05/02/26 01:02:26 Nnwm2XL/
「・・・あー、だっりー」
何で学校というのは月曜から金曜まであるんだろう。週休二日制なんて野暮ったいことはせず、月・水・金だけ学校、なんてことにすれば良かったのに。
そうすれば、ゆとりも生まれて余裕も生まれて頭の悪いのが増えて、そいつらが目立って、私なんかは安穏としながら炬燵に入って蜜柑を食べられたのに。
「残念にゃー」
寒い中を登校することに精神がやられたのか、おかしな言葉が口から溢れ出た。ついでに溜息も吐いて憂鬱を噛み殺し、一歩一歩、歩を進める。
全くアスファルトなんて破壊して動く歩道にしてしまえばいいのに・・・とか思いながら猫背気味に歩き、溜息を連打する。
そんな平易の登校時間、不意に背後から鋭い音がして、反射的に一歩分だけ横にずれる。
一秒後、史の操る自転車は一秒前まで私の立っていたところに滑り込んできた。
「あ、おふぁよー」
口をマフラーで隠しているせいで舌足らずな声が、朝の挨拶を告げる。
私はいつものように自転車の前輪を軽く蹴り、溜息を吐く。
「だから、何で毎朝毎朝、轢く気まんまんなんだよ。もう少し早くブレーキかけるとか、横にずれるとか、とにかく私を轢かないコースを走れよ」
肩に触れるぐらいの黒髪に、切れ長の目。そして細い肢体と長い脚を見せ付ける史は、私の言葉ににっこり笑う。口元はマフラーで見えないけど。
「や、別に轢く気はないって。何でか毎朝、あたしの選ぶコースの先にあんたがいるのよ」
「・・・・・・はいはい」
もはや形式化されている言葉を交わしつつ、歩を再開させる。
史はサドルに跨ったまま両足を地面に触れさせ、えっちらおっちら、恐らく普通に歩くより面倒な歩き方で私の隣に並んだ。
「・・・あー、だっりー」
特に話すこともないので心情を吐露すると、史がマフラーをもふもふさせて声を出す。
「ならさ、さぼろうよ。一緒にゲームでもしない?」
「・・・んー。さぼることに異論はないが、お前とぉ?」
少しばかり、否、かなり肯定しかねる。
思わず顰められた私の眉を見たのか、史はマフラーをずり落として薄い唇を覗かせる。