【電波的な彼女】片山憲太郎作品【紅】at EROPARO
【電波的な彼女】片山憲太郎作品【紅】 - 暇つぶし2ch100:牛男
06/07/02 00:23:03 ae79nUNt
(3)

 傷だらけで土ぼこりにまみれたジュウを、道行く人たちが注目したが、何故か気にはならなかった。
 ジュウの身体を支えるように、しっかりと寄り添い、心配そうな瞳で見上げてくる少女。そんな姿を見ていると、これまで経験したこともないような、不思議な感情が沸き起こってきた。この気持ちはなんなのだろう。やはり、錯覚にすぎないのだろうか。
 おそらく、他人どころか身内にすら優しくされたことがないので、心が戸惑っているだけなのだろう。無理やりそう思うことにした。
 人知れず葛藤しているうちに、マンションに到着した。
「今日はすまなかったな。もう大丈夫だから。また、明日、な」
「いえ、お部屋までお供いたします。傷の手当も必要ですから」
 こんなのつばをつけときゃ治ると答えたものの、やはり押し切られてしまう。
 雨の迫力に負けたということもあるが、今日くらいはまあ、こいつに甘えてもいいかと、妥協した結果でもあった。
 雨に聞かれないように、そっとため息をつく。
 やれやれ、自分はいつからこんな軟弱者になったのだろうか。


101:牛男
06/07/02 00:24:08 ae79nUNt
4)

 部屋に入り電気をつけたが、当然のことながらそこには誰もいなかった。
 今日も紅香は戻らないらしい。こんな情けない姿をあの母親にだけは見せたくなかったので、正直、ジュウはほっとした。
「とりあえず、ソファーにでも座ってくれ。お茶くらい出してやる」
「いえ、ジュウ様。それはわたしが……」
「いいから、座ってろ」
 以前も同じようなやりとりをしたような気もするが、家の中の仕事を客人に任せる気にはなれなかった。冷蔵庫で冷やしていた麦茶をグラスに注ぎ、テーブルに置く。
「ありがとうございます」
「別に礼をいうほどのもんじゃねぇよ」
 時計の針は午後六時三〇分を少し回ったところ。雨の家では夕食の支度がされているだろう。年頃の女の子を、あまり遅くまで引き止めておくわけにはいかない。
「家の人が心配してるんじゃないのか?」
 そう言ってジュウは「お茶を飲んだら帰るんだぞ」と続けるつもりだったのだが、
「いえ。今日は両親ともに旅行に出かけていますので。光ちゃんには遅くなるから先に夕食を食べておくようにと伝えてありますし、じっくりと手当てをすることができますよ」
 ……やぶへびだったか。
 この少女の頑固さは、ジュウが一番よく知っている。こうなったら、さっさと手当てをさせて、帰らせるしかないようだ。
 ひとつため息をついて、ジュウは救急箱を出すために立ち上がった。


102:牛男
06/07/02 00:26:25 ae79nUNt

作者がちっとも書いてくれないので、
俺が書くことにしました。
「電波的な彼女 ~ 幸運ゲーム エピローグ ~」です。
少しずつ書きますので、気長に待っていてくだはい。

103:名無しさん@ピンキー
06/07/02 00:30:45 tlP+GZvx
>>102
GJ!GJ!
雨ものですか。何気に雨はジュウとの関係が主従で固定されてしまってる分それ以上の関係に行く展開は非常に書きにくいと
思うのですが、どう料理するか期待してます。

104:名無しさん@ピンキー
06/07/02 02:03:15 7CYmP72w
このスレはレベル高い人が揃ってるなあ

105:名無しさん@ピンキー
06/07/02 02:12:47 eRn92bM7
上手いなあ
伊南屋?もかなり作者の文体を踏襲してるし

106:名無しさん@ピンキー
06/07/02 02:15:14 j34YVP8P
>>97
雪姫や円の事は犬の人から報告無かったのだろうか、という気持ちは(ry

107:名無しさん@ピンキー
06/07/02 02:23:22 A6t1/sea
妙な女に変な癖を付けられないように、犬の人にジュウのチェリーを奪わせて色々指導させる過保護ママ。

108:名無しさん@ピンキー
06/07/02 03:21:37 eRn92bM7
西尾っぽい世界感で、世の中は悪いことだらけですよー、って書き方なのにレイプシーンが未だにないのが許せない

109:名無しさん@ピンキー
06/07/02 03:27:19 7CYmP72w
>>108
次の巻辺りで出るかも
ていうか円の男嫌いの原因それじゃね?
ちょっとベタだが

110:名無しさん@ピンキー
06/07/02 03:37:39 j34YVP8P
美夜の事は忘れてんのか皆

111:名無しさん@ピンキー
06/07/02 03:40:12 7CYmP72w
忘れてたw
となるとネタ被るからレイプネタはもうないかもな
円の男嫌いは別の原因になるのか

112:名無しさん@ピンキー
06/07/02 06:24:41 Df2jk71Y
>男嫌いは別の原因
父も祖父も妾を囲ってて従兄弟の許婚はホモと噂される

113:名無しさん@ピンキー
06/07/02 07:23:10 4EwAi2mB
>>97>>102
どっちもイイヨイイヨー

>>112
それなんて小笠原家?

114:名無しさん@ピンキー
06/07/02 08:06:08 IVEiGJLw
>>97
ナイスw

115:伊南屋
06/07/02 16:25:55 3Sp3jBsE
お久しぶりの伊南屋にござい。
結局純愛ルートはこれにて(要望あれば続く)としてハーレムルートに移りたいと思います。
そんで、それに関して以下のことを宣言します。

・好き勝手書かせてもらう。文体なんかは今回は真似ません。
・整合性はとりあえず無視。みんながぶっ飛んだ行動をします。つかそうでもしなきゃハーレムとかならん。
・ストーリー性は保証しない。ただヤって終わるかも。

そして最後に、ハーレム参加キャラをアンケート。
死んじゃった人とか獄中の人とか実の母とか七才の幼女とか。
出す場合は設定ぶっちぎる必要がある人を出すか迷い中なんで。

皆さんの欲にまみれた意見を大募集!

以上、伊南屋からのお知らせでした。


116:名無しさん@ピンキー
06/07/02 17:36:54 tlP+GZvx
>死んじゃった人
藤嶋の事か…… 藤嶋香奈子の事か――!!!(AA略

まあそれはそれとして。
参加キャラはまあ、俺はメイン4人だけども満足なんだが……どうしてもと言うならあえて紅香ママンもしくは犬の人を。

117:名無しさん@ピンキー
06/07/02 18:55:59 LUjkpDaH
じゃあダメもとで……紫を。
いったいどんな手でどう濡れ場に持ち込むのか、スゲエ興味ありますわ。

118:名無しさん@ピンキー
06/07/02 20:59:25 KyGdyzcC
獄中の人をよろしくお願いします。
どんな展開になるんだろうw

119:名無しさん@ピンキー
06/07/02 21:01:08 f7sK7ZdI
崩月 ミタイ オネガイシマス。

120:伊南屋
06/07/02 21:09:24 3Sp3jBsE
ここで一つ言わなきゃいけないことが…。
俺まだ紅読んでないからそっちのネタは無理です…。

121:名無しさん@ピンキー
06/07/02 21:11:22 f7sK7ZdI
OTL ゴメン 

122:名無しさん@ピンキー
06/07/02 21:21:25 j34YVP8P
俺も犬の人がいいなあ

123:名無しさん@ピンキー
06/07/02 21:28:45 j34YVP8P
ごめん、リロードしてなかったよ。
じゃあ死んじゃった人(学級委員の方)で。

124:名無しさん@ピンキー
06/07/03 03:05:54 anpPm1w0
藤嶋香奈子ー

125:名無しさん@ピンキー
06/07/03 05:34:28 U+AiEMt5
とりあえず光
なにはなくとも光

126:名無しさん@ピンキー
06/07/03 11:21:06 nJjObVWl
光はデフォで入ってるんじゃないのかい?

127:名無しさん@ピンキー
06/07/03 14:27:05 KkpZfhxK
桜じゃないほうの幼女で

128:名無しさん@ピンキー
06/07/04 03:19:14 mrGqiJwu
>>107を受けての繋ぎの小ネタ

「ねーねー、柔沢君。そのたらこスパゲッティ美味しそうだねー」
「……半分やるから、そんな欠食児童みたいな顔でこっちを凝視するな」
「わーい、ありがと!お礼にチューしたげる」
「遠慮しておく」
「むう。溜め込んだ溢れんばかりの若い情熱を持て余す柔沢君は、チューだけじゃ満足
出来ませんか。しからば雪姫ちゃん自慢の胸でもっとダイレクトなご奉仕を」
「止めんかはしたない」
「ジュウ様、溜まっているのであれば私が処理を」
「だからそもそも溜まってないって」
「貴方達、ここファミレスの中だって解ってる?もう少し静かにしてちょうだい」
「はーい」
「すいません」
「ああ。悪い、円堂」
「……にしても」
「?なんだよ、人の顔じっと見て」
「貴方、本当に性欲が無いの?」
「お前もかよ」
「そういう訳じゃないけど、客観的に見てあまりにも淡泊と言うか、枯れ果てて見えるもんだから」
「枯れ……。いや、まあ確かに性欲とかそういうのに関しては、なんもせんでただ
寝て起きただけで妙にスッキリしてたりするが」
「なに?夢精っすか?若いねえ」
「いちいち反応するなお前は。しかも下ネタばっかり」
「なるほど、夢精で済ましてるの」
「円堂も納得せんでくれ。違うから」
「でもさあ、真面目な話寝るだけで性欲解消しちゃうのは健康な男子としてマズくない?」
「何かの病気かもね」
「ジュウ様、病院へ行きましょう」
「これって逆セクハラって言うんじゃないかって言うかもう勘弁してくれ」


「で、今週はジュウの奴どうだった?」
「味、量共にやや減退気味です。お疲れのようですね」
「しょうのない奴だな。次帰った時にはなんか精の付く料理でも作ってやるか。
引き続き“処理”の方は頼んだぞ、弥生」
「はっ」

129:名無しさん@ピンキー
06/07/04 17:09:35 BYlfMDeQ
弥生さんのことだから、気付かれずかつ快感を与えるという絶妙なテクを駆使しているのか?

130:名無しさん@ピンキー
06/07/04 18:09:33 wG/4nG4c
きっと薬や鍼を使って、ちょっとやそっとじゃ目が覚めないようにしてから……

131:名無しさん@ピンキー
06/07/05 00:19:33 SBE4xK/0
ウラヤマシィ酔うな怖いような

132:名無しさん@ピンキー
06/07/05 01:28:53 yo0ZNBNQ
何が怖いって母親が一番こえぇ

133:名無しさん@ピンキー
06/07/05 01:33:00 j6dEnZf0
そういう体調の確かめ方はどうかと思うぞ犬の人

134:名無しさん@ピンキー
06/07/05 01:37:02 st4ueTbQ
>>128の人、良い仕事です。

135:名無しさん@ピンキー
06/07/05 18:40:32 j6dEnZf0
女キャラ各人のスタイルは

雨→全体的にちっこい
雪姫→ボンキュッボン
円→長身、スレンダー、モデル体型
光→年の割には発育がいい
紅香→ゴージャス

でいいのか知らん

136:名無しさん@ピンキー
06/07/05 19:47:49 5U544/gh
>>128
ちょっ・・・GJwww
これは意外な展開だが良すぎる

137:名無しさん@ピンキー
06/07/06 03:51:19 2yCFz4Hc
 「あのー、円先輩」
 「あら、光。どうしたの?伊吹の所ならともかく女子部(こっち)に来るなんて珍しいわね」
 「えっ、えーと、まあその、ですね」
 「何かあったの?」
 「あったと言うか……ちょっとその、聞きたい事があって」
 「私に何を?」
 「円先輩ってその、アイツと親しいんですよね」
 「アイツ……?」
 「えーと、ほらあの……柔沢ジュウ」
 「……まあ、赤の他人とは言えない程度には親しいわね。で、彼に関して何か?」
 「え、えっとぉ、アイツの好きな物とか知りません?」
 「……光、雨が後で怖いからそれは止めておきなさい」
 「ちっ、違いますよ!これはあのただこないだアイツになんか世話になっちゃったしあんな性悪そうな奴に借りつくったまんまだと
後々恩に着せられてなんかネチネチ言われたりするかも知んないからなんか先んじて礼を言ってなんかプレゼントでもしてそれで
チャラにしちゃったりした方がいいんじゃないかなって考えたりした訳でこれは別にあのお姉ちゃんがどうとか雪姫先輩がどうとか
そういう理由で円先輩に相談した訳でもなくてだからそのつまりあのその」
 「解ったから落ち着きなさい」
 「あぅ」
 「まあ大体話は解ったけど、私も彼の趣味嗜好までは詳しくないわよ」
 「あ、そ……そうですか」
 「まあ彼も所詮男だから、キスの一つでもしてあげれば喜ぶでしょうけど」
 「!!」
 「そんなに真っ赤にならなくても。冗談に決まってるでしょ」
 「あ、いえ、その……」
 「……?ああ、そう言えばキスはもう」
 「わわ―っ!わ―っ!」
 「だから冗談だって。……そんなに睨まないでよ。ああ、そうだ。彼が喜んでた事と言えば……」
 「えっ!?な、何ですか!?」

 ピンポーン
 ガチャッ
 「お、おはようございます、ご主人様。よろしければ今日は、ちょ、朝食を作らせて頂きたいと」
 バタン
 「ちょ、ちょっと、なんでいきなりドア閉めるのよ!!」
 「……悪夢だ」

 「いつか作ったメイド服が残ってたんで着せてみたら意外と似合ってたのよ」
 「それで柔沢君ちに差し向けた、と。成る程成る程♪(シャキッ)ところで円よ、ちょっとそこの裏路地まで付き合ってもらえないか?」


繋ぎの小ネタ2。駄目だ、エロくならなかった orz
伊南屋さんまだかなー。

138:名無しさん@ピンキー
06/07/06 06:17:35 ixUHE0Dp
笑わせて貰ったw
GJ。

もっとやってw

139:名無しさん@ピンキー
06/07/06 16:59:37 buADQtJe
>>137
gj

ハーレムを期待する心に嘘偽りは無いが
片山の二次創作って個人的にはエロあんまいらんね

140:名無しさん@ピンキー
06/07/06 22:21:54 Tb5Qx+wP
あげ

141:伊南屋
06/07/06 22:38:56 k1ZHklDF
新作のコールしときます。
ハーレムルート第一弾「雨の場合」
今日明日中には……投下したい。
いや、する。するよ!

142:名無しさん@ピンキー
06/07/06 23:11:11 iqD+vpy4
期待して待ってるよ。

143:名無しさん@ピンキー
06/07/06 23:49:52 2yCFz4Hc
>>138,139
サンクス。また暇があったらなんか書きますよー。

>>141
繋ぎの甲斐があったw
期待してますよ。

144:名無しさん@ピンキー
06/07/07 01:05:28 BOky1hvD
繋ぎ等と言わず書いて頂きたいと思う、今日この頃。

145:伊南屋
06/07/07 01:44:44 XYpFiFIr
 何故、こんな事になったのか。いや、そんなのは些末な問題だ。
 そんな事よりも、今目の前で起きている事。それこそが重要なのだ
 腕の中の少女が流す涙。少女の名が示すように、大粒の雫が止めどなく流れている。地を濡らす雨のように。
 彼女、堕花雨が滅多に見せる事の無い、自分を想ってくれるが故の、真摯な涙。
 それを見た柔沢ジュウは強い罪悪感に苛まれていた。
 涙の理由が自分である事と、今から雪姫という恋人を裏切ろうとする自分が居る事に。
 ―最低だ、最悪だ、こんな弱みにつけ込むようなこと。大切な人を裏切るようなこと。
 雨が望んだのはただ一つ。そのたった一つを満たしてくれれば良いと言う。
「私を抱いて下さい」
 雨はそう言った。だからその言葉通りにしてやれば良い。
 だけど、それはその場しのぎの逃避ではないのか? 今ここで抱いても、これからの雨の想いをどうするのか? そして何より、雪姫を裏切って良いのだろうか?
 雨の家に呼ばれ、まさか自分を求められるとは思っていなかった。無論、そんな求めに応える準備などしていよう筈もない。
 良くも悪くも、今まで雨はそういった対象ではなかったのだから。
 だけど、と思う。雪姫だってそうだった。それなのに自分は求められるままに抱いた。雪姫を求めた。そして今も雨を抱きたいと思った。思ってしまった。
 ―最低だ。最悪だ。
 思考がループする。負に沈む、螺旋を描く。
 不意にそれを止めるものがあった。
 感触。唇に感じる、柔らかい温度を持った感触。
 それがキスだとジュウが気付いたのはたっぷり十秒程して、感触が消えてからだった。
「雨、お前……」
「申し訳ありませんジュウ様」
 呆けたジュウの鼻先十センチ。互いの息が掛かる距離に、涙に濡れた雨の顔があった。
「一度、一度だけで良いのです。ですからジュウ様……どうか御慈悲を……」
 応える間もなく、雨の唇が再び重ねられる。
「ん……ふぅ」
 更に深く求めるように強く唇を押し付けてくる。その口付けが、ジュウを支えていた理性を削り取る。
 胸に添えられていた雨の手が、引き寄せるようにジュウの服を掴む。布越しに胸元に感じるその動きすら、甘美な疼きをジュウに与える。
 そして、その疼きに抗うには、ジュウはまだ若過ぎた。
 衝動のままに雨を抱きすくめる。
「あ……っ」
 微かに漏れる雨の吐息が耳朶をくすぐり、ジュウの理性を更に崩す。

146:伊南屋
06/07/07 02:10:08 XYpFiFIr
 重ねられた口唇が開かれ、雨の舌がおずおずと差し出される。ジュウはそれに応え、自らの舌を絡める。
 小さな雨の舌はほのかな甘さすら感じられ、ジュウはそれを味わう為に、より強く舌に吸いつく。
 くちゅり、と唾液の混じる音が口元から聴こえる。薄く開いた瞼の向こうに、顔を朱に染めた雨が見えた。長い前髪の隙間から覗く瞳はもう涙を流しておらず、代わりに熱に浮かされたように潤み、ジュウを覗き返していた。
 愛しい、と想う。目の前の少女を大切だと想う。
 だけど、こうする事で胸が痛む。罪悪感に責め苛まれる。脳裏によぎるのは雪姫の顔。
「ジュウ様、今だけは……私の事を」
 表情から思考を読んだのか、雨がそう言ってくる。
 背中に回された細い腕に力が込められる。
 それに応え、ジュウも雨をより密着させるように抱き締める。
 ―こんなにもこの少女は華奢だったのか。
 腕の中にある、後少しでも力を込めたら折れてしまいそうな体に驚く。
 いつも自分を守ってくれていた少女が、急に儚い存在だったのだと思わされる。そして、それ以上にその脆さが雨が女である事を強調する。
「くぅ……ん」
 雨が切なげなうめきを漏らす。普段なら絶対に聞くことのない声。それをもっと聞きたい。そう思い、ジュウは雨の胸に触れてみた。
 制服越しに伝わる感触が、その体同様、小振りな作りである事を知らせてくる。
 間違っても痛みを与えないようにジュウは指先に力を込める。
 小さいながらもしっかりと指を押し返す弾力にジュウは否が応にも昂ぶっていく。
 もっと、もっと。そう思う内、知らず知らずジュウの手はセーラー服をたくし上げ、下着に包まれた雨の胸元を晒していた。そして唯一、胸元を隠す布もずり上げ、その白い膨らみを露わにする。
「っん……」
 指先が雨に触れた瞬間、その体が弾けたように震える。
 強く触れすぎたわけではない。初めての刺激に驚いただけだとジュウには分かった。
 だから躊躇わず愛撫を始める。こねるように、ゆっくり、早く。
「ふぅ……あぁ」
 雨の甘い吐息が一層強くなる。それは明らかな官能の悦びの声だ。ジュウは更にその声を引き出すために、桜色の頂点に舌先を触れさせる。
「ひぁっ!」
 悲鳴に近い声を上げ、雨が悶える。
 しかしそれにすら構わず、ジュウは胸元の愛撫を激しくしていく。手のひらで揉みしだき、舌先で乳首を転がし、時に軽く歯を立てる。

147:伊南屋
06/07/07 02:51:39 XYpFiFIr
 その一挙手一投足に雨は敏感に反応する。
 半開きの口からは、荒い息と切なげな声の両方が漏れる。それらは徐々に大きくなり、雨の昂ぶりを知らせてくる。
「はっ……あぅっ、ひぁ……んぅ」
 その昂ぶりを更に加速させる為にジュウは片手を下半身へ向かわせる。
 背中から回した腕を這わせ、下着に包まれた雨の臀部を撫でる。
 小振りながら柔らかいのは胸と同じで、触り心地に酔いそうになる。
 しばらくその感触を楽しんでから指先を更に下、足の付け根、その中心に進める。
 そこはじっとりと湿っており純白のショーツに小さなシミを浮かばせていた。
 布地の上からほじるようにして触れると。にちゃり、という粘性の水音がした。
「ふぅ……ん、ジュウ……様っ」
 不意にジュウの体が後ろ向きに倒れる。雨に押し倒されたのだ。
 のし掛かる雨の顔は上気し、潤んだ瞳をジュウに注いでいる。
「ジュウ様、ジュウ様」
 譫言の様に名を呼ぶ雨。その雨にジュウは服を脱がされていく。はだけられた胸元に雨の手が這わされる。
 少し冷たい指先から甘美な刺激が与えられる。
 雨の手が先程ジュウがそうしたように、下半身へと向けられる。
 金属の擦れる音がして、ベルトを外され、あっという間にジュウのいきり立ったモノが外気に晒される。
「もう、我慢出来ません」
 雨が軽く腰を浮かしたかと思うと、ショーツをずらし、そのままジュウのペニスに手を添え上に向けたそれに腰を落とす。
「……っくぅ!」
 雨が仰け反り、痛みに耐える。しかし、その痛みに耐える表情すらどこか陶然としている。
「はっ……、はっ……」
 短い呼吸を繰り返し、ジュウの上で雨が静止する。
「おい、大丈夫か……?」
 実際、前戯が十分だったとは言い難い。雨が無理にしなければ十分な前戯をしてからするつもりだった。
 しかし既にジュウは雨の中に侵入してしまった。ならばここからは出来る限り苦痛を与えないようにするだけだ。そのつもりだった。
 だが雨はその意志とは逆にすぐに腰を上下させる。
 その表情は苦痛に歪み、呻くような声を上げている。
「ばっ! お前、無理すんな!」
 声でそう制するものの雨が上位に居るためこちらから動きを止める事は出来ない。
 雨は止める事はせず、むしろ一層激しく腰を振りたてる。
 苦痛に喘ぐ声に艶が混じるようになるまでそう時間はかからなかった。

148:伊南屋
06/07/07 03:09:29 XYpFiFIr
 労りもない、一方的な交わりにも関わらず、雨は女の悦びを感じ始めているのだ。
「ジュウ様……、ジュウ……さ、まぁ……」
 まるでジュウをくわえ込んで離さないとばかりにきつく締め上げられる。それは強烈な刺激をもってジュウを追い詰める。
「くっ……! 雨……っ」
 必死に迫り来る快感を抑える。このまま膣中に出すのははばかられるからだ。
 その事を伝えようと開いた口を、ジュウが声を発するより先に雨の唇が塞いだ。
 そのまま舌を絡められ、互いの唾液を擦り付け合い、混ぜ合わせる。
 頭の内側から響く水音に、掛けようとした言葉が霧散する。
 それと同時。堪えていた快感が背筋を駆け上り、脳髄を痺れさせる。
 その次の瞬間、ジュウは雨の膣中で果てていた。
「はっ……はっ、はぁ」
 どちらからともなく唇を放し、呼吸を整える。
 しばらく荒い息を付いていた雨だったが落ち着いてくると重ねていた上体を起こし、腰を上げる。
 ぬるり、という感触があり、ジュウが雨の中から引き抜かれる。
 履いたままのスカートで中心は見えないが、雨の太股に赤い鮮血と白い精液が伝い流れるのが見えた。
 その淫靡な光景が、ジュウの性欲を再び刺激し、萎えかけていたジュウのペニスが再び硬度を取り戻す。
「まだ……出来るんですね」
 雨が微笑む。
「でも、その前に」
 そう言って雨が視線を向けたのは部屋の入り口。
「出てらっしゃい。光ちゃん」
「なっ……!」
 驚きに硬直するジュウが見たもの。それは顔が上気しきった、滴る程に太股を愛液に濡らした光だった。

続く

149:伊南屋
06/07/07 03:12:31 XYpFiFIr
お久しぶり伊南屋にございます。

今回の時系列は不定。
純愛ルートの報告後だとは思いますが。
ついでにここに至るまでの経緯も不定。そこは番外編故のいい加減さって事で許して下さい。

次は一回時間を巻き戻して光の覗き自慰ネタ。それから姉妹丼です。

150:名無しさん@ピンキー
06/07/07 03:26:38 ydRA5SMi
おおう、鉢合わせることが出来たとはなんたる幸運。
今回もGJな代物ありがとうです。

151:名無しさん@ピンキー
06/07/07 03:50:41 fDmv3g+D
ここまでコメディネタとエロネタが映える作品もなかなかないな

伊南屋GJ!面白かった

152:名無しさん@ピンキー
06/07/07 10:19:16 5Pj/SlvR
姉妹丼……いいなあ姉妹丼……

153:伊南屋
06/07/07 14:19:36 XYpFiFIr
 それは全くの偶然だったと言って良い。
 姉に呼ばれ、のこのこやって来た柔沢ジュウと、姉である雨が不用意に接近しないように飲み物をダシに部屋に入ろうとしたのだ。
 異変は雨の部屋。その扉の前に立ったときに起こった。
 うめき声のようなものが聴こえた。
 一体何があったのか。光は扉を微かに開き、中を窺った。
 光の目に飛び込んで来たのは抱き締め合うジュウと雨。その唇は重ねられ、舌が絡められている。
 時間が止まった気がした。恐れていた事が起こってしまった。
 逸らしたいと思いつつ、視線は二人に固定されてしまう。ジュウと雨の動きを目が追う。
 ―ダメだ。ここにいてはいけない。
 最早止める事など考えず、ただその場を逃げだそうとする。
 だがその一瞬。立ち去ろうと動かした足、その付け根に違和感を感じた。
 ―ウソ……濡れてる。
 自ら気付かぬ内に男女の営みを見せつけられた光の体は反応していた。
 荒い息をつき、太股をしとど濡らしている。
 それを一度意識してしまうと途端に体が快楽を求める。視線を室内に戻すとジュウの手が雨に触れていた。
 それを見た瞬間、光の内で官能が弾けた。ジュウの手が雨ではなく、自分の胸に触れている想像が快楽の火を強くする。
 気が付けば光の手は自らの股間に触れていた。布地越に熱くなった中心をなぞり上げる。その刺激に、上げそうになる声を必死に抑える。
 いけない、と思いつつその手は止まらない。自らを慰めるその手もジュウであるかのように感じられ、一層光を追い上げる。
 室内の二人はいつの間にか雨が上位になり交わっていた。光もジュウの上にのしかかる雨を自分に置き換え自慰に耽る。
 光の手はいつしかショーツの内に潜り込み、淫らな水音を盛大にたてる。右手をショーツの内へ、左手は平均以上に発達した乳房に添えられる。
 自らが最も感じる部分を貪欲に貪る。高揚感と自らの動きが光の意識を白に染めていく。
 目だけは室内に注がれ続けたままだ。ジュウの上で跳ねる雨の姿に自分を重ね、その動きを指先にシンクロさせる。
 強く、深く、掻き回す指で自らをを高く打ち上げる。
 そして、室内の雨にジュウの精が注がれると同時。光は声無き絶叫を上げ達した。
 どれくらい脱力していのか。永劫とも思える気怠さから引き戻したのは他でもない雨だった。
「出てらっしゃい。光ちゃん」
 その呼び掛けに光はゆっくり室内に踏み出した。

続く

154:伊南屋
06/07/07 17:48:32 XYpFiFIr
ちとやっつけ仕事になってしまった……
どうしても一レスに納めたくてカットした描写もあるし。
まぁ代わりというか次の姉妹丼は持てる力を注ぎ込むつもりです

155:名無しさん@ピンキー
06/07/07 18:08:08 XacGHihk
勃った

156:名無しさん@ピンキー
06/07/07 19:20:40 5Pj/SlvR
GJ&続き期待

157:名無しさん@ピンキー
06/07/07 19:39:33 4cgpqkoa
ある種、最高のほめ言葉だな

158:名無しさん@ピンキー
06/07/08 08:24:04 Lb4lyCS9
伊南屋先生GJ過ぎます!!!!

159:143
06/07/08 15:48:56 sXuodskc
伊南屋さんのが終ったら、俺も光もので一本書こうかしらん。

160:名無しさん@ピンキー
06/07/08 15:50:22 sXuodskc
あー、また雑談掲示板とチャットに煽りが。
なんか順調に荒れてきちゃってるよ。ヲチコマ早めに何とかしないと拙いぞ。

161:名無しさん@ピンキー
06/07/08 15:52:19 sXuodskc
ゴメンよ、ちょいと誤爆した。

162:名無しさん@ピンキー
06/07/09 10:26:32 QNqjOOds
伊南屋さんともども期待してます

163:名無しさん@ピンキー
06/07/09 19:57:11 6Lapnd8L
光×伊吹って皆はアリ?
俺は個人的にナシなんだが。

164:名無しさん@ピンキー
06/07/09 20:51:44 xcQ8kPBd
>>163
カプを否定したいわけじゃないが、今のままじゃあナシだな。
伊吹がジュウっぷりに身体を張って光を守ったりしたら、アリかもしれん。

165:名無しさん@ピンキー
06/07/09 20:58:11 6Lapnd8L
一応「見た目だけの男じゃない」と言われてはいるが、正直今までの話の中での行動を
ジュウと比べるとなあ……。

166:前世はきっとナマケモノ
06/07/09 22:39:12 xcQ8kPBd
中途半端に、ジュウ×藤嶋が出来たので投下。
まあ、いなみん…もとい伊南屋氏レベルの文章力を期待しているのなら
スルー推奨。設定もむちゃくちゃ。
とりあえずIfで、事件で藤嶋が生存していた場合を、どぞ。

167:前世はきっとナマケモノ
06/07/09 22:42:17 xcQ8kPBd


 病院を退院してから一週間ほどが経っていた。
 ジュウはすっかり身体の傷を癒し終え、新学期になってからは一学期と同じように登校できるまでに身体機能が回復していた。
 担任の中溝はかなり驚いていたが、ジュウの心に余計な刺激を与えたくないのか、
 ただ「元気になってよかったな」と一言伝えただけだった。
 無理はない。クラスの中から連続猟奇殺人事件の犯人とその被害者を出してしまったのだから。
 新学期になって久しぶりに見る彼の顔は確実に痩せ細っていた。
 この夏はジュウにとって、心に痛いトゲを残す結果となってしまった。
 だが、その一方で良い報せもあった。被害にあった同じクラスメイトの藤嶋香奈子が来週から再来週までには戻ってくるとのことであった。
 重症は負っていたものの、被害に遭ってから短時間にジュウが発見したのが功を奏したらしい。

 そして、今、ジュウは自分が入院していた病院にいた。
 流石に三週間も入院していた病院だけあって、中の勝手はよく知っている。
 目的の病室を迷うことなく目指し、病室前に辿り着くとぶっきらぼうに扉を引いた。
「よっ、元気にしてるか?」
「柔沢……」
 まるで事件が起こる前のように、軽々しくジュウは挨拶をした。
 妙に気遣うのは香奈子があの事件のことで落ち込んでいるだろうから、と思っていたからだ。
 案の定、香奈子はこちらに顔を向けることもなくぼんやりと窓の外を眺めていた。
 実は、ジュウが彼女の見舞いに来たのはこれが初めてだ。それまではジュウ自身も入院していたし、
 退院してもまだ完全に本調子ではなかったため、来る機会を逃していたのだ。
「…あ、あんた、学校は!? まだ授業中でしょう?」
 だが泣き出すのかと思えば、いきなりジュウに対して怒りを露わにしてきた。
 らしいな、とジュウは心の中で呟きながら、窓際にある彼女のベッドへと歩き近づこうとした。
「そんなもん、サボってきた」
「さ、サボったってあんたねぇっ…!」
 何かを言おうとしていた香奈子だったが、ふと気づいたように視線を下に向けて強ばった声をあげた。
「…! 柔沢、来ないで!! 今の…私の顔、見られたくないから」
「…………」
 ぴた、と進めていた足をジュウは押し止めて、分かった、と小さく呟いた。


168:前世はきっとナマケモノ
06/07/09 22:44:09 xcQ8kPBd

 ジュウが襲われた彼女を助けたときには、香奈子の顔は酷いものだった。
 何度も殴られたためか、あちこち血まみれになっており、目元や頬は腫れ、お世辞にも女の子とは呼べないようなものだった。
 醜く変形した顔は誰だって見られたくないものだ。治療は進んでいるとはいえ、まだ痣はところどころ大きく残っている上に、
 腫れも完全に引いているわけではないのだろうと判断した。
 もちろん、ジュウはそんなことを気にするタイプではなかったが、香奈子のことを考えるとそれ以上足を踏み出すことはできなかった。

「……あいつが言っていたぞ。『治療に専念してください』ってな」
「あいつって…堕花さんのこと? ……そう、分かった、って伝えといて貰える?」
「ああ」
 そんな短い会話を交わして、ふたりの間に沈黙が下りる。
 なんて無力なんだ。ジュウは自分のコミュニケーション能力を恨んだ。
 もともと人付き合いの悪いジュウにとってコミュニケーションを取るということは苦手だった。
 だからこういうとき、どんな声をかけてやるのが一番いいのかが分からなかった。
 そわそわと視線を彷徨わせ続けていたが、もとより自分は考えることが苦手なのだ。
 なら、考えても仕方がない。自分が思うままに、ジュウは行動にうつした。

「なぁ、やっぱりそっち行って良いか?」
「なっ、来ないでって言ったでしょっ! このバカッ!」
 彼女の声色には怒りが含まれている。
 当然だろう。これ以上心を傷つける気はないが、彼女の言いつけを無視すれば、結果として彼女は落ち込んでしまう。
 だが、それでもジュウはそれを無視して強引に彼女のベッドに「よっこらせ」と腰をかけた。

「俺にはよく分からないがな、気にすんな」
「何言ってるのよっ…、こんな顔、アンタだって気持ち悪がるわ」
「そんなこと誰が決めた?」
「誰がって…見れば誰だって分かるわよ。こんなヒドい顔…」
「それは俺の意志じゃない」
「……」

 あまりに強固な態度を取るジュウに香奈子は沈黙して、投げやりに、真正面から睨みつけた。
 成程、確かにあちこち青痣がまだ残っている。腫れはそれなりに引いているようだが、
 香奈子が敏感に気にしてしまうのも無理はないと思った。




169:前世はきっとナマケモノ
06/07/09 22:46:51 xcQ8kPBd

「どう…、ヒドいものでしょう?」
「そうだな」
「……だから言ったのに」
「お前の顔が、じゃない。 何も出来なかった俺が、だ」
「何を…」
 言っているの、とはこれ以上香奈子は言葉に出来なかった。ジュウの顔があまりにも悲痛だったからだ。

 もし、賀来羅と美夜の企みが事前に妨げることが出来たのなら、香奈子もこんな目に逢わずに済んだのかもしれない。
 これは自負になってしまうが、他のクラスメイトよりは美夜との関係は深いものだったと思う。
 ならば少しでももう少し他人に興味を持っていたら、彼女も香奈子も救えたのではないかと。
 今となってはただの妄想にしかすぎないのだが、それでも目の前の少女を見ると、
 自分に出来たことはあったのではないかと後悔してしまう。

「俺は結局何も出来ない中途半端な野郎だよ。おまえの言うとおりな。
 雨の協力がなけりゃ、俺もバットに殴られて今頃はあの世だ。……本当にすまねえ」
「…アンタが謝ることじゃないでしょ。ほら、離れて。もう、これ以上見られたくない」
 香奈子はベッドの縁に腰掛けるジュウの背中を押しのけようとするが、背中から腰まで堅い釘で
 ベッドに打ち付けられたかのように、動こうとはしない。
「お前は藤嶋香奈子だ。俺に説教してやがった藤嶋香奈子だ。
 お前っていう「もの」は何も変わってやしない。今のお前を否定する奴がいたら、俺がぶん殴ってやる」
「柔沢……」
 
 …ああ、そうだ。今の俺に出来ることはそれぐらいしかない。
 彼女とは別に関係が良かったわけではないが、クラスの中で皆がジュウを避けるなか、
 唯一真正面からぶつかってきたのが、美夜と香奈子だった。
 そこに特別な感情があるわけではない。たしかに夏休み前は、危篤状態になった香奈子を襲った犯人に対する怒りが
 ジュウを突き動かしていた。けれども、それだけだ。
 香奈子は美夜のような友人でもなければ、雨のような印象の強い不思議な存在でもなかった。
 ただ、自分にはない何かを持っている彼女は時々羨ましく、眩く見えたことがあるぐらいだ。
 
 だから、慰めることはできない。そんな関係であるジュウが慰めの言葉をかけても、余計に香奈子の心に傷を与えるだけだ。
 ならば、自分に出来ることは、今のあるがままの香奈子を受け入れることだ。
 だから気にするな。そう言おうとして振り向いた瞬間、包帯と薬の独特の匂いと、
 それとあまりにも不釣合いな柔らかい感触が唇に伝わった。

 情けないことに、これがジュウにとってのファーストキスだった。

170:前世はきっとナマケモノ
06/07/09 22:48:31 xcQ8kPBd

「藤嶋…おまえ…」
「ごめん、迷惑だった……?」
 驚き動揺するジュウは何から聞けばいいのか混乱するばかりで、口をぱくぱく金魚のように動かすだけだった。
 香奈子はというと、怪我を負う以前のように気の強そうな表情のまま、じっとジュウの瞳を覗きこんでいた。
「迷惑っていうか…、何で…?」
「……あんたが初めてよ、そんなこと言ったの」

 ぽつぽつと香奈子は語りだした。ジュウが見舞いに来る前にも、何人かのクラスメイトは香奈子の見舞いに来たそうだ。
 だが、香奈子の顔を見るなり、彼らはぎくしゃくした態度になり早々に帰っていったという。
 まともに会話できたのは、「よかったなぁ、よかったなぁ」と号泣した担任の中溝と、今日のジュウだけだったらしい。
 事件の関係者というだけでも余所余所しさを感じるものだが、その残酷さを目の当たりにして、
 クラスメイトたちはショックを受けてしまったのだろう。分からないでもないが、
 それがどれだけ香奈子の心を傷つけているのか計り知れないのか。
 そのクラスメイトに怒りとまでは行かないまでも、嫌悪感を感じながら深々とジュウは溜息を吐き出した。

「そりゃあ、珍しいな。まあ、俺は不良だから」
「何よそれ」
「さあな」
 ふっと口元を緩めると香奈子は吹き出して笑った。ようやく明るい顔を見せたか、面倒をかけさせる奴だ。
 そう思うジュウの顔も珍しく笑みで溢れていた。
「……だから、ちょっと甘えさせてよ。柔沢…」
「甘える…?」
 気づけば香奈子は俯き加減にこつんと額をジュウの背中に押し付けていた。
 そして、ジュウが何のことかを尋ねる前に、その背中から香奈子の嗚咽が聞こえてきてしまった。
 ジュウは何も言わずただ彼女の奏でる悲しみに耳を傾けていた。




171:前世はきっとナマケモノ
06/07/09 22:51:05 xcQ8kPBd

 どれくらい経ったのかジュウには分からなかった。数十分か、それとも数時間か。
 何を話したのか、まったく覚えていない。けれども、それはきっと穏やかな時間だったと思う。
「さて…そろそろ帰るか。面会時間は過ぎてるしな…」
 鞄を持って立ち上がろうとしたジュウの服の裾を香奈子が引っ張り止める。
「おい、なんだよ?」
「…今日は一緒にいて」
「……は?」
 それは無理だろう。いくらクラスメイトだからといって、身内でもない人間が面会時間も過ぎてここに留まれるわけがない。
 個室なので他の患者に迷惑をかけることはまずないだろうが、消灯時間もとっくに過ぎている。
「…一人でいるのが怖いの」
「藤嶋……」
 ぎゅっとジュウの服の裾を引っ張る香奈子の指先が震えているのが、服を通じて分かる。
 あんな目にあったのだ、暗闇の中に一人でいることが怖くなってしまうのも当然かもしれない。
 だが、困った。医者や看護師の見回りがあるかもしれない。そこで見つかればどう言い訳すればよいのやら。
 まあ、そのときにはそのときだ。適当に言い訳をして逃げるか。
 
 仕方がない、と呟くと再びジュウは彼女のベッドに座りなおした。


「……ね、柔沢のキスっていつが初めてだった?」

 それからというものの、他愛も無い話をふたりは続けた。
 小学校の頃の話、親の話、今の学校生活についての話。いろいろ話したが、
 淡白な年少時代をすごしてきた自分とは違い、香奈子の過ごしてきた日々はごくごく普通であったが幸せそうなものだった。
 そして、辿り着いたのがこの話だった。

「キス? そりゃあ、おまえ……さっきのがはじめてだよ」
 よく自分からキスしておいて聞けるな、とある意味女という生き物について感心させられるジュウは、
 思わず正直に答えてしまった。よく考えてみれば当然なのだが、
 昔からいじめられ、今では不良として周りの人間とは疎遠だった彼が、誰かと付き合い接吻を交わすなどありえるはずがない。
「…あ、そ、そうなんだ。柔沢、ゴメンね」
「何で謝るんだよ。別に俺は構わない」
 確かに意外ではあったが、ジュウはそれほど「初めて」に拘っているわけではないし、むしろ少し胸が熱くなったぐらいだ。
 これで浮かれるほどジュウは初心でもなかったが、それでも男としては気分が悪くなるものではない。
 だが、ジュウは後にこの判断を後悔することになる。

「なら…、私のこと、抱いてよ…」



「はい?」






172:前世はきっとナマケモノ
06/07/09 22:53:54 xcQ8kPBd

 やはりバカだな、俺って。
 母親にさんざん言われ続け、自分でも自覚していたこと。それを今日改めて自覚させられた。
「……本当に俺なんかでいいのか?」
「あんたじゃなきゃダメなの」
 これから情事に及ぼうというのに、香奈子は気丈にもきっぱりと言い返した。
 こうしてみれば、香奈子はこういうことに慣れている、と思わせるがそんなはずはない。
 生真面目な彼女が気を許した相手以外と行為に及ぶことはないだろうし、
 むしろ、雨に言わせれば、こういう態度も彼女の意地っ張りによるものかもしれない。

 香奈子は、自分を受け止めてくれたのはジュウだけだと告白した。だから、今は甘えさせて、とも。
 おそらくこの行為はその延長線上にあるのだろう。
 場慣れした男であれば、優しく彼女をエスコートすることも可能なのだろうが、情けないことに、ジュウはこれが初体験だった。
 普段は不良という看板を立てて生きている彼が、異性との行為はしていないと他人に知られたらどうなるかと
 思うだけで憂鬱になったが、香奈子は「え、そうなんだ」と、どこか嬉しそうに反応していた。

 兎も角、ジュウとしては複雑なのである。
 別に男としての性的欲求がないわけではない。ただ、香奈子はあとで後悔しないのだろうか。
 こんな不良もどきに処女を奪われ、こんなつまらない人間と行為に及んだことを。

 だが、悩んでいても仕方がない。
 それに自分を求めてくれている女を袖にする程、ジュウもフェミニストではなかった。


「脱がすぞ?」
「…ええ」
 乱暴にならないように、不器用ながらもジュウは彼女のパジャマを脱がしていく。
 彼女らしい水色のシンプルなパジャマを出来るだけ丁寧に彼女から取り去ると、香奈子の裸体が露わとなっていく。
 これまたシンプルな白いブラに包まれた乳房は、彼女の興奮または羞恥によるものか、ほんのり赤くなっていた。
 だが、そこでもジュウは現実を知る。顔と同じく点々と小さいながらも青痣が出来ており、
 彼女が味わった痛みと悲しみがそこに現れていた。ジュウはあえてそのことには触れず、そっと香奈子の二の腕を撫でた。
「ん…っ…」
「すまん、痛かったか?」
「違う…、嬉しいのよ。バカ」
 恥かしげに視線をジュウから外し、ぼそぼそと呟く香奈子の言葉にジュウは気をよくして、
 その細い腕から鎖骨、胸へと指先を滑らせる。そして遠慮もなく、そのままブラと乳房のなかに潜り込ませて、
 下から揉みあげるように香奈子の乳房を愛撫していった。
「んっ…ぁっ、じゅう…さわっ…!」
「おまえって思ったよりも胸、あるんだな」
「ばかっ…!」
 あまりにもストレートな物言いに、香奈子も恥かしさを覚え自らの乳房から視線を外し、そっぽを向く。
 だが、そんな彼女に構わずジュウはブラのホックを外し、直接に彼女の乳房を揉みしだく。
 彼女の乳房は思った以上に柔らかく、少し触れただけでも指の形に崩れてしまう。
 緩急をつけながら、少しでも彼女を気持ちよくさせようと、鍵盤を叩くように優しくかつ強く指を動かした。


173:前世はきっとナマケモノ
06/07/09 22:56:14 xcQ8kPBd

 特別、香奈子の乳房は大きいわけではないが、普段はどこかか細い印象のある彼女。
 だがこうして改めてみてみるとそうではないことが分かった。
 ジュウが少し力をいれて香奈子の胸に指を食い込ませると、彼女はひっ、と小さく甘い声を漏らしてしまった。
「気持ち良いか?」
「わ、分かるわけがないでしょっ! こんな、のっ…!」
 香奈子はそういうが、歯ごたえは確かでジュウが指を動かすたびに、彼女は過敏に反応してくれる。
 彼女の乳房を揉めば揉むほど、もっと強く揉み解したいという欲望に駆られてしまう。
 だが、それではレイプまがいだ、とジュウは溶けつつある理性を振り絞って自制しながら、
 マシュマロのような柔らかさを持つ香奈子の乳房を愛撫していく。

「ひゃっ、んにゃぁっ…!」
「おまえ、可愛い声、出すのな…っ」
「ほ、ほっといて…よぉ…!」
 不器用だが優しいジュウの手つきに、香奈子も感じているのか、普段の姿からは想像もできないような
 可愛らしい声をあげ、快楽に翻弄されつつあった。現に彼女のピンク色の乳首はぷっくりと膨れており、
 触られるのを待っているかのように自己主張をしていた。
 それに気づいたのか、香奈子は身体をくねらせてジュウの手から逃れようとする。

「おい、じっとしてろって…」
「だ、だって、こんなの、恥かしい…」
 何を今更、ともジュウは思ったが、いつもとは違う香奈子の側面を見ているようで、
 もう少し意地悪がしたくなってきてしまった。逃れようとする香奈子の臀部を捕まえると、
 そのまま下着の中へぶっきらぼうに片手を入れ、割れ目を中心に、指先、手のひらを駆使して撫で回していく。
 乳房と臀部を同時に愛撫されている香奈子は、快楽のためか目尻に涙を浮かべ、そっとジュウの背中に腕を回していた。



174:前世はきっとナマケモノ
06/07/09 22:57:24 xcQ8kPBd

「んぁ…! そんなところ、触らないでよ…きたないから…っ」
「なんでだよ…、綺麗にしてるんだろ?」
「う…、そりゃあ、そうだけれど…」
 乳房を愛撫されるよりも、臀部を触られる方が香奈子の羞恥心を刺激してしまうのか、少しばかりの抵抗を見せる。
 だが、力は入っておらず、それほど嫌っているようにも見えなかった。
 そこでジュウは乳房を愛撫していた手を臀部へと動かし、ずるりと一気に下着ごとパジャマのズボンをずり下ろした。
「なっ…ななっ、何をしてるのよっ! 柔沢!!」
「おいっ! 声が大きい…!」
「あ…」
 いくら個室だからとはいえ、あまりに大きな声を挙げれば隣の病室や外の廊下に聞こえてしまう可能性は高い。
 少しばかりお互いに気まずくなったが、それでも愛撫の手が止められることはなかった。
 香奈子の臀部は、小ぶりだがそれでもその柔らかさは乳房と同等かそれ以上で、
 少し指で触れるだけでもシーツに波立たせるように、臀部は小さく震える。
 それがなんだか可愛く思えてきて、ジュウは思わずそちらばかりに専念しはじめてしまった。

「ん…ふぅぅ…んっ…! お尻…ばかり、触らないで、よ…っ」
「これは……悪ぃ」
 ついつい調子に乗ってしまったようだ。香奈子は目尻に涙を浮かべたまま、ほんの少し怒りの片鱗を見せていた。
 だが本人としても快楽を味わうことが出来たのか、二言目にはこんなことを言い出してきた。

「わ、私だけ気持ちよくなるのはずるいから……柔沢、あんたのも気持ちよくしてあげるっ!」
「………へっ?」



175:前世はきっとナマケモノ
06/07/09 22:59:40 xcQ8kPBd
……今回は以上です。
藤嶋の怪我の病状や、病院のシステム、藤嶋に光や銀子が入ってるんじゃないかなど、
突っ込みどころはたくさんあるでしょうが、見逃してやってください…orz

…そして誰か、エロい文才を分けてください。



176:前世はきっとナマケモノ
06/07/09 23:00:50 xcQ8kPBd
追伸……。
続きは書きます。書くつもりでいます……たぶん。

最後に、あまりエロくなくてごめんなちゃい。
夕乃おねえさんにシゴかれてきます。

177:名無しさん@ピンキー
06/07/09 23:02:59 6Lapnd8L
いや、充分エロいっす。
てかこっちが分けて貰いたい位。いやマジで。
続きも楽しみにしてます。

178:名無しさん@ピンキー
06/07/09 23:46:33 RQDYBVj9
GJGJ
電波的な彼女は、リタイアしちゃったキャラも魅力的だから困る
中溝センセも結構良いキャラだよなー

179:名無しさん@ピンキー
06/07/10 00:05:00 2pM05qpc
アアー(*´Д`)ーン!!

180:名無しさん@ピンキー
06/07/10 01:30:31 WgGP7M0U
>>178
一子タンとか生徒会長とかもかい?

181:名無しさん@ピンキー
06/07/10 01:39:37 R6y6jJeF
充分イイです。
GJです。
続きwktkで待ってます。

しかしアレだよな、担任が何気にイイ奴だなw

182:名無しさん@ピンキー
06/07/10 02:16:46 eHmVjd/w
>>180
モチ
病んでるヒロインてかわいくね?

183:名無しさん@ピンキー
06/07/10 03:44:26 WgGP7M0U
病んでると言うかトンでるのでちょっと……

184:名無しさん@ピンキー
06/07/10 16:21:04 2QIrvjl2
電波的ってことはそういうことだ

185:名無しさん@ピンキー
06/07/11 02:00:05 bTjun5aQ
いちこは売女だしな
こなれた感じでジュウを逆レイプしてほすぃ
生徒会長は・・・・基本的にメガネ女は殺したいくらい嫌いだから輪姦されて死ね

186:名無しさん@ピンキー
06/07/11 20:47:34 ktHCmNnv
銀子は助けてやってくれないか?


187:名無しさん@ピンキー
06/07/11 21:56:17 Nfa0ASqO
ツンデレな銀タン、ハァハァ・・・

188:名無しさん@ピンキー
06/07/12 02:59:47 9MjSbJTx
そう言えばこれまでの所紅ネタで書く人はいないな

189:名無しさん@ピンキー
06/07/12 06:04:46 Ra97b/bI
>>188
お前はそんなにロリが見たいか!

190:名無しさん@ピンキー
06/07/12 14:55:41 YeqsFkW1
あれだろ?
「痛いのと気持ち良いのは同じなんだな」から始まるロリSMだろ?

191:名無しさん@ピンキー
06/07/12 15:10:12 T+u3fsJL
>>189
逆に考えるんだ。
思う存分しごいてもらいたいと考えるんだ

192:名無しさん@ピンキー
06/07/12 17:24:06 l8qLSEYC
めんどくせーからそっちもハーレムでよくね?

193:伊南屋
06/07/12 21:46:46 2LfSn8TS
 何なんだこれは。
 ジュウは果てしない混迷の中に居た。
 今ある状況が理解出来ない。思考が断絶される。
 淫らな媚態を晒す雨と、色情に浮かされた光と。これは何かの夢なのか。
 しかし、それらは圧倒的なまでのリアリティを持って、その思考を否定し、これが現実であることを知らしめてくる。
「光ちゃん」
 雨が部屋に入って数歩で立ち止まってしまった光に歩み寄り、声を掛ける。ただ、その声は妹に対するには、過分に媚びを含んでいた。
「光ちゃんも、ジュウ様に抱かれたいの?」
 光の傍らに立ち、耳元に囁き掛ける。光はまるで催眠術にでもかかったかのように、虚ろな瞳で、ゆっくりと肯いた。
 雨は横目にジュウを見ると、やんわりと微笑んで見せた。
「ジュウ様、宜しいですか?」
 今度はジュウが催眠術にかかる番だった。ジュウの目は、雨の妖しく蠢く唇を見つめ、その言葉の意味を吟味する事もないままにジュウは肯いていた。
「しかし……そうですね。みんな多少汗をかいたりで汚れていますし、お風呂に入りましょうか」
 実際は愛液、精液、血液による汚れだが、雨は敢えてそれをぼかした。それは雨に微かに残された羞恥心から来るのか。ジュウには測りかねる事だった。

 * * *

 先に雨と光が浴室へと入った。雨の言い付けでジュウは暫くしてから浴室に入る事になっている。そして、二人が浴室に消えてから十五分程が経過していた。
 具体的に時間を指定されたわけではないため迷ってはいたものの、ジュウは決意を固め脱衣場で身に纏っていた衣服を脱ぎ去り、俗に言う“産まれたままの姿”になった。
 未だ残る躊躇いを払拭する為、深呼吸して気分を落ち着ける。
 そうして、脱衣場と浴室とを隔てるドアの取っ手に手を掛け、ゆっくりと扉を開いた。
 ジュウがまず感じたのは異様なまでの女臭さ。そして、目に映ったのは姉妹で睦み合う雨と光の姿だった。
 唇は重ねられ、桃色の舌が絡め合わされている。二人は湯に浸かりながら、互いを貪っていた。
「んふ……ジュウ様」
 二人とも水に濡れ、光は今はアップに纏めた髪を下ろしている。
 雨も普段以上に艶やかな漆黒の長髪を湯に散らしていた。
 こちらに気付いた雨が糸を引かせながら唇を離し、潤んだその瞳にジュウを映す。光も、名残惜しそうに雨の唇を目で追っていたが、やがてジュウに視線を向ける。

194:伊南屋
06/07/12 22:13:48 2LfSn8TS
 二人の痴態をまざまざと見せつけられ、ジュウの牡が強く反応する。既に垂直近くまで起ち上がったそれは、今か今かと快楽の期待に打ち震えていた。
「さあ、光ちゃん。ジュウ様も来ましたし、始めましょう?」
「……うん」
 光は既に理性を殆ど失っているのか、雨の言うが儘に動く。
 雨と光はジュウの手を引き、浴室椅子にジュウを座らせる。ジュウは雨と光に挟まれる形で腰を降ろし、二人のなすが儘に任せた。
「まず、私達がジュウ様の身を清めますね?」
 雨がボディソープを手に取り泡立てる。ジュウはそれだけでこれから何が行われるか把握出来た。
 その期待通り、泡立てられたボディソープは雨自らの手によって雨の全身に広げられていく。その反対では光が同様に、その発達の良い裸体に泡をまぶしていた。
「それでは失礼します」
 その言葉を皮切りに、雨がジュウの胸元にその身を預け、背後では光が胸を押しつけるようにして背中へ、それぞれ泡を擦り付けてきた。
 雨と光による全身をスポンジに見立てたその行為は、ジュウの思考を蕩けさせ、二人に挟まれた全身、その全身が性感帯になったかのような快感を与えてくる。
 膨らみは少ないながらも、絹のように滑らかな肌が、ソープにより一層滑り、ジュウの胸元を撫ぜる。光は姉よりも豊かに発達した肢体。特にその胸元の膨らみを使い、ふくよかな女の柔らかさを伝えてくる。
 二人はその表情を悦びに綻ばせ、熱心な肉体奉仕を捧げる。
「如何ですか? ジュウ様」
 雨が上目遣いにジュウの顔を覗き込み、絶え間なく体を擦り付けながら聞いてくる。その問いに応える余裕はジュウには既に残されていない。
「ほら、光ちゃんも。ジュウ様に聞いてご覧なさい? “ジュウ様。私の身体、気持ち良いですか?”って」
 妖艶な笑みを浮かべ、雨が光を促す。
「ジュウ……さま。私の身体……気持ち良い、ですか?」
 いつもの光には無い従順さで雨に言われた言葉を繰り返す。それだけならまだしも、更に熱に浮かされたように言葉を紡ぐ。
「ジュウ様、どうですか? 私の、胸……。私……は、気持ち良いです、乳首擦れ、て……気持ち……良いです……っ」
 光らしからぬ淫らなその声と、言葉の内容にジュウの色欲が激しい揺さぶられる。
「そろそろ良いでしょう」
 雨がシャワーを手に取り、行為の終わりを告げる。雨と光、二人の体が離れ、シャワーの温水がジュウ達の身体から泡を洗い流す。


195:伊南屋
06/07/12 22:42:24 2LfSn8TS
「それではジュウ様、私達を可愛がって下さい」
 それは本格的な交わりの開始を告げる合図。ジュウは二人を自らの自らの元へ引き寄せ、口付けをした。
 最初さ雨に。そして光に。交互に成される口付けは交代の間隔が狭められ、ついには三人の唇が同時に重ねられる。
 三人分の唾液が混ぜられ、舌が蠢き絡み合う。最早どれが誰の唇で舌なのか、誰にも解りはしなかった。
 クチュクチュという水音と、それぞれの荒い息が浴室に響き、そこに時たま漏れる雨や光の声が混じる。耳朶を打つそれらの音のハーモニーは等しく三人の心を昂らせ、より深い交わりを求めさせる。
 最初に口付けから離れたのは雨だった。その唇と舌とを、徐々にジュウの体を、下に進ませていく。
 その先にあるのは先程から痛いまでに膨張しているジュウのペニスだ。
 ジュウの鍛えられた腹筋を滑り、薄く残った傷跡をなぞる。そして臍を越え、雨がそこに達する。
 逡巡もせず、雨がそれに舌を這わせる。その瞬間、ジュウの意識が真っ白に染められる。浮遊感すら伴う快感が脊髄を駆け昇り、ジュウの体を震わせた。
 漏れ出そうになる声と、今にも暴発しつしまいそうな射精感とを歯を食いしばり必死に堪える。
未だ軽く舌が触れただけなのにジュウの体が顕著な反応を見せたことに、誰よりジュウが驚いていた。
 雨はそれに手加減するような事はせず、舌をジュウの肉幹に絡め、根元を白く、細いその指でゆるゆると扱く。
 そうして与えられる快感から意識を逸らす為、ジュウは光との口付けに耽る。口蓋の奥深くへ侵入し、舌へと吸いつく。
 唾液を交換し、それを舌上に広げ味わう。唇が僅かに離れる度、二人の口端から銀糸の橋が二人を繋いだ。
 不意に、下半身を温かい何かに包まれた。
 雨が、その小さな口でジュウをくわえ込んだのだ。それを視界の端に捉えていると、今度は重ねられていた光の唇が離れ、姉を追うようにジュウの股間に頭を埋めていった。
 雨がジュウの亀頭を唇に収め、その下では光が竿を、舌を使って扱きあげる。息の合ったその動きは急速にジュウを絶頂に導こうとする。
 鈴口から先走りが止めどなく流れ、雨の口元を汚す。雨はそれを啜り、嚥下していく。それでも溢れた先走りが幹を伝い、竿に口唇奉仕を捧げる光の元へと流れ着く。
 光もそれを必死に舐め取り、飲み干していく。

196:伊南屋
06/07/12 22:59:21 2LfSn8TS
 二人が上下を入れ替え、奉仕を繰り返す。未だぎこちないながらも、その行いはジュウにとっては至上の悦楽をもたらす。近付く限界をそれでも耐えられたのは最早奇跡に等しい事だった。
 雨と光の舌が同時に鈴口を刺激し、止めと言わんばかりに射精を促す。今までよりも鋭い刺激に、遂にジュウの堤防が決壊した。
 大きくのた打ち、その先端から濃厚かつ大量の精液が迸る。天井に付くかと言う程に高く飛び、まさにシャワーの如く雨と光に降りかかり、顔と言わず、胸と言わず、その全身を白濁した粘液にまみれさせた。
 収まらない射精に、雨が先端をくわえる。小さな口内はすぐに溢れ、思わず口を離した雨の顔に直接ジュウの牡汁が張り付く。
 入れ替わりに光が唇の内にジュウのペニスを収める。ジュウが何度もその中に射精し、溢れ出した所でようやく律動が収まっていく。
 尿道の残り汁も残さぬよう吸い上げ、光はジュウを解放した。
「光ちゃん……」
 雨の声に応え、光は粘つく液体を含んだまま唇を雨に重ねた。精液が互いの舌を伝い口中を行き来する。その度それぞれの唾液も混合され、口元から淫猥な水音が奏でられた。
 やがて口唇が白濁した糸を引きつつ離される。雨と光は口内に残ったジュウの体液を嚥下していく。
 そういった痴態が眼前で行われ、ジュウは萎えかける事すらなく、硬く自身を直立させたままとなっていた。

続く

197:名無しさん@ピンキー
06/07/12 23:00:58 c8loiMeZ
さっきからおにんにんのボッボッが止まらん('A`)b

198:伊南屋
06/07/12 23:03:41 2LfSn8TS
前後編に分けました~。
いやまあ分ける必要は本来ないんですが携帯なんでまとめて投下するのは大変なんすよ……。

現在続きを鋭意執筆中。近日中には投下できる……かな? できると……いいな?

とまぁそんな感じです。
以上、伊南屋でした。

199:名無しさん@ピンキー
06/07/13 00:24:00 t3n4N+oL
GJっす。楽しみにしてます。

200:名無しさん@ピンキー
06/07/13 03:14:25 Z7deqYXg
一生ついていきます先生!!
悶々しながら続編お待ちしておりまっす

201:名無しさん@ピンキー
06/07/13 09:25:53 6SqHlkCJ
オッキしちまったじゃねーか









しゃぶれよ

202:名無しさん@ピンキー
06/07/13 10:04:02 mZ9pZacb
雨・・・なんてエロい子!

203:名無しさん@ピンキー
06/07/13 19:27:24 uY6VVMs7
伊南屋さん巧いっす!GJ!

204:『巷に雨の降る如く』
06/07/15 02:19:53 N0W7iSJW
 窓越しに見上げると、空には灰色の雲が垂れ込め、夕時の暮れと相俟って日の長いこの季節にも関わらず
既に夜の気配を忍ばせつつあった。
 眼下の公園で木立がびょうびょうと風に撫でられる音を聞きながら、柔沢ジュウはしばらく憂鬱そうに外を眺め
ていたが、やがて雨が途切れ途切れに窓の向こうに糸を引き始めると、溜め息を一つ吐いてカーテンを閉め、
缶入りの炭酸飲料を片手に椅子へと腰掛け、TVの電源を入れた。
 「雨、か」
 ポツリと呟いて、自分で言ったそのセリフから自分の「従者」を思い浮かべ、つい苦笑した。なんだか最近アイツ
の事を考える事が多くなっている気がする。
 それはそれであまり悪い気はしなくなってもいるのだが、この場合には無論ジュウの言ったのは単純に今しも
窓外で徐々にその勢いを増しつつあると音でも知れるそのものであり、そちらの雨は未だにジュウは苦手なのだった。
 洗濯物は既に取り込んで、半乾きのそれらは乾燥機に放り込んである。買い物も学校の帰りに済ましてあるし、
特にこれから出かけるような用事は無い。だがそれでも……雨の日は夢見が悪くなる、というその一点だけはどう
しようもなく、何かに責められているかのような気分で眠る事を思うだけでも気分は重くなった。
 どれ程か、そうして取りとめも無く思考を彷徨わせながら、ブラウン管に映るニュースを見るとも無く眺めていた
ジュウの耳にインターホンの音が届いたのは、既に雨音が荒々しく地面を殴りつけるような轟音へと変っていた頃だった。
 自分の家に訪ねてくる者などそう多くは思い当たらないので、ジュウはなんとなく「友人」の顔を幾つか思い浮かべ、
その内の誰かだろうと予想をしながら応答に出て……そして少し意外な人物の声を聞いて戸惑った。
 そして戸惑ったまま玄関のドアを開けたジュウは、その途端に眼前の人物から大音声を浴びせられる事となったのである。

 「遅いっっ!!!」

 勇ましく腕を組んで胸をそびやかし、真っ直ぐこちらを睨みつける少女。
 堕花光がそこにいた。

≪続く≫

205:143
06/07/15 02:22:49 N0W7iSJW
短いですけどとりあえず「触り」だけ、ということで。
次回はもっとちゃんとした分量で書きますんで。

206:名無しさん@ピンキー
06/07/15 17:56:40 zHEOKZot
よしキタコレ

207:名無しさん@ピンキー
06/07/15 21:23:49 rSDO+OD1
よしよし、まだツンツンしてるぅ~。

208:伊南屋
06/07/18 17:13:19 AVDbP5CY
「ジュウ様、それでは光ちゃんに」
 何を、とは聞かない。ここまで来てやることは一つだ。
 腰をかけたまま光を抱き寄せ、膝の間に座らせる。光の背中が預けられ、ジュウの胸や腹に密着する。勿論、未だ硬さを保った男根にも。
 その微かな刺激を無視し、ジュウは両手を光の、年不相応に育った胸に這わせる。
「ひゃ……」
 指先が軽く先端を撫でただけで、光は過剰なまでの反応を見せ、矯声をあげる。
 ジュウは更に、豊かに実った双丘を掬いあげるように揉みしだいた。
「あふ、ひぁん……」
 与えられ快感に光は敏感に反応し、体を震わせ、悶える。
 ジュウに耳たぶを甘噛みされ、更に喘ぎを大きくする。
 光はまるで上質の楽器のようにジュウの挙動に応え、その身から悦楽の声という音楽を奏でる。
「光ちゃん……」
 それまでただ見ていた雨が光に近付き、足元に跪く。
 吸い寄せられるように光の股元へ顔を沈め、雨は舌を這わせた。
「ひゃぁあ……ん」
 それまでの行為によって昂まり、蜜を溢れさせたそこが雨の口元を汚す。雨はその口元を汚す粘液を雨は全て舐めとろうとするかのように、熱心に舌を這わせる。
 ジュウの両手と、雨の舌技とで、光の体は快感の渦に囚われる。
「くぅ……っ! も、ダメぇ。ほし……欲しいよぉっ。我慢……出来ないのぉ」
 未だに男を受け入れた事のない体にも関わらず、光は自然とそれを求めた。
 その訴えにジュウは迷いなく応える。
 光の体を持ち上げ、ジュウの性器を光の入口、その真下に置く。
「雨……」
 ジュウの声に、雨が応え、ジュウのそれに手を添え、入口にしっかりあてがってやる。
「よろしいですよ。光ちゃんを可愛がってあげて下さい」
 その言葉と同時、光の体が降ろされ、ジュウの侵入が始まる。
「くあっ……!」
 光が苦悶の籠もった声をあげる。繋がった部分からは一筋、赤い液体が伝っていた。
「……痛いか?」
 耳元に囁きかけるようにジュウが尋ねる。その問いに返ってきた言葉はやや意外なものだった。
「あんまり……痛くない。むしろ……少し気持ち良い」
「え?」
 見れば、結合部から流れる血液は今までジュウが処女を奪った二人のそれより幾分少ないようだった。

209:伊南屋
06/07/18 17:46:17 AVDbP5CY
「光ちゃんは空手をしていますから。もしかしたら激しい動きによって膜が破れかけていたのではないでしょうか?」
 雨の場にそぐわない冷静な指摘は黙殺する。ここにきてそんな理屈など意味を成さない。
「何にせよ、あんまり苦しめずに済みそうで良かった」
 言葉に光の紅潮した顔が更に朱を増す。思いやられている喜びと、それに対する照れのために。
「動くぞ」
 ジュウが抽挿を始める。少ないとは言え、それでも痛みを与えぬよう、ゆるゆると出し入れする。
 鈍い痛みと、それを若干上回る快感に光の口から声が漏れる。
「いぁ……ひゃうっ! んはぁ」
 薄れていく痛みと、入れ替わりに増す快感に光の思考がぼやける。
 そこに追い討ちとばかりに、雨が再び舌を股間に這わせ、結合部の上。完全に勃起し、剥き出しとなったクリトリスへ刺激を与える。
「ぁああん! ダメ! そんな、強いの……ダメ、らめ、ひゃめぇ!」
 悦楽に圧倒され、呂律が回らない。光の思考は定まらず。確かなのは与えられる快感と、それぞれの体温だけだった。
 自ら腰をくねらせていることにも気付かず、ひたすら性感を貪る。
「んぁ! く、くるの。わた、わた……ひぃ……いっちゃ、イっちゃぅ!」
 光の体が大きく跳ね、密壺はジュウのペニスを一際強く締め付ける。
 それに伴いジュウの射精感も高まり、精を放とうとする。
「く……」
 限界まで堪え、光の内から自らを引き抜き、自らを解放する。
 光の尻、腹と、雨の顔に白濁液がぶちまけられ、それらを白く汚す。
 射精が収まったところでジュウは三度目にも関わらず、十分な量と濃度をもったそれが二人を汚す様を見ながら、先までの硬さは無いものの、それでも萎えない自らに違和感を覚えた。
「雨、まさかお前俺に何かしたか?」
 この少女なら薬なりを気付かれずに盛りかねない。そう思ったのだ。
 自らに掛かった精液を指で掬い舐め取りながら雨が妖艶に微笑む。
「……少しでも長く楽しみたいと思いましたから」
 それは肯定。ともすれば光の事も含め、全て雨の手中だったのか。
 ジュウはこの少女の底知れなさを改めて痛感した。
「さあ、ジュウ様、続きを」
 どうにもこの少女からの解放はまだ先になりそうだと、ジュウは内心苦笑しながら呟いた。
「これじゃ、どっちが奴隷だか……分かりゃしねえじゃねえか」

fin.

210:伊南屋
06/07/18 17:47:59 AVDbP5CY
とまぁ一応終了。
前半と後半書くのに間が開いてしまい前半の勢いとか雰囲気とか後半に繋がりませんでした……orz

すいません精進します。

211:名無しさん@ピンキー
06/07/18 17:54:48 8eoQdyEt
伊南屋さんGJ!雨がエロ&微妙に黒いのがいい感じでした。

212:名無しさん@ピンキー
06/07/19 08:18:35 GNfLUfuC
伊南屋さんGJ! 次は雪姫との修羅場ですか!!

213:名無しさん@ピンキー
06/07/19 17:57:05 nKTJ7EWY
まだ読んでないけどGJ!

糞、今から出掛けなきゃなんねーんだ

214:『巷に雨の降る如く』
06/07/20 18:09:38 Cu2l/gul
 「で、いきなりやって来て何の用なんだ?」
 ジュウが訊ねると、光は、それまで頬杖をつきながらTVの方へと向けていたぶすくれたその顔をこちらへと
返したが……そのまま何か口を開きかけてまた止め、より眉間の皺を深くして、バラエティー番組を映し出す
TV画面へと視線を戻した。
 その様にジュウは深く溜め息を吐き、手に持ったホットミルクで満たされたコップを光の前に置いた。
 以前に来た時と同じように、雨に打たれてきたらしい彼女の姿を見て用意したそれに、黙って手を伸ばす
様子を見届けながら、ジュウは先程の事を思い出した。ドアを開けると同時に自分を怒鳴りつけた光は、こち
らが何かを言うよりも先にジュウの身体を押し退けてずかずかと無遠慮に部屋に上がりこんできた。慌てて
バスタオルを用意して彼女の頭に被せながら、ジュウはとりあえず混乱した頭で事態の把握に努めようとした
が、牛乳を温めるまでの間では全く見当も付かなかったので本人へと訊ねてみた。その結果はと言えばまあ
先程の通りである。
 そもそも、自分を蛇蠍の如くに嫌い、何かにつけてはケダモノ扱いするこの少女が、一体何故一人でこの部屋
を訪ねて来たものか……おまけにこの間の「幸せ潰し」事件の解決後にブン殴られて以来、偶にあっても碌に
会話すらしなかったものが、一体どういう風の吹き回しか、と首を捻りながら何とか会話の切欠を探していると、

 「泊めて」

 「……は?」

 突然の爆弾発言に空転していた思考が停止し、ジュウは丸っきり阿呆の調子で聞き返していた。
 こちらを見もせずに言い放った光は、ややあって返事の無い事に焦れたのか、今度は目と目を合わせてハッキリと
 「だから、今夜一晩ここに泊めてちょうだい」
 「な……なんで?」
 未だに正常な思考が働かないジュウにはこんな事しか言えなかったのだが、光は何故だかその問いに一瞬だけ
苦しそうな表情を浮かべると、ぷい、とそっぽを向いて「何でもいいでしょ……」と、ぎりぎりジュウの耳に届くぐらいの
声で呟いた。

215:『巷に雨の降る如く』
06/07/20 18:11:04 Cu2l/gul
 「……いや、良くねえだろ」
 ようやくそれだけの言葉を搾り出したジュウをきっと睨み、
 「何でよっ!」
 「何でも何もお前、そんな事してまた伊吹にでも伝わって誤解されたらどうする気だ」
 反駁する光にやっとそれだけ返した所でジュウは、意味が分からないと言いた気な彼女の視線と鉢合った。
 「……アンタ、何も聞いてないの?」
 「何がだよ」
 「……もういいわ」
 疲れたように項垂れた光を不思議そうに見ながら、ジュウは尚も言う。
 「とにかく、とりあえず傘ぐらいは貸してやるし、着替えなら家の母親のを使ってくれて構わんから、とっとと帰れ。
雨も心配するぞ」
 俯いたまま、僅かに光の肩が震えた。
 「やだ」
 「おい」
 「……やだったらやだ」
 「我が儘言うな」
 「……」
 顔を上げようともせずに黙りこくってしまった光を持て余したジュウは、席を立つと電話へ向かい、雨の携帯に
掛けようと受話器を上げかけた所で、横合から手首を二本の細い腕に押さえられた。
 「おい」
 流石にやや厳し目の声色になるが、じっとこちらに縋り付くような光の目を見るとどうもそれ以上言えなくなって
しまってジュウはまた溜め息を吐いた。つくづく何と言うか自分は甘くなった、と自嘲しながら、
 「とりあえず風呂入ってこい。今日は寒いしそのままじゃ風邪ひくぞ」
 「……うん」
 「あ、そっちが母親の部屋だから。服とか下着とかは勝手に持っていってくれ」
 「うん」
 言われた通りに着替えを取って風呂場へと向かいながら、光は消え入りそうな声で「ありがとう」と呟いた。
 しばらくして、シャワーの音が聞こえてくると、ジュウはもう一度電話に向かった。事情はよく飲み込めないが、
光が所謂家出をしてきたらしい事は確かだ。光るには悪いが、雨やあの人の良さそうな両親も心配している事
だろうし、とにかく連絡はしておかなければ。

216:『巷に雨の降る如く』
06/07/20 18:11:49 Cu2l/gul
 そう思いながら受話器に手を伸ばした所で、一瞬早く着信の音が響く。
 慌てて出ると、聞き慣れた落ち着いた声が流れるようにして耳へと届いた。
 「もしもし、ジュウ様ですか?」
 「雨!?どうした?」
 「誠に失礼なのですが、ひょっとして光ちゃんがそちらにお邪魔していませんか?」
 まさかと言うこのタイミングで掛かってきた上にズバリとそう問われて驚いたが、まあこの少女の事だからさも
ありなん、と妙に納得しながらジュウが頷くと、雨は「やはり」と安堵を声に滲ませながら、光との口喧嘩が高じて
彼女が家を飛び出すに至った事を語った。
 「しかしお前等が喧嘩するなんて珍しいな。一体何が原因なんだ?」
 「それは……」
 珍しく歯切れの悪い雨を不信に思いながらも、光が出て来ない内に話を済ませなければいけないのを思い出して
ジュウは言った。
 「まあともかく、なんとか説得して帰すようにするから、心配すんな。なんなら俺が送って行くさ」
 「いえ、それが……」
 「どうした?」
 「只今、大雨洪水警報が発令中ですので……」
 言われて点けっぱなしのTVを見ると、確かに警報発令中のテロップが流れている所だった。
 「申し訳ありませんが、そちらに光ちゃんを泊めてやってくれませんか?」
 「いや、俺の方はいいんだが、マズイだろ仮にも年頃の女子が……」
 「家の親には雪姫の所に泊まった、とでも言っておきますので」
 「いや、おい」
 「お願いします」
 ……まあこの雨では傘の意味も無さそうだし、確かに危険だろう。そう思い直して、とりあえずジュウは頷く事にした。
雨は「ありがとうございます」と言った後、一瞬だけ沈黙して、しかし「では、光ちゃんをよろしくお願いします」とだけ
言って、そこで通話は途切れた。
 受話器を置いてジュウが今日何度目になるか知れない溜め息を漏らし、もはや見る気のしないTVを消すと、室内
にはそれっきり音が途絶え、ただシャワーの音とそれを掻き消さんばかりの雨音が、部屋と外の世界とを隔絶させん
ばかりに続いていた。

217:143
06/07/20 18:12:27 Cu2l/gul
今回はここまで。次回か次々回にはHシーンまで……。

218:名無しさん@ピンキー
06/07/20 19:53:32 f4MvBGpJ
円が「仲間はずれは嫌なの…」といってジュウを押し倒す夢を見たんだがHシーン行く前に目が覚めたorz

219:名無しさん@ピンキー
06/07/20 19:57:40 Cu2l/gul
その続きを君の想像力で補って形にして見せてくれると我々はとても嬉しい

220:名無しさん@ピンキー
06/07/20 21:06:03 LZ8fyjgW
光たんメイン話来ましたー、続き待っちょるけぇ。

221:218
06/07/24 22:30:59 9rIhbNFv
駄目だエロがかけない


222:名無しさん@ピンキー
06/07/24 22:35:27 IUYX1Z/X
がんば

223:名無しさん@ピンキー
06/07/24 22:48:38 +rzT/T+h
wktk

224:名無しさん@ピンキー
06/07/25 01:23:20 MtxOOC9K
wktk!"!"!"

225:名無しさん@ピンキー
06/07/25 18:12:31 P5pqRuwm
円堂「柔沢君」
ジュ「何だ?」
円堂「あのときの責任とって」
堕花「ジュウ様、何の事でしょう?」
斬島「ナニナニ? 卑猥なコト?」
ジュ「何の事だ!?」
円堂「私に股間を握らせた」
堕花「ジュウ様、それはあまりにも非道うございます」
斬島「ウヒャー、王様は変態だー!! 柔沢君の外道ー!!」
ジュ「雨、違う、雪姫は黙れ!! そもそも円堂さんが」
円堂「あの時はあれが一番君をおとなしくさせるのに効果的だった。
    そんな状況にしたのは君の責任。だから君が悪い」
ジュ「・・・・?(そうか? そうなのか? 俺が悪いのか!?)」

226:名無しさん@ピンキー
06/07/25 18:24:16 bSEsiGFe
笑ったw

227:名無しさん@ピンキー
06/07/25 22:59:37 yJXUE7hZ
>>225
ちょっ・・悲しい気持ちを一瞬忘れさせてくれて、サンクス。
リン姐・・・p(´△`q)

228:名無しさん@ピンキー
06/07/25 23:18:47 TSWf89EX
…断言されると弱いよなw>柔

229:名無しさん@ピンキー
06/07/26 14:38:00 RYPM7eeE
>>225
GJw どう責任を取らせる気なんだろうか、円。

ところで、紅二巻も発売された事だしそっちで書く人はいないんだろうか。
例えば今回首チョンパになった人とか。

230:名無しさん@ピンキー
06/07/26 17:57:29 ZiLxJC7t
切彦で書くのは難しそうだな

231:名無しさん@ピンキー
06/07/26 18:19:08 4CIC9jMZ
紅って面白くない
2巻はますますつまんない
買って損した

232:名無しさん@ピンキー
06/07/26 18:44:12 dGhmVkEW
『影≒光』が売ってるのに『紅2』売ってない・・・・














どういうこと?

233:名無しさん@ピンキー
06/07/26 20:17:23 rPBCdaly
俺は紅から片山作品に入ったんだが
電波の方でも『斬島』の一族や裏十三家の人間出るのか?


234:名無しさん@ピンキー
06/07/26 20:50:56 UZGwaTwv
雨や光は堕花、円は円堂、雪姫は斬島。
完璧にリンクしてるって言うなら、堕花は廃業、斬島は営業中(切彦は雪姫の姉?)、円堂はどうだろうか?

235:名無しさん@ピンキー
06/07/26 21:35:32 nrtxOE76
「真九朗、アクメとはなんだ?」
「っ!!(あの馬鹿大学生めぇ!!)・・・・大人になると会う人を夢中にさせる悪魔の事だよ」
「真九朗はもう会ったのか?」
「・・・・まだだよ」
「そうか、私と同じだな。いつか一緒に会えると良いな」
「・・・・・・・・(なんて答えよう?)」
「真九朗?」
「あ? ああ、うん、そうだね、うん、さあちょっと早いけど食事にしようか」



「夕乃と銀子はもうアクメにあったか?」
「「!?」」「!!」
「まだなのか?」
「ねえ紫ちゃん、もう少し詳しく説明してもらえる?」
「いやそれは「あんたはちょっと黙ってなさい」いやでも」
「ふふん、私は昨日真九朗と約束したのだ、一緒にアクメと会おうな、っと」
「いやちょっと聞いて「真九朗さん、ちょっとこれから道場へ行きましょうか?」いや待って
説明させて「ロリコン」銀子もお願いだから話を聞いて「・・・・嘘なのか? ・・・・約束したのに」
いや紫さん約束というかそれは「真九朗さん」ちょっと待って夕乃さん「ロリコン」銀子お願いだから
話を聞いて「真九朗・・・・っ!」ああ紫泣かないで!!(俺が泣きたいよ)」
「真九朗さん?」「あんたとの縁もこれまでね、ロリコン」「真九朗っ!!」
(・・・・どうしよう)

236:名無しさん@ピンキー
06/07/26 22:02:10 95qgXT7g
>>235
片山先生早く電波を書いて下さいw

うん、凄く上手いw

237:名無しさん@ピンキー
06/07/27 18:55:14 wERRjKXX
>>235
日常的にありえそう

238:143
06/07/27 21:17:09 UKosvuwi
>>235GJ
そして俺はとりあえずリンちゃんへの弔意を込めた小ネタを
※紅2巻P.235、5行目から分岐して壊れ真九郎ネタ


「あの、ところでリンさんに一つ聞きたい事があったんだけど」
「なんだ?もうあまり無駄話をしている時間は無いぞ。手短に言え」
「時代劇好きって言ってたけど、ひょっとして剣を始めたのってそれが理由なの?」
「……無駄話をしている時間は無いと言った筈だが。貴様そんな事聞いてどうしようと言うんだ」
「いや、なんとなく気になって。それが聞ければもやもやした気分もちょっとはスッキリするんじゃないかと」
「……一応、Yesと答えておいてやる」
「あ、マジで?」
「……もう気は済んだだろう?早く出てい」
「じゃあさ、ひょっとして蓮丈の爺さんの側に仕えてるのって水戸黄も」
「よし、とりあえずそこに直れ紅。なるべく楽に死なせてやるから」
「ゴメンナサイ助さん」
「誰が助さんじゃああぁ―っ!!」

「騒がしいと思って見に来てみたら、人の警護ほっぽって何遊んでんのかしら、あの人達……」

239:名無しさん@ピンキー
06/07/28 02:32:23 8ShCAbTd
「あ、真九郎さん丁度いい所に」
「あれ、夕乃さん?」
「ええ、ちょっと真九郎さんに聞きたい事があって」
「? 俺に答えられる事なら答えるけど……」
「はい、ありがとうございます真九郎さん。じゃあいきますね、真九郎さん、お風呂好きですか?」
「?? そりゃあ好きだよ?」
「はい。結構です、じゃあドンドン行きますね」
「真九郎さんは環さんをどう思ってるんですか?」
「はい?」
「いいから答えてください」
「えーっと別に何とも思ってないよ。そりゃあ嫌いじゃなけど紫の教育に良くない事ばかり教えるし……」
「ふむふむ、じゃあウチの母様は好きですか?」
「うん。大好きだ。今まで凄くお世話になったし今の自分があるのも冥理や師匠、夕乃さん達
 崩月家や銀子、紅香さんのおかげだよ」
「紅真九郎さんは崩月夕乃の事をどう思ってますか?」
「え~っと前にも言ったと思うけど……」
「もう一度です」
「好きだよ。あ、勿論家族としてだけど」
「じゃあ私と真九郎さんの関係は?」
「う~ん、姉弟かな?あとは師弟関係もあると思う」
「じゃあ村上銀子さんはどうですか?」
「え?銀子?」
「はい」
「う~ん……なんていうか、一言じゃ言えないな……お互いの良い所も悪い所も知り尽くしてるし。でも頼りになるヤツだよ
 今までも数え切れないほど助けてもらったしね」
「じゃあ紫ちゃんは?」
「なんていうか真っ直ぐな心を持ってる。」
「じゃあ柔沢さんはどうです?」
「なんていうか憧れかな。俺の目標でもあるし」
「真九郎さんは蟹がダメでしたよね?」
「あーあの何とも表現し難い無愛想な顔がちょっとね。身は美味しくて好きなんだけど」
「じゃあミジンコはどうです?」
「え、ミジンコってあの微生物のミジンコ?」
「はい、そうです。そのキジンコです」
「小さすぎてあんまり興味があるとは言えないよ」
「はい。質問はこれでお終いです。ありがとうございました真九郎さん」
「??よく判らないけど夕乃さんの役に立てたなら嬉しいよ。じゃあ俺は帰るね」
「はい車に気をつけて帰ってくださいね」

240:名無しさん@ピンキー
06/07/28 02:34:12 8ShCAbTd
                     数日後 崩月家では


『紅真九郎さんは崩月夕乃の事をどう思ってますか?』
『好きだよ。大好きだ。』
『じゃあ私と真九郎さんの関係は?』
『う~ん……なんていうか、一言じゃ言えないな……お互いの良い所も悪い所も知り尽くしてるし。でも頼りになるヤツだよ
 今までも数え切れないほど助けてもらったしね』
『じゃあ村上銀子さんはどうですか?』
『あーあの何とも表現し難い無愛想な顔がちょっとね』
『じゃあ紫ちゃんは?』
『小さすぎてあんまり興味があるとは言えないよ』


「出来た……ついに出来ました!!私と真九郎さんの愛を証明する録音テープが!!
 これを紫ちゃんや村上さんに聞かせれば………うふふふふふふふ」



「どうした真九郎。顔色が悪いぞ!?」
「あぁなんでも無いよ。ちょっと言い様のない寒気がね」

241:名無しさん@ピンキー
06/07/28 02:35:11 8ShCAbTd
勢いだけで突っ走った
今では反省している

242:名無しさん@ピンキー
06/07/28 03:16:22 Pql2SIS4
夕乃さんは本当に黒いなあw

243:名無しさん@ピンキー
06/07/28 06:34:22 //SepU4A
ワロタw

244:名無しさん@ピンキー
06/07/28 19:03:39 I2gU6IDo
これエロく無いけど、凄ぇ~イイわw

245:名無しさん@ピンキー
06/07/28 19:16:40 BbCmLTP6
真っ暗な部屋の中で笑ってる夕乃さんが鮮明に想像できる・・・

246:名無しさん@ピンキー
06/07/28 22:15:33 5U36D9Fh
やっぱり夕乃さんかわいいよ夕乃さんw

247:名無しさん@ピンキー
06/07/28 23:43:38 Cyw5Qt6A
>>238
リンは惜しいキャラだった。南無。

248:名無しさん@ピンキー
06/07/29 01:54:59 RfPUdCyg
堅物なだけかと思ったら、結構洒落の通じそうな所も見えただけに残念だ

249:名無しさん@ピンキー
06/07/29 03:01:53 wafObVKM
案外崩月家では夕乃さんよりも散鶴の方が『戦鬼』としての
実力や才能があるとかいう脳内設定が浮かんだぜ

250:保守とネタふり
06/07/29 22:47:11 SqDp4Spo
紫が受けそこなった、性教育授業や熱心に読んでいた官能小説をつかったネタで、真九郎×紫とか…


「あれから色々勉強して、わかったんだ」

「なにを?」

「おとこは『なかだし』がとても気持ちよいらしいのだ」

ニコニコと無邪気な笑みを浮かべ紫…

「は、はいぃ?」

「いつかは、真九郎との赤ちゃんは欲しいが、まだわたしは小さい…『せっくす』して赤ちゃんができても、養い育てる事ができないとおもうんだ…」

「…………」

「だか、まだわたしには『初潮』が、きていないから『なかだし』しても大丈夫だぞ!」

251:名無しさん@ピンキー
06/07/29 22:56:41 SqDp4Spo
誰か文才ください…

いや誰かこのつづきをば…

252:名無しさん@ピンキー
06/07/29 23:40:25 XDzPyxEB
真九朗「じゃあ、遠慮なくいただきます」


fin

253:名無しさん@ピンキー
06/07/30 00:18:12 tCvC1J6k
誰か不憫なリンのSS書いてやって下さい。

254:名無しさん@ピンキー
06/07/30 01:52:13 evyRxW1o
>>253
お前が書け

255:名無しさん@ピンキー
06/07/30 02:11:41 NQM7s7Tn
リン「ところで真九朗、私を抱いてくれ」

真九朗「7歳以上は守備範囲じゃないので、お断りします」

fin

256:名無しさん@ピンキー
06/07/30 02:14:15 ynoNfcKc
>>255
それだと、紫も今年限りになってしまうが?

しかし、渡瀬の陰陽でもあったけど、教育ネタはそそるなぁ。

257:名無しさん@ピンキー
06/07/30 02:14:57 0w1htLLZ
>>255
銀子「ロリコン」

258:名無しさん@ピンキー
06/07/30 07:45:26 NQM7s7Tn
      /             `\
     r'´                 ヽ
     ノ  ,.ヘ、   ,. ‐'^ヽ、         l
    (.  /   /'l,ィi ´      ゝ      |
   ノ ,'   |l |l \、     ヽ     ヽ
   (  |    l' ヽ、 `'ー   _(      }
   ヽ. |´`==。、  ー=='。、  } ,r‐、  ノ
      )|.    }        { {,r‐.| 〈
.    ヽ|    ノ         } } ;,リ  ノ     ああ、ロリコンさ。
.       |   !._        ル'_ノ <´      ロリコンで何が悪い!
      l.  `__         |_,r'´
       l   ヽニニ二)     |
         ヽ   ー    /   |
        ヽ.     _, ‐'´  _|、

259:名無しさん@ピンキー
06/07/30 16:19:22 UQDbx+8V
>>255
>真九朗「7歳以上は守備範囲じゃないので、お断りします」
7歳以上だから、7歳の紫も守備範囲外
つまり真九朗は散鶴狙い

260:名無しさん@ピンキー
06/07/30 19:14:54 2sm9JuUu
つまり真九郎はペド野郎って事でFA?

261:名無しさん@ピンキー
06/07/30 21:06:43 /qJ5CW2f
真九郎×紫じゃないが>>250の続きを書いてみよう。

「そ、そうか……でも、紫、そういうことを覚えるのはまだ早いよ」
 真九郎は紫の頭を撫でて曖昧に笑い誤魔化す。
 こんな純粋で無垢な彼女を、穢れさせるのは人間として失格だよな、と溜息をつく思いで彼女の髪を撫でる。
 もちろん、彼女がこの事実を知るのは時の問題だろう。九鳳院の特殊性を考えれば猶更だ。
 これは、自己満足に過ぎないのかもしれない。それでも、彼女の高潔さを守りたいと思った。
「そうか…、わたしが覚えるには早いか…。理由は分からぬが、真九郎が言うのならそうなのだろうな」
 残念そうに呟く彼女に、少しだけ嬉しさを覚えた。
 事実を伝えないのは卑怯で、臆病なのかもしれない。でも彼女は自分のことを信頼してくれている。
 ならば、自分の正しいことをしようと思った。それがせめてもの彼女の信頼に対する報いることだと思う。

「……やらしい」
「ぎ、銀子!」
「おおっ、銀子! また遊びに来てくれたのか!」
「ええ、このバカを迎えに来たついでにね。相変わらず、元気そうで何よりだわ、紫ちゃん」
 …ええい、この天邪鬼め。子どもに優しいのはいいのだが、それぐらい普段から自分にも優しくしてくれないのだろうか。
 真九郎はそう思ったが、言葉にはしなかった。
 どうせ言ったところでバカにされるだけだろうし、お互いにそんな甘えれるほどの関係でもない。

 それに、こうして銀子が紫に優しくしているところで自分は幸せなんだろうと感じていた。
 クラスメイトには決して見せないその姿。それを見られる自分はそれだけでも満足している。
 本当の彼女の姿を知っている、そのことに。

「いいわね、紫ちゃん。真九郎に頭をなでてもらって」
「うん? 銀子は頭を撫でて貰えないのか?」
「そうね。昔はあったかもしれないけれど、最近は特にないわね」
 そう肩を竦める銀子。その様子に紫は不可解そうだ。
「何故だ! 真九郎、意地悪はするな。母様もそう教えてくれた。
 銀子も頭を撫でてやれ!」
「「ええっ…!?」」
「なんだ? ふたりとも嫌なのか?」
「…そういうことじゃないけどね、紫ちゃん」
 流石にこれには面食らっているのか、いつになく銀子が狼狽しているように見えた。
 狼狽しているのは銀子だけでなく、真九郎もだが。
「母様が言っていたぞ。頭を撫でて貰えば、嬉しい気持ちになると!
 さあ、銀子! 真九郎になでて貰え!」
 まるで、天使のような笑顔。ああ、これだけには絶対に叶わないな。
 仕方がないと言わんばかりに、真九郎は肩を竦めると、ぽんと銀子の頭を撫でた。
「ほらよ、銀子ちゃん。 こうしてると昔を思い出すよな。
 昔はよく泣いてた俺を銀子がこうして撫でて、慰めてくれたよな」
「……バカ」

ごめん、エロくなかった。

262:名無しさん@ピンキー
06/07/30 21:55:52 0w1htLLZ
萌えたので無問題

263:名無しさん@ピンキー
06/07/31 00:10:57 OyK0eBev
・・・やらしい

264:名無しさん@ピンキー
06/07/31 00:32:43 RCtrMugl
>>261
GJ!!

しかし、やべぇよな夕乃さん。一番ヒロインっぽいのに、紫にその座を奪われ、
銀子にも蹴落とされ、色物系に走っているよ。

265:名無しさん@ピンキー
06/07/31 00:56:17 xOOpvNxD
>261
すげえ心温まった。GJ!!

266:250
06/07/31 02:51:02 rwOM901R
GJ!
ありがとうございます!
銀子は紫にくらべて、『台詞』や『ふいんき』の描写がむずかしく萌やしにくいのに…ナイスです

267:名無しさん@ピンキー
06/07/31 10:30:14 U0dn0Xek
更なる精進を願ってこれだけは言わせて欲しい。
「ふいんき」ではなく「ふんいき」だ。

268:名無しさん@ピンキー
06/07/31 18:51:17 /59pgJfK
銀子にモエタ

269:名無しさん@ピンキー
06/07/31 21:42:08 36vYOGDg
>>267
俺…さすがに釣られとくわ。 マジで言ってる? いや2ch的に

270:名無しさん@ピンキー
06/07/31 23:56:01 wVCw557L
「本当に、あいつは紫ちゃんにいらないことばかり教えるんだから」
 銀子はあれから真九郎と口を利いてやらなかった。
 七歳の幼女にヘンなことばかりを教えて―もちろん本当に真九郎が教えたとは思っていないが―、どうするつもりなのだろうか。
 そこでふと考える。本当に真九郎はそういうケがあるのだろうか。
「まさか、ね」
 馬鹿馬鹿しい。
 それに、あいつが紫ちゃんのことをどう思っていても関係ない。
 ロリコン、とは言うが、彼女は普通の七歳児とは何かが違う。
 ひょっとしたら、そこら辺の大人たちよりも精神的に大人なのかもしれない。
 だから、あいつが本当に紫ちゃんのことを好きならそれはそれでいい。紫ちゃんならあいつを幸せにしてくれる。
「……バカね、あたしも」
 それは自分に対する評価。これではまるで紫に嫉妬しているみたいではないか。
 確かに真九郎に対しては、他の人間とは違う感情を抱いているかもしれない。
 だが、それは普通の女子生徒が抱くような恋愛感情とは違うはずと、銀子は考えている。しかし、本当のところはどうなのだろうか?

 それにそうだとしても、紫に対してそんな醜い感情は持ちたくない。
 あの子は、とてもいい娘だ。そんな下劣な感情を抱いていい対象ではない。
 銀子はその考えを振り払うように、首を軽く振った。

 しゅるり、とリボンを解き、制服のベストを脱ぎ姿見の前に立つ。
「あいつ、胸があるほうが好きなのかしら」
 何を言っているんだろう、と自分でも呆れながらも、シャツのボタンを外し胸の前を肌蹴させてみる。
 崩月先輩に柔沢紅香、武藤さん。なぜかあいつの周りにはスタイルいい女性ばかり集まるのよね、と溜息をつきながらシャツを脱ぐ。
 身に着けているのは質素な純白のブラジャー。あまりカップは大きい方ではない。
「紫ちゃんのこともあるから、一概には言えないけれど」
 もし、自分に色気があれば真九郎も少しは態度を変えるだろうか。
 試しに今度オシャレな露出度の高い私服でも来てあいつに見せてやろうか。
 そう考えながらも、そっとブラジャーに包まれた自分の乳房を押さえ溜息をつく。今日のあたしはどうかしている、と。
 このままではもっとよからぬ妄想でも抱いてしまいそうだ。今日のところは早いところ寝よう。

>>261にエロも色気もなかったので、続きを書いてみた。
………ごめん、またエロくないorz 漏れにはエロ電波が届きにくいようだ。もしかしたらアンテナも壊れてるかもしれない。

271:名無しさん@ピンキー
06/08/01 00:11:58 dRTydzFF
>270面白かったからがんばってみてくれ

272:名無しさん@ピンキー
06/08/01 00:16:24 XIesh6bk
>>270
大丈夫、普通に続きが読みたい。GJ

273:名無しさん@ピンキー
06/08/01 00:49:54 aPmK8J4e
>>270
安易にエロくないところが気に入った。GJ!

274:名無しさん@ピンキー
06/08/01 17:44:58 pzQ0NsEj
ていうかこれが俺の銀子のデフォ内心なったので
その分の責任は取ってくれ

275:名無しさん@ピンキー
06/08/03 01:40:39 g+mGdaKa
なんとなく思いついた小ネタを投下。

~男の落とし方講座~

「紫ちゃーん、ここでこう少ーし胸元をはだけるだけで男は落ちるんだよー?」
「なるほど、勉強になる」
「やめてください環さん」
「少女よ、私の経験上この手の男はちょっとつれない素振りをするだけで十分落ちるのだよ」
「もっとやめて下さい闇絵さん」
「うむ。実際効果的だったしな」
「ほう、やるな少女よ」
「流石ね、紫ちゃん」
「ロリコン」
「やめてくれ紫、ってなんで銀子がここに?」
「不潔です真九郎さん。私のこすぷれにはそこまで反応しなかったくせに・・・」
「やらしい」
「・・・・・・」
真九郎はやっぱり神様なんてろくな奴じゃないと思った。


エロくも面白くもなくて申し訳ない。

276:名無しさん@ピンキー
06/08/03 17:39:14 KiI7V89z
まあ真九郎はそういうシーンが一番映えるしな

277:名無しさん@ピンキー
06/08/03 20:03:23 d+jZeLrM
やはり、ジュウと同じタイプだな・・・

278:名無しさん@ピンキー
06/08/03 21:29:31 PD3EbadV
柔は切れて言い返す 苦労は言えずに終わる

279:名無しさん@ピンキー
06/08/05 03:05:10 4cCet4IJ
エロくは無いが、萌える…?

280:名無しさん@ピンキー
06/08/06 00:27:36 s2HLBodg
>>217
続きどうなった?

281:名無しさん@ピンキー
06/08/07 19:51:26 zdEVsbHc
>>280
気がはやい

282:名無しさん@ピンキー
06/08/08 17:52:16 T0hjFCdM
夕「私、二人は幸せになれないと思います 
  二人を幸せになんか・・・・しませんから   
  だって、私は、ずっと真九朗さんを好きでいますから
  永遠に・・・・」

建物の奥に消える夕乃に背を向ける真九朗と銀子
銀「絶対諦めないってことかしら」
ヘタレ「大丈夫だよ、きっとわかって
    ―ガシャン―
銀「・・・・? あれは」
ヘタレ「夕乃さんの携帯?」

振り返る二人の目の前で、さかしまに飛び降りてきた夕乃が――――






ビターン!!

夕「・・・・痛いです」
銀「・・・・崩月先輩、丈夫ですね」
ヘタレ「(流石は生粋の鬼!!)」

283:名無しさん@ピンキー
06/08/08 21:01:56 lkEh+tDD
エロくはないがなんかほのぼのとして気に入った。
しかしそれはそれとして最近俺の中で夕乃さんは出オチキャラというイメージが定着しつつある。

284:名無しさん@ピンキー
06/08/09 11:20:05 6IQvr2xT
原作での扱いも似たy(ry

285:名無しさん@ピンキー
06/08/09 23:50:20 QhIDKVk7
>>284が全身骨折の状態で発見されました。

286:伊南屋
06/08/10 14:11:03 unIIJw2u
 場を、重い沈黙が支配していた。
 以前、雪姫と付き合う事を、雨と円に告げた店。
 今回は円の代わりに光が入り、四人掛けの座席を占めている。
 何故こんな事になったのか。
 簡単だ。ジュウが全てを雪姫に話したのだ。
 どうにも黙っていることが出来なかった。
 その後、雪姫と雨の間で話がなされ、このように集まる事となった。
 最初に口を開いたのは雨だった。
「ごめんなさい雪姫、それにジュウ様も。私のワガママでこんな事……」
 テーブルの上で頭を下げる雨に、ジュウがどう声を掛けるべきか迷っていると。
「頭を上げて、雨」
 意外にも雪姫が雨に優しく声を掛けた。
「私も悪いんだよ。ジュウ君を最初に横取りしたのは私だから……。雨の気持ちを知ってて裏切ったのは私だから」
 ジュウはただ黙ってそれを聞く。胸の底に言い知れぬ不安を抱えながら。
「だからね、雨。こうしない?」

「ジュウ君をみんなのもの……。ううん、みんなでジュウ君のものになろう?」

 時が止まった。少なくともジュウにはそう感じられた。
「そ、それはつまりその……あの……」
「ハーレム、ですね」
 そうだ。つまりはそういう事だ。
 バカげてる。有り得ない。そんな事だれが納得を……。
「それで雪姫は良いのですか?」
「うん、雨と光ちゃんさえ良ければね」
「私は、良いです。ジュウ様のものになれるのならば、それは嬉しい事です」
 その答えにジュウは絶句する。すがるように光に目を向ける。
 光なら断るはずだと。
「光ちゃんは?」
「お姉ちゃんが……そう言うなら」
「うん、じゃあ大丈夫だね」
 光が、あの光ですら納得した。ジュウはこれが夢でないのかと疑心暗鬼になる。
「雨。薬は持ってきてる?」
「はい、ここに」
 自らの意志を乖離し進む事態に思考が追い付かない。
「じゃあ、4P頑張ってね? 御・主・・人・様」
 それでもジュウは、目の前で微笑む雪姫は夢ではないのだと、自分の手を握ってくる雨と光の感触は現実だと。
 心の底で納得し、理解していた。

続く。

287:伊南屋
06/08/10 14:13:15 unIIJw2u
紅メインの流れをぶったぎり忘却の彼方より復活。

すいません。4P書き終わる頃には紅のSSも書けるようになってるんで今はご容赦を。

288:名無しさん@ピンキー
06/08/10 14:32:02 JjA2d2Ge
>>287
くわっ 生殺~し。

289:名無しさん@ピンキー
06/08/10 14:43:49 uHKhVjc6
>>287
期待しております

290:名無しさん@ピンキー
06/08/11 23:07:28 nffOU/qb
ここから電波メインの流れ期待

291:名無しさん@ピンキー
06/08/14 01:02:46 W8gbBD61
ho

292:名無しさん@ピンキー
06/08/14 22:39:57 RaVVOA79
まったく関係はないんだが
>258をみて
少し泣いた

293:名無しさん@ピンキー
06/08/17 08:27:35 xg78uMMz
紫は近親相姦じゃないと妊娠しないんだよな?

294:名無しさん@ピンキー
06/08/17 13:14:57 VoM1RvW1
実際どうなんだろうな?
男方の問題なのか女方の問題なのか。はたまたその両方か。

まぁ紫は七歳なのでどっちみち妊娠しねーけどな。

295:名無しさん@ピンキー
06/08/17 21:44:47 j3dZTLmW
汚れた顔のパートナー(?)たる超能力娘は今の紫ぐらいで、身篭らなかったっけ?


296:名無しさん@ピンキー
06/08/17 21:52:00 VoM1RvW1
いやまぁそうだけどさ。
でもそれはギネスの世界じゃん。
世界一に出来るから他もできるってのは極論すぎないか?

297:名無しさん@ピンキー
06/08/17 22:07:25 AzRwJsuw
手を出されてなかったんだから、とりあえず初潮はきてない

298:名無しさん@ピンキー
06/08/17 22:19:09 RIfDKxrc
いきなりで悪いが本スレから移住ww
ある日の出来事…。

夕乃__「ほらっ、真九郎さんの大好きな網タイツで扱いてあげますからねぇ」
紫___「なにを言っている真九郎が好きなのは、私のニーソックスだ」
銀子__「やらしい」
夕乃&紫「「とか言いながら、なんでわざわざ靴下を履き替えてるの?」」
散鶴__「お兄ぃちゃんって変態さんなの?」
真九郎_「ぐはっ!!」

299:名無しさん@ピンキー
06/08/17 23:13:43 DJ9bMDsV
>>294
普通の女とはどれだけ交わろうと子供は生まれない、ってあるから男は確定。
後は、真九郎と紫との結果次第だな。
紫は九鳳院の中でも変り種みたいだから、九鳳院の常識は通じないかも知れん。

300:名無しさん@ピンキー
06/08/17 23:36:18 j3dZTLmW
>>298
続きをplz


>>299
紫は九鳳院の実情を知っているのかな?
小学校で保健体育の授業があった日に、紫は真苦労にせまりそうな予感。
もっとも、環がその前に教えちゃうかもしれないけど。


301:名無しさん@ピンキー
06/08/18 15:45:12 NaP5XaHj
>>300
2巻最後で、銀子と一緒に性教育をせがんでいたけど。
しかし紅って同人誌出そうな本なんだが、今回のコミケで2次創作本って
出なかったのかな?

302:名無しさん@ピンキー
06/08/18 16:34:09 fO79XWwe
ラノベの同人って、アニメ化しないと出回らなくね?
ハルヒもアニメ化前はほとんど見なかった覚えがあるんだけど

303:名無しさん@ピンキー
06/08/18 17:55:12 o85aTvMl
で、喪前らはどんなエロパロだったら、即ゲトなのか?

304:名無しさん@ピンキー
06/08/18 19:09:52 HV6arGMJ
光が途中まで強気
 ↓
ジュウの裸をみて赤面、とたんに弱気に
 ↓
ジュウもドキドキするが覚悟をきめる
 ↓
(中略)
 ↓
夜明けのコーヒー





 ↓
「光ちゃん、絶対、許さないから・・・・」

305:名無しさん@ピンキー
06/08/19 01:31:57 9eYO9lXh
> ↓
>「光ちゃん、絶対、許さないから・・・・」


ワロタ。
リネア様化した雨、怖いよーw

306:名無しさん@ピンキー
06/08/19 10:42:23 KcCTA8Cg
こんな感じかな?

雨__「光ちゃん。どうしてジュウ様と2人して裸なの?」
光__「そっ、それは…」
ジュウ「雨、聞いてくれっ。これは全てオレが…」
雨__「ジュウ様、申し訳ありませんが 私はいま光ちゃんと話をしてるんですが」
ジュウ「…っ!」
雨__「どうしたの光ちゃん。何をしていたのか言えないの?」
光__「だって…。」
雨__「ふぅ~んそうなんだ…。で、ジュウ様に抱いてもらったご感想は?(薄笑)」
光__「お姉ちゃん…。」

雨 怖すぎ…orz。

307:名無しさん@ピンキー
06/08/19 19:05:58 veqNIUcB
「紫・・・・!」覚悟を決める真九朗
 ↓
「し、ん、ん、九朗、もっ、もっと、優しくっ、してくれ!」
「ごめん、紫、でも止められないんだ!!」
 ↓
(二時間半程中略)
 ↓
「ごめん、乱暴にして本当にごめん!!」
「もう良い。その代わり、きちんと責任は取ってもらうぞ?」
「それはもちろん。何があっても俺は紫の「・・・・さん」?」
 ↓
ドアの隙間から覗く瞳、漏れる声
「真九朗さん真九朗さん真九朗さん真九朗さん真九朗さん真九朗さん
. 真九朗さん真九朗さん真九朗さん真九朗さん真九朗さん真九朗さん
. 真九朗さん真九朗さん真九朗さん真九朗さん真九朗さん真九朗さん・・・・」

308:伊南屋
06/08/20 11:35:51 7xroZaf6
「それじゃ、はい、ぐいっと」
 そう言われても……。
 ジュウは躊躇いを隠せないでいた。
 目の前には錠剤。雨の説明によればこれは以前使った薬であるという。
 前回は粉にして溶かして使ったので錠剤のまま服用すれば更なる効果が期待できるらしい。
 今四人はとある宿泊施設にいる。
 繁華街からやや奥まった路地。そこは所謂ホテル街だ。無論、ジュウ達が居るのもそのホテル街の一角にあるラブホテルの一室である。
 その部屋で、全裸の美少女三人に囲まれ、薬を勧められている。
 異常な状態にホテルに入る時にすれ違ったカップル。その男の方が向けてきた驚愕と羨望の混じった視線を思い出す。
 あの男に言ってやりたい。
 そんなに良いもんじゃない、と。
 少なくとも自分はこの事態に困惑しか出来ない。
 そんな思考に逃げていた意識を現実に戻す。
 そこには変わることなく錠剤と、それを流し込むための酎ハイ。
 正直こんなもので飲み込んで命に関わったりしないだろうか?
 まあ雨が何もも言わないので大丈夫なのだろう。
 しかし、だからといって飲むわけではない。ジュウはただ錠剤を睨み付け黙り込む。
 痺れを切らしたのは雪姫だ。全裸のまま立ち上がり、ジュウの目の前のものを奪い、一気に口に流し込む。
 次の瞬間にはジュウと雪姫の唇は重ねられていた。
 それだけでなく、雪姫は唇を割開き、ジュウの口中に自らの中にあったものを流し込んでいく。
 炭酸とアルコールの味に混じって微かな苦味がある。恐らくは錠剤が溶け出しているのだ。
 雪姫は唇を離さない。飲め、ということだろう。
 もはやそれしかない。ジュウは諦めて口の中のものを飲み下した。
 瞬間。ジュウの体を熱が支配する。喉から胃を焼くアルコールと、それとは違う内から滲むような、疼きにも似た熱。
 酩酊感と高揚感が同時に押し寄せてくる。それらに意識を混濁させ、ジュウの理性が失われていく。
 理性の後に残ったのは体の火照りと、思考すら支配する獣の衝動だけだった。
 ジュウは衝動に任せ、雪姫の体を掻き抱いた。荒々しい抱擁に雪姫が息を詰まらせる。
 それでも抵抗を見せないのは服従の証か。むしろ切なげに雪姫は瞳を伏せた。
「ジュウ様……」
 ジュウの背に雨が体を重ねてくる。全体的に小振りな作りのその体から体温と鼓動が伝わってくる。
 それはジュウを安心させる、まだ幼い母性。

309:伊南屋
06/08/20 11:58:44 7xroZaf6
 しかし、母性というものを求めて止まなかったジュウにとってはそれで十分だった。
「わ、私もっ!」
 光が絡み合う三人に身を割り込ませ、ジュウの腹の辺りに抱き付く。
 まるで幼い子供が父親に甘えるように身をすり寄せる光に、ジュウは手を差し伸べ頭を撫でてやった。
 唇を雪姫に、背を雨に、腹を光に。
 それぞれに触れあわせ、その感触に酔いしれる。
 真っ先に異変に気付いたのは光だった。
「あ……」
 腹のその下、ジュウの股間で熱を含んだ塊が鎌首をもたげ始めていた。
 全員の視線がそこへ集まる。
 雄々しくそそり立つそれに、思わず雪姫、雨、光の三人が顔を赤くする。
「いつもより……おっきい?」
 そう口にしたのは雪姫だった。
 なる程、言われてみればジュウのそれは普段よりも心持ち猛々しくその存在を主張していた。
「ここはやはり……」
 雨がそれに手を伸ばしつつ言う。
「みんなで、でしょうか?」
 雪姫と光がその意を汲み取り頷き合う。
 三人は同時にジュウの足元に跪き、それぞれ舌を差し出す。
 亀頭、幹、付け根に舌が這わされる。
 それらは位置を替えながらジュウに刺激を与え、射精へと追い立てる。
 くぐもった鼻息と、唾液の立てる水音が室内に響く。
 熱心に舌をジュウのペニスに絡め、三人は競い合うようにジュウを頂点へと導く。
 そして、それは呆気ないまでに唐突に訪れた。
 先端から大量の精液が迸り、三人の顔を白く染める。
「少し、薬が効きすぎましたか」
「そだね、ちょっと早いかな?」
「でもさ、ほら……」
 顔の精液を拭いながら言葉を交わす雨と雪姫に、光が指差してみせる。
 そこには変わらずに硬さを保ち、その身を痙攣させるジュウの牡の証があった。
「ねえ、誰から行く? 私もう出来るんだけど」
 そう言った雪姫は自らの指を股間に這わせている。そこから既に十分に濡れているのが分かる程に淫らな音を立てている。
「ここは一応正妻の雪姫からで」
 雨の言葉に異を唱えるものはいない。雪姫は嬉しそうに微笑むとその身をジュウに擦り寄せる。
 性欲に支配されたジュウは雪姫をベッドに俯せに組敷く。
 そのままジュウは雪姫の背後から侵入した。
 抵抗も少なく、雪姫はジュウをその身に受け入れる。
「ふぅ……っん」
 ジュウが腰を前後させると、それに合わせ雪姫の体がビクビクと痙攣する。

310:伊南屋
06/08/20 12:21:49 7xroZaf6
 しばらくゆるゆると動かしていたジュウだったが、その動きはすぐに激しい、責め立てるような激しいものになった。
 腰と尻がぶつかり小気味良い音が響く。猛烈な突き込みに、雪姫はあっと言う間に限界まで追いやられる。
「はっ、はっ……! くうぅん、い……くっ……いくぅっ!」
 雪姫の背が大きく仰け反る。体を震わせ、雪姫が絶頂に達する。しかし。
「ひゃあ!? や、だ……めぇ」
 ジュウは動きを止める事なく腰を打ちつける。雪姫の敏感ぬった体は、与えられる刺激に先より更に高く絶頂に打ち上げられる。
「くっ……う。やぁ、また……いっちゃ……ひゃうっ!」
 雪姫の体が跳ねる。強い性感に意識が白く染められ、雪姫は体をぐったりと横たえた。
 雨と光が戦慄する。
 最初こそ驚く程に早かったジュウだが今は簡単に満足しないらしい。
 加えて激しい責めでいともたやすく絶頂に追いやる。
 もしかしたら自分達は薬で増強された性欲が果てるまで責め立てられ、何度もその身を捧げなくてはならないのではないか。
 そこまで考えて、自分の体が熱く情欲を訴えているのに姉妹は気付いた。
 既に身も心も奴隷なのか。しかし二人はそれが不快ではなく、むしろ誇らしくすらあった。
 ジュウは雨を自らの方へ引き寄せる。その背を抱き抱えるようにすると、雨の腰を浮かせ、下から突き込む。
 それは丁度、雨と光を同時に相手した際に光を抱いた時と同じ体勢。
 ジュウは光に目で合図を送る。
 その意を読み取った光は、かつて姉がそうしたように、結合部へと自らの舌を這わせた。
「はぁぁっ!」
 自らが与えた、しかし与えられるのは初めての刺激に、雨の体は顕著な反応を見せる。
 止めどなく愛液が溢れ、妖しく蠢く秘壷は奥へ、奥へとジュウを誘う。
 舌を雨とジュウの繋がりの部分に這わせる光は自らの中心で指を闇雲に動かし快感を得るための自慰に耽る。
 不意に這わされる舌が増える。
「ひゃぁ! 雪っ……姫ぇ!」
 それは先までぐったりとと体を横たえていた雪姫だった。
 虚ろな表情で舌を這わせる彼女は自らの行いを把握しているのか。
 ただ確かなのはその行いが雨の性感を無慈悲なまでに高めたという事だ。
 雨は悲鳴にも似た矯声をあげ、体を激しく痙攣させた。
「かはっ……はぁ、はぁ……」
 ジュウとの結合が解かれると、雨は荒い呼吸をしながら倒れ込んだ。
 それには一瞥もくれず、ジュウは光を瞳に捉えた。


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