【夏風邪】病気を擬人化しようぜ! Part2【注意】at ASCII2D【夏風邪】病気を擬人化しようぜ! Part2【注意】 - 暇つぶし2ch■コピペモード□スレを通常表示□オプションモード□このスレッドのURL■項目テキスト11:前スレ94 07/08/09 17:12:44 bjRgTyWa 「本当に大丈夫なのか、風子」 そう言いながら部屋の隅に置かれたコート掛けから鞄を引ったくり、テキストに挟んだプリント数枚を確認する。 そして靴に手をかけ踵を中に押し込むと、廊下で腕を組んで仁王立ちになる風子の姿が肩越しに見えた。 「別に留守番の一つや二つ。そんなのに怖がっていたら、風邪の病魔の名が廃るわ」 決して小さくはない胸の前で交差された腕と、ゆっくりと振れている尻尾。そして、流すように見つめる細く鋭い眼差し。 靴を履く動作を不機嫌そうな顔で見つめる風子は、今、いわゆるヤケクソの状態にあるように思えた。 しかし、ここで彼女の重圧に屈するわけにもいかない。試験の開始時間は刻々と迫ってきているのだ。 「いいか、風子。時計の長い針が三回周るまでに帰ってくる。それまで我慢してくれ」 「三時間ね。昨日教わったわ」 「インターフォンが鳴っても応対する必要はないからな。電話もだぞ」 「大丈夫だってば。早く行きなよ」 12:前スレ94 07/08/09 17:13:55 bjRgTyWa その言葉に一抹の不安を覚えると、それを拭い去るようにドアノブに力を込め、玄関の戸を外へと押し出す。 瞬間、冷たい冬の空気が戸の隙間から流れ込み、玄関一帯に冬の様相が広がっていく。 そして、戸から入り込んだ冷たい空気を体に受けた風子の顔が、一瞬、気持ち良さそうに緩んだ。 その表情の変化こそが、彼女が風邪の病魔である証拠なのかもしれない。 「じゃあ、行ってくるな」 「行ってらっしゃい」 何事にも相手を信じる姿勢というのは大切だ。彼女が人間を信じてくれたように、自分も彼女の事を信じてあげるべきだ。 それはわかっている。だが『行ってらっしゃい』と言う彼女の尻尾が垂れ下がるのを見て、再び決心が揺らぐ。 彼女の『大丈夫』という言葉への信頼感はどんどんと薄れ、彼女の周りに強気な顔とは真逆の悲壮感が漂った。 不安を剥き出しにする彼女の為にも、一刻も早く単位認定テストを終え、一目散に自宅へと帰らなければ。 揺らぐ決心を押さえつけて玄関の外を見据えると、冷たい空気が流れ込む戸の隙間から外へと身を乗り出して行った。 次ページ最新レス表示レスジャンプ類似スレ一覧スレッドの検索話題のニュースおまかせリストオプションしおりを挟むスレッドに書込スレッドの一覧暇つぶし2ch