06/10/19 00:39:43 ynkiiBna
「つーわけで、お前達が生まれたってわけ」
「ほへー」
「おとうさんへんたーい」
「うるさい」
彼女との交わりから、10年程経った。
あれから俺と彼女は、その村から少し離れた村に行き、今俺は、その小さな村で二人の子供と暮らしている。
そう、あの蔵での交わりでできた俺の彼女の子だ。しかも女と男の双子である。
「それじゃあ行ってくるねー」
「おう、行って来い」
娘と息子は既に10歳。小さいながら学校に通っている。
娘と息子はいつもどおり元気な顔で二人仲良く学校に向かって走っていった。
俺は二人を見送ると、日課である彼女の所に行く。
少し山を登ったところにある小さく古いお堂に彼女はいる。
「今日もここで寝てたのか」
お堂の中に居たのは大きな狐。
狐は大きな欠伸をすると、俺に擦り寄ってきた。
「いい加減戻れ」
擦り寄る狐に言うと、狐はこくっと頷き2本の尾で俺の視界を塞いだ。
「待たせた」
「はい、服」
「ありがとう」
視界が戻ると、そこには俺の妻が立っている。
裸なので俺は持ってきた服を手渡すと、妻はニコリと受け取った。
何でも自由に狐と人間に化けられ、その際の変化は俺にも見られてたくないらしい。
「にしても早いな。もう10年なんて」
妻の着替えるのを横に俺は言う。妻も頷く。
「なぁ、10年経ったんだし、いい加減俺はお前に何言ったのか教えてくれないか?」
そんな妻に、10年間疑問に思っていた事を聞いてみた。
それは、俺と妻の出会いだ。10年前の交わりの日のことはあくまで再会だと妻は言ったのでずっと気になっていた。
「あれは、確か暑い日。まだ子供だった時」
「子供? えっと………あ!!」
妻は少し微笑んで言う。この時、俺のある記憶が鮮明に蘇った。
あれは確か、俺がまだ小学生の時、夏休みを利用して婆ちゃんの家に遊びに言った時だ。
昔から変わらず田舎で、遊ぶところなど無く尚且つ遊ぶ相手もいない暇な日を過ごしていた時、俺は森で変な動物が罠にかかっているところを助けたことがあった。
それで、その直後全く喋らない妙な女の子が出てきて、俺の後をチョコチョコついて来るものだから、俺も暇だったし毎日遊んでいたら仲良くなった。
そして都会に帰る間際、その女の子に俺はこう言ったんだった。
「こんど、また来てまだ一人だったら、僕が君を貰うよ。子供もいっぱい作ってさ」
「……? わ、た、しを?」
「うん、約束」
「やく、そく」
その後、色々あって結局あの村には行かなかった。
我ながら物凄い大胆発言をしたもんだ。
「思い出したか?」
「ああ、納得した」
妻はにっこり笑っていた。
聞けば、好きな人同士がキスしたりセックスすると教えたのは俺が帰った後、家の婆ちゃんが教えたらしい。
間違ってはいない、ただ、妻は実行が早すぎた。
「んじゃ、いくか。あと、まぁ、これからもよろしく」
「あの子達と、永遠に」
今思えば、婆ちゃんが死んで俺があの村に来て、そして妻と出会ったのは運命の導き、だったりするのかもしれない。
後日談はエロくないです。
あと、最後まで読んでくれた方、ありがとうございます!