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妄想的時代小説part2 - 暇つぶし2ch76:皇女裏伝説
06/12/09 11:16:44 EoEGl7jn
>>75
 熾仁も多岐も和宮の話を半分程に、いや、それよりまともに聞いていなかったのだが、
突飛な提案には視線を傾けた。
「たき、お前は生活が保障されればいいのでしょう?」
「……あ、ああ。まあ、そーだね……」
「そして宮はお兄様の元から離れたくないのです。こうして考えてみたら簡単でしたわ!
 降嫁の行列の祭、たきが宮に代わればよいのです。徳川家の正室ですよ、其方には望む
べくもない光栄ではありませぬか?」

 ―多岐は開いた口が塞がらなかった。
 よりによって、あたいが将軍様の正室だって!? このミヤサマって、やはりおつむが
足りないんじゃないか!?

「あのね……、ミヤサマ。公家どころか貴族でもない、教養もないあたいがだよ!?
 どうやって天下の将軍様の正室になれるっていうのさ!? 無理に決まってるだろ!」
「まだ降嫁迄には半年以上あるわ! 皇女としての嗜みならば、この宮が、なんとか其方
に体裁を整えさせてあげます。
 お前は徳川に、宮はお兄様の元に戻って元通りお兄様に輿入れするのです。
 賢明な考えだとは思いませんか?」

 熾仁はしばらく黙って聞いていたが、悪戯そうな笑いを浮かべ始めた。
「……面白いかも知れぬな。我々が作り上げた皇女が徳川家に嫁ぐわけか。
 期限はまだある事であるし、うまく行けば奴らの鼻もあかしてやれる。
 どうだ? 多岐。試しては見ぬか? なに、駄目で元々だ。生活の苦労は一切無いぞ?」
 和宮はすっかりと上機嫌になって、はしゃいでいた。
「お兄様もそう思われるでしょう? 大体、武家風情が皇女を娶るなんて不遜ですもの!
 今までの無礼は忘れてあげます。たき、いいえ、多岐。お前は宮になれるのですよ。
 今日から宮の元で暮らしながら作法を覚えるのです。わかりましたね?」

 和宮の最後の言葉に、熾仁は急に冴えない表情となる。熾仁にとって多岐は色々と便利
な玩具であるのだ。
「……教育は我が有栖川宮家でも出来るのではないか? 連れて行く程ではあるまい?」

 二人の馬鹿げた話を聞いていた多岐は、ふっと溜め息をついて答えた。
「いいよ。ミヤサマの所に行くよ。その代り、お給金は前よりはずんでおくれよ!
 それと、どうなったって命の補償だけはしてくれるんだろうね!?」

「お金なら、お前が欲しいだけあげるわ。警備もしっかりしてるから危険もないわ。
 それではお話は成立ですね。お前は今日から多岐という、宮付きの女御とします。
 お兄様、兄上様が物忌みの時にまた参ります。多岐は宮に頂けますわね?」
 熾仁は不満そうであるが、宮中に行けば多岐では遊べるのだと思い至った。
 代わりの玩具は多岐に連れてきてもらえばいいのだ。
「……多岐。それでよいか?」




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