06/07/26 01:51:46 aRHCIPc3
「ん・・・・何時だろ」
遭難2日目の朝を迎える。先に男が目覚めた。
幸い洞窟の中で、何とか厚着して睡眠をとることはできた。
極寒には変わりないが、外で寝るよりは幾億倍マシだ。
あの雪崩から脱出し、目が覚め、洞窟を見つけられたこと自体が奇跡なのだから。
腕時計は午前6時41分。
普段は携帯が時計代わりで全くつけない腕時計だが、
雪山ということでたまたま身につけていた。
こんな時は携帯電話などより余程ありがたい。
「よし・・・ちょっと外見てみるか・・・・・・いててて」
重たい体を起こそうとした瞬間、全身を激痛が襲う。
「昨日の晩は気にならなかったけど・・・色んなとこ痛めてるな。・・・スノボ中もかなりコケたっけな」
一晩休んでから痛みに気付くのは騙された気分だが
今は“痛みに気付く”ことができるだけでも嬉しい。
ついでに自分以外の吐息が聞こえることにも気付く。
「・・・そうか。もう一人いたよな。・・・っと」
少女を起こさぬように近寄る。
別に起こしてもいいが何となく寝かせておこうと思った。
「・・・・すぅ・・・すぅ・・・」
「・・・こっちも無事」
生存を確認し、その後とりあえず洞窟の外へ
吹雪も夜中よりは治まり視界もかなり回復した。
山の地形を確認して自分の位置を把握しないといけない。
出口から前方100mは傾斜の弱い平地。
右手の方向を眺めると登りの傾斜が伸びる。
左手から真正面に向かって降り。