川原泉作品をエロくしろ!6at EROPARO
川原泉作品をエロくしろ!6 - 暇つぶし2ch350:349
06/09/28 13:14:55 yZ2ByAj6
(`・ω・´)ノ   自他共に自治廚認定が通りますがな  

(´・ω・`)つ◎    こうやってID変えれば自演もお手の物だ罠  

(´・ω・`)ノシ======●)`ω・) スルースキルなんか知らんがな 

(´・ω・`)つc□~  さて、コーヒー飲みつつ獲物を待つがな  

(´・ω・`)      なかなかレスが来ないからそろそろ自演レス落とすがな  
 つc□~  

(´-ω-`)=3    ぷは~ぁ!自演した後のCoffeeはうまいがな  
つc□~        違いがわかる自治、自演廚の味だがな  

351:名無しさん@ピンキー
06/09/29 01:13:23 zF20G+6R
>>349
保守乙!しばらく見に来てなかったら、今夜圧縮だったね

>今回のボーダーラインは2006/09/25(月) 23:31:00の模様。

保守しなくても大丈夫だと安心してたんだが、あー危なかった

352:351
06/09/29 13:56:12 ppBU7ogf
(`・ω・´)ノ   自他共に自治廚認定が通りますがな   

(´・ω・`)つ◎    こうやってID変えれば自演もお手の物だ罠   

(´・ω・`)ノシ======●)`ω・) スルースキルなんか知らんがな  

(´・ω・`)つc□~  さて、コーヒー飲みつつ獲物を待つがな   

(´・ω・`)      なかなかレスが来ないからそろそろ自演レス落とすがな   
 つc□~   

(´-ω-`)=3    ぷは~ぁ!自演した後のCoffeeはうまいがな   
つc□~        違いがわかる自治、自演廚の味だがな

353:名無しさん@ピンキー
06/10/05 00:11:24 wvOjWFWe
やでやで、そろそろ保守するか…。

354:名無しさん@ピンキー
06/10/07 05:34:33 YaTD5q+f


355:名無しさん@ピンキー
06/10/08 08:39:00 1hKcOwAW
史緒さんのご両親の馴れ初め妄想してみるが
結果として悲劇になるかと思うと…

356:355
06/10/09 01:31:23 e3di4M5V
(`・ω・´)ノ      自称職人が誘い受けに通りますがな    

(´・ω・`)つ◎    こうやってID変えれば自演もお手の物だ罠    

(´・ω・`)ノシ======●)`ω・) スルースキルなんか知らんがな   

(´・ω・`)つc□~  さて、コーヒー飲みつつ獲物を待つがな    

(´・ω・`)      なかなかレスが来ないからそろそろ自演レス落とすがな    
 つc□~    

(´-ω-`)=3    ぷは~ぁ!自演した後のCoffeeはうまいがな    
つc□~        違いがわかる自治、自演廚の味だがな 

357:名無しさん@ピンキー
06/10/10 23:23:35 YIvLc+3e
史緒さんのご両親かー
周りに反対されるからこそ、燃え上がる恋ってのもいいね

358:名無しさん@ピンキー
06/10/12 07:06:21 zP6bvr+u
そいやカーラ作品にロミジュリ的なカップルっていねぇよな?
ジュリエット白書は除く

359:名無しさん@ピンキー
06/10/12 08:40:43 oRXWHPOf
>>358
でも20代後半~30代な青年と女子高生というカップルが多いから、
その時点で世間から後ろ指をさされる確率が高い気がしなくもない。


360:名無しさん@ピンキー
06/10/12 15:01:44 NK8f1k2b
(`・ω・´)ノ        自他共に自治廚認定が通りますがな    

(´・ω・`)つ◎    こうやってID変えれば自演もお手の物だ罠    

(´・ω・`)ノシ======●)`ω・) スルースキルなんか知らんがな   

(´・ω・`)つc□~  さて、コーヒー飲みつつ撒き餌して獲物を待つがな    

(´・ω・`)      なかなかレスが来ないからそろそろ自演レス落とすがな    
 つc□~    

(´-ω-`)=3    ぷは~ぁ!自演した後のCoffeeはうまいがな    
つc□~        違いがわかる自治、自演廚の味だがな 

361:名無しさん@ピンキー
06/10/12 15:55:26 1uh08FH4
>>358
<俺女>ktkr( ゚Д゚)ポカーン

362:名無しさん@ピンキー
06/10/12 15:56:47 1uh08FH4
>>358
あ~悪い
<俺女>じゃなく<漏れ女>だったな
(´ι _`  )

363:名無しさん@ピンキー
06/10/12 19:10:40 aEJMPI8s
自分は年の差がある川原作品に、かなり萌えますよー
年上男性が年下女性に振り回されて、タジタジな感じがイイ!

364:名無しさん@ピンキー
06/10/12 20:56:42 zP6bvr+u
架空の森ネタで誰か…

365:名無しさん@ピンキー
06/10/12 22:36:46 8hqJ4Wjc
職人様の降臨を願う!!!

366:296
06/10/13 02:05:12 P0yZzky9
とりあえず職人カモーン   
とりあえず職人カモーン   
とりあえず職人カモーン   
とりあえず職人カモーン   
とりあえず職人カモーン   
とりあえず職人カモーン   

367:名無しさん@ピンキー
06/10/13 23:43:59 TzsYkJl2
(`・ω・´)ノ        自他共に自治廚認定が通りますがな     

(´・ω・`)つ◎    こうやってID変えれば自演もお手の物だ罠     

(´・ω・`)ノシ======●)`ω・) スルースキルなんか知らんがな    

(´・ω・`)つc□~  さて、コーヒー飲みつつ撒き餌して獲物を待つがな     

(´・ω・`)      なかなかレスが来ないからそろそろ自演レス落とすがな     
 つc□~     

(´-ω-`)=3    ぷは~ぁ!自演した後のCoffeeはうまいがな     
つc□~        違いがわかる自治、自演廚の味だがな  

368:名無しさん@ピンキー
06/10/16 02:41:56 6T0DhSc9
ロミジュリかー
あえて言うなら題名は思い出せないが
葡萄月とか収穫月とかビー玉やら出てた短篇の二人?
傍目には親の仇?って感じだったけどな

369:名無しさん@ピンキー
06/10/20 10:57:47 TKj7xAvx
親の仇なのに蕗ちゃんは、逆恨みなんてしない良い娘さんだった

ライバル関係でいうと、かぼちゃ計画かなー
男の子の方が一方的に対抗意識を燃やしてたね


370:名無しさん@ピンキー
06/10/20 18:03:56 ePT/jKdR
しかし川原ヒロインの暖簾に腕押し系の多いこと!

371:名無しさん@ピンキー
06/10/21 22:45:18 ToGYfbJL
川原ヒロインは、なぜか日々の事とか、生活で手一杯。
惚れたはれたを考えてる余裕はないって感じしますね^^;
だから、可愛いんですけどw

372:名無しさん@ピンキー
06/10/22 07:42:46 WpwlwFri
(`・ω・´)ノ        自他共に自治廚認定が通りますがな      

(´・ω・`)つ◎    こうやってID変えれば自演もお手の物だ罠      

(´・ω・`)ノシ======●)`ω・) スルースキルなんか知らんがな     

(´・ω・`)つc□~  さて、コーヒー飲みつつ撒き餌して獲物を待つがな      

(´・ω・`)      なかなかレスが来ないからそろそろ自演レス落とすがな      
 つc□~      

(´-ω-`)=3    ぷは~ぁ!自演した後のCoffeeはうまいがな      
つc□~        違いがわかる自治、自演廚の味だがな   

とりあえず職人カモーン    
とりあえず職人カモーン    
とりあえず職人カモーン    
とりあえず職人カモーン    
とりあえず職人カモーン    
とりあえず職人カモーン  

373:名無しさん@ピンキー
06/10/27 21:35:21 gL4gTVkt
のんびりほのぼの系の女の子も多いけど、結構苦労人も多いよねー
早く親を無くした姉弟とか、天涯孤独の少女とかさ

374:名無しさん@ピンキー
06/11/03 11:10:50 Sq8BYmhV
結局映画見なかった…。

375:名無しさん@ピンキー
06/11/04 00:58:53 ss0M80an
セルDVDやレンタルも言うに及ばず、
TVでやったりしても十中八九観なそうな自分がここにw


興味が無いことはないんだけどねえ。

376:名無しさん@ピンキー
06/11/04 09:05:06 64fJO+ua
自分はあまりにも前評判が悪かったから、
TVでやったら怖いもの見たさで見ちゃうかもw

377:名無しさん@ピンキー
06/11/04 10:08:44 6HnDIvpE
漫画の雰囲気を再現しているとは思えないからTVでも見ない。
見たらもやもやしそうだ。

378:名無しさん@ピンキー
06/11/04 10:44:35 6HnDIvpE
>>373
でも人生前向きだよね。

379:名無しさん@ピンキー
06/11/04 21:40:34 4Xk8Wt3n
ジュリエット白書のオリジナルが見てみたいんだが
コミックスは書き直しバージョンだよね。
どこかに読めるとこないかな~

380:名無しさん@ピンキー
06/11/05 13:14:13 s9Q5r/mx
去年くらいにグリコのおまけで、ミニ本の中にあった気がする。
もしくは川原泉とかいう雑誌が一時期あってその中の第1号かな?
はそのままだったような・・
あいまいな表現でごめんよ。

381:名無しさん@ピンキー
06/11/05 15:34:07 n8h0loHH
そう言えば、川原泉読本みたいなのは確かにあったね
あれに載ってたのかな?見てないからわからないけど
もしかして、古本屋とかにはあるのかねー

382:名無しさん@ピンキー
06/11/05 16:17:24 /hCbwl7w
>380
おまけの豆本の中身は暮林教授の前編だったはず。

まるごとの中身がどうだったかは記憶がないっす。

383:名無しさん@ピンキー
06/11/06 03:48:27 UjulzZzY
>>379
ジュリエット白書のオリジナルが、
デビュー当時の花とゆめに載ったのであれば(載ったかどうかは知らん)
国会図書館に行けば見られるんじゃあるまいか。

384:名無しさん@ピンキー
06/11/12 14:40:11 kuJuQohP
hosyu

385:名無しさん@ピンキー
06/11/16 23:57:03 IR0l7n2a
花とゆめじゃなくて別冊花とゆめだとおもったな


386:名無しさん@ピンキー
06/11/19 23:22:52 hMZ/fonz
オリジナルは文庫じゃなくて初期のコミックスに載ってなかったっけ?
文庫版は描きなおしだったけど、コミックスは確かオリジナルだったはず。

387:名無しさん@ピンキー
06/11/19 23:29:30 LJ/AgR81
ここでコミックスしか持っていない自分が通りますよ
オリジナルは表紙だけ掲載だったよ、で本編は書き直したのを掲載

388:名無しさん@ピンキー
06/11/23 14:59:55 jjuFNOnV
暮林教授…あのラストはいまでも空で言えるくらい、必死で覚えたなー。
すごくショックで、でも忘れられそうにない作品だ! と思ったんだろうな。

389:名無しさん@ピンキー
06/11/28 02:43:30 4UUUGOqJ
もぎゅもぎゅ

390:名無しさん@ピンキー
06/12/05 00:29:23 q8l01f6x
あこがれのハワイ航路饅頭置いときますね…。
(実在。饅頭ってか、パイナップル味のショートブレットなんだけどさ)

つ〇

391:名無しさん@ピンキー
06/12/07 14:52:28 /RXW6dyr
  

392:名無しさん@ピンキー
06/12/07 16:48:58 m6J7G0nv
この誤爆から数日後、嵐は止んだ…。

ライトのベルキャラで抜こう! 6th
スレリンク(eroparo板:74番)

74 :名無しさん@ピンキー:2006/09/28(木) 06:17:33 ID:ixSSxIkD
(`・ω・´)ノ    自他共に保守認定が通りますがな

(´・ω・`)つ◎   こうやってID変えれば保守もお手の物だ罠

(´・ω・`)ノシ    そろそろ圧縮近いがな

(´・ω・`)つc□~  さて、コーヒー飲みつつ保守を待つがな

(´・ω・`)      なかなかレスが来ないからそろそろ保守レス落とすがな
 つc□~

(´-ω-`)=3    ぷは~ぁ!保守した後のCoffeeはうまいがな
つc□~       違いがわかる保守廚の味だがな

393:名無しさん@ピンキー
06/12/15 23:57:00 TUcjNr3p
保守

394:名無しさん@ピンキー
06/12/20 01:23:24 BybLI1w+
4日に1レス

395:名無しさん@ピンキー
06/12/24 12:08:17 Fpfk4tyq
笑うミカエルの映画のDVDが12/22に発売されたようですね
カーラさんのインタビューも収録されてるみたいだから、
そのうちレンタルで借りて見てみようかと思います
映画の出来には期待はしないでw

396:名無しさん@ピンキー
06/12/27 23:49:05 y16103pi
レンタル開始はいつですか?4日に一度のレスage

397:名無しさん@ピンキー
06/12/30 15:22:31 T/zfUga5
保守
誰か若菜さんと和馬さんで書いておくれ

398:名無しさん@ピンキー
07/01/03 11:38:29 8EzfaX3b
あけおめ、ことよろ!
かぼちゃ計画の二人のその後をヨロシク!

399:!omikuji
07/01/03 14:49:19 ryFo2Ktr
おめ!
…GHQも待ってるよー ノシ

400:名無しさん@ピンキー
07/01/09 05:50:40 go47P+UT
保守

401:名無しさん@ピンキー
07/01/10 05:24:58 SLk5c8Ki
ほしゅ

402:名無しさん@ピンキー
07/01/14 11:20:43 8+NIZYtA
すっかり過疎ったね。保守。

403:名無しさん@ピンキー
07/01/15 22:36:22 ZJC41cA2
保守

404:名無しさん@ピンキー
07/01/19 22:41:45 t4ORH5Y4
過疎と言うよりゴーストタウン。保守。

405:名無しさん@ピンキー
07/01/20 08:24:17 ePNUkiq5
でもスレが落ちてないだけ良かったよ
ブレーメン萌え保守

406:名無しさん@ピンキー
07/01/20 15:49:25 Frs22DaH
 

407:名無しさん@ピンキー
07/01/20 18:58:17 vp7EmO2Y
もぎゅ

408:名無しさん@ピンキー
07/01/20 19:46:07 CW8DksYL
麦チョコ666

409:名無しさん@ピンキー
07/01/22 08:14:05 W23Aqjs6
以前、書いてくれた作家さんたちお元気かなぁ。
住人さんたちはどうしてるのかな。

410:名無しさん@ピンキー
07/01/23 23:58:06 pPSq8LtG
まぁ、もう少しのんびりと待ってみようよ

411:名無しさん@ピンキー
07/01/27 00:36:25 LMGWXxsk
麦チョコもぎゅもぎゅ

412:名無しさん@ピンキー
07/01/29 19:01:51 NExDzARj
今日は鯵のひらきに煩悩

413:名無しさん@ピンキー
07/02/03 00:18:39 Dt7dAGbm
マリー・アントワネット観て来た。
頭の中で「素直に吐けばいいものを…」なシーンがぐるぐるしたよ。

414:名無しさん@ピンキー
07/02/07 21:36:08 d8B0ldKz
・・・・・エロ描写が難しい・・・
経験ないワケじゃないんだけど・・・w

エロい設定なのにエロくできない私・・・はぁ・・・
ってか、ここ、レイプはありですか?

415:名無しさん@ピンキー
07/02/07 23:31:38 P5kNcN9m
注意書きさえ冒頭にしてあれば、かまわないと思います。
猟奇みたいな特殊すぎるものなら注意書きしても微妙かと思うけど。

あと、投下される方は自分を卑下するような書き込みや
不必要な自分語りは荒れる原因になるので控えたがいいと思いますよ。

416:名無しさん@ピンキー
07/02/16 02:45:31 lgG0Spcq
 

417:414
07/02/16 19:28:20 bKFASmH1
>>415
ご親切にレスどうもです。



ということで、これから投下します。

***注意事項***
◆ロレンス×柚子 のお話です。
◆レイプありますので、受け付けないと思われる方はスルーして下さい。
◆読まれる方は自己責任でお願いします。


・・・こんなカンジでいいのかな・・・



では。

418:一瞬の楽園・・・1
07/02/16 19:32:52 bKFASmH1
規則正しいリズムを刻み揺れるベッド。
その軋む音は、まるで金属が上げる悲鳴のようだ。
白いシーツの上にはまだ幼く見える小さな体が、波に翻弄される小船のように揺れている。
だがその体はただ上下に揺れるだけでまるで人形のように静かだった。
「はぁ・・・はぁ・・・っ ゆずこ・・・ゆず・・・あぁ・・・出る・・・」
狭い寝室に不釣合いの大きなベッドの上に一つの塊がある。
それは室内にも容赦なく進入してくる夜の闇に申し訳程度の抵抗を試みる、ぼやけたベッドサイドの明りに包まれた二人の男女の肉体だった。
「あぁ・・・・・・・・・っ!」
遠くを見つめ、人形のように身じろぎもしない柚子の上で、まるで断末魔にも似たうめき声を上げると、ロレンスはその小さな体に覆いかぶさった。
はぁはぁと激しい呼吸で体内で昂ぶった熱を放出しようとあがくロレンスの大きすぎる体を、初めて焦点の合った目に慈愛の色を湛える柚子は、黙って受け止めるとその汗に濡れた背中を優しく撫でた。
いつのまにか習慣のようにそうやって自分の背を撫でる柚子の指の感触に身を任せながら、一体どうしてこんなことになってしまったのかとロレンスは急激に引いていく興奮の波を追いかけるように押し寄せる理性の中で思い返していた。

419:一瞬の楽園・・・2
07/02/16 19:36:45 bKFASmH1

ハルの死を知りドイツに渡ったロレンスは、1週間後日本に帰国した。
帰国後は以前と変わらぬ様子で聖ミカエル学園の国語教師として教壇に立ち、また理事長としてもそれまで通りの仕事をこなした。
だが一旦2DKのアパートに帰ると、突然に友を失った悲しみと喪失感を自身の殻にこもって癒そうとするかのように口も聞かないどころか飲食も睡眠さえもとらない有様だった。
心配した柚子は何もできないながら彼のそばでせめて体の健康の保持に努めた。
辛そうにしているロレンスのそばでじっと見守る事は柚子自身にとっても大変に辛いことではあったが彼女はロレンスの、そのあまりに深い悲しみを拭う術を知らなかったのだ。
ちょうど、ただ一人の理解者だった父を失くしたハルの悲しみが癒えるまで、控え目に、だが辛抱強く見守り続けたエセル少年のように柚子はロレンスを見守り続けた。
だが、ロレンスの悲しみは頑固に彼に執着した。
自ら好んで悲しみに浸っていたロレンスだったが、やがて彼の生気を吸いながら成長するその悲しみは、いつしか悪しきものへと変わっていったのか、彼の中に怒りの感情が芽生えてきた。
その暴力にも似た怒りは成長した悲しみから生気を逆に吸い取り、まるでそれが快楽ででもあるかのように止まることなく膨らんでいった。
生い立ちからしてあまり幸福だとは言えなかったハルがなぜ嘱望された人生の最後をあんな形で断たれなければならないのか。
裕福ではあっても暖かさを知らない家庭で育ち、そのことに不平も不満も持たずに諦めと忍耐の中で生きてきた自分に、なぜ今またこんな悲しみが降りかかってくるのか。
人の世の理不尽に対する怒りは尽きることなく膨張するがぶつける先がない。
ロレンスは、今やハルを失った悲しみよりもその膨張しきった怒りに押しつぶされそうになっていた。
どこかにぶつけなければ自分が潰されてしまう。
だがそれをぶつけるところはどこにもない。
その時。
ふと横を見ると柚子がいた。
何も食べたくない、何もしたくない自分の気持ちなどお構いなしに食べ物を持ってくる柚子。

420:一瞬の楽園・・・3
07/02/16 19:38:26 bKFASmH1
 立ち上がると、少し驚いたような顔で自分を見る柚子の顔が見える。
そばに近づくと物も言わずに押し倒し、愛情からではなくただその小さな口さえも壊してしまえとばかりに舌をねじ込む。
柚子が抵抗して何か叫んでいるが彼の耳にはそれらは意味のある言葉には聞こえなかった。
小さな動物が身の危険を察し怯えてもらす鳴き声。
彼はお構いなしに柚子のトレーナーの中に手を入れ、下着を押し上げてそのあるかなしかに膨らんだ胸を乱暴にこね回した。
柚子の鳴き声。
だが捌け口を得た衝動は収まらない。
スカートをまくり上げ下着を下ろすと自らも下半身をむき出しにした。
受け入れる準備ができているかどうかを確かめるためではなく、その場所を確かめるためだけに指をこじ入れると柚子が痛いと叫んだ。
痛い。
今ロレンスは柚子を初めて小さな動物ではなく女として認識した。
だがそのほうが一層犯し甲斐がある。
凶悪な欲望に支配されたロレンスは自分の体の下で泣きながら暴れる柚子を許してやる気になどならなかった。
抵抗しても無駄だと悟ったのか、それとも自分の精神の内側に逃げ込んだのか、いつしか柚子は抵抗をしなくなっていた。
ロレンスはそんな柚子を哀れに思うこともなく、ただ我を忘れてその狭い膣道を犯し続けた。
 全てが終わった後、ロレンスは疲れ切ったことを実感した。今はただひたすら横になりたかった。くたくたになった体を引きずり寝室に入ると、柚子が整えたベッドに倒れこみ、そのまま間もなく意識を失ったように眠ってしまった。

421:一瞬の楽園・・・4
07/02/16 19:41:24 bKFASmH1
 目が覚めた。
毛布にくるまり手足の隅々まで温まっている体は久しぶりにぐっすりと眠った充実感で満ち満ちている。
では、昨夜のあれは夢だったのだろうか。
確か、ただベッドに倒れこんだだけで枕に頭さえ乗せた覚えはない。
なんという夢を見たのだろう。好意を抱いていることは自覚していたものの、あんな小さな体を、恐らく男など知らない体を、ただ暴力で犯しあげるとは。
そう。あれは夢。
自分がまさかそんなことをする筈がない。
ロレンスはほっと安堵した。
だがおかしい。
いつもなら感じることのない素肌をさわさわとくすぐる繊維の感触が脚をくすぐる。
慌てて起き上がったが驚いたことに下半身は裸のままだった。
枕元に、昨日柚子をレイプする時に脱ぎ捨てたズボンと下着がたたまれて置かれていた。
まだ疲労のまとわりつく体にそれらを着けると、彼は昨夜の現場を見に行った。
乱れた様子は何一つない。
柚子が全て片付けていったのだろか。
考えられない。
レイプの後でまで、その男の身の回りを整えるはずがない。
だとしたら、自分は恐らく服を着たままベッドにもぐりこんだのだろう。
昨夜の事は性夢で、夢遊病のようにズボンと下着を脱いでしまったに違いない。
たたんでおいてあったことは辻褄が合わない気がしたがそれ以外に考えられなかった。


「おはようございます、ロレンス先生」
学舎で聞きなれた声に呼び止められてロレンスは飛び上がらんばかりに驚いた。
「あ・・・おはよう、更科さん・・・」
平均身長がイギリスよりもかなり低い日本の少女たち。
まして自分はイギリス人の平均から言っても低い方ではない。
むしろ高いほうだろう。
そんな自分から見れば柚子は見下ろす位置にいる。
彼女がこちらを見上げなければ、彼女のつむじに話しかけるようなものだ。
いつもと何ら変わることなく自分を見上げるこの少女を、本当にレイプしたのだろうか。
ロレンスがうろたえていたのは確信が持てないためだった。
別にカトリック系の私立校の理事長の席など惜しくはない。
少女の一人や二人レイプしたからと言って、うまく立ち回れば警察沙汰にもならないだろうし、とっととイギリスに帰ればそれで済む。
まさかこんな小さな国で起こした醜聞が自分のこの先の人生を左右することもあるまい。
常なら考えもしない汚い思考がロレンスの頭を占めていた。
今気になるのは、本当に柚子を犯したのかという、ただその一点だけだ。
「・・・変わりはないですか・・・?」
「はい」
柔らかな笑顔を向ける柚子。
猫を被っているよそ行きの表情。
だがここは彼女が猫を被ることを自分に課している学校だ。
その反応は当然と言えば当然だった。
「それでは、私はこれで」
軽い会釈の後、柚子は自分を置き去りにして行ってしまった。
ロレンスはただ見送るしかできなかった。

422:一瞬の楽園・・・5
07/02/16 19:42:52 bKFASmH1
 その日。
ロレンスは柚子が来るのか来ないのかがひどく気になっていた。
もしも本当にレイプしたのであれば彼女がごく普通の態度でいるのが理解できない。
もしかしたら最も効果的な報復の方法を考え出したのかもしれない。
裏で何か画策しているのかもしれない。
その仕返しのタイミングをはかっているのかもしれない。
それともやはりあのレイプは夢だったのか。
ピンポーン。
チャイムの音がなり、ほどなくドアを開けて柚子が入ってきた。
最近は帰宅してもカギをかけることなどなかったので、柚子はそのまま入ってくる。
そんなことも、ロレンスは今気がついた。
「こんにちは」
ロレンスに向かってそう言うと、柚子は真っ直ぐに狭いキッチンへと向かう。
そこで肩から提げているトートバッグを下ろすとエプロンを出して身に着けた。
再びバッグに手を入れると次々と密封容器を取り出し、冷蔵庫へとしまっていく。
それから風呂場へと消えていった。
恐らく、使った跡のない浴室を洗い、その後ベッドを整えに行くのだろう。
帰国してから毎日、柚子はそうしていたに違いない。
だが同じ室内にいたはずのロレンスはその姿を今日初めて見た。

423:一瞬の楽園・・・6
07/02/16 19:44:23 bKFASmH1
 こちらに背を向け、懸命に小さな体を動かしてベッドを整えている柚子の体を背後からロレンスは抱いた。
びくり、と大きく彼女の体が揺れるのが感じられる。
だが柚子は何も言わなかった。
昨日のことは夢だったのか。
それを確かめるために、ただそれだけのためにロレンスは再び彼女を陵辱した。
押し倒し、脚を開き、まだ濡れてもいないその場所に凶器のような自身の性器をねじ込んだ。
柚子は明らかに痛みを耐えている表情を浮かべたが、そのことがロレンスの衝動をより強く駆り立てた。
本当にレイプしたのか。
本当にレイプした次の日も柚子は来るのか。
それを確かめるために始めた行為のはずが、ロレンスはいつしか夢中になって溺れていった。
柚子はなぜか最後まで一度も抵抗しなかった。
 
次の日も、また次の日も。
帰宅したロレンスのアパートにまるで何事もなかったかのように柚子は現れた。
そして覚めない悪夢ででもあるかのように、その度ロレンスは彼女を犯した。
愛情もなく避妊もしない。
怒りにも似た激情とただ一時の快楽。
そしてその後にはいつも言い知れない虚しさが残った。
ロレンスはその虚しさを塗りつぶすようにまた翌日、柚子を犯すのだった。
言葉もなく。

424:一瞬の楽園・・・7
07/02/16 19:46:14 bKFASmH1
手馴れた様子で自分の手によって剥ぎ取られていった衣服を身に付ける柚子を、ロレンスはじっと見つめていた。
手馴れるはずだ。
あの日からもう1ヶ月が過ぎている。
その間ほぼ毎日柚子は来たし、来れば必ず彼は犯した。
1週間ほど来ない日があり、その時彼は釈然としない怒りを感じた。
もしや柚子はもう自分の元を訪れないのではないか。
許しもなく。
そもそも毎日自分を犯すロレンスの元を訪ねなくなることに彼の許しを乞わねばならない義理は柚子にはない。
それはロレンスにもわかっているが理屈ではなく感情がそれを許さなかった。
だが自分から声をかけることもなくしばらく過ぎるとやがて柚子は戻ってきた。

その日、ロレンスのレイプはいつもより激しかった。
自分を見捨てた柚子への怒り。
また一人ぼっちになってしまったのかと恐怖に怯えた自分への怒り。
全てを柚子にぶつけて。
柚子は弁解もせず怯えることもなく、ただ黙ってロレンスの怒りの嵐が過ぎるのを耐えた。

柚子が1週間も自分の元を訪れなかった理由がわかったのは全てが済んだ後だった。
始末をしようと自身を拭ったティッシュにわずかに朱色の筋が混じっていたのだ。
ロレンスはそのことで深い安堵を覚えた。
自分は見捨てられたのではなかったのだ。
そしてまた次の日から、柚子は変わらずに彼の元にやってきた。
今日もまた。

425:一瞬の楽園・・・8
07/02/16 19:48:18 bKFASmH1
「柚子さん。どうして毎日来るのですか?」
身支度のほとんどを終えた柚子に、ロレンスが初めて声をかけた。
その声にびくりと体を強張らせた後、立ち上がった柚子は静かに彼の方を振り向いた。
ベッドサイドの控え目な明りに照らされたその表情は悲しさと優しさが同居しているような不思議なものにロレンスには見えた。
「また、明日来ます」
ロレンスの問いには答えず、柚子はそれだけ言い残すと部屋を出て行った。



思えばなぜ柚子は抵抗しないのか。
なぜ犯されることがわかっているのに毎日来るのか。
まるで犯されるために来ているようなものではないか。
ロレンスはそのナゾを考えた。
犯されて得た快感を求めて来るのだろか。
だがそうとは思えなかった。
柚子の体は最初に比べ確かに自分を受け入れることを嫌悪しているとは思えなかったが、だからと言って快感を得ている様子もない。
声どころか吐息の一つも漏らさないのだ。
まるで人形のように自分の荒々しい行為が終わるのを静かに待っている。
そして終わるとなぜか幼い子をあやすように、この背をなでてくれるのだ。
その手つきに、確かに愛情を感じる。
だがおかしい。
自分は柚子に恨まれ憎まれるようなことをしているはずなのに。
殺したいと思われても仕方のないことをしているのに。
なぜ。柚子はなにを考えているのか。
彼女の心のあり様に、何か大事なものが隠されているに違いない。
だが、何度となくその体を蹂躙してはみても、ロレンスにはその謎を解く鍵さえ見つける事はできなかった。

426:一瞬の楽園・・・9
07/02/16 19:50:36 bKFASmH1
その日、ロレンスは柚子に乱暴な事はしなかった。
乱暴な事はしなかったというだけで乱暴しなかったわけではない。
なぜ、どうしての疑問は消えないままだったが、とりあえず習慣のように彼女をレイプした。
優しく背中を撫でる彼女の指を感じ、ロレンスはその体を彼女の上から引き剥がすと、柚子はそれが合図ででもあるかのようにベッドの上に起き上がった。
帰る支度をするのだろう。
そして身支度が終わるといつものように黙って部屋を出て行くのか。
だが今日はそうすることができなかった。
ベッドの上に脱ぎ散らかした服を集めようと伸ばした柚子の腕を、ロレンスが掴んで止めたからだった。
「な・・・?」
驚いてロレンスを見つめる柚子。
ロレンスは激しかった行為の余韻でだるそうに体を起こすと、柚子の目をじっと見つめた。
「昨日の答えを、まだ聞いていないのでね。どうして毎日来るのですか?・・・来れば犯されるものを」
犯される。
その言葉を聞いたとき、確かに柚子の胸が痛んだ。
ロレンスはそのことを察した。だが柚子はその痛みに慄くことなくむしろ痛みを見つめるようにロレンスの顔を見つめ返すと一言呟いたのだ。
「私には他に何もできないから・・・」

ロレンスには意味がわからなかった。
生涯でただ一人と言える得がたい大切な友を突然に失くした。
そのことに今まで感じたことのない喪失感と罪悪感と孤独に苛まれた自分。
どんなに切望しても帰ってこない親友。
あの時どうして彼の体調に気づいてやれなかったのかと言う後悔。
再び誰にも理解してもらえない立場になってしまった淋しさ。
そういったものに身を沈め、自らの体を省みることのなかった自分に温かい食事と身の回りの世話を黙々としてくれていたのは柚子ではないか。

「そんなことはないでしょう。きみのお陰で僕は今生きているようなものです。
 毎日食事を持ってきてくれて、僕の心配をしてくれて・・・」
「でも。実際私にはそれしかできないし・・・」
「それだけじゃない。僕はきみにひどいことを・・・。それなのにきみは変わらずに来てくれて」
「先生、あの後、ぐっすり眠ってたから・・・。ずっと眠れてなかったでしょ?」

427:一瞬の楽園・・・10
07/02/16 19:53:21 bKFASmH1
 確かにあの夜以来彼はよく眠り食べるようになっている。
悲しみと虚しさの汚泥から生まれた理不尽な怒りに操られるようにその小さな体を犯し続けた日々。
悲しみの代償。
いつしかロレンスは柚子を犯すことにのみ溺れていったのだ。
ハルが消えた事実から逃れるように。
今、食べることができるのも、眠ることができるのも、恐ろしい亡霊のような悲しみから逃れることができているのも、全て柚子が不条理な自分の暴力にただ耐えてくれていたからではないのか。
そのことに、今初めてロレンスは気がついた。
「おハルさんが・・・いなくなって・・・。先生がどれだけ辛いのか、私には想像もつかないから。
 だけど何もしてあげられなくて。ご飯を運んだりなんて、先生を元気づけるのに何にも役に立たないのはわかっていたけどそれしか思いつかなかったから・・・」
「だけど。どうして途中で抵抗しなくなったんですか?イヤじゃなかったの?」
「先生・・・やっぱり気がついてなかったんですね」
「?」
「先生、途中から泣いてたんです。先生ずっと、泣いてなかったでしょ?学校でも、ここでも。きっと私が帰った後も泣いてなかったと思う・・・。
 だけど悲しい時は泣かなくちゃ。先生が泣くことができるのなら、それで少しでも気が紛れるのなら、私でも役に立つことがあるのなら、って思ったんです・・・」
ロレンスは改めて柚子を見た。
激しい行為のためかいつもきっちり編んでいる髪はほどけてくるくるとした巻き毛をその背中に胸に垂らしている。
仄暗い明りを浴びたその表情は、慈愛に満ちた聖母のように見えた。
「柚子・・・!」
きつく抱き締める。
小柄なその体は、自分の体の中にすっぽりと納まってしまうことにロレンスは初めて気がついた。
自分はこんなにも小さな体に、やり場のない感情の全てをぶつけていたのか。
柚子はこんなにも小さな体で、その全てを受け止め、受け入れてくれていたのか。
思えば思うほど柚子を愛しいと思う気持ちが体の底から沸きあがってくる。
どこかに捌け口が必要なほどに。
「・・・柚子さん・・・」
「・・・?」
きつく抱き締めたまま問いかけるロレンスに柚子は言葉もない。
ただ静かに次の言葉を待つ。
「抱いて、いいですか・・・?」
なにを今更と笑われるだろか。
恐れながらも勇気を振り絞って問うロレンスに、柚子は小さく頷いた。
「ありがとう・・・」

428:一瞬の楽園・・・11
07/02/16 19:56:00 bKFASmH1
栗色の波打つ髪が、まるで後光のように広がり柚子の小さな顔を飾る。
その体はもう何度も男性を受け入れてきたというのに、まるで壊れやすい宝物のように優しくベッドに横たえられて柚子は戸惑っていた。
真っ直ぐ前を見ることができない。
そこには今までに見たこともない優しく愛しげな表情のロレンスの顔があるからだった。
あれほど恐れていた金色の髪も青い目も今は怖くない。
不条理な暴力に本能から感じた恐怖も彼の涙が消してしまった。
おかしなものだと柚子は思う。
あれほどの暴力よりも、今はこの大きな悲しい異人の愛情のこもった優しさの方が怖いのだから。

「柚子さん・・・愛していますよ・・・」
ロレンスの声が優しく、自分の方を見るようにと促す。
それまで恥ずかしさから当てもなく視線を泳がせていた柚子が彼を見ると、その視線を捕らえて苦笑いを浮かべながら彼が呟いた。
「あれだけのことをしてきたのですから、信じてはもらえないかもしれませんがね・・・」
「あはは。信じるよ」
こんな時に思わず笑いがでる柚子に、ロレンスは少し驚いた顔をした。
その驚きが、あれほどのことをした自分の愛を信じたことへの驚きなのか、それともベッドの上でこれから愛を交わそうというのにムードもなにもないことへの驚きなのかは柚子にはわからない。
ただわかっていることは、彼が自分を愛しているのは間違いないということだけだ。
あの手放しの悲しみ方を自分に見せたのは、おハルさんを共に知っているというだけの理由ではないだろう。
同じくおハルさんを知っている史緒や和音にはきっとあんな姿は見せなかったはずだ。
学校で見せていたいつもと変わりのない様子で接し、彼女らが帰った後、悲しみの淵に沈んだに違いない。
あの悲嘆も、あの乱暴も、愛すればこその甘えなのだと柚子は思う。
だからこそ許してきたのだ。
思えば互いに漠然と相手に好意を持ってきたのかもしれない。
だが気がつかなかった。
おハルさんのことがなかったら、もしかしたら自分は一生、ロレンスへの愛情に気がつかなかったかもしれない。
そう思うと、皮肉と言うにはあまりに過酷な出来事の上に結ばれた愛情なのだと柚子は思った。

「私も先生を愛してるよ」
どれほど汚されても汚れることのなかったその強さ。
柚子はにっこりと微笑んだ。
まさに聖母。
大天使さえも従える気高さをロレンスは感じた。
「柚子・・・」
それ以上は言葉が出ない。
言葉で今の気持ちを表す事は、堪能な日本語でも母国語でもできそうになかった。
愛情と欲情。
ロレンスはその全てを注ぐように彼女の唇に自身のそれを重ね合わせた。

429:一瞬の楽園・・・12
07/02/16 19:58:34 bKFASmH1
この一月もの間受けてきたロレンスの口付け。
だが今日のそれは今までとは全く違っている。
柚子は戸惑った。
いつものように乱暴に、力任せにこじ入ってきてくれればやりすごすこともできるのに。
ロレンスの舌はまるで柚子に、その愛情の在り処を問うように恐る恐る口中を探ってくる。
舌の裏。
歯。
口蓋。
ロレンスの舌が触れた場所は全て、まるで媚薬を塗られたかのようにしびれてくる。
初めての感覚に柚子は我を忘れた。
もっと。もっと。
気がつけば固いものが舌に当たるのがわかった。
それは間違いなくロレンスの歯。
いつの間に、柚子はロレンスの舌を求めて自ら彼の口内へと自身の舌を伸ばしていったらしい。
気がついて慌てて引っ込めようとする。
が、それは叶わなかった。
逃げようとする彼女の舌を、ロレンスがいち早く捕らえて強く吸い付いたからだった。
その瞬間、頭の芯を甘い痺れが襲う。
「はぁ・・・はぁ・・・は・・・」
ようやくロレンスがその唇を解放してくれた時には、柚子の口の周りはもうべとべとに濡れていた。
気づいたロレンスがその口の周りを舌で拭う。
まるで愛の液体にまみれた恥ずかしい場所を舐めるように。
その行為に顔を赤らめる柚子の目を見ながら、ロレンスは、あご、喉、鎖骨と辿って彼女の胸へと唇を移動させていった。
その唇の通った跡には、紅い花が点々と咲いていく。

「あ・・・・・・・・・っ」
唇が、小さな胸の頂にある可憐な果実を捕らえると、柚子は驚いたような声を上げた。
果実は固く実って自身の存在を誇示するようにロレンスの舌をくすぐる。
ぷっくりとした感触を楽しむようにロレンスは唇で、舌で、歯で、たっぷりと愛撫する。
その愛撫からくる快楽から逃れるように柚子は切なそうに身をよじり、甘いため息を漏らした。
「はぁ・・・あ・・・っ。あぁ・・・・・・・ん・・・・・」
それはロレンスが初めて聞く声だった。
そして恐らく柚子が初めて上げる声。
その声の切なさと甘さに、愛しさが増す。
もっと感じさせたい。感じている声を上げさせたい。
そして聞きたい。
ロレンスの舌は性急に彼女の下半身へと下りていった。

430:一瞬の楽園・・・13
07/02/16 20:00:51 bKFASmH1
「柚子。脚を開いて」
早く早くと急いで下りた舌は、だが目的地に辿り着くことはなかった。
柚子が阻止するようにがっちりと太腿を閉じているからだ。
むっちりとした滑らかな白い太腿。
それをうっとり眺めた後ロレンスがそう言うと、柚子は小さな声で反抗する。
「ダメ。恥ずかしい・・・」
くすり、とロレンスが笑う。
散々陵辱の限りを尽くしてきた男になにを今更。
だが今までの、自分の心を閉ざしてただ耐えてきたレイプとは違う。
これは愛する者同士がする行為。
セックスなのだ。
そのことを柚子が自覚している証の反抗でもある。
そう思うとその可憐さが愛らしい。
だがそれで彼女を許すつもりはない。
ロレンスは、その長い指を持つ大きな手を彼女の膝に割りいれ、あっさりと開いてしまった。

「あ!だめっ!」
柚子が力の限り閉じようとどれほどもがいてももう後の祭りだ。
既にロレンスはその太腿の間に両肩をねじ入れ、顔は彼女の性器のすぐそこにある。
「もう遅いよ」
くすりと再び笑うと、ロレンスは、愛の潤いで濡れ濡れと光るその場所に口付け、舌を伸ばす。
「あぁぁぁ・・・っ」
震える声を上げて、初めてそこに触れる唇と舌の感触に慄く柚子。
だが逃れる術はロレンスによって奪われている。
まるで拷問のようにただ快楽に耐えるしかないのだ。
「あんっ!あぁっ!や・・・はぁ・・・っ」
下腹部から起こる快感が皮膚も神経も全てを染めようと柚子の小さな体の隅々まで広がっていく。
下半身を押さえ込まれた状態で、柚子はその快感に身悶え上半身は激しく波打っていた。
初めは嫌がってロレンスの頭を押しとどめようとしていた手も、いつの間にかシーツを握って快感に耐えている。
と同時に、彼女の中にわずかに残る理性がその快楽を少しでも体から逃がそうとするかのように喘ぎ声を上げた。
が、その声がかえってロレンスの欲情を煽っていることに彼女は気がついていない。
その声の高さに比例して、ロレンスの責めは強まっていくのだ。
今はもう、はっきりとした水音が彼の口から漏れてくる。
柚子の愛液を啜るその音が。

431:一瞬の楽園・・・14
07/02/16 20:03:31 bKFASmH1
「柚子・・・」
ようやくロレンスが顔を上げる。
柚子は、熱く上気した表情でロレンスの呼びかけに彼を見た。
だが返事を返す事はできない。
初めての快感に心と体の全てを翻弄され、ただ荒く息をするだけだ。
そんな様子がロレンスには殊更愛しかった。

「入れたい・・・。いいかい?」
柚子が肩で息をし、あえぎながらもこくりと小さく頷く。
ロレンスは、もう何度も侵入し、もう何度も陵辱し、もう何度も汚しきった彼女の、それでもなお汚れることなく彼の愛情に悦びをもって反応する神秘の窪みに愛と精を注ぐ己の分身をそっと当てると、ぐいと射し込んでいった。
「はぁ・・・・・・・・・・・・っ」
柚子の、快楽に震える深いため息。
彼女の呼気が室内を染めていくように広がっていくのを、ロレンスは感じた。
今この室内は愛に満ちている。
深すぎる悲しみから生まれた歪んだ怒りがもたらした関係だとしても、今は彼女の吐く息が全てを浄化してくれるのだ。
一つになろう。
もっと深く。
ロレンスは尚もぐいぐいと体を奥深くへと進めていった。

「あぁぁぁぁっ」
柚子が逃げるように体を捩る。
それを逃がすまいとその小さな両肩をしっかりと掴んでロレンスは、何度も何度も引いては進み、彼女の最奥を突いた。

「あぁっ。あっ!あ!だめ!あ!せんせ・・・!」
セックスによって快感を感じるのは初めてのことだろうに、いつしか柚子は少しでも強く快感を得ようと本能的に腰を振っている。
恐らく無意識なのだろう。
半開きになっている小さな唇から漏れる悦楽の声はもう悲鳴にさえ近い。
そのことがなお一層ロレンスの欲情の火に油を注ぐ。
愛して止まないその小さな体を、けれど優しく扱う事はもうできなかった。
ロレンス自身の限界が近づいていた。

「ゆずこ・・・。もう・・・ぼくもだめだ。いくよ。・・・・・・・・・・・・・っぅ」
途端に膨れ上がる彼の分身。
そのことを本能で察知したのか柚子の中が激しく収縮してそれを締め付ける。

「あぁ!ゆずこ!だめだ!いく!いく!あぁ・・・・・・・・・・・・・・・っ」
「あ!あ!せんせ・・・・・・・せ・・・・・あぁぁぁぁっ・・・!」
 
二人が達したのはほぼ同時だった。
ロレンスは柚子の中に愛と性の証の全てを注ぎ込み、柚子はロレンスの心と体の全てを欲し、受け止めた。
二人は今、誰にもわからない二人だけの楽園にいるのだ。
自身の何もかもが満たされ、互いの愛しか感じることのできない一瞬の楽園に。

432:一瞬の楽園・・・15
07/02/16 20:06:19 bKFASmH1
「えぇ。はい・・・。そうなんです。・・・・・・はい。いえ、僕は構いませんから。
 えぇ。明日は休みですし。・・・・・・・・はい。・・・・はい・。では、お預かりします。
 ・・・・・はい、おやすみなさい」
ロレンスが上半身を起こし、ベッドから電話をかけているのを柚子はぼんやりと眺めていた。
体はまだ、自分の意思で動かすことさえ難しいほどにぐったりと疲れ切っている。
楽園に行った後の、それが後遺症なのだと、柚子はその時初めて知った。

「柚子ちゃん」
ピッ、と電子音を立て通話を切ると、ロレンスが彼女を振り返った。
そこにはたった今、愛を交わし、楽園を共にした彼女がまるでシーツに溶けていきそうな風情で横たわっている。
そんなに感じたのか。
ロレンスは嬉しかった。

「・・・そんなに気持ちよかった?」
彼女の体にすり寄ってその耳元でイタズラっぽく囁く。
「ばかぁ・・・」

柚子はわずかに顔を動かし、シーツにすっかり顔を隠してしまった。
その様子が可愛くてロレンスはくすくすと笑う。

「今、きみの家に電話をしました。
 お母さんが出て、今夜はきみは僕の世話で疲れて眠ってしまったので泊まって行く、と言ったら快く了承してくれましたよ」
顔をシーツに埋めて表情が見えない。
だが柚子はしっかりとロレンスの言葉を聞いていた。
「聞こえてたから知ってるよ」
ぶっきらぼうに答えるのは照れ隠しだろう。
無意識とは言えあれだけ大胆に自分を求めてくれた彼女が急にいつも通りに戻ったことが面白い。
だがいつまでも「普段の柚子」でいさせるつもりはロレンスにはなかった。
楽園への道はまだまだ開けており、果てのない悦楽が二人を待っているのだ。


「柚子・・・」
彼女の体を反転させ、口付けをしながらその大きな手には少し物足りない、だが素晴らしく瑞々しい胸をやわやわと揉む。
「・・・・・っ。ヤ・・・先生・・・。も、ヤだぁ・・・」
嫌がる言葉を口にしながらもその声は彼の愛撫に媚びるように甘い。
そんな彼女の態度と声音に、ロレンスは、体の中心がまた熱くなっていくのを感じた。
「今夜は泊まっていくんだから。夜はまだまだこれからですよ」
からかうように耳元で囁くと、更に一段低く声を落としてもう一言だけロレンスは彼女に言う。

「一緒に楽園に行こう」

だがその答えをロレンスは聞く事はできなかった。
柚子はもう、喘ぐことしかできなかったから。

433:一瞬の楽園・・・16
07/02/16 20:10:58 bKFASmH1

「かーちゃん。電話は誰からだね?」
受話器を握りしめ電話を相手にしきりと頭を下げていた妻がようやく電話を終えると柚子の父が尋ねた。

「あぁ。ロレンス先生だよ、とーちゃん」
「ほう、なんだって?」
「なんでも柚子ったら先生のお宅で疲れて眠っちゃって、起こしても起きないんだってさ。
 それでかわいそうだから今夜はこのまま泊めてやりたい、って」

その話を聞き、父は感慨深げにため息をついた。
「そーかー。もう一ヶ月以上も毎日だもんなー。柚子は頑張り屋だからなー。
 それでなんて返事をしたんだ?かーちゃん」
「お願いします、って言っておいたよ」
「そーかそーか。それがいい」

彼は妻の返事に満足そうに頷いたが、すぐさまその表情は曇った。
「・・・それにしても、ロレンス先生はまだ落ち込んでるのかねー・・・」
「そりゃそうだー。なにしろ親友を急に失くしちまったんだろー?落ち込むのも当然だよ」

彼らは柚子から大まかなことを聞かされていた。
だからこそ、娘がロレンスの元に日参するのを認めてきたし応援もしてきたのだ。


「甘いな、とーちゃんもかーちゃんも」
だがそこに極めて冷静かつ突然に口を挟んできたのは柚子の兄、孝志だ。
夫婦は目を点にしてこの家一番のしっかり者の顔を凝視した。
「大体俺は前から反対だったんだ。
 いくら聖ミカエルの教師だかなんだか知らないがロレンス先生だって所詮は男。
 そこに、いくらちんちくりんの幼児体型とは言えれっきとした女子高生の柚子が毎日入り浸っているなんておかしいと思わないのか?
 もし思わないんだとしたらとーちゃんもかーちゃんも世間の一般常識からあまりにもずれている!
 休みの前の日に嫁入り前の娘が男の家に泊まることを許す親がどこにいるんだ。
 今すぐ俺が連れ戻してくる!」

434:一瞬の楽園・・・17
07/02/16 20:14:01 bKFASmH1
意気盛んに叫ぶ孝志だが、両親はそれをのほほんと見ていた。

「んだけどな、孝志。
 ロレンス先生には柚子も冬休みに世話になったしだな、それにお前の言うようなことをするお人とは到底思えないんだな、とーちゃんは」
「そだよー、孝志。滅多に人を疑ったりしたらいけないよー。
 それにー、もしロレンス先生がお前の心配するような人だったとしたら、もうとっくに柚子でなく、他の生徒さんとそうなってるんでないかいー?」
「そだなー。何しろあの学校には柚子よりも美人なお嬢様がわんさといるしなー」
「そうそう。柚子はほら、気立てはいいけど顔があれだから」
「まぁ、わし達に似たんだからしょーがないって。なぁ、かーちゃん」
「それもそーだねー、とーちゃん」

気がつけば声を上げてのどかに笑っている両親。
孝志は脱力した。
なんてのん気な親なんだ。
もう孝志には妹を迎えに行く気力も失せていた。
こうなったら俺は知らん。
なるようになってしまえだ。
そう思い、自室に戻ろうとする孝志に、両親は声をかけた。

「それにな、孝志。わしはあのロレンス先生はいい人だと思うんだ。
 もしお前の心配する通りのことになったとしても、あの先生なら、きっと悪いようにはしないはずだ、ってな」
「それにね、孝志。柚子だってあれでなかなか芯のしっかりした子だよ。
 もし、お前の心配するようなことになったとしても、柚子なら、きっといいようにするはずだ、ってね」

つまり両親はそれだけあの二人のことを信じているということなのか。
自分に生き写しの地味な母の顔と、妹と瓜二つの地味な父の顔を、孝志はまじまじと見つめた。
この二人はお人よしかもしれない。
だが悪い人間につけ込まれることもなく、商売も立派に成功させ今の地位にいる。
それは人を見る目があったということなのかもしれない。
それになにより、自分の子供を信じているのだ。
孝志は、「世間一般の常識」に囚われ、妹を信じることのできなかった自分を恥じた。
そして、なぜだか急に白薔薇の君に会いたくなった。

「・・・別に俺は、とーちゃんとかーちゃんがそれでいいなら・・・。ま、まぁ、じゃぁ俺は白薔薇の君にでも会いに行ってくるかな」
「あぁ、行っといで」
「よろしく言ってといておくれよ」
 
両親の声に送られて家を出る孝志。
彼もまた今夜、一瞬の楽園を訪れるのだろうか。

435:名無しさん@ピンキー
07/02/16 20:15:10 bKFASmH1
・・・・・・・以上です。
あんまりエロくなくてすみません・・・

436:名無しさん@ピンキー
07/02/16 20:58:04 zPo+T5cc
すっごいよかったよー
ロレンス×柚子のこういう感じもイイ!

できれば白薔薇の君編もキボン
保管庫にあるのはエロ無なんで

437:名無しさん@ピンキー
07/02/16 23:04:19 I8q1Zket
心配していない両親と、それなりに心配している兄ちゃんの対比が
面白いですね。
あの両親っぽいw

438:名無しさん@ピンキー
07/02/17 00:17:07 RbOEiqdP
>>436
どもです。
ところで白薔薇の君って、名前ありましたっけ?
名前がないと書きにくい・・・


>>437
どもです。
16・17が、書いていて一番楽しかったですw

439:名無しさん@ピンキー
07/02/17 16:08:36 OFFiulaj
>>438
名前なかったと思う
かってに付けるわけにもいかんし、あなたとか二人称にするしかないな

440:名無しさん@ピンキー
07/02/19 21:10:47 e4vJOa1s
遅ればせながら、GJ!
良かったよ~ヽ(・∀・)ノシ

441:名無しさん@ピンキー
07/02/20 01:56:49 HRj9Fvlv
>>417 新しいロレンス先生像だ!GJでした

442:名無しさん@ピンキー
07/02/20 02:38:30 ydEGTgS5
>>441
どもです。
鬼畜なロレンス先生ですみません。


>>436
書いてみました。
あまりエロくはないのですが・・・


というわけで。

***注意事項***
◆孝志 × 白薔薇の君 のお話です。
◆孝志が孝志っぽくないかもしれないので、受け付けないと思われる方はスルーして下さい。
◆読まれる方は自己責任でお願いします。



以下、投下します・・・

443:清らかな白薔薇を手折るのは・・・1
07/02/20 02:41:27 ydEGTgS5
誘拐事件をきっかけに、柚子の兄、孝志は白薔薇の君とのお付き合いを深めていった。
今日も妹の貞操の危機かもしれないというのにのんきに構えている両親を置いてこれから彼女に会いに行く。
約束をしていたわけではないので会えるかどうかはわからなかった。
が、無性に会いたくなったのだ。

「もしもし?孝志です。・・・今、会えますか?」
唐突な事は十分にわかっている。電話の向こうにいる彼女の雰囲気からも、それが伝わってきた。
だが。戸惑ってこそいるものの、迷惑そうな雰囲気はない。
あるいはそれはお嬢様育ちには特有のものなのかもしれないが。
だが、多少強引なのを承知で会いたいと言った自分の申し出を了承してくれたことが本当にうれしかった。

「えぇ。じゃぁ今から迎えに行きますから。
 ・・・・・え?家からそちらまでは10分もあれば着きますから。えぇ、それじゃ後で」
孝志は電話を切ると車のキーを持って家を出た。

444:清らかな白薔薇を手折るのは・・・2
07/02/20 02:45:56 ydEGTgS5
玄関から出てきた白薔薇の君の姿を見て、孝志は車から降りて彼女を迎えた。
そして今日も彼は思わず見とれてしまう。
なんてキレイな人なんだろう。
だが、どうも今夜の彼女はどこか落ち着きがない。
そわそわしているように見えるのは気のせいなのだろうか。

「こんな時間にすいません」

助手席に座った彼女に、孝志は詫びた。

「突然で驚きましたけど・・・でも、うれしかったですわ」

決して早いとは言いがたいこの時間に、文句一つ言わずに出てきてくれた彼女の、
うれしそうな、けれど恥じらいを含んだその表情に孝志は心臓をわしづかみにされたような胸苦しさを覚えた。

「どこへ行きましょうか」
苦しさから自分を誤魔化すために孝志は話題を変えた。
だが、突然彼女の表情が強張った。
なにがいけなかったのだろう。
孝志にはわからない。

「あ。すみません。こんな時間に呼び出しておいて行く先も決めていないなんて。
 俺、何やってるのかな・・・」

なんだか自分が急に情けなくなってきた。
何の目的も計画もなく女性をこんな時間に呼び出したのだ。
ただ無性に会いたくなったというだけの理由で。
そんな身勝手な自分がいやになってくる。
彼女の目に、今俺はどんな風に映っているのだろう。
そう思うと怖くて横を向けず、孝志はフロントガラスの向こうに広がる景色を眺めるともなく観るだけだった。

「それじゃぁ・・・。孝志様のお部屋に・・・お邪魔してもかまいませんこと・・・?」

445:清らかな白薔薇を手折るのは・・・3
07/02/20 02:49:00 ydEGTgS5
突然の申し出に驚くのは、今度は孝志のほうだった。
孝志が唐突に白薔薇の君に見初められたあの日から、二人はいわゆる「清い交際」を続けてきた。
生まれも育ちも正真正銘のお嬢様である彼女と、血統書付きの善良なる小市民である孝志とでは、
発展しようがないのもまた事実ではあったが。
デートと言っても映画を観たり美術館に行ったりたまにはショッピングをしたり。
その後でお茶をして、彼女の家まで送り届ける。
思えば夜の8時も回ったこんな時間に彼女と一緒にいることさえ初めてではないか。
二人っきりになるといえば孝志の車の中くらいのものだったのが、いきなり孝志の部屋に行きたいと言い出すなんて。
驚きのあまり孝志は口があんぐりと開いてしまった。

「あの・・・。ご迷惑でしたらいいんですの・・・」

その悲しそうな声に彼女を見れば、目を伏せてうつむき、その声以上に表情は悲しそうだ。俺はなにをやっているんだ。
こんなに綺麗な人を悲しませるだなんて。

「いえ!迷惑だなんてそんなことはありませんよ!その、少々散らかっていますけど・・・。
 それでもかまいませんか?」
「勿論ですわ」

急に白薔薇の君が笑顔で孝志を見上げる。
そのうれしそうな声と、固い蕾がぱっと開いたような華やかな笑顔を見て、孝志は今日二度目、胸を撃ち抜かれた。

あぁ・・・このままじゃ俺、長生きできそうにないなー・・・

撃ち抜かれた胸の痛みが引いていくのを感じつつ、そんなことを孝志は思った。

446:清らかな白薔薇を手折るのは・・・4
07/02/20 02:52:36 ydEGTgS5
「ただいまー」

つい先刻、出かけたはずの息子がもう帰ってきた。
白薔薇の君に会いに行ったのではなかったか。
両親は心配して二人揃って玄関に出迎えた。

「ど・・・どしたの?孝志。白薔薇の君に会いに行ったんでなかったのかい?」

母親が心配そうな顔で孝志に尋ねる。

「ケンカでもしたんか?まさか、何か粗相でもして怒らせたんじゃぁ・・・」
「ダメだよ、孝志。すぐに謝りに行ってこなくちゃ。あんな綺麗でお上品なお嬢様を悲しませちゃーだめだよ」

父も母も口々に孝志を責める。
孝志は気まずそうな顔をして無言で佇んでいるだけだ。
何も言わない息子に、両親はこれはよほどのことに違いないと思い、必死に説得し始める。

「孝志!男が女の人を泣かせちゃいかん!とーちゃんはお前をそんな男に産んだ覚えはないぞ」
「産んだのはあたしだよー、とーちゃん」
「あー、そーか。そーだった」
「んでもねー、孝志は昔っから、自分が正しいと思ったら曲げないところのある子だからねー」
「そーだぞ孝志。世の中には絶対に正しいことなんぞそうそうはないんだから。相手の意見もよく聞いてだな」

「とーちゃん!かーちゃん!」
黙って辛抱強く聞いていた孝志だったが、遂に我慢の限界が来た。
一声大きく両親に呼びかけると、驚いて鎮まったことを確認して一歩右にスライドする。
するとそこには白薔薇の君が申し訳なさそうな笑顔で立っているではないか。

「夜分にお邪魔して申し訳ありません。ご無沙汰いたしておりました」

決して丁寧すぎることもない、ごく普通の挨拶に過ぎない。
だが白薔薇の君の口から発せられるその言葉は美しい詩句のように響き、
軽く会釈するその様は、まるで動きそのものが一つの芸術品のように美しかった。

「あ・・・ど・・・ども・・・」

あまりに美しい彼女に、みっともないところを見られ孝志の両親は恥じ入って言葉もない。

「彼女が俺の家に来たい、って言ったんで連れてきたんだ。邪魔するなよな」

447:清らかな白薔薇を手折るのは・・・5
07/02/20 03:03:30 ydEGTgS5
その事実に、実は一番戸惑っている孝志は、その戸惑いをぶつけるように両親にぶっきらぼうに言うと靴を脱いで上がった。
それに従う白薔薇の君。

あまりに突然のことに呆然としている両親の前を通って自室に向かおうとした孝志。
その時母が急に我に返ったように素っ頓狂な声を上げた。

「そ・・・そーだ、とーちゃん!わたしら、今夜出かける用事があったんじゃなかったっけ?」

急に呼びかけられた父親がおかしなものを見るような顔で母の顔を見る。

「なーに言ってるんだ?かーちゃん。別に今夜は何も・・・」

〔とーちゃん!とーちゃん!〕

その場にいる全員に聞こえているにも係わらず、精一杯声を潜めているつもりで母が父親に目配せしている。
納得がいかない顔で見ていた父だったが、やがて何か合点がいったかのような表情になると手をぽん、
と叩いて不必要なほど大きな声で母親に話し始めた。

「そ・・・そーだったなー、かーちゃん!」
「そだよー。やっと思い出してくれたんだねぇ、とーちゃん」

気持ちが通じて心からうれしそうな母。
父はうんうんと頷くと、ふいに孝志のほうを見てその肩を叩いた。

「孝志。とーちゃんとかーちゃんは、今夜出かける用事があってな。今夜は帰ってこられそうもないんだ。
 そーゆー訳だから、あとは頼んだぞ、孝志」
「そーゆー訳なもんで、孝志のこと、たのみますね」

母は孝志の後ろに控えている白薔薇の君に申し訳なさそうにそう言うと、父に急きたてられるようにして共にその場を去って行った。
下手な芝居をしてまで気を遣ってくれているであろう両親を見送りながら、孝志はこれからどうしたものかと困惑してしまった。

448:清らかな白薔薇を手折るのは・・・6
07/02/20 03:06:12 ydEGTgS5
「散らかっていてすみません」

手に持てるだけのものを持って孝志が言う。
脱ぎ散らかしていた服や会社の資料などを片付けている。
まったく。こうなるんだったらもう少し片付けておくんだった。
孝志は日頃のずぼらな自分を恨んだ。

「いいえ。構いません。どうかいつものままで・・・」

くすくすと柔らかく笑う白薔薇の君。
孝志は大雑把に片付けると、少しは見栄えのよくなった部屋のソファに彼女を促した。

「どうも、お待たせしました。どうぞ座ってください」

彼女が、それは上品にソファーに腰掛けると孝志はもう、困ってしまった。
二人っきりになるのは車の中だけだったが、今は運転すらできない。
何をしていいのか、何を話していいのかまったくわからないのだ。
戸惑ってそわそわしていたが、ふと隣を盗み見ると、白薔薇の君が優雅に腰掛こちらに微笑を見せている。
孝志は、そのあまりの美しさつい見惚れてしまった。
こんなに美しい人が、本当に自分と付き合ってくれていいのだろうか。
まるで天上にいるかのような至福が孝志の上に今ある。

449:清らかな白薔薇を手折るのは・・・7
07/02/20 03:08:54 ydEGTgS5
「・・・どうかなさいましたの?」
「綺麗だ・・・・・・・・・」

素朴に問い掛けられ、つい本音で答えた孝志に、白薔薇の君は恥ずかしそうに訴える。

「あんまり見ないで下さい・・・。急だったので、ちゃんとした身支度もできないまま来てしまいましたの。
 ・・・今日は、ひどいでしょ・・・?」

そうか、しまった。
孝志は一瞬にして自分の愚かさに気がついた。
彼女は年頃の女性だ。
しかもお嬢様。
着替えや化粧などに時間をかけたいに違いない。
それをたったの10分で、しかも実際には2~3分前に着いて、彼女はすぐに出てきたのだ。
更に遡って2~3分前には仕度を整えたのだとしたらまるっきり着替えの時間すらあったかどうかもわからない。
あまりに綺麗で気がつかなかったが、そういわれて見れは今日はお化粧をしていないように見えた。

「ご迷惑になるのを承知で孝志さんのお家にお邪魔したいなんてワガママを言いましたのは、
 急なことでお化粧もできなくて、あまり人の前には出たくなかったからですの・・・」
「すみません・・・。でも、それならもう少し後にしてくれとか、後日にしてくれと言ってくれればよかったんですよ」

450:清らかな白薔薇を手折るのは・・・8
07/02/20 03:11:21 ydEGTgS5
責めるつもりではない。
ただ自分の方こそ急に会いたいなどとワガママを

言って申し訳ないという気持ちと、そんなワガママをはっきりと断ってくれてもよかったのにという気持ちの両方だった。
だが、そんな孝志の言葉に、白薔薇の君はその美しい瞳に涙を浮かべる。

「私・・・少しでも早く、孝志様にお会いしたかったのですわ・・・」

早くも今夜3度目の致命傷を、孝志はハートに受けた。
あまりの胸の苦しさに息もできない。
勿論、彼女の言葉に返事すらできない孝志だった。
だが、それをどう勘違いしたのか。
突然白薔薇の君は浮かべていた涙をその両の瞳からはらはらと零して泣き始めてしまった。
おろおろとするしかない孝志。

「もう・・・いいですわ・・・っ」

何も言ってくれない孝志に業を煮やしたのか、白薔薇の君は突然、泣きながら出口に向かって走り出した。
だが彼女は強い力に引き戻され、出て行く事は叶わなかった。
その突然の行動に孝志は何も考える暇もなく体が動いて彼女の腕を掴み、引き戻したのだ。

「いやっ!離してくださいっ!」

思いがけない力で抵抗され、どうしようもなく孝志は彼女の体をがっちりと抱き締めた。

「そんなに泣いているあなたを、このまま帰せるはずがないじゃないですか」

だが彼女はいやいやと幼女のようにむずかるばかりだ。

「一体どうしたって言うんです?突然。あなたらしくないですよ?」

451:清らかな白薔薇を手折るのは・・・9
07/02/20 03:17:36 ydEGTgS5
その一言が引き金だったのか。
白薔薇の君がそれまで背けていた顔を孝志に向け、真っ直ぐに彼の目を見つめて涙ながらに訴え始めたのだ。

私らしくない・・・?孝志様は、一体私の何をご存知だと言うのですか?」
「何をって・・・」

そう言われて孝志は戸惑う。
自分の知っている白薔薇の君。
本物のお嬢様で、この世の人とも思えないほど美しい。
クラシックと詩を好み、常に上等なレースと刺しゅうに囲まれ、いつも上品で優しく、自分のつまらない話でもにこにことそばで聞いてくれている。
そういう人ではなかったのか。
だが。それではまるで中味がないように聞こえるではないか。
大人しくて美しいだけなら人形と変わりはない。
孝志は、自分の腕の中から挑戦的に見上げているこの佳人が、一体どういう人なのかまるで理解していないのではないだろうか。と安になってきた。
だが、好きだという気持ちはもう消せそうにもない。
一体どうすればいいというのか。

「そう。やっぱり。孝志様は何もわかっていらっしゃらない。私のことなんて何も・・・」

悲しげに目を伏せた次の瞬間、再び白薔薇の君は孝志を睨むように見つめた。

「孝志様も他の人と同じ。私をまるで人形か何かのようにお思いなのでしょう?
 でも私は人間ですわ。悩みもすれば悲しんだりもするんですのよ」
「あ・・・あなたのような人が一体何を悩むことがあるのです?」

452:清らかな白薔薇を手折るのは・・・10
07/02/20 03:23:21 ydEGTgS5
働いていないのだから仕事のストレスもないだろう。
生活の心配という言葉すら知らないだろう。
一人っ子で、裕福な両親からは蝶よ花よと育てられ、夢のようなしあわせな人生だったのではないのか。
そのどこに、悲しみや悩みを感じる時間があるというのか。
想像力のかけらもない孝志にはまったくわからなかった。
だが、その一言は目の前の佳人を絶望の淵に落とすのには十分だったようだ。
一時は止まっていた涙が再びはらはらと落ち始める。

「孝志様にはわからないんですわ。私がどんなに・・・
 どんなに、孝志様のことを思って不安になって、悩んでいるのかなんて・・・っ」
「俺!?」

ますます訳がわからない。
俺が一体何をしたと言うのか。
自分には身分違いのこの人に、何か失礼があってはならないと、どれほど気を遣っていることか。
この人こそ、そのことをわかっていないに違いない。
理不尽に責められ孝志はだんだん怒りがこみ上げてくるのを感じた。
首筋が熱くなってくる。

「俺が一体あなたに何をしたと言うんですか!?
 あなたこそ、俺の苦労をわかっていない!
 身分違いの、本物のお嬢様に釣り合おうと成り上がりの俺がどれだけ必死で頑張っているのかなんて、知らないでしょう!?
 どれだけ遠慮しているかなんて、あなたは全然知らないでしょう!?
 どれだけ我慢しているのかなんて、あなたは知らないでしょう!」
「どこに頑張る必要があるのですか!?孝志様は孝志様でいいではないですか!
 何を遠慮しなくてはならないのですか!?遠慮なんて必要ないじゃありませんか!
 私には孝志様のお気持ちがわかりませんわ!
 我慢なんてする必要がなぜあるんですの!?私は・・・」

まだ言い足りない様子の白薔薇の君だったが、その言いたいことの全てを言う事はできなかった。
孝志に強く抱き締められ、驚きのあまり言葉を飲み込んでしまったからだ。

「我慢しなければ、こういうことをしてしまいそうになるからですよ・・・!」

453:清らかな白薔薇を手折るのは・・・11
07/02/20 03:26:17 ydEGTgS5
きつくきつく抱き締めながら、白薔薇の君が、己の腕の中で身を固く強張らせているのを感じる。
まるでその体の固さが、彼女の心の固さのように孝志は感じた。

「す・・・すみませんっ!俺・・・」

彼女の固さに気づき、慌ててその腕を緩めようとした孝志。
彼女から距離を置かなければ。
そして突然に働いた非礼を詫びなければ。
だがそれはできなかった。
遠ざけようとするその腕を、白薔薇の君に繋ぎとめられたからだ。

「いやっ。離さないで・・・!」

一言そう言うと、彼女は自ら孝志の胸に飛び込んできたのだ。
自分の行動が突然だったことを棚に上げ、孝志は彼女の突然さに驚き、どうしていいかわからないままに、
自信なさそうにその腕を彼女の背中に回した。
するとそれに応えるように彼女がぎゅっとしがみついてくる。
孝志もそれに応えるように、もう一度強く抱き締めるのだった。

454:清らかな白薔薇を手折るのは・・・12
07/02/20 03:28:31 ydEGTgS5
ずっとこうしたかった。
しっかりとこの腕に抱き締めて、体と体を密着させて、今まで誰も感じたことのないこの人の体温を感じたかった。
鼓動を聞きたかった。
香りを知りたかった。
だが、遠慮と我慢を苦労して重ね、守り続けてきたのだ。
守る?
一体何から?

孝志は腕の中の恋しい人の存在を感じながらふと思った。
俺は一体何から何を守ってきたというのだろう。
彼女を守ってきたつもりだったが、果たしてそれは本当だろうか。
もしかしたら。

孝志は考え込む。
もしかしたら俺は自分を守ってきたのではないのだろか。

こんなに美しい人が自分に好意を寄せてくれていることが未だに信じられない。
彼女の気持ちを信じられないその弱さが、信じることと信じて次に進んで万が一自分の自惚れや
勘違いだった時に傷付くことから自分を守ってきたのではないのか。
俺はなんてバカだったんだろう。

455:清らかな白薔薇を手折るのは・・・13
07/02/20 03:32:31 ydEGTgS5
「孝志様・・・・・」
「なんですか・・・?」

互いにしっかりと体を寄せ合いながら囁くような声で話す。

「私・・・不安なんです・・・。私は孝志様のことが好きです。
 ・・・そう申し上げたこともありました。でも、孝志様は・・・?」

孝志の心臓がどきりと高鳴る。
今まであえて言わずにいた言葉だった。
もし自分の勘違いだったら。
自惚れだったら。
恥をかくかもしれないと思うとどうしても言えない言葉だった。
こんな平凡な人生を歩んできた平凡な顔の男を本気で好きになってくれるはずもないと、
自分に言い聞かせては何度も飲み込んできた言葉だった。
だが今、柔らかな彼女の体が孝志に勇気を与える。
今は彼女の言葉が信じられる。
今なら言える。
本当はずっと言いたかったただ一言が。

「好きです・・・。愛しています」
「孝志様・・・・っ」

泣き止んでいたはずの白薔薇の君の声が潤んできたかと思うと、肩を震わせて再び泣き始めてしまった。

「泣かないで下さい・・・」
「だって・・・だって・・・。不安だったのですもの・・・。もうずっと・・・」

自分の臆病さが彼女を不安にしていたのか。
孝志は驚いた。
まったく今夜は驚いてばかりだ。
と同時に申し訳ない気持ちになる。
自分さえもっと男らしく態度をはっきりさせていればこんなにまで彼女を追い詰める事はなかっただろうに。
自分のせいながら彼女がかわいそうになり、また愛しくなり、その柔らかな髪をなでながらなだめた。

456:清らかな白薔薇を手折るのは・・・14
07/02/20 03:34:46 ydEGTgS5
「ごめん・・・」

だが、そうやって優しくされることによって白薔薇の君はより一層激しく泣き、訴えてくる。

「怖かった・・・。怖かったの・・・。
 孝志様の気持ちがわからなくて・・・。ずっと怖かったの・・・。
 不安で・・・怖くて・・・悲しくて・・・私・・・私・・・」

最後はもう、言葉にならず嗚咽だけが部屋に響く。
孝志はそんな彼女をなだめるのに必死だった。
大体が女性を泣かせたり女性に泣かれたことがないのだ。
どうしたら泣き止んでくれるのだろう。

「どうしたら、泣き止んでくれますか・・・?」

率直な気持ち。白薔薇の君はその言葉に彼を見上げる。

「・・・もう一度、好きって言って・・・」

なんて愛しい人なんだろう。孝志はまたも胸に撃ち抜かれたような痛みを感じる。

「何度でも言いますよ・・・。好きです・・・。好き・・・。愛しています・・・。
 本当はずっと言いたかったんです・・・」

457:清らかな白薔薇を手折るのは・・・15
07/02/20 03:36:08 ydEGTgS5
指を愛撫するような滑らかな髪の手触り。
鼻腔をくすぐる甘い香り。
体に当たる柔らかな体。
泣きながら愛の言葉をせがむその唇はどんな味がするのだろう。
孝志は、頭に渦巻く不埒な想像に困惑していた。
だがその時。
腕の中の愛しい人がそっとこちらを見上げたのだ。
まるで孝志の想像を見透かし

たように、潤んだ瞳でじっとこちらを見つめている。
孝志は吸い寄せられる

ようにそのつややかな唇に自分の唇を重ねた。

458:清らかな白薔薇を手折るのは・・・16
07/02/20 03:38:55 ydEGTgS5
柔らかな唇の感触。
その感触を唇だけで味わうのはもったいない。
孝志は舌でその小さな唇をなぞり、上下の合わさりの間に差し込んでいった。
驚いたのか、わずかに抵抗を示して離れようとする彼女の体をしっかりと腕で抱き締めて離さない。
もう止められそうもない。
そんな孝志の気持ちが伝わったのだろうか。
ついには白薔薇の君の唇がわずかに開かれた。
すかさず舌を入れ、彼女の口内を味わい尽くさんとばかりに嘗め回す。
もう、無我夢中だった。
何がどうなっているのかさえ、わからない。
ただただ自分の欲求のままに彼女の舌を求め、彼女の唾液を飲み、彼女の口中を全て自分の舌で味わいつくした。

「・・・っはぁ・・・」

ようやく孝志がその唇を解放した時、白薔薇の君は大きく息をついた。
呼吸することも忘れて彼の口付けを受けていたのか。
もしかしたら初めての経験だったのかもしれない。

「すみません、俺・・・」

苦しそうな表情に、思わず謝ってしまう。
だがそんな彼に、白薔薇の君は再び寄り添い甘く囁く。

「謝らないで下さい・・・。私、うれしいんですから・・・」

まさかその一言が、孝志の理性の糸を断ち切ることになろうとは、彼女は思いもよらなかった。

「では、これからすることにも謝りませんよ・・・?」

それだけ言うと彼女の答えも聞かず彼が突然自分の体を重石にするように体に重ねてソファに押し倒してきたのだ。

459:清らかな白薔薇を手折るのは・・・17
07/02/20 03:42:21 ydEGTgS5
「あ・・・あの・・・」

驚いて思わず声を上げる。
だが孝志はその声にお構いなしに、強い力でがっちりと抱きすくめたままで彼女の首筋、耳を舌で愛撫していく。

「はぁ・・・っ。あ・・・っ。あ・・・あの・・・あ・・・」

白薔薇の君の声が上ずっている。
だが決して抵抗はしなかった。
戸惑いながらもなすがままにされ、受け入れている。
孝志はもう夢中で彼女の鎖骨まで舌を伸ばしている。
手は上質な布のワンピースの上からその柔らかな両の乳房を揉みしだいていた。

「・・・脱がせたい・・・。いいですか・・・?」

布地の上、下着の上からの愛撫に物足りなくなったのか。
孝志が白薔薇の君にそう尋ねると、彼女は上気した顔でそっと拒否の言葉を口にする。

「・・・ここではイヤです・・・」

ならば。

「では、ベッドに行きましょう」

彼女の答えを待たず、孝志は起き上がると愛しい人を横抱きにして立ち上がる。
いわゆる「お姫様抱っこ」というスタイルだ。

「あ、あの・・・」
「ん?」

決して狭いとは言えないが広すぎもしない部屋を、ソファからベッドへ彼女を抱いたまま移動する孝志。
その腕の中で白薔薇の君は恥ずかしそうに顔を真っ赤にしているが
さすがに取り乱したりすることなく、品良くそこに納まっている。

「・・・重く、ありません・・・?」

確かに軽いとは言えないだろう。
いくら彼女が細くても40キロ以上はあるに違いない。
同じ重さの、いや、その半分の荷物でも、同じように抱えれば重くて不平の一つも出るだろうが、
不思議と彼女を重いとは思わない。
人間なんて現金なものなんだな、と苦笑いしつつ軽く彼女に口付けする。

「重いなんて思いませんよ」

460:清らかな白薔薇を手折るのは・・・18
07/02/20 03:44:45 ydEGTgS5
そうこうするうちに孝志はベッドに辿り着いた。
割れ物を扱うように優しく丁寧に彼女を寝かせる。
初めてのことなのにこうもスムーズに事が運ぶのは、今までに何度もこの場面を妄想した賜物なのかもしれない。
孝志は今改めて、自分のベッドの上で恥ずかしそうに、けれど従順にしている彼女の姿を見て胸を締め付けられる。

「ファスナー下ろしますから、後ろを向いてください」
「あ・・・はい・・・」

素直に従う彼女の背に手を入れて体を転がす手伝いをする。
髪が絡んでしまわないように片側に寄せ、一瞬の躊躇の後に丁寧にファスナーを下ろしていく。
開かれたそこには繊細かつ見事なレースに包まれた彼女の背中があった。
本来なら、そのレースとレースに包まれた背中を堪能したいところだが、孝志は今それほどの余裕がないことを自覚している。
勢いのある今のうちでないと、多分機を逸してしまうだろう。
それは倫理的には正しいことなのかもしれないが、彼女の心の限界と自分の体の限界を無視する事はできなかった。
無言でそのレースを体に留めている肩ひもと、同時に豊かな胸を守っているであろう下着のひもさえも下ろす。
彼女が軽く身をすくめるのが、肩甲骨のわずかな動きでわかる。
だが何も言わず、ただシーツに顔を埋めているだけだ。
ホックを外すと、清らかに美しい彼女の背中が隠すところなく現れた。

461:清らかな白薔薇を手折るのは・・・19
07/02/20 03:47:44 ydEGTgS5
髪を寄せたためにむき出しになっているうなじ、肩、肩甲骨へと孝志の唇と舌は這っていく。
見る見る白薔薇の君の後ろ半身にはぬめぬめと光る孝志の欲情の道ができていった。
存分に背中を堪能した彼は、今度は体を横にし、シーツに半ば埋もれている彼女の顔を覗き込んだ。
視線に気づき顔を上げた、それが合図ででもあるかのように、孝志は彼女に口付けをする。
もっと、と言うように彼女が更に顔を上げる。
その機会を逃さずにやや上がった肩から反対の肩に手を差し込み、くるりと反転させてしまった。

「あ・・・」

と同時に彼女が恥ずかしがって胸を隠す直前に素早く下着とレースの装飾を、ワンピース共々抜き去ってしまう。
いくら手で隠したとしても、その小さな手では隠しきれない豊かな乳白色の丘が二つ現れた。
口付けしながらその手を取り去ろうとする孝志。
恥ずかしがって頑なに胸を守っていた白薔薇の君の腕は、だが、次第に激しくなっていく彼の口付けにいつしか夢中になり、
もっととせがむように両腕を首に回したことによって簡単にほどかれてしまった。
すかさず孝志はその胸に顔を埋める。
やわやわと弄ぶように両手で揉みながら、その先端で恥らうことなく己を主張している小さな突起を唇でついばむ。
「あ・・・っ。あ・・・。あぁ・・・」

462:清らかな白薔薇を手折るのは・・・20
07/02/20 03:49:39 ydEGTgS5
その度、彼女の口からはなんとも甘いメロディーが流れてくるのだ。
もっと聞いていたい。
孝志は思う。
だがその反面、別の場所、もっと敏感な場所を愛撫したら彼女はどんな声を上げるのか、聞いてみたい気もする。
葛藤する二つの欲望のうち、後者に飲まれて彼の顔は徐々に下へと下がっていった。

胸から下り、平らかな腹部を下り、途中、ウェストにしがみついているストッキングに手をかけて脱がせていく。
小さくくぼんだ臍をくすぐり、その舌は更に更にと下がっていく。
やがて既に孝志によって脱がされてしまった下着とおそろいの小さなレースに隠された三角形の場所に到達する。
その美しさを愉しむことなく、即座に脱がせてしまうと中からふわふわとした若草のような茂みが顔を出した。
さすがに白薔薇の君が抵抗を示し身じろぎしながら両脚を合わせて隠そうとする。
だがそれはごくか弱いもの。

「俺に見せてください」

言うが早いか孝志は、無残にその抵抗を打ち負かして脚を大きく開いた。

「いやぁ・・・っ!」

463:清らかな白薔薇を手折るのは・・・21
07/02/20 03:51:56 ydEGTgS5
だが孝志の耳にその羞恥の悲鳴は届いていない。
憧れ続け夢想し続け妄想し続けたその場所が、ぬらぬらと光りながら今目の前にあるのだ。その感動。
今の孝志にはそれしかない。
美しいと彼は思った。
もし全く見ず知らずの人のそれが目の前にあったなら、彼は美しいとは思わないだろう。
客観的にグロテスクなものと映るだろう。
だが違う。
彼女のものは違う。
それは愛らしく、扇情的であり、なおかつ清らかだった。
孝志の顔は、まるで吸い込まれるようにその場所へと近づいていった。

「あぁ・・・っ!だめっ!いけません!」

孝志の顔が近づいていることを察し、白薔薇の君は必死で拒否した。
孝志はその声を聞き不思議そうに尋ねる。

「どうしてです?」
「恥ずかしいからです・・・」

だが、その答えに納得したとしても彼は今更やめる気などさらさらなかった。

「忘れさせてあげます」

一言言うと、遠慮なく彼女の秘部に顔を近づけ、その唇と舌とで愛撫していった。

「あぁっ!だめっ!ダメです!やめてぇ!」

464:清らかな白薔薇を手折るのは・・・22
07/02/20 03:54:59 ydEGTgS5
両脚は孝志にがっちりと開かされているので動かしたとしてもしれている。
だがそれでも彼女は必死で抵抗し、彼の舌と唇から逃れようともがいた。

孝志はさもうるさそうに顔を上げるともう一度彼女にその理由を問う。

「今度はなんです?」
「汚いからやめて下さい・・・。私、今日はまだシャワーも・・・」

だが全てを言い終わる前に孝志はキスで彼女を黙らせてしまった。

「あなたに汚いところなんてありませんよ」

そう言うと、再び彼女の秘部に顔を埋め、後はもう、どれだけ彼女がやめて欲しいと哀願しても聞き入れなかった。



舌先を尖らせて。
あるいは舌全体を平らに伸ばして。
彼女の秘部を存分に味わう。
果たしてこれでいいのかわからなかったが、その度彼女が上げる細く甘い声に導かれるように
的確に彼女の感じる部分を刺激していく。
いつしか彼女のそこは赤く充血しぷっくりと膨らみ、受け入れる準備のできたことを教えている。
本の通りだな、と孝志は思った。さすがは医学書だ。
思春期の頃興味津々で読んだ医学書の女性器のページを思い出す。
頭に焼き付けられるほどに熱心に読んだあの頃。
少年の日の自分に孝志は感謝した。

465:清らかな白薔薇を手折るのは・・・23
07/02/20 03:57:00 ydEGTgS5
「・・・そろそろ・・・入れますよ・・・」

彼女に一体どれくらいの性的な知識があるのかはわからない。
だが初めての時には相当の痛みを伴うということぐらいは知っているだろう。
彼女にそれを強いることを申し訳ないと思いつつ、自分のために、
自分と一つになるために、それを耐えてくれることを孝志は望む。

「はい・・・」

控え目に、だが確かに彼女は答え、小さく頷いた。
これでもう、迷う事はない。
孝志は自らの強張りを手に持つと、彼女の濡れそぼった神秘の溝にあてがい、
蕩けるような感触を味わう暇もなくぐいと中へと進入していった。

「いたぁい・・・っ」

覚悟はしていたはずだったが、その想像以上の痛みに白薔薇の君は思わず悲鳴を上げる。
だが、そんなことを言われても今更孝志も引く事はできない。

「ごめん・・・っ。でも。・・・やめられない・・・っ」

精一杯我慢をして、中に入れた状態でじっとしている。
本当なら今すぐにめちゃくちゃに動いて快楽を貪りたい。
だが痛みを与えることしかできないのだという理性がわずかに働いているのだ。

466:清らかな白薔薇を手折るのは・・・24
07/02/20 04:00:14 ydEGTgS5
どれくらいそうしていたのだろうか。
孝志は耐えに耐えていた。
が、ふいに自分の下から名前を呼ぶ声が聞こえてきた。

「孝志様・・・」

慌てて彼女を見る。
すると、苦しげながらも微笑を浮かべている彼女の顔が見えた。

「私・・・もう大丈夫ですから・・・あの・・・」

痛みに慣れてきた、というのでもなかろう。
幾らかましになってきたというところか。
それでも彼女は自分のために苦痛を耐えてくれるというのか。

愛しさに、それまで封印してきた凶暴なまでの欲情が自身の性器に奔流のように集まっていくのがわかる。

「いいんですか・・・?本当に」
「はい・・・」


気高く香る純白の薔薇。
彼女の中に咲き続け、彼女を守ってきた華やかな鎧。
その清らかな白薔薇を手折るのは一体誰だろう。
それは自分なのだろうか。
いや、違う。
その薔薇は自分の独りよがりでは決して手折られることはないのだ。
彼女自身の手が添えられなければ。
それほどまでに強く、それほどまでに健気な純白の薔薇。

「優しくできなかったらすみません・・・」

正直な気持ちだった。
勿論、優しくしたいのは山々だが快楽に飲み込まれてしまったら、その自信はない。

「大丈夫です。こう見えて私、強いんですのよ?」

か弱い風情の中に芯の強さを感じさせる笑顔を見せ、白薔薇の君は孝志の目を見返した。
その笑顔に、孝志の中にも覚悟が固まる。
この人を一生しあわせにしよう。
今日のこの痛みを後悔させないように。

467:清らかな白薔薇を手折るのは・・・25
07/02/20 04:02:58 ydEGTgS5
初めはゆっくり。
だがその自制は間もなく、あまりに強い快楽にあっさりと崩されてしまった。
もっと奥に入りたい。
もっと激しくこすり付けたい。

もっと。もっと。
自分のベッドが激しく軋む音を初めて聞くことに気がつく暇もないほどに、激しく何度も彼女の中を求め続けた。
自分の腕の下にいる彼女の顔が再び痛みで歪んでも、もうやめられない。
この気持ちよさには何者もかえられなかった。
心の片隅で、今だけ我慢してくれと念じながらも腰の動きは速さを増すばかり。
孝志の限界が近づいてきているのだ。
少しでも奥へ。
1ミリでも奥へ。
本能の命じるままに腰を打ち付けつつ、その瞬間は来た。

「・・・・・・・・・・っ!」

言葉の塊が自分の口から出て行くのを、他人事のように聞いている自分が意識の底にいる。
だが、その言葉まではわからなかった。
だが、孝志の腕の下で彼の体を支えながら痛みに耐え続けた白薔薇の君の耳にははっきりと聞こえていた。
初めて彼が呼ぶ、通称などではない自分の本当の名前が。
その瞬間、今までの悩みも悲しみも、そして今この瞬間まで我が身を苛んでいた痛みさえもが、一瞬のうちに消えていった。
あぁ。耐えてよかった。

力を使い果たしたかのようにぐったりと自分の体にその身を預けてくる孝志の背中に両腕を回しながら、白薔薇の君は真珠よりも美しい涙をはらはらとこぼした。

468:清らかな白薔薇を手折るのは・・・26
07/02/20 04:05:38 ydEGTgS5
「結婚して下さい」

ベッドの中で、自分の腕を枕にしている彼女にそっと囁く。

「はい・・・」

彼女もまた、小さく囁くと恥ずかしそうに孝志の胸に顔を埋めてしまった。



彼女の中に咲く清らかな純白の薔薇。
その薔薇を、これからも一生、自分が彼女と共に手折っていきたい。
その度に、彼女の中の、誰も知らない場所に薔薇が咲くのだろう。
欲情の真紅の薔薇が。
誰も知らない。
二人しか知らない場所に。





翌朝、なぜか自分達よりも気まずそうにしている両親が帰ってきた。
少しでも二人に気兼ねなく過ごせる時間を持たせたいとの配慮からの外泊だったことは明白だが、
まさか朝になっても白薔薇の君がまだ家にいる、こんな事態は予想もしていなかったに違いない。
目を白黒させている二人を前に、これから忙しくなりそうだな、と弾むように高鳴る胸で覚悟を決める孝志だった。

469:名無しさん@ピンキー
07/02/20 04:06:09 ydEGTgS5
終わりです・・・。
ね・・・眠い・・・・・

470:名無しさん@ピンキー
07/02/20 12:06:50 ueXRwJ1D
乙です!
ほんとーに純真な白薔薇の君テラカワユス
タカシサマも(・∀・)イイ!!
ご両親もナイス!

471:名無しさん@ピンキー
07/02/20 19:41:55 fv0NA3AT
とーちゃんとかーちゃんも盛り上がって、歳の離れた兄弟が出来ちゃうとかはない?



472:名無しさん@ピンキー
07/02/20 20:33:48 yBkjnVQb
うまいよー最高だよー
リクエストしてよかったー

ありがとうネ申!

473:名無しさん@ピンキー
07/02/23 03:02:17 +JIeGA5E
もぎゅっと保守

474:名無しさん@ピンキー
07/02/23 10:39:50 5YbPMmEC
>>440
遅ればせながら、どもです。

>>470
どもです。

>>471
ないです。

>>472
どもです。

>>473
保守、お疲れ様です。

475:名無しさん@ピンキー
07/02/23 10:43:32 5YbPMmEC
「清らかな・・・」を書いている時に思いついたので。
続編のようなカンジです。


***注意事項***
◆白薔薇の君 × 孝志 のお話です。
◆上記の通り、白薔薇(攻)・孝志(受)のお話です。
 受け付けないと思われる方はスルーして下さい。
◆白薔薇の君がかなり白薔薇の君らしくないので、イメージが壊れる恐れがあります。
 受け付けないと思われる方はスルーして下さい。
◆読まれる方は自己責任でお願いします。




以下、投下します。

476:宝物・・・1
07/02/23 10:44:39 5YbPMmEC
孝志は働いた。
それはそれは懸命に働いた。
人から心配されようとも。
人からバカにされようとも。
孝志は無我夢中で働いた。
それには事情があったのだ。

世にも美しい正真正銘のお嬢様である「白薔薇の君」とめでたく結婚した孝志。
だが世間はそんな彼を羨む一方で妬みもした。
やれ、成り上がり者は、金の次は血筋を欲しがる。
やれ、金にものを言わせて美人の妻を買ったのだ。
やれ、平凡な人間ほど高望みするものだ。
やれ、あいつにはあんな奥さんは荷が勝ちすぎて不釣合いだ。
もう、聞き飽きていた。
連日連夜の残業と接待。
今夜も背中に妬みと嫉みの言葉を浴びながら接待を終えて帰れば、家に着いたのは未明と言ってもいい時間だった。
だが、家には明りがついており、玄関を開けると人妻となった今も「白薔薇の君」と呼ばれる美しい妻がうれしそうに自分を出迎えてくれるのだ。

477:宝物・・・1
07/02/23 10:45:14 5YbPMmEC
「おかえりなさい、孝志様」

自分のためにスリッパを揃え、こんな時間にも係わらず軽い食事をいつでも食べられるように用意してくれている。
だが、疲れ切って食べずに寝ることもままあり、それでも彼女は一度も文句を言わなかった。
完璧な妻。

生まれた家は申し分のない家柄。
父は立派な人物、母は美しく上品。
一流の幼稚園、小学校、中学校。
高校、短大は聖ミカエルだ。
そして本人は美しく、優しく、しっかり者ではあるが出しゃばらずいつも夫を立てている。
どこに文句のつけようがあるというのだ。
それなのに。
どうしたことだろう。
近頃その彼女に対して苛々が募るのだ。
穏やかな笑顔に。
優しい言葉に。
柔らかい雰囲気に。
暖かい心遣いに。
気持ちがささくれ立ってくる。
彼女のどこが悪いというのだ。
そう自分を責めれば責めるほど、余計にささくれは大きく固くなっていく。
自分では、どうしようもなかった。

478:名無しさん@ピンキー
07/02/23 10:45:46 5YbPMmEC
しまった。
番号打ち間違えた。

479:宝物・・・3
07/02/23 10:46:23 5YbPMmEC
「先に寝ていてもいいとあれほど言ったのに・・・」

自分の声がとげとげとしていることを孝志は意識している。
だが、そんなことに気づいていないかのように妻は穏やかに笑って答える。

「孝志様が働いていらっしゃるのに、寝ることなんてできませんわ」

その笑顔にウソがあるとは思えなかった。
だが酩酊に近いこんな状況で「働いている」と言われればそれは嫌味のように聞こえる。
俺が働いていると本当に思って言っているのだろうか。
穏やかな笑顔は仮面で、虫も殺さないような笑顔の下で本当はどろどろと黒い意識が渦巻いているのかもしれない。
いや、まさか。
孝志は内心、苦笑して彼女を見た。
にこにことうれしそうな笑顔で台所に向かう彼女。

「お腹、空いていません?今日はお茶漬けを用意していましたのよ」

彼女のことだ。
市販のお茶漬けの素など使いはしないだろう。
試飲を重ねて選び抜いた「お茶漬け用のお茶」を使い、脂の乗った塩鮭、上品過ぎない適度な塩分のある、まさにお茶漬けに適した香の物。
そういったものを用意してあるのだろう。
自分がいないこの家で一人、夜食は何にしようかと考える時、きっと彼女はしあわせそうな笑顔を浮かべているのだ。
食材を選ぶ時、手を抜くことなくあれこれと考えあぐねているのだ。
そして、こんな時間まで待っている間も、ただ心静かにいるのだろう。

・・・・・・たまらない

息が詰まる思いがする。
いつからこの家は、思い切り息もできないような胸苦しい場所になってしまったのだろう。
こんなことになるはずではなかったのに。
薔薇色のしあわせな人生を送るはずだったのに。
やりきれない思いが急に募り、孝志は苛々と立ち上がった。

480:宝物・・・4
07/02/23 10:46:54 5YbPMmEC
「悪いけど、寝かせてもらいます。明日は休みだし、起こさないで下さいね」

電子レンジで鮭を温め、お茶を淹れるためにお湯を沸かしている彼女を見向きもせずに孝志は寝室へと向かった。
今夜は風呂にも入りたくない。

「そうですか。わかりました。おやすみなさいませ」

優しい彼女の声が背中を追いかけてくる。
が、それに答えることもせず、孝志は寝室へ行くとパジャマに着替えることもせず、ネクタイを外しただけでベッドに沈むように眠りについた。

481:宝物・・・5
07/02/23 10:47:25 5YbPMmEC
目が覚めたのは、それからわずか2時間後だった。
まだ暗いが時計を見ると早朝だ。
喉が渇いた。
隣を見るとベッドに妻の姿はない。
もう起きているのだろうか?
それともトイレか。
ベッドには一度も休んだ形跡がないことに彼は気づかない。
半ば朦朧とした頭でワイシャツを脱ぎベルトを外すと下着とズボン姿になって台所へ水を飲みに行った。

驚いた。
台所の片隅に、妻がしゃがみこんでいるのだ。
具合でも悪いのか。
慌てて駆け寄るとその体を起こそうとした。

「どうしたんですか!?大丈夫ですか!?」

だが妻は顔を背けて体を固くしている。
どうしたのだろう。
無理に彼女の顔をこちらに向かせると、妻は目と鼻の頭を真っ赤にして水っぽく顔を泣き腫らしていた。

「・・・どうしたんですか・・・」
「・・・なんでもありませんわ・・・」

予想外のことに、孝志は呆然としながら問い掛けるが、妻に答えるつもりはないようだった。
だが、そうですか、と放ってもおけない。
自分が帰ってから2時間も、恐らく彼女は泣き続けていたのだろう。
寝穢く眠りを貪っているその間、彼女はこっそりと泣いていたのだ。
いや、もしかしたら今夜だけではないのかもしれない。
孝志は愕然とした。
これは一体どういうことだ。
自分が知らない間に一体何があったというのだ。

482:475
07/02/23 10:55:26 eKXJ2qQq
しまった。
連投規制にひっかかった。

483:宝物・・・6
07/02/23 10:55:42 5YbPMmEC
書けない・・・

484:名無しさん@ピンキー
07/02/23 10:56:40 5YbPMmEC
あ。いけた。
gdgdで申し訳ない。

以下、続きます。

485:宝物・・・6
07/02/23 10:57:30 5YbPMmEC
おろおろと彼女の背中をさすってみたり肩を抱いてみたりしたが彼女はこちらに身を委ねる事はなかった。
泣きつかれたのか、今は涙も流していない。
ただぼうっとしているだけだった。

「何があったんです?話して下さい」

孝志の懇願も、妻には届かないようだった。
垂れた頭をただ静かに首を横に振る。
孝志は再び苛立ちを覚えた。

「何も言ってくれないとわからないじゃないですか!」

怒鳴ってどうする。
自分の怒声を聞きながら孝志は思うが止められなかった。
その言葉がまるで銃弾のように彼女の心に刺さったのか。
弾かれたようにびくりと大きく体を震わせると、孝志のほうを向いて猛然と叫びだしたのだ。

「何も言ってくれないのは孝志様じゃないですか!毎晩どんなにお仕事が遅くなっても、接待で疲れても、私には何も言って下さらない!私がどれほど心配して待っているのかなんて、おわかりにはならないのでしょう!?」

突然の妻の豹変に孝志は驚いた。
いつもの上品で優しく美しい妻ではない。
泣き腫らした顔、乱れた髪、崩れた姿勢、しわだらけの服。
見たこともない妻の姿。
彼女はいつもこんな風に、自分が知らないところで泣いていたのか。
そして、自分が帰ってくるまでに泣いていた痕跡を消し、身支度を整え、何事もなかったかのように取り繕い、心配をかけまいとしていたのか。
だがこちらとて毎日遊び歩いていたわけではない。
疲労困憊するほどに働いて働いて働いているのだ。
一体誰のためだと思っているんだ。
全ては何不自由なく過ごしてきた妻に、今まで通り、いや、今まで以上の生活をさせたいと思うからこそではないか。
何も言わないと言ったところで、仕事の話などしてもどうせわからないではないか。
一度も働いたこともなく自分の元に嫁してきた箱入り娘なのだから。
仕事の苦労などわかってたまるか。
まして仕事の苦労だけではない。
自分には過ぎたこの妻に相応しくないと馬鹿にする世間を見返してもやりたかった。
そのためにまさに馬車馬のように働き続けたのだ。
その自分を非難されたようで孝志はかっとなってしまった。

「何を言えと言うんです?どうせあなたには何を話してもわからないでしょう?所詮お嬢様なんだから」

その言葉が終わると同時に、号泣が孝志の耳を襲った。
彼女の腕が孝志の胸元を掴む。

「好きでお嬢様に生まれたわけじゃないっ!好きでお嬢様に生まれたわけじゃないっ!」

同じ言葉を繰り返しながら掴んだ孝志の胸元をゆさゆさとゆすり怒りと悲しみをぶつける。
この泣き叫ぶ女性は誰だろう。
こんなにまで激しく感情をぶつけてくる彼女を自分は知らない。
孝志は、まるで呪文のように彼女が繰り返す言葉を聞きながら、どうしていいかわからずにただされるがままになっていた。

486:宝物・・・7
07/02/23 10:58:36 5YbPMmEC
どれくらいそうしていたのか。
激しく泣き叫びながら孝志を揺さぶっていた白薔薇の君だったが、やがて疲れたのか大人しくなってしまった。

「・・・気が、すみましたか・・・?」

そっと孝志が声をかけると、彼女は疲れ切った様子で言葉もなく頷いた。

「すみません・・・」

とりあえず彼女に謝ってみたものの、それ以上なんと言っていいのか孝志にはわからなかった。
唯一つ、わかっていること。
それは、彼女の呪縛を解いてやらねばならないということ。
結婚前も結婚後も、孝志には妻が「お嬢様」だということが負い目になっていた。
お嬢様に相応しいように。
お嬢様に失礼がないように。
お嬢様に恥をかかせないように。
自分とはまったく違う人種だと思っていた「お嬢様」との付き合いは、孝志にはやはり荷が重かった。
だが、それでも彼女を愛しいと思う気持ちは消えなかったのだ。
それくらいのことで彼女を諦めたくなかった。
たとえ「お嬢様」であっても、自分のい愛情が強ければ何も問題はないと思い込んでいた。
だが、その「お嬢様」ということが彼女自身をも苦しめていたと言うのか。
そんなことがあるのだろうか。
確かにあの家に生まれたのは、あの両親の元に生まれてきたのは彼女が好んでしたことではない。
平凡な人生が長かった孝志にとって、「お嬢様」に生まれついたと言うことそのものが苦痛になるのだとは想像もつかなかった。
だがもしかしたら。
「お嬢様」だからこそ、諦めねばならないこともあったかもしれない。
「お嬢様」だからこそ、知らないこともあるのかもしれない。
「お嬢様」だからこそ、逆らえない運命もあるのかもしれない。
もし、彼女が「お嬢様」ではなく、自分のように平凡な家庭に生まれたのだったら。
食事の時、おかずの取り合いをして食卓に笑いがあったかもしれない。
マンガを買うのにお小遣いが足りなくて、親の手伝いをしてお駄賃をもらったかもしれない。
友達と駄菓子屋でおやつを選んで愉しんだかもしれない。
だが彼女にはそういったことは今までになかったのだ。
なんだ。
案外「お嬢様」なんてつまらないものなんだな。
勝手な想像で孝志は思う。
キレイな服を着て、おいしいものを食べて上等なものに囲まれて暮らす。
人はそれを羨むだろう。
だがそれが果たして人間のしあわせなのだろうか。
それだけが。
むしろ自身が今こうして、彼女の苦しみを知るまで気がつかなかったように人からは理解されない苦しみがずっと付きまとっているのかもしれない。
彼女はそれを誰にも知られないようにひた隠しに隠して、いつも優しい微笑みでいたのかもしれない。
自分の愚かさに孝志の胸は痛んだ。
自分の愚かさが愛する妻をこれほどまでに傷つけてきたことに胸が痛んだ。
この傷を、どうやって償えばいいのだろう。
孝志には想像もつかない。
ただどうすることもできず、そっと抱き締める。
今はそれ以外に思いつかないのだ。

487:宝物・・・8
07/02/23 11:01:21 5YbPMmEC
腕の中で彼女は体を固くしたまま、まるで人形のようにじっとしている。
もう、以前のように甘えてもたれかかってくることはないのだろうか。
もう、許してはくれないのだろうか。
もう、傷は癒えないのだろうか。
無反応の妻に、それでもいいと孝志はぽつぽつと語り始めた。

「俺が・・・だらしないばっかりに、またあなたを傷つけてしまった・・・。一生守ろうと誓ったのに・・・。本当にすみません。

「あの時と同じですね・・・。覚えていますか?俺の部屋にあなたが初めて来た日・・・。俺達の初めての日・・・。

「ずいぶんとあなたを泣かせて。もう絶対に泣かせないと誓ったんだけどな・・・。はは・・・。このザマだ。

「俺は・・・怖かったのかもしれません。お嬢様のあなたをしあわせにするっていうことがどういうことかわからずに、ただ、あなたを失望させるのが怖かったのかもしれない。
 あなたの口から“こんなはずではなかったのに” “こんな人だと思わなかった”って言われるのが怖かった・・・。

「こんなことなら、俺となんて結婚するんじゃなかったと思われるのが、言われるのが怖くて、結婚前以上の生活をさせたかった。贅沢をさせたかった。
 ・・・それがあなたのしあわせなんだと、いつの間にか勘違いしていた・・・

「それに・・・。俺は世間も怖かった。あなたと結婚したことを心から喜んでくれる人は思ったよりも少なくて。
 世間のほとんどは、会社の人間も取引先の人も、あなたみたいな綺麗な人と結婚した俺を妬んで色々言われたんです。
 いや、今も言われている。勿論、あたなのせいじゃありません。

「俺みたいな成り上がり者なんかが本物のお嬢様をしあわせになんてできるはずがないと思っている世間を見返してやりたくて必死に働いてきたけれど、
 今思えば俺は怖かったんでしょうね。世間の言うとおりになることが。あなたをしあわせにできなくなることが。俺は怖かった・・・

何を語りかけてもぴくりとも動かない。
眠ってしまったのかと思ったが眠ってもいない。
ただ身を固くして感情を失くしたかのようにじっとしているだけの妻。
すっかり冷えている彼女の体を優しくさすりながらなおも孝志は語り続けた。

488:宝物・・・9
07/02/23 11:03:25 5YbPMmEC
「・・・ねぇ。あなたのしあわせって、なんなんでしょうね?・・・俺のしあわせは、あなたがしあわせでいること・・・。
 こんな簡単なことも、俺、忘れていたんだな・・・

「・・・・・・・・・・もし。もしもあなたがしあわせになれるんだとしたら・・・・・・

「・・・別れましょうか・・・

その時、腕の中の彼女が急にびくりと動いた。

「いや・・・っ!いやっ!離さないでっ!」

すごい力でしがみついてくる彼女の、急な態度の変化に驚きながらも孝志は説得する。

「俺といるとあなたがこんなに苦しんでしまうのなら、別れた方がいいんですよ」

「孝志様・・・!孝志様は本当に私と離れたいんですか?一生離さないつもりでいらしたのではないんですか!?」

泣き枯らしたかと思えた彼女の瞳から、また涙が溢れ、流れ落ちる。

「離したくないけど・・・。一緒にいて辛い思いをさせるくらいなら・・・」

「離しちゃいや!いや!いや!いや!」

「聞き分けてください。他にどうすればあなたをしあわせにできるんですか?」

だが、孝志のその問いに彼女は答えなかった。
突然、孝志の唇にむしゃぶりついてきたのだから。

「んぐ・・・っ!?んむ・・・っ んん・・・っ」

初めは驚いて目を白黒させていた孝志だったが、激しい唇と舌との愛撫にいつしか頭の中が蕩けてくる。

「はぁ・・・っ 一体、どうしたんですか?」
「離さないって言って・・・」

自分からこんな風に求めたことのない妻。
慣れないことをしたせいかはぁはぁと息が上がっている。
そんな状況でありながら孝志に離さないと言ってくれと懇願する彼女の気持ちがわからなかった。

489:宝物・・・10
07/02/23 11:04:16 5YbPMmEC
「何を言ってるんですか。俺はただあなたのために」

孝志にはまだ言いたいことがあった。
だが再び激しく唇を、舌を吸われ言葉は彼の中に落ちていく。
いつしか自分からも強く舌を絡め、彼女の口内を貪っていた。
こんな風に口付けを交わしたのは久しぶりのことだった。

「んぐ・・・っ!?」

激しいキスを交わしながら孝志は素っ頓狂な声を上げた。
なんと、彼女がその細い指を下着の中に入れ、彼の乳首を刺激し始めたのだ。
二本揃えた指の腹で、最初はすりすりと撫で回す。
女のようにくりくりと固く立ってきた乳首を、今度は人差し指と中指に挟んでこりこりと弄ぶ。
その刺激でこれ以上なく固くなったものを親指と人差し指で摘んでぐりぐりと潰すようにいじり始めた。
口付けをしたままで。

「・・・っはぁ・・・!あ・・・・・っ」

思いがけない快感が乳首から下半身へと電流のように流れていく。
孝志は思わず声を上げていた。

「孝志様・・・?気持ちいい・・・?」
「あ・・・っ や・・・やめて下さい・・・」
「ねぇ・・・お願い・・・。離さないって言って・・・」

そう言ったかと思うと、彼女は今度は唇と舌で孝志の乳首を愛撫し始める。
舌で乳輪をなぞり、乳首をちろちろ舐めたかと思うとぐりぐりと舌で押し込んでいく。
かと思うと乳首に激しく吸い付き、外れないぎりぎりまで引っ張るのだ。

「あぁ・・・っ は・・・っ」

みっともない声を上げつつその快感に夢中になっている孝志は、彼女の手がズボンのホックにかかっていることにことに気がつかなかった。

490:宝物・・・11
07/02/23 11:04:53 5YbPMmEC
気がついたのはファスナーも下ろされ、トランクスの上からゆるゆると立ち上がったものを撫でられた時だった。

「あ・・・?な・・・っ」

勿論、こんなことを妻がしたのは初めてだ。
孝志は焦った。

「や・・・やめて下さい・・・っ」
「離さないって言って・・・」

孝志の懇願は聞き流し、一言言うと彼女は再び唇で乳首を、指で股間を刺激し続けた。
こんなことを、いつどこで覚えたのか。
だが考えようとしても今は戸惑いと快感の方が勝っていて深く考える事は難しい。
寄せ来る快楽の波に孝志は翻弄されていた。

彼女がようやく孝志の乳首を解放した。
ほっとしたのも束の間。
今度は彼女はトランクスをずり下げ、直接そのものを口に含んだのだ。

「あぁっ!だ・・・だめですっ!」
「どうしてですの?」

思わず出た拒絶の言葉に、妻がさも不思議そうに問う。

「き・・・汚いからです。俺、風呂に入ってないし・・・」

だがその答えに彼女はくすりと笑った。

「孝志様の体に、汚いところなんてありませんわ」

聞き覚えのある言葉。
あれは確か、初めての夜に自分が彼女に言った言葉。
覚えていたのだろか。
それとも。
だがそれ以上は考えることができない。
柔らかな唇。
ぬらぬらと動く舌。
狭い口内。
飲み込まれていく。
吸い込まれていく。
それは今までに経験したことのない快感だった。
見れば自分の股間のものを口にし、必死に顔を上下に動かしている妻がいる。
お嬢様が。
貞淑な妻が。
こんなことをしているなんて。
そう思った瞬間、彼のものが爆発しそうになった。

「あ・・・」

491:宝物・・・12
07/02/23 11:05:42 5YbPMmEC
だが、あともう少し、と言うところでふいに彼女が口を外したのだ。
思わず口をついて出た情けない声。
そんな気持ちを知ってか知らずか妻は立ち上がった。
何をするつもりなのだろう。
そう思う孝志の目の前で、スカートを落とし、するすると下着を脱いでいく。

「な・・・っ」

またしても、今までに見たことのない妻の行動。
一体どうしたって言うんだ。
うろたえる孝志。
その股間にまたがると、彼女はゆっくりと腰を下ろした。
孝志の期待が高まる。
このところ忙しくて彼女を抱くこともなかったのだ。
その上こんな刺激的な状況。
早く彼女の中に入りたいと、自身の分身が背伸びしているように感じる。
だが。
先端の最も敏感な部分が入る直前のところで彼女は腰を止める。

「ねぇ・・・孝志様?一言でいいの・・・。離さない、って言って下さい・・・」

交換条件というところか。
だが孝志は言わなかった。

「強情な人・・・」

ついに彼女は孝志の股間に完全に自らの秘部を密着させた。
だが入ってはいない。
彼女の柔らかな肉が孝志の固い肉を全体的に撫でさするだけだ。

「あぁ・・・」

じれったかった。
気持ちがいいのは気持ちがいい。
だが、彼女はまるでそんな孝志を弄ぶようにゆるゆると秘部をこすり合わせるだけだった。
まるで甘美な拷問。
こんなことがいつまで続くのか。
ゆるゆるとこすり合わされている彼女の秘部がやがて潤み、ぬめってくるにつけ、その快感は強さを増す。
だが決して致命的なものではない。
彼女から与えられる快感だけでは物足りなくなった孝志は自らも腰をぐりぐりと押し付ける。

「ねぇ・・・言って・・・。離さないって・・・。一言・・・」

前後に体をゆすりつつ彼女がうわ言のように言う。
だがそれでも孝志は言わなかった。
ついにじれったくなったのか、彼女が孝志のものを掴んで自らの入り口に当てる。

「入れたいでしょう・・・?無理しないで・・・一言言ってくれれば楽にしてさしあげますわ・・・。さぁ・・・」

だが孝志は答えず、ぐいと腰を動かして強引に彼女の中に押し入ってしまった。

「あぁ・・・っ!」

喜悦の声を一瞬上げた彼女だったが、すぐに抜き去ろうとする。
そうはさせじと孝志は彼女の腰をがっちりと両手で掴んで下からぐいぐいと腰を押し上げ、少しでも奥へと入れようとする。


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