妄想的時代小説part2at EROPARO
妄想的時代小説part2 - 暇つぶし2ch52:皇女裏伝説
06/11/21 00:09:26 1O/gm7+4
>>51
 そして待ちに待った当日、和宮は懐かしい有栖川宮家へと戻ってきた。
 和宮の降嫁が具体的に決まり、有栖川宮家との婚約は正式に解消されていた為、和宮の
突然の来訪に家人は驚いた。しかし婚約は解消しても、皇女には変わりない。
 平素の如く振舞う和宮は、一ヶ月前と同じく丁重に扱われた。
 接客の間に案内されると、落ち着かぬ様子で御簾越しに声をかける。
「ねぇ、お兄様は? お兄様はどこ!? 文で本日伺う事は伝えてあります。お出かけに
はなられていないわよね。定刻には早いけれど和宮が参りました、と早くお伝えして頂戴」
 程なく有栖川宮家で顔馴染みであった女房が茶具を掲げて和宮の前に跪いた。
 女房はつつ、と後ろに下がると、三つ指をつき和宮に平頭する。
「恐れながら、熾仁の君様は、和宮親子内親王様に、しばしこの間にてお待ち頂く様にと
の仰せに御座います。宮様のお好きなお菓子も御用意して御座いますので、しばし御辛抱
願えますでしょうか」

 和宮はすっと立ち上がると、笑いながら女房に声をかけてやった。
「なぁに? 随分と大仰です事。少しお館から遠ざかっておりましたが、宮はここで育っ
たも同然なのですよ? お兄様がいらっしゃるのなら案内は不要です。お兄様は室で身支
度をなさっておられるのね? そっと伺って驚かせて差し上げたいわ」
 久しぶりの自由に、和宮は上機嫌だった。
 女房が困惑した表情で和宮を制しようとするが、和宮は気にも留めず慣れた足取りで、
熾仁の居室へと向かう。

 室の前では庭師が二人、廊下の外の庭に控えているのが見える。彼らも和宮に気づくと、
御簾越しに控えながら駆け寄ってくる。
「……和宮様、その先へ進む事はお待ちください! 熾仁様は程なくお見えになります故」
「……? 何を言うの? この先はお兄様の私室でしょう。あなた達がいるという事は、
お兄様がいらっしゃるという証。宮に指図は許しませんよ!」
 和宮はやや不興を抱きつつ、庭師をも制して熾仁の居室へと歩を進めた。

「お兄様! 和宮です。……入りますわよ?」
 室に入ると書物の置かれた間には熾仁はいなかった。その奥の寝間から、かすかな物音
とくぐもった声が聞こえてくる。
「まぁ、お兄様ったら。まだお休みでしたの? お寝坊さんね。お兄様! もう、お目覚
めになって! ああ、お兄様の香りに包まれるとほっとするわ……」
 和宮は微笑みながら寝屋へと向かい、書室と区切る帳から寝間へと顔を覗かせた。

 会いたかった熾仁を見出すと、和宮は満面の笑顔を浮かばせたまま、凍りついた。
 初めて見る光景に驚き、絶句したまま膝の力が抜け、腰を落としてしまう。
 ようやく気配に気づいた熾仁が、さして驚く様子もなく、和宮を振り返った。
 汗を浮かばせながら行為に耽る熾仁は、和宮に言い捨てるように言葉をかける。
「……和宮か。しばし待てと女房に申し付けておいた筈だが、相変わらずだな……。
 見ての通り……今手が離せぬのだ。しばしそこで待つが良い。……くっ……!」

 和宮は目の前で繰り広げられている狂態に、声も出ず唖然と見入ってしまった。



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