【電波的な彼女】片山憲太郎作品【紅】at EROPARO
【電波的な彼女】片山憲太郎作品【紅】 - 暇つぶし2ch300:名無しさん@ピンキー
06/08/17 23:36:18 j3dZTLmW
>>298
続きをplz


>>299
紫は九鳳院の実情を知っているのかな?
小学校で保健体育の授業があった日に、紫は真苦労にせまりそうな予感。
もっとも、環がその前に教えちゃうかもしれないけど。


301:名無しさん@ピンキー
06/08/18 15:45:12 NaP5XaHj
>>300
2巻最後で、銀子と一緒に性教育をせがんでいたけど。
しかし紅って同人誌出そうな本なんだが、今回のコミケで2次創作本って
出なかったのかな?

302:名無しさん@ピンキー
06/08/18 16:34:09 fO79XWwe
ラノベの同人って、アニメ化しないと出回らなくね?
ハルヒもアニメ化前はほとんど見なかった覚えがあるんだけど

303:名無しさん@ピンキー
06/08/18 17:55:12 o85aTvMl
で、喪前らはどんなエロパロだったら、即ゲトなのか?

304:名無しさん@ピンキー
06/08/18 19:09:52 HV6arGMJ
光が途中まで強気
 ↓
ジュウの裸をみて赤面、とたんに弱気に
 ↓
ジュウもドキドキするが覚悟をきめる
 ↓
(中略)
 ↓
夜明けのコーヒー





 ↓
「光ちゃん、絶対、許さないから・・・・」

305:名無しさん@ピンキー
06/08/19 01:31:57 9eYO9lXh
> ↓
>「光ちゃん、絶対、許さないから・・・・」


ワロタ。
リネア様化した雨、怖いよーw

306:名無しさん@ピンキー
06/08/19 10:42:23 KcCTA8Cg
こんな感じかな?

雨__「光ちゃん。どうしてジュウ様と2人して裸なの?」
光__「そっ、それは…」
ジュウ「雨、聞いてくれっ。これは全てオレが…」
雨__「ジュウ様、申し訳ありませんが 私はいま光ちゃんと話をしてるんですが」
ジュウ「…っ!」
雨__「どうしたの光ちゃん。何をしていたのか言えないの?」
光__「だって…。」
雨__「ふぅ~んそうなんだ…。で、ジュウ様に抱いてもらったご感想は?(薄笑)」
光__「お姉ちゃん…。」

雨 怖すぎ…orz。

307:名無しさん@ピンキー
06/08/19 19:05:58 veqNIUcB
「紫・・・・!」覚悟を決める真九朗
 ↓
「し、ん、ん、九朗、もっ、もっと、優しくっ、してくれ!」
「ごめん、紫、でも止められないんだ!!」
 ↓
(二時間半程中略)
 ↓
「ごめん、乱暴にして本当にごめん!!」
「もう良い。その代わり、きちんと責任は取ってもらうぞ?」
「それはもちろん。何があっても俺は紫の「・・・・さん」?」
 ↓
ドアの隙間から覗く瞳、漏れる声
「真九朗さん真九朗さん真九朗さん真九朗さん真九朗さん真九朗さん
. 真九朗さん真九朗さん真九朗さん真九朗さん真九朗さん真九朗さん
. 真九朗さん真九朗さん真九朗さん真九朗さん真九朗さん真九朗さん・・・・」

308:伊南屋
06/08/20 11:35:51 7xroZaf6
「それじゃ、はい、ぐいっと」
 そう言われても……。
 ジュウは躊躇いを隠せないでいた。
 目の前には錠剤。雨の説明によればこれは以前使った薬であるという。
 前回は粉にして溶かして使ったので錠剤のまま服用すれば更なる効果が期待できるらしい。
 今四人はとある宿泊施設にいる。
 繁華街からやや奥まった路地。そこは所謂ホテル街だ。無論、ジュウ達が居るのもそのホテル街の一角にあるラブホテルの一室である。
 その部屋で、全裸の美少女三人に囲まれ、薬を勧められている。
 異常な状態にホテルに入る時にすれ違ったカップル。その男の方が向けてきた驚愕と羨望の混じった視線を思い出す。
 あの男に言ってやりたい。
 そんなに良いもんじゃない、と。
 少なくとも自分はこの事態に困惑しか出来ない。
 そんな思考に逃げていた意識を現実に戻す。
 そこには変わることなく錠剤と、それを流し込むための酎ハイ。
 正直こんなもので飲み込んで命に関わったりしないだろうか?
 まあ雨が何もも言わないので大丈夫なのだろう。
 しかし、だからといって飲むわけではない。ジュウはただ錠剤を睨み付け黙り込む。
 痺れを切らしたのは雪姫だ。全裸のまま立ち上がり、ジュウの目の前のものを奪い、一気に口に流し込む。
 次の瞬間にはジュウと雪姫の唇は重ねられていた。
 それだけでなく、雪姫は唇を割開き、ジュウの口中に自らの中にあったものを流し込んでいく。
 炭酸とアルコールの味に混じって微かな苦味がある。恐らくは錠剤が溶け出しているのだ。
 雪姫は唇を離さない。飲め、ということだろう。
 もはやそれしかない。ジュウは諦めて口の中のものを飲み下した。
 瞬間。ジュウの体を熱が支配する。喉から胃を焼くアルコールと、それとは違う内から滲むような、疼きにも似た熱。
 酩酊感と高揚感が同時に押し寄せてくる。それらに意識を混濁させ、ジュウの理性が失われていく。
 理性の後に残ったのは体の火照りと、思考すら支配する獣の衝動だけだった。
 ジュウは衝動に任せ、雪姫の体を掻き抱いた。荒々しい抱擁に雪姫が息を詰まらせる。
 それでも抵抗を見せないのは服従の証か。むしろ切なげに雪姫は瞳を伏せた。
「ジュウ様……」
 ジュウの背に雨が体を重ねてくる。全体的に小振りな作りのその体から体温と鼓動が伝わってくる。
 それはジュウを安心させる、まだ幼い母性。

309:伊南屋
06/08/20 11:58:44 7xroZaf6
 しかし、母性というものを求めて止まなかったジュウにとってはそれで十分だった。
「わ、私もっ!」
 光が絡み合う三人に身を割り込ませ、ジュウの腹の辺りに抱き付く。
 まるで幼い子供が父親に甘えるように身をすり寄せる光に、ジュウは手を差し伸べ頭を撫でてやった。
 唇を雪姫に、背を雨に、腹を光に。
 それぞれに触れあわせ、その感触に酔いしれる。
 真っ先に異変に気付いたのは光だった。
「あ……」
 腹のその下、ジュウの股間で熱を含んだ塊が鎌首をもたげ始めていた。
 全員の視線がそこへ集まる。
 雄々しくそそり立つそれに、思わず雪姫、雨、光の三人が顔を赤くする。
「いつもより……おっきい?」
 そう口にしたのは雪姫だった。
 なる程、言われてみればジュウのそれは普段よりも心持ち猛々しくその存在を主張していた。
「ここはやはり……」
 雨がそれに手を伸ばしつつ言う。
「みんなで、でしょうか?」
 雪姫と光がその意を汲み取り頷き合う。
 三人は同時にジュウの足元に跪き、それぞれ舌を差し出す。
 亀頭、幹、付け根に舌が這わされる。
 それらは位置を替えながらジュウに刺激を与え、射精へと追い立てる。
 くぐもった鼻息と、唾液の立てる水音が室内に響く。
 熱心に舌をジュウのペニスに絡め、三人は競い合うようにジュウを頂点へと導く。
 そして、それは呆気ないまでに唐突に訪れた。
 先端から大量の精液が迸り、三人の顔を白く染める。
「少し、薬が効きすぎましたか」
「そだね、ちょっと早いかな?」
「でもさ、ほら……」
 顔の精液を拭いながら言葉を交わす雨と雪姫に、光が指差してみせる。
 そこには変わらずに硬さを保ち、その身を痙攣させるジュウの牡の証があった。
「ねえ、誰から行く? 私もう出来るんだけど」
 そう言った雪姫は自らの指を股間に這わせている。そこから既に十分に濡れているのが分かる程に淫らな音を立てている。
「ここは一応正妻の雪姫からで」
 雨の言葉に異を唱えるものはいない。雪姫は嬉しそうに微笑むとその身をジュウに擦り寄せる。
 性欲に支配されたジュウは雪姫をベッドに俯せに組敷く。
 そのままジュウは雪姫の背後から侵入した。
 抵抗も少なく、雪姫はジュウをその身に受け入れる。
「ふぅ……っん」
 ジュウが腰を前後させると、それに合わせ雪姫の体がビクビクと痙攣する。

310:伊南屋
06/08/20 12:21:49 7xroZaf6
 しばらくゆるゆると動かしていたジュウだったが、その動きはすぐに激しい、責め立てるような激しいものになった。
 腰と尻がぶつかり小気味良い音が響く。猛烈な突き込みに、雪姫はあっと言う間に限界まで追いやられる。
「はっ、はっ……! くうぅん、い……くっ……いくぅっ!」
 雪姫の背が大きく仰け反る。体を震わせ、雪姫が絶頂に達する。しかし。
「ひゃあ!? や、だ……めぇ」
 ジュウは動きを止める事なく腰を打ちつける。雪姫の敏感ぬった体は、与えられる刺激に先より更に高く絶頂に打ち上げられる。
「くっ……う。やぁ、また……いっちゃ……ひゃうっ!」
 雪姫の体が跳ねる。強い性感に意識が白く染められ、雪姫は体をぐったりと横たえた。
 雨と光が戦慄する。
 最初こそ驚く程に早かったジュウだが今は簡単に満足しないらしい。
 加えて激しい責めでいともたやすく絶頂に追いやる。
 もしかしたら自分達は薬で増強された性欲が果てるまで責め立てられ、何度もその身を捧げなくてはならないのではないか。
 そこまで考えて、自分の体が熱く情欲を訴えているのに姉妹は気付いた。
 既に身も心も奴隷なのか。しかし二人はそれが不快ではなく、むしろ誇らしくすらあった。
 ジュウは雨を自らの方へ引き寄せる。その背を抱き抱えるようにすると、雨の腰を浮かせ、下から突き込む。
 それは丁度、雨と光を同時に相手した際に光を抱いた時と同じ体勢。
 ジュウは光に目で合図を送る。
 その意を読み取った光は、かつて姉がそうしたように、結合部へと自らの舌を這わせた。
「はぁぁっ!」
 自らが与えた、しかし与えられるのは初めての刺激に、雨の体は顕著な反応を見せる。
 止めどなく愛液が溢れ、妖しく蠢く秘壷は奥へ、奥へとジュウを誘う。
 舌を雨とジュウの繋がりの部分に這わせる光は自らの中心で指を闇雲に動かし快感を得るための自慰に耽る。
 不意に這わされる舌が増える。
「ひゃぁ! 雪っ……姫ぇ!」
 それは先までぐったりとと体を横たえていた雪姫だった。
 虚ろな表情で舌を這わせる彼女は自らの行いを把握しているのか。
 ただ確かなのはその行いが雨の性感を無慈悲なまでに高めたという事だ。
 雨は悲鳴にも似た矯声をあげ、体を激しく痙攣させた。
「かはっ……はぁ、はぁ……」
 ジュウとの結合が解かれると、雨は荒い呼吸をしながら倒れ込んだ。
 それには一瞥もくれず、ジュウは光を瞳に捉えた。

311:伊南屋
06/08/20 12:36:46 7xroZaf6
 ジュウは無造作にその手を掴むと、自分は仰向けに横になる。
 手を引き、光をその上に跨らせる。
 そのままジュウは動かない。
 光は意を汲み取り、手をジュウに添え、自らの入り口にあてがう。
 しばし、そのまま躊躇したが、決心と同時、腰を沈めた。
「や、はぁっぁん!」
 自らの膣中を抉られ、光がたまらず声をあげる。その声は無意識に振り立てる腰の動きに合わせて大きくなっていく。
 その声を、雪姫が唇を重ねる事で抑える。
 深く差し込んだ舌を絡められ、喘ぎ声の代わりに唾液の混ざる音と、漏れる息の音が響く。
 それを眺めていたジュウにも雨が口付けをする。
 さらにジュウの手を自らの下半身に誘い、愛撫させる。
 ジュウの指が雨を愛撫するのを横目に見た雪姫も、残った片手を同じように自らにあてがう。
 全員が唇を交わし、性感を貪り合う。
 ジュウは指先と自らの男根を縦横無尽に、女達を責め立てる。
 深く突き込まれ光が。
 一度絶頂に追いやられ性感を高められていた雨と雪姫が。
 三人が同時に達するまでそう時間は掛からなかった。
 ベッドの上に三人が身を投げ出す。
 荒い息をつきながら、ぼんやりとした思考の中で三人はあることに思い至った。
 ジュウが最初の一度以来、一度もイっていないのだ。
 改めて時計を確認して愕然とする。
 殆ど、そう言って良いほどに時間が経過していない。
 つまり、それだけの短時間に、三人で五回もイカされたのだ。
 このままジュウが満足するのはだいぶ先だろう。それまでに自分達はなんど絶頂を味わうのか。果たして自分を保っていられるだろうか。
 恐怖と、期待と、不安と歓喜と。それらがない交ぜになった複雑な感情に心を置きながら。
 三人は自らも気付かぬ内に、笑みを湛えて、自らの主を見つめていた。

 END

312:伊南屋
06/08/20 12:39:36 7xroZaf6
出来上がり。
時間かかった割にはそんな長くないぜ~。

忙しかったんです…。
つうかテンションおかしいです。


さて、次はようやく書けます「紅」SS。
いつものようにシチュエーションその他リクエスト募集します。
ただし複数プレイだけは今回勘弁して下さい。

以上伊南屋でした。

313:名無しさん@ピンキー
06/08/20 13:27:36 jUD3TaXu
伊南屋氏GJ!
あんたうめえよ……。
紅ネタは、やはり真九郎×紫を希望!
シチュは二巻の性教育ネタを実践するとか、どうでしょ?

314:名無しさん@ピンキー
06/08/20 15:49:14 n3a1QssL
ってことは、銀も一緒か

315:名無しさん@ピンキー
06/08/20 15:54:52 qzeE/yep
伊南屋さんGJ
相変わらずエロいな。

リクエストの方は、銀子かもしくはリンでお願いします。

316:名無しさん@ピンキー
06/08/20 18:59:41 KUZgPig5
なんてブラボー!!(*´Д`)

317:名無しさん@ピンキー
06/08/21 16:42:14 opy2TjCI
伊南屋さんGJです。相変わらず上手いですな。

リクエストは夕乃さんや闇絵さんで。
要望が少なそうだけど。

318:名無しさん@ピンキー
06/08/21 17:09:34 NYFb1Gji
>>317
闇絵のことをすっかり忘れてたw

319:名無しさん@ピンキー
06/08/21 18:09:18 P2k1D0CZ
夕乃がほかのキャラに嫉妬して真九郎を襲うといったのを希望

320:伊南屋
06/08/23 15:33:24 cqw8CQmU
今書いてるんだけど、オリジナルキャラ、リン生存フラグでのオリジナルストーリー、最悪エロなしになりそう。
それでも良いすか?

321:名無しさん@ピンキー
06/08/23 16:15:25 Af5aT0Z5
リンが生きててくれるんなら何でもイイっす

322:名無しさん@ピンキー
06/08/24 15:25:29 vu/wyi4o
勿論それ揉みたいが
できれば銀子!銀子!銀子!との純愛も

323:名無しさん@ピンキー
06/08/24 15:26:43 3RrNeU2X
揉むのか

324:名無しさん@ピンキー
06/08/24 16:41:17 2/rPvdTO
何を揉む気だ

325:名無しさん@ピンキー
06/08/24 20:14:42 xn9Yjmwg
銀子の尻

326:名無しさん@ピンキー
06/08/24 23:47:17 ou+I70zm
ならば俺は日々の情報屋仕事でコリにコった銀子の肩を揉むとしよう。

327:名無しさん@ピンキー
06/08/26 23:09:43 fnjo4GaP
ならば俺は胸を

328:名無しさん@ピンキー
06/08/29 22:23:47 /6qPsHnk
の、脳?

329:名無しさん@ピンキー
06/08/30 15:42:04 jV4WJQHs
脳みそコネコネコンパイル。

330:名無しさん@ピンキー
06/08/30 23:59:05 49CpXawM
銀子の冷たい眼差し
眼球
眼球揉む
ハァハァ

331:名無しさん@ピンキー
06/08/31 02:43:31 +jIkD20M
まて>330、むしろ銀子の疲れきった眼球を癒すためのツボマッサージを優先すべきだ。

332:名無しさん@ピンキー
06/08/31 23:19:22 fpZGdKA+
ブルーベリージュースを差し入れ

333:名無しさん@ピンキー
06/09/01 16:10:18 8u9To/ti
相性の良いヨーグルト。しかも、カスピ海産ヨーグルトを差し入れ。
お代は760円

334:名無しさん@ピンキー
06/09/04 01:08:34 4rXcqyBU
保守

335:名無しさん@ピンキー
06/09/06 20:10:55 Lj0XaLDk
なんかいきなり流れが止まったな

336:名無しさん@ピンキー
06/09/10 23:38:31 kNv3j9TY
ここらで誰か話題を

337:名無しさん@ピンキー
06/09/11 02:13:57 LVWBlm/O
では。


電波の新刊まだー?!

338:名無しさん@ピンキー
06/09/14 22:40:38 ox6ZzCNI
保守

339:名無しさん@ピンキー
06/09/15 01:26:54 DRhznSts
雨はジュウ様でおにゃにーするんでしょうか?

340:名無しさん@ピンキー
06/09/16 06:02:28 2euKV1ze
妄想の赴くままに

341:名無しさん@ピンキー
06/09/16 18:29:56 3FhzPzhA
ジュウ様でおにゃにーしたくなって、ジュウに許可を求める雨


342:名無しさん@ピンキー
06/09/18 07:24:55 N0BxWkb2
奴は思想的に「どうせ現実には手に入らないのですから妄想くらいは許してあげましょう」だからな
自分にもそこらへん甘いのかもしれん

343:名無しさん@ピンキー
06/09/18 21:23:50 5iZ2nau5
「ジュウ君ジュウ君柔沢君、一個聞いて良い?」
「何だ?」
「あたしらでオナニーしたことある?」
「ブッ、いきなり何を・・・・っ!!」
「ジュウ様、あるのですか?」
「無い、無いぞ、全く無いッ!!」
「そうですか・・・・」
「あーん、雨、信じちゃ駄目よ、男は誰でも狼なのよ!!」
「ジュウ様、そうなのですか?」
「雨、だから信じるな、そして雪姫は黙れ!! 円堂さんからも何か言ってやってくれ!!」



「・・・・やらしい」
「!?(何だ、一瞬で眼鏡をかけたぞ!?)」
「!?(ここでそのネタを持ってくるなんて、円、恐ろしい子!!」
「!?(万能キャラの座を取られた!!)」

344:名無しさん@ピンキー
06/09/23 13:29:02 NKPAWo/r
白目になってる雪姫が見えるw

345:名無しさん@ピンキー
06/09/24 23:16:53 e9O1p8uv
保守

346:なに
06/09/25 20:52:47 StgAEZ5t
保守

347:名無しさん@ピンキー
06/09/30 19:51:09 xWZcSVnj
電波新刊マダー?

348:名無しさん@ピンキー
06/10/01 23:20:27 k+vIMflc
真紅朗×銀子モノマダー?

349:名無しさん@ピンキー
06/10/02 23:28:38 fvSBINxP
銀子ハァハァ

350:名無しさん@ピンキー
06/10/03 21:55:05 t/lh8X/y
「ひぇぇん…銀子ちゃぁぁん」
「はぁ…いつまで泣いてるのよ、バカ」
 鼻水と涙を垂れ流しにしている幼い男の子。
 弱気で、ケンカも弱く、それなのに人一倍正義感の強い男の子、それが紅真九郎だった。
 家族ぐるみで付き合っていた銀子はよくそのことを理解していた。
 今日とて真九郎は、野良犬を虐めていた男の子たちを止めに行ったはいいものの、返り討ちにされてしまったのだ。
 それを聞いた銀子はすぐさまその男の子たちを追いかけて、結果的には真九郎や野良犬を守ることになった。

「まったく…、何かあったらあたしに言うのよ。アンタはあたしが守るんだから」
「う、うん…」

 こいつだけは私が守らなくちゃ。こいつはいいヤツなんだから。

 漠然とした思いではあったが、幼いながらもその小さな身体に似合わず強固な意志があった。


 だが、その意志はあっさり折られることになる。
 紅家を巻き込んだ飛行機事故、立て続けに起きた銀子たち自身を巻き込んだ拉致未遂事件。
 結局何も自分が出来ることはなかった。真九郎を守ることが出来なかった。
 事件が起きた当時は悔恨し、自分の非力を責めてばかりいた。どうしてあの時真九郎を守ることができなかったのかと。

 そして、真九郎は崩月家に引き取られていった。
「初めまして。私、崩月夕乃と言います」
 そう言って見知らぬ老人と共に真九郎を引き取りに来たのは、自分よりわずかばかり年上の少女だった。
 けれど、容姿は自分よりも大人びていて、ふとしてみれば真九郎の姉と雰囲気が似ていた。
 これもまた悔しいことだが、真九郎は自分たちよりも彼女たちといた方が幸せになれるのではないかと思ったのだ。
 それで幸せになれるのなら、仕方が無いと諦めていた。――真九郎が揉め事処理屋をはじめると言いはじめるまでは。


351:名無しさん@ピンキー
06/10/03 21:55:40 t/lh8X/y

「…崩月先輩、真九郎になんてことをさせるんですか」
 中学校も卒業しようかという頃、銀子は夕乃を問い詰めた。
 もちろん、揉め事処理屋を始めるということを決めたのは真九郎自身だということは銀子とて理解している。
 だがしかし、そのきっかけを与えたのは柔沢紅香、その力を与えたのは崩月家に違いない。
 柔沢紅香が、崩月家がどれだけ凄いのかは銀子は知らなかった。知らなかったが、どれだけ凄くても自分たちを巻き込んで欲しくなかった。
「…村上さん? 私とて真九郎さんに危ない目には遭ってほしくありません」
「よく言いますね。真九郎にあんな力を与えたのは、あんたじゃないですか…!」
 自分の言い分の方が理不尽だということを理解していながらも、銀子は珍しく自分の感情をコントロールすることができなかった。
 眼鏡の奥から鋭く夕乃を睨みつけて、憎悪を叩き付ける。
「ええ。ですが、それすらも真九郎さんが決めたことです。
 心身ともに、まだまだ未熟ですが、真九郎さんのその意志は尊重すべきです。…そうではありませんか、村上さん?」
「綺麗ごとを! 真九郎が命を落としたらどうしてくれるんですかっ!」
「心配しないで」
 スッと夕乃は双眸を細めて、銀子の瞳の奥を見据えた。ぞく、と寒気が銀子の背筋に走る。
 武道の経験のない銀子でも「それ」が危ないものだということは理解していた。
「真九郎さんを脅かすものは何であれ、私が殺します。
 もちろん、真九郎さんも崩月の技を覚えているからには、そうそう簡単に手助けは致しませんが。
 ……本当に彼の命に危険が及んだ場合、その相手を地の果てでも追いかけて殺します」
 静かではあるが、そこには鉄よりも固い意志が秘められていた。そう、かつて自分がそう意志を固めていた頃よりもずっと固く。

「真九郎さんは、私が守ります」


 負けてたまるものか。
 
 真九郎を守るのはあたしの役目なんだから。
 それからだ。銀子が情報屋を始めたのは。もともとインターネットにおける情報収集は趣味として行っていたし、
 自分の祖父が名高い情報屋だということは前から知らされていた。敷地はばっちり。あとは行動あるのみだ。
 ……出来ることなら、ひとりの女の子として幸せになりたかった。

 でも。

 その一緒に幸せになりたいヤツがそういう道を選んでしまったのなら仕方が無い。
 とことん、付き合ってやる。あいつが揉め事処理屋なんて荒事を諦めるまでは。
 なんとしてでも、ラーメン屋を継がせてみせるんだから。

 …。

 そんな、懐かしい夢をみた。気づけば、スズメの囀りが聞こえ、既に夜は明けていた。
「……バカね、あたしも」
 さて、いつになく機嫌が悪いわけだが、この苛立ちはあのバカにぶつけてやろう。
 すべてはアイツが悪いのだから。


そんなわけで書いてみた銀子モノ。
え、エロがないって? うんごめん、そこまで考えられなかった。
まあ、スレ活性化を祈ってネタ投下させてもらうよ。矛盾があっても知りませんヨ?

352:名無しさん@ピンキー
06/10/05 13:52:33 8PpMIMsm
GJ!!
スレはともかく俺の妄想は活性化した

353:名無しさん@ピンキー
06/10/05 21:58:13 De3TM5Nw
GJです。実に良い銀子ですな。
本編の裏で本当にやってそう。

354:名無しさん@ピンキー
06/10/08 01:49:14 JqaOVgUs
GJ. エロがなくても十二分に満足できた

355:伊南屋
06/10/08 19:52:59 A4j4qjb8
 何時からだったろうか。
 幼なじみの少年に恋したのは。
 崩月流を学び、逞しく成長してから?
 かつて誘拐されかけた私を庇ってくれた時から?
 幼い、幸せな時を共に過ごしていた時から?
 いや―きっと、俯き私の目の前に現れた時。その手を無理矢理引いた時から好きだったのだ。
 そして、今でも。
 彼は知らない―。
 私の想いを。
 ならば知らせればいいのだ。
 彼にぶつけてやろう。
 私の想いを。
 たった一つの変わらぬ想い。
 ―貴方が好きです。
 その、たった一言を。

『紅・外伝~銀(しろがね)~』

 紅真九郎は、いつもより早く目を覚ました。
  隣を見れば、九鳳院紫がすやすやと穏やかな寝息をたてている。
 昔の自分からは信じられない。しかし今では日常となった朝。
 真九郎が早く目覚めたのには理由がある。
 誘われたのだ。デートに。
 よりにもよって、村上銀子に。
 よりにもよってと言うのは、嫌だからではない。意外なのだ。あまりにも。
 これが単に、一緒に出掛けよう。と誘われたのなら。外面的にはデート。当事者にとっては友人同士のお出掛け。で済む。
 終わりに近付いてから銀子に。
「これってデートよね」
 と、からかわれ、真九郎があたふたするということはあった。
 こういったようなデートなら幾度かあった。
 しかし今回は、最初から。
「デートに行きましょう」
 と、誘われたのだ。一緒に出掛けた結果、デートなのではなく。最初からデートとして出掛ける。
 この差は余りにも大きい。
 色恋沙汰に免疫の無い真九郎が緊張したのは当然の帰結と言える。
 今にして思えば、銀子は自分にとって、かなり比重の大きい存在である。
 しかし、それが愛情、特に恋愛感情なのかは―正直計りかねる。
 もしかしたら家族愛に近いのかもしれない。もしくは親友に寄せる信頼、友情。
 自分でも分からなかった。
 分からないままに、今日を迎えた。
 ならば今日確かめるしかない。
 銀子の真意は分からない。何故デートなのか。
 銀子は自分に好意を寄せているのか。
 もとより他人の感情を察知するのは得意ではない。
 だから、それらも含め確かめようと思う。
 そう覚悟して、真九郎は二人分の朝食を作り始めた。

356:伊南屋
06/10/08 20:17:12 A4j4qjb8
 紫を自宅へと送り届け、待ち合わせ場所へ向かう。
 紫には今日の事を話していなかったはずだが「浮気はするなよ」と釘を刺された。
 下に恐るべきは女の勘か。
 もっともその事は大して気にしていない。紫は結局、妹のような存在だし。いずれ自分以外も見るだろう。
 そうなったら寂しいかもな、と思いつつ。結局は子供の戯言と思うことにした。
 街の中央付近に位置する自然公園。そこにある噴水前が待ち合わせの場所だった。
 余裕を見て出掛けた真九郎は待ち合わせ時間の十数分前に着いた。
 しかし、銀子は既に待っていた。
 ただ、以外な姿で。
「え?」
 そう漏らしてしまった。というより最初、それが誰か気付けなかった。
 待ち合わせしていた噴水の前には、着飾った銀子が佇んでいた。
 私服の銀子は見慣れているが、それは所謂普段着という奴で、地味なものばかりだった。
 しかし今は違う。
 なんと言うか。
 あの銀子が女の子している。
 真九郎の頭ではそれくらいしか形容出来なかった。
 おとなしめのデザインの薄手のワンピースにミュール、と言うのだったか。それを履いている。
 首元には派手になりすぎない感じでネックレスがかけられている。
 こんな銀子は初めて見た。
「あ……」
 銀子がこちらに気付く。
「おはよう。……どうしたの真九郎?」
 挨拶を返す事すら出来なかった。
 なんとなく声をかけるのが躊躇われたから。
「な、何か変? 私の格好」
 そんな風に少し照れた様子も見たことがない。まるで知らない誰かの様にすら感じられる。
「あ……いや、変……じゃない。すごい似合ってる。その……どっかのお嬢様かと思った」
 その言葉は偽りではない。
 事実、今の銀子は深窓の令嬢といった言葉がよく似合った。
 本物の令嬢の紫より、今の銀子の方が余程それらしい。
「そっか……良かった」
 銀子がそう言って微笑む。そんな笑顔も久しく見ていなかった事に気付く。
 思わずドギマギしてしまう真九郎の手を取って、銀子はその手を引く。
「さ、行きましょう」
 手を引かれるままに歩きだした真九郎は。まるで初めて会ったときみたいだ。
 そう思った。

357:伊南屋
06/10/08 20:58:24 A4j4qjb8
「そう言えば、どこ行くんだ?」
 歩き出して数分。迷いなく歩む銀子に真九郎は尋ねてみた。
 手は握られたまま。先を歩くのが銀子なのもそのまま。
「一応スタンダードに映画」
「なに観るんだ?」
「……ラブストーリー」
 微かに頬を朱に染めた銀子の様子が新鮮で、真九郎の鼓動が跳ねる。
「そうか……」
 まさか、自分がデートにラブストーリーの映画を観るなんてベタな事をやろうとは。それも銀子と一緒に。
 そんな事を考えている間に、なんとなく言葉を交わさないまま映画館に着いてしまった。
 チケットを買い入場。二人並んで席に腰を降ろす。
 始まるまでの間を保たせようと真九郎が切り出した。
「どんな映画なんだ?」
「とある男女が出会うの、雨の中ね。だけどそれは一方的なもので女の方は気付いていないの。
 それから数年経ってから二人は改めて出会う、仕事の同僚として。最初はぎこちないけど二人は互いと過ごす時間に居心地の良さを感じ始める。
 それから互いの距離は縮んでいき、やがて二人は付き合い始める。
 だけど実は女の方は前の恋人を忘れられないでいて、あるきっかけから前の恋人によりを戻そうと言われるの。
それから二人の関係にズレが生じ始め……」
「ストップ」
 思わず真九郎は銀子の言葉を遮る。
「お前まさか、ラストまで知ってるのか?」
「え……うん」
 銀子がこくん、と肯く。
「それ、調べたのか?」
 やはり首肯。
「お前……それじゃ話分かっちゃって映画詰まんないだろ」
「あ……」
「気付かなかったのか?」
「だって、真九郎が退屈しないようにって」
「それでお前が楽しめなかったら意味ないだろ……何やってんだよ、らしくない」
 銀子が顔を真っ赤にして俯いてしまう。
 その、やはり新鮮な反応に胸を高鳴らせつつ。言い過ぎたか、と思う。
「あ~……その、なんだ? お前が俺に楽しんで貰いたかったのは嬉しいからさ」
 そう言い切ると同時、薄い照明だけが点いていた場内が、暗闇に落とされる。
「ほら、始まる。……ちゃんと楽しんで観よう。な?」
 黙ったまま銀子が頷き、視線をスクリーンに向ける。
 やがて、後方から光が投射され、白いスクリーンに色を与える。
 真九郎は銀子に向けていた視線を、ようやくその時になって、遅ればせながらスクリーンへと向けたのだった。

358:伊南屋
06/10/08 21:28:49 A4j4qjb8
「映像がつくだけであそこまで違うものだとは思わなかった」
 映画館から出た二人は、昼食を摂るために入ったファミレスで先程観た映画の感想を交わしていた。
「確かにな、そんな映画詳しい訳じゃないけど、なんて言うか映像美ってものを感じた」
 結局の所、銀子も映画は楽しめた。映像だから表現できる部分は、やはりネットの文章を介する説明、批評では実感出来ない。
 その部分が良くできていた作品だったために、銀子も十分満足出来たのだ。
 その内感想の交換は。
「最後に主人公と出会う女性のシーンは蛇足」
 だとか。
「一部の登場人物が濃すぎて主人公カップルが飲まれてるシーンがある」
 といった批評に発展した。
「―でさ、序盤で消えた人がラストでまた戻ったきて余韻がぶち壊しみたいな……」
「……ふふっ」
「え?」
 唐突に笑いだした銀子に、真九郎は戸惑ってしまう。
「俺なんか的外れな事でも言ったか?」
「ううん……ただ、単純に楽しいなって。裏の世界で生きてる私達が、こんな普通なことして楽しんでるのが嬉しくて」
 クラスメイトは絶対に知らない銀子の柔らかな表情。真九郎ですら、ここの所お目にかかった事のない。普通の女の子としての笑顔に、また胸が高まる。
 今日は銀子にドキドキさせられっぱなしだ。と真九郎は思う。
「ねえ、真九郎。出よう。色々見て回りたい」
 そう言って、伝票を持ち銀子が立ち上がる。
 つられるように真九郎も立ち上がり会計を済ませる。
 それから二人は街の中を歩き回った。雑貨店に入ったり、露店を冷やかしたり、屋台で軽食を買ったり。
 それは、真九郎にとって、もっとも縁遠いと思っていた。“普通”の高校生の姿。
 幸せというものの、最も分かりやすい形だった。
 やがて、日が傾き。どちらからともなく、歩みは家路に向かう。
 その途中、銀子が立ち止まった。
「真九郎。もう一度、公園に行きたい」
 待ち合わせの公園。今日の始まりの場所を、今日最後の場所にしたいと。銀子が言った。
「分かった。行こう」
 ある意味、助かった。
 真九郎はそう思った。
 銀子に話たい事が出来たのだ。ただ、いつ切り出すか、ずっと迷っていた。
 公園に着いた時がチャンスだ。
 ―真九郎は知らなかったが。それは銀子も同じだった。
 今日話すべき事を、公園に着いたら話そう。
 二人は互いの想いを胸に、公園への道を歩んだ。

359:伊南屋
06/10/08 21:54:42 A4j4qjb8
 空は濃紫に覆われ、夜の近付きを予感させる。
 公園の中は薄暗く、街頭が頼りなく並木道と、そこに並ぶベンチを照らしている。
 そのベンチの一つに、銀子と真九郎は並んで座っていた。
 そこにあるのは沈黙。切り出すべき言葉を探す迷いと、切り出すべきタイミングを計る躊躇い。
「「あの……」」
 重なった言葉は気まずさを生み、再びの沈黙を運ぼうとした。
 しかし、意を決した銀子がそれを赦さなかった。
「話があるの……」
「……どうぞ」
「真九郎にとって大切な人って誰?」
「……色々居るよ。紫。崩月のみんな。五月雨荘の人達。紅香さん。それに勿論、銀子も」
「じゃあ」
 銀子が真っ直ぐに真九郎を見据える。
「その中で一番は?」
 言葉に、詰まる。
「なあ、銀子……」
「答えて」
 強い、言葉だった。
 此処に来て、今更迷う事など出来ないのだと悟る。
 弱い人間だと思う。紅真九郎は弱い人間だ。覚悟したはずなのに、今、迷おうとした。誤魔化そうとした。
 だけど、それは許されない。いや、許されなかった。
「俺は、きっと銀子が一番大切だよ。いや、きっとじゃない。確かに村上銀子が大切だ。比べるものではないと思う。それでも、素直な紅真九郎の意志として、銀子が大切だよ」
 ―言えた。なんの誤魔化しもない自分の想いを。
「……銀子は?」
 自分の想いは伝えた。では、銀子は?
「……」
 銀子は黙ったままだ。それでも真っ直ぐ瞳は真九郎に向けられている。
 やがて、銀子の口が開かれる。
「私……も」
 一度漏れた言葉は溢れ出す。
「私は、ずっと前から……きっと最初から真九郎が好きだった。
 でもそれを言葉にする事はおろか、自分で認めることすら怖かった。
 なんでかは分からないけど。怖かった。
 だけど、頑張ってる真九郎を見て、逃げちゃ駄目だって思ったの。自分のことを認める事から始めなきゃって。
 それで、言おうって思った。好きだよって。それで、どうすれば良いか分からなかったから、調べたの。
 私は調べる事しかできないから……それで、調べた結果、今日の事を考えた」
 それでか。なる程、映画の事を調べすぎたのも。あまりにも当たり障り無いデートコースも、それなら納得がいく。
 それに気付いた瞬間、不意に思ってしまった。
「銀子……お前、可愛いな」
「なっ……バカ! 何を言ってっ……」
 ようやく、いつもの銀子になった。

360:伊南屋
06/10/08 22:11:41 A4j4qjb8
 それでも一度感じた愛しさは薄れなかった。
 今こうして不機嫌そうにそっぽを向く銀子も、今日見た、普通の女の子の銀子もやはり同じ銀子。
 だから、やはり愛しい。
「真九郎、覚悟は出来てる?」
 不意に銀子が言った。
「覚悟?」
「そう、私と付き合うのよ? 生半可な覚悟じゃ無理よ?」
 ―なる程、確かにお互い裏社会に生きる者。特に自分は揉め事処理屋。命のやり取りだってある。
 だが、だからこそ矢面に立つことで銀子を守れる。
「ああ……守るよ。銀子を」
「何言ってんの? あんたが守るべきは私よりも家の看板よ?」
「は?」
「ちゃんと美味しいラーメン作れるようになってね? ―二人で足洗って平和に生きるんだから」
「……は、ははっ」
 そうか、そんな生き方も在ったか。
 なる程、生半可な覚悟じゃ無理だ。
 だってよく言うじゃないか。
「普通が一番難しい」
 って。
 ああ―でも、悪くない。悪くないな。そんな生き方も。
「分かったよ、銀子。日本一旨いラーメンを作ってやる」
「バカ」
 そう言うけれど。銀子は笑っている。
 それを見ると、やっぱり愛しいと思う。想いが、止まらない。
 手を、握る。
 引き寄せる。
 唇が近づく。
「…やらしい」
 銀子が呟く。
「……嫌か?」
「嫌じゃない」
 唇が触れた。

 気が付けば、夜が来ていて、頭上には銀色の月が昇り、二人を照らしていた。

361:伊南屋
06/10/08 22:16:05 A4j4qjb8
あい、どうも久方振りの伊南屋に御座います。
久方振りな上に予告とは違うわ、銀子のツンデレがラストにちらっとだけだわ。なんかやっちまった感はバリバリ。

こんなんで良かったら感想とか下さい。
あと毎度ながらリクエストは取ります。
今度こそ早めに上げますんで。

以上、伊南屋でした。

362:名無しさん@ピンキー
06/10/08 22:55:52 xI66WJ1U
オォォオ!!!GJです伊南屋さん!!
リクですか?ここはあえて一回も上ってない真紅朗×夕乃でどうか一つお願いします!!

363:名無しさん@ピンキー
06/10/10 03:04:52 OxChMZZx
「嫌じゃない」

何て言うか、うん、その、良いね。
また書いて下さい。出来れば!出来れば銀子でエロありを!
………あ、勿論夕乃さんもどんとこいですはい。

364:名無しさん@ピンキー
06/10/10 13:05:03 OxChMZZx
神が来てくれたというのに何だこのすたれようは……。
とりあえず伊南屋さんGJ!
真紅朗の内面描写が原作とそっくりで良かったと思います。
出来ればエロまで行ってほしかった……。リクは上と一緒で。

365:名無しさん@ピンキー
06/10/10 17:22:55 FYf0JUij
久々にのぞいたら投下されてたとは…
やはりいいですね
できれば後日談も見てみたい。そして夕乃さんに期待

366:名無しさん@ピンキー
06/10/10 18:35:07 xtaeNaYN
>おとなしめのデザインの薄手のワンピースにミュール、と言うのだったか。それを履いている。
>首元には派手になりすぎない感じでネックレスがかけられている。
この辺の描写が俺には出来ない……単純にファッションに詳しくないという事もあるだろうが…

367:名無しさん@ピンキー
06/10/10 21:01:02 OxChMZZx
神はまだ我々を見捨てていなかった!









という訳で上げ。

368:名無しさん@ピンキー
06/10/11 03:50:11 CS10PJjt
なぁ……本当に何なんだ?このすたれようは?折角神が来たというのに。

まぁとりあえずそんな訳で、伊南屋さんGJ!
リクは銀子か夕乃さんでどうかお願いします!

369:伊南屋
06/10/11 04:28:15 UPcvsXXA
 真九郎は目の前に意識を集中する。
 揺らぐような動き。微かな予兆。一瞬のタイミング。全て見逃さぬよう。
 構えた腕に力を込める。
 一時の静寂。
 そして―。
「はっ!」
 瞬間、真九郎の腕が跳ね上げる様に振るわれる。
 飛沫を上げ、“それ”が水面下より現れる。
 そのまま手首を返し、今度は腕を下へ薙ぐ。
 びしゃっ。と熱を孕んだ液体が地に飛び散った。
「……どうです?」
 真九郎が傍らに立つ男へ視線を向ける。
 逞しい腕を惜しげもなく晒し、やはり分厚い胸板の前で組んだ男は、その厳めしい表情に更に険を現す。
「……悪くはねえ、だが……」
 真九郎はただ、男の次の言葉を待つ。
「麺を茹でるだけで力み過ぎだぜ、シンちゃん」
 男が苦笑いを浮かべた。
 真九郎はその言葉にがっくりと肩を落とし、腕に握ったザルから麺を丼へと移した。
「シンちゃんはどうも真面目過ぎていけねえ。もっと気楽にやって良いんだぜ? 第一、麺の茹で加減自体は申し分ねえ」
 慰めるように男―村上銀正が真九郎の肩を叩いた。

 ―あれから、真九郎は揉め事処理屋の仕事を減らし、その分の時間をこうして楓味亭でのアルバイト兼ラーメン屋修行にあてていた。
 今は、閉店後の指導。
 と言っても、ラーメン作りに関して真九郎は全く素人同然。そのため初歩として麺茹でから入った。
 とりあえず一通りの指導を受け、最後に簡単なテスト。
 結果は、見ての通りである。
「まあ十分合格だ。後はやっぱ肩の力を抜くこったな」
 銀正は豪快に笑い、厨房の片付けを始める。
 真九郎もそれに習い、片付けの手伝いをする。
「私も手伝う」
 それまでカウンターで一部始終を見ていた銀子も、真九郎の隣に立ち、それに加わる。
「あんた、バカなんだから下手に考えない方が良いんじゃない?」
 銀子が呟いた。
 付き合う事になった今も、こういう所は変わらない。
 しかし、真九郎も言い返す。
「そう言うなよ。お前の為にやってるんだぞ?」
 お前の為に、という部分を強調して言う。
 銀子が、ぼっ。と顔を真っ赤にした。
「うるさい、バカ!」
 偶然洗っていたお玉で額を打ち抜き、銀子は逃げるように店から出て行く。
「言うねえ」
 銀正がぽつりと呟く。
「はい、嘘じゃ無いですから」
「ますます言うじゃねえの」
 そう言って銀正が笑う。

 日常は変わり、真九郎自身も変わりつつあった。
 ―そして、周りも。

370:伊南屋
06/10/11 05:10:53 UPcvsXXA
「真九郎さん」
 昼休み、たまたま廊下ですれ違った崩月夕乃に真九郎は呼び止められた。
「銀子さんと、お付き合い始めたんですって?」
 別段隠しているわけでもない。真九郎は「はい」と頷いて見せる。
「そうですか……」
 夕乃の表情に陰りが見えたのは気のせいか。真九郎は何となく次の言葉を躊躇う。
「真九郎さん。今日、家に来て下さい。私と、お祖父ちゃんから大切な話がありますから」
「……はい」
 答えた真九郎を見て、夕乃はあっさりと行ってしまう。いつもならもう二、三言葉を交わすのに。
 それでも、そんな事も有るか、と真九郎も歩き出す。
 歩む足取りは新聞部。銀子の下へ。
 手に下げた弁当を揺らさぬよう。それでも一時でめ早くと。
 真九郎は足を早めた。

「―ってわけだからさ。今日のバイト遅れるっておじさんに言っといて」
 先の廊下での一件をに伝えると、銀子は一瞬だけ眉根を寄せるたが。
「分かった」
 と言った。
 付き合い始めて以来、銀子も変わってきている。
 銀子も情報屋としての仕事は減らしているらしく。PCを弄る姿はめっきり減った。
 そして、今日の様に弁当を作ってくれたりも。
 朝、手渡された弁当を机に置く。
 本来ならば今渡されるべきだったのだろうが。朝の内に何でもないかのように渡されてしまった。
 それはさておき。とりあえず開けてみる。
 中は派手さはないものの、どれも美味しそうに見えた。
 銀子らしい。と思った。
 卵焼きを箸で掴み頬張る。
 僅かな甘味が口の中に広がる。
 ふと、隣を見ると銀子がじっ、と真九郎を見つめていた。
 無表情ではあるが、内心不安なのだろう。それが分かった。
 だから真九郎ははっきりと言ってやった。
「美味い」
 と。
「―そう」
 親しく付き合ってきた真九郎にしか分からない微かなレベルで、銀子が安堵に表情を緩める。
 それから、互いに言葉を交わしながら弁当を食べた。
 時折弁当を褒めながら。
 その度、銀子がくすぐったそうにするのが伝わって。真九郎も嬉しくなった。

「あ―」
 弁当を食べ終え、くつろいでいた所でチャイムが鳴った。
「……行くか」
 立ち上がり。歩み出そうとした真九郎を、ほんの微かな抵抗が留めた。
 見ると銀子が袖を摘むように掴んでいた。
 それだけで全て伝わる。
 真九郎は一度だけ。軽くキスしてやる。
 ―先の卵焼きの名残か。
 微かな甘みが唇にした。

371:伊南屋
06/10/11 05:13:10 UPcvsXXA
今から寝るんで一旦ここまで。
続きではリクエスト通り夕乃さんとのエピソードと銀子とのえちぃシーンまでやる予定。多分だけど。

以上伊南屋でした。お休みなさい。

372:名無しさん@ピンキー
06/10/11 09:22:28 IpDCIiUw
うぉ!?三日と待たず新作ですか!相も変わらず素晴らしい作品っす
冒頭のシーン。言葉は少ないのに張り詰めた様な雰囲気が読んでて伝わってきました。最初は素晴らしい戦闘描写とも取れる修行のシーンに、崩月流の修行かと思いましたよw
後、二人とも甘いですw甘甘ですwww
それでは長くなってしまいましたが、次の投下まで大人しく待ちます。色々と

373:名無しさん@ピンキー
06/10/11 15:11:21 CS10PJjt
最初の描写、角がでるやつかと思っちまったじゃないか……。

やってくれるぜこの野郎……!!!

374:伊南屋
06/10/11 20:34:53 UPcvsXXA
 放課後。真九郎は崩月の屋敷を訪れた。
「お邪魔します」
 いつも通り玄関から上がる。既に懐かしいとすら思える崩月の家に微かな安堵と。これから話される事を思う。
「いらっしゅい、真九郎さん」
 奥から夕乃が現れる。いつにない凛とした雰囲気に真九郎は一瞬呑まれた。
「あ、夕乃さん……」
「お祖父ちゃんが待ってますから、どうぞ」
 そう言って真九郎を居間へと促す。
 すっ、と床を音少な歩む夕乃は、居間の前に着いた所で真九郎を振り返った。
「お祖父ちゃんが中で待ってますから」
「夕乃さんは?」
「一対一が良いそうです。ですから私からはまた、後ほど」
 それだけ言い、夕乃は去っていった。
 一人残された真九郎は、茫としていても仕方無い、と。襖を開け居間へと入る。
 そこには確かに、崩月法泉が一人。真九郎を待っていた。
「来たか。まあ座れや真九郎」
 その言葉に従い。法泉と向かい合う形で真九郎は腰を下ろす。
「裏稼業、辞めるって? 女の為に」
 いきなりの核心。しかし、真九郎は迷いなく応える。
「はい」
「そうか……相手は村上の所の娘だって?」
「知って……るんですか?」
 法泉が村上の氏を出した事に驚き、真九郎は尋ねる。
「まあな、あそこの爺が有名だし、その息子もある意味じゃ有名だ。銀次の孫娘についても、それなりにはな」
「そうでしたか」
 確かに、あの家は裏稼業ではそれなりに名の通るのだろう。法泉が知っていてもおかしくはないと言える。
「しかし……銀次のせがれに続いてお前も足洗っちまうか。どうにも、あそこの女は男を変えちまうらしい」
 そう言う法泉はしかし、嬉しそうに笑う。
「まあ、別段俺は反対しねえから安心しな。大体そんなのはてめえで決めるもんだ。他人が口出しするもんでもねえ」
 ただ、と置き。法泉は表情を引き締める。
「覚悟はあるのか? 一人との立ち位置を変えれば、それに伴い周りとの立ち位置も変わっちまう。
 例えば九鳳院の嬢ちゃんはどうする? 子供でも女は女。あれはマジだぞ。お前の事」
 そう言われ、真九郎は考え、応える。
「確かに、紫を傷付けてしまうかもしれません。それでも……俺は銀子と居るって決めましたから」
 ただ公平でいられる事は出来ないのだ。人を好きになるという事はそういう事だ。
 それでも真九郎は決めた。あの夜に。
 だからはっきりと応える。
「俺は銀子が好きだから」
「……そうか」
 法泉が笑った。

375:伊南屋
06/10/11 21:17:25 UPcvsXXA
「俺の話は終わりだ。後は道場に行け、夕乃が待ってる」
 法泉の言葉に真九郎は立ち上がった。
 一礼して居間から出る。
 と、廊下に出た所で法泉が真九郎を呼び止めた。
「……一つ言い忘れた。
 “角”な、使い時はお前が決めろ。封印するんだろうが、もしかしたら使わざるを得ない時が来るかも知れねえ。
 そん時は迷うな、全部失ってからじゃ、遅いぞ」
「……はい、先生」
 再び、深く一礼して真九郎は道場へ向かった。


 道場に着いた真九郎を迎えたのは紅袴を着た夕乃だった。
「夕乃さん、その格好……」
「真九郎さんが似合うと言ってくれましたから」
 にこり、と笑みを浮かべ夕乃が答える。
「いや、あの……」
「真九郎さんがっ! 似合うって! 言ってくれましたから!」
 急に、夕乃が声を張り上げる。
 真九郎は戸惑いながら、夕乃に一つの異変を感じ取る。
「夕乃さん……泣いてるの?」
 目尻に浮かぶ微かな涙が、夕乃が泣いてるいる事を知らせる。
「泣いてます。……なんでか解りますか?」
 真九郎は黙する。言葉が見つからない。
「好きだからですよ。真九郎さんが。銀子さんに、負けないくらい」
 震える声でそう言うと、夕乃は構えを取った。
「真九郎さんも構えて下さい。―稽古をつけて差し上げます」
 真九郎は、両腕を掲げ、構えを取る。
 言葉での応えは求められていないと、解ったから。
 この“稽古”は、所謂けじめなのだろう。互いにとっての。
「参ります」
 すぅ、と夕乃の顔から表情が消える。流れる涙はそのままに、ただ表情だけが消える。
 一つの結末が、始まりを告げた。

 たん。
 軽い音しかしなかった。
 それだけで夕乃は真九郎との距離を零に詰める。
 貫手の形を取られた右手が振るわれる。
 真九郎は後ろへ飛ぶことでそれを回避。しかし僅かに及ばず胸元を夕乃の手が掠める。
 たったそれだけで真九郎の胴着と胸板の薄皮が斬り裂かれる。
 ちりちりとした緊張が首の後ろを走った。
 思わず、真九郎は呻きを上げた。
 立ち止まる暇はない、逐一立ち位置を変え、間合いを計り、機を窺う。
 僅かな、ほんの一瞬にも満たない僅かな隙を突き夕乃が距離を再び詰める。
 右の貫手を放つ。真九郎が半身になりそれを避わしたと同時。夕乃の脚が払われ、文字通り足元を掬われた。
 バランスを崩した所に両の掌が叩き付けられ、地に打ち付けられる。
 

376:伊南屋
06/10/11 21:53:10 UPcvsXXA
 追い討ちの掌を、地を転がり避ける。その勢いのままに全身のバネを使い、跳ねるようにして立ち上がる。
 背後へ跳びすさり、距離を置く。
 ぜぇぜぇと息が乱れる。先の掌が効いている。肺が軋みを上げているようだった。
 ジリ貧になっていけない。こちらからも攻めなくては。
 脚に力を込め、不規則に跳ね、攪乱しながら距離を詰める。
 間合い。真九郎は身を沈め、足払い。
 夕乃は後退しこれを回避。しかし真九郎は止まらない回転の勢いは殺さず、むしろ加速するように身を起こしながら、その勢いで裏拳を放つ。
 ぶん、と風を纏った一撃が夕乃を襲う。しかしそれも夕乃の手に受け止められ、逆に腕を取られた真九郎は投げられてしまう。
 全身を床に叩き付けられ、真九郎は息を詰まらせる。
 身を起こした真九郎は、再び接近。掌を夕乃目掛け打つ。僅かに首を傾げるだけでそれを避けた夕乃はカウンターの一撃を放つ。
 しかし今回は真九郎もそれを見越していた。腕でそれを受け止める。
 ずしん、と肉と骨を伝う衝撃に耐え、カウンターのカウンター。即ち後の後を取る一手。胴目掛けての膝。
 確かな手応えと共に膝が夕乃に突き刺さる。
 女性とは言え夕乃も崩月の人間。手加減はしていない。
 しかし、夕乃は何事も無いかのように真九郎へ更に掌を打つ。
 顎を下から撃ち上げ、胸を刺し貫く様な一撃を入れる。
 更に足払い。真九郎が地に這わされる。
 それで、決着はついた。

 結局、真九郎は一撃しか入れられず、それすら有効打とはなり得なかった。
 それが悔しい。弱い自分が。
 こんな事は初めてだった。
 今まで夕乃にどんなに打ちのめされても、実力差を感じても悔しい事はなかった。
 しかし、今は弱い自分が情けなかった。
 こうして地を這う自分が情けなかった。
「真九郎さん」
 見上げれば夕乃が居た。真九郎を仰向けに寝させ、額から瞼にかけ、濡れタオルを当ててやる。
 視界を覆うタオルが、心地良かった。
「これは、倒れている真九郎さんに、勝手に私がする事です。ですから真九郎さんは悪くありません」
 タオルに隠れた視界の向こうで夕乃がそんな事を言った。
 不意に、唇に柔らかいものが触れた。
「……大好きでしたよ。真九郎さん」
 余りの事に茫然とする真九郎を残し、足音が道場から去っていく。
 一人残された真九郎は、唇に残る感触と、銀子に逢いたいという事で頭が一杯になっていた。

377:伊南屋
06/10/11 21:54:39 UPcvsXXA
夕乃さんパート了。
今から銀子パートに戻ります。

翌朝くらいに投下予定。

以上伊南屋でした。

378:名無しさん@ピンキー
06/10/11 23:11:15 m+PyuJPE
銀子大人気だなあ。やっぱ死んじゃあおしまいだよなあ、リン……

379:名無しさん@ピンキー
06/10/12 01:42:25 MbOHHdr0
>「真紅朗さんがっ!似合うって!言ってくれましたから!」


正直、泣いた。
でもGJ。朝まで寝ずに待ってます。

380:名無しさん@ピンキー
06/10/12 18:24:53 MbOHHdr0
………ふわぁ、眠たいぃ。



たが俺は待つ!

381:伊南屋
06/10/12 21:13:44 NPBYUogr
 どれくらい経っただろう。
 一人残された真九郎は立ち上がり、道場を後にする。
 体の至る所が悲鳴を上げ、思い通りに動かない。
 ふらつく体を引き摺り、庭へ出る。井戸の水を汲み上げそれを体に掛けると、痛みに伴う熱が引いていくのが分かった。
 二度、三度と頭から冷水を浴びる。
 ろくに拭いもせずに、空を見上げる。
 陽はまだ落ちきっていない。にも関わらず、目を凝らせば月が見える。
 薄紫の空に紛れる様な月を眺めていると、銀子の事を思い出した。
 夕乃を傷付けた。きっと紫も、これから傷付ける。
 その代償に手に入れた彼女を想う。
 無性に逢いたくて、どうしても逢いたくなかった。
 相反する感情を持て余してしまう。
 どうするべきか。この後楓味亭へ向かうのは気が引けた。
 傍らに置いてある着替えと共に、携帯電話も置いてある。
 それを取り、アドレス帳から銀子を呼び出す。
 数度のコールの後、スピーカーから銀子の声が漏れ聴こえた。
「もしもし、真九郎?」
「銀子。今日は楓味亭に行けないっておじさんに言って置いてくれ。明日は行くからって」
「分かったけど……なにかあったの?」
 鋭いな、と思う。まるで銀子は真九郎という人間を全て把握しているかのような、そういう鋭さを見せる。
「いや、ちょっと崩月の用事が長引きそうだから。銀子が心配する事はないよ」
 勿論、嘘だった。
 全ては終わっていて、取り戻せない。取り戻そうとも思わなかったが。
「……そう」
 銀子はまだ何か言いたげではあったが、一応の納得を見せる。
「そういうことだから、じゃあ。また明日、学校で」
「……うん」
 終話ボタンを押し、電話を切る。
 真九郎は服を拾い上げ、庭から屋敷へと入る。
 銀子の事を想いながら、真九郎は着替えを始めた。
 それを終えると、居間の法泉に帰ることを告げる。

 ―夕乃は、最後まで現れなかった。

382:伊南屋
06/10/12 21:45:59 NPBYUogr
 屋敷を去った真九郎だったが、真っ直ぐ五月雨荘には向かわなかった。
 宛てもなく街を歩き、時間を潰す。
 静かなあの部屋には、帰りたくなかった。色々と考えてしまいそうで。
 コンビニで立ち読みしたり。ゲームセンターに入り、何をするでもなく煌びやかな光と音の渦に身を置いたり。
 ただ、何も考えないようにと街を歩いた。
 気が付けば、時間は十時を回り、一層夜は深まっていく。
 そこで漸く真九郎は足を五月雨荘へと向ける。
 部屋に着いたら眠ろう。それだけを考えて。

 真九郎が五月雨荘に着くと、自分の部屋の前に人影があるのが見えた。
 それは、良く見覚えのある少女だった。
「銀子……?」
 少女の名を呼ぶ。銀子はこちらに気付くと、真九郎に歩み寄る。
「……おかえり」
「……ただいま」
 そのやりとりに不思議な安堵を感じる。
「待ってたのか?」
「うん」
「どうして?」
「……あんな弱々しい声聴かされたら、心配になるに決まってるでしょ。バカ」
 心配かけてしまう程に声に現れていたのか。真九郎は心配をかけまいとして、それが裏目に出たことを知らされた。
「……とりあえず、入るか?」
「うん……」
 ポケットから鍵を取り出し、中に招き入れる。灯りをつけ、真九郎は座るように促した。
「……何があったの?」
 電話でも尋ねられた事を、再び銀子が尋ねた。

 真九郎は、崩月の屋敷であったことを全て話した。夕乃の事も、包み隠さず。
「そう」
 全てを聞いた銀子が言ったのはそれだけだった。
 代わりに、身を寄せる。
 俯く真九郎に声を掛ける。
「こっち向いて。真九郎」
 言葉通り、顔を上げた真九郎の唇に銀子のそれが重ねられた。
 永く、永く重ねられる。やがて銀子が、舌先で真九郎の内を割開く。
 抵抗する間もなく、舌が絡められた。
 ぎこちない舌の動きは、それでも真九郎を深く求め蠢く。
 頭の中に、くちゅくちゅという音が響く。
「……はっ」
 永い口付けから銀子が離れる。
「銀子、お前……」
「知ってるでしょ? 私が負けず嫌いなの」
 だって、と繋ぎ銀子が言う。
「崩月先輩と同じラインだなんて我慢出来ないもの」
 そして銀子は真九郎をじっと見つめ、呟いた。
「真九郎に覚悟があるなら、抱いてよ。私の事」
 真九郎は銀子の口の端から伝う唾液を見ながら、ゆっくりと、頷いた。

383:名無しさん@ピンキー
06/10/12 23:39:46 MbOHHdr0
………はっ!



つ、続きは!続きはまだかー!?

384:名無しさん@ピンキー
06/10/13 01:21:17 bPrj26VW
伊南屋さんGJです。相変わらずレベルが高いっすね。
それにしても続きが気になって仕方がない。



385:名無しさん@ピンキー
06/10/13 20:12:16 BKhL60zv
焦らすのがお好きな人だなwww

386:伊南屋
06/10/14 18:56:03 fS6Nk2Pf
 灯りの消えた部屋の中。照らすのは月光だけ。銀色の光だけ。
 その中に浮かぶのは、最愛の人。
 ただ、美しいと思った。
 優しく口付ける。啄むように何度も、何度も。
 徐々に熱を帯びていく口付けは、やがて互いを深く求め、舌先を絡めるそれへと変わっていく。
 頭の中に響く水音に。海の中に居るみたいだと思った。
 互いが溶けて、一つになる感覚。
 唇を離すと。つ、と糸が引いた。
 それが月光に照らされ銀色の橋のように光る。
 何も言わず抱き締める。好きな人の体温を直に感じる。
 それだけでこんなにも心地良いものだと、真九郎は初めて知った。
 指先を、銀子の服。その胸元のボタンに掛ける。
 銀子に視線を送ると、頷き肯定を示してくれた。
 一つ、一つ外していく。銀子の白い肌。華奢な躰が露わになっていく。
 そして、白い布に覆われた小振りな胸も。
「がっかりした? 小さくて」
 銀子がそんな事を聞いてくる。
 そんな事、あろう筈もない。真九郎は銀子に軽くキスして。
「綺麗だよ」
 と言ってやった。
 露わになった肌へ指を這わす。
 時たま体を震わせる銀子が、くすぐったがっているのではないと、すぐに気付いた。
 感じてくれているのだ。
 それが嬉しくて、またキスをしてやる。
 指先が胸元に辿り着く。布地の上から触れただけで銀子は体をぴくりと震わせた。
 自分と隔てる布地が煩わしい。
 真九郎は銀子の胸元を隠す下着を外した。
 改めて指先で触れる。
 ふに、と柔らかい、男には有り得ない感触に真九郎は恍惚となった。
 銀子を見ると、紅潮した顔で自らの胸元を這う指を潤んだ瞳で追っていた。
 真九郎は力を込め、弾力の中に指先を沈める。
 また銀子の体がぴくりと跳ねた。
 加減など分からないなりに、指先を使い銀子の胸をこね回す。
「……あっ」
 耐えきれず銀子が声を漏らした。
 その声を引き出すために、更に強く刺激を与える。
「は……っ、あ……ん」
 徐々に昂まる声に、真九郎は酔い痴れていた。
 自らは無意識のまま、舌を銀子の胸、その桜色の中心に這わす。
「んんっ……」
 突起を舌先で弾く、潰す、こねる。
 その度、銀子の唇から押し殺したような声が零れた。
「声、我慢するなよ」
 そう言ってやる。五月雨荘の壁は薄く、音は漏れやすい。
 それでも構うものか、と思った。
 歯を立て、強く吸い立てる。
「ひぁぁ……っ! しん……くろぉっ!」

387:伊南屋
06/10/14 19:23:12 fS6Nk2Pf
 銀子が矯声を上げ、悶える。
 それを聞き届け、真九郎は口を離した。
 自分をとろんとした目で見つめる銀子に、何度目だろう。口付けをしようとして、今更ながら真九郎は気付いた。
「……銀子、眼鏡……外していいか?」
 その言葉に銀子は少し考えて答えた。
「ダメ」
 と。
「外すと、真九郎が見えなくなるから。だから外したくない」
「そうか……」
 眼鏡はそのままに、キスをする。
「ねえ……真九郎」
 銀子が真九郎の手を取った。
「ここ……触って」
 誘われたのは、銀子の下半身。胸と同様。白い下着に覆われた中心だった。
 真九郎は躊躇わない。
 指先をそこに触れる。
 下着越しに触れたそこは、それだけで熱いと分かった。
 くち、と音がした。
 既に潤っているらしい。
 下着の上から指の腹を擦り付ける。上下する指の動きに合わせ、銀子が躰を痙攣させ、声を上げる。
 徐々に潤いは増し、下着からは水分が染み出し始めた。
 指先にぬめる液体が絡みつく。
 直に触れたい。
 真九郎は指先を銀子の下着、その端に掛け、ゆっくりと引いた。
 覆われた最後の部分が露わになっていく。
 白い下腹、その下には薄い陰毛。そして、既に濡れそぼり、月の光を淫らに照り返す秘裂。
 それらに真九郎の目が釘付けになる。
 僅かにひくつく中央の割れ目。そこから止めどなく溢れる淫水。
 不意に頭が叩かれた。
 視線を上に向けると銀子が顔を羞恥に真っ赤にしていた。
「あんまり、見るなバカ」
「悪い」
 そう言ってまたキス。指先は銀子の下半身へ。一番敏感な部分を刺激する。
 絡みつく舌と、指を這わす淫裂。
 二重の水音が耳朶をくすぐる。
「はっ……、ふはっ、ん……」
 動かす舌と唇の隙間から銀子の声が漏れる。
 それも加わり、至高の、淫らなオーケストラが完成する。
 快感に身を震わす銀子の体を片腕で支え、真九郎は指先と舌先をより一層激しく蠢かす。
「んっ……! ふっ、ひぅっ! うんんっ!」
 加速度的に銀子の息が荒げられていく。それすら意に介さず、真九郎は更に苛烈に責め立てる。
「はっ……! ぅぁあ! あ、あ、あ!」
 びくん! と銀子の躰が大きく跳ね上がった。
 脱力し、真九郎の胸元に身を預ける。
 はぁはぁと荒い息をつく銀子。
 イッたのは明らかだった。
「しんくろぉ……」
 微かに涙を浮かべる銀子は、本人の意に関係なく、真九郎の理性を奪い去った。

388:伊南屋
06/10/14 19:49:48 fS6Nk2Pf
 ぽすっ、と布団に銀子の体を横たえる。立てられた膝を割り、そこに真九郎は膝を着いた。
「……良いか?」
 我慢の限界だった。
 愛しい人の淫らな姿を見せられ、そしてそうしたのが自分で。我慢出来る筈がなかった。
 それでも、塵芥に散った理性の、ほんの少し残った部分が、真九郎に確認を取らせた。
 銀子は、涙目のまま、頷いて見せる。
 真九郎は、銀子の中心。未だに痙攣し、絶頂の余韻を見せる其処へ狙いを定めると、一息に貫いた。
「―っぐ……!」
 声にならない悲鳴を銀子が上げる。
 腕は真九郎を掴み、必死でしがみついた。
 真九郎はそれでも止まらなかった。止まることが出来なかった。
 銀子の膣中の熱が、ひくつく膣壁が、絡みつく淫液が真九郎に残された微かな理性すら洗い流す。
 頭が真っ白だった。
 ただ最愛の人、その体から与えられる快感を貪欲に貪る。
 幸いだったのは銀子の膣が十分に濡れていたことだ。
 引っ掛かる事なく、銀子の膣は初めての真九郎を受け入れた。
 膜が破られた痛みはあれど、それも引きつつある。
 その証拠に銀子が上げる悲鳴には、徐々に甘いものが混じりつつあった。
「くっ……! んっ! あっ……ぐぅ」
 声の割合はやがて甘い矯声が増え、確かな快感に銀子が溺れて行くのを示した。
「あぁっ! しん……くろっ……ぉ、しんく、ろお! ひぁっ! はっ、あん!」
 銀子の内は、更に深く真九郎を求め、誘う動きで蠢き、締め付ける。
 互いに高みへと昇り詰めて行く。
 押し寄せる射精感に真九郎は更に腰を速める。その激しい突き込みに銀子が翻弄され、快感に耽る。
「銀……子っ」
「しん……しんくろぉっ!」
 それまでで一番強く、銀子の膣中が締まり、真九郎にとどめを刺した。
 一番深くまで自らを差し込み、真九郎は精を放った。
 どくどくと、脈打つ陰茎から濃厚な精液が流れ込む。
 体の奥にそれを受け止めながら、銀子も絶頂を味わう。
 びくびくと膣が痙攣し、流れ込む精液を更に奥へと運ぶ。
 やがて精を放ち終えた。真九郎は銀子の内から自らを引き抜いた。
 どろり。と破瓜の証である血液混じりの精液が銀子から零れ落ちた。
「銀子……」
「真九郎……」
 互いに名を呼び合い。二人は何度も口付けあった。
 改めて、二人の繋がりを感じ、いつまでも、いつまでも口付けあった―。

389:伊南屋
06/10/14 20:04:37 fS6Nk2Pf
 月灯りだけが照らす部屋。真九郎と銀子は重なるように腰を降ろしている。
 共に見上げるのは二人を照らす、大きな月。
「真九郎は、弱くないよ」
 銀子がぽつりとこぼした。
「そうかな?」
「だって、真九郎は私を守ってくれるんでしょ? だったらきっと真九郎は絶対に私を守ってくれる。そう信じてる」
「……ああ」
「だから真九郎は弱くない。誰かのためならいくらでも強くなれるもの」
「……ありがとうな」
「ううん……」
 ぎゅっと、銀子を抱き締める。
 そうだ。自分は約束した。銀子を守ると。
 それだけじゃない。二人で平和に生きていくと。
 守るのは何も敵を倒す事だけではない。
 闘わないという守り方もある。
 かつて銀子の父である銀正がそうしたように。
「銀子……」
「なに?」
「好きだよ」
「……知ってる」
「銀子は?」
「知ってるでしょ?」
「でも聞きたい」
「……好き」
 ―大丈夫だ。自分は守れる。これで守れなかったら嘘だ。
 だって、此処に愛する人が居る。
 それは大きな支えだ。大きな力だ。
 そして、自分は弱くなどない。そう思える。
 根拠なんか要らない。守れると信じる。
 銀子が信じてくれるのだ。なら自分も信じられる。
「銀子……」
「なに?」
「ずっと一緒に居よう」

 これは、約束。一人、勝手な約束。
 ずっと一緒に居る。
 ずっと変わらずいつまでも。
 この月に誓おう。この銀色の月に。

 銀子が小さく呟いた。

「そんなの、当たり前」

 空に浮かぶ銀色の月が、二人をいつまでも照らし続けていた―。

Fin.

390:伊南屋
06/10/14 20:08:57 fS6Nk2Pf
はい、どうも伊南屋にござい。

まず言い訳。

焦らしたりするつもりはなかったんです。つうか夕乃さんのシーンが終わったら一気に終わらせるつもりだったんです。
だけど寝落ちしたり、書く暇なくなったりでなんか細切れに投下することに。
すいませんっした。

さて、謝った所でリクエスト取ります。
あれの続き読みたい。とか新作が良い。とか。
あったら言ってみて下さい。善処はします。

以上、伊南屋でした。

391:名無しさん@ピンキー
06/10/14 20:34:27 23sKiCWU
キテター!(・∀・)

超GJ!

392:名無しさん@ピンキー
06/10/15 09:08:31 XO3ZXWaU
GJです。それはもうGJです!何はともあれGJです!!

リクは、夕乃さんに日の目をどうか………。

393:名無しさん@ピンキー
06/10/15 17:52:21 gHJt1Gpj


                        !llllii,_
                     : lllllllli
       ,,,,,,,,,,,,,,,:              llllllllll:
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        : ゙l!!!!lllllllll・           lllllllll|:
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        : ,,,,,、       : :,,,,iiilllllllllllllll!!!lllllllllll:
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    : _,,iiilllllllllllllll!l’          : lllllllll|...,llllllllll「
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    ,,,lllllll゙`lllllll,,,,,i!:  .:llli,:     .,,,illlllllllllllllllll゛
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  .,lllllllllll!!゙.,lllllllll:      .゙゙′     ;lllllll:
  .゙lllllll!゙` ::lllllllll|:            :;llllll|
   ゙゙゜  : illllllllll:            : llllll′
      .:lllllllllll_               :llllll:
      .llllllllllll゙            : lllll|
      .:lllllllll!″           : llll|:
       ゚゙゙゙゙°               lll゙
             様
             有
             難
             う
             ご
             ざ
             い
             ま
             す


394:名無しさん@ピンキー
06/10/15 23:23:08 z49vhJ35
夕乃さんものキボン

395:名無しさん@ピンキー
06/10/16 18:23:34 THOJE9Z/
なぁ、次の新巻が出るのが来年っていうのは本当なのか?

だとしたら結構ショックなんだが………。

396:名無しさん@ピンキー
06/10/17 11:30:37 sIY065Qu
まぁそんなに短期間にポンポン出せるもんじゃないだろ
やっぱデータが吹っ飛んだのは痛かった

397:伊南屋
06/10/18 19:37:05 xEonZaqd
 それはほんの些細な事が原因だった。
 夕乃が真九郎の目が覚めるより早く、五月雨荘に着いてしまった。それだけの事。
 真九郎が目を覚ます時間は夕乃も知っている。部屋の中で寝息を立てているだろう真九郎を想い、笑みを零す。
 そんな折、夕乃はとある事を思い付いた。
 それを実行に移す為、極力音を立てぬよう慎重に扉に鍵を差し込み開ける。
 部屋に入ると、中はカーテンに光が遮られ未だ薄暗い。その部屋の中、真九郎が布団にくるまり眠っていた。
 あどけない真九郎の寝顔をしばらく眺め、幸せに浸る。
 充分寝顔を堪能してから夕乃は、さっき思い付いた“真九郎さんを起こしてあげて新婚気分”作戦の実行に移る。
 布団の傍らに立ち、布団に手を掛ける。
 夕乃はそれを一気に捲り上げる。
「さぁ、真九郎さん! 朝で……」
 絶句。
「え……ゆ、夕乃さん? ……うぁっ!」
 真九郎も絶句する。
 布団の中に在ったもの。
 それは、朝の生理現象で膨らんだ真九郎の股間。
 真九郎はなんとか隠そうとするも、布団は夕乃が掴んでおり叶わない。
 あたふたしつつ、仕方なく手で包み隠すも、それは余りに頼りなかった。
 気まずい沈黙が部屋中に漂う。
「あ、あの……夕乃さん、これは」
「真九郎さん!」
 必死で紡がれた真九郎の言葉は夕乃の一喝に妨げられる。夕乃は更に言葉を繋いだ。
「私、言いましたよね? どーしても我慢出来なくなったら、私に言って下さい。と」
 そう言うと夕乃は真九郎の正面に膝を着く。表情に悲しみを含ませる夕乃に真九郎は無条件の罪悪感を感じる。
「ゴメン……」
 今日の放課後、道場に行くよ。
 真九郎がそう言うより早く、夕乃が言った。
「分かりました。今から徹底的にしごいて差し上げます」
「今からって……。これから学校だし」
「時間は真九郎さん次第です。……あ、でも上手く出来ないと言うことも……」
「痛む体で学校行くのは辛いし」
「痛くしないよう、頑張ります」
 どうにも認識にズレがある。
「稽古するんだよね?」
 確認の言葉に夕乃が首を振る。真九郎の股間に視線を送り言う。
「今から扱いて差し上げるんですよ? 真九郎さんのソレを」
 ―そっちか!
 てっきり稽古でしごくという意味だと思っていた。確かに、どの様にしごくかは言われていなかったが―。


398:伊南屋
06/10/18 19:59:37 xEonZaqd
 確かに、夕乃は真九郎にとって最も異性というものを感じる存在だ。だけど、だけど、だけど。
 混乱する真九郎に夕乃が身を寄せる。
「真九郎さん」
 本人の意志に関係なく手は取り払われ、膨らんだままのそこへ、布越しに夕乃の手が触れる。
 むず痒い、それでいて痺れるような快感が真九郎を襲う。
 その刺激に、真九郎のソレがびくん、と跳ねた。
「スゴい、今動きました……」
「夕乃さん、もう止め……」
 制する真九郎の言葉が聞こえていないのか、夕乃は真九郎のパジャマとパンツの両方に手を掛ける。
「……苦しそうです」
 そう言い、一気にずり下げる。
 真九郎の下半身が外気に晒される。ひやりとした朝の空気に真九郎は身を震わせた。
「これが真九郎さんの……」
 堅く、天に向かうソレに夕乃の指先が絡められる。
 新しいオモチャを買って貰った子供のように、好奇心に満ちた瞳で真九郎の下半身を見詰める夕乃。その表情が余りにあどけなくて、真九郎は背徳感と興奮を覚える。
 もはや夕乃を止めようとは思わなかった。それよりもこれから与えられ快感に想いを馳せる。
「こうするんですよね?」
 夕乃の手が真九郎をきゅっ、と握る。掌の柔らかさと、体温が伝わる。
 それだけでも充分に心地良いのに、それはゆっくりと上下を始める。
 ゆるゆると扱かれる度に、今にも暴発しそうな快感が真九郎を苛む。先端からはすぐに先走りが零れ始めた。
「何か……出て来ました」
 手を休め、夕乃がそれを指先に絡める。ぬるぬるとした液体を指先で弄び、糸を引かせ、匂いを確かめる。
「これ……何ですか? 精液とも違うみたいですけど」
「なんていうか、気持ち良くなると出てくるんだ」
「じゃあ……今、真九郎さんは気持ち良かったんですか?」
「うん……かなり」
 言葉に、夕乃が微笑む。
「じゃあ、もっと気持ち良くなって下さい」
 夕乃による手淫が再開される。先走りが潤滑液となり、新たな快感が真九郎に与えられる。
「くっ……」
 思わず声を漏らす真九郎。その声を聞いた夕乃は更に上下を早める。
「気持ち良いですか? ぬるぬる、沢山出てきてます」
 夕乃のその言葉通り。真九郎の先端からは先走りが流れ、夕乃の掌の上下に合わせ、くちゃくちゃと淫らな水音を立てている。
「夕乃さん……っ」
「出したいですか? 精液。良いんですよ? 出しても。その為にやってるんですから」
 

399:伊南屋
06/10/18 20:16:47 xEonZaqd
 夕乃の掌に微妙な力が込められる。
 真九郎を責め立てる夕乃の掌に、真九郎は我慢の限界が近付く。
「スゴい……びくびくってしてます」
 痙攣するような真九郎の動きに夕乃が笑みを浮かべる。
「真九郎さん、出して下さい。真九郎さんの精液、見せて下さい」
 にちゅにちゅと音を立て、更に手の動きが早められる。
 それだけでなく、時に緩められ、力の強弱と合わせ絶妙な刺激を与えてくる。
「くっ……! 夕乃、さ……っ」
 限界だった。
 一際大きく真九郎が跳ね、先端から白い粘液を迸らせる。
 量、濃度とも充分以上のそれは、高く飛び、夕乃を頭上から白く染めた。
「す……ご……」
 初めての精液の感覚。粘つく触感と、独特の香りに夕乃が呆となる。
 ただ、手の動きはそのままで。
「ぅあっ! 夕乃さんっ、止めっ……!」
 射精中にも関わらず、与え続けられる刺激に、真九郎は身を悶えさせる。
 射精は止まらず、絶頂が永続的に続くようだった。
 遂には真九郎は強すぎる刺激に身を仰け反らせた。
 その時点でようやく夕乃は手を離した。
「す、すいません。大丈夫ですか?」
 心配そうに声を掛ける。
「こ、腰が……」
「え?」
「腰が抜けた……」
 ―そう、真九郎は強すぎる刺激に、腰が抜けてしまっていた。
 しばらくは一人で立つことは出来ないだろう。
 夕乃はその事が分かると、心配するどころか、逆に笑って見せこう言った。
「では、今日は学校を休みましょう。私もこんなにベタベタでは行けませんし。代わりに今日一日中は真九郎さんのぼんのーを絞り出しましょう」
 ―真九郎は恐怖に怯えながら、それでも再起し始めた自身が限り無く情けなかった。

 まだ時計は七時前。
 今日と言う日は余りにも長い。

fin.

400:伊南屋
06/10/18 20:19:30 xEonZaqd
毎度、伊南屋です。

おぉ、自分でびっくりするくらい早い。
これでスレが活性化すると良いな。
そしたらまたリクエストとるし。
まあ、しばらくは執筆から離れるかもだから今回はすぐ書けるか分からないですが。

以上、そんな感じの伊南屋でした。

401:名無しさん@ピンキー
06/10/18 21:35:00 RDz+XoAZ
伊南屋先生GJ!!!
スレはともかく、俺の妄想は活性化した

402:名無しさん@ピンキー
06/10/18 21:54:33 ET9hOpdu
しごきktkr

GJであります

403:名無しさん@ピンキー
06/10/18 22:31:39 5PkuSFTQ
夕乃さんは、なんというかこういうドタバタネタが似合うなあ。


……ヨゴレの宿命か……

404:名無しさん@ピンキー
06/10/18 23:17:59 cpJ4OWj6
>>403
     __.. -―─ 、__
    /`       三ミー ヘ、_
  ゝ' ;; ,, , ,,     ミミ  , il ゙Z,
  _〉,..    ////, ,彡ffッィ彡从j彡
  〉,ィiiif , ,, 'ノ川jノ川; :.`フ公)了
 \.:.:.:i=珍/二''=く、 !ノ一ヾ゙;.;.;)
  く:.:.:.:lムjイ  rfモテ〉゙} ijィtケ 1イ'´
   〕:.:.|,Y!:!、   ニ '、 ; |`ニ イj'  逆に考えるんだ
   {:.:.:j {: :} `   、_{__}  /ノ
    〉イ 、゙!   ,ィ__三ー、 j′  夕乃さんは万能キャラ
  ,{ \ ミ \  ゝ' ェェ' `' /
-‐' \ \ ヽ\  彡 イ-、    と考えるんだ
     \ \.ヽゝ‐‐‐升 ト、 ヽ、__
      \  ヽ- 、.// j!:.}    ` ー 、
       ヽ\ 厶_r__ハ/!:.{
          ´ / ! ヽ

405:名無しさん@ピンキー
06/10/18 23:22:48 5PkuSFTQ
>>404
流石です、ジョースター卿。そうか、夕乃さんは小娘共と違って万能なんですね!


406:名無しさん@ピンキー
06/10/19 00:52:49 humVz3u4
夕乃さんの武道のしごきはスパルタである
ということは、床の上のしごきも……

真九郎にげてー!

407:名無しさん@ピンキー
06/10/19 08:25:06 IyzDfhGs
とりあえず一日中そんなことヤってたら、環さんとか気付くと思うの

408:名無しさん@ピンキー
06/10/19 15:52:51 n8szaEMr
と言うかむしろ自らも参加しますでしょう。


乱交ktkr。

409:名無しさん@ピンキー
06/10/20 02:19:21 srZMgfrD
つ「闇絵さん」

410:名無しさん@ピンキー
06/10/20 09:34:04 wdaen5TP
闇絵さんのエロってマニアックそうですよね

411:名無しさん@ピンキー
06/10/20 20:28:48 POLtCUHO
闇絵さんは雰囲気がエロい

412:名無しさん@ピンキー
06/10/21 21:38:50 go2Dx5ow
堕花「萩原朔太郎は言っていた」
ジュウ「え?」
堕花「『おわあ、こんばんは』『おわあ、こんばんは』」
ジュウ「いきなりどうしたんだ!?」
堕花「『おぎやあ、おぎやあ、おぎやあ』」
ジュウ「円堂さん来てくれ、雨がおかしいんだ!!」
堕花「『おわああ、ここの家の主人は電波です』」




円堂「雨、電波じゃなくて病気よ」
堕花「いけない、そうでした」
ジュウ「(わからん、意味が全くわからん!!)」





斬島「ジュウ君ジュウ君柔沢君、元ネタは歪んだ妄想だよっ!!」
ジュウ「そんなん知るかっ!!」

413:名無しさん@ピンキー
06/10/23 19:44:47 RXoMUZ+0
元ネタが全く解らない俺は負け組......orz


ていうか今思ったんだが、紫ってツンデレじゃね?

414:名無しさん@ピンキー
06/10/23 22:19:45 LEK2xjTm
村上「真九朗、みんなは真九朗のこと情けないって言うけど、
    私は真九朗のことちゃんと判ってるから」
ヘタレ「銀子・・・・(じーん)」







村上「なーんて私が言うと思った!?                            このギャルゲーの主人公気取りが!!
    甘ったれるな!! 他人に夢を見るな!! 自分以外はみんな敵だ!! 
    以上!!」
ヘタレ「・・・・・・・・・・・・」

415:名無しさん@ピンキー
06/10/24 00:39:09 7c9CBAFG
>>413
バロック 歪んだ妄想 というゲームを調べてみればわかる。

416:名無しさん@ピンキー
06/10/28 22:30:39 7AUZEiJM
紫がツンデレなのはいまさらいうまでもないこととして・・・
伊南屋先生GJ
夕乃さんメインでほんわかしたのが読みたいとおもた
気が向いたらヨロです

417:sage
06/10/28 22:35:54 7AUZEiJM
sage進行だっけ?

418:名無しさん@ピンキー
06/10/29 22:17:48 FhPvlxGk
別段強制ではないけど、ageると妙なのが沸くこともあるし。

419:416
06/10/29 23:54:30 eVd+3M+q
りょーかいッス
ご指導サンクス

420:名無しさん@ピンキー
06/10/30 16:20:21 MEr/3mdq
てか、過疎るの早くね?

421:名無しさん@ピンキー
06/10/30 20:27:39 OLP2OIxG
新刊出ないしな

422:名無しさん@ピンキー
06/10/31 07:40:47 iJF0CWaC
新刊来年でしょ?

423:伊南屋
06/10/31 08:09:13 0skTBNNt
 暖かな日差しの中、目を細めながら隣を歩む女性(ひと)を見る。
 長い髪をそよ風にたなびかせ、彼女は微笑んで空を見た。
「綺麗ですね」
 見上げる空はどこまでも蒼く、雲一つない。
 それを綺麗と形容したのは極自然な感情だと思う。
 自分も視線を高くに向け、紅真九郎はそんな事を考えていた。
 街の中央に程近い自然公園。
 今日は崩月夕乃と一緒にここを訪れていた。
 所謂デートだ。なんの芸もないが、二人ならどこだって構わない。そう思えるから公園を選んだ。
 数ヶ月前から二人は付き合い始めた。
 口に出すのは躊躇われるが、ひょんな事から二人は付き合う事になった。
 公園の遊歩道を二人は歩いていた。手は互いに重ねられ、指を絡め繋いでいる。
 繋ぐ手は暖かく、不思議な安心感を与えてくれる。
 それは幸せとも言える安らぎ。
 穏やかな日常。真九郎が求め、憧れたもの。
「夕乃さん」
 真九郎は真っ直ぐ夕乃を見つめ言葉を紡ぐ。
「好きだよ」
 夕乃は少し頬を赤らめながら。
「はい、私もです」
 そう、笑って言った。
 今この瞬間のなんと幸せな事か。愛する人と想いを通わせる。簡単なようでいて難しい。
 ふと、夕乃と付き合い始めた頃の紫を思い出した。
 泣きに泣いていた。どうして自分では駄目なのかと。どうして夕乃なのかと。
 紫は真九郎という好きな人と、想いを通わせる事が出来なかった。そうしたのは自分だ。
 自分が一人を選んだから。自分が他を選ばなかったから。選択の痛みを、真九郎は知った。
 その事で悩みもした。
 しかしそれも、今は過去の事だ。
 悩む代わりに一つだけ決めた。
「ねえ夕乃さん」
「なんですか?」
 真九郎は瞳を空に向けながら言う。
「一緒にいようね」
 夕乃は握る手に力を込めて言った。
「……はい」

 高い空、その下を二人は歩く。
 穏やかな日差しに照らされ、ほんの小さな幸せを感じ。
 ずっと一緒にいると、そう信じ。

 歩む道は、まだ長い。

424:名無しさん@ピンキー
06/10/31 12:04:29 Td+zt1up
ほのぼの最高っす!GJっす伊南屋さん!

前回のアレの後日談ですか。というかアレで付き合い始めましたか真九朗(笑)


425:伊南屋
06/10/31 19:46:58 0skTBNNt
告知忘れてました、毎度伊南屋にございます。

また色々書こうかなと思いまして。リクエストなんぞを募集する次第にございます。
電波、紅のこのキャラで、とかこんなシチュエーションで、等々ございましたら遠慮なくどうぞ。

以上、伊南屋でした。

426:名無しさん@ピンキー
06/10/31 20:24:37 50Vcwyzw
伊南屋さん、いつもながらGJっす。
リクエストは、光でジュウにちょいラブ(?)な感じのほのぼのがいいですね。

427:名無しさん@ピンキー
06/10/31 20:35:37 uSbRycf9
なんか癒されたッス 伊南屋さんいつもながらGJ!!
ついでにリクエストで切彦のエロいやつなどを・・・

428:名無しさん@ピンキー
06/10/31 20:50:13 tWOAkuOa

     ...| ̄ ̄ |< GJ!!……ええーい!雨は?雨はまだか?
   /:::|  ___|       ∧∧    ∧∧
  /::::_|___|_    ( 。_。).  ( 。_。)
  ||:::::::( ・∀・)     /<▽>  /<▽>
  ||::/ <ヽ∞/>\   |::::::;;;;::/  |::::::;;;;::/
  ||::|   <ヽ/>.- |  |:と),__」   |:と),__」
_..||::|   o  o ...|_ξ|:::::::::|    .|::::::::|
\  \__(久)__/_\::::::|    |:::::::|
.||.i\        、__ノフ \|    |:::::::|
.||ヽ .i\ _ __ ____ __ _.\   |::::::|
.|| ゙ヽ i    ハ i ハ i ハ i ハ |  し'_つ
.||   ゙|i~^~^~^~^~^~^~|i



429:名無しさん@ピンキー
06/11/01 04:07:19 boZqPYgv
>>423
夕乃さんカワユス
紫とかフられることになるキャラについての描写は、あんまり要らなかったかな
心情モノを描く上では、この手の描写を入れた方が厚みがでるのは確かだけど、
ほのぼのラブラブを書くなら無いほうが素直に萌えられる
まあ、話に落差がある方が好きな人もいるだろうし、個人の好みの話だけどね

次作も期待しとります
リクは夕乃さんプッシュな俺としては本来エロエロな夕乃一択なんだけど、
流石に連続はアレなんで雨に一票かな
擬似新婚みたいな雨が押せ押せのラブラブで更にラブみたいなの

430:名無しさん@ピンキー
06/11/01 04:08:27 boZqPYgv
あれ、sageが認識されて無い……
原因は分からないけど、ageスマソ

431:伊南屋
06/11/01 21:30:49 COYqlhoF
 アパートの中。
「くっ……はぁ……」
 熱の籠もった吐息が、少女の唇から洩れる。快感に身を震わせる声と合わせ、律動する体は自然と喉を震わせる。
 洩れる吐息にこの部屋の主でもある男は官能を見て取り、ならばと更に繋がりを深め、最奥を抉る。
「ぅああっ……ん!」
 絞るような声を上げ、少女は体を跳ねさせる。子宮口を突かれ、強い圧迫感と刺激に軽い絶頂を感じる。
「ジュウ……っ」
 名を呼ばれ、男―柔沢ジュウは、動きを緩めた。
「……何だ?」
 優しい声音で訪ねる。その間も腰はゆるゆると動き、強すぎない程度に互いの快感をもたらす。
「好き……だよ」
 その言葉に微笑み、口付ける事で応える。
 ただ、内心では普段からこれ位甘えた態度を取ってくれても、と思う。
 しかし、それは言葉にせず胸に仕舞う。
 なんとなく、不意にしか見せないからこういった態度を嬉しく感じるのかも知れないと思ったからだ。
 目の前で熱に浮かされたように身をくねらせる少女―堕花光のそういう素直でない部分に愛しさを感じるのもまた確かな事なのだから。
「なに、考えてるの?」
 ふと掛けられた言葉に光を見る。朱に染めた顔に訝しげな表情を浮かべ見つめ返される。
「ニヤニヤして。なに考えてるの?」
「……お前が可愛いなって事」
 ジュウの言葉に光は更に顔を赤くする。
「な……っ! 何を言ってっ……!」
 こういう真っ直ぐな言葉に光は弱い。すぐにうろたえ言葉を詰まらせてしまう。
 それを知っていてジュウは、敢えて口にした。ちょっとした意地悪だ。
 クスクス笑うジュウを見て、光が恥ずかしそうに呟く。
「……いじわる」
「悪い」
 詫び、と言うべきか。ジュウは緩やかだった動きを再び激しいものへと移す。
 深く、光は身の内を抉られ嬌声を上げる。
「や……っ! んぁうっ、あぁん!」
 一突きする度、体の奥から零れるように声が出る。
 その声がまた艶めかしく、ジュウは自身が昂るのを感じる。
 理性が薄れゆくのを感じながら、ジュウはただ、目の前の光に目を奪われていた―。


「う~~……」
 光が睨んでいる。
「…………」
 ジュウは黙り込んでいる。
「三回もした……」
 光の言葉に、ジュウが身を小さくさせる。
「三回とも膣中に出した……」
 ジュウの身が更に縮まる。
「止めてっていったのに止めなかった……」
 光の言葉がジュウに突き刺さる。
「……けだもの」


432:伊南屋
06/11/01 21:38:00 COYqlhoF
「すいません」
 ジュウ、土下座。
 ―あれから。理性が飛んだジュウは、光が形容したように獣となった。
 抜かず三発。しかも了承なしだ。
 光は絶頂を迎えても休ませて貰えず、数回意識が飛んだ。
 今も光の秘裂からはジュウの精液が大量に逆流してきていた。
 それだけならまだしも。
「しかも……まだ大きいし」
 光が見るのはジュウの股間。正座する脚の付け根には、三度も出したにも関わらず、未だ硬さを保ったモノがある。
 淫液と精液にまみれたそれは、獲物を探すかのように、その亀頭を震わせ上下に揺れている。
 まさしく獣と言わざるを得なかった。
「本当にすまん」
 一応ジュウ自身、誠意を持って謝ってはいるのだが。股間がそれでは些か説得力に欠けた。
 しかし、光はジュウが真面目に謝っている事が分からない訳でもない。
 一度溜め息を吐くと。
「まぁ、今日は大丈夫な日だったし取り敢えず許すけど……」
 と言った。言って更に「ただし!」と付け加え。
「ただし! 今度したら許さないからね! それと今度のデートの時は私の好物だけでお弁当作ってくること! 分かった!?」
 と叫んだ。
 ジュウはようやく許して貰えた安堵に表情を緩め。
「分かった。約束する」
 そう答えた。
 ―余談ではあるが。この二人の場合。ジュウの方が料理スキルがあるので手作り弁当を作るのはもっぱらジュウだった。
 閑話休題。
「さて……」
 光が呟いた。
「取り敢えずソレ、なんとかしなきゃね」
 差したのはジュウの陰茎。この間にも収まる事はなく身を震わせていた。
「えと……口で良い? 流石に疲れちゃって……」
「ああ、頼む」
 その言葉を合図に光が、ジュウに身を寄せる。
「ぅわ……べとべと」
 淫液、精液でデコレートされたジュウの性器は指先で触れれば糸を引く程だった。
 ただ、それがローション代わりとなり、手淫をスムーズにした。
 光の掌がジュウを包む。にちゅ、と音がした。
 ゆっくりと、手が上下を始める。掌の動きに合わせ。にちゃにちゃと淫らな水音がする。
 包む手を根元へ移し、代わりに亀頭を光の唇が包んだ。
「んむっ……ちゅっ」
 すぐに糸を引かせながら光が唇を離す。
「スゴい……えっちな味がする」
 ジュウと自らの体液の混合物を舐めとり舌の上で弄びながらそう呟く。
「もっとするね」
 

433:伊南屋
06/11/01 21:42:05 COYqlhoF
 その言葉と同時、再び唇が亀頭を包む。そのままジュウの性器が飲み込まれていく。
 飲み込まれながら、光の舌先にジュウにまぶされた体液が舐め取られていく。
「ちゅっ……んむっ……じゅる」
 舌が絡められ、吸い付かれる。みるみるうちにジュウの幹を濡らすのは光の唾液だけになっていく。
 それに合わせるようにジュウ自身の快感も昂っていく。ジュウが光にまみれる度、幹は喜びに震えるように身びくびくと律動させる。
 唇に扱かれ、舌先はそれを補助するように蠢き微かに掠める歯ですら鋭い刺激となってジュウを追い立てる。
「ふむっ……ちゅぅっ……ちゅぱっ、じゅるっ、ちゅぅぅうっ」
 吸い立てる光に、ジュウは絶頂に導かれる。
「く……っ! 出るっ……」
 光の頭を抑え、喉奥までくわえ込ませる。そうして、光の口内にジュウは精を放った。
「んんっ……んぶっ、んくっんくっ」
 唇から溢れそうになる精液。四度目だというのに相も変わらず大量に放たれるそれを光は必死に嚥下していく。
「ん……ちゅぅっ……ちゅぱ」
 むしろ勢いが弱まれば、もっととねだるように強く吸い付く。
「くぉっ……!」
 絞るような光に、ジュウが身を震わせ。これが最後とばかりに精液を吐き出す。
 それを飲み下し。舌で幹に付いた精液をこそげとった所で光は唇を放した。
「なんで……っ、まだ、こんなに、でるのよ……っ」
 息荒く、途切れ途切れに光が言う。
「でもお前に美味そうに飲んでたじゃないか」
 先の光の吸い付きを思い出しジュウが返す。
「なっ……! あれはっ! なんていうか無意識に……」
「無意識、か? なら余計エロいな」
 かーっ。と顔を真っ赤にさせ光が黙り込む。
 返す言葉も無いのだろう。それでも何か言い返そうと口をぱくぱくさせている。
 その様子が微笑ましくて、ジュウは思わず笑ってしまう。
「な、何を笑って……っ!」
「なんでもない」
 そう言って光を抱き寄せる。
 互いの体は火照っていたが、暑苦しいというような事はなかった。むしろ、その温かさに安堵を感じる。
「今日はもう寝ようか」
「……うん」
「明日の朝飯は何が良い?」
「なんでもいい。ジュウが作ってくれるなら」
「そうか」
 横になった体。その腕の中。光の温もりを感じる。
「さっき言った弁当の話。明日にするか。朝から弁当作って、二人で出掛けよう」
「うん」
 

434:伊南屋
06/11/01 21:43:28 COYqlhoF
 徐々に、意識が靄がかる。それは光も同じようで、半分閉じたた瞼の向こうでやはり光も瞼を閉じかけていた。
 薄れいく視界の中、最後まで互いを見つめ合いながら二人は呟いた。
「……おやすみ」
 間を置かず、室内に響くのは二人の寝息だけになった。

 ただ緩やかな眠りに二人は沈み、朝になれば目を覚ます。
 そうして二人は日々を重ねる。
 幸せな恋人としての日々を―。

fin.

435:伊南屋
06/11/01 21:48:22 COYqlhoF
 はい毎度伊南屋にございます。

 取り敢えず(といったら何ですが)ジュウ×光で書きました。
 なんで付き合い始めたとか、他の人はどうなったとか、時系列なんかは気にしないでいただくととても有り難いです。

 一応他のリクエストもありますがまだ募集はします。
 一応自分でもとある話は考えますがいつ出来るかは分からないのでそれまではリクエストを書き続ける所存です。

 それでは以上。伊南屋でした。

436:名無しさん@ピンキー
06/11/01 22:30:45 sGPe0wfM
伊南屋先生GJ!
おっきしました!

437:名無しさん@ピンキー
06/11/01 23:23:22 yGqktR1s
エロイ。うん、エロイ。
なんと言うかアレだ、GJ>伊南屋氏

438:名無しさん@ピンキー
06/11/02 16:16:45 EV4VAzLW
ベタな所で雨×ジュウが見たいです

439:名無しさん@ピンキー
06/11/02 17:25:11 NqcdYGyv
雪の降るベランダから無言で二人を見つめる雨

ふと右を見るとしまい忘れた大工道具が――
「ふふっ、あはははは、あははははははははあはははあははははははははっ!!』

440:名無しさん@ピンキー
06/11/02 21:23:04 1hGfp7yd
伊南屋先生GJ!
いやホント、ジュウ様には幸せになって欲しい所存で……見ていて和みました!エロスなのにw

リクエストは色々と溜まっていたジュウ様に雨が奉仕するものをw

441:名無しさん@ピンキー
06/11/02 22:22:53 ZS3eLkAX
しんくろーがアパートの年上女二人とさんぴー。

442:名無しさん@ピンキー
06/11/03 02:09:29 h1pLBq+4
伊南屋さんGJです。
リクはあえてジュウ×円で。

443:名無しさん@ピンキー
06/11/03 14:30:00 NknyF05U
じゃあオレもジュウと円で。エロはあってもなくてもイイっす。

444:伊南屋
06/11/03 16:00:47 raYm8cxX
『レディオ・ヘッド リンカーネイション』

 焦土を、風が吹き抜けていく。
 端々が灼け焦げ、破れた軍旗がそれに煽られ、ばたばたとたなびいている。
 そこに満ちた、噎せ返るような死臭は風が吹けど晴れることはなかった。
 昨日まで此処は戦場だった。幾千、幾万の命が一塊の駒として扱われ、散って逝った。
 その戦場跡には勝者も敗者もなく、等しく死のみが在った。
「また、人が死んだな」
 荒野を見ていた青年が呟いた。所々、泥で汚れながらも金色の髪だけは輝きをそのままに風に揺れている。
「戦乱の世にあって人が死ぬのは仕方の無いことです」
 青年の後方。影のように付き従う少女が答えた。
 その少女は長い黒髪を垂らし、身を包む鎧を血に汚していた。
 今回の戦争の勝者である王が青年であり、戦いで最も武勲を挙げた剛の者が少女であった。
 青年は少女の言葉に溜め息を一つ吐き。その瞳に愁いを込めて零した。
「それでも、やはり哀しいのだ。人の命が喪われるのがどうしようもなくな」
「でしたら」
 少女は応える。
「王が、世を統べれば宜しい。私共はそれを願い付き従っているのですから」
 その言葉に青年は決意とも取れる表情で。
「そうだな」
 と呟いた。
「さあ、皆が待っております。お戻りになって下さい」
「……ああ、分かった」
 一度だけ、青年は焦土を眺め回すと身を返し歩み始めた。
 傍らに少女を従え、重い足取りで一歩毎踏みしめるように。
「俺が、統べる世か……」
 だれにも聴こえぬ声で青年は洩らした。

 それは、一人の王が世を統べる、少し前の話。

445:伊南屋
06/11/03 16:04:57 raYm8cxX
 ジュウ×雨を変化球でやってみよう。
 と言うわけで雨が語った前世の話という設定。

 長くなりそうなんで合間にリクエストに応えたりしつつやりたいな、と。

 そんな訳で電波キャラや紅キャラ(予定)の前世が入り乱れる仮想軍記『レディオ・ヘッド リンカーネイション』をお送りして行きたいと思います。お楽しみに―して貰えると有り難いです。

 以上、伊南屋でした。

446:名無しさん@ピンキー
06/11/03 16:34:46 k/uV9vEi
とんでもない剛速球がきたなw
ところどころに現世の描写も混ぜるといいと思うよ

447:名無しさん@ピンキー
06/11/03 18:01:33 KLMvwpRY
とりあえず叫ばせて貰いたい

 

ジュウ様―――――――!!!!


448:名無しさん@ピンキー
06/11/03 18:21:07 kS/F7VW7
ジュウ様の名前は何になるんでしょう
発音できないYIGとかYHVHになるんでしょうか

449:名無しさん@ピンキー
06/11/04 00:49:47 ss0M80an
ちょ、伊南屋様、前々から凄い方だと思ってはいましたが。


今までで一番楽しみだ…>前世話

450:伊南屋
06/11/05 16:56:15 qL2oc5oa
『レディオ・ヘッド リンカーネイション』
Ⅰ.
 クラウチ大陸東部に位置する小国。ギミア。
 小国、と言うのはかつての事であり。今はいくつかの隣国を武力で平伏し、列強の仲間入りを果たしたばかりの今最も勢いのある国である。
 年若き王は『獣王』と呼ばれ、古くから続く大国には野蛮な侵略国であると疎まれている。
 ただ、実際に武力を振るい他国を侵略したと言えるかは微妙な所であった。


「―以上で、拠度の“防衛戦”の戦果報告を終わります」
 兵卒が手にした目録を読み上げたことを告げる。
 被害、得た領地など今回の戦にまつわる収支である。
 それを質素な、一応は玉座となっている席で聞いていた青年は盛大に溜め息を吐き出した。
「これで……何度目だ」
 傍らに控える少女に声を掛ける。声を掛けられた少女は事も無げに。
「六度になります」
 と答えた。
 ―六度。六度に渡りこの国は侵攻を受けた。
 その全てを退け、逆に攻め入ってきた国を落とし、この国はその版図を広げてきた。
 そして、ただの一度として自ら攻め入るということは無かった。付け加えるならば、本来この国に戦争をするだけの余裕は無いはずだったのだ。
 それでも生き残れたのは、一騎当千の武人であると同時に、無二の知謀を持つ軍師である。今、王の傍らに控える少女に拠るところが大きい。
 そして、そんな綱渡りのような戦争をこの国は繰り返してきた。
「いい加減……俺は疲れたぞ」
 故に青年が漏らしたその言葉は偽らざる本心であったと言えよう。
「今日はもう、休む。後を任せるぞ」
 傍らの少女にそう残すと、青年は立ち上がり私室へと引き返した。


 私室に戻った青年は、わき目も振らず寝具へと身を投げ出した。
 数週間にも渡る戦を終え、王ながらも前線に立ったその身には疲れが堆積しておりすぐにでも眠れそうだった。
「お疲れだね、ジュウ様」
「…………雪姫か」
 視線を巡らせば部屋の片隅に、部屋に入る前から既にいたのだろう。少女が立っていた。
 長い髪を後頭部にまとめ、背に垂らした少女は瞳に悪戯な光を湛え微笑んでいた。
「なにをしてる。まがりなりにも此処は王室だぞ」
 ジュウ。そう呼ばれた王は眠りを妨げられた不愉快さも露わに少女を睨む。
 少女―雪姫は苦笑すると、寝具の端に腰を下ろした。
「一応、ジュウ様の事を労いに来たんだけど……邪魔だった?」
 

451:伊南屋
06/11/05 16:58:54 qL2oc5oa
 雪姫は王を相手にしながらも対等に話す。ジュウもそれを嫌がるでもなく、対等の言葉で返す。
「邪魔だ」
 その言葉に雪姫はむっ、と頬を膨らませる。
「そんな事言うジュウ様は嫌いだな~」
「別に構わない。だから寝かせてくれ」
「あ~。ウソ嘘、嘘だから。そんなふてくされないでよ」
 余りに素っ気ないジュウの態度に、一度は見せた不機嫌な態度をあっという間に軟化させる。
 ジュウは投げ出した身を起こし、雪姫に改めて聞いた。
「それで、結局何しに来たんだお前は」
「だから言ったでしょ? 労いに来たんだって」
 そう言って雪姫は身を擦り寄せる。ジュウは軽く身を引きながら。
「……夜伽など、侍頭のお前がする事ではないだろう」
 言って、雪姫を制した。
 ―そう、この雪姫という少女は侍頭の地位を与えられた、歴としたこの国の武人である。
 侍頭・斬島雪姫。うら若き女性なれど、この地位まで昇り詰めた実力は確かなものである。
 そのような女性が、今更身を売るような真似をするとは考え憎い。
 そして、それ以上に。
 彼女がふざけているのだとジュウは個人的な付き合いの中から、経験則的に察知していた。
 しかし、結局腹の探り合いに置いては雪姫に一日の長がある。
 ジュウは一言を返した時点で、既に雪姫の術中にはまっていた。


「う……」
 声が上がる。それはジュウが発したものだ。声音には心地良さそうな響きが含まれている。
「ふふ……」
 ジュウの上には雪姫が跨っている。その身を使い一心にジュウへと快楽を与える。
 雪姫は微笑みながら身を屈め、ジュウの耳元に唇を寄せた。
「夜伽が……なんだっけ?」
 その言葉にジュウは顔を赤くする。枕に顔を沈め雪姫には見えぬようにはしているが雪姫は雰囲気でそれを察知したようだった。
 くすくすと笑いながら腕に力を込める。
「ふ……っう」
「どう? 気持ち良いでしょ?」
「……ああ」
 ジュウは与えられる刺激に、心地良さと屈辱感を同時に覚える。
「やらしいねジュウ様は。“労る”って言っただけで夜伽を連想するなんて」
 雪姫が更に力を込める。
「私は、こうしたかっただけなのに」
 ジュウの背中に体重が載せられ、圧迫される。
「ねえ、ただのマッサージなのに」
「分かったって言っただろう!」
 余りに執拗な雪姫にジュウが吼える。先からマッサージの最中。ずっとこの調子なのである。


452:伊南屋
06/11/05 17:03:14 qL2oc5oa
 確かにマッサージは上手いが、これでは身体が休まれど心は休まらない。
「暴れちゃ駄目だよジュウ様。……間違って変なツボ圧しちゃうかも知れないから」
「なんだその“変なツボ”って……」
「んふふ、知りたい?」
「……いや、遠慮しておく」
 雪姫は「残念だな」と呟くと再びマッサージに集中する。
 黙ってさえいればこのマッサージは極上だなとジュウは思った。
 確かに凝り固まった筋肉が解され、詰まっていた血が流れていくような気になる。
 加えるなら、背に跨る雪姫の太ももにしても、柔らかく甘美な刺激となっているのだが。
 それについてはジュウ自身が心中で必死に否定していた。
「はい、おしまい」
 最後に肩の辺りを平手でぱんぱんと叩き、マッサージの終了が告げられる。
 ジュウの背中から雪姫が降りる。
「……一応礼は言う。ありがとうな」
「ん、どういたしまして」
 雪姫はそう言って立ち上がる。
「それじゃ、後はゆっくり眠って疲れを取ってね。王様が体壊しちゃだめだよ?」
 ジュウは、分かっている。とばかりに頷いてみせる。
 それを確かめると雪姫は廊下へ繋がる扉に向かい。取っ手に手を掛ける。
 そこで雪姫は思い出したようにジュウを振り返った。
「言い忘れてたけど」
 そう言って、あの悪戯な笑みを浮かべ。
「夜伽さ。ジュウ様が望むなら、お相手するからね?」
 それだけ言って扉を開け。ジュウが何か答える前に出ていってしまう。
「……あいつは」
 最後の最後でどっと疲れさせられた気気がする。
 残した台詞は考えないことにして、ジュウはまどろみの淵に身を浸す事を選んだのだった―。

続く

453:名無しさん@ピンキー
06/11/05 18:59:22 dC+XoSX/
最っ高っす!伊南屋さんGJっす!
ジュウ様が雪姫に押し倒されかと思ってしまいしてやられました 
 というか雪姫のアレは絶対に確信犯だw

454:名無しさん@ピンキー
06/11/05 21:28:01 JKlLs1Hx
王になっても総受け体質変わらないな、ジュウ様w

455:名無しさん@ピンキー
06/11/06 07:40:54 JaocUxLS
伊南屋さん……あんた神だよ……ひたすらに、GJ!!

456:伊南屋
06/11/06 19:31:13 pPyBBiTT
『レディオ・ヘッド リンカーネイション』
Ⅱ.
 夜の帳をランプの灯りが掻き消す室内。執務机の上、黙々とペンを走らせる音だけが聞こえる。
 その音の主は、常に王の傍らに控えていた少女だ。
 名を堕花雨という。
 本来は騎士団長であり、斬島雪姫同様この国の武の要であるはずの彼女が片付けているのは国政に関する書類の山である。
 元来は王であるジュウが片付けるべきものではあるが、雨が王直々に判断を下すまでもないとしたものは、代わりに雨がその裁量にあたっている。
 今は戦が終わったばかり、細々とした雑務から大規模工事。国の方針決定などするべき事は山とある。
 必然。雨が受け持つ仕事も多くなっている。
 暫くはろくに休めまい。そんな個人的な心配と、国に関するあることを憂い雨は小さく溜め息を吐いた。
「珍しいね。お姉ちゃんが溜息なんて」
 雨に茶を差し出し、雨の妹―光が声を掛けた。
 光は雨の側近として、せめてもの雑用くらいはと雨を手伝っている。そんな側近として、また妹として。稀に見る姉の溜息に心配をしたのだ。
 礼を言いながら茶を受け取り、雨は答えた。
「心配なの。この国は今、とてつもない勢いで大きくなっている。それは良いことなのだけれど……勢いが強すぎるの」
「どういう事?」
「国の基盤が整わない内に、否応なく巨大化しているのよ。このままでは細部に手が回らなくなって国が荒れるわ」
 事実、国政の人員配備は十分と言えず。辺境等は現時点でしても手が回りきっていないのが事実だ。
 雨の言葉通り、このまま国が肥大化を続ければ、いずれ国は瓦解してしまいかねない。
 雨はそれを憂いているのだ。そして「それに」と付け加え続ける。
「地方領主の中には国属を拒否する姿勢の者もいるわ。彼等を説得しなければ税の徴収もままならない」
 ―つまり、この国は肥大化の速度に追いつけず末端が機能していないのだ。
 生物は末端が機能しなければそこから壊死を始める。
 国も同様だと雨は考えていた。
 綱渡りなのはこれまでの戦以上に、国政の現状であった。
「幸いと言うべきか。ある地方領主が巨大な権力を有していて、そこさえ説得出来れば他の領主の多数も従えられるわ。
 だから近い内、そこへ説得に赴かなくてはならないわ」
 そこまで言って雨は二度目の溜息を吐いた。
「またジュウ様には苦労をかけてしまうわ……」


457:伊南屋
06/11/06 19:33:22 pPyBBiTT
「良いのよ、どうせ飾りの王様なんだから。こういう時くらい役に立ってもらわなきゃ」
「光ちゃん」
 光の言葉を雨が強い口調で遮る。
「あの方は決して飾りなどではないわ。たしかに今は未熟な王だけれども。いずれは、この戦乱の世を平定するに足る大器をお持ちよ。
 ……だからこそ私はあの方に仕えているのだから」
 そう強く語る雨の想いは真っ直ぐで。例え妹である光といえどそれ以上は何も言えなかった。
 雨は執務机に向き直ると。
「今日はもう遅いわ。光ちゃんは先に眠りなさい」
 と言って、自分は再び書類と格闘を始めた。
 光は無言でそれに従い寝室へと向かった。
 光が去り、雨一人となった室内。
 ただ、ゆらゆらとたゆたうランプの炎だけが、雨を照らし続けていた―。

続く

458:伊南屋
06/11/06 19:55:09 pPyBBiTT
『レディオ・ヘッド補足授業』

「作者が未熟なので本文で追い切れていない設定について補足する本コーナー。司会兼講師の堕花雨です」
「……早速だが質問だ」
「なんでしょうジュウ様?」
「前世の話なのに名前なんかが全く一緒なのは何でだ?」
「実は前世は言語体系など全く違う文明の国です。ですから前世は前世で名前があるのですが名前が違うと誰が誰か混乱する為に現世の名前を本文では用いています」
「なるほど」
「というのは建て前で本当は名前が思い付かなかっただけらしいですが。
 ちなみに私はレイン・フォールブルームと言う名前が用意されていたそうです。まんまですね」
「……」
「他に質問はありませんか?」
「はいはいはいっ!」
「雪姫、どうぞ」
「実際ジュウ君が治めている国はどんな国なのかな?」
「本文内の文明レベルは中世ヨーロッパ……という事ですが一概にそうは言えないようです。
 特にジュウ様が治める国は柔軟に他国の文化を受け入れ様々な思想、文化が入り乱れています。
 そのあたりは現代日本みたいですね」
「私の前世が侍頭だったり雨の前世が騎士団長みたいに色んな体系がごっちゃになってるけど?」
「それも上記の理由ですね。前世世界において戦国日本に似た国がありますからね。
 そこから大和式戦術とでも言うべきものを吸収したのでしょう、騎士団は昔からあったようです。逆に侍衆は最近出来た部隊ですね」
「お姉ちゃんが国政をやってるみたいだけどやっぱりアイツは飾りなんじゃないの?」
「それはやはり間違いですよ光ちゃん。実際、国政の深くに関わる部分はジュウ様が直に裁量を下しています。
 私の前世がやっているのはそれこそサインをするだけの書類や私が裁量を下しても問題にならない程度のものです」
「ふーん」
「さて、今日の補足授業はこの辺にしましょうか」
「まだ質問があるんだが……」
「いけません。あえて今回は一部ぼかした部分もありますからこれ以上突っ込んだ質問をされると作者的にはネタバレとなってしまいます」
「そ、そうか……」
「申し訳ありませんジュウ様」

「(伊南屋)と言うわけでレディオ・ヘッド リンカーネイション。今暫く……長くなりそうではありますがこれからも宜しくお願いします。次回はレディオ・ヘッド続きかリクエストになるかと思われます。それではまた。
 毎度、伊南屋でした」

459:名無しさん@ピンキー
06/11/06 20:13:43 P0artZud
伊南屋さんGJ!!
やっぱ雨はいいなぁ


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