妄想的時代小説part2at EROPARO
妄想的時代小説part2 - 暇つぶし2ch38:皇女裏伝説
06/11/11 20:51:36 MJKPcxNT
>>37
 今まで、和宮は何一つ自分の要求が満たされなかった事がない。
 和宮の怒りの矛先は、この小汚く無礼な浮浪児を処罰してくれない熾仁へと変わった。
「お兄様ったらっ!宮はこの者に罰を願っているのです! なのに何故……」
「もうお黙り。和宮。皇女が物もわからぬ下々の言葉に、そうも動揺するのは宜しくない。
 慈悲の気持ちを施してやる事も皇女の務めだと思いなさい。さあ、夕餉に向かうぞ?」
「だって……!」
「いいから。来ぬなら先に行ってしまうぞ。
 ……そのご様子を通すつもりならば今宵は会えぬやも知れぬが、宜しいかな?」
 熾仁の言葉にぐっと詰まると、和宮は唇を噛みながら室へと踵を返した。
 ―お兄様の馬鹿っ! 心の中で精一杯悪態をつきながら室へと早足で戻ってゆく。

 まだその場に残っていた熾仁は、和宮が室に入るのを見届けると、庭師に多岐を風呂に
入れ、衣装一式を揃えてやるよう命じた。
「な、なんで着物までくれるの……? あ、あたいは柿を2個も貰えれば満足なんだ!」
 熾仁は好奇の目で多岐を見下ろしながら、微笑んだ。
「気にするな。ただの気まぐれだ。それに、磨けば其方は美しかろうぞ? 多岐よ」
「えっ……?」
 思わず赤面する自分にたきは戸惑う。
 いきなり何を言い出すのかわからない熾仁に対する不安感と、装いを凝らした自分の姿
を想像して湧き上がる、生まれて初めての期待感だった。
「其方が支度をする間に、柿は家に届けてやろうぞ。……そのように計らえ」
「……は、ははっ! 直ちに!」
 庭師の一人が即座に反応する。
「これも何かの縁だ。家の事は気にせず、しばしこの館に滞在を許す。―連れてゆけ」
「な、なんで……!? あ、あたい、わけがわかんないよ! ねぇってば!」
 戸惑いつつ庭師に連れてゆかれる多岐を微笑みながら見送ると、熾仁は室へと歩を進め
始めた。

「さて……。早々に癇気を起こされた皇女様のご機嫌を、取りなしてやらねばの」
 今宵は予定していた女の元に行く事は無理だろう。
 熾仁はもう和宮の扱いにすっかり慣れていたつもりだが、熾仁自身に癇癪を起こす和宮
を見るのはあれが初めてであった。
 十歳で熾仁によって性を目覚めさせられた和宮は、精をねだるとき以外は従順であり、
学問や雅楽に秀でた理想的な皇女に育ちつつある。
 その気高い皇女を思うがまま性に溺れさせ、淫楽の世界に誘う事は、熾仁にとって新鮮
であり、優越感に浸れる楽しい秘め事でもあった。
 先程の癇癪も、元はといえば熾仁の多岐への扱いに嫉妬しての事であろう。
 すっかり自分に溺れている和宮を意のままに扱う事は、熾仁に愉悦感をもたらした。


「今宵はもう、お兄様とはお話したくありません!」
 夕餉の時にそう宣告すると、和宮は寝屋に入っても寝具の隅に正座して黙り込んでいた。
「いい加減、もう少し大人の振る舞いができぬのか。家人達にも体裁が悪かろう?」
 言い聞かせても拗ねて黙り込んでいる和宮の横顔が、ほの暗い行灯に映し出される。
 つんと取り澄ました横顔は、逆に熾仁の征服欲を掻き立てた。
 夜具の袖をつかみ、初夜の時の様に乱暴に押し倒すと、驚いている和宮の夜具の裾を捲
り上げる。
 和宮は小さく悲鳴をあげようとしたが、強情に口をつぐみ、意地でも声を出すまいとし
ていた。


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