ブレンパワードのエロノベルで射精したい 2スレ目at EROPARO
ブレンパワードのエロノベルで射精したい 2スレ目 - 暇つぶし2ch48:Virgin Heart
04/11/01 21:35:08 wMxGq6wo
(悪い気はしないわね)
カントが自分に腕を組まれて、頬を赤らめたのを見た三尾の、それが第一の
感想だった。
こんな風に「女」として意識されるのは滅多に無い経験。
たとえ相手が、天才とはいえまだ幼さすら残る少年であろうと。
いやむしろ、少年であるからこそ嬉しいのかもしれない。
そう、彼女が無意識に遠ざけてきた、悪い意味での男性的なところがこの
少年にはまるでないのだから。
(ううん、悪い気がしないどころじゃない、わたし、嬉しいの、いえこれは
ときめいているの?)

容姿には不自由していない三尾が今まで男性に縁が無かったのは。
研究に没頭している生活が主たる原因だが、彼女自身のパーソナリティにも
大きく起因している。
性格が悪いからではない。
確かに容姿に問題が無い上に、性格にも瑕疵のない女性がフリーなどという
ことはフィクションの世界にしかありえないことであり、実際に三尾は少し
自己中心的性格の気があり、かつ何かに夢中になると回りに目もいかず気も
つかなくなる難儀な性格だが。
そういった性格は、むしろ男性と関係が出来た後、その関係を維持すること
を困難にする要因である。
無意識のうちに男を倦厭する態度、問題はそれに尽きる。
自分の方から積極的に関係を持とうとしないのでは、ただでさえ出会いの
少ない生活環境にいるのだから、いかに三尾が容姿には不自由していない
とはいえ男性に縁が無くてもあたりまえだ。
これで同性愛嗜好だったり、もっとはっきりとした男性恐怖症や嫌悪症が
あればまだ自覚出来ただろう。
積極的な「男嫌い」ではなく、消極的な「男なんてどうでもいい」という
投げやりな感情だから自覚がしにくいのであった。


49:Virgin Heart
04/11/01 21:47:04 wMxGq6wo
だが今、三尾は今まで自分が積極的に男性との交際を求めなかった理由が
さながら天啓を受けたようにはっきりと感じられた。
単に、好みのタイプが周囲に存在しなかったのだ。
他人の目などさほど気にしない彼女でも多少の見栄はあり、いい年をして
彼氏の一人もいないことに引け目を感じてはいる。
だがそれは「モテないイケてない女」と見られることへの屈辱感だけで、
男がいなくて寂しいという感情を覚えたことは無かった。
だから、今カントが自分の存在を意識して頬を赤らめたことを嬉しく思う
この気持ちは、決して男日照りで飢えていて、子供相手にも見境いも無く
反応しているわけでは断じてない。
初めて「好みのタイプ」に遭遇し、しかも実にいいシチュエーションへと
突入しているのだ。
少年趣味。
自分にそんな嗜好があることは今の今まで気づいていなかった。
だがこの胸の高鳴りは、自分自身でも知らなかった真実を語っている。
そう、これはもう少年趣味とか、少年愛好などというものではない。
本格的な恋愛感情、その予兆だ。
今まで美少年の類に出会ったことがないわけではないのに、この嗜好に気
がついていなかったのは、本気になれる相手がいなかったからだろう。
可愛い、だけではダメだ。
どこかに自分より優れて、尊敬できる点が無ければ愛玩動物と大差ない。
その点で、初めて相応しい相手が目の前に現れた気がする。
カント・ケストナーは。少女と見間違う美少年でありながら、その知性は
三尾にひけをとらないどころか勝ってさえいるのだから。

カントの頬の赤らみを視認してから三尾が結論に至るまでほんの数秒しか
経っていなかった。
その短い時間の中で、彼女の感情はこのように推移し、結論し。
そして自らの頬をも赤く染めた。

50:名無しさん@ピンキー
04/11/02 04:52:25 hG638xW7
漏れの頬も赤くなりますた。GJ!
てかミツオさんかよ!

なんかいっぺんものすんごいおめかししてた回あったよね………

51:名無しさん@ピンキー
04/11/02 12:50:21 0bVEpqCX
あのおめかし、スパイラルブックに「ちょっと失敗?」って
コメントしてあってワロタ記憶が…

そんなズレてる三尾たんかわええなあ

52:名無しさん@ピンキー
04/11/02 13:01:18 AXc0GE1z
>>50
このSSはそのおめかしをした日の話でつよ

53:名無しさん@ピンキー
04/11/03 23:20:02 grrdtYLs
>>48-49
GJ!
いいね、


54:名無しさん@ピンキー
04/11/06 02:10:12 Xs40dAjE
カナンのSSの続きも楽しみ

55:名無しさん@ピンキー
04/11/06 02:25:48 XIUUAcLq
とりあえず女子高生依衣子たんSSでも構想(妄想)してみるか
(´-`).。oO((;゚∀゚)=3ハァハァ)

56:End Of The Night
04/11/06 19:29:28 dpcwzw6h
「おはよう、ユウ」
あまりベタベタとはせず、それでいて変に他人行儀でもない。
プライベートで深い関係になってからも、日頃ユウに対してはずっとそういう態度で
いたわたしは、ごく自然な感じで朝の挨拶をした。
そして、妙な違和感を感じた。
ユウはすぐに返事をせず、わたしの様子を伺うような目つきをした後。
ようやく「おはよう」と返事をした。
それは時間にして一秒にも満たない間だったけど、その妙な間が気になる。
そしてユウの表情も。

わたしがそうしているのと同様、ユウも日頃人目があるところではわたしに対しては
自然体だ。
二人きりの時のように優しいわけではないけれど、いつもいつも甘い時間を過ごせる
わけもないし、そんな贅沢をいう気もない。
でも…。
ユウのその時の反応は明らかに変だった。
二人きりの時しか見せてくれない筈の笑顔を浮かべている。
それも、あからさまな作り笑顔を。
本当のユウの笑顔はもっと自然で、もっとさわやか。
こんな見るからに上辺だけって感じの笑い方なんかしない。

「良く眠れたかい?」
小さな疑問が胸の中にわいていたわたしに、ユウは続けて声をかける。
サーッ。
背筋に悪寒が走る。
ここのところ、ユウの存在はわたしの心の支えだと言っても、間違いはないどころか
言い足りないくらいだった。
当然ユウの声を聞くだけで心が温かくなった、それなのに…。
恐らくは深い関係になる以前も含めて、初めてユウの声に嫌悪感を感じる。
ユウ、何なの、そのまるでご機嫌をとるかのような猫撫で声は…。


57:名無しさん@ピンキー
04/11/06 20:30:05 cdPACMf0
何なの、何なの~?

58:名無しさん@ピンキー
04/11/06 20:38:24 03ziXnel
ユウはイイコタソに絞られたと思われ

59:名無しさん@ピンキー
04/11/07 03:32:45 xlQJTQyn
そうか、絞られたのか。俺のも絞って欲しいぞ。依衣子姉さん。

60:名無しさん@ピンキー
04/11/07 16:30:17 gIVNDS+n
ひいいドキドキするなあ・・(;´Д`)
この先が気になります・・

61:恥獄のさけび
04/11/10 00:33:45 H3yTp5Ry
 「姉さん」
 不意にユウが口を開くと同時に、イイコの身体の震えが止まる。
 どうやら何を言われるかという不安感が震えの原因であったらしく、とりあえずそれが
明らかになろうとしたために。
 だが、それは何の解決にもなっていない。
 ユウの言葉に、イイコが一喜一憂することには変わらないのだから。
 「ごめん、俺は姉さんのことわかってなかったみたいだ…」
 「?」
 案の定、いきなり意味不明の言葉が切り出される。
 言葉とは裏腹に、姉の思考パターンを読みきっているユウの狙い通り、イイコの頭の中
は弟が何を言うのか、それだけで占められて何も考えられなくなる。
 「姉さんって恥ずかしいところを見られるのが好きだったんだ」
 「なっ?!」
 弟の口舌から紡がれたその言葉に、驚き、そして怒るイイコ。
 「何を言ってるのよ、そんなはずないでしょっ!バカッ!」
 あまりにも酷い言いがかり~と、彼女は捉えた~に、今の自分の徹底的に劣位の立場も
忘れて、噛み付くような言葉をユウに浴びせる。
 「いいんだよ姉さん、俺の前では素直になっても」
 そんな姉の怒りの反応もどこ吹く風のユウ…もはや完全に舐められているイイコ。
 ただでさえ純粋で素直な姉と、奸智に長ける弟というだけで既に差があるのに。
 何があってもユウに嫌われたくないと思っているイイコと、やりすぎ言いすぎでイイコ
が怒って、殴られたり蹴られたりしても、それはそれで気持ちのいいものだなどと気楽に
考えられるユウではハナから勝負にならない。
 (誤解なきよう付け加えるとユウがそんな「守備範囲の広い」リビドー回路を働かせる
ことが出来るのはイイコ相手の時だけ、ある程度許容できるのはヒメくらいで、その他の
相手には責め一本槍である)
 従ってユウには姉へかける言葉の選択肢が無数にあり、それに対しイイコに与えられた
答えの選択肢は常に一つ、それもユウによって誘導されたものだけなのだから。


62:恥獄のさけび
04/11/10 00:36:25 H3yTp5Ry
 あまりの言い草にますます怒る姉の勢いにもまったく動じない弟。
 もはや両者の力関係は完全に固定されている。
 ユウが調子に乗りすぎイイコを怒らせたとしても、それは決してユウを嫌いになるわけ
ではない。
 単なる痴話喧嘩に過ぎない。
 それと同様に、イイコがユウに嫌われることも絶対にありえないのだが、そう自信満々
に言い切ることの出来ない事情がイイコにはあった。
 クインシィに表の人格を支配され、最愛の弟に愛の裏返しとはいえ苛烈な対応しかして
来なかったという罪悪感は、イイコの心の奥底に重い澱として沈んでいる。
 ユウが姉弟の禁じられた壁を打ち砕いて自分を愛してくれること。
 それはイイコの心を救ってはくれるが、その奥に沈む澱はまったく掬ってはくれない。
 逆にユウが自分を愛してくれればくれるほど。
 自分がユウを愛すれば愛するほど。
 罪悪感は強迫観念となってさらに重みを増していく。
 その重みから逃れるためにはより一層ユウのために心も身体も捧げつくすしかない。
 ましてやユウに嫌われてしまうなどという事態は彼女の精神を崩壊させかねない。
 勝気な性格、そしてかつての姉弟としての当然の上下関係から。
 表面上は優位に立つことはあっても、既にイイコは深層心理レベルではユウに服従して
いるのだ。
 表層心理では、恋人になった今も自分は姉なのだという意識があるが、それとてイイコ
に受動的に「可愛がられる」ことを望むユウのために発動しているに過ぎない。 

 「姉さんが望むんなら、俺はいくらでも付き合ってあげるよ、姉さんの好きなことなら」
 「だから何を言ってるの!」
 素っ裸で弟の前にいることも忘れ、くってかかるイイコ。
 「姉さん、今更言い訳しても説得力ないよ」
 そう言って肩をすくめるユウを見て、イイコは羞恥と怒りにかられ。
 「違うって言ってるでしょ!」 
 絶叫して弟に掴みかかった。


63:名無しさん@ピンキー
04/11/10 01:08:29 sJCpNkfr
依衣子姉さん続きキタ━━(゚∀゚)━━!!!!
私は姉さんのシリーズが大好きだ!

64:名無しさん@ピンキー
04/11/10 13:31:38 l65WiMLh
なんだか徐々にこのスレ盛り上がってきててうれしい!

65:名無しさん@ピンキー
04/11/12 07:40:15 iniinpvr
依衣子姉さんラブ

66:名無しさん@ピンキー
04/11/12 17:52:53 n1HzpXWt
姉さん人気だなあ。
漏れはカナンたんラブさー

67:名無しさん@ピンキー
04/11/12 18:29:22 eNlTbOjZ
あたいもー

68:End Of The Night
04/11/13 19:26:04 D4jYW5SK
ユウに抱いたさまざまな負の感情を押し殺し、とりあえずグランチャーとしての任務に
つくわたし。
幸い、今日はユウと離れての単独行動だった。
帰投後に、またユウと顔をあわせるまで考える時間があった。

任務もそこそこにして、わたしはグランチャーで海の上を自由旋回しながらとりとめも
ない思考にふける。
あの作り笑いが、猫撫で声が、脳裏にこびりついて離れない。
ユウの滅多に他人には見せない笑顔や、わたしに対してだけかけてくれる優しい声を思い
浮べると心も身体も熱くなるけど。
同じユウの顔なのにあの顔を思い出すと虫唾が走る。
同じユウの声なのにあの声を思い出すと寒気がする。
(ユウ…あなたまさか…)
わたしの中にある疑惑が大きくなっていく。
(そんな…ユウに限ってそんなことは…でも…)
ユウを含めて何人かの男と付き合った経験のあるわたしだけど、男性心理というものは
未だ完全に理解しているとは言えない。
どうしても、マスメデイアで見聞きしたり、伝聞による情報に頼らざるを得ない。
今朝のユウの様子は、明らかにある場合の男性の行動パターンの類型として伝えられる
物にしか見えなかった。
何度考え直しても、そのパターンに当てはまる。
いわく。
「男は浮気をすると、それを隠したくて無意識のうちに不自然に優しくなる」
そう、あのユウの態度は明らかに「不自然な優しさ」だった。
もちろん二人きりの時のユウは本当に優しい。
だからこそ、その本当に優しさを知っているだけに、あんな上辺だけの態度なんて簡単
に見破れる…。
(ユウッ…)
気がつくとわたしは、ミシミシと奥歯の軋む音がするほど歯を強く噛み締めていた。


69:End Of The Night
04/11/13 19:29:56 D4jYW5SK
初めて感じる、身の置き場もない焦燥感と、やり場のない怒り。
これは…嫉妬だ…。
それに気づいたわたしは軽い自己嫌悪に襲われる。
ユウが浮気をしていると決まったわけではないのに、先走っていることもそうだけれど。
嫉妬を感じること自体に、自分がイヤな女になったような感覚を覚える。
ユウと初めて男女の関係になった時に、わたしは誓ったのだ。
これを理由に彼を束縛したりはしないと。
身体の関係が出来たからと言って、それを理由にして相手に何かを求めたりするのでは、
たとえ金品を要求しなくても娼婦と変わらないから。

わたしは別にそういう商売の女達を軽蔑しているわけではない。
彼女達に感じるのは憐憫、それも自己憐憫に近い。
何故ならもしもグランチャーとして見いだされることがなければ、一定の年齢に達したと
同時に扶養者のいない子供として国家から最低限保証されていた庇護を失っていたわたし
は、遅かれ早かれそうした道に落ちていくしかなかったから。
まるでわたしの母のように。
そうしてわたしも母と同じく、父親のわからない、誰にも愛されない子を産む。
そんな悲劇の連鎖を思わせて…。

だからこそわたしは、ユウを束縛したりしたくなかった。
ユウの気持ちが離れたなら、笑顔で別れてそれからもいい友達でいようと。
でも結局、それは本当に好きでもない男達に幾度も身体を開いてしまった自分を卑下する
感情から来た一種の開き直りと、捨てられた時に傷つきたくないという思いからの強がり
だったし、ユウへの気持ちもまだ中途半端だったのだ。
本当にユウが好きになった今、そんな開き直りも強がりも消え失せた。
ユウを束縛しない?笑顔で別れて、いいお友達に?
冗談じゃない、絶対にイヤ!
それが今の偽らざる気持ち。
ただただまだ見ぬ、そして本当にいるかどうかもわからない、ユウの浮気相手への怒りが
募っていた。

70:名無しさん@ピンキー
04/11/13 22:04:58 s66/XFt9
   ∧∧
  (  ・ω・)
  _| ⊃/(___
/ └-(____/
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  ∧∧   シュッ
 (  ・ω・)
 Σ⊂彡_,,..i'"': 
     |\`、: i'、
     \\`_',..-i
       \|_,..-┘


  <⌒/ヽ-、___ モゾモゾ
/<_/____/

71:名無しさん@ピンキー
04/11/13 22:20:21 zfgQFKZo
あぁぁ、カナンたんかわいいよーせつないよー

72:名無しさん@ピンキー
04/11/14 01:47:57 lcOOsCbh
カナンがんばれーと応援しつつも
ユウの浮気場面を見たいと思う俺がいる

73:名無しさん@ピンキー
04/11/14 03:46:30 Fmnbp+sq
誰かカナンたんを幸せにしてぐれーーー
でも切ないのとても良いですね。

職人さん毎週ほんとに楽しみにしてます!

74:名無しさん@ピンキー
04/11/14 12:51:54 bRx1M85N
ユウの浮気相手が誰なのか気になるぜ

75:名無しさん@ピンキー
04/11/14 21:28:48 IqvVD6sj
わ か り き っ た こ と を !

76:名無しさん@ピンキー
04/11/19 00:03:39 y0p+eh5D
君達、カナンたんの予想・想像が当ってるためしがないのをお忘れか
つーか、ここのユウが純粋なカナンたんに見透かされるような真似をするとお思いかw

77:End Of The Night
04/11/20 19:14:30 6ME5G+YS
その日の晩。
昨夜の熟睡と、昂ぶった神経の相乗効果で再び一睡も出来ない気のする夜。
ユウは何事もないかのようにわたしの部屋にやって来た。
だけどやはり、その態度はあからさまにおかしい。
不自然な笑顔に、こちらの様子を伺うような目つき。
スッ。
いきなりユウが何かを差し出す。
白と桃色が渦を巻いた、綺麗な模様の貝殻だった。
「これ、グランチャーに引っかかってたんだ、綺麗だなと思ってカナンに」
そうユウが言う。
わたしは二つの異なる感情で涙が出そうになる。
一つはただの貝殻とはいえプレゼントをもらった嬉しさ。
もう一つはあからさまに物で機嫌をとって誤魔化そうとするユウへの悲しみ。
「あ、ありがとう、綺麗ね、これ」
嬉しさを総動員して悲しみを封じ込め、どうにか表情を作る。
そして高鳴る胸を抑えて、わたしはさりげなく聞く。
「昨夜はごめんなさいね」
「ああ、構わないよ、疲れて眠ってしまう夜もあるだろうから」
ユウは一応、昨夜もここに来てはくれたようだ。
ではわたしが熟睡して起きないのに業を煮やして、どこか別の女のところへ
行ったんだろうか。
それともわたしが起きないのをむしろ好都合と思って…。
慌ててかぶりを振る。
悪い方へ、悪い方へと思考が進みそうになるのを何とか堪えてユウに微笑み
かける。
わたしはユウを信じる。
浮気をしているかもしれないけど、それでもわたしはユウが好きだし。
ユウだってわたしを…。

ユウを信じるんだという表層心理とは裏腹に、深層心理では疑心暗鬼の種がつい
に芽を吹き、嫉妬を養分に急速に成長しだしたことを。
その時のわたしはまだ気づいてなかった。

78:名無しさん@ピンキー
04/11/21 00:39:58 DTfSUEVT
カナン、ギューしてやる

79:名無しさん@ピンキー
04/11/21 20:54:52 kjUrxF3p
漏れはなでなでしてあげたい(*´Д`*)

80:名無しさん@ピンキー
04/11/21 21:32:59 3rN+a0lo
わしは黙って隣に座っていてあげたい。

81:名無しさん@ピンキー
04/11/22 22:28:55 kXJQ87zh
ど、どうなっちまうんだおおお

82:名無しさん@ピンキー
04/11/24 21:45:52 YwhhFfVL
1.美人のカナンは突如、ユウを寝取りかえすアイデアを閃く
2.実はカナンの勘違い
3.カナンは捨てられる。エロパロは非情である

83:名無しさん@ピンキー
04/11/25 22:07:13 hmqaB3Gx
カナンたん捨てられたら漏れがもらっていく。
百合になるが我慢してくれ…幸せにするから

84:名無しさん@ピンキー
04/11/25 23:20:42 pWtAo7G1
カナンかわいいなあ

85:End Of The Night
04/11/27 19:47:22 /oBw4FrF
表情も口調も不自然なユウだけど、夜が更けて来るといつものようにわたしの
ベッドに上って眠りに就く。
「明日も早いし、もう寝るよ、おやすみカナン」
「おやすみなさい…ユウ…」
平静を装ってそう言うと、わたしは頃合を見計らって寝息を立てる。
そう、寝たふり。
もしもわたしが本当に寝たんだと思って、ユウがここから立ち去ったりしよう
としたら…。
その時はわたしは…わたしはどうすれば…。
思い悩みつつも、必死に高鳴る心音を抑えつけて寝息を立て続ける。
そんな状態がしばらく続いた後で。
不意にわたしは我に返る…。
(なんてさもしい真似してるのかしら、わたし…)
寝たふりをしてユウを試そうだなんて…。
自分が度外れて嫉妬深く卑しい女に思えて、自己嫌悪に襲われる。
でも偽りの寝息を立てるのは止められない。
ユウが浮気をしているかもしれないと思うと、どんなに卑しい真似なんだと頭
でわかってはいても、おいそれと止めるわけにもいかない。
そしてそれが、なおさら自己嫌悪を増進させていく。
(最低の女だ…わたし…こんなんじゃユウに捨てられても文句いえない…でも、
でもやっぱりユウを取られるのはイヤだ…)
やがて。
ユウが静かな寝息を立て始めた。
(…ユウ…疑ったりしてごめんなさい…)
その微かな呼気を耳にしたわたしは、彼を疑ったことを後悔すると共に愛しさ
がこみ上げてきた。
(もう疑ったりしない、ユウを信じる、信じるから許して)
そう心の中で誓う。
ユウのぬくもりを、くっついている左半身から感じながら。
そして安堵の思いから、急速に眠気を催しはじめた。

86:End Of The Night
04/11/27 19:48:58 /oBw4FrF
「本当に、ユウはあなたを愛してると思ってるの?」
誰?
「彼が浮気をしてないなんて、簡単に決めてしまっていいの?」
誰なの?何を言ってるの?
「こんなに簡単に彼を信じるなんて、大概なお人よしね」
誰かがわたしに語りかけている。
(彼は浮気なんてしてない、わたしの考えすぎだったのよ!)
よくわからないけど、わたしとユウのことを悪し様に言われて腹が立ち、
状況もよくわからないままに言い返す。
「何でそんなことがわかるの?」
(現に彼はわたしと一緒にいるわ)
「おめでたいわね、昨日の今日だから警戒しているだけかもしれないのに」
(?)
「あなたが寝たふりをしていることに気づいて、自分も寝たふりをしたの
かもしれないのに」
(そ、それは…)
「恋って盲目よね、そんな簡単なことにも気づかないなんて」
(でも…それでも…たとえ万が一浮気していたとしても…ユウはわたしを
愛してくれている)
「どうしてそんなことが言い切れるの?」
(…だって…だって…)
確かに何の確証もないこと。
だけどユウが信じられなくなったら、わたしはもう何も信じられなくなる。
だから彼を信じるしかない、信じるしか…ないんだ…。
「そう思っているのはあなだけじゃないの?」
そんなわたしに、謎の声はさらに続けてを放つ。
誰の声かは思い出せないのに、どこかで聞いたことのあるその声が

87:名無しさん@ピンキー
04/11/29 00:39:02 ROapoo2z
カナンたーーーーーーーーーーーん!!!!!
。・゚・(ノД`)・゚・。ウエエェェン

88:名無しさん@ピンキー
04/11/30 12:43:30 HYh6UybU
木原マサキキタ━━(゚∀゚)━━!!!!
ギムオォォォォォス!!!!

89:名無しさん@ピンキー
04/11/30 22:41:32 LhPgQZT+
カナンを満足させてあげて~

90:名無しさん@ピンキー
04/12/02 01:28:24 Q8m7Vrx3
鬼の笑いそうな話ですが、もし可能ならばラッセと巡り会うところまで、読んでみたいなあ。


91:Virgin Heart
04/12/02 23:55:10 FE6VH9xp
ホテルのサパーフロアで食事を取りながらカントの話を聞いている間。
三尾はさきほど感じた胸の高鳴りを抑えていられた。
彼の口から語られる興味深い話に、知的好奇心が刺激されるおかげでそちら
の方に気をとられるから。
本来、それが目的で彼に声をかけたのだから当たり前といえば当たり前だが。
とりあえず食事を終え、食後の喫茶も終えたが、カントの話は尽きない。
三尾が話を聞きたかったのは事実だが、どうやらカント自身も話をしたかった
らしい。
にこやかに、楽しそうに、語る学究の美少年。
自分の知識と慧眼を誇るような口ぶりではまったくなかったから、純粋に話を
理解できる相手が欲しかったのだろうと、三尾は思った。
話相手が自分だったから嬉しそうなのだ、と自惚れられるほど幸せな思考回路
は彼女にはついていない
どこか別の場所で続きを、と切り出した三尾にカントは答える。
「それなら僕の部屋に来ませんか、どうせ一人ですら」
事も無げに。
何の邪気もない声で。
そう、若い女性を夜に自分の部屋に呼ぶということがどういう意味を持つか。
それがわからないほどに幼くはないカントだったが、咄嗟にそういう選択肢を
避けるほどには大人ではなかった。
「………」
「…あの?…あっ!」
自分の提案に対して、三尾があっけにとられているのを見て、ようやく自分が
何を言ったかに気づいたカントは、再び顔を赤らめる。
「ご、ごめんなさい、別に変な意味は…」
ずっとマイペースで喋っていたカントが初めて見せた慌てるさまに三尾の中で
も、学術的興味で抑えられていた感情が蘇る。
「可愛い」という感情が。

92:Virgin Heart
04/12/02 23:55:50 FE6VH9xp
自分の頬も赤く、熱くなりそうなのを驚異的な自律能力で抑制した三尾はその
かわりカントに微笑みかける。
精一杯「大人の余裕」を演じながら。

ローティーンの男の子に、部屋に来ないかと誘われて顔を赤らめる。
四捨五入すれば三十の女として、流石にそれは憚られた。
先ほどは、カントのような穢れのない少年が好きなのだと自らの秘めたる性癖
を認識したばかりだったが。
それが即、行動様式・思考形態のシフトに繋がるほど人間の心理というものは
フレキシブルには出来ていない。
年下の少年から秋波を寄せられても、あからさまに喜んだり、逆に拒否反応を
示すのは避け、まずは余裕の態度で受け流す。
浮き足立ってはいけない、それが大人の女の嗜みというもの。
仕事柄、そして本人の性格的な物もあって浮世離れしている三尾も、こういう
場合はそのような認識から来るステレオタイプ的リアクションをしてしまう。
だが、実はそれ自体が彼女が浮き足立っている何よりの証拠だった。
なぜなら別にカントが三尾に対して好意を示したわけではなく、単なる失言を
したに過ぎないのだ。
失言の後で頬を赤らめはしたが。
にも関わらずそのような構えた態度をとること自体、彼を過剰に意識している
という証拠なのだが、今の彼女はそれに気づいていなかった。

思わぬ失言に慌てふためいたカントだったが、三尾の微笑を見て少し落ち着く。
だがその代わり、急速に心が痛くなっていた。
(…この人も、僕を子ども扱いする方の人なの…学者としては認めてくれても、
大人の女の人から見たら、やっぱり僕は子供なんだ…)
日頃から感じる周囲とのコミュニケーション齟齬。
だが今夜のカントは、今までのようにそれを天才少年という立場ゆえの代償と
して甘受する気にはなれなかった。
これによってただ学術的会話をして終わるはずだった二人の縁が絡み合うこと
になるとは知らずに。

93:名無しさん@ピンキー
04/12/03 18:03:24 52nxsZiB
>>91-92 GJ!!
おおお・・・遂にカント君がやる気になるのですか!?
少年は今大人になるのですか!?
続き気になるわ~。

94:名無しさん@ピンキー
04/12/04 15:01:29 op2FHpTJ
三尾タン、知恵のまわるお人よなガンガレ(;´Д`)ハァハァ

95:名無しさん@ピンキー
04/12/04 15:03:54 op2FHpTJ
いけね、sageチェックマーク入れんの忘れたヤッベェ(;´Д`)ハァハァ

96:End Of The Night
04/12/04 22:32:30 S1SEBwjK
暗闇の中、わたしは寝そべっていた。
意識はしっかりとしているけど、手足、いや指一本動かせない。
そんなわたしの上から、まるで枕元に立っているかのように声は降りる。
「そもそもユウが誰かと浮気をしているっていうのが間違いなのかもとは
思わないの?」
{?)
意味がわからない。
この「声」はユウが浮気をしていると決め付けているのではないの?
そんなわたしの疑問を察知したかのように、声は続いて降りてくる。
「あら、わからなかった、つまなりこういうことよ、ユウは誰かと浮気を
しているんじゃない、あなたと浮気をしてるのかも」
(え?)
な、何?何を言ってるの、ま、まさか…。
「つまり、他に本命がいる、あなたは浮気相手、ただの遊び相手、ただの
玩…」
(やめてっ!)
金縛りのようになっていた身体が怒りで解け、闇の中にいる声の主を掴んで
引き寄せる。
(!)
わたしを見下ろして嘲笑っているその顔は、わたし自身の顔だった。
「その証拠に、今ユウはどこにいるのかしらね」
掴んだ手を力なく放したわたしは、隣に寝ているはずのユウを手で探るがそこ
には誰もいない。
(ユウッ!)

絶叫して跳ね起きたのは、同じ闇の中。
ただ真っ暗闇ではなくあちらこちらから薄明かりが洩れていて。
隣にはユウがいて温もりをわたしに与え続けてくれている。
「…ううっ…ユウッ」
恐怖と心痛から開放されたわたしはユウの胸に顔をうずめて大声で泣いて
しまった。

97:名無しさん@ピンキー
04/12/05 23:45:19 NdB5fCEM
ぬうう、夢オチ……
しかし覚めたところで疑の念は消えぬかもしれんぞカヌアアアァァァァン!!!!!

98:名無しさん@ピンキー
04/12/06 02:32:21 xf9LBmu6
>カヌアアアァァァァン!!!!!
ハゲワロタ

99:恥獄のさけび
04/12/09 20:17:32 wJh/STHu
 クインシィ化していなくても。
 元々イイコは感情的になると我を忘れるタイプだ。
 自分が今、一糸纏わぬ姿だと言うことは脳裏から綺麗さっぱり消えていた。
 スッ。
 むしゃぶりついて来た姉の下腹部に、カウンターで迎撃するかのように伸びるユウの手。
 ピチャッ。
 湿った物を触る音がする。
「ああっ」
 悲鳴を上げて足を縺れさせるイイコ。
 勢い良く飛びかかった分、そのままユウに倒れ掛かる。
 優しく抱きとめられて、ほんの数秒前まで怒りに我を忘れていた頭がクールダウンする。
 姉弟の仲、そして既に何度も体を交えた仲でも、愛する男にこんな風に抱きとめられる
とイイコの仲の乙女な部分が心臓の動悸を加速させ、顔と頭の体温を上昇させ、頬を赤く
染めさせる。
 そしてユウの口が、イイコの耳に近づいて。
 「危ないなぁ、大丈夫姉さん」
 その優しげな声に、ほんの少し前の怒りも、たった今、いくら肉体関係があるとはいえ
いきなり陰部を刺激されたことも、簡単に忘却の彼方に追いやるイイコ。
 まさに一挙一動をユウの思うがままに操られている感がある。
 だがそれに続くユウの言葉は。
 「そんなに勢い込まなくたっていいよ、そんながっつかなくても姉さんが望むならいつ
だって相手するからさ」
 爽やかな声色で、淫靡なことを呟く。
 もっとも言葉とは裏腹に今のユウはストレートにイイコを受け入れる気など欠片もなく、
羞恥責めで咽び泣かせるつもりなのだが。
 「が、がっつくって何よ?」
 酷い言い草で夢見心地に水を指され、ふくれっ面になるイイコ。
 「だってこんなに勢い良く飛びついてくるなんて、やっぱりよっぽど昂奮したんだね、
俺に見られてさ」

100:恥獄のさけび
04/12/09 20:18:39 wJh/STHu
 「やっぱりね」と言わんばかりのしたり顔のユウに、沈静化したイイコの憤怒が再び
活性化する。
 「違うって言ってるでしょ!」
 振り出しに戻ったように同じ言葉を叫ぶと、今度は既に引っついているため何の妨害も
受けることなく首尾よくユウにむしゃぶりつくが。
 「はははっ、だからそんなに昂奮しないでって、後からいくらでも見てあげるからさ、
姉さんの恥ずかしいところ」
 抗議の意思をまるで無視されてしまう。
 「誰もそんなこと言ってな…」
 「いいから、いいから」
 ムキになればなるほど、ユウはそれを軽くあしらいながら自分への疑いを深めていく。
 蟻地獄にはまって煩悶するイイコ。
 思わずその場に寝転んで手足をバタつかせて「違うって言ったら違うのっ」と子供のよう
に駄々をこねたい衝動にかられる。
 だが考えてみればユウの勘違い(本当は勘違いをしているのではなく、勘違いした「フリ」
なのだがそこまでは気づいてない)は故ないことではない。
 何しろ 先ほどユウの前で盛大に愛液を垂れ流したのだから。
 あれでは「見られて感じた」と思われても仕方がない。
 仕方がないが、やはりそんな風にユウに思われるのは嫌なこと。
 (ああ、そんな勘違いしないでユウ…)
 自分はユウ相手にしか何も感じない女なのに、見られて感じる淫乱、いや、変態だなんて
誤解は絶対にしてほしくなかったのに。
 そんな誤解をされるくらいならいっそのこと、本当のことをぶちまけてしまおう。
 (わたしはついつい淫らな妄想にふけって、ユウの前で裸でいることを忘れてしまっただけ
なのよ!)
 そう頭の中で言葉を紡ぎ、それ自体が充分に言うことが憚られることだと気づいてイイコは
愕然とした。


101:名無しさん@ピンキー
04/12/10 20:30:51 lO6zmNny
「あね、おとうと」キタ―!!
やっぱイイコ姉さん萌え~。

102:End Of The Night
04/12/11 19:03:26 ngeOeuhy
ようやく泣き止んだわたしは、ユウの胸に顔を置いたままで考える。
酷い夢だった。
いや、あれはただの夢じゃない。
あれはわたしだった。
とても嫌な、考えたくもないことをわたしに言っていたのはわたし自身だった。
たぶん、全てはわたし自身の深層心理の現れ。
わたしはまだ心のどこかでユウのことを疑ってる…
それも今までよりずっと、もっと悪い方へ。
そう、あくまでわたしという相手がいながら他の女と浮気している、というのが
今までの認識。
ところが新たに、わたしのことそれ自体が浮気で、誰か他に本命がいるのではと
いう恐ろしい疑惑が心の中で湧き上がってしまった。
信じたくない…でも考えてみればユウの口からわたしのことを恋人として認める
ような言葉は聞いていない。
「一緒にいたい」とか「側にいると安心する」と言ってくれた。
普通に解釈すればそれは公私共にパートナーであると認めてくれたということで
それはつまり恋人同士であると言ってもおかしくないかもしれない。
あのユウの言葉が嘘だとは思えない。
ううん、絶対に嘘じゃない。
もしユウが本当はとても酷い嘘つきで、わたしに嘘ばかり言ってたんだとしても、
あの言葉だけは嘘ではないと胸を張って言える。
そういう嘘を男がつくのは、女から何かを奪うため。
富める物から物や地位を得るために。
わたしのように何も持っていない女でも、身体を奪うためにそんな嘘をつくことは
ありえる。
だけど今のユウは、わたしの身体目当てなんかじゃない。
一緒に添い寝するためだけに、こうして毎晩来てくれるんだから。

103:End Of The Night
04/12/11 19:04:19 ngeOeuhy
ユウがわたしのところにいることに、何の企みも他意もないのはたしか。
言葉どおり、わたしという存在そのものを大切に思ってくれている。
でも…。
疑惑の種を胸の奥に埋め込まれてしまったわたしには、その言葉を信じること=
ユウを信じること、という風には単純にはいかない。
そう、ユウは私と一緒にいてくれる。
わたしといると心やすらいでいられる。
でも、そういう相手がわたし一人だなんて、いままで一度だって言ってなかった…。
「ユウ…」
暗くてよく見えないユウの顔を、指でそっと撫でてみる。
こうして一緒に過ごす相手がわたしだけじゃないかもしれない。
そう思うだけで、気がどうにかなってしまいそうなほどの嫉妬心に身が焦がされる
思いをする。
どうしてなのユウ。
わたしを嫌いになったわけじゃないなら、どうして他の女のところに…。
そう考えたわたしは、ふと恐ろしい考えに思い当たった。
「まさか…」
そうまだ少年と言ってもいい歳なのにユウは凄い。
精力が。
そんなユウが、わたしの「拒絶」を機にスッパリと性欲を断つなんてことがあるはず
がない。
ああ、わたしはバカだ
なんでこんな簡単なことに今まで気づいていなかったんだろう。
勘違いとはいえ、わたしから行為を拒絶されたユウがたまりにたまった性欲を他の女
相手に吐き出すなんて、心情的には許せなくても、実際問題として十二分にありうる
話だったのに。
肉体関係無しでも成立する純愛なんだと浮かれていたわたしは、その盲点からずっと
目を逸らして、ううん、盲点の存在にすら気づいてなかった。



104:名無しさん@ピンキー
04/12/12 08:38:32 StHiFvJF
カナン、カナン、ユウはひどいやつなんだヨ...

105:名無しさん@ピンキー
04/12/12 23:03:44 bl1jDgm/
このスレ的にはユウは鬼畜というのが共通見解なのかw

106:名無しさん@ピンキー
04/12/13 22:27:30 4/NpFKna
そうか!カナンが不安にかられだしたのは、このスレ読んだからだ。

107:名無しさん@ピンキー
04/12/17 18:39:51 q7vh127Z
ここ読んだら不安どころの騒ぎじゃないと思うw

108:名無しさん@ピンキー
04/12/17 22:15:01 SI4PCk4U
カナンx死にたがり・・・
しっくりこん!

109:End Of The Night
04/12/18 19:08:03 2/TyLrhS
はじめて夜を一緒にすごしてから、次にユウに抱かれるまで。
一週間近くの間があった。
その間、ユウはわたしとのセックスをせがむ様な素振りすら見せず、二回目以降は自然
に雰囲気が盛り上がってという感じだった。
精力を持て余しがちな年頃なのにユウはそんなに飢えてはいないと思った。
だけどある夜。
わたしのお尻をユウが責め抜いて、今までに感じたことのない快感に幸福の絶頂の中で
失神した夜から、ほんの一週間足らず前のあの空き部屋での悶着の日まで。
わたしは毎晩ユウに抱かれていた。
心情的にはむしろ抱いてもらっていたと言った方がいいけれど、とにかくその度に全身
が燃えるような快感を与えてもらい、その一方でこのまま死んでしまうのではと思う事
もあった。
ユウの責めがあまりにも激しくて。
身体が繋がったまま、失神したことも一度や二度じゃない。
そして、いっそこのまま死んでしまってもいいとすら思った。
好きな男に抱かれながら、快感と幸福感の中で死ねるなんて本望だと…。

…それはともかくとして、そんな精力絶倫のユウが、勘違いでわたしがそういうことを
嫌がってると思い込んだとはいえ、スッパリと抱いてくれなくなった。
今まではそれをおかしいとも思わなかったけど。
考えてみればたとえ心で自制したとしても、持て余した精力を一体どうしているのか…。
自分で処理しているのか…。
ユウにそんなことろをさせるくらいなら、あの時のことは誤解だと素直に話して元通りに
なってもいいのだけれど。
冷静に考えれば、誰か他の相手にそれを向けていると考えるのがむしろ普通だった。
今までそれを考えなかったのは、ユウとの関係に安寧しきっていたわたしの自惚れ。

110:End Of The Night
04/12/18 19:09:28 2/TyLrhS
暗闇の中で、ユウの身体に身を寄せながら、わたしはこれからどうすればいいのか途方に
暮れる。
いくら疑いを持ったとはいえ、流石にストレートに面と向かって「浮気しているの?」と
聞く勇気は私にはない。
何度も抱き合った仲とはいえ「性欲はどう解消してるの?」なんて恥ずかしくて聞けない。
そもそも誤解とはいえのわたし方からセックスを断ってる形になってるのに、そんなこと
が聞ける立場ではないし。
どうしたものか思案していた時。
「カナン…」
寝ていたと思ったユウが、不意に声を出す。
もしその時、わたしが普通の状態だったら素直に「どうしたの?」と返事をしただろう。
だけどその時、重すぎる命題に心を煩悶させてたわたしは咄嗟に返事が出来なかった。
続いて。
「カナン…」
もう一度声をかけてくるユウ。
今度はわたしを揺り動かす。
不意の事態に何の反応も出来ないわたし。
ため息をつくユウ。
(どうしよう…)
意図したことではないにせよ、結果として寝たふりをしてしまったことに気づく。
しかし、ここであの悪魔がわたしに囁く。
(これは都合がいいわ、このまま寝たふりを続けなさい)
わたしの心に巣食う、私と同じ顔と声の、疑心暗鬼という名の悪魔が。


111:名無しさん@ピンキー
04/12/18 20:35:03 uh+TBuhb
どどどどーなるのでせう!

112:名無しさん@ピンキー
04/12/19 21:56:37 dH+44I59
カナン、目を開けるんだ………いややっぱり寝てたほうがいい…か?

113:名無しさん@ピンキー
04/12/21 11:11:29 2J6+IMVP
保守

114:名無しさん@ピンキー
04/12/24 23:54:24 IhXQ6Nmd
続き気になる罠…(*´Д`)

115:End Of The Night
04/12/25 22:00:43 Xg00qQ9M
(寝たふりをするなんて「あなた」もなかなかやるわね、流石は「わたし」だわ)
疑念と嫉妬が形を為した、もう一人のわたしの声が心の中で響く。
そんなこと、わたしは別に寝たふりするつもりなんて…ハッ!
(嘘ばっかり、ユウの浮気が気になって仕方が無かったくせに)
そんな否定を「彼女」は嘲笑う。
そうだった、思いだしてしまった。
今夜、寝付いたばかりの時には、ユウがどういう行動をするのかが気になって寝たふり
をしたことを…。
その後、ユウが静かに寝息を立てはじめたので、そんな自分のさもしさに自己嫌悪に陥り
ほんの数時間のことなのに記憶の奥底に封印していたけれど。
(まあいいわ、このまま寝たふりして、ユウが立ち去ったら後をつけなさい、きっとユウは
どこか別の女のところに行くわ)
そんな、そんなことないっ
(ふふっ、いくら心の中でもそんなに騒ぐとユウに気づかれるわよ、それに答えはすぐでる
から)
そうだ。
このまま寝息を立てていれば、ユウは何らかの行動をとる。
そう思い、高鳴る心音を必死に抑え。
グランチャーとしての訓練の一環としてマスターした、意図的な副交感神経の開放により
全身の筋肉を適度に弛緩させる。
これで意識はあっても、寝ている時のような自然な力の抜け具合を再現できる。
身体は弛緩させ、逆に心は極度に緊迫した状態のわたし。
スッ
ビクッ。
一瞬、声が出そうに、そして跳ね上がりそうになる。
不意にユウの手が身体に触れて。
それもお尻に。

116:End Of The Night
04/12/25 22:01:45 Xg00qQ9M
さっきユウの胸に顔を埋めていたため、そのまま寝たふりをしてしまった今わたしはユウの
身体の上にうつ伏せに上半身を乗せている。
逆を言えばユウに下から抱かれているような状態。
ユウの下から伸ばして手が、わたしのお尻の上を這う。
(………)
呆然としてしまうわたし。
触っているのがユウの手だから不快感は無い。
ただあまりにも予想外のユウの行動に、一瞬頭の中が空白になってしまう。
そして次の瞬間、思わず声を漏らしそうになって何とか堪える。
撫でられる感触そのものも、確かに感じてしまうものだった。
その上に数日前まで毎晩味わっていた快感が、身体の奥から呼び覚まされる。
こうしてさんざんお尻を撫で回した後で、後ろから突き上げるのがユウは好きだった。
わ、わたしは別に後ろからがいいというわけではなく、別にどういう体勢でも構わずに、ただ
ただユウに身を任せていた。
とにかく忘れられない感触に身体が反応し、ここ数日の飢えか一気に呼び覚まされてしまった
形になった。
少しでも気を抜くと、ユウの手の動きに合わせてお尻を振ってしまいそうになる。
まさかこんなことになるなんて、どうすればいいんだろう…。
こんなことされてまだ寝たふりを続けるなんて不自然なような気もするし。
かと言ってここで目を覚ますのはとても気まずい。
そんな葛藤の渦中にいたわたしに、ユウは決定的なことをした。
ムニッ。
空いたほうの掌が、わたしの下着をつけていない胸をシャツの上から掴んだのだ。
もうダメ。
これ以上の寝たふりは不自然にも程があるし、何よりわたし自身が耐え切れずに喘ぎ声を漏らす
のも時間の問題だ。
せめて寝たふりをしていたのがバレないようにと、わたしはくぐもった声をあげた。
今胸を掴まれて、初めて目を覚ましたかのように。

117:名無しさん@ピンキー
04/12/25 23:26:35 IdUrQro1
ユウは全てを見通しているんだろうなぁ

118:名無しさん@ピンキー
04/12/26 01:27:17 oxPiMFur
ハァハァ....

119:名無しさん@ピンキー
04/12/26 05:14:34 OZzxd4jQ
カナン! 振れ!尻を振って楽になるんだ! 

ならばと再びアヌースのほうに手を出す勇。

120:名無しさん@ピンキー
04/12/26 21:41:36 HK5AneiO
カナン・・かわいい

121:名無しさん@ピンキー
04/12/27 03:25:22 Dp7zu30I
百戦錬磨のユウにとって、カナンタンの浅知恵などバレバレということか……
ユウ、恐ろしい子!

122:名無しさん@ピンキー
04/12/31 12:52:02 nZXn0d2m
元旦はSS休載。
来年も牛歩のごときペースなんでよろしく。

123:名無しさん@ピンキー
05/01/04 17:40:50 cm3rq2t0
あけおめ~
今年もカナンで!

124:End Of The Night
05/01/08 21:20:25 ggIU4YwY
「カナン…気づいちゃった…」
ユウが喉の奥から搾り出すような声を出す。
「当たりまえだよな、こんなことして気づかないはずないか…」
暗くて顔は見えないけど、何だかとても辛そうな声。
もしかして、わたしの寝たふりに気づいて、自分が疑われていたと知って
ガッカリしているの?
もしそうなら…。
冷や汗を流しつつ、枕元の照明スイッチを入れる。
「どうしたのユ…」
ユウの姿を見てわたしは声を失った。
いつの間にか彼は、寝巻き代わりにしているスウェットスーツのパンツと
トランクスを脱ぎ捨て、下半身を露にしていた。
そして、股間のペニスがはちきれんばかりに膨張していた。
誤解からもうセックスはしないとユウが告げて以来。
ずっと一緒に寝てはいても、お互いに服を着たままなので目にするのは本当
に久しぶり。
毎晩彼に抱かれていた時なら別に驚くことでもないけど、まさか今夜は予想
もしていなかった姿。
そして視線を上げると。
声から推察したとおり、ユウは頭を垂れてガックリと落ち込んでいた。
「驚かないの?」
消え入りそうな声でわたしに聞くユウ。
「え、あ、あの…」
もちろん驚いている。
驚きすぎて言葉も出ないのが正直なところ。
何と言えばいいのか逡巡していると、ユウはさらに鬱の入った声で。
「やっぱり、本当は起きてたんだね、昨夜も…」
そう告げた。

125:End Of The Night
05/01/08 21:21:56 ggIU4YwY
ほんの数分前なら、寝たふりのことをユウに知られたら居たたまれない
気分になっただろう。
でも今、悄然としているのはユウの方。
ユウは誤解している。
わたしが寝たふりをしていたのは今夜だけ。
昨夜は本当に眠くて、グッスリと眠っていたのに。
ようやく今朝からのユウの不自然な態度の理由がわかった。
どうやらユウは昨夜のこともわたしに知られているのかどうか探りをいれて
いたようね。
それは違うと告げようとしてわたしははたと思いとどまる。
ユウに嘘を言うのは気がひけるけど、彼が勝手に勘違いしてくれるのなら話
は別だから。
うまく話をあわせれば、わたしに黙っていたことを話してくれるかもしれない
そう、昨夜何があったのか。
話は見えないけど、単純な浮気とかじゃないみたい。
「話してみて」
動揺を隠すように、務めて冷静な声で言った。
昨夜本当に寝ていたか否かは否定も肯定もせず、自発的告白を促す。
すると。
「カナン…そんな…あんまりだよ…」
あんまり?
話せって言っただけなのに、何でそんな辛そうな、哀願するような目でわたし
を見るのユウ?
「確かに俺はとても恥ずかしいことをしたよ、だけどそれを自分の口から言わ
せるなんてあんまりだ…」
パシンッ!
その言葉を聞いた瞬間、わたしの掌はユウの頬へと吸い込まれるように伸びて
いた。

126:名無しさん@ピンキー
05/01/08 21:27:35 ggIU4YwY

「End Of The Nigh」は今年もカナン視点で話が進みます。
ユウの行動原理は作者の中では首尾一貫してるんですが、完全にユウの術中
にハマっているカナンの視点のため、何考えてるのかさっぱりわからないことと
思います。
一部カンのいい人が正解に近いレスしてるとヒヤヒヤします。
まあ大抵は深読みしすぎですがw
最終回、全てが明かされるまで続けたいので保守等ヨロ


127:名無しさん@ピンキー
05/01/09 20:04:20 uOzdkoXs
どきどき

128:名無しさん@ピンキー
05/01/13 20:34:24 rROfJReL
続き、続きを...

129:名無しさん@ピンキー
05/01/16 03:38:32 E2jXwV/9
保守

130:名無しさん@ピンキー
05/01/18 23:42:24 2T8u54dj
そろそろあげ保守

131:End Of The Night
05/01/22 19:28:10 /3paXW4l
やってしまった。
ユウに手を上げてしまった。
心のどこかで後悔する気持ちはあった。
でもその後悔を押しつぶす勢いで、怒りが渦巻く。
「甘えないでっ!自分のしたことでしょ!」
わたしの怒りは瞬間沸騰し、しかもその高温を維持していた。
彼の口から出た「恥ずかしいことをした」という言葉を、脊髄反射でイコール
浮気と解釈したから。
もう我慢なんてしない。
わたしの全てはもうユウのものなんだから、ユウだってわたしのもの。
浮気なんて許せない。
そう、わたしは「都合のいい女」じゃない。
「わたしが笑って許してあげるとでも思ったの?」
ユウのことは好きだけど、だからと言って何をしても許してあげるほど心は広く
ない。
ううん、始めはそうしようと、ユウの自由にさせて全てを包みこんであげようと
思ったけど、やはり感情のある人間にそんなこと無理。
ユウがわたしといると安らげるなんて嬉しいことを言ってくれたものだからつい
自惚れてしまったけど。
所詮わたしは人間の子、天使にはなれない。
「隠し事なんて許さないから、全部わたしに教えて、どんなことをしたのか」
ユウがどんな女をどういう風に抱いたか、それを知るのは辛い事かもしれない
けれど、わたしは現実から目を背けたくなかった。
不退転の意志をこめてもう一度鋭い眼光でユウを見据える。
上目使いにわたしを見つつ、口を開くのを躊躇しているユウについつい癇癪玉
が炸裂する。
「早く言いなさいっ!」
「わかったよ…」
さらにきつく睨みつけると、ユウは消え入りそうな声で言った。
何故か頬を赤く染めながら。


132:End Of The Night
05/01/22 19:29:17 /3paXW4l
そのユウの表情は、反省でもなければ遺憾でもない。
それは明らかに羞恥の表情だった。
そして口をついて出た言葉は。
「俺がそんなことを恥ずかしくて言えないのがわかってて無理に言えだなんて、
…つまり何をしたか、ここでやって見ろって言うんだね…」
え?
「寝ている間にあんなことした罰なら仕方ない…恥ずかしいけど、自分のした
ことだから」
ユ、ユウ、何を言ってるの?
理解できないままのわたしを置き去りにして、ユウは次の行動に移った。
むにっ。
ユウの右手がおもむろにむたしの胸へと伸び。
そしてそのまま掴んだ。
「あっ」
久しぶりの感触に、思わず声を漏らしたわたし。
思わずその愛撫に身を委ねてしまいそうななるけど何とか堪え。
すぐにユウを見やる。
「ダメよユウ、こんな事で誤魔化そうとしたって…」
そう釘を刺そうとしたわたしだけど、すぐに絶句してしまった。
ユウの次の行動を見て。
たった一週間ほどのブランクだったのに、物凄く久しぶりのように感じる、待望
とも言うべきユウによる胸への愛撫。
ユウによって開発された快楽シナプス接続は健在で、わたしの身体は確実に快感
を覚えている。
でも、わたしの頭の中は快楽以外のことで占められていた。
空白によって。
頭が真っ白になるというのはこんな感覚なのだろうか。
胸をユウの右手に委ねたままで、わたしの目と心は彼の左手の方に釘付けになって
いた。
いきり立った自分自身のモノを握って前後に動かしている左手に…。

133:名無しさん@ピンキー
05/01/22 22:44:23 PUdMcTLW
>>132 勇ナニヤッテンノー!負けるなカナンたん!

さて、キチークな勇がデフォな感じのこのスレで、まじめに勇×依衣子SSとか
書きたいなーとか思ってたりするんだけど、うpしてもいい?それなりにヘボだけど。

134:名無しさん@ピンキー
05/01/23 02:03:06 rNk4cfEp
>131-132
来ましたね。
狙った女を落とすためなら、オナーニでもなんでも平然と演じてみせるユウ。
まさに漢の中の漢!

135:名無しさん@ピンキー
05/01/23 17:42:40 Tm6TnBL2
>>134
その通りだが
× 落とす
○ 堕とす

カナンたんはこのSSでは物語開始の時点で既に肉体関係にあるから
「落とし」済み。
ユウが狙ってるのはさらに「堕とす」ことw

136:名無しさん@ピンキー
05/01/23 22:59:16 fj+OVCa7
演技で赤面できるのか? ………恐ろしい子!

ダチョウの上島みたく、カナンが目を逸らした隙に
鼻つまんで息んでたりして。

137:名無しさん@ピンキー
05/01/23 23:46:58 0f3lbddk
読めぬ! このリハクの目をもってしてもユウの次なる手が読めなんだわ!

>>133
さ、かかって参られい!

138:名無しさん@ピンキー
05/01/24 03:56:33 iqBPYj0b
勇 「>>133が…勇×依衣子のSS書く?」
比瑪 「書けばいいんだよ、勇×依衣子SS」


139:名無しさん@ピンキー
05/01/24 12:34:43 zGi9BE7K
新人随時歓迎

>>137
バレバレの罠しか張れない節穴軍師はすっこんどれw

140:Sleeping Beauty
05/01/24 19:15:45 jAlYDxxv
「艦長……どうなんです?」
 勇は、彼女が医務室から出てくるや否や荒々しく問いかけた。その問いかけに対し、こ
こ―国連軍所属戦闘艦ノヴィス・ノアの艦長にして船医を兼任する女傑、アイリーン
・キャリアーの口からは重々しいため息が漏れる。
「正直、芳しくないわね。身体や脳にこれといった以上は見当たらないけれど、その
おかげで何が原因なのかも分からないわ。医学的な処置は必要ないと思うけれど……なにせ
、あんなことになった人間はあとにも先にも彼女だけでしょうし」
 言って、彼女は勇を初めとしてその場に集まっていた皆を医務室に招く。やはり勇は
真っ先に部屋に駆け込み、彼女が寝かされているベッドに駆け寄った。
 ベッドの上では、一人の女性が静かな寝息をたてている。
「オルファンと分離した際の多量のオーガニック・エナジーの減衰……今のところ、
それが一番の原因と考えられているわね。あなたのご両親の診断ですもの、間違いは
ないでしょう」
 アイリーンのしごく冷静な声と、なにより両親、という言葉にかっとなって、勇は
声を荒らげる。
「くそっ、何のための研究者だよ! こんなときに効果的な対処法を考えるのが
研究者って奴じゃないのか!?」
「そんなことを言ってはだめよ、ドクター伊佐未夫妻は第一級のオーガニック研究者
ですもの、彼女をここで養生させることも翠博士の提案なのよ。ここはたぶん、今地球
でもっともオーガニックエナジーに包まれている場所でしょう?」
「お袋が……?」
「ええ。あなたはあまり顔を合わせないようにしているみたいだけれど……あなたの
ご両親もオルファン問題の処理で忙殺されてる中、こうして花を活けに来てくれて
いるのよ?」
 アイリーンはベッドの傍らを指して言う。そこには一鉢の白ユリが飾られていた。


141:Sleeping Beauty
05/01/24 19:19:23 jAlYDxxv
 オーガニック・エナジーに満ち溢れたこの艦、その花弁はみずみずしい生気に満ち溢れている。
「親が子供を見舞うのは当然のことだろう!?」
 言いながら、この行いが以前の両親ならば考えられないものであることも自覚していた。
 自分の子供を研究の道具としか見ていないままの両親であるならば、このようなことは
しなかっただろう。それは勇と、彼の姉が身をもって知っていることだ。
「勇、翠も、研作さんもね、今回のこと、あのひとたちなりに重く受け止めている
のよ。不器用かもしれないけれど、あまり悪く言わないであげてはくれないかしら……」
「直子ばあちゃん……」
 祖母であり、育ての親でもある彼女の悲しげな瞳に見つめられ、勇は落ち着きを
取り戻す。
「それに、ただ毎日黙ってそばにいることだけが思いやりの形ではないわ。あなたも
花くらい摘んできてあげたら? 外に出れば、少しは気分も晴れるというものよ」
「……ほっといてくれ」
 両親の方が思いやりがあるといわれているような気がして、勇はアイリーンから目を
背け、ベッドの上で人形のようにしている人物をみやる。
 昔絵本で読んだ眠り姫のように静かに―死んだように眠っている彼女の姿をみて、
勇は何かを押し込むような声音でつぶやいた。
「姉さん、いったいどうしちまったんだよ……」
 勇の姉、伊佐未依衣子が昏睡状態に陥ってから、もう一週間のときが過ぎていた。


142:書いた奴
05/01/24 19:27:50 jAlYDxxv
お目汚しスイマセン。とりあえずこんな感じです。勇×依衣子。
つかカケラもエロが出てきてないし。つか富野セリフむずいし。つか出来てないし。
あんま文章力がなくてかなり恐縮(((((゚Д゚;)))))ガタガタ ブルブル

143:名無しさん@ピンキー
05/01/24 21:39:00 j5pams9I
導入部なのでまだなんとも言えんが、頑張って。
いい切り口だとは思う。

144:名無しさん@ピンキー
05/01/29 14:19:40 vG/UtU3e
俺も負けてられないぜ!

145:Sleeping Beauty
05/02/04 10:40:00 Fi93XfMS
Sleeping Beauty

 太平洋の真ん中から見るオーロラが珍しいものでなくなって、もうどれだけの月日がたったのだろうか。
 夜空を飾る光のカーテンのその美しさは、しかしそれだけ地球が病んでいることを意味している。
 ―もう夜になってしまったのか。
 医務室の窓から差す夕日が消えていることに気づき、勇は顔を上げた。
 見上げれば、オーロラの向こうに巨大な山脈を見ることが出来た。
 地上40キロほどの空間に浮かぶ、淡い緑色の光をはなつ山脈―オルファンの姿が。
 オルファンと人との和解、リクレイマーとノヴィス・ノアとの決戦、長年にわたる親子の確執の決着……
 各人にとってさまざまな意味をもったあの戦いが終わってから、まだ一週間しか経っていない。
 なのに、姉を連れてこの地球へ、ノヴィス・ノアへと帰ってきてからは一日一日がひどく長いものに感じられた。
 何をするにも気が乗らない。それ以前に、何もすることがない。
 その理由はひどく簡単なことだった。姉―伊佐未依衣子の目覚めを待っている。
「……どうして、こうなってしまうんだ?」
 勇はオルファンの暖かな光を遠目に、あの戦いのことを思い出す。
 あの戦いでオルファンの真の抗体となり、そしてまたオルファンから開放された依衣子。
 最初はただ疲れ切って寝ているだけなのだろうと思っていた。この艦の最新鋭の設備での検査に
おいても、身体にはまったく異常は見られなかった。だが彼女が目覚めぬまま一日が過ぎ、二日が過ぎ、やがて一週間が過ぎて、
それでも依衣子はまぶたを閉じたままだった。
 医学的には、完全にただ寝ているだけという診断が下された。


146:Sleeping Beauty
05/02/04 10:43:13 Fi93XfMS
 すべてが上手くいくと思っていた。オルファンは人類と友に歩むことを選んでくれたし、
人類の持つオーガニック的な力の暖かさをも感じることが出来た。 
 たしかに宇宙へと顔を出したオルファンの政治的な位置づけや、今回の騒動にかかわった
人間たちへの処罰などまだ問題は山ほど残されているが、勇たちにはその累はほとんど及んでいない。
 裏でガバナー・ゲイブリッジやミスターモハマドが事態の収拾に帆走したといわれているが、それが
事実なら非常にありがたいことではあった。おかげで勇やブレンパワードたち、オルファンから放出された
リクレイマーにいたっても、今のところは大した騒動に巻き込まれるでもなく平穏な日々を送ることが出来ている。
 だが、それがゆえに勇は眠り続ける姉の傍らで己の無力を悔いることしか出来ない。
「姉さん……」
 ベッドの脇に戻り、安らかな寝息をたてる姉を見つめる。
 クインシィ・イッサーをやっていた頃の猛々しさは感じられず、その寝顔は安らかなようでもあり、
またひどく冷たいものであるようにも思える。
 返事のない呼びかけにも、もう慣れてしまった。


147:名無しさん@ピンキー
05/02/05 02:16:26 aaO+XBHU
フッフフ、いつエロに入るべきか!? と苦悩しているな?
ガンガレ! 勇と>>133!!

148:End Of The Night
05/02/05 20:52:04 nP65TRt/
アドレナリンが分泌していきりたっていたわたしの頭の中に、冷風が吹き込む。
まったく予想もしていなかったユウの行動。
まただ…。
またいつの間にかわたし達の会話はすれ違っていた。
わたしはあくまでも浮気を告白させ、反省を促すつもりだったのに、ユウが言い
淀んでいたのはまったく違うことだった。
今ユウがしているのは、わたしがぐっすりと熟睡した昨夜にしたことの再現。
つまり、昨夜もユウはこうしてわたしの身体を片手で愛撫しながら。
もう片方の手で自分を慰め…。
「ちょっとユウ、や、やめてっ!」
ようやく頭の中でミッシング・リンクがつながったところで、一気に今目の前で
展開されている光景へのリアクションが始まる。
「嫌っ」
思わずユウを突き放してしまう。
ショックだ。
ユウも男の子だ。
性欲が溜まれば自分で処理することもあるだろう。
でもまさか、こんな風に目の前でされるとは。
「…ごめん…」
ユウが俯く。
「…最低だろ…俺…我慢できなくてこんなこと…」
消え入りそうな弱々しい口調で言う。
返答に困ってしまうわたし。
ユウがこんなことをしたのも、わたしが彼が浮気をしていたと疑って全てを
話せと強要したからなのだから。
それを口に出すのが恥ずかしくて、ユウは…。

149:End Of The Night
05/02/05 20:54:06 nP65TRt/
そしてわたしは。
「ユウのバカ…」
そう呟いてしまった。
今さっき目の前でユウがわたしにしたことを思い出して。
それは昨夜わたしにしたことだという。
昏睡状態のわたしの服を肌蹴させ、片手で身体を撫で回しながらもう片方の
手で自分を…。
考えただけでこっちが恥ずかしくて頭に血が上る。
それでついつい彼をなじってしまう。
「何考えてるのよ、嫌いよ」
心にもないことを口から吐き出してしまう。
その一方で…心の中にまったく別の感情がわきあがってくるのを抑えきれない
でいた。
それは「嬉しい」という感情。
好きでもない男がまったく同じことをしたならおぞましくて寒気がする。
でも、相手はユウだ。
既に何度も身体を許した相手。
わたしにセックスを断られたと誤解して、たまりにたまった精力を持て余して
の行為。
浮気をするでもなく、かと言ってわたしに迫るでもなく。
やむにやまれずの行為。
どこまでもわたしの意志を尊重した結果。
あくまでもわたしだけを性の対象としてくれている。
それを思うと、本来なら唾棄すべきユウの行為が、とても嬉しく感じられて
来た。
けれど、容赦のない不用意な言葉は既にユウに向けて放たれた後だった。

150:名無しさん@ピンキー
05/02/06 00:00:47 DKsBLMn0
>149
GJ!!
ユウの攻撃は的確すぎるくらい、確実にカナンに罪悪感を埋め込みつつありますな。
次は当然、カナンの言葉に逆ギレしてみせるか、あるいは真に受けたフリをして部屋を出て行くか。
ユウの素晴らしい演技を期待。

しかし、ここしばらくは展開がエロから遠ざかってるのに、お話が面白いので不思議と不満が沸かない罠。
エロパロ板なのに。

151:名無しさん@ピンキー
05/02/08 02:14:35 jIcoDmME
勇コエー(((((゚Д゚;)))))ガタガタ ブルブル
なんかガバナーも手玉に取れそうな策士の勇。カナンどうなるどうする!?
うー、続きが気になる……

152:名無しさん@ピンキー
05/02/09 00:04:10 fZYQhQ5z
 何故、自分は毎日ここにいるのだろうか。勇は考える。
 オルファンにいた頃の姉―厳格な指揮官であり、オルファンの抗体として
伊佐未依衣子の名を捨てようとしていた姉、クインシィ・イッサー。
 変わってしまった彼女に対して、勇が抱いていた感情は畏怖と、ある種の怒りだけであったはずだ。
 こちらの話など聞く耳を持たず、オルファンの敵と見るや実の弟に対しても平気で銃を向ける、わからずやで
気性の激しい女。意見して頬を張られたのも一度や二度ではない。昔の面影などかけらも見せずクインシィを
名乗る依衣子を疎ましくさえ思っていた。
 姉さんは変わってしまった、もうあの優しい姉さんはいない。そう思い続けていた。
―けれど、姉さんは本当は何も変わっちゃいなかった
 依衣子の意思がバロンズゥを呼んだとき、彼女は叫んだ。
 家族を、守りたかっただけなのに。
 両親のモルモットとされても。名を捨て、オルファンの女王として畏れられても。
 そこには家族が居たから。
 優しい姉さん。たとえ本当に望むかたちでなくとも、彼女は必死に彼女の家族を守ろうとしていた。
 けれど。
 彼女がそうまでして守ろうとした家族、そこから抜け出したのは他ならない、自分だ。
 嫌になる。姉のことをわからずやなどといっておいて、一番何もわかっていなかったのは自分じゃあないか。


153:Sleeping Beauty
05/02/09 00:07:23 fZYQhQ5z
 ひどく胸がむかむかした。姉のことなど考えもせずに行動してきた自分の浅はかさが
悔やまれる。誕生日の花だって、一言「覚えている」とだけ言っていれば、あるいは姉さんは
こんなことにならなくて済んだのかもしれない。
 オルファンの抗体となった依衣子が、やり直すことを望んで帰ってきてくれたというのに。
―もう二度と、姉さんは目覚めないかもしれない
 急に世界が暗くなった気がした。
「姉さん」
 返事はない。
「姉さん?」
 今まで何度も呼びかけた。結果は同じだった。これからもずっと同じことが繰り返されるのか。
 そんなことを考えてしまって、不意に猛烈な寒気に襲われた。
 もう、平静を装うのは限界らしい。もう一度呼びかけようとして、出てきた声は言葉にならない嗚咽だった。
「あ、あ、ああぁぁぁ……ねえ、さん、ねえさん……っ」
 涙腺が熱かった。気づけば、勇の頬からこぼれた水が依衣子の顔を濡らしている。
「ちくしょう、こんなこと、こんなことになるなんて……」
 横隔膜が痙攣し、呼吸が乱れる。
「姉さん、ごめん、ごめんなさい、僕は……」
 子供の頃に戻ったように、勇はしゃくりあげた。両手で目を覆っても、流れる涙は
止まってくれない。力なく、依衣子の身体の上に倒れこんだ。
 ふと、幼い頃の記憶がよみがえる。両親がいつまでも帰らない日、勇は決まってこんな風に大声で
泣いていた。そんなとき、泣きつかれて眠ってしまうまで、姉は自分を優しく抱きしめていてくれていた。
依衣子の胸の中で、勇は底知れぬ安堵感を感じたものだった。
 けれど、もう二度とそんなやすらぎを得ることは出来ないのかもしれない。あの懐かしいぬくもりを―


154:名無しさん@ピンキー
05/02/09 00:12:13 fZYQhQ5z
>>152、題名入れ忘れたorz 一応「Sleeping Beauty」です
なんかまだエロに入れない……ぶっちゃけ勇がウジウジしてるだけなんで
このあたりは読み飛ばし可です。
つか、勇の話なんか誰も期待してないわな……さっさとエロに入らなきゃ

155: Virgin Heart
05/02/10 22:29:34 aSpnX7eW
「いいんですか、初対面の相手を信用して」
余裕の笑み、正確には余裕を装った笑みを浮かべていた三尾だったが、落ち着き
を取り戻したカントが、妙に取り澄ました顔で言った言葉に面食らう。
普通なら「子供」がこんなことを言えば、生意気と思うか、背伸びをして可愛い
と思うだろう。
しかし先ほどのような狼狽もなく、しかも真顔で言われてはどう受け止めていい
ものやら。
何しろ相手は天才少年、外見がどれほど子供らしくても、知能だけでなく精神的
にも成熟していないとは限らない。
思わず相手の様子を伺うような顔になってしまった。
自然体で大人の余裕ではなく、実際は余裕を装っているだけなのが如実に現れた
形だ。
だが相手のカントも、知能とは裏腹に子供らしい心根の持ち主。
旺盛な知識で無理に大人びた態度を形作っているだけ。
自らが無理をしているのだから、三尾の無理を見抜くことは出来ない。
彼女の顔から余裕の笑みが消え、なにやら訝しげな表情になったことで焦燥感に
かられてしまう。
「い、いえ、嬉しいんですよ、信用してもらえるのは…ただ」
ただ、ただなんなんだろう。
自分でも明確な答えのないままに話し出したため、とりあえず思いついたことを
そのまま口にしてしまう。
「ただ、あなたみたいに綺麗な人は迂闊なことをしない方がいいですよ」
言い終わってから、カントは顔を赤らめる。
(な、何を言ってるだろう僕は…)
子ども扱いされたくないと背伸びしたはいいが、その背伸びがあさっての方向へ
向いてしまっているのを彼の優れた知性は経験値なしでも理解していた。
だがそれは偽らざる気持ちでもあった。
客観的に見ても、今夜の三尾は元々悪くない容姿を精一杯に飾り立てていて少年
の目には眩しいほどだったのだ。

156: Virgin Heart
05/02/10 22:30:37 aSpnX7eW
(あらあら、顔を赤くしちゃって、気障な台詞もそんな顔で言っちゃ意味ないわ)
男女の機微に詳しいとはお世辞にも言えない三尾だったが、そこは年の功。
先に相手の無理を見抜いたのは彼女の方だった。
少年の精一杯の背伸び。
それを促したのが自分だということが、自尊心をくすぐる。
ましてや自分がカントのような少年が好みだと自覚した後である。
いささか愚かしいともいえる自尊心の満足は、すぐにより真摯な想いへと姿を
変える。
再び薄化粧越しに、頬が赤くなっているのをカントに悟られまいと焦る。
(もしかして…)
自分自身も期待しているのか、これから先に何が起こるかを。
そう考えて三尾はなおさら顔が熱くなる。
もしこれから先にそういう展開になるとしたら。
客観的に見れば自分のやっていることはかなり痛い。
日頃はしない精一杯のお洒落をして、年端もいかない少年を誘惑する女…。
自己嫌悪に陥りたくなるほどの痛さ。
だがその一方で開き直った感情もまたある。
別に男に相手にされないから少年に走ってるわけじゃない。
少年が好きだから、少年に迫る。
それのどこが悪いの?と。
青少年育成保護条例に思いっきり抵触していることには気づかず、自らの性癖
を少なくとも心のうちでは隠すことをしない三尾だった。

しばしの沈黙の後。
無言のままではあるが、同意を得たかのように部屋へと足を運び出す二人。
三尾とカント、二人の考えていることは同じ。
このまま夜が更けていくに連れて、二人がどんどん親密度を増していき、最終
的には…。
そんなことへの、期待と不安が同時に湧き上がっていた。

157:名無しさん@ピンキー
05/02/12 17:12:40 rAEocB8P
フッ、期待させてくれるぜ。
ゆっくりでもいい、続きを、フフ、頼んだぜ?

158:End Of The Night
05/02/12 21:17:54 B/vLgqkY
ユウは叱られた子供のような。
いや捨てられた子犬のような上目使いでわたしを見ている。
わたしが混乱してつい口走ってしまった罵詈をまともに受け止めてしまったよう
だわ。
本当はそんなに怒ってはいない…それは少しは怒っているけど…決して嫌いに
なんてなってない。
そう伝えようとして、わたしはふと思いとどまる。
ここであっさりと許すよりも、少し怒ったふりを続けてみようかな、と。
いつもいつもわたしをいいように玩具にするユウに反撃するいい機会のように
思えたから。
自分でも、現金だなと思う。
ちょっと前までユウが浮気をしている物と思い込み、捨てられはしまいかと戦々
恐々としていたくせに。
ユウがわたし一筋なのだとわかった途端に、彼の気持ちを弄ぶような行為をする
なんて。
少し調子に乗りすぎているかもしれない。
でもわたしは心の内からの欲求には逆らえなかった。
この時をおいてはユウを年上らしくリードする機会は来ない、ずっと好き勝手に
いじられ続けるような気がするし。
彼がわたしを愛してくれるのならそれでもいいけれど、やっぱり時にはわたしの
方が彼を可愛がってあげたい。
何よりも今目の前でしょんぼりとしているユウは可愛いから。
思わず抱きしめてあげたくなるほどに可愛い。
母性本能というのか、彼を抱きしめ、乳房を口に含ませてあげたいという気持ち
と同時に。
もっともっと困らせてあげたい、困ってなきそうな可愛い顔を気持ちがますます
強くなっていく。
ああ、親に捨てられて愛に飢えていたわたしにこんな母性が備わっているなんて
信じられない。
そしてまた、こんな意地悪な面が自分にあったことも。


159:名無しさん@ピンキー
05/02/19 14:17:18 W5ZnNyZQ
すべての作品に対し、期待age

160:名無しさん@ピンキー
05/02/19 19:45:09 +hMvnbsQ
光臨

161:End Of The Night
05/02/19 19:59:57 91k3qGxV
そうよ。
わたしは今まで年下のユウにさんざん玩具にされてきた。
お尻を高く上げた恥ずかしい格好をさせられて、失神するまで貫かれたり。
ユウのモノを挿れられたまま、恥ずかしい言葉を言わされたこともあった。

「あっ、あうっ」
「カナン…」
「な、何、ゆ、ゆうっ」
「今、俺達は何をしてるの?」
喘ぐわたしに突然投げかけられたユウの言葉。
こんな時に何を?
快感のせいでそんな疑問もぼやけていると、不意にユウがわたしの秘部へと
差し込んだモノの抽送を止める。
「?」
「言わないと、辞めちゃうよ」
「え?」
「だからほら、言ってごらん、今カナンは俺と何をしているの?俺の何を
どこに入れられてるの?言わないともう辞めるよ」

一度火のついた身体を止められる筈もない。
わたしはユウに言うがままに、恥ずかしい事を口走った。
誰も見ても、聞いてもいなかったけれど。
涙が出るほど恥ずかしかった。
言葉そのものより、気持ちよくしてもらうためにはどんなことにでも従う
自分の淫欲が恥ずかしかった。
もちろんユウのことを恨んだり、憎んだりはしていない。
ユウの意地悪もわたしを愛してくれていればこそなんだから。
でも…だったらわたしも同じ
愛しい、可愛いユウに、たっぷり意地悪して泣き顔にしたい。
わたしがそうされたように。

162:名無しさん@ピンキー
05/02/20 06:22:07 V5DaGJRk
ああっ、ダメだよカナンたん。それはユウの罠だ。
ユウを鳴かせてみたいなんて、自分から危地に飛び込むようなものだ~。

163:名無しさん@ピンキー
05/02/22 08:06:52 049gyXov
カナンがなかされてしまうよ...
もちろん期待してるが

164:End Of The Night otherside
05/02/26 22:09:11 xR2uwMBK
その夜、クインシィ・イッサーは寝つかれなかった。
目を閉じて、ベッドに横たわってみても、なかなか睡魔が襲ってこない。
昨夜もそうだった。
ベッドに入ってから起き上がるまでの時間は六時間以上あったが、実際の睡眠時間
は半分の三時間にも満たなかったろう。
このままでは今夜も同じことになりそうだ。
「なんで…気にかかるんだ…こんなこと」

昨夜、クインシィは同じグランチャー乗りであるカナン・ギモスと口論の末に手を
上げてしまった。
それ自体は気にかけるような事でもない。
問題は口論の原因だった。
些細なこととか、取るに足らないことであればまだいい。
「わからない」
それが正直な感想だった。
何故カナンに急に腹が立って引っ叩いてしまったのか…。
確かに平素から、カナンは気に入らない方だ。
リクレイマーのリーダーである自分に従わないから。
かと言って積極的に反抗するわけでもない。
反抗的なのは彼女ではなく、いつも彼女と一緒にいる伊佐未勇の方。
そう、勇。
(あいつは生意気だ…一々わたしに歯向かうし、人のことを姉貴姉貴と…姉貴?そういえば
わたしはあいつ…ううん、あの子の姉…伊佐未依々子…」
クインシィが不意に閉じていた目を開ける。
昼間の間、好戦的に輝いていた目が、温和な光を放っていた。
「まただわ…またわたしは「クインシィ」に「なりきって」いたのね…」
苦渋に満ちた呟きをもらすクインシィ、いや、イイコがそこにいた。
(もうクインシィでいる時間の方が比較にならないほど長くなってる…)
自分の内面で起きている現象に慄きながら、クインシィとして体験した記憶を反芻する。
不意に、イイコの温和な目が、一瞬クインシィよりもギラついた殺意に満ちた目となった。
昨日の出来事を思い出して。

165:名無しさん@ピンキー
05/02/27 18:42:10 l2yp4uKH
姉弟フラグ、ついにキタ━(゚∀゚)━ !!!!!
近親! 近親!

166:名無しさん@ピンキー
05/02/27 23:37:57 oygBMFeV
イイコ姉さんキタ―――

167:End Of The Night otherside
05/03/05 19:25:23 1lslUIVr
イイコはここしばらく不機嫌だった。
最愛の弟、ユウが自分以外の女といつも行動をともにしていたから。
カナン・ギモス。
何度かユウとペアを組むうちに、プライベートな時間でも一緒に過ごすようになっている。
それを見る度に歯噛みするイイコだが、何一つそれに対して打つ手を持たない。
何故なら彼女は普段、クインシィ・イッサーという別人格に自らの肉体を委ねていたから。

はじめは演技だった。
親のエゴで可愛いユウと引きはなされ、このオルファンの中でグランチャーを動かすこと
を強要されたまだ幼さの残る少女だったイイコ・イサミには、自分の運命を儚むことしか
出来なかった。
幸い見た目はただの巨像のようなグランチャーには「心」があり、それと触れ合えること
で多少なりと心を癒せるのが救いであった。
そして彼女を責め苛んだのは孤独感だけではない。
オルファンの中にはリクレイマーと呼ばれる人々のそれぞれの思惑が渦巻いていた
感受性の強いイイコは、その剥き出しのエゴを感じ取って苦悶した。
彼女には自分自身の弱い心を守る鎧が必要だった。
そうして彼女は弱い自分を覆い隠す「クインシィ」という鎧を手に入れた。
クインシィは強い、寂しくないし、他人の考えなんてどうでもいい。
ただ一つ、自分に対し無償の行為を寄せてくれるグランチャーにのみ、心を開き。
彼らとオルファンのためには全てを蹴散らし、踏み潰していく。
それで良かった。
いつか全てを手にした時に、ユウを迎えに行くその日までは。
だが。
会いたい会いたいと願っていたユウが、遅れてオルファンに連れて来られた時クインシィ
という名の心の鎧は、自ら意思を持っているがごとく、いや、明確な意思を持ってイイコ
の肉体を支配していた。
元々はイイコの意志で演技でやっていたことが、そのイイコ自身を無視して勝手に行われる。
そう、彼女は二重人格に成り果てていたのだ。

168:End Of The Night otherside
05/03/05 19:26:49 1lslUIVr
ただの二重人格であればまだ良かった。
イイコの場合、新人格が主として表層に現れ、元の人格は完全に従として深層に引っ込んで
しまっていた。
クインシィとして経験したことを、イイコとしての自我を取り戻しす短い時間に思い起こして
は落胆する日々。
何故ならクインシィは久しぶりに姉に会えて嬉々として駆け寄ってきたユウを邪険に振り払い
その後も健気に近づいてくるユウを冷たく拒絶し続けたのだ。
やがてユウは、姉がすっかり変わってしまった物だと思ってしまった。
無理もないことだった。
そして自らも態度を硬化させた。
イイコだけでなく、全てに。
殊に自分と姉を引き離した両親への隔意は甚だしかった。
(もっとも父はそんなユウの態度に眉を曇らせたものの、母はユウの隔意にすら気づいていない
ようだったが)
日に日に生意気で気が荒い少年になっていくユウに、イイコは自我を取り戻すたびに煩悶した。
「あの可愛くて素直だったわたしのユウが…」
しかもそれが、別人格とはいえ自分が冷たくしたせいなのだから、その苦悩は一際。
クインシィとしての意識を封じ込めるその度に、ユウの元へと飛んでいって彼を抱きしめたい
衝動に駆られた。
だが出来なかった。
事情を知らないユウに、何を今更とばかりに拒絶されるのが怖かった。
肉体は自分であっても心は自分ではない、クインシィに対して向けられる敵愾心ある目を後から
思い起こすだけで泣きたい気分になるイイコ。
それが直接ユウから罵倒されようものなら、悲しみで悶死しかねない。
涙を呑んで、諦めるしかなかった。
そんなイイコの悲しみはいまや主人格の座を乗っ取ったクインシィにも当然のごとく伝播しより
一層苛立った態度にさせることになる。
クインシィの慰めはグランチャーで、物言わぬパートナーにだけはクインシィはイイコと変らぬ
優しい笑顔を向ける。
イイコにはその慰めすらなかった。


169:End Of The Night otherside
05/03/05 19:29:00 1lslUIVr
いかに性格に難があっても、容貌が整った少年であるユウ。
ましてや閉鎖された狭い社会。
グランチャーとの親和性を見込んで連れて来られた同年代の少女達に、彼はモテた。
悪友と言うか、悪いことを教える兄貴分のジョナサン・グレーンの存在もあり、ユウは十代半ば
にしていっぱしのプレイボーイとなった。
それを見てイイコは嫉妬はしたが、ユウに逢えない悲しみ、クインシィとして彼に嫌われている
という絶望の前では何程の事でもなかった。
そんな感情が、カナンという女の出現で、劇的に変化した
カナンはユウよりもむしろ自分と同年代の女。
そんなカナンに、ユウが無意識の上に姉の面影を見ているのをイイコは見て取った。
(わたしという本当の姉がいるのに、そのわたしの目の前で、そんな「代用品」を相手にするの
ユウ!)
増幅されていく嫉妬心が臆病な心を打ち払ったのは一週間前のこと。
クインシィとしての自分を意志の力で屈服させたイイコは、ある夜ユウの部屋を訪ねた。
イイコの主観としては何年かぶりの対面だった。
部屋をノックすると。
「カナン、いいよ、入って」
プツン。
比喩で無しに、顔面の毛細血管が数本切れた。
これが脳の太い血管なら脳内出血になっていたところだ。
イイコが訪れたのは夜更け。
そんな夜中の来訪者を、カナンだと考えると言うことは既に何度も夜に逢引をしているということ
になる。
煮えくり返る腸を何とか抑えつけたイイコだが、ドアを開けたユウが一瞬驚いた顔をした後に言い
放った言葉には耐えられなかった。
「あんたか、何のようだよ」
その素っ気無い言葉。
(もう、ダメ…)
いぶかしげな顔を驚愕に変えるユウ。
その視線の先にあったのは涙。
ダムが決壊するが如く、イイコの涙腺は限界に達し、涙が零れ出したのだ。


170:名無しさん@ピンキー
05/03/05 20:54:36 HTTPshoJ
イイコ姉さんを慰めたいんですが、何処に行けばイイコ姉さんに会えますか?

171:名無しさん@ピンキー
05/03/05 23:49:43 vPA7OVXC
>>170に全米が泣いた。

172:名無しさん@ピンキー
05/03/08 16:10:05 4n8UUQcx
>「あの可愛くて素直だったわたしのユウが…」

わたしのユウが・・・
わたしのユウが・・・
わたしの・・・

ネエ━━(゜∀゜)サ━━ンッッ!!!!!



173:名無しさん@ピンキー
05/03/09 00:38:24 MW/zo01O
イイコ姉さんは最強の姉キャラと確信しました。
もう最高。

174:名無しさん@ピンキー
05/03/09 05:08:17 n0+SWUFd
姉さんが愛おしくてしかたありません
GJ!>169

175:名無しさん@ピンキー
05/03/09 17:44:57 HXHq4a3I
イイコ姉さま最高です

176:End Of The Night otherside
05/03/12 23:49:19 nEJRtHzT
「俺って最低だよな…」
自らを卑下する言葉を吐くのは、そうすることで自分の心の重荷を少しでも軽くしたい時。
そんな話が、今のユウには真理に思えた。
自分からカナンの部屋に行こうか、来るのを待とうか決めかねている間、彼は自己嫌悪に浸って
いた。
カナンと肉体関係になって大分時が経つ。
初めのうちは何の下心もなかった。
少なくともそのつもりだった。
そう、あくまで彼女の豊満な肉体が目当てだった。
男としてしごく当然、まっとうな理由であり、何のやましさも感じることはない。
もちろん彼女と一緒に任務を任され共に行動するうちに、その派手目な外見とは裏腹に生真面目
で奥ゆかしい性格は好ましく思え、一緒にいていやな気分にさせられることはないという要素は
大きかったが。
だが今では…。
「カナンにバレたら…怒るだろうな…」
今のユウにはわかっている。
カナンの肉体に耽溺していた本当の理由が。

自分より少し年上のカナン。
これがもしかなり年上の相手だったとしたら、話は早い。
研究ばかりで長い間自分を放置し、やっと呼んだと思ったら今度はモルモットか何かと勘違いして
いるんじゃないかと疑ってしまうような対応をする実母翠に代り、母性を求めているのだろう。
その場合は話は簡単だ。
その美熟女に「ママの代り」になってもらえばいい。
少年、いや男にとって必要なのは「母性」であり、それが血の繋がった実母である必要などない。
しかも実母と違って肉体関係をもっても何も差し支えはないのだ。
だがカナンの年代は…ユウが永年慕っていた姉イイコとほぼ同じ。
そう、ここオルファンに連れてこられるまで、会いたくて会いたくて仕方が無かった最愛の姉と。


177:End Of The Night otherside
05/03/12 23:50:37 nEJRtHzT

豊満で大柄な肉体のカナンだが、心根が繊細なせいかどこか儚げな雰囲気がある。
それは姉イイコと共通する。
最初の経緯はどうあれ(無意識のうちに姉の面影を求めていた可能性も否定は出来ないが)いつ
の間にか姉の代用品としてカナンを見ていた。
カナンが知ればどんなに悲しみ、怒るか想像もつかない。
自分が誰か他人の身代わりにされていたなんて。
だが、それなら母親の代用品でも、姉の代用品でも同じこと。
何故姉の代用品がマズいのか。
その理由は当の姉の存在にあった。
翠同様、同じオルファンに姉イイコはいるが
そのイイコは自分の知っているイイコではなかった。
クインシィ・イッサーと名乗る、ヒステリックなプチ・ディクテイター。
とても甘えさせてくれるような相手ではなかった。
それでもなお。
ほとんど疎遠になった母親と違い、祖母の庇護の元とはいえ姉弟二人きりで過ごした日々はそう
簡単にユウに姉のことを諦めさせたり、嫌いにさせたりはしなかった。
表面的には仲が最悪の姉弟関係に見える。
クインシィはもちろん、ユウの方も刺刺しい態度を隠さないから。
だがそれは姉への嫌悪を意味しない。
決して演技ではないが、それは姉自身と言うより彼女が変わり果ててしまったということに対して
の憤りの表れなのだ。
もし姉がもはや自分のことなど路傍の石程度に思っていなくても、ユウとしては姉の身代りとして
カナンと愛しあってることに関しては、カナン本人のみならず姉に対しても後ろめたい気持ちを抑え
きれないのだった。
「カナン、いいよ、入って」
部屋のドアがノックされ、自己嫌悪から現実に引き戻されたユウが声をかける。
反応が無いことを怪訝に感じてドアを自ら開けると、そこにたっていたのは。
「あんたか、何のようだよ」
代用品、ではなく本物の姉だった。


178:名無しさん@ピンキー
05/03/13 01:28:42 ang1YYjz
よかった。ユウにもまともな感情があったんだ。

イイコ姉さんのとの逢瀬が楽しみです。

ほんと、萌え頭かかえてゴロゴロ転げまわれそう。

179:名無しさん@ピンキー
05/03/13 01:42:01 p2mcIJUs
何故、俺の家にイイコ姉さんがいないんだろう。
ちょっと真剣に考えてみようと思う。

180:名無しさん@ピンキー
05/03/13 13:45:51 IjCQ0tyI
本当に居たら、それはそれで大変だけどな 

181:名無しさん@ピンキー
05/03/14 07:15:38 AHuMiwyD
よかったよ。ユウも黒いだけではなかったんだな。

182:End Of The Night otherside
05/03/19 20:14:00 JtfW7XSt
ユウの口から飛び出した素っ気無いというよりむしろ冷たい言葉。
それはここ最近姉に、いやクインシィ・イッサーに接する時はそういう態度が常であったがため
の反射的言動だった。
直後にしまったと思う。
わざわざ自分を尋ねてきた以上何か用があったに違いない。
確かに態度が一向に軟化しないどころか硬化する一方のクインシィに媚びる気はないが。
向こうから歩み寄りを見せようというのにこちらが頑なになっては意味がない。
所詮ユウのクインシィへの冷たい態度など、言ってみれば構ってくれない姉に対するあてつけで
しかないのだ。
そしてその失敗したなという感情が、すぐによりはっきりとした後悔に代わる。
クインシィの、いや、イイコの目から零れる大粒の涙を見て。
「ちょ、ちょっと、どうしたの姉さん!」
慌ててクインシィの肩を掴むユウ。
咄嗟であったので相手に拒否されたり、または怒ったりするなどとは考えもしなかった。
結果としてそれが良かった。
久々に弟に触れられたことで、イイコに戻っていた姉は少しだけ気分を落ち着けた。
涙を掌の端で拭うと、少し恨めし気な顔で自分よりほんの少し背が高くなってしまった弟を睨む。
(この子がこんなに大きくなる間、わたしは側にいれなかったんだ…)
改めて弟の成長を確認すると共に、これも改めて寂しさを感じる。
(そしてやっと一緒の場所にいられることになったのに、今までずっといがみ合うだけで…)
悲しくなって、一度は涙を拭った目から再び涙が零れる。
「ああっ、もう何で泣くんだよ、とにかく中へ」
姉の肩を抱くようにして、部屋へと誘うユウ。
繰り返すが慌てていたため、この後カナンが来たらどうなるかなどとは考えなかった。

ちなみに幸運にもこの夜は珍しくカナンはユウを訪れなかったが、それは単なる「問題の先送り」
以外の何物でもなかった。

「どうしちゃったんだよ、いきなり人のところに押しかけてきて泣き出すなんて」
ユウの問いかけに対し、泣き腫らした目を向けたイイコは答える。
「ユウ…あんたはもうお姉ちゃんが嫌いになっちゃったの…」

183:名無しさん@ピンキー
05/03/19 23:36:37 bXTjRQ3R
イイコ姉さん可愛いよイイコ姉さん

184:名無しさん@ピンキー
05/03/19 23:54:54 uKgOO/oA
やばいいいこだよいいこねえさん。

185:名無しさん@ピンキー
05/03/20 06:25:15 QlJmE3Hv
今だけで良いから勇。
俺と代われ。

186:名無しさん@ピンキー
05/03/20 08:03:42 jdt1JiCG
このスレがイイコ姉さん萌え+ユウはひどいヤツという概念はやっぱ「あね・おとうと」の影響がスゴクでかいんだなと実感する今日この頃。
「あね・おとうと」の作者様、気が向かれたらまたよろしくお願いします。
鬼畜なユウとけなげな姉さんでハァハァしたいです。


187:名無しさん@ピンキー
05/03/20 10:59:28 /5rapHw1
>End Of~
イイコ姉さんが切なくてたまらん
ユウ、優しくしてやってくれ

>186
1つだけ反論しよう
イイコ姉さんはアニメの段階から萌えるよ
「私は家族を守りたかっただけなのに!」の叫びはきゅんきゅんきた

>Sleeping Beauty
イイコ姉さんが目覚めるのを待ってます。続きガンガレ

188:名無しさん@ピンキー
05/03/20 13:17:17 GxsaLa8I
>>186
いや「あね、おとうと」の方もユウの姉への愛は何も変わってないぞ。
愛情表現のプレイがエスカレートして歪んでしまってるだけでw

189:名無しさん@ピンキー
05/03/22 18:06:53 +tWgyMz6
そうそう、あの歪んでしまってる愛情表現が「あね、おとうと」の魅力なんだよな。
声優つながりで「∀」を持ってきたのにはワロタw。

190:End Of The Night otherside
05/03/26 23:46:11 OQVPeWAy
涙を浮かべて、弟の先ほどの冷たい態度に恨み言を言う姉。
「えっ?俺っ?」
ユウにしてみれば話が反対だ。
久々に会ったのに嬉しそうな顔一つせず、逆に自分を邪険にしたのはイイコの方なのだから。
「何言ってんだよ、姉さんの方こそ、今までずっと俺に冷たかったじゃないか」
当然の答えではある。
言い返されたイイコの方でも、ユウの立場からすればもっともだとは思う。
言葉にしなくてもわたしの気持ちを察してくれてもいいのに…と多少は思いもするが。
それでも速やかに誤解を解こうと今までのいきさつを話そうとして、ふと思いとどまる。
クインシィという別人格が生まれてしまったことをユウに話せば確かに誤解は解けるだろうが、
その後のユウの反応はどうだろうか、と。
多重人格など精神疾患のようにものである。
そんな心の病を抱えた姉を、ユウは疎ましく思うのではないか。
今までの反撥心からの隔意ではない、本当に心から自分を避けるユウ。
そんな恐ろしい想像が脳裏をよぎる。
(で…でも…)
ようやくユウと話を出来る時が来たのだ。
この期を逃してしまえばもう機会は当分無いかもしれない。
(ユウはそんな子じゃない…)
そう自分に言い聞かせ、イイコは口を開いた。

「なんだよそれっ!」
全てを耳に入れた後、激昂するユウ。
「いくら専門外といっても、オフクロもオヤジも学者だろつ、娘がそんなになってるのに気づき
もしないなんてっ!」
ユウの剣幕に一瞬気圧されたイイコだったが、それが姉である自分を大切に思うが故の怒りだと
気づくと、嬉しさがこみ上げてくる。
「いいの、ユウ」
そう言ってユウの手を握るイイコ。
「ユウがわかってくれれば、あれがわたしの本意じゃないってわかってくれればそれでいいの、
ほんとうのわたしはずっとユウと一緒に居たいんだって、それさえわかってもらえれば」

191:名無しさん@ピンキー
05/03/27 01:17:15 k2skAvga
>>190
GJ!

192:名無しさん@ピンキー
05/03/27 16:11:26 VpapMk4l
こらこら。
カナンたんはどうなるんだ。
おれが貰っちゃうぞ。

193:名無しさん@ピンキー
05/03/27 23:00:36 k2skAvga
じゃあ俺はヒメを。

194:名無しさん@ピンキー
05/03/27 23:04:21 tc793dl+
んじゃ俺は、ユウとイイコたんのためにムードミュージックを流すよ

195:名無しさん@ピンキー
05/03/31 09:51:49 a4UtxHaZ
超GJ(o^ー')b

ついでにスレ違いだが誰かブレンのお薦め二次創作教えてくれ

196:End Of The Night otherside
05/04/03 00:04:07 AC2pPjd2
「姉さん…」
昔、共に過ごした日々のまま変っていなかった。
そしてずっといじらしく想いを秘めていた。
そんな姉を、ユウは優しく抱き寄せた。
「ずっとこうしたかった、姉さん…」
「ユウ…」
イイコもユウの首に腕を回してしがみつく。
「わたしも…ユウと一緒にいたくて…いたくて…」
「いいんだよ姉さん、もういいんだ…」
やっと想いの通じた姉弟、しかしユウの感慨は、姉が漏らした言葉によって一気に醒まされる。
「…ずっと悔しかった、わたしがユウと一緒にいれないのに、カナンがずっとユウの側にいて…」
「!」
その言葉で、自分が今おかれている立場を思い出すユウ。
そう、今の自分はカナンと付き合ってる。
通常ならば恋人がいることと、姉弟仲良くすることは別に相反しない。
だが。
自分は明らかにカナンに対し姉への思慕の代償行為を求めていたし。
イイコのユウへの感情は、一般的な姉の弟に対するそれを逸脱している。
カナンの存在をイイコは快く思わないどころか、はっきりと嫉妬するだろうし。
それはカナンも同じ。
別に彼女の前で演技をしていたわけではないが、自分に優しくしてくれない「クインシィ」への
反撥から荒々しく刺々しい態度を取っていたユウを見て、姉が嫌いだと思い込んでいるだろう。
それが。
もし今ここにカナンが来て二人が一緒にいる所をみればどう思うだろうが。
色々と事情はあるが、とりあえず今夜和解したことは事実。
それを正直に言うべきか。
いや、それはマズい。
何故ならユウが本当は姉思いを通り越してもはや姉萌えと言ってもよい属性だったということが
わかれば、カナンに対して姉の代用品のような役割を期待していたということを感づかれてしまう
可能性もある。
それだけは避けたかった。

197:名無しさん@ピンキー
05/04/03 00:32:51 LmgI6rIk
姉萌え のところで野菜ジュース吹いちまった。GJ!

198:名無しさん@ピンキー
05/04/03 15:34:27 NmIiLLQG
毎週土曜日が楽しみだ(*´д`*)
GJ!

199:Sleeping Beauty
05/04/03 19:23:27 YpWsrOcP
 そんな暖かさを今になって思い出したのは、ただ優しい姉の思い出に浸りたかったからではない。
 最初は、たんなる錯覚だと思った。思い出が作り上げる空虚な錯覚だと。
 誰かの胸に抱かれる幻覚―その感触を確かめるように、いやむしろそれが錯覚であることを確かめるため、
勇はゆっくりと己の頭に触れているものに手を伸ばす。
 柔らかな感触が指先に触れた。そのたわいのない一触れに、勇の心臓ははじけそうに高鳴る。
 高鳴る鼓動を無理やりに押さえ込んで、勇はゆっくりと顔を上げた。
 白く細く、慈しむように勇の頭をなでるその手に、覚えがないはずはなかった。
「姉……さん?」
 ゆっくりと顔を上げ、呼びかけた。答えの期待できないはずのその問いかけを。
「ゆ……う……」
 時間をかけ、搾り出すようにして、彼女は―依衣子は弟の名を呼んだ。
「姉さんっ……!? 姉さん、依衣子姉さんっ……!」
 その呼びかけが、ぬくもりが、吐息が、それらすべてが幻想でないことを確かめるように、
勇もまた何度も姉の名を呼ぶ。
 か細い声で、しかしはっきりと、依衣子はその呼びかけに応える。
 存外にあっけないものだな、と思った。目覚めてしまえば何のことはなく、自分の心配も
多少度が過ぎていたのではないかと気恥ずかしくもなる。彼女がもう目覚めぬものと、根拠もないのに
思い込んでしまっていた。
 けれど、本当に、姉に二度と会えないかもしれないと思ってしまったとき、全身が凍るような悪寒を感じた。
 その冷たさを暖めてくれる人がいなくなることを、本気で恐れてしまったのだ。
だが、そんな感情もすぐに喜びへと変わっていく。
姉が自分の名を呼んでくれる―たったそれだけのことが、なにより嬉しかった。


200:Sleeping Beauty
05/04/03 19:37:09 YpWsrOcP
 依衣子はまだ覚醒しきっていないのか、穏やかな様子で再度勇を抱きなおす。
「勇、泣いてるの? 大丈夫、怖くないよ、お姉ちゃんがついてるから……」
 あやすような声音で勇の頭を撫でる依衣子の姿は、あの頃の、優しかったお姉ちゃんそのものだった。
「ねえさん……」
 自分が今までどうなっていたのか、何故ここにいるのか―そんなことは二の次にして弟を気遣う姉を
、勇はたまらなく痛ましく、そして愛おしいと感じてしまう。
「泣かないで、お姉ちゃんがいるから、守ってあげるから、泣かないで……」
 ふと、姉の身体が震えていることに気づく。見れば、いつの間にか依衣子の瞳からは大粒の涙がこぼれていた。
溜め込んでいた感情を噴出させるように、依衣子は勇に懇願する。
「だから、どこへも行かないで、あたしのそばにいて、お願い、行かないで……」
依衣子はまるでしがみつくように、固く強く勇を抱きしめた。声にならない嗚咽が姉の喉から漏れる。
クインシィ・イッサーをやっていた頃からは想像もつかないその姿に、勇は困惑の色を隠せない。
 記憶が混乱しているのか―勇は思う。だが、そうではないことにすぐに気づいた。
 オルファンを飛び出した勇に対する願いが、依衣子の言葉には含まれている。
握り締められたこぶしはひどく震えていた。今度こそ離れたくない……そんな願いの込められた抱擁だった。
 きっと、姉さんは寂しかったのだろう。勇がここ数日感じていた喪失感を、姉はオルファンでずっと感じて
いたのかもしれない。そう思うと情けなさと申し訳なさで泣き出しそうになるが、ここでさらに涙を流せば
姉はもっと悲しむだろう。
「姉さん……ごめん、大丈夫だよ。僕はここにいる、どこへもいきやしないさ」
 そっと包むように、しかし力強く、勇も依衣子を抱きしめた。
「勇……」
 胸の中でしゃくりあげる姉は、厳格な指揮官でもなければオルファンのアンチボディでもなく―
可愛らしく、そしてはかない少女だった。


201:名無しさん@ピンキー
05/04/03 21:59:49 KI1H0tP5
すまんみんな・・・勃起した

202:名無しさん@ピンキー
05/04/04 00:06:48 pB19AfW+
キタ━━━(゚∀゚)━━━ !!!!
本編最終回後のif話として楽しみにしてます

203:名無しさん@ピンキー
05/04/06 01:53:51 Eu8mTErZ
2人の細かい心情にほろりと来た・・・

作者さま乙です。

204:End Of The Night otherside
05/04/09 23:55:53 LTSNbrc6
「ユウがね…」
動揺を隠し切れないユウに、イイコの言葉が続けざまに告げられる。
「ユウが女の子と付き合うのは別にかまわないよ」
自分の胸に顔を埋めたままの姉の言葉にに少し意外な気もする。
「もう、ユウもそういう年頃だし…」
「本当に?」
思わず聞き返してしまうユウ。
そしてそう言ってしまってからふと思う。
一体何を聞いているのかと。
自分とイイコは姉弟であり、゜恋人ではないのだからお互いが恋人や、後々
には伴侶を見つけてもおかしくないどころかむしろそれが当たり前だ。
だがユウはイイコが自分以外の男と一緒にいるなど想像も出来なかった。
そして今夜真意を知った以上は姉もそういう風に思って当然だと感じていた。
「でも…」
イイコはユウの質問を聞き流したのか、あえて無視したのか言葉を続ける。
「でもカナンはだめ、あの女はいや」
「なんでさ?」
クインシィの時はともかく、今のイイコがカナンを嫌う理由は思いつかない。
自分と一緒にいること自体が気に入らないというなら先ほどの言葉と矛盾する。
しばしの沈黙の後、意を決したようにイイコは言った。
「だってユウのお姉ちゃんはあたしだけだもの」




205:End Of The Night otherside
05/04/09 23:56:55 LTSNbrc6
「ねっ、姉さん?」
「お姉ちゃんはあたしだよ、カナンじゃないよ…」
ギクリッ。
その言葉は一聴して質問に答えていないようで、見事にユウの急所を突く言葉
であった。
当のカナン自身も知る由は無いだろう感情をズバリと言い当てられた。
それはまさについ先ほど、カナンにバレるとマズいと考えていたことだ。
イイコには見事に見抜かれていた。
恐らくは表層人格の下から、イイコはユウとカナンの仲睦まじい姿を見ていたの
だろう。
そしてユウがカナンに向ける眼差しから、その真意を見抜いていたのだ。
「な、何を言ってるんだよ姉さん、あたりまえじゃないか!」
焦りがつい語気を荒げる。
「だったらどうして、カナンを…」
「か、カナンは彼女、そ、そう彼女だよ、彼女なら作ってもいいってさっき姉さんが
言ったばかりだろ?」
「言ったよ、そう言った、じゃあ聞くけど、カナンのどこがよくて一緒にいるの」
未だに顔を伏せたままさらに質問をして来るイイコ。
「そ…それは」
姉の前で今付き合ってる女の子の惚気を言うのは気が引けた。
だがふと思い立つことがあってユウは口を開く。
「そうだね、やっぱり性格と身体、どっちもいいからかな」
そう口走った瞬間、自分にしがみついたイイコの握力が強まったのをユウは確か
に感じていた。

206:名無しさん@ピンキー
05/04/10 00:03:12 PNadEIzN
GJ!!

207:名無しさん@ピンキー
05/04/10 01:04:02 X0/b06xg
ユウの言葉を姉さんがどう捉えたのか気になる
良い方に転んでくれればいいけど
ああもう早く続きが読みたい!

208:名無しさん@ピンキー
05/04/10 23:55:02 HBtlq23B
>「だってユウのお姉ちゃんはあたしだけだもの」
すごい破壊力のセリフですな。

209:名無しさん@ピンキー
05/04/11 22:11:36 gQ+qaHWo
☆ゅ

210:End Of The Night otherside
05/04/17 00:03:58 bCLpAVJl
再会から既に一年以上は経つのに、今になってやっとこうして抱きしめ合えた姉
イイコ。
かつて幼い日々、常に自分のため頑張っていた最愛の姉。
だが、今の自分はかつてイイコが愛したかわいい弟ではない。
イイコと引き離された数年、そしてやっと再会した姉にすげなくされた一年余りの
日々がユウの心を荒ませていた。
こうしてイイコと抱き合っていても、その場の安らぎは得られる物の既に抉れた心
の傷は塞がらない。
もはやイイコ一人では自分の心を埋める事は出来ない。
既に自分にとってはなくてはならない存在であるカナンとの仲はなんとしても認め
させなくてはいけない。
そのためには、自分がカナンに求めている物がイイコに対して求めているものとは
違うとはっきりさせる必要があった。
ズバリ、彼女の豊満な肢体が目当てなのだと。
もちろん性格もいいのだということは言い添えるが。
しかし、その言葉に姉は思わぬ反応を見せた。
腕にこめられた力、そして一瞬その目に宿った殺気。
(…もしかして…姉さん…)
それは恐ろしくも甘美なる推察。
もしかして姉さんは。
自分がカナンを姉代わりにしていたことを怒っていたのではなく。
カナンと付き合ってたこと自体を憤っていたのかと。
それならばカナンとの関係が深いものであることを誇示したのは逆効果ではなかった
のか。
そういう戦々恐々とした思いとは同時に。
姉さんは、俺を弟じゃなく男としてみてくれているのか?
そんな甘美な考えもまたわきあがっていた。


211:End Of The Night otherside
05/04/17 00:09:40 CIk2dQk8
今の今まで、カナンに対して感じていた嫉妬は姉としてのものだと思っていた。
いや、そう思い込んでいた。
自分こそがユウの姉なのに、どうして彼女がユウと…という反撥だと。
だが今ユウが口にした言葉。
カナンと既に肉体関係にあるということを認める言葉。
それを聞いた途端、頭の中が真っ白になり、気がつけば俯いたままユウの腕をギュッ
と強く握っていた。

ユウはまだ16歳の誕生日を迎えていない。
それで身体の関係のある相手がいるとは確かにませてはいるが、決しておかしく
はない。
おかしくはないが、納得できない。
(そんな…)
しかし、これ以上は自分で自分に嘘はつけない。
カナンに対する「ユウの姉はあたしなのに」という対抗意識。
それが単なるカモフラージュで、本当は単純にユウを取られたことに嫉妬していたのだ。
そう。
自分はユウのことを単なる弟として好きなのではなく、異性として愛していたのだと。
それならば今までの自分の苦しみも理解できる。
愛する相手に心ならずも冷たい態度を取り続け。
そしてその相手が別の女と一緒のところを散々見せつけられて来たのだから。
そして今、決定的な言葉を聞いたしまった。
イイコの心はざわめく。
自分が禁忌を犯していることへの畏れりより、女としての妬心の自覚の方が上回る。
わたしのユウを。
あの大きな胸やお尻を揺らして誘惑したのね。
何て女なのカナン。
そんな理不尽な怒りが。


212:名無しさん@ピンキー
05/04/17 00:28:04 5cdKTL0r
GJ!

213:名無しさん@ピンキー
05/04/17 00:41:49 6I/3FGyf
GJ!
こ、これは、ユウ×イイコ姉さんの本番を期待しちゃってもいいのか!?

214:名無しさん@ピンキー
05/04/19 02:13:41 t7/nSOcj
姉さん中心が見たい

215:Sleeping Beauty
05/04/19 22:25:49 aT6R+JNZ
「姉さん、身体、大丈夫? その、オルファンで……」
 落ち着いた様子の彼女を見て、勇はたずねた。だが、こちらの問いかけに
依衣子はまったく別の言葉で返す。
「本当は、ね……」
「姉さん……?」
 うつむいた姉の表情は見えないが、どこか様子がおかしい。
ふと、彼女の震えが止まっていないことに気づく。
「本当は、……あたし、すごく、すごく怖かった。全部捨ててしまえたらって
ずっと思ってたのに、でも、オルファンとひとつになって、すごく気持ちが
よくて、でもすごく寂しくて……!」
 依衣子は堰を切ったように喋りだした。その勢いに押され、勇は何も言うことができない。
「本当は、ただ勇と話がしたかった! 戻ってきて欲しかった! でも、でも……!」
 興奮した様子でまくしたてる依衣子をなだめようと、勇は声を張り上げる。
「ごめん、ごめんよ、姉さん……俺、なんにも分かっちゃいなかったんだ。姉さんが
どんな気持ちでいるのか、分かろうともしなかった」
 だが、勇の言葉も今の依衣子には聞こえていないようだった。散乱していた意識が戻り始め、
軽い錯乱状態に陥っているらしい。
「守りたかったのに、それだけだったのに、なのに、なのにあたし、勇を、勇を……!」
 依衣子の瞳が、何か恐ろしいものを見てしまったかのように大きく見開かれる。
 いや、確かに彼女は見ているのだろう。自分が弟に銃を向けるさまを。
 激しい言葉を投げかけ、弟を討とうとやっきになっていたかつての自分の姿、その記憶を。
 悲しいほどに怯え、狼狽する姉の姿を見るのは、拳銃を向けられるより何倍も辛かった。


216:Sleeping Beauty
05/04/19 22:29:21 aT6R+JNZ
「勇を、こ―」
 姉さん、それ以上喋ったら駄目だ。
 彼女が次の言葉を発する前に、勇は行動に出た。
 姉の肩を掴んで引き寄せる。
 一気に間近に迫った姉の瞳が、いっそう大きく見開かれるのが見えた。
「―っ!」
 瞬間、すべての音が消えうせた。
 依衣子は言いかけた言葉とともに息を呑む。
 姉の震えは止まり、驚きのあまり彼女の全身は硬直してしまっている。
 だが、勇がその身体を抱きなおしてやると、少しの躊躇のあと、安心した
ように依衣子もまた勇を抱きしめた。
 正直賭けであったが、どうやら姉は落ち着いてくれたようだ―そう思って
安心すると、突然唇に触れる柔らかな感触が意識された。
 途端、自分が何をしているのか自覚する。
 無我夢中でやったこととはいえ、姉の唇を奪っている。
 多様な人種が混在するオルファンでは、キスは単なる挨拶であるはずだったのだが、
それでもオルファンでクインシィにそれをするものはいなかった。
 それ以前に、これは挨拶などという次元のものでもない。
 夕日の差す部屋で抱き合い口付けを交わす男女を、誰が姉弟と思うだろうか。
 離れようかとも思ったが、先ほどまでの怯える姉の姿や、そして何より唇を通して
感じるぬくもりの心地よさにおされ、勇は余計なことを考えるのを止め、ただやわらかな
快感に身を浸す。
 ぬくもりを感じる。もう十年以上も忘れていた、あの頃のお姉ちゃんの暖かさ。
 その暖かさにもう一度触れられたことがただ嬉しくて、勇は姉の首に手を回す。
 きっと、姉さんも同じ気持ち気持ちのはずだ―


217:名無しさん@ピンキー
05/04/21 02:38:37 FpESam37
キタ━(゚∀゚)━!!
GJ(o^ー')b続きに期待

218:名無しさん@ピンキー
05/04/21 23:38:14 Pp6q/In9
おねえちゃんかわええ(*´Д`*)

219:名無しさん@ピンキー
05/04/23 00:38:10 mjN0GU/h
さすがキス魔だ!

220:End Of The Night otherside
05/04/23 20:02:29 AW3XjExP
カナンの豊満な肉体が男性に対してどのような効果を発揮するか。
イイコにも知識としてはわかっていた。
かつてイイコと同年代の若い女性の間には不自然で不健康、しかも肝心の男性相手に
は逆効果としかいいようのない過剰なダイエット信仰が蔓延していたが、オルファン
の震動による混乱期を経た今ではそのようなマスコミ主導の俗信は消えうせてる。
ふと、視線を落として自分の年相応で過不足の無い乳房のふくらみを見つめる。
今の今まで、イイコは自分の女性としての魅力には無頓着だった。
クインシィの時はもちろん、イイコに戻る時も。
ジョナサン・グレーンをはじめ、自分にモーションをかけて来る相手はいたが、みな
リクレイマーの指導者たるイサミ・ファミリーの一員でかつグランチャー乗りの自分
の権力に擦り寄ってきているのだと解釈していた。
あらゆる能力が高く、こちら側からも利用価値のあるジョナサン以外はみな手厳しく
撥ね退けているが。
ジョナサンにだけは曖昧な態度を取っているのはクインシィとしての意識だけでなく
イイコ自身も賛成していることだ。
そのくらいの腹芸が出来ないほどイイコは純真でも子供でもない。
だが。
ことユウ相手にはまさしく純真な子供に戻ってしまうイイコ。
そして一方でそのユウに色目を使ってまんまとモノにしてしまったカナンに関して
は大人の猜疑心が働く。
「ユウを誘惑してどうするつもりなのよ…まさか…」
男達が自分に取り入ってるのと同様。
カナンはやはりイサミファミリーであるユウに身体で取り入ることで何かを狙って
いるのでは…。
用が済んだらユウは捨てられるのでは…。
それはあくまでも推論というか、ほとんど妄想である。
しかし頭に血の上ったイイコの中ではそれは確信に変わってしまう。
(純粋なユウを騙すなんて…許せない)
それには別の嫉妬が上乗せされていた。
(胸がデカいからって好き勝手にはさせないわよ!)


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