に絡んでいた縄標と、半瞬遅れて突っ込んできた久々知の刃が、同時に払われる。
仰向けの体勢から、腹筋の力だけで天井近くまで舞い上がると、鉢屋は空中で身をひねり、
音もなく部屋の真ん中に降り立った。
相変わらずポーズはグリコだ。
見事な体術に、部屋のあちこちからまばらな拍手が上がった。
片手を振って拍手を収め、自分も刀を抜く。そして鉢屋は、寂しさの中にも決意を秘めた表情で、
獲物を構える三人の同級生を振り返った。

「批判を恐れて芸人が務まるものか。たとえ誰にも理解されなくても、私は私の道を貫くぞ。
さあ友よ、いまは敵となりしもの達よ!思うがままに罵り叫ぶがいい!変態とでもウホッ!とでも!」
「叫びたかねえよ!」
「だから芸人じゃなくて忍たまだっての!」
「君、実は楽しんでるだろう!」
「五年ボーズども!漫才は外でやれイ!」

息をもつかせぬボケツッコミの応酬に、ようやく割り込んだ食満だったが、加速する五年生の暴走を
止める手立てはない。
こっちは気になさらないでください!と言われても、舞い飛ぶ手裏剣、縄標に、交差する剣戟を
気にせずいられるものではない。
相変わらずマイペースに、熱中症患者の手当てをする伊作とともに、何とか生徒を部屋の隅に非難させる。
さらにぎゅうぎゅうづめになったが、これは仕方ないだろう。
気絶した次屋を三年生に託し、ほっと一息ついたところで、食満は自分の問題を失念していたことに気づいた。
お祭り大好きの小平太が、この騒ぎに一言も口を挟まないとは何事だ?
慌てて黒板を振り返る。

「いいかあ、それじゃ基本中の基本からいくぞ!これが押し車でこれが砧……」
「それのどこが基本だあ!」
黒板のわずかな隙間に、がりがりと勢いよく絵を描く小平太の手から、チョークがはじけ飛んだ。
いつのまにやら黒板の前に、室内の三分の一ほどの生徒が集まっていた。
仙蔵と小平太の仕業にちがいない。騒ぎの合間に勝手に進めるつもりだったのだろう。油断も隙もないとは
このことだ。
もっとも今度も下手すぎて、ほとんどの生徒には通じていないようだが。
だが中には数人、真っ赤になったり、涙目で友達の目を押さえているものもいる。だめだ。やはり黒板を
破壊するか、小平太を破壊するかしないとおさまるまい。
見つかったかー、と残念そうに肩をすくめる小平太を睨み、手首に仕込んだ棒手裏剣をもう一本引き抜く。
周りの騒ぎも知らぬげに、もくもくとマンジュシャゲを本に挟む長次の横から、立ち上がった仙蔵が
にやりと笑って食満を指差した。
「負けるな小平太。奴を倒せばお前の天下だ」
「煽るな悪魔!」
「応!真の講師の座を賭けて、勝負だ留三郎!」


683:講習会はカオス!の段8
07/09/01 02:29:36 38s1RaKn

窓辺では五年生が、三対一で演舞じみた華麗な立会いを繰り広げている。
黒板前では六年生が、一触即発の張り詰めた空気をにじませている。
新たなる戦いの予感に、生徒は二手に分かれて観戦の体勢に入っている。熱気に満ちた室内は、
いまや興奮の坩堝だ。もはや本題がなんだったか、覚えているものはいるまい。
おれ、まんじゅう売っていい!?と立ち上がった一年生が、同級生と思しき数人に押さえられて潰された。

「けませんぱいこんにちは~」
熱気も緊張感も粉々にするような、間延びした声が響いたのは、そのときだった。

「あ、おまんじゅうがいっぱい描かれてる~」
「ちがうよ、なめさんだよ」
ぽてぽてと間抜けな足音を立てながら、開けっ放しの戸から入ってきたのは、用具委員の一年生だった。
食満の苦悩の、元凶とも言える二人だ。
小太りのしんべヱはすでに汗だくで、喜三太はいつものナメクジ壷の他に、一冊の大きな本を抱えている。
無垢な目で黒板を眺め、ぺこりと頭を下げる二人の姿に、なぜか仙蔵が頬を引きつらせた。
部屋に満ちた興奮も、必死の戦いを繰り広げる五年生もなんのその。暑いね、とか、もうすぐ晩御飯だけど
時間あるかなあ、とか、呑気な会話を交わす後輩の目の前に、食満は慌てて立ちふさがった。

「こら!お前ら見るな!今日は帰れ!」
「遅くなってごめんなさい、喜三太が調べものしたいっていうから~」
「先輩あのね、ぼくの風魔の先輩が、わからないことがあるっていったら本を送ってくれたんですけど」
「すっごく古くて、絵と字としみがいっぱいの、分厚い本なの」
「これ読んだら完璧だベーって言うんですけど、難しくてよくわかんなくて」
「だからなあ……」
「無駄だ。そいつらに言葉は通じんぞ」
嫌そうに数歩下がり、黒板に張り付いて小声で囁く仙蔵は、顔面蒼白で脂汗まで流している。
何を怯えているんだと不審に思いながらも、二人を守るべく食満は黒板に向き直った。

「それで、先輩にお聞きしようと思って」
「今日は終いだ。質問は明日にしろ」
「難しい漢字や言葉がいっぱいで、でも図書室で辞書引いても載ってなくて」
「絵からすると、世界のまんじゅう百科だと思うんですけど」
「違うってば、全国ナメクジ大全だよ」
「お前らちょっと人の話を……」
「ほら、見て見て」
叱りつける声も無視して、ばさばさと本をめくる音がした。小さな体で精一杯に背伸びをし、
こちらに掲げている気配もする。だが振り返る余裕はない。
ああ、ややこしいときにややこしいことになった。少々乱暴だが、二人まとめて廊下に放り出すか、と
悩む食満の視界に、教壇の横でゆらりとゆれる影が映った。

膝から数種の草花を舞い落とし、ぬっと立ち上がったのは長次だった。
普段、どこを見ているかわからない空ろな目を、らんらんと輝かせ、じっと食満の後ろを凝視している。
正確には食満の胸下、喜三太が本を掲げているあたりを。
思わず手裏剣を構えた食満の耳に、ぼそりと低い声が届いた。
「あれは……!」
「知っているのか長次?」
「……風魔秘伝書・裏……!」
「なにィ!私も聞いたことがあるぞ!真言宗立川流の流れを汲み、さらに風魔独自の秘伝を加えた
房中術の最高峰と呼ばれる一品じゃないか!体位だけでも九十六手を誇るという!」
小平太の目がきらりと輝いた。仙蔵が興味深げに身を乗り出し、長次の顔に壮絶な笑みが浮かぶ。
下級生の間から悲鳴が上がった。


684:講習会はカオス!の段9
07/09/01 02:31:46 38s1RaKn

「風魔スゲー!クオリティ高ぇー!」
「それはそれは、後学のためにもぜひ、読みたいものだな!」
「……欲しい」
「お前ら、下級生の私物だぞ!」
「それでねえ先輩、このへん多分、専門用語だと思うんですけど」
「お前らも状況を読め!」

反射的に振り返ってしまったのは、食満留三郎の誤算といえよう。
振り向いた瞬間、目の前数寸に桃色の世界が広がった。
下級生が二人がかりで開き、こちらに向けた本には、見開きいっぱいに一枚の絵が描かれていた。
柔らかで繊細な線、高価な絵の具を駆使した風雅な色合いは、黒板と同じ構図でありながら、
小平太の絵など足元にも及ばない。匂いまで漂ってきそうな肌の質感、味がしそうな肉の重量感など、
まさに股間を一撃の衝撃だった。
侮りがたし、風魔秘伝書!
横を駆け抜けかけた竹谷八左ヱ門が、目を見開いてすっ転ぶ。巻き込まれて直視した二年生も数人、
鼻血を吹いてその場に突っ伏した。
「だからね、意味がね、ぜんぜんわかんなくて、それでね」
「先輩どうして前かがみなの?」
「お前ら、それしまえ!閉じろ!」
叱りながらも目を逸らせない悲しき十五歳。その間にも無邪気な手はぐいぐいと、食満に本を
押し付けてくる。

「先輩教えて!貝あわせってなんですか?」
「先輩教えて!尺八って笛のことじゃないんですか?」
「先輩教えて!みみずせんびきってなんですか?」
「ああ、それはね」
「ちょっと待て伊作うぅう!」

呪縛を解いたのは、親切で不運な同級生だった。
倒れた二年生の世話をしながら、にこやかに口を開いた善法寺伊作を、食満は思わず後ろから
ヘッドロックで締め落とした。
腕の中で、ゴキ、と妙な音がした気もするが、かまってはいられない。
床にくずれた委員長を、慣れた手つきで保健委員の下級生が運んでいく。その流れに乗じて、食満は
喜三太の手から本を取り上げた。
「没収だ!もうこれはおしまい!」
「いや~ん」
「おお可愛そうに。そんな暴力的な奴に渡すことないぞ。山本、福富、それは私が預かってやろう」
「ははは仙蔵、台詞が棒読みだぞ!」
「竹谷先輩、あれは新しい爬虫類でしょうか?色合いがじゅんこの腹っぽいと」
「は?……うわああああ!今気づいたけどなにこれヤベエエ!いかん、生物委員、全員退避だ!
目ェ閉じろ!雷蔵、兵助、ちょっとすまん!」
「大丈夫です、三治郎の目はふさいでます!」

黒板を見るなり奇声を上げて、抱えられるだけの後輩を抱き込むと、竹谷は部屋を飛び出していった。
生物委員は幸福だ、と心ひそかに思いながらも、食満は動くことができない。
先ほどとは段違いの熱意を秘め、仙蔵と小平太が小刀を構えた。長次も縄標を振りながら、ゆっくりと
こちらへ向き直る。
武器はすでに乏しい。唯一の味方は先ほど、自らの手で消したばかりだ。
ようやく事態を悟ったか、青くなって両足にすがりつく一年生をかばい、食満は絶望的な思いで
手裏剣を構えなおした。
「……よこせ」
「……うるさい」
目にも留まらぬ早業で、長次の縄標が飛ぶ。だがそれは、横手から飛んできた手裏剣に弾き飛ばされた。


685:講習会はカオス!の段10
07/09/01 02:34:19 38s1RaKn

「先輩方、風魔の秘伝書などより、鉢屋の秘技を知りたいと思いませんか?」
夕日の差し込む窓辺で、鉢屋三郎が高らかな笑い声を上げた。
またこいつか、と、どっと力が抜ける。
鉢屋は先ほどよりもさらにずたぼろで、顔の仮面も一部が剥がれかけていた。だが未だに意気揚々、
左右を囲む不破と久々知のほうが息が上がっているほどだ。
助けられたのかもしれないが、決して相容れられそうもない相手を、食満は鋭く睨みつけた。

「すっこんでろ、五年!」
「ほう、お前は風魔の秘伝書より深い知識があるというのか?」
「ええ。その手の秘伝書はすべて、私の好敵手ですから」
「先輩、騙されないでください!三郎はどこまでも斜め上な奴なんです!」
「わかってる!」
「そのとおり!あらゆる正しい奥義、知識の、斜め上を越えていくのが鉢屋クオリティ!」
「それはもういいっての!」

片手で高々と天を指差し、片手を腰に当て笑う鉢屋の顔面を、不破の投げた手裏剣が襲う。
だがそれが当る直前、鉢屋の体が大きく吹っ飛んだ。
「邪魔だ、どきやがれ五年ボーズ」
先ほど壊れた窓枠の上で、落日の眩い朱に包まれて、うっそうとした人影が片足を上げている。
ずたぼろの鉢屋よりも、顔も制服もはるかに薄汚れてぼろぼろだ。
だがその両目は、深い隈に縁取られながらも、炯炯と底知れない光を放っていた。
野生の熊も裸足で逃げ出しそうなその迫力に、下級生の間からまたもや悲鳴が上がった。
食満も生唾を飲み込む。だがそれは、恐怖からではない。
いなくてもいいときには大抵出て来る、学園一ややこしい男の登場に、危惧を覚えたからだ。
「なんだ、文次郎じゃないか。修行は終わったのか?」
小刀を構えながら、気安く手を上げた仙蔵に、六年い組の会計委員長、潮江文次郎は、小さく鼻を
鳴らすことで答えた。
そのままゆっくりと底光る目で、静まり返った室内を睨みまわす。
これまでの文次郎とは違う、静かながら一分の隙もない動きに、食満は思わず一歩、その場から
ずり下がった。

文次郎が、なんだかアホらしい理由でアホらしい修行に出た、という話は聞いていた。
そのときは、いったい何をどのようにすれば修行になるのか、と、呆れた思いを抱いただけだった。
だがこの男、今までとは明らかに何かが違う。一皮も二皮も向けたようだ。

「修行どうだった?私の貸してやった砲丸、役に立ったか?」
「おう。何度かすりきれたが、ついには完全粉砕した」
にこにこ問いかける小平太の言葉には、壮絶な笑みが返った。ほう、と珍しく声を上げ、長次が
ぐっと親指を立てる。
こちらはぐっと二の腕を曲げ、力瘤を作ると、文次郎は隈だらけの目をくわっと見開いた。

「男の一念、砲丸をも砕く!馬が何だ!重要なのは硬度と持久力だあ!」
「なにいいい!砲丸を貫くどころか粉砕しただとおお!」

文次郎に吹っ飛ばされた姿勢のまま、床にへばりついていた鉢屋が奇声を上げた。
仮面の隙間から覗く肌を蒼白に染め、愕然と床板に爪を立てて、気勢を上げる文次郎を凝視する。
「なんてことだ、現実にネタを越えられてしまうとは!雷蔵、私はいったいどうすればいいんだ!?」
「引退しろ!」
間髪いれず駆け寄った不破のげんこつが、鉢屋の頭頂部を直撃した。
文次郎の言葉がよほど衝撃だったのか、抵抗らしい抵抗も見せず昏倒した鉢屋を、不破と久々知が
二人がかりですばやく縛り上げる。
ケリがついたか。しかしなんで鉢屋は文次郎の修行のことを知っていたのだろう。
首をかしげる食満の横で、室内を見回していた文次郎が、ぎらりと瞳を輝かせた。
「そこか団蔵おぉお!」
部屋の片隅から、一年生らしい甲高い悲鳴が上がった。
かかってきやがれ、リターンマッチだ!と雄叫びを上げながら、床に座り込む下級生を蹴散らし
投げ飛ばし、重騎馬のごとく突き進む文次郎の後を、面白そうだ私も混ぜろ!と小平太が追った。


686:講習会はカオス!の段11
07/09/01 02:36:27 38s1RaKn

時はすでに夕刻に差しかかっていたが、日差しはまだ暮れる気配もなく、熱気もとどまるところを
知らない。
恐怖と混乱で埋め尽くされた室内は、あちこちで上がる怒声と泣き声で、自分の声も聞こえないほどだ。
幾人もが熱中症と緊張で倒れていく。保健委員は奮闘しているが、優秀な保健委員長を欠いた今、
その力はあまりに弱く、小さい。
文次郎は、すがりつく会計委員たちを引きずりながら、逃げ惑う一年生を飽きもせず追いかけている。
小平太は、途中で拾い上げた次屋を肩車して、無敵の体力でその後を走っている。
次屋はまだ気絶しているらしく、ほとんど逆さづり状態だ。そのさらに後ろを、三年生の一団が
必死に追っている。
昏倒したはずの鉢屋は、がんじがらめの縄を易々と抜け、あっという間に復活した。
越えられたのならさらに越えればいいだけだ、頑張ろう雷蔵!と張り切って、どうしてぼくを
巻き込むんだ、と不破を泣かせている。
邪魔がなくなったとばかり、仙蔵と長次はじりじりと、こちらに向けて間合いを詰めてきている。
背後で、作法委員と火薬委員の四年生が二人、教壇の本をもくもくと覗き見ているが、気づかないのか
単に面倒なのか、注意する様子は微塵もない。
食満の両足は、しがみつく一年生に捕らわれたままだ。
涙と鼻水と汗と涎と、壷から這い出した無数のナメクジで、袴はもうぐっしょりになっている。
何匹かが袴の隙間から入り込んできているような気もするが、払う気力も湧いてこない。

ああ、カオスだ。
これをカオスと呼ばずになんと呼ぶのだ。

夕日はどこまでも赤く、気温はどこまでも高く、阿鼻叫喚の騒ぎもどこまでも続いていく。
迫る小刀と縄標の輝きを見つめながら、食満は、それでも明日は今日の分まで、講習会をやらなければ
ならないんだろうな、と、ぼんやり考えた。



夕日の迫る忍術学園の正門では、事務員の小松田がいつものように掃除をしていた。
不器用な箒の動きも、生真面目な表情も、いつもと同じだ。いつもどおりのその光景を、山田伝蔵は
なんとなくほっとして眺めた。
二学期初日から出張に出かけ、ようやく帰ってきたところだった。出かけていたのはほんの数日だが、
なぜか随分長いこと留守にしていたような気がする。
正門の数歩手前まで来たところで、ようやく小松田が顔を上げた。山田先生、おかえりなさーいと
間延びした声に、うむとあいさつを返して、外出許可書を返還する。
「留守の間、何か変わったことがあったかね?」
のんびりと許可書を確認する小松田に、何の気なしに問いかける。ちょっと前から息子さんが
お待ちですよ、との言葉に、ほう、珍しいなと驚くとともに、なんとなく面映い気持ちになった。
「他には何か、あったかね」
「いいえ。いつもどおり、平和なものです」
「そうかね」
この青年の言葉を頭から信じるのは危険だが、おそらく、それほど大事はなかったのだろう。
「土井先生がまた、神経性胃炎で倒れられたんですけど」


687:講習会はカオス!の段12
07/09/01 02:38:40 38s1RaKn

さらりと続いた言葉に、やっぱりあるんじゃないかとがっくりする。
だがまあ、それもいつもどおりといえばいつもどおりのことなのだが。
「ちょっと悪かったそうなんですけど、こないだから乱太郎君が、とても献身的に看病していて」
「ほう、乱太郎が」
「ええ、それで、一時危篤に陥ったんですけど」
「なに!?」
「なんででしょうねえ。でも今は、すっかり復活されましたよ。少々やつれたけど、とても穏やかな
お顔をされてます」

最近は学級委員の庄左ヱ門君や金吾君と、並んでお茶を飲んでることが多いみたいですよ、と
のんびり言い、小松田は許可書にぽんとはんこを押した。
「あの三人は三人とも、最近、そろって阿弥陀さまみたいな顔になりましたよね」
「なんだねそりゃ」
「うーん、なんていうかこう、悟ったみたいなっていうか」
自分でもよくわからないのだろう、首をかしげる小松田を置いて、伝蔵は門を潜った。
その後ろから、ぼくも行きます、と小松田が飛び込んできた。
「掃除は終わりかね」
「はい。講習会に誘われてるから、はやく行かなくちゃ。もう終わっちゃったかなあ」
「講習会?」
「ええ。六年生が自主的に開いてるもので、とっても人気があるんですよ」
やはりなんだかいろいろ、あったようだ。知りたい気もするが、この青年に聞くより他のものに
聞いたほうがわかりやすいだろう。
並んで校舎への道を進む。途中で、ふと思いついたように、小松田が伝蔵を見上げてきた。
「そういえばぼく、山田先生にお聞きしたいことがあるんですけど」
「わしにかね」
「はい。実は利吉さんにもお聞きしたんですけど、教えてもらえなくて」
「利吉に?」
「ええ。吉野先生には顔を引っ張られるし。それで、山田先生に聞いてみようかなあって」
「なにかね?」

小松田が振り返った。真っ赤な夕日を受けて、その制服よりも黒々とした長い影が、背後に伸びている。
影の先をなんとなく見つめたとき、伝蔵は、校舎の方角から一陣の黒い影が駆け寄ってくるのに
気づいた。
見紛うはずもない、息子の利吉だ。この平和な夕暮れの中、戦場もかくやというほどの真剣な表情で、
瞳には殺気さえ漲らせ、真っ直ぐこちらへ走ってくる。
何か起きたかと一瞬緊張するが、周囲には殺気も、人の気配すらない。
まるでいつもどおりの、学園の中だ。
どうしたと声をかけてみるか。だが、小松田が何かを話そうとしている途中だ。遮っては悪いだろう。
おそらく息子が到着するより、この青年が言葉を発するほうが早いだろうから。
「あのですね、赤ちゃんって……」
夕日の中、聞こえるはずもない距離で、利吉の顔が絶望に歪むのが、かすかに見えた。





688:名無しさん@ピンキー
07/09/01 03:16:15 Hl2KQ7/9
続き来てた(*´д`*)ハァハァ
笑わせて頂きました、GJ!

689:名無しさん@ピンキー
07/09/01 11:34:37 XwWvW4aw
講習会
キタ━(゚∀゚)━!!!!!

鉢屋
キタ━━(゚∀゚)━━ !!!!!

ギンギン帰って
キタ━━━(゚∀゚)━━━ !!!!!

アホの子小松田
キタァアアアアア━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━━!!!!!!

690:名無しさん@ピンキー
07/09/01 12:22:42 +rs0e/RA
食満好きにはとてもおいしい話でした
ありがとうありがとう
鉢屋アホスwww

691:名無しさん@ピンキー
07/09/01 13:39:39 3II74g6D
にっきの人GJ!!
想像以上の内容と量にただただ感服ですww
不死身な三郎と一部分だけ人間を超えた文次郎がアホ過ぎて大好きだ~!


692:名無しさん@ピンキー
07/09/01 16:39:54 /imZoBKB
続編キテタ!!!
にっきのひとありが㌧

693:名無しさん@ピンキー
07/09/01 17:41:06 B0iRsoxu
読みふけっちゃいました
にっきのひといつも感謝です

続き…ますか?

694:名無しさん@ピンキー
07/09/01 20:37:17 GiDcz01E
にっきの人!!!!!続編激しく感謝です!
鉢屋クオリティに感動wwww新作待ってる!

695:名無しさん@ピンキー
07/09/01 22:32:31 ChCTQEbC
鉢屋バロスw w w阿部さんのセリフw w w w w w w

696:名無しさん@ピンキー
07/09/01 22:41:53 6QIDAGCZ
にっき新作が!!もう笑いすぎて腹筋がヤバイす…
食満は苦労人でFAですかwww

697:名無しさん@ピンキー
07/09/02 01:37:42 JPw/u7bJ
超乙です!激しくGJ!!!!!!!!!!!!!!!!


カオス過ぎてもうどこからコメントしたものやらwww
とにかく上級生好きには嬉しい番外編でした。
鉢屋よりも中の人クヲリティタカスwwwwwwww

続編…期待してもいいですか?






あ、あと全編改めて読み直して思ったこと。

一番といっても良いほど冷静な気がするきり丸が、意外なようなそうでもないような。
(でも意外じゃない理由を考えると、原作14巻が頭から離れなくなるので自重)

698:名無しさん@ピンキー
07/09/02 03:05:52 GvUyM3H3
確かにきり丸は冷静だったね。にっきの人GJ!!何度もワロタよwww

699:名無しさん@ピンキー
07/09/02 11:00:17 mcbHX4+C
蛇な三年生が出てこなかったけどGJwwww

塚土井は一線越えを知ってしまったのねw

700:名無しさん@ピンキー
07/09/02 19:41:08 RYnrbQA8
URLリンク(mippi.jp)

にっきシリーズを勝手に個人的にまとめてみたけど、良かったらドゾ。
ログ、にっきの人の以外の書き込み要らないだろうか…?

701:名無しさん@ピンキー
07/09/02 22:33:05 +DH/fQ3t
>>700
超GJ!!!!!!!!乙!
感想欄とかでにっきの人へのレスも載せといたらさらに楽しめると個人的には思うけど。
なんか仕事増やしそうでごめん。

702:名無しさん@ピンキー
07/09/02 22:41:28 x+fy8dqj
>>700
乙です!!早速利用させてもらってます!
途中であった考察とかも楽しめたので載せてもらえると嬉しいのですが
やっぱり大変でしょうか?



703:700
07/09/02 23:24:02 RYnrbQA8
>>701-702
アドバイスありがとう!
一応にっきの本文とそれに関するレスをそのまま貼り付けてます。
先程3-4の間で抜けてたのを補ったけど、702が言っていたのはそのことかな…?
感想欄は……暇時間できたらやりますねw

704:名無しさん@ピンキー
07/09/03 01:23:22 fpUEKjQT
>>700
やるならスレ作品全部まとめておくれよ…

705:名無しさん@ピンキー
07/09/03 01:51:23 paCurIR8
スレのまとめサイトじゃないのか?
ここで公開するなら全部のまとめのほうがいんじゃね?

706:名無しさん@ピンキー
07/09/03 10:14:47 VIbKJxR5
スレまとめサイトを作りたい奴は作ればいいし
特定作品のまとめを作りたい奴はつくればいいだろ
労力が絡む以上横から口出すようなもんでもない

707:名無しさん@ピンキー
07/09/03 16:07:20 zxFPydWI
>>700GJ!!

にっきシリーズの人気は異常www
その流れでまとめをやってくれたんだからここは>700感謝するべきさー。
他のシリーズもまとめたいなら自分でやるか、個人的にメモ帳とかで楽しんでいればいい。

>706の言うとおりだ。
労力かかるんだからあれもこれもと文句つけるべきとこじゃない。

708:名無しさん@ピンキー
07/09/03 17:49:55 fpUEKjQT
>>707
そこまでイライラすることでもないだろう。モチツケ

709:にっきの人 ◆Vkqg3/8uas
07/09/04 00:22:53 0T++G0y8
気に入られたキャラほどえらい目にあう。
それがにっきクオリティ。
俺は忍たまだってかまわないで下ネタかます人間なんだぜ?

で、今まさにΣ(゚Д゚;≡;゚д゚)な状態なわけだが。
いやもう、書き手冥利に尽きます。
楽しんでくれてありがとう>700
レスくれた人たちもありがとう。
また何か浮かんだら投下する。
でもって、他の人の投下を心から待ってます。

最後に、喜三太の苗字を間違えていたことを
ここで懺悔する。
だれだ山本って……orz

710:名無しさん@ピンキー
07/09/04 08:57:26 W2jQ1ZwQ
>>709
ドンマイ涙w

711:名無しさん@ピンキー
07/09/04 21:40:24 piKtHKJ2
>>709
100点なんかとらなくていい
大事なのは読者にモテることだよ


うまいこと言おうとして失敗した……orz

712:名無しさん@ピンキー
07/09/10 16:00:58 AzzvQDtg
保守

713:名無しさん@ピンキー
07/09/17 12:10:56 qNVDB2yU
保守

714:名無しさん@ピンキー
07/09/18 20:48:57 zI0k2gcp
作品書きたい。でも時間がないorz
来年ぐらいまで、できるだけ多くの方が作品投下し続けてくれることを祈りつつ保守

715:名無しさん@ピンキー
07/09/21 08:10:11 8Vg/tH7l
>>714
職人マジガンガレ


716:名無しさん@ピンキー
07/09/21 23:46:22 r2a5Rz2b
>714
がんばれ応援してる。
 
 
ユキトモでもトモユキでも
どっちでもいいから百合が読みたい…
シナ先生×くの一とか


717:名無しさん@ピンキー
07/09/22 22:25:53 AxkkGtFK
仙蔵×くノ一って百合っぽく…
ならないか

718:名無しさん@ピンキー
07/09/23 00:05:34 uapdnFj9
6年×くのいちか…
15歳×11歳…いけるか??

もしくは6年×シナ??

719:名無しさん@ピンキー
07/09/23 04:08:35 J65w0V4C
>>718
6年が負けそうだなぁ…。
仙蔵は男っぽいとオモ

潮江×そうこが行けると思うんだがあまりやる人居ないな

720:名無しさん@ピンキー
07/09/23 04:10:40 qf+arSeT
>>718
同い年ってことで二年×くの一




しかし疑問なんだが、くの一は一学年しかないんだろうか…

721:名無しさん@ピンキー
07/09/23 21:38:40 TeojEsFG
>>719
エロでなければ見たことあるんだが・・・
貴重な男女のカラミなのに惜しいな

>>720
尼子先生によれば、ユキたちより上に
1クラスあるかもしれないらしい

722:名無しさん@ピンキー
07/09/23 22:49:19 3cpa+7SI
登場したってどうせ極太眉毛におめめギラギラまつ毛バシバシの怖いくノ一達なんだろう

723:名無しさん@ピンキー
07/09/24 00:29:15 IV8w6xYb
房中術の練習的な設定ならいけるんジャマイカ??

724:名無しさん@ピンキー
07/09/24 08:59:59 OHvXkDvs
求む兵みか

725:名無しさん@ピンキー
07/09/24 22:20:09 6tjjaiVD
求む滝夜叉丸山ぶ鬼
 
この二人略したら滝山でいいのか?

726:名無しさん@ピンキー
07/09/26 01:29:38 tt3WirIX
>>725
お笑い芸人みたいジャマイカw

727:風と木の名無しさん
07/09/29 13:17:14 jiZ0NbxA
>>724
投下しようか悩み中
…ちょっと兵太夫が無理やりぽい感じだし

728:名無しさん@ピンキー
07/09/29 14:42:49 /jQQjaQi
>>723
その設定いいなw
初めてのくのいちに先生や上級生が手取り足取りあんなことこんなことハアハアハア

>>727
よ、読みたい!!!
兵太夫が無理矢理ぽくだなんてなおさらハアハアハア
ぜひとも投下希望です

729:名無しさん@ピンキー
07/09/29 17:36:17 jiZ0NbxA
では流れぶった切って兵みか投下。結構長いですどぞ↓

730:兵みか1
07/09/29 17:37:37 jiZ0NbxA
見くびっていた。本当に甘く見ていた。
まさか。まさか、彼がこんな子‥いや、男の人だったとは。
みかは確かにくのいちの中ではかなり奥手なタイプだ。とはいえ仮にもくのいち。
あのシナから直に手ほどきを受けているのだから、男一人惑わすなど朝飯前なはずなのだ。
実際今まで彼女の術に堕ちた男は数知れず。しかし彼女をこんな窮地に立たせているのは
今まさに彼女の眼前にいる忍が初めてである。

「久しぶりだね、先輩」
みか同様きちんと切り揃えられた前髪。そこから覗く涼やかな眼差し。
それはかつて彼女が悪戯を仕掛けた相手、兵太夫だった。

「な‥なんでこんなとこにいるの?」
目を丸くして訊ねる彼女に兵太夫はにっこりと笑って答える。
「うーん、何でって言われても‥久しぶりに会いたくなったからかな?みかちゃんに」

同組のユキとトモミの悪巧みに手を貸し、まだ入学して間もない忍たまは組の子達を
こてんぱんにしたのは二年前の事。

二年。そう、まだ二年しか経っていないのだ。それなのにこの違和感は何だろう。

確かに自分はくのいちでも小柄な方だから、背はあの頃から自分より高かった‥しかしそれは少しの差だったはず。
少し目線を上げれば目を合わせる事が出来る差だった。それが今はどうか。
優に頭二つ分は違う目線、今だって壁際に追い詰めたみかを少し屈んで覗き込んでいる。
そして何より違うのは。みかはほんの少しだけちらりと視線を横に動かす。
彼女を逃すまいとするかのように、みかの顔の直ぐ側についている彼の左手。
彼は‥兵太夫の指は、もっと女の子のように細く華奢だった。
それが、いつの間にこんな節のしっかりした指になったのか。
手だけではない。以前より広くなった肩幅。以前より筋肉の付いた腕。
元々背の割りに細身だった兵太夫だが、今の彼を見ても以前のように女子と見間違えようが無く。
‥何よりみかの目を捉えて離さなかったのは、彼の喉の真ん中に付いた喉仏。
今、彼女の目の前にいる兵太夫は間違いなく"男のカラダ"だった。

「こ‥此処は男子禁制よ?」
「大丈夫、誰にも見つからない自信はあるよ。得意の抜け道があるから」
相も変わらず笑顔のまま兵太夫は答える。そうだ。彼は一年の頃からカラクリ使いで有名だったのだ。
学園中に抜け道を掘るなど彼からすれば造作も無い事。彼の自信は決してハッタリなどではない。
みかは背中に冷たい汗が流れるのを感じた。
「…い、いきなりこんな所まで来て何の用?」
「さあ…何の用だろうね」
言いながら兵太夫は右手をすっと伸ばし、みかの髪に指を差し入れてきた。途端にみかはビクリと肩を震わす。
彼の長い指は梳く様に彼女の髪の中を通り、そのまま彼女の頬に下りてくる。
強張る彼女の表情等お構い無く、兵太夫はその頬を撫でながら顔をゆっくり近づけてくる。
形の良い唇をみかの耳元に近づけ、彼は密かに嗤いながら囁いた。
「二年前の仕返し‥て僕が言ったら、みかちゃんどうする?」


731:兵みか2
07/09/29 17:40:02 jiZ0NbxA
「あ…んっ……ゃあっ…」

ここは男子禁制のくのいち部屋。男性教師でさえ何の許可も無く入る事は許されない。
そんな教室の片隅で。いつ誰が入ってくるかも分からない空間で。
…自分は一体、何を、しているのだろう。
朦朧とした意識を引き戻そうと、みかはそんな思考を浮かべた。
しかしカラダは彼女の意思を裏切り、ただひたすら掻き乱される。

床に広がる亜麻色がかった柔らかい髪。その上で彼女の細い手首を拘束しているのは兵太夫の左手のみ。
空いた右手がみかの服の上から小さな胸の膨らみをやんわりと揉み上げつつ、耳たぶから首筋へ、
ゆっくりと兵太夫の舌が下りてきた。それだけでみかは自分自身がおかしくなりそうな感覚に陥る。
「んう…や…やめて……ぁ」
「クスッ…可愛いね、みかちゃんの喘ぎ声って」
「ゃ…そ…んなこと…いわないでぇっ…ひゃぁっ」
反論する間も無く服の合わせ目から唐突にするりと忍び込んできた彼の手に、みかは翻弄されてしまう。
「うわ…柔らかい、みかちゃんの」
「だ…だめぇ……んぅ」
「じゃあココは?」
「っぁん!」
言うなり、赤く色づいた先端を指先で擦られ、みかの背中が大きく反る。
「もうこんなに硬くなってるよ?みかちゃんのココ。ほら」
「ゃめっ…あぁっ」
キュッと指先で軽く抓まれた。途端、びりりと電流のようなものが体中を駆け抜ける。
「指は嫌?じゃあこれならどう?」
「だめ…見ないでぇ…っやぁ…!」
しゅるりと帯紐を解かれ、はだけた衣の下の薄い鎖帷子も捲り上げられた。
あっという間に赤く小さな突起が兵太夫の口に吸い込まれる。
執拗に舐められ舌の上で転がされて吸われ、逃げようと体を捩っても掴まれた両腕はどうにもならず。
みかはすっかり逆上せてしまった頭を振り、必至に最後の理性にしがみつく。
「可愛いなあ本当…ココなんてほら、こんなに艶々してる。思わずこのまま食べたくなるよ」
双つの頂から顔を上げてみかに視線を戻し、兵太夫は微かに目を細め口の端を僅かに上げる。
漸く刺激から開放されたみかは既に絶え絶えの息を吐きながら、口を開いた。
「な…んでこんな…」
「ああごめん、上だけじゃあみかちゃんも辛いよね」
にっこり笑った兵太夫は言うが早いか、みかの下着の上からつ…と彼女の割れ目をなぞる。
「ぁ…ゃだ…あぅっ…」
たったそれだけなのに、じわり、と彼女の下着に薄い染みが広がった。
「あれ、もうこんなに濡れてる。…そんなに感じてるんだ」
最後の一言が熱い吐息と共に耳元へ吹き込まれ、ぞくりと体中が粟立つ。
恐怖じゃなく…そして何故か嫌悪でもない、意味の解らぬ感情。
「糸まで引いてるよ…ほら」
造作なく剥ぎ取った下着を見て兵太夫が薄く笑う。
「やだっ…そんなの見たくな…」
「でもこんなになってるよ?」
「っ…ゃあっ…!」
つぷ、と音を立て兵太夫が人差し指をみかの中へ差し入れた。その瞬間、みかの体がびくんと跳ねる。
「綺麗な色…まだあんまり使ってないみたいだね。房術やるって聞いてたけどな、くのいちって」
「房術なんて…実践で教わったの一度きりだったし…」
「そうなんだ、よかった」
「っ!やぁんっ」
ゆっくりと這い回る兵太夫の指が突然彼女の中を掻き回し始め、みかは言葉を続けられない。
以前房術の手ほどきをしてくれた先生は、もっと優しかった。だからに大した痛みもなかった。
今、自分へ与えられているのは何とも稚拙な愛撫。初めてでも無いのに時々痛みさえ感じる。
なのにあの時と違い、カラダの奥から湧き上がってくる、どうしようもない疼きと熱。
突き動かされる、もっとグチャグチャにされてしまいたいという衝動。
こんな感覚をみかは知らない。
…ああ。私、このまま壊れてしまうんじゃないかなあ…
何処かへ攫われそうになる自分の意識を何とか繋ぎとめながら、みかはまるで他人事のように思う。
しかしそんな他愛も無い思考さえ、次の瞬間に吹っ飛んだ。

732:兵みか3
07/09/29 17:41:23 jiZ0NbxA
「ほら、ここに今から僕のが入るんだよ」
わかる?と顔を覗き込みながら、兵太夫は二本目の指を入れる。自分自身でさえろくに触れる事の無い箇所を
兵太夫に侵され、自分の表情さえ彼の視線に晒され、みかは必至に顔を振った。
「お…ねがいっ…も、やめ、て…やぁっ」
いつの間にか拘束されていた腕は自由になっていた。だがそれを思い出す暇さえも与えまいとするかの
ように、兵太夫は彼女の柔らかな肉壁を擦るように指を抽出し、もう片方の指で小さな突起を剥いて擦る。
おかげでみかは抵抗どころか嬌声さえ抑えることも出来ず、溢れ出た透明の蜜が内股を伝い、床を濡らしている。
もっと彼女の可愛い啼き声が聞きたいと思ったが、既に兵太夫は我慢の限界だった。
「挿れるよ」
「だ、だめ、ぇ…あ、あぁぁっ!」
少し低い兵太夫の声に続き、みかのカラダの中心に兵太夫が這入ってくる。
指とは比べ物にならない程の太いそれに彼女はカラダが裂けそうになる感覚を覚え思わず声を上げる。
しかし充分に潤っていた彼女の秘所は難なく兵太夫を受け入れた。
「うっわ…あったかい、みかちゃんの中」
もうこれだけでイッてしまいそうだと囁きながら、兵太夫はゆっくり抽出を始める。
次第に薄まり始めた痛みは、徐々に快楽へと変わっていった。
ぱつん、ぱつんと自分の臀部へ打ち付けられる腰と、その度に耳まで届く水音。
強く揉みしだかれる乳房。激しく揺さぶられるカラダ。
「っん、はぁ…あ、あぁっ、あんっ」
触覚も、視覚も、聴覚さえ…みかの全てが、兵太夫の刺激に侵されていく。


遠くの方で誰かの笑いあう声が聞こえる。
本当なら気になって仕方無いのに、それを気に留める余裕さえ今は無く。
夕陽の差し込む静かな教室にはみかの喘ぎ声と兵太夫の荒い息、そして
くちゅ、くちゅ、という卑猥な水音だけが響いていた。


「んっ…はぁ…っ、もうダメ、イッちゃいそう」
限界が近付き急速に動き始めた兵太夫にみかも唐突に絶頂への階段を駆け上っていく。
「あっ…そんなしたら私イッ、ちゃうっ…!…っあ、ああぁぁっ!」
「っ…くっ…!」
みかの全身が痙攣したかと思うと兵太夫を咥え込んだ秘所が思いきり締まり、
それに促されるように兵太夫は欲望をみかの中に吐き出す。

視界が、真っ白に染まっていく気がした。


733:兵みか4
07/09/29 17:43:15 jiZ0NbxA
彼女がうっすら目を開けた時、辺りはすっかり暗くなっていた。
窓から見える空には既に星が一つ二つ輝きだしている。
…あれ。私、あのままどうしたんだろ……
そもそもアレは夢だったのではないかとボンヤリした頭で考えていたら
直ぐ傍で声がした。
「目が覚めた?」
思わず上体を起こしてそちらを見る。
其処には机に頬杖を付きながら此方を見つめる兵太夫がいた。
…夢ではなかった。
そう思うより早く、みかは見る見る内に顔が真っ赤になる。
早鐘を打ち鳴らすように鳴る心臓を抑えつつ、やっとのことでみかは口を開いた。
「ま…さか……ずっと其処にいたの?」
「そうだよ。だってさ、みかちゃんイッたと思った途端に気を失うんだもん。放っておく訳に
いかないでしょ?かと言って僕がみかちゃんを部屋まで連れてったらさすがにマズイだろうし」
その言葉に、さすがのみかも頭に血が上ったらしく。
「…っていうか、何てコトしたの!?どうしてこんなっ……」
言い終わる前に、涙がほろりと出る。
どうして。どうして彼は、自分にこんな事をしたのか。
みかは静かに啜り泣いた。
悔しいのか。哀しいのか。それとも怒りの涙なのか。一体自分はどうしたいのか。
それさえ今の自分は解らない。ただ、涙が出た。
暫くすると横から手がそっと伸びてきた。一瞬ビクッと肩を震わせる彼女に構わず
その手はみかの涙を拭う。
「…ごめん。僕、嘘をついてた」
静かなその声に、みかは顔を上げた。彼女の頬の涙を拭いながら撫でる兵太夫は
真剣な眼差しを此方に向けている。
「…最初に言った二年前の仕返しなんて嘘。ただの口実なんだ。…本当は僕は、ただ、みかちゃんの事を」
そこで一度言葉を区切った彼は躊躇いながら小さく呟く。好きなんだと。
「あの頃から好きだった。騙されたと分かった後も好きで仕方なかった。忘れられなかったんだ、ずっと。
一年立っても、二年立っても。君は僕の中に入り込んだままだった。だから何とかして自分の気持ちを
伝えたかった」
でも、と言った兵太夫の顔が歪む。それはまるで何か苦しいものを我慢しているような表情だった。
「でも君の顔を見た途端、何だか堪らない気持ちになった。好きなのに…好きなのに、何でだろう。
君を壊したいような、全て奪ってやりたいような気持ちになった」
そう言って少し俯く。みかはそんな兵太夫を半ば呆けた表情で見つめている。涙は既に乾いていた。

好きだなんて。そんな風に思われているなんて、気付かなかった。寧ろ、憎まれているくらいだと思っていた。
…じゃあ自分は。自分は、彼の事をどう思っているのか。
二年前初めて彼に会った時は特に何の感情も抱いていなかった。好みのタイプではあったが、ただそれだけ。
一つ年下のクセに生意気な子だと思う程度で、別段好印象を持っていたわけではない。
だがしかし、今は。
この二年間、時々廊下や食堂などで彼の姿を見かける事もあった。遠目から見ても以前に比べ大人びてきたと
思う事も何度かある。…いや、もしかすると意識して見ていたのだろうか。何故なんの関わりも無い彼の姿を
自分はこんなに記憶に留めているのだろう。

734:兵みか5
07/09/29 17:44:14 jiZ0NbxA
何も言えずに押し黙ったまま、再び二人を襲う沈黙。
「…本当にゴメン。もう帰るよ」
やがて重い空気に耐えられなくなった兵太夫が席を立とうとする。しかし後ろからくい、と裾を引っ張られ
驚いて兵太夫は後ろを振り返る。彼を引き止めるみかの俯いた顔は再び赤くなっていた。
「…私も、兵太夫のこと……かもしれない」
「…………え?」
思わず聞き返した兵太夫にみかは更に顔を真っ赤にした。
「……だ、からっ…わ、わたしも兵太夫の事…好きかもしれないって言ってるの!」
「…かもって…」
「だ、だって解んないんだもん!…でも……さっきの聞いて、何故か…嬉しかったの…」
ただ、それだけなのだと。途切れ途切れに話すみかを、今度は兵太夫が呆気にとられて見つめている。
「だから…」
「…だから……?」
「……そ、の……そ、それだけっ!」
それきり、また黙り込むみか。
暫くその場に立ち尽くしていた兵太夫は、ゆっくり彼女の前にしゃがみ込んだ。
再び手を伸ばし、彼女の柔らかな髪を撫でる。最初は何も喋らずただ髪を撫でていた兵太夫だったが
「…ふふっ」
途中で急に俯いて吹き出し、ついに耐えられなくなったかのように笑い出した。
「な、何で笑うの?私何か可笑しい事言った?」
「あはは……ごめん、嬉しかったんだ。それだけだよ、本当に」
ひとしきり笑ってから兵太夫は返事をする。そして一度深呼吸をし、言葉を続けた。
「みかちゃん、もしよかったら…僕と付き合ってよ」
て、こんな時に言うなんて卑怯かなと言いながら、兵太夫は少し顔を赤くした。
「……うん。いいわよ」
みかも頬を染めたまま小さく頷く。頷いたまま顔を上げられなかったのは勿論恥ずかしかったからで。
それを兵太夫も解っているのか再び笑顔になり、彼女の頬に手を伸ばしそっと顔を上げさせた。
「じゃあ、改めて。……好きだよ、みか」
「兵太夫……」
群青色の暗闇の中、月灯りで出来た二人の影がゆっくり重なった。


後日。
「…にしても酷い兵太夫たら。普通好きなら、エッチより先にキスでしょ?」
「ごめんってば。だから最後にしたじゃないか。それにキスは最初させてくれないと思ってたし」
「エッチだって好きじゃないならしないわよっ!」
「も~だから怒んないでよ」
ね?と言いつつ後ろから抱き着いてくる兵太夫の腕に包まれ、釈然としないのに結局頬を染めて微笑む
みかは、何だかんだ言って幸せを感じるのであった。

735:729
07/09/29 17:47:54 jiZ0NbxA
終わりです。正直、二人のキャラが違う気がしないでもな(ry
…何か最後の方で兵太夫がヘタレくさくなっているのはご愛嬌という事で。
この二人のカプ昔から好きなんだがあまりサイトが無いので寂しい…いっそ
自分で立ち上げるかとか思う今日この頃。

736:名無しさん@ピンキー
07/09/30 09:19:25 RMZgxZqR
gjgj!
久々に来たらこんな良作品がうぷされてるとは…

12歳にして言葉攻め兵太夫末恐ろしす

737:名無しさん@ピンキー
07/09/30 13:24:50 aCcU052q
narutoの下忍達も確かまだ12歳設定だったはずだからエロ設定ギリでいけるかな
あのジャンル同人もノマカプで結構凄い事してるよね12才なのに

738:名無しさん@ピンキー
07/09/30 21:51:45 vacb/LKr
>>737
それが同人の同人たる所以。

基本に戻って半助さんのくノ一調教モノとか読みたい。
彼の場合は調教されそうですが…。

739:名無しさん@ピンキー
07/09/30 22:21:57 HsFTJVTR
>>737
12歳ともなるとね……

740:名無しさん@ピンキー
07/09/30 23:02:39 cbQjKeJv
忍たま落乱は当時の12歳だから
今で言ったら+3歳くらいじゃないか?
兵タンはぁはぁ

741:名無しさん@ピンキー
07/10/01 09:11:26 is2cd+RN
ぐぐぐGJ!!!!!!!!
兵タンハアハア
みかタンカワユス
12歳設定ってのもツボに来ました。素直になれないお年頃…
年齢操作すれば低学年の忍たまらのエロパロもいけますなぁw

742:名無しさん@ピンキー
07/10/02 02:54:45 eFkizsxo
くの一×忍たま低学年を書きたいんだが誰がいいと思う?
原作しか見てないんで原作キャラでよろ

743:名無しさん@ピンキー
07/10/02 07:53:56 H2D7GczG
>>742
藤内とか左近とか

744:名無しさん@ピンキー
07/10/02 11:26:48 sv+1no83
>>742
ぜひ三治郎ちゃんをオトナにしてあげてください

745:名無しさん@ピンキー
07/10/03 01:12:22 Z0nCsyD4
あえて私は伏木蔵を推そうか

746:名無しさん@ピンキー
07/10/03 01:55:15 MTjr/mba
OK、自分は喜三太を推そう。

747:名無しさん@ピンキー
07/10/03 02:06:24 hbhOislD
ではあえて山村リリー殿を推薦しようか
リリーvs大木先生、みたいなやつ……。


後悔はしてい……

748:名無しさん@ピンキー
07/10/03 23:25:57 cfpgOJsV
いやいや、ここはあえての庄佐ヱ門

749:名無しさん@ピンキー
07/10/03 23:28:57 cfpgOJsV
いやいや、ここはあえての庄佐衛門

750:小梅
07/10/03 23:35:22 cfpgOJsV
間違えた、庄左ヱ門でした

751:名無しさん@ピンキー
07/10/03 23:38:43 cfpgOJsV
間違えた、庄左ヱ門でした

752:名無しさん@ピンキー
07/10/04 01:22:00 PyHqIG3N
落ち着けい!

こうなったらあれだ。
低学年総あたり大あみだくじ大会で決めるしかないな。

753:名無しさん@ピンキー
07/10/04 04:47:38 c4OGfiA8
>>748-751
何をやっとるんだおまいはww

754:名無しさん@ピンキー
07/10/04 14:42:28 swsi2IRQ
庄ちゃん好きワロスw w w

755:名無しさん@ピンキー
07/10/08 02:39:43 wnFFr5eJ
>>752
一日掛かってしまうw
とりあえず伊助押しとく

756:名無しさん@ピンキー
07/10/08 10:37:32 f5Mdby3l
>>313みたいな感じでリリーばーちゃんの話がいいな…

757:名無しさん@ピンキー
07/10/08 16:03:12 4HyEsQPy
今度はリリーばあちゃんにまで襲われるのか…土井先生…

758:名無しさん@ピンキー
07/10/08 18:07:46 aRwNMBqh
リリーばあちゃん、食堂のおばちゃん、老シナでお願いします

759:名無しさん@ピンキー
07/10/08 19:46:33 Nrn60+9m
土井先生も適役ではあるが、別に拘る必要はないと思う
とりあえず若くてなんか苦労してそうな男性キャラ

760:名無しさん@ピンキー
07/10/08 20:17:09 4HyEsQPy
>>759
>とりあえず若くてなんか苦労してそうな男性キャラ
利吉しかいないじゃないかww

761:名無しさん@ピンキー
07/10/08 20:27:41 yHUiJG9H
>>759
斜道影m(ry

762:名無しさん@ピンキー
07/10/09 09:36:17 rfj5QkhT
>>761
斜道×リリーを読んで誰が得するって言うんだwwww

763:名無しさん@ピンキー
07/10/09 11:44:55 1JFl6yqk
恐いもの見たさというか…(お化け屋敷的な意味で)

764:名無しさん@ピンキー
07/10/09 16:05:44 A2dVo0Cz
若くて苦労してそうなら、松千代先生はどうか。
くのいちキャラよりよっぽど可憐だしw

765:名無しさん@ピンキー
07/10/09 16:42:29 ylx8W5FC
松千代先生は可憐だよなww
野村先生でもいけるような気がする。こっちは男前だし。

766:名無しさん@ピンキー
07/10/09 20:40:40 dcMi070Y
>>762


767:名無しさん@ピンキー
07/10/12 08:42:39 i+OmV8y+
大木先生×リリー

リリーは大木先生が大嫌い!!
ガサツで乱暴で人の話を聞かなくて、何よりアイツは甲賀流!!

だけどね、大木先生に無理矢理唇を奪われて以来、彼のコトが忘れられない…
彼の突然で強引な抱擁と、厚い胸板、そして意外と柔らかい唇
耳元で囁かれた「アイシテル」は、彼の気まぐれ??

こんな気持ちになったのは何十年ぶり!?
枯れ果てたと思っていた女の本能が、今、目覚める……

768:名無しさん@ピンキー
07/10/12 11:01:34 1x8F14Cb
お前、責任もってそれ書けよw w

769:名無しさん@ピンキー
07/10/12 16:14:44 wDQI2It4
ケータイ小説ktkrwww

>耳元で囁かれた「アイシテル」は、彼の気まぐれ??

幻聴ですwww

770:名無しさん@ピンキー
07/10/12 19:47:33 Xv7cl8ZB
>>767
楽しみに待ってますね

771:名無しさん@ピンキー
07/10/13 00:41:13 y6/w6/W6
待てよ。
女体化がアリなら、リリーばあちゃんの若返りもアリじゃね?

772:名無しさん@ピンキー
07/10/13 07:04:57 gEz0KliV
>>767
朝からフイタwwwwwwwwwwwwww

773:名無しさん@ピンキー
07/10/13 21:27:56 NCwhTvOq
>>771
若い頃に出会ってたって設定はどうだ?
大木先生が十代としたらだな、
リリーばーちゃんはえーと

ひ孫がいるくらいの年でー……



774:名無しさん@ピンキー
07/10/13 22:45:58 OJpwizH4
「ふははははっははは!久しぶりだな!大木雅之助!!」
 突然謎の美女が現れた!大木は咄嗟に持っていたラッキョの苗を構えた!
「だ、誰だ!名を名乗れ!!」
「わからんか!風魔くの一、山本リリーじゃ!!」
「な、なんだってー!!!」
「貴様と勝負するため、風魔流に古くから伝わる若返りの薬を使って若返ったのじゃ!!さあ、これで条件は同等!!尋常に勝負せよ!!」
「よし、わかった!!ただし、お床の勝負じゃ!!」
「ふん、この風魔の楊貴妃と呼ばれたわしに叶うかな!!貴様のらっきょう金●から赤玉出るまで絞りつくしてやるわい!!」
「ははは!わしも甲賀のNice boatと呼ばれた男!!お前の×××をがっばがばにしてやるわ!!」
「いざ!」
「勝負!!」


「ばあちゃん、止めて~……。」
 やしゃごの声は二人に届かなかった。


775:名無しさん@ピンキー
07/10/13 23:34:28 1NgP7GHZ
やしゃごは見ちゃだめだwww

776:名無しさん@ピンキー
07/10/14 00:20:00 tF8eN97s
>>774
「大木は咄嗟に持っていたラッキョの苗を植えた!」に見えて笑ってしまった。
若返ったリリーばあちゃんはアニメの大木先生が妄想した美人だと想像。

777:名無しさん@ピンキー
07/10/14 00:35:18 o4YqDm8c
ナイスボートw

778:名無しさん@ピンキー
07/10/14 11:44:56 88bA7k/G
【おばちゃんの感謝】見て思ったのだが
兵庫水軍×食堂のおばちゃんで輪姦ものもありじゃないか?
と思った漏れは負け組orz...

779:名無しさん@ピンキー
07/10/14 17:09:06 CGb9NdwY
乱ユキ、きりトモ、兵みか、庄しお、団そう、金あや、伊助×なおみ
喜三太×亜子、虎若×猪々子、三治郎×卯子、しんべヱ×恵々子
ヤるとしたらこんな感じ?

780:名無しさん@ピンキー
07/10/15 01:01:08 5VUq7VZG
>>774
相手を見てとっさにお床の勝負にもちこんだ大木先生GJ

781:名無しさん@ピンキー
07/10/15 15:55:35 +vH0AKSR
ユキ×左近
久作×トモミ

どっちか書こうと思ってるが、どっちが見たい?

782:名無しさん@ピンキー
07/10/15 18:24:55 35sFYLNH
是非ともユキ×左近で

783:名無しさん@ピンキー
07/10/15 22:44:12 Kvww/dxM
>>781
ユキ×左近にイピョーウ
塚、掛け算逆じゃないのかw期待

784:名無しさん@ピンキー
07/10/16 01:43:52 nJaAbb5F
>>781
左近が受けですかw
見たいw w w w

785:名無しさん@ピンキー
07/10/16 01:59:10 O/G0EKaM
シナ先生×四年生の誰かとかどうよ
房中術の授業が始まるのが四年からと言うイメージがある

786:名無しさん@ピンキー
07/10/16 11:44:42 BsI4WLQr
くノ一×男性教師が良い。
先生から合言葉を聞きだす前にイクと失格で、また次の先生の相手をしなくてはならない。
別室で順番を待ちながら、女生徒たちとの行為を想像して猥談で盛り上がる男性教師たちに
体を使って接待するシナ先生が、信頼していた教師たちに犯され弄ばれる教え子たちの心が
受ける衝撃を思って心の中で涙を流す。

787:名無しさん@ピンキー
07/10/16 17:19:05 fxPFLeZU
忍たまエロはあんま暗くないのがいいなぁ

788:名無しさん@ピンキー
07/10/16 18:25:26 SmAHbDVh
とりあえずはユキ×左近に期待

789:ユキ×左近
07/10/16 20:11:59 ku0jg/3r
>>787
ごめん、ちょっと暗いかも…


とりあえず前半?的なものだけ書きました。
エロには到達せずスマソorz
次回からエロって感じです。
ちなみに大前提として三郎次←ユキがあります。嫌いな人は注意。
後、左近が好きで好きでたまらない人も注意した方がいいかも。
かなり可哀想かもしれません。
それでもいいって人のみドゾー

790:ユキ×左近
07/10/16 20:13:03 ku0jg/3r
保健委員が不運委員と呼ばれるのは今に始まった事じゃない。
元々不運な奴等が集まったのか、保健委員だから不運なのかはよく分からないけど。
もう2年も保健委員を(なんとなく20年ぐらいやってる気もするけど…)やってきたんだ。
不運には慣れた。恐れるものも無い。

そう思ってないと、心が壊れそうだった。

「あんたってさー」
白くてきめの細かい、三郎次や久作なんかとは全然違う女の子の肌。
傷つけないように丁寧に包帯を巻いていると、突然喋りだした。
このときから、なんとなく嫌な予感はしていたんだ。
くの一が楽しそうに目を細めて話し出す事なんて、僕らにとっては嫌な事に決まってる。
よりによって今日は保健委員が僕しか居なくて、他に助けを求めようにも保健室は珍しく誰も使用していない。
嫌々、と言う風に、僕は顔をあげた。
「…何」
「何その顔。別にとって食いやしないわよ」
黙っていれば綺麗な顔を不快そうに歪め、ユキちゃんは僕を睨んだ。
頭巾を外したその頭は、僕の真っ黒な髪とは全然違う、綺麗な茶色。
ふわりと甘い匂いを感じた気がして、僕は慌てて手元の包帯に集中した。
「で、何だよ」
「ふふ、ねえあんたって、トモミちゃんの事好きなんでしょ?」
ぽろり、と。落下していく包帯を、ぽかんとした間抜けな顔で見る。
ユキちゃんがくすくす笑っているのが分かったけど、それでも僕は何の反応も返せない。

僕が、誰を、スキダッテ?


791:ユキ×左近
07/10/16 20:13:59 ku0jg/3r
「何分かりやすく動揺してんのよあんた!おっかしーあはは!」
「な、そ…っ」
なんでそんな、と言おうとした僕の喉は上手に機能してくれなくて、意味のない音が情けなく口から出た。
ふふん、と勝ち誇ったように笑うユキちゃん。
僕が包帯を落としてしまった所為で、肩口の傷が空気に晒されている。
ああ、早く手当てしなきゃ。
混乱している頭が、見当違いのことを考える。
「だってあんた、しょっちゅう私達の方見てるでしょ?」
「見て……ってっ!?」
「切なそうな顔して、じーっとこっち見てれば嫌でも気づくわよ」
くすくす、と嫌な笑い方で、ユキちゃんは僕を見る。
その話は悔しいけど身に覚えが合って、顔が一気に熱を持ったのが分かった。
きっと凄く情けないだろう顔を見られたくなくて慌てて伏せる。
床に散らばった白い包帯が、嫌って程目に付いた。
「へー、あんたがトモミちゃんをねー。世の中分からないもんよね」
顔を上げていないけど、見下ろされているのが分かる。
元々ユキちゃんよりも背の低い僕が、背中を丸めて俯いているのだから当たり前と言えば当たり前なんだけど。
ユキちゃんはまるで小さい子か犬猫に接するみたいに、僕の頭をぽんぽん叩く。
「別に誰にも言いやしないわよ?顔上げなさいよ」
またふわりと甘い匂いがした様な気がして、赤い顔が更に熱を持った。
―ユキちゃんは、何も分かってない。


792:ユキ×左近
07/10/16 20:15:08 ku0jg/3r
ユキちゃんの手に促されて、おずおずと顔を上げる。
すると、妙に真剣な顔で僕を見ているユキちゃんとばっちり目が合った。
先程よりもずっと近い所にあるその顔に、心臓が高鳴る。
嫌だな、聞こえたらどうしよう。
「私達、性別が反対だったらよかったと思わない?」
僕の心配なんて全く知らないユキちゃんは、突然そんな不思議な事を言い出す。
少し動けば口付けできそうな、そんな距離。
一体彼女が何を言いたいのか、分からなくて。
とりあえずこの距離をどうにかしようと後ろ手に後ずさりする。しようとした。
だけどユキちゃんはそれを許さなかった。
身長と同じ分だけの力の差。
後数年すれば、絶対に負けないのに。
子供な自分が嫌になる。
押し倒されるような形で倒れ込んだ際打った背中の痛みと、僕を真上から見下ろして泣きそうな顔をしているユキちゃんを見て痛む心。
二つの痛みが、そんな事を考えさせられる。
「私が男で、あんたが女なら、私達こんな思いしなかったのにね」
訳が分からない。ユキちゃんは、何を言ってるんだ?
僕の真っ直ぐな髪とは違う、ふわふわの髪が僕の鼻のすぐ上まで垂れていて、それが僅かに震えてる。
泣いているのと思ったけど、表情とは裏腹にその瞳は見事なまでに乾ききっていて。
「そしたら、あんたはずっとトモミちゃんと一緒に居られるし、私は……」
ずきっと心臓が悲鳴を上げた。
…唐突に、全てが分かった。
ユキちゃんが何を言いたいのか。
ユキちゃんが、誰を、見ているのか。


793:ユキ×左近
07/10/16 20:16:34 ku0jg/3r
泣きたいのはこっちだ。
泣きそうなユキちゃんの顔を見ていられなくて、顔ごと視線をそらす。
「それって…三郎次の、事?」
目を見て言えない、自分の臆病さが嫌になる。
僕の肩を押さえるユキちゃんの手がびくっと震えた。
きっとその顔は赤いんだろう。見たくない。見たら、きっと僕は傷つく。
「私、ずっと羨ましかったのよ、あんたが。親友としてでも、あいつと一緒にいられるのが」
「友達になんか、なりたく無いくせに」
「今よりよっぽどマシよ。あいつの『大切な人』になれるんだから」
あんたには分からない?とユキちゃんは言うけれど、僕はなんて答えていいか分からなかった。
そりゃ、なれるものならなりたいよ。
でも僕がなりたいのはユキちゃんでも、トモミちゃんでもない。
「親友でいいから、あいつの心に入りたいわ」
その時初めて、ユキちゃんの瞳がにじんだ。
瞬きをする度に少しずつ増えていく水分。
やがてそれは水滴になって、僕の頬に落ちた。
熱い粒。やけどするんじゃないかってぐらい、熱い。

あ、と思ったときにはもう遅かった。
力任せにユキちゃんの体を突き飛ばしたけど、力の入らない手ではほとんど意味が無い。
僕の手に押されるがままに、ぺたんと座るユキちゃんは驚いた顔でこちらを見ていた。
急いで体を起こして、座ったままずるずるとユキちゃんから離れる。
視界がにじむ。でも涙を流すのは嫌だった。


794:ユキ×左近
07/10/16 20:17:55 ku0jg/3r
「ごめん…っ、ごめ…」
泣かない様に、目元を押さえて、僕は馬鹿みたいに謝った。
ユキちゃんは何も言わない。
見えないから、どんな表情なのかも分からない。
惨めで、恥ずかしくて、それなのにまだあの甘い香りが僕のすぐ側にある気がして。
熱は、収まってくれない。
「ご、め、なさ…っ」
「左近」
ユキちゃんの声は、思ったよりずっと近くから聞こえた。
驚いて手を離すと、ユキちゃんは赤い目を優しく細めて、僕を真正面から見てた。
名前を呼ばれたのは、凄く久しぶりな気がする。
ただそれだけの事に熱くなる体が、自分の卑しさを表しているようで、悲しかった。
「ねえ、しよっか?熱いんでしょ?体」
おでこに不思議なぬくもりを感じる。
それがユキちゃんの唇だと分かった時、僕の目からこらえきれなかった涙がこぼれた。
ユキちゃんが苦笑して、僕の涙を舐める。
「私、トモミちゃんになってあげる。だから、ね?」
固まって動かない僕の頭巾を優しく外しながら、ユキちゃんは笑った。
一度こぼれた涙は後から後からこぼれてくる。
だから、って何だろう。
ユキちゃんがトモミちゃんの代わりをするから、

だから僕は、三郎次の代わりをしろって

そういう、事?


795:ユキ×左近
07/10/16 20:21:46 ku0jg/3r
ユキちゃんに促されるまま、保健室の奥に敷いてある布団まで移動する。
やっぱり緊張しているのか、ユキちゃんの手は冷たい。
ユキちゃんは少し考えたそぶりを見せて、僕をちらりと見た。
泣いている僕は、ユキちゃんの目にどう映ったんだろう?
出来るならこのまま動かずに熱が冷めるのを待ちたい僕の手を無理やり引いて、そのまま布団に押し倒される。
「トモミちゃんなら、きっとあんたに大人しく抱かれたりしないわ」
三郎次なら、押し倒されて黙ってたりしないよ。
そう言いたくても、喉が上手く動かない。
流れていた涙がこめかみを通る感触が、気持ち悪かった。
こんな事してなんの意味があるんだろう。
ユキちゃんが「やっぱり止めた」って言ってくれる事を期待して。
馬鹿みたいだ。それなら自分が本気で抵抗すればいいのに。
自分から言える程、僕は出来た人間じゃない。それが分かって、ひどく惨めな気持ちになる。
卑怯で、浅ましくて、卑しい。それが僕だ。

ねえ、ユキちゃん。
僕、君のことが好きなんだよ。

たったこれだけの事も、言えない。
臆病で、ずるい、人間。
着ている物をたどたどしい手つきで脱いでいくユキちゃんを見ながら、
僕は自分と言う奴の卑怯さを、思い知った。


796:ユキ×左近
07/10/16 20:32:45 ku0jg/3r
前半はとりあえず終了。
なんだか二人のキャラがおかしいというか左近が女々しい気が…orz
後半戦はしばらくお待ち下さい。

797:名無しさん@ピンキー
07/10/16 20:32:47 uT8KnRAH
おいおい、予想外に両方可愛いな…GJ!

798:名無しさん@ピンキー
07/10/16 20:59:01 xiGHQhq1
GJ
北石てる

799:名無しさん@ピンキー
07/10/16 23:30:25 3A4r61TE
ヒイイイイなんだこの切ない話は!!!GJ!!!
ハンカチ取ってくる

800:名無しさん@ピンキー
07/10/17 00:22:07 djwxedzp
gjgj!
左近かわいいなオイ!


>>799
つティッシュ

801:名無しさん@ピンキー
07/10/17 00:35:56 F52J6nt4
左近が押し倒されてるじゃないかwwこれは期待!!

802:名無しさん@ピンキー
07/10/17 02:50:24 tjxC5aB1
不覚にも左近に萌えたww
続き正座して待ってるがんがれ!

803:名無しさん@ピンキー
07/10/26 17:25:55 GRyCAdvt
保守だらん

804:名無しさん@ピンキー
07/10/29 19:59:20 BGwBt0oE
ほす

805:名無しさん@ピンキー
07/10/31 00:32:12 +bRJkCcF
捕手

806:名無しさん@ピンキー
07/11/02 21:29:38 YFy3D3eR
42巻読んでから、>>356をどうにも意識してしまう・・・

807:名無しさん@ピンキー
07/11/03 01:22:45 1H7ePd0u
まさかこんなことになるとは思わなかったんだぜ

808:名無しさん@ピンキー
07/11/03 09:15:17 F9ds4aQD
>>806
自分は42巻読んでる時>>290がちらついてしまったorz

809:名無しさん@ピンキー
07/11/03 15:33:36 c+M028/C
>>290を読む前に42巻読んでよかった・・・
でもすげぇ良い文章。虎若の掴みにくいキャラをつかんでる。
ここって全般的にクオリティ高いよね。

"にっき"は最高だと思う。

810:名無しさん@ピンキー
07/11/03 18:21:33 rLCU3AW/
それが鉢屋クオリティ?

811:名無しさん@ピンキー
07/11/04 22:14:31 b8OSrN/s
鉢屋クオリティwww

812:名無しさん@ピンキー
07/11/05 00:09:49 0vhlQCo7
>>290の虎タンの
「あの…あの…」ってやつ42巻でも言ってて
今になって癖なんだとわかったけど
特徴掴むのうまいし早いなあと改めて感心してしまった

813:名無しさん@ピンキー
07/11/05 08:27:44 dgcuiJyO
>240
見てきて納得してフイタw
今になって見ると目のつけどころが先見の明があるな

あと晴れて新婚になった里芋ミスマイの
(レス番)の続きも職人さんにぜひ書いてほしい

814:名無しさん@ピンキー
07/11/05 08:29:26 dgcuiJyO
レス番間違えたorz
>>240じゃなくて>>290だった・・・

815:名無しさん@ピンキー
07/11/06 11:49:16 ICw0KWnh
>>290人気杉ww

816:名無しさん@ピンキー
07/11/06 13:53:08 WSTyhjQr
まあ出来はいいからな。

817:名無しさん@ピンキー
07/11/06 19:47:50 +g7t7fNv
小松田×事務のおばちゃんとそれを出歯亀する吉野先生の話が読みたい。

818:名無しさん@ピンキー
07/11/07 21:21:30 uzNUzT7T
>>817
おばちゃん×小松田っぽくてもよければ週末くらいにアップさせてもらいます
吉野先生は出せるか分からないけど

819:名無しさん@ピンキー
07/11/09 09:22:28 4qT7I0Mg
シリアスなのかギャグなのか、wktkして待ってます!

820:事務員のおばちゃん×小松田①
07/11/10 19:22:57 fC41fgz9
とりあえず書けたので投下させてもらいます。
熟女ダメな人はスルーの方向でよろしくw



事務員のおばちゃん、当年とって五十二歳。
夫と死に別れて二十余年、女手ひとつで育てあげた子供達は立派に成人し、
職場ではベテラン事務員として確固たる地位を築いている。
不満など何一つなかったはずの生活。
しかし、「彼」がこの忍術学園にやって来て以来、たった一つだけ足りないものがあることに気付かされた。
彼こと小松田秀作は、偶然の巡りあわせで学園の事務員になった、十六歳の青年だ。
若く可愛らしく、そしてとんでもなく仕事の出来ない彼を、
彼女は初めのうちこそ出来の悪い息子のように思っていた。
しかし、暑い日に着物の袖や裾をまくって瑞々しい肌を無防備に
晒している様子や、低学年の生徒にまじってはしゃぎ回っている最中に
垣間見せる若い筋肉の躍動を目にするうち、その思いは少しずつ形を変え…
今や秀作の存在は一人の「男」として、彼女の身体に忘れかけていた女の疼きを蘇らせるのだった。

821:事務員のおばちゃん×小松田②
07/11/10 19:23:41 fC41fgz9
秀作が、くノ一教室の生徒の落し物であろう香袋を嗅ぎながら
自慰をしているのを見つけたのは、そんなある日のことだった。
近頃くノ一の間では、ある店の香袋を袴下帯の中に入れておけば周りよりも早く
女になれるという噂が流行しており、誰もが競い合うようにそれを実行していた。
いくら将来場合によっては文字通り体を張った忍務をもこなすようになるくノ一の
たまごとはいえ、今はまだろくに胸も膨らんでいないようなあどけない娘達である。
教職員の中にはいい顔をしない者も多く、職員会議でも度々問題になっていた。
当然、秀作もそれを知らないはずがない。
あるいは、おっとりしていかにも初心そうな彼のことだから、彼女達から
香袋を見せびらかされ、からかわれるようなこともあったかもしれない。
(あらぁ…小松田君たら…)
実年齢以上に童顔で言動も幼い彼にも年相応の性欲があり、
年下の少女の下着の中身を想像して股間を熱くしている。
それはひどく新鮮な光景のように思えた。
そして次の瞬間おばちゃんは、叶わぬものと思っていた密やかに燃える欲望が
現実のものとなる機会を捕まえたことに気付き、口角をつり上げた。
「まあまあ、ねんねちゃんだとばっかり思っていたけど、小松田君も男なのねえ」
しわがれた猫撫で声に、秀作の体は何寸か飛び上がったようだった。
「…あ、ああ…」
ぎこちなく振り返った顔は今にも泣きそうな情けない表情をしていたが、
股間のものは咄嗟のことに対応しきれずにいるのか、まだ形を保ったままだった。
しっかりと剥けきり露出したつるつるの亀頭が意外で、おばちゃんは思わずごくりと唾を飲み込んだ。
「いいのよ、男の子なら当たり前のことなんだから。今更驚きゃしないわよ」
今にもその弾力に富んだ性器にむしゃぶりつきたい衝動を抑えて
笑顔を作り、彼女はまだ動けずにいる秀作ににじり寄った。
その腕をむんずと掴み、強引に己の胸元に持って行かせる。
「女の体に興味があるなら私が教えてあげる…」
甘い囁きに、嫌悪のためかそれとも他の何かを感じたのか、秀作の肌がかすかに粟立った。

822:事務員のおばちゃん×小松田③
07/11/10 19:24:35 fC41fgz9
おばちゃんは秀作を抱きしめるようにして、両の乳房の谷間に顔を埋めさせた。
豊満で垂れ気味のほどよいたるみが、ふかふかの布団の感触を思い起こさせる。
心地好い息苦しさが何故か懐かしく、秀作は思わずお母さん…と呟いていた。
もっと触ってごらんと言われるままに、両手を使って持ち上げるように揉みしだく。
その肉は指の隙間からこぼれてしまいそうなほど柔らかく、乳首は大きめだが予想外に綺麗な色をしていた。
赤ん坊のようにちゅうちゅうと吸いつくと、おばちゃんは恍惚として身を捩らせた。
「ああ…上手よぉ、小松田君」
それは、喘ぎというよりも幼児のよちよち歩きを誉めるような優しい声音だった。
秀作は不思議な安心感に包まれ、一方ではますます昂りを強くした。
「いやあん、大きいわあ…」
おばちゃんは嬉しげに感嘆すると、その緩くカーブした屹立の形に添って
軽くしごき、じゅばじゅばと音を立てながら美味しそうにしゃぶり始めた。
年季の入った舌技に、秀作の陰茎はびくびくと脈打ち、すぐにも発射しそうになってしまう。
「んぁあ…っ、おばちゃぁん…!」
たまらなくなった秀作は、甘えた声をあげながらおばちゃんを押し倒した。
「うふふ、焦らないの」
おばちゃんは秀作の頭を撫でるとするすると帯を解き、袴を脱いだ。
鬱蒼と湿った茂みが現れ、その下の黒っぽく淫水焼けした大きなビラビラが、
醜悪でありながら強烈な魅力を持った蝶のように秀作を誘った。
「若い子みたいにキレイじゃないけど、中身はおんなじよ」
導かれるがまま、思いきって先端を押しあてたが早いか、秀作の雄は初めての領域にずぶずぶと滑り込んでいた。

823:事務員のおばちゃん×小松田④
07/11/10 19:25:23 fC41fgz9
「うわああ…何これ、すごぉい…っすごいですっ…ううぅ…」
ぬるぬると温かく、奥へいけばいくほど締めつけてくる天然の名器。
それはまるであやかしに惑わされ、快楽という名の底なし沼に足を踏み入れてしまったかのようで、
もはや相手が母親より遥かに年上の熟女であることなど秀作の頭から吹き飛んでいた。
「うおっ、おおおおっ!!」
完全に目覚めた男の本能に突き動かされ、ただひたすら熟れに熟れた粘液まみれの媚肉の味を貪ることだけを考え、夢中で腰を振る。
おばちゃんもまた女──否、一頭の雌になり、獣のような喘ぎ声をあげた。
「あ゛あ゛あ゛ああぁーーーー!!何年ぶりかしら!若い童貞チンポいいわあああーーーっっ!!」
勢いに任せて突きまくるだけの、秀作の稚拙な動き。
若い女なら厭うたかもしれないが、おばちゃんの母性そのものである膣内はそれすらも優しく受け止め、歓喜した。
俗に「腐る寸前の食物こそ美味い」などと言うが、彼女の肉体はまさにその言葉の通りだった。
秀作がピストンするたびに、乳房だけでなく二の腕や腹もたぷたぷと揺れる。
常識的な感覚では決して美しいとは思えないものかもしれないが、今はそれがいっそ艶めかしく見えた。
特に優しく包み込み、時に激しく締めあげ、おばちゃんは確実に秀作を追い立てていった。
「うぅっ、おぁあ…おばちゃぁん!僕、もう出ますぅうう!!」
「いいわよ、そのまま全部出しなさい!おばちゃんのお×こが全部飲んであげるからっ!!」
「あう…お、おばちゃん、おばちゃんっ、イイですうぅ…くっうううう!!!」
「ぉあああ~くるぅ…!小松田君、分かるう!?おばちゃんのお×この中、小松田君の熱いのでいっぱいよぉぉ!!」
すでにその役目を終えているにも関わらず、おばちゃんの子壺は秀作の
青臭い種の全てを絞り取ろうとしているかのごとく激しく収縮し、
絶頂後の倦怠を感じさせる暇も与えない極上の余韻を彼に与えた。

824:事務員のおばちゃん×小松田⑤
07/11/10 19:26:21 fC41fgz9
「おばちゃん、なんて言うか、その…ありがとうございました。
女の人の本物のお×こって、想像してたよりずっとスゴイですねえ…」
秀作が、いつも通りのおっとりした口調で率直な感想を述べる。
その顔には、心なしか行為の前に比べて幾分かの精悍さが宿っているように見えた。
頼りなさが服を着て歩いているような彼だが、男として自信をつけたことが、よい作用を及ぼしたのかもしれない。
「いやねえ、私もいい思いをしたんだからお互い様よ。
…また女の体が恋しくなったらいつでも言いなさい。
間違っても、くノ一の娘っ子達に手を出したりしちゃ駄目だからね」
「分かってますよう。女の子も男の子も、大事なよそのお子さんを預かってるんですから」
「まあ、一丁前に学園の職員らしい口きいて」
慈愛に満ちた表情で目を細めたおばちゃんが頭を撫でてやると、秀作は照れくさそうに笑った。
おばちゃんの心中には、息子の成長を喜ぶ母のような気持と、このまま手なずければ
「逆"紫の上"」も夢ではないかもしれないと舌なめずりする欲望とが相半ばしていた。

825:事務員のおばちゃん×小松田(蛇足)
07/11/10 19:30:33 fC41fgz9
すっかり衣服を整えて表に出たおばちゃんの足が、数歩行ったところでふいにぴたりと止まった。
視線も姿勢も動かさず、しかし確かにそこに感じる気配に向かって言う。
「…吉野先生、覗き見だなんて趣味が悪いですよ。それとも、奥様だけでは満足出来ないでいらっしゃるのかしら?」
まだ何色にも染まりきっていない若い男もいいが、他の誰かのものである男というのもまた魅力的だ。
胸に満ちる新しい期待に、おばちゃんの唇は再び妖艶な笑みを形作った。



短い上に尻切れですがひとまず完。
>>817のイメージと違ってたらすいません。
このスレってわりと何でもアリなかんじだから
読むのも投下するのも楽しいですねw

826:名無しさん@ピンキー
07/11/10 21:01:24 PlSWIGJV
鬼才あらわるwwwww

827:名無しさん@ピンキー
07/11/10 21:55:59 uLnUgVmy
超待ってた!
ギャグだと思ってたら真面目にエロでびっくりしたが面白かった

吉野先生逃げてー超逃げてー

828:名無しさん@ピンキー
07/11/10 23:44:00 WiG5Q3jG
なんぞこれwwww
このスレ作品ごとに空気違いすぎて面白いgjgj!

829:名無しさん@ピンキー
07/11/10 23:48:20 sIBLnOJy
なんなんだいったいwwwwwGJw



それにしても低学年書きの人はたいてい途中で居なくなってしまうな(´・ω・`)

830:名無しさん@ピンキー
07/11/11 01:07:25 gs9Z3ZUh
見てたらなんか書いてみたくなってきた
クオリティが低いのはお約束できるが

女の子か女体化だったらどっちがいい?

831:名無しさん@ピンキー
07/11/11 01:12:55 Tz5vgpvt
最近女体化なかったから見てみたい

832:名無しさん@ピンキー
07/11/11 01:19:40 qHJcR0Ke
熟女を書くのが上手いなら是非、猪名寺夫妻も見てみたいな
しかしなんというかまあ本当に鬼才だwww

>>830
書きやすい方選べばいいよ
女体化はちょっと苦手だが、たまにはいいかも

833:名無しさん@ピンキー
07/11/11 01:27:43 kyRd1kH0
>830
できれば女で。
キャラもリクエストできるなら個人的には里芋行者×ミスマイタケがいいなあ。
女体化は嫌いじゃないが、相当クオリティ高くないと素直に楽しめない。

834:名無しさん@ピンキー
07/11/14 09:23:53 RgiBgFh1
携帯から失礼します

>>829
ゆきさこはいますよー
PCがアク禁食らったのかなんだかよく分かりませんがスレに書き込めないのでちまちま誤字修正しつつ様子見てます
しかしいつになったら書き込めるようになるんだろう……orz<ナニモシテネーヨ

835:名無しさん@ピンキー
07/11/14 10:26:36 boJ4b/w0
「ふたなり」という設定はこのスレではOKなんだろうか?
倒錯的で面白そうな気がするんだが。

836:名無しさん@ピンキー
07/11/14 13:08:35 o1F9IN1o
>>834
がんがれ…OTZいつまでも待ってる

だが、あく禁て解除に半端なくかかるはずだ。

837:名無しさん@ピンキー
07/11/14 19:19:35 K7g7SDm6
誰か美人のお姉さんに変装したきり丸を犯すやつ書いてくれよ

しんべヱ「美人のお姉さんで~す」
きり丸「あっはぁ~ん」
山賊「やんややんや」

これ、わかるな?

838:名無しさん@ピンキー
07/11/14 22:05:46 7Jl1dNhc
>>837
そういうのは該当スレでやってくれよ…
数字とかあるだろ?

839:名無しさん@ピンキー
07/11/15 16:25:03 USCzPbR4
>>838
中身はどうであれ頼む姿勢がな、腐厨の臭いする
露群れ

840:名無しさん@ピンキー
07/11/15 16:42:38 USCzPbR4
アンカ間違えた
>>837だった

>>838さんごめんなさいorz
ROMってきます

841:名無しさん@ピンキー
07/11/15 19:16:50 doSgXziH
>>837
腐女子はそんな事言わない。

842:名無しさん@ピンキー
07/11/15 22:32:58 pmVZvYxs
どうでもいいんじゃないか。

843:名無しさん@ピンキー
07/11/15 23:08:05 R7jjnnfz
女体化はなあ…
巧い人のを一つ二つ読むなら面白いけどあんまり続くと食傷してしまう
ってか、ここはあくまで「エロパロ板」なわけで…
(女体化はノマではなく801の派生形ってイメージが強いんだが)
ナルトみたく女体化(?)がオフィシャルなジャンルならまた違うのかもしれないけど

844:にっきの人 ◆Vkqg3/8uas
07/11/16 03:18:56 NFmeY76D
お久しぶりですノシ
ネタできたので投下します。
以前あったレスに触発されて、潮江とそうこちゃん。
39巻の四コマ参照。まだ前振りだが長い。先も長い。

845:当世忍たま恋愛事情1
07/11/16 03:21:01 NFmeY76D

晩秋の午後、日暮れ間近の夕空を、どんより重く埋め尽くす灰色の雲を見上げ、
雪でも降るかな、と仙蔵は首をかしげた。
霜月も半ばをすぎ、そろそろ風の寒さが骨身に染み入る季節になってきた。
忍びとして、暑さ、寒さに関わりなく行動できるよう、鍛えてはいるが、
どれほど心身を鍛えようと、寒いものは単純に寒い。
ことに、木枯らしが鋭く梢を鳴らし、曇天低いこんな日は、自主鍛錬などさぼって、
布団に潜り込みたくなるのが人情というものだ。
頭まですっぽり布団をかぶり、柑子はまだ早いから、熟れた柿などかじりながら。
たっぷりと熱い茶を満たした土瓶でも、懐炉代わりに傍らに置いて。
それはいいな、と仙蔵はしみじみ思った。寒い日の熱い茶はいいものだ。
身も心も芯から温まる。
熱された土瓶の口から、ほかほか立ち上る淡い湯気を見れば、どんな寒さも忘れられるだろう。
たとえば今、目の前に広がる、薄ら寒いほど珍妙な光景なども。

忍たま長屋の六年生棟。い組の居室が並ぶ一角。
この時期、寒風を避けるため、どの部屋も昼間から障子を締めきっているのが普通だ。
しかしただ一つ、風が吹こうと雪が降ろうと、いつでも戸が開け放たれている部屋がある。
心頭滅却すれば火もまた涼し、ならば同様に、寒さもぬくいと感じるようになるはず。
これも一つの鍛錬だ、というのがその部屋の主、六年い組潮江文次郎の言い分だ。
忍術学園一忍者している、学園一ややこしい男は、学園で五指に入るずれた男でもあった。
今日も開けっ放しの戸のそばで、文次郎はいつものように、こちらへ背を向け座っていた。
まだ日はあるのに、奇妙に薄暗く感じる部屋の中、円座も敷かず、冷えた床板の上に直座りしている。
背中を丸めて床を睨み、なにやら一心に考え込んでいる。隈だらけの目元は、真剣そのものだ。
その隣では、なぜか六年ろ組の七松小平太が、大の字になって寝転んでいた。
もっとも、こちらも鍛錬と称しては、地中深い穴の中で寝たり、炎天下に校舎の屋根で寝たりと
奇行が目立つ人間なので、組違いの部屋の床で寝るくらいは、むしろまともな部類に入る。
ただ一つ問題があるとすれば、その口からもうもうと、雲をもしのぐ黒い煙が出ている点だろう。
戸口に立ち尽くす仙蔵の鼻腔を、煙と火薬の匂い、そして一瞬だけ、なにやら甘い匂いが掠めていった。



846:当世忍たま恋愛事情2
07/11/16 03:23:10 NFmeY76D

「……人間狼煙とは斬新な発想だが、屋内で上げるのはやめてくれ。近所迷惑だ」
口を押さえて咳き込みながら、ずかずか部屋に入り込み、仙蔵は白目をむいた小平太を
足先でつついた。
その口からぼふっと、またひときわ大きく煙が立ち上る。
それはいったん部屋に充満し、視界と空気を濁したあと、やがて開け放たれた障子から、
ゆっくり外へ流れ出ていった。
鴨居をすべり、忍たま長屋中に広がっていくそれを見送り、やれやれと肩をすくめる。
この展開は予想外だ。
そもそも仙蔵が寒い中、潜り込んでいた布団から這い出てここまで来たのは、この煙のせいだった。
午後も早いうちから暖かな布団に潜り込み、甘悪い楽しみを貪っていたのに、突然流れ込んできた
黒い煙に邪魔をされ、とてもうたた寝どころではなくなってしまったのだ。
自堕落な幸福を取り戻すため、仕方なく布団から這い出し、元凶を探りに来たのだが。
まさかそれがこんなところで、小平太の口から出ていようとは。
いやまったく、予想外だ。
まあ実のところ、誰の口から出てようと尻から出てようと、かまわないし興味もない。
仙蔵としては、ただこの煙が止まって、また呑気なうたた寝が楽しめればいいのだから。
ともかく原因はわかった。さてどうする。外に放り出すか、口に布でも詰めてみるか。
だがこの勢いだ、その程度では治まらないかもしれない。なんといっても土台が小平太だし。
口を塞いだら、今度は耳から出てくるかも。

おや、それはちょっと面白いぞ?

気絶して転がる友人を、思わずまじまじと凝視する。
そっと手を伸ばした仙蔵を、振り返った隈だらけの三白眼が、ぎろりと睨みつけた。
「なにが人間狼煙だ。そんな理不尽な術がどこにある、アホたれが」
「お前にアホといわれるとは、嫌な世の中になったものだなあ」
「だまれ悪魔。原因知りたきゃ教えてやる。これだ」
大げさに肩をすくめる級友に、文次郎は見下ろしていた床から掬い上げた塊を
ぽいと投げつけた。
反射的に受け止め、手の中を見下ろして、仙蔵はかすかに眉をしかめた。
「まんじゅう?」
それは、皮の白さも艶やかな、小さなふかし饅頭だった。
形は小さいが、ふかふかと柔らかく、そのわりにずっしり重い。皮は薄く、中の餡の
甘い色が透けている。実にうまそうだ。
よく見れば同じものが、文次郎の膝元に山盛り積み重ねられていた。
饅頭からバッタまで、口に入れば皆いっしょのこの男にしては、珍しくいい物を
持っているじゃないか。
なんとなく感心しながら、鼻を寄せて匂いをかいでみる。
辺りに満ちた火薬と煙の匂いに混じり、ふわりと甘い香りが漂った。
「これがどうした?」
「中に火薬玉が入ってる」
ぼそりと低い声に、さっと顔を離して級友を見やり、仙蔵は続けて足元を見下ろした。
相変わらず白目をむいて、もくもくと煙を吐く小平太をしばらく見つめる。
「いいんじゃないか。鉄粉お握りよりつかえそうだ」
「俺が作ったんじゃない。さっき廊下を歩いてたら、通りすがりのくのたまに食えと渡されたんだ」

いたずらにしちゃあタチが悪いから、一応先生にいっとくかと考えてるんだが、と、
不機嫌に呟かれたその言葉に、今度は目を見張って級友を見つめる。
やがて仙蔵は、ため息をつきながら首をふった。



847:当世忍たま恋愛事情3
07/11/16 03:25:16 NFmeY76D

「死に急いだな会計委員長。くのいちの恨みを買うとは愚かなことを」
半分だけ憐れみをこめた視線に、文次郎がぎょっと目を見開いた。
「はあ!?なにを言いだす!俺は何にもしとらんぞ!」
「嘘つけ。じゃあなんで火薬玉饅頭なんぞ渡されるんだ。お前にだったんだろう?」
「知らん!こないだ、足音で重量測定する法を復習してた時に会った奴が、殴っちゃってごめんなさい、
これお詫びです食べてくださいとか言って押し付けてきただけだ!」
「明らかにそれが原因じゃないか。可愛い台詞にだまされおって、奴らの常套手段だろうに。
だいたい、忍術学園で抱かれたくない男ぶっちぎり一位と言われるお前が、もてることなどあるはずが」
「変な異名をつけるんじゃねえ!それにくのいちの言うことなぞ、真に受けとらんわ!」
「どうだかな。やれやれまったくこのバカたれめが、女の体重など調べるのがそもそもの……
ん?待てよ、それでどうして小平太の口から煙が出るんだ?」
「ちょうど部屋の前で穴を掘っていたんでな。言ったろう、くのいちから渡されたものを、
いきなり食うほど俺は抜けとらん。まずは毒見が鉄則だ」
「ああなるほど、小平太なら不死身だし適任だなっていやいや」

ケンゴシくらいかと思ってたが、火薬玉とは予想外だった。侮りがたしくのいち。
悔しそうに吐き捨てる文次郎に、仙蔵はあきれ果てた視線を向けた。
「怪しいとわかってるものを友達に食わせたのか。実にひどい奴だなお前は」
「お前にひどいと言われるたあ、嫌な世の中になったもんだ」
「お互い様だ」
「まあいい。そういうことならそれでもかまわん。ようし、くのたまだろうが剣豪だろうが、
この潮江文次郎を敵に回す気ならば容赦はせんぞ。相手になってやる、返り討ちだ!」
「菓子折りもって謝りに行ったほうが、面倒がないと思うがな」
煙だらけの部屋の中で、気勢を上げる文次郎を横目で眺め、仙蔵はひとつ大きくあくびをした。
「で、いったい誰に恨まれたんだ?お前が体重量ってしまったのは、どの子だ」
何気ない言葉に、ギンギンと吊り上っていた文次郎の眉が、ふと寄った。
手元の饅頭を拾い上げ、ためつすがめつ眺めながら首をひねる。

「それが、よくわからん」
「わからんって」
「くのたまどもとはあまり関わらんからな。顔は覚えているんだが。ほれ、なんか眉と足の太い、
くのいちのくせに色気がなくてガキっぽい……ギョーコだったかソースだったかそんな名前の」
「……まだまだいろんなところで、女の恨みを買ってそうだなお前は」

天井を仰いでため息をつくと、仙蔵は文次郎に向け、面倒くさそうに饅頭を投げ返した。
はあ?と眉をしかめる級友から目を逸らし、返す手で、未だ煙を吐き続ける小平太の足をつかむ。
当初の目的を果たすべく、薄闇の迫り始めた部屋から人間狼煙を引きずり出しながら、
仙蔵は口の端を吊り上げ、部屋の主の顔を見返した。
「やるなら一人でやれ。あと、当分の間は私に近寄るなよ。巻き添えを食うのはごめんだからな。
まあ、墓穴くらいは掘ってやってもいいが。綾部に頼んで」
「言われんでも近寄るかあ!」
「うわ!ばかやめろ!」

くわっと歯をむき、両の拳を握り締めた文次郎の手の中で、二つの火薬玉入り饅頭が
勢いよく破裂した。




次ページ
最新レス表示
レスジャンプ
類似スレ一覧
スレッドの検索
話題のニュース
おまかせリスト
オプション
しおりを挟む
スレッドに書込
スレッドの一覧
暇つぶし2ch