07/05/01 05:06:21 4Tx8id7x
ナイフの刃を‘切り裂く’動作を意味する親指側ではなく、
‘叩き壊す’動作を意味する小指側に構える。
こちらの本気が伝わったのか、漆黒の獣は間合いを測る。
リアはできるだけ遠くまで離れ、固唾を呑んでいる。
リア……
もし僕がやられたら、リアの身に危険が及ぶことなど、容易に想像つく。
なにがなんでも、というレベルではない。
全てを賭けて、この獣を倒さねばならないのだ。
眉間、喉、そのどちらかにこいつを入れる。
ただ、それだけのこと。
勝負一瞬。
先に動いたのは、驚いたことに自分からだった。
「ふおおおおッ!!」
重心を低くし、襲い掛かる。
対する獣は、体重で押し潰さんと、フォークボールのように急角度で降ってくる。
「―――ィィィィィィ!!」