08/01/23 10:29:20 9WxKKFA5
>>554
彼女の父は小説家で、同時に読書家でもあった。
彼の書斎には世界中の書籍が山と詰まれ、彼はその全てを記憶していた。
暖かな部屋の明かりに包まれ、ハーブティを飲みながら静かに書を読み耽る父を彼女は大好きだったし、
また一人の人間として尊敬しもしていた。
彼は仕事が終わると街の図書館へ繰り出し、そこでも本を読んでいた。
その深い知識と穏やかな人格を持ち合わせた街の人間にも愛されていた。
何かがわからない時には彼に聞けば大抵の場合は答えが得られたし、
またその答えを述べる彼の軽快で明晰な語り口は聞くもの全てを虜にするものだった。
そんな父の元で暮らす彼女は本当に幸せな日々を送っていた。