◆無垢ではない美しさ ジルオール闇小説 その5◆ at EROPARO
◆無垢ではない美しさ ジルオール闇小説 その5◆ - 暇つぶし2ch396:名無しさん@ピンキー
06/10/06 19:39:59 vTcQ0PDt
貴方がないねと言ったから単発妄想小ネタ・イークレムン編。
アイリーン死亡ルート注意。
すまん、エロなし!


アイリーンが死んだ。
ずっと一緒に育ってきた幼馴染みだった。
ずっと一緒に側に居る相棒だと、根拠もなく信じていた。
素直になる事がお互い出来なかったけれど、確かに惹かれてもいた。
………彼女を手にかけたのは、幼馴染みの自分自身だった。
『私は貴方と戦いたかったわ!剣を抜きなさい!――!』
俺はその彼女をこの手で、殺した。
その激しすぎる想いを受け止めきれず。
騎士として、一人の戦士として、正々堂々と戦うべきだと……思った。
失ってから……気づいてしまった。
彼女の大きさに、いつも包んでくれていた愛情に。自らの内から溢れ出す感情に。
慟哭した。
魂の抜け殻のように…故郷ロストールの俺が世話になっていた、アイリーンの母親の家へと足を向けた。
━もう、そこは他人の手に渡っていた。
謝罪も弁解も、悔やみの言葉ひとつも、かける事さえ、俺は許されなかった。

そして気がついた時、俺はアキュリースに足を向けていた。
癒されたかった。傷を。許されたかった、誰かに。
ただ微笑んで、俺の側にいてくるだけで、良かった。
彼女はそこにいた。いつも。常に。
時の流れすら忘れさせるような、静かで、清らかなたたずまいで。
「『イークレムン』」
俺は声に出すつもりもなかったのに、彼女の名を呼んでいた。
「あ、――様…」
水精霊神の巫女。
失なった幼馴染みとはすべてが正反対の彼女。
柔かな金糸の髪。穏やかな眼差し。暖かな微笑み。緩やかな流れをつくる柔かな布の巫女衣装。
「……どうかなさったのですか?…顔色が、酷く…」
イークレムンのたおやかな白い指が、俺の頬に触れる。
「…傷ついてらっしゃるのですね…」
その澄んだ水色の瞳で彼女は俺の心の傷を、一目で見抜いた。
「お辛いのでしょう? 私が――様にできることはありますか?」
無意識の内に、両手を彼女へと伸ばす。
次の瞬間、俺は彼女を抱き締めていた。
物も言わず、彼女の豊満な胸に顔を埋めた。
泣きじゃくる子供のように。
彼女は慈母の様に、俺を抱きしめた。

そして、俺を、傷を負い狂暴な手負いの獣の様な俺を……その汚れのない身体に、受け入れてくれた。
俺はそのままずっと、朝までイークレムンを離さなかった。


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