星のカービィ その6at EROPARO
星のカービィ その6 - 暇つぶし2ch850:永い一瞬(2)
07/08/23 22:44:43 moD2nkkM
星の戦士の寿命は、比較対象を探すのが馬鹿らしくなるほど長い。
メタナイト卿がいい例だ。彼は、数万年前の銀河大戦終了時から生き永らえていたのだから。
カービィも、例に漏れずだ。
ある程度の年齢に達したら、この体は老いを止める。その姿を留め続ける。
変化があるといえば、体重の増減や髪や爪の伸びぐらいだ。
そして、気が遠くなるような悠久の時を、戦い生きるのだ。

カービィはもう、痛い程理解していた。

この時間が、そう長く続かないことぐらい。

自分は、フームやブンの何倍も生きるだろう。
皆がお爺ちゃんお婆ちゃんになっても、きっとこの姿を留めているだろう。


――皆が死んでいなくなっても。


それを考える度、カービィの胸は、壊れそうになるくらい痛くなる。
永遠の別れを味わうぐらいなら、戦士じゃなくていいとも思ったことすらある。
でも、広大な宇宙の平和が、自分の双肩に重くのしかかっているのだ。


851:永い一瞬(3)
07/08/23 23:16:16 moD2nkkM
「ごめんね…。」
ほんの小さい声で、カービィは呟いた。
恋人になったところで、夫婦になったところで、きっとブンを独りで逝かせてしまう。
親しい人と永別し、そしてまた出会い、その繰り返し。
こうしていられる時間は、これからの自分の生の長さと比べて本当に僅かだ。

眠っている時に見る夢のように。一瞬のように。

それを思うと、無性に悲しくなり、カービィの目から、一滴の涙が伝う。
(それでも。)
そっと、ブンの手を握る。
起きはしないものの、条件反射なのか、握り返してきた。
優しい暖かさが、じんわりと伝わってくる。
手を繋いだまま、カービィは彼の頬にキスをした。
(――ブン達がお爺ちゃんになっても、ずっと傍に居るからね…。)
腰の僅かな痛みを我慢しつつ、カービィは再び、ベッドに横になった。
自分の時の流れで一瞬でも、こうしていることには変わりない。
そして、この温もりをずっと覚えていようとするかのように、ブンにピッタリと
寄り添い、目を閉じたのだった。


終わりです。
超突発的駄文ですみません……。星の戦士の設定は、超自己流です。

852:名無しさん@ピンキー
07/08/24 08:58:42 sr5l2tW2
泣ける

853:名無しさん@ピンキー
07/08/24 17:33:33 p3HVXg/F
擬人化逆レイプネタ考えながら覗きに来たら
なんという鬼畜非道と自己嫌悪に陥る幸せ

切なさGJ

854:利休鼠
07/08/25 19:01:40 IGhgexXv
またも浮かんだ、ブンカビ(♀)。エロ無し。
だが、ちょっと推敲し終えてから投下させていただきます。
ブンカビのエロが浮かばない。NOT擬人化で書けない。
こんな愚か者ですが、飽きずに構ってやってくださんせ。

855:星の髪飾り(1)
07/08/26 19:25:50 +HTIwmXl
「う~~~~~~~~~~~~~~~ん……。」
昼下がりのププビレッジ、タゴの店。
パーム大臣が長男・ブンは、店内の商品棚のある品物を睨みつけていた。
商品を見て、自分の財布と相談し、他に良い物が無いか見て回る。
そして無いのを確かめると、がっくりと盛大に肩を落とした。
「はああぁ…。」
「どうしたのー、ブン?」
そんな様子を見かねたのか、店主のタゴが、レジカウンター越しに声をかけてきた。
「――なあタゴ。この店にある髪飾りって、これで全部か?」
「髪飾り?」
ブンが指差す場所を、タゴは歩み寄ってきて見渡す。
色とりどりのヘアピンやヘアゴム、バレッタ、リボンが並んでいる。
タゴは店中をぐるりと周って確認した。
「ん~~…。残念だけど、これで全部だね。」
「そっか…。」
「誰かへのプレゼントかい?」
さりげない問いに、ブンは一瞬フリーズする。
そして何事も無かったかのように、「ああ。」と答えた。
タゴは、そんなブンの僅かな変化に気づかず尋ねた。
「どんなものをお探しで?」
「あ、いやー、その…。ヘアゴムが欲しいんだよ。飾りのついたやつが。」
「ふむふむ。飾りつきのヘアゴムなら、そこに…。」
「だけどさー、そいつって星型が一番好きで、よく似合うんだよ。」
「星型?」
「でも、それじゃちょっと安直過ぎるかなーって…。」
タゴは、棚にある商品を見た。
ビーズ製の真っ赤な苺がついたもの。小さくふんわりとした青い花のコサージュがついたもの。
白いサテンのハートがついたもの。黒い水玉のリボンがついたもの。
そして、透明な黄色の石でできた星がついたもの。
これだけ商品があるから、ブンは悩んでいるのだろう。
少し考え、タゴは口を開いた。


856:星の髪飾り(2)
07/08/26 19:30:19 +HTIwmXl
「安直で、いいんじゃないの?」
「へ?」
考えに耽っていたところを破られ、ブンは思わず間抜けな声を出した。
「変に悩んで相手の好きじゃないものを贈るより、一番気に入ってくれるものを
選んだら?それが一番だと思うけど?」
「う~~ん…。」
腕を組み、ブンは考え直す。
「星型はこれで全部…」と商品を眺めていたタゴは、急に「あーーーーっ!!」と声を上げた。
あまりに急な大声にブンの心臓は跳ね、バクバクと粗く鳴る。
「お、驚かすなよ!!」
「思い出した!ちょっとそこで待っててね~!!」
言い終えるが早いか否か、タゴは仕入れた商品が積んである部屋へと飛び込んでいった。
3分ほど経ち、段ボール箱を抱えたタゴが飛び出し、ブンの元へと騒がしく走ってきた。
「何だ、それ?」
「4日程前に、新しく商品仕入れたの忘れてたんだよ。」
忘れたら駄目だろ、と思ったが、黙っておいたブンだった。
段ボール箱の中身を引っ掻き回し、お目当てのものを見つけたタゴは、それを掲げた。
「新しく仕入れた、星の飾りのついたヘアゴム!どうだい?」
ブンはそれを手に取り、まじまじと見た。
ぷっくりとツヤのある、丸みを帯びた黄色い星型のビーズに黒いゴム。大きさも丁度いい。
(…いいかも、コレ。)
否。これじゃないと駄目な気がする。
こんな風にポップな感じのものなら、“アイツ”によく似合うだろう。
「――これ、いくら?」
「200円。」
慌てて財布の中身を見るブン。今月ピンチなのだ。
1個だけ残っている500円玉を見て、何とも切ない気持ちにさせられる。
「彼女にプレゼントするなら、ちょっとの痛手くらい我慢しないと。」
タゴのそんな言葉に、ブンはぐうの音も出ない。
直後、聞き逃しかけた言葉に敏感に反応し、大慌てで否定した。
「バッ、違っ、彼女なんかじゃねえよ!アイツは――!」
「アイツって誰のこと?」
タゴの顔がにやけて見えるのは気のせいだろうか。
その場に居たたまれなくなったブンは、今月最後の500円玉を乱暴に突き出した。
「買った!!」
「はいはい、お釣り300円ね~。」
タゴから釣銭を受け取ったブンは、赤くなりながらダッシュで城まで走っていった。
「また来てね~~~。」
タゴは呑気に、小さくなっていくブンの背中に手を振った。


857:星の髪飾り(3)
07/08/26 19:35:33 +HTIwmXl
最近カービィは、髪を伸ばしている。
それは身近にいるフームの影響が大きい。彼女は、長いポニーテールの持ち主だ。
カービィも年頃の女の子、そういったものを気にするようになったのだ。
その甲斐あってか、ポニーテールにして胸元に届く長さになっている。
ブンが髪飾り選びに悶々しているのと同時刻の、郊外の草原。
フームとカービィは、平和にお茶をしていた。
持参のクッキーと紅茶も底を尽き、二人は世間話に花を咲かせていたが、
今フームはカービィの髪いじりに専念していた。
シニョン、三つ編み、ツイスト、etcを、フームは器用に結っている。
のほほんと平和な姉妹像(姉妹ではないが)がそこにあった。
――だが、そんな平和な光景を破るのは、非常に容易いものだった。

キキキキィッ!!!

耳障りな急ブレーキ、それの発信源である、ウサギのエンブレム付きの大きなオープンカー。
運転手はエスカルゴン、助手席に堂々と構えているのは、デデデ大王だった。
「あ。デデデ大王だ。」
「ちょっと!何の用よ!?」
カービィは呑気に対応し、フームは眉間に皴を寄せ、一気に目つきを悪くする。
フッフッフ、といかにも悪役の笑いをし、デデデはカービィをビシッと指差した。
「“何の用”とは分かりきった事を聞くものでゲスな。」
「今日こそ年貢の納め時ゾイ、カービィ!!」
「も~、またなの~?」
彼女としては、もうウンザリなのだ。
結果が見えているのにも関わらず、デデデはこうして戦いを挑んで、また星になる。
(その不屈の闘志を、何で国づくりに活かせないんだろ?)
それが常の疑問だが、その答えは「無理」だということを知っているので、とうに諦めている。
「…ごめんフーム。行ってくるね。」
「気をつけてね。油断したら、痛い目見るかもよ?」
シートと水筒をバスケットの中に片付け、フームは少し離れた。
カービィはそれを見届け、デデデ達に向き直る。

858:星の髪飾り(4)
07/08/26 19:36:36 +HTIwmXl
「さあ、出てくるゾイ!“ギガント・エスカルゴン・ロボ”!!」
車のトランクが開き、伸びたアームが中にある鉄の箱を引っ張りあげる。
地面にデン、と置かれたそれから火花が飛び出し、機械音を立てながら高さ10mは
あろうかという兵器へと変貌を遂げた。
…「質量保存の法則」とか、そんなものは無視していただきたい。
エスカルゴンがモデルのそれは、両手から刃を出し、炎を吐き出した。
「今までの反省を活かし改良に改良を重ねた結果、機動力抜群、氷と炎と電気、
爆弾も搭載と、各種の攻撃をこなせるに至ったでゲス!」
「さあ、今こそカービィめを屠る時ゾイ!やれええい!!」
フシューーーッと、いたる所から蒸気を噴出し、エスカルゴン・ロボが
カービィに猛烈な勢いで前進してくる。
身構えるカービィ。
「さあ来い!いつもみたいにスクラップにしてあげるよ!!」
ザクゥッ!!
鎌が振り下ろされ、地面が抉られる。二度三度と続けられるそれを、
カービィは危なげ無く避ける。
(ファイアは一昨日、スパークは5日前だし…カッターは一週間前…。最近使ってないのは、
ボムとアイスかぁ…。)
今日は何をコピーするか、と呑気に考えている。
だがそのせいで、すぐ手前に投げつけられた爆弾に気づくのが遅れてしまった。
「わっ!?」
慌てて右に跳び、今度はその横に炎が吐き出される。
「うわぁったった!?」
ついつい気を抜いてしまう点、まだまだ未熟と言えよう。
だが、ギリギリで持ち直し、ロボと十分な間合いをとる。
シャキン、とロボが両手の刃を構え――カービィ目掛けて投げた!
ヒュンヒュンと風を切るそれを、二枚ともカービィは避ける。
だがその時、視界の端にあるものが留まった。キャピィ族の親子連れだ。
旋回してきた刃の軌道上に、二人の姿がある!
「危なーーーーーいっ!!!」
カービィはダッシュで駆け寄り――襲い来る刃に怯える親子を地面に押し倒した。

859:星の髪飾り(5)
07/08/26 19:38:42 +HTIwmXl

――ザシュウッ!!

…何かが斬られる音がした。
カービィにも親子にも怪我は無い。だが…
「大丈夫?怪我は?」
自分の異変に気づかないまま、子供の顔を覗き込むカービィ。
その子供は頷き、カービィの顔を見て目を見張った。
「か、カービィ…!」
「え、どうかしたの?」
母親も起きて、カービィを見るなり声を上げた。
「カービィ、あなた……髪が…!」
「え?」
「カービィーーー!!」
駆け寄って来たフームも、カービィの顔を見るなり口を覆った。
「フームまでどうしたの?」
言いにくそうに俯くフーム。少し目を泳がせ、口を開いた。
「――カービィ。あなた、髪の毛が切られてるわ。」
「…え?」
恐る恐る、自分のポニーテールに触れる。
先程、親子を押し倒した時、たなびいたポニーテールが刃に切られたのだ。
胸元辺りまで届いていた髪は、今や結び目から数センチほどしか残っていなかった。
地面に散らばっている切られた桃色の髪が、風に浚われていく。
それを確認したカービィの顔が凍りついた。
親子を逃がしたフームが、心配そうに彼女の顔を覗き込む。
凍りついた彼女の顔を見て胸を痛め――デデデを思い切り睨み付けた。
「デデデ!!アンタ、何てことしてくれたの!?」
「な、何ゾイ!?」
「“髪は女の命”って言葉、知らないの!?サイテーよ!!」
「やろうと思ってしたわけじゃないゾイ!大体、髪切ったぐらいで何でそこまで
言われなならんのだ!?」
「いや、謝っといた方がいいと思うでゲスよ、陛下。」
エスカルゴンにも言われ、デデデは思わずたじろいだ。
「な、何でだゾイ!?」
「何でも何も…ほら、カービィを見てみるでゲス。あんなにも怒りのオーラが
…って、え゛え゛え゛!?」
エスカルゴンの言う通り、カービィからは何やら黒いオーラが立ち昇っている。
俯いていて表情が見えないだけ、尚更怖い。


860:星の髪飾り(6)
07/08/26 19:46:48 +HTIwmXl
「カー、ビィ…?」
「――離れてて、フーム。出来るだけ遠くに。」
静かな怒りの込められた声に気圧され、フームは大人しく従った。
こんなカービィ、今までに見たことがないのだ。
無言で俯いたまま、ゆっくりと重たい足取りで、ロボへと歩いていく。
「チャンスゾイ!やれぃ、エスカルゴン・ロボ!」
「あ、ちょっとアンタ――!」
エスカルゴンの静止も届かず、デデデがロボに命令を下した。
命令に従い、ロボは口からボトボトと爆弾を落としてきた。
カービィは無言で、腕輪を掲げ、爆弾を吸収した。
「げげげえっ!」
「あーもー、だから言ったのに…。」
「何とかするゾイ!!」
「どうしろって言うでゲスか、もー!!」
二人が漫才を繰り広げている間に、既にカービィは、ロボを破壊していた。
水色に白いポンポンのついたキャップ。ボムカービィだ。
丸い爆弾を取り出し、持ち上げる。すぐには投げずに、どんどんと大きくしていく。
そして、低い声で呟いた。
「―デ・デ・デ……。」
爆弾はどんどん成長していく。上限突破は近い。
「に、逃げるゾイ!!」
「ハイでゲスゥ!!」
車を急発進・Uターンさせるエスカルゴン。
車目掛けて、カービィは爆弾を思い切り投げつけた。
怒りの言葉を叫びながら。


「――…なんて事してくれたのさああああああぁぁっ!!!!!!」


ちゅどおおおおおおおおん!!!!

キノコ雲が湧き上がる。
カービィの怒りと爆弾が同時に破裂し、デデデの車を彼方へと吹っ飛ばした。

861:星の髪飾り(7)
07/08/26 19:52:04 +HTIwmXl
「これで、良し…と。」
デデデ城の大臣一家の部屋、ブンの自室。
店で買った星のヘアゴムを、彼は自分でラッピングしていた。
白い小箱に入れて、赤いチェックのリボンで飾りつけ、封をする。
「後はいつ、どう渡すか――」
「ブン!」
「のわあああっ!!」
急にフームにドアを開けられ、小箱を落としそうになるブン。
慌てて、引き出しの中へしまい込んだ。
「の、ノックしろよな!」
「あ、ごめんなさい。―ねえ、あなたハサミ持ってない?」
「ハサミ?あるけど。」
ペン立てからハサミを抜き、フームに手渡す。
「何に使うんだ?」
「…カービィの髪を切り揃えるのよ。」
ブンは、ビシリと石化した。
慌てて部屋を出ると、ソファにカービィが腰掛けていた。
長かった髪は、無様にザンバラに切られていた。
「…あ。ブン。」
「カービィ!お前、何で――」
「デデデと戦った時にね。背中を向けて頂戴、カービィ。」
櫛で髪を整えるフーム。綺麗になったら、端からハサミを入れていく。
ジャキ、ジャキ、ジャキ……。
桃色の綺麗な髪が、紙の上に落ちていく。
「…フーム。」
「なあに?」
「…思い切り、短くしてくれないかな?」
まさかのカービィの要望に、フームもブンも驚いた。
「い、いいのかよ?お前、ずっと長い髪に憧れてたんだろ!?」
「いいの。…デデデがあの状態のままじゃ、ボクしばらく、おしゃれはお預けみたい。」
にこっ、と笑顔を作るカービィ。
無理な笑いなのは、誰の目にも明らかだった。
何も言えず、自室に戻るブン。引き出しから小箱を取り出し、溜息をついた。
(せっかく買ったのになぁ…。)
短くしてしまったんじゃ、ヘアゴムの意味が無い。
だが、急に閃いた。
(…ヘアゴムじゃなきゃ駄目、とは限らねえよな…?)
ブンは財布を取り出し、部屋を飛び出した。

862:星の髪飾り(8)
07/08/26 19:55:44 +HTIwmXl
「お?いらっしゃーい。」
コンビニのドアを乱暴に開け放ち、ブンが入ってきた。
迷う事無く、髪飾りがある棚へと走って行き、目を走らせた。
「どうしたのー?また髪飾り?」
「これをくれ!」
ブンは、あるものを乱暴に突き出した。
「ん?300円ね。」
「ラッピングの道具あるだろ?貸してくれ!!」
「いいよ。はい、これ包装紙。」
これで今月はスッカラカンだ。でも悔いは無い。
ブンは再び、城へと全速力ダッシュをかけた。


「終わったわ。」
ハサミを置き、フームはカービィに手鏡を渡した。
髪型としては、セミショートといったところだ。
「ありがと、フーム。やっぱり上手だね。」
「そんなこと無いわ。もう暗いし、ウチでご飯食べてく?今日はビーフシチューだって。」
「ん~。残念だけど、遠慮しておくよ。じゃ!」
「あっ…。」
カービィが、夕食の誘いを断るなんて本当に珍しい。
いつもなら、大喜びで飛び跳ねて、一緒に夕食の準備に取り掛かるのだ。
つまり…
「…無理して笑っちゃって。あの子、本当は悲しい筈なのに…。」
カービィが消えたドアを、フームはしばらく寂しげな目で見ていた――。

863:星の髪飾り(9)
07/08/26 20:37:29 +HTIwmXl
ずっと、長い髪に憧れていた。
長い髪の人とすれ違うたび、短い自分の髪と見比べたりした。
何だか、ずっと綺麗に見えて。大人っぽく見えて。
あんな風になりたいな、ってずっと思ってた。
だから、結べる長さになった時は嬉しかった。
髪飾りをフーム達と選ぶのは楽しかったし、ようやく普通の女の子になれた感じがした。
それなのに……――。


日の沈みかけた小道を、カービィは独り歩いていた。
丘の上に、ドーム状の我が家が見える。
(トッコリに、何か言われるんだろうな…。)
おそらく、盛大にからかわれるに違いない。憂鬱だ。
短くなった自分の髪に触れる。頭が軽い。うなじが涼しい。
(やっぱりボク、おしゃれはできないのかな。)
「戦士」の自分を否定する気は無い。
でも、「普通の女の子」として、少しでも暮らしてみたい。
皆と遊んで、誰かを好きになって、結婚して、子供を産んで、添い遂げて。
ないものねだりなのは分かってはいるものの、夢を見るのは罪じゃない筈。
涙が滲みそうになり、カービィは目を擦った。

「おーーーーーい…」

後ろから、聞きなれた声が聞こえてきた。振り向くカービィ。
ブンが、坂道を走ってきていた。

864:星の髪飾り(10)
07/08/26 21:00:54 +HTIwmXl
「カーーービィーーーッ!」
「ブン!どうしたの?」
膝で息をするブンの背中をさすってやるカービィ。
息を整え、ブンは彼女の顔を見た。
「髪…本当に短くしちまったんだな。」
「うん。あ、気にしないでよ?これ、中々涼しいし快適だし。」
なんて無理のある嘘だ、とブンは思った。
カービィが、フームやハニーの長い髪を、羨ましげに見ていたのは知っている。
だって――長いことずっと、彼女を見てきたのだから。
ブンはカービィの手を取り、何かを握らせた。
小さく茶色い紙の袋に、赤いリボンのついた金のシールで封がされている。
「これ…?」
「…おしゃれはお預けだ、なんて言うなよな。」
早速開けようとするカービィを圧し留め、ブンは踵を返して走って行った。
だが途中で振り向き、カービィにこう言った。
「髪、また伸ばせよーっ!結べる長さになったら、いいモンやるからなーっ!」
ブンの姿が小さくなる。
カービィはしばらく、手の中の紙袋をじっと見つめていた。
中身を掌の上に出し、少し驚いて、微笑んだ。
手の中には、黄色い星型の石が3つ連なっている2つのヘアピンがあった。
それで顔の横の髪を留め、家への道を軽やかな足取りで歩き出す。
(いいものって…ブン、何くれるのかな?)
まだ当分先のことだが、期待が大きくなる。
嬉しい気持ちをそのままに、カービィは元気な声でただいまを言い、ドアを開けた。


ブンの机の引き出しの中に眠っているヘアゴムの出番は、もう少し先のことである。

865:利休鼠
07/08/26 21:07:07 +HTIwmXl
長かった…。
ちなみにこの話の時間軸は、「永い一瞬」の2年前です。
私的イメージでは、カービィはそんなに髪長くありません。精々セミショートです。
駄文にお付き合いいただき、誠にありがとうございます。
叩きも感想も大いに結構。これからも精進するつもりです。
「神」と呼ばれる作品を書ける、その日まで…。

866:名無しさん@ピンキー
07/08/28 00:09:35 HhEJgR1l
>>895乙!
ブンが初々しくて思わず(・∀・)ニヤニヤ

867:名無しさん@ピンキー
07/08/30 20:43:29 amy7iUXE
ほっしゅほっしゅ

868:名無しさん@ピンキー
07/08/30 23:09:35 4K1BusaB
>895
お見事。GJwww。

>883
さあ、それを文章に!文章に!!

869:名無しさん@ピンキー
07/09/02 02:58:39 5/yYd1Rz
>>883の逆レイプが気になる。

870:883
07/09/02 23:45:14 QNO6U2Y5
もっと気にして(´Д`;)ハアハア


ごめwwwネタ練ってはみたけど肝心のエロシーンかけなくて削除orz
卿がショタでもいいならかきなおしてみるぜ

871:名無しさん@ピンキー
07/09/03 00:04:41 2GW9pYXx
>900
ショタでもいいのでぜひ…!!卿に飢えてます

872:名無しさん@ピンキー
07/09/03 21:06:32 SxRE0E38
あ、いつの間にか900越えたんだ。
なんか前スレのお漏らしアド&リボンあたりから結構いい感じで進行してるね。
この間全くネタにされないドロッチェ団しか新作なかったというのにw

873:名無しさん@ピンキー
07/09/04 10:31:10 PgDbzw0o
ここは保管庫はないのかや

874:名無しさん@ピンキー
07/09/04 22:22:29 kGy0Q67f
絵はあるよ。
文は今のところないけど

875:名無しさん@ピンキー
07/09/05 22:52:46 qYnT1SrF
どこにあるか教えてくれんかの

876:名無しさん@ピンキー
07/09/06 00:05:20 pQ9Axo0M
このスレ内検索すれば出る

877:名無しさん@ピンキー
07/09/06 13:43:32 XUykYLQx
ケチ。バカ。氏ね。

878:名無しさん@ピンキー
07/09/06 20:43:51 K41zeYSR
成人が発する罵倒とは思えんな

879:名無しさん@ピンキー
07/09/06 21:51:04 6kbEGc17
>>908
ばっちぃからさわらないほうがいい

880:名無しさん@ピンキー
07/09/10 09:04:54 Y0pfM9is
>>909ワラタ

881:名無しさん@ピンキー
07/09/12 18:46:16 RiZthrWC
hoshu

882:名無しさん@ピンキー
07/09/12 20:17:45 o1qkLeAR
shine

883:名無しさん@ピンキー
07/09/13 00:34:29 H6j0klb+
>>912
シャイン?
カービィ2のブライトとシャイン、小さい頃に、よく苦戦したのを思い出した。
多方攻撃とかされて、「どうやって倒すんだ!!?」
とか震えてた頃が懐かしい。ボスブッチのかつての強敵だったなぁ。

884:名無しさん@ピンキー
07/09/15 00:06:23 xIKR+U2E
今、魔獣×擬人化♀ソードナイト書こうと思ってるんだが、

需要あるのかな…。

885:名無しさん@ピンキー
07/09/15 01:11:53 1TA3zDcZ
>>914
読みたい。ソード好き。

886:名無しさん@ピンキー
07/09/15 02:38:42 Ta+CX/Dj
>>914
エロなら何でもいい

887:名無しさん@ピンキー
07/09/15 03:08:18 l4DEaP3z
>>913尊敬した くだらない廚のかわしかたに 尊敬した

888:名無しさん@ピンキー
07/09/15 16:22:47 BQahOkkk
>>917
913の駄洒落のほうが相当くだらないと思うが?

889:名無しさん@ピンキー
07/09/15 23:36:46 qa5jc4ni
ごめんよ俺もbrightって書こうとしてた

思いとどまったけど

890:名無しさん@ピンキー
07/09/16 03:37:05 XX6wFxAA
>>914だが、一つ確認したいことがあるんだ…。
ソードナイトって、アニメ版メタナイト卿の部下の一人で、背が低くて頭がパンのような形じゃない方だよな…。

891:名無しさん@ピンキー
07/09/16 09:54:00 8aLqnotl
あれ、そっちがブレじゃなかったか?
確信はない

892:名無しさん@ピンキー
07/09/16 11:14:52 XX6wFxAA
>>921
そうなのか・・・・
どうやらおいちゃん、背が低い方をソード、背が高い方をブレイドと勘違いしてたみたいだ…orz



ちょっと3人に斬られてくる・・・。

893:名無しさん@ピンキー
07/09/16 12:50:03 Uw76s/ZR
ブレイドが赤い兜飾りがついてるのでソードがパンみたいな頭の方だよ

894:名無しさん@ピンキー
07/09/16 13:56:51 8aLqnotl
>>922
それよりソードの頭をパンに表現したおまえのセンスに感動した

待て、切られるなら俺もつれてけ
独り占めはさせんぞ

895:名無しさん@ピンキー
07/09/16 20:03:13 1ZFQgXkT
>920
赤いふさ毛が付いてるほうがブレイドナイト、そうでない方がソードナイトだ。

896:名無しさん@ピンキー
07/09/20 19:50:33 +yWEaCHR
フームさん「カービィ、保守よ!」
ピンク玉「ぽよ!」

897:名無しさん@ピンキー
07/09/21 19:52:57 11FsE5xZ
自分、18歳ですけど・・・・・。

ちょっとアド絵(エロ)投下。

C:\Documents and Settings\Owner\My Documents\My Pictures\ado.ryona.jpg

下手だったらすみませんorz

898:名無しさん@ピンキー
07/09/21 20:19:25 11FsE5xZ
すみません。投下方法間違えました。

できたらなかった事にしてください・・・・(泣



899:名無しさん@ピンキー
07/09/21 22:42:34 OJgtFp/+
あえて釣られてみる

アドでリョナとか随分狙ってるなぁw

900:名無しさん@ピンキー
07/09/22 00:02:32 IZQ4MaI2
>>927
警察呼んどくわ。

901:名無しさん@ピンキー
07/09/22 03:15:41 7cAcr6X6
よかったな、Ownerで。

902:名無しさん@ピンキー
07/09/23 00:38:33 Y7LCCivJ
本名入れてたら神だった。

903:名無しさん@ピンキー
07/09/24 16:04:29 YivJ9rcL
ひまだ~よ

904:名無しさん@ピンキー
07/09/26 18:43:04 rTUq220o
保守ですぅ

905:名無しさん@ピンキー
07/09/29 18:46:32 Yk3X8VxH
保守!

906:名無しさん@ピンキー
07/09/30 21:01:13 v4RyE0pf
魔獣×ソードマダー?

907:名無しさん@ピンキー
07/10/01 09:22:55 RGio65VM
過去スレが見れない・・・すみませんが誰かうpあるいは
見方を教えてください(´・ω・`)

908:名無しさん@ピンキー
07/10/01 10:18:05 XfLQkf37
>>937
file/071001101713.zip (564701)

909:名無しさん@ピンキー
07/10/01 14:34:55 RGio65VM
>>938
すみません、それはどうすれば手に入るのですか?

910:名無しさん@ピンキー
07/10/01 17:42:53 XfLQkf37
>>938
このスレの保管庫にアップしてある。
暗黙のルールっぽいから後は自力でどうぞ。

911:名無しさん@ピンキー
07/10/01 18:40:30 RGio65VM
>>940
おかげで入手できました。色々とありがとうございました。

912:名無しさん@ピンキー
07/10/02 17:47:03 Y5QOnm1l
過疎ってるねぇ

913:名無しさん@ピンキー
07/10/05 19:15:57 lN141NPr
ほしゅ

914:名無しさん@ピンキー
07/10/06 18:12:04 4y2cTS1M
GJ!!
メグ・・・これはこれで、いいキャラしてますw
この先はお決まりカップリングでやっちゃうんですかね?と妄想。
リリトレとアリソン、アニメ化なんですか?
両方動きのある物語だと思うので楽しみです・・・!


915:名無しさん@ピンキー
07/10/06 18:12:41 4y2cTS1M
盛大に誤爆;すいません・・・orz

916:名無しさん@ピンキー
07/10/12 22:07:50 3Fm2117e
魔獣×ブレイド(擬人♀)の方に期待age。

917:名無しさん@ピンキー
07/10/14 20:32:17 Ilkr7tEI
バウンシー×チュチュ×カービィ
ピンク3体で乱交して欲しい


918:名無しさん@ピンキー
07/10/20 16:04:18 LyGG0Und
>>743のせいでメタフム熱が再熱したどうしてくれる

こいつらを書いてくれる職人いないかなぁ・・・

919:名無しさん@ピンキー
07/10/21 00:25:05 5Gctgf5L
DVD-BOXでも発売されればまた活気付きそうだが

920:名無しさん@ピンキー
07/10/21 21:51:10 wlhX2J2n
DVDと言えば
URLリンク(ja.uncyclopedia.info)
最後吹いたw

921:利休鼠
07/10/21 22:24:27 lB4HVoam
829で、メタナイト(擬人♀)ものはTSかと聞いた際「それっぽい」的な事を
言われたので、TSスレに投下してこようと思う。
相手はナックルジョー父(便宜上、海外で使われている『ジェクラ』の名で)
だけど。


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