忍たま乱太郎のエロ小説at EROPARO
忍たま乱太郎のエロ小説 - 暇つぶし2ch450:名無しさん@ピンキー
07/06/17 17:16:25 gBxEuOez
ユキ→三郎次のエロを書き始めたんだけど需要ある?

451:名無しさん@ピンキー
07/06/17 17:25:06 PUDI6e1C
>>450
ありまくりんぐwwwww
今からwktk

452:名無しさん@ピンキー
07/06/18 00:11:23 duv5UbhZ
>>450
あるある!!
待ってます

453:名無しさん@ピンキー
07/06/18 00:43:08 9V3WwMOg
>>450
三郎次ってのがいいな…。wktk

454:450
07/06/20 01:18:26 JohXFgwJ
多少話がわけ分かんなくてもエロシーンだけか
結構話が長くても前後の話をきちんと入れるか
どっちがいい?

455:名無しさん@ピンキー
07/06/20 07:55:30 Pqtv8Q0s
私的には前後も入れた方が良いと思うけど…

456:名無しさん@ピンキー
07/06/20 07:56:47 Pqtv8Q0s
ゴメン!!ageちゃった!!

投下待ってます!!w

457:名無しさん@ピンキー
07/06/20 18:25:22 SCfmxD+N
>>454
後者で頼む

458:名無しさん@ピンキー
07/06/21 08:39:42 melalamI
>>454
後者で。
同い年なんだよな

459:月夜小噺(山田夫妻)
07/06/23 00:50:13 +NAoz/yA
流れぶった切って山田先生と奥様。
34巻の奥様来襲のその後。
エロはうまく入れられなかった。



山野を駆ける秋の夜風が、涼しく肌を嬲っていく。
開け放たれた雨戸の向こうには、煌々と輝く十三夜月。月明かりは室内にも忍び込み、
清廉と穏やかさを兼ね備えた光で、古い家屋の隅々までを照らし出していた。
月の光に誘われたか、周囲の山々からは澄んだ虫の音が聞こえてくる。
円座の前には湯気の立つ茶碗。膝の上には猫一匹。
赤々と燃える囲炉裏の前には、静かに微笑む妻の姿。
そんな、平和そのものの空気の中にありながら、山田伝蔵は先ほどから、
一人激しく焦っていた。

受け持ち生徒の補習やおかしな事件に巻き込まれるせいで、
普段は休みといえども、めったに家に帰ることもできない。
だが今回ばかりは、秋休みに入ると同時にすべての残務を放り出し、伝蔵は
一路自宅へと駆け戻った。
少し前、長い不在についに堪忍袋の緒が切れた妻から、実力行使を伴った
帰宅要求があったためだ。
夏にも一応帰ったのだが、やはり忙しくて長くはいられなかった。なので秋こそは
休みの間中、家にいると約束したのだ。
普段はしとやかだが、その分怒ると半端なく恐ろしい妻の性質と実力は、
夫である伝蔵が誰よりも知っている。帰ると約束した以上、反故にでもすれば
今度は学園を相手取って戦でも仕掛けてきかねない。
いやすでに、夏の時点で約束が違うと充分怒らせている。だから今回はその分、
恐ろしい報復が待っているだろうとは予想できた。
途中の道に埋め火でもあるか。門を潜ったら手裏剣が飛んでくるか。
戸を開けたとたん火縄銃で撃たれるか。どれも過去に経験したことだ。
それでも帰らないわけにはいかない。学園と己の平和のために。
伝蔵とて、帰りたくとも帰れないのだ。腹がたつのはこっちも同じだと、
言いたい気持ちがないわけでもないのだが、それこそ妻にいっても仕方ない。
とにもかくにも、大事なのはこれ以上、妻を怒らせないことだ。
かくして言い訳と恐怖を胸に抱え、五日の道のりを一日で駆け抜けて
伝蔵はなんとか山奥の我が家に辿り着いた。
だがそこに待っていたのは、十年一日変わらぬ山野の光景と、満面の妻の笑顔だった。

それから妻は、ずっと笑っている。
まめまめしく夫の世話を焼き、少し豪華な食事を作り、風呂を炊き。
一言の愚痴も怒りの言葉もなく、ただ穏やかに微笑んでいる。
ひたすらに微笑んでいる。
家の中はよく片付き、火縄のにおいも手裏剣の輝きも、
床がひっくり返ることも天井が落ちてくることもない。
時を追うごとに、伝蔵の焦りは増すばかりだった。


460:月夜小噺(山田夫妻)2
07/06/23 00:52:34 +NAoz/yA

空の茶碗に新しい茶が注がれた。慌てて顔を上げると、妻が小さな団子を
手元に置くところだった。
ちらりとこちらを見上げた顔は、やはり穏やかに微笑んだままだ。
「焼けました」
「うむ」
短く返して団子を口に放り込む。焼けたばかりの団子は熱いはずだが、何故かよくわからない。
膝の上で猫がちらりと目を開けたが、団子には興味がないのか、すぐにまた
眠り込んでしまった。
香ばしい塊を咀嚼しながら、伝蔵はそっと妻の様子を伺った。
新しい団子を囲炉裏にかざしながら、妻はうっとりと月を眺めていた。
薄暗い火に照らされて、白い頬が赤く輝いている。普段から年を感じさせぬ
美貌だが、その顔は今はいつも以上に晴れ晴れと明るく、どこか少女めいてさえ見えた。
しばし見蕩れ、慌てて頭を切り替える。
ここで油断してはいけない。たとえばこの団子にも、痺れ薬などが
仕込まれているかもしれないのだ。
いや、そんなありふれた手は使わないだろうか。ではやはり、ここらで床が抜けて
床下に落とされるのか。それとも逆に吹っ飛ばされるか。
妻は罠にも長けている。それも、兵太夫や三治郎あたりが見たら
大喜びしそうな、派手なものに。
家にいるというのに、落ち着かない気分で茶をすする。
もぞもぞと尻を動かす伝蔵の膝で、猫が一声、不満げに鳴いた。

このまま、何事もないということはまずありえないだろう。
武器を満載、忍び装束までまとって下山するほど、気合を入れて怒っていたのだ。
見送りがてら息子と二人、謝り倒して機嫌をとったが、あの程度で収まったとは
到底思えない。
笑っているからとはいえ、気を抜いてはいけないのだ。若い頃はあの笑顔にだまされ、
何度痛い目を見たことか。
きっと何か仕掛けてくる。もしくはもう仕込んでいる。
なんといっても、ずっと一人で家にいたのだ。そうしたものを作る時間は
たっぷりあっただろう。
気持ちを改めがてら、膝に乗った猫の背を撫でる。緊張感が伝わるのか、無骨な手の下で
縞の毛並みがちりちりと逆立った。

そう、妻はずっと一人でいたのだ。夫も子もめったに帰らぬこの家で、
冬も、春も、夏も、秋も、ただ一人で。

落ち着かなさや緊張感とは違う、ちくりと鈍い痛みが胸をよぎった。


461:月夜小噺(山田夫妻)3
07/06/23 00:55:42 +NAoz/yA

「よい月ですね」
穏やかな声に、伝蔵は再び慌てて顔を上げた。
月は天頂に差し掛かり、いよいよ明るく夜空を照らし、遠い山々の峰まで
浮かび上がらせていた。
山奥のこと、風は町中よりも冷たいが、月の輝きはその冷たさも忘れさせるようだ。
しばし見蕩れ、また慌てて妻のほうを見る。
「うむ、そうだな。そういえばじき、十五夜か」
「はい。その頃には利吉も帰ってくるそうですよ」
「ほう」
あの仕事中毒が珍しいことだと、自分を棚に上げて髭をひねる夫に、妻が囲炉裏の
火をかき混ぜながら、またにこりと笑った。
「二人そろうなんて本当に珍しい。楽しみですこと」
月光を受けたその笑顔は、これまでのものよりさらに明るい。
なんだ、息子が帰ってくるからこんなに機嫌がよいのかと、思った瞬間ふと、
理不尽ないらつきが胸をよぎった。

一人子なこともあって、妻は息子をとても可愛がっている。
伝蔵は単身赴任で家を空けることが多かったため、息子もどちらかといえば、
妻のほうになついているように思える。
別にないがしろにされたわけではないが、昔は母子の仲のよさに、自分などいなくても
大丈夫なんじゃないかなどと、どちらへともつかない大人気ない嫉妬を覚えたこともあった。
利吉が大きくなってからは、そういうこともなくなったのだが。

それはよかったな、と呟いて茶をすすり、憮然としたまま猫を撫でる。
月は煌々と明るく、山野を流れる風に虫の音も涼しげだ。
そんな光景にも癒されず、奇妙な苛立ちと消えぬ緊張感を抱えたまま茶をすする。
いやいや今はそんなことより、待ち受けているだろう妻の報復への警戒が大事だ。
さあどうくる。さては囲炉裏の中にほうろく火矢か。
いらいらしながらも緊張を解かない伝蔵の耳に、ふと、虫の音より涼やかな響きが触れた。
目を移せば、斜め横で妻が、袖で顔を隠したまま小さく震えていた。
隠し切れない笑い声が、だんだんと大きくなっていく。それが虫の音を押しのけるほどに
なったところで、ようやく伝蔵は茶碗を置いた。
「なにを笑っておる」
やはり憮然と問いかける夫に、袖に隠されていた美貌が上がった。
もはや隠すこともなくころころと笑いながら、妻は実におかしそうに夫を見つめた。
「あなたご心配なく。家には何も仕掛けてなどおりませんよ」

ぎくりと身を震わせてしまったのは、山田伝蔵一生の不覚だろう。


462:月夜小噺(山田夫妻)4
07/06/23 00:58:36 +NAoz/yA

何の話だと取り繕ったところで後の祭りだ。湯殿の床下まで調べてらしたでしょうと
またひとしきり笑われて、伝蔵の狭い眉間に深い皺が刻まれた。
「……なんじゃ、もしかして、これが狙いであったか」
「随分肝を冷やされましたでしょう」
むっつり吐き捨てた夫に、笑顔を崩さず、妻は少女のように小首を傾げて見せた。
「あなたときたら、お山の下からずっとぴりぴりされて。あれではご飯の味も
わからなかったでしょう。忍者の先生があんなにわかりやすい気配を放ってどうします。
ああおかしい」
言葉は厳しいが、ひっくり返らんばかりに笑い続ける妻の姿に、はじめは憮然としていた
伝蔵も、とうとう諦めたように相好を崩した。
苦笑を浮かべて手を伸ばし、少し焦げた団子を取る。焦げの苦さはあるが、それは奇妙に甘かった。
「やれやれ、すっかりしてやられたわい」
「最初は、厠に落とし穴でも仕掛けようかと思っていたのですけれど」
私が面倒ですし、とさらりと恐ろしいことを言いながら、新しい茶を入れる。
それを差し出しながら、妻は今度はどこか、嬉しそうに笑った。
「約束どおりちゃんと帰ってきてくださったから、もうそれでいいと思いました」

柔らかな湯気の上がる茶碗と、差し出す白い手を伝蔵はぼんやり見つめた。
月明かりの中、若い頃と同じ、白く美しい手は、けれど指先が随分荒れている。
思わずその手をつかむと、妻は一瞬、驚いたように目を見開いた。
だがすぐ笑顔になると、ほんの少しだけ身をずらし、夫ににじり寄った。
夜の風に乗って、虫の音が涼やかに流れていく。猫が面倒くさそうに一声鳴いて、
伝蔵の膝から飛び降り、庭へと下りていった。
ぬくもりが消えて、膝をすうすうと冷えた空気が嬲っていく。だが、握りこんだ手は
ほんのりと暖かい。
荒れた指先を撫でて、ポツリと呟く。
「……苦労をかけるな」
「本当に」
ちろりと睨みあげ、だがすぐ笑顔になると、妻は嬉しそうに夫の胸に身を寄せた。
そのままうっとりと目を閉じた穏やかな笑顔を、しばらく見つめて伝蔵も、細い体に
両腕を回した。
迷いながら一つ、二つ咳払いをし、腕に力をこめる。
「……感謝しておる」
「私もです」

月光に照らされて、一つになった二人の影が、薄暗がりの中まで長く伸びている。
久方ぶりの抱きなれた体温と柔らかさを、全身で感じながら滑らかな髪をなでる。
少し震えたため息が、袂の隙間から肌に触れて消えた。

深山遠く、聞こえるは虫の声。
月は明るく、囲炉裏の炎は暖かく、円座の前には湯気の立つ茶碗。
腕の中には、妻の笑顔。
帰ってきたのだなあと、今日初めて伝蔵はしみじみと思った。


463:月夜小噺(山田夫妻)5
07/06/23 01:05:13 +NAoz/yA

山田利吉は、一人激しく焦っていた。

夜半の山中、秋の風は涼しく肌をすべり、虫の音はやむところを知らない。
十三夜の月光は辺りの山野と区別のつかない山田家の庭にも煌々と降りそそぎ、
庭木も石くれも、家まで数歩の庭先で片膝を付き、息を殺して座り込む若者も、
その膝で満足げに眠る猫も、皆平等に照らし出している。
足元から長々と伸びた、薄い自分と猫の影を、利吉はちらりと横目で見た。
影は月にあわせてゆっくりと回り、当初より幾分斜めになったようだ。
面倒くさそうな顔で家から出てきた飼い猫と一緒に、ここに控えて
すでに四半時。いい加減足がだるくなってきているが、動くわけにはいかない。
石のようにその場にうずくまり、青い月の光を全身に浴びながら、利吉はふと、
誰か通りすがりにでも見られたら間抜けだな、と思った。
もっとも通りすがるようなご近所は、ここから半里ばかり行かなければない。
田舎というのはこういうとき、ありがたいのか困るのかよくわからないと、
またぼんやり思う。
夜半の山中には、人の気配などかけらもない。
ただ目の前の家の中から、ひそやかな二つの気配が漂ってくるばかりだ。

衣擦れの音に混じり、くすくすと、柔らかな笑い声は母のものだろう。
普段の毅然とした響きとはまるで違う。まるで少女のように甘い。
重なるように聞こえるのは父の声だ。これまた普段の厳格で重々しいものとは
まったく違い、むず痒くなるほど優しい。
どちらのものともつかないため息や、爪が板を掻く音、床の軋む音に、
布団くらい敷いたらどうなんですかと心の中で愚痴り、利吉はむっつりと眉をしかめた。

母を驚かせようと、うっかりいたずら心を出して、山の中腹から気配を
消してきたのが悪かった。
まさか父が、こんなに早く帰ってきているとは思いもしなかったのだ。
わかっていたら、山の下から太鼓でも叩きながら登ったものを。
久しぶりの家に、無意識に浮かれていたのだろう。こんなに近くに来るまで
気づかなかった自分も悪いが、両親も両親だ。
気配を消しているとはいえ、こんな庭先の人間に気づかないとは、どれだけ夢中に
なっているのだろう。二人そろって忍者のくせにと、自分を棚に上げて腹を立てる。
とはいえ、今さら動くこともできない。万一気づかれたら、ばつが悪いことこの上ない。
ため息さえつけず、利吉はますますむっつりと眉根を寄せた。

幾つになっても、両親の仲がよいのは嬉しいことだ。
父は単身赴任で家を空けることが多かったが、それでも互いの深い愛情が
変わらないのは、傍から見ている利吉にはよくわかった。
あんまり仲がいいものだから、両親はお互いがいれば、自分なんか
いなくてもいいんじゃないかと、幼いころはむくれたこともあったほどだ。
たまの休みに帰ってきた父と一緒に寝ていたはずなのに、朝になると父が
何故か母の寝床で寝ていたときなどは、よくそう思った。
それが父に対しての嫉妬なのか、母に対してのものだったのかは、今でもよく
わからないのだけれど。

淡い闇の中、家の中から聞こえる母の甘い声が、少し高くなった。
虫の音をさえぎるほどではないけれど、途切れ途切れに細く、どこか切羽詰って
響くその声に、二人とも若いなあと変なところで感心する。
この分だと、来年あたり弟か妹でもできそうだ。
ぼんやり考えた利吉の眉が、本人も無意識のうちに、小さく寄った。

月は煌々と明るく、容赦のない青白い光で、青年の姿を浮かび上がらせている。
膝の上で、人間の葛藤など気にも留めず、猫は太平楽にすうすうと眠っている。
肌寒い夜間の山中、その暖かさだけが慰めだ。

それにしても、終わったら終わったでどうすりゃいいんだろう、と、新たに浮かんだ
煩悶に、また利吉は眉をしかめた。


464:名無しさん@ピンキー
07/06/23 01:06:08 +NAoz/yA
おそまつ。
頑張ったつもりだが、やはりオリキャラになっちゃうな。
忍たまは女性が登場、描写とも少ないから難しいな。
だからってわけじゃないけど、個人的には女体化ものも好きだ。


465:名無しさん@ピンキー
07/06/23 01:16:41 lWrP2LTQ
GJ!!
何箇所も笑わせてもらったよww
小ネタ仕込むのウマイね!!

466:名無しさん@ピンキー
07/06/23 09:30:47 V5AJWsyK
GJ!!!おもしろかったよ
利吉と山田先生はやっぱり親子だな
オリキャラといえど奥さんもよかった

467:名無しさん@ピンキー
07/06/23 13:03:11 dPNONJEt
いいもの読ませてもらったよ!ありがとー!!

468:名無しさん@ピンキー
07/06/23 17:51:13 fBhzEtmF
走召GJ!!
なんか和んだw

469:名無しさん@ピンキー
07/06/23 18:45:15 oubmeL1L
土井「きりちゃ~ん ちくわおねが~い」

きり丸「あ゛お゛んあ゛お゛ん」

          ~完~


470:名無しさん@ピンキー
07/06/23 19:13:17 Op+Udqy6
GJ。利吉は大人だな。俺、親がこの年でやってるとこ見ちゃったらショックで死んじゃうよ。

471:名無しさん@ピンキー
07/06/23 19:36:57 lWrP2LTQ
>>470
死ぬなよww
ショックで死んじゃった利吉想像しちゃったじゃないかww

472:名無しさん@ピンキー
07/06/23 19:57:54 T7YCknMS
超GJ!!
エロくないけどそこがイイ(゚∀゚)!!
利吉と山田の対比がお見事です

473:名無しさん@ピンキー
07/06/24 01:03:51 mvYuSWuU
いやー良かった。GJです!!
利吉が出てくるとは思わなかったw
山田親子の心理描写も良かった!!和みました

474:名無しさん@ピンキー
07/06/24 12:45:37 8OsBSF3l
三郎次アゲ

475:名無しさん@ピンキー
07/06/24 16:43:56 AdquPKjO
土井先生をたらしこむ山田夫人とか読みたい…

476:名無しさん@ピンキー
07/06/27 00:51:01 HAsUk+oE
>>475それいいなw
土井先生には悪いが、彼はなぜかそういうのが似合う……

477:名無しさん@ピンキー
07/06/27 18:12:29 /JKgdvMu
鉢屋とユキちゃんで微妙に鬼畜とか、そんなん駄目か。
そもそも鉢屋自体、エロは無理か・・・

478:名無しさん@ピンキー
07/06/27 23:46:18 ZEe158pL
鉢屋が山本シナ先生に変装したら仮想ふたなりになるんだろうか…
ただの思いつき。ごみん。

479:名無しさん@ピンキー
07/06/28 13:02:07 ZQQfZU06
奴なら細部にいたるまで、リアリティにあふれたモノを作ってくれそうだが
いかんせん穴がない。

480:名無しさん@ピンキー
07/06/28 20:17:00 uOH+a0tg
シナ先生に変装した鉢屋がユキちゃんを…

481:名無しさん@ピンキー
07/06/28 22:03:54 00+U43g3
普通にくの一の百合のほうがいい

482:名無しさん@ピンキー
07/06/29 09:24:11 OnCQAZ/O
ユキとトモミはエロが似合うな

483:名無しさん@ピンキー
07/06/29 22:55:13 wjhVUBpo
ユキとしおりが見たい

484:名無しさん@ピンキー
07/06/30 12:46:23 IOxM451m
三郎次←ユキ期待age

485:名無しさん@ピンキー
07/06/30 14:11:50 wJWZVryt
6年の爆弾好きな先輩と(仙何とか?)ともみが見た目ですげー好きなんだが。

486:名無しさん@ピンキー
07/07/03 01:39:51 dklkrG5c
ユキとしおり を ユキのおしり と読んでしまったが...
これも見たいw

487:三郎次←ユキ 前書き
07/07/03 21:24:54 te6jqDrA
注意点
・ユキの思いは報われない。
・三郎次に好きな人は居ないしこの話中では出来ない。
・エロにたどり着くまでが長い。
・くの一は原作を基準にアニメ設定もおりまぜつつ。でもやっぱり原作基準。
・実は久作×トモミが根底にある。需要があれば両思いにはする。なければ設定どまり。
・左近にだけ相手役が居ない(思いつかないので)
・その代わり美味しい役どころをあげたいとは思っているがどうなることやら。

488:三郎次←ユキ 4年生 1
07/07/03 21:25:52 te6jqDrA
「あんたって、好きな子とかいないの?」
「はぁ?なんだよ突然」
突然、ねぇ…。
思わず小さく溜息を漏らす。
こいつからすれば私のこの質問は『突然』なんだ。
なんとなく腑に落ちない。
一年生の頃に出会って、気づけばもう3年間もの間、共にこの忍術学園に通ってきたというのに。
特待生がいる、と言う話でくの一中が騒いでいたのはもう3年も前になるんだ、と改めて実感した。
騒ぎに便乗して覗きに来れば、そこに居たのはなんの変哲も無い普通の男の子だった。
私達が声をかけても態度も変えない、女の子なんかより友情が第一の、至って平凡なガキ。
もちろん私達は同い年だったけど、私の第一印象はソレだった。
なまじ自分が外見や作法に力を入れていただけあり、漁師だかなんだか知らないが
顔中汚して楽しそうに忍術の勉強をするこいつの姿がひどく幼稚に見えたのだ。
何度もからかって、その度に女性に対する態度とは思えないほど口悪く罵倒してきたそいつ。
今まで周りに居なかったタイプである事は確かだ。
両家のお嬢様を気取るつもりは無いが、私に対してそんな暴言を吐いたのはこいつが初めてだった。
「てめぇ、ぶん殴ってやる!」
「やれるもんならやってみなさいよ」
「へぇ?いい度胸だな!顔出せ!」
本気で殴られるかな、と思ったのは一度や二度じゃない。
その度にこいつの親友が体を張って止めていた。
その間に姿を消す私に「覚えてろ!」と声をかけてくる事がいつもだったが、
切れやすい代わりに忘れるのも早いのか、次に会った時はケロっとして話しかけてくるのだから案外大物なのかもしれないと思った。
初めて意識したのはいつだったか、正直言ってよく分からない。
気づけばこいつと話すのが凄く楽しくて、私を見てくれる時の視線が心地よく感じるようになっていた。

489:三郎次←ユキ 4年生 2
07/07/03 21:27:24 te6jqDrA
「ねぇ、いないの?」
「別にいねぇよ。興味ない」
「ふーん」
「っていうか、お前なんで此処にいんだよ。さっさとどっか行け。もうすぐ久作と左近が来るんだよ」
「何その言い方。レディーをもっと労わりなさいよね」
「レディーって柄じゃねぇだろお前等は」
お前等、と一まとめにされた事を少し…いや大分気にかけながらもなんでもない振りをして空を見上げた。
空は雲一つない最高の天気で、こんな日に男同士で市に出かけようとするこいつの気が知れなかった。
女の子と出かければいいのに。…私とか。
言いたかったけど、言える訳が無かった。
所詮私は「お前等」の内の一人にしかすぎない。
親友に適う適わない以前の問題。まだ「ユキ」にすらなってない様な、ちっぽけな存在なのだ。
「じゃあ好きなタイプ教えてよ」
「なんでだよ」
「別にいいじゃない。減るもんじゃなし」
首筋をぼりぼりと人差し指で掻くその仕草はこいつにとって癖のようなものだ。
言いにくいことがある時や、お礼を言うときなどによく出る。
こんな事ばかり知っていてどうするんだろう、と思わず苦笑したくなった。
こいつは私の癖はおろか、どちらが利き腕かすらしらないのに。
ともあれ、この質問に言いよどんだのは正直意外だった。
また「興味ない」の一言だと思ったから。
なんだ、女性に興味はあるんだ。
胸が弾むような、それでいてズキズキと痛むような、複雑な気分だった。

「タイプは…」

心臓が止まるんじゃないかってぐらいドキドキしてた。
コイツはいつも私の期待を裏切ってくれるって、知ってたのにね。

490:三郎次←ユキ 4年生 3(5年へ続く)
07/07/03 21:28:33 te6jqDrA
分かってる。トモミちゃんは悪く無い。
分かってるはずなのに、どうしても恨んじゃう。
私ってこんなに嫌な人間だったんだ。
改めて実感した。
「何かあったの?」
トモミちゃんが私に声をかけてくれる。
あぁ、なんて優しいんだろう。
普段はあんなにそっけないのにね。
こういう時のさり気無い優しさが大好きで……少し辛い。
「色白でさり気無く優しくて気が利いて、髪は黒のストレート」
私のセリフにトモミちゃんがあからさまに眉を寄せた。
頬にかかる真っ直ぐな黒が憎らしい。
「あいつの、三郎次の好みのタイプだって」
「あぁ、それで…」
トモミちゃんは小さく溜息をついた。
呆れさせた?でも仕方ない。
自分でも呆れてるし。
「ユキちゃんにはどうあがいてもなれないわけだ」
「喧嘩なら買うわよ」
冗談よ、とトモミちゃんは笑った。
いつもの彼女らしくない、少し悲しげな笑顔。
こっちもなんかあったんだな、って思うと、笑いたくも無いのに笑いがこみ上げてくる。
「私達、反対ならよかったのにね」
トモミちゃんは小さな声で言った。
後で知ることになるんだけど、トモミちゃんが好きな彼のタイプの女の子は「両家のお嬢様」らしい。
家柄なんて替えられる訳無い。
トモミちゃんだって、どうあがいてもなれないって事か。
少しだけ悲しかったけど、同時に諦めもついた。
例えば「痩せてる子が好き」なんて言われてたらきっと私はダイエットなんてもんを始めてただろう。
なんて私らしくない行動。それでも行動していただろうから、恋と言う物は恐ろしい。
だから、よかったんだ。
どうあがいてもなれない私になる努力をしなくてすむから。
今のままの私でいられるから。
うん、その方が私らしいと思う。
そんな私は、嫌いじゃない。
それにくの一なら、色気で勝負してみなさいってシナ先生も言ってたしね。

これが私の、くの一教室4年の時の話。

491:名無しさん@ピンキー
07/07/04 07:45:18 ldEDr34z
続き楽しみ(゚∀゚)w
GJ!!

492:名無しさん@ピンキー
07/07/04 08:05:10 yHpYTQhk
GJ!!
ユキちゃん可愛いよユキちゃん



ところで三郎次のタイプってトモミちゃんっていうより左近の方が近くぁwせdrftgyふじこlp;@

493:名無しさん@ピンキー
07/07/04 17:05:46 xU5NQDMD
GJ!!
読むまではあんまり想像つかなかったけど
なんか会話とかモエス

494:名無しさん@ピンキー
07/07/04 20:06:14 dhYLi8jn
GJ!!

でもエロまで行けるか心配だガンガレ

495:名無しさん@ピンキー
07/07/05 14:17:03 4KNT2Im6

             丶 ヽ ヽ  、
          __|_|_ /_ /
        /´   | / / / ヽ
       /´   γ ┴┴┴┴  、 ヽ       /
     / ♯ /-ヽ、   /´  ヽ/´´   /
    /    / , __    〟─ 、 ̄`ヽ
   /    ///     ヽ /     ヽ ̄`ヽ
  /    |─ |       ・ |-|・     | _     \
∠_ 〇  |\ |        i ヽ      /  ヽ     \
  /    /  ̄ヽ、 _ ノ   ``┌‐/ / ヽ
   ̄|  |||ヽ┌──‐ |/   / |
    |/ヽ|    || / ̄ ̄ヽノ  /   _  /
      ヽ    ヽヽ___ノ  /  /   /
       ヽ    ヽ──  ヽ__ /
         \_/

496:名無しさん@ピンキー
07/07/07 11:10:58 OARrHpWn
初めて見るAAだ

497:名無しさん@ピンキー
07/07/11 17:32:06 a+/YRcGc
続き待ち

498:名無しさん@ピンキー
07/07/11 21:45:39 6Rrhkrx+
全部出来てから書き込むと双方楽だぞ

499:らんたろうにっき
07/07/16 23:50:03 bfk2xkoT

続き待ちの箸休めにでも。
猪名寺一家とは組。エロっちゅーか下品。



○月×日 晴れ

忍術学園は、今日から夏休みです。
久しぶりの長いお休みなので、とても楽しみです。そしてめずらしく
補習などもなかったので、すぐに家に帰れました。
うれしくて、いっしょうけんめい走ったら、今日の夕方につきました。
予定よりずっと早くついたので、父ちゃんと母ちゃんはものすごく
おどろいていましたが、乱太郎は足がはやくなったなあと、
ほめてくれました。
うれしかったです。
しかし、家の中には布団がしきっぱなしになっていました。
わたしがいない時は、父ちゃんと母ちゃんはよく一日中布団を
しきっぱなしにしています。
子どもがいなくて気が抜けるのでしょうか。よくないと思います。
だから、ぎょうぎが悪いよと注意しました。
でも父ちゃんは、行儀が悪いのではなく、母ちゃんと仲良くしていたのだ、
と、なぜかいばって言って、母ちゃんから『すりーぱーほーるど』を
かけられていました。
なかよしと布団には、なにか関係があるのでしょうか。

○月△日 晴れ

今日は、父ちゃんと畑で野菜をとりました。
おおきな大根がとれました。
まっしろで、太くて、つやつやで、とてもおいしそうな大根でした。
煮物にしたらおいしいだろうねと父ちゃんと話しました。
父ちゃんは、大根を見ながら、むかしは母ちゃんもこんなだったのになあと
ため息をついていました。
わたしが、母ちゃんは元くのいちじゃなかったの、と聞いたら、父ちゃんは
なにもいわずにちょっと笑って、だまってかぼちゃをとっていました。
こっちはあんまり変わらんのだがなあ、と、しみじみしながら、きゃべつを
見たりもしていました。

野菜をもって家に帰ると、母ちゃんがそれで夕飯をつくってくれました。
わたしも手伝いました。
大根の煮物と、ナスの焼いたのと、きゅうりの漬物でした。
なすは長くてまるまる太った、おいしそうなのでした。
母ちゃんはそれを見て、むかしは父ちゃんもこんなだったのにねえ、と
しみじみ言いながら、きゅうりを刻んでいました。

今日の夕飯は、おいしかったけど、なぜだかうまくのどを通りませんでした。
わたしは自分は、忍者の子どもだと思っていましたが、もしかしたら
ちがうのかもしれません。


500:らんたろうにっき2
07/07/16 23:54:34 bfk2xkoT

○月□日 曇り

今日は、とても悲しいことがありました。
今日というかきのうの夜、寝る前に水を飲みすぎたので夜中に目が覚めて
便所に行こうとしたら、父ちゃんと母ちゃんがけんかをしていました。
父ちゃんが母ちゃんをいじめているのです。
父ちゃんは母ちゃんの上に乗っかって、二人でつかみ合い、らんぼうに
ゆさぶりながら、えいえいどうだまいったか、と言っていました。
母ちゃんは、息もたえだえになって、ああんもうかんにんして、と言っていました。

わたしはあわてて布団をかぶって見ないふりをしたのですが、その間も
二人の言い合いは続いています。
それを聞いているうちに、わたしはだんだん悲しくなってきました。
わたしの父ちゃんと母ちゃんは、ときどきけんかもするけれど、いつも
とても仲がよくて、取っ組み合いなんかしたことがありません。
それがこんな大げんかをするなんて、それも、あのやさしい父ちゃんが
母ちゃんにこんなひどいことをするなんて、信じられません。
それとも、わたしの前では仲がいいふりをして、うらではいつも
こんなけんかをしていたのでしょうか。
もしかしてこれは『りこんのきき』というものだろうか、と思ったら、
涙が出てきました。
でも、『こはかすがい』と言いますし、もしそうならわたしがなんとか
しなくてはいけません。わたしは父ちゃんも母ちゃんも同じくらい
大好きだからです。
だから、悲しくてこわかったけれど、勇気をふりしぼって、やめてと
さけんで二人の間に飛び込みました。

父ちゃんと母ちゃんはものすごくおどろいて、でもすぐけんかを
やめてくれました。
母ちゃんは着物がはだけていましたが、父ちゃんもふんどしまで
取られていたので、思ったよりいい勝負だったのかなと思いました。

わたしは恥ずかしいことに、大泣きしてしまったのですが、なんとか
けんかをやめてほしいと伝えることはできました。
でも父ちゃんと母ちゃんは、びみょうに笑って、別にけんかをしていた
わけではない、といいました。
わたしはこの目で見ていたので、そのようないいわけはとても信じがたく、
うそをつかないでとまた泣きました。
そうしたら父ちゃんがまじめな顔で、これはけんかではなく仲良くしていたのだ、
といいました。
大人は布団の上でとっくみあいをすると、仲良しになるだけでなく、
わたしに弟か妹まで『ぷれぜんと』できるのだそうです。
あまりにとうとつな話に、わたしが疑いをとけずにいたら、父ちゃんは、
乱太郎も、父ちゃんと母ちゃんがとっくみあって生まれたんだぞ、と
いばって言いました。
とてもおどろきました。
それはどういうことかとても知りたかったのですが、話を聞く前に母ちゃんが
父ちゃんに『じゃーまんすーぷれっくす』をかけて、もう寝なさいと眠り火を
炊いたので、話は打ち切りになりました。

薬の量がまちがっていたらしく、次の日は三人で、昼まで寝てしまいました。
起きてからも、夕方まで頭がふらふらしていました。


501:らんたろうにっき3
07/07/16 23:57:23 bfk2xkoT

わたしはいま、不安でなりません。
赤ちゃんは神様のさずけものだから、子どもが生まれるのは、
とてもおめでたくて、平和なことのはずです。
なのにわたしは、とっくみあいのけんかの果てに生まれたのです。
つまり、わたしはいわゆる『あらそいのたね』というものなのではないでしょうか。
いったいそんなことで、子どもが生まれるということがあるのでしょうか。
あれからなんどか聞こうとしたのですが、父ちゃんも母ちゃんもはぐらかすばかりで、
どうしても教えてくれません。
わたしは、いま、とても不安でなりません。
いっそ、野菜の子だったほうがなんぼかましでした。

○月○日 晴れ

今日から新学期です。
正確には、あと一週間あるのですが、事前補習があるのでは組だけ、
はやめに登校なのです。
友達に会えるのはうれしいのですが、わたしは休み中のしょうげきが
尾をひいていて、自分では気づかなかったのですが、暗い顔をしていたようです。
そしたら、きり丸としんべヱが心配して、なやみがあるなら聞くよ、と
言ってくれました。
友達はありがたいなあと思いました。
三人寄ればまんじゅうの知恵、と言いますし、それで、休み中にあったことを
この日記を見せながら、説明しました。
しんべヱは最初から最後まで、とても真剣な顔で聞いてくれましたが、ごめんね
ぼくにはよくわからないなあと首をかしげていました。
でもきり丸は、途中でものすごくあきれた顔になって、最後には横を向いて小さく
「あほ」といいました。

ちょっとけんかしました。


502:らんたろうにっき4
07/07/16 23:59:37 bfk2xkoT

○月※日 嵐

まんじゅうの知恵は、三人でなくてはいけないものなのでしょうか。
三人より五人、五人より十一人のほうが、たくさん知恵も出るのではないでしょうか。
だからわたしは、わたしのいだく難問を、は組のみんなに相談してみることにしました。
きり丸にはすごく止められましたが、私はどうしてもこのくのうを解決する
すべを知りたかったので、今日の昼休みに決行しました。
みんな、だまって聞いてくれました。

喜三太と三治郎と金吾は、しんべヱと同じでよくわからない、と首をひねっていました。
虎若は、しばらく考えてから急にはっとして、顔を赤くしてうつむいてしまいました。
兵太夫は話が終わる頃、妙にそわそわしはじめました。
庄左ヱ門と伊助は話の途中で、いきなりこの話はやめようと言ってきました。
この二人は、とくにまじめに聞いてくれると思っていたので、ちょっと悲しかったです。
けっきょく他のみんなの反対で、話は全部したのですが、終わってもだれも何も
言ってくれません。
いえ団蔵が、まかせとけ、ぼくんち馬借と一緒に『はんしょく(字がわかりません)』も
やってるから説明してやるよ!と頼もしく言って、黒板になにやら図を書いてくれたのですが、
庄左ヱ門ときり丸に押さえ込まれて、口をふさがれてしまいました。
黒板にはすでにいろいろ書かれていましたが、団蔵の字なので読めませんでした。

私のぎもんは、解決しないままです。
でも、たぶん組の半分くらいは、わたしのくのうの答えを知っているのではないかと思います。
知っていて、教えてくれないのです。
それどころか、知っているもの同士で固まって、知らないものをさけているようなのです。
けっそくのかたさが売りのは組が、ぶんれつしてしまったのです。
午後の授業のとき、お前らなんか変なふいんきだなあ、と先生がおっしゃっていたのは、
これが理由です。


503:らんたろうにっき5
07/07/17 00:01:42 SiQz567u

わたしは、自分のぎもんがとけないのもつらいですが、組のふいんきがぎくしゃくした
ままなのも、とてもつらいです。
それがわたしのせいだと思うと、なおさらつらいです。
でもこれは、父ちゃんと母ちゃんを仲直りさせたように、わたしがかいけつしなくては
ならないことだと思います。
だって、わたしのまいたたねですから。
なので、すべての問題をいっきょかいけつする方法を、いっしょうけんめい考えました。

あした、新学期最初の学級会で、わたしのぎもんを先生に質問したいと思います。
何をなやんでいるかは、今日提出しました、この日記を読んでいただければ
わかると思います。
いつも、わたしたちのぎもんやなやみを親身になって考えて、答えてくださる先生。
先生なら、きっとこの問題もかいけつしてくださることと、信じています。
は組の平和のためにも、どうかよろしくお願いいたします。

土井先生。

一年は組 猪名寺乱太郎
夏休みの日記より抜粋



「山田先生ー!!」
「あー……これはなー、低学年を受け持ったら、だれでも一度は通る道でしてな」
「いや、そうはいいましても!」
「ま、がんばんなさい。あ、私は明日、ちょっと出張でして」
「ちょ、逃げないでください!山田先生!山田先生ー!」




504:名無しさん@ピンキー
07/07/17 00:09:23 W5x2vLk6
ワロタ。GJ!!!!!!!!!!

505:名無しさん@ピンキー
07/07/17 00:38:08 8yTz26WA
団蔵頼もしいぞ!!GJ!!土井先生がんばれww

506:名無しさん@ピンキー
07/07/17 01:17:59 sa7FopaW
GJ!ワロタ

507:名無しさん@ピンキー
07/07/17 07:46:41 rLnnFxrs
エロじゃないがワロタ
そういや猪名寺夫婦はまだ30代だよな

508:名無しさん@ピンキー
07/07/17 12:04:52 yAVY3gtN
鼻からお茶フイタwww
子供の純粋な疑問は罪だなwww

509:名無しさん@ピンキー
07/07/17 15:00:45 SdLtxz3q
団蔵ww猪名寺夫婦に不覚にも和んだ。
GJ!!!

510:名無しさん@ピンキー
07/07/18 07:42:29 oGmp/hYU
土井カワイソスww

新野先生に投げちゃダメかな

511:名無しさん@ピンキー
07/07/18 13:07:27 qmO1lpZR
GJ!!!!
とってもワラタWWWWW
続編を希望W

512:名無しさん@ピンキー
07/07/18 22:18:12 u1uTUWlQ
>>510
新野先生のほのぼの性教育イイ!!

513:名無しさん@ピンキー
07/07/19 07:13:58 E8vsz2kA
読みながらニヤニヤしてしまったww
GJ!!!!!


514:名無しさん@ピンキー
07/07/19 22:02:16 D2WBijiS
他の子バージョンも是非

515:名無しさん@ピンキー
07/07/24 00:20:57 +FPRrEiW
あげあげ

516:らんたろうひみつにっき
07/07/24 00:59:00 mwRr92nQ

おまいら調子に乗っちまいますよwww
続きいきます。例によって下ネタですが、今回は触りだけ。

山田夫妻、猪名寺夫妻と書いたんで、他の夫婦もと考えたんだが、
伊助の両親くらいしか思いつかなかった。
あと公式カップルっていたっけ。



らんたろうひみつにっき



今日から、日記をつけようと思います。
夏休みのしゅくだいはおわったので、ほんとはもう書くひつようはないのですが、
けさ、山田先生がしゅっちょうにでられるまえに、わたしのところにいらして、
乱太郎は絵がうまいが、ぶんしょうもなかなかだな、とほめてくださったのです。
わたしは、めったにほめられることがないので、とてもうれしかったです。
たくさん書くと、もっとうまくなるぞ、ともおっしゃいました。
忍者には情報をえたり、仲間につたえるために、わじゅつやぶんしょうのうりょくも
ひつようだといいますし、だからわたしは、日記をつけて、もっと書くちからを
のばしたいと思います。
めざせいちりゅう忍者。


517:らんたろうひみつにっき2
07/07/24 01:01:22 mwRr92nQ

先生に聞こう!の段

忍術学園は、今日から新学期です。
わたしは、授業のまえの学級会で、土井先生にしつもんしたいことがあったので、
朝からわくわくしていました。
そのはんめん、教室の空気はぴりぴりしていました。
は組はきのうから『ないぶぶんれつ』していて、何人かでかたまって他のものをさけたり、
あいさつもしなかったりと、ちょっとぎくしゃくしているのです。
わたしとしんべヱも、親友のきり丸と、いわゆる『れいせんじょうたい』です。
いつも仲のいいは組が、こんな悪いふいんきになってしまったのは、わたしがきのう、
みんなに自分のなやみを相談したのがきっかけなので、わたしはとても悲しく、
またせきにんをかんじました。
でも、今日の学級会で先生に、わたしのなやみをしつもんすれば、きっと先生が答えを
くださるでしょう。
学級会で聞けば、わたしだけでなく、ほかのものも答えを知ることができます。
みんなが答えを知れば、ひつぜんてきにこの悪いふいんきも、かいしょうされるはずです。
そういう意味でも、わたしはがんばろう、一番にしつもんしよう、そしてきっと組のふいんきを
元にもどしてやろう、とはりきっていました。
でも、けつろんからいうと、できませんでした。
いつもより少し、おくれていらした土井先生が、まるでゆうれいみたいな顔をしているのに、
おどろいてしまったからです。

先生の顔は、斜堂先生より青くて、文次郎先輩よりすごいくまができていました。
いつもより強く胃のあたりをおさえて、今にも吐きそうな顔をして、ふらふらしながら
歩くすがたに、わたしだけでなく、みんなもびっくりしていました。
目もすわってました。
もともと、ふだんよりしずかだった教室は、水をうったようになりました。
兵太夫と三治郎は、口をぽかんと開けていました。
喜三太は、ナメクジをそっとしまいました。
金吾は、こわかったのか、ちょっとなみだ目になっていました。
庄左ヱ門は、起立のきを言いかけた状態でかたまっていました。

さっきとはまたちがうきんちょう感で、しずまりかえった教室の中を、足音もなくよこぎると、
先生は忍者のようにしずかに、きょうだんの前に立たれました。
そうして、とてもゆっくりした動きで、わたしたちを見回されました。
近くで見ると、先生の顔は、青いというより茶色でした。
はいごに黒雲もわいているようでした。
わたしは、保健委員なので、大丈夫ですかと声をかけようかと思いましたが、なぜだか
声が出ませんでした。
先生はくまで真っ黒な目で、わたしたちひとりひとりの顔を見つめられ、最後に
わたしの顔を見ると、低い声で、学級会のまえに、先生からちょっと話がある、と、おっしゃいました。
朝のあいさつもまだでしたが、だれもなにも言いません。
いようなきんぱく感の中、なん枚かのプリントが配られました。

そうして先生は、『しめんそか』で『がけっぷち』な顔で、植物のおしべとめしべについて
話をはじめられました。


518:らんたろうひみつにっき3
07/07/24 01:03:34 mwRr92nQ

教室の中はほんとうにしずかで、こんなにしずかな授業は、は組はじまって以来ではないかと
思うほどでした。
しんベヱさえ、ひっしな顔でプリントに見入っていました。
先生の声は、とても小さくて、お経みたいでしたが、眠くなるよゆうさえありませんでした。
遠くで、ひばりのなきごえが聞こえました。
ろ組の学級会の声も、聞こえました。

やがて、全部のプリントが読み終わりました。
おもくるしい空気の中、先生が、なにかしつもんはあるか、といわれましたが、やっぱりだれも
なにもいいません。
伊助や団蔵やきり丸が、なぜかちらちらわたしのほうを見ていましたが、わたしもしつもんは
ないので、だまっていました。
先生はまた、ゆっくりと私たちを見回しました。
そうして、先生もまたなぜかわたしを見て、どうだ乱太郎、わかったか?とおっしゃいました。
わたしはあわてて、はいよくわかりました、と答えました。
これは、ほんとうです。
わたしのうちは、忍者けん農家なので、わたしはもともと作物のじゅふんや成長のしくみには、
わりとくわしいのです。
それに、はいと言わなければなにか、恐ろしいことがおきそうな気がしたので、いっしょうけんめい
首をたてにふりました。
わたしの答えに、土井先生は、あからさまにほっとした顔をして、そうかとおっしゃって、
今日はじめて笑われました。
こころなしか、顔色もよくなられたようでした。
先生が笑ったので、教室の中もほっとなりました。
おもくるしかった空気が、きゅうに軽くなりました。みんなも笑っていました。とても安心しました。
虎若が小さな声で、ああよかった、といいました。

うってかわってなごやかな空気の中、庄左ヱ門があらためて朝のあいさつをして、やっと
ほんとうの学級会がはじまりました。
なのでわたしははりきって、一番に手を上げて、きのう日記で先生にお願いしたけんについて、
しつもんをしました。
でもぜんぶ言う前に、先生は、きょうだんの向こうで、倒れてしまわれました。

土井先生は、神経性胃炎というじびょうをお持ちなのですが、それが急に悪化したようです。
夏の終わりだというのに、このごろあつかったり嵐がきたり、変な天気が続いたので、きっと
体調をくずされたのでしょう。
どうかご無理をなさらないように、と思います。

先生の胃が痛かったり、吐いたりにはなれっこなのですが、今日のほっさはとくにひどかったです。
まさに『しちてんばっとう』の苦しみかたで、わたしたちは、先生は今日こそほんとうに
しんでしまうのではないかと思って、みんなで先生をかこんで、わんわん泣きました。
もう学級会どころでなく、みんなで先生しなないで、と泣いていましたら、斜堂先生がさわぎを
ききつけてきてくださいました。
そして、新野先生をよんでくださり、土井先生は保健室にはこばれていきました。
わたしは、保健委員なのになにもできなかった自分が、ちょっとはずかしいです。


519:らんたろうひみつにっき4
07/07/24 01:05:56 mwRr92nQ

庄左ヱ門は、最後まで泣きながら、先生とめられなくてごめんなさい、といっていました。
先生は苦しそうにしながらも、ちょっとだけおだやかな顔で、うんうんとうなずいていました。
きり丸は涙目になりながら、でも先生、問題さきのばしになっただけで解決してませんよ、といって、
先生にはたかれていました。
きり丸の言葉のいみは、よくわからなかったですが、ひんしのじょうたいでもツッコミを忘れない
先生は、関西人のかがみだと思いました。

土井先生は、三日ほどお休みするそうです。
山田先生もしゅっちょうでいらっしゃらないので、は組の授業は、ほかの先生がもちまわりで
見てくださるそうです。
先生のことは、とても心配ですが、いいこともありました。
このさわぎのうやむやのドサクサで、それまでぎくしゃくしていたは組のふいんきが、
なんとなく元にもどったのです。
わたしのぎもんについても、なしくずしになかったことになった感じですが、は組が元に
もどるなら、そんなことは小さなことです。
こういうのを、『けがのこうみょう』というのだなあと思いました。

先生、ありがとうございます。
どうかはやく、お元気になられますよう。
先生がふっかつされたら、わたしはこんどこそ最後まで、先生にしつもんをしたいと思います。
その日がとても楽しみです。




520:名無しさん@ピンキー
07/07/24 01:28:26 cyvOm8Xm
乙wwwww



>まるで忍者のようでした
に吹いたw


521:名無しさん@ピンキー
07/07/24 02:16:53 WG4lqw7u
乱太郎以外の分かってなかった子達は分かったのだろうか?
誰も分かってなかったら土井先生が哀れだw

522:名無しさん@ピンキー
07/07/24 09:48:24 rU/04wdl
GJ!にしても土井先生あわれだな

523:名無しさん@ピンキー
07/07/24 14:34:35 h1swISDt
GJ最高だたwwwww続編thx!!!
また続きを心待にしているwwwwww

524:名無しさん@ピンキー
07/07/24 20:53:58 YUAWkdm7
むっちゃワロタwwwwwGJww
土井先生テラカワイソス、きり丸厳しいwww

525:名無しさん@ピンキー
07/07/25 00:53:05 aNsf3QSk
神だなww
山田夫妻の話はあなただったのか!テンポがよくておもろくて好きです。

526:名無しさん@ピンキー
07/07/25 23:40:51 +QqmKIvU
郊外学習中に先生とはぐれた一年は組が夜鷹集団に捕まるのとかやってください!

527:名無しさん@ピンキー
07/07/26 21:29:02 W93P4ikl
関西人の鏡ワロタwwwwとにかくGJ!!
新野先生が登場したので「このまま性教育に!?」などと期待してしまったwww

ガンガン調子にのっちまってください!!
でも土井先生が胃に穴をあけて血を吐きませんように……

528:名無しさん@ピンキー
07/07/27 00:11:28 y8cUUQV7
きり丸はなんとなくわかるが、庄ちゃんや伊助にその知識があるとは意外だたww
俺は12歳くらいになるまでよく知らなかったけどなぁ……。
俺が遅かったのか、当時の10歳児にとっては普通の知識なのか。

529:名無しさん@ピンキー
07/07/27 13:36:00 5wO/0A9I
>>528
庄ちゃんは耳年増な気がするなぁw
現実下に兄弟が居る子は知ってる子が多い

つ【みしゃくじおとし】

530:名無しさん@ピンキー
07/07/27 16:22:36 iZI1A/tq
中高生でも知らない人はいるからな。
完全に個人差だろう。

531:名無しさん@ピンキー
07/07/27 23:46:25 R4AXvw/t
でも、乱太郎と三治郎と虎若は委員会の都合上知っていそうだけどな

532:名無しさん@ピンキー
07/07/28 11:52:26 yP+pySN0
>遠くで、ひばりのなきごえが聞こえました。
>ろ組の学級会の声も、聞こえました。

どんだけ静かだったんだwww乱太郎(&中の人)マジで文才あるwww
実際、小学校でやる性教育って「精子と卵子が~云々」だから分からない子は
分からないまま中学上がっちゃうだろうね。
乱太郎、上級生に相談したりしないのだろうか。

>>529「御石神落とし」って初めて知ったんで一話試し読みしてきたお。
これは物書きにとっていい教材ww

533:名無しさん@ピンキー
07/07/28 13:35:43 z7xH+572
保健委員なんだから、なおさら新野先生に聞けばいいのにww
でも性的なことだとは知らないわけだからなあ。

534:名無しさん@そうだ選挙に行こう
07/07/29 10:10:30 Gf0Y19ld
放課後乱太郎に質問されて困惑する伊作とかありそうだなww
それにしても最初に団蔵に教えてもらってたほうが被害少なかったなこりゃ。

535:名無しさん@そうだ選挙に行こう
07/07/29 10:25:44 l14f6X1t
そもそもとーちゃんとかーちゃんが教え(ry

536:名無しさん@ピンキー
07/07/29 21:22:25 zRCdD2oK
最後に「続」とついているせいでワクテカが止まらない

537:らんたろうひみつにっき5
07/07/30 01:42:28 hwBhGtpX

続きいきます。
なんかいろいろ先読みしてもらえて、正直うれしい(*´∀`)



今日の一時間目は、自習でした。
遊ぼうかという意見もあったのですが、たおれた土井先生のことを
かんがえて、みんなで話しあい、まじめに勉強することにしました。
は組のけっそくの固さがもどったので、わたしは、とてもうれしく思いました。
自習のとき、わたしは、きのう土井先生が下さったプリントをよみなおしました。
植物の受粉についてのプリントです。
よく知ってることなので、あまりふくしゅうにはならないかなと思いました。
でも、いっしょに自習していたしんべヱは、むずかしいね、といいました。
なので、こういうのはよく見てれば、そのうちしぜんにわかることだよ、といったら、
となりできり丸が鼻水を吹きました。

とちゅうで、団蔵もくわわりました。
団蔵は、ぼく、馬と植物だと『はんしょくほうほう』がちがうなんて、
ぜんぜん知らなかったよ、と、とてもかんしんしていました。
近くにいた兵太夫が、団蔵の知識ってかたよりすぎてない、と、ぽつりといいました。
そしたら団蔵が怒って、でも植物とちがって、馬ってすごくあばれるから
大変なんだぞ、といいました。
馬の『はんしょく』は、オスとメスの、ときに馬小屋をこわさんばかりの
大ゲンカから始まるのだそうです。

わたしは、どきりとしました。

団蔵はつづけて、うちの父ちゃんも馬借の親方だけに『うまなみ』だから、
まいばん母ちゃんと床が抜けそうな大さわぎで、とかいう話もしていたのですが、
とちゅうで、伊助と虎若にかつぎあげられて、ろうかに連れ出されてしまいました。
自習のさいちゅうだったので、庄左ヱ門がおこるかと思ったのですが、
庄ちゃんはなんだかとおい目をして、無言でみおくるだけでした。
そして、ぼくはさいきん、組のふうきについてちょっとなやんでいるよ、と
つぶやいていました。
きり丸がめずらしく、なぐさめるようにその肩をたたいていました。

わたしは、『ゆうじょうにおけるひみつのそんざいとそのきょよう』について、
ちょっとなやんでいます。


538:らんたろうひみつにっき6
07/07/30 01:44:46 hwBhGtpX

先輩に聞こう!の段



わたしのぎもんは、深まるばかりです。
ちかごろは、考えすぎて、夜もよく眠れず、ごはんものどを通らないくらいです。
やっぱりどんなにさけられても、しんらいする友達に聞くのが、いちばんかとも
思うのですが、でも、せっかくよくなった組のふいんきが、またこわれてしまうかも
しれないと思うと、それもはばかられます。
わたしが、みんなにくのうを相談していらい、庄左ヱ門がだんだん土井先生みたいな
顔色になってきているのも、とてもしんぱいです。
だから今では、だれにも相談せず、一人でかんがえています。
とてもくるしいです。

今日も授業のあと、考えごとをしようと校庭を歩いていたら、
滝夜叉丸先輩と三木ヱ門先輩が、けんかをしているところに出くわしました。
とくにめずらしい光景ではないので、そのまま通りすぎようとしたら、
滝夜叉丸先輩が、一年ボーズ、なにかなやんでいる顔だな!と声をかけてきました。
そしていつものように、ぎもんなら、四年生でいちばん成績のよい自分に聞け、と
いばってきて、また三木ヱ門先輩とけんかをしていました。
変なところで目ざといなあ、と思いましたが、滝夜叉丸先輩は、たしかに成績は
いいようなので、とりあえずあまりきたいせず、言ってみることにしました。
滝夜叉丸先輩は、わたしの話を聞くと、ものすごくバカにした顔をして、子どもが
生まれるのにとっくみあいや、ナスやキャベツが関係あるはずなかろう、と鼻で笑いました。

子どもは、白菜から生まれるのだそうです。
あの巻いたところに、入っているのだそうです。

なんだかどっとつかれました。
白菜から子どもが生まれるなら、うちなんかいまごろ百人兄弟です。
そのくらい、わたしにだってわかります。
人間、成績がいいだけじゃだめだなあと思いました。
自分などはきっと、黄金の白菜から生まれたにちがいない、といばりつづける滝夜叉丸を
おいて、わたしはそっとその場をはなれました。
となりでだまりこんでいた三木ヱ門先輩が、お前のあたまは一年ボーズ以下か、と
つぶやいたのが聞こえました。


539:らんたろうひみつにっき7
07/07/30 01:47:13 hwBhGtpX

またすこし歩くと、こんどは五年生の雷蔵先輩に会いました。
と思ったら、鉢屋三郎先輩でした。
先輩は、そうじのとちゅうでしたが、なんだかむずかしい顔をしてどうしたのかね、と
聞いてくださいました。
わたしは、天才、六年生以上とうたわれる三郎先輩なら、きっとわたしのぎもんの答えも
ごぞんじなのではないか、と思いました。
なので、わらにもすがる思いで、そうだんしてみました。
三郎先輩は、わたしの話を聞くと、とても楽しそうに笑って、よろしい、じゃあ
わたしが教えてあげよう、とおっしゃいました。
さすがは三郎先輩だと思いました。
しんべヱや三治郎や金吾や喜三太にも、教えてくださるというので、みんなを呼びに
いこうとしたら、先輩は、教えるときに変装するから、まずそれをえらんでくれ、と
おっしゃいました。

『せんたくし』は、ユキちゃんとトモミちゃんと山ぶ鬼と黒戸カゲ先生と
山本シナ先生の若いバージョンとお年寄りバージョンと、食堂のおばちゃんでした。

わたしが、なんで女の人ばかりなんですか、とたずねたら、そのほうが盛りあがるから、との
ことでした。
よくわかりません。
それで、ものを教えていただくのだし、おやさしそうなので、山本シナ先生お年寄りバージョンで
おねがいしますと答えました。
そしたら先輩は、とても感心したように、乱太郎くんは『まにあっく』だなあ、とおっしゃいました。
やっぱりよくわかりません。
それじゃあ食堂のおばちゃんにしようかなあ、となやみながら、わたしはみんなを呼びにいきました。
でも、みんな委員会やそうじでいそがしそうで、だれもつかまりませんでした。
なので、とりあえずわたしだけでも教えていただけないかと思って、先輩のところにもどりました。

先輩は、さきほどと同じところに立っておられました。
でもよくみると、それは三郎先輩ではなく、雷蔵先輩でした。
雷蔵先輩は、なんだかものすごく赤い顔をして、わたしをみていきなり、乱太郎くん、
三郎に『そういうこと』をきかないほうがいいよ、とおっしゃいました。
三郎先輩に『そういうこと』をきくと、ものすごく『ゆがんだちしき』を教えられて、
たいへんな恥をかくのだそうです。
それこそ『顔をあげておもてを歩けなくなる』ほどで、『ぼくはしばらく授業もやすんだ』
くらいだそうです。
わたしは『そういうこと』とは、どういうことなのかわからなかったので、雷蔵先輩に
お聞きしようと思ったのですが、先輩の顔がまるで、せんじつの学級会のときの土井先生の
ようだったので、やめました。
雷蔵先輩は、『そういうこと』は、そのうちしぜんにわかることだから、むりに知ろうと
しなくてもいいんだよ、ともおっしゃいました。
どこかで聞いたせりふだと思いました。
そして、じぶんが可愛ければ、くれぐれも三郎先輩には聞かないように、と
わたしにねんをおしながら、去っていかれました。

そんけいする雷蔵先輩のお言葉ならば、きかなくてはいけないでしょう。
きかなくてはいけません。
こうしてわたしは、せっかく見つけた光を、またうしなったのです。

ところでいま気づいたのですが、三郎先輩はどこへ行かれたのでしょう。
そういえばあれから、学園内でもおすがたを見かけません。


540:らんたろうひみつにっき8
07/07/30 01:49:33 hwBhGtpX

校庭のすみで、一人でうつむいてなやんでいたら、きり丸がきました。
そういえば、ここ二日ほど、きり丸やしんべヱといっしょに遊んでないなあ、と思いましたら、
きり丸も、やっぱりそう思ってきたのだそうです。
でも、遊ぶ気にはなれなかったので、わたしたちは、しばらく何もしゃべらず、
ただいっしょに座っていました。
ひさしぶりに見上げた空は、とてもきれいでした。
やがて、きり丸がぽつりと、親友として、お前に一つだけアドバイスをしてやる、といいました。
そして、まじめな顔で、保健室に行って、新野先生にお前のなやみを相談してこい、といいました。

わたしは、どうしてそこでいきなり、新野先生がでてくるのかわからなかったので、
なんで、とききましたが、いけばわかる、というばかりです。
新野先生は『そのみちのぷろふぇっしょなる』だから、保健室にいけば、わたしの
ぎもんもきっととけるはずだ、というのです。
新野先生じゃなく、土井先生じゃだめなの、と聞きましたが、今度こそほんとうに
しんじゃうかもしれないから、やめておけ、と止められました。
組のなかでもくわしそうな、団蔵に聞くのはだめなのか、とも問いましたが、
あいつは知識と精神ねんれいが『はんぴれい』してるからだめだ、と、おもおもしく
首をふるだけでした。
じゃあいっそきりちゃん教えてよ、といったのですが、なんだか怒ったような
こまったような顔で、それはやだ、と、これも首をふるばかりです。

わたしの中にいっしゅん、ゆうじょうとひみつにかんするうすぐらいぎもんが
浮かびあがりましたが、やっぱりきり丸のことは信用しているので、
アドバイスにしたがうことにしました。

じゃあいってくるよ、と、保健室にむかったわたしを、きり丸は、
大人のかいだんのぼってこい、と、うでぐみして見送ってくれました。



保健室にいくと、伊作先輩が出むかえてくださいました。
新野先生は、いらっしゃいませんでした。
学園長の思いつきで、きゅうなしゅっちょうがはいったため、ついさきほど出かけられて
しまったのだそうです。
そのあいだ、伊作先輩が、おるすばんをされているのだそうです。
伊作先輩は、きのどくそうに、運がわるかったね、と言われました。
場所が保健室だけに、わたしの委員としての特性が、つよくはっきされてしまったのでしょうか。
わたしのぎもんは、いったいいつになったらとけるのでしょう。
わたしは、ざんねんに思うとともに、とても悲しくなりました。
そしたら、それが顔にでてしまったらしく、伊作先輩がしんぱいそうに、乱太郎、
どうかしたのかい、なにかしんぱいごとでもあるのかい、と聞かれました。
わたしは、ごしんぱいをかけて申しわけなく思いました。
忍者はあまり、ひょうめんにかんじょうをあらわしてはいけないものなのに、
わたしはすぐ顔に出てしまうので、はずかしいです。
だから、なんでもないです、といおうと思ったのですが、そこでふと思いつきました。


541:らんたろうひみつにっき9
07/07/30 01:51:39 hwBhGtpX

考えてみれば、伊作先輩は、六年間も保健委員をされていた、ふうn(ここ×印)保健の、
『ぷろふぇっしょなる』なかたです。
そしてあるいみ、保健室のぬしのようなかたです。
きり丸は、保健室で『ぷろふぇっしょなる』に聞けば、わたしのぎもんはとけるといいました。
ならば、伊作先輩に聞いても、わたしのぎもんはとけるのではないでしょうか。
わたしは、自分の思いつきがとてもすてきなものに思えたので、さっそく伊作先輩に、
夏休みとちゅうからの、わたしのくのうとぎもんについて、すべてお話してみました。

伊作先輩は、さいしょものすごくあわてたり、ちょっとそわそわされたりしていましたが、
とちゅうからとてもおちついて、わたしの話を聞いてくださいました。
そして、ぜんぶ話しおわると、とてもたよりがいのある顔で、なるほどよくわかった、
わたしにまかせなさい、とおっしゃいました。
わたしは、ものすごくうれしくなりました。

先輩は、さいきんの一年生は『そうじゅく』だねえとか、わたしが知ったのは
五年生のおわりごろだったけどなあとか、ぶつぶつおっしゃいながら、保健室の
おくから、小さな黒板と白墨を持ってこられました。
なんだか授業みたいだな、と思いました。
本も、たくさん持ってこられました。
どんどんふえていきます。
ちょっといやなよかんがしました。
伊作先輩は、とてもやさしくて『はくしき』なよい先輩なのですが、話がすこしだけ長いのが
たまにきずなかたなのです。
なので、わたしは、ささっと教えていただければいいんですが、といってみたのですが、先輩は、
こういうのは『はじめがかんじん』だから、いいかげんにせず、基本的なことからじっくりいこう!
とはりきっておられます。
教えてもらう立場なので、わたしはなにも言えません。

やがて、本がうず高くかべを作る中、先輩はとてもやさしいお顔でわたしをごらんになると、
それじゃあ『なすときゃべつ』にちなんで、植物のおしべとめしべの話からはじめようか、と
おっしゃいました。


542:らんたろうひみつにっき10
07/07/30 01:53:50 hwBhGtpX

伊作先輩の話は、とても長いものでした。
『び』にいり『さい』にいり、こんせつていねい、かゆいところを通り越して床までかくような
こまかなもので、植物の学名から神話まで『もうら』し、ときに『せんもんようご』をおりまぜ、
さらにその解説もとりまぜ、枝葉をひろげながら、どこまでもどこまでも続いていきました。
わたしは、さいきん眠れなかったこともあり、どうもとちゅうで、目をあけたまま
寝てしまったようです。
なぜかきょだいな柱のまわりで、父ちゃんと母ちゃんが追いかけっこをしている夢を見ました。

すべての話が終わったころには、明るかった空が、すっかりあかね色にそまっていました。
かべのようだった本の山も、ほとんどくずれていました。
これぜんぶ引用されたのかなあ、と感心していたら、伊作先輩が汗をぬぐいながら、
どうだい、わかったかい、と聞いてこられました。
わたしは、とてもあせりました。、
なぜなら、ほとんど寝ていたため、わたしはせっかくのお話のないようを、ほぼまったく
覚えていなかったのです。
でも、とてもそんなことは言えませんので、はい、よくわかりました、と答えました。
心臓がどきどきしました。
先輩は、そうか、よかったね、と笑って、なにかをなしとげたさわやかな笑顔で、
お茶を入れてくださりました。
わたしはそれをいただいてから、もういちどお礼を言って、保健室をあとにしました。

こうして書いているだけで、むねが痛くなります。
伊作先輩、ほんとうにごめんなさい。
先輩のお話の中で、わたしがゆいいつ覚えているのは、『みみずせんびき』という言葉だけです。
それすら、いみはわからないのですが。



わたしはいま、くのうと自己けんおで、心がつぶれそうです。
わたしのぎもんはほんとうに、いつになったら解けるのでしょう。



もう一回だけ続


543:名無しさん@ピンキー
07/07/30 02:04:20 SuukStIU
キタ━━(゚∀゚)━━!!!!

唯一覚えている言葉がそれってちょっとwwwww
GJでした(*´д`*)ハァハァ

544:名無しさん@ピンキー
07/07/30 03:03:52 WVRpmt/G
キタ━━━≡゚∀゚)≡゚∀゚)≡゚∀゚)≡゚∀゚)≡゚∀゚)━━━!!!!!

ちょ伊作ww何教えてんのwww
そして滝夜叉丸アホスwwwなぜ白菜?

545:名無しさん@ピンキー
07/07/30 03:21:00 PKvpXLdH
GJ!!!
伊作カワイソスwww

>>544
白菜=キャベツ畑だとオモ

546:名無しさん@ピンキー
07/07/30 16:29:54 0ZG9ewZ1
待ってました!! 伊作もナイスだが三郎もGJ!
「まにあっく」な説明見てみたかったよww過去に何があった雷蔵?!

つーかどういう話の流れでその単語がでてくるんだ伊作ーーーっww

547:名無しさん@ピンキー
07/07/30 18:45:39 1nMeM4t4
知らない組→乱太郎・しんべヱ・喜三太・三治郎・金吾
知ってる組→庄左ヱ門・伊助・虎若・兵太夫
知識と精神年齢が反比例→団蔵
きり丸も大変だが、兵太夫も部屋で尋ねられたりして…

548:名無しさん@ピンキー
07/07/30 20:23:38 b+Cok4rb
三郎のくだりと、「みみずせんびき」で盛大に噴いたwwww
ミミズって…アレだよな?www

549:名無しさん@ピンキー
07/07/30 22:56:25 yIyH9ReI
カラクリコンビの部屋
「ねぇ兵太夫、兵太夫は知ってるんでしょ?教えてよ~」
「し、知らない!先生にでも聞けばいいだろ!」
「でも、兵太夫が知ってるなら兵太夫から教わったほうが早いよ?」
「嫌だからね!僕は絶対嫌!きり丸にでも聞けよ!」
「ひどい兵ちゃん…僕達親友でしょ?なんでそんな事言うのさ」
「~~!!」
「ねえ兵太夫ー」
「ま、また今度!今度教えてやるよ!今日はもう遅いし!」
「そうだねー。あ、そういえば兵ちゃんこの間夜中に下帯洗ってたでしょ。
 ちゃんと前の日に洗わなきゃ。今日はもう洗った?」
「だあああああ!!!!!!三治郎なんて大っ嫌いだーーーーー!!!!」
「え、兵太夫どこ行っ、あ!そっちはカラクリが…!」

みたいな会話してたら萌えるなーと思った。
ネタ汚しスマン。

550:名無しさん@ピンキー
07/07/30 23:36:01 kUwz8D6m
三木ヱ門に聞けばよくねwww

ってか伊作も滝夜叉丸も遅いw遅すぎるww
やり遂げた伊作に原作を感じた。gj!!

551:災難
07/07/31 01:28:30 AcY3GeCZ
※痛い話です。



戸部は座禅を組んでじっと待っていた。
 忍術の学校であるが、剣豪の道を志す者も多く、授業で満足いかない者は放課後や始業前に指導を申し込む。今日は一年は組の金吾の番だった。
「遅い……。」
 思わず貧乏揺すり、ではなく8ビートのリズムを刻みそうになるがそれを押さえる。金吾はまだ一年生ながら、鍛錬には真摯に取り組んでおり、ずる休みをすることなど考えられない。何か連絡をくれるはずだが。
「失礼しまーす。」
 8ビートから16ビートになりそうになった時、乱太郎が道場に入ってきた。
「先生、金吾からの手紙です。」
 丁寧に折られた紙を渡される。面に書かれた字は確かに金吾のものだった。
「金吾は?」
「はい、金吾は今、保健室にいるんです。」
「保健室に?」
 戸部が顔を曇らせると、乱太郎は首を振って答える。
「一日休めば大丈夫だって、伊作先輩が言ってました。僕もよくわからないので、詳しい事は、この手紙に書いているはずです。」
 乱太郎が出て行った後、戸部は手紙を開いた。
 
 戸部先生へ

 先生、来ることができなくてすいません。
 僕は今、保健室でこの手紙を書いています。
 先生のご指導を受けることができなくて、とても悲しいです。
 自分の不注意でこんなことになったのが、悔しいし、恥ずかしいです。
 治療をしてくれた伊作先輩にも本当のことは言っていません。
 でも、実は不安で仕方がありません。だから、先生には思い切って話そうと思います。


552:災難
07/07/31 01:30:08 AcY3GeCZ
 体育委員会の時に、七松先輩が男の友情連れションをしよう、と言いました。
 みんなで並んで、崖の上からおしっこをしていると、七松先輩が覗き込んできて言いました。
「金吾のは、皮かむってんだな!」
 僕は最初意味がわかりませんでした。
「男は皮をむいて初めて男になるんだ。四郎兵衛を見てみろ、ちゃんと剥けてるだろ。」
 七松先輩は時友先輩のおちんちんを指差して言いました。
 確かに、僕のおちんちんと形が違いました。僕のはつくしみたいですが、先輩のは亀みたいでした。
「どうやったらああなるんですか?」
「自分でむくんだ。むけばわかるさ!」
 七松先輩は大笑いをしました。
 周りを見ると、先輩方は皆真っ赤になっていました。僕が聞いても、先輩達はなかなか話してくれません。
 時友先輩が、
「ばっちいとこでやっちゃだめだよ。」
 と教えてくれただけでした。
 僕は武士の子供ですから、男にならなくてはいけません。
 だから、おちんちんをむく事にしました。けれども、どこでむけばいいかわかりませんでした。
 僕は喜三太と一緒の部屋ですから、とてもばっちいです。
 ナメクジが四六時中這っていて、おちんちんをむくのに向いていません。
 便所もばっちいだろうし、風呂場でむくのも、みんながいるからだめです。だから、こっそり用具倉庫に隠れてむくことにしました。
 めつぶしやもっぱんが入った箱の陰に行って、下帯を外しておちんちんを出しました。とりあえず、おちんちんの先を人差し指でぐにぐにとつぶしました。ちょっと痛かったです。でも、このあとに比べれば、まだ大丈夫でした。
 なかなかむけないので、困っていると、次屋先輩が、下に下ろすんだよな、と言っていたことを思い出しました。
 僕はゆっくりと、皮を下に下ろしました。ぴり、ぴり、とかさぶたをはがす時よりも、ずっと痛かったです。でも泣き虫を卒業したし、男になるのですから、我慢しました。
 皮を下にずらしていくと、真っ赤な先っぽが出てきました。ちょっとだけ形を見てみると、先輩達とおんなじで、誇らしくなりました。さあ、またむくぞ、と手を動かしました。
 そしたら、たぶん、乱暴に置いていたのでしょう、めつぶし用に細かくしたとんがらしが入った袋が落ちてきて、僕のおちんちんの上に落ちました。しかも口が開いていたから、とんがらし粉が袋から出ていました。

553:災難
07/07/31 01:33:28 AcY3GeCZ
 僕はあの痛さを二度と味わいたくありません。今までの感じた痛みが、一気に襲ってきたのです。
 叱られた時にされたお灸の何十倍も痛かったです。僕はおちんちんを押さえて体を丸めました。
 ばっちいなんて言葉を忘れていました。
 けれども丸めたらさらにとんがらしがおちんちんについて更に痛くなりました。
 泣き虫は卒業したけれど、涙が出て止まりませんでした。一所懸命に、とんがらしをとろうとしたけれど、手にもついてしまっていたからなかなか取れません。
 汗がだらだら出てきて、気絶しそうでした。でも、おちんちんを出したまま気絶した、なんて、僕のふらいど、じゃなくて、プライドが許しません。
 そうなったら、切腹します。
 怪我をした時のための血止めの薬を持っていたことを思い出して、それをふりかけたら、更に痛くなりました。
 がんばって袴をはいて(褌をつけたら痛いのでしませんでした)、保健室へ行きました。
 新野先生はいませんでしたが、善法寺先輩はいました。
 おちんちんを弄っていたら痛くなった、なんて恥ずかしい気がしたので言えませんでした。
 うっかりとんがらしを触った手でおしっこしようとしたら、痛くなった、と嘘をつきました。
 そしたら、
「あー、僕もそうなんだよねー。めつぶし作っている最中に厠に行って、うっかり触って……痛かったでしょー?」
といいました。
 先輩はお水で綺麗に洗ってくれました。
 けれどもちょっと腫れがひどいので、保健室で休んでいきなさい、と言ってくれました。
 痛みは引きましたが、先生、僕はちゃんとおしっこできるかとても不安です。
 今、おちんちんはとんでもなく真っ赤になっています。おしっこはちゃんと出るでしょうか。
 文章が下手糞になってしまってすいません。元気になったら、また剣術の指導をしてください。
 かしこ
                          

 「なにやっとるんだ……。」
 全てを読み終えた時、戸部は思わず股間を押さえていた。
 
 終わり
 

554:あとがき
07/07/31 01:34:42 AcY3GeCZ
 お目汚しスマソ。
 こんどはもっと真面目な話を書くよ。
 

555:名無しさん@ピンキー
07/07/31 01:48:34 BT+8YD0/
笑わせてもらったw
こういうのもいいな、GJ!

556:名無しさん@ピンキー
07/07/31 02:36:10 HOIsRP3R
保健委員長はギャグしか出番ないのかw
GJ!

557:三郎次の悩み
07/07/31 04:38:40 xt2TBzoR
「……ど、どうしよう」

俺、池田三郎次は人生最大の窮地に陥っている。
冷や汗が背中を伝い、心臓は口から飛び出るんじゃないかと言うほどけたたましい音をあげる。
不幸中の幸いは、同室の親友達がまだ目覚めていない事だ。
時間が時間だけに当たり前なのだが、感のよい左近や気配に敏感な久作は俺の目覚めと共に起きる事がよくある。
もし先程の目覚めと共に二人が目を覚ましていたら?と思うと、思わず涙が出そうになる。
駄目だ、落ち着け。
心臓の音で二人を起こしてしまうんじゃないかと心配になるほど激しく活動する心臓をどうにか押さえる。
固まっていたってしょうがない。それは分かってる。
でも、どうすれば?
二人を起こさずに部屋を出る事は・・・不可能だ。
目覚めの悪い自分とは違う。きっと起こしてしまう。
じゃあどうすれば!?
悩んでいる間にも時間は刻々と過ぎていく。
時間が過ぎればその分、二人が起きてしまう可能性は高い。

(とりあえず、下だけ履き替えて……荷物の中に隠せば…)

誰かに相談した方がいいのかもしれない。
だって、これは普通じゃない。こんなの見たこと無い。
でも、今日の事を誰に話す?誰にも話せるわけがない。
だって、だって、まさか……。

おねしょ、をしてしまうなんて。

558:三郎次の悩み
07/07/31 04:40:53 xt2TBzoR
夕飯の時だ。
朝の出来事はどうにかバレずに隠す事が出来た。
授業もいつもどおり受け終えたはずだった。
褌を洗う暇が無かった事が唯一の心残りだったが、捨てるにしても洗うにしてもどうにかなると腹をくくって
夕飯であるかぼちゃの煮物を箸でつついた、その時。
妙な所で気遣い屋(言い方を変えればお節介)な左近が心配そうな顔で俺を覗き込み
「今日の三郎次、何か変じゃない?」
などと言いやがった。
いつもはありがたいこのお節介も、今日は迷惑以外の何者でもない。
なんでこいつはこう妙な所に気づくんだよ!いつもどおりにしてただろ!
「え?いつもどおりじゃなかったか?」
「久作ってほんと鈍いよね。すっごく変だったよ分からなかった?」
「具体的に、どの辺が?」
「朝弱いはずなのに今日は僕らより先に起きてたし、水遁の術は大好きなのにやる気なさそうだったし
 アホの一年ボーズが横通り過ぎて行っても何にもしないし、いつも魚から食べるのに今日はかぼちゃから食べてるし」
「うわ、すげー。さすが左近。で、何かあったのか?」
「ちょっと待て。最後のはなんだよ最後のは」
「あ、また。いつもは久作が何か言う前につっこむのに、遅かった」
ちなみに食べる順番は本当だよ、と左近は笑って言った。
しかしすぐ心配そうな顔になり、大丈夫?と声をかけるあたりが保健委員だな、と思う。
久作も不安そうな顔で俺を見ている。
少しだけ胸が痛かったが、「別になんでもない」と俺は返した。
強めに言った事に気づいてか左近も久作も、ならいいけど、と少し不満げな顔で呟いた。
言える訳が無い。
嘘をついたことより、バレてしまったのではないかと言う不安が俺の胸をしめつけた。

559:三郎次の悩み
07/07/31 04:41:58 xt2TBzoR
「どう、したの?」
「左近…」
真っ暗な闇の中、青白い微かな月明かりに照らされた先に、左近はいた。
今まで見たことも無い驚いた顔をしている。
俺は今どんな顔をしているのだろう。
みっともなく泣きじゃくった顔に、バレてしまったというパニックが加わって、それでも頭のどこか一部は冷静で。
叫びたかった。泣き叫びたかった。
それが出来なかったのは、もうボロボロに崩れたにも関わらずまだ微かに残った俺のプライドだった。
「三郎次、どうし…」
左近の目が、俺の目から離れる。
その視線の先には、俺の手。―正確には、手の中にあるモノ。
もう隠せない。思い知った。
「ごめん、ごめん…ごめん、ごめん…」
訳も分からず謝った。何で左近に謝ってるのか自分でも分からなかったけど、とにかく謝った。
誰かに謝って、しかって欲しかったのかもしれない。
ガキの頃、おねしょをした時叱ってくれた母親の様に。
左近はしばらく視線を泳がせていたが、すぐに俺の目を見た。
なんだかそれが無性に怖くて、俺は小さな子供の様に頭を下げた。
罵倒されるかもしれない。気を使った言葉を言われるかもしれない。
どちらにせよ、怖かった。
もう戻れない。そう思った。
だけど、現実はそうじゃなかった。

「なんで謝ってるのかよく分からないけど…、とりあえずおめでとうとでも言っとく?」
「え・・・?」

左近は、苦笑してた。

560:三郎次の悩み
07/07/31 04:45:12 xt2TBzoR
「はぁ?お前夢精知らなかったの?」
俺と左近の会話で起きてしまった、左近いわく「保健の授業」を受けている俺に久作は言った。
話によると、久作はもう3ヶ月ほど前に俺と同じ状況になったらしい。
堂々と褌を洗いに行くのを左近にばっちり見られ、俺が寝ている横で猥談すらしたと言う。
「いきなり謝ってくるから何事かと思ったよ。まさか僕の夢見たんじゃないかと不安に…」
「うげ、三郎次お前そういう趣味が…!?わ、悪いけど僕はノーマルで」
「違ぇよ!!」
「っていうか、三郎次に知識が無さ過ぎたのが悪いよね。どういう環境で育ってきたんだがさぶちゃんは」
「左近てめっ…!」
「さぶちゃ~ん。赤ちゃんはどこから生まれてくるかちってまちゅか~?」
「久作お前覚えてろよ…!」
隣の部屋から怒鳴り込みがくるまで、俺達は馬鹿みたいにじゃれ合った。

561:名無しさん@ピンキー
07/07/31 04:48:42 xt2TBzoR
レス汚し失礼しました。
夢精する時期、と考えた結果2年生に白羽の矢が当たりました。
三人だから書きやすかったというのもある。
左近が詳しいのは保健委員だからという事で無理やり納得させてください。

562:名無しさん@ピンキー
07/07/31 05:13:39 BT+8YD0/
左近ワロスwwwwww
GJでした

563:名無しさん@ピンキー
07/07/31 09:00:07 dvKcXAsk
3人が健全過ぎて自分がいたたまれなくなったOTZ
さわやかをありがとう



そして金吾wwww

564:名無しさん@ピンキー
07/07/31 11:19:28 TEodsxZf
2年生っていうと11歳か。
いまほど保健室の先生が若くてきれいな女先生だったらよかったのにと思ったことはない。

そして金吾www読んでて痛かったwww
VIPでハバネロの袋にチ○コ突っ込んだアホがいたらしいけど、それ並だな。
七松はやはり暴君ですねwwww

565:名無しさん@ピンキー
07/07/31 13:19:04 qS4qEGfJ
これはいい青春w こういうおシモの話もエロパロ板ならではだな
男女の絡みよりは作品に沿えるし好きだ。

あと金吾の「かしこ」に笑ったw

566:名無しさん@ピンキー
07/07/31 14:47:23 xt2TBzoR
うわ、>>558>>559の間が一話抜けてる…orz
以下を脳内で挿入しといてください

それから三日たった。
なんとか褌も処分し、全く気づいていない親友達の態度にも安心して
俺自身も少しだけ気が楽になってきた、その日。

「どう、して…」
あれから夜中に水分を取る事はしていない。
寝る前に厠へも行った。
それなのに、それなのに。
情けなくって、悲しくって、恥ずかしくって。
涙が止まらなくなった。
汚れた袴を手に、俺はただひたすら泣いた。
もしかして、本当に病気なんだろうか。
先生に相談した方がいいのか。
でも、誰に?どうやって?
これがもしただのおねしょだったら。先生は俺の事をどう思う?
11にもなっておねしょをしているなんて聞いた事が無い。
呆れるかもしれない。ううん、絶対に呆れる。
どうしよう。どうしたらいいんだろう。
これを隠したとしても、次も同じことになったら?
いつかは同室の親友達に気づかれる。褌だって、限りがある。
不安と恐怖と恥ずかしさとみじめさで、俺は膝を抱えた。涙は止まらない。
その時だった。

「三郎次?」

突然横からかけられた声に、俺は泣く事も忘れてそいつを見た。

567:名無しさん@ピンキー
07/07/31 14:51:33 xt2TBzoR
ああ、↑タイトル入れ忘れたもう自分氏ねorz
無駄にレス消費して本当に申し訳ない。
消えます。

568:名無しさん@ピンキー
07/07/31 15:23:42 keYr1u+V

生きてください
そなたは美しいです

569:名無しさん@ピンキー
07/07/31 15:44:51 d1+s/cjc
何かこのスレ見てたら遠い少年時代を思い出す…
あの頃は純粋だった…。

570:名無しさん@ピンキー
07/07/31 19:42:40 hrd9yPiU
男女の絡みよりこんなのの方が笑えていい

571:名無しさん@ピンキー
07/07/31 21:45:56 4zE7hlKw
>570
そんなこともないが…面白いけど抜けないじゃんww
そもそもここはエロパロだ
ネタ職人さんもエロ職人さんもがんばってくれよ

572:名無しさん@ピンキー
07/07/31 21:48:17 BJ4d8zkW
伊作や小平太に米吹いた。
でも前にテレビで高3まで知らなかったと言ってる奴とか見たな。


573:名無しさん@ピンキー
07/07/31 22:37:04 d1+s/cjc
>>572
その場合、学校の授業とかで習ったりしなかったんだろうか?
忍術学園なら二年生あたりから新野先生の特別授業があったりして。

574:名無しさん@ピンキー
07/07/31 23:12:31 dvKcXAsk
>>571
別に抜くためにエロパロ板があるわけじゃないんだぞ(´・ω・`)
エロ表現・創作内エロパロ板なんだから


昔はお祭≒性教育の場だったりした訳で今よりは知ってる子が多いはずなんだがなw
ちゃんと男女分けて説明するんだぜ…

575:名無しさん@ピンキー
07/08/01 00:18:30 bOMN2Qoi
エロっちゅーか下ネタだけど、需要も多いみたいだしいいんでね?
他にそれらしいネタ(しかも落乱)で笑える板も無いしさ。

>昔はお祭≒性教育の場だったりした
>ちゃんと男女分けて説明する
これ聞いたことあるww
お祭りの夜の飲み会で、男の子は大人の猥談を聞いてお勉強。
女の子のほうの教育は秘密の花園って感じで、母から娘へひっそり口伝されるものだったとか。
くのいち教室ではどんな教育がされてるかも知りたいwww

576:名無しさん@ピンキー
07/08/01 00:25:27 IVwIK9hd
その場合、ご近所さんがほとんどいない秘境で暮らしてた利吉は
誰に教わるんだろうか?母上かそれとも伝子さんか…

577:名無しさん@ピンキー
07/08/01 00:43:04 bOMN2Qoi
>>576
ちょ、ナチュラルに伝子さんをチョイスすんなwww
普通に親父さんでいいじゃないかwww

578:名無しさん@ピンキー
07/08/01 12:45:38 kfR8vvRW
物心がつく前の利吉には伝子さんが父親だと分かっていたんだろうか?

579:名無しさん@ピンキー
07/08/01 15:06:42 Xhs1bLyV
たまたま家で女装の練習をしていたら、幼い利吉に母上と間違われて
あの女装に自信を持ってしまったのかもしれない

580:名無しさん@ピンキー
07/08/01 17:38:00 EdUl4QF2
>>579
ねーよwwwwwwww

581:名無しさん@ピンキー
07/08/01 18:30:36 lBFksAQw
最初の頃は伝子さん女装嫌がってなかったっけ?

582:名無しさん@ピンキー
07/08/01 18:57:45 s4mnSi3O
>>581それは嫌がっていると見せかけて実は…な忍法蛍火の術です

583:名無しさん@ピンキー
07/08/01 19:56:29 Q2nKDON7
そういや初期のアニメでもきり子がノリノリで「町娘A」と言ったのに対し伝子さんは微妙な表情で元気なく「町娘B」と言っていた気がする

584:名無しさん@ピンキー
07/08/02 01:29:52 AI0zXgxc
「もう一回だけ続」のせいでワクテカが(ry
とうとう乱太郎も大人の階段上ってしまうのだろうか
果たしてどうやって……

585:名無しさん@ピンキー
07/08/02 10:22:30 iXwVeEEa
もう一回といわず、日記シリーズ化してまとめて本にしてくれたら絶対買うわwwwwww
テラ楽しみw

586:名無しさん@ピンキー
07/08/02 23:06:14 IYtwB9RT
>>581
今見たら違和感感じそうだな~そんな伝子さんw

さて乱太郎は今度は誰の所に行くのやら。
もういっそ小平太あたりに直球で教えてもらえwww

587:名無しさん@ピンキー
07/08/03 00:13:29 AqxwBAEL
まとめがあればもそっと盛り上がるんだろうが…

588:名無しさん@ピンキー
07/08/03 16:25:19 ojEWB/ep
こう言っちゃ失礼だが・・・いや、あえて言わせてもらう。


土井先生タヨリナスwwww保険委員とはいえ六年生に負けるなよww

589:名無しさん@ピンキー
07/08/03 21:48:47 EXKFGpBG
だって当時の25歳でまだ独身なんだぜ……ヒソヒソ

大木先生(33歳)なら豪快に教えてくれるかもしれん

590:名無しさん@ピンキー
07/08/04 00:05:47 R/aYrLJI
絵本版なら大木先生が担任
どこんじょーで教育してくれる

591:名無しさん@ピンキー
07/08/04 01:09:03 ag/DUDBI
多き先生は「実演するからちっと待っとれ」とか言って相手役を連れてくるのにやたら時間がかかりそうだw

592:名無しさん@ピンキー
07/08/04 01:28:34 I27j4KYu
いや、わざわざ実演せんでもw

593:名無しさん@ピンキー
07/08/04 08:25:09 7Pxhb0H1
そういえば鉢屋は一体何をさせるつもりだったんだろうww

594:名無しさん@ピンキー
07/08/04 08:44:06 iVKfgDJE
もしかして土井先生は未だ童t…

595:名無しさん@ピンキー
07/08/04 12:46:31 gxGDk+KV
ドクタケ忍術教室は共学だから、水練の授業で、山ぶ鬼だけ見学、
ってこともあるんだろうな。

596:名無しさん@ピンキー
07/08/04 13:04:19 rvXGvETH
>594
童貞ではないよw
例によって「つどい設定」らしいけど

597:名無しさん@ピンキー
07/08/04 13:37:48 HswqEQaV
房中術の授業って玄人女を何人昇天させてきたかで点数が決まるのかな

598:名無しさん@ピンキー
07/08/04 20:07:39 7Pxhb0H1
その昔、海に潜る人は海女さんですら腰布一枚しか身につけなかったらしいぜ。
え、室町時代かどうか?・・・わからんけど。

599:名無しさん@ピンキー
07/08/04 21:16:21 odiitDI3
土井:済
利吉:済

小松田:未

600:名無しさん@ピンキー
07/08/04 22:47:41 3CucRPTD
いやいや町の忍術教室でやったかもしれないぞ房中術w

601:名無しさん@ピンキー
07/08/04 22:59:51 odiitDI3
習ったかもしれないけど何の事を言ってるのか分かってない小松田でw

いまだに赤ちゃんはコウノトリさんが運んで来ると思ってます

602:名無しさん@ピンキー
07/08/04 23:28:47 eJ95tcvv
乱太郎は人選誤りすぎww保健委員なら左近か数馬に聞けww

603:名無しさん@ピンキー
07/08/05 00:12:16 mFX/6bF6
>>596
「土井先生 童貞」でぐぐったら出てきたwww

大木先生は杭瀬村で夜這いしまくっていそうだ
しゃどう先生やマツチヨ先生は……?

604:名無しさん@ピンキー
07/08/05 12:43:59 T9UNJawq
保険委員と言えども2、3年生じゃセクロスを説明するにはまだ若いさ。多分
新野先生早く助けてやれw

605:名無しさん@ピンキー
07/08/05 15:20:01 rHZFFvSc
タカ丸あたりに聞けば一発な気がしてきた

606:名無しさん@ピンキー
07/08/05 18:59:40 hU9yDbNA
>>605
高○は団蔵タイプな気がするw

607:はぐみひみつにっき
07/08/05 22:16:58 ZcLuptKT
流れぶった切ってすまん。
本編の前振りで書いてたのが長くなったんで、ちょっと番外。
はぐみでひみつにっき。



『虎若』

今日は、生物委員会の日だった。
でもぼくはそうじ当番だったので、委員会には出なかった。
なので夕方、三治郎に委員会のことを聞いた。
そしたら三治郎はこっそりと、実はぼく、委員会で『乱太郎のぎもん』について
聞いてみたんだ、といった。
ばくだん発言だ。すごくおどろいた。
さいしょ一年生だけで話してたけど、よくわからなくて、でも竹谷八左ヱ門先輩が
実習でいらっしゃらなかったので、みんなで伊賀崎孫兵先輩に聞いたのだそう。
三ちゃんは意外と勇気がある。
それでわかったのと聞いたら、けっこう淡々と教えてくださったそうで、
だいたいわかった、ということだった。
だいたいというのが気になったので、ちょっとくわしく聞いてみたけど、多分
あってるみたいだった。
孫兵先輩も勇気があると思う。ぼくはちょっと尊敬した。
考えてみれば、生物の生態に関しては、孫兵先輩は学園内でもかなり詳しい方だし、
こういう話の先生には向いているんじゃないだろうか。
ちょっとびっくりしたけど、わかってよかった、と三ちゃんが照れながらいうので、
ぼくも照れたけど、よかったと思った。

ただ一つ気がかりなのは、三ちゃんが、父上と母上は、ぼくの卵の殻も取っておいて
くれてるかなあ、と呟いていたことだ。

乱太郎に教えてあげようかなというので、それはとりあえず止めておいた。
明日、竹谷先輩に相談してみよう。

『三治郎』

夕刻、部屋で兵太夫と歓談。新しい踏んだらふっとぶ罠について相談。
次回は踏んだらふっとぶ湯船に決定。
図面を起こしながら、委員会の件について話す。虎若と同じくらいおどろいていたけど
やったなと喜んでくれた。うれしい。
でも話しているうちに、兵太夫はなぜかだんだん無口になってしまった。
どうもぼくの知識は、何かがおかしいらしいと推測。
さんざん聞いたら、まず入れる場所がちがう、といわれたが、意味がわからない。
もっと教えてほしかったけど、頑固な兵ちゃんは、それ以上はどうしても
教えてくれなかった。
けんかになる前に、早々に布団をかぶって就寝。
明日また、孫兵先輩に聞いてみることとする。


608:はぐみひみつにっき2
07/08/05 22:19:19 ZcLuptKT

『伊助』

今日の朝食・ご飯、大根の味噌汁、アジの干物、青菜のおひたし、香の物。
庄左ヱ門は最近ずっと、ご飯を残している。
残したぶんはしんべヱが食べてくれるけど、だんだん痩せていくので心配だ。
なんだか思いつめた顔をしているのも気になる。大丈夫だろうか。

今日の昼食・実習だったので梅干お握り。香の物。山で採ったアケビ少々。
午後は委員会だった。委員会室に行ったら、久々知先輩に、一年どうかしたのか、
と聞かれた。
生物委員の竹谷先輩が、委員会の一年生から『ちょっといいにくいこと』を聞かれたらしい。
あいつ責任感が強いから、どうしようってすごく悩んでるんだよな、とのこと。
生物委員といえば虎若と三治郎。発端はたぶん、ときどき大胆な三ちゃんだろう。
ろ組とい組にも飛び火しているのか。僕こそどうしよう。
考えてたら、もしかして伊助も聞きたいのか、と遠まわしに言われた。
ちょっと恥ずかしかったけど、僕は大丈夫ですと答えて、先輩と話をした。

先輩も昔、こういうことを同級生から相談されたときに、説明するのが恥ずかしくて、
逃げてしまったことがあったそうだ。
そしたら後々、そのことをきっかけに、その同級生が『口に出すのもはばかられるような、
とっても悲惨な目』にあってしまったので、今でも後悔しているのだそう。
なんだか胸が痛くなった。

すみっこでひそひそ話してたら、タカ丸さんが三郎次先輩を引っ張って乱入してきた。
明るい顔で、子どものころはそういうこと、気になるよねーとのほほんと言われて、
ちょっとだけ気が軽くなった。
でも、あんまり早いうちからそういうことしてると、すぐに飽きちゃうから、程ほどに
しておいたほうがいいよ、ともいわれた。
タカ丸さん自身も、何回か『打ち止め』までいったら、今ではもうすっかり『枯れちゃった』
のだそうだ。
人生つまんなくなるから気をつけなね、といわれた。
後半よくわからなかったけど、とりあえず三郎次先輩と、タカ丸さんはまだまだ若いですよと
なぐさめておいた。
久々知先輩は青くなって、お前、どん引きだ、といった。

今日の夕食・ご飯、きのこの味噌汁、野菜の煮物、冷奴、香の物。
庄ちゃんは、予習復習もしないでもう寝ている。
うなされているので、とても気になる。
さらに気になるのは、別の部屋から、ほかの誰かのうなされ声も聞こえてくることだ。
僕は友達として、なにができるだろう。


609:名無しさん@ピンキー
07/08/05 22:21:18 T9UNJawq
バロスったwwww孫兵ダメスwww
踏んだらふっとぶ湯船にも、不覚にもワロタ
GJ!!

610:はぐみひみつにっき3
07/08/05 22:26:48 ZcLuptKT

『金吾』

○月×日
快晴。気温やや高め。
は組の一大騒動、事態の収束は未だ見込めず。
乱太郎活気なし。庄左ヱ門疲労困憊。友の窮地に、剣術三昧の己が知識のなさ、
恥ずるばかり也。

委員会出席。滝夜叉丸先輩に呼び止められる。
昨日タカ丸さんから、は組の騒動について聞いたとの由。事態の拡大甚だしき。困惑す。
が、乱太郎には先刻、先輩が『真実をご教授』くださったとの由。
安堵と、また少なからず興味を覚える。
内密に、ご教授の内容をば問うてみたが、なぜか先輩の話は白菜についてのみ。
無知なれば理解不能。傍らに次屋先輩、時友先輩おられたが、ともに無言。
次屋先輩、四年生超ヤバイと呟かれしが、意味不明也。

会話中、七松先輩なぜか窓より入室。
笑顔満面にて、その手の話なら任せておけ、わたしがばっちり指導してやる!と仰せられ、
よくわからぬまま全員校庭に連行される。
本日は、塹壕でなく蛸壺掘り。一本松の下、十尺ばかり掘り進むよう命じられ、
かようにいたせば、土の中より油紙に包まれし、数冊の本発見。
中身はどうやら絵と、文少々にて構成されしもの也。
今日はこれを『忍たまの友』と思え、との仰せにて、こはいったい何かと問えば、
図書室より借受されし『秘密文書』とのお答え也。

忍術学園図書室には、六年生だけが、金銭を払うことにより閲覧を許されし
『秘密文書』ありて、こは先生方にも秘密とされ、隠し場所も、代々の図書委員長のみに
伝えられしものとの由。
生徒間の金銭やり取りは如何と思われしが、隠匿に費用がかかること、また
『あだるとは有料』なものなれば、仕方がないとの先輩の仰せ也。
以下秘密文書表題。
『壮絶・かまきり女対くも男』
『淫乱奥様のナマ腰巻き・さくらんぼくん剥かず丸かじり』
『解決熟女・美少年集団ハメ殺し七日間』
思い出すだに恐ろしげ也。

滝夜叉丸先輩、これはなにかの極意書ですか、と質問さる。
七松先輩、初心者向けじゃないからある意味そうかもな!と破顔さる。
常のものは読み飽きて、最近は『まにあっく』なものに手を出されているとのこと。
だからちょっと刺激強いかもしれないけど、まあいいよな!との仰せ也。
意味わからず。
次屋先輩逃げ腰、時友先輩ただぼんやり。滝夜叉丸先輩のみ、自分にかかれば
如何なる難題もお茶の子さいさいと、意気揚々也。
が、六年生のみに閲覧を許されるとは、存外貴重な一品と思われ。
秘密文書ならば、下級生が閲覧してよいものか、また七松先輩に迷惑がかからぬか、と
迷うが、かわいい後輩のために、先輩が一肌脱ぐのは当然のことだ!とのお言葉にて、
全員ありがたく拝見いたすこととす。


611:はぐみひみつにっき4
07/08/05 22:31:08 ZcLuptKT

夕刻。
滝夜叉丸先輩、高熱にて寝込む。
次屋先輩、行方不明。
時友先輩、居室に引きこもって食事にも出てこないとの騒ぎ也。

秘密文書は確かに秘蔵の品にて、まさしく超常、驚天動地の知識が詰まりしもの也。
しかるに極意とは深きものにて、未熟者には甚だ毒となりしもの也。
すべては己の鍛錬不足と理解せしが、某も脳内だけでなく臓腑まで、桃紫に染まりし
心持ちにて、眩暈、嘔気止むところを知らず、食事も喉を通らず。
これがきり丸言うところの『大人のかいだんのぼった』状態か。
むしろ、奈落に落ちた心境也。



まんじゅうこわい。



『喜三太』

(中略)というわけで、気になるのは、同室の金吾のことです。
きのうのゆうがたから、きゅうに調子がわるくなって寝込んでるんですが、ぼくのなめさんを
いつも以上にいやがる、というかこわがるし、それに、夜中にすごくうなされて、
ねごとをいうんです。
ずっと、まんじゅうこわい、まんじゅうこわい、といってるので、耳元で、まんじゅうは
こわくないよ、おいしいよ、といってあげたのですが、よく聞くと、まんじゅうじゃなくて、
毛まんじゅうこわい、といっているんです。
毛まんじゅうってなんでしょう。ぼくは食べたことがありません。
それで、食べ物にくわしいしんべヱに聞いたのですが、しんべヱも知らないというんです。
しんべヱが知らない食べ物があるなんて、すごくおどろきました。
組のみんなにも聞いたけど、庄左ヱ門も知りませんでした。
担任の先生はお二人ともいらっしゃらないので、委員会の先輩に聞くことにしました。

食満先輩といって、六年生で、とてもものしりで、しんせつな先輩です。
しんべヱと、ろ組の平太もさそって三人で、毛まんじゅうってなんですか、と聞きました。
いっしょにいた富松先輩は、お茶を吹いたのですが、食満先輩はとても静かに、小平太が
いっていたのはこれか、とつぶやかれました。
先輩は、うでをくんで、しばらく考えこんでました。
ぼくらが、きたいしながら待っていたら、そのうちあきらめたように、ちょっと前置きが
長くなるがいいか、とおっしゃいました。
大丈夫です、と答えたら、とてもむずかしい顔をしながら、『世界がどろどろした
かたまりだったころ』について、おはなしをしてくださいました。

先輩のおはなしは、おもしろかったです。
でも、毛まんじゅうのなぞはわかりません。
前置きがおわったらおしえてくださるそうですが、どうも長くなりそうな気配です。
ぼくははやく知りたいです。だってなんだかおいしそうだから。
なのでしつもんです。与四郎先輩は毛まんじゅうってなんだかしっていますか。
しっていたら、ぜひおしえてください。
おへんじまってます。

(山村喜三太、風魔への手紙より抜粋)


612:はぐみひみつにっき5
07/08/05 22:35:17 ZcLuptKT

『しんべヱ』

きょうは図書室で、まんじゅうについてしらべました。
たくさん本をしらべたけど、毛まんじゅうはのってませんでした。
でも、そういえば、昔パパに一回、聞いたことがあったのを思い出しました。

毛まんじゅうとは大人の食べ物で、一回食べるとやめられないそうです。
南蛮には、金色のものもあるといってました。
しんべヱが大きくなったら、いっしょにたべにいくか、といってたので、
とても楽しみです。
大人になったら、組のみんなもさそって、みんなで食べに行こうと思います。

食満先輩のおはなしは、かみさまが海をかきまぜて島を作ったところまできました。
とてもおもしろいです。
でも、まんじゅうはあまりかんけいない気がします。
でも先輩は、脂汗を流しながらしんけんに、話してくださるので、いいと思います。
あとお話のあいだ、富松先輩がよこでずっと、逃げてもいいと思いますよ、と
いっているのですが、なんのことだろう。


613:はぐみひみつにっき6
07/08/05 22:37:22 ZcLuptKT

『団蔵』

きょういいんかいにいったら文次郎先輩に、一年ども、忍術でそうだんがあるなら
じぶんにせんか、といきなりおこられた。
なんでおこるんですかときいたら、食満先輩や七松先輩が、さいきん、は組のせいとから
いろいろそうだんされてて、それが気にくわないらしい。
ぴんときて、それたぶん、忍術のはなしじゃありませんといったけど、うそをつけと
またおこられた。
しかたないから、こういうことだとおもいますとはなしたら、それは忍術かんけいないと
ものすごくおこられた。
りふじんだとおもった。
でも、ともだちがすごくなやんでることなんです、といったら、一年ボーズがくだらんことで
なやむな、そんなひまあったらべんきょうしろ、といわれた。
ますますりふじんだとおもった。
ぼくは庄左ヱ門や伊助から、ぜったいきんしされてるから、せつめいしてあげられないけど、
乱太郎はすごくなやんでるのに、とおもったらはらがたった。
先輩は、そういうのはタケノコ卒業してからにしろ、ともいった。
うちは八百屋じゃなくて馬借なので、ぼくはタケノコじゃなくてうまですといったら、
一年ボーズがなにをこしゃくなとまたおこられた。

三木ヱ門先輩がまっかになって、そういう話題はもうやめてください、ととめにはいったけど、
文次郎先輩に『ちょーくすりーぱー』をかけられて気絶した。

文次郎先輩はまた、四年くらいまではタケノコにきまっとる、それがふつうだ、といった。
ぼくは、こわかったけど、すごくはらもたってたので、いいえぼくはぜったいうまです、と
いいはった。
そしたら文次郎先輩が、かっかしながら、ばかもん、うまってのはこういうもんだといって、
三木ヱ門先輩を『ほーるど』したまま、はかまとふんどしをぬいだ。
ものすごく男らしいぬぎっぷりだった。
ぼーぜんと見ていた、い組の佐吉と神埼左門先輩が、なんかもう、わけがわからないと
つぶやいた。
ぼくもさっぱりわからなかったけど、これはどうやらうまにかんすることらしいので、それなら
馬借のいじにかけてまけられないとおもって、じぶんもぬいで、先輩としょうぶした。



ぼくがかった。
やったぜ父ちゃん。


614:はぐみひみつにっき7
07/08/05 22:39:29 ZcLuptKT

『兵太夫』

夏のなごりの入道雲は、今日も空にあざやかだけど、ぼくの心は晴れない。
友達の成長を、喜ぶべきか、なやむべきか。
本当なら喜ぶべきなんだろうけど、両手ばなしとはいかない感じだ。
だって三治郎の知識は、一部だけどおそらく、決定的な部分でまちがってる。
しかもだんだんひどくなる。
三ちゃん。多分だけど、ぼくは人間は、おしりの穴からは生まれないと思うんだ。
庄左ヱ門は乱太郎でいっぱいいっぱいだから、こっちはぼくと虎若でなんとかしようと
決めたけど、でもどうしたらいいんだろう。
こんなのすっごく、説明しにくい。からくり図のほうがずっと簡単だ。
誰かに相談できないだろうか。

今日も悩みながら委員会に行ったら、仙蔵先輩がいきなり、一年は組は
すごいな、と言った。
何のことですか、と聞いたら、戦う会計委員長潮江文次郎先輩が、は組の生徒との
勝負に負けて、落ちこんでいるのだ、と教えてくれた。
あの文次郎先輩に勝つなんて誰だ、と思ったら、勝負は馬がらみらしい。
馬で会計なら団蔵だ。あいついったいなにやったんだろう。
気になったけど、そっちまでかまってる暇はないので、興味ないふりをした。
仙蔵先輩はにこにこしながら、あの年で馬とは、いやいやまったく将来が楽しみだ、と
ずっといっていた。

そしたらい組の伝七が、は組よりい組のほうがすごいですとぶつぶつ言い出した。
そしたら先輩が、それじゃあお前は、タケノコと昼の朝顔とどっちなんだ?と聞いた。
伝七は一瞬ぽかんとしたけど、ちょっと考えてすぐ、朝顔です、と胸を張った。
先輩はますます笑って、はははこやつめといいながら、伝七の頭を撫でていた。

よくわからない。

仙蔵先輩は今日はずっとご機嫌で、一人で紅を擦っていた綾部先輩にも、
お前はどうだと聞いていた。
綾部先輩は眠そうな顔で振り返ると、袖をまくって肘を曲げ、拳を握って、
ぼくはマックスこのくらいでしょうか、と言った。
仙蔵先輩はまた、はははこやつめと笑いながら、綾部先輩の頭も撫でていた。

前から思ってたけど、この委員会、変だ。
とりあえず、仙蔵先輩に相談するのだけはやめておこう。


615:名無しさん@ピンキー
07/08/05 22:40:24 L8EQjHEN
リアルタイムktkr

616:はぐみひみつにっき8
07/08/05 22:41:39 ZcLuptKT

『庄左ヱ門』

○月△日
乱太郎は依然、悩んでいる。
金吾もなぜか暗い。
虎若と兵太夫も、落ち着きがない。
団蔵一人がなぜか上機嫌。い組の佐吉に一目おかれたと言っている。
理由は聞かなかったが、組の一部だけでも明るいのは、よいことだと思う。
ぼくは、悩んでいる。
伊助ときり丸はやめておけというが、先生が不在の今、やはり学級委員長として、
ぼくが乱太郎に説明すべきなのではないか。
しかしこの重圧に、はたしてぼくは耐えられるだろうか。

便所で一人悩んでいたら、暗い顔をして何を悩んでいるんだい、と、鉢屋三郎先輩に
声をかけられた。
この先輩はいつも唐突だが、便所の個室に現れたのははじめてなので、少なからず驚いた。
先輩は笑っておられたが、傷まみれの包帯だらけであられた。
五年生ともなれば、実技も実践に近くなるのだろう。だが、武術大会で優勝するほどの
この人が、こんな怪我を負うとは珍しいことだ。
たいへんなお怪我ですねと言ったら、先輩は、私はボケで彼がツッコミだから仕方ないのさ、
と、また笑われた。
意味はわからないが、関西人として感じ入るところがあったので、黙っていた。

すると先輩は、もしかして、君の悩みは乱太郎君が関係しているんじゃないか、と仰った。
たいへん驚いた。なぜわかったのだろう。さすがは三郎先輩だ。
同じ学級委員でもある三郎先輩なら、悩みを打ち明けられると思い、ぼくはすべてを
先輩に話した。
先輩は万事静かに聞いてくださったが、ぼくが、乱太郎に説明しようと思っていることを
話すと、それは待ったほうがいいんじゃないかな、と仰った。
なぜかと問えば、説明する人間は、真に正しい知識を持っている必要があるから、だそう。
三郎先輩は、こう仰った。

『君は本当に、ちゃんと他人にそういうことを説明できるのかい?』
『君が知っていると思っていることが、真に正しい知識だと、一切の間違いがないと、
揺るぎない自信を持って言えるのかい?』

先輩の言葉は静かで抑揚もなく、頭の芯に染み入るようであった。
便所の匂いと相まって、ぼくはくらくらしてまるで、幻術にかかったような気分になった。
実際、かかっていたのかもしれない。
やがて先輩は笑いながら、質問があったら、いつでも私のところにきたまえ、といって、
現れた時と同じように、唐突に便所の中から消え去った。

ぼくはいま、なやんでいる。


617:はぐみひみつにっき9
07/08/05 22:43:45 ZcLuptKT

『きり丸』

・乱太郎悩み中。仕方ないので、保健室に行けとただで教えてやる。
 これで万事解決だろう。儲からないけどまあいいや。

・委員会出席。長次先輩と七松先輩が、図書室のすみっこでひそひそ話をしていた。
 長次先輩は、低学年に見せるのは違反だとか、これはとくにえぐい、とか言ってた。
 でもいつもの調子だったんで聞こえなかったらしく、七松先輩は本を抱えて、
 見舞いだー!と叫びながら走っていった。
 表題は『桃色遊戯・萌えよドラゴン・怒りの鉄根危機一髪』変な題だ。
 ぼんやり見送ってたら、長次先輩と目があった。
 先輩はおれを見ると、ちょっと考えて、五年待て、といって去っていった。

 なんだろう。うまくいえないけど、儲け話のにおいがする。どケチの勘。

・本の整理をしていたら、雷蔵先輩が乱太郎のことを聞いてきた。
 なんだかいいにくそうに、様子が変だったから、といわれたので、今はは組中が変ですと
 答えておいた。
 乱太郎と、庄左ヱ門もかなりたいへんなんだ。
 そのとき、庄左ヱ門が鉢屋先輩に、何かを質問しにいく、と言ってたことを思い出した。
 そういえば二人は仲良しだったなと思ったので、なんとなくそのことを雷蔵先輩に伝えてみた。

 そしたら先輩はいきなり、長次先輩の縄標を掴んで、お借りしますといいながら窓から
 飛び降りて、どこかへ走っていってしまった。

 一瞬の迷いもなかった。
 あんな鮮やかなサボり方を見たのは、生まれてはじめてだ。感動した。
 あんまり感動したので、怪士丸をさそって、おれも便乗することにした。
 久作先輩、あとよろしくお願いします。

・土井先生のお見舞いに行った。
 布団の上で、悲壮な顔で『虫の生態』という本を読んでいた。
 あんまり気の毒だったんで、乱太郎に保健室をすすめたことを言おうかと思ったが、思いついて、
 お駄賃出るなら、おれがちょっとだけ教えてやってもいいですよ、と言ってみた。
 みんなお得になっていい案だと思ったのに、床の上に正座させられて、小一時間説教された。
 先生はまた、胃炎が再発したらしい。だから寝てたほうがいいって言ったのに。

・乱太郎がおれを避ける。
 保健室にいって、ちゃんと大人のかいだんのぼれたのか聞きたいのに、目もあわせてくれない。
 なんかあったのか?
 もしかして、やばい知識仕入れちゃったんじゃないだろうな。おれまで気が重い。

 最初はは組だけだったのに、なんだか最近、学園全体が変な気がする。
 この先いったいどうなっちゃうんだ。



次こそ本編。



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