セーラームーン総合スレッド3at EROPARO
セーラームーン総合スレッド3 - 暇つぶし2ch2:名無しさん@ピンキー
06/07/20 15:43:45 xggcShY5
2ch外の関連サイト

愛玩情史
URLリンク(aigan.h.fc2.com)
月猫たちの見守る館
URLリンク(www.freebbs.biz)
セーラーサイト
URLリンク(sailors.s5.x-beat.com)

3:名無しさん@ピンキー
06/07/20 17:16:10 cZFrMOLz
3げと

4:名無しさん@ピンキー
06/07/20 19:04:25 KT7mOUqV
>>1
乙でした。

5:名無しさん@ピンキー
06/07/20 22:22:12 x5asNJ3h
うんこage

6:名無しさん@ピンキー
06/07/20 23:21:25 AylA/EJM
>>1

7:名無しさん@ピンキー
06/07/21 00:10:22 dd0hqeLh
>>1
乙です

8:名無しさん@ピンキー
06/07/21 13:13:20 pn9gtac+


9:名無しさん@ピンキー
06/07/22 08:47:16 qYvgcMFV
hosyu

10:名無しさん@ピンキー
06/07/23 18:19:22 5uaiN8lu
>>1

11:名無しさん@ピンキー
06/07/24 19:20:08 Egy+S8dj
まこちゃんが一番萌える

12:名無しさん@ピンキー
06/07/24 20:52:26 T1k+aqvV
>>11
スレリンク(ascii2d板)

13:名無しさん@ピンキー
06/07/25 19:12:49 7n4YmfeD
まこちゃんが一番燃える(乳脂肪が多いから)

14:名無しさん@ピンキー
06/07/25 21:14:44 s2TtpzzZ
いや、まこちゃんの乳の中身は実は豊胸シリコンですからw

15:名無しさん@ピンキー
06/07/25 21:42:18 eM1G2BtB
夏の祭典が近いから過疎ってるのか

16:名無しさん@ピンキー
06/07/27 21:58:39 CV3blTNR
ほしゅ

17:名無しさん@ピンキー
06/07/27 22:16:05 jbSVzt6m
こういう時こそ、前スレの自称字書きさんたちになんとかしてもらいたいんだがw

18:名無しさん@ピンキー
06/07/27 23:27:39 CV3blTNR
実は>>17こそが、前スレの自称字書きさんってオチだったりしてw

連中(一人かも知らんが)になど誰も期待しておらず、実際にこの新スレ
立ってからは完全に忘れられてるのに、わざわざ蒸し返す意図が読めない。
だから怪しい。

19:名無しさん@ピンキー
06/07/28 09:49:15 nVeRvqWv
つーか>>17は嫌味のつもりだろ
この状況で投下できるような度胸のある連中なら、最初からあんな気色悪いレスはしない。

20:名無しさん@ピンキー
06/07/28 22:07:33 da5fGbUZ
神作品が投下された途端に、あやかろうとばかりに
実は俺も書いてるんです とか どうせ俺なんか駄目でしょ とか
誘蛾灯に群がる蛾みたいで気持ち悪かったよね(´・ω・`)


21:名無しさん@ピンキー
06/07/29 11:49:00 ZsNXw2yc
スルーも出来ん上に今更蒸し返した挙句に自作自演。
今となってはお前らの方がよっぽど気持ち悪いんだが。

そっか、夏休みだもんな・・・・・・・・・・・・

22:名無しさん@ピンキー
06/07/29 12:26:58 ghbj0N0o
まあまあ、皆仲良くのんびりと神様を待つべ。

23:名無しさん@ピンキー
06/07/29 15:53:18 rzOmMK0U
21禁の板に夏休みも糞もないだろw


24:名無しさん@ピンキー
06/07/29 16:19:41 GKeP+rYS
>>23
大学4回生最後の夏休みをなめるな!
しかし、卒業旅行第1弾が恐怖の東南アジアなんだが・・・
リアル神様の元に行くかもしれませぬwwwwwwwww

25:名無しさん@ピンキー
06/07/29 17:47:03 Ip8NKsw0
とりあえず、高学歴がまともなレスをするとは限らないって事はわかった。

26:名無しさん@ピンキー
06/07/29 18:52:26 /mdguOqe
>>24
青二才が偉そうな事抜かすなよ。
大学に8年、大学院に7年通った俺に言わせりゃお前なんぞガキンチョだぜ。
博士課程中退をなめるんじゃねえぞ。























汚いから。

27:名無しさん@ピンキー
06/07/29 19:37:36 X+Fwf+U7
>>26
ここでの君は立派なセラムン博士

28:名無しさん@ピンキー
06/07/29 21:05:36 LnFioGol
チッチッチッチ
>>26、社会不適応者、人間の屑にしてセラムン博士
だが、日本じゃぁ二番目だ

フッフッフッフ・・・・・・・・・・・・

29:名無しさん@ピンキー
06/07/31 22:48:25 TMndzMQV
hosyu

30:名無しさん@ピンキー
06/08/01 22:42:16 MKIwoneB
>24
東南アジアってえらく広いんだが
第一弾ってことは数回に分けて何カ国もまわるんか
今どきの大学4回生はヒマなんだな

だいたい何で東南アジアが恐怖なのか
さっぱりわからん

31:名無しさん@ピンキー
06/08/01 22:48:43 48ClxjNx
>>30
海賊の出没する海域をクルージングとかさw

32:名無しさん@ピンキー
06/08/02 21:12:06 Sa/wQxC6
元南ベトナム兵の経営する酒場でメイドとカルテルの撃ち合いに巻き込まれるとか?

33:名無しさん@ピンキー
06/08/02 22:49:31 z4ckx8Wp
>>30
地震じゃね?スマトラ地方の
東南アジアも広いから、スマトラで地震起きても、そうそう影響受けるもんじゃない。
まぁ、日本より治安とか盗難とかあるから、恐怖といえば恐怖だが。
あと、今年の4回生はやばいぞ。弟が5回生wだけど、バブル並の内定数を自慢してる輩がいるくらいらしい。


で、話それた。脳内ではいくらでもストーリー作れるんだが、具現化するのって難しいよな。
脳内でいつも作る話のベースは、
・無印の最後の方のDDガールズに4人がやられるとこ
・RのルベウスのUFOに4人がさらわれて、邪黒水晶に十字架に磔されるとこ
・劇場版Rのムーンがフィオレにエナジーを吸い尽くされるとこ
・Sのピュアな心を抜かれるところ。 お気に入りは レイ、亜美、うさぎ
・SSの夢を覗かれるところ。 お気に入りは 美奈子、亜美、レイ

ってほとんどか。 

34:名無しさん@ピンキー
06/08/03 19:21:43 uUDhIkWR
>脳内ではいくらでもストーリー作れるんだが
>脳内ではいくらでもストーリー作れるんだが
>脳内ではいくらでもストーリー作れるんだが

( ´,_ゝ`)プッ

35:名無しさん@ピンキー
06/08/04 00:09:28 oqgkJB40
>>33
もういいよお前は。

36:名無しさん@ピンキー
06/08/04 18:52:37 rTY48VyW
どうしても自分語りしたい奴って

・友達いない奴
・世界中の人間が自分と友達になりたがっていると思っている奴

37:名無しさん@ピンキー
06/08/04 20:27:15 QVSXPGV9
いいかげんこんな奴らほっとこうぜ

38:名無しさん@ピンキー
06/08/04 21:31:38 O619nNlh
大学生は馬鹿だという結論が出たな。

39:名無しさん@ピンキー
06/08/04 21:37:24 QVSXPGV9
神の降臨を待つ

40:名無しさん@ピンキー
06/08/04 23:37:57 7dJPh5Ww
神作画
URLリンク(pc.gban.jp)

41:名無しさん@ピンキー
06/08/05 08:34:40 Ar03Jd8l
スレ違いや まわり道を あと何回(ry

42:名無しさん@ピンキー
06/08/05 15:31:32 499f+Z6X
神待ち

43:名無しさん@ピンキー
06/08/07 02:03:13 gcy6CyOn
>>40
良い亜美ちゃんでつな・゚・(ノ∀`)・゚・

44:名無しさん@ピンキー
06/08/10 01:32:09 MOceLDFS
夏休み中には‥‥

45:名無しさん@ピンキー
06/08/10 21:23:13 SJs5q7ys
未成年もしくは年間休日120日以上の社会人は(・∀・)カエレ!!

46:名無しさん@ピンキー
06/08/10 21:55:11 XGEWhSkF
大学生ですが何か?

47:名無しさん@ピンキー
06/08/10 22:00:26 SJs5q7ys
>>38

48:名無しさん@ピンキー
06/08/10 22:54:58 XGEWhSkF
つまらん煽り乙

49:名無しさん@ピンキー
06/08/10 23:49:06 lYWvVxBr
>>40
この亜美ちゃんはあらいずみるい画でつね。
売ってるの見たことないが・・・

50:名無しさん@ピンキー
06/08/11 23:30:32 qe4Dojzb
神よどうか‥‥!

51:名無しさん@ピンキー
06/08/12 22:53:00 p7DXVfFX
最終話と申しましたが、70KBを越えてしまったので一度切ります。
あと1話ありますので、もう少しお付き合い下さい。

52:ムーン陥落66
06/08/12 22:54:39 p7DXVfFX
「どういうことですの、お姉さま!?」
気色ばんで告げるコーアンの声が、城の一室に響く。

セーラーマーズを別室に寝かせると、サフィールと四姉妹たちは急遽、緊急会議を開く事となった。
赤子から目が離せないカラベラスは不参加だが、どういうわけか代わりにセーラーヴィーナスがいる。マーズ妊娠の事実を知り、顔色が青林檎と化しているのはいい気味だった。
しかしコーアンにとってはそんな事よりも、サフィールたちがマーズの出産に肯定的である事の方が大問題だった。
「あたしは、絶対!反対ですわ!」
唾を飛ばしながら、コーアンは喚きたてる。紫がかった鬣のような髪が、怒りを表現するかのように逆立った。
姉ベルチェの命を奪った、憎っくきセーラー戦士の子供など、考えただけで反吐が出る。
四姉妹の中で最もルベウスの寵愛を受けていたと自負しているコーアンは、彼が死んだ時、最も悲しんだ人物の一人だ。
長年尽くしても得られなかったルベウスの愛情を、セーラーマーズは易々と独占しただけでなく、ブラック・ムーンの証である、有難い刻印まで頂いた。
それだけでも許しがたいと言うのに、さらにその腹の中に、彼の子供を身ごもっていると言うのだ。
「絶対に認めるわけにはいきませんっ!」
隣の席に座っている姉と、目が合った。
「なぜだ?」
理由などわかっているだろうに、ペッツはわざとそんな風に問いかける。サフィールの手前、自分が口に出し辛い事を、妹に言わせてしまおうという腹に違いなかった。
「だって!あの豚は敵ですのよ!!お姉さまたちだって、刻印を消したら即始末するべきと、あれほどおっしゃっていたではありませんか!!」
「物騒な事を言うものではない」
サフィールが穏やかに口を挟んだ。
「妊娠が判明するまではその選択肢もあっただろう。しかし戦士としての力を失い、子供までも宿した彼女が、我らにどのような害をもたらすと言うのか?」
「だ、だって……」
利害ではなく、感情の問題である。とても、この青年のようには割り切れない。ついこの間まで戦っていた人間を、一族に迎え入れる事など出来はしない。
「マーズとルベウスの子だ。さぞや立派な炎使いになるだろう」
淡々とした話し振りに、コーアンはぎょっとする。サフィールの中では、既に産ませる方向で話が進んでいるらしかった。
「お待ち下さい!炎ならば私だって出せますわ!」
ルベウスと、セーラーマーズの子供──頭の中で、その物体が息づく様を想像してみる。
駄目だ。そんなものが目の前で動いていたら、絶対に殺してしまう。
肉親以外を愛した事のないサフィールには、コーアンの気持ちが理解できないようだった。マーズに子を産ませる事で、こちらの持ち駒が増える可能性に期待をかけている。
「我が一族の血を絶やすわけにはいかない。マーズの子はルベウスの忘れ形見であり、いずれ貴重な戦力になる。そしてコーアン、君には産まれる子の後見人になってもらう」
勝手な言い分であった。
ルベウスは四姉妹の欲求を知っていて、敢えて無視するような男だった。だがサフィールはそもそも、女の内心の拘泥に気付く事がない。
女子供には特に危害は加えないが、その代わり愛情も与えないし必要以上に関わらない。こういう男が、コーアンにとっては一番厄介だった。
「本気でおっしゃっているのですか、サフィール様!」
コーアンは激しくテーブルを叩いた。青年はその非礼を咎める事はなく、また相手の言い分を耳に留める気もなさそうだった。
ぎゃんぎゃん喚きたてるコーアンをよそに、隣に座っている少女に目を向ける。
「ヴィーナス、君の意見も聞いておきたい。四守護神の長として、マーズの出産を容認してくれるか?」

「あ……」
頭に包帯を巻いたヴィーナスは、急に話を振られ、あからさまにうろたえていた。
敵に囲まれながら、穏やかに同意を求められる状況も異様であるし、何より年頃の少女にとっては荷が勝ちすぎる問題だろう。
「あたしの一存では、決めかねるわ」
苦しい一言を、ヴィーナスは口にした。彼女の心の中で、葛藤が激しく渦巻いているのが伺えた。
セーラー戦士のリーダーを気取っていても、所詮は小娘である。新しい命に対する責任を負うには、まだまだ器が小さい。
「でしょうねぇ」
彼女の気持ちを推し量りつつ、コーアンはフンと鼻を鳴らした。
「愛を司る女神が、堕ろせなんて簡単には言えないわよね」
相手の顔が曇るのを見て、少しだけ胸のすく思いがしたコーアンであった。
セーラー戦士には、今まで散々煮え湯を飲まされてきたのだ。せいぜいもがき苦しめばいい。

53:ムーン陥落67
06/08/12 22:56:54 p7DXVfFX
「レイちゃんは、マーズはなんて言ってるの?」
ヴィーナスは、異性であるサフィールに対して、妙に気安い口調で話しかける。そこも腹が立つ要因だ。
自分でさえそうなのだから、姉のペッツはさぞかし腹わたが煮えくり返っていることだろう。改めて姉を見ると、その横顔は至極冷ややかなものだった。
ペッツがサフィールに片思いしていることは知っている。ルベウスの下僕であった頃から、それは変わらない。
しかし相手がセーラーヴィーナスでは、いささか分が悪い気がした。
「本人にはまだ聞いていないが、カラベラスが説得にあたる予定だ。せっかく宿した命、むざむざ散らすことはなかろう」
一族の誇りと、兄以外のことにはまるで無関心なサフィールであったが、素直で裏表のないヴィーナスには、それなりに好感を抱いているらしかった。
重傷を負ったヴィーナスの治療を進んで行ったのも、以前からこの少女の人となりに興味を持っていたからかも知れない。
無論それは、敵将に対するささやかな敬意の域を出ないものではあった。だからこそ、下手な恋愛感情よりも性質が悪いとも言える。

「そう……カラベラスが……」
思うところあったのか、ヴィーナスは深く俯く。
「彼女なら安心だわ。みんなを守れなかったあたしに、口を出す権利はない。決めるのはマーズよ」
「そう言って逃げるのは楽よねぇ」
コーアンはあくまでも絡む姿勢を取った。
殊勝に構えてはいるが、この小娘は油断できない。自分の身体を犠牲に、するりとこちらの陣営に潜り込んで、いつの間にかサフィールを味方につけてしまった。
カラベラスに陵辱を受けた時も、人間の男に助けられたと言う。この調子でデマンドまでも誘惑する気ではないだろうか。
「マーズがルベウス様の子を産んだとしたら、もうお前たちとは敵同士よ。その意味がわかってるのかしら?」
ヴィーナスの方へ身を乗り出し、挑発するように告げる。
コーアンは、セーラー戦士が互いを罵りあい、傷つけあうさまがもっと見たかった。奇麗事を並べながら、問題を先送りにしようとするヴィーナスが疎ましかった。
「どうして敵になるの」
ヴィーナスが静かに言った。
「マーズは、ずっとあたしたちの仲間よ。敵の子供を産んだから敵になるって、どういう発想?」
折れる事のない真っ直ぐな眼差しに、心がざわつく。
ヴィーナスはこの期に及んでも、まだ仲間を信じている。血の繋がった四姉妹にもない絆を四守護神に感じ、コーアンは激しく嫉妬した。

「お前がマーズを信じているとしても、他の連中はどうかな。特にマーキュリーは」
ぽつりと呟いたペッツの一言に、その場が静まる。
マーキュリーはルベウスの愛情を受けたマーズに不審を抱き、袂を分かっていた。それは、ごく当たり前の判断だとコーアンは思う。
カラベラスが妊娠した時も、正直汚らわしいと思ったものだった。ルベウスが産めと言い残したから容認はしているが、人間の血を引く子などよくも産む気になったものだ。
それでも、カラベラスの子を初めて見た時は感動した。ルベウスはあの性格だったし、自分たちは一生、誰かの子供を産むことなど許されないと思っていたから。
「……マーキュリーと、ジュピターの事は、あたしが何とかする」
ヴィーナスの顔には苦渋が滲んでいた。何とかすると言っても、それは容易ではない事だと、自分でもわかっているらしい。
マーズが拒否されたのと同じ理由で、マーキュリーたちに拒まれる可能性が高い。四守護神の中で、ヴィーナスだけが難を逃れた事実が、マーキュリーの心を腐らせている。
つくづく人間とは醜い生き物だ。常に自分より不幸な人間を探して己を慰め、少しでも幸せな位置にいる人間は引き摺り下ろそうとする。
「とにかく、まずマーズの体調が心配よ。落ち着いたら彼女に会わせて」
人質の分際で、態度が大きい娘だ。コーアンは彼女に聞こえるように舌打ちした。
「わかった。他に何か要望は?」
サフィールもサフィールで、まるで遠方から訪ねてきた友人にでも接するように、ヴィーナスに接している。
この娘を妬みたくなるマーキュリーの気持ちの方が、コーアンにはよく理解できた。いっそマーキュリーを利用して、痛めつけてやろうか。
マーズがそうされたように、仲間に裏切られれば、今度こそヴィーナスの目からは希望の光が消えるだろう。我ながらいい考えのように思えた。

「何を考えている、コーアン」
ペッツの声が耳を打った。コーアンは肩を竦める。
「お姉さまと同じ事ですわ」

54:ムーン陥落68
06/08/12 23:02:29 p7DXVfFX
二人の女の視線の先には、サフィールの手を借りて椅子から立ち上がるヴィーナスの姿がある。
男にちやほやされ、無条件に守られてきたような小娘は、自分を庇ってくれる青年を見つめ、分かったような口を利くのだ。
「産むべきだ、って言うあなたの考えは立派だと思う。でも、子供を地球侵略の道具にするのだけはやめて。進む道は、自分で選ばせるべきだわ」
(男を惑わす淫乱が)
コーアンは内心で吐き捨てる。
愛の光とやらに焼かれる虫たちの断末魔が、彼女には聞こえてもいない。地を這ってしか生きられない者の気持ちなど、光を抱く者には決して分からない。
忌ま忌ましい、ネオ・クイーン・セレニティの手先。サフィールや男たちは騙せても、四姉妹は騙せない。カラベラスやベルチェの受けた屈辱を、あの程度で帳消しにするつもりなのか。
(いい気になっていられるのも今のうちよ!)

「約束は出来かねるな」
ヴィーナスの意見を受けたサフィールは、表情一つ変えずに答えた。
「君たちは、産まれながらに戦士としての役目が与えられていたのだろう。マーズの子供にとってもそれは同じだ」
「だけど…!」
敵地にあって十分すぎるほどの待遇を受けている小娘は、なおも反論しようとする。
己の身の危険よりも、友人の行く末を案じているのか。それとも、サフィールが己に危害を加えないことを確信しての行為か。どちらにしろ、傲慢以外の何者でもない。
「産まれる子はブラック・ムーン一族の子として育てる。それが結果的に、彼もしくは彼女の身を守ることになる」
この点だけは、さすがのサフィールも譲らなかった。
そもそもセーラーマーズは、普段はごく普通の学生として暮らしている。一族の手を借りずに密かに赤子を育てる事など、一介の中学生に出来るわけがない。
「若すぎるマーズに、たった一人で赤子を守り切れるか?産んだ後で疎ましくなり、殺してしまわないと言い切れるか?」
「……それは」
絶対にないとは断言出来なかったのか、ヴィーナスは唇を噛んだ。
「もしもマーズが出産を決意してくれるのなら、彼女の今後の生活は我々が保証しよう」
サフィールは部下たちに視線をやった。コーアンはぷいと顔を背け、ペッツは俯いた。
「保証って……要するに、正式にあなたたちの仲間になるってことでしょう?そんな事、認めないわよ」
「決めるのはマーズだと、先ほど君が言った」
「く……」
ヴィーナスはぐうの音も出ない。
彼女一人が頑張ったところで、四守護神の結束が元に戻るわけではない。既にマーズの妊娠は明らかで、ムーンはデマンドに奪われた。
今のヴィーナスに出来る事はせいぜい、マーズに頼み込んで仲間の延命を計る事くらいだ。
四守護神が全てデマンドに従い、地球の支配権を手放すと言うのなら、あのデマンドでも命くらいは助ける気になるかも知れない。

(尤も……そうなる前に、あたしが消すけれど)
部屋を出て行くサフィールたちの後ろ姿を眺めながら、コーアンは内心で呟く。
セーラー戦士がルベウスやデマンドの子供を産むなど、絶対に認められない。自分たちが望んでも得られなかった、普通の女としての幸せなど、決して与えてやるものか。
人間の雄に陵辱されながら消えていったベルチェ、人間の雄の子供を産んだカラベラス。彼女たちの仇は、この自分が討つ。

「行きましょう、ペッツお姉さま」
ヴィーナスたちがいなくなったのを確認してから、コーアンは隣の姉に話しかけた。
「よもや、このまま指を咥えて見ていろとは仰らないわよね。マーズの出産、なんとしてでも食い止めますわよ」
ペッツの表情は曇っていた。カラベラスのことを思っているのだと、すぐにわかる。
「お姉さま!?まさか………」
「落ち着け、コーアン」
悲痛な声を上げる妹を、ペッツは手で制する。
「お前は、思っていることが顔に出すぎる。ここでうかつに動いたら、サフィール様やカラベラスが黙ってはいないだろう」
「サフィール様に嫌われたくないからって、怖気づくんですの!?」
挑発する妹を見つめながら、ペッツはふと口元を歪めた。屑篭の蓋をずらした時に漏れてくる匂いのような、陰気臭い笑みだった。

55:ムーン陥落69
06/08/12 23:03:57 p7DXVfFX
「そうではない。マーズが不慮の事故で流産してしまったからといって、それは我らの責任にはなるまい」
「………お姉さま」
コーアンの目は輝いた。

それもそのはず、城に戻ってからのペッツは妙に覇気がなく、ヴィーナスに制裁を加えたことを後悔している節すらあった。
想い人にその行いを咎められたせいもあるだろうが、それ以上に、ヴィーナスの内側から発せられる光に戸惑いを覚えているようだった。
サフィールと親しげに会話をするヴィーナスに嫉妬すると同時に、出来るならば彼女に成り代わりたいと強く思っていたに違いない。
コーアンにはそれが不満だった。子供を産んで腑抜けになってしまったカラベラスのように、ペッツまでもが闘志を失ったのではと、密かに懸念していたが。
「要は、我らの行いだと露見しなければ良いのだ。例の部屋に閉じ込めたマーキュリーたちを使うのがいいだろうな」
「ええ!あたしも、そう考えていたところですわ!」
喜色を満面に浮かべながら、コーアンは頷く。
やはり、姉についてきて間違いはなかった。それでこそ、あやかしの四姉妹の長女だと思った。


-------


額に焼き付けられた刻印が、ズキズキと痛む。
白い裸体を床の上に投げ出しながら、うさぎは虚ろな目で天井を見つめていた。
身体に纏わりつくデマンドの手の忌まわしい感触も、束の間忘れていた。それほどに衝撃は大きかった。
(レイちゃんが、妊娠……)
その事実を、未だに受け入れられない。
ついこの間まで共にふざけあっていた少女が、誰かの母親になるかも知れないなど、誰が信じるだろう。
デマンドに威勢良く啖呵を切ったレイは、カラベラスたちに連れ去られたまま戻ってこない。うさぎを助けてくれる人物は、もう現れない。
(あの、レイちゃんが……)
避妊薬を飲ませたと、亜美は言っていた。だが、有効か否かは確信が持てないと。
うさぎは重い下腹に手を当てた。目の前が、シャッターを下ろされたように暗くなる。
(あたしも……妊娠、する……?)
不恰好に突き出た下腹を抱えて歩く妊婦の姿が、己の近い将来の姿として想起される。
子宮に宿った命に愛情があるからこそ、苦労にも耐えられる。
うさぎとデマンドの間に愛はない。今されたことは、愛情の表現ではなく、単なる暴力に過ぎなかった。
それでも子供は出来る。本人の意思などお構い無しに。自分の身体さえ自由にならないのなら、女は何のために人格を与えられるのだろう。

「驚くようなことか?」
デマンドがうさぎの顎を掴む。
ペッツたちの介入で儀式が中断されたため、複数の幻は消え、一人のデマンドに戻っている。
今はさほど機嫌が悪そうに見えないのは、彼自身も疲労しており、休憩を欲していたからかも知れない。
あるいはレイの妊娠が判明し、うさぎが今度こそ希望を失ったのを見て、安心しているのか。
「男と女がいれば、出来るのは当然だ」
その単純な原理のままに世の中が動いていくのなら、悲しむ人間など一人もいないはずだ。本来尊いものであるはずの行為を汚した張本人が正論を吐いても、何の説得力もなかった。
ただ、うさぎの場合、あまり強く否定できない理由があった。彼女はまだ幼く、人に誇れるほど立派なセックスをしてきたわけではない。
無知を理由に、避妊を全て衛任せにしていた。うさぎは何も心配せず、ただ優しい恋人に身を任せていれば良かった。
だが世の中、避妊に快く応じてくれる男ばかりではない。ましてや、女を無理矢理犯すような男が、女の体調を気遣ってくれるはずがないのだ。
結果、レイは妊娠した。レイ本人には何の罪もない、たった一度きりの暴力で。
衛との性行為は、新しい命を宿す責任や恐ろしさとは、全く無縁のものだった。自分がどれだけ大切にされていたか、改めて思い知らされた。
確率から言えば、うさぎこそが真っ先に妊娠していてもおかしくはなかったのだ。
(あたし……今まで、なにやってたの……?)

56:ムーン陥落70
06/08/12 23:05:18 p7DXVfFX
衛に甘えるのに慣れて、『してもらって当然』と、思っていなかったか。衛が気持ちよくなるように、自分から進んで動いた事が一度でもあっただろうか。
中学生であるからとか、お姫様であるから、とか、そうしたしがらみとは一切関係なく、一人の『女』として衛を愛した事が、あるだろうか。
後悔がさざ波のように胸に押し寄せる。

「今頃気付いたの?おばかさんね。そんなことだから男に捨てられるのよ」
嘲笑するエスメロードの声が、うさぎの全身に切り裂くような痛みを与えた。
のろのろと顔を上げる。そこには、タキシード仮面に跨り、長い脚の間に男根を深々と咥え込んだエスメロードがいた。
目を逸らそうとしても、デマンドに両頬を押さえつけられて動かせない。
「す、捨てられてなんか…いないもん!」
うさぎは必死で強がった。
喩え二人の心が離れてしまったのだとしても、今ここで恋人関係を終わらせるわけにはいかない。
セーラームーンの付属品としての価値がなくなったタキシード仮面に与えられる末路は、一つしかない。それだけは、阻止しなければ。
「まだ、やり直せる…やり直せるもん!!」
うさぎはもう終わっているが、彼の未来だけは続いて欲しい。その一心で、うさぎは叫んだ。
デマンドが不快そうに眉を潜めた。この期に及んでも、まだタキシード仮面を思っているうさぎに苛立ちを覚えたのだろう。
「よく聞け、セレニティ。エスメロードにはあの男の子供を産んでもらう」
その発言から、この陵辱行為はエスメロードの意思ではなく、デマンドの命令によるものだとわかった。
彼はただ、うさぎを自分だけのものにしておきたいのだ。そのために、彼女の大切な恋人や友人を傷つけ、心の拠り所をなくそうとした。
「産んでもらう……って、何?」
うさぎはこの時、エスメロードへの嫉妬よりも、デマンドへの怒りが勝っていた。
支配欲の塊のような男。女の特権である出産までも、己が支配して当然だと言わんばかりの傲慢さは、許しがたい事だった。
「あなたは、痛い思いも苦しい思いもしないでしょう。なのに、産んでもらうって、どうしてあなたに決める権利があるの!?」
うさぎは、恋人を寝取った女を見つめた。彼女もまた、被害者には違いない。
「エスメロード!あなたは、まもちゃんを愛していないんでしょう!?好きでもない人の赤ちゃんなんて…!」
「だからあなたは青いって言うのよ」
エスメロードは鼻を鳴らした。
「心から愛している男の子供が産める女が、地球上にどれだけ存在すると思ってるの?」
少女の夢を壊すようなことを、大人の女はたやすく口にする。
愛情がなくとも子供は産まれる。また、伴侶に対する愛情と子供に対するそれは、全く別物なのだとエスメロードは語った。
「心配しないで、産まれた子は大切に育てるわ。それよりもお姫様に聞きたいわね」
既に何度も達したらしいタキシード仮面は、彼女の下で苦しそうに唸っている。
「あなたは単に、この男の愛情を独り占めしたいだけ?それとも、純粋にあたしの子供の心配をしてくれているのかしら」
耳に痛い質問だった。
正義の戦士としては、産まれる子供のためにも、両親は仲良く共にいるべきだと答えなければならない。
だが、恋人を奪われた一人の少女としては、違う答えが用意されている
「ほ、本気でまもちゃんの子供を産むつもりなの!?そんな……そんなの、おかしいよ!」
本音は泣き出したい。今すぐエスメロードを突き飛ばして、彼を抱きしめたい。
けれど自分は彼を信じることも守ることも出来ず、敵にこの身を汚されて、見苦しく喚いているだけだった。
「おかしいことなどない。エスメロードは俺の命令に従っているだけだ」
別の男を抱きながらも、翠の美女は陶然とデマンドを見つめている。その視線の意味をうさぎは悟った。
デマンドは、自分を思ってくれている女性の気持ちまでも利用しているのか。
「赤ちゃんは、命じられて産むものじゃないわ!」
苦しそうなレイの姿が思い起こされる。
「好きな人の子供だから、苦しいのも我慢して、頑張って産んで育てるのに…そんな、命を物みたいに扱うなんて!」
どれほど訴えても、デマンドの氷の眼差しは揺らぐ事はない。
母親の腹の中に、人としての心を忘れてきたのではないかと思わせるほど、その表情は冷たかった。
(銀水晶さえ戻れば…!)

57:ムーン陥落71
06/08/12 23:06:29 p7DXVfFX
うさぎの思いに応えるかのように、額の焼き印が熱を持ち始める。逆三日月の下の白い三日月が、外に出ようとしては邪悪な力で抑えこまれているのがわかる。
エスメロードの胸の谷間から、白い光が漏れている。うさぎから奪った銀水晶が、うさぎの悲痛な叫びに反応している。
(あんな、ところに……)
うさぎには絶対に隠せない場所だ。色々な意味で悔しい。
眩しさに目を細めながら、エスメロードは隠し持っていた銀水晶を取り出した。
遮光するものがなくなった銀水晶は、部屋全体を眩い光で包み込んだ。
これまで幾度となくうさぎの危機を救ってきた銀水晶。その光を浴びても、うさぎの額の刻印は消える事がなかった。
人間の男性と交わらなければ、刻印は消えない。サフィールという男がそれを美奈子に話していたのを、先ほど聞いたばかりだ。
(まもちゃんと……もう一度……)
変身するためには、タキシード仮面の力が必要だ。
しかし、精根尽きたように倒れている彼に、そんなことを強制するのはあまりにも酷だった。

「そうそう、お渡しするのを忘れておりましたわ。これを……」
エスメロードは主に銀水晶を手渡そうとした。デマンドは、静かに首を横に振る。
「それはお前が持っていろ、エスメロード」
「……よろしいのですか?」
その時、エスメロードの目がきらりと光ったことに、うさぎもデマンドも気付かなかった。
デマンドは少女を抱く腕に力を込めながら、皮肉な口調で告げた。
「この娘、隙あらば銀水晶を奪い返そうとしている。万が一と言う事もあるからな、お前が持っていた方が安全だろう」
まさにその通りだったため、うさぎは歯噛みした。
デマンドの元に渡れば、近くにいる分、取り返すチャンスも生まれたのに。銀水晶は再びエスメロードの胸の谷間に、窮屈そうに押し込まれてしまった。
「確かにお預かりしますわ。それと、デマンド様……」
タキシード仮面の身体を投げ捨てると、エスメロードは甘えた声で主を見上げた。
「その娘、相当疲労しているようですわね。儀式は日を改めた方がよろしいのではなくて?」
意外なことを言われ、うさぎは目を丸くした。
実際、激しい陵辱によって、身体のあちこちが悲鳴を上げてはいたが。
あの繊細そうなサフィールならいざ知らず、残酷を絵に描いたようなエスメロードに気遣ってもらえるとは、夢にも思わなかった。
「疲労しているだと?しかし……」
それまで氷のようだったデマンドの眼差しに、少しだけ不安の色が落ちる。それはあくまでも、玩具が壊れる事を案じる子供の目だ。
「デマンド様も、少しお休みくださいな。既にその娘はあなたのものになったのですから、今更焦る必要もありませんでしょう」
あなたのもの、という言葉に、デマンドは満足そうに喉を鳴らした。
少女の額に焼き付けられた火傷のような刻印を、愛しげに撫でる。うさぎにとっては、怖気が走るような感触だった。

「そうだな。婚姻の儀は、四守護神の始末をつけてからでも遅くはない」
物のように扱った相手と『婚姻』とは、白々しいにもほどがある。
自由な意思を持つことが気に入らないと言うのなら、人形とでも結婚すればいい。こんな、泣き虫で鈍臭くて頼りなくて愚かで醜い小娘など、放って置いてくれればいいのに。
「言葉に甘えさせてもらおう。エスメロード、片づけを頼む」
「畏まりました」
玉座の背後には蓋を開けたままの壷が、相変わらず異臭を放っている。自分の精液ぐらい自分で片付けろと、うさぎは心の底から思った。
エスメロードは文句も言わず居住まいを正し、汚れた床を清め始めた。
その背中には、好きな男に尽くす女の喜びが滲み出ていた──ような、気がする。
何となくそれを見ていると、ふわりと浮遊感覚が襲った。うさぎを抱え上げ、デマンドは部屋を出ようとしている。
「俺の褥に来い、セレニティ」


58:ムーン陥落72
06/08/12 23:07:45 p7DXVfFX
王子を名乗るデマンドの個室は、物語に出てくるような豪華なものでは決してなかった。
硬そうな寝台と机がひとつきり。壁には大きな鏡が飾られているが、絵画や造花の類はない。
天井にはシャンデリアさながらに邪黒水晶の塊が吊るされており、暗い室内で妖しい光を放っていた。
瘴気がまた一段と強くなる。胸が息苦しくてたまらなかった。
デマンドは優雅な仕草で、うさぎを寝台に横たえた。軋む音と同時にデマンドの匂いが立ち上り、その匂いを覚えてしまった自分に、吐き気がした。
「休ませてくれるんじゃなかったの……」
恨みがましい目で告げると、デマンドはかすかに笑った。
「目を離したら自殺でもされかねんからな。今日の躾はここまでだ、安心して休むがいい」
どこか嬉しそうな顔だった。こんな腐った男でも、一人前に添い寝というものに憧れていたのだろうか。
デマンドの指がうさぎの胸に伸び、耳朶と乳首に固定されていたイヤリングを抜き取った。
黒ずんだ乳首がズキズキと痛む。顔を顰める少女には構わずに、彼はその先端をそっと口に含む。

「や…っ!」
ひんやりとした口内の感触に、うさぎは身を捩った。
青年は少女の胸に顔を埋めたまま、赤子のように乳首を吸い始めた。愛情も必要性も感じられない行為だった。
濡れた舌先がコロコロと突起を苛む。時にそれを甘く噛み、両手全体で乳房を捏ねるようにしながら、唾液をまぶしていく。
「これを続けていれば、胸などすぐに大きくなる。ジュピターにも負けないくらいにな」
感謝しろとでも言わんばかりの口調だ。
「やめて……!」
今度の『やめて』は、違う意味だった。
このまま助からないのなら、せめてタキシード仮面と四守護神だけでも守りたい。そのためには、多少なりともデマンドに従う振りをする必要がある──けれど。
だからと言って、心の奥底から湧き上がってくる嫌悪に、耐えられるはずもない。
「あたしの友達の名前を、これ以上口にしないで!汚らわしいっ!!」
うさぎ自身、自分の発した言葉に驚いていた。
性行為自体が汚いのではない。こんな卑劣な手段を用いて地球を我が物にしようとする、デマンドの思考が汚い。
(そうよ、汚らわしい…こんな奴、血をいっぱい出して、死んじゃえばいい!!)
正義のヒロインとは思えぬことを、うさぎは本気で思った。人をこれほどまでに憎いと思ったことは、産まれて初めてだった。
何をされてもじっと耐え、温厚に微笑んでいるのがお姫様だとしたら、プリンセスの地位など要らない。
今なら、レイの気持ちが判る。変身できなくても、力が及ばずとも、自分なりの正義と戦う意思があれば、少女は立派な『戦士』だ。
「友達?」
デマンドは鼻で笑う。
「生憎、俺はそのようなものは信じていない。血縁に勝る絆などあるものか」
血を分けた者にしか愛情を抱けない。それはこの男が、どこまでも自分だけを愛している証拠だった。
「あたしだって他人じゃない。あなたとは何の縁もないわ!」
「だから、これから妻にしようと言っている」
低く呟くと、デマンドは少女の鎖骨に舌を這わせた。そのまま、白い乳房の到るところにキスマークを残していく。
「う……ぁああ……」
毛穴から毒が流し込まれるような感覚だった。いずれ子供を産むための大事な器官を、青年は容赦なく汚す。
躾はここまでと宣言したのを思い出したのか、デマンドは愛撫を中断する。怯えるうさぎの顔を、息がかかるほど間近で覗き込んだ。
「エスメロードと、あの男の行為を見ていてわかっただろう。お前は俺と同じで、独占欲が強い。恋人に対しても、友人に対しても」
「そ、んなこと……」
目を逸らすのを、闇の王子は見逃さなかった。
「敵の子を孕んだマーズを、これまで通り愛せるか?もしあの娘が『産みたい』と言ったら、受け入れられるか?」
「レ……レイちゃんがそんなこと言うはずがないっ!!」
何故、憎んでいる男の子を産まなければならないのか。女を馬鹿にするのも大概にして欲しい。

59:ムーン陥落73
06/08/12 23:09:24 p7DXVfFX
「その考えが既に傲慢だというのだ。するはずがない、とどうして断言できる?あいつらは人間だ、心変わりもあるだろう。お前がそれを認めようとしないだけだ」
「違う…違うもん!!」
うさぎは頭を振った。否定すればするほど、それが事実だと思えてくる。
「違うものか。お前は、自分がそうあって欲しいと思う理想の姿を、相手に押し付けている」
青年の言葉は、少女の胸を鋭く貫いた。
レイが敵の子供を産むなど、考えられなかった。いや、産むはずがない。悪者になって堕ろせと告げる勇気もないくせに、漠然とそう思っていた。
これが、この気持ちが、傲慢だと言うのか。
「違うもんっ!あたしはレイちゃんを信じてる!ただ、げ、ぷ……」
叫んだ瞬間、食道から苦いものがせり上がってきた。デマンドに大量に飲み込まされた精液が、喉を圧迫したのだ。
下腹部は相変わらず重く、不自然な体勢を強いられた身体にも無理が来ている。この男に対する憎しみが、辛うじて少女の精神を支えていた。
デマンドはうさぎの額のしるしを指でなぞると、誘惑するように囁いた。
「それほどまでに仲間を信じているのなら、ひとつ賭けをしないか」

生温かい吐息の不快感よりも、その言葉の内容が気にかかった。

「か、け……?」
「マーズが出産を選んだらお前の勝ちだ。お前を解放するのは無理だが、四守護神とあの男の命だけは助けてやる」
思いがけない申し出に、うさぎは息を呑んだ。
自分はどうなろうとも、仲間たちだけはと思っていた矢先、その心情を見透かしたかのように降って湧いた提案だった。
だが、ここですぐに飛びつくには、うさぎはこれまで酷い目に遭い過ぎた。
「なにを企んでるの。あなたがそんな約束、守るはずない!」
人間だ、心変わりもある──とは、本人の口から聞いたばかりだが。
実際、そんなにすぐに変わるものではない。つい先ほどまで、月の一族は殲滅すると断言していたくせに。
「ずいぶん嫌われたものだな」
デマンドは肩を竦める。これだけの事をして、まだうさぎに好感を持ってもらえるつもりでいたのだろうか。
睨み続ける少女から視線を外し、デマンドは遠くを見つめた。
「まあいい……本音を言うと、エスメロードのためもある」
「エスメロード?」
またしても意外な単語が出てきた。
「子供には父親が必要だ。俺の代わりに、あの男がエスメロードを支えてくれれば……」
「やめて!!」
折り重なる二人の姿を思い出し、うさぎは悲鳴を上げた。
タキシード仮面とエスメロードの子供。考えたくない未来が、目の前に立ちはだかっている。
「あいつは長年、道ならぬ恋に悩まされてきた。そろそろ解放してやりたい」
デマンドは柄にもなく優しい目をした。
あまりの傲慢さに眩暈がする。エスメロードを苦しめている帳本人が、ぬけぬけと何を言うのか。
しかしデマンドにしてみれば、それで彼女の心を救ってやったつもりになっているのだろう。
身の程知らずにも、プリンセスである自分に惚れている部下の女。気の毒だから代わりの男をあてがってやり、子供を産ませて、めでたしめでたし。本気でそう思っているらしい。
当人に全く悪意がないのも重要だ。なるほど、世に溢れる陵辱魔も、きっとこんな独善的思考の持ち主であるに違いない。
即ち、自分のする事を喜ばない女の方が、どうかしている、と──。

「あなたは馬鹿よ!女の子の気持ちなんて、一生理解できないっ!!」
うさぎは既に、この男の言動どころではなく、存在そのものが許せなくなっていた。
真性の悪、生まれついての悪。それを目の当たりにしていた。心を込めて接すれば、誰とでも友人になれると信じていたのが、遠い昔の事のように思える。
怒りよりも、憎しみよりも、ただただ悲しかった。デマンドにもきっと母親がいただろうに、こんな風に育ってしまった息子を見たらどう思うのだろう。

60:ムーン陥落74
06/08/12 23:10:32 p7DXVfFX
「……俺のために泣いてくれるのか」
デマンドの呟きで、枯れたはずの涙が頬を濡らしているのに気付く。
確かに、うさぎは泣いていた。あまりにもデマンドが哀れで。そう、今はこの青年を、心底可哀想だと思う。
ここに銀水晶があるのなら、今すぐ浄化してやりたい。これ以上、デマンドが戯言を述べるのを見ていたくない。
「あなたのためじゃない……」
うさぎへ向ける思いゆえに、彼が狂ってしまったのだとしたら、こんな男を生み出してしまった自分が情けない。
けれど感傷に浸っている暇はなかった。デマンドはタキシード仮面のみならず、四守護神さえも助ける意思があると言った。

「プリンス・デマンド」
うさぎは初めて彼の正式名を呼ぶ。万が一にでも、仲間たちが助かる可能性があるのなら、それに乗ろう。今の自分に出来る事は、それしかない。
「本当に、レイちゃんたちも助けてくれるの?どうして?」
恋敵であるタキシード仮面に慈悲を与えるのは、エスメロードのため──だが、四守護神を生かしておく理由など、デマンドにはない。
一体何故?
見つめ続けると、デマンドは苦笑した。
「言っただろう、俺は独占欲が強いと。そもそも、邪眼の力を使えば、お前などすぐにでも奴隷に出来るのだ」
背筋が凍るような事を、彼はさらりと告げた。
地球侵略のために、ワイズマンという男から授かった邪な力。それは、人には見えないものを見、また相手を意のままに操る能力だった。
「しかし、それでは意味がないと気付いた。お前が自分の意思で仲間を手放さなければ、俺は連中に勝ったことにはならない」
だから賭けをするのだと、デマンドは言った。
うさぎはそれで、ようやく理解した。レイに出産を強要すれば、レイの本心はどうあれ、うさぎは仲間たちに不信を抱かれる。
だがそれと引き換えに、四守護神の命は助かる……。
(ずるい……!!)
うさぎは悔しさにうなだれた。
憎まれるか、失うか。選択肢はふたつしかない。
考えるまでもなく、うさぎが選ぶ道は決まっていた。
「……その賭け、乗るわ。レイちゃんに、ルベウスの子供を産んでくれるように頼んでみる……」
親友を傷つける事を決意したうさぎの目には、光がなかった。
彼女の本心で言えば、敵の子供など産んで欲しくはない。しかし彼女の命を救うためには、賭けに勝つしかない。
「では明日の朝一番に、マーズの元へ行って来い」
冷たいとばかり思っていた青年の声が、今は能天気にさえ聞こえる。レイがどちらの道を選択するにしろ、彼の腹は少しも痛まないのだ。

絶望に痛む頭を抱えながら、うさぎはゆっくりと顔を上げた。
どうしようもなく哀れな男。この男の傍にいて、一生をかけて更正させるのも悪くないかも知れない。
「馬鹿って言ったの取り消すわ。あなたマーキュリーより賢いかも」
それは、うさぎにしては精一杯の皮肉であった。
伊達にプリンスを名乗っているわけではないらしい。これでうさぎは、本格的に逃げ場がなくなった。
「知恵の神よりもか。光栄だな」
大して嬉しくもなさそうに、デマンドは答えた。
四守護神の名を口に乗せるたびに、彼は苛立ちを隠せない表情をする。
(もう一度、ゲーセンで遊びたかったな……)
そんな現実的なことが、ふと頭をよぎる。
二度と、レイたちと楽しい時間を過ごす事はない。全て、自分が招いた事の結果だ。彼女らにこれ以上被害が及ばないために、うさぎは自ら盾となる。
うさぎの肩が、デマンドの胸に引き寄せられた。抵抗する気力もない少女は、そのまま大人しく抱かれる。
タキシード仮面、四守護神──大切なものを手放す事で、己の過ちは全て精算し、これまで無意識に傷つけてきた人々への贖罪に代えるつもりだった。
それで全てが終わるのだと思っていた。

61:ムーン陥落75
06/08/12 23:11:49 p7DXVfFX
悲しいかな、彼女は気付いていない。己の犯した、もう一つの過ちに。
嫌がる女を犯すのは最低だと言いながら、自分もかつてベルチェに同じ運命を与えた事を。
衝撃的な体験が続いたために、記憶が一部欠如している。そのピースを埋めない限り、月野うさぎはデマンド同様、愚かな人間のまま終わるだろう。

(さよなら、まもちゃん……)
自己犠牲の裏返しは、自己満足であった。
他人のためではなく自分の罪滅ぼしのために、彼女はデマンドに両脚を開いた。
月の女神は、地上の人間に向けては優しい微笑みと神々しい光を絶やさない。その裏側に、どれほどの深い傷や闇を抱えていても。



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絶望の足音を、マーキュリーは確かに聞いていた。
蔦に捕らわれてから、どれほどの時間が経過したのかわからない。ただはっきりと言えるのは、自分はもう二度と、仲間に笑顔を向けることは叶わないという事だった。
笑顔だけではない、真顔にしてもそうだ。一体どんな顔をして、うさぎたちに会えばいいと言うのか。
大切な仲間だった。憎んだりした事など一度もなかった。ただ、心の奥底では、『見下していた』部分もあった。
清らかなだけの少女などいない。本音の部分を見せても、仲間たちはしっかり受け止めてくれるだろう。そんな事は、とっくに判っていた。
しかし、亜美の生まれ持った矜持が、他人に弱音を吐く事を許さなかった。自分の心の弱さを認めることが出来ず、レイに暴言を吐いて、傷つけた。
その結果がこれだ。

「ま……きゅり…………」
ジュピターの荒い息遣いを近くに感じる。呼吸をするための器官以外を全て塞がれているマーキュリーには、彼女の姿を捉えることは出来ない。
自分たちをここに置き去りにしたレイを、恨む気にはなれなかった。マーキュリーはそれだけのことをしてしまった。
気の強い彼女が、目に浮かべた涙。胸倉を掴んだ熱い手。傷ついて立ち去る背中。忘れられない。
それでも、ジュピターまで道連れになってしまったことだけが、残念だった。彼女の性格上、マーキュリーとマーズ、どちらの味方にもつくことは出来なかったのだろう。
「寝たら、だめだ……戦う、んだ」
身体を蔦に埋もれさせながらも、必死にこちらに近づこうとしている気配が伝わってくる。
いつもマーキュリーを案じてくれる、面倒見のいい少女。こんな時にも、自分の事より友人を心配してくれている。
申し訳なく思う反面、この場所に一人ではないことに安堵している自分がいた。陵辱された時は、たった一人で苦痛に耐えていたから……。

(どうして?)
既に解答が出た問題を、マーキュリーは何度も何度も解き直す。
(みんなは愛されるのに、どうしてあたしだけ)
うさぎたちはいつも正直で、真っ直ぐに気持ちをぶつけてくる。だから、相手もそれに応えようとするのは当たり前だった。
醜い心が、内側からどんどん胸を突き上げてくる。もう取り返しがつかない。
自分の存在が重く疎ましい。この世界から消えてしまいたい。水野亜美というちっぽけな存在を、消してしまいたい。
消えてしまえば、もう何も見なくて済む。レイの悲しそうな顔も、うさぎの涙も、まことの不安げな声も、離れていく美奈子の後ろ姿も。
身体に絡まる蔦の感触が、今は母親の腕の中のような安寧をもたらしていた。あれほど恐怖していた闇が、今は穏やかな眠りへと彼女を誘う。
そう、受け入れてしまえば楽なものだ。この身体は自分のものではない。神様から一時的に借りているだけで、命が尽きれば遠く懐かしい、原子の海へ還っていく。
(このまま……消えてしまいたい……)
しかし、運命はマーキュリーを楽にはさせてくれなかった。

62:ムーン陥落76
06/08/12 23:12:57 p7DXVfFX
棘を含んだ女の声が、彼女を現実に引き戻す。
「友人を傷つけておいて、自分だけが一足先に楽になろうってわけ?」
全身にスポットライトをあてられたように、意識が鮮明になった。
いつの間にか部屋の扉が開かれ、外の風が流れ込んでくるのが、気配で判った。
(この声は……)
記憶にあるデータを辿る間もなく、女の気配が近づく。
顔面を覆う蔦が、ベリベリと乱暴に引き剥がされる。楽にはなったが、傷ついた皮膚が火傷のような痛みを訴えた。
光に慣れない目を瞬かせ、マーキュリーはようやく視界に映る女の姿を捉えることに成功した。
目の前に仁王立ちになっていたのは、あやかしの四姉妹の末っ子、コーアンだった。
「お目覚めなさい、マーキュリー。あなたにはまだやってもらいたいことがあるの」
マーキュリーはコーアンの目をじっと見つめた。レイのような情熱的な炎ではない、暗く淀んだ炎しか出さない女の目を。

「出来ないわ」
自分でも驚くほど、はっきりした声が出た。
彼女がここに来た理由くらい、察しが付いている。先ほどの光景を見て、マーキュリーを味方に引き入れる気になったといったところか。
敵にもはっきりと判るほど、あの時の自分は醜い顔をしていたのだろう。ますます気が滅入ってくる。
「……まだ何も言っていないでしょう」
コーアンは不快そうに顔を顰めた。一蹴されるとは予想だにしなかったようだ。
「あなたを陵辱した男は、あたしが骨の髄まで燃やしてあげたわ。今こそ、恩を返すべきだと思わない?」
おぞましい記憶をわざわざ思い出させるように、コーアンは耳打ちした。
マーキュリーはぎゅっと瞼を閉じた。
『プールに謎の女が現れ、居合わせた男性数名を焼殺』の見出しが、脳裏に浮かぶ。
あれがコーアンであったことなど、とうに判っていた。彼女の姉・ベルチェのために行われた仇討ちであったことも。
甦る陵辱の記憶……体中を這い回る男の手の感触と、生温かい精液の匂いと味。
身体が二つに裂けるような衝撃、夜中にうなされて何度も飛び起きる苦痛。用を足すたびにヒリヒリと痛む、少女の部分……。
皮肉な話だが、彼らだけは、マーキュリーを特別視しなかった。天才少女と敬遠するでもなく、愛情を注ぐわけでもなく、その他大勢の女の一人として扱っていた。
『言葉の綾でもそんなこと口にしたらだめ!』
レイはそう言ったが、実際あのような目に遭うまで、マーキュリーは他人の痛みがわからなかった。
強姦などされるのは、勉強を放り出して夜遊びするような、派手で素行の悪い女の子だけ。だから自分は大丈夫。そんな偏見を抱いていた時期も、確かにあったのだ。
今更レイに許してもらおうとは思っていないが、開き直って敵に回るほど腐ってもいない。
自分が消えるのが、周囲にとって一番良いのだ。マーキュリーがこれ以上学ぶ事など、この世界にはない。
「殺しなさい。仲間を裏切るなんて出来ない……」
死を覚悟しているマーキュリーを、コーアンは憎々しげに睨み付けた。
「かわいくない女ね。そんな事だから孤立するのよ」
マーキュリーは言い返さなかった。その通りだと思ったからだ。
あとは、コーアンの神経を逆撫でする言葉を二・三告げて、憎しみの炎が自分の身体を焦がすのを待てばいい。そうすれば、彼女はようやく壱から零に還る。

「ウラワ──だったかしら?あなたのボーイフレンド」
ぽつりと漏らされた言葉に、マーキュリーの背中がすっと冷えた。
何とか平静を装おうとしても、あの日以来ポーカーフェイスを維持しにくくなった彼女は、顔が青ざめていくのを止める事が出来ない。
コーアンはそれを面白そうに眺めながら、腕を組んだ。
「今は日本の首都から離れたところに住んでいるのよね。寂しいでしょう?ここに呼んであげてもいいのよ」
その言葉が意味するところは明白だった。
浦和少年は、亜美が心を許す数少ない異性であった。恋愛が育つ前に彼は遠くに行ってしまったが、今でも手紙のやり取りをしている。
少し気弱そうな容貌と「水野さん」と呼ぶときのはにかんだ笑顔を思い出し、胸が苦しくなった。

63:ムーン陥落77
06/08/12 23:14:18 p7DXVfFX
「彼には……手を出さないで」
額に汗が浮かんでくるのを感じ、改めて生きているのだと実感する。
彼だけは、巻き込むわけにはいかない。彼が危害を加えられることへの恐れはもちろん、こんなになってしまった自分を見せたくないという思いもある。
得たりと、コーアンが身を乗り出す。
「じゃあ、協力してくれるわよね?」
「マーキュリー、駄目だっ!!」
鋭い声が耳を打った。
傍らを見れば、ジュピターが肩で息をしていた。
緑に埋まっていた上半身があらわになっている。今の会話を聞いて、自力で蔦を断ち切ったらしい。

「さすが馬鹿力……」
コーアンがクスクス笑う。
「その力を『あの時』使えていたら、辱められる事もなかったのに」
女の言葉は、ジュピターの傷口に容赦なく塩を塗りこむ。
マーキュリーは思い出していた。病院に運び込まれたジュピターが、ずっとうわ言で月野うさぎの名を呼び続けていた事を。
その時、すぐ傍に亜美がいたにも関わらず、お団子頭の少女に救いを求めていた。
まことの親友を自負していた亜美には、それが悲しかった。だから学校でうさぎと再会した時、変わらぬ能天気さに落胆し、つい八つ当たりしてしまった。
(そう、元はと言えば私のせい……)
マーキュリーの瞳に浮かぶ影が濃くなる。
(悲劇は、私のところで止めるべきだった。その手段が私にはあった)
セーラー戦士の能力を奪うために、ブラック・ムーンが使ってくる手段など、最初からわかりきっていた。
対策を立てるのがブレーンの仕事だった。ヴィーナスの時もマーズの時も、そしてジュピターの時も、防衛策はいくらでもあったのだ。
それなのに、セーラー戦士は次々と犯された。

──ワタシダケガキズツクノハ、フコウヘイダモノ。

(そんな思いが、少しも『なかった』と断言できる?)
もう一人の自分が、脳裏で嘲笑う。振り払っても、振り払っても、泡のように次々と、黒い感情が浮かんでくる。
四守護神は変わっていくのに、セーラームーンは少しも変わらない。
マーキュリーの仇を討ってくれたとは言え、その技でベルチェを陵辱した事もすっかり忘れて、いつまでも純真無垢な少女のつもりでいる。
あの男たちの死。まさか、セーラームーンは計算していたのだろうか。復讐できないマーキュリーの代わりにコーアンが動いてくれるように、敢えてベルチェを陵辱した?
(その可能性も……ある)
復讐は確かに果たされたし、マーキュリーも自分の手を汚さずに溜飲を下げることが出来た。
あれが無意識の結果ではなく、そうなることを予測しての行為だとしたら、マーキュリーはセーラームーンに対する認識を改めなければいけない。
「セーラームーンは……あなたが思っているほど、愚かではないわ」
マーキュリーは静かに告げる。
「喩え自分の保身のためだったとしても、あの子は私達を必要としているし、いつも助けてくれる。そばにいる理由は、それで十分……」
「では、必要とされなければお仕舞いってわけね?」
コーアンが冷やかす。
「あの娘は、デマンド様の后になる事を承諾したわ。つまり、四守護神はもう用済みってわけ」
マーキュリーたちにとっては、初めて聞く単語だった。
「デマンド……?」
「いずれ地球を支配する王の名前よ。その役に立たない脳味噌に、しっかり刻み込んでおくのね」
コーアンは両目に哀れみの光を浮かべて、二人の戦士を交互に眺める。
かたや、誇り高く散った主を今でも尊敬している女。かたや、無自覚な主に振り回され、ぼろぼろに傷ついた娘たち。
両者の間にしばしの沈黙があった。すぐに反論が出てこないのが、マーキュリーたちが揺らぎつつある証拠だった。

64:ムーン陥落78
06/08/12 23:16:23 p7DXVfFX
「……う、嘘だ!」
辛うじて搾り出したらしいジュピターの声には、力がない。
うさぎの名を呼び続けても救われることがなかった彼女の悲しみが、否応無しに伝わってきた。
「誰だよ、デマンドって!セーラームーンには、タキシード仮面がいるんだぞ!」
蔦に覆われたジュピターの豊満な肉体が、震える。
悲しみなのか憤りなのか、またそれはコーアンに対してかうさぎに対してか。
マーキュリーも同種の憤りを感じていた。あれほど忠告したのにまんまと敵の罠に落ち、好きでもない男と将来を誓わされているらしいセーラームーンに。
それとも、これも彼女の『計算』なのだろうか。
「私たちに何をさせたいの……」
マーキュリーは、疲れ切った声を女に投げかける。
既にレイは能力を失い、ヴィーナスも行方が知れなくなっている。自分たちの力が必要なほど、敵が追い詰められているようには見えなかった。
『力を思うように振るえないマーキュリーたちにしか出来ない事』。それを突き詰めて考えれば、自ずと答えは出る。
マーキュリーは、相手の言葉を待った。自分からその可能性を口にするのは恐ろしかった。
コーアンの口元に笑みが刻まれた。

「マーズの出産を阻止してもらうわ」

マーキュリーの心臓が跳ね上がる。
ジュピターも目を剥いていた。その素直な反応に、コーアンは満足そうに喉を鳴らした。
「レイちゃんが……」
やはり──という思いと、まさかという思いが、マーキュリーの中で激しく鬩ぎあった。
思わずジュピターを見る。
あの日、気を失ったレイの股間からルベウスの男根を抜き取ったのは、他ならぬジュピターであった。あれを医者に発見されたら、一大事になるからだ。
最初は他の仲間が抜こうとしたが、膣が痙攣を起こしていたらしく、どうやっても抜けなかった。
しかしジュピターが優しく声をかけながら引っ張ると、十分近くかけてようやく取れたらしい。
これは全て後から聞かされた話だ。やがてルナとアルテミスが、亜美のマンションに男根を運んできた。
シャーレに入れて密封されたそれを最初に見たときは、つい顔を背けたが、やはり好奇心の方が勝った。
使い方一つで、女性を苦しめる事も喜ばせる事も出来る男性器──それも、地球の人間のものではない、ときている。
亜美はそれから、マンションにこもって解析を始めた。不思議と、背徳的な気分はなかった。
直に触れたわけではないが、薬品に漬けたり刻んだりする事で、まるで男性自身を支配したような気になっていた。
抵抗できない相手を弄んでいる……それは、まさにマーキュリーが体験した陵辱に似ていた。少しだけ気分が晴れる自分が忌ま忌ましかった。
どうせなら性器だけでなく、『本体』も一緒に付いて来れば良かったのに。そうすれば、苦悶する男性の表情も味わう事が出来たのに。
ふとそんな考えが浮かび、亜美はぞくりとした。
(私、なんてことを……)
医者を志す者としての好奇心だけではない。紛れもなくサディスティックな欲望が、己の中にある。
あの男たちだけを責められなかった。コーアンが彼らを始末してくれたと聞かされた時、正直ほっとしていたのだ。
正義の戦士としては、彼らを殺すわけには行かない。だが、人間の尊厳を踏みにじられた、一人の少女としては……。

「レイちゃんが、妊娠してるって……?」
ジュピターの震える声が、マーキュリーの回想を破った。
「そんな馬鹿な。だって、避妊薬は飲ませたはずだ!」
顔色は、青を通り越して白色になっている。
十代の少女には重すぎる事実を突きつけられ、あからさまに狼狽している。
マーキュリーの方は、ある程度心構えが出来ていた。ルベウスの男根から採取した精液は、人間のものとほぼ変わらなかったのだ。

65:ムーン陥落79
06/08/12 23:18:12 p7DXVfFX
「さぁ、知らないわね。マーズ自身に、ルベウス様の子供を産みたいって気持ちがあったんじゃないの?」
「非科学的なことを言わないで!」
叫ぶマーキュリーを、ジュピターは驚いた顔で見ていた。
無神経な言葉でレイを傷つけたマーキュリーだったが……いや、だからこそ、コーアンの今の発言が許せなかった。
「妊娠は、女性の意思とは関係がないわ。薬や周期である程度調節は出来るけれど、確実ではない。だからこそ苦しむ人がいるのよ」
今の水野亜美が医者になったら、絶対に人体に影響を与えない避妊薬を開発するだろう。多くの女性が、望まぬ妊娠に悩む事がないように。
しかしそれによって、強姦自体が軽んじられる結果になる恐れもあった。今でさえも、処女でない女性や不妊の女性を犯すことは罪にならない、などと言い出す輩が存在するくらいなのだ。
どれほど便利なものを生み出しても、それを利用するのが人間である限り、過ちは繰り返される。知恵の神でもそれは止める事が出来ない。
人間の愚かさを詰るブラック・ムーン一族の心情が、今となっては少しだけ理解できる。
「それに、レイちゃんは、ルベウスを愛してはいないわ。ルベウスが今生きていないのが、何よりの証拠」
友人に投げかけた前言をきっぱりと否定し、マーキュリーはコーアンに向けて憤りの眼差しをぶつける。
レイは、目の前で好きな男が死んでいくのを、のんびり眺めているような少女ではない。ルベウスが死んだのは、彼がレイにとって敵だったからだ。
犯され、傷ついて、救いを求めるレイの心を踏みにじったのは自分──改めて、マーキュリーは己を恥じていた。
失ったものはもう戻らない。ただ、これ以上レイを貶めるような真似だけは……。

「そんなことはどうでもいいのよ」
コーアンはうるさげに髪をかき上げた。
「あたしだって、ルベウス様があんな小娘に惚れてたなんて、信じたくはないわ。でもマーズが妊娠している事は、紛れもない事実なの」
ジュピターの瞳が絶望に曇った。
「レイ、ちゃん…」
膨らんだ腹を抱えるレイの姿を想像する。もう二度と、あの勝気な振る舞いを見ることは出来ないのだろうか。
敵の子供を産んだ少女を仲間と言い切れるか、今のマーキュリーたちには自信がない。
「デマンド様やカラベラスお姉さまは、どうやら産ませる気でいるわ。でも、あたしとペッツお姉さまは絶対に認めない。あなたたちだってそうでしょう?」
マーキュリーたちは答えられない。
あまりにも衝撃が大きすぎて、すぐに返事など返せない。
レイは今、好きでもない男の子供を抱えて、どんな思いでいるのだろうか。自分たちの気持ちより、そちらの方が気になる。
答えない彼女たちに苛立ったのか、コーアンが床を足で蹴った。
「マーキュリー!マーズやヴィーナスを妬んでいたんでしょう!?あの二人が幸せになるのを、黙って見過ごせるの!?」
マーキュリーの葛藤は、あやかしの四姉妹に筒抜けらしい。
犯された時から、他の仲間に対して距離を置いていたことなど、とうに見抜かれている。
この鬱屈を解消するためには、他のセーラー戦士たちにも、マーキュリーと同じ目に遭ってもらわなければならないのだと、誘惑してくる。
(できない……そんなこと……)
これ以上仲間を傷つけたら、少女としてだけでなく、人間として大事なものまで手放す事になる。
コーアンは語った。ブラック・ムーンの目的と、セーラームーンの未来の姿。ちびうさの正体、現在のマーズとヴィーナスの状況。
それらはマーキュリーの想像を遙かに超えるものだった。勝ち目はないと思い知らされながらも、逃げる事が許されない現状だった。
『死』さえも、コーアンは許してくれない。
「逆らう気なら、あなたの母親やウラワを殺すわよ。それでもいいの?」
マーキュリーの死は、そのまま彼らに引き継がれる。コーアンはそのように脅している。

「だめだ……そんな、こと……」
ジュピターが首を振った。好きな人もいず、天涯孤独の彼女には、失うものなどない。仲間たち以外には。
コーアンはおもむろにジュピターを振り返った。
「ジュピター、あなたもよ?」
「え……」
「お望みとあらば、例の男たちに復讐してあげるわ。まさか、このまま泣き寝入りする気ではないでしょうね?」
にっこりと、まるで聖母のような笑顔で、コーアンは申し出た。
マーキュリーの時と同じように、ジュピターを犯した男たちを成敗してくれると言うのだ。
それは、まさしく魅力的な申し出だったに違いない。正義の戦士に人殺しなど出来ないが、人を憎む気持ちがないわけではない。
ジュピターの行き場のない苦しみを傍らで見ていたマーキュリーにも、その思いがわかる。

66:ムーン陥落80
06/08/12 23:21:06 p7DXVfFX
「だってあたしたちはそのためにいるんですもの」
甘い口調で、コーアンは告げる。
「悪役がいなければ、正義の味方も成り立たない。あなたたちが表に出せない妬み、苦しみ、恨み……全部あたしたちが片付けてあげるわ」
もはや、どちらが正義なのか、マーキュリーにはわからなくなっていた。
きっかけは彼女たちとは言え、自分をジュピターを傷つけたのは間違いなく『人間の男』だった。
変わるべきなのはブラック・ムーン側ではなく、人間たちの方ではないのか。人間の男たちさえ、いなくなってしまえば。
「ほんとう、に、殺してくれるのか……?」
おずおずと、ジュピターが口を開いた。
敵の甘言に流されかかっていたマーキュリーは、慌てて身を乗り出した。
「だめよ、ジュピター!」
先ほどはジュピターに止められたが、今度はこちらからだ。やはり自分たちは気の合う親友──こんな事で合っても、少しも嬉しくはなかったが。
「人殺しを認めてはだめ。辛いのはわかるけど、でもそれを許してしまったら、私たちは…」
「マーキュリーがそれを言うのかい?」
ぞっとするほど低い声が、マーキュリーの心を痺れさせた。
ジュピターは、これまで見たこともないほど冷たい目で、マーキュリーを見ている。憎しみすらも感じさせるほど。
いつも優しくおおらかで、誰よりも女性らしかったジュピターが、ここまで拒絶に満ちた目をするとは。

(同じ、だわ……)
絶望的な気分で、彼女は思う。
レイを傷つけたマーキュリーが、今度は同じ思いをジュピターにぶつけられている。まさに因果応報だった。
「マーキュリーはもう、コーアンに仇を取ってもらったじゃないか。だから、そんな事が言えるんだろう?」
全くその通りだった。
頼んだわけではないとは言え、コーアンはあの男たちをこの世から消してくれた。その事を喜んでしまったマーキュリーに、ジュピターを責める資格はない。
「で、でも……」
冷や汗が流れた。
いつものように、反論がすぐに出てこない。ジュピターの冷たい眼差しが怖くて。それほど、マーキュリーにとって彼女は特別な存在だった。
多分初めて出会った時から、変な意味ではなく彼女が好きだった。他人のためにしか腹を立てない、弱きを助け強きを挫く保護の戦士に、強く惹かれていた。
知らず知らずのうちに、彼女になら何をしても許してもらえるのだと、甘く見ていた節がある。レイと喧嘩したときも、当然自分の味方をしてくれるのだと思っていたくらいだ。
「まこちゃん……私は……」
ジュピターでなく『まこちゃん』と、マーキュリーは呼んだ。
彼女はいよいよマーキュリーを軽蔑しつつある。美奈子を避け、レイを傷つけ、まことを思いやらない、そしてうさぎを守ろうとしないマーキュリーを。
(いや!!まこちゃんにだけは、私……!)
気付かされる。いつの間にか、水野亜美は木野まことを母親のように思っていたのだと。
仕事で忙しく構ってくれない母親に代わって、自分の中の理想の母親像を押し付けていたのだと。
まこと自身の苦しみには、目を向けようともしなかった。彼女が病院に運ばれた時、同じ苦しみを共有できて、嬉しいとさえ思ってしまったのだ。
「『亜美ちゃん』は、いつだってそうだ。自分の事がいちばん可愛いんだね。犯されたことだって『勉強になる』なんて言い切って、他の人にも自分と同じ考えを押し付けるんだ」
「ち、違う……」
マーキュリーには、冷静に言い返す事が出来なくなっていた。
友人が自分を責めている。たったそれだけのことで、思考回路がパニックを起こしている。胸が苦しくなり、脳に酸素が回らない。
あの時のレイも、こんな気持ちだったのだろうか。『体験しなければ相手の気持ちがわからない』のでは、陵辱犯と水野亜美のどこに違いがあるのだろう。
マーキュリーは、言葉でレイを陵辱したのだ。そして、自分が同じ目に遭って初めて………気持ちがわかる。
「さっきレイちゃんにそう言ったじゃないか!!」
ジュピターは声を荒らげる。彼女なりに、先ほどのマーキュリーの発言には腹を立てていたようだった。
「辛い経験をしたおかげで、って、はっきり言ったじゃないか。自分が立ち直ったからって、立ち直れない人を見下してもいいのか!?相手を憎む気持ちを、抱くことさえ許されないって言うのか!」
そんなつもりはなかった。言おうとしても、言葉が続かない。必死で弁解を口に乗せようとして、口をぱくぱくと動かす少女。普段の穏やかさはどこへやら、血相を変えて友人を責める少女。
コーアンは、何かの芝居でも鑑賞するように、それらを楽しそうに見ていた。自分たちを苦しめたセーラー戦士が仲間割れする様子は、彼女にとってはこの上ない娯楽だろう。

67:ムーン陥落81
06/08/12 23:23:51 p7DXVfFX
「盛り上がっているところ悪いんだけど、時間がないのよ」
パチンと指を鳴らすと、コーアンの指先に青白い炎が生まれた。
炎はマーキュリーたちを絡め取っている蔦を焦がすべく、矢のように二人を襲った。
蔦には意思があった。炎に焦がされまいと、慌ててマーキュリーたちを床に放り出す。シュルシュルと蔦が収束し、もとの位置に戻っていった。
床に投げ出された二人の目が合った。普段なら、お互いを庇うように抱きしめるところだが、今は気まずく目を逸らすだけだった。
コーアンが傲然と命じる。
「明日の朝、マーズのところに行ってらっしゃい」
逆らう事など許されない、と言わんばかりの声音だった。
「説得して堕胎させるか、もしくは腹を殴ってでも阻止するのよ。その時、あたしの名前を出したら、どうなるか判っているわよね?」
さすがのコーアンも、デマンドとやらには逆らえないらしい。
一体どんな男なのか──ルベウスよりも恐ろしい男など、とても想像する気にはなれない。

立ち上がったのは、ジュピターの方が先だった。
まだ床にへたりこんだままのマーキュリーを置いて、のろのろと出口へ向かう。マーキュリーは、その背中に声をかけることができなかった。
「どこへ行くの、ジュピター」
コーアンが問いかける。
「レイちゃんの、ところへ……」
虚ろな目をしたジュピターが答える。コーアンはにやりと笑った。
「その前に、シャワーを浴びた方がいいわ。ちょうど人数を揃えてあるの」

不吉な言葉に、マーキュリーは戦慄する。
コーアンは、もう一度指を鳴らした。その指が何故か、死神の鎌のように見える。
「入ってきていいわよ、あなたたち」
出口であり、入り口でもある場所から、五・六人の男がなだれ込んできた。
額には、もう見慣れたブラック・ムーンの印。
四姉妹たちやルベウスと異なる点は、決して美しいとは言えない容姿であることだけだった。
一様に醜悪な顔立ちをして、鼻息を荒くし、嘗め回すような目でマーキュリーたちを見つめている。品性のかけらもなかった。

(ま、まさか……)
マーキュリーは大きくのけぞった。
あの時と同じ警報が頭の中で鳴り響く。危険、危険、退避、退避。
「──ぃ、ひいいいいい!!」
あられもない悲鳴が、喉の奥から迸った。マーキュリーは恐怖に顔を歪め、男たちを突き飛ばした。
入り口近くにぼんやりと立っていたジュピターを押しのける。
「どいて、お願い!!」
マーキュリーが取り乱す様子があまりにも可笑しかったのか、コーアンは腹を抱えて笑った。
「あっはははは、本性が出たじゃない。でも残念ね、説得に応じなかったから、あなたたちにもマーズと同じ目に遭ってもらうわ」
男たちがマーキュリーを取り囲んだ。無情にも、入り口は目の前で閉ざされ、コーアンの生み出した青い炎だけがランプ代わりに浮かんでいる。
ジュピターは逃げる様子もなく、惚けたようにそれを見ている。暗闇の記憶を思い出さないよう、心を閉ざしているのだ。
「お、応じるわ!応じるから、お願い、それだけはやめてええっ!!」
狂ったように、マーキュリーは叫んだ。
男たちが何を目的としているか、聞かなくとも判る。その股間の隆起を見れば。

「わかるもんですか。あなたのことだから何か策を隠していて、土壇場で裏切らないとも限らないわ。刻印を焼き付けるのが、いちばん確実なのよ」

68:ムーン陥落82
06/08/12 23:25:27 p7DXVfFX
冷酷な発言に、背筋が凍る。マーキュリーの歯の根がガチガチと鳴った。
醜い男たちが、一斉に男根を剥き出しにする。むっとする匂いが鼻孔を押し上げた。
(逃げられない……どこまでも、どこまでも追ってくる)
「いいいぃい、いぁやああああああーーーー!やめ、やめえええ!」
暴れるマーキュリーの肢体を、ブラック・ムーンの男たちが押さえつけた。
ジュピターは無抵抗だった。糸の切れた人形のように、空中を見つめている。
男の一人が近づき、彼女の顔面に尿という名のシャワーを浴びせかけた。凛々しい顔が、たちまち黄色く汚れていく。
「あん……かた……だよな……」
かすかな呟きが、マーキュリーの耳に入る。
「あんたたちは、あたしの味方だよな。酷いことはしないだろう?守ってくれる、よな……?」
ジュピターは幼い子供のように、男の腕を掴んでいた。
尿が目に入るせいで、その瞳は細められ、まるで陶酔しているように見える。大人びた顔立ちと相まって、それが妙に色っぽかった。
男たちは下卑た笑いを浴びせた。
「こっちの姉ちゃんは素直じゃねーか!女はそれが一番だ」
「あぁ、守ってやるよ。大人しく、俺たちの言う事を聞いていればな!」
よしよしと、ジュピターの頭を撫でながら、彼女の頭を股間に導こうとする。

「いやああぁ、放して!」
「それに引き換え、こっちはうるせぇなぁ。コーアン様、ホントにやっちまっていいんですかい?」
マーキュリーの手足を押さえながら、男たちが問う。
コーアンの美しい顔を、青白い炎が照らし出している。残酷な魔女の顔だ。
「構わないわ。確実に妊娠させてあげなさい」


炎はその勢いを失くし、荒れ狂う風が水面を揺らす。月の輝きは色褪せ、愛の光は行き場を失う。
セーラー戦士は破滅へと向かって、ゆっくりと歩みだした。



-------


長い長い、永遠とも思える一夜が明けた。


「カラベラス、もういいわ」
自分の背中をさすり続ける女に、火野レイはうんざりした目を向ける。
吐くものはなくなり、吐き気もだいぶおさまった。これ以上摩擦が起これば、背中に火が付いてしまう。
レイに用意された部屋は、邪黒水晶の瘴気の影響を受けていない、漆喰の壁と木の床を持つ部屋だった。おかげで、息を吸うのが随分と楽だった。
ルベウスがレイの神社を襲う前に、コーアンに命じて作らせたらしい。言われてみれば、日本家屋の一間によく似ていた。
カラベラスが言うには、彼はもともと炎に関連するものに興味があり、レイの行う祈祷を気に入って、自分の部屋にも祭壇を置くようになったらしい。
それが高じて、日本古来の神社と言うものにも関心を抱き、燃えやすい木造の部屋を造るに到ったと言うわけだ。
あんな顔をして、意外と相手に染まりやすいタイプなのかも知れない。今となってはどうでもいいことだが。

(ていうか……好きなら、燃やさないで欲しかったわ)
レイは内心で呟く。あの男のせいで火川神社は半焼したのである。好きなものほど壊したい、などという心理は、申し訳ないが理解できない。

69:ムーン陥落83
06/08/12 23:28:06 p7DXVfFX
「そう……」
カラベラスは頷くと、レイの背中から手を放した。少し離れた文机のようなものに、カラベラスの赤ん坊が横たえられている。
彼女は、自らの赤ん坊を抱きかかえた。白くて柔らかい生き物は、乳をねだって細く泣いている。
カラベラスは上半身をはだけると、乳首の先端をそっと赤ん坊の口に含ませた。その仕草は、ごく普通の母親としか思えなかった。鞭を操る凶暴な戦士が、変われば変わるものだ。
彼女もこの部屋に入るのは初めてらしい。赤子の授乳を終えた後、改めて室内を見回していた。
「ルベウス様は、お前をここに住まわせるつもりだったのかも知れないわね」
戻らない主を思う彼女の眼には、寂寥の念があった。
「……はっ」
レイは吐き捨てた。
「誰がそんなこと頼んだわけ?気持ち悪い男。妄想爆発もいいところだわ」
ルベウスを罵れば罵るほど、まるでレイの方が悪人になったような気がしてくる。
日本には、死人を悪く言ってはいけないという風潮があり、どんな極悪人でもそれは例外ではなかった。
『死』は、何よりも重いのだ。
死人をこれ以上裁くことの出来ないレイは、一体誰に怒りをぶつければよいのか。
「セーラーマーズ、勝手な願いだとは思うけれど……」
カラベラスが口を開くのを、レイは阻止した。
「聞きたくないわ!!」
彼女がかけてくれた毛布を頭からかぶり、首を横に振る。
認めたくなかった。あの憎らしい男の子供が、この腹の中にいることなど。
予兆のようなものは、確かにあった。ルベウスの襲撃を受ける前、レイは祭壇に向かって祈祷をしていた。その時、炎の中に一瞬だが、赤子の顔が映ったのだ。
今にして思えば、あれは予知だったのか。襲われて目が覚めてからも、絶えず胃のむかつきや吐き気を感じていた。
(あたしの、赤ちゃん……)
戸惑いと恐怖が、全身から汗を噴出させる。
レイの通う女学院ではカトリックを信仰している。喩え暴力の末に宿した子であっても堕胎は厳禁と、強姦魔が聞けば小躍りして喜びそうな教えが、平然とまかり通っている。
子供に罪はない、というのが大義名分だ。まるで、女には罪があるとでも言いたげな。
好きな相手の子供でも、事情によっては欲しくない場合がある。ましてやあの男が子供好きとは、とても思えない。
しかし、ルベウスがレイの妊娠を喜ばなかったとしたら、それはそれで腹が立つのだった。
魂だけの姿となって現れたルベウス。妊娠を予告するかのように、レイの内股を指差していた。その口の動きを、レイは思い出す。
──お前が、決めていい。
彼は、レイがルベウスを受け入れるかどうかを、『レイ自身に決めさせてはくれなかった』。
ルベウスが死を選んだのは、レイのためではない。
彼は、後悔していたのだろう。本気で好きになった相手に、選択権を与えなかった事を。
だからあんな事を言った。自分の罪の意識を軽くするために、今度こそレイに選ぶ余地を与えた。どこまでも卑怯な男だ。
(あたしはどうしたいの?)
レイは自問自答する。
ここは敵の陣地で、生かされているのは腹の子のため。堕胎すれば、自分に待つのは死。そんなことぐらい小学生でもわかる。
とすれば、産む他はないのだが、それではまるで心身ともにルベウスに屈してしまったようで、不本意である。
ルベウスへの復讐が叶わないのなら、せめて『陵辱に負けなかった』証が欲しい。そのためには、自分の力で内股の刻印を消したい。
子供のことは、出来ればその後で考えたいのだが……無理なのだろうか。

「目の前の問題から逃げるなんて、あなたらしくないわね」
告げるカラベラスに同意するように、赤子が軽くゲップをした。
レイはむっとして顔を上げる。出産という一大事を終えて優越感に浸る女の姿が、そこにはあった。
カラベラスから、ことの経緯は全て聞いた。プリンス・デマンドの目的や、これから自分が辿るはずの運命。
しかしそれでもなお、レイは譲る気にはなれなかった。出産に踏み切ったカラベラスは立派だと思うが、その考えをレイにまで押し付けるのは間違っている。
「あたしとあなたとは違うわよ!」

70:ムーン陥落84
06/08/12 23:31:14 p7DXVfFX
カラベラスのご立派な行為は、間違いなくプリンス・デマンドや、地獄にいるルベウスを付け上がらせた。
産むにしても、自分だけが苦しみを背負ったりせずに、相手の男にも責任を取らせるべきだ。そうでなければ、また同じ事が繰り返される。
そう言えばカラベラスを犯した男たちは、今何処にいるのだろう。この女に限って、復讐していない事など考えられない。

「……悔しくは、ないの?」
戦いの神は、鞭使いの瞳をじっと見つめる。以前ははっきりと浮かんでいた闘志が、今は感じられない。
敵を介抱し、背中をさすり、白湯を飲ませたこの女には、もう戦う意思など残っていないかのように見える。
レイにはそれが歯痒い。子供を産めば、自分もこのようになってしまうのだろうか。筋を通すことさえ許されず、子供のみを生きがいとして、抜け殻のように生きていくしか。
カラベラスは静かに目を伏せた。
「悔しいし、憎いとも。ましてやこの子は男の子だ……それが判った時、床に叩きつけて殺そうと思った」
レイは息を呑んだ。
母親の気持ちも知らず、赤子はキャッキャと笑い声を上げている。その子を撫でるカラベラスの手の動きに、嘘はない。
「この子が大きくなったら、選ばせるつもりだ。父親を殺すか、生かすか」
「まだ生きているの!?」
二重の驚きだった。
出来れば死んでいて欲しかった、と願う自分にも驚いたが。
「しばらく、落ち着いて考えてみたいと思った。殺すのはいつでも出来るんだから……」
カラベラスは本当に変わった。だが成長したというよりは、偏ったというのが正しい。マーキュリーのように、己の考えが絶対なのだと喧伝して回らなければ良いが。
私は苦しみの結果こうしました、だからあなたもこうするべきです、と。まるで性質の悪い宗教のようだ。
強姦されて苦しんでいる少女に出産を強要するのを、正しい事と信じて疑わない。

(と……敵の心配している場合じゃなかったわ)
レイは身を起こす。
カラベラスが味方についてくれるのはありがたいが、彼女はレイ自身ではなく、レイの腹の子供の味方をしている。
彼女の心配をしてくれる者は、ここには誰もいない。自分の身は自分で守るしかなかった。
産んだ場合と、産まなかった場合。それを秤にかけて、どれが一番安全な方法かを考える。
「あたしがルベウスの子を産んだら、他の四姉妹が黙っていないんじゃないの?」
慎重に、意見を口にする。
「それなら」と、カラベラスが身を乗り出した。
「心配ない。デマンド様たちはお前の出産に賛成だし、お姉さまたちに文句は言わせない。お前とお腹の子は、私が守る」
「そんなに仲間を増やしたいわけ?」
レイは皮肉をぶつけた。
どうしても、今のカラベラスとマーキュリーの姿が被ってしまう。
自分と同じ体験をしたレイに感情移入するのはわかるが、ついこの間まで戦っていた相手だ。守ると言われても信用が出来ないし、気味が悪いだけだった。
でも……少なくとも、子供を産むまではカラベラスはあたしの味方ってわけね)
コーアンたちとカラベラスでは意見が分かれている。これなら、付け入る隙はあるかも知れない。
四守護神がそうされたように、あやかしの四姉妹の間にも、修復不可能なほどの亀裂を入れれば良いのだ。
「その子はルベウス様の忘れ形見、失うわけには行かない」
カラベラスはあくまでも優雅に、レイを脅す。
「お前とて、このまま逆らい続けても寿命を縮めるだけ……わかるだろう?」
レイは歯軋りした。
戦い続ける事よりも母親である事を選んだ女に、何を言っても無駄だ。
(この女は自分に酔ってるんだわ)
命を大事にする自分は、偉い。子供を産んだ自分は偉い。そう信じて、全ての女がそうであるべきだとも言うように、レイに出産を促す。

71:ムーン陥落85
06/08/12 23:33:38 p7DXVfFX
確かにカラベラスは正しい。言っていることも、行動も。
だが、正しいだけの人間に、何が判ると言うのだ。
カラベラスが忘れても、レイはこの屈辱を忘れない。所詮は彼女もブラック・ムーンの一員ではないか。
ルベウスの肩を持つのは当然で、産むべきだという意見には、あからさまに私情が入っている。レイのことなど、かけらも思っていない。
「……あたしは、ただ」
理性では、産んだ方がいいと判っている。ただ感情が追いつかない。
こんな気持ちのまま子供を育てることは出来ない。ルベウスの件に、まだ決着をつけていないのだ。
もう済んだことだと言い切るのは、陵辱した側の意見である。マーキュリーにも云った通り、そんなに簡単に忘れてしまえるような傷ではない。
元気なのだから問題ない、傷ついていない、と思われてはたまらない。こうしている間も、下腹部に息づく物体が忌まわしくて仕方なかった。
(ルベウスに仕返ししない限り、あたしは立ち直れない)
何か、ないだろうか。死んだルベウスに報復する手段はないのだろうか。
やられっぱなしなのは、レイの性に合わない。今からでもいい、彼が大事にしていたものを、傷つけることは出来ないのだろうか。
「ルベウスに、思い知らせてやりたいだけ。自分のした事の責任も取らずに、あっさり死んだのが許せないだけよ……」
そうだ。方法はひとつしかない。
レイはぐっと拳を握った。そしてカラベラスが止める間もなく、下腹に拳を振り下ろした。

「セーラーマーズ!」
赤子を抱えたカラベラスは、咄嗟に動くことが出来ない。
レイは、二度、三度と、自らの腹に拳を叩き込んだ。身体を二つ折りにし、苦痛に呻きながらも、その動きを止めない。
ルベウスが愛していたのは、自分自身と火野レイだ。ならば、レイはレイを傷つければいい。
自分が死ねば、ルベウスは悲しむか、もしくは怒り狂うだろう。自惚れでなく、レイは本気でそう思っていた。
このまま命尽きれば、子供を殺した罪の意識にも悩まされずに済む。セーラームーンたちの足手まといにもならない。万事解決ではないか。
(消えてしまえ、あたし!!)
レイは容赦なく、白い腹に拳を埋め込ませる。
友人に裏切られたこと、うさぎが汚されたこと、誰も彼女の味方をしてはくれないこと──そして、子供の存在。全てがレイの心を壊していった。
内股が燃えるように熱い。ルベウスの遺志が、彼女を守ろうとしている。男の傲慢は、本人が死してなお少女を苦しめる。
この苦しみから逃れるためには、自ら滅びるしかない。それが、レイにとっての復讐だ。
「マーズ、やめなさい!誰か、誰か来てっ!!」
赤子がけたたましい声で泣き出した。カラベラスは部屋の扉を開け放ち、外に助けを求めるべく出て行った。



--------


──誰かがあたしを呼んでる。

月野うさぎは、夢を見ていた。
白い空間の中に、ちびうさがいた。黒光りするマグロのような物体が、その前に横たわっている。
ちびうさは、半泣きになりながら、マグロを揺り動かしていた。陸に上がった魚はもう死んでいるはずなのに、なぜそんなに必死に動かすのだろう。
うさぎは笑って、近づこうとした。夢の中だから、ちびうさには触れられない。
『プー、起きてよ。プーーー!!』
ちびうさの悲痛な声に、うさぎの笑いが凍りつく。
マグロだと思っていたものは、人間の女性だった。緑の黒髪。どこかで会ったことがある。
そうだ、自分はこの人に助けてもらった。名前は何だったか。そう、セーラープルート、だ。
『プー、目を覚まして、お願い!プー!……ちゃいやだよ!』
泣き叫ぶちびうさの両脇に、見た目がそっくりな青年が二人立った。
彼らはプルートの身体からちびうさを引き剥がし、どこかへ連れて行こうとする。
『無駄だ。その女は我々が……した』
『ラビット。大人しく付いてこい』
エコーのかかった声が不気味だった。ちびうさは猛烈に抵抗するが、やがてその身体はふわりと浮き上がった。
『やだぁああああ!』

72:ムーン陥落86
06/08/12 23:36:24 p7DXVfFX
「ちびうさっ!!」
うさぎは跳ね起きた。

隣で横になっていたデマンドが、億劫そうに目を開ける。
「どうした、セレニティ」
デマンドに着せられた寝巻きの前を合わせながら、うさぎは首を横に振った。
「な、なんでもないわ……放っておいて」
考えたくない。あのセーラープルートが追っ手に負けて、ちびうさが攫われたことなど。
あの夢が本当なら、ちびうさは今頃酷い目に遭っている。
ここに連れてこられるならば、いずれ会う機会もあるはずだ。それまでの辛抱。
デマンドのものになれば、チャンスはいくらでもある。
「そうはいかん。これから最後の仕上げに入るのだからな」
寝台から起き上がると、デマンドはうさぎの背を押した。
「俺も一緒にマーズのところへ行こう。友情の崩壊を、この目で見届けてやる」
趣味のいい男だ。
「……わかったわ」


デマンドの部屋を出て、真っ直ぐに廊下を歩く。
広い城だけあって、部屋がいくつもあり、そのいずれにも、ドアノブ代わりに邪黒水晶の塊がぶら下がっている。
うさぎが先に、デマンドがその後に続いていた。そして、ある部屋の前を通りがかった時。
「ブヒーーーーーッ!!」
まるで豚の鳴き声のような音とともに、扉が勢い良く開かれた。
うさぎはあやうく扉に顔をぶつけそうになり、焦って飛びのいた。
「な、なに……?」
恐る恐る、部屋の中を覗きこむ。
見なければ良かったのかも知れない。いや、いずれ直視しなければならない現実だった。
木野まことが、生まれたままの姿で、そこに立っていた。
両方の乳房からは邪黒水晶の塊が垂れ下がり、股間からも飛び出している。
茶色の髪は心労ゆえか真っ白になり、目の下にはクマが出来ていた。立っているのも辛いのか、両膝はガクガクと震え、両腕は何故か万歳をするように大きく上げている。
「ま……こちゃん!!」
本人だと気付いた瞬間、うさぎは見てしまった。
まことの額には、ブラック・ムーンの印が焼き付けられていた。
「ブ、ブヒ、ブヒヒヒ、ブヒーーー」
奇声を発しながら、まことは鼻を鳴らし、その場で足踏みを繰り返した。
あまりのことに、うさぎは声も出ない。命がけで助けようとした友人が、既に助けられない地点まで堕ちている。
(どうして……どうして、こんなことに!)
「デマンドっ!」
怒りを込めて、背後の相手を睨みつける。
「目的はあたしでしょう!仲間をこれ以上傷つけるのはやめてっ!」
しかし、デマンドは動じない。
「命を助けるとは言ったが、それ以外の事は保証したつもりはない。それに、賭けがまだだからな」
「く…!」
うさぎはまことの肩を掴もうとして、身長が足りないことに気付き、代わりに腕を握った。
「まこちゃん、正気に戻って!まこちゃん!」

73:ムーン陥落87
06/08/12 23:37:13 p7DXVfFX
「ブヒヒーーーー…レイちゃんは?」
まことの目には光がなかった。
うさぎの呼びかけにも、全く反応を示さない。
「ブヒ、ブヒ、レイちゃんどこ?レイちゃんどこ?」
同じ言葉を何回も繰り返す。
「赤ちゃん、諦めるように言わないと…レイちゃんどこだい?」
まことは、コーアンに支持されたことを忠実に守ろうとしている。
レイの出産を阻めば、自分を陵辱した男たちに復讐をしてもらえると。頭の中はそれしかない。
うさぎには、そんな約束は知る由もない。変わり果てた友人の姿に、狼狽するだけだった。

部屋の中には、亜美の姿もある。同じく丸裸になって、数人の男に犯されていた。
「あ、亜美ちゃ……あんたたち、離れなさい!」
うさぎは即座に男たちに駆け寄ろうとしたが、デマンドに取り押さえられる。
「どこに行く気だ。マーズの元に行く約束だろう」
入り口でのやり取りに気付いたのか、亜美のか細い声が、うさぎの耳に届いた。
「…うさ、ぎちゃ……助け、て…」
「うっせーんだよ!!」
ゴリッと音を立てて、亜美の膣奥に、男根が叩き込まれた。
「おうっ。き、効くうっ!」
顎を反らし、滑稽な悲鳴を迸らせる少女。
その姿に、男たちはゲラゲラと笑い声を上げた。
「ギャハハハ。そーか、効くか!!」
「そう言われると、まわした甲斐があるってもんだぜ!」
「ざまーみろ。才女気取りの雌豚は、そうやって悲鳴を上げてりゃいいんだよ」
「さっき教えた通り、『イク』と『効く』以外は口にするんじゃねーぞ!」
うさぎには見えなかったが、亜美の足の付け根は、充血を通り越して色素が沈着し、真っ黒になっていた。
陰唇がめくり開かれ、陰核は常に剥き出しになって、萎れた葡萄の実のように垂れ下がっている。
「そら、二度と生意気な口が叩けないようにしてやるよ!」
「おーーーーーーーっっ!!」
激しく突き上げられ、亜美は絶叫した。人間ではなく獣になったかのように、おぞましい叫びだった。
髪を振り乱した瞬間、額が覗いた。やはりそこには、──記述するまでもない。

「ひど……い…」
地獄としか思えない光景に、うさぎはその場にへたりこんだ。
うさぎを押さえつけながら、デマンドは楽しげに笑っていた。彼女たちが、一体何をしたというのか。正義のために、戦っていただけではないか。
(殺してやる、デマンド)
思った瞬間、脳裏にプールサイドの光景が広がった。
うさぎは思い出した。本来なら癒しであるはずの月の力を利用して、ベルチェを陵辱したことを。
あやかしの四姉妹がしたことと、何ら変わりない。あれが、発端だったのだ。
うさぎがベルチェを辱めなければ、この不幸の連鎖はおきなかった。自分が手を汚して、男たちだけを殺していれば、マーキュリーたちはここまで酷い目に遭うことはなかったかも知れない。

(みんな、あたしの……罪)
前世と同じだ。
ただ一つ違うのは、うさぎにはもう未来が残されていないという事。
(道連れにしてやる。壊してやる。あたしの命を懸けてでもこいつらを滅ぼす!!)

74:ムーン陥落88
06/08/12 23:40:10 p7DXVfFX
ヴィーナスから『話があるの』と誘われた時は、てっきりマーズ関係のことだと思っていた。

敵とは言え、ヴィーナスの毅然とした態度は立派であったし、正直に言うと彼女ともっと話がしたかったから、快く受けた。
女などみな、ヒステリックで私欲に満ちた生き物だと思っていたが、ヴィーナスは違った。
うるさいほど元気ではあったものの、決して下品ではないし、何より、男の全てを包み込むようなおおらかさを持っている。

『サフィール様はあの娘に騙されているのです!』

約束通りヴィーナスの部屋に行こうとした矢先、ペッツに嘆かれた。
『ヴィーナスは、決してあなたに好意を持っているわけではない。おわかりですか、あの娘は本気で異性を好きになったりはしません!』
愛の女神は、一人の男性に入れあげることはない。恋する素振りを見せても、それは自分で思い込んでいるだけで、決して恋ではないと、ペッツは告げた。
ヴィーナスに好感を抱く理由が、サフィールはそれで理解できた。彼女は、自分とよく似ているのだ。
温厚で人当たりがよく、常に周囲に女性が絶えないサフィールだったが、決して本気の恋をすることはなかった。
自分には、ブラック・ムーン一族の繁栄という使命がある。それに、兄が大事だ。ヴィーナスが、セーラームーンに忠誠を誓っているように。



「……は」
サフィールは深く息を吐いた。
少女の手の中の男根が、精を吐き出して力尽きたところだった。
思ったよりも量が多かった。他人に抜いてもらうのが久しぶりだというのは勿論、この少女の技巧のせいもあるだろう。
「どう?」
頭に包帯を巻いた美少女が、実に無邪気に微笑む。
傷を隠すための包帯を、まるでターバンのように巻きこなしているのはさすがだった。治療ではなく、一種のファッションにさえ見える。
髪を切り落とされても、その顔は相変わらず愛らしかった。もう十年出会うのが遅かったら、と考えてしまうほどに。
青い瞳に、サフィールの紅潮した顔が映っている。同じくサフィールの目には、屈みこんで奉仕をしている少女の姿が映っているに違いない。
「話というのは……ヴィーナス」
これのことか、とサフィールは続けようとしたが、声にならなかった。少女の柔らかい手が男根を包み込み、丁寧に扱き始めたからだ。
自分でするよりも、数段は気持ちが良かった。これで本当に処女なのだろうか、にわかには信じがたい。
ペッツの忠告を受けたサフィールは、むしろ闇討ちの方を懸念しており、扉を開ける時も、念のため邪黒水晶の塊を握りしめていた。
開けた瞬間、ヴィーナスが襲いかかってくる可能性もあるからだ。窮鼠猫を噛む、という諺もあるから、慎重になるに越したことはない。
けれど待ち構えていたのはヴィーナスの笑顔で、気が付けば椅子に座らされ、されるがままになっていた。……確かにこの少女は恐ろしい。

「そうよ、これは親切にしてくれたお礼。愛情には愛情を返すのが、Vちゃん流なのよ」
軽い口調で言いながら、ヴィーナスはサフィール自身を再び愛撫し始める。
確かに、これだけならヴィーナスが傷つくことはないし、サフィールも罪悪感に悩まされることはない。
しかし、どういう心境の変化か。ペッツの言った通り、ヴィーナスはサフィールに好意を持ってはいない。あくまでも、機嫌を損ねないよう振る舞っているだけだ。
「何を企んでいる…」
少し抑えた声で言ってみた。兄とは違い、声に迫力が出ない。息子を握られている弱味もあるが。
「企んでなんかいないわ。あたし、頭を使うのって苦手だもの」
「手を使うのは、得意なようだが」
ふふ、とヴィーナスは笑いを漏らした。幼い顔なのに、妙に色気がある。

75:ムーン陥落89
06/08/12 23:43:09 p7DXVfFX
狭い室内に、卑猥な音が響いていた。
キュキュッと男根を扱き上げながら、ヴィーナスは捕虜とは思えない明るさで、敵の青年に話しかける。

「でもサフィールって、偉いわよね。大人の余裕って言うかー、他の男の人みたいにガツガツしてないわ。『寿司は食わねど爪楊枝』ってやつ?」
「……ひょっとして、『武士は食わねど高楊枝』と言いたいのか」
「そうとも言うわね。まあいいじゃないの、細かいことは」
ヴィーナスの手の動きが早くなった。サフィールは思わず腰を浮かす。それを見計らったように、少女が囁いた。
「それより、デマンドと邪黒水晶についてもっと教えて。サフィールの生い立ちとか、よく知りたいし」
甘い囁きが、耳朶に飛び込んできた。
あやかしの四姉妹の、つんけんした響きの声とは全く違う。あどけなさと無邪気さを秘めた、耳に心地よい声だった。
「話すべき事は全て話した。あまり詮索はしないことだ」
胸の鼓動を抑えつつ、そっけなくサフィールは答える。ヴィーナスの吸い付くような柔らかい手に、理性を失いそうだった。
罠だ、と頭ではわかっている。この少女は捨て身の戦法を得意としている。自分の身体を犠牲にしてでも、セーラームーンを守るのだという気概に溢れている。
だからこそ、惹かれてしまう。まだ傷が完全に癒えてはいないのに、情報を得るために、そのか細い身体を引きずって敵であるはずの男に尽くす。
そんなヴィーナスだからこそ、彼は興味を持った。外見の美しさだけでなく、戦いに身を置く者としての誇り高さに、大いに共感してしまうのだ。
彼女にそこまでさせるセーラームーンは、やはり偉大な人物なのだろうか。銀水晶の力を、侮っていたのか。

「嘘ばっかり。まだ何か隠しているくせに」
興奮を抑えきれないサフィールを、ヴィーナスは優しい目で見つめた。
決して聡明とは言えない少女だったが、勘は抜群に良い。悪戯っぽい表情で、男根の先端を口に含む。
「んっ………」
可愛い声。
蕾んだ唇が男根を咥え込むのを見ると、それだけで達してしまいそうだった。
少女の舌先が、チロチロと先端を舐める。嘘でも演技でも、サフィールは嬉しいと思った。
白い手が玉を挟み込み、丁寧に転がした。自分には付いていないものを弄るのが面白いのか、本当に楽しそうな顔をしている。
好意があるかどうかはさておき、サフィールに礼がしたいと思っているのは、間違いなく彼女の本心だ。それが判るからこそ、彼は戸惑う。

「意地悪。教えてくれたっていいじゃない」
ヴィーナスは愛撫を中断し、男根から手を放した。恋人を責める口ぶりで、ぷいと顔を横に向ける。
「しかし……」
いつでも一所懸命なこの少女を喜ばせたいが、兄を裏切るかも知れないと言う恐れが、サフィールを緊張させていた。

「誰にも言わないわ。あたしたちだけの秘密」
愛の女神はサフィールの膝の上に手を置き、甘えるように彼を見上げた。

「ねえ、いいでしょう?」


76:名無しさん@ピンキー
06/08/12 23:44:31 p7DXVfFX
今日はここまでです。次こそ完結します。

77:名無しさん@ピンキー
06/08/13 00:25:40 RdvlYC/+
自称字書きは神の恥の垢でも煎じて飲めってんだ

78:名無しさん@ピンキー
06/08/13 00:36:57 MrapwoJp
キタ━━━(゚∀゚)━━!!

79:名無しさん@ピンキー
06/08/13 02:38:33 uWhdODn6
>60
>59

80:名無しさん@ピンキー
06/08/13 02:41:41 uWhdODn6
GJ

81:名無しさん@ピンキー
06/08/13 02:47:06 uWhdODn6
>>61

82:sage
06/08/13 03:01:33 uWhdODn6
>>69 >>74

83:名無しさん@ピンキー
06/08/13 05:51:09 T5QpSoZ8
長編乙です。GJ
こういう感想もなんだけど、性的暴行・妄想は架空の世界だけでのみ楽しむもんだとつくづくおもた
心理描写とか(・∀・)イイ!

84:名無しさん@ピンキー
06/08/13 07:29:20 k1N5HLUD
乙です。一気に読んでしまいました。凄い展開だ・・・。
どうか亜美ちゃんとまことちゃんが救われますように・・・。


85:名無しさん@ピンキー
06/08/13 09:49:01 Z7HO76qm
グワシ!


86:名無しさん@ピンキー
06/08/13 10:59:00 MrapwoJp
まことちゃん違い

87:名無しさん@ピンキー
06/08/13 12:02:03 qDkSWp8j
ヴィーナスやり手だな

88:名無しさん@ピンキー
06/08/13 12:26:55 4Y6sI5oE
GJGJ

89:名無しさん@ピンキー
06/08/13 12:45:28 kKYl7JtF
>>84-86
ちょwww

>>76
もうGJとか乙なんて言葉ではとても足りません
うまく感想が書けませんが、とにかくキタキタキタキタ━━(゚∀゚≡(゚∀゚≡゚∀゚)≡゚∀゚)━━!!


90:名無しさん@ピンキー
06/08/13 13:42:24 pDwY1aML
アニメ化決定

91:名無しさん@ピンキー
06/08/13 19:39:13 gRYWN+xw
>>68
>炎はその勢いを失くし、荒れ狂う風が水面を揺らす。月の輝きは色褪せ、愛の光は行き場を失う。

(゚д゚)ウマー
このあとヴィーナスとムーンがどう動くのか楽しみだ

92:名無しさん@ピンキー
06/08/13 21:22:58 ntpa9GiY
頑張って下さい。

93:名無しさん@ピンキー
06/08/13 22:26:21 MrapwoJp
ペッツはサフィール、コーアンはルベウスをセーラー戦士にとられたし
ベルチェの怨みもある。
マーズの子はやっぱり同じ母親であるカラベラス以外には認められるわけないんだな。
そうゆう心理描写が凄く上手い。感動しますた。

自分的な気持ちを言わせてもらうと、姉妹には幸せになってほしい‥
コーアンはもう無理なのかもしれないが、マーズが産んだ子を愛するって展開もアリ?

94:名無しさん@ピンキー
06/08/13 23:48:45 +KApl7iL
考えすぎだろうけど
スレでの感想が展開に反映されている気がする

個人的にはセーラー戦士の逆転を期待…

95:名無しさん@ピンキー
06/08/14 00:17:32 7QQdkNgd
レイの妊娠はマーズ編の時から伏線張ってたんだな
今読み返して気付いた

96:名無しさん@ピンキー
06/08/14 02:52:43 87moOM1I
救いようのないラストを期待。

97:名無しさん@ピンキー
06/08/14 11:46:41 69tYKVT+
やっぱ正義は勝ってほしいなぁ

98:名無しさん@ピンキー
06/08/14 13:21:01 /qOIZDEi
お前らあんまり神を困らせるなよ。








セーラー戦士の勝利エンドきぼんぬ

99:名無しさん@ピンキー
06/08/14 13:35:12 AcTmR2L3
ここまできたらどんなラストでもバッチこいだ。
神には超超GJ

100:名無しさん@ピンキー
06/08/14 13:48:54 EXRty+Ep
もし子供が生まれたらルベウスとマーズのこはきつい顔した男の子
ムーンとデマンドの子は銀髪の色素の薄い女の子って感じがする

101:名無しさん@ピンキー
06/08/14 16:42:09 GEbYdcYO
gj!ついに次で終わっちゃうのか。でもこの大作がどう終わるのか楽しみだ。
プーがどうなったのかも詳しく知りたい。しかしマグロときたかw

ところで>>59
> プリンセスである自分に
ってあるけどプリンスだよね?

102:名無しさん@ピンキー
06/08/14 18:11:29 QiQx9+gg
今までどうでもよかった四姉妹が好きになりますた。
敵味方双方の立場を本当に上手に描いていて感心します。
職人様、頑張って下さい

103:名無しさん@ピンキー
06/08/14 19:42:34 WJSmCU31
>>94
それはないと思う
何故ならマーズ・カラベラスの妊娠フラグといい、マーキュリーとベルチェの件といい
明らかに伏線が張ってある
つーか、今までのレス見てると悉く予想の斜め上を行ってるのがすごい
ヴィーナスがサフィールに犯されるって予想してた人がいたけど、むしろ犯しててワロタ

104:名無しさん@ピンキー
06/08/14 21:46:27 E4oWRuK1
展開予想しながら読むのが好きなんだが、俺の予想は今のところみんな外れてるorz
ぜんぜん先読めねーよ
まさかマーキュリーとジュピターが二回も○されるとは
確かに「○されるのは一人一回」なんて誰も決めてないな。

や ら れ た


105:名無しさん@ピンキー
06/08/14 22:37:19 69tYKVT+
続きはいつかにゃ?(・ω・)

106:名無しさん@ピンキー
06/08/14 22:53:31 bBq2HrBh
>>100うわ‥想像したら萌えたW


107:名無しさん@ピンキー
06/08/14 23:02:12 1F04HChO
うさぎやレイが強姦魔の子供を生むのか…
創作と言えばそれまでだけど哀れだ。

108:名無しさん@ピンキー
06/08/14 23:10:32 E4oWRuK1
>>100
>>107
ちょっと待て!まだ産むと決まったわけdh



109:名無しさん@ピンキー
06/08/14 23:24:02 V1kFHe3o
よく考えたら、バッドエンドだと話が続かないんだよな。
でも逆転エンドなら、この後プルート、ウラヌス、ネプチューンたちが登場する話に繋げる事が出来る。
……でも神の手腕なら、バッドエンドでもどうにかしてしまいそうで本当に予想がつかんw

110:名無しさん@ピンキー
06/08/15 00:58:19 Gl067Niu
神の話のすごさの一つは心理戦の巧みさもあるよなーと勝手に思ってる。
物事の表と裏やキャラの性格の長所と短所、
人の心の光と闇のような、そんな部分を突いてくる気がする。
だから闇が肯定されて終わるのはちと辛いかも。
もちろんバッドエンドでも、神の話の構成力なら納得してしまうだろうが。
少なくともこの話のおかげで、初めて30世紀の思想のおかしな部分に気付けた。
残り1話、じっくり頑張ってください。

111:名無しさん@ピンキー
06/08/15 07:23:14 mlFZ/qbP
昔幼いなりに「なんでクリスタルなんて面倒な造りなんだろ」
と思ったっけなぁ

112:名無しさん@ピンキー
06/08/15 08:58:19 blMaXpFz
面白いし考えさせられるし続きが気になる。
何よりセーラームーンキャラを好きなのが伝わってくるよ
書かれていないところを想像するのも楽しい

113:名無しさん@ピンキー
06/08/15 09:21:34 X37WU35l
>>111
クリスタルだけに「なんとなく」じゃね?

114:名無しさん@ピンキー
06/08/15 09:43:19 B2+HYtPp
あーあー果てしない~♪

115:名無しさん@ピンキー
06/08/15 18:31:19 +K9NwdRP
バッドエンドも結構好きなんだけど
セーラー戦士達がやられっぱなしで終わるのも
なんだか悔しい気がする
できれば一矢報いて欲しい…

116:名無しさん@ピンキー
06/08/15 22:35:14 xmspqHnI
>>51
今までの合わせると200KBは越えてませんか?
素晴らしい

117:名無しさん@ピンキー
06/08/15 23:57:14 9qAneWFe
>>110
同人の解釈をまともに信じ込んでしまうのは危険だということも忘れずに。

118:名無しさん@ピンキー
06/08/16 01:41:26 UW4lmtzw
>>117
それはもちろん。
ただ自分は今まで、うさぎの未来が最終的に女王になったって構わんだろうと思ってた。
だけど、うさぎを本当に博愛の人物として描くなら、
自らが君主となる絶対王政の未来に行き着くのは矛盾してるかもなぁと感じた。
主役側の視点に偏りがちなところに、敵側の
ある意味説得力のある価値観から物語を見られたのがおもしろかった。
だが、これこそが正論とまでは思わんよ。

119:名無しさん@ピンキー
06/08/16 01:47:58 +M/BDGrh
何をいまさら…
未来におけるうさぎの治世については、前からさんざん疑問視されてきたことだろ。
不老長寿やら何やらは人によって是非が分かれる問題で、正しい答えなどない。ブラックムーンの味方をしてるわけではなく、単に「そういう考えもあるのか」って気付いたって話。
しかし原作のサフィールは怖かった。
うさぎと銀水晶の存在が許せなくて絞殺未遂w

120:名無しさん@ピンキー
06/08/16 01:50:59 YuNNYvyn
そうやって敵に肩入ればっかりするのではなく、主役側も
きちんとフォローするような内容であることは期待するよ。
うさぎだけはどうやっても恵まれた設定になるけど
まわりの仲間や衛はかわいそうだ。
うさぎのただの取り巻き扱いなんて。

121:名無しさん@ピンキー
06/08/16 01:58:35 Pd3WElEf
>>117
>>120
少し落ち着けよw
セーラー戦士が好きなのは判ったが、そんな感情的な、上から押さえつけるような言い方をしたら駄目だ
それに作中で描かれているのはあくまでも「ブラック・ムーン側の言い分」であって、同人がどうとか関係ないだろ






122:名無しさん@ピンキー
06/08/16 02:05:18 Pd3WElEf
連投スマソ
「敵キャラの言っている事=絶対」と解釈してしまう人もいるんだな
それに敵に捕まって酷い目に遭うのが「かわいそう」なんて言われても、ここエロパロ板だろ?
少なくともただヤって放置なだけのエロではないし、そういう意味で「フォロー」がちゃんとある。
俺もうさぎ絶対主義には疑問を抱くけど、アニメでも原作でも、四守護神がうさぎの「引き立て役」なのは変わらないし。
目くじら立てるほどのことでもないと思う。それだけキャラに感情移入してしまってるって事なんだろうが。

123:名無しさん@ピンキー
06/08/16 02:08:32 WcNfYgVe
夜中にレスが伸びてると思ったら、

>だということも忘れずに。
>そうやって敵に肩入ればっかりするのではなく

なんだこの喧嘩腰

124:名無しさん@ピンキー
06/08/16 07:49:42 YtUVwW7Q
敵に肩入ればっかりするのは公平な見方じゃないし
それで主役側がやられてばっかりだったら
敵側に感情移入が酷くて主役側を叩きたいだけだと思われても
仕方ないって。

おまえらこそ冷静になれよ。
そもそも>>118みたいなすぐに信じ込お子様がいかんのだがな。


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