07/07/23 14:56:52 qSZ/wQoR
▽
月山舎のとなりには、体育館があった。大きさは学校のそれと遜色ないほどだ。
この山はまさに合宿のための場所。他の高校からも何組かの部員が来ていて、それぞれ青春の汗を流している。
ある人たちはバスケット部。またある人たちはバトミントン部。館全体に室内スポーツの掛け声を響きわたらせる。
俺たちはこのような施設の一角にある卓球ルームで、練習に励んでいた。
いろいろな組み合わせでの一対一や、チームを作っての団体戦形式で特訓しているうちに、閉館時間である夜の八時になった。
「じゃあ、今日はここまでにしとこっか」
今の今まで奇跡的に問題を起こさなかった俺たちの部長・真田慶一の言葉に、柊草の面々もそれに同意する。
「晩御飯もあの食堂なのかな?」
「そうだな、あそこしかないしなぁ」
お昼をとった宿舎内の食堂は決して美味いとはいえなかったが、わざわざ下山するのも億劫だ。
六郎の問いかけに、俺は気だるく返事をした。
「では、三十分後に食堂に集合ということでどうでしょう?」
「うん! ほんでえーんちゃう?」
「そーやなー」
神田さんの妹さんと双子娘たちの会話の流れも加わり、やっぱり飯は食堂でとなりそうなところで、
ただ一人異論を唱えるヤツがいた。
「ちょーっと待ってい! 晩飯のことですが実はあてがあるわけです」
慶一が、あからさまな役者口調を使う。