07/04/21 23:58:40 NdVOa1E9
さも愉快そうに笑う男がいた。
「まさか外山が長野を討ってくれようとはな」
「はっ、怨敵・長野家もこれで壊滅でありましょう」
「彦根の倅にも驚いたわい。鮮やかな策じゃ」
間も無く、長野家当主の討ち死にの報が入ってきた。
配下と思われる人物も、目を細める。
「外山・長野を屠り、これで念願かなったりですな」
「わっはっは。外山はまだ屠っておらぬ。そちも気が早すぎるな」
もともと志藤は、長野を討ち取る算段だった。
意図せず計画が狂ってしまったが、
元気いっぱいの長野が滅びたことは、好事以外のなにものでもない。
若葉城の罠も外され、後は多勢で攻め入るだけだ。
「彦根親子の処遇はどういたしますか?二人とも近隣に名を馳せておりますが」
「武の武忠、智の武義といわれておったな・・・共に殺してかまわぬ」
「それは何故にでございましょうか?」
「捕らえても、わしの家臣になることは考えられぬ
知らぬか?別の異名で‘忠義の彦根親子’と呼ばれておるぞ」
その配下は恐縮する。
「そろそろ、動くぞ」
志藤の当主は、采配を振りかざした。
「外山月・彦根親子の首を必ずや獲ってこい」
「はっ、かしこまりました」