零総合 捌 at EROPARO
零総合 捌 - 暇つぶし2ch350:名無しさん@ピンキー
07/02/20 15:12:51 B0TiPDgR
おねえちゃん・・・

351:名無しさん@ピンキー
07/02/20 15:21:13 B0TiPDgR
おねえちゃん・・・

352:名無しさん@ピンキー
07/02/20 18:38:29 slDOeXtT
>>349-351は分裂した澪が共闘して繭を犯すとかそういうネタに違いない。

353:名無しさん@ピンキー
07/02/20 23:12:33 TZGA6XHk
このスレって過疎るとこういう流れになるよなw

>>352
それで書いてw

354:名無しさん@ピンキー
07/02/20 23:31:14 WM7GY0f/
睦月「八重、俺と樹月どっちが好きだ?」
八重「睦月くんが受けならどうでもいい。睦月くん受けヅラだし」
睦月「…」

355:名無しさん@ピンキー
07/02/20 23:47:06 WM7GY0f/
ミーンミンミン。ジージジー。
けたたましく鳴き立てる蝉。
突然八重と紗重のオヤジに呼び出されたのはそんな夏の日だった。
「ったく…あのオヤジ説教なげえからめんどくさいよな」
「睦月、当主様をそんな言い方したら失礼だよ」
「だってよー…」
俺と樹月は黒澤の家に行く橋の上を歩いていた。
今日はせっかく5人で遊べるのに。
「さっさと聞き流して、遊ぶか」
「もう…絶対にそういうの態度にでるからやめときなよ」
「はいはい」
樹月も俺もこの呼び出しが何なのか薄々は知っている。

―もう、この夏が最期なんだろ?
―俺が死ぬんだろ?

真っ青な空を見上げながら、心の中で言った。


「今年の祭は立花樹月・睦月で行う」
黒澤のただっぴろい大広間に通されて正座させられたかと思うと、いきなり八重のオヤジが言い出した。
「・・・ぼくらが」
樹月が呟く。カタカタと震えているのが分かる。
「そんだけのために呼んだんですか?祭主様?」
「睦月…!?」
「…そうだが」
「じゃ、俺帰ります」
ぺこりと頭を下げただけで、すたすたと廊下に出た。
「待てよ睦月!」
樹月がどたばたと追いかけてくるのが分かる。
玄関の前に来たところで、肩を強くつかまれた。
「…樹月、いてえよ」
「どうして…」
泣き出しそうな樹月の顔。
言葉が見つからなくてうーうー喉の奥で唸っている。
「どうして、って。お前だって分かってるだろう?」
草履を履き、外へ出る。
「そうじゃなくて…」
「じゃあなんだよ?俺八重のとこ行きたいんだけど」
「…」
お前が泣いたって変わらないだろう?
どうせ、俺は死ぬんだろう?

356:名無しさん@ピンキー
07/02/21 02:57:49 LIbwkAza
>>355
睦月視点の話って珍しいな。
続きを期待。

357:名無しさん@ピンキー
07/02/21 11:41:18 GtySvCwt
355

樹月は頭を冷やしたいと家に帰っていった。
無駄だといいたくなったがやめた。
考えてみれば樹月の反応が正常なのだから。
「仕方ない、一人でいくか」
独りごちて待ち合わせ場所の御薗に向かった。
御薗への坂を登る途中で、千歳と八重と紗重の笑い声が聞こえた。
「八重!紗重!千歳!」
呼んでみる。
「あ、むつきお兄ちゃん」
「睦月くん」
「睦月くん」
甲高い声と、同じ声二つ。
坂を登りきると三人の姿が見えた。
「あれ・・・樹月くんは?」
紗重がすぐに気づいた。
「樹月おにいちゃんがいない・・・」
千歳も。
八重は黙っていた。
「樹月ならお前の親父に説教されて落ち込んでるよ」
「樹月くんがお説教?睦月くんじゃなくて?」
「それはどういう意味だ紗重」
「だって・・・」
まあいつも怒られているのは俺だけど。
「樹月おにいちゃん、かわいそう・・・」
何も知らない千歳。それでいいんだ。
「紗重、千歳ちゃん。樹月くん励ましに行ってあげて」
ずっと黙っていた八重が口を開いた。
「え・・・でも八重」
「いいから」
その言葉には突き放すものが含まれていた。


358:名無しさん@ピンキー
07/02/21 13:21:06 iG0IzsPU
澪繭が螢を「叔父さん」と呼ぶのに違和感感じるのは俺だけか?

たしかに螢は二人の叔父だけどまだ20代だし、昔から二人の面倒見てたらしいから
もっと若い頃、へたすりゃ子供の頃からの知り合いな訳だろ?
だとしたら、澪繭は螢のこと「螢にいさん」もしくは「おにいちゃん」とか
呼んでたんじゃね?と思った今日この頃。
15歳の姪が26(?)歳の叔父のこと「おじさん」とは言わんでしょ。

359:名無しさん@ピンキー
07/02/21 14:03:47 6i/+aJcf
>>357
いいよいいよー、続きwktk

>>358
俺も最初は違和感あったけど慣れてきた。
1.静が「螢も『叔父さん』になっちゃったわねー」とからかってるうちに定着してしまった
2.澪「『螢お兄ちゃん』って呼ぶの子供っぽくて恥ずかしいから、これからは『叔父さん』で……」
3.繭「つーかオメー『お兄ちゃん』って器じゃねーだろ」

360:名無しさん@ピンキー
07/02/21 15:39:23 GtySvCwt
355続き

完全に2人が見えなくなってから俺は口を開いた。
「黒澤紗重が見舞うのに、黒澤八重が見舞わない。これはいかに?」
「立花樹月が生きて立花睦月が死ぬと言うが如し」
その答えに5秒もかからなかった。まるで用意していたかのように。
「・・・」
分かってるじゃないか。流石次期当主候補。
「とうとう・・・ね?」
八重の声は恐ろしく冷静だった。さっきの樹月に見習わせたいくらいに。
ざあ。不意に強い風が吹いて、森が鳴きだす。
八重の黒髪がぶわっと広がった。
「祭は来月だってよ」
「そうなんだ。じゃあ来月は忙しくなるわね」
次期当主候補だけあって、八重は祭に参加する役目が担わされているようだ。
「でもたまには千歳とも遊んでやってくれ」
「うん」
無表情の八重。
でもそれは怒りとも、哀しみとも、とれる。
「・・・ひどく冷静だな」
「・・・お父様も、人の子ね」
八重の親父が自分の娘を差し出すのを嫌がるのは、まあ親としちゃあ当然の理屈だ。
「俺にとっちゃ怖いけどな」
「ふふ・・・睦月くんがお父様の癪に障る行動ばっかりしてるからよ」
「俺は悪くないって」
「ほら、そういうとこが」
来月。
来月になればこの他愛ないおしゃべりも永遠にできなくなる。
「そんじゃ来月まではいい子にしてるよ」
「ふうん」
「去り行くなら良い印象で去りたいだろ?」
「別にどっちだって構わないけどね。去り行く事実だけが残るのよ」
「・・・えらく冷酷なこった」
黒澤八重。
幼馴染であり、村を憎む当主候補。
口うるさい。面倒見がいい。わりかし美人。ちょっと変わってる。
それから、それから―?
「私は止めないわ。どうしようもないから」
「・・・俺より紗重を選ぶのか?」
まあ当然だが。
「行かないでとでも言ってあげたほうが嬉しかった?」
「いいや・・・」
別に恋人でもないんだから、甘い悲恋はごめんだな。
「けど最後の瞬間まで見ていてあげるわ」
「・・・ありがとう」
そのほうが一緒に駆け落ちしようなんていわれるよか嬉しい。

361:名無しさん@ピンキー
07/02/21 15:57:28 GtySvCwt
「後は」
「ん?」
「祭までにやりたいことがあるなら、手伝ってあげるわ」
「したいことね・・・」
俺のしたいこと。
何だろう?もともと体が弱いからあまり外で遊びたいとも思わないし。
・・・あとやるなら。
つくづく男というのは哀しい性だな。
「八重、お前俺のこと好きか?」
「それは意味合いによって変わるわね」
「恋愛として好きか?」
「・・・教えない」
「・・・」
「けど、別に、いいよ?」
不意に微笑んで八重は首を傾げた。
「・・・いい、って?」
「手伝うっていったじゃない。いいよ。お願い聞いたげる」
「・・・お前、結構大胆だよな」
「当主候補なら肝っ玉据わってなきゃできないわよ」
これは愛とは呼べない。恋愛なんてもってのほか。
慰め。そう、これが一番妥当。
「今夜、暮羽神社、階段」
八重の耳元で囁く。
「了解」
八重の瞳が妖しく揺らめいたのを、俺は見逃さなかった。
やっぱり、死ぬのは惜しいもんだな。


皆が寝静まったのを確認して、こそこそと窓から抜け出す。
俺は走り出した。
月が大きく昇っていた。
森のどこかで梟がほうほう、と鳴いた。
「八重」
神社の前で八重は大きな布をたたんで座っていた。神社の鍵を持って。
「こんばんは」
にっと八重は笑った。別の女みたいだった。
「中で、するのか?」
「外だとちょっとね」
そう言って鍵を開けると、中へ入っていった。
かび臭い臭いが漂う神社の中。
「罰当たりだぜ」
「罰当たりはこの村でしょ」
床の埃を払って、布を引く。ちょうど二人分ってとこか?
八重と俺はそこにどっかりと腰掛けた。
「で、どっちがどうするの?睦月くん」
「どうって?」
「私上でも下でも構わないけど」
「俺上がいい」
「じゃ私下ね。着物は脱ぐ?着たまま?」
「始めてから決めたいんだけど」「わかった。そうしよっか」




362:名無しさん@ピンキー
07/02/21 16:05:55 GtySvCwt
「灯は?」
八重は蝋燭も一応持ってきていたようだ。準備がいい。
「んー・・・別に月の光が差し込んでいるから大丈夫じゃねえ?」
「まあ人間の体だしだいたいわかるよね」
「じゃ始めますか」
八重を押し倒し、じっと見つめる。
口元にうっすらと微笑を浮かべ八重は俺を見ていた。
そっと唇に指で触れる。湿った生暖かい空気が触れた。
「ん・・・」
自分の唇を押し当てる。女の唇ってのは結構柔らかい。
八重の手が首に回され、より深く深く求めることができた。
こいつ・・・手馴れてないか?
舌を入れてみる。返される。しゃぶられる、しゃぶり返す。
ちゅ・・・はぁ・・・ちゅ・・・
唾液が絡まったり、息が漏れたり。お互い初めてとは思えないくらい激しい。
「やえ・・・おまえ・・・もう」
「いや、初めてだよ?当主候補たるもの幅広い分野の勉強が必要だからねー」
「・・・・」

363:名無しさん@ピンキー
07/02/21 22:16:12 zA8wo9Bk
久々の投下だな。続きワクテカしながら待ってる。

>>358
別に若くてもおじさんおばさん呼ばわりは普通だぞ。特に零はちょっと昔
の話だし、今でも田舎なんかでは若くして叔父叔母はいくらでもいる。
ってか螢なんて別になんて呼ばれてたってどうでもいい。

364:名無しさん@ピンキー
07/02/21 22:19:46 zA8wo9Bk
「その若い叔父叔母をおじさんおばさんって呼んでるヤツも結構いる」
っての付け足すの忘れてた。
>>359
刺青見てるとむしろ繭の方が螢には気を使ってたろうに。

365:名無しさん@ピンキー
07/02/21 23:13:19 /zHUywh3
355の続き

その幅広い分野の勉強というのがどの範囲まで示すのか…。
いいや、聞くと恐ろしい。
やっぱりこういうときは男の俺が先導するもんだし。
「…博識なこった」
「ありがとう」
もう一度口付ける。
今度は顔全体に。瞼に、頬に、鼻に、頤に。
「くすぐったい」
八重がふ、と笑った。
「大人しいね、睦月くんは」
お礼なのか。
耳たぶをかり、と軽く噛まれた。
全身の力が一瞬抜ける。
「う…」
肘をついて持ちなおす。が…今の、本気で下半身に来たぞ。
「あ、弱かった?」
「この…ぶッ!?」
首筋に軽く噛み付く。同時に頭に思いっきり拳が入った。
「見えるとこに跡残したら1発。甘い言葉囁いたら5発。いい?」
「な、なんだよそれ…」
後頭部に残る鈍い痛みに耐えながら言う。
「私達恋人同士じゃないんだし、そんなくだらないことしたくないから」
「はあ?それじゃなんだ、お前は好きでもない男とするのか」
「手伝うっていったじゃない。幼馴染として」

「…わからねえなその理屈」
「この世にはわからない理屈だっていくらでも存在するわよ。村の儀式なんていい例だわ」

こりゃあ、なかなか考えてしないと傷だらけになっちまう。
…あと一つ聞いておこうか。
「八重」
「ん?」
「中に…出すのはいいのか?」
「ん…別にいいよ?」

どうぞご自由に。だって。

わからないな、この女は。

「うん…あ…」
小さめな乳房を手で包んでゆっくりと愛撫してやると甘い声を出す。
つまり、この行為は嫌ではないと。
俺自身も初めて触れる女の体に興味津々だった。
すげー柔らかい…
先端を指で弄る。興奮しきったそれはぴんと固くなって。
「あ…ああん…」
顔を両手で覆って快感に耐えている八重。
「八重…次どうする?」
「…もっとしてほしいかも」
胸を揉むとでかくなる、とどっかで聞いたが。
「あー!お前もしかして、胸でっかくしたいから俺に頼んだのか?」
そーかそーか。
「…」
「俺あんまり胸でっかいのもどうかと思うけど」
そう励ましたら覆っていた右手だけが俺の頬に突き刺さった。


366:名無しさん@ピンキー
07/02/23 02:05:47 9d8HbxM3
>>364
>むしろ繭の方が螢には気を使ってたろうに。

なんで?蝶になって螢を助けてたから?

367:名無しさん@ピンキー
07/02/24 21:26:13 xKR/wQ5o
355>

「痛えっつうの!」
「分からず屋!」
「どうすりゃいいんだよ…」
あまりにも痛かったので、八重の胸に顔を埋めてみた。
ふにゅっと輪郭にそって形を変えて気持ちいいと思った。
「ほんとうにどうすればいいのかなぁ…」
八重の声がした。
耳をぴったりと体にくっつけていたので、その声が余計に響く。
ぽん、ぽんと頭を撫でられた。
「どうもしない。俺がもうすぐ死ぬ。それだけだろう?」
「…死んだら抱きしめられないのね」
「他の男に抱いてもらえよ」
「…ばか」
「馬鹿で結構」
顔を上げて、八重の着物をもっとはだける。
八重は特に抵抗することもなく全ての布を脱がすことができた。
「…」
俺も自分の着物を上だけ脱いで見せた。
「全部は脱がないんだ?」
「…なんとなく」
「自信ないの?」
「な…」
見くびられた。腹が立って、睨み付ける。
「大丈夫」
八重は微笑んだ。
何が『大丈夫』なのだろうか。
けど、何だか―


368:名無しさん@ピンキー
07/02/25 10:30:37 JmuOh9FY
>>367
淡々とすすむところが逆にえろくていいな。

369:名無しさん@ピンキー
07/03/01 22:49:29 tU2rJoCw
このシリーズはもう続編は出ないのだろうか

370:名無しさん@ピンキー
07/03/01 23:00:37 ZT+y4NzX
>>301-304
超(;´Д`)ハァハァした
GJ!

371:こげたナス ◆8WCYEb6hXc
07/03/02 18:56:50 DtUSAnLw
いきなりだけどうんいきなりだけど。


深紅「ミーンミーンミーン・・・・・」

深紅「暖冬ですね、あつくてたまらんわぁ」

深紅「こんな時にはね、零イイヨー、寒くなるよぉ」

深紅「ミーンミーンミーン・・・・」

372:名無しさん@ピンキー
07/03/02 23:07:56 E6Ul43pn
ミーンミーン言ってるのも深紅かよ!www

373:名無しさん@ピンキー
07/03/03 00:34:04 GOUZ3x/0
蝉の怨霊に憑かれたか

374:名無しさん@ピンキー
07/03/03 01:25:49 wx8TYHmG
この人の頭何考えてるのかサッパリわからんわwwww

375:名無しさん@ピンキー
07/03/03 01:48:42 GtGrok5U
シチューふいたw
こーゆーのも好きだ

376:名無しさん@ピンキー
07/03/03 20:10:17 3AjRy6C1
こげ氏いいよ
慣れてきたらすんげおもろいわwww

377:名無しさん@ピンキー
07/03/03 22:30:38 9CbEZi4F
355>続き

「・・・って、おい!?」
体を起こした八重は平然とした顔で俺の下半身に手を伸ばした。
「大丈夫だよ、睦月くんが自分でできなくても私がちゃんと持っていくから」
するりと指が触れた。
「あ・・・」
あ、あー・・・ちょっとそこ・・・触られると・・・
八重の指先が俺に触れているのが嫌でも目に入る。
「んー・・・その必要はなかったかな?ちゃんと元気みたいだし」
おもしろがって指でちょんちょんとつつく。
「いっ!?やめろって・・・」
「あははは、すごいなあ男の子って」
畜生、なんでこっちは正直なんだよ?!
「歯は立てないようにするから、しっかりね」
「歯って・・・おい!?」
そう言って―ゆっくちと包まれた。
「あー・・・うう・・・」
人の口ってこんなに暖かかったけ?
俺のものは八重の唾液と舌で玩具にされていた。
「ん・・・ちゅ・・・は・・・硬いなあ…よくこんなになるわね」
舌先が先っぽに当たる。
「ん・・・やべ・・・やめろ・・・」
「やだ」
先端に舌で蓋をしながら横を指で弄る。多方面からの刺激に震えが止まらなかった。
出したい・・・けど顔にかけたら悪い・・・
そうこう葛藤しているうちにどんどん俺のものは膨らみを増していった。
爆発寸前。
「や、えっ、かおはなせ!」
「いいって」
最後のとどめのように、軽く歯を当てられた。
「・・・・っ!!!」
どくん どくん どくん
「んぐ・・・」
思ったより大量に出してしまったらしい。
八重は口で受け止めきれず、顔に俺のを撒き散らしていた。
「・・・えへへ、やっぱりうまくいかないんだね」


378:名無しさん@ピンキー
07/03/05 10:31:44 B1REUtwB
>>377
続き乙!コッソリ待ってるよ

379:名無しさん@ピンキー
07/03/06 00:26:05 jK1wsMFe
>>377
乙!
顔射はえろいな。
コッソリではなく普通に待ってるぜよw

380:名無しさん@ピンキー
07/03/12 12:18:02 TU1FRFU0
続き待ち

381:名無しさん@ピンキー
07/03/12 12:55:48 BmOB/GFb
355
「・・・変な味。もっと言えば不味い」
ぺろりと俺のを一舐めして八重が感想を述べた。
「はあ・・・ふ・・・おいしいなんて言われたら俺はお前の神経を疑う」
「でもこれ、初めて見たから」
顔にまだ沢山張り付いているのを指でちょっと落とす。
まじまじと八重は俺のを見つめていた。
「これが睦月くんのなんだ」
上目遣いでにやりと俺を見る。妙に妖しかった。
ぺろぺろと俺に見せ付けるように右手を舌で舐める。
唾液が糸を引いて俺のと混ざり、いやらしい粘着性の伸びを見せていた。
「沢山出すから、落とすの大変じゃない」
「悪かったよ・・・」
「・・・ふふ」
完全に八重の手順で事が進んでやがる。畜生・・・
「きゃっ?!」
八重を押し倒す。そのまま八重の両足をぐっと抱え、下腹に舌を這わせた。
「ああ・・・」
八重が一気に力を抜いた。弱いところだったのだろうか。
「今度は俺がする」
下腹に沿って、次は太腿の内側。つーっと舌を這わせ、指でなぞる。
「ん・・・あ・・・だめえ・・・」
「お前、自分がされるのには弱いのな・・・」
甘い声で鳴かれると、また元気になっちまうが・・・

382:名無しさん@ピンキー
07/03/21 00:58:09 BfaR0Jj/
保守

383:名無しさん@ピンキー
07/03/23 04:59:04 EvdCddwa
繭「一つになる儀式をしなぃ?」

384:名無しさん@ピンキー
07/03/25 19:02:14 0R5V4Kb9
「でもね、お姉ちゃん。」
「なあに? 澪。」

「あたし達、こうやって毎晩一緒に寝てるけど、でも絶対に一つにはなれないの。」
「こんなに深く愛し合っていても?」
「どんなに深く愛し合っていても。だってあたし達は、女同士だから。」
「おちんちんがないと、繋がれないのかな?」
「穴と、穴だからね。塞がらないよ。永遠に。」

「あたし、おちんちん欲しいな。」
「あたしもお姉ちゃんのおちんちんが欲しい。」
「澪にしゃぶってもらいたいな。」
「お姉ちゃんのおちんちんがしゃぶりたい。」
「硬くなったおちんちんを、澪の中にゆっくり入れるの。」
「硬くなったお姉ちゃんのおちんちんがあたしの中に入ってくる……。」
「ゆっくり、ゆっくり差し込んでいくの。」
「初めはちょっと痛いかもしれないけど、でもその痛みも含めて愛しいの。」

「あたしのおちんちんが澪の中に沈みこんで、そのまま暫く抱き合っている。」
「少しして、あたしは動いていいよって囁く。」
「あたしはそっと腰を動かし始める。」
「お姉ちゃんのがゆっくりと出たり入ったりし始める。」
「澪の中は暖かくて、あたしはすごく気持ちよくなる。」
「お姉ちゃんのおちんちんは熱くて、あたしはすごく気持ちよくなる。」
「ああ、すごいよ澪、気持ちいい、すごく気持ちいいっ……。」
「あん、あ、お姉ちゃん、もっと、もっと深くっ……。」

「はっ、はあっ。」
「ん、ん、あっ。やああ……。」
「澪、愛してるよ? すごく好きだよ?」
「あたしも大好き、世界で一番、愛してる……。」
「そしてあたしはキスをする。」
「お姉ちゃんの唇が、あたしの唇に重なって、二人はキスをする。」
「あたしは澪の唇の隙間に舌を差し入れる。」
「お姉ちゃんの舌が、口の中に滑り込んでくる。」
「……。」
「……。」

くちゅ。くちゅっ……。ぴちゃ。

「ん、はあっ……。あたしは澪の頭を抱き寄せて、もっと激しく腰を動かし始める。」
「あたしも抱き返す。きつく抱き合いながら、あたしは激しく突き上げられる。」
「あたしの中で、高まってくる。」
「それを感じて、あたしも登りつめていく。」
「ん、ん、ん……。」
「あ、あん、あ……。」
「ああ、いいっ。あん、澪、いっちゃうよ!」
「いっていいよ! 一緒にいこ?」
「いっていい!? いっていい!? あ、あ、あ。」
「いいよ! 来て! あん、ああ、はああ……!」
「んっ……。」
「あ。」


385:名無しさん@ピンキー
07/03/25 19:03:45 0R5V4Kb9
どくん。
「んあ。」
どくっ。どくん、どくっ。
「あう。」
「うく……。」
びく、ぴくん。ぴく。
「ふああ。」

「……。」
「……。」
「二人は暫く抱き合ったまま、荒い呼吸をついている。」
「呼吸が整うのを待ちながら、二人は快楽の余韻に浸る。」
「澪、すごく気持ちよかった。」
「あたしも。お姉ちゃん。」
「大好きだよ。あたしはキスをする。」
「大好きだよ。二人はキスをする。」
「それから、あたしはまだ熱を残しているおちんちんを、ゆっくりと澪の中から引き抜く。」
「深い余韻を残して、お姉ちゃんのおちんちんがあたしの中から抜き出される。」
「ごめんね、中で出しちゃった……。」
「大丈夫、今日は。」
シュッ。シュッ。
「ティッシュ。」
「ありがと。」

「ねえ、お姉ちゃん。」
「ん?」
「あたしの中に入れたの、あれ、何?」



ふふ、と繭は笑いながら、澪に背を向けて、ベッドを出る。
薄暗がりの中で、足元に落ちていた下着を拾い上げ、足を通す。
下着を引き上げながら、囁いた。
「澪。あたしたちは一つになるんだよ。」


386:名無しさん@ピンキー
07/03/26 18:19:42 FyHUy49g
台詞だけなのにエロイ。素晴らしいバカップルぶりGJ

387:名無しさん@ピンキー
07/03/27 11:19:10 49HRjlkc
乙。地の文をセリフでやってるのはそういう手法なのかな?

388:名無しさん@ピンキー
07/03/27 12:56:25 S6ig7u8x
gj

389:名無しさん@ピンキー
07/03/28 21:33:27 iTdEUQzJ
一つになるってのは
子供ができるって解釈していいんだよね?

390:名無しさん@ピンキー
07/04/02 19:19:28 Oc9rhQu4
ずっと待ってるから……

391:名無しさん@ピンキー
07/04/04 02:39:27 llo7t7M1
澪に抱かれる日を…

392:名無しさん@ピンキー
07/04/04 04:46:14 3W3FAtKz
お姉ちゃん・・(*'∀`)ハァハァ

393:名無しさん@ピンキー
07/04/05 00:22:20 +vupj0cZ
繭「なんだか急に寒くなったね。 雪とか降ってきそう」
澪「…暖めあう?」
繭「ムッハー! いいよいいよお姉ちゃん興奮しちゃう!!」
澪「何言ってるの…暖め合わないと死んじゃうよ」
繭「そ…そうねドキドキ。 じゃあ澪…いっただっきまぁ~っす!!」
澪「アホ姉が! 今プレイ中のゲーム『絶対絶命都市2』での話だっつの死ね!」


ツマンネ

394:名無しさん@ピンキー
07/04/08 23:41:01 mYl34aPH
ふと考えたんですが…
螢くんが屋敷を探索中、鏡華さんに旦那と勘違いされ、抵抗空しく…
ってのは、このスレ的に有りなんでしょうか? 
と言うか、誰かがとっくにやってますかね?

395:名無しさん@ピンキー
07/04/08 23:47:40 6St7eLKP
エロだろうがギャグだろうが既出だろうがなんでもあり
wktkしながら待ってる

396:名無しさん@ピンキー
07/04/09 00:15:31 31/ejqVJ
三作全部貸して1年以上返ってこないから全部買いなおした。
やっぱ零シリーズおもろいよ。

>>394
無問題

397:名無しさん@ピンキー
07/04/09 00:21:19 31/ejqVJ
>>26
似たような事だが、久しぶりにやって

怜の

「イかないで!!
今度は!!……今度は私も一緒にイくから!!!!」

の台詞に無駄な妄想力が掻き立てられた

398:名無しさん@ピンキー
07/04/09 22:48:40 W/ICbz3H
何か知らんが風呂に入ると

「ね~いりな~さ~っよ~は~た~て」

と口ずさんでしまうんだよ

399:名無しさん@ピンキー
07/04/10 00:21:53 MrUWz1r2
Nail in a sir your heart at tail.
Nail in a sir your heart at tail.
Me core sun, a wine in oh key too care bar.
She say Iggy you gotten, eat me no gear.
cool man he lighted. yes, colors.


400:名無しさん@ピンキー
07/04/10 02:44:57 oGkPAEtM
旦那で心臓をテールに打ち付けてください。
旦那で心臓をテールに打ち付けてください。
私、太陽、ワインの中に芯を取ってください、おお、また、注意バーを合わせてください。

彼女はIggyを言います。あなたは、得て、私にギヤを全く食べません。
彼が火をつけた男性を冷やしてください。はい、色。

401:名無しさん@ピンキー
07/04/11 04:09:40 ORTE+jtw
ハゲワロス!
こういうの大好き

紅のプロモでのナレーションを直訳したものがあった気がするけど
誰か貼ってはくれまいか?

402:名無しさん@ピンキー
07/04/11 09:56:17 9dS8ox8z
>>399は訳すんじゃなく、声に出して読むんだろ・・・・

403:名無しさん@ピンキー
07/04/11 15:12:41 ORTE+jtw
>>400は判ってて翻訳にかけたんじゃない?

404:名無しさん@ピンキー
07/04/11 21:46:28 1IS5twWn
まぁ取りあえず口ずさんどこうじゃないか

405:名無しさん@ピンキー
07/04/14 21:32:28 5+uEzNI2
>>399
でイラストを描いてみた。


衝立の後ろの少女。
兄を想い、屋敷の掟を破った少女巫女、雨音。
兄の帰りを待ち、心細さをまぎらわす為に、
一人鎮メ唄(英語ver)を唄っていた。

URLリンク(zeroeban.net)



406:名無しさん@ピンキー
07/04/15 00:35:08 FcdBnR6H
もっと練ってから書き込めば良かったと反省している399です
絵になるとは夢にも思わなかった サンクスサンクスよー

407:名無しさん@ピンキー
07/04/15 06:42:13 3iprMhmR
>>405

 ガ、外人ダー!

408:名無しさん@ピンキー
07/04/15 19:19:08 6Y7KASsg
あー……一時期日本のホラーが米国で映画化されるのが流行ったが
あの感じを思い出した

ってか零って映画化の話無かったっけか?

409:名無しさん@ピンキー
07/04/15 19:25:03 7j4hL/T2
>>408
ブリストニー(ry

410:名無しさん@ピンキー
07/04/15 22:46:29 J5rud/3/
>>405
ワロタww
可愛くねええええwwwwww

今SS書いているんですけどそれまでここ残ってますよね?w

411:名無しさん@ピンキー
07/04/15 23:24:23 6Y7KASsg
書き終わるのが5年後とかじゃなければ……

儀式をryとかずっとまryとか言って待ってるよノ

412:名無しさん@ピンキー
07/04/17 08:24:59 NsClH8+U
>>405
ナイスだ!!

>>410
安心しろ
俺があげ続ける

413:螢×雨音
07/04/19 05:28:22 m2IzcNPy
Nail in a sir your heart at tail...Nail in a sir your heart at tail....
奥からか細い歌声が流れてくる。俺は、声のする方へゆっくり近づいていった。
衝立の裏から聞こえているらしい。
cool man he lighted. yes, colors...
そっと回り込んだ、俺の目の前に顕れたのは・・・付け鼻をした少女だった。
おそらく鎮女の一人、雨音だ。
「立派なお鼻だねえ。でも、お兄ちゃんのはもっと大きいです」
「Oh! Rarely?」
泣きそうな貌をしていた、雨音の貌が耀いたので俺は、気をよくして鼻を取り出した。
「ぱお~ん」
雨音は目を丸くして俺の鼻を見ている。俺は得意になって、もっと鼻を膨らませた。
「BIG!!!!」
「英語の勉強を、してるのかい?」
訊ねると、雨音はこくん、と頷いた。
「よ~し。お兄ちゃんが、手伝ってあげるぞ~」
心優しい俺は、雨音の兄になった気持ちで、英語の家庭教師を始めた。
俺の鼻を教材にして、単語を教え込んで行く。
「いいかい、ここがhead優しく撫でてやるんだよ・・・こっちがpole強くしごいても大丈夫だ・・・
一番下の二つがgolden-ball・・・」
柔らかい少女の手が、俺の鼻をくすぐるから、俺は堪らなくなってきて。
「ハアハア。火がついてきたぞ。雨音ちゃんに、coolにしてもらいたいな。いいかい?」
「cool? ワ、ワッカリマセン」
途惑う雨音に、彼女の着物を剥きながら、俺は訊いた。
「Don't you mind if I inserts?」
「NO!NO!ノォーーーーー~ッ!」
(中略)
雨音のcoreは、太陽のように熱かった。今や俺のbarは中の液体を出し終えて、萎れている。
気持ちよく、紫煙を燻らせる俺に、雨音が恨みがましい目を、投げかけた。
「ひ、酷いよぅ・・・ノーって言ったのにぃ・・・」
「あの場合にNOと言うのは、肯定だからね。テストに出るから、覚えておくといい」

414:睦月八重
07/04/22 00:27:19 Qa4w7r0O
続きおくれてスマソ
355>
この女は昔からよく分からない女だった。
真面目で責任感の強い所謂長女の性格だったが、かといってカッチカチに固められた石頭でもない。
やろうと思えばどんな風にも振舞える。本質が見えにくい。
多分そんなとこに惹かれてたんだと思う、ずっと。
性別が俺たちの間に存在する前から。

どうしてもっと早くこうなれなかったんだろう。

「こんなに濡らしちまうってことはよ・・・お前もいいってことだろ?」
粘着質の半透明な液体を唾液と混ぜて舐め、太腿を甘噛みする。
「ひっ・・・あ・・・あ」
啜り泣くような声。さっきの余裕はどこいった?
八重は太腿の内側が弱いってのが分かった。
今度するときはもっと苛めてやろう。
まだまだ時間はあるんだろう?お前は俺の願い聞いてくれるって約束したよな?
八重は昔から約束は守る子だったもんな。
「・・・行くぜ」
「え・・・」
先に射精させられた恨みも少しあった。
八重より先に限界を迎えるのは俺の描いてたのと反するから。
「さっきのお前がしたことだよ」
「・・・あっ!?」
咄嗟に八重が腰をひっこめようとする。だがそれを逃がすまいと片手で腰を固定する。
何だ、簡単じゃねーか・・・八重を抱くなんて。
「うああっ!」
舌が割れ目にちょっと触れただけで八重は喘いだ。激しく。
それがもっと聞きたくて舌の力を少し強めた。
失禁したような叢の中。初めてにしちゃあ結構・・・淫乱じゃねえか?
「ひっ・・・かはぁ・・・んあ・・・」

415:名無しさん@ピンキー
07/04/22 12:03:46 IAcb36P5
微妙な進展だな・・・。
続きに期待したい。

416:名無しさん@ピンキー
07/04/25 20:19:13 dbYhd5XX
>>413

 このノリ好きだvv

>>414

 いつもいいところで終わってる~。

417:睦月八重
07/04/25 21:27:28 PYp0rmtL
「おい・・・こんなに濡らしてたら着物着たときにくっつくんじゃねえか?」
いくら舌で舐めとっても、新しく愛液を垂れ流す。
「どうするんだよ?紗重にばれたりしたら」
「・・・」
「紗重はお前がこんな淫乱だって知らないだろうな」
「・・・じゃあ・・・やめ・・・」
「やめるかよ・・・」
暗くてよく分からないが小さい突起みたいなとこを刺激してみる。
これって男でいうとこのあれみたいなもんなのか?
「いっ・・・あ・・・だめ!・・・ああ」
大成功。ここも弱点か。思わずほくそ笑む。
何度も啄ばむ。そのたびに八重は喘いだ。
「い・・・じわ・・・る・・・・」
はあはあはあと喘ぎながら必死の抵抗をする八重。喉の奥から甘ったるい声で鳴く。
それが俺の劣情を刺激してるのが分からないのだろうか。
あれだけ知識がある癖に。
それとも女というのは初めての時皆こうなのだろうか。
啄ばむのに飽きてきた俺は思いっきりその突起を吸ってみた。
「あ・・・!?だめ、あっ、あ・・・!」
がくがくと体を震わせたかと思うと、どろっとした液が俺の鼻先にかかった。
「・・・なんだこりゃ?まさか・・・これ・・・げほっ!?」
俺の推測が口から出る前に八重の蹴りが俺の顔面に炸裂した。
「・・・言っておくけどそれ違うから」
「いってぇ・・・じゃあこれなんなんだよ」
「何って・・・睦月くんだって似たようなもの出すでしょ」
「・・・女も出すのか。ってことは良かったのか?」
「・・・・意地悪!」
「意地悪してるんじゃない・・・暗くてよく見えねえからさ」
「・・・蝋燭、あるけど」
「火つけたらえらいことになるんじゃないか?」
手探りで重ね合うのも、好きだ。
「・・・・睦月くんにしてはまともなこと言うわね」
「次するときは明るいとこでやろうぜ」
「・・・わかった」
その声は嬉しそうでいてどこか寂しげな声だった。


418:名無しさん@ピンキー
07/05/01 23:48:08 jeJKqT+p
零の萌えるエロ小説があるサイトってないのか?

419:名無しさん@ピンキー
07/05/03 18:05:24 fK8r1IM3
零サーチで探せばあるんじゃね?
初期のスレで書いてた職人様方も今はサイト持って書いてんのかなぁ・・・


420:古いSS書き
07/05/04 09:16:12 HdtJeHLk
サイトは持ってないけど創作意欲はまだあったりする。
久し振りに来たんでついでに投下して行きますね十八番の鏡華×螢(受 


あの忌まわしい事件から数ヶ月が経った。
もう、夢間にあの巨大な家が現れる事は無くなった。
体に激痛と共に刺青が浮かび上がる事も、見えざる者達に怯える事も。
姪の澪も順調に回復し、俺の知り合いの家に招待出来る程に立ち直っている。

俺は今、『眠りの家』の廃屋の前に来ている。
かつて、「眠り巫女」を封じる為に過剰なまでな増築を重ねられた屋敷は見る影も無い。
あれ程の恐怖を受け、危うく呪い殺されかけたにも関わらず、俺が此処に来てしまったのは。

「どうか、安らかに……」

あそこに渦巻く情念に、手を合わせたかったのかもしれない。
悲哀、憎悪、絶望。あらゆる負の情念。
それに囚われて永劫に苦しみ続ける久世家の人々。


呪いが解かれた今、自分に出来る事はこうして手を合わせる事だろう。


「そう、俺が生き残れた意味が『秋人様ぁぁぁぁぁ!!』」

そんな『聲』が流れてそうなエンドチック雰囲気をぶち壊す声が廃屋の前に響き渡る。

「な、な、なぁ……お、お前なんで」
『なんで、と仰られても私は秋人様のいらっしゃる場所に現れる。これ常識です!』

自分を組み敷いている長い黒髪の美女。
散々自分を追いかけ回し、果てには自宅のマンションで怪奇現象を多発させた怨霊だった。
おかげで、自分のフロアからお隣さんが総員退去されて凄く寂しい思いをしたのは、結構鮮明な記憶であった。

「成仏したんじゃなかったのかよ! つーか、今更出て来ても……おい、何で服を脱がす!?」
『何でと申されても……ふふ、愛し合う男と女がする事はただ一つではありませんか』
「ちょ、だから俺は秋人じゃないってパンツずらすな息子握るな着物脱ぐな! ……お、おお、」

そして、清々しい青空に

「アッ―――!!」

螢の悲鳴が朗らかに響き渡ったとさ。

~やおい~


421:名無しさん@ピンキー
07/05/04 17:35:05 WFCFUyGP
俺の薊×茜に対する愛は誰にも負けないッ!

422:名無しさん@ピンキー
07/05/04 18:38:24 riHn3KfJ
>>420
鏡華螢の人懐かしいなw螢そのまま逆転して続きを(ry
>>421
俺も薊茜好き。


423:名無しさん@ピンキー
07/05/05 23:39:16 IOtymG75
零映画化しないねもう。

まぁどうでもいいけどな。

424:名無しさん@ピンキー
07/05/06 00:05:07 CNWPksmL
茜と薊でちょっと描いてみようかな

スレは過疎だけどね

425:名無しさん@ピンキー
07/05/06 14:47:20 UXlSqx6W
>>424
wktk

426:名無しさん@ピンキー
07/05/08 02:24:48 fnvV+h3y
>>420
いつも鏡華が痴女だなw

前スレ見たいのだが、保管庫はもう更新されないんだな・・・

427:古いSS書き
07/05/08 22:33:03 w27dYHQO
痴女じゃない鏡華は一体なんだって言うのかと皆さんに問いたい。
死んでまで男を追い掛ける執念は伊達じゃないのだと言いたい。

ともあれ、感想どうも。また湧いてきたら書くね。


428:名無しさん@ピンキー
07/05/12 01:59:05 6sO2P3Iv
ホラーゲームだと思って三作とも買ってきたら開始二分で萌えゲーだとわかった

妹が姉に×する口にするのもおぞましい儀式ハァハァ

429:名無しさん@ピンキー
07/05/12 02:03:34 0yaaYMbV
>>427
あなた古いのか?
死んでも男を追い掛けるってもキリエさんも痴女かよw

>>428
んで、開始何分でここに来たんだ?

430:名無しさん@ピンキー
07/05/12 16:44:27 KDq7ySRj
>>428
新鮮な感覚うらやましいな。
そのハァハァを是非SSに昇華させてくれ!

431:428
07/05/12 22:36:57 6sO2P3Iv
窓から晴れた朝の陽光が差し込み、部屋に柔らかな光を満たした。

戸をノックする音に、澪はシーツの中で身をよじった。
「澪…もう朝だよ」
ドア越しに聞こえる姉の声に、澪は返事をしない。
急に悪戯な心持ちになった澪は、とっくに目覚めているくせに狸寝入りを決め込んだ。
繭はどうするだろうか?自然と口元が綻ぶ。
「澪ってば…」
姉は部屋に入って来た。ベッドの傍らまで近づいてくる気配。

「みお…あ、さ、だ、よ」

姉が囁いて、耳元にくすぐったい息が吹きかかる。
続いて、澪は肩に手がかかるのを感じた。そのまま揺さ振るつもりかと思ったが、
予想に反して、繭は、澪の唇に口付けした。

咥内に広がる姉の匂い。冷たい唇の感触。
(微かに線香のような香りがした)

驚いた澪は目を開いた。目の前には誰もいない空間と部屋の天井。
窓の外では雀がさえずっている。
…そうか…そうだった…。

お姉ちゃんは死んだんだった。
私が縊り殺したんだった。

目からぽろりと涙が零れて、頬を伝っていく。
ずっと、一緒だよ。澪の耳元で、誰かが囁いた。

432:428
07/05/12 22:41:51 6sO2P3Iv
今さっきクリアしたので保守代わりに書いてみた。
小説(という程のもんでもないがw)書いたのも初めてだし、
携帯で打ち込んだのでさぞ読み難いだろうと思うが許してくれ…

つーかひどい結末でワロタ
EDがまだあるだろうから頑張るよ

433:名無しさん@ピンキー
07/05/12 23:20:16 CbDvTsOf
おま!乙!乙!線香のにおいちょっとワロてしもうたぞwww

全部終わったらツベかニコニコ行って追加EDみるが吉。全部終わってからだぞ。

434:名無しさん@ピンキー
07/05/13 00:48:09 TyqIHLVz
>>432
携帯で書く職人ってすごいと思う・・・・
ホロリときた。


435:428
07/05/13 18:48:55 zYJB0REW
書いてる途中で気付いたけどこのスレレイプはあり?

436:名無しさん@ピンキー
07/05/13 23:25:12 C1d0b3L+
何でもありでそw

虚状態だし

437:名無しさん@ピンキー
07/05/13 23:58:41 EK1a+MJO
姉妹と霧絵は使うなよ

438:名無しさん@ピンキー
07/05/14 01:53:46 gxzByy6L
>>435
何でも来いやw
ただ、>>437みたいに嫌がる人もいるから、
書く前に断ってNGワード入れておけば良いと思う。
過去スレにはそういうのもあったしな

439:名無しさん@ピンキー
07/05/14 20:45:31 Q0AHak1D
俺も>>437(+深紅)にどうい・・・
それより誰か千歳ものを・・千歳ものを・・

440:428 ◆9rJfy7rc3U
07/05/15 02:10:07 IT1LGsRV
風邪ひいて熱ある頭で書いたから、きわめて朦朧とした出来栄えw
誤字脱字あったらごめん
トリ付けたから、嫌いな人はスルーしてくれ…
ちなみに繭・澪(・薊・茜・千歳)な

しかも相変わらず携帯。一家に一台のノーパソを姉に持ち逃げされたんだ

正直変換がクソでしんどかった

441:428 ◆9rJfy7rc3U
07/05/15 02:12:08 IT1LGsRV
屋敷の中はかび臭く、懐中電灯の光輪の中に埃が舞っているのが見える。
澪はムズムズする鼻を擦って、ギシギシ鳴る床を歩く足を速めた。
空気は淀み、澪が一つ息をする度に、何十年も昔から停滞した人々の念を
空気と一緒に吸い込んだような気がするのだった。

「澪…歩くの早過ぎるよ。ちょっと待って…」
澪は立ち止まって振り返り、繭がぎこちない歩調で追って来るのを待った。

姉の様子が村に入った時からおかしい。
元々情緒不安定気味な所はあった。澪が話しているのに繭は上の空、という事もしばしばあった。
しかし今回はそれらとは違う。
操られたようにふらふらと何処かへ消えたかと思うと、意味不明な事を口走る。
澪は姉の考えると、いてもたってもいられなかった。

当の姉は上目使いで澪を見ている。蝋燭のせいか熱があるかのように顔が赤く見える。
「どうしたの?」澪の気遣わし気な視線に気付き、繭が尋ねた。「うん…、足の具合、どう?」
「いつもとおんなじだよ」「そう…」それならよかった、と続けようとするのを、

「ねえ、そのカメラ貸してみて?」繭は思いがけない言葉で遮った。
その指は澪の持つ射影機を示している。「これ?」繭は頷いた。
唯一の武器を手放す事に澪は一瞬抗い難い抵抗を感じたが、結局は手渡した。
「はい…大事にしてね」繭は受け取った射影機を嬉しそうに眺めている。
澪はそんな繭を尻目に襖障子を引き開け、途端にひっ、と息を飲んだ。
襖の向こうには恨めしげな目付きの亡霊、千歳が立っていた。
「お姉ちゃん!」振り向くと、繭の姿は無い。「お姉ちゃん!?」
繭は射影機と共に消えていた。「お姉ちゃん!」絶望的な無力感が澪を襲う。


442:428 ◆9rJfy7rc3U
07/05/15 02:13:00 IT1LGsRV
両手を突き出し迫る千歳から逃れようと駆け出す…が、すぐに彼女の進路を二つの影が遮った。
桐生姉妹、人形を従えた茜がそこに立っていた。「ひっ…」
後退りした澪の腰に後ろから手が回った。千歳がぞっとするような昏い顔をして、澪に抱き着いている。
「あ…」触れられた箇所から力が抜けていき、澪はぺたりと尻餅を付いた。
そのまま少女達にぐい、と座敷に引っ張り込まれる。
(どうして…)(お兄ちゃんを…)取り囲む死者の顔、顔、顔…。一斉に口を開く。
澪は恐ろしさに耐えられなくなって顔を覆って泣き始めた。
「私、何も知らない、そんな事言われてもわからない…。お姉ちゃん、助けて…」

一切の声が止んだ。

「助けて欲しい?」

顔を上げると、座敷の入口に繭が立っていた。霊は皆姿を消している。
繭は呆然とする澪に射影機を構えておどけてみせた。
「はい、チーズ」パシャリ。「澪、泣き顔も可愛いよ」
「お、姉ちゃ、ん…」
「澪、助けて欲しいんでしょ?怖い目に合いたくないでしょ?どうなの?助けてあげよっか?」
「な、なんで…?」それ以上言葉を紡ぐ事が出来ない。
繭が膝を折って澪の顔を覗きこんだ。「ねえ、私の事好き?」

「好きだよね?今まで守ってくれたものね…頭を抱えてるだけの私の盾になって…」
「お姉ちゃん、正気に戻って…幽霊なんかの言いなりになっちゃ駄目…」
一瞬、繭が動揺を見せた。しかし、結局紗重が繭を迷いを説き伏せた。
「澪…私の事嫌い?」「好きだよ!…好きだけど、こんな事言うお姉ちゃんは、嫌い…」
「あっそ」繭があっさりと立ち上がって、部屋を出る。「好きにしたら」
部屋の片隅に下がっていた亡者が、入れ代わるように這い出した。
「ご、ごめんなさい!戻って来て!お姉ちゃん!行かないで!」
振り返った繭は、双子の片割れとは対照的な、満面の笑みを浮かべていた。


443:428 ◆9rJfy7rc3U
07/05/15 02:13:59 IT1LGsRV

姉が妹の顎を両の手でくいと引き寄せた。目に大粒の涙を浮かべたまま、されるがままになっている澪。
唇と唇が重なり、澪は不快感に「んん」と呻き声を漏らした。そのままゆっくりと片を掴まれ押し倒される。
繭の手は後頭部に回され、澪の咥内に舌が侵入するのがわかった。
(嫌だっ)
澪は乗っかった柔らかな体を押し退けようと抵抗するが、何故か手が畳に張り付いて動かない。
見ると、それぞれの手を死んだ少女達が押さえ付けている。
舌は生き物のように澪の歯の裏を舐めるように縦横に動き、澪のそれと絡まる。
実の姉妹との行為のおぞましさにぎゅっと握り締めた拳を、霊がゆっくりと開かせた。
驚いた事に、彼女らは指を口に運びしゃぶりつく。「ぁわ…」
全身を強張らせた澪を解すように、繭は体全体を使ってうねるように愛撫していく。
唇を離した後は、首筋をツーッと舌先が這い、耳に行き着いてゆっくりねぶる。
澪は切なげな吐息を思わず漏らした。
痛くない程度に乳房を撫でていた白い手は、段々と下がり股間に行き着く。
「……えちゃん……もう、駄目…それ以上は…許して…」
繭は聞こうともせず服に手を掛けた。澪も、まるで人形のようにされるがまま裸に剥かれていく。


いくつもの白い裸体が連なり、塊の中心の澪を犯した。
いつの間にか増えた幽霊達が、無表情に絡み合ったいむこの群れを見つめている。
その中には、手を取り合った須堂と槙村の姿もあった。
澪はもはや、考える力を失いつつあり、視界は曇ったままだ。
あらゆる方向から手、舌が澪の心と体の純潔を穢した。
性器はそれ自体生きているように蠢いて誰かの指を銜え、快楽を貪り
身体が悦びに跳ねて発汗 する度に無垢が死んでいった。

(これが、夢だったらどんなにいいだろう…
昔読んだ童話のように、姉の話を聞きながら寝入った白昼のいやらしい夢…
目が覚めて、河原で背中合わせになった姉が私を笑って、
それでそれで…こんな村はダムに沈んでしまって…)
「澪…」(八重…)
誰かが澪の唇を塞いだ。
澪の思考はそこで弾け、柔らかな体を抱きしめて思いきりそれに応えた。

永い夜はまだ始まったばかりだった。

444:428 ◆9rJfy7rc3U
07/05/15 02:20:46 IT1LGsRV
おしまい。
最初は上の方の怜と美紅ネタを目指してギャグタッチの軽いノリだったんだけど
結局同じ筋書きでギャグ消しました。冗長すぎるんで

読んで嫌な気分になった人、つまんなかった人、ごめんなさい
なんせ中学の読者感想文以来の長文なもんで…
くどくどとした言い訳だけど重ね重ねごめん

445:名無しさん@ピンキー
07/05/15 16:08:21 IyN3ERg6
>>444
かなりGJ!
茜たちまで出してくれて嬉しい

446:名無しさん@ピンキー
07/05/15 19:09:25 k/ExbFtY
>>444
GJ!
クールなお姉ちゃんが良い。

447:儀式(1)
07/05/16 00:39:45 W6esbVJV
双子の儀式を始めよう……

2つの杯が並び連なる伝説の神器、"対の杯"。
注いだ神酒を共に飲み干せば、ふたりの絆は永劫固く結ばれる。
時間も場所も遠く離れたこの場所で、
斯様な物によもやまみえることが出来ようとは。

「樹月……」
「睦月……」

さあ、儀式を始めよう……



「ねえお姉ちゃん、樹月さんと睦月さん知らない? 」
「あれ、さっきまで台所にいたよ」
「いないんだよね、どこ行ったんだろ」
「澪、千歳ちゃんはどうしたの?」
「ん、何かテレビゲームにハマっちゃったみたい。話し掛けたら怒られた」
「ふふ、物珍しいんでしょうね。あの村と此処じゃ何もかもが違い過ぎるもの。
あの二人も気疲れでもして休んでるんじゃない?」
「そっか、じゃあ二階かな。ちょっと様子みてくる」

448:儀式(2)
07/05/16 00:43:07 W6esbVJV
トントン
「寝てる……のかな? 樹月さん睦月さん入るよー」
カチャ
「って、うわっ酒くさっ! 」
「んあ……ああ八重」 「八重か」
「澪です。って二人で何やってんですか、こんな昼間っからお酒飲んで」
「儀式だよ」 「そう、儀式」
「儀式って……ちょ、ちょ、ちょっと、な、何持ってんですか! 樹月さん! 」
「ん? これか」 「神器だ」
「じ、神器って! そ、それ、ブラジャー!! お姉ちゃんのブラジャー!!」
「ブラジャー……?」 「これは神聖な"対の杯"だよ」
「ああっ! ちょ、ちょっと何お酒注いでるんですか!」
「儀式をしなければいけないんだ」 「そうそう」
「ブラジャーでお酒を飲む儀式なんて絶対ないです!」
「立ち昇るこの芳醇な香り」 「安酒とは思えないね」
「ちょっと、私のブラまで! 」
「ああ、それは器が小さくてね」 「使えなかったよ」
「失礼な!!!」


さあ、儀式を続けよう……

ふたりの絆を強く強く……

この儀式によって、血の繋がりを超えて魂が結びつく……

そんな僕らを人々はいつしかこう呼んだ……

ブラザー


<おしまい>

449:名無しさん@ピンキー
07/05/16 00:43:50 W6esbVJV
失礼いたしました。

450:名無しさん@ピンキー
07/05/16 09:40:42 FCMmQc4U
>>449
やりすぎww
だかあえて言おうGJであると。

451:名無しさん@ピンキー
07/05/16 09:47:42 oVa1qh+8
お姉ちゃんの神器すげーwwwwww

452:名無しさん@ピンキー
07/05/17 12:24:53 Hao0UYDT
対の杯ww
ワラタ! GJっ

453:428 ◆9rJfy7rc3U
07/05/17 21:32:28 5Voa3qrR
度々ごめん
刺青ネタで書こうと思ったんだけど、各キャラの年齢がいまいち把握出来ない…
誰かエロイ人教えてくれ

454:名無しさん@ピンキー
07/05/18 03:53:21 wUYQM/RD
23と18じゃなかったか?・・・

455:名無しさん@ピンキー
07/05/18 05:25:13 O/G7s323
怜23、深紅19、螢26
ところで真冬っていくつだっけ?ゲーム版と小説版と年齢が違うと聞いたけど

456:名無しさん@ピンキー
07/05/23 23:00:44 Ch7iwxOy
大分下がってるね・・・w
保守age

頑張って書くか・・・・
次いつになるか分からないのですが、
書きかけになってるものを保守を兼ねて近々投下しても良いですかね?

457:名無しさん@ピンキー
07/05/27 01:48:48 5SBmMlZF
>>456

ずっと待ってるから・・・

458:名無しさん@ピンキー
07/06/03 15:45:43 wAI07uOS
保守

459:名無しさん@ピンキー
07/06/05 14:51:04 8Lj4U44m
守るよ

460:名無しさん@ピンキー
07/06/08 23:17:33 RsWnazEY
まだ守るよ

461:名無しさん@ピンキー
07/06/09 04:11:27 mt2ESPHo

「初めまして・・・・・・天倉澪です・・・・」

目の前に立つ少女が挨拶をする。

久方ぶりに太陽が顔を出し、青空を拝める気持ちのよい午後に
黒澤邸は二人の来客を迎えていた。

こうして来客を迎えた経緯は一週間ほど前に遡る。

夜の遅い時間に家に鳴り響くコール音。
深紅は入浴中であったので、
テレビを見ながら湯上りのビールを楽しんでいた怜が重い腰を上げ受話器を取る。

相手は自分に挨拶をした少女の叔父、今少女の隣に立っている天倉螢からのものであった。

家族を一人残らず失くしてしまった姪御をしばらくの間預かって欲しい。
と、

優雨と無二の友人であった螢とは何かと縁もあったし、
優雨の生前は良くこの家にも足を運んでいた。
そして仕事をする上で情報を提供して貰ったりとお世話になったのもあり、
怜はその申し出を引き受けても良いと考えた。

しかし怜は電話口ですぐに返事をしたわけでは無い。
幾つかの条件を問題なくクリアできたために引き受けたのだが・・・・

一つ目は優雨が使っていた部屋が空き部屋になっており部屋に余裕があったこと。
流石に年頃の女の子に部屋無しで暮らせとは言えない。
最も男なら確実に断っていただろうが・・・・

そして金銭面は全面的に螢が援助してくれるとのことだった。
今回の話は螢が出張のため海外に長期滞在を余儀なくされ出た話なのである。
それまでは澪と一緒に暮らしていた螢だが、
流石に海外に一緒に連れて行く事はできないと判断したのであろう。

澪の家事の腕なら一人でも大丈夫だろうと考えもしたが、
今の状態の澪を一人にすることを螢は危惧したのである。

最後の条件は決定打とも言えるもので、
同居人の深紅が快く引き受けてくれたこと。

彼女の性格からいって怜が頼めば間違いなく首を横には振らないだろう。
しかし怜もそれを分かっていたので、最初にこの話を深紅に振った時は、
自分はあまり気が乗らないと添えて話をした。

だが深紅は家事は今まで通り出来るし、自分が面倒見るので是非に、
と怜に逆にお願いしてきたのである。


462:名無しさん@ピンキー
07/06/09 04:12:21 mt2ESPHo

それを受けて怜は安心して引き受けることにした。
もちろん、深紅にカマをかけたことも白状して・・・・

そんな経緯があり、今日から澪は怜の家でお世話になることになる。


「こんにちは、初めまして澪ちゃん。私は怜、黒澤怜よ、よろしくね。」

怜が努めてか、普段より明るい口調で挨拶を返す。

「は、はい。よろしくお願いします。」

いきなりフレンドリーに挨拶をされて少し不意を突かれたのか澪は慌てて返事を返す。

「それで、こっちが深紅。私の同居人、で仕事のパートナー・・・・・兼メイドかな。」

お茶らけて深紅を紹介する怜。

「怜さん・・・・・・何時から私はメイドになったんですか?」

怜に紹介され自分も挨拶をしようと思っていた矢先、完全に出鼻を挫かれてしまった深紅。

「あら?メイドは嫌かしら?」

「結構です!」

深紅はきっぱり断り視線を澪に戻す。

「ごめんなさいね、いきなりこんなの。私は雛咲深紅です。怜さんの紹介した通りです。
メイドではないですけど・・・・・・・・
でも、家事なんかの類は全部私がやってるからそれも本当の事かもしれないですけど・・・・」

クスクスと深紅は笑ってみせる。

「はぁ・・・・・・相変わらず深紅君にすべて任せてるのか?」

それまで口を挟まなかった螢が呆れるようにため息を吐きながら口を開いた。

「深紅がやりたいって言うし、料理だって掃除だって私がやるより深紅がやった方が
断然上手く出来るのよ。やるだけ時間の無駄ですから。」

澪に挨拶をした第一声の時より明らかに尖った口調の怜。

「まあ、そう言うなら何も言わないが・・・・・・・
俺が言ったところで無駄だろうしな・・・・・・
そんなわけで澪、ここでの生活はすべて“深紅君”を頼ると良い。」

螢は敢えて強調して深紅の名を言う。

「あんた・・・・・・さっさと出張に行きなさいよ!」

怜のキツい口調が飛ぶ。


463:名無しさん@ピンキー
07/06/09 04:13:03 mt2ESPHo

「おっと、こんな時間か、飛行機に乗り遅れるな。
それじゃ、澪。しばらくの間この二人に面倒見て貰うんだぞ。
帰る前には連絡するからな。」

「うん、叔父さんも気をつけて行ってきてね。」

「ああ・・・・・・・・・
それじゃ怜、済まないがよろしく頼むよ。」

「はいはい、分かったから、ほら、さっさと行った、行った。」

手で面倒くさそうに払う仕草をする怜。

螢はそれを見て苦笑いをする。
「それじゃ、深紅君も済まないがよろしく頼む。」

「はい、気をつけて行ってきてください、螢さん。」

「それじゃ!」

荷物を引っ張り、螢は玄関のドアを振り返る事無く出て行った。

三人は同じ玄関のドアを見つめる。

「じゃあ、澪ちゃん改めてよろしく。
こんなとこに立っててもしょうがないから、上がってよ。」

沈黙を切り出す怜。

「はい、よろしくお願いします。お邪魔します。」

澪は玄関の隅の方に靴を脱ぎ、遠慮がちに足を進めた。

「あ、それじゃ私何か飲み物用意しますね。
怜さんはコーヒーで・・・・澪ちゃんは紅茶が良い?
それともコーヒー?」

「あ、じゃあ紅茶をお願いします。」

「コーヒーは苦手?」

「はい・・・・・」

簡単に読まれてしまい澪は少し顔を赤くする。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

深紅がキッチンでお湯を沸かし、怜と澪はリビングのソファーに腰を下ろす。

「荷物は後で部屋に行った時にね。」

「はい・・・・・」


464:名無しさん@ピンキー
07/06/09 04:13:50 mt2ESPHo

澪は顔を上げ怜の顔を見る。
怜の背後の方でキッチンにてお湯を注いでいる深紅と見比べる。

それを見て思わず笑ってしまった澪。

「あれ?何が可笑しいの?」

「あ、いえ・・・・・ほんとに深紅さんが家事全般やってるのかなって思って・・・・・」

「馬鹿にしたわね?・・・・・さてはあの嘘吐き叔父に色々あること無いこと吹き込まれたわね?」

「あ、いえ・・・・・す、すいません!」

怜の言う事は当たっていた。
澪は二人に実際に会うのは初めてであったが、話は螢から何度か聞かされていた。

「まあ、半分当たってるから何も言い返せないんだけど・・・・・
それは良いとして、ここに居る間にすべて話して貰うからね。
何を吹き込まれたのかを。」

台詞とは不釣合いに笑顔の怜。

「えっ・・・・・っと・・・・・・その・・・・・」

「はいはい、怜さん、会って早々苛めるのはそれくらいにしてください。」

深紅はティーセットとコーヒーの入ったカップを運びながら、怜に釘を刺す。

「人聞き悪いこと言うわね。大体深紅が完璧にこなし過ぎるから私が何も出来ないんじゃないの。」

「怜さん、それ言い訳になってませんから。」

そのやり取りを見てまたクスクス笑ってしまう澪。

「また笑ったわね。」

「あっ・・・・・いえ・・・・・・」

「ふふ、そんなに緊張しなくて良いから、
今みたいに笑ってた方がとっても可愛いわよ、澪ちゃんは。」

顔が火を噴いたように赤くなる澪。

「いえ・・・ありがとうございます。」

「これくらいで赤くなるとは・・・・ほんとに可愛いわね。
深紅とは大違い。」

「何か言いましたか?怜さん。」

「いや、深紅の入れてくれたコーヒーはやっぱり美味しいなって言ったのよ・・・・・」


465:名無しさん@ピンキー
07/06/09 04:15:34 mt2ESPHo

わざとらしく音を立ててコーヒーを啜る怜。
少しも狼狽する事無く即座に切り替えす所業は流石といったところだろうか。

「そうですか、それはありがとうございます。
でも、澪ちゃん確かに可愛いですね。」

深紅にも言われまた顔を赤くする澪。

「いえ・・・・・二人の方が凄く綺麗で・・・・・・ほんとに、びっくりしました。」

「ありがと。」

「そんなことないですよ。」

澪の反撃にそれぞれ対応を返すが怜は更に何かを閃いた様で追い討ちをかける。

「どっちが澪ちゃんの好み?」

目を輝かせる怜。

「また・・・・・・もう、怜さん!」

「良いじゃないの?これくらい。」

一瞬二人を見比べた澪であったが、
「あの・・・・二人とも綺麗なので、分からないです。
決められません・・・・・」

俯いてしまう澪。

「ああ、澪ちゃん男に生まれてたら優柔不断のプレイボーイになってたわ、こりゃ・・・」

「えっ?・・・えっ?・・・・・」

「はぁ~・・・・何の話ですか?一体。」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


466:名無しさん@ピンキー
07/06/09 04:16:27 mt2ESPHo

ティータイムは怜のからかい半分と深紅の典型的な初対面時になされる一般的な会話で過ぎていった。

「澪ちゃん、あなたの部屋なんだけど、実は以前まで住んでた人が亡くなってるの・・・・・
今は全部片付けて何も無いのだけど、その部屋じゃ嫌かな?」

「もし、嫌なら私が替わりますよ。」

亡くなったという言葉に少し驚いた澪であったが、経緯は螢から聞いていた。

「いえ、特にそういうの気になりませんし、部屋をわざわざ替えてもらうわけにいかないです。
私は叔父さんが帰ってくるまでしか居ませんので大丈夫です。」

「あら、澪ちゃんはもううちの子よ。螢なんかに渡さないわよ。」

真顔で言う怜。

「えっ!?・・・・・いや・・・・・それは・・・・・」

「もうそれは良いですから怜さん。
気になるようだったら遠慮せずに言って下さいね。」

「はい、ありがとうございます。」

「あ~!もう!、その言葉遣いやめ!丁寧語一切禁止!
仮にも同居人なんだからさ。ねっ」

「あ、はい、分かりました。」

怜に言いつけられ少し口調を明るくして遠慮がちな雰囲気を取り去る澪。

「そうそう、どうせ大して歳も変わらないんだし。」

「怜さん、それはどうなんですか?澪ちゃんは15歳、怜さんは」

「シャラップ!深紅!
深紅と澪ちゃんは私にとってそんなに変わらないし、
私と深紅は澪ちゃんにとってあまり変わらないはずよ、
そしたら澪ちゃんと私も変わらないでしょ!」

(何なんですか?その論法・・・・)

二人が同じ事を心の中で突っ込む。

「それじゃ、深紅、部屋に案内してあげて、
澪ちゃん、夕飯まで荷物の整理して休んでて良いからね。」

「分かりました。」


467:名無しさん@ピンキー
07/06/09 04:17:39 mt2ESPHo

澪は怜に軽く頭を下げ立ち上がると深紅の案内に着いて階段を上っていく。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ここです。」

深紅が案内してくれた二階の一室は綺麗に片付いていた。

「ありがとうございます。」

深紅に頭を下げる。

「それじゃ、夕飯までゆっくりしててね。」

深紅はドアを閉めると階段を下りていく。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(誰も使っていないのに埃もないな・・・・・・・きっと深紅さんが掃除してくれたんだろうな。)

新築のように綺麗な部屋に少し感心してしまう澪。

怜は亡くなった人の部屋と言っていた。
螢から聞いた事がある。
螢の友人でもあった怜の婚約者が事故で亡くなったのだと・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

分からない・・・・・
大切な人を亡くしているのに、あの人からはそんな影は感じられなかった。
時間が心の傷を塞いだのだろうか・・・・・
それとも乗り越えたのだろうか・・・・・

私は・・・・・
私の心は・・・・・

あれから月日が経った今、螢の懸命の世話があってか、直後の錯乱状態からは脱したものの、
心に・・・・脳裏に残された爪痕は少しも薄れる事は無かった。

自分の居場所はもうどこにも無いのだ・・・・

澪はあの時からずっとそれを感じさせられていた。
螢と一緒に暮らして少しはそれを紛らわすことが出来たもののそれを忘れ去ることは
到底無理であった。


468:名無しさん@ピンキー
07/06/09 04:18:18 mt2ESPHo

(どうせ居場所が無いならどこに居ても同じか・・・・・・)

持ってきた荷物を整理する事無くベッドに腰をかけると、ぼんやりと窓の外を見つめる。

「二人とも良い人だったな・・・・・・・」

(私の事情もきっと大体は知っているんだろうな・・・・)

それを思うと澪は自分の振る舞いで余計な心配をかけてしまうのではと考える。

いきなり押し付けられた上に家の中の雰囲気を暗くされたら堪らないだろう・・・・・
二人の機嫌を損ねたら螢にも不利益が及ぶ事は明らかである。

「そうだよね・・・・・・お姉ちゃん・・・・・」

立ち上がると、澪はせっせと活動を始める。
生活に必要な物の半分以上は後から届くので一時間足らずで片付けは終わってしまう。
一旦クローゼットに仕舞い込んだエプロンを取り出すと、澪は部屋を出る。
一階のキッチンでは深紅が料理をしている最中であった。

「あれ?澪ちゃん、どうしたの?」

手を止めキッチンカウンターから笑顔で澪を見る深紅。

「はい、荷物が少なかったからすぐに片付け終わったので、
何か手伝おうと思って・・・・・」

エプロン片手に澪が答える。

「部屋でゆっくりしてて良いんですよ。来たばかりで疲れてるでしょうし。」

「いえ、何かしないと何だか落ち着かないですし・・・・・
それに少しは深紅さんの負担を軽くできればと思って。」

「ふふ・・・・ありがとう。確かに知らない家で時間潰せといきなり言われても困りますよね。
それじゃ、少し手伝って貰って良いですか?
あ、澪ちゃん料理は出来る?」

「はい、叔父さんと住むようになってから毎日やってますので基本的な事でしたら大丈夫だと思います。」

エプロンを身に着けながら答える澪。

「それは頼もしいなぁ。じゃ、お願いしますね。」

メニューを深紅に確認すると澪は慣れた手付きでサポートを開始する。
手を休めることなく、澪は気になっていた事を深紅に尋ねる。


469:名無しさん@ピンキー
07/06/09 04:19:07 mt2ESPHo

「あの・・・・・深紅さん。
どうして私にまで敬語みたいな話し方するんですか?」

その問いに野菜を切る手を止める深紅。

「う~ん・・・・・ごめんなさいね。私の癖というか、こういう喋り方になってしまうの。
別に変に距離置こうとかしてるわけじゃないので心配しないでくださいね。
気を付けるから。」

入り混じった喋り方に少し違和感を覚える澪。

「そうなんですか・・・・・・・・分かりました。」

「それはそうと、ごめんなさいね。
怜さんに随分絡まれたみたいで・・・・
ふふ・・・・気をつけた方が良いよ澪ちゃん。
あの人面白いネタあるとすぐに食いついてくるから。」

先ほどの怜とのやり取りを思い浮かべる澪。
確かに人を弄るのが好きそうな感じがする。

「怜さんって家事は全然しないんですか?それともほんとに出来ないんですか?」

「ふふ・・・・まさか。
一通りは出来ますよ。私が好きでやってるからやらないだけで。
最初の頃は私が手伝う感じだったんだけど、何時の間にやら立場が逆転、
で今は私一人になったの。」

「そうだったんですか・・・・」

ふぅっと息を吐く澪。

「あれ?何かほっとしました?」

「あっ、あんなに綺麗な人なのに家事が全く出来ないのだったら何か勿体無い気がして。」

「そうですね・・・・・ふふ。
でも家事全般はやってないとほんとに出来なくなる事もあるそうだから、
今は無理かも。」

深紅のその言葉に顔を見合わせると二人は笑い出す。

「何が可笑しいのかしら?」


470:名無しさん@ピンキー
07/06/09 04:20:03 mt2ESPHo

ふいに視界の外から届く怜の声。

階段を降りてきた怜がキッチンカウンターの前に姿を現す。

「あっ、いえ・・・・得意料理は何かって話してたんですよ。」

「はぁ・・・・・何でそれで笑うとこがあるのよ。
深紅は相変わらず嘘が下手ねぇ。
どうせ私の事噂してたんじゃないの?」

的確な推測に無言になる二人。

「う~ん、澪ちゃんも嘘を吐くのが・・・・・
というよりは素直すぎるのかな。
それより来て早々料理なんてしてもらって悪いわね。」

「毎日やっていたので、全然問題ないです。
料理するのは好きなんで・・・・」

「あら、言ってくれるわね澪ちゃん。私への当て付けかしら?」

また始まる怜の意地悪攻撃。

「そ、そんな事ないですよ!ほんとに・・・・・・・・」

「あ~澪ちゃんその反応は駄目、助長させるだけだから。」

「シャラップ!深紅。でも澪ちゃんまで家事するのなら
いよいよ私はやる事が無いわね・・・・・困ったわ・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・」

無言の二人。

「もう良いですから、そろそろ出来ますのでテレビでも見てるかルリと遊んできてください。」

「え~、そんな事よりあなた達見てる方がよっぽど面白いんだけど。」

「良いですから、ルリと遊んでください。飼い猫の世話も家の仕事ですから手伝ってください!」

強い口調で言われ可愛く舌打ちしてみせるとすごすご背を向ける怜であった。


471:名無しさん@ピンキー
07/06/09 04:23:26 mt2ESPHo
遅くなってすまんです・・・・
エロ有りの書くつもりなんですが、
難しくて早くも挫折気味です・・・orz

んで↓はちょっと頭に浮かんだ姉妹ネタ・・・
多少痛い話なんで嫌な方スルーお願い。
タイトル付けますんでNG指定してください

472:絆
07/06/09 04:24:38 mt2ESPHo

今度はどこへ向かったというのだ・・・・・

この村に迷い込んで一体何度目だ・・・・・

気付くと傍らに居たはずの姉が私の側から姿を消しているのだ。
それまで決して離れないよう、離されないよう振舞っていたにもかかわらず、
何故故にして忽然と姿を消すのであろう。
自分の意思ではないのかも分からない。

澪は村を走り回って姉の姿を探索する。

片手に持った射映機が汗で滑り落ちそうになる。
必ず私が探しに来るとでも思っての行動なのか・・・・・・
確かにそうだ。
私は必ず探しに行く。
現に今もそうしている。
だが・・・・・
だからこそ頭にくる。

心配させる事にでは無い。

私の行動を予測して・・・・
私の気持ちを察してそうしているならばと考えると・・・・

いつの時でも私に着いて回った姉がこの村に入ってから初めて私から離れようとしている。
おかしい・・・・
ありえないことだ。
姉は常に私の傍らに控えているはずだ。
私を束縛し自分だけの物にと考える独占欲に満ち溢れた眼差しで私を見ていたはずだ。

・・・・幼き頃からこれまで私を映していたその眼差しで・・・・

幼少の頃より常に寄り添っていた私達は、
中学生を迎え取り巻く世界が格段に広がった今でも
その関係は変わることは無かった。

私は姉に追われる妹。
姉は常に妹を追い求める存在。

それは姉が足を痛めた事により決定的なものとなっていた。

あの怪我は私のせい・・・・・
私が犯した罪・・・・
私が姉に対して未来永劫背負い続けなければならない贖罪。

姉はあの事故を喜んだことだろう。


473:絆
07/06/09 04:25:23 mt2ESPHo

そう・・・・・
私は姉から離れることが出来なくなったのだ。
私はいつでも姉の側に居て姉の面倒を見続けなければならなくなったのだ。

だから私はあれからいつも一緒に居た。
四六時中着いてくる姉を容認した。
そして、姉が私に対して姉妹の絆を超えた願望を抱いている事も
私は知っていた。
でなければ普通の人間は後遺症が残るほどの怪我を喜んだりはしない。
何をするにも一緒に居たいなどとは思わない。

いつの日からか私は姉のその感情を知ってしまった。
だから常に側には居たものの、私の心は姉ほど直線的には姉に向かわないように構えた。
交友関係も姉よりは広いものを構築してきた。
姉はそれを知る度に悲しげな表情を浮かべ私を見つめていた。
独占欲に塗れた眼差しで・・・・・・

私が同級生と仲良く会話をしている時でも・・・・
部活の友人を誘い昼食を一緒に食べている時でも、
常に一つ引いた距離から姉は私から目を離す事は無かった・・・・
あまりにも執着の色をうかがわせたその瞳は幾人かの生徒を気味悪がらせるには十分であった。
故に私に同情の言葉をくれる輩も居た。

私は妹離れすることのない姉の面倒を見なければならない哀れな妹・・・・・
そんな風に映っていたのかもしれない。

だから誰も気付かないのだ。
いや、姉さえももしかしたら知らないのかもしれない。

姉のその眼差しが、
独占欲に満ち溢れた瞳の色が、
私への束縛の欲望を垣間見せる言動が、
私の気を引こうと必死の行動が、
どれほど私の脳髄を喜びに打ち震わせているかを、
どれほど私の細胞の一粒一粒を沸き立たせているかを。

私しか知らないのだ・・・・・


474:絆
07/06/09 04:26:05 mt2ESPHo

日に日に膨張肥大を加速的に続ける私の中の姉への想い。

それに気付いた初めはその変化が心地良く、止めようとは思わなかった。
姉が常に私を追い求めるのが嬉しくて、
姉が私に、より重い絆を求めるのが嬉しくて、
姉が二人の世界をより堅固な物にしようとしているのが嬉しくて。
だから、私は気付かないでしまったのだ。
いつしか膨張を続ける想いが自分では制御する事のできない速度で加速し始めていたことを・・・・
決して後戻りの出来ない領域にまで踏み込んでしまっていたことを・・・・・

私はそれでも姉に対する応対を変える事は無かった。
表面上は何も変わりはしなかった。
だが・・・・・・後戻りすることはできないと気付いてから私の精神は確実に蝕まれ、腐り始めていた。
苦しさ故に向けられた想いに応えようかと幾度葛藤を繰り返したことか・・・・
姉のそれとは比にならない想いの丈を何時ぶちまけようと考えたことか・・・・

だが、それをしてしまえば終わってしまう。
今度は私が追わなくてはならなくなる。
鬼に捕まってしまえば今度は私が鬼になる番なのだ。
そうなれば姉を今までの姉以上に執着に彩られた眼差しで見つめなくてはならなくなる。
絶対に逃げられぬよう縛り付けなくてはならなくなる。
そうしなければ私が消えてしまうから・・・・・

私がそれを求めた刹那から私の運命は定まる。
姉の思うよりも遥かに重い枷を姉にかけても
私の心は壊れてしまうに違いない。
どんなに厚い殻に二人だけで閉じこもっても
今度は失う恐怖が始まる。
深く落ちれば落ちるほど這い上がられる不安と戦わなければいけなくなる。
絶対などは存在しないのだ。
足の悪い姉のことだから私から離れはしないだろうが、
想いが少しでも薄れるのは耐えられない。
それはあってはいけないことなのだ。
だから私は姉のその想いよりも遥かに強力なものだと認識している想い
を外に漏らす事はなかった。
ただ、ただ、私を壊さないために。

だから、私は肥大し続けるそれを感じながらも、
姉から与えられる私への想いを最大限に受ける事で我慢をし続けていた。
私を求めてすすり泣く姉の姿が私を癒してくれた。
優しい言葉をかけた時の姉の心底救われたような笑顔が
私を救ってくれた。
他の生徒を圧倒するほどの嫉妬に満ち溢れたその行動が
私を心の底から落ち着かせた。

そして、私は日に日にそれらをより強く求めるようになっていった。


475:絆
07/06/09 04:26:56 mt2ESPHo

だから、私は姉の誘いに応じた。
昔二人で良く遊んだこの場所に二人きりで行こうと言われたその誘いに。

姉が私を更に強く縛ろうと画策しているのでは無いかと期待して・・・・
姉が外界と隔絶した世界を築こうとしている事を期待して・・・・

そして迷い込んだこの村で、姉は私を更に強く求めた。
姉には私しか居なかった。
どれほど嬉しかった事だろう。
自分には私がすべてだということを私に感じさせる事が
どれほど私を喜ばせた事だろう・・・・・

だからおかしいのだ。
今の状況が、
私が姉を追っているこの状況が、
なぜ私が追わなくてはいけないのだ・・・・
追うのは当然なのだ。
だが、何故私が追わなくてはいけなくなっているのだろう。

姉が恋しいのではないのかもしれない・・・・
姉が私を恋しいと思う想いが恋しいのだ。
だから姉は私の側にいつでも居なくてはならないのだ。

私の視界から姉が映らなくなる度に私の想いは飛ぶように重く肥大する。

何かの限界が近い・・・・・・

何をもって限界となるのかが自分でも分からない。
しかし、何かが差し迫っているような圧迫感は感じていた。

私は狂ったように姉を探し回った。
堅い鎖で束縛されるために・・・・・
私が呵責という鎖で痛いほどにがんじがらめにされていることを
実感させて欲しいがために・・・・
私はそれから逃れようともせず、より捕らわれようと意識する事もせず
振舞っていれば良いはずだった。
今までしてきたように・・・・・

だからおかしいのだ。
私を強く欲しているその眼差しが私に向けられていないことが・・・・・
私の罪の意識を最大限に引き出し、束縛をより強固にしようと画策する姉が
傍らに居ない事が・・・・

おかしい事だ。

どうすればよいのか・・・・
更なる痛みが必要だというのか?
この関係を続けるためにはまだ犠牲が必要だというのか?

全速力で走り続ける澪の頭にそんな物騒な考えが浮かんでは消える。

そして、壊れる時は訪れる・・・・


476:絆
07/06/09 04:27:40 mt2ESPHo

すべての意識が今居ぬ姉に向けられていた故に私は気付かなかったのだ。
私の前に血に染まった白い着物を纏った霊が居たことを。
唯一武器を構える余裕も無く、霊の存在が私に覆いかぶさる。

ありえない者との接触に意識が白い彼方へ消え入りそうになる。
そしてそれは私の心に入ってくる。

「やめて!それに触るな!!」

私は必死になって叫んだ!
針で触れられただけでも爆発してしまうであろうそれに触れようとしている霊に対して・・・

だが・・・・・

グシャリ!

私の言葉に聞く耳を貸さなかった霊はそれに迷う事無く触れてしまった。
かろうじて覆う役目を果たしていた薄い殻ははっきりと聞こえた嫌な音と共に破壊されてしまった。

「うあああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」

絶叫が辺りに轟いた。

視界が極端に狭くなる。
私はのろのろと夢遊病者のように歩いた。

なんで?????
どうして?????
どうして側に居ないの????
どうして私を見てないの????
分からない・・・・・・
わけが分からない・・・・・・

意識が暗く混濁してゆく・・・・・

目の前に何かが映った。

「みお!・・・・・みお!」

みお?
その影は私の名を呼んでいた。

「もう置いていかないで!一人にしないで!」

その人影は私の胸に飛び込むと震える手で私を抱きしめた。


477:絆
07/06/09 04:29:46 mt2ESPHo

置いていく??
私が??
お姉ちゃんを??
何を言ってるのだ???
・・・・・・・・・・・・・・
置いていく????
理解が出来ない・・・・・・
殻を破り行き場を失い燻っていた物は突如吹き荒れ始める。


「澪・・・い、痛い!」

私は姉を抱き締めた、
骨が砕けるのではないかという程の抱擁をした。

「もう、置いていかない・・・・・」

「み・・・みお?」

笑みを浮かべていた姉は呪いのような私の声を聞きすぐに戸惑いの表情に変わる。

「置いていかないよ・・・・・絶対に・・・・」

私は戸惑いを続ける姉の唇に唇を押し付けた。
私の口から吐き出された激しすぎる吐息が姉の口の中から跳ね返ってくる。

「うぅ・・・・・」

舌を口の中に差し入れられ声すら上げることのできない姉。

私は姉の味に夢中になった。
隅から隅まで味わいたくなった。

私には姉に未来永劫薄れることのない私という刻印を刻み付けなければならないのだ。
誰でもない私のために・・・・・・・

未だ戸惑いの表情で唇を重ねる姉。

何も言わない姉に苛立ちを覚え、
私は強引に躊躇することなくその場に姉を押し倒す。

「っつ!・・・」

姉が声にならない小さな悲鳴を上げる。

唇を塞いだまま、姉の身に着けている物をたくし上げると、
蝋石に見紛う程の素肌が露になる。

汗ばんだ手でそれを撫で回し、感触を貪り獣のように舌を這いずりまわす。

「くっ・・・・」

喘ぎ声とも苦痛ともとれる音が姉の口から漏らされる。


478:絆
07/06/09 04:30:43 mt2ESPHo

男女の営みであれば、この後、胸や耳を、手で、口を使って愛撫するのかもしれない。
だが、これは愛を確かめ合うなどという行為では無いのだから・・・・
刻印を穿つ儀式なのだから・・・・

私は、姉の履いている下着をずり下ろし、すぐさま指を秘所に宛がうと一気に突き入れた。

「あああああああああああああ!!!!!!」

恐ろしい程の悲鳴が聞こえてくる。

僅かな湿り気を帯びていただけのそこは突然の異物の侵入に肉とは思えないほどに硬く
強張る。

すぐに澪の指が朱に染まり、地面に純血が滴り落ちる。

痛い?
お姉ちゃん??
堪らなく痛いでしょ??
嬉しいんでしょ??
私から与えられる痛みが???
私が新たな罪を背負うことが???
もっと深くなる。
もっと強くなる。
もっと濃くなるんだよ。

・・・・・・・・・・・・・・・

「大丈夫?お姉ちゃん?」

優しく声をかける・・・・・いつものように・・・・・
そう、今までしてきたのと全く同じように姉を気遣う。

止め処なく涙を溢れさせている姉の瞳は硬く閉じられ、
その顔は小刻みに震えている。

「・・・・・み・・・・お・・・・・」

今にも息絶えそうな姉の声。

そう、これでまた戻れるのだ。
姉が傷を追ったあの直後に・・・・・
またやり直せるのだ。
姉はこれで私を新しい鎖で縛り付けなければならなくなるのだ。
私を縛り付ける新たな鎖を私は姉に与えたのだ・・・・

そう思うと澪は嬉しくて仕方がなかった。
苦痛に歪む姉の顔をみると愛しくて堪らなくなった。


479:絆
07/06/09 04:31:29 mt2ESPHo

・・・・・・・・・・
でも・・・・・・・・・
それでは今までと一緒。
結局変わらないのだ。

私は死人のように力を失い地面に横たわっている姉の手を取る。

自分の身に着けている物を脱ぎ捨てると、姉の手を己の秘所に誘導し、
勢いに任せ、内部に姉の指を突き刺した。

「うああああああああああああああ!!!!!!!!」

激痛などと表現するのも生易しい程のあまりにも鋭すぎる痛みに
急速に気が遠のいていく。

私の絶叫に驚いた姉が体を一瞬跳ねさせる。
その振動が自分の中に侵入した指を伝い更に傷を押し広げる・・・

すぐに自分のそこが熱くなり、何かが滴り落ちるのが分かる。
自分を突き刺した姉の指に付着していた姉の血が
私の中で混ざり合う。

痛みが・・・・・私を支配する。
姉から与えられた痛みが私を支配する。

この痛みの鋭さは姉が私に対して背負わなければいけない罪の重さ。
姉はこの先ずっと私に償い続けなければいけないのだ。
私が姉に償いをし続けなければならないのと同じように。

未来永劫何時でもこの痛みを忘れる事無く罪を償わなければいけないのだ・・・・・・

片側にしか向かっていなかった絆は両方から固く結ばれた。
隔絶された世界を築いていた私達を閉じ込める外殻は更に厚く硬さを増し、
世界には私達以外の存在を決して許さないのだ。

時の経過も許されない世界・・・・・


泥濘の淀みに身を窶し、紅き鎖で縛られ身動きの取れなくなった澪と繭。


『ふふ・・・・・ふふふ』

意識まで生暖かいそれに委ね揺られていた澪は彼方から先ほどの霊の笑い声を聞いた気がした・・・・・・・



-------------------------END-------------------------------

480:名無しさん@ピンキー
07/06/09 04:34:05 mt2ESPHo
二作続けて連投になってしまたんですが、
言い訳すると、あまりここに来る機会が最近取れないんですw

続きor小ネタ出来たらまたです。
いつになるか分かりませんがw

481:名無しさん@ピンキー
07/06/09 15:33:20 EipbOvaO
お疲れさま~
なかなか、イイ感じだと思うよ。個人的にエロなしでも有りでもいける、保守した甲斐があったよ。

482:名無しさん@ピンキー
07/06/10 00:25:55 4t4BSgFx
>>480
あ な た は 神 か

どっちもいいけど特に絆ウマー 
「実は澪の方が執着してる」って話は裏の裏をかいてくる感じで大好きだ。

483:名無しさん@ピンキー
07/06/10 02:17:14 XPQhQPwL
鬼畜澪さまハァハァ

484:名無しさん@ピンキー
07/06/12 20:26:44 1b1p6cjT
また、守るよ

485:名無しさん@ピンキー
07/06/15 07:08:32 Gv4PKvce
保守age

486:名無しさん@ピンキー
07/06/16 11:32:27 XpMZd5Oe
ほしゅ

487:名無しさん@ピンキー
07/06/17 21:14:57 zlZ8s3oQ
神よ…澪繭SSを切実に求…

488:名無しさん@ピンキー
07/06/19 20:49:52 sCb4iv6B
怜澪か深紅澪も見てみたい…

489:名無しさん@ピンキー
07/06/19 22:33:40 2g6MwRnh
怜と優雨、深紅と真冬、澪と繭・・・やっぱ想い人同士が見たい。
澪繭はよくあるけど公式なのにあとの二組はあんま見ないのが寂しい。

490:名無しさん@ピンキー
07/06/19 23:41:36 SEpd9fn1
真冬兄さんは違う女に走ったので……

それは置いといて三人仲良く荒縄プレイをしているところを見てみたい

491:名無しさん@ピンキー
07/06/20 00:11:01 Qv4C+CnV
>>490深紅受け?霧絵受け?もしや…

492:名無しさん@ピンキー
07/06/20 05:24:11 RL9s885f
糞携帯スマソ
流れを読めてないが、紅蝶では一番好きな百合姉妹
URLリンク(imepita.jp)

493:名無しさん@ピンキー
07/06/20 05:31:59 qMGHvAkV
>>492
パシャ!ボワーン
「萌え死んだ男」

非常にGJ!
もちろん俺も百合姉妹が一番好きだw

SSも見たいなぁ

494:名無しさん@ピンキー
07/06/20 23:07:16 lpoyGw9l
>>492マジ萌えた

495:名無しさん@ピンキー
07/06/21 02:33:47 7WqNl666
>>492
茜薊姉妹か。ゲーム中では戦い辛いことこの上ない怨霊だが
こうなるととんでもなくかわいいな

496:名無しさん@ピンキー
07/06/21 23:06:06 1lBCYLh2
零無印の坊主に比べたら可愛いのもだ

ヤツはウザ過ぎる

497:名無しさん@ピンキー
07/06/22 06:56:39 SeLTW5JQ
お経好きだけど確かにウザいな

498:名無しさん@ピンキー
07/06/22 07:59:31 i20rmlrP
澪繭とプリティフェイスの由奈里奈が被る人ーノシ

499:名無しさん@ピンキー
07/06/22 16:37:34 AaihnU32
そんなことより桐生家姉妹テラモエス

500:名無しさん@ピンキー
07/06/22 18:22:27 40U8gkTf
超久しぶりに覗いたら桐生姉妹キテターGJ!
茜薊スキーもしかして多い!?
SSも読みたいね

501:名無しさん@ピンキー
07/06/24 04:30:50 wdvqwbhc
ハードディスクおかしくなって起動できなくなったんで、
フォーマットしちゃいますた・・・
書いてたのも消えました・・・orz

502:名無しさん@ピンキー
07/06/24 09:02:41 33e1v/Mw
それは、きつい…
まぁ、まだやる気があるなら是非とも頑張ってほしい。

503:名無しさん@ピンキー
07/06/24 13:15:43 7158lPxr
茜薊SSは脳内で激しく妄想してるんだが、文章にするとなるとなぁ…

504:名無しさん@ピンキー
07/06/24 20:57:10 33e1v/Mw
確かに頭で構成はできるが文章にすることはなかなかできないよね。
深紅に怨霊たちが集団でとかさ。

505:名無しさん@ピンキー
07/06/24 21:09:05 J7I8jKky
ただ書けばいいってもんでもないしな……
ちゃんとした文章書ける人尊敬する


506:名無しさん@ピンキー
07/06/24 21:38:54 wdvqwbhc
>>502
励ましありがとうです。
途中になっちゃってるんで何とか頑張りますよw
今度は小まめにメモリースティックにでも保存を…
んで>>504の妄想を是非文章にw


507:名無しさん@ピンキー
07/06/24 22:07:00 33e1v/Mw
>>506それはありがたい。SS書けるなんて尊敬さ…
シチュはどうであれ頑張って。

508:名無しさん@ピンキー
07/06/24 23:02:23 GZMNbrV6
夜中に妙なテンションで書きなぐって、寝て起きて読み返したらとても貼れる物じゃなかったりとか……

509:名無しさん@ピンキー
07/06/28 00:11:59 MYe95ykO
守り神

510:名無しさん@ピンキー
07/07/02 00:22:04 HICBTAA/
生きているヤシはいないのか・・・

511:名無しさん@ピンキー
07/07/02 00:59:34 tYa0c23w
今は耐え忍ぶ時だ……

512:名無しさん@ピンキー
07/07/02 19:39:43 w3oKpQ+n
1人寂しく短文ラリーでもするか


茜「薊ちゃん…。私、薊ちゃんを殺したくない。ずっと一緒にいたいよぉ……」
薊「茜お姉ちゃん……」

ぎゅっ

513:名無しさん@ピンキー
07/07/02 20:52:07 HICBTAA/
さいごの「ぎゅっ」って効果音が首を絞める音に聞こえてしまった俺は
もう真っ黒なんだろうなぁ……

514:名無しさん@ピンキー
07/07/03 16:44:10 foTdp/8/
儀式さえ無ければ、茜薊姉妹はハートフルでゆりんゆりんなょぅι゛ょ姉妹でいられたんだがなぁ…

515:名無しさん@ピンキー
07/07/04 00:14:50 0/lPkNDC
>>514
人形師の「儀式さえ無ければ」
の後にはその文が隠れてるんだな…

516:名無しさん@ピンキー
07/07/04 19:16:20 spGijXaP
大好きな妹そっくりの人形で、毎晩虚ろな体と心を慰める茜たん…

そのおかげで命をもって、毎晩茜たんと寂しさを紛らわせる躯たん…

そしてその光景に嫉妬して、躯たんを殺すようにお父さんに頼み込む薊たん…


ハァハァ

517:螢×澪 十一ノ刻「少女は」
07/07/08 15:24:12 lHZwCCjU
女の子はあっという間に大人びる。
先日、編集との打ち合わせの際そんなことが話題に上ったが、テラスで
洗濯物を干す姪の後姿を眺めていると、俺は「確かに」と胸中で納得する。
ついこの間まではほんの小さな子供だったのに、何気ない横顔や、会話の
中で見せるはっきりとした意思に、はっとさせられることがままある。
まだまだ「可愛い」という表現が当てはまる時期を抜け出すことはないだ
ろうが、あっという間に「綺麗」が当てはまるほどに成長するんだろう。

「なに、ぼーっとしてるの?」

考えに耽っていた俺は、その声に意識を現実へと戻した。
いつの間にか澪がソファーに座る俺の隣に来て、顔を覗き込んでいる。

「いや……若いことは素晴らしいことだと、な」
「な~に言ってんだか。叔父さんだってまだまだ若いのに……心はすっか
りおじいちゃんになってしまったんだね……」

「うっうっ」と泣き真似をしてみせる澪。
心はおじいちゃん、か……確かに、学生時代も周りの友達とは発想も悩み
も違っていたことを思い出す。ゲームや流行の知識をやり取りする仲間の
中で、俺の持つ知識といえばどこのスーパーの肉が安いとか、調味料の入
れる順番等だった。幼い頃から病弱の姉に代わり、澪と繭の面倒を見てい
た俺には、必要不可欠な知識だった。大学に入ってからは、爺臭いという
よりは主婦染みた俺の性格を、優雨と真冬によくからかわれたものだ。

「だがな」
「きゃっ」

俺は隣で泣いてはチラッと横目で見る、をやり続けている澪の腰に腕を回
して、ひょいと自分の膝の上に乗せた。

「ほら、こんな姿が似合うお前もまだまだお子様だよ」
「むっ」

俺がぽんぽんと頭を撫でてやると、澪は口をへの字にして目を三角にした。
しかしそれも束の間、すぐに照れ笑いに似た表情を浮かべて、俺の首に手
を回してきた。

「えへへ……でも、なんかこういうの久しぶりだね」
「そう、だな……小さい頃は、よく二人とも膝に乗ってきてたな」
「お姉ちゃんと取り合いっこしてたっけ」
「飯作ってるときも、洗濯してるときも乗りたがってな……大変だったよ」
「えぇ……? それは、憶えてなーい」

話しながら、軽く揺すってやると澪は機嫌よさそうに揺られた。
無邪気なその笑みだけは、昔のままみたいだ。

「あまり、急に大人になるなよ」
「え?」

俺は我知らず、そんなことを口走っていた。この歳になってみて、初めて
十代の成長の目覚しさを思い知る。その変化の早さに、らしくもなく俺は
不安になっていたのかもしれない。

518:螢×澪 十一ノ刻「少女は」
07/07/08 15:25:41 lHZwCCjU
「やだよ」

だが、そんな俺の不安を澪は一蹴した。
目を丸くする俺に、澪は得意げな顔を向ける。
それから目を細めて、少し傾けたその表情に俺ははっとさせられた。

「だって、早く叔父さんと肩並べて歩きたいもん……」

幼さを潜めて、切なげな表情を向ける澪に、俺は思わず魅入ってしまう。

「私、決めたんだ。私がいつまでも子供っぽいから叔父さんは、叔父さん
気分が抜けないんだよ。大人になって……そう、玲さんみたいなイイ女に
なれば、叔父さんもその気になってくれるんじゃないかな~ってね」

そう言って、悪戯っぽくウィンクして見せる澪。
ペースを奪われていた俺は、なんと言っていいかわからず。

「やだ、叔父さん紅くなってる~? 可愛いなぁ」
「……」

普段やられっぱなしだからだろう、澪は自分も恥ずかしいのを我慢して、
ここぞとばかりに意地悪を言ってきた。

しかし、少しばかり調子に乗り過ぎのようだ。ここは保護者としても、大
人代表としても、しっかり教育してやらねばならないだろう。

俺は、顔から表情を消す。澪は、何かを感じ取ったように笑うのをやめた。
が、もう遅い。澪の身体を抱えて、その身をソファーの上へと横たえ、覆
い被さる。澪は小さく悲鳴を漏らして、気付けばすぐ上に迫った俺の顔を、
真っ黒で大きな瞳で見つめた。気弱なその目は、まるで食べられる寸前の
子ウサギのようで、俺の隠した嗜虐心を刺激する。

俺は、互いの吐息が感じられるほどの距離に顔を近づけて囁いた。

「大人をからかうと、どうなるかわかってるのか?」
「どう、なっちゃうの……?」

澪の呼吸が僅かに乱れ始める。
俺は、口端を吊り上げてシニカルな笑みを浮かべた。

519:螢×澪 十一ノ刻「少女は」
07/07/08 15:27:17 lHZwCCjU
「こうなるんだよ」

そう言って、澪の無防備な脇腹を思い切りくすぐり始めてやる。

「ひやぁっ!? あはっ、ちょっ……あははははっ!! やっ!!」
「ほ~ら~、愚かなお子様よ、大人の力を思い知れ」
「きゃははっ、やっ、ごめ、ごめんなさ……あはははっ!!」

必死で身を捩る澪を、体重をかけて押さえ付けて、俺はいつもより長めに
責めてやった。容易く動きを封じられて、笑い死にするしかない澪。

「も、も、もっ……あははっ、やぁ~~……!」

散々に責めてやり、そろそろ澪が呼吸困難に陥る際になって俺はその身を
開放してやった。

そして、身体を退ける際にその唇にキスを一つ落とす。

「ふぁ……」

呼吸を整えるのに必死らしい澪は、間抜けな声を出した後、数拍を置いて
から律儀に顔を赤らめた。
そもそも仕事の合間の休憩だった俺は、そろそろ書斎へと踵を返す。
だが、一つ大事なことを思い出して振り向いた。

「ああ、一つだけ言っておくがな……アレを目指すのはやめとけ」
「え……アレって?」
「玲だよ。目指すなら、そう……深紅君みたいなしとやかで礼儀正しく、
家事のできる女性を目指せ」
「今の聞いたら、玲さんなんて言うかな……」
「言うなっ。いいか、少なくとも玲みたいな女になったらお前は俺の敵だ
ぞ。わかったな?」
「は~い……」

本当に、あんな手合いがもう一人増えたら俺の身がもたない。
しっかりと釘を刺しつつ、書斎へ向かった俺だが、内心、さっきのやり取
りを思い返すと、澪はやはり深紅君路線よりは玲路線寄りかと思い至り、
俺は深く息を吐いた。



520:名無しさん@ピンキー
07/07/08 22:00:58 CFAnXd1q
>>519
久しぶりですね!
激しく長編の予感がしますが頑張ってください。
×玲→○怜
気づいてたらあれですが気になったもんで

521:名無しさん@ピンキー
07/07/08 23:29:15 hHKx5BeD
秋人の場合
鏡華「すごく…大きいです」
螢の場合
鏡華「すごく……微妙です…」

何かスマン。

522:名無しさん@ピンキー
07/07/09 01:16:09 qiMl9fKz
>>520

;y=ー( ゜д゜)・∵.



     ⊂⌒⌒ヽ⊃
       `ヽ  ヽ    ドサッ
       ⊂(  _, ,_)⊃  



     ⊂⌒⌒ヽ⊃
       `ヽ  ヽ    ……。
       ⊂(  _, ,_)⊃  



       ∩  _, ,_
     ⊂⌒(  ゚∀゚)  ムクッ
       `ヽ_つ ⊂ノ 


全国八千万人の零ファンと怜さんに謝罪致します。
ということで、謝罪怜メインSSです(優雨×怜ベース+深紅)↓

523:優雨×怜(螢×澪) 外ノ刻「優しい雨」
07/07/09 01:20:04 qiMl9fKz
ふと、眠りの淵から意識が浮上した。
夢の中で写真の現像作業に四苦八苦していた私は、はっとして作
業の手を止めた。朝の気配が傍らに生まれ始めているのを感じる。

なんだ、よかった……これ、夢なの?
じゃあ、頑張らなくてもよかったんだ……。

私は手にしていた薬品の瓶を捨てて、暗室から外へと出た。
その時になって、なんとなく自分の髪に触れる何かを感じ取る。
そっと、ゆっくりと、誰かが頭を撫でている。
夢の中の情景が掠れて、代わりにほの明るい部屋の光景が視界を
埋めていく。

「ん……」

重い瞼を持ち上げて、姿勢はそのまま瞳だけを動かして傍らを見
上げてみる。そこにあったのは、いつでも私が欲しくて止まない
大好きな人の笑顔。寝起きでまったく回らない頭は、今の状況把
握なんて出来るわけがなく、でも彼がそこに居るという事実だけ
分かれば十分で、他には何も必要なかった。

私は気だるさが染み渡る身体を酷使して、腕を彼に伸ばし、脚を
彼の身体に絡めた。

「……今、何時ィ……?」
「さあ……昼前だとは思うけど」

普段とは違う曖昧な彼のその答えに、私の寝ぼけた頭は「?」マ
ークを浮かべた。
気付けば、私……はいつもだけれど、シーツの中で触れ合わせて
いる彼の身体もまた、何も纏ってはいなかった。珍しいことである。
いつもなら着替えを済ませて、コーヒー片手に私を起こしに来るのに。
私は、彼の素肌の胸に頬擦りしながら、

「優雨……? 今、起きたのー……?」
「さあ……結構前からかな」
「……え……何してたの……?」
「怜の顔見てた」

その答えに、私は眠い頭の中でも羞恥を覚える。

「もう、やだ……淑女の寝顔は見るものではなくてよ」
「そうだね。でも、僕は見てもいいだろ?」
「やだ……絶対変な顔して寝てるから……」
「可愛かったよ」
「~~っ」

彼の台詞を聞いて、私は込み上げてきた気恥ずかしさに身悶えした。
それを隠すように、彼の首筋に頭を擦り付ける。
頭上で、ふっと彼が笑う気配。反射的に悔しさが込み上げて、け
れど同時に切ないほどの愛しさも生まれて私の胸中を満たす。
まだ何も纏わない無防備な朝は、私をひたすら弱く、素直にする
ようで、溢れ出す感情を押さえ切れない。押さえなくても、すべ
て彼は受け止めてくれると、私は知っている。

524:優雨×怜(螢×澪) 外ノ刻「優しい雨」
07/07/09 01:21:27 qiMl9fKz
私は彼の首筋に口づけ、それからぺろっと一舐めする。
彼は、相変わらず私の頭を優しく撫でたまま。
首筋に軽く歯を立ててみた。微かに漏れる彼の吐息。
聞こえた途端に、私はそれがもっと欲しくなる。
彼の横から身体を起こして、その上に覆い被さって、唇で彼の身
体を辿る。首筋から滑らせた唇は、胸板を通るときに舌が顔を出
して、唾液が軌跡を描く。

「昨日、あんなにしたのに……まだ足りないのかい?」
「ん、足りない……」

ほとんど反射的に答え、彼の苦笑を誘った。
……昨日? 彼の肌にキスを落としながら、寝ぼけた頭で回想す
る。確か……ここのところ二人ともずっと忙しくて、一緒に居る
時間もまともに取れていなくて、けれど昨日やっとそれが一段落
して、夜からだったけれど久しぶりのデートをして、夕食を食べ
て、ドライブして、ベイエリアのあのお気に入りのお店で飲んで
……ん? その辺からよく思い出せない。お店で飲んで……ああ、
私が飲んでしまったものだから、彼の運転でここまで帰ってきた、
のかしら。家に着いて……着いて……。

ふと、私はベッドサイドに置かれたグラスに気付いた。
どうやら、家で飲み直したらしい。居間で飲んで、それから……。
―いつ、この彼のベッドまで来たのかは本当に思い出せなかった。

「昨日、あんなに……って?」
「昨日あんなに、だよ」

言葉遊びのように、彼が繰り返す。
私は彼の腹筋に唇を滑らせてから、上目遣いに彼を見た。
優雨は私の髪を撫でながら、優しく小首を傾げた。

「憶えてない?」
「憶えて……うん」
「言っていいの?」
「え?」

彼は少し逡巡するかのように、口元に手を当てて。
意味の分からない私は、黙って彼の次の言葉を待った。

「割と大変だったんだよ。下からここまで抱っこして運ぶのは」
「へ……?」

思わぬ台詞に、私は目を丸くした。

「落としたら危ないからって言ったんだけど……まあ、なんとか
なったからいいけどさ」
「え、抱っこって?」
「だから、風邪ひくからベッドでちゃんと寝ようって言ったんだ
けど、『抱っこして連れてってくれなきゃやだ』って聞いてくれ
なくてね」

……そんなこと、言ったんだっけ。

「でも、それはまだマシで……最初は、『シたまま連れてって』
って。さすがに僕も、そこまでの力は……」
「わあああっ!!」

525:優雨×怜(螢×澪) 外ノ刻「優しい雨」
07/07/09 01:22:24 qiMl9fKz
私は、シーツを被ってその場にうずくまった。
そこまで言われて、なんとなく断片的に昨日のことが脳裏を掠め
る。朝の寝ぼけてる間もそうだけれど、そんなのとは比較になら
ないくらい、お酒の入った私は素直であるらしい。

「怜?」
「いいっ、もう何も言わなくていいから!」

私は相変わらず彼の上で、シーツを被ったままうずくまっていた。
酔っていた間のことを素面で聞かされるのは、私にとっては酷い
拷問になるらしい。でも、昨日はやっとゆっくり二人きりの時間
が過ごせたものだから、嬉しくて、つい量もペースもはめを外し
てしまったのだ。
私の嘆願を聞き入れて、彼はシーツの上から私の頭を撫でて、そ
れ以上は何も言わなかった。静かな部屋、耳元には私の早くなっ
た鼓動だけが聞こえている。

なんとか時間を掛けて気を落ち着けていると、違う音が耳に忍び
込んできた。

雨音だ。

「雨……?」
「みたいだね」

そっとシーツの下から、顔を出してみる。
優雨は、レースカーテンだけが下がった窓のほうをぼんやりと眺めていた。

仄明るい部屋の中、彼の顔を見ながら私は耳を澄ます。
雨は激しいものではなく、雨音は静かに、そっと耳に染み入るように。

「優しい雨……」

私の呟きに、彼が振り向く。

「名は体を現すって言うけれど……優雨はそのままね」
「僕が?」

私は、彼の素肌に指先を這わせて、

「優しい、雨みたいな人……全部許して、包み込んでくれるような」

指先を滑らせて、そのまま肩へ。
私は彼に身を任せるようにして、抱きついた。

「雨の日、好きよ。あなたに会ってから、好きになったの」
「……どうしたの? 今日はやけに素直なんだね」
「優雨、好き……抱き締めて」
「うん」

意外と男らしい優雨の腕が、私の身体をそっと、そしてしっかり
と抱き締めてくれる。
素直……言われてみれば、自分でもそう思う。どうしてなのだろ
う。昨日のお酒がまだ残っているのか。雨音が耳に心地いいから
なのか。身体と同じ、今は心も裸みたい。

526:優雨×怜(螢×澪) 外ノ刻「優しい雨」
07/07/09 01:24:13 qiMl9fKz
ふと、思う。
よく恋愛を主題にした歌の歌詞などに使われる一節だけれど、今
はとてもそれを切に願いたかった。

「今が、ずっと続けばいいのに……」

自然と漏れ出るように、言葉が唇から滑り出す。
それを聞いて優雨は、そっと私の髪に口づけた。

「続くよ」
「ずっと……?」
「ずっと」
「ずっと傍に居てくれる?」
「居るよ。もっとも……」
「なに?」
「怜が癇癪起こして、僕を追い出したりしなければね?」
「も、もうっ!」

口調は優しいままなのに、時々そんな意地悪言うんだから。
私が顔を上げて睨んでみても、優雨は穏やかに微笑むだけ。
でも、いつもこの微笑みを見ると気が抜けてしまうのも事実。
イライラしているときに見れば気を殺がれて、不安なときには
ほっとして。

惚れた弱み、なんていう言葉が過ぎる。
この人にかなうことなんか、ないんだろうなと。
でも、やっぱりそれは悔しいから……悔しいから、その顔を両手
で挟み込んで、口づけた。
そっと受け止めるだけの優雨の唇を啄ばんで、舐めて開かせると、
舌を差し入れて、深く絡ませる。息の続く限り、深く。

長めのキスの後、彼は深くベッドへ沈み込み、吐息を一つ。
私は彼の上に覆い被さって、額同士を触れ合わせた。

「ねぇ……しよ?」
「多分、もうお昼過ぎてると思うけどなぁ……」
「いいじゃない。久しぶりの休みだもん……しよ? するから」

私は返事を待たずに、唇を彼の耳元へ寄せた。
けれど、不意に彼の腕が私の身体に回って、流れるような動きで、
気付けば上下逆転。横たわる私を、静かな瞳で見下ろして。

「いいよ。でも、そろそろ僕の番……」

静かな中にも、微かな熱が彼の瞳に宿る。
求めてくれてるのが、分かる。
私は、全身が火照り始めるのを感じながら、腕を彼の首に巻きつ
け、そして身を委ねた。

527:優雨×怜(螢×澪) 外ノ刻「優しい雨」
07/07/09 01:25:37 qiMl9fKz


「……怜?」

肌にいくつもの口づけを受けて、大きな手に何度も撫でられて、
すっかり火照った私の身体は、彼の猛りを難なく受け入れて。
熱に翻弄される私に、彼はそっと呼びかけた。
瞼を持ち上げると、優雨の心配そうな顔が覗き込んでいる。
その顔はぼやけていて、私は指先で目元を拭った。

「怜……大丈夫? 痛いの?」
「違う……違うの」

私は首を振って、まなじりを拭う彼の指先を手に取った。
そして、その指先に口づける。

「愛しいって、泣きたくなるのね……」

大きな手に頬をあてて、私は目を閉じた。
優雨は、逆の手で私の髪を撫でてくれた。

「愛してるよ、怜」

少し掠れた彼の声音が、すぅっと私の胸に落ちて。
私は、また泣きたくなる。
すごく愛しいのに切なくて、すごく切ないけれど愛しい。

私は、強く彼を抱き締めた。

あなたは、雨。
なら、晴れの日なんて要らない。
ずっと、あなたの腕に抱かれていたい。身体が濡れそぼっても、
寒くなんてないから。だって、こんなに温かいもの。







「―ですから、そんなこと急に言われても困ります!」

久しぶりの休日は、その一本の電話で台無しにされた。
私はネグリジェ姿のまま、電話口に向かって怒鳴る。
寝起きに、というところが更に気分を最悪にしてくれている。

「だから、あの時はそういう方向で話は決まったじゃ……それは、
だから念入りに確かめたのにっ……」

無責任な企画の変更を告げる相手に、そしてはっきりしないその
口調に、私は苛立ちを募らせる。部屋の戸口では、様子を見に来
た深紅が、心配そうな面持ちで立っていた。

「わかりました。やっておきますから、枠はちゃんと押さえてい
て下さい。じゃ!」

私は通話を切り、携帯をベッドの上へ投げ捨てた。

「……あ、あの……怜さん、何か?」
「ああ、ごめん……はぁ」

528:優雨×怜(螢×澪) 外ノ刻「優しい雨」
07/07/09 01:26:56 qiMl9fKz
深紅が気遣わしげな表情で、部屋へ入る。
私は、乱暴に髪をかきむしった。

「昨日上げた仕事、クライアントが急に企画を変更したみたいで、
写真使えなくなったって。しかも、明日までに代わりの撮って来
いとか、もう……っ」

説明する内に、また私は苛立ってきた。
しかし、困った顔をした深紅を見てはっとした。
深紅にあたっても仕方ないのに。

「……ごめん。とりあえず、コーヒー飲みたい」
「はい、淹れてきますね。あと、お風呂も用意できてますから。
少し浸かってからでも……それから、考えましょう?」

深紅の優しい気遣いに、私は頷き、部屋を出て行くその背に小さ
くお礼を言った。

明日までってことは、コピーも入れるわけだし、つまり今日中に
なんとかしろって……そんなの無理に決まってるでしょうに。

私はぶつぶつ文句を言いつつ、気だるい身体を引きずって深紅の
後を追った。

廊下に出たときに、ふと奥の扉のほうを振り返る。
優雨の部屋―。
私は、一階へ降りる前にふらふらとそちらへと向かった。

扉を開けて、部屋に入る。
時計を見れば、昼を回る頃だった。
溜息を一つ吐いて、カーテンの開け放たれた窓辺へ歩み寄る。

「雨……」

静かな雨が、窓から見える住宅街を優しく濡らしていた。
郷愁にかられる。

雨の日は、憂鬱だった。
けれど、優雨に会ってからは好きになった。
優雨がいなくなってからは、辛かった。

でも、今は……


怜―


願えば今でも記憶の中から呼びかけてくる、優しく低い声音。
私は振り返って、ベッドを見つめた。
優雨だったら、こんなときなんて言うのかな。
きっと、苛立っている私を見てもいつもの穏やかなあの顔で見守
って「怜なら大丈夫だよ」って。私の焦燥なんて知らぬげに、の
んびりと言ってくれるんだろうな。

イメージしてみると、それは自然なほど簡単に頭に浮かんだ。
一瞬、本当に彼が傍に居て、そう言ってくれる気さえした。


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