07/06/17 02:35:59 oH5EQbW3
ま、いいか。
別に敬称で呼んでもらいたいわけでもないし、椎名さんみたいな女の子に、下の名前で呼び捨てにされるのも、悪くない。
そのくらいの下心、コーヒー一杯分の代金として認めてもらえるだろう。
そんな風に理論武装している僕をまるで咎めるようなタイミングで、鋭い光が照らした。
雷だ。
「ひいっ!?」
もし雷がその語源通り神様が鳴らすもので、邪念を抱いた僕に対する警告だとしたら、それは思い切り方法選択をミスしている。
なぜなら煩悩を増長するからだ。
椎名さんが顔色を変えると、こちらに飛びついてくる。
流石に胸に飛び込んではこないが、僕の腕を掴んで抱きしめる。
直後、稲妻に遅れること一秒程で雷鳴が届く。
「…っ」
僕の腕を抱きしめる強さが増す。
夏服の薄い生地越しに伝わってくる柔らかさと、震え。
僕は邪念を払いながら、椎名さんに気遣いの言葉をかける。
「大丈夫?」
「あ、あた、あたりまへじゃなひ」
呂律が回ってない。
本気で怖がっている彼女には悪いけれど、その様子はとても可愛かった。
「大丈夫だよ。雷なんてそんな怖いものじゃ……」
「子供の頃、ね」
苦笑交じり僕の言葉を遮って、椎名さんが俯いたまま言う。
表情は見えないが、声の調子からして無表情で喋ってるように思われる。
「子供の頃、母さんに連れられて山に行ったの。大学の研究班の人達と一緒でね。遺跡の発掘だったの。
その中で、お母さんと仲の良いお姉さんがいてね。よくアメをくれる人でね。その日も一緒だったのよ。
けど、突然山の天気が悪くなって、雨が降って、雷になって、慌てて道具を取りに行ったお姉さんが……どかーんって…」
そこまで言って沈黙する椎名さん。
どうしよう。思ったよりハードだ。
椎名さんは僕の腕を掴んで俯いたまま、口を開いた。
「だから……雷だけはどうしてもだめで…それ以外は大丈夫なんだけど…ね」
雨音に混ざって消えてしまいそうなほどにか細く、頼りない声。
苦笑とはいえ笑ってしまったことを僕は恥じる。
少しでもその恐怖とトラウマが和らぐようにするにはどうすればいいかと考えた時だった。
ガタガタと、駅員がいたころ事務室として使われていたらしい部屋から物音がした。
そして、例によって例のごとく
「イヤァァァァァァァァァァァァァァッ!」
椎名さんが悲鳴を上げた。
彼女は今度は僕の首に抱きつくと、左右にガクガクとシェイクする。
「ナニナニナニナニ!?お化け?お化け!?ダメダメダメェッ!」
「お、おち、おちつ、落ち着いて!」
僕が椎名さんを宥め終るより早く、事務室の扉が開いた。
732:書く人
07/06/17 02:36:49 oH5EQbW3
「――!?」
恐怖に息を止める椎名さんと、首を絞められ息が止まる僕。
そんな二人の前に現れたのは
「ワン」
「――犬?」
涙目を見開きながら、椎名さんは事務室の横開きの扉を、器用に前足で開けて入ってきた柴犬を見る。
腕の力が緩んだ隙をついて呼吸を確保した僕は、椎名さんに説明する。
「き、近所の安田さん家で飼われてるチコだよ。時々逃げ出してくるんだ。
最近は安田さんがしっかり鎖を付けるようになってて来なかったんだけど…」
見ればチコの首輪にはロープがついており、その先には杭が結わえつけられていた。
この雨で地面が緩んだ所を、引っこ抜かれたらしい。
が、その辺りはどうでも良いだろう。
どうせ明日の朝になれば、安田さんがチコを回収に来る。目下の最大の問題は
「で、幽霊とかも駄目なの?」
至近距離で見つめる椎名さんの横顔。椎名さんは少し表情を引きつらせた後、先ほどの雷のトラウマを話した時と同じように、表情が見えないように俯いて
「子供の頃、お父さんに連れられて――」
とりあえずこの日、僕は金髪の彼女の名前が椎名マリアであることと、強気そうな物腰とは裏腹に結構臆病で可愛いこと、そして、離してみると結構面白いと言うことを知った。
その夜以来、僕の朝夕駅舎で過ごす三十分は、以前と異なるものになった。本以外の楽しみができたのだ。
それは椎名さんと過ごすことだ。
とはいっても、いつも三十分おしゃべりをし続けるわけでもない。
その時間の大半は会話もなく、ただペンキの剥げたベンチで一緒に座っているだけだ。
けれど、その時間はとても居心地がよかった。
誰かが隣にいると言う事実と、時折交わされる会話。
朝の時間はいつも一緒だが、夕刻はそれぞれの予定が異なるために、会えないこともしばしばある。
あの嵐の夜までは、むしろ安心を覚えた独りの時間が、今ではとても物足りなく、寂しいものに思われるようになっていた。
弾み歌うような彼女の声音と喜怒哀楽の感情。
それらがたまらなく心地よく、彼女といることが好きになっていった。
自分の抱いている感情が恋心であることに気づくまで、時間はいらなかった。
そのまま一か月半の時間が過ぎた。
733:書く人
07/06/17 02:39:00 oH5EQbW3
七月の半ば過ぎ、もうすぐ夏休みという頃だった。
下校中、アスファルトの照り返しに辟易していた僕の耳が、声を拾った。
「そこのヒロフミ!ちょっと待ちなさい!」
ヒロフミ違いと言う可能性は限りなく低かった。
理由は呼ばれた声に聞き覚えがあったからだ。
「椎名さん?」
振りかえった僕の視界にはいつの間にか間近まで近づいていた椎名さんの顔があった。
勝気な印象のある目と金髪。
至近距離で見た椎名さんの表情に、少しドギマギしながらも僕はどうしたのかと聞こうとして、手を掴まれた。
「え?」
「先生確保したわよ!」
椎名さんは振り返ると、僕の右手を持ち上げながら振り向いて声を上げる。
その先に、椎名さんと同じ制服を着た女の子達が三人いた。
「……どういうこと?」
僕の質問に、椎名さんは質問で返してきた。
「ヒロフミの学校って二学期制で、夏休みの前に期末ないわよね?」
事の発端は、半月ほど前に帰ってきた全国模試の結果らしい。
成績表と一緒に配布される上位者名簿。その二年の部、数学の項の末席に、僕の名前が載った。
友人は、この結果をひっさげて親になんか買ってもらえと言っていたが、残念ながらうちの両親の方針は
『勉強は自分のためであり、成績が良かったからと言ってなぜ褒美を与えねばならんのだ』
そんな僕にとっては見て励みにする以上の意味を持たなかったそのデーターを、
「見つけた時はこれだ、って思ったのよ。ヒロフミこそ、私達を補修地獄から救ってくれる救世主に違いない、ってね」
「わ、私は別に教えていただかなくても補修なんてなりませんわ…!」
学校の近くの学校の近くの図書館で、僕は椎名さんから事情を聞いていた。
その説明に際して、椎名さんの友達の一人―円谷さんが抗議したが、上げてしまった声は思いのほか大きくなったのを自覚し押し黙る。
もっとも、周囲に人影はなく、咎められることはなかった。それでも反省して身を縮める辺り、真面目な人なのだろう。
椎名さんの話によると、椎名さんとその友達を含めた四人のうち、円谷さん以外の三人は中間テストで惨憺たる結果を残したらしい。
このままでは夏休みは補修でつぶれることが必至と言うことで、円谷さんに連れられて図書館で勉強会と言うことになったらしい。しかし円谷さんにもテストがあり、椎名さん達にかまってばかりもいられない。
そこで、道端で見かけた僕を呼びとめた、ということらしい。
734:書く人
07/06/17 02:39:55 oH5EQbW3
「いいじゃない、美咲ちゃん。せっかく教えてくれるんだし~」
「そのとーり。男子一人に女の子四人の勉強会ってのは、シナリオ分岐イベントの王道じゃないかね?」
椎名さんの説明に不服そうな円谷さんに、左右から声が掛けられる。
全体的にのんびりとした口調の背が高い女の子のフォローと、それとは対照的に小学生と言われても違和感ない身長の女の子の微妙なフォロー。
なんというか、こういった言い方はなんだが、円さんとは異なりどことなく、お馬鹿な印象を受ける。
特に背のちっちゃい方の子からは、なにやら前述したオタ系の友人と同じ雰囲気が伝わってくる。
そのちっちゃい子の方が、こちらを見てニヘラ、という感じの笑顔を浮かべ
「とは言った物の、すでに彼はマリリンルートに一直線!って感じかなぁ?」
「な、なんで私の名前が出てくるのよ!?」
「声が大きいですわよ!」
注意する円谷さんだが、椎名さんは聞く耳を持たないようだ。
うわ、本当に「ですわよ」なんて語尾を使う人がいるんだ、と感心する僕の目の前で、マリアの追及を背の小さな女の子はのらりくらりとと交わしてゆく。
「んー、けれどねえ。わざわざ別の学年の順位表をすべてチェックするとは、なかなかにあり得ませんよー?」
「だ、そ、それは知り合いだから…」
「知り合いだから、って?下手な言い訳だなー。
ともあれお兄さん。かなり好感度は高いですよ?このまま着実にフラグを立てていけばアイキャッチ画面がマリリン単独の絵になるのは遠くないよー?」
「ア、 アイキャッチって……えっと……」
「ああ、私は長曽我部 一美。らき☆すたのこなたに似てるって言われるおにゃのこです!」
「一美ちゃん、それってどういう意味?」
いや、なんとなく意味はわかる。つまり現状を恋愛シミュレーションに例えるなら、僕が椎名さんとくっつくようなエンディングに向かっている、ということなのだろう。
けれど今一確信が持てず、訊き返す。が、僕の問いに帰ってきたのは一美ちゃんからの返事ではなく、別方向からの追及だった。
「一美……『ちゃん』?」
椎名さんだった。
彼女の眼は少し釣り目勝ちで、ただ見られているだけでも時々睨まれているような錯覚を受けるが、この瞬間、僕は確実に睨まれていた。
「えっと……。な、何か質問?」
「ん?えーあるわよ先生ぇ、質問が。なんで一美だけちゃん付なのか、とか?」
……なぜと言われて、僕は首をひねる。
いや、理由は単純だった。苗字が呼びにくいからだ。長曽我部なんてリアルで見たのは初めてな名前だ。
それに外見的にも小学生な上、全体的に寝起きの子猫のような愛嬌なる造詣の顔をした彼女に『さん』付はイメージに合わない。
深い理由はなかった。
が、それを説明するより早く
「……ロリコン。
美咲、ここ教えて」
735:書く人
07/06/17 02:41:17 oH5EQbW3
釈明の暇もありはしない。
冷たい目で僕を一瞥した後、椎名さんは円谷さんに向けて参考書を広げる。
円谷さんは少し戸惑ったように視線を僕と椎名さんとの間で行き来させたが、結局椎名さんが向けてきた参考書を覗き込んだ。
「おやおや~。フラグを立てちゃったかな~?」
にへら、とした表情をさらに溶けたようなもの変えつつ言う一美ちゃん。
フラグ、とはプログラムにおける発動条件から転じて、出来事が起こるための条件を指す言葉らしい。
そう言われると、少し嬉しい気がした。
確かに冷たい態度や視線は居心地が悪いものだが、しかしひょっとすればそれは、椎名さんの嫉妬のようなものなのかもしれない。
「あの~、喜沢センパ~イ。
ここ、教えてくれませんか?」
聞いてきたのは最後の一人、背の大きな女の子――高木良子さんだ。
180センチ近くあるのではないだろうか?スタイルもハーフである椎名さんを上回るほどのモデル体型。
こう書くと近寄りがたいようなイメージだが、その印象をのったりとした挙措動作と喋り方が侵食し、中和している。
「あ、うん。えっと…高木さん」
危うく良子ちゃんと呼びかけて(印象が彼女も子供っぽかったから)、ギリギリで名字で呼ぶ。その直後に横―椎名さんが放っていたプレッシャーが落ちる。
その事に少し安堵しながら、僕は渡された教科書を見る。
化学だ。
「この酸と塩基っていうのが分からないんですけど~、混ぜるとどうしてこうなるんですか?」
高木さんが聞いてきたのは、化学の基礎とも言える中和反応についてだった。
話を聞くと、なぜ塩酸と水酸化ナトリウム水溶液を混ぜると、塩酸とナトリウムが、元々付いていた水素や水酸化物イオンと別れてまでくっつくのかが理解できないらしい。
「えっとね。これは電気陰性度と酸性度っていうか…」
教科書通り説明しながら高木さんの表情を見てみる。
「………」
フリーズ。
それはそうだ。教科書通りの説明で理解できるなら聞いてくるはずもない。
よし、ならばイメージに訴えてみよう。
僕は教科書の一ページを指して
「えっと…この表によると塩化物イオンの方が水酸化物イオンより酸として強いってのは分かるね?」
「はい」
「それと、ここによれば水素イオンよりナトリウムの方が塩基として強いよね」
「……はい」
どうやら、ここまでは分かってくたようだ。
「だからさ、この酸性度と電気陰性度とかっていうのはそれぞれ相手を引っ張る力で、これが強い者同士が真っ先にくっつきあうから…」
「けど、最初はこの子たちは、それぞれ水素やOHとくっついてたんですよね~?」
「くっついてたって言っても一緒の溶液の中にいるだけだから。
それに、この塩化物イオンもナトリウムイオンも、たまたま相手がいなかったから、一緒にいた水酸化物イオンや水素イオンと仕方なくくっ付いていただけで…――」
――仕方なく。
自分で言ったその言葉に、僕ははっとなる。
736:書く人
07/06/17 02:42:00 oH5EQbW3
相手を引っ張る力の強い塩基であるナトリウムイオンは、仕方なくその場にいた水素イオンと一緒になっていた。
相手を引っ張る力の強い酸である塩化物イオンは、仕方なくその場にいた水酸化物イオンと一緒になった。
ならば……
「……あの~センパイ~?」
「えっ。あ、うん。とにかく、そういうこと。分かった?」
「はい~。教え方が上手ですね」
繕う僕に、高木さんはお礼をいってくる。
けれど、僕はその内容をほとんど聞いていなかった。
僕は隣を見る。
そこには椎名さんがいた。
機嫌が治った、というより一美ちゃんとのやり取りが既に意識の外に置き去られてしまったのか、頭を抱えながら円谷さんの問題解説を受けている。
シャーペンの恥を口にくわえて脹れっ面で参考書を睨みつける椎名さん。
そんな表情ですら見苦しさより可愛らしさが前に出ている。
椎名さんは、そんな可愛い女の子だ。それに対して、僕は冴えない男。
駅で二人が言葉を交わすような関係になったのは、偶然そこに二人しかいなかったから。
さながら、ナトリウムイオンと水酸化物イオンだ。
地味で誰も引きつけることのない僕と言うイオンがいる、駅と言うビーカーの中に、椎名さんと言う引き寄せる力の強いイオンがやってきて、僕を引きつけた。
――仕方なくに、だ。
けれど、それは二人きりになったから。椎名さんに言わせれば、きっと仕方なくのことに違いない。
ビーカーの外には、僕よりはるかに引く力の強いイオンに溢れかえっている。
外に零れてしまえば、椎名さんに引き寄せられる、僕よりはるかに魅力的なイオンがたくさんいて、椎名さんは僕に見向きもしないだろう。
現に、円谷さん達と話をしている椎名さんは、いつも以上に嬉しそうで輝いて見えた。
ああ、何を勘違いしていたんだろう。僕にとって彼女が特別な存在であったとしても、彼女にとって僕が大切な存在である根拠にはならないと言うのに。
いや、それどころか、すでに彼女には恋人か、あるいは好きな人がいるかもしれない。
冷水を頭から浴びせられたような気分だ。
女の子に少し声をかけられて、その友達にはやし立てられただけで、すぐにのぼせて、いい気になっていた。
僕など椎名さんにとっては、二人きりに『なってしまった』相手に過ぎない。
偶然と不可抗力の結果である僕が、椎名さんにとって特別な意味がある存在であるはずがあるだろうか?
「あの…喜沢さん?こちらの数式なんですが…」
「…うん。どうしたの」
円谷さんに言われて、僕は現実の問題の方へと意識を向けた。
解散の時、椎名さんは僕にテストまでの家庭教師を頼んできた。僕はそれを承諾した。
少しでも椎名さんの隣を占有していたい。理由は、そんな悪あがきにも似たものだった。
この日を境に、椎名さんとの時間が少しだけ憂鬱になった。
737:書く人
07/06/17 02:44:05 oH5EQbW3
つづく
たぶん次回がラストになるかと。
あまり待たせないように努力します。
738:名無しさん@ピンキー
07/06/17 07:47:13 rxP7HD2D
イイヨイイヨー
739:名無しさん@ピンキー
07/06/17 09:17:51 UWU9Xl/1
南下スゲー気になる展開だ!
740:名無しさん@ピンキー
07/06/17 09:21:15 TTdqLV+H
続き早く読みたい
741:名無しさん@ピンキー
07/06/17 13:48:18 mzEXyAJ3
書く人氏GJ!
続 き が 気 に な る !
742:名無しさん@ピンキー
07/06/17 23:18:10 8vqIe7RC
ワクテカ
743:名無しさん@ピンキー
07/06/18 18:50:24 Qnb5IV0p
684氏に書く人氏!
いやー、wktkが絶えませんなぁwww
744:名無しさん@ピンキー
07/06/19 03:48:02 0FLPKbH2
あれ?主人公とヒロインって別の学校だったよな?確か
どうやってヒロインは主人公の学校の成績表チェックしたんだ?
745:名無しさん@ピンキー
07/06/19 05:53:29 0ZzBvCAR
全国模試って書いてなかったっけ?
かなり優秀
746:名無しさん@ピンキー
07/06/20 02:22:20 iOyhx1pi
>>736
続きwktk!
747:名無しさん@ピンキー
07/06/22 01:30:18 zsKuGuEd
なぜこのスレは、作品がくると沈黙気味になるんだろう。
ともあれwktk
748:名無しさん@ピンキー
07/06/22 18:16:43 p09qfoL6
どこのスレも似たようなものだと思うが・・・・・・・
とりあえずwktk
749:名無しさん@ピンキー
07/06/22 22:34:46 UNWP4P4h
うるさすぎるよりはましだろ。
みんな楽しみにしてるしな。というわけでwktk
750:名無しさん@ピンキー
07/06/22 23:42:04 F079qDf2
なんというかあまりにwktkすると騒がずいい子で待っていたくなってしまう
751:名無しさん@ピンキー
07/06/23 02:12:46 VEaj8k5F
つまらなくなったな
前半の静かで穏やかな雰囲気がぶち壊されて
ギャルゲ化したような気がする
エロパロだから仕方ないのか
ヒロインもシチュも良かっただけに残念だ
752:名無しさん@ピンキー
07/06/23 02:18:02 f5Nnixjd
>>747
容量やレス数を無駄に消費する事を抑えて、少しでもこのスレを楽しみたいからじゃないか?
753:名無しさん@ピンキー
07/06/23 02:58:08 5/JJpqMX
moriーーー
ほしゅ
754:名無しさん@ピンキー
07/06/23 13:22:27 5f9TR3iw
>>751
なら見なきゃいいだけのことだろ、そんなこといちいち書くな、うっとうしい
755:名無しさん@ピンキー
07/06/23 15:25:30 7ezOLIu8
んだな
俺が思ってたのと違ってきたからツマランとかガキかよw
756:名無しさん@ピンキー
07/06/24 11:54:30 zpiFJl2t
良スレage
757:名無しさん@ピンキー
07/06/24 20:07:52 mCBRRRoS
>>752といい>>754といい
このスレの住人は盲目もいいところだな
758:名無しさん@ピンキー
07/06/25 00:55:35 LQMvwD0M
こうして良スレがまた一つ・・・ orz
759:名無しさん@ピンキー
07/06/25 02:59:54 qFcm2Tjm
はいはーーい、お前らスルースキル覚えろー、忘れんなー!
これテストに出るってか、出すぞー!
760:名無しさん@ピンキー
07/06/27 19:12:16 tUwY9wPH
保守
761:名無しさん@ピンキー
07/06/30 07:24:33 UlGCu82L
wktkするけとイイよね?(・∀・)
762:名無しさん@ピンキー
07/06/30 13:09:20 Aog2XPkH
MHP2始めて、このスレ読んで、なんだか妄想が膨らみ始めた。
もしかするとそのうち何か書くかも。期待はしないで。
763:名無しさん@ピンキー
07/06/30 19:47:48 1wqubmHd
待ってまーす
764:名無しさん@ピンキー
07/07/02 00:03:34 6P2Y/13S
書く人マダー?
765:名無しさん@ピンキー
07/07/02 23:57:37 Vd+X+Oj1
ずいぶんと気が早いな
一ヶ月くらいまではwktkして待とうぜ
766:名無しさん@ピンキー
07/07/05 21:14:38 tpteLMiY
ほ
767:名無しさん@ピンキー
07/07/06 21:07:38 vl7AXB+n
>>1殿のSSがみてぇ…
所で、>>1に書いてある地震or核戦争勃発のやつって書いてもいいの?
いや、漏れは書かないよ、視聴者だし
768:名無しさん@ピンキー
07/07/08 23:14:48 9HpTVYd9
保守
769:名無しさん@ピンキー
07/07/09 07:52:12 Sr4eOL+t
>>734
シナリオ分岐イベントなんて言う女いねーよ
きんも~☆
770:名無しさん@ピンキー
07/07/09 12:32:00 bDj4z3Ji
あるいはゲーマーならひょっとして。
771:名無しさん@ピンキー
07/07/09 17:15:51 +LcTOd0G
そんなこと言ったらこんな羨ましいシチュありえな(ry
772:名無しさん@ピンキー
07/07/09 21:32:56 psIHhuSL
作者のエロゲヲタ度によるんじゃ
773:名無しさん@ピンキー
07/07/09 23:22:16 Sr4eOL+t
百歩譲ってこんな言葉知ってる女がいるとしたら
逆ハーレム恋シミュやり込んでるドブスくらいだな
774:名無しさん@ピンキー
07/07/09 23:31:07 txeM39VY
ここのスレは静かな図書館の中で司書や他の客が寄り付かない所で二人きりになってもぉKなの?
775:名無しさん@ピンキー
07/07/10 08:21:02 4+14HOK8
おK
776:名無しさん@ピンキー
07/07/10 19:37:29 /slA2Ti3
エロゲの劣化コピーみたいな糞SSじゃないなら
何でもおk
777:名無しさん@ピンキー
07/07/10 20:20:53 GQsd7Oz0
何かウザったいバカがいるな
>>774
良いんじゃない?
778:名無しさん@ピンキー
07/07/10 20:53:16 xjWReRIF
ぉK貰ったし今日から書き初めてみるよ
779:名無しさん@ピンキー
07/07/10 21:18:25 eRDSvEZV
また細切れ未完が始まるのか
780:名無しさん@ピンキー
07/07/10 22:32:56 xjWReRIF
>>779そういう事を言うと書く気が削がれるって知ってる?
781:名無しさん@ピンキー
07/07/10 22:34:24 MNlA3IK9
わざと言ってるんですよ。 わ ざ と 。
という>>779の心の声が聞こえてきそうだ。
782:名無しさん@ピンキー
07/07/10 22:49:07 bVV8NFwP
>>780
この手の謂れの無い非難とか中傷とかを、投げかけられるリスクが存在する場所だと
いうことを一応頭に入れておいた方がいいと思う。
まあ、あまり気にせず書いてください。
783:名無しさん@ピンキー
07/07/10 23:23:57 RwCnNqon
>>780
気がそがれたなら書かなきゃいいだけ。
書きたいなら書けばいい。
そういうもんだぜ!
784:名無しさん@ピンキー
07/07/11 00:21:23 fiz22/tL
今までのスレの流れを見てると妥当な考えだと思うがな
まぁ誘い受けがマンセーされるスレなんて大概がこんなもんなんだろうけど
【CP厨】リア厨だらけのスレを語るスレ【誘受】
スレリンク(eroparo板)
ところで、ここでこのスレが挙がってる理由を考えたことはないのか?
785:名無しさん@ピンキー
07/07/11 00:28:59 jr+KwKOg
以下、何事も無かったかのようにスルー。
786:名無しさん@ピンキー
07/07/11 09:09:24 xh58oOFw
雪山編は神だったのにな
すっかり糞スレに成り下がった
787:名無しさん@ピンキー
07/07/12 13:08:28 KPM5FuUm
前半ラノベ、後半エロゲって感じ
自意識過剰なキモヲタの臭いがぷんぷんするw
>書く人
788:名無しさん@ピンキー
07/07/12 16:37:21 uY7p2+yq
なんだかんだ言って
萌 る か ら そ れ で よ し
789:名無しさん@ピンキー
07/07/12 18:48:01 NqpWudvx
同意
790:名無しさん@ピンキー
07/07/12 23:14:40 RU8tCzft
かなりコアな設定だから書いてもらえるだけで嬉しいんだけどね
だから無理にエロ入れなくてもいいんだ
日常に存在しそうな非日常…そこが重要
791:名無しさん@ピンキー
07/07/12 23:20:53 gUVcBz8C
不可抗力なら、女の子と2人きりじゃなくてもいいのだろうか……。
792:名無しさん@ピンキー
07/07/13 02:38:37 vLEtAo1H
スレタイを穴があくほど見て欲しい
性的な意味で
793:名無しさん@ピンキー
07/07/13 03:26:34 YBbciKfP
>>792
そのあいた穴に挿入か?
794:名無しさん@ピンキー
07/07/13 04:05:14 7cKl/rWB
不可抗力がポイントではなく、女の子と二人っきりってのがポイントのスレですわよ?
795:名無しさん@ピンキー
07/07/13 08:45:47 Jp7Q9lyH
書く人の後半は二人きりですら無い
スレ汚し以外の何物でもない
796:名無しさん@ピンキー
07/07/13 08:47:02 /TABfwdt
この荒らし方は修羅場スレのやつか?
797:名無しさん@ピンキー
07/07/13 14:39:44 ZYEabnCr
きもいな
798:名無しさん@ピンキー
07/07/14 00:40:45 31fpLAHn
>>1待ち
799:名無しさん@ピンキー
07/07/16 14:24:02 ZIZKXsJE
書く人はスレタイ読めよ
あんなの投下されたら荒れるのも仕方ない
800:名無しさん@ピンキー
07/07/17 14:54:51 bH2aPaXN
数少ない書き手を追い出せるほどこのスレに書き手はいるか?
801:名無しさん@ピンキー
07/07/17 15:52:43 UBnR+iiR
夏だから、天然なのか荒らしなのか判断がつかないぜ。
802:名無しさん@ピンキー
07/07/18 08:56:03 UZIvQ4t8
完全スレ違いの駄作でも
ハーレムウハウハで興奮できればいいってかw
何のための住み分けだよ
803:名無しさん@ピンキー
07/07/18 10:36:18 VoWRvmbj
何処と住み分けるつもりだよwww
スレ毎に文句変えないと釣れないぞ。
804:名無しさん@ピンキー
07/07/18 10:43:43 EvrARY5d
あれがスレ違いに見えちゃうアレな人は放置汁。最初から最後まで
二人きりでなければいけないなんて決まり事はどこにも無い罠。
805:名無しさん@ピンキー
07/07/18 12:14:57 /U2subwu
>>804
ちょっと前の戦国モノもそうだったな。
806:名無しさん@ピンキー
07/07/18 15:17:06 s3+ANbuS
いや、エロゲ化は有り得ない
807:名無しさん@ピンキー
07/07/18 15:26:20 UZIvQ4t8
書く人の後半みたいな低能用の糞SSは
どこでも読めるだろ
検索すりゃ腐るほど見つかる
808:名無しさん@ピンキー
07/07/18 15:46:24 YtWn50oJ
バス停で二人きりの時の、素朴な田舎の雰囲気を漂わせていた
シーンでは、非常にwktkした。
(=ω=.)のパクリとか萎えるからやめてほしかった。
809:名無しさん@ピンキー
07/07/18 16:37:57 gK6yMKVK
いちいち反発する奴らいるんだな
810:名無しさん@ピンキー
07/07/18 19:22:39 UZIvQ4t8
>>808
同意
811:名無しさん@ピンキー
07/07/18 21:08:10 4tI+tXhW
アホが数匹暴れてるだけだろ
相手にするな
812:名無しさん@ピンキー
07/07/18 23:02:21 /RMP0xli
書く人氏マダー?
813:名無しさん@ピンキー
07/07/19 04:57:21 GXE9aMDJ
何度も言うが、このスレは数少ない書き手を追い出せるほど書き手に恵まれたスレなのか?
814:名無しさん@ピンキー
07/07/19 05:15:09 EzfV12al
>>813
いい加減、空気嫁。
815:名無しさん@ピンキー
07/07/19 10:32:57 /INA0U2x
つまらん話を投下されるぐらいなら投下が無い方がいい。
816:名無しさん@ピンキー
07/07/19 13:29:05 dWQDU8qf
>>815
同意。
817:名無しさん@ピンキー
07/07/19 21:39:27 a23KVnW5
>>815
だな。
ところで書く人マダー(・∀・)
818:名無しさん@ピンキー
07/07/20 07:34:23 o8fnWiQF
らきすたパクリ小説には興味なし
819:名無しさん@ピンキー
07/07/20 09:30:06 T1/Rvuqw
前回の投下から一ヶ月以上経ったので、そろそろリミッター解除します
820:名無しさん@ピンキー
07/07/20 09:37:04 T1/Rvuqw
▽
上手いことを言ったやつがいる。
「俺らって懲役六年の刑に科せられているよなあ」
その通り。
中高一貫の男子校では、女っ気のない生活を余儀なく強いられている。
中学、高校といったらアレじゃん。青春の真っ只中じゃん。
かわいい女の子と、バレンタインにいちゃいちゃとか、大晦日に肩を並べて年を越したりとか、
夏の海をアバンチュールに満喫したりするとかが普通じゃないのか?
いいよなあ、男女共学の学生さんは。
でもまだ神は、そんな俺を見捨ててはいなかった。
一大イベントが隠されていたのだ。
地区予選で珍しく好結果を出した我が卓球部は、夏休みに二泊三日の強化合宿を行うことになったのだ。
部員は三人しかいないけど、その人数の少なさに対して心あるOBが何とかしてくれた。
どうしてくれたかって?
821:名無しさん@ピンキー
07/07/20 09:38:16 T1/Rvuqw
なんと、柊草女学園との合同合宿。
市内に同じレベルの高校が無かったとはいえ、女子高生といっしょに合宿なんてありえねえ、と思ってもみたが、
よくよく考えれば共学のやつらにとってはそんなの普通なんだろうな。
集合は学校の西門前。
そこからOBが車で現地合宿場まで運んでいってくれるらしい。で、そこで女の子たちと合流する手はず。
財布持った。着替え持った。携帯持った。マンガ持った。トランプ持った。
おっと、これを忘れてはいけない。せっかく買ったしな。十六年間一回も使ったことのない男性用コロンも、スポーツバッグに詰める。
さて出発。
名言を残してくれた友よ、悪かったな。
俺は四年半で刑期を終えることにするよ。
簒奪された理想郷を、この手で取り戻すんだ!
822:名無しさん@ピンキー
07/07/20 09:39:05 T1/Rvuqw
△
上手いことを言った人がいる。
「私たちって懲役六年の刑に科せられていると思わない?」
実にそのとおりだと思うわけですよ。
中学から続くこの柊草女学園に入ってからというもの、家族・先生以外の男の人と話したこともない。
一緒の小学校に通っていた友達からは、メールやブログで「あたしの彼って超カワユクない?」なんてカキコして、散々ノロケてくる。
どうせ恋人たちのすることって、クリスマスにいちゃいちゃとか、いっしょに文化祭を見てまわったりとか、
何もない平日の昼間に『付き合って一周年記念日』という名目で学校サボって、映画館に恋愛モノを見にいったりとかするんでしょ。
……
そうですよ! とってもうらやましいですよ!
こんな感じでこの四年間半、柊草女学園に入れさせた親を少しだけ恨んでもみましたが、
転機! まさに転機とよべる事態が訪れたわけです。
823:名無しさん@ピンキー
07/07/20 09:39:58 T1/Rvuqw
私たちの所属する卓球部は、もともと県屈指の強い高校だったのだけど、それも去年まで。
なぜかというと、たくさんいた三年生はすでに引退してしまったせいだ。
今年も合宿を行いたいのだけど、残された一、二年は私を含めてわずか四人。かなり少なめ。
でもでも一年生の部員の中に、大学生のお兄さんという人がいて、なんとまあその人は天守閣高校という男子校の卓球部OB。
つまりは成り行きで、天守閣高校の男の人と合同合宿をやることになってしまったのだ。
もうすぐ駅前に集合しなくてはいけない。合宿出発の待ち合わせにね。
電車に三十分ほど揺られて、到着した駅から歩いて十五分のところが、今回の合宿場なんだって。
うぅん。まだ会ってもいない男の子に対して緊張してきた。
ちゃんとしたお話ができるかな。
824:名無しさん@ピンキー
07/07/20 09:41:02 T1/Rvuqw
▽
「おーす、トール」
全校きってのキザ野郎が、指二本を使ってシュタっとポーズを決めてくる。
慶一のいつものあいさつだ。
こいつは中高五年間のうち五回とも一緒のクラスになったというただ一人の男。
どうしてもこいつの悪遊びに付き合ってしまう俺にとったら、来年の受験シーズンには別々になって欲しいところだ。
「おうよ、神田さんと六郎は?」
「ん? まだじゃね? それよりほらこれ見てみろよ」
は? と聞き返すよりも前に慶一はポケットから何かを取り出して見せた。
ピンク色の光沢を出すその物体は……ひどく卑猥な形をしていて……
慶一が親指で操作すると、ウィーンと携帯のような振動音が聞こえてきた。
「いやあ、一週間前ほど前に通販で頼んだものなんだけどね、それが届くのが昨日の夜になっちゃって、
ちょいと焦っちゃったよ、ははは」
「いや、ちょ、おまえ……それ何に使うんだよ」
「何に使うかだってぇ? やーん、もうトール君のエッチー」
朝から妙にハイテンションな俺の親友は、事もあろうにそのピンク色を俺の股間の方に……
825:名無しさん@ピンキー
07/07/20 09:41:50 T1/Rvuqw
「や、やめろ!」
バシッとけっこう本気めに張り手をかましてやったが、それに応える様子もなく、
「うーん、この子はトール君が嫌いなみたいだね。でもいっか、女の子たちに試してあげれば♪ フフフ」
慶一の邪悪にゆがんだ笑みを見慣れた俺であったが、今日は一段と逝っちゃってる。
「トール~! 慶一~! こっち来い~~!」
校門のほうで白い乗用車がクラクションを鳴らしていた。
お、あれは神田さんじゃないか。後部座席から六郎も手を振っている。
「慶一、行くぞ」
「フフフフフ」
左手をポケットに突っ込ませたまま、右手でスポーツバッグを肩にかけている。
にたにた笑いながら、またスイッチを入れたらしく、ポケット越しからかすかに音が漏れだした。
「フフフフフフフ」
……おいおい、頼むから問題だけはおこさないでくれよ。
826:名無しさん@ピンキー
07/07/20 09:43:05 T1/Rvuqw
▽
「藤井先輩、おはようございます」
「おはよ、かなみちゃん。もう全員来ているみたいだね」
「私たち一年生。誰も先輩を待たすような人はいませんよ」
「そういわれると、なんか自分が偉くなってるみたいでヤダよう」
「いえいえ、それが部活のしきたりですから。お兄ちゃんが朝早く出かけてみたいなんで、私たちも行きましょうか」
この活舌のいい子は私の後輩―神田かなみ。
お兄ちゃんというのは天守閣のOBのこと。
合宿費用のほとんどが神田さんに払ってもらっているということだから、かなみちゃんにも申し訳ない気分になってしまう。
なにやら競馬で大当たりしたとか。
「藤井先輩! 今朝はなに食べましてんか?」
「ダイエットで食べておらへんねんったらコレおすすめっす!」
部員四人のうちの残り二人は、フミちゃんとチカちゃん。
愛らしい顔を二つ並べたこの双子は、どちらもコンビニでバイトしているだけあって新商品に詳しい。
「ふーん、どんなの?」
「へい、チカ出しな!」
「はいさ、フミちん!」
数分遅れの妹のチカちゃんはコンビニの袋の中から「わくわくばなな」と書かれた飲めるゼリーのようなものを渡してくれた。
827:名無しさん@ピンキー
07/07/20 09:44:59 T1/Rvuqw
「面白そうな飲み物だね」
「そうやっせ。ほんでから味もダイエットにも抜群だす。あたしとチカの間では只今ミリオンセラー」
「いやいや、フミちん。甘いな。バナナはんよりも甘すぎまんねん。もうギガバイトセラーやね」
「なんや、そのギガバイトっちゅーのはぁ!」
ぽこんとフミちゃんがチカちゃんの頭をはたく。
いつもこんな漫才を見せてくれる、ノリのいい双子ちゃん。
かなみちゃんともかなり仲良さげだから、一人だけ二年生の私は少しだけ残念に感じるときもある。
「藤井せんぱーい! フミチカァー! 五十一分の電車もうすぐだよー!」
「あ、かなみちゃんが呼んでる。早くしなくちゃ」
「よしチカ、はいはい! これも、はいはい!」
「え? え? フミちん?」
フミちゃんは自分の荷物をチカちゃんにすべて預けてしまった。
828:名無しさん@ピンキー
07/07/20 09:45:35 T1/Rvuqw
「よし、先輩! 遅れないように行きまっせ!」
「わ!」
手ぶらのフミちゃんは私の手を引っぱって改札口に向かっていく。
えっと……チカちゃんのこと大丈夫なのかな?
「わたいのことならべっちょないだっせ。先輩、急ぎまひょ」
あれだけ荷物を押しつけられてしまった妹のチカちゃんは、颯爽と私たちの横を駆け抜けていく。
あれ……大きなバッグ、一つしか背負ってないような……
「あー! チカ! あたしの荷物だけ置いていったなぁ!」
「フミちんが悪いんやでー」
フミちゃんにべーっと舌を出しながら、今度は空いた私の手を引っぱる。
こんな後輩たちに囲まれて、やっぱり私は幸せなのだろう。
この子たちがついているから、男の子を前にしても大丈夫なような気がしてきた。
頑張れー、私ー!
829:永遠と続く片思い男女
07/07/20 09:48:13 T1/Rvuqw
ゴメン、2chツール使い慣れてなくて、二回も上げてしまった
あとタイトルも書き忘れてた
タイトルは↑のやつです なんかいろいろ不備が多くてごめんね
830:名無しさん@ピンキー
07/07/20 10:55:00 qb2CtBfs
2ch専用ブラウザならJaneがオススメ。
スペック足りないと重いけれど、色々と楽。
あと、気になったのは「永遠と続く」。
「永遠に」か「延々と」じゃないかと……。
831:名無しさん@ピンキー
07/07/20 11:42:07 SHTAPjhx
折角の投下なんだ、感想もいってやろうぜ
GJ!期待してる
832:名無しさん@ピンキー
07/07/20 12:04:33 dhpDaX9k
「活舌」も「滑舌」かな。
ともあれ、どんなキッカケで二人きりになるか期待。
833:名無しさん@ピンキー
07/07/20 14:34:24 K4Jz3pqo
>>829
GJですた。今後に期待します。
改行多用は個人的に気になったが…。
>>832
活舌も間違いではない。
834:832
07/07/20 15:23:21 dhpDaX9k
>>833
む、失礼した。
835:名無しさん@ピンキー
07/07/20 17:01:47 KqBJdBSE
これは良いwktk
久々の神光臨にテンションが上がって参りました
836:名無しさん@ピンキー
07/07/21 08:33:38 6JfFr11N
男子校も女子高もなかなかお互いにおマヌケそうなところが好感持てる
頑張れ!
837:延々と続く片思い男女
07/07/21 11:06:53 oc4huHKW
▽
「ここが今回泊まる宿舎ね」
OBの神田さんが指差したフロントガラス越しのむこうには、青空が広がった山のてっぺんに白い建物の一部分が見えた。
「車ではここまでしか登れないから、あとは歩いていってな」
外に出てみると、ぎっしりと詰まった森の匂いが鼻腔に広がっていく。
それはもうコップ一杯分で一日の自然エネルギーが補充できるといった感じ。
お泊まり所とかかれた古ぼけた看板の隣には、年に一遍も整備されているかどうか怪しい小径の入り口がある。
だけど荷物をもって歩いても、そこまでつらくはないといった距離だ。
「さっき妹からメールが来たんだけど、もうすぐ来るってさ。じゃあ俺は帰るけど、妹たち四人よろしくな。次の大会、期待してるぜ」
「はい! 了解しました神田さん! ここまでお金を出してもらったからには、この真田慶一、必ずや全国に進出する所存であります」
慶一がびしっと敬礼をすると、神田さんは笑みを浮かべながら、ヴォンと排気音を出して去っていった。
木々のさざめきの合間に聴く野鳥の唄が心地いい。街中からたった三十分離れただけで夜空もきっと……
「さてや、トール君」
悦浸っている吟遊詩人に、悪友が声をかけてきた。ちなみに俺を君付けするときは、なにかしら変な考えを発表するときだ。
「……なんだよ」
「じゃじゃーん。これが今回の女子高生四人であります。隠し撮りに成功しました。ほら、六郎もこっち来てみ」
慶一は四枚の写真を取り出した。
お腹から頭までをしっかり長方形に収めた制服女子が、それぞれの写真に一人ずつ写っている。
838:延々と続く片思い男女
07/07/21 11:08:11 oc4huHKW
「へー、良く撮れているね」
六郎が感嘆しているが、そんなチャチなもんじゃ断じてねぇ。もっと恐ろしいものの片鱗を……
というかなんでそんなに極めて構図の良い写真が撮れるんだよ。
二メートルの距離まで近づいて、はい、ポーズをとってくださいね。とか言わなきゃ無理なレベルだろ!
「六郎は、どの子がタイプ?」
トランプのように写真を広げ、実に楽しそうに慶一が質問する。
「え……えっと、どういう意味かな?」
「好きなタイプだよ、好きな。貧乳がいい! とか、おでこがいい! とかあるっしょ」
「そういうの……よく、わかんないな……」
蚊の涙ほども穢れなき心を持つ六郎は、慶一とは天と地ほどの差がある。
まああまりにも六郎が奥手すぎるのもあるが。
変態度を偏差値五十が平均で表わしてみると、六郎はめったにいない二十台を記録するだろう。
慶一は、そうだな……鉄の融解温度までいくんじゃないか?
839:延々と続く片思い男女
07/07/21 11:09:14 oc4huHKW
「あー、六郎はウブすぎんなあ。じゃあトール! お前はどの娘よ」
マジシャンさながら扇を広げるように四枚の写真を目の前に突きつけ、俺に問う。
一番左の子、写真の右下には油性ペンでパーソナルデータっぽいものが書かれてある。
『甲田フミ、(一年)―双子の姉、大阪弁、漫才好きでボケもツッコミもいける口』、
写真を見ると健康美そうな肌色に、大きな目。ポニーテールが特徴的だ。この風景は登下校している途中かな。
次、『甲田チカ(一年)―双子の妹、同じく大阪弁、漫才好きで、姉と共にお召し上がりください』
……なんだこの説明は。写真では姉とそっくりさんだが、この子はツインテールだ。
次、『神田かなみ(一年)―OBの妹さん、可愛い、とにかく可愛い、ド本命。この垢抜けていなさそうな顔に
運動少女というステータス! これからOBのことを義兄さんと呼ばさせていただきます。(*'Д`)ハァハァ』
……間違えた、これはパーソナルデータじゃねえ。慶一の主観記事だ。まあこのショートの髪型にはそそるものもあるが。
一番右、『藤井みどり(二年、部長)―』
ここまで読んだところで、慶一が急に写真を持つ手を引っ込めた。
「ご到着なすったぜい。トールと議論を交わしたかったところだが、これ見つかるとヤバイしなあ」
ああ、左様ですか。どうせ議論っていっても、三番目の子のことを選挙運動よりもうるさく演説するだけだろ。
そしてなぜ一番重要な卓球レベルが書いていない。
あぜ道を見下ろすと、先程の写真そっくりな女の子たちが、元気良く歩いてきた。
840:延々と続く片思い男女
07/07/21 11:09:56 oc4huHKW
△
「ふぁ、疲れるね。ねえフミちゃんもチカちゃんも大丈夫?」
「私ならなんも平気っすよ」
「右におんなし」
「藤井先輩! あの人たちじゃないですか? 天守閣高校の部員さん」
「あ、そうだね……かなみちゃんも大丈夫?」
「はい! いまなら富士山にも登れる勢いですよ」
「そう、良かった……」
坂道登って十五分。ここまで体力ないとは思っていなかったが、今日は特に体が重い。別にアレな日でもないのに……
後輩を待たせて休憩を取るわけにもいかず、もう一度バッグを背負いなおして急な斜面を登っていった。
「おはようございまーす!」
上から男の人の声が聞こえてきた。身内や、先生や、テレビとかで聞きなれたはずの低音域な響きに、
私はとてつもなくドキッとした。
841:延々と続く片思い男女
07/07/21 11:10:46 oc4huHKW
「「おはようございまーす!」」
後輩たちがそろって挨拶をする。ございまーすのところだけを重ねて返事をした。
私たちは一歩一歩と近づいていき、そして彼らと合流するまでに至った。
「天守閣の卓球部部長、真田慶一です。よろしく。でこっちがトール。こっちが六郎。みんな二年生だね」
わあ! むこうの部長さんが挨拶をしてきた。ということは私も部長だから……
「柊草女学園から来ました藤井みどりといいます。この二人が甲田フミちゃんと甲田チカちゃん。
この子が神田かなみちゃん。よろしくお願いします」
ほっ、良かった。ちゃんと声に出せるではないか。
このまま無言でおたおたしてしまって、かなみちゃんにフォローなんかされてしまったら、目も当てられない。
842:延々と続く片思い男女
07/07/21 11:11:32 oc4huHKW
「(先輩っ、声小さすぎますよ)」
え!? かなみちゃ……
「彼女が柊草の部長、藤井みどりです。そしてこの双子の子は甲田フミとチカ。私が神田みなみです。兄がお世話になっております」
「へえ、神田さんの妹さんか。お兄さんに似てとってもスタイル良いね。それに素晴らしくキューティフルだ」
「え? キューティフル?」
「ああ、全く罪な人だ。あまりにもビューティフルすぎて、思わず英単語をメイキングしてしまったではないか。
どうだい? 今宵、この満天のスタースカイのなか、ヨーロッパ中のバラを買い占めて貴方に……グホアッッ!!」
「あー、ごめんね、こいつたまに独り言つぶやいたりするんだ。それじゃあ宿舎まで行こっか」
「は、はぁ……」
よし、いまだ! 今度はちゃんと目線を上げて話そう。
「あ、あの! 私が柊草女学園から来ました藤井みどりといいます!」
……あれ?
「藤井せんぱーい。もうみな行ってもうたよ」
「ファイトだす! 先輩!」
あ、あう……
843:名無しさん@ピンキー
07/07/21 11:12:52 oc4huHKW
>>830 thanks!
844:名無しさん@ピンキー
07/07/21 11:25:09 oc4huHKW
>>842 かなみちゃん……自分の名前間違えるなよ。 明らかに推敲不足です。 ちょっくら樹海で吊ってくる
845:名無しさん@ピンキー
07/07/21 12:26:50 iPGYdkEE
まあ、もちつけ。あとGJ!
846:名無しさん@ピンキー
07/07/21 14:31:17 usQBxeYv
(´・ω・`)<GJ!
(・∀・)<GJ!
847:名無しさん@ピンキー
07/07/21 14:49:06 i4CFoMkv
(゚∀゚)GJ!
部長ちょっとアホの子で可愛いな。
848:延々と続く片思い男女
07/07/23 14:56:52 qSZ/wQoR
▽
月山舎のとなりには、体育館があった。大きさは学校のそれと遜色ないほどだ。
この山はまさに合宿のための場所。他の高校からも何組かの部員が来ていて、それぞれ青春の汗を流している。
ある人たちはバスケット部。またある人たちはバトミントン部。館全体に室内スポーツの掛け声を響きわたらせる。
俺たちはこのような施設の一角にある卓球ルームで、練習に励んでいた。
いろいろな組み合わせでの一対一や、チームを作っての団体戦形式で特訓しているうちに、閉館時間である夜の八時になった。
「じゃあ、今日はここまでにしとこっか」
今の今まで奇跡的に問題を起こさなかった俺たちの部長・真田慶一の言葉に、柊草の面々もそれに同意する。
「晩御飯もあの食堂なのかな?」
「そうだな、あそこしかないしなぁ」
お昼をとった宿舎内の食堂は決して美味いとはいえなかったが、わざわざ下山するのも億劫だ。
六郎の問いかけに、俺は気だるく返事をした。
「では、三十分後に食堂に集合ということでどうでしょう?」
「うん! ほんでえーんちゃう?」
「そーやなー」
神田さんの妹さんと双子娘たちの会話の流れも加わり、やっぱり飯は食堂でとなりそうなところで、
ただ一人異論を唱えるヤツがいた。
「ちょーっと待ってい! 晩飯のことですが実はあてがあるわけです」
慶一が、あからさまな役者口調を使う。
849:延々と続く片思い男女
07/07/23 14:58:02 qSZ/wQoR
「は? まさかわざわざ山降りるのか?」
「ノンノンノン、トール君。たしか月山舎の部屋には、当然のことながらコンセントがあるよなあ」
「ああ」
「そして、俺は電気鍋と材料を持ってきた」
「ほう、つまりこんな夜遅くから料理しようというわけか?」
「早漏トールよ、早まっちゃあいけない。実はもう作ってあるわけです」
「どうやって」
「昼飯食い終わったあとにだね、部屋に戻って、野菜を切って炒めて、今はコトコト煮込んである。
あとはハヤシのルーを入れるだけさあ」
「えぇ!? ハヤシライスですか?」
不意に女の子の声が、背後から聞こえてきた。
「うん? 藤井みどりさん。どうされましたか?」
慶一の冷静な受け答えに後ろを振り返ってみると、
自分の素頓狂な発声にびっくりして、恥ずかしそうに下をうつむく女部長の姿があった。
「実はね、藤井先輩、大のハヤシライス好きなんよ」
「そやね、ハヤシライス巡行の旅とか言て、県内歩き回るほどやんね」
「おやおや、そうでしたか。では藤井みどりさん、せっかくですので食べていただけますか?」
「え……あ……はい……」
ますますうなだれる藤井さんに対し、慶一のほうはしてやったり的な笑みが見え隠れしたような気が……
850:延々と続く片思い男女
07/07/23 14:58:40 qSZ/wQoR
△
「よかったですね」
シャワー室で、短い髪の毛をわしゃわしゃとシャンプーしているかなみちゃんが、こちらに首を回してきた。
「えぇ! 何が……かな?」
「とぼけないでくださいよ先輩。ハヤシライスのことです。偶然ってあるものですね」
「そ、そうね」
「藤井先輩のあの声、とっても可愛らしかったですよ」
「もーう、かなみちゃんはいじわるだなあ」
私は、腰まで垂れた髪から水気を切って、そそくさと退散しようとすると、後ろから誰かに抱きつかれた。
「せーんぱい♪ まだ帰っちゃあかんだっせ」
「えと、なにかな? フミちゃん」
「今日はいつもとてまうて、三人の男の人たちと一緒に練習しましてんね」
チカちゃんが代わりにそう答える。
「ほんでだっせ。藤井先輩は誰が良かったんかやえなて」
「そ! そんな! まだ一日目ですし、私が誰かを好きになるとかは!」
私はある男性の顔が、頭の中を横切ってしまい、瞬間的に顔が熱くなるのを感じた。
「やーだなあ、先輩。あたしは誰が卓球上手かったか訊いただけだすのんに」
「先輩、ひっかかってやんの」
「もうっ! フミちゃんチカちゃんってば」
851:延々と続く片思い男女
07/07/23 15:00:01 qSZ/wQoR
「で、本題だすけど、やっぱり誰が好きだすのん? あたしは六郎君。チカは?」
「安牌やなあ、フミちんは。わたいは漫才向いてそいな慶一君かな。そこで聞き耳立てとるかなみは?」
「ああうん、そうだね。私は徹さんのような人がタイプですね。はい、これで三人ともいいましたよ、次は先輩の番ですね」
ええ? なんでみんなそんなに簡単に言っちゃうの?
「先輩だけ言わないのはセコだっせ、ほれ、先輩もパーっと言っちゃっとくんなはれ」
「……どうしても言わないといけない?」
「「どうしても!」」
後輩たちが強く声を揃える。
「えーとね、私は……」
何度か深呼吸して、喉から搾り出すように、
「私は……徹さんのような人が、ほんのちょっとだけ好みです……」
「「おおおっっっ!!」」
また三人が合唱する。
「そっかそっか、そうですか、これは先輩応援してあげないといけませんね」
とかなみちゃん。
「え、なんでなんで?」
かなみちゃんも徹さんのことがタイプなのでは?
852:延々と続く片思い男女
07/07/23 15:00:37 qSZ/wQoR
「実はね、藤井先輩。あたしら言うたこと、ぜーんぶ嘘だす。
あたしが六郎君、チカが慶一君、かなみが徹君と割り当てるように言うたら、先輩の本音が聞けるとちがかて思てましてん」
「作戦通りやね! フミちん!」
「ごめんなさい、先輩。フミチカにどうしてもと言われて……」
「え? それじゃあ……私だけ告白したってことになるの?」
今日は何回も頬を染めたような気がするが、そのどれにも負けないほど真っ赤になってしまった。
「あー、せんぱーい、逃げたあ」
「先輩、テラカワユス」
「先輩! 体冷えてしまってるのでもう一度シャワー浴びた方が……」
みんな、いじわるだあ。シクシク。
853:名無しさん@ピンキー
07/07/23 16:29:25 NU9lxDZ2
GJ!
先輩カワユス(´・ω・`)
854:名無しさん@ピンキー
07/07/24 18:55:25 8czYO+jC
GJ!!
855:名無しさん@ピンキー
07/07/25 01:11:39 rSDfybG+
慣れない関西弁はやめたほうがいい
・・・実際そういう関西弁があるんなら謝るが。
856:名無しさん@ピンキー
07/07/25 04:47:39 mlAFSDVs
>>855
お前さんが言う関西弁という方言は、おそらく大阪弁の事だ。
実際には神戸や京都も関西に含まれ、神戸弁や京言葉は大阪弁とは違う。
Wikipediaにおいて関西弁とされる方言は、京言葉、神戸弁、近江弁、丹波弁、舞鶴弁、船場言葉、河内弁、泉州弁、摂津弁、播州弁、奈良弁、紀州弁、淡路弁、三重弁の14種類。
これらは全て違う方言だ。
つまりそういう事。
857:名無しさん@ピンキー
07/07/25 12:02:00 iIzBPVaA
てか物語の中なんだしどうでもいいんじゃ…
858:名無しさん@ピンキー
07/07/25 13:53:04 mlAFSDVs
>>857
地元民はこだわるんだよ。
859:名無しさん@ピンキー
07/07/25 14:40:23 Zav0ssdo
たしかに、間違った方言が出てくると失笑してしまう。
860:855
07/07/25 16:53:54 rSDfybG+
関西弁が多様なのはわかる(そもそも地元民なんだからな)。
その上で>>848が多様な方言のどれにも該当しないのではないか、と言ってるんだ。
だがちょっと待って欲しい。
怪しい関西弁使うのも脳内変換次第で萌えるのではないだろうか。
861:名無しさん@ピンキー
07/07/25 17:14:53 dOYMA7VF
おkwww
862:名無しさん@ピンキー
07/07/25 18:59:12 bZ1JBuMH
さてわいも地元民なわけだが、どないな言葉使うたらええねん?
863:延々と続く片思い男女
07/07/25 19:00:41 bZ1JBuMH
▽
「そ! そんな! まだ一日目ですし、私が誰かを好きになるとかは!」
な、なんだ?
もくもくと湯気だつシャワーの栓を閉めると、同時にくぐもった女の子の声が耳に入ってきた。
となりから? あの声は……
俺たち男がシャワールームにいるということは、やはり女の子も同じく汗を流そうとしているわけで、
仮に薄壁一枚で仕切りをしているのであれば、向こうからの発する音がこちらまで駄々漏れてもてんで不思議ではない。
で、詰まるところ、藤井みどりさん本人の声だと判断できるほど明瞭に聞き取ることができ、
俺にとって柊草四人中一番好感の持ったその子がさっきのような台詞を口に出すから、
希念と緊張の思いで蛇口の栓から手を離すことができないでいるほどだ。
ちなみに運良く慶一はいない。あいつがいた場合には、もうこの会話を最近刻々と良質になってきている携帯の録音機能で盗聴し、
連続再生可能のメディアプレイヤーを耳元に置いて、寝てから起きるまでずっとかけっぱでいるだろう。
いや、あの変態なら、盗撮ぐらいはするか?
右手には六郎がいるが、たぶん彼には恋沙汰の話しなどフランス・ブルターニュ地方のブルトン語よりも理解できないに違いない。
まるで気にすることなく体を洗っている。
向こうからのシャワー音も交じるが、俺は耳の穴をかっぽじって集中した。
「で、本題ですけど、やっぱり誰が好きですの? あたしは六郎君。チカは?」
おお! さっそく本題ですか! この声は双子ちゃんか? で、六郎君が好きですと。良かったなあ六郎。
864:延々と続く片思い男女
07/07/25 19:01:40 bZ1JBuMH
「安牌やなあ、フミちんは。わたいは漫才向いてそうな慶一君かな。そこで聞き耳立ててるかなみは?」
双子ちゃんのもう一人の子だ。慶一が好き!? ……やめとけとは言わない。
どうせ明日になったら嫌悪の対象になっているだろうから。
「ああうん、そうだね。私は徹さんのような人がタイプですね。はい、これで三人ともいいましたよ、次は先輩の番ですね」
え? ……お、オオオオオオオオ俺!? いい、今のって神田かなみさんだよなあ。
そっか、俺か……そっか、そっか……ヘヘ、そっか。
「先輩だけ言わないのはズルですよ、ほれ、先輩もパーっと言っちゃってください」
「……どうしても言わないといけない?」
「「どうしても!」」
藤井みどりさんの番だ。俺も一緒に「どうしても!」と口を動かす。
「えーとね、私は……」
うんうん、私は?
ジャァァーーーーー!
思いもかけず、いきなりの濁流音が聴覚を奪った。
もう素ん晴らしいタイミングで、六郎がせっけんの泡の洗い落としを開始したのだ。
六郎~~、そりゃねーよ。
あとから考えてみれば、有無も言わさずにシャワーを止めてやればよかったんだが、
このときは必死になってとなりからの音を拾おうとしていた。まるでWiiで行なう卓球の練習のように無駄であったが。
865:延々と続く片思い男女
07/07/25 19:02:27 bZ1JBuMH
△
香ばしいドミグラスソースの匂いが漂ってきた。
デミグラスソースではなくて、正しくはドミグラスソースというのですよ、
なんて語ると、「ホントに先輩ってハヤシライスのことになると饒舌になるんですね」とからかわれてしまうので、
できるだけハヤシ知識は隠すようにしておこう。
「ほーい、できましたよーん」
201号室の男部屋で作られたハヤシライスは、いまちょうどお皿に盛り付けられようとしている。
「トントントン、あーけーてー」
向かいの203号室―女部屋から着替えの準備をしてきたフミちゃんがドアをノックする。
なかなか防犯意識の高いことで、月山舎の各部屋にはオートロックが設置してあり、
一度ドアを閉めると、鍵を持っているか、中の人から開けてもらわなくては入れない。
私がドアを開けに行く。
「はい、フミちゃん」
これで201号室に七人がそろった。フミちゃんはくんくんと鼻を鳴らし、とびっきりの笑顔になる。
866:延々と続く片思い男女
07/07/25 19:03:23 bZ1JBuMH
「あー、じゃあみんな、鍋を囲んでー」
振りかえると徹さんがみんなに合図を送っていた。
ふぁあ、なんでだろう? 練習中はそこまでではなかったのに、意識しちゃったからなのかな、お顔もまともに見られない。
「うお! トール、もうみんなに皿を配ったのか?」
「おう、それがどうかしたのか?」
「え……ああいや、ご飯の量の大小とか気をつけようと思って」
「足りなきゃまだおかわりはあるだろう、多けりゃ残せばいいし」
「う……どれがどれだか分かんねえ」
「なにを言っているんだ?」
みんなが鍋の周りに集まって、輪になろうとしている。
徹さんは左どなりの慶一さんとお話をしているけど、右どなりは、右どなりには……誰もいない。
「藤井せんぱーい、席はもちろんあそこやろ」
「そうやね、はいはい行った行った」
ええ!? 私だけに聞こえるようにフミちゃんチカちゃんが呟き、それの意味するところに胸がキュウンと鳴らされる。
息も心なし苦しくなったような。どうしてこの子たちは他人の恋バナがすきなんだろ。
867:延々と続く片思い男女
07/07/25 19:04:19 bZ1JBuMH
「先輩が行かないのでしたら、私が座りますよ~」
「……!」
まだ輪に加わっていないかなみちゃんの言葉に、またまた胸が締め付けられた。でもさっきとは違ってなんとなく嫌な感じで。
「かなみ、先輩にいけずしちゃあかんよ」
「イジメ、かっこ悪い」
「冗談ですよ、先輩」
私は急かされるまま、フラつかないようにしっかりとした足取りという気で、でもやっぱり少しフラつきながら、
徹さんのとなりに座った。
「じゃ、じゃあ食べよっか」
全員が鍋を囲んだところで、徹さんの号令のもと、遅い夕食会がはじまったのでした。
868:延々と続く片思い男女
07/07/25 19:05:15 bZ1JBuMH
▽
フワっときた。急にフワっときた。ハヤシライスに屈しないほどシャワー上がりの女の子の芳気が、
目に見えるほどの侵攻力を持って俺の鼻を陥落させたのだ。
「じゃ、じゃあ食べよっか」
あんまりの不意打ちに思わずキョドってしまい舌噛んだ。そしてその恥をごまかすように先陣切ってみる。
俺が食べると同時にみんなも競うばかり、というほどでもないが、各自スプーンを動かし始めた。
厳しい練習で、おなか空いていることだしな。
あれ?
「おい慶一、食べないのか?」
「え? ああ、うん、まあ、その、そう。こうも美味しそうに料理ができるとね、なんか食べるのがもったいないなーって」
「そうか? 自信作なのは分かったから、お前も食えよ。ウマいぜ。」
「……そだな」
そして、若干の沈黙をおいたあと、
「札幌ドーム!」
と毎日三十時間考えても解けないような叫びをシグナルとして、猛烈にメシを掻きこみ始めた。
左にいるこんなバカ野郎はほっといて、鍋越しの正面に目を向けると、双子ちゃんたちが六郎相手に漫才をしているのが見えた。
彼女たちの会話は非常にテンポが良く、まるで言葉というピンポン玉を使って、
愛ちゃんもびっくりのスーパーラリーを打ち合っているように感じる。六郎もまた目を丸くして、そのリズムに聴き入っている。
たしかどっちかは、六郎のことが好きなんだったな。がんばれ。
869:延々と続く片思い男女
07/07/25 19:06:05 bZ1JBuMH
続いて、もひとつ右。こんな俺に対して興味津津であられる神田かなみちゃんが、とても礼儀良く正座して双子漫才をたしなめている。
もう一度言う。俺のことがとっても大好きなかなみちゃんはなぜか向こう側を向いている。なんでだろう?
たまにちらちらとでもこちらを気にしてくれるのだったら嬉しいのだが、漫才に集中しているんだったら仕方がないか。ちょいと残念。
さらに右には、我が麗しの藤井みどりさんが……なんかお皿とにらめっこするように下を向いて食べている。
そうだった、ハヤシライスが好きなんだったな。これが慶一の策略だというのは考えすぎだろうか?
まあいい。せっかくのチャンスなんだし、話しかけてみよう。
「藤井さんってどうしてハヤシライスが好きなんですか?」
「へ、はッ、ヒャウ!? け、けほっ、けほっ」
「あ、ごめんごめん」
急に話しかけてしまったせいなのだろう。咳きこむ藤井みどりさんに水を差し出す。
「ンッ、ンッ、ンッ、くふぅ。……ふぅ。あの、ありがとうございます……徹さん」
「気にしなくていいよ。それより藤井さんって、俺のことを名前で呼ぶんだね」
「ひゃあ、いえ、それはっ違います、いえ、違うというのは違うという意味ではなくて、その、苗字は教えてもらっていないから……」
「そうだっけ? うーん……じゃあこうしよっか、俺も藤井さんのことみどりさんって言っていい?」
「はうあッ! はひ! はい、構いません。いいですよ。大丈夫です」
あれ? 俺ってそんな怒ったような口調をしているかな? なぜだか怖がっているように見える。表情がおっかないからかもしれない。
努めて笑顔で優しい言葉をかけても、スプーンを口に含ませて、ますますとしなだれるような格好をさせてしまう。
ごくたまに気遣いからか、目を合わせてくれるも、サッと伏してしまう。
その上目使いとても可愛いのになあ、本当に嫌われているのかな……ショックだ。
870:延々と続く片思い男女
07/07/25 19:06:50 bZ1JBuMH
こっちからのほぼ一方的な会話がそろそろ途切れようかとするところで、いとらうたしかな。とんでもないことを質問してきてくれた。
「と! 徹さんって素敵ですよね! 彼女とかいるんですか?」
え? それってどういう……
しかし、発言の意味を百パーセント理解する前に、とんでも迷惑野郎が突如として喚きはじめた。
「おう、キタぜパトラッシュ。エキセントリックな掉尾を飾る予定だったが、いちごパンツ(1582)で最早これまで。
チャーミングなショートヘアーが霞んで見えてきたぞよ。そんな貴方は明眸皓歯。そんな拙者は月下氷人。
そして意識はメルトダウン。みせろかがせろさわらせろ……」
こういい残し、慶一は豪快にも音をたてて仰向けに倒れた。今のは辞世の句なのか? 長いしムズいし覚えにくい。
最後の一フレーズしか聞き取れなかったぞ。
気づいたら、正面の三人も寝ていた。双子ちゃんと六郎が川の字になって。
871:延々と続く片思い男女
07/07/25 19:07:38 bZ1JBuMH
「先輩……私も部活の練習で疲れたみたいです。ちょっと向こうの部屋で休、み、ま……」
立とうとするものの、全く体に力が入らないみたいで膝から崩れ落ちるかなみちゃん。
なんかおかしい。そしておかしいと感じる初源の理は、そこでべそかいてぶっ倒れているこの変態だと判断、断定。
大方このハヤシライスのいくつかに眠り薬でも仕込んだのだろう。
「みどりさんは平気?」
「う、うん。ちょっと気だるい感じがするだけ」
そういっておぼつかない足取りで、201号室を出ようとする。
「私、部屋で休むね……」
俺ははっきりとした意識があるから、おそらくはハズレだったのだろうけど、みどりさんの皿を見ると食している量が少ない。
なので薬が入っていたかどうかは確認できなかった。
さりとてもし薬が入ってたとすると、急に倒れることになってしまうかもしれない。
俺は急いでみどりさんを追った。
872:名無しさん@ピンキー
07/07/25 19:08:18 bZ1JBuMH
↓こっからずっと俺のターン!↓
873:名無しさん@ピンキー
07/07/25 20:53:41 PIPR2i4W
↑ここまでお前のターン↑
874:名無しさん@ピンキー
07/07/25 21:04:56 bZ1JBuMH
>>873
あ、ごめん。そういう意味じゃなくて、
みどりちゃんが気を失うので、主人公がずっと続きますよってことです。
まぎらわしいな、この書き方かと
875:名無しさん@ピンキー
07/07/25 21:37:15 iIzBPVaA
ワロスwww
876:名無しさん@ピンキー
07/07/25 22:54:04 a7b4ouCP
札幌ドームwwwwwwwwwww
877:名無しさん@ピンキー
07/07/26 12:33:26 EeZm8OaR
GJ!
そろそろ本番フラグwktk
>>872-873
この流れ吹いたwww
878:名無しさん@ピンキー
07/07/27 15:41:38 EkOUgvb9
良スレage
879:名無しさん@ピンキー
07/07/28 12:56:29 x9inJUH3
ほ
880:名無しさん@ピンキー
07/07/28 22:40:24 H1o/blrY
ニャ━━ヽ(゚∀゚)ノ━━ン!!
881:名無しさん@ピンキー
07/07/28 23:48:02 x9inJUH3
続きwktk
882:延々と続く片思い男女
07/07/30 15:44:19 qyxHwqkY
△
あれ? 私、どうしたんだろ?
クーラー結構利いているはずだけど、体が熱くほてる。
首元から嫌な汗が流れてきて、呼吸も荒くなってきている。
まるで体の全ての器官から酸素を欲しているような感覚が、全身を包む。
心拍音も聞こえてきた。もうダメ、つらいかも。
「私、部屋で休むね……」
頭と視界がふやけて、よろよろになる。お酒飲んだことないけど、酔うっていうのはきっとこういう気分なんだろう。
201号室を出る。真正面の203号室のドアノブを引っぱる。あれ、開かない。
そうだ、鍵、鍵。たしかポケットの中に……
「みどりさん、ふらついているけど大丈夫? とっとっと、うわあ!」
意識が朦朧としていて、どうやら私の体は力なく倒れようとしていたらしい。後ろから声をかけてくれた誰かが支えてくれた。
「あっ、ありがとうございます」
手短にそう告げて、助けてくれた顔を確かめようと目線を上げてみる。
ぼんやりとした目に映えだしたのは、さっきまでいろいろ話しかけてくれた徹さんだった。
―徹さん!
883:延々と続く片思い男女
07/07/30 15:44:57 qyxHwqkY
なんだかよくわからない。人に対してこんな気持ちになったことは生まれてから一度もない感情。
「…………!」
しゃべろうとしたけど声は出せなかった。ううん、話しかける内容すらも混乱していてよく分からない。考えることができていない。
じゃあ私は何をしているかというと、どうしようもなく気持ちのいい衝撃と、
それをうまく扱えないでいる切なさが胸に集まってきて、ただ瞳を潤ませているだけ。
「ちょ、ちょ、みどりさんホントに目がトローンとしてきてるけど、マジ大丈夫なん?」
「…………」
「とりあえず、部屋で休ませないと……うおっ、しくった。こっち側のドア、閉まっちゃってるじゃん。
オートロックうぜーなぁ。みどりさんの方の部屋は鍵ある?」
「…………」
884:延々と続く片思い男女
07/07/30 15:45:36 qyxHwqkY
▽
何度か問いかけても、はぁはぁという息使いだけ。
他のみんなと症状が違うことに俺はあせった。
「ごめんねみどりさん。すこしだけ鍵を探させてもらうね」
決して広いとはいえない宿舎の廊下にて、壁に背を預けて座らせている。
Tシャツと長めのスカートを穿くみどりさんに対し鍵のありそうなポジションを見つけようとした。
ちなみにヤラシイ目つきでではない。そう、バファリンに含有するやさしさの割合ほどしか、卑猥な視線を送っていないつもりだ。
もし鍵を持っているとするならば、おそらくはスカートのポケットだろう。
っていってもスカートのどこにポケットがあるかなんて、てんで予想つかない。
とりあえず両腰に手を当ててみる。
「ひぁ……んっ」
みどりさんが腰をひねった。いやいや変なところを触ろうとしたわけではありませんよ。
あくまで両腰。骨盤のところを軽く触っただけです。って俺は誰に言い訳しているんだ?
天井には十メートルおきにダウンライトが並んでおり、その明るさはというと、
極端に顔を近づけないと表情が判別できないほど、蒼然たる暗色に閉ざされている。
みどりさんは苦しそうに胸を上下させているが、かといって顔を覗き込むことも、これ以上下半身をまさぐることも申し訳ない。
フロントまでスペアをもらいに行こうともしたが、夜遅いこともあり、
取りに行ったけどなかった。 次は一時間後に取りに行くです。いやいや一時間後じゃまたフロントに人いないって。
こうしてまた、201と203の両部屋の間で途方にくれていたが、いつまでも佇んではおれず、俺は一大決心をした。
885:延々と続く片思い男女
07/07/30 15:46:12 qyxHwqkY
「みどりさん、体起こすよ」
鍵を見つけるために、みどりさんを持ち上げた。
見た目軽そうな女の子でも、全身力が抜け切っているので、後ろからお腹に手を回して抱きつかなくては力不足だ。
ぬおっ。
匂いとは恐ろしいもので、至近距離でみどりさんの香りを嗅ぐと、なんとも不埒な気分になってくる。
けれども俺はMPの半分ほど使って、いきり立とうとする一物をしずめた。
「えーっと、ここかな?」
後ろポケットをさわると鍵らしい物体があった。引き抜く。
鍵なんかじゃなく、女子高生のヒップを思いっきり握り締めたい衝動に駆られたが、
そこもやはり残り半分のMPを駆使して思いとどまる。MP0。たぶん次はない。
「よっしゃあ、開いたー!」
慶一がどんな薬を使ったかは知らないが、命を奪うようなことはないだろう。
俺にできることといったら、後はみどりさんをベッドに寝かせてあげることぐらいだ。
ふぅ、いろいろ疲れた。じゃあ俺も変な気が起こらないうちに、寝るとするか。
886:延々と続く片思い男女
07/07/30 15:47:06 qyxHwqkY
△
徹さん、徹さん、私おかしくなっちゃたのかな?
抱き上げられたりして徹さんと触った場所が痺れたように熱いよ。
年頃になってからは男の子に接する機会はなかったけど、おそらくこの感情は……ドラマや小説で言うところの……恋、かな。
わかんない。わかんないけど、徹さんにもっとさわってほしかった。ペタペタって。
恋する乙女というのはものすごいって聞くけど、こんなに気が高ぶるものなんだ。へぇ~。
徹さん、もう寝ちゃったのかな? もっともっといろんなお話がしたかったな。
そしていろいろなところをペタペタさわってもらって。
ああっ! 私、とってもエッチなこと考えているけど、これが恋なんだよね。普通なんだよね。
もし私に歩く力があれば、今すぐに徹さんのとこまで行って、キスしたいよう、唇を押し付けたい。
あ、でもダメだよね。徹さんの気持ちを聞かないで、勝手なことをしちゃ。
……でもでもでも想像の中ならちょっとはいいかなぁ~なんて。
私が寝ているベッドまで徹さんが寄ってくる想像をしてみた。電気が消えていてよくわからないけど、きっと優しい表情だ。
徹さんは私の上布団に乗っかる。両膝で私の腰を挟み込む形にして。
体重の重心はかかっていないけど、布団の張りによってちょっぴり拘束された気分になる。
布団からは頭しか出ていなかったが、その頭を目掛けて唐突にキスされた。
洋物の映画に出てくるような、深い深い口付け。空想上なのに唾液があふれてくる。それを彼のだと思って呑みこむ。ごっくん。
次は、肩から胸にかけて手を這わせてきた。布団の上からだけど、ぞくぞくっとする快感に身が爆ぜる。
私は、大きい胸が好き? と訊いてみる。彼は、みどりの胸が好き。と答えてくれる。
887:延々と続く片思い男女
07/07/30 15:48:06 qyxHwqkY
マッサージのように何回か揉まれていると、急に手が止まった。彼は数秒考える仕草を見せると、突然ベッドから降りてしまった。
どうしたの? と一言かけると、その言葉にすれ違うようにして、彼は足元から布団にもぐりこんできた。
足の裏をこちょこちょとかいて、厭らしくも股を広がせてきた。
私はちょっとだけ抵抗するけど、その曖昧な行動に彼は愛おしそうに笑う。
彼の両手は、私の両足からゆっくりと上ってくる。つまさき、かかと、すね、ひざ、もも。じらすように上ってくる。
両足の合流地点まできて、私はぎゅっと目をつぶったが、彼は嘲るように女性の一番大切な部分を通過し、さらに進んでいった。
Tシャツに手を入りこませて、胸までたどり着く。そして上手にブラをはずされる。
888:延々と続く片思い男女
07/07/30 15:48:50 qyxHwqkY
足から胸まで彼の触れたところは、魔法のように熱を帯びている。
彼は、もうすでに尖ってしまっている私の乳首を捻じりながら、ひょっこり頭を出してきた。
無意識に私は赤くなる。けどずるい。彼はとても澄ました顔だ。プイっと顔を横にそらすと、ほほにキスされた。
彼は……その、男の人のソレを、ショーツ越しの私の股間にあてがった。
強く強くおしつけてきて、上下運動を始める。実際にこういう行為はしたことがないけど、本能で知っているのかな。
右手で股に照準をあわせて擦り、想像とあわせる。
「…………ん……ぁ、ふぅん……」
声が漏れてびっくりした。信じられない。こんなに気持ちのいいものなんだって知らなかった。
「ふぁ……あ…………ああんっ」
指にめいいっぱい力を込める。全身に不思議な灼熱がこみ上げてきた。
「ひゃぁ、はぁ……ああっ……はああ!」
な、なにか変。その温度がとどまるところをしらずに上昇していく。
「はっ、はあ、ん、ああああっ、ひゃああぁぁぁ、ふぁああああああああ!」
…………
…………
……初恋って、気持ちいい……
889:名無しさん@ピンキー
07/07/30 15:51:35 qyxHwqkY
旅行いっていて、更新できませんでした。スイマセソ
その旅行中に媚薬ねた考え付いて、ずっと俺のターンは変更しました。
890:名無しさん@ピンキー
07/07/30 21:02:56 hMx1618R
>>889
GJ!
あの迷惑馬鹿野郎は何入れてんだよwww
891:名無しさん@ピンキー
07/08/03 21:25:31 cn/Smx2p
work taker
892:名無しさん@ピンキー
07/08/04 03:36:15 tmwIrn1Z
適当な横文字を力みながら言うとジョジョっぽくなる。
というワケで試してみよう。
サンッハイッ!
ワ ー ク ・ テ イ カ ァ ァ ア ッ !
893:名無しさん@ピンキー
07/08/04 07:40:01 oHHNpeto
仕事を取っていくのだな。
移民問題みたいだ。
894:名無しさん@ピンキー
07/08/04 23:22:35 d7rA5fnw
倭阿琥帝禍ァァァァァァァ!
895:名無しさん@ピンキー
07/08/05 15:46:31 VnIUkW3J
アヴェ! シィィンッ ヅォウッッ!
896:延々と続く片思い男女
07/08/06 14:38:57 nSJsXPPf
▽
ハヤシライスを食ってから、歯も磨かずにベッドに入った。
着飾りとしてはいいが、寝転んでみると分かる刺繍の部分がやけにゴワゴワして鬱陶しいTシャツを床に脱ぎ捨てる。
Gパンも同じ理由で今は穿いていない。
合宿といったら寝るのには敷布団と相場が決まっているのだが、ここは違う。
一部屋には四つのベッドが並べられ、分厚く高級そうなカーテンをめくると、部屋の半分ほどもある小奇麗なベランダがあった。
眼下にはどこまでも続く黒い森が広がっている。
そんな、もう宿舎どころかホテル並みだろという月山舎には、もしかしたら使い捨て歯ブラシも備え付けられていたかもしれない。
でも、もういいや。寝る。
「ひゃぁ、はぁ……ああっ……はああ!」
いきなり聞こえてきた。
みどりさんの息遣い、というよりもすでに喘ぎ声が、だ。
おいおい慶一。お前、何を入れてくれたんだよ。睡眠薬といっても一応『薬』なんだからな。
人によってはアレルギー発作とか引き起こしかねないだろ。
「はっ、はあ、ん、ああああっ、ひゃああぁぁぁ、ふぁああああああああ!」
ん、ん? いや、やばいんじゃないか? うなされているだけじゃないだろ。ちょっと確認しとこう。
トランクス一枚しか身に着けていないが、この暗がりならまあいい。
897:延々と続く片思い男女
07/08/06 14:39:49 nSJsXPPf
俺はみどりさんのベッドの近くまで来て、様子をうかがった。
さっきまで全速力で走った後のようなひどく荒い息をしていて、少し不安になった。
熱を測ろうと額に手をのせてやる。
……うん、自分の体温とは違いが分かるほどに熱かった。……マジ、どうしよう……
医者でもナースでもない俺は、この緊急事態にほとほと困り果てていると、みどりさんが意識を取り戻したみたいだ。
目を凝らすと、うっすらと俺を見つめるみどりさんの瞳があった。
「徹さん……?」
「みどりさん、大丈夫ですか!?」
うつろうつろと目線が揺れているが、的確に俺の顔を捕らえているのがなんとなく分かる。
「徹さん、もう一回ですかぁ? うれしいです」
う、うん? 何がもう一回なんですか。
のんびりとした彼女の口調に、意味がよく掴み取れない。
「今度は……中にお願いしますね」
え? さっぱり分からん。夢の続きと勘違いしているのかな?
みどりさんは縋りつくようにして右手を伸ばしてきた。では、と手を握ってやる。柔らかな手のひらと指には、汗かなにかで濡れていた。
かわいいなあ。こんな娘を彼女にして、ホテルの一室でガンガンと俺の欲望をぶちまけ……っていかんいかん。
みどりさんの体調確認が急務だ。
898:延々と続く片思い男女
07/08/06 14:40:29 nSJsXPPf
「とりあえず、電気つけますね」
「ぁ……ふぅん、電気は、だめ……恥ずかしいです」
そ、そうか。で、じゃあ、俺はどうしたらいいんだ?
「もう一回、キスしてくださぁい」
キ! キ! キスですか!? キスというとあれですか? 男と女の唇を重ねたり嘗めたり突っついたりするあれですか?
って俺はなに純情ボーイを振舞っているんだ! 妄想の中じゃあもっと鬼畜なことをかましているだろう。
生まれてきてから十七年間、はじめて女の子にそんなこと言われたからって、
ドキドキする年齢でもないし。中学生かよ俺は! あードキドキする!!
ん? ちょっと待て。もう一回? もう一回って何がもう一回なんだ?
キスか? キスだよなあ。俺はしてねえぞ。さっきまでベッドで寝転んでいたし。っていうと何だ?
夢の中の誰かとみどりさんはキスしていたのか? なんだそれ。みどりは俺の嫁。じゃなくて、みどりさんにそんな不埒な行為をするのは、
なんてうらやま……えーっとどっちだっけ? あぁ、うらやましいでも合っているのか。……じゃなくて、ユ・ル・セ・ン!
はぁ……そっか、みどりさんには想い人がいたということか……残念賞!
うぅ、つらい……つらいってもんじゃねーよ。胸の中身をえぐられて鼻の穴につめ込まれた方が、まだましだ。サヨナラ、俺の初恋……
あれから、なんかみどりさんは大丈夫そうなので、俺はベッドに戻った。たぶん泣きながら。
899:延々と続く片思い男女
07/08/06 14:41:17 nSJsXPPf
△
「かなみちゃんは、何ともない?」
「はい、私は平気です。少しだけ頭が重たいですが、部活動に支障が出るほどではありません」
「そう、無理のないようにしてね。フミちゃんとチカちゃんは?」
「問題あらへんよ」
「平気っす、先輩」
二日目、朝。
慶一さんが言うには、タマネギから出る硫化アリルが集団食中毒を引き起こしたらしい。
タマネギを多く入れすぎちゃってゴメンって言っていた。
医学的なことはよく知らないけど、そんなこともあるんだ。今度ハヤシライスを食べるときには気をつけなくっちゃ。
昨晩は私も食中毒に当たってしまって、食後のことはあまり覚えていない。でも、徹さんが私の介護をしてくれたことは分かっている。
そして、そのあと……とってもエッチなことをしたような気がして……それが夢か現実かも分別できないほど混乱していて……
まともに徹さんの顔も見られない。
そして今、私は、誰にも、どんな物にも触れることができない。だって触ってしまうと……
「おう、トール。お前は平気だったんだってな」
「ああ、そのことで慶一には厳しく詰問したいところなんだが」
「それは、合宿後にしてくれ。ところで当たりくじを引いたのは誰だったんだ?」
「なんだ? 当たりくじって」
「それはだな、ネットオークションで仕入れた―だよ。」
「はぁ? そんなはんざ……」
900:延々と続く片思い男女
07/08/06 14:42:31 nSJsXPPf
「おーと、シャラープ。俺もお前でもないということは、六郎と女の子四人のうちの一人。
女の子に当たる確立は五分の四、イチローの倍以上の打率だぜ」
「それで、その当たりくじを引くとどうなるんだ?」
「ようつべでその参考動画を見たんだが、それはヤバイね。男女問わずもう出しまくり、吹きまくり、感じまくり。
そしてその感覚は一週間消えることはない。ほらトールも覚えているだろう、一学期期末テストのとき。
試験勉強中にちょっとだけ試しに嘗めてみたんだが、そしたらテスト期間はずっと起ちっぱなしでヤバかったさ」
「ああ、静かな教室でお前だけ奇声を発していたな。よく覚えている。何度か注意されていたしな」
「いやいや、あれはわざとやったんじゃなくて、ホント火照りが体内を駆け巡っていて大変だったのさ。
もう窓からお前ら男共を投げ捨てて、すぐさま自慰に耽りたいぐらいに」
「そっか」
「そうだ」
「……」
「……」
「で、それが五人のうちの誰かと」
「そうだ」
廊下にいる徹さんの声を耳をそばだてて聴く。英語のヒアリングよりも集中していると思う。
男の方に甘美な声といったら失礼かもしれないけど、徹さんから出る甘く麗しい音を聴いていると、強く抱擁されたい気持ちになってくる。
でも今はダメ。今、その広い胸に入ってしまうと、とんでもなく自我が壊れてしまいそう。
その、昨晩から体調がおかしいせいで、変なことばっかり想像しちゃう。これじゃダメ。もっと一般的な男女の付き合いを考えてみよう。
一般的といったら、やっぱり駅前でデートなのかな。私は散々悩んでおしゃれな服を着ていく。
待ち合わせ場所にはもうすでに彼がいて、私は、待った? と声をかける。徹さんは静かに首を振り、私と手を重ねて歩こうとする……
901:延々と続く片思い男女
07/08/06 14:43:10 nSJsXPPf
う、うわぁ、これはすごい。私がこんなことをするなんて信じられないよう。だ、だって隣がかなみちゃんとかではなく、徹さんですよ!?
ふひゃ? ニヤケた顔が止まらないよう。こんな顔、誰にも見せられない。止まってー、止まってー、私の顔!
あれ? なんかみんな体育館に行っちゃったのかな? 人の気配がしない。
「藤井先輩、ずっとうつむいていますけど大丈夫ですか?」
あ、かなみちゃんの声が聞こえた。
「もうみんな練習場に行っていますけど、先輩はどうされます? 具合が悪いのでしたら、お休みになられたほうが……」
といって、私の背中を撫でる。
「ヒャンッ!!」
「ご、ごめんなさい……先……輩?」
「あ、あ、ううん平気だから! 先に行っていて、かなみちゃん!」
「……はい、わかりました」
かなみちゃんは不安そうな声質で、ここ、203部屋から出て行った。
今度こそ部屋の中には誰もいなくなる。
触られた背中は熱く痺れてくる。
痛みではなくて、もっともっと摩擦したくなる感じで。
「はぁ、私、こーゆーこといつもはしないのに……」
部屋の鍵を確認してから、今朝方まで眠っていたベッドに潜りこんだ。
頭まで上布団をかぶると、すごい淫臭がした。
「体が、疼くから、仕方ないよね」
今日だけで何度目になるか分からないけど、私は再び体をまさぐり始めた。もちろん徹さんを想って。
902:名無しさん@ピンキー
07/08/06 14:50:34 nSJsXPPf
一日目の不可抗力は「オートロック」で、
二日目はたぶん「黒い森」になりそうです。
903:名無しさん@ピンキー
07/08/06 17:28:54 02t7sWN/
GJ!
おお!なんと本番が二回もあるのですか?
904:名無しさん@ピンキー
07/08/06 17:46:04 XUsDVF7N
GJ!
しかし、何故トランクス一丁なのに電気をつけようとしたんだ!?
905:名無しさん@ピンキー
07/08/07 07:38:13 m/C4W5m6
age
906:名無しさん@ピンキー
07/08/07 13:51:44 KHijCWHe
>>904
電気つける前にシャツ着るのではないか?
まぁそのまま電気つけたほうがいろいろ盛り上がるが
907:名無しさん@ピンキー
07/08/09 08:53:32 YoPcTW1M
流れ仏契りだが、そろそろ新スレ立てないとな>>908
908:名無しさん@ピンキー
07/08/09 19:45:51 3e0xOZll
このペースなら
950が立てれば問題なし
というわけで>>950
909:名無しさん@ピンキー
07/08/09 22:25:46 DaAjkahX
>>908
>>950はちょっと早くないか?
あまり早く立てすぎても残りの容量持て余すと思うが。
480KBか、レス数が980越えたあたりで十分だろう。
910:名無しさん@ピンキー
07/08/11 12:32:46 8Yhpul9l
ほ
911:名無しさん@ピンキー
07/08/11 14:28:16 WhQFAVPg
っ
912:名無しさん@ピンキー
07/08/11 14:35:59 Aby6fEbS
け
913:名無しさん@ピンキー
07/08/11 14:39:19 8Yhpul9l
の
914:名無しさん@ピンキー
07/08/11 15:05:06 KXM0JTVq
干
915:名無しさん@ピンキー
07/08/11 15:18:24 UPY3p4Im
物
916:名無しさん@ピンキー
07/08/11 17:05:45 q9bCJwUL
ワロスwwwww
917:名無しさん@ピンキー
07/08/11 17:28:30 gEMWye2r
そういや保管庫どうするよ?
せっかくこんなに投下があったのに、このまま消えるのは勿体ない
まあ作者の許可いるし大変だがな
918:名無しさん@ピンキー
07/08/11 17:39:59 O+nqFXpT
ほしいし作れるならやりたいけど作れない
っくやしい・・・ビクンビクン
けっこう更新とか大変だから携帯の俺には無理なんだよな
うまいこと誰か出てこないものかね。
まあ都合よすぎか。
いつか保管庫ができることを願って保守
919:名無しさん@ピンキー
07/08/11 18:54:37 8DP2Fkdk
うん? じゃあ俺が突くっていいのかな?
920:名無しさん@ピンキー
07/08/11 20:37:09 xr8d2M4X
>>919
頼んだ。
921:名無しさん@ピンキー
07/08/11 21:17:47 aADuEQxG
>>919
まあ、投げ出さないようがんばってww
922:名無しさん@ピンキー
07/08/11 22:26:32 hwx70Pzy
>>919
>>突くって
実に相応しい変換ミス、その意気や良し!
923:名無しさん@ピンキー
07/08/11 22:50:48 G29kNcVV
「お願い…突くって…」
エロいな
924:名無しさん@ピンキー
07/08/11 23:16:01 8d4F0MfJ
>>918
うまいよね^^
925:919
07/08/12 00:38:34 lKkjinsz
いま突きまくっている最中なんだが、
このスレ、未完が多くね?
どうする? それも載せたほうがいい?
926:名無しさん@ピンキー
07/08/12 00:43:49 JXKlIBD8
入れたほうが色々といいと思う
927:名無しさん@ピンキー
07/08/12 09:50:50 XID9fJJp
>>925
補完しろ。
保管じゃなくて補完しろ。
928:名無しさん@ピンキー
07/08/12 12:18:18 exvrSRZH
昨日このスレ見つけた。
おレ的に後日談が欲しい。雪山 とか mori~♪ とか。
今は脳内補完でしのいでいるが、正直しんどい…
929:名無しさん@ピンキー
07/08/12 13:47:13 ffB6bZPr
>>910->>915
ちょwwww
>>917
どっかのwiki借りたら住人全員で作業できるが
930:名無しさん@ピンキー
07/08/12 20:32:33 EyGnx30b
わかるウィキなら手伝う気マンマンだぜー
931:名無しさん@ピンキー
07/08/12 20:41:31 UzCZ5Phv
>>919が作ってるんじゃないのかい?
932:名無しさん@ピンキー
07/08/13 12:15:31 3xkTY2wW
ウィキなら借りてきさえすれば、後は住人総出でかかれば一瞬で構築できるんだがなぁ
URLマダー?
933:名無しさん@ピンキー
07/08/13 13:46:43 brMvHXR/
じゃあ@wiki借りてくる。
ちょっと待ってろ。
934:名無しさん@ピンキー
07/08/13 14:10:54 brMvHXR/
URLリンク(www38.atwiki.jp)
借りてきたよ。
935:335
07/08/13 14:12:54 nEdMDBgG
URLリンク(delmogenee.18.dtiblog.com)
936:名無しさん@ピンキー
07/08/13 14:31:21 oGJM0htP
>>932
がんばれ。
937:名無しさん@ピンキー
07/08/13 15:38:55 XPMDLOQJ
動く気配がないな、とりあえず全部載せて
作者の申請があれば消すって形でいいのかな?
938:名無しさん@ピンキー
07/08/13 18:12:59 P8p0drNT
4つぐらい保管しといた、変なところがいっぱいあるから直しといてくれ
939:名無しさん@ピンキー
07/08/13 23:33:59 DcfwMpjQ
>>938
乙。
さて、みんなで残りを頑張って保管しようか。
940:名無しさん@ピンキー
07/08/14 11:49:00 bJRA02GU
たぶんほとんど保管し終わった。
細かい編集の仕方は分からんから、あとはおまいらがやってくれ。
……っていうか、Wikiって慣れてないと普通に保管庫作るよりもエライな。
始めるまでに常駐スレの保管にかけてる時間の倍くらいかかったぜ。
あと、>>919には期待。
別バージョンのもう少し見やすい保管庫頼む。
941:名無しさん@ピンキー
07/08/14 11:53:01 YQ4CxN42
ウィキってメニューもトップページも変更できるんだぜ?
942:名無しさん@ピンキー
07/08/14 12:36:58 bJRA02GU
そうらしいな。
943:名無しさん@ピンキー
07/08/14 21:15:27 gXHHJinA
ん、時間見つけてわかりやすく整頓しておくぜ。
944:名無しさん@ピンキー
07/08/14 22:40:46 j0a5f64m
トップページ変更、カウンタ設置した
945:名無しさん@ピンキー
07/08/16 01:34:55 nZnodK1r
>>944
乙~。
後何かあるかな?
946:名無しさん@ピンキー
07/08/16 09:01:18 UpiqhcAu
おつー、後は職人さんたちを待つだけだな、全裸で
947:名無しさん@ピンキー
07/08/20 03:26:29 allGz+kW
保守
948:白い牢獄 ◆SSSShoz.Mk
07/08/20 06:57:52 huPsKwFg
◆プロローグ
『僕は誰?』
『今どこにいる?』
『何をしている?』
“畜生、なんてことだ……”
ぼんやりとした意識の中。頭の奥底で、誰かの声が響いた。
“なんてことだ……”
続けてもう一度、同じ言葉が繰り返される。
それは、心の底から絶望したような、そんな声だった。
例えるなら、最高裁で死刑宣告を言い渡された囚人のような……
一拍間を置いて、その『囚人』は懇願するような口調で、こちらに向かって語りかけてきた。
いや、正確には声の主が僕に向けて『語りかけた』のかどうかはわからない。
もしかしたら、僕が勝手にそう感じただけなのかもしれない。
ただ、誰であれ、まるで神託のように、頭の中から何者かの声が聞こえてきた、となれば、それが自分自身とは無関係な事柄だとは思わないだろう。
“頼む……!”
それにしても、聞けば聞くほどに切羽詰まった声音だ。
彼が、僕に対して何かを伝えようとしていると仮定して、一体何を頼むというのだろう?
僕は何となく気になって、その声に意識を集中してみた。
そんな事をするまでもなく、否応なしに聞こえてくるものなのかもしれないが。
“頼む……死ぬんだ。死んでくれ……!”
直後。突然、物騒な言葉を投げかけられて、思考停止を余儀なくされる。
コイツは、何を言ってるんだ? 『死んでくれ』ってどういうことだ!?
大体、人に『死ね』って言われて『はい、死にます』なんて答える人間はいないだろう。
……と。
そこで唐突に、僕は気付いた。気付いてしまった。
この声は……どこかで聞いたことがある……!?
誰だ? 誰だ? 誰だ? 誰だ? 誰だ? 誰だ?
靄がかかったような脳味噌に鞭を打ち、思考を巡らせること数秒。
その声の『正体』に思い至った瞬間、ありえない事実に疑問を差し挟む余地すらなく、僕の意識はブラックアウトした。
949:白い牢獄 ◆SSSShoz.Mk
07/08/20 06:58:33 huPsKwFg
◆白い牢獄
瞼を開いた途端、眩しいくらいに鮮烈な『白』が瞳に飛び込んできた。
頭は鉛のように重く、記憶は所々欠けてしまったみたいにはっきりとしない。
自分はベッドに寝かされていて、白一色に染められた部屋の天井を茫然と見ている。
たったそれだけの事を理解するのに、数分もの時間が必要なほどだった。
僕は幽鬼のような緩慢な動作で上半身を起こすと、周囲を見回す。
「……なんだ、これ?」
思わず、そんな間の抜けた台詞が零れる。床も、壁も、勿論天井も。部屋の中は見渡す限りの、白だった。
広さは―距離感を失うくらい殺風景なので、目測が合っているか定かではないが―十二畳ほどだろうか。
空調もない。電灯もない。窓枠もない。内装も何もあったもんじゃない、白い立方体の内部に、僕はいた。
体が小さくなって、サイコロの中に閉じ込められたとしたらこんな感じかもしれない、と愚にも付かないことを考える。
それは、小さな子供たちがスゴロクで遊ぶ時に使う、何の変哲もないサイコロで、誰も、人間がこの中に入っているなんて思いもしない。
だから、子供たちは、無邪気な笑顔を湛えたまま、サイコロを振る。サイコロの中にいる人間は、その回転に翻弄されて、壁面に叩き付けられる。
全身がバラバラになるような衝撃を受けて、吐血する。白い壁に、赤い斑点ができる。蚊の鳴くような叫びは、外には届かない。
もしかしたら届いているのかもしれないが、遊びに夢中な子供たちは気付かない振りで、またサイコロを投げる。
子供たちは、飽きるまで、サイコロを振り続ける。何度も、何度も、何度も、何度も―
……何を考えているんだろうか、僕は。
大きく首を振って、妄想を頭から追い出す。心の準備もないままに、わけのわからない状況に放り込まれて、精神的に参っているのかもしれない。
今はそんな、薄気味の悪い妄想に囚われている場合ではない。
それよりももっと、解決しなければならない、重要な問題がある筈だ。
950:白い牢獄 ◆SSSShoz.Mk
07/08/20 06:59:10 huPsKwFg
そう。そもそも……どうして僕は、こんな場所にいるのだろうか?
目覚めた時から、頭の片隅で絶えず考え続けてはいた事だった。が、一向に、ここに至るまでの経緯が思い出せない。
まさかとは思うが、記憶喪失にでもなってしまったというのだろうか。
僕は、自分自身に関する情報を一つ一つ、反復作業のように確認して、錆付いた記憶の扉を開いてゆく。
僕の名前は佐々野智信(ささの とものぶ)年齢は十九。生まれは東地区五番街の四。階級は三級市民。
僕が暮らしているのは『一級市民』と呼ばれる一握りの人間と、それを補佐するコンピュータによって運営される都市、マシン・シティ。
カースト制にも似た厳しい階級制度が導入されている都市で、そこに暮らす市民の階級は一級~五級に分類される。
階級ごとの地位について、見も蓋もない解説をしてしまうならば―
一級市民が支配者、二級市民が上流階級、三級市民が中流階級、四級市民が下流階級、五級市民が犯罪者、と言ったところか。
そして、僕の目標は、いつの日か昇格試験に合格して、栄誉ある(一部では神とも呼ばれている)一級市民になることだ。
うん、大丈夫。記憶に目立った異常は認められない。『どうして僕はここにいるのか』という、最も重要な一点を除いては、だが。
限局性健忘、という言葉が頭を掠める。心因性の健忘(外傷性の健忘ならば、無傷ではいられないだろう)では、一番ポピュラーな症例だ。
本当に、そうなのか……? 今僕の身に起きているのは果たして、『健忘』という常識の範疇にカテゴライズされるような現象なのか……?
自分でそれらしい理屈をつけておいて、尚、歯に挟まった異物のように、違和感がある。
仮にそうだとしても、この限局性健忘が、完全な偶然の産物であるなどとは到底思えなかった。
気にはかかるが、記憶に関しては、悩んだ所でどうにもならなさそうではある。時間の経過が、回復に導いてくれることを祈るしかない。
さて。こうしていつまでも、ベッドの上で座っていても仕方がない。
兎に角、部屋を調べてみよう。そう決めて、僕は足を床に落とすと、重い腰を上げた。
立ち上がった状態で、僕は改めて、部屋のあちらこちらに視線を這わせてみる。
951:名無しさん@ピンキー
07/08/20 06:59:14 W+NcAFC6
リアルタイムキタコレ
952:白い牢獄 ◆SSSShoz.Mk
07/08/20 07:00:11 huPsKwFg
そこで、自分が寝かされていた部屋の片隅のパイプベッド、その丁度反対側に、もう一つ、全く同じデザインのベッドがあるのを発見した。
先程気が付かなかったのは、そのベッドのデザインが保護色の役割(シーツだけでなく、骨格であるパイプまで白だ)を果たしている所為なのか、それとも単に寝惚けていて見落としたのか。
そのベッドには、人が横たわっていて、ベッドの下には、淡い水色をした箱のようなものがあるのが見えた。
「ふぅ……」
無意識の内に、口から安堵の溜め息が漏れていた。僕の他にも、誰かがいる。
やはり、一人ではない、というのは心強いものがある。記憶が欠けてしまっていて、右も左もわからない、そんな異常な状況下であれば、尚更だ。
僕は早歩きで、ベッドへと近付く。ベッドに寝かされていたのは、一人の小柄な少女だった。目を瞑り、両手を胸の上で組み合わせている。
そっと、口許に手をかざすと、息遣いが伝わってくる。どうやら、眠っているだけのようだ。
そのまま暫く、少女を観察する。髪は胸元まで伸びたストレート。上は長袖のフリルブラウスに、薄手のカーディガンを羽織っており、下はフレアスカート。
偶然か必然かは知る由もないが、少女の衣服は上下共に、すべて白で統一されていた。
肌も、無機的な人形のように生白く、彼女が部屋の構成要素の一部なのではないか、などという錯覚すら覚える。
ともかく、起きてもらわなければ。そう思い、肩に右手をかけて、軽く体を揺すってみる。
正直、その気持ち良さそうな寝姿を見ていると、若干起こすのが躊躇われたのだが、起きてもらわないことには状況は進展しない。
彼女には、色々と聞いておきたいこともある。
「おい、きみ、起きてくれ」
声をかけながら、何度か揺さぶってみる。と、少女は声にならない小さな声を発して、ゆっくりと目を開いた。
そして、寝惚け眼のまま、視線をひとしきり泳がせると、僕が立っている方向に顔を向けた。
953: ◆SSSShoz.Mk
07/08/20 07:00:49 huPsKwFg
雪山編やLa-Piece~ラピエス~からインスパイアされて書きたくなりました。
閉鎖空間万歳。続きます。
954:名無しさん@ピンキー
07/08/20 08:13:16 jjwbYfmk
GJ!
始まったばかりでも、否応なしにwktkしちゃうような良作の予感ですよ!
955:名無しさん@ピンキー
07/08/20 12:29:01 ax7du+NX
うむ、不条理系は大好物だ。座して待つ。
956:名無しさん@ピンキー
07/08/21 02:28:28 nPL5uXm/
これは期待。面白そうだ。
次スレどうする?
このペースでこの容量なら、多分>>980でも大丈夫だと思うけど。
957:白い牢獄 ◆SSSShoz.Mk
07/08/21 07:00:26 WkZZTR7D
「え……?」
その表情に、困惑の色が混じった。
「あの……あなた、誰ですか? ここは……?」
眠りから覚醒した少女の第一声を聞いて、僕はある種の諦念を抱かざるを得なかった。
ああ、これは―予想していなかったわけではないが―なんてことだろう。
まず間違いない。彼女も、僕と同じ境遇なのだ。それはつまり、記憶の部分欠落が、ただの健忘ではないことを意味する。
何か、得体の知れない、大きな力が働いている。そう解釈する以外にない。
眉間に皺を寄せて考え込んでいる僕に、少女が再び声をかける。
「あの……」
僕を見つめる少女の表情は、困惑から不安へと移行していた。
「落ち着いて聞いてほしい」
ともすれば、動揺して泣き出してしまいそうな雰囲気を察して、予め予防線を張っておく。
「は、はい」
少女は、そこでようやく上半身を起こすと、姿勢を正して、こくりと頷く。
僕はなるべく彼女にショックを与えないように、ゆったりとした口調を心がけた。
「残念ながら、僕にもわからない。ここはどこなのか、どうしてこんな場所にいるのか……」
「……そうなんですか」
思いの外、反応は淡白だった。繊細そうな容姿に似合わず豪胆なのか、或いは、まだ現実感が希薄なのか。
もしかすると、内心、僕の方が取り乱しているくらいかもしれなかった。
「僕は佐々野。佐々野智信。きみの名前は? 覚えていたら教えてほしい」
「私は……朝霧留美(あさぎり るみ)です。青鷺学園、中等部の三年生……」
「覚えていないのは、ここに来るまでの経緯だけだね?」
確認するようにそう問いかける。彼女は、黙って首を縦に振った。
思った通り、僕と彼女の記憶障害における『症状』は、完全に一致しているようだ。
「それじゃあ、佐々野さんも……?」
「ああ。きみと同じ、と考えてもらって差し支えない。要は、起きたのが早いか遅いかの違いだよ」
僕はそう言って、反対側―自分が寝かされていたベッドを示した。
「とりあえず、僕は部屋を隅々まで調べてみる。入ってきたのだから、必ずどこかに出口はあるはずだ」
「そ、それなら私も手伝います。一人でじっとしてるの、不安ですから」
少女が勢い良く立ち上がる。かくして、二人による部屋の調査が始まった。
958:白い牢獄 ◆SSSShoz.Mk
07/08/21 07:01:08 WkZZTR7D
ひとまず、壁伝いに部屋を一周しつつ、出入り口があるかどうかを調べてみることにした。
お世辞にも広いと言えるような部屋ではないから、見落としがないよう丹念に壁面を調べながら進んでも、すぐに一周できる。
さして、手間のかかる作業ではないはずだ。
「あ、見てください。ここ」
半周もしない内に、彼女が、僕の服の裾を引いて、壁の一点を指差した。
見ると、そこには四角い切れ込みが入っていて、下には、半円の取っ手のようなものが付いている。
「これ、開くのかな?」
僕は取っ手部分に指をかけて、上方向に力を込めてみた。
すると、郵便ポストの蓋が内側から開くみたいな形で、切れ込み部分が跳ね上がって、そのまま固定された。
部屋に、ぱたん、という呆けない音が響く。そして、その中から現れたのは、ドアノブだった。
例によって例の如く、そのドアノブもまた、持ち手から可動部分に至るまで、一点の曇りもない『白』だ。
「まったく、偏執的というか何というか……徹底するにもほどがある」
一人ごちながら、押すなり引くなりしてみようかとノブを掴んだ途端、彼女が不吉な台詞を呟いた。
「何かの仕掛けでしょうか? 罠とかじゃ、ないですよね?」
罠……? 考えてもいなかった可能性の指摘に、手が止まる。
そう言えば、と、昔見た映画にそんなストーリーがあったのを思い出す。
どこからか連れて来られた男女。無数の立方体で構成された部屋。行く手を阻むレトロなトラップ。
自分の体が壁から突き出した針で串刺しにされている情景を想像してしまって、背筋を冷たい汗が流れる。
「わからない。……が、注意するに越したことは無いね」
動揺を隠しながら、やっとの思いでそう答えて、僕は暗澹たる気持ちになった。
わからない。僕が咄嗟に発したその一言に、現状の全てが集約されているように思えたからだ。
ここは何処なんだ? この部屋は何なんだ? どうして僕が? どうして彼女が?
疑問はそれこそ、腐るほどある。だが、何もかもがわからない。従って、何の指針もない。
僕らは今、確かなことなど何一つありはしない、とても不安定な足場に立たされている。彼女の発言で、期せずしてそれを実感した。
気取って『注意するに越したことはない』などとは言っても、一体何に、どうやって、注意すればいいのかすら定かではないのだ。
しかし、だからと言って、このまま右手でノブを握り締めたまま、棒立ちになっていたって仕方がない。
「……回すよ」
それは、隣で心配そうに見ている彼女にかけた言葉というよりは、自分自身に行動を促す為の言葉だった。
ノブは、なんの抵抗もなく回り、滑らかな動きで、自らの役目を全うした。そのまま、内側に向かってノブを引く。
それに合わせて、目の前の壁がスライドする。壁の一部に擬態していた扉がその姿を現す。