07/08/21 07:02:58 WkZZTR7D
中には、電卓のモニターみたいな液晶画面が埋め込まれており、画面上部にアラビア数字で『三十』と表示されていた。
画面下部には『ルールA』『ルールB』『ルールC』『ルールD』との表示が、縦一列に並ぶ。
画面下部(ルールA~Dとの表記がある部分)の右側には若干のスペースが空いており、ここにルールの内容が入るのだろうと推測できた。
が、何故か空欄になっているから、その、四つあるらしい『ルール』とやらがどういうものであるのかは不明だ。
そして液晶画面の下には、トイレの時と寸分違わぬ、白いドアノブ。
僕はとりあえずドアノブに手を伸ばし、回そうと試みるが、どんなに力を込めても、ぴくりとも動かない。
「駄目だ。ロックがかかっているみたいだ」
「この数字……『三十』と、その下の『ルール』っていうのが、何か関係あるんでしょうか? 謎を解かないと開かない、とか」
顎に手を当てて、少しばかり考える。我ながら情けないが、それでも結局は、お決まりの言葉を返すしかなかった。
「……わからない」
部屋を一周して、僕らは最初の場所―彼女が寝ていたベッドが置かれている地点―まで戻ってきた。
収穫は、トイレへの扉と、開かない扉、二つの扉の発見。蟻一匹見逃さないよう、時間をかけて調べたから、おそらく見落としはない。
部屋には、この二つ以外に内周部に面している扉はないと考えていいだろう。
「開かなかったあの扉を、なんとかして開けられたらいいんですけど……」
言いながら、彼女はベッドに腰を下ろす。と、そこで、僕は忘れていた『あるもの』を、唐突に思い出した。
「そうだ、箱……」
そう、彼女のベッドの下に置かれていた『箱』の存在だ。