気の強い娘がしおらしくなる瞬間に… 第6章at EROPARO
気の強い娘がしおらしくなる瞬間に… 第6章 - 暇つぶし2ch2:名無しさん@ピンキー
06/08/17 21:33:11 kCUd43p0
>>1乙。
そして2get

3:名無しさん@ピンキー
06/08/17 21:40:05 ZeX12b+V
>>1乙。ご光臨に期待

4:名無しさん@ピンキー
06/08/17 23:51:48 6H8cTLTY
乙!なんて言ってあげないからね!

5:名無しさん@ピンキー
06/08/18 00:16:01 ZNMrflXN
ツンデレとは違うのだよ! ツンデレとは!!



乙。

6:名無しさん@ピンキー
06/08/18 09:42:00 w2dmNlYg
即死回避ss募集

7:名無しさん@ピンキー
06/08/18 14:45:12 Zbs2taWO
それでも保守りたいスレがあるんだあぁぁあ

8:名無しさん@ピンキー
06/08/18 16:32:24 x5qktS6y


9:いつの間にか新スレがw保守
06/08/18 23:15:55 X/ILJI/4
素直じゃない娘が暴言(という名の照れ隠し)でとうとう男を怒らせたら

「やあ (´・ω・`)
 ようこそ、俺の部屋へ。」
「り、涼…フ、フン! 何よ、済ましちゃって! 別に私、悪かったなんて思ってないから!」
(ち、ちがう! 謝らなきゃいけないのに…!)

「この烏龍茶はサービスだから、まず飲んで落ち着いて欲しい。」
「へ、へぇ…あ、あんたにしては、気が利くじゃない…」
(ど、どうしたんだろう…忘れてるのかな…)

「うん、『また』だったな。沙織。」
「!」

「あ、あれは、その…わ……悪かったわよ……」
「仏の顔もって言うしね、謝って許してと言われても簡単に許すつもりはない。」
「ぇ……」
(そ、そんな……!)

「でも、俺の顔を見たとき、君は、きっと言葉では言い表せない
『哀しみ』みたいなものを感じてくれたと思う。」
「!」

「これから続く長い付き合いの中で、俺の気持ちも忘れないで欲しい
そう思って、俺は怒ったんだ。」
「…り……涼……っ!」

「じゃあ、言い分を聞こうか。」



「ひっく…ごめん、なさい……ぇっ…ごめんなさい…っ!」
「いいよ。もう怒ってないからさ。俺もちょっと言い過ぎた…ごめん」
「で、も…っく……わたし、素直じゃなくて…アンタにいつも、ひどい、ことを…っ」
「いいって。それに照れ隠しする沙織も可愛いから、見てて楽しいし…あ、そうじゃなくても可愛いけど」
「バ、バカぁ…こんな、ときにっ……」

 勢いだけで書いた。海よりも深く反省している。
 じゃあ、前スレ46は真琴ちんの続きに戻るよ。

10:名無しさん@ピンキー
06/08/19 00:39:11 bLXwEWiW
>>9

おいおいおいおいおい
それなんてバーボンハウスだよ!?

こんな萌えるバーボンは初めてだ。
お前天才じゃね?!

11:名無しさん@ピンキー
06/08/19 09:33:29 M/ULTrL8
落とさせはしない!

12:名無しさん@ピンキー
06/08/19 17:28:16 mAekZu/X
バーボン風に彼女を諫めるとはやりますな!
普段と違う口調でやられると強気な彼女もビビるかもしれん。

13:名無しさん@ピンキー
06/08/19 20:56:25 +IKu3NK1
1~4スレまではhtml化されています。

気の強い娘がしおらしくなる瞬間に…
URLリンク(pie.bbspink.com)
気の強い娘がしおらしくなる瞬間に… 第2章
URLリンク(sakura03.bbspink.com)
気の強い娘がしおらしくなる瞬間に… 第3章
URLリンク(sakura03.bbspink.com)
気の強い娘がしおらしくなる瞬間に… 第4章
URLリンク(sakura03.bbspink.com)

14:名無しさん@ピンキー
06/08/19 21:23:54 +IKu3NK1
ごめん、かちゅと●使ってみていたんで勘違いした。
>>13は間違い。

15:名無しさん@ピンキー
06/08/19 23:04:57 ikxwSGrm
>>9
モエワロタwwwwwwwww

16:名無しさん@ピンキー
06/08/20 02:57:01 R9hbR7T7
>>9
ダンディーだwww

17:前スレ46
06/08/20 08:59:57 2vlHDV4T
「やあ (´・ω・`)
 ようこそ、我が城へ。」
「ひ、久しぶりに来たけど狭い部屋ね…ま、アンタにとっては、ぶ、分相応じゃない?」
(つ、つ、連れ込まれちゃった…ってことは前みたいに、こ、このまま押し倒されて…って、べ、
 別に期待してなんか…!)

「ん? な、何よそのジョッキ?」
「このビールはサービスだから、まず飲んで落ち着いて欲しい。」「あ、あら、気が利くじゃない…(なんか怪しい。前にもこういうことあったし…でもジョッキは
 二つあるし、まさかそんなことはないかな…それに、万が一そういうことになっても…わ、わた
しだって、ご無沙汰だし…って、何考えてんのよわたしはっ!)」

「あ、あつ…ちょ、ちょっと…ひゃぅ…何、入れたのよっ…!」
「うん、『媚薬入り』なんだ。済まない。」
「や、やっぱり…! ふぁ…な、何してくれんのよ…!」

「仏の顔もって言うしね、謝って許してもらおうとも思っていない。」
「あ、当たり前よ! 素直にシたいって言えばいいでしょ! それを、こんな…ど、どう責任取っ
 てくれんのよ!(こ、こんなの…が、我慢できないよぉ…! は、はやく…!)」

「でも、俺の顔を見たとき、君は、きっと言葉では言い表せない
 『欲求不満』みたいなものを感じてくれたと思う。」
「そ、それは…し、しかたないじゃない! だ、だって、アンタが、し…シて、くれないから……
 って、何言わせんのよ…!」

「恋人同士なんだから、そういう欲求を忘れないで欲しい
 そう思って、この薬を入れたんだ。」
「わ、忘れるわけないでしょ! わ…わたしは、ずっと…シ、シたくて…ああ、もう…!」

「じゃあ、注文を聞こうか。」



「わ、わ、わたしを、いっぱい気持ちよくしなさいっ」
「ん、合格」
「ちょ、ちょっと、いきなり、そんな…ひゃぁぁ…!」


 褒められて調子に乗ってしまった。山よりも高く反省している。
 今度こそ真琴ちんの続きに戻りますがまたしばらく来れません。許せ。

18:名無しさん@ピンキー
06/08/20 09:04:55 2vlHDV4T
しかも改行忘れwwゴメスwww

19:名無しさん@ピンキー
06/08/20 15:55:42 scsDkVb5
天 才 降 臨


20:名無しさん@ピンキー
06/08/20 19:20:30 fFQwEhPb
いや、神だろ。

21:名無しさん@ピンキー
06/08/20 20:35:30 ERvCkctG
素直に普通でいいんじゃないか?

22:名無しさん@ピンキー
06/08/20 20:38:33 DMQ0T1EA
前スレ759の人の続きを書いてみた。前スレ759の人許して。
では前スレ46神の後なんでアレだが(汗

「っとにもー…私はあんたの家政婦じゃないわよっ……」
結局なんだかんだと言いながらも部屋を掃除してくれる彼女。
「『悪いなー』って、そう思うんなら…え?でもおかげで私に会える…ってバ、バッカじゃないの!?」
赤くなりながら散らかった雑誌をまとめようと、1冊の雑誌を取ったとき。
そこに奴がいた。黒いGが。
「…いやぁああああ!」
思わず住人に抱きつく彼女。
「ゴ、ゴ、ゴキッ…!は、はやくなんとかしてよ!私がアレ苦手だって知ってるでしょ!」
といわれても抱き着かれて動けるわけがない住人。
「うぅ…はやくなんとかしてよぉ…ヒック」
仕舞には泣き出す彼女。慌ててなだめる住人。Gはいつの間にやら姿がない。
「ウックヒック…ほんとにもういない?ほんとにいないよね?…」
Gがいた場所を恐る恐る振り返ってアレがいないことを確認し、安堵のため息をつく。
「よかったぁ……って、あれっ?」
互いの顔の近さにようやく抱きついてる事に気付く彼女。
「っ~~~~~!なんで抱きついてンのよ!」
理不尽な彼女の台詞と右ストレートを受け、住人の意識はブラックアウトした。

台風はまだこの家を通過しないようだ。

23:名無しさん@ピンキー
06/08/20 21:49:19 hmeAFvVh
呼ばれて飛び出て759です。
とてもいい続きを書いてくれてありがとうございます。

24:22
06/08/22 20:09:07 npj4FBXp
>>23
こちらこそありがとうございます。
女の子の台詞と状況だけで759さんが書かれてたんで、
それやってみようと続きを勝手に書いたんですがすごく難しい
素人が迂闊に手を出しちゃいかんorz
じゃ、神降臨にwktkしながらROMにもどります。

25:名無しさん@ピンキー
06/08/23 21:29:30 mNzZrAN8
女「男ぉぉォォオ!!!!大好きだぁぁァァア!!!!」
男「うるさい黙れ」
女「………はい、黙った!さあ抱きしめろ!!」
男「………やれやれ」

ガシッ

女「え…おと、こ……?」

26:名無しさん@ピンキー
06/08/24 21:48:46 CrmGbdrW
おとこ・・・


おとこ・・・?



おとこおおおおおおおぉぉぉぉぉ!!!!

27:名無しさん@ピンキー
06/08/26 00:40:09 qDQ4eXIY
なんか急に過疎ってきたね、久しぶりに香織さんに会いたいな。
ところで以前このスレにいた職人さん達は今どこにいるんだ?


28:名無しさん@ピンキー
06/08/26 07:43:26 Gct45oHJ
夏休みじゃないのか。


29:名無しさん@ピンキー
06/08/26 08:20:59 wx2nG5vm
>>27
前スレでの火力の集中が尋常ではなかったからなぁ。
たまにはこういう時期もあるんじゃないかな?

30:名無しさん@ピンキー
06/08/26 18:41:33 3lu4rHyn
まぁ、気長にまとうぜ。

31:名無しさん@ピンキー
06/08/28 19:55:43 9lw768/O
あげ

32:名無しさん@ピンキー
06/08/29 21:33:18 mDGFMEik
落ちそうだから保守するんだからね!別に好きでやってるんじゃないからね!!

33:名無しさん@ピンキー
06/08/30 17:36:30 b+8POGXv
喜多さ━━ヽ(゚∀゚)ノ━━ん!!!


34:名無しさん@ピンキー
06/08/30 18:29:07 iMrF8MkK
フリーザ様がお怒りだ

35:名無しさん@ピンキー
06/08/30 20:01:43 y7iT5x7B
前スレがまだ15kbも残っている件について。

36:名無しさん@ピンキー
06/08/31 20:22:24 4RyvCrmr
前スレに投下されてたな

37:名無しさん@ピンキー
06/09/01 01:00:17 lQr4jAMw
一度で良いから足軽氏の自宅の本棚を見てみたい。
一体どれ程の漫画があるやら。

38:名無しさん@ピンキー
06/09/02 13:41:40 ORZ9bPvN
前スレがワッフルで埋まりますたw

39:名無しさん@ピンキー
06/09/03 10:23:53 RzJzf+WN
乗り遅れた。ワッフルワッフル。

40:名無しさん@ピンキー
06/09/03 21:56:47 C6FFNQIu
νワッフルは伊達じゃない

41:名無しさん@ピンキー
06/09/04 00:11:45 Mzm5zqkH
>>40
それどんなワッフルw

42:名無しさん@ピンキー
06/09/04 00:58:57 Ta1T/pon
ワッフルにフィンがついてるんじゃないの?

43:名無しさん@ピンキー
06/09/04 01:28:30 OGO08MP/
情けないワッフルと戦って、勝つ意味があるのか!

44:名無しさん@ピンキー
06/09/04 12:47:29 Tfzfw+l6
ワッフルがチャーミングすぎるからさ

45:名無しさん@ピンキー
06/09/04 15:22:57 xi+hpJye
だが、そんなワッフルさえ人をダメにしていくんだッ!

46:名無しさん@ピンキー
06/09/04 18:46:48 EueI5u4L
ガノタか?

47:名無しさん@ピンキー
06/09/05 15:12:34 galC7off
というより富野厨さ。

48:名無しさん@ピンキー
06/09/06 21:30:12 H43ymqLR
東鳩2の由真はこのジャンルに属しますか?

49:名無しさん@ピンキー
06/09/06 23:20:00 ifAu5c8I
属しはいるな

50:名無しさん@ピンキー
06/09/08 22:11:34 WypApkuV
ジョージ・ホッシュ

51:名無しさん@ピンキー
06/09/08 23:50:55 UN3xteAR
保守

52:名無しさん@ピンキー
06/09/11 14:52:02 Nd4aXUIv
過疎りだしたな~。

53:前スレ46
06/09/11 22:27:31 be6jLZrP
そのうち落とせそうですとご報告。






でももうちょっと待ってまだ全然修羅場修羅場真っ盛りしてるから。

54:名無しさん@ピンキー
06/09/11 22:27:47 KlBaqNM7


55:名無しさん@ピンキー
06/09/11 22:33:57 /ISnWZHD
>>53
立ったり座ったりして待ちます

56:前スレ33
06/09/12 01:11:41 Q2VyEb4K
ちょこちょこワッフル書いてます
そのうち投下できるかも、とか言ってみる。

57:名無しさん@ピンキー
06/09/12 01:18:17 I+56MHVN
>>53,56
スクワットしながら待つ

58:名無しさん@ピンキー
06/09/12 01:27:35 8+DAYejf
心にチョコレートワッフルを。

59:名無しさん@ピンキー
06/09/12 15:56:47 +wEjBZCK
まぁ、十月いっぱいまで夏休みだから、気長に待ちますよ。

60:名無しさん@ピンキー
06/09/13 00:06:40 s5bsTxde
>>59
秋の最中に夏休みとはこれ如何に。

61:名無しさん@ピンキー
06/09/13 00:11:32 3LSmnUNr
気分の問題じゃね?

62:名無しさん@ピンキー
06/09/13 10:12:45 bLt6o9H+
>>60
大学生は8~9月は夏休み♪

とマジレス。

63:名無しさん@ピンキー
06/09/13 12:03:11 wJ++pAXV
>>62
10月いっぱい=10月の最後まで

とマジレス

64:名無しさん@ピンキー
06/09/13 17:26:51 oLru6W2h
>>56
マジですか?前回のは本当によかったです。
今回もワッフル期待してます!

65:60
06/09/13 19:00:28 s5bsTxde
>>62
いや、それは分かってんだけどさ。
秋真っ盛りに「夏」休みは無いだろ、どうせなら「夏秋休み」にしろよと。
そゆこと。

66:名無しさん@ピンキー
06/09/13 22:06:36 AaxKR6Y8
>>65
大学側に「夏期休暇」って言われたら、
「夏休み」で問題ないだろうと思うんだが。

67:名無しさん@ピンキー
06/09/13 22:25:26 8aonQIvp
気の強い大学娘達が口論しているスレはここですか?

68:名無しさん@ピンキー
06/09/13 23:47:04 1N/WoTx9
スレ違いはそのへんで

↓以下何事もなかったように再開ドゾー

69:名無しさん@ピンキー
06/09/14 03:28:00 2aJRYTC8
ワッフル焼きながら保守

70:名無しさん@ピンキー
06/09/16 04:21:53 BbGGkAqV
69の焼いたワッフル食べながら保守

71:名無しさん@ピンキー
06/09/17 22:10:26 OIfvu6tj
70が食べようとしているワッフルを横取りしつつ保守

72:名無しさん@ピンキー
06/09/18 00:18:54 IBQ2JUqY
揚げ餅

73:名無しさん@ピンキー
06/09/19 23:57:40 TZFDLVdI
あ、あれ? 久しぶりに覗いてみたらどうしちゃたのよ。
…もう、しょうがないなぁ。
おまけで貯めていたのを提供してあげないこともないわ。

か、勘違いしないでよっ、今回だけだからねっ!
ま、期待しないで待ってなさいね。

74:名無しさん@ピンキー
06/09/20 01:41:24 LexQQDWR
  _   ∩
( ゚∀゚)彡 ワッフル期待!ワッフル期待!
 ⊂彡

75:名無しさん@ピンキー
06/09/20 23:11:01 E/Md6Nx5
「隊長…この傷じゃ自分は、もう、…助かりません…どうか、隊長…だけでも…」
「馬鹿野郎!何弱気なことを言ってやがる!故郷に残してきた気の強い女の子はどうする気だ!!?会いたくはないのか!!」
「…………」
「…っ畜生!!誰か!?誰か居ないのか!?誰でもいい!こいつには今ワッフルが必要なんだ!!誰か…助けてくれ……助けてやってくれよ…っ!」


「神は…いないのか…?」

76:名無しさん@ピンキー
06/09/20 23:26:43 urKZkJ0/
気持ちはわかるが、せかすのは止めようぜ

77:名無しさん@ピンキー
06/09/20 23:49:08 9i3o8Cno
……と、気の強い男勝りのおにゃにょこである>>76は顔を真っ赤にして言った。

78: ◆/pDb2FqpBw
06/09/21 00:31:31 2CQEWny5

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<スタンドアップ シスター 前編>

高校生の時の話なんですけどね。
うん。そう。先輩に恋をした話です。
といっても僕は今も高校生な訳で、まあそう昔の話でもない訳です。当たり前ですよね。
よくあるんじゃないかな。こういう話。もてない男の。ありがちな。
まあ、少しだけ。



79: ◆/pDb2FqpBw
06/09/21 00:33:16 2CQEWny5

僕は高校に入学してすぐ吹奏楽部に入ったんですね。
吹奏楽で有名な学校ではなかったし、音楽室も狭い学校だったんですが、
緑の多い敷地の広い学校だったので中庭や教室の窓を開けてのびのびと練習している風景が格好が良くって。
で、まったく初心者の僕はトロンボーンをやることになったんですが、
同じ金管のホルンパートの先輩にとても可愛い先輩がいたんです。
先輩は華奢で背が小さいんですが、結構大人っぽいちょっと癖のある長い髪の毛を揺らしていていて
活発で猫っぽい感じのする人で、そして良く喋る人でした。

はじめて見た時に、高校にはなんて綺麗な人がいるんだろうってドキドキしたのを覚えています。
吹奏楽部の中じゃ2年生の女子のリーダーをやっている人で、ホルンもとっても上手な先輩でした。
吹奏楽部には同期の男が3人いたんですが、全員その先輩が部活の中で一番綺麗だねって噂をするような、
そんな可愛くて目立つ先輩だったんです。



80: ◆/pDb2FqpBw
06/09/21 00:34:59 2CQEWny5
で、身の程知らずな事に、半年もたつうちに僕は結構真面目にその先輩の事を好きになってしまったんですね。
何でかって言うと、それには理由があってですね。

ほら、吹奏楽部っていうとなよなよしているイメージがありますけど。
でも実際は結構体育会系で礼儀作法とかルールにもうるさくて
何か失敗すると3年生とかには酷く怒られたりするんですよ。

どんな事で怒られるかっていうと、一年生には色々と仕事があるんですけど、
例えば合奏の前に空き教室でパート練習をやるんですが、その教室の鍵を先生に借りに行かなくちゃいけないとか、
そういうルールがあるんです。

まあその場合、鍵は練習が始まる前までに取りに行かなくちゃ行けないんですが
掃除とかがあるとどうしても遅れたり先生が捕まらなかったりするんですね。
そういった時はそのパートの練習が始められないからすごく怒られるんです。

で、ある日僕が鍵を取りに行ったら、先生の職員会議が始まっちゃってて。
鍵が借りられなくなっちゃって途方にくれちゃったときがあったんです。

僕はそれまでは一度も鍵を借りられなかった事は無かったんで、どうして良いかもわからなくて。
で、もう練習始めてるパートは始めちゃっているし。どうしようどうしようかと思って。

怒られるのはしょうがないんですけど、職員会議が終わるまで借りられなかったらパートの全員が練習できないし。
入部して他のパートでもそんな事になった事無かったからとんでもない事になっちゃったと思って、
でも皆が待ってる教室前に帰る事も出来なくて職員室の前をうろうろしていたのです。


81: ◆/pDb2FqpBw
06/09/21 00:36:25 2CQEWny5
そうやって10分ぐらいどうしようもなくパニックになっていたかな。怒られに帰ることも出来なくて。

そうしたら。
職員室の前にホルンを抱えた先輩が来たんです。てくてくと。

先輩は一人で、あれ?って感じに「仁科君どうしたの?」って聞いてきました。
一対一で話す事なんてなかったから緊張してたんですけど、
もう天の助けだと思って職員会議が始まっちゃったんですって思い切って説明したんです。

そうしたら先輩は頷いて「なるほど。まかしといて。」って言って笑いかけてくると、
そのまんまえいやっと職員室ドアを開けて屈んだ体勢で、職員室に入っちゃったんです。

何度か頭を下げながらいつもホルンの練習場所を貸してくれる先生のところに行って鍵を受け取った後、
トロンボーンの練習場所を貸してくれる先生のところに行って頭を下げて鍵を受け取ると、
屈んだ格好のまま笑いながら職員室から出てきました。

そして僕の手にぽんっと鍵を置いて「はい。鍵ゲット。」って言って渡してくれたんです。
カッコよかった。

それから先輩は一緒にトロンボーンの練習する教室まで来てくれて事情を説明してくれて、
そして教室まで2人で行くその間に先輩は色々と吹奏楽部のことを教えてくれて、
それから教室まで送ってくれた後、「バイバイ」って言って先輩は手を振ってにっこり笑いかけてくれたんです。


82: ◆/pDb2FqpBw
06/09/21 00:39:30 2CQEWny5
今考えてみれば先輩だっては高校2年生の女の子です。
後輩にちょっとお姉さんぶりたかったのかもしれません。

もう高校3年生になった僕はそんな風にも思います。でもですね。

その時のそれは、僕にはありえない体験だったわけです。
女の子なんて俺の事ウザがるか後は消極的に関わってくるかのどっちかですから。

僕に何かをしてくれて得意げに一生懸命話しかけたりしてくれない訳です。
それが、先輩はすげえ綺麗な人なのに僕が困ってた時、助けてくれたばかりかお礼を言う僕に
「いーよいーよ。一年生は大変だよねぇ。」とかいってそれから教室までついてきてくれて色々と親身に話をしてくれた訳です。

それから僕はもうずっと先輩の事が好きで好きでしょうがなくなった訳です。
もう本当に好きになっちゃった訳です。
もう寝ても覚めても先輩の事を考えた訳です。
いや彼氏とかは無理だろうなってのは判ってました。本当に。

先輩はにこにこ誰とでも話すし、吹奏楽部の中ではそれこそアイドル扱いだし。
3年生の先輩なんかも良く彼女に話しかけてる訳です。
時たま部活の前とかに部室の前でなんかイケメンのあれ。
なんか茶色い髪してカッコ良くてなんかもうよくわからないくらい同じ高校生じゃないみたいな人に声かけられて
なんか笑ったりしてるし。

今考え直してみると先輩に話しかけていたのはそんなにイケメンじゃなかったかも知れません。
凄いさわやかスポーツマンでも3年生の先輩は神のようにカッコよくは無かったかもしれない。
でも高校1年生と3年生じゃ体の大きさから違う訳です。成長期だから。
僕は小さかったし。態度だってそういう人たちはちゃんとしててカッコよく見えた。
そういう人たちと話している先輩は全然遜色ないどころか、
なんかどっちかって言うとそういうカッコいい奴等が声をかけるのをいなすみたいにして
「じゃ、練習なので」なんて言ってたりするんですよ。
媚びたりキャイキャイ言ったりする訳ではないんです。


83: ◆/pDb2FqpBw
06/09/21 00:40:32 2CQEWny5
カワイイ。だけじゃなくてクールな訳です。
それに痩せ気味なのにとっても色っぽいんです。

とても暑いときに他の女の子にだらしないよ。
何て言われなても「部活だから内緒内緒。」なんて言いながら時々ワイシャツの上のボタンをちょっとだけ開いていたりすると、
絶対そっちは見ないですよ。
見ないんですけどドキドキするわけです。

レベルが違うのはわかっていたんです。むろん僕なんて眼中にもないだろうと。
ただの先輩と後輩ですと。しかも違うパートの。
この違うパートってのが曲者で。吹奏楽の違うパートってのは結構顔を合わせないのですね。
練習場所が違うので。
もちろん合奏や帰る前のミーティングは全員そろいますが、そうすると人数も多くなっちゃうんです。
必然的に顔を合わせ、仲が深まる同じパートと違って違うパートの人とは一言も喋らないと思ったら喋らない訳です。

これが野球部だったら外野とキャッチャーが喋らないなんて事は無いのでしょうが。


84: ◆/pDb2FqpBw
06/09/21 00:42:03 2CQEWny5
でも先輩の事を考えるのはやめられなかったんです。
僕はそれまで女性と付き合った事はなかったからどうしたらいいのかは判らなかったけれど、
毎日先輩の事ばかり考えていたから無理なのはわかってたけど僕は先輩ともっと喋りたかったんです。

告白するとかは無理です。絶対無理です。

でも僕は先輩と少しでも話すととっても楽しくて、凄く先輩の事が好きで、
どうしていいかわからなかったからでも出来るだけ先輩に話しかけるようにしました。

タイミングが合わなくて一週間も話が出来ない事もあれば、運良く話しかけれた事もあったけど、
先輩は僕が話しかけるとちゃんと受け答えをしてくれましたし、冗談も言ってくれました。

僕は先輩が僕の前で僕に話してるってだけでそれだけでもう凄く楽しかったから、
だから部活を頑張る事にしたんです。
先輩に自信を持って話しかけるには部活の中に自分の居場所を持って、
自信を持って話しかけないといけないと思ったんです。
例えば部活を休みがちだったら楽器の事とか聴きにくいけど、熱心に通ってたらそう言う事って聞きやすいとか、
そう思った訳です。だから僕は僕なりに精一杯頑張った訳です。



85: ◆/pDb2FqpBw
06/09/21 00:45:00 2CQEWny5

そんなこんなしていくうちにいつの間にか僕は2年生になり、先輩は3年生になりました。
勿論何かが変わった訳ではなく、変わったとしたら先輩は受験生に、僕には後輩が出来たと、そのくらいでした。
でもとても楽しい毎日でした。
いつの間にか僕は色々な事を覚えていて、
職員会議が始まっていてもこっそり入っていって先生に鍵を借りる事が出来るようになっていましたし、
後輩に基礎練習を教えたり出来るようになっていました。
僕も少しだけ、成長していたのかもしれない。
部活に行くのが楽しかったし、時々先輩と話ができるのがすごく楽しかった。

そして2年生の夏休みに僕は吹奏楽部の2年生のリーダーになったんです。
つまり、3年生になったら部長か副部長になるという事です。
一学年25人からいる大所帯。吹奏楽部の目標は秋のコンクールだけじゃなくて、
夏には野球部の応援があるし、地元のフェスティバルにも出ます。
3年生になったら、僕がそんな皆の代表になる事に決まったのです。

同じ学年の中には中学の時から吹奏楽をやっていた人達もいましたし、
僕が誰よりも楽器が上手だった訳ではありません。
人の輪の中心にいる訳でもありませんでした。
でも先生や先輩達は真面目にやっていると言うことで僕を推してくれたそうです。
特に先輩が薦めてくれたと聞いてとても緊張しましたけど、僕はそれもとても嬉しかったです。

引継ぎや、色々な事務的な事もあって部活はとても忙しいものになりました。
でもそのお陰でその時には副部長になっていた先輩と一緒に色々な仕事をする事が出来たので
忙しかったけれどでもとても楽しいものでした。

僕はずっと先輩の事が好きだったから。


86: ◆/pDb2FqpBw
06/09/21 00:46:56 2CQEWny5

忙しくしているうちに、いつの間にか2年生も秋になって。

僕が吹奏楽部の部長になることに決まってすぐ、
先輩は高校を卒業したら東京の大学に行く事になりました。
勿論合格したらですけど、先輩の事だから合格するに決まっていると思いました。

受験シーズンがあっという間に始まって終わって。
僕はそのままでいいと思ったんだけど、でも、ようやく僕もそのままじゃ良くないと思いました。

先輩が卒業する前に僕は先輩を音楽室に呼び出しました。
「部活のことで相談したい事があるんです。」と言いました。

そうやって部活のことで悩んだときに色々と相談した事も沢山ありましたから
先輩はすごく忙しいにも拘らず「いいよ」って言ってくれました。


87: ◆/pDb2FqpBw
06/09/21 00:47:53 2CQEWny5

----
そしてその日、僕は汗をかきながら通い慣れた音楽室への階段を登りました。
嘘をついて先輩を呼び出したとかそんな事は考えませんでした。
とにかく僕は言わなくちゃ。ちゃんと言わなくちゃってそう思っていました。
心臓をバクバク言わせながら階段を登りきり、
いつもよりとても長く感じる廊下を歩きました。

音楽室のドアを開けると、先輩は教室の真ん中机の上にちょこんと腰掛けていました。

教室の電気はついていなくて、夕焼けの光が薄く教室の中に射し込んでいました。

これでも随分と色々と考えたんですよ。
どうやって言おうかって。何度も何度も。
本当は教室に入って隣に座って「先輩、お話があるんです。実は・・・」って言おうと思ってました。

いつの間にか僕は先輩よりも背が高くなっていたから、
先輩が椅子に座っていて僕が立ったままじゃ怖がらせるといけないと思ったのです。


88: ◆/pDb2FqpBw
06/09/21 00:49:13 2CQEWny5

でも僕はドアの所に立って、先輩を見た瞬間に言いました。
「先輩の事が好きです。」と。
先輩は困ったようにうつむきました。
先輩は驚きませんでした。
まるで僕が先輩に何を言うつもりで教室に呼び出したか判っていたように。

俯いた先輩を見た途端、僕は駄目だなって思ったんですけど、でも言葉は止まりませんでした。
迷惑でもストーカーみたいでも、この5分間だけ、先輩に我慢してもらおうと思いました。

だってほら、もし万が一、先輩と付き合える事があったとしたら、
そしたらそれこそ毎日でも言える訳です。
僕は先輩の事が好きだって。
だから僕は思ったんです。今この時しか言えないんだって。
もう一生先輩にこういう事は言えないんだなって。

先輩に好きな人がいるかなんて、恋人がいるかどうかなんて関係ありませんでした。

会議が始まってしまって鍵が貰えなくて困っていた僕を助けてくれた事。
わざわざ遠回りしてホルンの練習している教室の前を通っていたこと。
合奏の時に、トロンボーンパートの前にホルンパートが来た時、
先輩の近くで演奏できる時、とても嬉しかった事。

毎日部活で先輩と会えてどれだけ嬉しかったか。
僕がどんなにこの2年間、楽しかったか。
どんなに充実した2年間を過ごせたのか。

毎日先輩のことを考えて、一生懸命部活に取り組んで、僕がどんなに楽しかったか。



89: ◆/pDb2FqpBw
06/09/21 00:52:36 2CQEWny5

先輩は僕の話をじっと聞いていてくれました。
そして聞き終わった後、一言だけこう言いました。
「仁科君、ありがとう。うれしいよ。」と。

「先輩は、僕が今日、こう言う事を先輩に言うって判ってたんですか?」
そう聞くと先輩は少し笑ってから、こう答えてくれました。

「だって君はもう部長だし、私に聞かなくちゃいけないことなんてないからね。」

僕は先輩も緊張しているんだと言う事に気がつきました。
先輩は緊張している時や大事な事を喋る時、こういう区切ったような話し方をするからです。
先輩はしばらく考えていました。

いつの間にか校庭から聞こえていたラグビー部の声は聞こえなくなっていて、
夕暮れが少しずつ暗くなって僕と先輩を暗い教室の中に閉じ込めていくようでした。
「うん。うれしいよ。私は君の事が気に入っていたからね。多分君が思っているよりも。
君はとても優しいし、とても頼もしい後輩だったし。」
先輩は顔を上げてでも。と途方にくれたような声で言いました。

「ごめんね。でも私は判らない。判らなくないんだけど、」
先輩は言葉を切って上手く言えない。と言いました。



90: ◆/pDb2FqpBw
06/09/21 00:53:52 2CQEWny5
僕はその時、僕は先輩を困らせているんだと気がつきました。
どうやって断っていいか、多分優しい先輩は判らないのだと。
どう話したら僕を傷つけないですむのか考えているのだと。

「ごめんなさい。」
僕は優しくて可愛くて綺麗で素敵な先輩に頭を下げて、それから教室に背を向けました。
「あ、待って。」
先輩の声が聞こえました。
僕は立ち止まりたいと思いました。
先輩ともっと話をしたかったのです。近くで。二人きりで。
先輩に僕の話を聞いて欲しかったのです。。
もう2度と2人で話す事なんてないのだろうから。

でも僕は、言いたい事は全て言ったから、先輩に背を向けて階段の方へと歩きました。
このまま先輩は卒業して東京に行きます。

僕は先輩のことだけじゃなくて、いつの間にか大好きになっていた吹奏楽部をもう一年間、
先輩に褒められたように一生懸命やってそれから、それから僕はどうしようかなと、




91: ◆/pDb2FqpBw
06/09/21 00:54:53 2CQEWny5

@@

「うん。で、その二人はどうなったの?」
正に佳境で話を止めた涼子さんは両腕を組んで黙り込んだので先を急かす。
この手の男の話は非常に身につまされる話でもあるし。

「どうするべきだったんだろうなあ。」
「は?」
涼子さんは暫く目を閉じた後、カッと目を見開いた。
「そこが問題なんだ。実は先輩には好きな人、いや好きだと思っている人がいたんだ。
 先輩は、どう返事すればよかったのだと思う?」

「はい?」

92: ◆/pDb2FqpBw
06/09/21 00:56:48 2CQEWny5

「その先輩と言うのが私だったら。」
うーんと言いながら考え込む。

「匠君が吹奏楽部にいたらパーカッションあたりかな。」
「??」
「こう、暮れなずむ夕日の中、私は教室で一人、待っているわけだ。そこでガラリとドアが開く。」

涼子さんは話しながらカラカラと架空のドアを開く真似をした。
「匠君が入ってくる訳だ、真剣な顔をして。そして少し照れながらも心に暖めていた思いの丈を私に伝えようとする。」

「??」

涼子さんはなんだかぼうとしている。
「いや、その時私には好きな人がいる訳だな。いや、良くないぞ匠君。そのような事を言われても困る。
と断らなければいけないんだ。しかし私がそんな事を言ったら匠君は悲しそうな顔をするだろうな。
私がいないと駄目なのだと、私に恋しているのだと切々と恋心を訴えてくるのだろう。
そこを心を鬼にして迷惑だといや、迷惑なんてことはない。断じてない。勘違いしてもらっては困る。しかし、しかし」
涼子さんは頭をぶんぶんと振った。

「・・・いや、むしろこの場合匠君がと仮定する方がおかしいのか。ああもう、話が進まないな。茉莉ちゃんだ。」
「は?」

「君の幼馴染の鍋島茉莉ちゃんだ。」

「え?」

93: ◆/pDb2FqpBw
06/09/21 00:59:44 2CQEWny5


続く
---------------------------------

ご無沙汰しています。
後編は1~2日後に。

訳のわからない方はもし宜しければ。
URLリンク(uni.lolipop.jp)
URLリンク(uni.lolipop.jp)

94:名無しさん@ピンキー
06/09/21 01:00:32 BVDl7ePc
>>93
お待ちしておりました…そしてお待ちしております。

95:名無しさん@ピンキー
06/09/21 02:03:03 6yhHrs3k
うに氏キタ━━━(゚∀゚)━━━━!!!!!

96:名無しさん@ピンキー
06/09/21 03:04:47 Ee5POdP4
いやもうほんと、心からお帰りなさい♪

97:名無しさん@ピンキー
06/09/21 03:13:02 NQt5GAxT
>93
お帰り!

っていうか相変わらず文章が上手いなあ
熱烈に期待

98:75
06/09/21 03:16:01 v9sZv4PZ
「ワッフルだ…!おい!ワッフルだぞ!!神は…ちゃんとここにいたんだ……っ!」

99:名無しさん@ピンキー
06/09/21 17:27:40 l0C6EOpb
涼子さん節を見ると、ニヤニヤしたくなって困る

100:名無しさん@ピンキー
06/09/21 17:47:15 e2LV5RT7
同意ワッフル。

101:名無しさん@ピンキー
06/09/22 14:35:51 cI494yDE
GJ!!
後編も楽しみに

102: ◆/pDb2FqpBw
06/09/22 21:57:14 GzbGa+C8
--------------------------------------

<スタンドアップ シスター 後編>

「ああもう、話が進まないな。茉莉ちゃんだ。」
「は?」

「君の幼馴染の鍋島茉莉ちゃんだ。」
「はあ。」

実家の近所に住んでいる女の子だ。
少々勝気なところがあるけれど、かわいいし賢い、
小さいころは良く遊んでいたのでなんだか良く出来た妹のような感じに俺は思っている。
この前涼子さんと実家の方に遊びに行ったときに一度会っているので涼子さんも茉莉の事は知っている。
が、それがどうかしたのか。

「それが何か。」

「うちの大学に受かったらしい。」
「嘘?」

自分で言うのも何だがうちの大学はちょいと難しい。
涼子さんが受かった時は才能と不断の努力の結果と称えられ、
俺が受かった時は奇跡が起こったと長く語り継がれたそうな。

「嘘など言わない。」
「はあ。それにしてもなんで涼子さんがそんな事知ってるの?」
本来ならうちの親経由で俺にまず伝わりそうなもんなのだが。
と思いつつそう言うと、涼子さんはテーブルに肘をつきながら
3時のデザートである手元の巨峰をひょいと口の中に放り込んだ。



103: ◆/pDb2FqpBw
06/09/22 21:58:16 GzbGa+C8

「昨日家に来た。」
「は?」

「合格が決まったその足で昨日ここに来て、匠君をくれという趣旨の話をして行った、」
「は?」

「最初は緊張していて何の話なのかと思ったのだけどな。
匠君を呼ぼうかと言ったら首を振るし。
ぼうと座っててもあれだから一緒に料理をしようと言って料理をしていたら
緊張もほぐれたのかぽつぽつと話し始めた。」

「はあ。」

「茉莉ちゃんは吹奏楽部だそうだな。」
「そういえばホルンやってるとか言ってた。」
「つまりはそういう事だ。」
ぽんと膝を叩く。

「あ、さっきの話か。え?その先輩って茉莉の事??そこに何故俺が?」
「まあ聞くといい。」
と言って涼子さんは座りなおした。お茶をくぴりと一口飲むと、もう一粒巨峰を口の中に放り込む。


104: ◆/pDb2FqpBw
06/09/22 22:01:08 GzbGa+C8
「彼女はな、なんでも友達の恋を成就させる手伝いをした時に自分の初恋に気がついたそうだ。
ちょうどあれだ。私と匠君が実家に行って始めて私が茉莉ちゃんと会っただろう。その頃だ。」

「へえ。茉莉って案外と奥手だったんだな。」
ずいぶんと大人びていたから彼氏の一人や二人位いるのかと思っていた。

「…まあそうも言えるかも知れないが、ずっと一人の人を好きだったから
好きという感情に気がつかなかっただけかもしれないな。」
そう言うと涼子さんはじろりと俺を睨む。

「はあ。」
俺に何の関係が。
「しかし、彼女は自分のそういう感情に自信がもてなかった。
その時好きかもしれないと思った人が物理的に近くにいなかったからだな。
彼女は疑問を胸に抱きつつ、私はその人が好きなのだと心に強く思い続けていたとそういうわけだ。
彼女は可愛らしいからな。異性からの誘いも多かったようだが、それも全て断り続けていたようだ。」

そこでもうひとつ巨峰を口に放り込み、もむもむと口を動かしながら涼子さんは続けた。

「まあそういったあやふやな気持ちというものは普通時と共に薄れていくものなのかもしれない。
特に彼女のように人気のある子なら尚更だ。
しかし、彼女は思い込みの強さと共に、思い込みを具現化させてしまう根性も持っていた。
匠君は勝気なところがあると言ったがたしかにその様だ。
彼女がその気持ちに気づいたのは一年程前だったそうだが、
彼女はその気持ちにけりをつけるには彼の傍に行かなくてはならないと考え、それを実行に移した。
つまり東京にある、好きな人が通っている大学に行くことにしたのだ。」

「はあ。」
いくら俺でもそろそろからくりが読めてきた。


105: ◆/pDb2FqpBw
06/09/22 22:02:06 GzbGa+C8
「しかし涼子さん、確かに茉莉とは幼馴染だけどそういった感情とはちょっと違」
「言い訳は後で聞く。」
「いえ、言い訳では」
「匠君がどのような粉をかけたかは後で聞くとして続きがある。
誰譲りか判らないが、土壇場でメキメキと偏差値を伸ばした彼女に
地元の教育大学でもと考えていた両親も教師も狂喜乱舞した。
結果、彼女は東京に出てうちの大学を受ける事となった。」

「うん。」
「受験そのものは首尾よく終えた。合否は兎も角、全力を出しきったと彼女は思ったそうだ。
しかし落とし穴はその後待っていた。」
落とし穴かどうかはわからないが、と涼子さんは続けた。

「うちの大学からの合否結果が出る前、彼女が可愛がっており、
そして彼女の事を慕っていた後輩が彼女の事を呼び出したのだ。
それはそれは情熱を込めた見事な告白だったそうだ。」

涼子さんはぽんぽんと巨峰を口に放り込む。


106: ◆/pDb2FqpBw
06/09/22 22:03:46 GzbGa+C8
「確かに彼女にとって意外な成り行きではあったそうだが、
彼女はその後輩の好意には気がついていたらしい。
そんな事もあるかなとは思っていたそうだ。
しかし彼女は彼の告白に自分で考えていたよりも動揺した。
さもありなん。そんなふうに男性からの数年越しの恋心を実直にぶつけられて
悪い気のする女性がいる訳がない。と、彼女に言った私に彼女は首を振った。何故だと思う?」

首を振る俺に涼子さんは続けた。

「他の人からも告白らしきものをされたことは何度もあったらしいが、彼女は心を動かされなかった。
それなのにその後輩に告白された時、彼女はひどく動揺したそうだ。
そして今まではそんなに意識していなかったのが、その後はその後輩のことを良く考えるようになったと。
それはいい。が、問題があった。
その後輩に感じるようになった気持ちは匠君への気持ちとは全然違うく感じられるというのだ。」

「自分がだらしのない女なのではないかと彼女は悩んだそうだ。
もし匠君へ感じていた思いが消え、同じような思いを後輩へ感じ始めたのならわかる。
それなら残念だけれど自分は心変わりしてしまったのだと思える。しかしそうではない。
自分は二人の人を同時に好きになってしまったのかもしれないと。
匠君の事を好きなのに、告白の一つでそれが揺らいでしまうほど自分の心とは弱いものだったのかと。
そして彼女は、東京に来ようと思ったときと同じく、一つ決心を固めた訳だ。
もし合格してたらうじうじと考え込まず、匠君に自分の気持ちを伝えてみようと。
自分の気持ちがどうであるかをきちんと言葉にして確かめてみて、
そして匠君に感じている気持ちを確認したいと。判るか、匠君?」


107: ◆/pDb2FqpBw
06/09/22 22:04:41 GzbGa+C8
「はあ。」
そう言われても自分の記憶上の茉莉とその茉莉が上手く頭の中でマッチングしない。

「誤解を恐れずに言えば彼女の本質には男らしい部分があるのだろうな。
匠君にはその場その場での勝気さしか見ていなかったのかもしれないが、
彼女は目標に向かって障害を克服する強さとその目標に対する道筋を見つける大局観がある。」
私には欠けがちなものだな。と言いながら涼子さんは続けた。

「彼女は私にこう言った。匠兄さんに涼子さんという人がいるのは知っているし、
それなのに匠兄さんに好きだと伝えようという私はきっと涼子さんに嫌われると思う。
でも私は好きな人に好きだと言った事がないし、
それに自分の気持ちを知る為にどうしても言わなくてはいけないような気がする。
涼子さんに喧嘩を売るのは私なのだから、宣戦布告しに来たのです、と。」

賢い女の子だし、喧嘩も強そうだ。可愛いし素直だし。
言う事はないな。と涼子さんは言った。


108: ◆/pDb2FqpBw
06/09/22 22:05:41 GzbGa+C8
「昨日は泊まっていくといいと言ったんだが、料理を造って一緒に食べたら新幹線があるとかで帰っていってしまった。
ちなみに匠君にはこの話は内緒にしておいた方がいいかなと彼女には言ったんだけどな、
彼女は頑なに私に遠慮などしなくて良いと言ってきた。
私も私で好きなようにするから、涼子さんも遠慮なく私を叩き潰してくださいと、」
涼子さんは楽しそうに笑う。

「私もあんなに可愛くて賢そうなライバルは蹴落としておいた方が先々良かろうと思って
こう匠君にご注進している訳だ。」
そんな理由ではないだろう。涼子さんは涼子さんで何か判っている事があるのだ。

「まあ、あんまり心配はしていないのだけどな。」
涼子さんは最後の巨峰を摘み上げると、あーんと口の中に入れた。
「何で?」
口をもごもごさせながら涼子さんはふむ、と少し考えた。


109: ◆/pDb2FqpBw
06/09/22 22:07:06 GzbGa+C8
「彼女に聞いてみた。匠君の事を考えた時と、
その後輩のことを考えた時と、それぞれどういう風に思うんだ?と。」
「うん。」

「匠君の事を考えた時は、胸がドキドキしてゴロゴロと転がりたくなるような感じがするそうだ。」

涼子さんが言うのだから嘘ではないのだろう。
茉莉が言ったとは想像もつかないあからさまな言葉に顔が赤くなる。

「後輩の事を考える時は、いらいらとするらしい。
頑張り屋なのに自信が無い所だとか、
一緒に話していても他の男が彼女に話しかけるとすぐに何処かに行ってしまう所だとか
シャキっとしていない所だとか。」

「…よく判らないんですが、それが何で?」
俺の言葉に涼子さんはん。と頷いた。
「ん。何ででもだ。」


110: ◆/pDb2FqpBw
06/09/22 22:07:59 GzbGa+C8
これで話もお仕舞いだとばかりにカタンと涼子さんは立ち上がる。
お互いの空になった巨峰の皿を寄せて、
剥いた巨峰の皮を手早く一つの皿に纏めた。

ま、ドラマチックな口説き文句の一つも言えない男に乙女心など判る訳はないな。
もむもむと巨峰を飲み込みながらそう言うと涼子さんは急に真顔になり、
俺の顔をじっと見ながらはあと溜息をついた。



---------------------------------------------


111: ◆/pDb2FqpBw
06/09/22 22:15:29 GzbGa+C8

---------------------------------

いつも感想ありがとうございます。
やる気出るです。
次は茉莉の話を書きたいとか思ってるです。
んでは。

(=゚ω゚)ノシ

112:名無しさん@ピンキー
06/09/22 22:22:13 rXRTKOHr
相変わらずの、ふたり。
そんな姿が何故か安心させてくれるのは、文章の持つ魔力か。
リアルタイムGJ!!

113:名無しさん@ピンキー
06/09/22 22:30:32 2ofNrML5
>>111
うにさん、GJです。
やっぱこの人文章の書き方が巧いわ。ホント。
引き込まれる。
特にテンションが高い文章だってワケじゃないのに、淡々とした描き方が作品の空気にマッチしてる感じ。
上手く言えないケド。

P.S.およそ一ヶ月のエジプト発掘旅行お疲れ様でした。
エジプトでどんな事をして来たのかも知りたいかなと思います。

114:名無しさん@ピンキー
06/09/22 23:26:50 eqfv5qpf
ぜひ香織さんの続きもお願いします。
香織さんの話を読んだのがきっかけで自分もss書き始めたんで思い入れが強いんです。

115:名無しさん@ピンキー
06/09/22 23:35:47 7JMaPtFS
修羅場な気がするのに全くそれを感じさせない文章がすごい。
そして口調が鋭いわけではないのに、人物の切ないまでの感情を伝えてくる語り口。
涼子さん、そしてうにさん、天性の語り手だな。確かに魔力としか言いようがない。

116:名無しさん@ピンキー
06/09/23 00:02:48 UGgcWiaf
話は面白いんだけど、もうちょっとエロがほしいのー まあこの先に期待 ノシ

117:名無しさん@ピンキー
06/09/23 00:03:02 ySfMFRu4
URLリンク(blog.goo.ne.jp)
URLリンク(femdom.up.seesaa.net)



URLリンク(blog.livedoor.jp)

118:名無しさん@ピンキー
06/09/23 00:31:23 UtQpZkny
>>111
自分は貴方の話を読むとゴロゴロと転がりたくなります

119: ◆/pDb2FqpBw
06/09/23 00:58:11 wPmBm2Kf
どもです。
シャーベット代わりに
やりつけない次回予告なんかをやってみるです。


---------------------------

友人のキューピッドをやった事で鍋島茉莉はようやく自分の好きな人というものに気がつきました。
その好きな人というのははるか東京に住む幼馴染のお兄さん。
しかしそのお兄さんにはやたらめったら仲の良い彼女がいます。

部活では副部長、友人間ではクールな女の子としての期待も高い茉莉は
他の女の子のようにきゃあきゃあと好きな人を肴に騒いで鬱憤を晴らすことも出来ません。
勿論好きな人に電話なんてとんでもない。

そもそも華奢な体のどこに?という位の根性を持っていた彼女は
溜まりに溜まった力をなんとなく持て余すことになります。

そして。

結局恋のパワーの一部は勉強にむきました。
絶対に匠兄さんと同じ学校に行ってやる。と。
しかし。
残った大部分の鬱憤は夜の中へと逃げていきました。


120: ◆/pDb2FqpBw
06/09/23 00:59:44 wPmBm2Kf
真夜中にベッドの中で想像すればするほど頭の中の匠兄さんはカッコよくなっていくのです。
駄目な時、落ち込んだ時にカッコイイ匠兄さんは私を叱ってくれるのです。

「なんだ、こんな点数取ったのか。駄目だなあ茉莉は。」
「ご、ごめんなさい。もっと頑張ります。」
「部活が上手くいかないなんて、茉莉は頼りないんだな。」
「ごめんなさい。匠兄さん。」

・・・
・・

「いつもいつも夜になると何をしているんだ?いやらしい子だな。茉莉は。」
「ごめんなさい。ごめんなさい。匠兄さん。」

「こんないやらしい身体をしているから、そんな事をしたりするんだ。この身体がいけないんだぞ。わかってるのか? 」
「ごめんなさい。あっ、匠兄さん、違う、違うの。いやぁ、違うの。ごめんなさい。」
真夜中、毎夜毎夜茉莉の頭は煮え煮えです。

遅かった初恋とストレスの溜まる恋愛環境は
思春期の茉莉を思いっきり捻じ曲げてしまいました。



121: ◆/pDb2FqpBw
06/09/23 01:03:53 wPmBm2Kf
そして。
あんまり意識していなかったけど可愛がっていた年下の男の子の
とても真摯な告白に茉莉の心は揺れ動きます。
どことなく優しいところは匠兄さんと似てるし。

でも年下で頼りがいがないし。
涼子さんと匠兄さんはとても仲が良いから匠兄さんの事はもう諦めなきゃと判ってはいるけれど、
後輩にきちんとした返事は出来ずじまい。
つきあっているようないないような。
優しいのは良いのですが好きなら電話してきてくれればいいのに。
告白しっぱなしで全然押してもきません。

そんなこんなで東京での一人暮らしを始めた茉莉はとあるお店でアルバイトを始めます。
そこにいる一人の先輩の男の子。
口調は乱暴だしちゃらちゃらしていてとっても気に入りません。
でもなんだか今までの男の子と違って遠慮なく命令口調で話される事にカチンときながらも
なんだかものすごく自分の妄想にぴたりとマッチングしてしまいます。

好きな人と一緒にいる為なら常識をひっくり返す涼子さんと違い、
案外常識的な茉莉はなれない日々と上手くいかない恋心にストレスが溜まりまくり。

片方は本当の匠兄さんと似た優しいタイプ。物足りません。
もう片方は頭の中に作り上げまくった匠兄さんの頼もしさだけを持つ
やたらと茉莉の特殊な欲望に忠実にストレートに響くタイプ。

さあ、茉莉はどうするのでしょうか?


--------------------------

今回のバックボーンはなんだかこんな感じの話の前振りでしたですが、
これを全5話位でいつか・・・いえ、そのうちまたここにお邪魔したいです。

自分へのプレッシャーの為に次回予告なんてしましたが現時点で後悔しました。

では。
ノシ

122:名無しさん@ピンキー
06/09/23 01:26:58 msxCtLUv
なんだそれ。濃すぎて鼻血出るぞ。
俺を萌え殺す気か。早く殺してくれ。

・・・実は茉莉ちゃんドのつくM?

123:名無しさん@ピンキー
06/09/23 07:40:42 OftkfqX+
私…待ってるから。
ずっと、ずっと待ってるんだから!

124:名無しさん@ピンキー
06/09/24 00:28:57 wp4EGKt7
GJ!!

125:名無しさん@ピンキー
06/09/24 10:10:01 FP9W5uOR
>>124
ちょwww予告にGJっておまwwwwww

そういうのは作品が投下された時に備えて取っておくもんだ。
無意味に乱発するとありがたみが薄れてしまうとは思わないか?

126:名無しさん@ピンキー
06/09/24 10:24:18 Dr6myocM
茉莉ちゃんがアルバイトするお店って、ワッフルを作ったり売ったりするよーな
ちょっとおされな洋菓子店とか、住み込みお手伝いさん風喫茶店とかだったらちょっと嬉しい

127:124
06/09/24 15:53:29 wp4EGKt7
>>125
評価は勿論主に本編に対してで、予告単体につけたわけじゃなかったんだけどな。
や、予告は予告で楽しいんだけれど。
感想は某所で書いたほうが良さそうな気がしたのでここでは短く済ませたがさすがにアンカーすらつけないのは端折り過ぎだったかもしらん。


128:125
06/09/24 16:32:31 GiPhommB
それは失礼した。こちらも脊髄反射的にレスしてしまった、すまん。
でも、アンカー無しだと流れ的にそう見える事はわかってくれ。

129:124
06/09/24 16:43:16 wp4EGKt7
了解。以後気をつける。こちらこそ短慮だった。すまん。

130:名無しさん@ピンキー
06/09/24 22:04:32 UerN5+9S
>124>125
素直クールはスレ違いだ

131:名無しさん@ピンキー
06/09/24 22:25:10 z/1gnOQu
これからしおらしくなるんだよ、きっと。

132:名無しさん@ピンキー
06/09/25 14:19:39 oMVwyyF2
喜多さんキター

133:名無しさん@ピンキー
06/09/29 18:22:37 o7muEZid
最近過疎気味?

>>132
相変わらずエロかったな。

134:名無しさん@ピンキー
06/10/02 20:49:45 gcqEZ9ED
この状況はただごとじゃねぇぜ。

135:名無しさん@ピンキー
06/10/02 23:13:07 xMjgzPdE
ここも淋しくなりましたね…
ちょっとしたものを妄想力を集めて考えてみます。

136:名無しさん@ピンキー
06/10/03 02:57:50 MP3miRzW
>>135
俺らにワッフルパワーを分けてくれ!
期待してるぜ!!!

137:名無しさん@ピンキー
06/10/03 08:12:24 ILDadWIB
今はスレッドが強気に出ているだけだと脳内変換していた俺天才

138:名無しさん@ピンキー
06/10/03 13:26:37 5lphPwNS
>>137
その発想はなかったw

139:名無しさん@ピンキー
06/10/03 17:43:34 mvNwDLEp
>>137
ツンと言わずに強気と言うお前にスレ住人としての漢を感じた

140:135
06/10/04 21:42:22 EdFCjJ6N
今夜中にでも投下しようと頑張ったんですが妄想が止まらず、かなりの長編になりそうです。

短くまとめる文才がほしい…チクショー!


141:名無しさん@ピンキー
06/10/04 22:02:11 UdokSKok
長くてもいいと思うよ。とりあえずyou投下しちゃいなyo

142:名無しさん@ピンキー
06/10/04 22:21:38 vksehav5
長い文章が書けるのはそれだけでも才能だ。存分にやりたまえ。

143:名無しさん@ピンキー
06/10/05 14:54:40 sUoaVVmb
長編と聞くだけでwktkするものだ。
全裸だと風邪引くので褌締めて待ってますね。

144:名無しさん@ピンキー
06/10/05 15:03:47 z4TgPmKK
今のうちにバイト行ってきます。
大学四年の後期という時期に、シフトを増やしてくれといってきたオーナーを恨みながら。

145:名無しさん@ピンキー
06/10/05 16:23:51 4iU9esiI
>144
そのオーナーは美少女だな!
「もう会えなくなるから最後いっぱい一緒に居たかったの・・・
 私のここにいっぱいあなたの思い出を頂戴・・・」
こういう展開が待ってるんだな!


146:名無しさん@ピンキー
06/10/05 18:06:57 8aBX/siy
>>113
そういうのって拍手でやるべきなんじゃなかろうか

147:名無しさん@ピンキー
06/10/05 22:47:50 RPzl8eNf
>>146
2週間前のレスに今更噛みついてどうするつもりなんだ?

148:135
06/10/06 01:03:08 dlVTNq7l
ある程度まで書けたんですがエロまで持っていけず、エロ無しが嫌な方はスルーしてください

149:ツクバ薪割り  ◆k8fXz6W8GA
06/10/06 01:03:53 dlVTNq7l

午後7時。仕事帰りにほか弁買い、ビールも買って帰宅する。明日は休みだからゆっくりと飲めるな。
仕事上次の日に酒が残っていたらまずいので、仕事の前の日には飲まないことにしている。
二日酔いで飲酒運転と言われたら嫌だからな。そうだ、酒のあても買わなきゃな。
近所のコンビニに行き、柿ピーとさきイカを買うことにした。
商品を手に取りレジに行こうとしたがあることを思い出す。
もしかしたらアイツ、今日も来てるんじゃないのか?念のためにカリカリ君も買っていくか。
買い物籠に百円のアイスを二人分入れて買い物を済ます。
買い物袋をぶら下げて部屋へと着いた時、ドアの前に人が立っているのが見えた。
はぁ…やっぱりいたか。変な奴に懐かれちまったなぁ。
「お前、何時から待ってたんだよ。今日はもう遅いからすぐに帰れよ」
文句を言いながら部屋の鍵を開ける。
「…嫌よ。今日は泊まっていくから」
「はぁ?お前何言ってんだ?本なら好きなだけ貸してやるから持って帰って読めよ!」
オレの言葉を無視してドアを開け、勝手に部屋へと入っていく。
そのまま本棚へと直行し、数冊の小説を取り出し卓袱台に座る。
コ、コイツ、オレの部屋をなんだと思ってるんだ?説教したる!
「おい桃子!お前いい加減にしろよ!ここは図書館じゃ…」
「…うるさい黙って。読書中に話し掛けられるのはキライ」
な、な、な、な…ブチッと切れたオレは一度部屋を出て、隣の部屋のドアをノックする。
中から出てきたのは眼鏡をかけた大学生。オレとは結構仲のいいお隣さんだ。
「あれ?江口さんどうしたんで…あががががが!」
問答無用でコブラツイストをかける。
「健一ぃ!お前の友達は何なんだよ!毎日毎日暇さえあればオレん家に来て本を読んで…どうなってんだよ!」
五分ぐらい技を決めていたら動かなくなった。
メンドクサイので玄関に置いたままドアを閉める。ふぅ~、すっきりした。
怒りも少し落ち着いてきたので自分の部屋に戻ることにした。
…靴下を脱いで、くつろぎながら本を読んでやがる。なんで柿ピーを勝手に開けて食べてるんだ?
勝手に紅茶まで作ってやがるし…もう一度部屋を出る。
再度隣の部屋のドアを開け、まだ少し痙攣している健一をキャメルクラッチで締め上げる。
「確かに何時でも遊びに来ていいとは言ったがひど過ぎるだろうが!」
ギリギリと締め上げたら泡を吹き始めた。うわっ、汚ねぇな!お前はカニか!
汚いから泡を吹いたまま放置することにした。海へ帰れ、このくそカニが!
カニの頭を叩いてから再度部屋に戻る。…はぁ~、いい加減にしろよ?何勝手にオレのジャージ着てるんだよ!
くつろぐにも程があるだろうが!はぁぁ~、もういいや。まずはメシだメシ!
腹が減ってるので弁当にがっつく。そんなオレをじっと見つめてきた桃子。
「江口さん…好き」
潤んだ瞳で見つめてくる桃子。コイツ…のり弁も好物だったのか?
「……これで我慢しろ。何でも貰えると思うなよ」
こういう事もあろうかとカリカリ君を買ってきたんだ。
嬉しそうにカリカリ君を頬張る桃子。こうして見てるとカワイイんだがな。
コイツはオレが何か食っていると必ず好きだと言ってくる。食い物を分けてもらう為だ。
まったく…綺麗な顔して食い意地のはった奴だな。
初めて会った時はこんな変わった奴だとは思わなかった。
コイツの第一印象は、物静かで神秘的な美少女だった。
それが今や…ジャージを着てカリカリ君を頬張ってるんだからな。
人間見た目じゃ分からないな。
コイツ…神楽桃子(かぐら とうこ)との出会いを思い出す。



150:ツクバ薪割り  ◆k8fXz6W8GA
06/10/06 01:04:24 dlVTNq7l
オレ…江口翔馬(えぐち しょうま)はこの春大阪から転勤してきた三十歳男。
彼女は右手、愛人は左手というナイスガイだ。
そんなオレがコイツと…オレのジャージを勝手に着込み、
カリカリ君を頬張りながら小説を読んでいる、神楽桃子と知り合ったのは夏が近づく六月だった。
きっかけは隣に住む相川健一(あいかわ けんいち)に友達と遊びに行くので車を貸してほしいと頼まれたことだった。
貸してもいいがまずは運転技術を見せてみろと隣に乗り、運転をさせたんだが…教習所は何を教えてるんだ?
車という物はだな、運転する人によっては凶器にもなるんだぞ?貸す前に気付いてよかったぞ。
で、お前には危なくて貸せないと言ったら、じゃあ江口さんも一緒に行きましょうよと誘われた。
今思えば最初からオレを運転手として連れていこうと企んでたんじゃないのか?
まぁその日はオレも休みで、恋人と愛人を相手に3Pをするぐらいしか予定も無かったからOKを出したんだ。
で、待ち合わせ場所に行って焦ったよ。
そこには健一を含め、男3、女3の計六人がいたんだ。
しかもその女三人ってのが全員が美人!
一人は金髪でスーパーモデルのような美人!いわゆるパツキンだ。洋物も好きなオレには堪らなかった。
で、もう一人が黒髪で真面目そうな巨乳美人。メガネがポイントだな。
そのメガネにオレの自家製メガネクリーナーをぶっかけたいと思ったもんだ。
最後の一人がその表情に神秘的な印象を受けた、ショートカットのスレンダー美人だった。
…あの時は見た目に騙されたな。まさかカリカリ君をたかりに来るようになるなんて想像もしなかったぞ。
で、金髪美人の車と(外車でオレの愛車三台は買えるんじゃないのか?)
オレの自慢の国産セダンタイプの愛車に分かれて湖までドライブとなったんだ。
オレの愛車にはオレ、健一、桃子の三人が乗った。何故かジャンケンで勝った奴等がこっちを選んでいた。
負けた三人は金髪美人…シーリス・A・ラインフォード(どっかの国と日本のハーフらしい)の方にうな垂れながら乗った。
後で聞いたんだがあっちの車に乗った奴等はカップル同士だったんだと。
シーリスと付き合っているのはおとなしそうな青年、山薙俊(やまなぎ しゅん)。
信じられんがシーリスがベタ惚れらしい。おとなしそうな顔してとんでもない物持ってるのか?今度確かめないとな。
で、メガネっ子で巨乳ちゃんの本条マヤ(ほんじょう まや)には佐伯正吾(さえき しょうご)。
お互いウブで、見ていたら背中が痒くなる様な付き合いをしている。お前等中学生か!
で、余り物の健一と桃子を乗せたんだが…最初はラッキーだと思ったよ?
だって彼氏無しの美人がオレの車に乗ってきたんだぞ?健一をどこかで抹殺しようかと本気で考えたモンな。
しかしな…すぐに分かったよ。なんで男がいないのかを。
桃子はちょっとズレてるんだよ。まず食欲がおかしい。
普段はあんまり食べないけど、自分が美味しいと思ったものはどんどん食う。
オレはそれを知らなかったから、サービスエリアで「奢ってやるから好きなだけ食えよ」と言ってしまった。
サービスエリアで食う焼きそばって何故かうまく感じるよな?
ソフトクリームも美味しいんだよ。運転で疲れた頭がスッキリするんだ。…薦めた俺がアホだった。
初めてだ。サービスエリアで5000円も食い物の代金を払ったのは。
内4000円が桃子の胃袋に納まった。その細い腹のどこに入ったんだ?
後で健一に聞いたら、桃子の胃は東洋の神秘と言われてるらしい。そういう大事な事は最初に言えよ!
まだまだ食い足りない様子の桃子に、その場しのぎでカリカリ君を食わせてやった。
どうやらカリカリ君が気に入ったらしい。おかげで今だにねだって来る。もう10月だぞ?



151:ツクバ薪割り  ◆k8fXz6W8GA
06/10/06 01:04:57 dlVTNq7l
シーリス達から遅れる事30分、オレ達も目的地の湖に着いた。
なんで桃子たちがオレの車を選んだか分かったよ。…飛ばし過ぎだろ?
よく捕まらなかったもんだな。警察は一体何をやってんだ?
遅れて着いたオレ達を俊と正吾が青い顔して迎えてくれた。
マヤちゃんは平気な顔をしていた。肝が据わってるな、女って見た目じゃ分からんな。
で、湖ではバーベキューやルアーフィッシング、テニスなどで遊んだ。
途中でオレは桃子がいないのに気づいた。
まぁ変なヤツだが子供じゃないんだし大丈夫だろ、ってほっといたんだ。
しばらくして他の連中(オレと健一を除く)はカップル同士でボート遊びなんてふざけた事をしだした。
残りモンのオレ達二人は、男同士でのボート遊びという名の罰ゲームをしたいはずもない。
まぁオレ達はお互い釣りが趣味だからバス釣りでもしようかと思ったんだが、
一応年長者としては、残りの一人が気になったんだ。
で、探したら木陰で本を読んでいた。
実はオレって昔は小説を読むのが趣味で、中学時代は毎日読み漁っていたんだ。
だから気になって『何を読んでいるんだい?』と爽やかに話しかけた。
…無視だぞ?車を出してやったうえに、さんざん奢ってやったのに無視!
挙句の果てには「…邪魔」の一言。
…あったま来たねぇ。えぇ、グーで殴ってやろうかと思いましたよ。
けど、コイツが読んでる本のタイトルを見た瞬間、嬉しくなっちまったんだ。
だって今さら『銀英伝』だぞ?オレ、大好きでアニメのDVD、全巻大人買いしたぐらいだ。
実はオレが紅茶が好きになったのも主人公の一人の影響なんだ。
オレ、コイツぐらいの年の子が読んでるなんて考えもしなかったから、嬉しくなってつい話し込んじまったんだ。
で、その時言っちまったんだ。
『他にもいろんな本持ってるからいつでも遊びに来いよ』ってな。
普通、誘われても男の部屋に一人で遊びに来ないだろ?
しかも初めて遊びに来たその日から泊まっていかないだろ?
しかもコイツは本を読んでるだけだから会話は一切なし!
話しかけたら「…邪魔をするなら出て行って」だぞ?
オレの部屋だぞ?それに冷蔵庫は勝手に開けるし、紅茶は勝手に作る。もちろん洗い物等は一切しない。
ここまで好き勝手にされたら普通切れるよな?ブチッっといっちゃうよな?
けどな、オレも普通じゃないのかもしれん。やっぱり関西の血が流れてるからだろうな。
何故か『コイツ…メチャクチャおもろいやんけ』って思ってしまったんだよ。
それ以来、コイツが好き勝手してても口では怒っているが内心は『相変わらずおもろいやっちゃな~』で済ましてるんだよ。
まぁ、ホントに腹が立ったらさっきみたいに健一で発散してるけどな。
で、コイツ…神楽桃子とはその時からの付き合いだ。



152:ツクバ薪割り  ◆k8fXz6W8GA
06/10/06 01:05:47 dlVTNq7l
そんな桃子は今、柴田練三郎の時代劇小説『剣は知っていた』を読んでいる。
おお!これ、かなり面白かったんだよな!…話の内容は忘れちまったけどな。
大阪から暇つぶしのつもりで持って来た小説の山が、こんな形で役に立つとは思わなかった。
そんなことを考えていたオレに、本を読みふけっていた桃子が話しかけてきた。
「江口さん…紅茶おかわり」
………なめんなよ?
オレは紅茶のかわりに缶ビールを開け、桃子の口に流し込む。
もがく桃子の鼻をつまんで無理やり飲まる。飲んだのを確認し、そのまま頭を掴んでシェイク!シェイク!
しばらくシェイクした後に頭から手を離すとフラフラになった桃子はダウンした。
よし!これでコイツは二日酔い確定だ!
良い子の皆、お酒は二十歳になってからだよ?
じゃないとコイツみたいに惨めな酔っ払いになってしまうからね!
…18歳の桃子に無理やり飲ませるオレはまるで犯罪者だな。
ま、いいや。これで大人しくなるからぐっすりと寝れるな。
さすがにこのまま寝かせとくのは忍びないので毛布をかけてやる。う~ん、オレって優しいな。
さ~ってと、風呂に入ってさっぱりしてビールを飲んで寝るとするか!
オレは仕事で疲れた体と、桃子の相手をして疲れきった心を癒すため、ゆっくりと風呂に入ることにした。



「で、どうだったの?アンタ、また泊まりに行ったんでしょ?今度こそうまくいったの?」
大学近くの喫茶店。私達の指定席に座るなり、シーリスが桃子に問い詰める。
講義が終わった帰り道、私とシーリスは桃子に告白の結果を確認する。
私(マヤ)とシーリス、桃子の三人は中学時代からの友達。
私達の間にはいろんな事があったけど、今では二人とも大切な親友。きっと二人もそう思っているはずよ。
「ええ…プレゼントも貰ったし、お酒も一緒に飲んだわ。これで私達、恋人同士なの?」
おぉ~!やったじゃん、おめでとう!とシーリスが驚きの声を上げる。
OK貰ったの?スゴイ!やったね桃子!おめでとう!…って、ねぇ桃子、そのセリフ今まで何回も聞いたわよ?
「ねぇ桃子、プレゼントってなに貰ったの?」
今までのパターンからすると、多分あれじゃないかな~って思いながら聞いたの。
「………カリカリ君」
ポッと頬を染め、恥ずかしそうに言う桃子。
やっぱりそうなのね。毎回毎回なんで江口さんはカリカリ君を持ってるの?
それにカリカリ君を貰って喜ぶ桃子も桃子よ!
一言言おうと桃子を見てみる。まだ頬を染めているわ。
もう!可愛いじゃないの!なんで江口さんはこの可愛さが分かんないの?
「はぁ~…じゃ、一緒にお酒を飲んだっていうのも、無理やりビールを飲まされて頭シェイクされたんでしょ?」
「ええ、そうよ。何故知ってるの?」
シーリスの言葉に首をかしげ、何故?って顔をしている。あ~もう!可愛いじゃない!
「で、朝起きたらフローリングの床に毛布一枚で寝てたんでしょ?…はぁぁ~ダメだこりゃ」
予想通りの結果にため息をつき、肩を落とすシーリス。私もそれに倣ったわ。
「…二人ともどうしたの?」
私達が何故肩を落としたのか分からない桃子。
私とシーリスは視線を合わせ、大きなため息を吐く。
「ま、気長に行こっか。時間をかけたほうが手に入れたときの喜びが大きいからね」
「ふふふ…ねぇシーリス、それは実体験なのかな?あなたも山薙君落とすのに4年もかかったもんね」
「うっさいのよ!アンタも3年かかったじゃないの!」
「…じゃあわたしは5年もかかるの?その頃には江口さんは35歳…おっさんはイヤ」
桃子の言葉に顔を見合わせ、つい笑い出す私達。
桃子はキョトンとしている。もう!すっごく可愛いじゃないの!
笑いながらも私達はこの不器用な親友の恋をこれからも応援しようと誓ったわ。





153:ツクバ薪割り  ◆k8fXz6W8GA
06/10/06 01:07:17 dlVTNq7l
今回は以上です。


154:名無しさん@ピンキー
06/10/06 01:21:58 UE4t2WP8
リアルタイムで誰よりも早くGJ!
これはwktkが止まらないぜ!



>オレの自家製メガネクリーナーを
江口軽く氏ねwwwwww

155:名無しさん@ピンキー
06/10/06 01:24:01 YHzFaSHN
>>153
乙にござりまする。
今までのシリーズとは独立してるみたいだ。
続きを楽しみにしてます。

156:名無しさん@ピンキー
06/10/06 01:24:40 PNsJ7S2y
乙です。続きが楽しみ~



>彼女は右手、愛人は左手というナイスガイだ。
>まぁその日はオレも休みで、恋人〔右手〕と愛人〔左手〕を相手に3Pをするぐらいしか予定も無かった

全俺が泣いた

157:名無しさん@ピンキー
06/10/06 01:32:14 1s9R+wXj
ツクバ氏はなんでこんなに何気なくノリノリの文章を書けるんだろうなー

激しく期待大であります!

158:名無しさん@ピンキー
06/10/06 01:55:41 qhYn+T71
イイ!!ほんと続き期待してます。

ただ、なんだろう…桃子と江口、こんな二人なんか懐かしい


159:名無しさん@ピンキー
06/10/06 11:08:24 VfWRdj+6
>お前等中学生かぁ?たいがいにしとけよ!
吹いたwwww

160:名無しさん@ピンキー
06/10/06 13:47:05 R1mSXMvl
柴田練三郎の最高傑作は「運命峠」である。

161:名無しさん@ピンキー
06/10/06 18:35:43 YxAs0n9q
神だ…!
ようやく神と…!!

162:名無しさん@ピンキー
06/10/07 16:29:48 X79YRuIn
これはいい

163:ツクバ薪割り  ◆k8fXz6W8GA
06/10/07 23:16:01 FvYHEeDr
続きを一気にに書きました。投下します。

164:ツクバ薪割り  ◆k8fXz6W8GA
06/10/07 23:16:33 FvYHEeDr
「ねぇ正吾、聞いてるの?どうして江口さんって桃子の気持ちに気づかないのかなぁ…」
箱から袋を一つ取り出しながら話しかける。正吾は「…さぁ」と気のない返事。
ちょっと、私の親友の話よ?しっかり聞きなさい!
「もう!さっきからボーっとして、私の話ちゃんと聞いてるの?なにボーっとしてるの…よ!」
正吾のアソコを鷲づかみにする。あ、出したばかりだからカウパー液が付いたままね、綺麗にしなきゃ。
「うぅ…ち、違うって!うを?は、話しを聞いてないんじゃな…んぁ!ま、まだ咥えないで…うお!」
小さく萎んでた正吾のが、口の中で大きくなってきた。
フフフ…私、この大きくなっていく瞬間が大好きなの!
よっぽど感じてるのか、お尻も人差し指をギュギュッと締め付けてきたし…
大きくなった正吾を喉の奥まで飲み込み、亀頭を喉で締め付ける。
その間にも睾丸を左手で優しく揉み、右手人差し指でお尻を犯してあげる。
「マ、マヤ…ちょっと待って!そんなにされたら、またイッちまうって!」
それは困る。慌てて口を離し、袋を破り、コンドームを装着してあげる。
「な、なぁマヤ。今日はもう止めにしない?いくら俺でも4連続は…ってなにしてんだ?」
「なにって…今度はこっちに入れてね」
四つんばいになり、自らお尻を広げて正吾に見せる。
今日の為に腸内洗浄もしてきたし、アナル用の小さなバイブも入るようにしてきた。
後は初めてを正吾に奪ってもらうだけ。
「シーリスがね、こっちも山薙君にあげたって威張ってたの。ちょっと怖いけど負けたくないじゃない?
『アタシの愛は無限よ!だから俊にはなんでもするわ。ま、真面目なマヤには無理な話だろうけどね。
アンタには少し過激すぎる話だったかなぁ~?』って威張るのよ?
…私の愛のほうが大きいのよ!正吾!だから私のお尻、あげるわ!
初めてだけど、ある程度慣らしてるから入れても大丈夫だと思うの。だから遠慮しな…ヒィ!」
メリメリとお尻の中に突き進んできた正吾。
う、嘘つき!シーリスの嘘つき!なにが『頭が真っ白になるくらい気持ちいいの』よ!
こ、こんなの痛いだけじゃない!
「い、痛い!痛いいたいイタイ!ぬ、抜いて!正吾、お願い抜いてぇ!」
「ううう、凄い!マヤ、凄い締め付けだ!はぁはぁ、あう、このまま一気にいくぞ!」
「え?えええ!ウソ、もうヤメテよ!無理!無理無理無理ぃ!いったぁい…動かないでぇ!」
正吾は私の言葉を無視して一心不乱に腰を叩きつけてくる。
後ろからSEXは嫌いじゃない。むしろ犯されている感が大好きなの。
けど、これは…お尻は私には無理みたい。苦痛でしかないわ。
苦痛のあまりに薄れゆく意識の中思ったわ。「シーリスに負けた」ってね。
愛する人の為にこんなことまで出来るシーリスを尊敬するわ。
「マ、マヤ、もう出るぞ!…う、くおぉぉ!フッ、くお!」
うめき声と共に正吾の激しい動きが止まったその時、私の意識は闇に落ちて行った。


165:ツクバ薪割り  ◆k8fXz6W8GA
06/10/07 23:17:04 FvYHEeDr
「はぁはぁはぁはぁ…やっと失神したな。はぁ~、しんど」
うつ伏せで、尻を持ち上げたまま失神したマヤ。時折痙攣をしている。まるでなんかのAVを見ているようだ。
しっかしマヤのSEX好きも困ったもんだな。
俺、佐伯正吾の恋人、本条マヤには俺だけが知っている裏の顔がある。
それは…SEXが大好きだということ。
普段の俺達は、人前で手をつなぐのも恥ずかしがる純情カップル。
健一や江口さんには中学生以下だと笑われている。
そんな俺達も…いや、マヤは二人きりになると一変するんだ。
今日だって相談したい事があるって言われてマヤの部屋にきた。
部屋に入ったとたんに咥えられた。まずはそこで1回。
で、シャワーで汗を流しましょ?と、何故かコンドームを持ちながらマヤが言ってきた。
案の定シャワーを浴びながら2回目。ベットで俺が攻めて3回目。
最後は初めてのアナルSEXで4回目。…もう粉しか出ないぞ。
初めて会った頃はこいつとこうなるとは思いもしなかったな。
マヤとの出会いは中学2年の時。
俺と俊と健一、神楽にマヤは同じ中学だったんだ。
で、中2の時に全員同じクラスになり(俺達男3人組は小学校からの仲間だ)知り合った。
神楽の印象は、何を考えてるか分からない、まるで人形みたいで少し怖い印象だった。
で、マヤの印象はというと…真面目な学級委員長。実際クラス委員長をしていたしな。
俺はマヤの事を、あまり融通の利かない堅物だと思っていたんだ。まぁ、実際そうだったんだけどな。
で、そんな真面目なヤツは、だいたいが頼りにされるか張り切りすぎで鬱陶しいと苛められるかのどちらかなんだ。
マヤは真面目すぎた。だからクラス中の女子から無視されだしたんだ。
男子もそれに倣った。殆どの男子もめんどくさい女だと思っていたらしい。
まぁ、神楽は最初から誰とも話をしていなかったから関係なかった。我が道を行ってたからな。
俺達ははっきり言ってそういう空気を読むスキルがなかったから、最初は虐めにも気がつかなかった。
いや、健一は気づいていたようだが、事なかれ主義で係わり合いにならないでおこうとしていたらしい。
で、俺はというと、そういう陰気な事が大嫌いだった。
俊も昔は苛められていたので虐めは絶対に許さないヤツだ。
しばらくして虐めに気づいた俺と俊は、マヤを擁護するために動き出した。
俺達二人が動くと、健一もついてくる。
結局クラスは俺達3人とマヤ、その他全員という感じに分かれてしまった。
その時に俊が、もとから孤立していた神楽に声をかけたんだ。「僕達と友達になろうよ」ってな。
まぁそれが後々俺達の間で伝説に残る『シーリスVS神楽 どっちが山薙俊を看病するかガチンコファイト』
につながったんだった。あれはDVDで撮っておけば金になったと思う。
結局は二人を止める為に乱入し、教科書の詰まった学生カバンで二人を張り倒したマヤに軍配が上がったんだけどな。


166:ツクバ薪割り  ◆k8fXz6W8GA
06/10/07 23:17:38 FvYHEeDr
話は逸れたがクラスを二分した状況は、結局シーリスが転校して来るまで続いた。
何故シーリスが転校してきて収まったかというと…あいつが強烈過ぎたんだ。
あいつに対抗できるのはマヤしかいないと、他の奴等もマヤに頼るようになった。
あん時のマヤの嬉しそうな顔は忘れられないな。
で、その時の事が原因でマヤがSEX好きになったんだ。
俺も付き合いだしてから聞いたんだけど、あの頃には相当なストレスが溜まってたらしい。
そりゃそうだ。俺達みたいに鈍感じゃないやつが、周りから無視されるのはツライよな。
で、ストレス解消の手段が…オナニーだったんだと。
最初は何も考えずにやってたけど、俺達が味方になってからは何故か俺の事を思いながらしてたらしい。
で、しばらくして気づいたらしい。…俺のことが好きなんだって。
俺に抱いて欲しい、俺にメチャクチャに犯されたい!そう思うようになったんだと。
そういや途中から俺に対する態度が厳しくなったよな。
健一に言わせると「委員長の態度はまるで小学生が好きな子を苛めてるみたいだった。バレバレだったよ」だと。
クラスの大半が気づいてたらしい。気づいてないのは俺に俊、あと神楽ぐらいじゃなかったのかな?
そんな関係が3年ばかり続いたんだ。
その3年間の間でマヤはどんどん綺麗になり、男子に人気も出てきた。
週に一度は告白されるようになり、俺からしたら高嶺の花になってしまったんだ。
そんな状況に、このままじゃマヤが知らない男の物になってしまう!何故かそんな風に俺は焦りだしたんだ。
それで俺はやっと気づいたんだ。俺はマヤが好きなんだって。
真面目で厳しく、けど優しいマヤが好きなんだって。
で、高2の夏、俺から告白した。
絶対に無理だと思いながらも、やっと気づいた自分の気持ちを止める事が出来なかったんだ。
かなりの覚悟で告白したんだ。マヤとの友達関係が終わってしまうのも覚悟しての告白だったんだ。
結果は…まぁ今に至るわけだ。

そんな俺の恋人は、まだうつ伏せで失神してる。
俺はマヤをきちんとベットに寝かせ、乱れた髪を手で撫でる。
ははは、江口さんが俺達がすでにこんな関係になってると知ったら驚くだろうな。
前に『お前の自家製美肌パックをぶっ掛けるぐらいの男意気を見せなアカンぞ』と言われたけど、
それは既に初体験の時にやっちゃってるんだよな。
江口さんに教えたいけど、それは出来ない。
俺達のことは二人の秘密なんだ。俺は別にいいんだが、マヤが恥ずかしがって嫌がるんだ。
俺は絶対に秘密を守る男だ。それが俺の美学なんだ。
だから実はシーリスがまだ俊に抱いてもらったことがなく、処女だってことも喋れない。
ていうか、喋ったら俺の命がヤバイ。これは洒落じゃなく、本当に命にかかわる事なんだ。
前に一度、マヤから『シーリスが俊にすごいSEXをしてもらってる』と聞いた次の日に俊に聞いてみた。
「お前、どうやってSEXまで持っていったんだ?」ってな。
そこから徐々に内容まで聞き出してやろうと思ったんだが、意外な答えが返ってきた。
『僕達はまだそこまでいってないよ!』と真っ赤な顔で怒鳴られた。
俊はウソがヘタだ。どんなウソでも100%バレる。鈍感な俺が気づくぐらいだから間違いない。
マヤから聞いた話と食い違うので、シーリスにも聞いてみたんだ。そしたら
『アンタ、その事は墓まで持って行きなさいよ。…もし誰かに喋ったらアタシが持てる力の全てを使って潰すわ。
アンタだけじゃなく、アンタの親、兄弟、親戚…血のつながりのある人全部を叩き潰すから。
これは冗談じゃないわ、本気よ。長い付き合いだから分かってるわね?アタシが敵には一切の容赦をしない事を…』
…背筋がぞっとした。体中に鳥肌が出る、俺の本能が警告をした。『喋ったら人生が終わる』ってな。
要するにマヤがシーリスから聞いている俊とのSEX話は、全部ウソだ。
シーリスの作り話だ。シーリスが見栄を張っているだけなんだ。
なんでこんなウソをつくのかよく分からんが、シーリスのことだ。
どうせ『私と俊との愛は誰にも負けないのよ!』とか思ってるんじゃないのか?
別にSEXしたから勝ちとかじゃないんだがな。っていうか愛に勝ち負けはないだろうにな。


167:ツクバ薪割り  ◆k8fXz6W8GA
06/10/07 23:18:09 FvYHEeDr
「で、相談したい事ってなんなんだ?神楽の事か?」
気がついたら正吾に腕枕をされながら、頭を撫でてもらってた。
私、SEXも好きだけど、終わった後のこのまったりとした時間も大好きなの。
「ん~、なんで江口さんって桃子を彼女にしないのかなって思ってね。…もしかしてホモなの?」
お尻がズキズキと痛むのを耐えながら話す。こんな事が気持ちいいなんて…シーリスって凄いわ。
そんな私を気遣ってか、優しく撫でてくれる正吾。…嬉しいな。
「実はそうなんだ、相手は健一だ。ほら、あの二人って隣同士だろ?
いっつも二人で夜明けのコーヒー飲んでるらしいぜ?」
……へ?え、江口さんが…ホモ?
「い、いや~!!フケツ~!!非生産的だわ!」
正吾の口から江口さんに対しての信じられない情報が!
ダメよ!そんなの桃子が可哀想すぎるわ!
「お、おい、冗談だって。あの人バリバリの女好きだって!」
「せっかく桃子が山薙君以外の男の子を好きになったのに、そんなのヒドいわ!ヒドすぎるわ!」
こうしちゃいられない!シーリスと相談して何とかしなきゃ!
「お、おいおい、聞いてるのか?冗談だぞ?あの人ついこの間、風俗に行ってきたところだぞ」
早く何とかしないと、もしかしたら相川を捨てて正吾に……あれ?二人のSEXって少し見たいかも?
「お、おいおいおい、あの人隔週で裏DVD買ってくるような男だぞ?
ほら、この間一緒に見ただろ?『中出しファイターリベンジ編』。あれ、江口さんの趣味だぞ」
やっぱりダメ!正吾のお尻は私が貰うの!せっかく人差し指を入れても大丈夫なようにしたんだからね!
絶対に譲らないわよ!行くのなら山薙君に行きなさい!……山薙君?み、見てみたいわ。
「お、おいおいおいおい、あの人、どの裏DVD買うかで1時間も悩むような人だぞ?
しかも悩んでたのがエロアニメとロリコン物だぞ?結局両方買ってたけどな」
江口さんと相川君に無理やり犯される山薙君。
口には相川君のを無理やりねじ込まれ、後ろからは容赦なくガンガンと江口さんに突き上げられるの。
最初は嫌だと抵抗していた山薙君。でも徐々に高まってくる快楽には勝てなくて最後は泣きながら呟くの。
『シーリス、ゴメン。僕、もう君とは付き合えないよ。…これからは二人の性奴隷として生きていくよ』
とか言いながらイッちゃったりするの~!いや~!不潔すぎるわ~~!!
ってこんな妄想してる場合じゃないわね。
「正吾、私、シーリスと対策練ってくるから戸締りお願いね。…正吾のお尻は私が犯すのよ!」
「え?ちょっとマヤさん?最後の一言がすっごく気になるんですけど~~!」
何かを叫んでる正吾を置いて、シーリスの部屋へとタクシーを走らせる。
桃子…私達が絶対なんとかするから!悲しい思いはさせないからね!


168:ツクバ薪割り  ◆k8fXz6W8GA
06/10/07 23:18:42 FvYHEeDr
「ほら、見てみろこの腹を!お前もこのぐらい鍛えなきゃ女にモテないぞ?」
上半身裸になり、健一に鍛え上げた腹筋を見せる。
「おお~!江口さんスゴいっすね。やっぱりモテるんですか?」
「当たり前だろ?これを見せたらキャバクラ嬢に大モテだ。毎日メールが届いて大変だよ」
「う~ん、そんなにモテるのか~。おれも鍛えようかなぁ」
オレの割れた腹筋を見てうんうんと唸ってる健一。はっはっは!羨ましいだろ。
まぁ、そのモテモテメールがなぜか決まって『お店で待ってるね』で〆られてるのは秘密だ。
「桃子、お前も鍛えてる男のほうがいいだろ?」
桃子に問いかけるもコイツは相変わらず読書に夢中だ。
今日は…おお!『燃えよ剣』か!司馬遼太郎作の新撰組ものだな!
これは面白かったんだよ!土方の最後のセリフが感動モンだったんだ!
「なぁ桃子知ってるか?それ、昔テレ東で実写化されたんだぞ?土方役はなんとあの役所広司!あれはよかったぞ~」
「…江口さんうるさい。……紅茶おかわり」
……カッチンチン!ふざけんな!あったまきたぞ!
逃げ出そうとする健一を背後から捕まえる。
「お、おれ関係ないですやん!なんでおれでんねん!」
「お前のそのヘタな関西弁がムカつくんだよ!今日はジャーマン葬だ!」
「シャ、シャレになりません!」
投げられまいとうつ伏せになり、必死に抵抗する健一。
そんなことではオレ様のジャーマンからは逃げれないぞ?
こんなに騒いでても桃子は読書に夢中だ。
健一が終わったら次はお前だ、覚悟しとけよ。
オレは抵抗する健一を力で持ち上げ、四つんばいに近い状態にした。
その時玄関のドアが開いた。
あれ?珍しいな、マヤちゃんにシーリスじゃな…ゴバハァ!!
シーリスの『このホモヤロウ!』という怒声と共に放たれた右ミドルキックがオレの顔面を捉える。
吹き飛ぶオレ。薄れいく意識の中、健一の「た、助かった!ありがとうシーリ…ギャン!」という叫びを聞いた。
シ、シーリス、お前…赤いパンツ……だった………のか…ガフッ!

「健一大丈夫か?口から血が出てるぞ?やっぱり赤パンのシーリスのパンチは効いたのか?」
「いやいや、江口さんこそ大丈夫ですか?赤パンのシーリスの蹴りをまともに食らったですもんね」
お互いの怪我を気遣うオレ達。
オレが右ミドルキックで殲滅された後、健一は見事なアッパーで顎を砕かれたらしい。
オレは鼻血が止まらずティッシュを詰め込んでいる。
「ま、お互い赤パンのシーリスにやられてこの位ですんだのは不幸中の幸いだったな」
「ですよね。あの『アタシのパンツと同じく赤く血で染めるわ!』が決め台詞のシーリス相手にこの位で…
ゴ、ゴメン、悪乗りしすぎた!じょ、冗談だか…らハガぉ!」
何故かオレ達がホモだと勘違いしていたシーリスは、バツが悪そうにオレ達の嫌味にも耐えていた。
…ついさっきまでは。今はオレの目の前で健一を肉片へと変化させている。グラム2円ぐらいで取引されそうだな。
そんな光景を目の前に一つ背伸びをするオレ。窓の外を見てみる。いい天気だな。
さて…と。今日はいい天気だし、土下座でもするかな?
「ゴメンなさい、シーリスさん許してください。私が悪かったです、ゴメンなさい」
床に這い蹲るオレ。…くっそ~!なんでオレがこんな年下に土下座しなきゃいけないだよ!
だいたいオレと健一がホモってなんなんだ?誰がそんなガセネタ流しやがった!
女に土下座なんて、こんなの風俗店でのMプレイの時にしかやったことねぇぞ!
…あれ?この状況ってSMっぽくねぇ?相手は俊の女とはいえ、パツキン美女のシーリスだ。
こんな美人とプレイしようなんて、普通は金がいくらあってもできねぇぞ?
もしかしたらこれって美味しい状況なんじゃないの?
オレは必死になって今の状況をプラス思考へと考えた。
考えたところで状況が良くなるはずもなし。……はごぉ!ほ、ほらね?
土下座してるオレの後頭部にめり込んだシーリスの足が、オレの妄想を打ち砕いた。
ついでに意識も砕かれた。意識を失う寸前、桃子の声が耳に入ってきた。
「江口さん…紅茶まだ?」
…てめぇ少しは心配しろよ!オレ、死んじゃうぞ?…うごぁ!


169:ツクバ薪割り  ◆k8fXz6W8GA
06/10/07 23:19:14 FvYHEeDr
次の日、オレと健一がホモだというガセネタを流した犯人は、正吾だと判明した。
正吾からガセネタを聞いたマヤちゃんがどこをどう勘違いしたのかは知らないが、
何故かオレと健一の二人で、俊を無理やり犯そうとしてるってシーリスに言ったらしい。
で、それを聞いたシーリスが本当かどうかを確かめようとオレの部屋に来てみたら、
上半身裸のオレが健一を後ろから襲っていた。
それを見た瞬間、『こいつ等を殺らないと俊が犯られる!』と思ったらしい。
で、気がついたらオレの顔面にケリを食らわせ、健一の顎を砕いていたんだと。
そんな理由があるなら仕方ないよな?……んな訳あるか!このボケがぁ!
罰として、シーリスとマヤちゃんには、オレの愛車を洗車させた。ついでに桃子にも手伝わせた。
でだ。一番許せないのが、この惨事の元凶である佐伯正吾だ。ヤツにはとんでもない罰を与えてやった。
シーリスの目の前で、俊にキスして来いと命令したんだ。
もしかしたらコイツの初キスの相手が俊になるかもしれないが、そんなことは知らん!
何故かマヤちゃんも赤い顔して「し、仕方ないわね」と許可してくれたしな。
もちろんシーリスには秘密だ。
…ゴメンな、まさか奥歯を2本も折られるなんて思ってなかったんだよ。
ま、オレと健一も似たようなもんだし、いいだろ?な?わっはははは!……はぁぁ。
オレ、なんでこんな目に遭ってるんだろうな。
30歳だぞ?立派な社会人だぞ?一応部下もいるんだぜ?
それが18歳のガキ相手に、エライ目に遭って…なんなんだ?
……ま、いいか。これはこれで楽しいしな。
こいつ等と遊べるってことは、俺もまだまだ若いってことだ。
それに仕事上、いつまでここで暮らせるか分からないんだし、遊べるだけ遊んでやるか!
そんなことを考えていたオレに、桃子が話しかけてくる。
「江口さん……紅茶はまだ?」
はぁぁ…遊ぶ前にコイツを教育してやらんとな。
このままじゃオレみたいな立派な大人になれんぞ?
とりあえずオレは桃子の口に缶ビールを一本、流し込む事にした。



170:ツクバ薪割り  ◆k8fXz6W8GA
06/10/07 23:20:08 FvYHEeDr
「で、どうだったの?今度こそ上手くいったの?」
私に拳骨された頭をさすりながら、江口さんと進展があったのかを聞くシーリス。
確かに正吾の悪い冗談はいけないと思うけど、歯が折れるまで蹴る事ないんじゃないの?
今日は私の部屋に集合した。いつもなら喫茶店なんだけど…椅子に座れないの。
お尻でSEXしてから痛くて痛くて…ホントにシーリスを尊敬するわ。
いくら正吾を愛しててもお尻ではもうゴメンね。
ホントにシーリスって山薙君に全てを捧げてるのね。
「…ダメだったわ。告白する前に無理やり口の中に注がれたの。
飲みきれなかったからこぼして、顔中ベタベタになったわ」
シーリスの愛の大きさに感心していたら、桃子がとんでもない事を言い出した。
そ、注がれたって…無理やりに?い、いきなり顔にかけられたの?
た、確かに男の子は顔にかけるのが好きだけど…私も始めてのときはかけられたし。
でもあれは正吾がちょっと舐めただけで暴発しただけよ!
けど…そっか~。桃子もエッチ、しちゃったのかぁ。なんだか少し寂しいなぁ。
けどいきなり咥えさせるのはダメなんじゃないの?
桃子はそういう知識あまりないから、もしかしたら騙されただけじゃないの?
江口さんって酷い人なのね…許せないわ。
もし桃子を弄んだだけだったら、絶対に許さない!地獄に叩き落してあげるわ!
「はぁぁ~、また起きたら床の上に毛布一枚だったの?」
「えぇそうよ。…なんで知ってるの?」
いきり立つ私をよそに、話を進める桃子とシーリス。…え?何を言ってるの?
「え?え?ええ?ちょっと二人とも何のことを言ってるの?」
訳が分からない私にキョトンとした顔でシーリスが言う。
「は?何のことって…桃子がまたビールを飲まされて、床に放置されたって事よ。聞いてなかったの?」
…あぁ、そういうことね。口に注がれたって、あれじゃなくてビールの事か。
道理で急に話が進んだなぁって思ってたんだ。
「もう、桃子ったら驚かせないでよ。はぁ~、ビックリした。
桃子が口に注がれたって言うから、私てっきり江口さんに無理やりイラマチオをされちゃって口に出され…」
……はっ!しまったわ!つい口に出しちゃった!
二人とも目が点になっている。私が何を言ったのか分からないみたい。
「ねぇマヤ、イラマチオって…あれだよね?」
記憶の糸を辿っていたシーリスが答えを導き出したみたい。
「…あれって何?ビールを飲まされることをイラマチオと言うの?」
無邪気に聞く桃子。それにシーリスが答えようとした。…させないわ!
…バン!バンバンバンバン!
力いっぱいに机を叩く。何度も叩く。
「二人とも…今のは無しよ。もし誰かに少しでも話したら………いいわね」
ブルブルと震えながら頷くシーリス。桃子はまだ納得がいかないようね。
「ねぇ桃子。このことは3人だけの秘密ね?誰にも言わないでね、約束よ。分かった?」
桃子は約束を絶対に破らない。今まで何度か約束と言って口止めをしたけど、全部守ってくれている。
「…えぇ、分かったわ。イラマチオは3人だけの秘密…約束は守るわ」
コクンと頷く桃子。も~、なんて可愛いのよ!
ギュッと抱きしめたい感情をどうにか押さえる。
なんで江口さんはこの可愛さに気づかないのかな?
私が男だったら絶対に恋人にするのに…目が腐ってるんじゃないの?
「シーリスも分かった?……返事は?」
「わ、分かったわ!アタシは何も聞いてないし、何も知らないわ!」
ウンウンと激しく首を振るシーリス。ふふふ…分かってるじゃないの。
「じゃ、作戦考えましょうか?まずはどうやって江口さんに桃子の可愛さを分からせるかよね!」
私の言葉に頷くシーリス。桃子は赤い顔して頷いたわ。桃子、その仕草は反則よ!
私達に任せてね!絶対にくっつけてあげるからね!
私とシーリスは、この可愛くて不器用な親友の恋を絶対に実らせると心に誓ったわ。



171:ツクバ薪割り  ◆k8fXz6W8GA
06/10/07 23:21:58 FvYHEeDr
今回は以上です。

宣伝ですが一応自分のサイトもありますので暇な人は覗いてみてください。
URLリンク(tukuba.e-city.tv)

172:名無しさん@ピンキー
06/10/07 23:44:04 qimAtlQu
普段は真面目なアイドル委員長、二人の時はエロエロか。
至高だな。いや究極だな。グッジョブ!

173:名無しさん@ピンキー
06/10/07 23:53:36 vO04gk+U
桃子が可愛すぎてルパンダイブしたくなった!
どうしてくれる!責任取れッ!GJ!

174:名無しさん@ピンキー
06/10/08 09:09:20 ZOZ1wry/
今っ、まさに今っ!!!
私の目の前には、あんまーーーーいワッフルがテンコ盛り状態!!!
もう、食べ切れません!!!

こうなった後は、『紅茶怖い』でFA!!!

175:名無しさん@ピンキー
06/10/08 14:12:39 FBnNetRj
新婚スレはノーチェックだったなぁ……宣伝付きでもGJ!
気持ちだけですがワッフルも置いていきますね

つ#

176:名無しさん@ピンキー
06/10/08 16:02:01 kd/omKVP
アホな俺はキャラが多すぎて把握できんかった

しかし桃子には悶えた

177:名無しさん@ピンキー
06/10/09 15:39:13 auofq+u8
正直オレもキャラ多いなーとは思った。


だが悶えた。

178:名無しさん@ピンキー
06/10/10 00:59:30 +3jmoHo1
でも7人くらいだからまだ把握できてる。

179:ツクバ薪割り  ◆k8fXz6W8GA
06/10/10 21:43:36 JnJg4O+d
続きが書けましたので投下します。
メチャクチャ長いです。2回に分けて投下する事にします。
本当に短くまとめる文才がほしいです。

180:ツクバ薪割り  ◆k8fXz6W8GA
06/10/10 21:44:07 JnJg4O+d
「シーリス…正吾にちゃんと謝ったの?いくらなんでもあれは酷いと思うよ?」
俊との記念すべき200回目のデート。今日こそは…絶対に決めるわ!
「ねぇ聞いてる?…はぁぁ、少しは僕の話も聞いてよ」
まずは第一のトラップ!『寄せて上げて詰めた胸での誘惑』作戦よ!
ドーピング上等!今日のアタシは2段階、レベルアップしているわ!
この作り上げたEカップの胸で、窒息させてあ・げ・る。
むに…胸を押し付けるように腕を組む。
どう?マヤと同じサイズまで作り上げたこの胸で、アンタを虜にして見せるわ!
「他にも健一と江口さん相手に暴れたって聞いたよ?女の子なんだから暴れちゃダメだよ。
もし怪我でもしたらどうするの?僕…そんなの嫌だよ」
くっ、胸の効果はないみたいね。それよりアタシのことを心配してくれるなんて…キュンとくるじゃない!
アタシより少し背が高くなった俊の横顔を見る。……シュン~~!
「う、うわ!シーリス人前でなにす…んぷ!」
我慢できずに抱きつきキスをする。好き好き好き好き!だ~いスキ!
記念すべき452回目のキス。そして今日こそは…始めて二人が結ばれる記念日になるのよ~!
「ン…ンプ…ぷはぁ!はぁはぁはぁ、シ、シーリス!いい加減にしないと怒るよ!」
夢中でキスするアタシを無理やり引き剥がす俊。もう!なんでなのよ!
「僕、前から言ってるよね?こういうことって1回1回を大事にしたいって。
だから、ね、シーリス。もう無理にこんな事しちゃ嫌だよ?
シーリスだって僕に無理やりされたら嫌でしょ?」
「はぁ?アンタ何言ってんの?アンタにだったら無理やりも何もないわ!いつでもウェルカム、OKよ!」
ここが勝負時ね!寄せて上げた胸をさらに二の腕で寄せて見せ付ける。
「アンタにだったら…どんな事をされてもいいわ。アタシ、あんたのものだから。好きにしていいわよ」
…どう?どうなのよ!シーリス様、一世一代のセクシーアピールよ!股間にキュンと来たでしょ?
さあ、抱きなさい!貪るように抱くがいいわ!
「シーリス…その胸どうしたの?すっごく違和感あるよ?」
…わっけわかんない!なんでそんなリアクションなのよ!信じらんないわ!
この絶世の美女でスタイルバツグン!しかも個人資産10億円もあるアタシのアピールを無視!なんなのよ!
「僕は…普段のシーリスが好きだな。勝気で我が侭で、でも優しくて…そんなシーリスが大好きなんだ。
だから、ね。無理しなくていいよ。それに…巨乳好きじゃないしね」
ガ~ン!しゅ、俊って胸にはこだわらない男だったのね。
今まで打倒マヤで努力してたアタシは何だったの?バストアップ体操に費やした時間を返して欲しいわ。
とりあえずは…第一のトラップは失敗ね、悔しいけど。
けど、まだまだよ!次で決めるわ!続いて第二のトラップ発動!
『デートで歩き回ったら偶然ラブホの前!「疲れちゃった…アタシもう歩けないの」…そのままラブホで休憩!』作戦よ!
さぁ、ベットの上で疲れ果て、アタシの胸に抱かれ眠るがいいわ!


181:ツクバ薪割り  ◆k8fXz6W8GA
06/10/10 21:44:38 JnJg4O+d
「今日営業周りしてたら、ラブホ街から俊とシーリスの二人が出てくるの見たぞ。
シーリスがおんぶされてたということは…足腰立たなくなるまでやったのか。あいつ等すげぇな」
相も変わらずオレの部屋に入り浸っている桃子に話しかける。
…返事がない、無視を決め込んでいるようだ。って、やっぱり無視かよ!
ところで今日は何を読んでるんだ?おお!ファンタジー小説の『ロードス島戦記』か!これもよく読んだよな。
「なぁ桃子、それもテレ東でアニメ化されたことあるんだぞ、知ってたか?」
オレの問い掛けにも桃子は何も答えない。また無視かい!ま、もう慣れたからいいけどな。
「そういやお前とシーリスってなんで友達になったんだ?お前等の性格って540度ぐらい違うだろ?」
そうなんだよ、前から不思議に思ってたんだ。
無口な桃子と武闘派シーリス、接点がまったくなさそうなんだよな。
性格なんて180度どころじゃなく、一週半ぐらい違うだろ?
「…一度喧嘩したの。大喧嘩。…結局はマヤが勝ったわ」
おお!珍しく質問に答えてくれたぞ!…ってあのシーリスと喧嘩した?結局はマヤちゃんが勝ったって?
「よく分からんが…喧嘩して仲直りしてからの友達ってことか?」
コクンと頷く桃子。なんだ、コイツも青春らしいことしてたんだな。
「そうか~、喧嘩したんかぁ。あれか?やっぱ喧嘩は河川敷でやったのか?
夕日をバックに最後はがっちりと握手をして友情を確かめあったんだな?
最後にマヤちゃんが勝ったってことは三人で喧嘩したのか?」
フルフルと首を振る桃子。
「違うのか?桃子とシーリスがケンカして、最後にマヤちゃんが勝つってのがよく分からんが…ま、いいや」
冷凍庫からカリカリ君を一本取り出す。
「ほい、面白い話を聞けたお礼だ。これでも食えよ」
嬉しそうにほお張る桃子。アイス一本でここまで喜ぶとは…近頃の女に見習わせたいな。
なぁにが「ヴィトンのバックがほしい~!」だ!キャバ嬢のくせに生意気だ!
2,3回店で会っただけでなんでそんな高いもんあげなあかんねん!アホちゃうか!
あれ?そういや桃子とこんな話をしたのは初めてだな。
「お前とこんな話をしたのは初めてだな。いい機会だからもっと話し合うか?
オレ等って結構長いこと一緒にいるけど、あんまりお互いの事知らないからな」
オレの提案に、目をまん丸にして驚く桃子。こうして改めて見るとやっぱり可愛いいな。
「まずは言いだしっぺのオレからな。え~、名前は江口翔馬、歳は30歳。最終学歴は府立高校卒の高卒だ。
サラリーマンで営業をやってる。彼女は……。趣味はだな、スポーツ観戦かな?主に野球や格闘技をよく見るな」
食い入るようにオレの話を聞く桃子。そ、そこまで真剣な顔をされると照れるな。
「で、今年の春に社命でこっちに来た訳だ。そこで隣に住む健一と知り合い、お前等と知り合った。
ま、最初はこんなとこかな?はい、次は桃子の番だぞ」
「……彼女は?そこが抜けていたわ」
よりによってそこに食いついたのか…勘弁してくれよ。
「言わなきゃダメ?」「ええ、ダメよ」
即答する桃子。おいおい、なんでそこまで食いつくんだ?
「くっそ~…分かったよ、教えてやるよ!…右手だ。オレの恋人は右手だよ!理由は聞くなよ?泣いちゃうから。
何故右手が恋人か知りたかったらマヤちゃんにでも聞くんだな。それより次はお前の番だぞ」
「マヤに聞いたら分かるの?…分かったわ、マヤに聞くわ」
納得がいかないのか小さく首を傾げていた桃子は、そう言って本に目を落とす。
おいおい、オレだけに話させるなんて許さんぞ!
「桃子、今度はお前の番だろ?さっさと話せよ」
「…私はいいわ。話すの苦手だから」
「だからだっての!お前なぁ、いつまでも苦手ですむ問題じゃないぞ?お前もいつかは絶対に社会に出るんだ。
それまでにきちんと話して、自分の意思表示を出来るようにならなあかんぞ?」
そう、実はこれが目的なんだ。桃子は口下手で話すのが苦手だ。
今は周りにシーリスやマヤちゃん達がいるからどうにかなってるが、社会に出るとそうはいかない。
今のままでは社会に出ても対応できず、エライ目に遭うのは目に見えている。
なら今のうちにきちんと社会に出れるようにしてやるのが大人の役目だ。う~ん、オレって大人してるな!
オレの言葉に小さく頷き、ポツリポツリと話し出した桃子。
いいぞ、その苦手な事を克服しようとする最初の一歩が大事なんだ。
後でもう一本、カリカリ君食わせてやるからな。


182:ツクバ薪割り  ◆k8fXz6W8GA
06/10/10 21:45:12 JnJg4O+d
はぁぁぁぁ~…俊のばかぁ。なんで抱いてくれないのよぉ…
アタシ達、付き合いだしてから一年も経ってるのよ?
ラブホの前で疲れたとウソをついたアタシを、おんぶで家まで送ってくれるなんて…はぁぁぁ。
なんの為の勝負下着だったと思ってるのよ!けど…俊の背中って結構大きかったなぁ。
「…リス!ねぇシーリスどうしたの?ストローでずっと空気をブクブクと吐いてるけど何かあったの?」
へ?あっといけない!作戦会議中だったわ!
いつもの喫茶店でいつも通りの江口攻略作戦会議。
けど今日はいまいち気分が乗らないの。もちろん桃子の恋は応援するわ!全力でね!
けどね…アタシの恋がうまくいってないのよねぇ~、はぁぁぁ~。
「いったいどうしたの?さっきからため息ばかり。山薙君となにかあったの?」
「な、なんにもないわよ!ただちょっと疲れてるだけ。ゴメンね、心配させちゃったみたいね」
そう、なんにも無いのよね。キスは今日までで476回してるわ。ただ…ね。はぁぁぁ~。
「…江口さんが言ってたわ。シーリスと山薙君がラブホガイから出てきた。
シーリスがおんぶされてたから足腰立たなくなるまでやったのか、すごいなって。
…ラブホガイって何?シーリスは山薙君と足腰が立たなくなるまでいったい何をしたの?」
っだぁぁ~~!江口さんに見られてたの?あのダメリーマン、なんで桃子に話すのよ!
「と、桃子、それはね、え~っとね…ラブホっていうのはホテルの事。ラブラブな二人が入るホテルなの!」
「そ、そうそう!でね、2日ぶりのデートでアタシ張り切っちゃって、ちょっと疲れちゃったの。
で、ホテルで少し休憩をしてたの。でね、帰りに俊が疲れてるアタシをおんぶしてくれたのよ!」
マヤと二人でちょっと強引な言い訳をする。…ホントはホテルなんて入らなかったんだけどね。
アタシも頑張ったんだよ?アタシがいくら疲れたって言っても、俊は『あとちょっとで駅だよ』
なんて言っちゃうしさ。挙句はおんぶで家まで送ってくれるなんて…優しい俊、大好き!
「もう!桃子が変なこと言い出すから、シーリスが昨日の事思い出して変な顔になっちゃったじゃないの!」
「…シーリスの顔は変な顔。思い出し笑いをすると変な顔になる。中学生から変わらないわ」
でも…なんで抱いてくれないんだろ?アタシってそんなに魅力無いのかなぁ…はぁぁぁ~。
「はいはい!シーリス、思い出し笑いは後でしなさいね、今は桃子のことよ。すっごい進展があったんだから!」
……へ?ウソ?進展あったの?
アタシは進展なんてなかったのに…なんで桃子にあるのよ!



183:ツクバ薪割り  ◆k8fXz6W8GA
06/10/10 21:45:45 JnJg4O+d
「と、桃子、それホントなの?進展ってなにがあったのよ!」
…ちょっと待って。今までのパターンから想像するに、きっとカリカリ君を貰ったのね。
進展があったってのは、多分ソーダ味からコーラ味に変わったとかじゃないの?あまり期待は出来ないわね。
そんなアタシの考えを打ち砕いた桃子の言葉。
「…プレゼント貰ったの。大きな熊のぬいぐるみ」
赤く頬を染めて嬉しそうに話す桃子。はいはい、カリカリ君美味しかったんで…え?ぬいぐるみを貰ったの?
「お…おおお!すっごいじゃない!食べ物以外のプレゼントって初めてじゃないの?おめでとう!」
凄い凄い!今まで桃子が貰ったプレゼントは…主にカリカリ君。そんなのぜっったいにプレゼントじゃないわ!
それがいきなりぬいぐるみとは…いよっしゃ~!作戦会議の成果よ~!
「でもなんで急にプレゼントくれたのかしらね?ねぇ桃子、なにか理由があるの?」
バカね、マヤ。それは江口さんがついに桃子に恋心を抱いたからに決まってるじゃない!
「…誕生日プレゼント。遅れてすまんなって言ってたわ」
「はぁ?アンタの誕生日って…7月でしょ?とっくに終わってるじゃん」
アタシの問いかけにコクンと頷く桃子。く…カ、カワイイじゃないの。
「…江口さんがお互いの事あまり知らないから、お互いの事を話そうって言ってきたの」
ははぁ…それで桃子の誕生日がとっくに過ぎてたのを知ってプレゼントを渡したって訳ね。
でもそれって…桃子に興味が出てきたって事よね?
マヤもアタシと同じことを考えたのか目を輝かせてるわ。これは…あと一押しじゃないの?
「桃子!畳み掛けなさい!一気に行くのよ!今が攻め時よ、一気に攻め落とすのよ!」
興奮のあまりに桃子の両肩に手を掛けて、ガクガクと揺らす。いける!絶対にいけるわ!
「わ、分かったわ。攻めればいいのね?どう攻めるの?…何を攻めたらいいの?」
アタシが揺らしすぎたのかフラフラしてる桃子。ゴメン、興奮しすぎたわ…ってアンタなに言ってんのよ!
思わずマヤと顔を見合わせる…はぁぁぁ~。
二人同時に肩を落としてのため息。今さら分かったわ。江口攻略の一番の難問は…桃子ね。
マヤもきっと同じことを考えてるわ。…こんなのどうしたらいいの?
桃子はそんなアタシ達の苦悩を知らずに小首をかしげてこう言った。
「…ねぇマヤ。右手が恋人ってなに?」
フリーズするマヤ。…は?なんのこと?桃子ってばいったい何を言ってるの?
おそらく質問の意味を理解してるマヤの様子から考えるに…きっと、とんでもない質問なのね。
「江口さん、右手が恋人って言ってた。…ねぇマヤ、右手が恋人って…なに?」
江口さんの恋人が右手?……ボケリーマンがぁ!いったい桃子になに教えてんだぁ!
アタシは桃子をマヤに押し付け、ボケリーマンを殴りに行く事にした。



184:ツクバ薪割り  ◆k8fXz6W8GA
06/10/10 21:46:29 JnJg4O+d
昨日は桃子と初めてお互いの事を色々と話した。
オレと知り合ったあとに誕生日を迎えていたなんて…そん時に教えろよ!
ま、ぬいぐるみを買ってやったら、思いのほか嬉しかったみたいだし…OKだろ?
……今のうちにあいつ等にしてやれる事は、出来る限りしてやりたいからな。
「江口さんボ~ッとしてどうしたんすか?」
遊びに来てた健一の声で我に返る。
「ん?少し考え事してたんだよ。ガムのCMで『お口の恋人』ってあっただろ?
あれを『お口が恋人』にしたら自分のを咥えてフェラしてるヤツの事になるのかなって考えてたんだよ。
男子たるもの、一度は挑戦するよな?セルフフェラを」
「あ~、やるやる!おれも中学の時は毎日ストレッチして体を柔らかくしようと頑張ってましたよ」
「オレが毎日やってたのはストレッチじゃなくてヒトリエッチだけどな!はっはっは!」
ピンポーン!ピンポンピンポンピンポンピンポーン!
オレが一ヶ月間考え抜いた必殺の親父ギャグを炸裂させた時、チャイムが鳴った。
おいおい、誰だよこんな情熱的な押し方をするやつは?
健一に見に行かせようとすると勢いよくドアが開く。あれ?シーリスじゃん、珍しいな。
「こんのダメリーマンがぁ!桃子になに教えてんだぁ!」
……なんで?え?ええ?なんで怒ってるの?ねぇなんで?
怒りのシーリスを確認した健一は窓から逃走、オレはその迫力で動けない。
「ま、待て、落ち着け、何のことかさっぱり分からんのだが?オレ、桃子に変なこと言ったのか?」
あれか?ブラのサイズを聞いたからか?いや、あれは桃子が勝手に言い出したんだ。
しかしあの桃子がCカップだとは…着やせするタイプなんだな。
「すっとぼけてんじゃないわよ!なぁにが右手が恋人よ!変なこと教えてんじゃないわよ!」
「は?あれは軽い冗談じゃないか、何でそこまで怒るんだ?」
…オレにとっては真実なんだがな。
「冗談?アンタねぇ、桃子は素直な子だから本気にするでしょうが!この…ボケリーマン!」
気合一閃!シーリスの右拳が、顎を目掛け飛んできた!
ガシッ!それを片手で受け止める。いつもなら殴られてやるが、今回はちと違う。
「素直な子だから本気にする?ちょっとした冗談を信じてしまうってことか?
言われてみれば確かにそうだ。でもな、前から思ってたんだがそれってかなり危ないんじゃないか?
世の中悪いやつなどそこら中にいる。もし桃子がそんな奴等の口車に乗って、騙されたらどうするんだ?
はっきり言って桃子は、女としてかなりのレベルだ。性格も今時珍しく、素直でいい子だ。
そんな桃子を世の中の男共がこのままいつまでもほっておくとは思えん。
寄って来る男共の中に、そんな悪い奴等がいたらどうするんだ?
もし桃子がそんな男共の口車に乗ったらどうするんだ?友達なら何故いろいろと教えてやらんのだ?
危ないと知りながらそのままほっておくのは見捨ててるのと同じだぞ?お前は本当に友達なのか?
ただ隣で笑ってるだけなら赤の他人でも出来るぞ?お前はそれでいいのか?
桃子との付き合いはそんなもんでいいのか?」
一気にまくし立てるオレ。そんなオレを見て驚くシーリス。
そりゃそうだな。こいつ等の前では始めて見せる、江口翔馬大人バージョンだからな!




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