【絶望先生】久米田康治エロパロ総合 Partご【改蔵】at EROPARO
【絶望先生】久米田康治エロパロ総合 Partご【改蔵】 - 暇つぶし2ch400:214
06/11/06 02:17:03 iexPiQ2L BE:208847243-2BP(0)
 遅くなりましたが、以下に絶望先生の最新話を読んで受けた電波がまとまりましたので、投下します。

 絶望先生×霧です。えっち控えめな分、なるべく甘々になるよう努力しました。

401:ハッピーバースデー先生1
06/11/06 02:21:56 iexPiQ2L BE:469906439-2BP(0)

「いただきまーす」
 望が出ていった宿直室で、交と霧が夕食を共にしていた。

「味つけ、おかしくない?」
「…モグモグ…ゴクン」目の前の皿に盛ってあった様々なおかずを黙々と平らげていた交は、ほおばっていたものを飲み込むと、そっけなく言った。
「小森姉ちゃんのご飯、いつも美味しいよ」
「まあ、ありがと」

 自分でもそっけない返事だと思ったのか、交が言葉を続けた。
「オレ、こんなに美味しいご飯食べると、なんだかかあ」

 母ちゃんを思い出す、と言おうとした交は、ふと両親が揃っていたときのこと、そして母どころか父までもいなくなって途方に暮れていたときのことを思い出し、つい鼻の奥がツンとしてくるのを感じた。

 涙を見せて霧を心配させたくなかったので、慌てて話を逸らせた。

「なあ、小森姉ちゃん、本当にアイツを甘やかしちゃあダメだぜ」
「はいはい。心配してくれてるのね。ありがとう。交君、優しいのね」
「バ、バカだな。そんなんじゃないったら」 
 交の顔が見る見る赤くなった。


 今でこそ交はややひねくれてはいるが、元々は素直で思いやりのある、優しい子なのである。

 黒の長髪で千里に怖い思いをさせられたのにも関わらず、千里がくせっ毛に苦労しているのを知って、クリスマスプレゼントにカツラを贈ろうとしたくらいなのだ。
 ーーもっとも、これは当時暴走していた千里の逆鱗に触れ、結局苦しみますツリーに吊されてしまったのだが。


 夕食を終え、交が当番の家に行く時間になった。
「じゃあ、オレ、当番の家に泊まってくるから」
「うん。行ってらっしゃい。気をつけてね」

 だが、今日は交は珍しく逡巡している。
「なあ、小森姉ちゃん…」
「なあに?」

 なおモジモジしたまま、突っ立っている。気のせいか顔がほんのり赤い。
「オレ…小森姉ちゃんなら…」
「私なら?」

「小森姉ちゃんなら、新しい母ちゃんになってもらってもいいな」
 一気に言うと、校門に向かってだっと駆けだした。
「じゃあ、行ってきまーす」駆けながら叫んだ。校門の所に当番が待っているらしい。

 霧の顔も紅葉のように赤く染まっていた。
「……もう、交君ったら」
 霧はどこか嬉しそうに呟いた。



402:ハッピーバースデー先生2
06/11/06 02:28:49 iexPiQ2L BE:1253081298-2BP(0)

 望は歓楽街に向かっていた。歓楽街の入り口にパチンコ屋があるのだ。

 程なくパチンコ屋の前に着いた。派手な音楽と漫画の看板が望を出迎えた。 
 だが、ふと入り口の自動ドアに写る自分の顔が目に入った望は驚愕した。思いっきりやさぐれ、どこかあっちの世界に行ってしまっている人のようだ。まさに腐った魚のような目をしているではないか。

 これはいけない、自分には何か悪いモノが取り憑いている、エエイそんなのはサーッと発散して清めてしまえ、とばかり、望は半ば自棄になり、歓楽街の奥にある風俗店を目指した。
 
 だが、いざ店の近くに来ると、とたんに勇気が出なくなってしまった。ホワイトライの授業の時には気軽に入り込めた店なのに、いざ客として入ろうとすると足が竦んでしまう。

 店の正面の派手な看板に載っている女のコの写真をそれとなく見ていると、髪の長いコの写真が目に留まった。

(どことなく小森さんに似てますね…)
こう思ったとたんに、

「よっ、社長! そのコ、尽くすタイプのいいコっすよ。ひとついかがっすか?」と呼び込みの店員が下品に声を掛けてきた。

「!!」とたんに霧の姿がくっきりと瞼に思い浮かんだ望は、無言でその場から遁走した。


(ああ…なんて罰当たりなことを思ってしまったんでしょう!)
 走りながら、望は自分の情けなさに死にたくなった。

 だが、お金の他は手ぶらである。旅立ちパックは宿直室に置いてある。予備の縄は教室だ。
 それならば、いざ川に飛び込まん!…と思っても、川端の通りは人の往来が結構多く、飛び込むのを躊躇してしまう。

 それに、死のうとする度に、霧の眩しく、どこか切ない笑顔が瞼に浮かんでしまう。
 そして、多分彼女にとっては虎の子だったであろうお札を、丁寧に両手で渡してくれたときの様子まで、まざまざとを思い起こされてしまうのである。

 望は自殺を断念した。


 結局、望は霧から貰った一万円を使わないまま帰宅の途に着いた。

 帰り道、ふと花屋がまだ開いているのが目に付いた。もう夜なのに、色とりどりの花が綺麗だ。
 
 「そうだ…」望は、自分のポケットマネーで花を買うことを思いついた。よく分からないまま、赤と白の薔薇を花束にしてもらった。


 校門を潜った。宿直室の前まで戻ってくると、中の灯りが点いているのに気が付いた。おまけに、美味しそうな香りが中から漂ってきている。

 出かけるときに夕食を作っていた霧が、まだ部屋で待ってくれていたのだ。嬉しさ半分、申し訳なさ半分で望は戸を開けた。



403:ハッピーバースデー先生3
06/11/06 02:34:34 iexPiQ2L BE:104423832-2BP(0)

「ただいまあ」
「あ、お帰りなさい、先生」
 霧がとびきりの笑顔で望を迎えてくれた。

「あの、小森さん、…これ、花を…」
「うわあ、きれい! 花瓶に活けるね。ごめんねー。ちょっと退いてくれるかなー」
 花瓶の近くにいた皇帝ペンギンを退かせると、薔薇の花束を花瓶に活けた。宿直室の入り口がぱっと華やかになった。ふくよかな芳香も漂ってくるようだ。

「ぶり大根、できてるよ。先生の好物だって交君が言ってたから、作ってみたの」
「ありがとうございます。じゃあ、早速戴きますね」


 霧の丹精込めた手作りのご飯を望は口にした。出来合いの物を暖めたのではなく、DSを見ながら一から作ったことは望も分かっていた。
 素朴ながらも、ほっこりした暖かい味が口に拡がった。丁寧に心を込めて作ってくれた心遣いが何よりも嬉しかった。

「味つけ、おかしくない?」
 返事をしようとした望だったが、ふと夕方家を出てから帰宅するまでのことが頭をよぎってしまった。
 にっこり笑って「美味しいですよ」と言ったつもりだったが、最後の方が涙声になってしまっていた。

「…先生?」
様子がおかしいことに気づいた霧が心配そうに尋ねたが、望は「何でもありません」と、涙をごまかすようにご飯をかき込んだ。


 夕食の後、改めて望が切り出した。

「今日は本当に済みませんでした。先生、つい甘えすぎてしまって、人として恥ずかしいところを見せてしまいました」
「先生…先生が甘えてくれるなら、私嬉しいよ」

「それでですね、あの…」先生が懐から一万円札を出した。霧が渡したものである。
「これ、結局使わなかったんで、お返ししますね」

「先生…いいのに…」望は霧を見た。不安そうな様子だ。自分のしたことが気に障ったんだろうか、と思っているのかもしれない。 
 それを打ち消すかのように、望は努めて明るく言葉を継いだ。

「実は、先生パチンコ屋の前まで行ったんですけど、入る勇気がなくて戻って来ちゃいました」
「そうだったの…」
「やっぱり私はギャンブルには向いてませんね」

「……私、先生が怒ってるのかと思っちゃった」
「怒ってなんかいませんよ」望は優しく言うと、霧の頭をくしゃっと撫でた。



404:ハッピーバースデー先生4
06/11/06 02:41:38 iexPiQ2L BE:487309474-2BP(0)

「…じゃあ、これ見ても怒らない?」
 そう言って霧が冷蔵庫から出してきたのは、小さなケーキだった。上にイチゴが二つ乗っている。

「先生はお誕生日が嫌いだって知ってたんだけど、どうしてもお祝いしたくて…」
「小森さん…」

 ようやく、望は霧が自分の好物であるぶり大根を作って待っていてくれた理由を理解した。霧は自分の誕生祝いをしてくれるつもりだったのだ。

 自分が誕生日にトラウマがあることを知っていたので、最初からはケーキを出さないでいたのだ。その細かな気配りに、望は心打たれた。

「怒ってる?」
「小森さん。……今、私の気持ちは…」
「……」
「目を瞑って下さい」
「え?」
「さ、早く目を瞑って」

 霧は素直に目を瞑った。
 やがて、望の手が霧の顎に触れると、ゆっくり接吻してきた。
 唇を合わせていると、何かが霧の口の中に入ってきた。

「?!」
 びっくりして目を開けたが、望が優しい顔をしてこちらを見つめていた。だが唇を離さないままなので、尋ねることも出来ない。

 口の中の物は甘く、柔らかそうだったので、恐る恐るもぐもぐと咀嚼してみた。
 すると、それは口の中で柔らかく潰れ、甘酸っぱい果汁をほとばしらせた。ケーキに乗っていたイチゴを望が口移しで霧に食べさせたのだった。

「そのイチゴの味が、今の私の気持ちですよ。
 確かに私は誕生日には酸っぱい記憶があります。
 ですが、あなたの心遣いがとっても嬉しいです。こんなに甘くて嬉しい誕生日を迎えたのは生まれて初めてです。小森さん、どうもありがとう」

 ここまで言うと、望は霧を優しく抱きしめた。

「先生…」

 二人は再び唇を合わせた。


 やがて望は舌を差し入れた。舌先にイチゴの甘酸っぱさを仄かに感じた。霧も最初はおずおずと、やがて懸命に望の舌の動きに舌で答えようとした。

 霧の身体を抱いていた手に少しずつ力を込め、ゆっくり、ゆっくりと横たえていった。
 毛布の上に霧が横たわり、その上に望が被さっていった。

 まだ接吻している。

 ようやくゆっくりと唇を離した。二人の唇は、つうっと透明な糸をひいている。

 やがて、望は黙ったまま手をそろそろと霧の身体に這わせ始めた。
「あ…」霧が微かに喘ぎ声を漏らした。



405:ハッピーバースデー先生5
06/11/06 02:50:35 iexPiQ2L BE:556924984-2BP(0)

 霧が身に纏っていた毛布が畳に拡がっている。その上に霧が白い裸身を晒している。
 望の手が霧の全身を這っている。単に撫でているだけなのに、霧には無性に気持ちよく感じられた。

 やがて、望の口が耳・首筋・鎖骨と降りてきた。そして胸に達したとき、
「ああん…」今度は幾分はっきりと喘いだ。


 望の指が、さっきからもう片方の胸の麓を撫でている。螺旋を描きつつ、だんだん頂を目指して登ってくる。
 親指の腹がほんの微かに乳輪に触れた。それだけのことなのに、泣きたくなるほど気持ちいい。

「あうぅ…」

 やわやわっと手が胸を揉んできた。自分を気遣ってくれているように、どこまでも優しい揉み方が嬉しかった。じわりと快感が生まれ、波紋を描くように全身に伝わっていった。

 ほんの時たま、ちょんっと頂を摘まれると、そこから甘い電流が全身に流れた。
「はあん…」霧ははっきりと喘いだ。

 一方、いったん胸に降りてきた口は、少し臍の辺りをさまよっていたが、また胸に戻ってきた。
 舌先で乳首のわずかに外側をなぞる。優しく頂を左右にはじく。軽く吸いつく。
「あ…はあっ……先生…」霧は胸から生じる快感の小波を漂った。

 手と口で両胸を愛撫している間、残りの手はゆるやかに霧のボディラインをなぞっていた。指先が太腿や秘密の部分をかすめる度、霧はもじもじと身体を震わせた。

(私、こんなに先生に愛されている…幸せ…)
「あ…あはぁ……先生…こんどは私が先生を気持ちよくしてあげるね」


 全身が薄い桜色に染まった霧は、望を横たえると、絶棒をそろそろと握ってきた。

「こ…小森さん……」
 霧の小さく柔らかな手に握られる感触に、絶棒がぴくっと震えた。

 しばらくさわさわっと撫でられていたが、やがて暖かい感触が絶棒を包んだ。
「はうぅっ…」望は思わず快感を訴える呻きを漏らした。

 霧の口技には決して特別なテクニックなどはなかった。が、愛情溢れた舌の動きが何とも心地よく、秘密の袋やその奥を手で控えめに撫でられたりもしたので、絶棒は嬉しさに幾度も反り返った。

「…先生、気持ちいい?」顔を上げた霧が上目遣いに尋ねた。
「はうっ…とっても、気持ちいいです…」喘ぎながら望が答えると、
「うふっ…嬉しい」こう呟いて、再び絶棒を含んだ。

 霧の可愛い口が上下するたびに、長い黒髪がさらさらと望の腿に当たる。甘い痺れがそこかしこに発生し、互いに結びついて望を喘がせる。やがて望は高ぶってきた。

「こ、小森さん…もう、もう……」
「先生…」
「うぅ…先生、小森さんの中でイきたいです」
「先生……うん、いいよ…優しくしてね」
 望は体を起こすと、霧に重なっていった。



406:ハッピーバースデー先生6
06/11/06 02:57:40 iexPiQ2L BE:435098055-2BP(0)

「ううっ…」霧の中は柔らかく、暖かい。絶棒の敏感な部分を、そして全体を霧自身がきゅっきゅっと締め付け、包み込んでくる。痺れるほどの気持ちよさにまみれながら、望はゆっくりと動いていった。


「はあっ…」
 一方、霧は、望が入って来たとき、悦びとも安堵ともとれる声を漏らした。絶棒を胎内に納めた時のいつもながらの充実感がたまらなく嬉しい。

 それに、今日は望がいつになく優しく動いてくれている。
 まるで絶棒の先端に、自分の悦びを探り当てる目が付いているかのように、気持ちいい所だけをノックしてくれる。いや、絶棒が訪れてくれる場所が、一つ残らず皆狂おしいほど気持ちいい。

 突かれる度に、快感の火花が体中を駆け巡る。望の一挙一動が、霧にとって愉悦を生み出す原動力となっていた。

(私…私…先生に愛されている…ずっと…ずっと先生のそばにいたい…)
「はあぅ…先生……先生…ずっと…はあっ…ずっと一緒にいて…」熱い喘ぎ声の間に、途切れ途切れに自分の思いを伝えた。

 望は、情熱的な接吻でそれに答えた。腰の動きが激しくなった。しばらく大きく律動していたかと思うと、霧の腰を抱え込み、再び躍動し始めた。
「あっ…あん…あん…あっ…あぅ…」霧の喘ぎ声も断続的になってきた。


 望のストロークが、ぐいっぐいっとラストスパートを予感させる大胆なものになった。
「先生、私、もう……あぅ…あん…」霧が脚を絡めてきた。
「私も、もうすぐですよ…」望もここぞとばかり、激しく絶棒をグラインドさせた。

 霧が絶棒をぎゅうっと締め付け、甘い蜜を絡ませてきた。あらゆる襞が、奥へ、もっと奥へと絶棒を誘う。
 望は痺れるほどの快感と、自分の空虚だった心が今満たされているという幸福感に包まれながら、ついに欲望を解き放った。

「うぅっ…」どくっ…どく……

 自身に望の熱い迸りを感じた霧も、自分を幸せにしてくれるのは望だけだという思いに満たされ、全身を反らせつつ歓喜の絶頂に駆け登っていった。

「はあっ!!……先生、大好きぃ……」

 はずんでいた息が段々穏やかになると、二人はどちらからともなく再び熱い接吻を交わした。



407:ハッピーバースデー先生7/E
06/11/06 03:04:11 iexPiQ2L BE:487310047-2BP(0)

 シャワーを浴びた後、二人は仲良くケーキを食べた。望のケーキの上のイチゴが在ったはずの場所には、その跡だけが残っている。

 その跡を目にしながら、霧が望に優しく言った。
「先生、お誕生日おめでとう」
「ありがとうございます」望は満面の笑みで応えた。


 秋の夜長である。虫の声ももう疎らだ。楽しげに過ごしている二人の姿はあたかも親密な恋人同士、あるいは新婚夫婦のようだ。
 ただ、霧が毛布にくるまっているのだけが普通の恋人同士とは著しく異なっている。

 霧が身に纏っている毛布が必要なくなる時は来るのだろうか。
 もし来るとすれば、それは二人が幾多の--本当に幾多の--障害を乗り越え華燭の典を挙げるときなのかもしれない。



 ちなみに、望が買ってきた紅白の薔薇だが、
赤い薔薇の花言葉は「愛情」「貞節」、
白い薔薇の花言葉は「尊敬」「私はあなたにふさわしい」
である。


 望はもちろん花言葉など知らない。だが、無意識のうちには、薔薇の花に託された花言葉の意味を知覚しているのかもしれない。

 霧が花言葉を知っているかどうかは分からない。だが、薔薇に込められた望のメッセージは、確かに伝わったようである。

--完--



408:214
06/11/06 03:08:15 iexPiQ2L BE:435098055-2BP(0)
以上です。お目汚し失礼しました。

なお、薔薇の花言葉に関しては、

花言葉事典さん
URLリンク(www.hanakotoba.name)

を参照させていただきました。


409:名無しさん@ピンキー
06/11/06 05:01:12 RIf3bO1I
GJ!!!
霧かわいいなぁ(*´д`)
こうゆう甘い話もいいねぇ。最後の締めくくりが素敵だ…
楽しませていただきました!

410:名無しさん@ピンキー
06/11/06 22:50:00 tyiAhCi8
(*゚∀゚)=3ハァハァ

411:名無しさん@ピンキー
06/11/07 01:28:39 PjCIXxcF
GJ!!!!
甘すぎるほど甘いだがそれがいい


412:名無しさん@ピンキー
06/11/08 22:32:25 NRmSFWyk
GJですよぉ

413:214
06/11/13 15:41:12 p+voZ9nq BE:556924984-2BP(121)
2レス分使って保守小ネタ入れます。マガジン40号より。

個人的に、外ハネのコはすず様しか考えられないっす。
それで、つい木野君をイジメてしまいました。
木野ファンの方、すんません。
(註:エロなしです)

414:白黒黒1
06/11/13 15:48:00 p+voZ9nq BE:469905293-2BP(121)
 ある日の放課後、図書館に先日のメンバーが再び集まりつつあった。

「先生はイーグルトンやノースロップ=フライなんか読みました?」木野が絶望先生に尋ねた。
「ええ」
「あれってどうなんですかねえ? オレはどうも…」

「ま、文学理論の本が実際の読書の役に立つかどうか、私には分かりませんね。『読者には誤読の自由がある』なんて書いてあったりもしますからね。あまたある『文章読本』の類と一緒ですよ」

 木野が背伸びした議論を絶望先生にふっかけようとしたものの、そこは圧倒的な読書量の差で軽くあしらわれてしまった。

「待たせてゴメン」
 と、そこへ久藤が現れた。今日もまた、木野と物語を作り合って、泣かされたら負け!で勝負するらしい。図書委員長をしているポニーテールの可愛いコも、ヤレヤレまたかといった表情である。

「遅いぞ久藤! 今日のテーマは乗り物だったな。じゃあオレからいくぞ!『愛と勇気の新快速、敦賀へGogo!』……」
「じゃあ、僕は『さらば、さんふらわあ』で…」

 結局、木野はまたも久藤に泣かされることになった。「ううう…今日で退職するはずだった志布志フェリーの老船長が…すんすん…」

 それにしても、こう何度もカワイイ女の子の前で泣かされたままでは引っ込みがつかないし、自分が可哀想だ。
 そこで、木野は無謀にも、さらなる勝負を挑むことにした。今度はエロ話を作って、どちらがイヤラシいかを競おう、と申し入れたのである。

 もちろん、麗しのポニテ娘は反対した。
「図書室でそんな汚らわしい勝負するなんて、ダメに決まってるじゃない」

 だが、ここで絶望先生が口を挟んだ。
「まあ、そう言わないで。そういう話を作るのは、簡単なようでいて、なかなか難しいんですよ」
「ちょっと先生!」
「たしかに少し面白そうだねえ」
「ちょっとぉ! 久藤くんまで」

 と言う訳で、エロ話勝負が始まった。

「じゃあ、言い出しっぺのオレから行くぜ!『診療人間ドッグマン!』」先攻は木野だ。
 「…ドッグマンはターゲットの令嬢に迫っていった。『フフフ…俺はドッグマンだ。オマエを検査してやる!』……」

 得意げに語り終えた木野は、ようやく皆の反応が皆無であることに気付いた。
「……あれ?」
 皆を見渡した。一同シラけまくっている。伝説のシラ毛虫までが机の隅を這っている。

「…それ、一体何だったんですか?」絶望先生が呆れたように尋ねた。
「いえ、『人造人間』と『診療人間』を掛けて…」
「そんなのでエロチックになるはずないじゃありませんか」木野は一言もなく、うなだれてしまった。

 後攻は久藤である。
 「じゃあ、次は僕だね。『幼なじみで、人妻で。』」久藤はいつもの調子で淡々と語り始めた。

「…日本陸上界の若きホープ大和が、足の故障で入院することになった。おまけにハプニングで両肘にヒビが入ってしまい、両手までもがまともに使えない。
 悶々とした日々が続いているところに、幼馴染みの美人人妻涼風がお見舞いに。

 『大和、入院して…その…たまってるんでしょ? あたし、慰めてあげてもいいよ』
。やがて涼風は大和の……」

 話が進むにつれ、先生は読んでいた新聞で前を隠したままになった。先生のそばにいたまといも先生の背中にしがみつき、赤らめた顔を押しつけている。
 木野は気まずそうにかがみ腰になっている。ポニテ娘は耳まで真っ赤な顔をして俯いている。

 二人の勝敗は明らかであった。

415:白黒黒2
06/11/13 15:54:20 p+voZ9nq BE:609136875-2BP(121)
「ううう…ちきしょう…ちきしょう! 男としてはオレの方が上なんだぁ!」
 木野は、スカートを押さえてもじもじしているポニテ嬢を、カウンター奥の図書準備室に連れ込んだ。
「え…ちょっと、ちょっとぉ!」

 しばらく中から何やら物音がしていたが、やが全くて何も聞こえなくなり、辺りは静まり返った。

 ガチャリ。

 大方の予想に反し、スンスンと肩を震わせてすすり泣きながら出てきたのは、木野だった。その側で、どこかシラケ気味のポニテ娘が、それでも優しく木野を慰めている。

「初めての時にはよくあるんですって。気にしないで」

 ポニテっ娘の話によると、事情はこうだ。

 勢いで暗がりに連れ込んだはいいものの、木野は初めてで勝手が分からずに戸惑っていた。

 見かねたポニテ嬢が手伝おうとしたが、「万願寺唐辛子みたいな」(ポニテ嬢の説明)アレだったので、うまく亀頭が露出しなかった。

 そうこうするうちに、大きくならないまま固くなっていた木野自身がポニテ嬢の手に触れられた刺激で暴発し、濃口の毒液を大量に自分のブリーフ内にブチマケてしまったらしい。

「ま、初めての時って、後から考えたら笑えるような失敗があるものですよ」
 望は気の毒そうに言った。

「それにしても、木野君…その、誠に申し上げにくいのですが」望は続けた。「真性のはきちんと手術した方がいいですよ。将来のためにも」

 木野はいたたまれなくなったのか、

「はーーーーーん!」

泣きながら図書館から走り去っていった。

(でもあたし、正直欲求不満なのよねえ…)
身体に灯を点けられかけたままのポニテ嬢は、しばし思案していたが、やがて久藤に声を掛けた。

「久藤くん。ちょっと、いいかな」耳を引っ張ると、こしょこしょと何事か囁いた。

「え、僕でいいの?」久藤は特に嫌がるでもなく、ポニテ嬢に図書準備室に連行されていった。

 やがて、準備室からくぐもった喘ぎ声と共にガタ…ゴト…と初期微動が絶望先生達のいる貸出カウンター前に伝わってきた。

 おや始まったか、と思っていると、あれよあれよという間に喘ぎ声は耳をつんざく大音響となり、魂をも揺さぶる激震が館内を襲った。

「AAAAAAAAAAAAAAHHH!!」
「AAAAAAAAAAAAAAHHH!!」

「EEEEEEEEEEEEEEEEK!!」
「EEEEEEEEEEEEEEEEK!!」

「HUUUMMMMMMMMMMMMM!!」
「HUUUMMMMMMMMMMMMM!!」

「OH! OUH! OUH! OUH!!」
「OH! OUH! OUH! OUH!!」

「PAOOOOOOOOOOOOOON!!」
「PAOOOOOOOOOOOOOON!!」



416:白黒黒3/E
06/11/13 15:59:59 p+voZ9nq BE:139231924-2BP(121)
 図書館全体がガッタンゴットンと関東大震災もかくやと思われるごとく揺れ,蛍光灯がシパシパと点滅した。

 壁にピピピッと亀裂が走り、ポスターが次々と剥がれ落ちた。本棚から蔵書がドドドドド、バサバサバサッと雪崩をうって床に落下し散乱した。

 紙屑と埃がもうもうと立ちこめていた館内が、急に嘘のように静かになった。

 やがて準備室のドアが開くと、奥から久藤がポニテ嬢をお姫様抱っこして現れた。

 魂が抜けきって惚けた感のそのコは、カウンター前にあるソファーに横たえられたものの、完全に失神していた。
 時折ピクピクッと手足が痙攣し、顔やら太腿やらが真っ赤にふやけきっている様は、湯から上げたての茹で蛸のよう。だらしなく開いた唇の端からは涎さえ垂らしている。

 そんな彼女を見下ろしていた久藤は、汗もかいていない様子だったが、望の方に向き直った。
 「じゃあ、先生、それと常月さん。今度は二人をまとめて面倒見るね」

 こう言うが早いか、まといと望の襟をぐいっと掴み、図書準備室へ引っ張っていった。

「ちょ、ちょっと久藤くん!」
「大丈夫。常月さんには触らないから。常月さんは普段通り、先生とえっちしてていいんだよ」
「な、何てことを!」まといは赤くなりながらも、どこか安心した様子である。

「…あれ? と言うことは、もしかして…」望は久藤の顔を見つめた。

 久藤は普段通り、柔和な垂れ目で微笑んでいるだけだったが、望の襟を掴んでいる手に力がこもった。ここで望は忽然と全てを理解した。

「いやあああああああああああああああ!!」

 望の絶叫は、久藤が後ろ手に閉める図書準備室の扉で遮られた。

--完--
============================
以上です。結局3レスになってしまい失礼しました。

で、連続で申し訳ないのですが、今晩か明晩に、一つ投下させて下さい。

あびる×望+αの予定です。


417:名無しさん@ピンキー
06/11/14 00:46:55 MC6GHJVo
ちょwww

418:名無しさん@ピンキー
06/11/14 01:50:47 lg8aa02Z
ステキだ!
エロ楽しい!!

419:名無しさん@ピンキー
06/11/15 03:05:36 3gNnFwnZ BE:522117465-2BP(121)
>>214です。
夜の内に投稿するつもりでしたが、
実は今帰宅したところです。これから校正と
手直しに入ります。
申し訳ないですが、夜の内のアップは難しい
かもしれません。おわびします。

420:214
06/11/15 22:45:13 3gNnFwnZ BE:313270463-2BP(121)
 まことに遅くなりましたが、今からアップします。原型留めて…の回の11頁1
~4コマ目を眺めて受信した電波が元になっています。

・触手もどき×あびる、先生
・あびる×先生

が主な内容です。

 あらかじめ、全国一千万人のあびるファンの皆さんに謝っておきます。いろい
ろと、どうもスミマセン。

 また、例によって絶望先生が色々といたぶられています。男の喘ぐシーンが苦
手な方は、 恐れ入りますがそこはスルーをお願いします。
(そのシーンだけ抽出して801板かゲイ板に投下しようと思いましたが、うまくい
きませんでした)


>>409->>412,>>417->>418
どうもありがとうございます。今日も頑張ります。


421:あびるちゃんパニック!1
06/11/15 22:51:33 3gNnFwnZ BE:435098055-2BP(121)
「うーん、弱りました」
「どうしましょう、先生」
 あびると望はホテルの一室で苦悩していた。

 未知の原型を留めた古代生物(のしっぽ)発見のはずが、旧日本兵を発見して
しまったのだ。
 このままでは、第一発見者として二人がマ スコミに登場せざるを得ない公算が
強い。

 だが、今二人がマスコミの前に出ることは、各々が社会的生命を断たれることを
意味する。
 時節柄、「破廉恥! 独身高校教師が教え子の女子高生とプライベートでしっ
ぽり海外旅行!」などといった美味しいネタをマスコミが逃す筈がない。何とし
ても秘密裡に帰国する必要があった。

「うーん」
「…とりあえず、ホテルの人に相談してみては」とあびるが言った。
「なるほど、それもそうですね。ダメもとで聞いてみますか」

 望はフロントに電話を掛け、ホテルの主人に―コンシエルジュなどという者
はいない、ごく小さなホテルの二人は滞在していた―事情を説明し相談してみ
た。

 主人はしばらく唸っていたが、どうやら良い考えを思いついたらしい。あとで
ボーイを遣るから、そいつに詳細を聞けと言ってきた。

 主人に謝して受話器を置いてから10分くらい経った後、望たちの部屋をノック
する音が聞こえた。

 入ってきたのは、まだ若い、子供といってもよい年齢のボーイだった。どこと
なくマ太郎と目鼻立ちが似通っている。

 何でも、早朝にチェックアウトし、ホテルのプライベートビーチから舟で近く
の無人島へ渡る。昼間そこのジャングルで探検をする。夕方船で迎えに来るから、
それに乗って別の島にある主人の親戚がやっているホテルに泊まり、翌朝そこか
ら空港へ向かうのではどうか、というのだ。

 諦めかけていた探検まで出来るとあって、二人ともこの案に飛びついた。

 翌早朝、まだ日の出前のプライベートビーチは静かだった。
 ルルルルル…と軽やかなエンジン音を響かせて、二人と昨夜のボーイ(操縦役)
の三人を乗せたボートが沖に出ていった。

「ところで、その島の名前は何て言うんですか」望がボーイに尋ねた。
「ホモマンガシマ、イイマス」
「ホモマンガ島? ……インドネシアにはエロマンガ島ってのがありますが…」
「藤吉さんが好きそうな名前ですね」あびるが冷静に感想を述べた。


422:あびるちゃんパニック!2
06/11/15 22:55:19 3gNnFwnZ BE:243654672-2BP(121)
「へくちっ」暗い部屋の中でくしゃみの音が聞こえた。
「……どうしたの。風邪?」くしゃみの主の隣で寝ていた千里が眠そうな声で尋
ねた。
「…うー…昨日すっ裸で寝ちゃったから、寝冷えしたのかもしれないわね」晴美
がやはり寝ぼけ声で答えた。

 二人とも布団を掛けているものの、裸である。昨晩、久しぶりに晴美の家に千
里が遊びに来たのだ。晴美が夏コミでゲットした新刊を文句を垂れつつ読み耽っ
ている内に、その中の一冊のシチュエーションをふざけて二人で演じていたら思
いがけず燃え上がってしまい、つい一戦交えてしまったのだ。

「それはいけないわ。私がきっちり暖めてあげる。」千里が晴美をぎゅうっと抱
きしめてきた。
「ありがとう、千里。…って、なに変なとこ触ってるのよ」
「体温を上げるお手伝いをしてるのよ。」
「あ、はぁ…。もう、千里ったらぁ」晴美が甘く掠れた声で喘いだ。



 南の海はすっかり明るくなった。ボートの上で、ボーイが二人に島の様子を説
明していた。
「シマニハ、カワ、ジャングル、アリマス。イロンナイキモノ、タクサンイマス。
キレイナアオイトリ、イルヨ。ナガイナガイシッポ、トテモキレイネ」

「しっぽ?」あびるは即座に反応した。ますます島での探検が楽しみになってい
る様子である。

「ワタシタチ、コノシマニハ、オトナニナルショウコヲサガストキダケ、キマス。
アオイトリノハネミツケルト、オトナニナリマス。ズットズットシアワセニナレマ
ス」

「ははあ、成人を迎えるための通過儀礼みたいなものですね」

「デモ、キヲツケテクダサイ。ヘンナクサ、ハエテマス。ヒト、ドウブツ、ツカ
マル、イノチアブナイ」
「捕まえる? それは怖いなあ」

「オトコツカマル、シボリマス。オンナツカマル、タネウミマス」
 二人は一瞬、前途に不吉なモノが待ちかまえている錯覚を覚え、一抹の不安を
感じた。

「ハナレバナレニナル、アブナイ。イツモイッショニイル、アンゼンネ」
「なるほど…よく分かりました」


423:あびるちゃんパニック!3
06/11/15 23:01:37 3gNnFwnZ BE:278463528-2BP(121)
 日がすっかり昇った頃、島に着いた。
「デハ、ユウガタチョトマエニ、ムカエニキマス。ドゾ、ガンバテクダサイ」

 ボーイを乗せた船が行ってしまうと、あたりは穏やかな波の音だけになった。
「じゃあ、行きましょうか」望があびるに声を掛けた。
「ええ」決意を胸に秘め、あびるが応えた。
 こうして二人はジャングルへ分け入っていった。


 ジャングルに入って来た二人を迎えたのは、濃い緑とじっとりした湿気だけでは
なかった。甘い芳香が立ち込めているのだ。だが、爽やかな甘さではない。何と
いうか、濃厚にねっとり甘ったるいのである。

「こ、これは…」しばらくクンクンと鼻を鳴らしていた望が言った。
「イランイランの香りにそっくりです」
「イランイラン?」
「ほら、あの花をご覧なさい」

 望が頭上を指差した。見ると、木々の間にぽつぽつと黄色だか薄いオレンジ色
だかをした花が咲いている。花びらは細く枝分かれして、だらしなく垂れ下がっ
ている。

「あれ、イランイランの花によく似てますよ。先生、前にアロマテラピー検定の受
験勉強をしたことがあるんですけれど、学科試験に加えて実技試験があるんです
よ。そのために精油の香りを20種類覚えたんです。その時覚えた中の、イランイ
ランにそっくりです」

「なるほど…例えば、ラベンダーには精神をリラックスさせる作用があるって言
いますよね」
「そうそう。それで言うと、イランイランはロマンチックな夜のための香り…つ
まり、催淫作用があるんです」

「こんな二人っきりの時に、何下ネタ言ってるんですか」あびるは努めて冷静に
突っ込んだ。

 望は鳩が豆鉄砲を食らった顔つきになったが、我に返ると顔を真っ赤にして言
い繕った。
「いや、本当ですって。下ネタじゃないんですって。信じて下さいよ。セクハラ
じゃありませんからっ」


 だいぶ奥まで来たようだ。木々が鬱蒼と茂っている。人の肩ほども背丈のある
草の茂みがそこかしこにある。名も知れない南方系の植物がそここに生えている。
当然、森の中は昼なお暗い。
 イランイランらしき濃厚な香りがますます密度を増してきた。川が近くにある
ようで、水の流れる音がしている。

 はっとした。視界を青いものが飛んでいる姿が横切ったのだ。


424:あびるちゃんパニック!4
06/11/15 23:05:51 3gNnFwnZ BE:261058853-2BP(121)
 小型の鳥だった。

 優雅に舞うように、二人の目の前を楽しげに飛んでいる。長いしっぽが流れる
ように曲線を描いている。新体操のリボンの動きのようだ。仄かに漏れてくる日
光を反射して、きらきらと瑠璃色やら玉虫色やらを反射している。


「しっぽー!」あびるはがいきなり駆けだした。無理もない。もしこのしっぽ
(正確には尾羽か)を手に入れることが出来れば、あびるのしっぽコレクショ
ンの中でも有数の希少アイテムになることは間違いないからだ。

 だが、離れて行動するのは危険だ、とボーイが忠告してくれたのを望は思い出した。

 はっと気づいたときには、あびるの姿はジャングルの木々の葉の間に隠れ、見
えなくなり始めている。望は慌てて追いかけた。

「小節さん、待ちなさい! 離れたら危険ですよ~! …怖いから待って下さい
~~~!」


 あびるの右手が鳥のしっぽをはっしと掴んだ。
「やったあ!」あびるの顔は、目的物をゲットした喜びに溢れた。

 数メートル先では、必死に逃げようと翼をバタつかせている鳥の様子が窺える。
 だが皮肉なことに、その羽音のせいであびるは自分に迫っている危機に気付く
のが遅れた。

 いつの間にかあびるの足下に忍び寄っていた蔓が、スウッと頭をもたげたかと
思うと、いきなり左足首に巻き付い
た。

「?!」
 異様な感触に気付いたあびるは、左手で―右手はしっぽで塞がっている―
蔓を解こうとした。
 だが、それはびくともしない。片手で思うように解けず焦っている間に、右足
首にも蔓が絡まってきた。ハッと右足首に気を取られた瞬間に、左足首に二本目
の蔓が取り付いた。

 あびるは明らかに異変を、自分の危機を感じた。背筋がシーンと凍えてきた。
その間にも、周囲の木の根本付近からそれぞれ数本の腕が伸びてきてあびるの両
手首に絡み付いたかと思うと、強い力で後ろに引っ張った。あびるはたまらず引
き倒された。

「きゃあああーーーーっ」
 ようやく悲鳴を上げたときには、既に両手足を大の字に広げられた状態で拘束
されてしまっていた。


425:あびるちゃんパニック!5
06/11/15 23:09:43 3gNnFwnZ BE:556924984-2BP(121)
 やがて、襟口からそろそろと細い蔓が入り込んできた。インナーの上からと下
からとを問わず、競って胸を目指しているようだ。
 くすぐったくもおぞましい感覚に、あびるは全身に鳥肌が立った。

 背中からも別の蔓が肩を通って胸に回ってきたかと思うと、ジワジワッと豊か
な膨らみの裾野に巻き付いた。そして段々と絞り込んできた。

 上から胸に絡み付いてきた蔓は、ごそごそと裾野を這い回っていたかと思うと、
頂に向かって足を伸ばした。桃色の頂やその付近を蔓が掠めると、最初はムズム
ズするだけだったのに、すぐに自分でも驚くほど快美な電流が体内を走るように
なった。

「い、いやっ…こんなので感じてしまうなんて…私おかしくなったのかしら」
 あびるは身をくねらせた。蔓はますます勢いづき、あびるの全身を窺う勢いで
その数を増やしていった。

 先発隊に遅れて首筋に伸びてきた蔓も、あびるの胸元へと入り込んでいった。
進行に邪魔になる探検服のボタンを器用に外しつつ、上半身でのたうち始めた。

 胸から発生した甘美な電光は、あびるの下半身にも作用した。いつの間にか、
あびるの中はしっとりと潤い始めていた。

 その潤いを求めているかのように、探検服のズボンの裾から、細い蔓が何本か
侵入してきた。探検服の社会の窓―探検服は男女共用なので、社会の窓が付い
ている―からも、丁度望の時と同じように、淫らな蔓が侵入してきた。

 蔓が太腿を這う感触に、あびるは再び鳥肌が立った。蔓自体はつるつるしてい
るのに、全体にごく細い繊毛がびっしり生えていて、それが何だか湿り気を帯び
ているのだ。まるで、さらなる湿気を求めて涎を垂らしている極小の獣たちが、
無数に自分の肌を舐めているかのようだった。

 蔓は、しばらく思い思いに太腿の付け根のあたりやパンツの上から秘所を這っ
ていたが、やがて何本かが隙間から中へ侵入してきた。
 腹の方からも、何本かがパンツのゴムを果敢にかい潜って侵入してきた。

「あ…いや、いやぁ」あびるは蔓が自分の草叢を我が物顔に散歩して回る感触に
我慢ならなかった。もっと我慢ならないことに、その蔓の動き自体が下半身に甘
いジンジンした痺れを呼び覚ましつつあった。

 やがて、一本の蔓があびるの中へ入り込んできた。

「あああ…いや、いやぁ」
 あびるは異物感に身を捩った。だが、まるでその動きをずる賢く利用するかの
ように、蔓はくねくねっと這いつつあびる自身の中へ侵入していった。

426:あびるちゃんパニック!6
06/11/15 23:14:04 3gNnFwnZ BE:1253081489-2BP(121)
 一方、あびるとはぐれてしまった望は焦って辺りを探し回ってていた。が、
「きゃあああーーーーっ」という悲鳴を耳にすると、聞こえてきた方角に向かっ
て駆けだした。

「小節さん! 大丈夫ですか!」
 だが、足元にごつごつした太い根が不規則にうねっていて、思うように走れな
い。かなり経って、ようやく目の前の木々の葉の間から、草むらに横たわったあ
びるの姿がちらりと見えた。

「小節さん!」と声を掛けて駆けだしたとたん、
「あっ」
つい、足元の根に躓いてしまった。どっとつんのめって前に倒れた。

 その時である。ちょうど倒れた望の上に張り出していた木の太い枝から、何本
もの蔓がしゅるしゅるっと下りてきて、望の両手首、そして両足首にしっかり絡
み付いたかと思うと、ぎり、ぎり、ぎり、と空中へ引っ張り上げていく。

「ああっ! は、放せ! 蔓!」望は必死にもがいたが、巻き付いている蔓はビ
クともしない。

 とうとう望は地上数メートルの枝から、エビぞりの状態で釣り下げられた形と
なった。

 ここでふと下を見ると、あびるが自分と同じように両手足を蔓に絡み取られ、
大の字に拘束されているではないか。探検服の前ボタンはすべて外れ、インナー
が所々綻んでいる。その綻んだところやら、服の内側やらを無数の蔓が這い回っ
ている。見ると、あびるの秘部にも蔓は容赦なく襲いかかっているようだ。

「こ、小節さん、大丈夫ですか!?」

「先生!」蔓のもたらす感覚と必死に戦っていたあびるは、思わぬ方向から望の
声がしたのを耳にすると、思わずそ
の方向を見上げた。あびるの目に飛び込んできたのは、自分の上数メートルの位
置で、空中に拘束され固定されている望の姿だった。

「ああ、先生!だ、 あぁっ」大丈夫ですか、逃げて!と言おうとしたあびるの叫
び声は、下からあびる自身の中に伸びていた蔓のイタズラで中断された。あびる
の恥ずかしい汁を啜っているかのような動きをしたのだ。

「ああ、先生、見ないで…」
「小節さん…」下で展開されている光景に不謹慎にも欲情しかけた望は、自分の
浅ましい心を打ち消しつつあびるに声を掛けた。

「小節さん、逃げて、逃げて下さ…ひあっ!?」

427:あびるちゃんパニック!7
06/11/15 23:16:51 3gNnFwnZ BE:696156858-2BP(121)
 望のズボンの社会の窓のボタンの隙間から器用に入り込んできた蔓に、その呼
びかけは中断された。

 蔓は絶棒を下着の上からごしょごょとなぞっていたかと思うと、前の取り出し
口から中へスルッと入り込んだ。

「ひ、ひいっ!」異様な感触に望は戸惑った。
だが、蔓はそれ以上絶棒をいたぶる
ことはなかった。何本かが絶棒に巻き付くと、あっさりと社会の窓から絶棒を露出
させてしまった。まるでいつも家に閉じこもっている絶棒に、外の空気を吸わせ
たがっているかのようだった。

「ああ、小節さん、見ないで下さい…」
 だが、数メートル下の女生徒に絶棒を開陳した羞恥心に駆られる暇はなかった。
望の目の前に大きな黄緑色のバナナ状の袋―あるいは小型のコテカ(ペニスケ
ース)状のモノ―が1つ、思わせぶりに垂れ下がってきたかと思うと、すすす
ーーっと下半身の方へ移動していったからである。

 袋の行方を目で追っていた望は、それが自分の絶棒の真下で泊まったのを目に
した。

「ま、まさか…」不吉な予感がした。

 その予感の通り、袋の上に被さっていた蓋がかぱっと開いたかと思うと、絶棒
を下から咥え込み始めた。そして、絶棒の根本まですっぽり飲み込んでしまった。

「ひゃあああ!」袋の中の異様な感触に、望は全身に鳥肌が立った。その中には
液体が詰まっていた。それに加えて、ぬめぬめっとした小さな粒々が、絶棒を不
規則に刺激してきたのだ。

 ぺちょぴちょっ。くちゅぐちゅっ。

 ここで望は不意に、小学校時代に眺めていた植物図鑑のある頁を思い出した。
 食虫植物の頁に、ウツボカズラというものが載っていた。確か、ウツボカズラ
は袋の中に落ちた小さな昆虫を粘液で溶かし、それを吸って養分にする。…という
ことは、私の絶棒も…

「ひああああ、イヤだ、イヤだああ!! 私のナニが溶ける、溶かされちゃいます
~~~!!!」

 今や中の動きに刺激され情けなくも勃ってしまっていた絶棒を制御することも
出来ず、望は絶棒が溶けて無くなってしまう恐怖に背筋が凍った。何とかしてこ
の袋を振り落とそうと有らん限りの力を振り絞って全身を揺さぶった。

 だが、そんな望の努力をあざ笑うかのように、袋の中の動きはますます激しく
なり、絶棒を追い込んでいった。


428:あびるちゃんパニック!8
06/11/15 23:20:08 3gNnFwnZ BE:626540966-2BP(121)
 あびるの秘部に侵入してきた蔦だが、その侵入の仕方がまた憎らしい。一目散
に奥を目指すのではない。襞の一枚一枚をなぞるように、じわ、じわっと自分を
襞のうねりに沿わせてゆっくり進んでいくのだ。まるで、繊毛で襞の恥ずかしい
滑りを吸収しているかのようだった。
 
(ああ、感じてはいけない、感じてはいけないのに、…)あびるは必死に感じま
いと念じた。だが、蔓の予想外の巧みな動きに、仕方のないこととは言え、本来
ならあの時のためのモノである恥ずかしい蜜がじわじわっと湧いてきてしまった。

 すると、その蜜を舐め取ろうとするかのように、蔓が勢いを増してあびる自身
の中を這い回った。そして、その勢いがまだ草叢を這っていた蔓にも伝わったの
か、それらも続々とあびるの中に侵入してきた。

「くああ、あああぁ…そんな…いやぁ」
自分自身が徐々に広げられていく感
覚にあびるは喘いだ。密かに感じていた快感が一挙に数倍になったのだ。


 今や、何本もの蔓が、縦横無尽に中を這いずり回っては痺れるような快感を全
身に送っていた。
 もちろん、下が頑張っているからといって上の蔓が一休みするわけではない。
胸を愛撫していた蔓は、あびるが下も感じ始めるとなお一層その動きを強めた。

(ああ、はああん…せ、先生に見られているのに、そんな…いやぁぁ…)

 上下から発する強烈な快感に、あびるは抵抗しようとする意識がともすれば飛
びそうになるのを必死で堪えた。

 気が付くと、目の前に無花果状の赤黒く熟した実をつけた枝が伸びてきていた。
どうやら自分に食べさせようとしているらしい。

 突然、あびる自身の中で数本の蔓が共同して奥の快感スポットを強く突いた。

「はああっ!」思わず叫び声が出た。口を開けてしまったところに、先程の実を
落とし込まれてしまった。

 口の奥で潰れたそれは、濃厚なココナッツミルク味に続いて、甘ったるい果汁
をあびるの口腔にほとばしらせた。嚥下してしまうと、カッと体中が火照ってきた。

(ああああ、何か変よ…)

 全身が燃えるように熱い。相変わらず胸を這っている蔓からの刺激が、とても
心地よいものに感じられる。あびるは自分の胸の双丘の頂が勃起していることを、
恥ずかしながら自覚した。それらはジンジンと痺れ甘美な電流を発し、精一杯背
伸びして快感を訴えている。


429:あびるちゃんパニック!9
06/11/15 23:25:09 3gNnFwnZ BE:104423832-2BP(121)
 ふと望の顔が目に入った。視線が合った。望は慌てて目を反らした。

(ああ…こんなはしたない姿を先生に見られている…!)あびるは羞恥で顔から
火が出る思いになった。

 望を見てみると、彼の股間にはバナナのような袋がぶら下がっていて、もぞも
ぞ蠢いている。おそらくは絶棒を飲み込んでいるのだろう。望も真っ赤な顔をし
て、時折首を左右にうち振っている。顔の近くにあの赤黒い実の付いた枝が何本
も待機している。

(ああ、先生も責められてるのね…快感に耐えてるのね…)

 私が責めているときと比べてどうかしら…と考えた途端に、あびるはこれまで
になく鋭い快感が下から沸き起こるのを感じた。さっきまで中にいた蔓より遙か
に細い蔓が、真珠に絡み付いてきてキュッと絞ったからだ。

「きゃああううっ!!」あびるは思わず叫んだ。目の前を大量の火花が飛んだ。中か
ら蜜液がじゅわっと滴ってきた。

 この反応に気を良くしたのか、細い蔓は肉芽だけをターゲットにして活動し始めた。

「ああ、いやああ、ひゃああううん」あびるは嬌声を挙げ続けた。

 細い蔓は、あびるの肉芽に巻き付いてすりすりっと移動、解ける、という動作
を飽きずに繰り返した。時には巻き付いた後に締め付け、さらにきゅっ、きゅっ
と絞り込むような動きも見せた。

 この責めにあびるの真珠は堪えきれず、隠れていた姿を現し始めた。
 蔓としては、それを見逃すはずはない。真珠と覆いとの隙間に入り込もうとす
るかのように繊毛を蠢かしながら、隙間に残る蜜を掬い取るかのように、こそげ
取るかのように執拗にじゅくじゅくと擦り上げた。

(ああ、はああ…ああん……)あびるはもう声も出ない。自分では体験したこと
のない快感を、なぜこの蔓が発生させているのか、分からない。もう、もう…

 頭が真っ白になった。軽くイったようだ。
だが、―それでも蔓は動きを止めない。あびるは再び追い込まれつつあった。


 湧き出た泉の水を共同して啜っているように活動していただった蔓が、いつの
間にか揃ってあびるの入口を広げるかのような動きをしていた。

 一瞬責めの間が空き、あびるがほっと一息ついた途端ぬに、今までの蔓とは全
く違ったモノが入り口を窺う動きを感じた。

「……?」
 快感で痺れた頭を持ち上げ、股間を眺めたあびるは息を呑んだ。


430:あびるちゃんパニック!10
06/11/15 23:30:16 3gNnFwnZ BE:174039825-2BP(121)
 直径数センチはあろうかと思われる茎―いや、枝と言ってもいいかも知れな
い―があびるの中に侵入しようとしていた。

 触手に嬲られているときには感じなかった「犯される」という感覚が、今度は
ひしひしとあびるに迫ってきた。

(ああ…そんなの、ダメ…先生のでないとダメ…先生しか入れたらダメなのに…
先生、ごめんなさい…ああ、いや、入ってこないで! お願い、止めて!!)

 だが、あびるの願いも空しく、それは易々と侵入してきた。

 ずっ。ずにゅっ。ずにゅっ。ずにゅっ。

「はああああああっ」

 圧倒的な存在感だった。だが、さきほど蔓に嬲られていたせいで、痛みは感じ
ない。それに、この太枝自体も表面は滑っていたし、先ほどあびるを狂わせた繊
毛で覆われていたのだ。

 奥まで侵入してくると、それはあたかもオトコがそうするように律動を始めた。


 太枝があびるの中で動く度に、極彩色の仕掛け花火が瞼の奥で飛び交った。次
から次へと生み出される快感の渦が脳を痺れさせ、あびるの全身を溶かしていく。

(あああ…先生、先生……助けてえ……私、堕ちちゃう…)

 さきほど突かれて哭かされた秘密のスポットを、この枝はいとも容易に最初から突いてきた。

「はああああん…」また叫んでしまった。

(ああ…先生以外で感じてはダメなのに…感じてしまう…ああ、先生、ごめんなさい。先生、先生…)

 もがく力が薄れてきているのか、抵抗する勢いが鈍くなっている先生の姿があ
びるの目に入った。先生の目は開いているようだ。

(ああ、先生に、この枝に犯されている姿を見られている…先生以外のモノで感
じている私を見られている…恥ずかしい私を…)

 やがて、先程からあびるの菊座を寄って集ってマッサージしていた蔓に交じっ
て、別の枝が菊花の中心をノックしていることに気付いた。

「え、あ、い、いやっ! そっちはダメ!」
 痺れるヒップをわずかに捩って逃げようとしたが、口内へ新しい実を押し込ま
れてしまった。


431:あびるちゃんパニック!11
06/11/15 23:33:57 3gNnFwnZ BE:487309474-2BP(121)
 またも濃厚なミルク味に続いて、甘い果汁が口中で広がった。
 先程にも増して身体が熱を帯び、抵抗する動きが鈍った。

 その機会を逃さず、すっかり解されてしまった後ろに先程の枝が一気に侵入し
てきた。

「はううぅぅぅっ!」

 前の太枝は最初はゆっくり動いていたが、今度の枝は最初から激しくあびるを
蹂躙した。

「ひああ、ああ、ふああっ…」

 だが、あびるの喘ぎ声は長くは続かなかった。先程口に果実を送り込んだ後そ
のまま残っていた枝に、細い蔓が何本も絡み付いてきて、口腔内はおろかあびる
の喉まで犯し始めたからだ。

「あ、あぐ、あ、あ……」

 太枝が前と後ろ、それに口のトリオで動き、あびるを奈落の底へ追い詰めていった。

 さらに、休むことなくあびるの全身を這い回っていた蔓も、ここぞとばかり動
きを活発化させた。

(はあ…そんなに激しくされたら、もう、もう…私もう、堕ちちゃう……)

 息も絶え絶えなあびるは、自分の前に入っている太枝をふと眺めた。その太枝
は視界の端に写っている茂みから出ていたが、そこで何かがガサッと動いた。

 薄れゆく意識の中、必死でそれを見ると、太枝の根本から、何かが太枝の中を
伝わってゆっくりとあびるの方へ向かってきていた。

 あびるは、本能的に受胎の危機を感じた。

(はああ…あれが、「タネ」なのね。あれをお腹の中に入れられたら、私、おし
まいなのね…)
 
 前後の枝の抽送はますます情熱的になった。ほとばしる蜜液を啜ろうと、蔓が襞
の合間を蠢く。胸に巻き付き絞り上げ、全身にまとわりついいている蔓も、あび
るの発する汗やフェロモンを少しでも吸収しようと必死に絡み付く。あびるに抵
抗の余地はなかった。

 「タネ」は、太枝の中を緩慢に、だが着実にあびるにむかって移動してきてい
た。ちょうど蛇が鶏卵を飲み込んだような外見で、その中の卵がずるっ、ずるっ
と移動するようだった。

(あああ、もう、逃げられない…私、あんなタネをハラまされてしまう…)


432:あびるちゃんパニック!12
06/11/15 23:38:04 3gNnFwnZ BE:104424023-2BP(121)
 太枝を突っ込まれている前から発する快感、後ろから生じる快感が下半身に伝わ
ると共に背筋を這い上り、胸から生じる快感と相まってあびるの全身を溶かし、
脳を痺れさせた。


 今や、「タネ」はあびるの入り口の前約十センチに迫っていた。

ずいっ、ずいっ、ずいっ。

 「タネ」は、緩やかに、だが刻々とあびるの中を目指してきた。あと五センチ、
四センチ…もうあびるの秘門が目の前だ。

(ああ、先生、ごめんなさい…私、先生の…ああぁっ……先生の赤ちゃん産みた
かったのに…ごめんなさい………ああっ、もう、もう、もう……先生、先生、…
……先生―――――っ……)



――つぷちゅぷっ。ぬめぬちょっ。

 一方、望はどうなっていたか。
 一時は絶棒が溶かされると恐怖したものの、袋の中のつぶつぶぬめぬめの蜷動が
もたらす感覚に、早くも高ぶってきた。

(こ、……こんなので気持ちいいなんて…なんたる恥……)

 突然、望の口に赤黒い果実が押し込まれた。上記であびるが食べさせられたのと
同じ、無花果状の実である。

 望の口の中でも、それは濃厚なココナッツミルク味の白濁汁に続いて、甘った
るい果汁を口腔にほとばしらせた。嚥下しきれないうちに、また一つ、また一つ、
と次々に押し込まれてきた。望は吐き出そうとしたが、蔓のまとまりに口を塞が
れ阻止された。必死に嚥下するしか選択肢はなかった。

(あああ、熱い、熱い、身体が熱い……)
 急に望の体中が火照ってきた。以
前、可符香にガラナチョコを食べさせらた時のことが思い起こされた。

 いつの間にか絶棒を包み込んでいる房に対する不気味さが消え、快感だけが感
じらるようになった。

(はあっ…こんなので…でも、気持ちいい…)

 快感で心が緩んだ隙に、いきなり後菊に枝が入り込んできた。

「ひあっ! そ、そちらは!」

 ずいっ。ずいっ。ず、ず、ずいっ。

 望は狼狽したが、枝はかまわず侵入してきた。まるで自分の要役地を知ってい
るかのようだった。

(ま…まさか…)
 望は嫌な予感がした。


433:あびるちゃんパニック!13
06/11/15 23:46:05 3gNnFwnZ BE:835387968-2BP(121)
 果たしてその予感の通り、枝は前立腺を的確にノックした。

「ほわああああああ! ひゃあ、ひゃあああっ!」望は絶叫した。
 
 以前開発されたときに勝るとも劣らない背徳の快感が背筋を駆け昇った。

(あああ…こんなのに感じている恥ずかしい姿を小節さんに見られるなんて……
もう生きていけません!)

 だが、ネガティブな思いは後ろの枝の連続ノックによって雲散霧消した。目の
前を極彩色の万華鏡の幻影が駆け巡った。

 絶棒からは大量の先走り液が出ている筈だったが、袋の中の粒々がそれを嬉々
として吸収するかのように、亀頭のあたりでしきりに蠢いた。その動きがまた絶棒を反り
返らせた。

 快感に歯を食いしばって耐えていた望は、つい眼下の光景に目が行っってし
まった。

 大の字に拘束されたあびるの胸に蔓が何本も絡まって、絞り上げている。それ
に、股間にも蔓が集中して、身をくねらせている。ひょっとしたら小節さんの中
に入っているのでは…

 つい見とれていると、あびると目があっているのに気付いた。

(ああ、こんな破廉恥な視線を見て知られてしまいました…)望はあわてて目を
反らした。

 反らしたその瞬間、前の袋の中の粒々の動きに変化が生じた。

 それまで不規則に、互いに無関係に蠢いていた粒々が、まるで何かを絞り出そ
うとするかのように規則的なウェーブをつけてきたのだ。

 袋自体は位置を変えていないものの、望は疑似的なピストン運動をしているか
のような錯覚に囚われた。

 肛門を閉めたり足の指をぎゅっと縮めたりと、放出は避けようと空しい努力を
しているうちに、また下で繰り広げられている光景が目に入った。

 あびるの股間に、太い枝が入り込んで律動しているではないか。

(ああっ、私の小節さんが、あんなことに!)

望は出来ることなら助けに行きたかった。だがその反面、自分があびると疑似的
な性交をしているのだ、という奇妙な思いに捕らわれた。


434:あびるちゃんパニック!14
06/11/16 00:31:24 /HUPjn7u BE:469906439-2BP(121)
 そう言えば、彼女を貫いている太枝の律動と、絶棒を包み込んで絞り上げてい
る粒々の律動が同じである。

(ああぁ、小節さんと遠隔的に媾っているのでしょうか…うああ…
 で、でも、小節さんと直にする方が何倍もいいし…)
 
 ここで、後ろに入っていた枝がまたポイントを直撃した。

「ひゃあううん!」
(うう、小節さんならもっと上手に責めてくれます…ああ、うああ…)

 再び口内に果実を含まされた。

 下ではあびるが全身を蔓に覆われ、口に蔓の束らしきものを咥えさせられ、股
間を太枝に貫かれ、悶えている。もしかしたら、後ろの方もそうなっているのか
も知れない。何ともエロチックで、劣情をそそる。目をぎゅっと瞑っても、あび
るの悶える姿が悩ましく想起されてしまう。

 望は懸命に射精感を堪えていたが、目の前のあびるの姿にどうしても我慢が出
来ず、屈辱の放出へ追い込まれていった。

(あああ、出してはいけないのに、はあぁっ…自分の教え子の姿で感じてはいけ
ないのに…小節さん、ごめんなさい。私は小節さんを助けられなかった…おまけ
にあなたの陵辱されている姿で欲情してしまうダメな教師でごめんなさい…)

 袋の中と後ろの枝の動きがフィニッシュに向け、ここぞとばかりに激しくなっ
た。絶対に精を搾り取ると決意したかのようである。
 望の目の前を、頭の中を、全身をきつい快感の電流がスパークした。

(はあああああああああああぁぁぁぁっ、
小節さ―――――ん!)

どくぅっ。どくっ、どく、どくっ…………

 ついに望は袋の中に濃口の子種を大量に注いでしまった。袋は一滴残らず吸収
するかのように、絶棒の根元から頭に向けて何度も絞り上げる動きを見せ、望を
呻かせた。

 ところが、欲しいモノを入手してしまうともう獲物は用済みだとばかり、急に
望を拘束していた蔓の力が抜け、何本かの蔓は拘束から撤退した。絶棒を包み込
んでいた袋はいつのまにか抜け、蓋が被さるとすうっと木陰の奥に消えた。後ろ
を貫いていた太枝も、するりと抜けてしまった。

 小動物なら中途半端に拘束されたままこのまま死ぬまで放っておかれる。だが、
望は華奢とはいえ人間の成人である。体重で自然に蔓が切れ、望は地面に落下した。


 望が落下した先は、まさにあびるに「タネ」を植え付けようとしていた太
枝である。偶然、望の顎がその「タネ」の部分を直撃した。

 「タネ」は望の首の下の枝の中でグチュッと嫌な音を立てて潰れた。


435:あびるちゃんパニック!15
06/11/16 00:35:56 /HUPjn7u BE:348078645-2BP(121)
 植え付けに失敗したのを直感したのか、あびるを貫いていた枝が急に縮み始め、
あびるの前後、それに口からずるりと抜けた。全身に絡み突いていた蔓がするするっ
と後退し始めた。中には途中で枯死して茶色く干からびてしまった蔓もあった。

「………せ、先生?」急に戒めが解けたあびるは、不審そうに辺りを見回した。
やがて、自分の股間に望がうつ伏せに倒れているのに気がついた。

 それに、自分の前後にも、不快なモノはもう入っていない。お腹に何かを入れ
られた感覚もない。すっきりしている。「タネ」を植えられずにすんだのだ!

 助けてくれたのは、自分の股間で気絶している望しか考えられない。

「先生…助けて下さったんですね!」先程までの蔓や枝の責めで体力を消耗し、
まだ起き上がれないあびるは、先生に感謝するかのように、のろのろと足を閉じ
かけると太腿でそっと望の頭を挟んだ。

「ありがとう、先生……私、将来、結婚は無理かも知れないけど、絶対に先生の
赤ちゃんを産むわ…」以前から漠然と思っていた想いを、あびるは今回の事件で
はっきりと自覚した。


「う…うーーん……」望は呻いた。目を覚ましたようだ。
「……………?」自分が落下した所で記憶が途絶えている望は、身体の下で草む
らが潰れている感触を感じた。自分は地面に落ちたんだっけ…。それに、顎から
下に何かの枯枝があるようだ。そういえば、顎に何かがぶつかった気がする…。

 ここまで思い出した望は、目を開けた。目の前にあるのは、見覚えのある形を
した若草の茂みだった。ズボンやパンツの残骸がかすかに引っかかっている。

「小節さん…無事でしたか」

「先生…よかった…目が醒めたんですね」あびるが太腿で望をぎゅっと挟んできた。

 頭の両側で感じるあびるの体温と
太腿の瑞々しい弾力に、自分達は助かったのだ、という実感が望に湧いてきた。

 望は少し首を伸ばすと、淫らで過酷な試練に耐えたあびるの秘所に、優しく労
るように接吻し、舌を這わせた。


 やがて、望はゆっくりと身を起こした。かつてあびるを責めていた枝や蔓は、
すっかり枯れ果てていた。

 ふと見ると、枝の先っぽの方に、枝の中で何かが潰れて、赤黒く変色している
部分がある。

「これが『タネ』だったんですね。危ないところでした」
「先生がそいつを潰してくれたおかげで私助かったんですよ」


436:あびるちゃんパニック!16
06/11/16 00:44:05 /HUPjn7u BE:208847726-2BP(121)
「え?」助けた自覚がなかった望は面食らった。が、あびるの話や自分の体験、
それに周囲に残された残骸から、当時の状況を把握した。

 ふとあびるの右手に握られているモノに目を遣った望は、目を見張って声を挙げた。

「あ、小節さん、おめでとう。しっぽを手に入れてたんですね!」
「え?」望に言われて初めて、あびるは自分の右手にまだあの鳥のしっぽが握ら
れていることに気がついた。鳥そのものは逃げてしまっていたが、しっぽがほぼ
完全な形であびるの手に残されていた。瑠璃色と玉虫色に輝くそれは、しっぽだ
けでも素晴らしいものであった。

「うわあ…きれいな色ですねえ」望は感心したように見入っている。
 鳥が、あびるが責めに耐え抜いたのに根負けして、プレゼントしてくれたかの
ように、どこにも欠けた部分がなく、完全な姿を留めていた。

「先生…私、とても嬉しい、嬉しい、嬉しいいい―――――っ! やったああああああ―――――!!」

 あびるが心からの快哉を叫んだ。日本を出たときの目標である「古代の姿その
ままに生きる生物のしっぽゲット」を見事達成したのだ。


「さて、確か、近くに小川がありましたよね。ちょっと身体を清めましょう。洗濯
もしないといけませんし。……小節さん、もう立てますか」
 望はあびるを立たせると、肩を抱き抱え、二人分の荷物を持ち流水の音がする
方へ向かった。


 小川の前に出た。南方の川にしては珍しく、清流が心地よい音を立てている。

「さ、小節さん、いらっしゃい」
 先に川に入って安全かどうか確かめていた望が、あびるを手招きした。あびる
は素直に服を―と言っても、探検服は辛うじて原型を留めていたが、下着は単
なる端布と化しており、原型をどこにも留めていなかった―を脱ぎ捨てて川に
入り、望の元に寄った。

 望はあびるの全身を清水でくまなく洗った。幸い、髪の毛は陵辱を免れていたの
で、首から下を、丹念に濡らしたタオルで擦った。

 手、脇、胸、腹、背中、足と進むにつれ、絡みついていた蔓の切れ端や泥が取
れ、あびるの肌が十代の少女らしい輝きを取り戻した。

「あの…ここも洗っちゃいますね」
 望はしゃがんで片膝をつくと、あびるの秘所に向き合った。
「……はい」あびるは素直に返事した。


437:あびるちゃんパニック!17
06/11/16 00:49:30 /HUPjn7u BE:626540494-2BP(121)
 望は蒼い若叢に水を掛けながら、優しく何度も梳いた。

「中も…いいですか。中に枝の残骸が残ってたら危ないかもしれませんし」
「……はい」
 望は貴重品を扱うような手つきで、そおっとあびるの秘唇を開くと、中をやわ
やわと指で擦り始めた。中に残っていた微細な繊毛を一本一本掻き出すかのよう
に、丹念に奥から入り口へ、奥から入り口へと指を滑らせた。

(ああ…先生に洗われている……)

あびるは望の頭に手を置き、知らず知らずこみ上げてくる快感に耐えていた。特
に、指が秘密のスポットを往復する際には、思わず望の髪を握りしめた。

「ここも、いいですか。合間に入り込んでたらいけませんし」
望の指が秘豆をクリクリっと刺激し始めた。

「はああっ……先生…先生……」あびるはぎゅっと望の髪を掴みながら喘いだ。

 望は豆の周囲を丹念にほじっていたかと思うと、十分真珠が自己主張し始めた
のを確認してから皮をそっと剥いた。

「ひゃあっ」思わずあびるは声が出た。

 剥き出しの真珠を指で直接触るのは、流石に刺激が強すぎる、くらいの心遣い
は望にもあった。望は豆の周囲、皮で覆われていた部分を丁寧に舌で清め始めた。

「はああ、はうううん」

 あびるはたまらず嬌声をあげた。たまらず太腿を閉じ合わせようとし、望の頭
をぎゅっと掴んだ。あびるの奥から潤ってきた泉が溢れ、幾筋も太腿へ伝わって
いった。

「あれ? ちゃんと洗ったはずなのに、中から水分が溢れてきましたよ?」
「…先生のイジワル!」あびるは悶えた。

「こちらの方も洗っておきますね」望の指がようやく前から離れると、蟻の戸渡
りを丁寧に擦り洗いしながら秘菊へと向かった。

「あぅ…あっ、先生、そっちはダメ、ダメ」 指の行き先に気付いたあびるは、
慌てて望を止めようとした。

「ついでですよ。皺の間に胞子か何かが入り込んでたりしたら大変ですから」先
生は菊の可愛い皺を指で丁寧に解しながら水を掛け始めた。

「…先生のばかぁ!」あびるが羞恥に身悶え、望の頭を抱き抱えた。身悶えれば身
悶えるほど、あびる自身が蜜を湛えることになった。


438:あびるちゃんパニック!18
06/11/16 00:52:34 /HUPjn7u BE:417694346-2BP(121)
 今度は、身体の隅々まで清められたあびるが望を洗う番である。

 望はあびるより背が高いので、そのままでは髪の汚れを落とせない。

「先生、しゃがんでもらえますか?」あびるが先生に言った。
「はい」望は素直に応じた。

 わしゃわしゃっと髪の毛を洗い、耳の後ろや首筋を擦った後、

「はい、じゃあ立ってー」

 あびるは望の首から下を、濡らしたタオルで丹念に擦った。

 手、胸、腹、足、脇、背中と流れるように洗っていたあびるが、望に声を掛けた。

「じゃあ…ここも洗っちゃいますね」
「…やっぱり?」
「ええ。さっきは本っ当に丁寧に洗ってくれたから、私もお礼に、とびきり丁寧
に洗ってあげます」
「はうう…」

「じゃ、四つん這いになって下さい」

 あびるの指示に望は戸惑った。
「ええっ!? 小節さん、それはいったい!?」
「男のコは女より複雑なんで、立ったままだとよく汚れが落ちないんです」

「はあ…そんなものですかねえ…」
 ぼやきながらも、望は素直に川の中で四つん這いになった。

「もっと腰を、お尻を上げて」追加の指示が飛んだ。
「とほほほ…」

 あびるはいきなり望の菊門に水を掛け、ゴシゴシ…とではなく、柔らかく洗い
始めた。

「はあぅ…あっ、小節さん、いきなりそっちはダメですぅ」望は、慌ててあびる
に哀願した。

「…皺の間に胞子か何かが入り込んでたりしたら大変ですから」
 あびるは望の先の科白を繰り返し、勝手知ったる望の後ろを緻密に丹念に清めた。

 あびるに洗われるにつれ、既に開発済みの快感が望に働きかけ、背筋を伝わっ
て全身へと巡ってしまった。いつしか絶棒がそそり勃つのを止めることはできな
かった。

「じゃあ、次はここ…って。……先生、もう勃ててるんですか? ちょっと早す
ぎませんか?」
「…小節さんのイジワル!」

 あびるの手は、望の宝珠入れに向かった。ぐにぐにぐにっと、丹念にもみ解し、
時折冷水を掛けては皺皺の間の汚れを擦り洗いしていく。


439:あびるちゃんパニック!19
06/11/16 00:56:08 /HUPjn7u BE:69616122-2BP(121)
「あひ、あひ、あひぃ! そ、そんなに激しくしないで! おね、お願い、優し
くして下さい。潰れちゃうじゃないですかあ!」

「さっきも言ったでしょ。皺の間に
胞子か何かが入り込んでたりしたら大変ですから」
「そ、そんなああぁ」

ぐりゅっ ぐにゅっ…

 気が済むまで揉み込んだあびるの指は、ようやく絶棒に向かった。

 先程からの指技で、絶棒は痛いほど聳え立している。その根本から、あびるの
細く柔らかい指が擦り上げてきた。

しゅり、しゅり、しゅるり。
「はああああぁぁぁぁぁぁ」
(か、感じてはダメ、洗われてるだけなのに感じたらダメです!)
 望は必死に耐えた。

 ようやく亀頭に到達したあびるの指は、つるんっと余りを剥くと、張り出した
血色のよい冠の下を、少しずつ念入りに磨き始めた。

すりすりすりすりすりっ…

「ふわわわっ、小節さん、もういいです。もういいですったら。もう」
「男のコでしょ。これくらい我慢しなくち
ゃ」
 すっかり望を子ども扱いしたあびるは、
剥いた皮の方も丁寧に伸ばして洗う
と、ピンクに光る裏筋や頭のくびれをくにくにくにっと指の腹で擦り始めた。

くにににくりくりくにくりっ…

「ほ、ほわわあああっ」今や絶棒は発射を待つ核弾頭のごとくそそり立ち、随喜
の涙を溢れさせている。

 あびるはそれを指につけると、亀頭に満遍なく塗り広げ始めた。
「あれ? きちんと洗ったはずなのに、どうしてベタベタになっちゃんですか?」

「…小節さんのばかぁ!」
 望は膝をガクカク震わせた。腰が砕けそうだったのだ。


 その後、川の水で洗濯を終えた二人は、荷物と洗濯物を持って浜辺へ向かった。

 洗濯物を干してしまうと、望はあびるに提案した。

「ねえ、服が乾くまでの間、せっかくの南の海ですし、泳ぎませんか?」
「私水着持ってきてませんけど」
「二人だけなんですから、裸でいいじゃありませんか」
「…先生のえっち!」


440:あびるちゃんパニック!20
06/11/16 01:01:17 /HUPjn7u BE:313271036-2BP(121)
 が、あびるはしばしの間考えた。
(まあ、先生になら見られてもそんなに恥ずかしくないし、さっきはいろんなと
ころを洗われたし、…それに助けてくれたから、まあいいっか!)
 あびるは先に海に入っていた望にじゃぶじゃぶと駆け寄っていった。

 砂浜は、大きなナマコが点在しているのを別にすれば、どこまでも真っ白だっ
た。海水は澄み切ったコバルトブルーで、浜のごく近くまで熱帯魚が泳いできて
いる。

 二人は水をばちゃばちゃ掛け合ったりして、いつまでも無邪気な水遊びを楽しんだ。

 こうして無邪気に自分とじゃれ合っているあびるの姿は、望には誠に健康的だ
と思えた。彼女の大きな胸や肉感的なボディラインを見ても、不思議と劣情は催
さなかった。

 やがて日が傾いてきた。着衣を整え、荷物をまとめて砂浜で待っていると、朝
乗った小舟のエンジン音が聞こえてきた。やがてボートの姿が見えた。

「おーーーい」「おーーーい」
 二人が手を振ると、舟の中からも手を振り返してきた。朝のあのボーイだった。

「フタリトモ、ブジ。ヨカタ、ヨカタ」ボーイは心から無事を喜んでくれた。

「サア、ノテクダサイ。」
 ボーイに促され、二人が小舟に乗り込むと、ボートは器用に向きを反転し、今宵
の宿へと向かった。

 舟の上では皆黙っていた。二人きりの世界にしてあげよう、というボーイの好
意がよくわかって、望は嬉しかった。

 大きな深紅の太陽が海の彼方に沈もうとしている。舟上で二人の接吻している
シルエットが、燃える夕日に浮かび上がった。


 日本に帰ってきて数日後に、望はあびるの家を訪れた。あびるの父親は、また
出張で不在だった。

 応接間に通された。あの壁から生えているしっぽの群に、新たに加わった青い
鳥の長く美しいしっぽが誇らしげに燦然と輝いていた。

「おぉーー…こうして見ると、流石に素敵ですね、あのしっぽは」望は素直に感
心した。

「えへへ…そう思います?」
 あびるはいつになく満面の笑みを湛えていた。これほどの笑顔は、望が初めて
この部屋に通されたとき以来かも知れない。

 その後、二人は自然な成り行きでえっちへなだれ込んだ。


441:あびるちゃんパニック!21
06/11/16 01:04:35 /HUPjn7u BE:730964276-2BP(121)
 だが、二人でシャワーを浴びているときから、望は、あびるの様子がどこかお
かしいことに気付いた。おかしい、と言うよりは、違和感があるのだ。

 口に出せないまま、胸を見つめていると、それに気付いたあびるが望のヒップ
をキュッと抓った。

「あたっ」
「どこじっと見つめてるんですか。えっち」

「小節さん…あなた、胸が大きくなりました?……あいたっ」あびるがもう一
度抓った。

「先生のスケベ! ……まあ、先生だから言っちゃいますけど。…帰国してみた
ら、サイズが急に二回り大きくなってたんです。今手持ちのブラが全部入らなく
なっちゃって…」
「それは大変ですねえ」買い換えるのに手間暇がかかるのかな、と同情しつつ、
望はあびるの胸に手を這わせた。

「ひゃああっ」あびるが叫んだ。
「ど、どうしたんです?」
「先生の手、か、感じる…」あびるが切れ切れに言った。
「そうですか?ごく普通に触っただけですよ。…ほら、こんな具合…」
「はあああっ、ひあぅぅっ…」あびるは悶えた。明らかに以前とは反応が異なる。

「こ、これは…もしかして…」次にゆっくりと揉んでみた。

「あはあ、はあんぅうっ…」あびるは上体をくねらせ、快感を訴えている。

「小節さん、ひょっとして、感度もよくなりました? もの凄く敏感になってま
すよ」
 望はこう言うと、揉み込みながらピンクの頂に舌を這わせ、ちゅっと軽く吸っ
てみた。

「ふあああああぁぁぁぁっ!!」
 あびるの身体がビクンビクン、と跳ねた。もう軽く達したようだ。
 だがそれより、もっと望を驚かせたことがあった。

 吸っている内に、口中に甘い味が広がったのだ。

 驚いて口を離し、可愛い頂を凝視すると、周辺から白い液体がと滲み出してきた。

 ジワジワッ、ビュクビュクッ。ぴっ。

「こ、小節さん! あなた、母乳が出てますよ!!」
「…え?」さっき軽く達したらしいあびるが自分の胸を見て驚いた。
「ほ、本当だ! おっぱいが出てる!…もしかして、タネ植えられちゃってたの
かな」


442:あびるちゃんパニック!22
06/11/16 01:12:25 /HUPjn7u BE:1096446479-2BP(121)
 あびるが急に不安で泣きそうな表情になった。望はあびるの胸の下からお腹、
若叢に至るまでゆっくり掌を広げて撫でてみた。

「うーん、お臍から下はとても綺麗ですし、ぽこって出てませんし。…失礼」
 望はあびるの腹に耳を当ててみた。が、もちろん何も聞こえない。

「不審な音は聞こえないですよ。あれだけよく洗ったんですもの。多分大丈夫で
すよ。心配なら、後で一緒に医者に行きましょう。家のツテで、秘密厳守の所が
あるんです。誰にも知られないようにね」

「…ありがとう、先生」あびるが望に抱きついたかと思うと、激しく接吻してき
た。
 いつもより激しい接吻の心地よさに酔っていた二人であったが、あびるが望の
背中に回っていた手が下りてきて、望の胸の辺りに触れた。指が偶然望の乳首に
触れた時…

「はうぅっ」ぞくりっ! 
 そこから望の上半身に電流が走った。

「……先生?」
 反応に吃驚したあびるは、指先で望の乳首をさわさわっとくすぐってみた。

「うひゃあああぁっ」甘い痺れが奔流となって望の全身を駆け巡った。

「…先生も、感度よくなってません? それに」
 顔を起こしたあびるが、先生の胸を眺め、何度か撫でてから言った。

「先生…いつの間にか胸が出てます」
「はあ? まさか………って…ほあ?!」
 自分で胸を撫でてみた望は、撫で
た感触に異変を覚えた。恐る恐る自分の胸を見て愕然とした。

 以前はすとーんとした貧相な胸板だったのが、今ではなだらかな膨らみを持っ
た、どことなく柔らかそうな胸になっているではないか。

「こここ、これは一体…」
(き、木津さんのラインにそっくりになってます…)
「先生…千里ちゃんくらいはありそうですよ」
「!……ゴホン。…今度から、学校にはだぶだぶしたシャツを着ていくことにし
ます」

「……あ、まさか!」
 ここで、何か閃いたらしいあびるが望の乳首に吸いついた。

「あひょわっ!」

 ちうっ。ちうっ。ちゅうぅぅぅっ。

 むにっ、むにょっと望の推定Aカップの胸を揉み立てながら吸い上げると、あ
びるの口内にも甘いミルクが迸った。


443:あびるちゃんパニック!23
06/11/16 01:16:15 /HUPjn7u BE:835387586-2BP(121)
「やっぱり出た! 先生からもおっぱいが出た!」
「ほあぁあーーー?」
「母乳ではないですね。先生はオトコだから。えーと、父乳です!」
「ふ、父乳~!?」

 あびるが先生に聞いた。
「先生。あの島でアレに捕まったとき、何か食べさせられませんでした?」
「ええ。確か、無花果みたいな実を」
「それですよ! 私もそれを口に入れられたんです。あの実は、実は感度を敏感
にするだけでなく、母乳を出させる作用があるのでは」

 あびるの推理に、望も謎が解けた、といった様子で応えた。
「なるほど。二人に共通した出来事といえば、まさにあれを食べさせられた事に違
いありません。先生、あの実を5、6個食べさせられましたよ」

「先生。私は2つだけですよ」
「へ!?」
「……先生、その効果、私よりだいぶ長持ちするんではないかしら」
「とほほほ、どうしましょう…とんだお土産です。想定外ですよ」

 あびるは、「タネ」を孕んだのではないらしいことが分かって、目の前を覆っ
ていた不安の霧が晴れ、パァッと視界が明るくなったように感じた。

「私は嬉しいですけど。先生と一緒の秘密が持てて」

「そうですか? でも父乳は嫌ですよ。なんか、私がオトコなのに子どもを産ん
で育てるみたいで…」

「いいじゃありませんか。だって、先生を責める手段がまた増えたんだもの。そ
れに、どっちみち…」冗談めかしてあびるが言った。

「どっちみち、私が先生の赤ちゃん
を産んで、先生をずーーっと支配してあげるんだから」

「え~~!? そこはそうなんですか? だって、普通だと、オトコが女のコに
たっぷり中出しして、

『ほれほれ孕んでしまえ。俺が一生オマエを支配してやる』

って文脈になるじゃないですか」

「…先生、そんなのどこで覚えたんですか」
 絶棒をいじりながらあびるが突っ込んだ。

「はうっ……いや、それは、その…」
「先生の部屋のその手の本、そんなシチュエーションのものばかりなんじゃない
でしょうね」
 絶棒の裏筋をくすぐりながら追及してくる。

「いやだなあ、そんなことありませんよ」
 望は冷や汗をかいた。「まあ、いろいろと」
「いろいろと?」


444:あびるちゃんパニック!24
06/11/16 01:19:28 /HUPjn7u BE:730964467-2BP(121)
「ハッ!!」望は両手で口を塞いだ。
(し、しまった……)

「じゃあいろいろなジャンルのがたくさんあるの?」
「はうっっ……イヤハヤ、なんとも……」

「まあいいわ。今度徹底的に責めて尋問してあげます」
 亀頭をきゅっと握りながらあびるは宣言した。

「そんなあ~~」
「とりあえず、今日は上のミルクと下のミルク、両方ともたっぷりごちそうにな
りますからね。その代わり」ここで、あびるは望の耳に口を寄せた。

「後で私のおっぱいも吸っていいですから」

 そういたずらっぽく囁くと、あびるは指で望の乳首をくりくりくりっといじっ
て父乳をにじませつつ、絶棒をぱくっと加えた。

「あひい~~~~~」
 当然、下の方も、いつも以上に敏感になっている。あびるの口撃に、早くも放
出を予感しつつ悶える望であった。

 秘密のマジックフルーツの効果は、しばらく続きそうである。

―[完]―


445:214
06/11/16 01:24:38 /HUPjn7u BE:139231924-2BP(121)
 以上です。

 途中アクシデントがあったりして、投稿が間延びしてしまったことをお詫びします。

446:名無しさん@ピンキー
06/11/16 07:59:32 /hPfJ2H3
GJ!!!

447:名無しさん@ピンキー
06/11/16 21:18:59 unMWSV0O
これはかなりキタ
GJ

448:名無しさん@ピンキー
06/11/19 21:47:04 YkocuaGo
あびるはいいな
GJ!

449:名無しさん@ピンキー
06/11/20 01:06:07 i5Vbvvz9
キテタ━━(゚∀゚)━━!!!!!

450:名無しさん@ピンキー
06/11/24 01:20:36 Am9mayeI
休載だとネタがないね

451:名無しさん@ピンキー
06/11/26 02:47:31 Fqvmrswl BE:1096446097-2BP(121)
こんばんは。>>214です。
ここのところ毎晩、千里ちゃんが私の夢の中で、
強力な毒電波を放射しつつ暴れ回っています。

(『かってに改蔵』に出てくる羽美ちゃんの精神世界が舞台で、
魚目般若顔の千里ちゃんやら、
肉ヌンチャクを持った非常にエロ怖い千里ちゃん
-コミックス5巻103頁に出てくるような-
が…
というイメージ)

その度に寝汗をびっしょりかいて跳ね起きる始末で、
ほとほと困っています。

仕方がないので、度々で心苦しいのですが、
近日中に何か投下させて下さい。

投下にあたっては、スレ違いや板違いにならないよう、
脳内の千里ちゃんによくお願いしてみます。

>>446->>449
どうもありがとうございます。励みになります。

452:名無しさん@ピンキー
06/11/27 19:12:42 uCBormJk
投下wktk

453:名無しさん@ピンキー
06/11/28 01:07:35 pzjtt2jT
心苦しいだなんてそんな。是非お願いします。

454:名無しさん@ピンキー
06/11/29 18:58:19 nNRHEwRC
>>415
クドウくん人妻寝取っちゃったよw

455:名無しさん@ピンキー
06/11/29 19:09:04 aRv5R5bD
つか千里の28歳像が的確過ぎて泣ける……
心はいつも15歳ってのが挙がってなかったのは意外だが

456:214
06/11/30 20:44:57 TNW3WkMS BE:939810896-2BP(121)

 遅くなりましたが、先日申していたものを投下します。

 千里×先生のはずが、気が付いたらまたも先生総受けになってしまいました。

お断り:最後の方の固有名詞は、誓って言いますが今週のマガジンを読む前に書いていたものです。

>>452,>>453
ありがとうございます。やっと投下できるようになりました。


457:名無しさん@ピンキー
06/11/30 20:47:36 hrHmMc4B
初リアルタイム遭遇かな?

458:被朗読者1
06/11/30 20:47:36 TNW3WkMS BE:1253081298-2BP(121)

 望は追い詰められていた。

 前から左右から可愛い教え子が迫ってくる。 千里が、まといが、奈美や芽留が、さらに後の方にも迫ってくる。
 笛を手に高々と掲げてじりっ、じりっと間合いを詰めてくる。
 背後には木立が聳え、退路はない。

 切羽詰まった望は叫んだ。
「待って! まだ私は教師としての通過儀礼を受けていません!」

「教師としての通過儀礼?」千里が不審がった。
「そっちを先に……」

 だが、所詮その場限りの言い逃れである。
 望のいつもの悪い癖だった。
 後からさらに悲惨な目に遭うのがわかっていながら、つい目先の苦難をやり過ごそうとしては、口が勝手に動いてしまうのだった。
 無論、今回も例外ではない。
 死に勝るとも劣らない恐怖と屈辱、それに刹那的な快楽の一滴が望を待ち受けていた。

        ☆

 夜の2のへの教室。教室には明りが灯っている。

 ガラッ…ぽすっ

 望が戸を開けると、ラーフルが頭上に落ちてきた。戸に挟んであったらしい。

 教室内には、昼間、交の七五三に参列してくれた女生徒たちが揃っていた。普段は望を囲んでいるコ達である。ただ、マリア、カエレ、愛、霧はいない。千里・奈美・可符香・あびる・芽留・まとい・晴美の七人の、いわば絶望ガールズである。

 ラーフルを頭に乗せたまま、望が皆を見渡して爽やかに言った。
「ようやくみなさんの担任になれた気がします」
「これかよ!」千里が呆れたように突っ込んだ。教師の通過儀礼として、もっとハードなことを想像していたらしい。

「ええ。これ、教師になった時からの憧れだったんですよ。じゃ、そういうことで…」
 頭上にラーフルを乗せたままじりじりと後ずさっていた望は、くるりと後ろ向きになったかと思うと一目散に逃げ出した。

「あーっ、逃げた!」可符香を除く皆が口々に叫んだ。
「待ちなさい!」
「謀ったな、シャア!」
「卑怯者ぉ!」
「しっぽの刑よ、しっぽ!」
『逃げるなハゲ』

 当然、望の逃亡は未遂に終わった。教室を出てすぐの所にロープが張ってあり、それに引っかかって無様に転んでしまったのだ。

「ほわっ…あいたたた」

 打ち所が悪かったらしく、転んだまま立てないでいる望を引き起こしながら、可符香が言った。
「こんなこともあろうかと、先生の逃げそうな方角にロープを張らせてもらいました」
「くうぅ…」

 かくて望は皆にいとも易々と取り押さえられ、首輪手錠腰縄付きで連行される羽目になった。

「通過儀礼を受けずに逃げようとするなんて」
「呆れた奴ね」
「さあ、きりきり歩け!」
「とほほほほ…」

 右腕を千里、左腕をまといに取られ、首輪につけた鎖を可符香が引っ張った。腰縄を握っているのはあびるである。奈美と晴美は後ろから付いていく。芽留はこの様子を写メで撮影している。


459:被朗読者2
06/11/30 20:57:33 TNW3WkMS BE:730964276-2BP(121)
 望が連れ込まれようとした先は、何のことはない、学校の好意で仮住まいをさせてもらっている宿直室である。だが、猛烈に嫌な予感がした望は、この後に及んでまだ下手な言い訳を試みた。

「あのー、今日は交がいるので…」
 もちろん、可符香に即座に否定された。
「交クンは、今晩は倫ちゃんと一緒ですよぉ。本人から聞きましたから」
「うっ…」
「まー、まだ嘘ついて誤魔化そうだなんて、往生際が悪いわね」奈美が非難した。
「はうー…」

 勝手知ったる宿直室である。絶望ガールズは望から奪った鍵でさっさと入ると、望も部屋に連れ込み、首輪の鎖を入り口近くの柱にくくりつけた。

「私はお散歩中のワンちゃんですかぁ!」
「はいはい、先生はそこで大人しくしてて下さいねー」
「ぶるる。さすがに夜は冷えるわね。」
「ストーブつけようか」
「うん。つけよう、つけよう」
「あっ、もう炬燵が出てるよ」
「ラッキー。入ろう入ろう」

        ☆

「ねえねえ」奈美が言った。「先生って、実質的に一人暮らしみたいなもんじゃない。だから、一人暮らしの通過儀礼してるかチェックしてみない?」
「いいわねえ」
「しましょう、すぐしましょう」
 早速、冷蔵庫チェックが始まった。野菜を液状化させていないか検査するのである。

        ☆

「あれぇ?」
 奈美の目論見は空振りに終わった。
 ネギ、大根や白菜、葱など、野菜は申し訳程度にしかなかったし、しかも新鮮なままだったからである。
 あとは豆腐やら納豆やら干物などが申し訳程度に入っていただけだった。

 その代わり、大きめの箱や風呂敷包みがいくつも棚に並んでいた。

「何かな?」
「出してみよっか」
「先生、中見せてね」
「あ、あ…」
 望が煮えきらないでいる内に、次々と炬燵に並べられた。

がさごそ。ファサ…

「わぁー!」
「すごーい!」
『旨そうだな』
 手の込んだ和菓子やケーキの詰め合わせが姿を現した。どれもこれも、熟練した職人の手作りだと一目で分かる高級品である。


460:被朗読者3
06/11/30 21:26:43 TNW3WkMS BE:139231924-2BP(121)

「先生、これどうしたの?」
「一人で全部食べるにしては量が多いみたいですが」

「和菓子は、倫から貰ったんです。お稽古の時の余りが出ちゃって、日持ちしないからって」
「ふーん」
「倫ちゃん凄いなあ」
「ケーキは私が見繕ったんですけど、まあ両方併せて今日交に付き合って下さった皆さんへのお礼を、と思ってたんですよ」
「そうだったんですか…」少しは済まなさそうな様子で千里、あびる、奈美が言った。
「先生…」
「じゃあ…」
「遠慮なく頂いちゃいますねっ」明るく晴美が言った。
「そっちですかっ!」

        ☆

「先生、これは?」
 まといが別の包みを開けてみた。
 世界のチーズの詰め合わせとクラッカーのセットである。
 赤、黄色、白と色とりどりのチーズのパッケージの中から、牛やら山羊やらおばあちゃんの笑顔やらが親しげに微笑みかけてきている。

「チーズとクラッカーねえ…」
 奈美は思案顔をしていたが、可符香が
「あ、分かった!」
と声を挙げ、再び冷蔵庫を開けた。
 カルピコに加えて、今年のボジョレーヌーボーが数本、しっかり飲み物の棚に入っていた。

「やっぱり…」
「先生、お酒弱いのに」
「う……だって、こういうのは季節モノじゃないですか。今雰囲気を味わっとかないと」
「そうね。実に先生は正しい。季節の旬の物はきっちり味わうのが大事です」
 珍しく千里が望を誉めた。だがこう言うときはろくな事がない。
「先生に敬意を表して、季節モノのワインもしっかり私たちで頂きます」
「え? そ、そんなぁ」

        ☆

 たちまちコップが出回り、コルクが抜かれた。
ギリッギリッギリッ……ッポン! ッポン!

 赤、白と注がれたコップを手に、可符香が音頭を取った。

「それじゃあ、先生の一人暮らしにカンパーイ!」
「カンパーイ!」
「通過儀礼にカンパーイ!」
「カンパーイ!」
「あああ、買ったばかりのボジョレーヌーボーが…」

 絶望ガールズによるボジョレーの宴が始まった。望の目の前で、チーズ、ケーキ、和菓子が着々と消費されていった。こういう時は誰もダイエットが…などとは口にしない。

        ☆

 ワインのボトルが空くにつれ、会話が弾むと共に、皆の顔色がほんのり赤くなった。
 ただ、千里とまといは冷戦状態である。
 場がいくら華やいでいても、ここでは一言も会話を交わしていないことに読者諸兄は注意されたい。


461:被朗読者4
06/11/30 21:30:40 TNW3WkMS BE:556924984-2BP(121)
 ここで、また可符香が宣言した。
「えーっと、では一人暮らしの通過儀礼が終わって場も盛り上がってきたところで」
「終わったところで!」すかさず晴美が合いの手を入れる。
「男子の通過儀礼をしたいと思いまーす」
パチパチパチパチ
「いいぞー…ヒック」
「ヒューヒュー」
『ヤレヤレー(゚∀゚)ノ』
 一斉に拍手と歓声が飛んだ。

「男子の通過儀礼その一!『家に来た好きな女子に、エロ本がないか家捜しされる!』」
パチパチパチパチ
「キャー」
「いいぞー! やれやれー…ヒック」
「ヒューヒュー」

 望は慌てた。
「い、いやあなた、何言ってるんですか。そそそ、そんなのありませんよ。離して下さい!」望の顔色が赤く、そしてすぐに青くなった。かなり後めたい事があるようだ。

(あああ、仏様、どうかアレは見つからないままでありますように、アーメン!)
 必死に神仏に祈る望だったが、あっさり可符香が暴露してしまった。
「押入の左下の棚にある段ボールを見て。密使から報告が上がってます」
「風浦さん!」

 早速絶望ガールズは、押入をスパンと勢い良く開けると、力を合わせて段ボール箱を引きずり出し始めた。
「そーれ!」ズルズルッ。 「そーれ!」ズルズルッ。

 たちまち大き目の段ボール箱が白日の下に晒された。

「わーい!」
「そーれ開けちゃえ~~」

        ☆

 箱の中から、どさどさっと畳に広げられたのは、大量のギャグ漫画だった。

『ピンク・ポンク』『コキでか』
『1・2のワッハ!!』『むしまる!』
『すすむ!パイレーシ』『憂&美依』

 望の嗜好は幼年誌、少年誌、少女誌を問わないようだ。

『稲子が逝く!!』『おとんは心配症』
『つる姫ぞよ~!』『パラリロ!』
『黒の悶々組』『マゾヒスティック19』
『ヂャッピーと愉快な仲間たち』

        ☆

「ほおおおお」
「ふぅ~ん」
「へえぇ~」
「なるほどぉ」
「な……何ですか」
 皆、一様にニヤニヤして漫画と望を交互に見ている。
 『気分は形而下』『恋しいさやちゃん』『自然水族館』『冷凍庫物語』といった4コマ漫画も含まれているせいか、千里でさえ上機嫌で望を見つめている。

462:被朗読者5
06/11/30 21:35:49 TNW3WkMS BE:626540966-2BP(121)
「だ、だって面白いものは仕方ないじゃありませんか!」
「ふふっ…何だかんだいっても、先生はギャグ漫画の主人公なんですね」珍しくあびるが漫画の話題でコメントした。
「主人公の務めとして、他のギャグ漫画を研究していらっしゃるんですね」可符香が後を継いだ。
「!…そ、そんなんじゃあありません!…カァッ」望は頬を染めてプイッと横を向いた。

        ☆

「箱にはまだたくさん残っているわよ。」千里が箱をチェックして言うと、
「どれどれ?」晴美がすぐに反応した。

 続いて箱の下の方から出てきたのは、感動モノであった。
『せ・ん・せ・い……』『デヴィルマン』
『星の瞳のジュリエット』『笑う堕天使』
『跳ぶ教室』『むちゃんこ教室』
『花の慶二』『日の出の王子』
『浅い夢見た』『小さな茶会』
『美少女戦士セーラーヌーン』

        ☆

「セーラーヌーンって、先生…」
 さすがに奈美は一歩引いたようだ。

『ヌキに代わってオシオキよってか? おめでてーな、オイ』
 芽留が容赦ない言葉を打った画面を望に突きつけた。

「くっ…だって感動したものは仕方ないじゃありませんか」
「ふふっ…先生、何だかカワイイ」まといがにこにこして言った。
「!…カァッ」

        ☆

「さ、もういいでしょう。今日はこのくらいにして」何とかこのままアレがみつからないでいれば、との思いで望はまとめにかかった。

 だが、その願いを晴美が打ち砕いた。
「待って。奥の方の、ここから陰になってる段ボールには何が入っているのかしら?」
「!!そそそ、それはその、何と申しますか、あっそうそう、交、そうだ交の絵本ですよ。もう見なくなったやつ。『ひとまねこざる』とか『ぐりとぐら』とか。だからもうい」

「えー、懐かしい」
「見たーい」
 ここで、動物の話題なのになぜか反応しなかったあびるが口を挟んだ。
「ちょっといいですか。交クンが絶望先生の処に来た頃はもう絵本なんて読まなくなってる年じゃないんですか」
「!」痛恨の一撃である。望は一言も反論できなかった。そんな望の様子を見て取った千里が、
「…怪しい。検査します。」と宣告した。
「そそ、そんなあぁ」

「「「そーれ!」」」ズルズル「「「そーれ!」」」ズルズル

たちまち2コ目の段ボール箱が引きずり出される。

「「わーい!…あれ?」」

463:被朗読者6
06/11/30 21:40:03 TNW3WkMS BE:730964467-2BP(121)

 奥にあったにしては、最近開け閉めした形跡がある。

 早速開けてみると、表一面に『EP.』のDVDがずらっと並んでいた。

千里やあびるが口々に言った。
「まだ観てなかったんですか?」
「もう一旧さんに返しちゃったらどう?」
「はあ…じゃあ、勇気を出してそうします。だから、そういうことでもういいでしょう。ね。ね」
「下にあるのは何ですかぁ?」可符香が箱に手を伸ばし、『EP.』を外に出し始めた。

「ああっ、下はダメ! 見ないで! ね。お願い!」もちろん可符香は手を緩めるどころか、動きを加速させて『EP.』の下に隠してあったDVDも躊躇わずに外に出してしまった。

バサバサバサ…カタカタッカタッ

        ☆

「こ、これは…」一同が息を呑んだ。
ケースの表には、カラフルな水着を身につけているスタイル抜群の女の子が、得意げにポーズを決めている物ばかりだったからだ。

 気のせいか、芽留や千里の眉がつり上がっている。

『Bump×2 原美貴恵』
『RISA Session 工藤理紗』
『98% 寺田由紀』

「何これ…18禁のマークはないから、アイドルのDVD?」毒気を抜かれたように、晴美が呟いたのをきっかけに、絶望ガールズが思い思いに口を開いた。
「先生、こんなの買ってるんですか?」
「あっきれたぁ」
「職業柄、やばいんじゃないですかぁ」
『ヘンタイだな』
「はううぅ………」望は隠しておきたかった秘密を暴露され、グウの音も出ない。

 食い入るように色取りどりのケースを見比べていた千里が、やがて一本のDVDを手にすると望を詰問し始めた。
「ちょっと! 先生! これはどういう事?」望の鼻先にカバーを突き出した。
「へ?」そこでは、白いビキニを纏った黒髪の女の子が、柱を背にして悩殺ポーズを披露していた。『[17]Seventeen 本村百合』とタイトルが入っている。

「毎日毎日ぴちぴちの17歳、生の女子高生に囲まれていながら、私たちと同じ年のコのDVDを買うなんて! 何て汚らわしい!」

 ここで千里の目が例の魚目にシフトした。
「ひいっ」カタストロフィの予感に望は怯えた。
「そんなにこのコがいいんだったら、同じような格好にしてあげるわ。」
「ひいぃ…」恐怖の余り、望は舌の根が乾き、ろくに返事も出来なくなった。

「へーえ。白のビキニね。…まあ、カワイらしいこと。先生はビキニが好きなのね。じゃあ、先生もよけいな上着は取っちゃいましょうねえ。」
言葉は穏やかだがいささか乱暴に望の衣服を剥いだ。望はたちまち下帯一本だけにされてしまった。


464:被朗読者7
06/11/30 21:42:50 TNW3WkMS BE:348078454-2BP(121)

「どれどれ。えーと、柱を背にして、右手を頭の上で、左手を腰の処で縛る、と。」
「えーと、あのう、そのDVDは縛ってないんじゃないでしょうか」遠慮がちに望が抗議したが、千里は無視して望の手を柱に縛りつけた。

「それにしても…」魚目に邪悪な輝きが増してきた。
「そんなに女性に節操のないのは、…ここか!」いきなり二本指で目を突いてきた。
「ひいっ!」指先が望の眼鏡を直撃しガチッと音がしたが、互いに怪我は免れた。

「ここか!」次に千里は胸に手刀をあびせると、左の乳首を捻りあげた。
「はうっ……あ、あいたたたタターーーイー!」
 望は一瞬息が詰まった。が、すぐに敏感な所を襲う痛みに泣き声をあげた。

「それとも、ここかぁ!!」千里は最後に望の股間をわし掴みにしたが早いか、力任せにぎゅううっと引っ張った。
「ひゃあああいたたた…痛いイタイ痛い!木津さん、離して!離してぇ!」

「ここか! ここか! ここなのかぁー!?」掴んだまま望の秘部をグリグリグリッと乱暴にこねくり回した。

「ああああああ、勘弁して下さい~~~!!」
「どれもこれも大きなおっぱいのDVDばっかり…どうせ私は大したことないわよ! 貧乳で悪かったなあ、オイ!!」
握りしめた指や爪がぎりぎりと望の絶棒や宝珠に食い込んでいく。

「痛い、潰れる、痛い! くく、食い込んで痛いです。つ、つ、潰れ、潰れる! 痛いですったらぁ」気のせいか、ぐりっ、ごぎゅっという何かが潰れるような嫌な音がしてくる。絶え間なく襲ってくる激痛と自分の男性性が破滅しつつあるという実感で望は泣き叫んだ。

        ☆

─悔しい! 悔しいけど、こんなにも私は先生のことが好きなのに…─

 望には自分しかいない、と千里は自負していた。

─それなのに、当の絶望先生はどうだ。
 いっこうに自分のことを唯一のオンナだと認めてはくれない。
 先生だけのモノにする印をこの身に刻もうとはしない。
 いや、時折刻んでは睦言を囁いてくれる。
 だが、その舌の根も乾かぬうちに他の女生徒にまで手を付けている。
 あろうことか、こんな幻影にうつつを抜かしてさえいる。ならばいっそのこと、私が先生に刻印を……私だけの先生に…!─

「…えーい、こんなに私を虐める憎いヤツは、いっそのこと、すぱっと切っちゃおうかしら。
 そうしたらすっきりするかしらね。」
 千里は不意に手を離すと、望の筆立てから大きなハサミを持ち出してきた。
 そして絶棒を握りしめ根本にハサミを当てるや否や、ゆっくり力を込め始めた。ステンレスの刃に絶棒の姿が鈍く映った。

「いやああああああああああああ! 阿部定はいやああああああああああああ!」


465:被朗読者8
06/11/30 21:46:47 TNW3WkMS BE:696156285-2BP(121)

「千里ちゃん、ちょっと」可符香が千里の耳元で何やら囁く。
 魚目になった千里の暴走を止められるのは可符香しかいない。
「ごしょごしょ……通過儀礼……ごしょごしょ」

「………ふ~~~~ーー……なるほど…じゃあ、まあ、しょうがないわね。」
 どこをどう言いくるめたのか、あれだけ荒れ狂っていた千里が何とか矛を収めた。
 絶棒に当てられていた刃がすぅっと離された。
 巻き込まれて切れた望の陰毛が数本、はらはらっと畳に落ちていった。

 恐怖の余り涙目になっていた望は、この絶体絶命の危機から救ってくれた可符香に一瞬感謝した。
 だが、これが浅はかだったことをすぐに思い知らされることになる。

        ☆

「…とりあえず、DVDは全部没収します。
 どんな中身なのか、みんなできっちり検査します。」
「そ、そんなぁ~…まだどれも1回か2回しか見てないのに…」
「1回見れば十分です!」

 もう暴走しそうにないと見て取った晴美がフォローした。
「みんなの家で交代で観ましょうね」
 可符香と奈美も続いた。
「わーい」
「いいぞぉー…ヒック」
「とほほほほ…」

 もっとも、今再生されなかったのは望にとって不幸中の幸いだったかも知れない。
 千里の手にしていたものには、開始早々肉付きの良いTバックのヒップやらビキニブラで揺れる豊かな胸が、これ見よがしに映っているからだ。

        ☆

「あれ、このジャケットは?」まといが拾い上げたのは、アニメ絵のゲームソフトであった。
 横から覗きこんだ晴美が解説した。
「『普通のメイドたん』? これ、奈美ちゃんを祭り上げたときに作った、18禁のエロゲームじゃない?」
「いやーー! ヒック…なんで先生が持ってるんですかぁ」
「しかも開封してあるわ。きっと先生、プレイしてるわよ」あびるが冷静に分析した。

「下品です! 先生!」奈美は真っ赤になって、先生の胸板を両の握り拳でポカポカ叩き始めた。
「先生のばかばかばかぁ! えっち! ヘンタイ! ヒック」


466:被朗読者9
06/11/30 21:50:23 TNW3WkMS BE:609136875-2BP(121)

「暑いわね。ストーブ消しちゃう?」
「そうね、それより」可符香が皆を集めてひそひそ密談していたかと思うと、次々と服を脱ぎ始めた。
「ちょ、ちょっと皆さん! は、恥ずかしくないんですか!」望は慌てた。
「先生になら別に見られても何とも思わないよ」あびるが全く動じることなく言った。可符香や奈美も相槌を打つ。
「ねー」
「そうよねー」
「ううう…またそんなこと言って…」目の前に広がる下着姿の女子高生の団欒、というある意味では男なら一度は夢見る光景を正直に楽しめず、望は悲しんだ。

「この箱、まだ中に何か入ってるね」
「もうね、止めましょうよ。小節さん」
「この際だから全部出し切ってスッキリしましょ」晴美は中の本を取り出し始めた。他のコ達も進んで協力したのは言うまでもない。

「藤吉さんも! 本当に駄目ですって。ああみんな、止めて、お願い。止して~~!」

 だが、全員の流れ作業で望の致命的な秘密がどんどん暴かれていった。
「それそれそれ~」
「はああああぁぁぁぁぁぁっっっっ!」

        ☆

 DVDの下には、また漫画の単行本がぎっしり詰まっていた。
 だが今度は、表紙が刺激的な図柄の女の子達ばかりである点で、先程のコミックスとは様相を異にしていた。
 見れば、黒いカバーに扇情的なイラストの表紙の文庫本もちらほら混じっている。

『僕の空』『To rub ル』『やるきは騎士』
『電隷少女』『イけない!ルナ先生』
『きっこう仮面』『AH!!透明人間』
『は~とエッチいづみちゃん』

        ☆

 ペラペラ頁をめくっていた絶望ガールズ達は、さすがに戸惑っているようだった。
 先のDVDで予想はしていたものの、晴美を除いては初めて目にする物ばかりだったからである。

「どれどれ…何これ、み~んな裸ばっかり!」可符香が驚いたような表情を見せた。
「本当だぁ」まといも呆れながら頁を繰っていく。
「よく少年誌でこれだけ揃えたわねえ。一部青年誌のもあるけど」晴美がやや見当外れの感想を漏らした。
「先生ったら、私達の陰に隠れてコソコソとこんなの読んでるのね」あびるが動物の載っている頁を探しながら望を追い詰める。
「先生、不潔です! ヒック」熟読、というより凝視しながら奈美も詰る。
『このムッツリスケベが!!』芽留までもが頬を染めながら望に画面を突きつけてきた。
 だが、よく見ると、望を撮影する合間にこっそり手元の頁も撮影しているようだった。

「こんなの、飲まなきゃ恥ずかしくてまともに見てられないわ。」
 千里がグビッとワインを呷ったのをきっかけに、一同がまたワインを口にし始めた。
 アルコールに弱い奈美を筆頭に、絶望ガールズの目が据わってきた。望をじろっとねめつけては手元のコミックスに目を落とし、時折コップを呷る。

「見ないで下さいっ! 見ないでっ! 見るなあぁーー!!」
 教職にある者として絶対に隠し通さねばならない自分の秘密を、あっさり教え子、それも可愛い女子高生達に暴かれてしまった望は、恥ずかしさに身を捩った。


467:名無しさん@ピンキー
06/11/30 21:53:39 EjpPfnD0
連投支援

468:被朗読者10
06/11/30 21:59:59 TNW3WkMS BE:243655627-2BP(121)

 機は熟したり、とみたのか、可符香が再び宣言した。
「ここで、男子の通過儀礼その二!ですよぉ。『隠していたエロ本を好きな子に見つけられ、目の前で朗読される』」
「イエーーイ」
「いいぞー」
「ヒューヒュー」

 すっかり酔っぱらった絶望ガールズは、望の珠玉のコレクションを手にすると、依然拘束されている望の目の前で、任意に開いた頁を感情を込めて朗読し始めた。

 トップバッターは晴美である。
「『止めて。私は婦人警官よ』
 『警官である前に、婦人なのです』」情感たっぷりに演じた。

「ほぉーー? じゃあ私たちは、女子高生である前に女子なのよ。」千里が望の脇腹を突っついた。
「ほーら、好きな女子にこんなことされて、嬉しくないかしら~」千里の動きにヒートアップしたまといは、下帯の上から絶棒をさわさわし始めた。
「ひぁあああぁ…」
「ほら。ほらほらぁ。」まといの手の動きを見て取った千里は、胸をくすぐってきた。
「どうかしら?」負けじとまといも動きを加速させた。しまいには指の邪魔だからと褌を外してしまい、直に撫でてきた。

「ちょっと! 止めて、許して!! いやあぁぁ!」絶棒がむくむくっと頭をもたげ始めた。これは年上の男性として知られたくなかった。
 だが望の魂の叫びは無視された。

        ☆

 次は可符香の番である。
 手にしているのは、最近望が書店を数件ハシゴし、苦労して手に入れたばかりの一冊である。
 それを知ってか知らずか、可符香はわざと嘲るように言った。
「なぁ~に、これぇ? 最後の方、触手がうねうねしてますねぇ」
「どれどれ?…ヒック」奈美が覗きこんだ。
「しっぽ?」あびるも目を遣った。

        ☆

「『断るなら 同じクラスの女が一人… 大変な事になるかもねェ~』」可符香も迫真の演技を魅せた。

「やだぁ、縛られてるわよ…ヒック」
「自分が縛られるのが好きだからってねェー」自分の番を終えた晴美が軽口を叩いた。
「ねー」まといも相槌を打つ。
「わ、私は縛られるのが好きなんではありません!」望は懸命に否定した。だが、
「へぇー、じゃあどんなのが好みなんですか?」と晴美に反問されると、
「はうぅ…」望は答えに詰まった。おまけに、

「それに、ここはそう言ってないみたいですが?」あびるに裏筋を撫でられては絶棒を反り返らせてしまうので、まるで説得力がない。

「えーと、続きがありますよぉ。
 『フフ… それにしても ララァに劣らずこの娘もなかなか…』」
「あらあら、男のコは大変ねぇ。」千里も望を子ども扱いして相槌を打った。

469:被朗読者11
06/11/30 22:07:40 TNW3WkMS BE:939811469-2BP(121)

「ねえ、こっちにも…ヒック…触手いっぱい出てるよぉ」奈美が別の漫画を手にして言った。
「やっぱりしっぽが好きなのかしら」
「こっちのもよ。」千里も、別の単行本の中で頁の中を所狭しと蠢く触手を見つけたようだ。

「機械から出てる触手に捕まってるのは、…えっと、…ヴィデオガァルあいねぇ…」千里が見ているコミックスを横から覗きこんだ晴美が言った。
「ひょっとして加賀さんが触手に捕まってるのを想像してたの?」まといが訊ねた。

「は?」
 突然、愛の名前が出されて望は戸惑った。
 だが、女性の名に敏感に反応した千里が、
「何ですって!? 先生、どうなの? ほら!」と望に近寄ると、やや元気な絶棒を握りしめてぐいぐい扱いた。

「ち、違います! あぁ、はあぁっ」
 望は先程点けられた快感の火を何とか小規模に保とうと必死に否定した。すると、
「え、やだ!」千里が突然手を離した。
「先生の触手の先から何か出てきたわ!」

        ☆

 見ると透明な粘液が絶棒の口から滲み出ていた。先走り汁であって、男性の生理上仕方のないものである。

 だが、絶望ガールズは容赦なかった。

「いやぁー、不潔!」
「不潔って、晴美ちゃんの本にも描いてあるじゃないですかぁ。ところで先生、指でも気持ちよかったですかぁ?」
「私といふものがありながら…他人の指で気持ち良くなるなんて!」
「先生、早すぎませんか?」
「えっち! ヒック」
『ヘンタイだな』
「…ああ、死にたい…」

        ☆

 三番手は奈美である。先ほど手にしていたのとは別の本を選んだようだ。

「『私が何とかしなきゃ、このコ死んじゃう~ん!』ヒック」語末を鼻声で色っぽさを演出しようと工夫したようだ。

 千里、まといが矢継ぎ早に追及した。
「誰が死んじゃうって?」
「自分のこと?」 

 可符香やあびるも追及した。
「ルナ先生に教わりたかったんですかぁ?」
「えっちな事も、教えるより教わる方が好きなの?」

「先生、ルナ先生にこんなことされたかったの?」
 千里とまといが望から離れている隙に、晴美が絶棒や珠袋をいじっては、その感触を念入りに確かめた。
 冬コミに少しでも生かすつもりなのだろうか。

「はぁあああぁぁっ…」晴美の思わぬ指技に望は喘いだ。

『オマエもカテキョーとヤったのか、ボンボン?』
「ああ、そんなことしてません…」



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