07/05/14 12:45:37 GeI0ujpW
「ご主人、朝ですよー」
顔をぺしぺしと叩かれる感覚で目が覚めた。
非常に忌々しい目覚めの時間だが、目覚ましの無機質な電子音で起こされるよりはマシに思えてくる。
「今何時だ?」
「7時47分……って、わたしは時報じゃないですって何度言えばわかるんですか!
時計あるんですからそっち使ってくださいよ!」
「ごめんごめん、昔からの癖はなかなか取れなくて……」
彼女の名は千影。俺の家族でも彼女でもない。
20センチ程の小さな体、半透明の羽。いわゆる妖精である。幼児体型だが。
俺が中学生だった頃、帰り道で小さな木箱を見つけた。
その中に入っていたのがこの千影で、かれこれ10年ほどの付き合いになる。
言いふらすクラスメイトもいなかったし、今も千影のことは誰にも話していない。話したところで、誰も俺の言うことを信じないだろうし。
千影いわく「心のきれいな人にしか妖精は見えない」らしい。