06/07/25 23:54:57 LbZNvTYK
「・・・いつ助けが来るか分からないし・・・どうしよう・・・」
「う、うん。とりあえず体力を消耗するようなことは避けないと」
不安そうな顔。横顔はまだ幼さの抜けない少女だ。
泣いていたのか、目が腫れているように見える・・・。
しかし、一緒に不安がっていても仕方がない。
彼は何か使えるものはないか荷物の確認する。
もしもの時のために背負っていた小さなリュックに
いくつか食糧と携帯電話を入れてあるが・・・
「そうだ・・・何か食べ物は持ってる?」
「何も無いです・・・・・・あ、ポケットに飴があります」
「飴か・・・俺の食糧を二人で分けようか。」
「えっ、良いんですか?」
「良いよ、こんな状況だし。ただし食べるのは少しずつだけど・・・我慢できる?」
「はい・・・ありがとうございます」
頼みは、この仄暗い洞窟と少ない食糧、防寒具。あとは救助を待つしかない。
気付けば辺りは暗くなっていた。吹雪が治まる様子もない。
最初二人きりになった時は、変に緊張していたが、
今は「二人体を寄せ合って」なんて気分にもなれない。
沈黙の合間、吹雪の音だけが虚しく耳に響く。
「え・・っと・・・君は、いつからこの洞窟にいるの?」
「え?あ・・・はい、今日です。家族とスキーに来てたんですけど・・・雪崩がきて・・・」
沈黙に耐え切れず男の方から会話を切り出してみたが、
状況が状況だけに、やはり明るい話題とはいかない。