04/04/11 14:58 1jEdO9Xb
学校の帰り、みかんとしみちゃんはつまらない話が互いのツボに入り、
最高に盛り上がっていた。
「しみちゃん、うちに寄ってかない?」
みかんの誘いにしみちゃんは断る理由などあるわけも無く
OKした。
マンションの鍵を開け玄関に入ると、見慣れた靴が一足。
「あれ?ユズヒコ、帰ってるんだ」
その言葉にしみちゃんの気持ちが揺れる。
『ユーくん、いるんだ…』
みかんは足でユズヒコの靴を脇によけると、しみちゃんに上がるように促した。
「おかーさーん、何かお菓子ある?」
呼べども母は出てこず、代わりにユズヒコが部屋から顔を出した。
「母ちゃんならいないよ。食うものもねーんだよ」
いつもよりほんの少し怒ったような悲しそうな顔のユズヒコに、しみちゃんはときめきを覚えた。
「あれ、お客さん?」
「しみちゃん。何回か会ったことあるでしょ」
「こんにちわ、お邪魔します」
しみちゃんは挨拶をしながら、自分は綺麗に微笑めただろうかと心配した。
「…ども」
そう返しただけでユズヒコは部屋へと戻って行った。
ユズヒコの部屋のドアは閉じられ、しみちゃんは拒絶されたような寂しさを感じながら「全くもー、愛想がない奴なんだから」と言って謝るみかんに大人っぽく「男の子ってあーゆーもんでしょ」と返した。
「あたし、何か買ってくるね」
みかんは彼女に部屋で待つように言うと、靴を履きなおした。と、そこへユズヒコが部屋からまた出てきて、姉に「俺のぶんも」と言い出した。
「なんであんたのぶんまで」
「ついでだろ」
二人のやりとりにしみちゃんは笑い、笑われてみかんは顔を赤くする。
「なーに?」
「姉弟っていいなと思っただけよ」