07/02/04 00:23:11 3z4Bkhvz
流れをぶった切らせて貰って、>>721の続きを投下。
他の職人さんのつなぎぐらいに気楽に読み流してもらえると幸い。
少女を見送った後、ふたりは並んで街中を歩きはじめた。
「そう言えば伊吹。お前、何でこんなところにいるんだ? お前の学校は離れてるだろ」
「………」
伊吹は最初どこかバツの悪そうな表情を浮かべたが、すぐに答えは返って来なかった。
世間話程度に話を持ち出したのだが、嘘をつくなり話題を逸らすなりすればいいのに
真面目に迷うところはこいつらしいな、と思いちらりと伊吹の顔を覗き込んだ。
「……この間の件はすまなかった」
「…あ、光のことか。別に、俺に謝るようなことじゃねえだろ。
俺にだって向こう見ずなところがあったし、お前は光に謝っていただろう? …それでいいじゃねえか」
あまりに沈痛な伊吹の表情にため息をついた。
以前、円は伊吹のことを『良くも悪くも、真面目で潔癖な奴』と評価した。
成る程、謹直なのはいいがそれが故に、些細なことでも拘ってしまうということか。
その性格で光を傷つけたのは確かだが、悪いのはそれを仕掛けた幸福クラブの人間たちで、
更に言えばそんな誤解を招くようなところを見られてしまった自分自身にも落ち度はある。
今更伊吹だけを責めるというつもりは全くなかった。
その意を伝えると、若干伊吹は表情を緩めて苦笑いした。
「……そうか。堕花さんにも同じようなことを言われた。
『先輩に誤解させるようなことをしてしまってすみません、あの不良バカは気にしなくていいですから』……とな」
あのときの会話の内容は知らないが、成る程あいつならそう答えるかとジュウは口元を緩めた。
これで、元の鞘に収まったわけだ。これから二人がどうするかはジュウの関知するところではない。
あとは光自身がどう行動するか、ただそれのみだ。
「それで、今日は彼女に謝罪の意味も含めて、クリスマスプレゼントを選びに来たんだ」
「………お前もか。俺は……いつも世話になってる奴に贈ろうと思って。
お前も知っているだろ? あの時に雪…斬島と一緒にいた光の姉ちゃん。前髪の鬱陶しい…」
ジュウが伊吹に再び説得しに行ったとき、散々サンドバックにされた場面を雨にも見られている。それは自分から彼女たちへ頼んだことだったが、いざ思い出してみるとどうも情けなさが先行してしまう。
「ああ、彼女か。……上手く行くといいな?」
「おい…? お前、何か勘違いしてないか?」
やけに爽やかに笑う伊吹を見て、ジュウは不機嫌そうに眉をしかめた。
時折、自分たちの学校でもジュウと雨はカップルだの何だの謂れのないうわさをされることがあるが、
ジュウはそういった噂話が大嫌いだった。
「……? だとしたら、おまえたちは一体どう言った関係なんだ?」
だが不思議に思った伊吹がそう尋ねると、ジュウは言葉に詰まった。