【兄妹だけど】生殺し妹文学館【愛し合う】第十六巻at ASCII2D
【兄妹だけど】生殺し妹文学館【愛し合う】第十六巻 - 暇つぶし2ch743:PC・Drinker ◆BokUNiNIjE
07/01/01 00:23:01 8ntm3NZu
 「ど…どうして…毎回こう…」
 「おぉ…まるで舂きたての餅だ。」
 「んぁ…く…う…」

 とりあえず両胸を軽く揉み抵抗の力を弱めておく。そして直ぐに
乳首への攻撃に移行する。

 「おっと…コレは蜜柑だったかなぁ~こんな所に蔕が…」
 「いやぁ!やだ…あ…だ…駄目ぇ!!」

 頃合を見計らい俺はフランを抱き上げる。

 「こんな美味そうなモノを目の前に突きつけられて俺が我慢出来る
ワケないだろ?」
 「うぅ…強引なのは…やだ…んん…」
 「じゃあ…少しソフトに…」

744:PC・Drinker ◆BokUNiNIjE
07/01/01 00:25:21 8ntm3NZu
 泣きそうな表情のフランを他所に俺はすかさず唇を重ねる。さすが
にこの時はフランも抵抗はしない。

 「うぅ…卑怯だぁ…」

 舌をゆっくり重ね合わせるとフランは更に力が抜けていく。しかも
アレだけ嫌がっていたのに俺の背中に手を回し手堅くその感触を堪能
している。

 「何だ…その気になったか?」
 「うぅ…そんなんじゃない!」
 「ははっまぁイイ。少なくとも海老天の分はコレで返して貰う
からな。」
 「そ…そんなぁ…」

745:PC・Drinker ◆BokUNiNIjE
07/01/01 00:27:52 8ntm3NZu
 赤らめた顔を逸らし落ち着かない様子で暫し黙り込むフラン。

 「ち…ちゃんと…付けてくれる?」
 「あぁ…構わん。」
 「じゃあ…今日は…い…一回だけだよ。」
 「そう来なくっちゃ♪」

 強引ながら同意を得た所で俺は改めてフランにキスをしてから
準備に取り掛かる。

 「うぅ…ボクって海老天程度の価値なのかな…」
 「馬鹿を言うな。そんな事よりもっと考え直すべき事が有るだろ?
食い意地…」

 「ボクは育ち盛りなの!!!」


746:PC・Drinker ◆BokUNiNIjE
07/01/01 00:30:22 8ntm3NZu
 前半投下終了

>735
 新年初支援 サンクスです。

 感想・リクエストお待ちしています。

747:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/01/03 10:12:40 V5ziOax5
フランの外見容姿の詳細を求む…

748:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/01/03 12:48:24 0+jOAAw4
脳内で保管するんだぜ

749:PC・Drinker ◆BokUNiNIjE
07/01/03 23:26:43 WvMqK4U7
>747
  フランシーヌの長めの金髪&青い瞳とその父ロジャーのハゲ頭
だけは最低必須要素。

 ちなみに通常は>748氏の言うとおりで読者の脳内最適化の為に
そういった部分は可能な限り避けて書いてます。




750:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/01/04 12:34:05 2WBgJW6w
了解&サンキュ

751:PC・Drinker ◆BokUNiNIjE
07/01/07 13:32:07 HwBplM7j
 正月ネタなのに未だ終わらない…とりあえず書けた所だけ投下。

752:PC・Drinker ◆BokUNiNIjE
07/01/07 13:34:10 HwBplM7j
------------------------------

 「さぁ…お前も充分に楽しめよ。」
 「うぅ…お…お手柔らかに…」
 「そう遠慮するな。うりゃ!」
 「わ…ちょっと…きゃあ!」

 覚悟を決め服を脱ぎつつも怯えながら鎮座するフランを転ばせる
ように倒す。慌てて体制を整え直す前に両足を大きく開かせる。

 「先ずは一足早めの御屠蘇を…」
 「いやぁ!そんな所舐めちゃ…あ…あん…駄目…駄目ぇ…」
 「お?何だココはもう準備万端じゃねぇか。」
 「いやぁあぁ!!」

753:PC・Drinker ◆BokUNiNIjE
07/01/07 13:36:22 HwBplM7j
 既に溢れ返る液体を一滴も残さんと俺は夢中でフランの秘所に
吸い付く。

 「次は…御節料理の定番…おぉ!凄い締め付け!!」
 「んぁ!あ・・・あ…んぁ…止め…んぁ…」
 「へへ…“数の子”とは巧く例えたもんだな。」

 ゆっくりと膣壁を掻き回しその熱い感触を堪能する。やや意地悪く
時々指先をクイッと上げるのに合わせフランが堪らず腰を上げる。

 「や…あ…掻き回しちゃ…あぁ!」
 「へへ…コレだけは誰にも渡さんぞ。さぁ…もう我慢出来ない頃
だな?それじゃあ…」
 「もうやだ…何で…こんなのばっかり…」


754:PC・Drinker ◆BokUNiNIjE
07/01/07 13:38:33 HwBplM7j
 また泣きそうな表情でフランが呟く。

 いかん…少しやり過ぎたか…。一旦俺は手を止める。

 「悪いとは思う。けどな…時々何ていうか…性欲とは別の…違う
衝動に駆られる言うか…」
 「何なのそれ?」
 「つまり…お前を独占したくなるんだぁ!!」

 言葉通りに抑えきれなくなった自分を鎮める為にあえてフランに
飛びつき抱きしめる。

 「ちょ…ちょっと…痛たた…」
 「おっと悪い。けどもう少し…こう…これならいいだろ?」
 「うぅ…ん…いいけど…」 

755:PC・Drinker ◆BokUNiNIjE
07/01/07 13:41:01 HwBplM7j
 そのまま暫くお互いの肌の温もりと心拍を感じ合う。

 幼い頃同様に触れ合ったまま止まっているという効果は絶大。俺達
は少しずつ落ち着きを取り戻す。

------------------------------

 「先生、フランシーヌはまだ~?」
 「まぁまぁ…初詣には来ると言ってましたから。年が明けるまで
待ちましょう。」
 「うぅ…あたし未だ逢ってないの~。」

 休憩所は非常に賑やかだ。一頻り話しをして皆が落ち着いたと
思ったら今度は我が娘フランシーヌの話で再び盛り上がっていた。
どうやら逢いたくて堪らないと思っている人が殆どのようだ。

756:PC・Drinker ◆BokUNiNIjE
07/01/07 13:44:15 HwBplM7j
 「慌てるな。それより準備は万端なのか?」
 「やぁアレックスさん。貴方もそろそろ休憩ですか?」
 「そうしてもいいのですが…どうもあの二人が…」
 「成る程…後で酔い覚ましを用意しましょう。」


 「うぅ…何かくらくらする~。」
 「ベッキー、呑み過ぎじゃない?あ~さっきから顔が熱い~。」
 「あんたも人の事言えないじゃない!」

------------------------------

 「あぁ…そう言えば…抱っこなんて滅多に無かったな。」
 「ん?そうだね…ボクお兄ちゃんにおんぶされた事は有ったけど
抱っこされた事無かったかも…。」

757:PC・Drinker ◆BokUNiNIjE
07/01/07 13:46:22 HwBplM7j
 「俺はおんぶさえ無かったけどな。」

 俺達は遊び疲れてお互いの家で眠りこけた懐かしい日々を思い
出していた。

 隣同士だから当初はそのまま次の日まで起こされる事無く朝を
迎えていたがやがて俺が先に目覚めフランをおぶさって隣まで
運ぶようになった。

 西堀家の引越しも再開して俺達が結ばれたあの日もそれ程経って
いないのに全てが遠い昔のように懐かしい。

 「ねぇ…お兄ちゃん。」

 やがてフランが口を開く。

758:PC・Drinker ◆BokUNiNIjE
07/01/07 13:49:22 HwBplM7j
 「今度からは…ちゃんと誘ってくれる?」
 「ん?あ…あぁ…分かった。」

 返事と同時にフランが俺の下腹部を探っていた。

 「あ…あの…ちょっと…」
 「い…一回だけだよ…」
 「ま…待て…未だ…あ…あ!」
 「ひ…姫納めだよ♪」
 「だから…あぁあぁ!!」

 未だ装着していないのにフランが先端を潜らせる。

 「ちょっと…生はまずいだろ…あ…だから待て…」
 「待たない。」


759:PC・Drinker ◆BokUNiNIjE
07/01/07 13:52:29 HwBplM7j
 今日はここまで。

 感想・リクエストお待ちしています。

760:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/01/07 15:58:26 sw5zkw4C
中出しと孕ませ台詞に期待してます

761:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/01/09 10:10:40 vn04sTjB
>>753-754 辺り

 URLリンク(2ch-library.com)

762:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/01/09 23:37:33 eGYuxTvH
    _  ∩
  ( ゚∀゚)彡 おっぱい!おっぱい!
  (  ⊂彡
   |   | 
   し ⌒J

763:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/01/10 00:10:08 sQDo0AcI
>>759
遅ればせながら、「数の子」「お屠蘇」をからめたお正月バージョン投下乙です。

>>761
    _  ∩
  ( ゚∀゚)彡 おっぱい!おっぱい!
  (  ⊂彡
   |   | 
   し ⌒J

764:PC・Drinker ◆BokUNiNIjE
07/01/14 21:00:59 UIYidzUn
 出勤前保守

>761
 おっぱい!おっぱい!(AA略

 いやこの愛すべきアホキャラをこうも可愛く描いてくれるとは…GJです!

>763
 餅と蜜柑と猪もお忘れなく…と言うかそれに気付いてくれて感謝。


765:向230@携帯
07/01/15 23:31:26 7yRlVgJh
残業会場から保守。

某騒動のせいで投下しづらいなぁ…困ったちゃん(´・ω・`)

766:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/01/19 04:11:32 9kRkuem+
ho

767:三国 ◆V72uzrF0y2
07/01/20 14:31:51 JRiYrlvX

妹「ぅおにーちゃーーーーん!」
兄「その言い方は止めなさい」

768:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/01/20 15:34:15 crBxqxFE
妹「おにぃ~ ゲームしよー」
兄「お前の宿題が終わってからな」<<どさっ>>
妹「こんなん今日中に終わらへんわーーっ」
兄「サボったお前の自業自得だ、ほれ始めろ」
妹「う~…」

     ~
     ~
妹「…お腹すいた」
兄「それ一冊終わったらな」
妹「おにぃーのオニーー!」
兄「うむ、いかにも俺は兄である」
妹「う~…」

769:何かのネトゲかとw ◆orz..c5K0U
07/01/20 16:28:05 CHKf4Lg2
SYSTEM: 天空橋花月(morip123)さんよりパーティー加入の依頼を受けました。

兄「…誰やねんこいつ…morip123ってID適当杉w」
内藤地平(boonboonboon): PT厨乙

天空橋花月(morip123)さんからのメッセージ: おにいちゃん、あたしあたし
兄「…オンゲーで妹と遭遇しました、と」
SYSTEM: 天空橋花月(morip123)さんからのパーティー加入依頼を無視しました。
天空橋花月(morip123): ちょwwヒドスwww

兄「…とりあえずここらで稼ぐか」
天空橋花月(morip123): てつだうよー
SYSTEM: 攻撃できません。
兄「…ちょww横殴りすんなw」
内藤地平(boonboonboon): 横殴り厨乙


770:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/01/24 00:22:06 2+cIvs5Z
いま妹は遠くバリの地……

地震あったとき空の上でやんの 悪運の強いやっちゃ

771:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/01/27 03:32:06 iupnaxIr
ほしゅ

772:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/01/27 16:03:12 6oCo+DKA
 …PiPiPiPiPi

「んー…」

 目覚ましの不快な電子音に起床を促され、目を閉じたまま手を伸ばしてスイッチを叩く。

 馴れてしまえばこの音を聞きながらでも眠りの世界に戻れるが、二度寝の誘惑に乗ると後が大変
 お腹を空かせたままバス停まで走らなくてはならなくなる。

 そんな荒行は御免だと身体を起こし、タイマーで10分前から稼動するエアコンの暖房を浴びつつ
 ベットから降りて制服に着替えを済ませると、エアコンのスイッチを切ってから鞄を持って部屋を出る。

「あ…」
「あ」

 まだ寝てるかと思ったのに…、洗面所から出てきた兄と顔を合わせてしまった。

773:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/01/27 16:06:29 6oCo+DKA
 どちらとも無く顔を逸らせると、挨拶も無く素通り。

 これが、今の私と兄との関係…。 あの日の夜から、お互いを避け続けている。

「はぁ…」

 父も母も同じ職場で働いていて、朝は私達が起きる前に出勤
 夜は私達が眠りに付いてから帰宅、そんな我が家の朝食はいつもパンとコーヒーで済ませているけど
 ここ最近は朝食も夕食も一人で食べる事が多い。 それ以外は友人の千鶴ちゃんと偶に外食。

 今日も一人で味気ない朝食を済ませて家を出ると、時間で計ったようにクラスメイトの千鶴ちゃんが現れた。

「おっはよー みっちゃん」
「おはよー… 千鶴ちゃん」

いつも元気な千鶴ちゃんとは対照的にテンションの低い挨拶を返す私。

774:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/01/27 16:10:29 6oCo+DKA
「あれ、またエライ元気ないなぁ?」
「健にぃと顔合わせた…」

 あ~と納得する千鶴ちゃん。 やれやれと呆れたように首を振って見せる。

「まだ喧嘩しとったん? はよ仲直りすりゃイイのに」
「ん~…喧嘩とは、違うんやけどね…」

 そう、喧嘩とは違う。 
 喧嘩ならもっと簡単に片付いてるし、ここまで引きずる事も無かったと思う。

「な~んか気まずくて、中々ねー…」
「ふーん… 前にも聞いたケド、ホンマに何が原因なんよ?」
「ん、いや‥ それはちょっと」

 心配してくれる千鶴ちゃんには悪いけど、ちょっとこればっかりは話せない。

775:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/01/27 16:28:34 aXmfA7Uy
「まあ、人様の家庭の事情に他人のあたしが首突っ込むのもアレなんやけどさぁ」
「ううん、そんなこと無いよ ただちょっと人には言えない事情というかなんというか…」

 気を使ってくれる友人に申し訳なく思いながら、事の原因を思い起こす


 ―ほんとに、なんであんな事したんだろう…―  


 妹の美樹が学校に出かけたのを部屋の窓越しに確認してからリビングに下りると
 空になったカップとお皿をキッチンで浸し、冷蔵庫からジュースを取り出した。
 中身が少ない、そろそろ買出しに行っておかないと等と考えながらコップに注ぐ。

「ほんとに… なんで俺は、あんな事したんだろうな…」

 一週間前の夜、俺は美樹を泣かせた。  今日、俺は未だに謝れないでいる。

776:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/01/27 16:31:23 aXmfA7Uy
 ここ最近はこのレースゲームの対戦にハマっている。
 今日も何時ものように対戦前のウォーミングアップ、美樹はまだ風呂から上がらない。

 もう暫らくは時間があるだろうから、仕掛け所のコーナーワークをチェックしておこうと
 ショートコースで周回をセレクト、三週周った辺りで美樹が風呂から上がって来た。

『あーーーっ 健にぃまた一人で先にやってるし!』
『ウォーミングアップだウォーミングアップ』
 
 バスタオルを巻いた姿で、濡れ髪から水滴を落としながらテレビの前に陣取り、コントローラーを引っ手繰る。

『じゃあたしもウォーミングアップ、何週やった?』
『三週、つーか先に着替えて来い』

 格闘アクション系だと俺の方が腕は上なのだが、レースゲームではほぼ互角
 負けず嫌いな美樹はまだ両者馴れきっていないこのゲームで差を付けられまいと闘志を剥き出しにしている。

777:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/01/27 16:34:00 aXmfA7Uy
『やっぱここがポイントやね』

 俺と同じショートコースを選び、コーナーワークをチェックする美樹。

 風呂上りでほんのり上気した美樹の身体から石鹸の香りが漂って来る。

 操作に夢中になり、カーブを曲がる時に自分の身体も傾ける癖は相変わらずで
 対戦中はそれで態と身体をぶつけて来たりする。 

 俺が隣に居る時はそうやっていつも壁代わりに凭れて来る、そして俺はそれを肩で押し返す
 何時ものやり取り、兄妹の他愛ない戯れ、 ただ 今日は何時もと少し違っていた。

 バスタオル一枚で隔てた美樹の身体から発せられる香りには、雄を引き寄せるフェロモンでも混じっていたのか 
 俺は美樹の体温に惹かれ、香りに痺れ、肌理の細かい肌に目を奪われ、僅かに覗く胸の谷間に意識を囚われていた
 
 そして、得意げに振り返る美樹の笑顔。 その桜色の唇に、気が付けば吸い寄せられていた。

778:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/01/27 16:35:11 Yazky7BW
っ④

779:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/01/27 16:36:52 aXmfA7Uy

 最高ラップを更新して「どうよ?」とばかりに健にぃに笑顔を向ける。

 次の瞬間、唇を奪われていた。

 最初は何が起きたのか判らなかった、唇に柔らかい感触
 健にぃの顔が目の前にあって、息が苦しくて、びっくりして…

 思わずコントローラーを投げ出して後ずさりすると、私の肩を掴んでさらに強く唇を押し付けてきた

 混乱して、頭が真っ白になって、身体が浮ぶようにふわふわして、それが怖くて両手を思いっきり突き出すと
 尻餅をついて呆然とこちらを見る健にぃ、呆然とするのは私の方だ ―キスされた? 健にぃ に?―

 いきなり何でこんな… ムードもへったくれも無い不意打ちで…、いや そもそも何で急に? なにこれ?

 鼻の奥がツンとなって目頭が熱くなって来る、遅れて顔も熱くなって来る、さらに頭も熱くなって来る

780:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/01/27 16:38:53 aXmfA7Uy
『ばかぁっ!!』

 そう叫んでリビングから逃げ出した。

 それ以来、健にぃとは口を聞いていない
 顔すらまともに合わせられない、別に私がその事で健にぃの事を嫌悪しているわけじゃないけれど…

 確かに私の方にもちょっと行動に問題があったかもしれないし
 健にぃもそりゃあ健全な男の子だし、あんな格好でじゃれ付いたりしたから
 その気にさせちゃったのかもしれないし…。

「はぁ…」
「溜息止まらんなぁ? 今ので29回目やで」
「あはは…」

 バスを降りて通学路を歩きながら30回目の溜息を飲み込んだ時、千鶴ちゃんがポンと手を打った。

781:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/01/27 16:41:16 aXmfA7Uy
「みっちゃんさぁ、彼氏作ってみぃひん?」
「は?」

 いきなり何を言い出すのかと振り返るが、冗談を言ってる顔ではなかった。

「あたし彼女募集中の知り合い多いから、イイ男の子紹介するで?」
「いやあ別にあたし、彼氏とかそういう気分じゃないし…」

 千鶴ちゃんはよく他の学校の生徒達と知り合う合コンに出ていて、彼方此方に知り合いが居る。
 
 時々誰かと「付き合ってるの~」と惚気話を聞かされるけど、暫らくするとアッサリ「別れた」と言って
 また出会いを求め、「合コンよー 出会いがあたしを求めてるのよー」と嘯く恋多き乙女ちゃん。

 多分、本当の恋愛とかじゃなく、遊びの一環なんだろうなぁとは思うけど…。

「だからー、気分転換の意味でも ほら、みっちゃん男の子と付き合った事とかないっしょ?」

782:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/01/27 16:45:10 aXmfA7Uy
「う、そりゃまあ… ないけど、やっぱりそんな気軽にって訳にはいかないし」
「ん~身持ち堅いなぁ~ ほんならダブルデートで行こうや」
「ダブルデート?」
「うん、今狙ってる子が居てるんやけどね、その子紹介して貰う代わりにこっちからも一人紹介する約束でー」
「ほほー…」

 呆れた口調で半目を向ける。 やけに熱心に誘ってくると思ったら、そういう事ね。

「お願~い みっちゃん、協力して~~~」
「だから… あたしはそういうの興味ないんだってば」
「そこをなんとか~~」

 拝み倒してくる千鶴ちゃんに、出会いに協力するだけと念を押し、渋々ダブルデートを承諾した。

「まあ、これで気分転換出来たらさ、健一さんとも仲直り出来るかもしれんやん?」

783:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/01/27 16:48:24 aXmfA7Uy
「ダブルデートと健にぃとの仲直りがどう繋がるんよ…」

 約束をとり付けて上機嫌の千鶴ちゃんに少しばかり脱力しながらごちる。

「みっちゃんもさ、そろそろお兄さん離れせなアカンのとちゃうん?って事や」

 その言葉に、私はドキリとした。


----------------------------------------------------------------
今日はここまで

>>778
支援どもー

784:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/01/28 02:53:02 wMo4qoCw
おもすれー

785:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/01/29 14:05:44 ZIlUW9g5
 家の前に見覚えのある人物が立っていた。 美樹のクラスメイトで、家にも何度か遊びに来た事がある。

「小野原さんじゃないか」
「あ、健一さん こんにちはー」

 随分とめかし込んだ服装のようだ、軽くメイクも入っていて
 唇に引かれたルージュが水晶のような光沢を出して輝いている。

「気合入ってるね」
「えへへー 今日遊園地でデートするんですよー」
「へー」

 時刻は昼を少し回った時間、今日は休日で空も良く晴れているようだ。

「健一さんは何処かに出かけてたんですか?」
「ああ、ちょっと大学まで忘れ物を取りにね」

786:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/01/29 14:08:06 ZIlUW9g5
 しかし遊園地に行くなら方向が逆じゃないかと問い掛けようとした時、家のドアが開いた。

「ごめーん リボン結ぶのに手間取っ…」 URLリンク(2ch-library.com)

 はたと目が合い、言葉が途切れる。 そしてどちらとも無く目線を逸らす。 今の二人の、何時もの距離。
 
 そんな気まずげな雰囲気に「あやや…」と察するような視線を両者の間に往復させるも
 直ぐに気を取り直して明るい声で美樹を迎える小野原さん。

「よーーし、じゃあ今日のダブルデートにレッツゴーー♪」

 ダブルデートという単語に反応して思わず美樹に目をやる
 成る程、普段見慣れない余所行きの服装に大きなリボンで髪を結いでいる。 

 視線を向けた事に気付かれないよう直ぐに目を逸らし
 そのまま背を向けると、急かされるように家の中へと逃げ込んだ。

787:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/01/29 14:10:18 ZIlUW9g5
 動揺していた。 何故?  美樹がデートする…  誰と?
 そりゃデートなんだからボーイフレンドの誰かだろう、小野原さんには男友達が大勢居る事を知っている。

「落ち着け、俺」

 何を動揺してんだ、美樹だって年頃の女の子だ。 デートぐらい普通にするだろう。
 ― でも 兄とキスしたりはしないよな、普通 ―

 気持ちがズーーンと沈みこむ。  美樹を傷付けた…。

「はあ…」

 ちゃんと謝らなきゃなぁと、罪悪感に苛み
 このまま一生、会話が出来ないのではないかという不安に怯む心に渇を入れる。

「明日…、今週中 ぐらいには謝ろう…」

788:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/01/29 14:12:55 ZIlUW9g5
 遊園地に向かうバスの中、窓の景色をぼ~と眺める私に千鶴ちゃんが声をかけて来る。

「随分深そうやねー?」
「ちょっとね…」

 千鶴ちゃんが健にぃの前でダブルデート発言をした時
 慌てるのと同時に、健にぃの反応が気になった。 

 どんな顔するかな? とか、どう思うかな? とか、
 何か慌てたり、動揺するリアクションを期待していたのかもしれない。
 
 でも結果は何時も通り…、おめかしした私に目もくれずにさっさと家に入ってしまった。

「まあ、そう暗い顔せんと 折角のデートなんやから、楽しもうや」

 デートって言っても、私はあくまでも単なる協力者、手筈通り事が済んだらさっさと帰るつもりだ。

789:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/01/29 14:15:05 ZIlUW9g5
「初めまして、『端学』の『日高 伸男』言います、こっちが連れの―…」

 遊園地の入り口脇で待ち合わせた男の子達と自己紹介
 家族連れが行きかう入園ゲート前の改札機にはカップルの姿もちらほら見える。

「じゃあ今日はよろしくねー」

 千鶴ちゃんはお目当ての男の子とペアを組んで早速モーションを仕掛けようと自然に手を繋いでる
 手馴れてるなぁと半ば感心しながら、お相手の男の子の事を観察してみた。

 二人とも『坂ノ端学園』というこの街の学園の生徒で、『端学』は略称。 他『学園』と呼ぶこともある。
 私達が通ってる『坂ノ街大学付属高等学校』より後に出来た、比較的新しい学校に通ってるらしい。
 (ちなみに健にぃは私と同じ学校の卒業生で、そのまま大学に上がっている)

「それじゃあ、僕達もいこうか 綾瀬さん」

790:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/01/29 14:17:11 ZIlUW9g5
「あ、はい」

 声を掛けて来た私のお相手、日高さんと並んで千鶴ちゃん達の後に続く。
 休日だから結構人が多く、これなら直ぐに逸れる事が出来そうだった。

 前を歩く千鶴ちゃんは終始楽しそうに隣の男の子と話してる
 本当に楽しんでるって雰囲気が伝わってきて、ちょっぴり羨ましく感じた。

「綾瀬さんはこういうデートとかは初めてなんやって?」
「ええ、まあ…」

 日高さんが気さくに話しかけて来るけど、やっぱりちょっと警戒してしまってどもってしまう。

「ははは そんなに緊張せでもいいよ、気楽に行こうや でも…信じられんなぁ」
「え? 何がですか?」 
「綾瀬さんみたいな可愛い子が今までデートする機会が無かったやなんて」

791:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/01/29 14:20:03 ZIlUW9g5
「え…、ええ!?」
「いやホンマ、周りの男はなにしとったんやっちゅーねんってな ハハハー」

 さらっとそんな事を言って笑う日高さん、この人も手馴れてる? っていうーか…可愛いなんて言われたのって
 同い年の男の子からそんな言葉を掛けられたのは初めてで、思わず顔が紅潮してしまう。

 その後も適当なアトラクションを物色しながら他愛無い会話を続ける。
 もっとも喋っているのは殆ど日高さんで、私は時々相槌を打ったり、質問に答えたりするくらい。

「じゃあ次はあのコースター行ってみよーー」

 千鶴ちゃんから合図が来た。 
 予め決めておいた作戦、千鶴ちゃんが提案したジェットコースターに並ぶ時にペアで逸れるというモノ。

 相手の男の子の手を引きながら急かす様に走り出す千鶴ちゃん。 
 ちらっとこちらに顔を向けると「手筈どおり宜しく」という意味のウィンク一つ。 様になってるなぁ…

792:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/01/29 14:22:14 ZIlUW9g5
 二人の後を追おうとしたら髪を結っていたリボンが解け、拾ってる間に逸れてしまった。 …というシナリオ。

「上手く逸れたみたいやね」
「え? 知ってたんですか?」
「まあ、小野原とも付き合い長いから」

 そう言って苦笑を見せる日高さん、でもそれなら話は早い。

「そうだったんですか、それじゃあ私はこれで失礼しますね」
「えっ ちょ、ちょっとまってーな」

 帰る事を告げて出口のゲートへ向おうとした私の手を掴み、引き止めようとする日高さん
 急に手を掴まれた事に驚いて身を強張らせると、慌てて手を離してくれた。

「ああっ ゴメン、…でもこのまま帰るってのは ちょっと酷くない?」
「え、でも…」

793:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/01/29 14:23:46 gZHgpmiy
おまえはブログにでもかけよ

794:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/01/29 14:25:06 ZIlUW9g5
 途惑う私に、バツの悪そうな顔をしながら話しを続ける。

「なんか利用するだけしといて、用が済んだらポイっていうかさー」
「でも、私は協力するだけって約束だったし…」
「いや、なんつーか 一応お互いに紹介するっていう等価交換が条件なんやから…」
「…」

 そんな事を私に言われても困る。 だって千鶴ちゃんは出会いに協力するだけでいいって…。

「せめて一緒に食事ぐらいはして貰えないと格好付かないし、哀し過ぎるし…」

 うーん… そう言われると、確かにちょっと可哀想かもしれない…。

「…食事するだけですよ?」

 日高さんの言い分にも一理あるし、利用した事に良心の呵責を覚えた私は食事に付き合う事にした。

795:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/01/29 14:30:58 ZIlUW9g5
今回ここまで



796:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/01/30 07:44:11 OAyBcVjV
 ―翌日―

「みっちゃ~ん、ここここ~」

 奥の四人掛けテーブルから手を振る千鶴ちゃん
 今日は学校帰りの寄り道で商店街のファミレスに来ている。

「千鶴ちゃん、今日学校来なかったけど…」
「うん、サボリ」

 困った子だ。

「昨日はありがとうな~、ちゃんと報告するから」
「いや、別にいいけど…」

 昨日意図的に逸れたあと、千鶴ちゃんは彼と二人で暫らく遊園地を周り、食事を終えて夕方から夜まで公園で散歩

797:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/01/30 07:46:55 OAyBcVjV
「以上、報告おわりー」
「え、それだけ?」

 唐突に終わった報告についうっかり疑問の声を上げてしまった、興味なかったのに。

「うん~、顔も感じも良かったやけどね~ なんというか今ひとつグッと来るもんがなかったわ」
「ふーん」
「あ~ もっとイイ男居らんかな~」

 恋多き乙女ちゃんは贅沢な悩みに唸っている。

「んで、みっちゃんのほうはどうやった?」
「え? あたし?」

 私の方は手筈通り逸れた後そのまま帰る予定だったのが色々あって、日高さんとの食事に付き合う事になった。
 ただそれだけだ。 その後は恙無く帰宅した。 もちろん携帯番号もメールアドレスも教えていない。

798:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/01/30 07:49:06 OAyBcVjV
「え、それだけ?」

 不満そうに私の台詞を投げ返す千鶴ちゃん。

「そうだよ? っていうーか、利用するだけしといて用が済んだらポイなんて酷いとか言われて、それで仕方なく」
「うーん、思いっきり渋々やね、それ…」
「だって最初からすぐ帰るつもりだったんだもん… でもあんな事言われてそのまま帰ったら、なんか後味悪いし」

 千鶴ちゃんのせいだよ~と暗に批難してみる。 でも返って来た答えは意外な言葉だった。

「むー、みっちゃんのコト元気付けよう思って紹介したつもりやったんやけど…失敗やったか ゴメンなー?」
「う、ううん ちゃんと気分転換になったからいいよ、それなりに楽しかったし」

 そう殊勝な態度に出られるとこっちが恐縮してしまう。 
 軽い子に見られ勝ちだけど、千鶴ちゃんは結構人情深い所があるのだ。

799:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/01/30 07:53:53 OAyBcVjV
「日高はまぁまぁ誠実で引っ張って行けるタイプやからね、身堅いみっちゃんには丁度ええかと思ったんやけど」
「そんな事考えてたの? まあ、確かに悪い人じゃあ無さそうな感じはしたけどね」

 昨日食事した後、携帯番号やメールアドレスの交換を断ったらすんなり引き下がってくれた。

「日高がダメでもみっちゃんに合いそうな男の子は何人か知ってるし、みっちゃんも彼氏つくろーや」
「えー 私はいいよぉ」

 夕食前のデザートを食べながらそんな会話に興じる。
 ふいに、千鶴ちゃんが店の入り口の方を指して声を上げた。

「あ、日高や」
「え?」

 釣られて店の入り口に振り向くと、日高さんと並んで店に入ってくる女の子の姿。 
 二人とも同じ学園の制服、坂ノ端学園のブレザーを着ている。

800:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/01/30 07:58:22 OAyBcVjV
「おー日高が女連れやー」
「ちょ…っ 千鶴ちゃん!」

 慌てて千鶴ちゃんの口を塞ごうとするも、時既に遅し。

「げっ 小野原! …と、綾瀬さん」
「ん? 知り合い?」

 あからさまに動揺する日高さんにそう尋ねる隣の女の子。
 眼鏡を掛けたセミロングの、千鶴ちゃんとは違った意味で利発そうな印象を受けた。

「知り合いというかなんと言うか、この前連れを紹介した時に偶々知り合った子というか」
「ふ~ん?」

 日高さんの彼女かな? なんだか誤魔化そうとしてるみたいだけど…。

801:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/01/30 08:00:34 OAyBcVjV
「その子、日高の彼女?」
「ちゃうちゃうっ 全然そんなんとちゃう!」

 臆面も無くそんな事を聞く千鶴ちゃんにぶんぶん首を振って否定する日高さん。

「ほっほう~ これはまたいい所でネタが拾えたかな~?」
「オイオイ、勘弁しろよ~…」

 眼鏡の女の子はニヤリと笑って値踏みするような目を日高さんに向け、日高さんはその視線に恐々としてる 
 そんな二人のやり取りを千鶴ちゃんと私はキョトンとして見ていた。

「とにかくっ この二人とは単なる知り合い! あんま絡むと迷惑になるから、あっち行くぞ ほらっ」

 そう言って二人掛けのテーブル席へと引っ張っていった。

「結構親しそうやね、普通の友達ってとこかな」

802:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/01/30 08:03:07 OAyBcVjV
 千鶴ちゃんが二人の関係をそう分析した。 千鶴ちゃんのこの手の勘はよく当る。

「…」

 単なる知り合い、確かにその通りなんだけど… 
 なんだろう? 微妙に不満というか、がっかりしたような気持ちになる。

 千鶴ちゃんの付き合いでデートして、可愛いとか言われたりして、成り行きで一緒に食事して…
 別にそれだけだと思ってたけど、もしかしたら多少は何か期待してる気持ちがあったのかもしれない。

「ん? みっちゃん、どしたん?」
「ううん、別に」

 私は笑って誤魔化した。  

 その後、夕飯の材料を買いに千鶴ちゃんと別れて商店街へ、健にぃの好きなカレーの材料を買って帰宅した。

803:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/01/30 08:05:27 OAyBcVjV
 お風呂から上がって部屋で髪を乾かしている。  今日も健にぃと話が出来なかった。 
 夕食中、何度か話し掛けようとする素振りは見せたものの、結局会話に至らず。

「あたしの方から何か言った方がいいのかなぁ…」

 以前なら今頃の時間は二人でぎゃーぎゃー言い合いながら対戦ゲームをやっていたのに
 アレから一度も遊んでない。 当然だ、今の私達は会話すら出来ないでいるのだから。  
 …健にぃは遊んでるのかなぁ なんて止め処も無い事を考えていると、ふいに机の上で携帯が鳴った。

「知らない番号だ… 誰だろう? <<ピッ>>…もしもし」
「あ、綾瀬さん? 僕、日高やけど」
「え!? 日高さん?」

 びっくりした、どうして日高さんが私の携帯に電話を…?
 
「今日は本当ゴメン! 一緒に居た連れの子はクラスメイトなんやけどさ…」 

804:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/01/30 08:13:05 OAyBcVjV
 日高さんの話によると、一緒に居た眼鏡の女の子は日高さんのクラスメイトで(智子さんというらしい)
 学級委員長をやっている彼女は学園の情報通で、遅刻やサボリを代価に応じて先生に誤魔化してくれたりもする。
 今日二人で店に来たのはその代価を支払う為だったらしい。

「僕が合コンとか出まくって軟派君やってる事とか、誰と付き合って何回振られたとかいう情報も抑えられてて…」

 有益な情報を得られる変わりに、ネタを握られると非常~に厄介な相手なのだそうだ。

「だからさ、咄嗟に誤魔化して素っ気無い態度とった事謝るよ、その代わりちゃんと埋め合わせするからさ」
「え、いいよ別にそんな…気にしなくても」

 態々そんな事の為に電話して来てくれたんだ… きっと携帯の番号は千鶴ちゃんにでも聞いたのかも。

「今度近場の商店街でかなりレベルの高い合コンやる事になってるからさ、その枠どうにかして空けとくから」
「えっ あ、あたしそんなっ 合コンなんて…!」
「これから主催者捕まえて交渉するんで、詳細は明日にでも小野原に聞いといて、それじゃっ」

805:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/01/30 08:16:28 OAyBcVjV
「ちょ、ちょっと日高さん?」

 ツーツーだって…。  

「合コンて、私が…?  なんか、ありえへん」

 どうしよう? なんだか強引に約束されちゃった
 交渉して枠空けるとか言ってたし、行かないと日高さんに悪いかなぁ…。

「はぁ…」

 健にぃと気まずい状態が続いてるのに…、合コンなんか出てていいのかなぁ

「…健にぃも誘ってみるとか   って、アホかあたしは」

 速攻で却下。  うーん…ほんとに、どうしよう?

806:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/01/30 08:19:04 OAyBcVjV
綾瀬 美樹に合コン参加の約束を取り付けた日高 伸男は、すぐさま携帯を操作して馴染みの番号を呼び出した。

「はいはーい、どないやった?」
「なんとなく手応えはあったように思う アドバイスさんきゅな」
「うむうむ、みっちゃんは引込み思案な所があるから ちょっと強引なくらいがええと思うンよ」

小野原 千鶴のアドバイスに従って美樹に電話を掛けた日高は、彼なりの勘に手応えを感じていた。

「ああ、なんか染まってなくていい子だよな~綾瀬さん… 彼女となら本気で付き合えるかも」
「言っとくけどみっちゃん傷つけるようなマネしたら許さへんで?」
「分かってるって」

両者の友人として、互いを良く知る千鶴は改めてそう念を押しておく。
一応、彼女なりに日高の事は信頼しているので美樹の件はそれで納得し、もう一つの本題に入った。

「それで、和哉君の方は大丈夫なんやろね?」

807:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/01/30 08:21:16 OAyBcVjV
今度の合コンにはスペシャルゲストとして『端学のプリンス』を呼ぶ計画があり、千鶴もその彼を狙っているのだ。

「和哉なー… なんとか頼み込んで顔だけでも出してくれる事になったけど…」
「おーっけーーい♪ 良くやった日高!」
「でもなぁ、あいつ もの凄えーシスコンだぞ? 絶対誰の相手もしないと思うけどなぁ」
「ほうほう だったら尚の事、妹離れさせてあげないとねー♪  このあ・た・し・がっ」

大企業の社長の息子、容姿・性格共にランクS、学園内にファンクラブがある程だ、でもって彼女は居ないときた。
色々と悪い噂も聞かれるが、大半はモテない君達の僻みだろう。 正否不明の噂など一々気にするつもりは無い。

「ふっふっふ~ 『端学のプリンス・如月 和哉』君…、ぜーったいモノにしちゃるわ~~」
「まあ、頑張ってくれ…」

久々の大物狙いで燃える千鶴に、日高は溜息混じりの声援を送っておくのだった。

808:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/01/30 08:24:09 OAyBcVjV
今回ここまで

ちょっと練り直しするので次回はだいぶ先になるかも

809:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/01/30 22:28:24 vszboI+G
>>808
どうもおつかれさまです。
あえて難点を言えば設定とか前振りに凝り過ぎな感が…ね。
トリアーエズ続き待ってます。

810:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/01/31 04:53:23 fPpSZANs
>>808
お疲れ様です
続き、楽しみにしてます

811:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/01/31 06:25:30 CbzRgawF
>>809
あっさり風味な方がいいですかね~

>>810
どもっす
練り直しが終わったので書き上ったら随時上げていきます

812:PC・Drinker ◆BokUNiNIjE
07/01/31 09:24:25 jMw7K36h
 弾の灯氏・新作乙です。

 そして年跨ぎ作品に時間を掛けすぎた俺が来ました…orz

 続きを投下します。

813:PC・Drinker ◆BokUNiNIjE
07/01/31 09:26:42 jMw7K36h
 「ところで、レイチェルさんは…」
 「未だ伴角家にいる筈です。ココへは年が明けてから来る予定に
なっています。」
 「なるほど。お友達の家で年越しですか。」

------------------------------

 「さぁ今度はレイちゃんの番だよ。」
 「あの…何でこんなにせかす…痛てて…放せくそ…」
 「グズグズしてると年が明けちゃうよ。」
 「そうですわね。虹乃さんの言うとおりですわ。」
 「次はレイちゃんの姫収めだよ♪」
 「お兄様、姫収めですわ♪」
 「ちょっとぉおぉおぉ!!!」

------------------------------

814:PC・Drinker ◆BokUNiNIjE
07/01/31 09:28:45 jMw7K36h
 「お…おい…き…今日は…安全日なのか…」
 「そんなの知らな~い♪」

 良く見れば陶酔したかの表情でフランは挿入を続けていた。

 「ボ…ボクだって…ずっと…我慢…してるのに…」
 「わ…分かった…お・・・俺が悪かった…あ…あぁ!!!」

 ついに根元まで飲み込まれた。ついつい俺は後ずさりするが
両肩を握られ逃げられない。

 まずい…この勢いで続けたら絶対に膣(なか)出しに成りかねん。

 「お兄ちゃん…続けないの?」

 俺の迷いを見透かすかのように嬉しそうに耳元でフランが囁く。

815:PC・Drinker ◆BokUNiNIjE
07/01/31 09:35:23 jMw7K36h
 「く…くそぉ!もう…どうにでもなれぇ!!!」
 「んあぁ!!!」

 もう我慢の限界。俺はフランを押し倒そうとしたが…

 「い…いいの・・・ねぇ?お兄ちゃん…い…いいの?」
 「あ…あれ?ちょ…ちょっと…」
 「あはは…気持ちいいんだ♪」

 逆にフランが押し返す。その雰囲気に呑まれ押し倒されたのは
俺の方だ。

 「キスしちゃえ♪」
 「何…んぐ…」

816:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/01/31 09:36:21 fy8Xs7t7
リアル遭遇支援
|・)

817:PC・Drinker ◆BokUNiNIjE
07/01/31 09:38:09 jMw7K36h
 ガッチリと顔を両手で握られ半ば強制的に唇が重ねられる。
大胆にフランの舌が蠢き俺に絡み呼吸がままならない。

 「ん…くはっ…んぉ…おぉ…」
 「お兄ちゃん…何で遠慮するの?」
 「い…いや違…うぐ…ん…」

 いかん…完全に向こうにリードされている。

 「あ…慌て…わ…あ…」
 「えへへ…ねぇ…こんな感じ?」
 「うぉおぉ!!」

 亀頭を弄ぶように膣壁が絶妙な感覚で俺を締め付ける。半ば逃げ腰
な俺の動きを止めるのには必要充分だ。

818:PC・Drinker ◆BokUNiNIjE
07/01/31 09:41:07 jMw7K36h
 「お兄ちゃん…ねぇ…こ…こう…かな…ん…ん…」
 「こ…これはこれで…イイけど…って違ぁあぁう!!!」
 「じゃあ…もっと…」
 「あぁあぁあぁ!!!」

 戸惑う俺を尻目に加速するフラン。時折大きく仰け反り大きく喘ぎ、
同時に眺めの金髪が俺の顔を掠める。

 「あぁ…こ…この…」

 ここで俺はフランをもう一度抱き上げようと再び両腕を伸ばす。

 「あ・・・あは…お兄ちゃん♪」

 嬉しそうな表情でその手を取りフランが繋がったまま俺を起こそう
とするが…

819:PC・Drinker ◆BokUNiNIjE
07/01/31 09:43:12 jMw7K36h
 「うぅ…んしょ…きゃあ!!!」
 「が・・・あ・・・あ…」

 フランの悲鳴と同時に膣口がぎゅうぎゅうと締め付けられる。原因
は即座に理解出来た。俺が背中に回した指が髪に引っ掛ったせいだ。

 「あぁ!や…あ…あぁあぁ!!」
 「ぐおぉおぉ!!!」

 締め付けが治まらない。今の動きで偶然にも俺がフランの感じる
場所を突いているらしい。悶える度に腰が振り回すようにガクガク
と大きく揺さぶられる。

 「そ…そんな…あ…は…あ…あぁ!!!」
 「い…いやぁあぁあぁ!!!」

820:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/01/31 09:45:19 fy8Xs7t7
支援2

821:PC・Drinker ◆BokUNiNIjE
07/01/31 09:45:22 jMw7K36h
 お互いに痛いぐらいに抱きしめあいながら俺達は頂点に達する。

 「んぁ・・・あ…あ・・・」
 「は…あぁ…あん…あん…」

 長い禁欲生活のせいも有り直ぐに射精が収まらない。果敢にも
フランはそれが終わるまで堪えてくれた。だがやがてそれが終わる
頃には脱力してズルズルと俺に打ち掛かる。

 「あ…お…お、おい…」
 「お…お兄…ひゃん…い…今の・・・す…凄い…」

 朦朧とした表情でフランがかろうじて話し暫く動かない。

------------------------------

822:PC・Drinker ◆BokUNiNIjE
07/01/31 09:48:22 jMw7K36h
 勢いに流されたとはいえど、結果として膣内射精に至った事で
俺は少し後悔の念に駆られていた。

 「あうぅ…何で…こんな…何で…」

 俺の心配をよそに我に帰ったフランは全身を丸め顔どころか耳
まで紅潮させていた。太股を滴る俺の精液の事もすっかり忘れて
顔を隠しながら身悶えしている。

 「うぅ…恥ずかしい…。」
 「まぁまぁ…落ち着けって。」
 「いやぁ!」
 「とりあえず…もう一回抱っこさせろ。」
 「あぁん!」

823:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/01/31 09:49:18 CbzRgawF
支援

824:PC・Drinker ◆BokUNiNIjE
07/01/31 09:50:40 jMw7K36h
 抱き上げたフランの背中をポンポンと叩き赤子をあやすような
要領で暫く落ち着くのを待つ事にした。

 「いや…攻めるばっかりで嫌われてるんじゃないかって心配してた
けど…あれだけお前が夢中に…」
 「いやぁ!もう言わないで!!」
 「だから落ち着けって。あぁ…可愛いぞチクチョー!!!」


 「え?可愛い??」
 「あぁ…さっきのあの姿、とっても可愛かったぞ♪」
 「あ…う・・・あぅ…う…うぅ…」
 「お?おい…ちょっと…フラン…」

 俺から咄嗟に離れ再び蹲り呻きだすフラン。

825:PC・Drinker ◆BokUNiNIjE
07/01/31 09:53:12 jMw7K36h
 よく考えれば兄妹同然のフランには直接“可愛い”なんて褒め言葉
を使った覚えが無い。どうやら今はそれに過剰に反応しているらしい。
顔が先程以上に赤くなっている。

 「やれやれ…悶えるわ赤くなるわ…まるで烏賊焼き…」
 「う…うるさぁあぁい!!!」
 「あ、そうだ。初詣の帰りにでも食うか?」
 「えぇ?奢ってくれるの??」

 フランの表情が一変・嬉しそうに俺に近づく。相変わらずこいつは
食い物には弱い。

 「その前に…新年おめでとう、フラン。」
 「え?あ…お…おめでとう、お兄ちゃん。」

 既に時刻は0時を過ぎ年が明けていた。

826:PC・Drinker ◆BokUNiNIjE
07/01/31 09:56:04 jMw7K36h
------------------------------

 「お兄ちゃん、レイちゃん、はっぴ~にゅ~いや~♪」
 「おめでとうございます。今年も宜しくお願いします。」
 「お…おめでと…うぅ…もう…出ないぞ…くっそぉ~・・・」

 「はんぐ いん ぜぁ~♪」

 「ぎゃあぁ!止め…あ…あぁ…」
 「お兄ちゃん、今度は姫始めだよ。」
 「お兄様、姫始めですわ。」

 「頼む…せめてインターバル…わぁあぁあぁ!!!」

------------------------------

827:PC・Drinker ◆BokUNiNIjE
07/01/31 10:01:41 jMw7K36h
 よく考えれば双方の両親公認なのだから妊娠したからといって躊躇
する理由は少なくとも俺にとっては全く無い。

 そして今、食べ物の話に釣られ警戒心をあっさり解き屈託の無い
笑顔で俺を見つめるフラン。

 俺が取る行動は唯一つのみ。

 「ん?お兄ちゃん…早く初詣に…え…ちょっと…」
 「さてと…一度出せば…二度も三度も同じだな♪」
 「あ…ま…まさか…」
 「初詣の前に…姫始めといきますか♪」
 「わぁあぁ!さっ…さっきの約束は…きゃあ!!!」
 「おっと…危ない。お前“達”の身にもしもの…」
 「勝手に妊娠したって決め付けるなぁ!」

828:PC・Drinker ◆BokUNiNIjE
07/01/31 10:05:47 jMw7K36h
 逃げる直前にすかさず足首を握りそれを阻止する。もちろん転倒
寸前に受け止めるフォローは忘れない。

 「あと勘違いしてるようだから言っておくが…ぬぉ…とと…こら
そんなに暴れるな!」
 「も…もう読めた…あ…お兄ちゃんの事だから…」
 「日付も年も変わったから、さっきの約束は無事終了。と、言う
事で…もう一回♪」
 「ひ…卑怯者!!!」
 
------------------------------

 「いやぁ~ん、先生、行かないで~♪」
 「あ…あの…」
 「うぅ~今からでも…先生の子供になりた~い♪」
 「はは…困りましたね…これじゃ…」

829:PC・Drinker ◆BokUNiNIjE
07/01/31 10:07:54 jMw7K36h
 酔い覚ましを取りに自宅へ戻ろうと立ち上がったロジャーを悪酔い
した二人が離そうとしない。

 「あぁ…母さん。すまないが…」
 「はいはい、出番ですね。」
 「申し訳ありません。せめてものお詫びにこちらで車を出します。」
 「気にしなくてもいいのよ。うちは一人っ子だからたまにはこんな
のも悪くないわ。」
 「それでは暫くお待ち下さい。」

------------------------------

 「何だか賑やかな声が…えぇと…確かこの家ですよね?」
 「まさか…あの子達…また…」

830:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/01/31 10:09:03 fy8Xs7t7
支援3 ゲホゲホ

831:PC・Drinker ◆BokUNiNIjE
07/01/31 10:09:57 jMw7K36h


 「笑顔咲ク~君~と~つ~ながって~たい~♪」

 「そのつながるは違う、絶対違…いぃ~~やぁ~~!!!」



 そして新年初のお説教タイムが始まろうとしているのを俺達は
知る由も無かった。



---THE END(?)---



832:PC・Drinker ◆BokUNiNIjE
07/01/31 10:14:45 jMw7K36h
 終了。あのドサクサ紛れにあの三人を書いたせいでセルフパロディ
っぽくなったような気も…。

 ちなみにフランシーヌはもう2つネタが有るので機会が有ればまた書く
かもしれません。

 そして>816(=>820=>830)氏、弾の灯氏、支援感謝します。

 感想・リクエストお待ちしています。

833:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/02/05 09:27:35 2ANBaeF1
 部屋に戻って来るなり、ガックリとベットにもたれ掛かる。

「今日も謝れなかった…」

 夕食中、何度か話しかけようと試みたものの結局言い出せず、そのまま食事が終わってしまった。
 中々切っ掛けを掴めない事に悶々としていたが

「何時までもこんなんじゃ駄目だ…」

 やおら立ち上がり、決意を込めた足取りで部屋を出た。 
 しかし、美樹の部屋の前まで来てその足取りは鈍る。 

 時刻は夜の9時を回っており、事が事だっただけに、こんな時間に女の子の部屋に来るのは拙いのではないか?
 扉の前でそんな風に思い悩んでいると、部屋の中から携帯の呼び出し音が聞えた。 反射的に耳を澄ます。
 
 「え!? 日高さん?」

834:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/02/05 09:30:25 2ANBaeF1
 携帯に出た美樹の口から聞き覚えの無い名前が呼ばれる。

 声の感じからして予期せぬ相手だったのか、慌てているような、緊張しているような、そんな雰囲気だった。
 ふいに、昨日の小野原さんが言った『Wデート』発言を思い出し、ついつい耳を欹て、立ち聞きしてしまう。

 「えっ あ、あたしそんなっ 合コンなんて…!」

 合コン!?  

「美樹が合コン?  ありえねぇ…」

 呟いてから思う。TVのチャンネルを奪い合い、対戦ゲームで大騒ぎし合う まだまだ子供だと思っていた筈の妹。
 今まで浮いた話の一つもなく、男っ気もなかった美樹が合コンやWデート… 自分の知らない美樹の姿。
 そんな美樹との間に距離を感じ始めて途惑う自分。 結局、電話の終わりそうな気配を察して部屋へ引き返した。
 
「何をやってんだ俺は…」

835:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/02/05 09:34:16 2ANBaeF1
 *** 

 今日は合コンの日。 あれから千鶴ちゃんに話して参加のキャンセルを頼もうとしたけど
 千鶴ちゃんに強く勧められて結局押し通された。 なんだか最近こんなのばっかりな気もする…。

「今日あたし遅くなるから」

 キッチンに居るだろう健にぃに一応声を掛けておく。
 未だに仲直り出来ていないけど、黙って帰りが遅くなったら心配させちゃうしね。

 もちろん合コンに出るなんて事は言わない。 
 そんな事がバレたら絶対「似合わねぇ」って笑われるに決まってる。

 あ… それをネタにして話す切っ掛けにすれば良かったかも…。
 
 そんな事を思いながら、商店街の待ち合わせ場所に向った。

836:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/02/05 09:39:42 2ANBaeF1
 ***
 キッチンでコーヒーのお湯を沸かしている時、玄関から美樹の声が掛かる。

「今日あたし遅くなるから」

 一瞬ドキッとする、未だに謝れないでいる俺は美樹から声を掛けられる事に妙に敏感になっていた。
 率直に嬉しかった。 それから掛けられた言葉の意味を考え、複雑な気分になる。

「…そうか、今日か」

 美樹が合コン…。 やっぱりどうやってもイメージが結びつかない。 「ありえねぇ」というのが感想だが…。
 自分が知らなかっただけで、美樹も普通に今時の女子高生をしていたのだろう。 そう想うと少し淋しい。

「それにしても…」

 Wデートやら合コンやらと、最近になって急にそういった行動が目立ち始めたのは…。

837:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/02/05 09:42:03 hxIfPtbF
|・)リアル遭遇支援

838:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/02/05 09:45:25 KRugMr7O
久々にリアル支援~

839:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/02/05 09:46:08 2ANBaeF1
「やっぱ俺のせいなのかな…」

 あのキスが切っ掛けでそういう事に目覚めたとか?

「…いや、自意識過剰だな」

 自分にそんな大した影響力は無いだろうと自嘲する。
 自己嫌悪と罪悪感に苛まれる環境が続いている為か、どうにも後ろ向きに考え勝ちになっている。

 何時も一緒に居た『兄という家族の男性』と距離が出来た為に、家の外に代わりを求め始めたのかもしれない。

 兄からの卒業、成長の過程によくある話だ。 親離れとか、子離れ、今で言うなら兄離れ…
 常に身近にいる家族からの自立、精神的依存からの脱却。 それは美樹が成長したという事なのだろう。
 それは喜ばしい事の筈、だが…
 
「なんだろうな… この喪失感は」

840:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/02/05 09:48:28 2ANBaeF1
***
「みっちゃ~ん、こっちこっち~」
「へぇ~ 綾瀬さんもこういうの来る方なんだー?」

 待ち合わせ場所には千鶴ちゃんの他数人の『女性陣』が集まっていて
 同学年の知ってる子や、学校で何度か見かけた事のある先輩の姿があった
 千鶴ちゃんとよく男の子の話をしている先輩だ。

「結構多いんだね?」
「うん、今日はちょっと多い目かな?」
「綾瀬さんは初めてなん?」

 会場に入る時間まで暫らく雑談をして過していると、『男性陣』の準備が出来たらしく
 幹事さんが呼びに来たので皆の後に続いて会場のお座敷レストランに入る。

 う~ん、ちょっとドキドキしてきた…

841:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/02/05 09:51:14 2ANBaeF1
「ねぇねぇ、和哉君ってさー…」

 会場の大広間に入ってそこで男性陣、女性陣の順に軽く自己紹介。
 その後は自由に飲んだり食べたりしながら気に入った相手とお話して過すフリータイムって事になってるけど
 千鶴ちゃんは真っ直ぐある男の子の所へ行って積極的に話しかけてる。

 なんでも『端学のプリンス』とかって異名を持ってる坂ノ端学園の有名なイケメン君らしくて
 千鶴ちゃんの他にも四人くらいがその男の子を囲っていて、質問攻めにされてるみたい。

「うーむ、流石に和哉も引いてるなー」
「あ、日高さん」

 誰と話すでもなく、オレンジジュースをちびちびやりながら
 ぼ~ッと千鶴ちゃん達の方を眺めていると、日高さんが隣にやって来た。

「隣、座ってええかな?」

842:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/02/05 09:57:13 hxIfPtbF
支援2~

843:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/02/05 10:02:41 2ANBaeF1
 どうぞ、と横に少し動いて場所を空ける。 空けなくちゃならないほど狭くは無いけれど一応気分の問題で。

「どない? 雰囲気にも馴れた?」
「はい、流石に知らない人とは話せませんけど」
「そっか、じゃあ僕と話そう~」
「ふふ、いいですよー」

 それから暫らくの間、千鶴ちゃん達をネタに日高さんと雑談に興じる。

 カラオケタイムとかあったけど私は参加せず、凄く上手い人も居たけど皆聞いてるのか聞いてないのか
 一応歌が終わったら拍手してやんややんや言ってるけど、歌ってる最中は飲み食いしながら雑談してるし
 そういうモノなのかな? と思ったけど、私は今一そんな雰囲気がしっくり来なかった。

「はっはっはっ なるほど、綾瀬さんは真面目なんやなぁ」

 そうなん…?

844:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/02/05 10:07:52 2ANBaeF1

「それでは、二次会に出席するグループはこちらに集まってくださーい」

予定の時間を少し過ぎてお開きになり、会場になった店の前で帰宅組と二次会組に別れると
其々余韻を楽しみつつ、携帯の番号やアドレスを意中の相手に伝え合う。 宛ら交換会のようになっていた。

「美樹ちゃんはこのまま帰るの?」
「うん、あんまり遅くまで遊ばれへんし」

日高の問い掛けに幾分砕けた口調で返答する美樹。
合コンの間中ずっと日高との雑談に興じていた為か、随分打ち解けた雰囲気を見せていた。

「千鶴ちゃんはー…」
「ああ、小野原なら ほら」

そう言って指差す先で、千鶴が『端学のプリンス』からアドレスを聞き出そうとオネダリ攻撃を敢行していた。

845:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/02/05 10:10:02 2ANBaeF1
「他の子はもう皆諦めてるのに、小野原はまだ粘ってるみたいやな」
「うーん、流石は千鶴ちゃん… あ、そういえば日高さんってあの和哉君って人と知り合いなん?」
「うんまあ、一応クラスメイトで少しは喋る方かな? もしかして和哉に興味あんの?」
「え!?違う違うっ 何かあの人だけ他の人より浮いてる感じがしてたけど、日高さんだけ普通に話してたから…」

変な誤解をされまいと両手をぶんぶん振りながら否定しつつ、和哉に感じた異質感を口にする。

「あ~ アイツなぁ…、最近ちょっと色々あって学園でもかなり微妙な位置に居るんだけど…」

転校してきた日から随分モテては居たそうだが、女性関係等でちょっとした事件があり
今は変わらず好意を寄せる者半分、様子見半分に嫌悪少々という良くも悪くも目立つ存在で

「変に大人びてる部分が在るかと思えば、やたら世間知らずな所があったり、まあ 色々変わった奴なんだ」
「ふーん…」

二人の視線の先では、とうとう根負けした和哉から携帯アドレスをせしめた千鶴がガッツポーズを取っていた。

846:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/02/05 10:13:17 2ANBaeF1

「和哉さん」

控えめで透き通ったような声に呼ばれた和哉が振り返り、そこに紺のワンピースを着た長い黒髪の少女を見つけた。
和哉を囲っていた女性陣からの訝しむような視線を意に介さず、真っ直ぐ和哉の前に歩みよる少女と
バツの悪そうな表情で頭を掻々向かい合う和哉に、合コンに参加していた他の人達も何事かと注目する。

事情を知っている日高だけが、それを面白そうに観ていた。

「帰りが遅いので迎えに来ました」
「あ~…すまん」

綺麗な子だな~…と見とれている美樹に、日高がそっと耳打ちする

「あの子な、和哉の妹さん」
「え、そうなんだ?」

847:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/02/05 10:16:07 2ANBaeF1
やがて二人並んで帰っていく如月兄妹。 
腕など組んで、ぴったり寄り添って歩く仲睦まじい姿に羨望の眼差しを向ける美樹。

そんな美樹の様子を傍で窺う日高に、何時の間にか隣に来ていた千鶴が軽く肘で突きながら「行け」と指示を出す。

「(ヒソヒソ)ほらっ 今が攻め時や、家まで送ったり」
「(ヒソヒソ)お、おうっ そうか…」

「あ~ 美樹ちゃんはもう帰るんやったね、じゃあ家まで送るよ」
「え? いいですよそんな、日高さん二次会に行くんでしょう?」

家まで送るという日高の申し出は素直に嬉しかったものの
今回の馴れない合コンの間中、ずっと自分の相手をさせてしまった事を申し訳無く思っており
そこまで自分に付き合わせる訳には行かないと、申し出を断る美樹だったが

「ええから ええから、僕が送って行きたいねん」

848:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/02/05 10:19:02 2ANBaeF1
「まあ日高がこう言ってるんやから、送って貰っとき~」

千鶴の後押しの助け舟もあり、それならと厚意に甘える事にするのだった。

「んじゃ、二人とも気つけてな~ 日高ーちゃんとみっちゃん送って帰りや?」
「分かってるって」
「千鶴ちゃんも気つけてなー」

既に移動を始めた二次会組みに飛び込んでいく千鶴を見送り、美樹は日高に送られて帰宅の途についた。

時刻は夜の8時を過ぎた頃。 
普段、夜に出歩く機会の少ない美樹にとって、ライトアップされた街の様子はとても新鮮に映る。

「夜の街ってなんかそれだけで楽しい感じがするねぇ」
「あ~あるある、僕も中学の頃とか夜中出歩いた時は妙に楽しかった」


849:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/02/05 10:22:55 2ANBaeF1
日高と他愛無い会話を続けながら、美樹は先程の如月兄妹の事を考えていた。 帰りの遅い兄を迎えに来た妹。 

女の勘とでも言うのだろうか、あの二人の間からは何か特別な強い絆のようなモノを感じとった。
翻って自分と兄の健一の事を考える。 果たして、普段の健一なら自分を迎えに来てくれるだろうか? と。

『う~ん、まず合コンに出るって言った時点で大笑いされそうやな~』

それに今頃の時間なら二人で対戦ゲームをやってる筈だと考え至り、もう一週間以上続く兄との現状に憂鬱になる。

『はぁ~… 健にぃとゲームしたいなぁ…』

「ん? どうしたの、美樹ちゃん? 溜息なんかついて」
「!? う、ううんっ 何でもないよ? ちょっと考え事してただけ」

健一の事を考えて没頭し過ぎるあまり、態々こうして家まで送ってくれている日高の存在を蔑ろにするのは失礼だと
慌てて頭の中を整理する。 とりあえず、自分が健一と仲直りしたがっている事ははっきりしたのだと再認識した。

850:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/02/05 10:25:22 2ANBaeF1
帰宅路の途中、公園脇に差し掛かった時だった。

「美樹ちゃん、ちょっとええかな?」
「はい?」

日高は親指で公園を指し示すと、中央に立つ街灯の辺りへと歩いて行く。 
二対のブランコと低い鉄棒、それにカラフルなタイヤが何本か埋まっているだけの小さな公園。
子供の頃には美樹も健一と一緒にここで遊んだ事がある。  

美樹は懐かしさを感じつつ、『なんだろう?』と日高の後に続いて公園の中に入っていった。

***

「あ、ジュース切れてるんだった…」

冷蔵庫から空のペットボトルを破棄した健一は、財布を持っている事を確認するとコンビニに向うべく家を出た。

851:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/02/05 10:25:33 KRugMr7O
つ④

852:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/02/05 10:28:38 2ANBaeF1
今回ここまで

>>837
>>838 >>842

支援ども~  日日 オチャドゾー
          ̄ ̄

853:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/02/05 10:32:06 2ANBaeF1
うあ、並べ方間違えてた
>>851
  ④ ども~
`)ノ

854:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/02/07 16:28:53 Fl6qEkVn
『そろそろ美樹が帰ってくるかもしれないな』

買い物を終えてコンビニを出た健一は足早に帰宅の道を急いでいた。
近道をしようと公園を抜ける小道に入った所で、公園内に人の気配を感じる。

『…!』

街灯の明かりの下、向かい合う若い男女の姿。 

出掛け際にちらりと見えた、お洒落な格好をした美樹。
この前見た時のような『女らしさ』を感じさせる美樹の姿があった。

向かい合っているのは美樹と同年代位の男。

『誰だ… この前のデート相手?  夜中に電話して来た奴か…?』

855:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/02/07 16:31:35 Fl6qEkVn
小さなコンクリートブロックが等間隔に並べられただけの小道は公園を囲う樹木と茂みの間を通っていて
街灯付近からは照明の関係もあり、死角になっている。 健一は引き返すべきか様子を見守るべきかと迷っていた。

「美樹ちゃんに 僕の気持ちを伝えとこうと思って…」

向かい合っている男がそう言って美樹の肩に手を置いた。

『なんだ!? 告白か!? 告白なのか!?』

いよいよこの場に居続ける事が憚れる雰囲気になって来たと感じた健一はゆっくりと後退りを始める。

***

振って沸いたような突然の甘い雰囲気に美樹は混乱していた。 両肩に置かれた日高の手がやけに熱く感じられる。

「あ、あの… 日高さん?」

856:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/02/07 16:35:15 Fl6qEkVn
 うわーうわー 何これ? 何なのこの雰囲気はーーっ  気持ちを伝えるってなにーーーっ???

「僕な、美樹ちゃんの事、好きになったみたいや …その、君とやったら本気で付き合えると思うねん」
「え… ええっ」

 これって やっぱり告白!?  うそ… あたしが? まさか

「美樹ちゃん 僕と付き合って欲しい」
「…あ」

 告白されるなんて、初めてだったから… 混乱して どうしたらいいのか分からなくなって…
 だから 日高さんの顔が近づいて来る意味を理解するのが遅れてしまって だから 拒めなかった


 私は日高さんにキスされた。


857:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/02/07 16:37:56 Fl6qEkVn
「美樹ちゃん…」

 呆然としている私を抱き締めようと、腕を回して来る日高さんの胸を押して止める。
 少し途惑ってたけど、ゆっくり離れてくれた。 よかった…、強引に抱き締められたらどうしようかと思った…。

「あ、えっとね? 好きって言ってくれるのは嬉しいけど、ちょっと考えさせて欲しい…んだけど」

 少し声が上擦ったけど、ちゃんと言えた。 まだ頭が混乱気味で心臓がどきどき言ってるし。

「そっか、うん  ゴメン、ちょっと急ぎ過ぎたね  返事はゆっくりでいいから」
「うん…」

 頭を掻きながら照れた表情で微笑み向ける日高さん。 うわーこんな顔もする人なんだ…。

「えーと それじゃあ、家まで送ろうか?」
「ううん、もう直ぐそこだから…ここでええよ」

858:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/02/07 16:40:30 Fl6qEkVn
 公園を出る日高さんを見送った後、一人ブランコに腰掛けて気持ちを落ち着かせる。
 合コンに出て、帰りに送って貰って、告白されて、キスまでされた。 しかもまた不意打ちかぁ~。

「ふぅ~… びっくりした」

 にしても、告白して即キスしたりするものなのかな? 今時はそんなもんなんだろうか? …まだ顔が熱い。

「でも…、健にぃの時とは違ってたな」
 
 確かにどきどきしたし、顔も熱いけど…何だか妙に冷静で居られたというか …そりゃ混乱はしてたけど
 健にぃにされた時みたいに頭が真っ白になったりフワフワした感じがしなかった。
 二回目だったから馴れただけとか? …ううん、違う アレは何か違ってた。

「そっか… 違うんだ…」

 日高さんにされたのは、唇を合わせる行為…。 健にぃとのは唇を重ねる行為…、只合わせるのとは全然違う。

859:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/02/07 16:43:23 Fl6qEkVn
 一週間以上前の事なのに、はっきりと思い出せる。 あの夜、突然訪れたキスの味。
 唇の感触から伝わってくる感覚、体温、息遣い、全部が健にぃのは特別な感じがする…。

「…もう一回、健にぃとキスしたいなぁ…」

 ポツリと呟いてから赤くなる。

「何言ってねん あたしは…」

 誰に向けるでもなく照れ隠しに咳払いをしてブランコを降りると、家に帰宅すべく公園を後にした。
 日高さんには明日にでも返事しよう。  

「あ~ その前に千鶴ちゃんから色々聞かれるかも…」

 告白されたけど断るつもり、とだけ言っておけばいいかな?


860:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/02/07 16:45:45 Fl6qEkVn
今回此処まで

ちょっと自問自答のトコが強引だったかな

861:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/02/07 16:48:31 n74/QsY+
支援ミスorz

862:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/02/11 10:01:34 XIC3gc9t
***
「…」

 どのくらいこうしていたのだろうか… 気が付くと俺は、電気も付けずにリビングに突っ立っていた。
 コンビニの袋を下げたまま、握りしめていた手が痺れて冷たくなって来ている。

 引き返そうと小道を後退りしながらも目が離せず、見てしまった美樹と美樹に告白した相手とのキスシーン。
 
「美樹に、恋人が出来たのか…」

 最近感じ始めていた喪失感が一層大きくなったような気がした。 

「ただいまー」
「!?」

 飛び上がる程驚いた俺は慌てて冷蔵庫の扉を開け、ジュースのボトルを袋から移し始める。

863:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/02/11 10:04:17 XIC3gc9t
「あ、ジュース切れてたんだ? アップルはあった?」

 ここ暫らく聞かなかった美樹の明るい声。 さっきのシーンを思い出し、何故だか気分が沈む。
 そんな自分の気持ちに混乱を覚え、上機嫌な美樹にイライラする。

「知るかよ」

 素っ気無く答えてから『しまった』と、美樹の様子を盗み見ると。
 しゅんと、萎んでしまったような表情で俯いていた。

 馬鹿か俺は! せっかく機嫌よく帰って来て… 以前みたいに話しかけてくれたのに…
 イライラする。 不甲斐無い自分にも。 上機嫌な美樹にも。 謝れない自分にも。 怒らない美樹にも。

 居た堪れなくなった俺は、結局その場から逃げ出した。 これ以上下手な事を口走って美樹を傷付けない為に。

864:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/02/11 10:14:06 XIC3gc9t
**
 いつもより不機嫌そうな返事をかえした健にぃはそのまま部屋に戻って行ってしまった。

「…」

 失敗した…。 
 
 健にぃもずっと気まずい状況の中で苦しんでいただろうに、寧ろ健にぃの方があたしに …キスしたんやから
 その事でずっと気に病んでたかもしれないのに。 私だけ楽しい時間を過してて…。 

『あたし… 自分の事しか考えてなかった』

 色々あって、初めて告白されたりして ちょっと浮かれてた自分に自己嫌悪。

「健にぃ… あたし、嫌われちゃったのかなぁ…」


865:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/02/11 10:18:48 XIC3gc9t
**
 部屋に戻った俺はそのままベットに潜り込んで布団を被る。

 美樹に彼氏が出来た。 
 公園で見た感じでは、相手は中々の好青年のようだったし、兄として本来祝福してやるべき所の筈だ。
 それなのに、俺は何故こんなに苛ついてるんだ?  分からない…

 答えの出ない自問自答と自己嫌悪に意識を埋没させながら、逃れるように眠りに付いた。
------- - -
 翌朝。 気分は重く、目覚めは最悪だ。 焦燥感に駆られるようにベットから起き出し、洗面所に向かう。
 顔を洗い、僅かに残っていた眠気を振り払っても気分は冴えない。 訳の分からない焦燥感に不安が募る。

 天気予報を見る為にテレビのスイッチを入れようとして、テレビ台の棚に収まってるゲーム機が目に留まる。
 あの日、片付けたままのゲーム機を見ていると、美樹と一緒に遊んでいたのが随分昔のような感じがした。

 そして、唐突に思い至る。 あの日、何故あんな事をしたのか…

866:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/02/11 10:29:03 XIC3gc9t
「…そうか」

 美樹はもう子供じゃなかったんだ… 昔と違って、美樹も俺も。
 世間的、年齢的にはまだ子供の範疇だろうけど、そういう事じゃなく
 性差を気にせずじゃれ合える時期は、過ぎていたんだ。

 それに気付かず近づき過ぎてしまった為に、惹き寄せられてしまった
 美樹の女としての性に、俺の男としての性が。

 胸の内を暗雲となって覆っていた焦燥感が、一気に吹き抜けるように晴れて行く。 
 所謂『腑に落ちる』という奴だろうか、逆に不安を覚えそうな程スーッと心が澄み渡っていく感覚。

 そこへ美樹がやって来た。 リビングに立つ俺を見つけると、寝癖を弄っていた手がハタと止まる。
 顔を見合す俺と美樹。 今なら言える…

「美樹、…ごめんな」

867:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/02/11 10:35:08 XIC3gc9t
***
 私は暫らく呆然と佇んでいた… またしてもの不意打ち。

 昨晩の事で決心して、『私の方から何か話さないと』って思って。
 でも何と言えば良いのか分からずに固まっていたら… 健にぃの方から謝ってくれた。 
 健にぃは直ぐリビングを出て行ったけど、多分恥ずかしかったんやと思う。 だって紅くなってたもん。
 
「…あ、あたし返事してなかった」

 でも、やっと話が出来た。 これで仲直り出来る。 明日から元通りになる!
 
 自然に笑みが零れてしまい、高揚する気持ちを抑えるように俯いてはにかみながら視線を彷徨わせると
 テレビ台の棚に仕舞ってあるゲーム機… やっと対戦の続きが出来る、健にぃと一緒に遊べる。 

 私は嬉しくて、喜びでふやける笑みを抑えられなかった。


868:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/02/11 10:38:42 XIC3gc9t
今回ここまで

順調に組めれば次の次くらいでHシーンに持っていけるかな。

869:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/02/12 00:19:32 X2ITdwlr
GJ

870:向こうの230 ◆EldeW1Y/XY
07/02/12 00:37:38 82msy9tD
|・ω・`) …


|´・ω・`) チョコレート会社は僕にごめんなさいしないといけないよね。





871:向こうの230 ◆EldeW1Y/XY
07/02/12 00:39:57 82msy9tD
十月十日の時を待ち焦がれ。

私はまた貴方に廻り逢う。

貴方は兄で、私は妹。

最も近い男と女として。

繰り返す歴史、甦る想い、変わらぬ人。

貴方が忘れても、私はずっと覚えているわ。

私たちが愛し合っていた全ての記憶を。


872:向こうの230 ◆EldeW1Y/XY
07/02/12 00:42:05 82msy9tD
この世に生まれ落ちた意味は只一つ。

貴方に出逢い、恋をして、結ばれる為。

全ては貴方に愛される為に。

全ては貴方と結ばれる為に。

それが唯一の願いで、最高の幸福。

だから、離れていかないで。

私は貴方にしか愛されたくないから。


873:向こうの230 ◆EldeW1Y/XY
07/02/12 00:44:44 82msy9tD
《俺は、妹を愛せない…》

何度目の失敗の時の言葉だっただろうか。

今でも胸に突き刺さる冷たい言葉の棘。


血が繋がっているから何だというの?

私より見ず知らずの他人の方が愛しいの?

この血がなければ貴方と廻り逢えないというのに、

この血でなければ貴方が認めてくれたなんて。


874:向こうの230 ◆EldeW1Y/XY
07/02/12 00:47:30 82msy9tD
…この身体はまだ眠っている。

残り二ヶ月と十日、時間にして1680時間。

それを過ぎれば、貴方にまた廻り逢える。

繰り返す過ち、甦る葛藤、変わらぬ未来。

そして、愛を禁じられた兄と妹の関係。

大丈夫、次こそは貴方と結ばれてみせる。


未だ眠り続ける少女の唇が、少し動いた気がした。


875:向こうの230 ◆EldeW1Y/XY
07/02/12 00:51:29 82msy9tD
…以上です。忙しすぎてどうしようもない=□●_


唐突ですが非常にスイマーが襲い掛かって来てるので寝ます。おやすみなさい!!

876:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/02/14 14:27:24 7Fjnja7l
>>875
みなさん忙しいようで乙です

寒いと眠くなりますね

877:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/02/14 14:30:12 7Fjnja7l
「おっはよ~♪」

明るい美樹の声がホームルーム前の教室に響く。 
随分と御機嫌な様子で机に向う美樹の所に千鶴がやって来た。

「みっちゃんおはよ~ なんか御機嫌やね~?」

千鶴は昨夜、日高が美樹に告白した事を日高に電話で確認している。 
この様子なら上手く行きそうだと思い、祝福するつもりで声を掛けたのだ。

「えへへ~分かる?」
「そんだけ顔にやけさせてたらね」

千鶴に指摘され、両手で頬っぺたを覆って緩む顔を補強する美樹。 先日までの愁いに陰っていた表情は無い。
以前の元気な美樹が戻った事に喜ぶ千鶴は『日高を紹介して正解だったな』と、心中でほくそえむ。

878:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/02/14 14:33:54 7Fjnja7l
「ほんまに嬉しそうやな~ 日高と付き合う事にしたんやろ? おめでとう~」

そう言って美樹の表情を窺う。 
きっと照れ巻くって真っ赤になるに違いない、そう期待して覗き込むが…

「日高さん? 別に付き合わないよ? 確かに告白はされたけど…」

美樹はキョトンとした表情を見せると、首を傾げて否定した。
『あれ?』と千鶴は途惑う。 告白されて付き合う事にしたのではないのかと、ならばこの上機嫌はなんなのかと。

「え…、違うのん? だって… じゃあ、なんでそんな元気なん?」
「えっへへ~ やっと健にぃと仲直りできたんよ~~♪」

心底嬉しそうに語る美樹、既に日高の話題は何処かに飛んでいってしまったようだ。
そんな美樹の様子に千鶴は、昨日のコンパの事を思い出す。
『端学のプリンス』事、如月和哉とその妹に纏わる噂…

879:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/02/14 14:35:55 qq+pEpRP
支援~

880:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/02/14 14:37:33 7Fjnja7l
「うーん…」
「うん? どうしたの? 千鶴ちゃん」

急に考え込み始めた親友を気遣い、にやけていた表情が素に戻る。
千鶴はこんな事を話してもよいものかと、少し逡巡するも興味と好奇心が勝って語りだす。

「実はな? 昨日、和哉君の事迎えに来た妹さんが居たやん?」
「うん、確か…沙耶ちゃんだっけ?」

長い艶のある黒髪に細身で色白の綺麗な子だったな~、と美樹は昨夜見た沙耶の印象を思い浮かべた。

「どうもな? あの二人、兄妹で恋人同士らしいんやわ」
「へ、へぇ~~」

近親相姦。 そんな言葉が頭に浮び、ついで健一の顔が浮んでドキリとした。
夜の商店街、腕など組んで、ぴったり寄り添って歩く二人の姿が、自分と健一の姿に入れ替わる。

881:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/02/14 14:39:41 7Fjnja7l
「みっちゃんってさ… 実は健一さんのこと好きなんとちゃう?」

少しブラコン気味だと思っていた親友をからかうつもりで発した一言、きっちり3秒程停止する美樹。
図星を直撃されたように固まっている美樹の様子に、千鶴は呆然と呟くのだった。

「…マジ?」

------------------------------------

放課後。 携帯で日高を呼び出した美樹は、待ち合わせ場所である昨夜の公園の前に来ていた。

「んじゃ、行って来る」
「うん、なんかあったら直ぐ呼びや?」

公園の外で待つ千鶴。 自分が焚き付けた事なので最後まできちんとフォローすると言って付き添って来たのだ。
昨晩の日高からの報告では上手く行きそうな雰囲気だっただけに、日高のケアも必要だろうという考えもあった。

882:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/02/14 14:42:24 7Fjnja7l
「あ、美樹ちゃん 早かったね」
「こんにちは」

まだ点灯していない街灯の下で、日高は軽く手を振って迎える。 
夕方の小さな公園内、二人の他に人影は無い。

「昨日のお返事なんですけど」
「うん」

期待の眼差し向けて来る日高に、美樹はしっかり向かい合ってハッキリと言った。

「わたし、日高さんとお付き合い出来ません ごめんなさい」
「……え…」

美樹が何を言ったのか一瞬理解出来なかったらしく、頭を下げている美樹を呆けた表情で見詰める日高。 
やがて我に返り、交際を断られた事を理解すると、猛然とアタックを開始する。

883:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/02/14 14:43:35 qq+pEpRP
支援2~

884:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/02/14 14:45:13 7Fjnja7l
「ちょ、待ってくれ美樹ちゃん! 僕は本気やでっ! 何時もの軟派な軽い気持ちとちゃうねん!?」 

美樹の細い両肩を掴み、自分の気持ちをアピールして迫る日高。
一瞬身を硬くする美樹だったが、日高の手をそっと掴んで離させると

「好きな人が、居るんです」

駄目押しの一言。 そして…

「あ、それから」

パーーンと乾いた音が公園に響く。 
美樹の平手打ちが日高の左頬を叩いていた。

「これで、昨日のキスの事は赦してあげます」

885:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/02/14 14:48:01 7Fjnja7l
そう告げると、深めにお辞儀をして美樹は公園を立ち去った。

「…」

美樹が立ち去った後、日高は何時もより深いダメージを受けていた。
これが本物の失恋の痛みなのかと、感慨深げに思ってみたりする。

「…痛てぇ」

少し熱くなった左頬を撫でながら、錆びたブランコに腰掛けて夕焼けに染まる空を見上げる。
黄昏真っ只中の淋しげな背中に、缶コーヒーを持った千鶴が近づいて行く。

「やーい 振られ男~」
「うっせー」

何故か込み上げて来る笑いを噛み殺しながら、受け取った缶コーヒーを喉に流し込む日高。 少し苦かった。

886:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/02/14 14:50:17 7Fjnja7l
今回ここまで

>>879 >>883
まいど支援ども~



887:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/02/14 15:19:13 BXmb+sMS
日高の飲む千鶴のコーヒは、苦い

888:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/02/14 21:44:22 BYhtkLx2
10へぇ~

889:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/02/14 23:17:19 y0XV4rzW
>>886
ようやく話が核心に近づきつつありますな。
wktk

890:PC・Drinker ◆BokUNiNIjE
07/02/21 03:32:58 tqoZ/BD5
 保守

 また仕事の覚え直しで書く時間が…=□○_

891:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/02/21 17:16:50 Db39+tTV
夕食の後片付けをしながら、健一は終始ご機嫌な様子の美樹に複雑な気持ちを抱いていた。
仲直り出来たのはいい、しかしもう以前のような関係ではいられない。 適度に距離を置かねばならないと。

「健にぃ ゲームしよー」

既にテレビの前でスタンバっている美樹が呼ぶ。 暫らくぶりだなと思いながら、健一は何時もの定位置についた。
左側が健一、美樹は右側。 テレビの画面にはゲーム機の中にセットしたままだったレースゲームのタイトル。

「さあっ 今日は溜まってた分徹底的にやるで」
「勘が鈍ってなきゃいいがな」

対戦画面でお互いセッティングしておいたマイカーを選んでスタート。
最初こそ縺れた走りをしていたが直ぐに勘をとり戻し、白熱する二人。

実力が拮抗しているため中々勝負がつかず、気が付けば夜の10時を回っていた。
ラストバトルでは美樹のリアル幅寄せアタックを華麗にスルー、美樹が転んでいる隙にゴールした健一が勝利した。

892:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/02/21 17:18:31 Db39+tTV
「あ~~! 避けられた~~」

勝敗が付き、緊張がとれて脱力する美樹。 暫らく身体を左右に揺らして悔しがっていたが
新しい車を出現させる為にプレイを続ける健一の胡坐の上に倒れこんで来た。

「強制膝枕♪」
「お、おい…」

一緒に遊べる事が嬉しくて仕方が無い美樹は、いつも以上に健一に甘えた。
腰に両腕を回し、太腿の上に頭を乗せて「むふーv」とじゃれ付く美樹にドギマギする健一。
膝上の重みに美樹の体温と柔らかさを感じた健一は早速距離を取らねばと慌てる。

「そ、そういう事は彼氏にでもやって貰え」
「そんなのいないもん」

すりすりしながら即答する美樹に、惹かれるような感覚を覚えて焦った健一はうっかり口を滑らせる。

893:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/02/21 17:20:25 Db39+tTV
「え、だって昨日公園で…」
「…え?」

ヤバイ!と慌てて口を噤むが、遅かった。 美樹は健一の眼を覗き込むようにじっと見上げている。
不安げな表情でみつめられ、何か咎められたような気持ちになった健一は公園での一部始終を見ていた事を話した。

「そ、そっか… アレ、健にぃに見られてたんだ」
「いやまぁ、たまたま偶然な」

美樹は少し俯くと、腰に回した腕にぎゅっと力を込めた。 思わず体温の上昇を自覚する…

「あれな、不意打ちやねん… 告白なんかされたの始めてやったから、ビックリして混乱してる隙にぶちゅっと…」
「そ、そうだったのか」
「悪い人じゃ無いんやけどね、一応お断りの返事した時 ひっぱたいちゃった」

そう言って「てへへ…」と笑う。 美樹の言葉の中に『お断りの返事』という響きを聞いて反応する健一。

894:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/02/21 17:23:12 Db39+tTV
「!っ 断ったのか?」
「? せやよ?」
「……」
「ちょっ なんよぉ~健にぃ、あたしが誰かと付き合うと思ったん?」

ポカンとした表情になる健一に、美樹は口を尖らせる。

「あ、いや 俺はてっきり…」
「てっきり?」
「いやその…、OKしたからキスしたのかと思ったから」
「ん… やっぱり普通はそうだよねぇ」

健一は思った『なんだそれは』と、同時に胸の奥から沸々と怒りが込み上げてくる。

「返事も確認せずに… 美樹の気持ちも考えずにしやがったのか…?」
「健にぃもしたやん」

895:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/02/21 17:25:41 Db39+tTV
憤る健一だったが美樹の一言で沈黙した。 
自身も同じ事をしてしまっている以上、人の事は言えないじゃないかと落ち込む。
そんな感情の起伏に忙しい健一の様子に、美樹は昼間の学校での事を思い出す。

 『みっちゃんってさ… 実は健一さんのこと好きなんとちゃう?』

指摘されて初めて自覚した健一に対する想い。 健一は自分の事を何処まで想っているのだろうか?と疑問が浮ぶ。
気持ちを確かめずにキスした日高に憤る健一、それは兄として妹を大事に想う家族の気持ちからなのか。
何故、あの夜 自分にキスをしたのか。 その理由が知りたくなった。 あのキスは何だったのかと…。

「健にぃ…さ、あたしにキスしたやん?」
「う、うん…」
「あれは… なんで?」

健一の胡坐の上に半身を乗せて腰にしがみ付いたまま、美樹はそう切り出した。
顔をぴったりとお腹の辺りにくっつけているので、互いに表情を窺い知る事は出来ない。

896:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/02/21 17:27:18 Db39+tTV
「あの時は… どうかしてた 多分、油断してたんだと思う…」

ぽつりぽつりと、自分なりに分析して辿り着いた答えを話す健一。 年頃の男女に成長した二人の適切な距離。
その距離を越えて近付き過ぎた為に、男としての自分の性が、女としての美樹の性に惹かれたのだろうという考察。

「だからな、もうあんまり…こんな風にくっ付いてじゃれ合うのは拙いと思う」

そう言って美樹に身体を離すよう促す健一だったが、美樹はさらに腕に力を込めて身体を密着させてきた。
そんな美樹の行動に途惑う健一は、しかし邪険に引き剥がす事も出来ず途方に暮れる。

「み、美樹?」
「……あのね、健にぃ」

くぐもった美樹の声。 お腹に顔をくっ付けられたままなので、そのまま喋られては擽ったさを感じると
身を捩ってその事をアピールする健一だったが、美樹は構わず話を続けた。

897:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/02/21 17:29:13 Db39+tTV
「日高さんにキスされた時ね…?」

健一の胸にしこりの様な塊りが生まれ、憤りの感情が再び沸き上がる。

「健にぃのと違うって、思ってん…」

憤りの感情が複雑な感情になって胸の内に影を落とす。 
確かに自分の時はムードもへったくれも無く、なんの脈絡も無い完全な不意打ちだった。
それに比べれば、あの男のは美樹に想いを告げてそのムードに則った行為だ。 少なくとも自分のした事よりは…。

「…悪かった」
「んふふ♪ 別に責めてるわけじゃないんよ」

沈んだ声で謝罪する健一の心に響かせようとするように、お腹に顔を付けたままクスクス微笑む美樹。
そして言った。

898:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/02/21 17:33:40 Db39+tTV
「健にぃのは …気持ちよかったから」
「……はい?」

意味が分からないという表情で間の抜けた返事を返してしまう健一。
健一のリアクションに不満な美樹はお腹から顔を上げると、もう一度告げた。

「だからっ 健にぃのは、気持ちよかったんだってば!」
「お、お前 何を言って…」

顔を真っ赤にして上目遣いに唸る美樹。 密着した身体から伝わる体温の上昇が恥ずかしさを訴えていた。
混乱気味だった健一はそんな美樹の姿に返って冷静さを取り戻す。

「恥ずかしいんなら言うなよ…」
「…だって」

呆れた声色とは裏腹に、健一は内心喜びを感じている自分に疑問を懐く。 そこは喜んで良い所なのか?と。

899:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/02/21 17:36:23 Db39+tTV
『健にぃのキスは気持ちよかった』発言で勢いを付けたのか、美樹はさらにトンデモ無い事を言い出した。

「た、ただね? あれって本当にその… 違ってたのか、確かめようかなーって思って…」
「…」
「け、健にぃと その、もう一回… してもいいかな~なんて」
「…」
「だから… もうっ! なんか言ってよ!」
「いやその… なにかって…何を?」

内心の疑問を考えている隙も無い展開に唖然とする健一に、羞恥に焦れた美樹が選択を迫る。

「もう一回あたしとキスするか しないかっ!  ……~~~~~~!!!」
「だから、恥ずかしいなら言うなよ」

選択を叩きつけてから俯いて真っ赤になる美樹を諭しつつ、髪を撫でてやる。 
こんなに可愛かったのか?と、健一は次第に激しさを増す動悸を覚えながら想った。 

900:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/02/21 17:41:22 Db39+tTV
「じ、じゃあ… ちょっとしてみるか?」
「う、うん…」

腰に回していた腕を解き、おずおずと顔を寄せて来る美樹。 その身体を支えるように抱えながら迎える健一。
健一の腕の中にすっぽり納まった美樹は、膝の上に跨るようにして背中に手を回し、正面から抱き合う格好になる。
結構過激な態勢を取っているのだが、目の前に迫る互いの唇に集中している二人はその事に気付かない。

あと20cm。

「い、息は止めるだっけ?」
「鼻で、ゆっくりすれば良いんじゃないかな…」

あと10㎝。

「あ、歯磨いてない」
「俺もだ、気にするな…」

901:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/02/21 17:45:32 Db39+tTV
そして重なりあう唇。 その瞬間、美樹は悟った。

『やっぱり違う』

触れた瞬間、頭が真っ白に。 心がフワフワに。 身体の芯から火照ってくる感覚。
その感覚が心地好くて、もっと求める。 すると健一もそれに応えて唇を擦り合わせるように押し付けてきた。
柔らかくて温かい感触は、求め合う内に湿りを帯びた表面がぬめり始め、もっと深く合わせようと互いに唇を開く。

「ん… ふぅ… ん」

自然に健一の舌が伸びて美樹の歯茎と唇の間を擦ると、美樹の舌がそれに追い従う。
やがて互いの舌を絡ませあい、健一が美樹の口内を蹂躙すると美樹はその支配を悦ぶように震えた。

美樹の舌が遠慮がちに入ってくると、擦り合せ、揉みし抱き、包み込むようにして玩ぶ。

「んっ… んん…  んく… んく…」

902:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/02/21 17:50:40 Db39+tTV
見上げる格好になっている態勢の美樹は、舌を絡ませている間流れ込んでくる健一の唾液を飲み込む度に
下腹部に熱を帯びて行くのを感じていた。 健一の考察にあった女としての性が、健一を求めていると自覚する。

夢中になってお互いの唇を求め合っていた二人は、長い粘着性の糸を引きながらようやく口を離した。
満足したからではなく、新たな欲求を満たしたい想いに駆られてどちらとも無く口を引いたのだ。

浅い息、潤んだ瞳で見詰め合う。

「えーと… どうしようか?」
「ん… 健にぃの部屋、行きたい」

分かったと、美樹をお姫様抱っこして運ぼうとする健一だったが、随分へっぴり腰なお姫様抱っこになった。 

「ぷっ 健にぃふらふらしてる」
「鍛えて無いからな…」

903:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/02/21 17:54:12 Db39+tTV
今回ここまで

>887
微糖ブラックコーヒーですw

>889
ちと難産気味ですわ

>890
移動かなんかですかね?
仕事は流れ作業的終わらせられる方が私は楽ですわ


904:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/02/22 04:11:23 2hMbi0GC
うはー、たまらんわ(*´Д`)乙。

905:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/02/24 15:44:23 bIOKwmZN
>904

ども、今日の分行きます



906:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/02/24 15:46:43 bIOKwmZN
えっちらおっちらという形容が当てはまりそうな、あまり格好よく無いお姫様抱っで部屋の前までやって来ると
美樹が抱っこされたままドアを開け、部屋に入ってドアを閉める。 ちらっと健一の顔を確認してから鍵を掛けた。

「あ~… えへへ、健にぃの部屋に 来ちゃったね」
「う、うん」

ドアノブの鍵から手を離して照れながら呟く美樹に応える。
美樹が自ら施錠した意味を考えると、健一は心臓の鼓動が早まるのを抑えられない。

「えーっと…」
「べっと」
「ああ」

指示されるままに美樹を自分のベットに運んで横たえる。 そして口付け。
美樹は兄のベットに横たえられてするキスにもまた違った趣きがあるなぁ等と感じて悦んだ。


907:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/02/24 15:49:23 bIOKwmZN
「何処までしよっか…?」

そんな美樹の問い掛けに、健一はキスで返す。 既に病みつきになってしまっている。
テレビや漫画のマネをして首筋などにも唇を這わせて見たが、美樹はクスクス笑って擽ったがった。
美樹も真似をして健一の手を取ると、両手で包むようにしながら指を咥えて舐めてみる。

「お、お前… 何処で覚えたんだそんなコト…」
「んむ? もんぐがうお?」

漫画だよ?と言ってるらしい。 何処か余裕を感じさせる美樹に、若干焦りを覚える健一。
リードするべき立場にある筈の自分が、妹にリードされているような気分になる。
照れながら自分の指を舐める美樹の姿に、プライドから加虐心を刺激された健一は少し意地悪をしたくなった。

「んあ?」

美樹の顎を摘んで口を開かせると、舐めていた人差し指に中指も加えて突っ込んだ。

908:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/02/24 15:52:57 bIOKwmZN
「んんっ!? んをふんん?」

驚いて抵抗しようとする美樹の両腕を抑え付け、頭の上に交差させて拘束すると
身を捩ってイヤイヤをする美樹に、馬乗りに跨り、膝で挟み込んで逃がさない。

口の中に突っ込んだ二本の指でもって美樹の口内を蹂躙する。 
舌を摘んで揉み扱いたり、掻き混ぜてみたり、ゆっくり出し入れしてみたりした。

「んんっ んぶ… ん んふぅ…ん」

やがてトロンとした目でなすがままになる美樹。 
口の端から零れた涎が頬を伝い、ベットのシーツを濡らしていく。 …ぬるりとした感触を残して指を引き抜いた。

「ん ぷはぁ… ハァハァ… もぉ~健にぃ 凄いエッチやわ…」

息も絶え絶えに抗議する美樹は、潤んだ瞳にだらしなく脱力した肢体を無防備に晒す。

909:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/02/24 15:54:58 bIOKwmZN
浅く上下する二つの膨らみをそっと包むように両手で揉み上げると、微かに声を漏らして反応する。

「結構大きいんだな…」
「やぁ… 恥ずかしいやんか もぉ…」

ブラジャーとシャツ越しでも柔らかいふっくらした感触に感動を覚える。
触っていると肌の熱や息遣いも掌から伝わってきて、もっともっと美樹の身体を知りたくなる。

「なぁ… 直に触ってもいいか?」
「う、うん… ええよ」

了解を得てシャツをゆっくり捲り上げていく。 
ブラウス等のボタンの付いたシャツなら一つづつボタンを外して行くという趣きもあったのだが
美樹は面倒だからと、あまりそういう服を着ないのでラフなTシャツ等が普段着なのだ。

しかし、それが返って視覚的なエロティズムを増加させていた。

910:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/02/24 15:59:32 bIOKwmZN
胸の上まで捲り上げられたシャツの下に映える白い肌と、その滑らかさに生々しい印象を受けながら
水色のフロントホックに手を掛ける。 プチッと軽く弾ける音がして布地の下に隠されていた果実が露わになった。

綺麗な形の良い乳房が、重力に従い、身体の丸みにそって滑らかな曲円を維持したまま左右に零れる。
すべすべとした柔らかい果実を両手ですくい上げるように中央に寄せ上げ、その吸い付くような手触りを楽しんだ。

「っ… 健にぃ… あ、あんまり強くしたら 痛いから…」
「ああ、スマン」

あまりの柔らかさに夢中になって揉みしだいてしまったが、抗議を受けて力を緩める。
ゆっくりとこね回すように揉み上げながら親指でピンク色の乳首を弄ってみると、少しずつ硬くなって行く。

「乳首、勃ってきてるぞ?」
「い、言わんといてよぉ…」

恥しがる美樹の可愛い姿がもっと見たくて、親指と人差し指で摘み上げる。 ビクンッ と美樹の身体が波打った。

911:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/02/24 16:03:48 bIOKwmZN
「やっ やぁ… そんなんしたら ダメェ!」

乳首をくりくりと指で弄りながら胸を揉み上げると、激しく身悶えして反応する美樹。
悶える美樹の姿に興奮した健一は、乳首を軽く噛んで口に含むと、舌先で転がして刺激する。

「ひんっ! ‥やっ あっ  だ、だめぇ… あんっ」

じっとりと汗ばんでくる肌。 シーツを掴んでいた腕を踏ん張り、もぞもぞと健一の愛撫から逃げ出そうとするのを
脇から抱え上げて捕まえると、乳首を噛んだまま顔を上げて引っ張り上げてやる。 嬌声の悲鳴を上げる美樹。

「ひゃああん! やぁ… いじわるせんといてぇ…」
「わるい…、あんまり可愛かったもんでつい」

もぉ~ と涙目で拗ねる美樹の目元にキスの嵐を降らせてご機嫌を取る健一は、そろそろ自分のモノの疼きに
欲求が肥大化して行くのを抑えられなかった。 もっと美樹を愛したい、弄りたいという想いが膨らんで行く。
同時に、美樹にも愛されたいという感情に焦がれてくる。 美樹を欲する剥き出しの欲望が健一の心を支配する。

912:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/02/24 16:07:50 bIOKwmZN
「っ! …あ」

ピクンッ と反応する美樹。 健一の指が美樹の股間に降りてきて、ショーツの上から恥丘の上に指を滑らせる。
少し不安気な表情でじっと健一の顔を窺っている美樹を安心させるように、健一は耳元で囁いた。

「大丈夫…、最後まではしないから」
「う、うん…」
「……処女だよな?」
「あっ、あたりまえでしょー!」

何を聞くんだとばかりに憤慨する美樹の口を自分の口で塞いで黙らせると、舌で謝りながら胸を揉んで機嫌を取り
ショーツの中に指を滑り込ませて大量の愛液に充たされたワレメの膨らみをなぞるように、ゆっくりと動かす。
二つの膨らみをあてがった指で押し広げると、トロトロと膣内で温められた熱い愛液が溢れ出す。

「んっ ふぅうん… んん…っ んはぁ…   ハァ… 健にぃ… 指、いれてる…?」
「入り口だけな…、これ以上は挿れないから 大丈夫だ」

913:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/02/24 16:15:19 bIOKwmZN
今回ここまで



914:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/02/25 01:02:31 TX2b77lP
ようやく本題に入りましたねw

> 「入り口だけな…、これ以上は挿れないから 大丈夫だ」
当然約束と処女が破られるのをwktkしつつ期待w

915:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/02/25 04:13:18 YKlTQzkH
あえて


入れる前に暴発
   ↓
今日はとりあえず寝よう…


と読んでみる

916:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/02/25 06:16:07 WYfV/xv4
>914
>915

いや、実はまだここから先は考えて無いんですわ
普通にHして終わりってのもアレなんで
どうもって行こうか考え中… 暴発もいいですねぇ

917:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/02/25 06:41:16 /N+c2JiX
|∀・)

918:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/02/26 03:58:12 Qr8oD7gL
美樹ちゃんが進んで咥えちゃえばいいじゃない

919:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/02/27 09:16:06 AP+7c0ZD
>917
>918

ふむふむ、その手もありますねぇ


今日の分、ちょっと短いですがイキマス

920:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/02/27 09:17:38 AP+7c0ZD
「な、なんか… すごい事してるね あたしたち…」
「…確かに」

妹を自分の部屋に連れ込み、ベットの上で半裸にして愛撫している。 
あまつさえ、その妹の秘部に自分の指先を挿れているこの状況。
改めて自分のしている事を返り見た健一は、自身の正気を疑った。
我に返り掛けて秘部を弄っていた指が動きを止める。

「健にぃ?」
「…俺、また流されてお前のこと…」

言いながら徐々に冷静さを取り戻して行く健一。 我に返った途端、胸の奥から湧き上がってくる罪悪感。
ゆるゆると美樹から身体を離すと、背中を向けてベットの端に座り込み、俯いて自己嫌悪に陥る。

「…どうしたん? 何でやめるん?」
「何でって… やっぱり拙いだろ、こんなの」

921:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/02/27 09:19:38 AP+7c0ZD
背中を向けたまま心苦しそうに答える健一に、ムッとなる美樹。

「なんよそれ! ここまでやっといて今更なに言ってるんよ!!」
「…」

健一は美樹の糾弾にも答えられず、黙り込む。 その時、美樹の心の中に弾けて目覚める或る種の感情。
人見知りの気もあったお陰か、これまであまり表層に出る事はなかったものの、美樹の中にある激情家な部分。
許可なくキスした事への報復で日高の頬を引っ叩いた辺り、元々そういう資質を持っていたのかもしれない。

「あたしは…こんなんじゃ赦さへん!」

美樹は黙ったまま俯いている健一のシャツを掴んでベットの上に引き倒すと、馬乗りになった。

「み、美樹?」
「健にぃ、自分からあたしにするのが怖いんやろ? だったらあたしの方からしたるわ!」

922:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/02/27 09:24:11 AP+7c0ZD
そう言って健一のシャツを捲り上げると、あまり鍛えられていない貧弱な胸板に吸い付いた。

「ちょ ちょっとま… み、美樹…っ」
「ん… ちゅっ 」
「よ、よせって うぁ…」

美樹は自分を押しのけようと伸ばしてくる健一の腕を五月蝿そうに振り払うと、お仕置きとばかりに肩に噛み付く。
健一の抗議を無視して、女性のソレと比べると申し訳程度の大きさしかない乳首を舌先で舐め回して刺激した。
そして腹部や脇に掛けて弄るように手のひらを滑らせながら、馬乗りになって密着した腰をこすり付ける。

「う‥ うあぁ」
「あ… 健にぃのもちゃんと勃つんや?」

小さく突起した乳首の周囲をくるくると舐りまわしつつ、ゆっくりと胸元から腹部へ舌を這わせながら
そのままズリズリと身体をずらして行き、膝の上まで馬乗りの位置を降ろすと健一のズボンに手を掛けた。


923:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/02/27 09:26:30 AP+7c0ZD
「こんな… こんなになってる癖に」

もどかしそうにベルトを解いてボタンを外し、チャックを降ろして乱暴にズボンを下げると
股間の部分が盛り上がった紺のブリーフが露わになる。 美樹はその盛り上がった部分に手を当てて弄った。

「美樹、よせってば…」
「なんで? 健にぃもしたやん… これ、気持ちいいんやろ?」

妖艶な笑みを浮かべながらブリーフ越しに健一のモノを掴むと、上下にゆっくりと扱き始める。

「ビクンビクンしてる… 健にぃ、ほんとはあたしとエッチしたいんやろ?」
「うう…」

何故に自分は美樹に逸物を扱かれているのだろう? と、健一はさらに異常な空気に支配された現状を顧みる。

「…なんで、こんな事になってるんだ…?」

924:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/02/27 09:30:23 AP+7c0ZD
そんな健一の呟きに、美樹はブリーフに手を掛けながら応えた。

「健にぃが逃げようとするからや」
「うう… 逃げちゃダメなのか…」

美樹はブリーフをずり降ろして健一の猛った逸物を解放した。

ブルンと勢い良くそそり立つペニス。 美樹は息を呑んでそれを凝視した。
これが自分のココに入るのか、と 想像以上に大きい健一のモノに少し腰が退ける。

「これが… 健にぃの…」

徐に掴むと、ドクンドクンと脈打つ熱い感触に胸の奥が熱くなって下腹部が疼いて来る。

しばらくそのままじっと見つめていたが、健一の視線を感じて顔を上げると
健一は半分上体を起こした態勢で、どうするのかな?という表情を向けていた。

925:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/02/27 09:33:02 AP+7c0ZD
少し羞恥の感情が戻り、紅くなって視線を逸物に戻す美樹。 コレをどうすれば良いのかは知っている。
先程の愛撫で健一の指を咥えたように、口に含んで舌で奉仕すればいいのだ。 理論は十分、後は実践あるのみ。

とは言え、流石に激情に任せた勢いで男のペニスを咥えられる程、美樹は据わった性格では無く
目の前で脈動しながら猛り勃つ肉棒を左手で握ったまま固まっていた。

一方、健一もはちきれんばかりに勃起した自分のモノを美樹に握られたまま視姦されているような態勢で
美樹の手の感触と息が吹き掛かる微妙な位置にある美樹の口元に意識が釘付けになり、まさに生殺し状態にあった。

「美樹? …止めないか?」
「…う、うるさいなぁ  こ、これくらいできるもん」

よしっ と、覚悟を決めたように目を閉じると、大きく口を開いて顔を近づけて行く。
健一は歯が当りませんようにと祈りながら身体を硬直させ、その瞬間を待ち受けた。

「はぁ… んむ…」

926:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/02/27 09:35:38 AP+7c0ZD
今回ココまで



927:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/02/27 17:38:40 pRtCLnSC
たまらんwww




兄貴ブリーフ派だったのか…

928:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/02/27 21:59:06 0slFDxjj
初心者フェラは間違えて歯をたててしまうのがお約束w

929:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/02/28 09:23:24 hgX4EM+v
>927
>928

ども^^

どうやら私は嗚咽フェチな性癖があるようです…
書いてるとそっち方向に話が進んでしまいます(というか進んでる)

930:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/03/03 07:42:04 kTlEsbqM
さて、保守ついでに今日の分を



931:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/03/03 07:45:09 kTlEsbqM
「う…」

亀頭に温かい袋を被せられたようなじっとりとした感覚に、健一は声を漏らした。
美樹の前髪と鼻息が下腹を擽り、目の前の光景に現実感を保たせる。

「んん… ひょっはい…」
「そりゃまぁ…なぁ」

味を報告する美樹に何と答えていいのか分からず、曖昧に返事をする。
美樹は健一のモノを半分程まで咥えた状態でとりあえず舌を動かしてみた。



932:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/03/03 07:47:36 kTlEsbqM
飴等を舐めるのとは随分と勝手が違い、口いっぱいに含んだ肉棒が口内を圧迫していて上手く舌を動かせない。
亀頭の先から分泌されるヌルヌルとした塩辛い液体が舌の滑りを良くしてくれるので、そこを中心に舐めてみる。

「く…っ み、美樹… そこはあんまり… 刺激されたらヤバイ」
「ひほひいい?」
「き、きもちいいけど… ああぁ」
「んふ…♪」

933:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/03/03 07:51:08 kTlEsbqM
健一が自分の愛撫で感じている事に悦ぶ美樹。 ここが男性の最も感じる部分だという事は知識として知っていた。
上手く気持ちよくしてあげられたと上機嫌になる美樹だったが、俄か仕込みの知識では偏りを招く。
こんな風に男性のモノを刺激し続けるとどうなるか、という愛撫の果てに至る「結果」に対する知識が抜けていた。

「く…あぁあ み、美樹! ダメだっ これ以上はもう…!」
「ふんん? ん… んっ ふふ♪」

美樹の肩を抑えて悶える健一の姿に、興奮した美樹はさらに舌の動きを大胆にして行く。
押し退けられないようにと腰にしがみ付いて健一のモノを喉の奥深くまで咥え込んだ。

「ああぁダメだ! 出るっ…!」
「んんふ?」

健一の言った意味が分からず、何が出るのだろう?と疑問に思った次の瞬間
口の中でモノが膨張したような気がしたかと思うと、突然舌の上に熱い塊りが噴出した。
どろりとした触感のあるソレは、瞬く間に口内を満たすと行き場を失って喉の奥へと流れ込む。

934:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/03/03 07:55:53 kTlEsbqM
「んぐっ! んんんんんーーー! んぐ… んぐ… んぐ…」
「あ…ああ 美樹が… 美樹が 俺のを飲んでる…」 

美樹に咥えられたまま出す訳には行かないと、必死で押し退けようとしていた健一だったが
射精の瞬間まで舌で刺激された快感と、これらの行為の相手が実の妹であるという背徳感で倒錯してしまい
昇りつめる白みがかった意識の中、美樹の頭を掴んで自らのモノをもっと深くにと押し込んでいた。

「んぐぐっ う”ぇ… ごふ…」
「ああ…すっげぇ気持ちいいぞ 美樹…」

朦朧としながら二~三度の痙攣を交えて射精を終えると、掴んでいた頭を持ち上げて顔を上げさせた。
美樹の喉から白濁液の纏わり付いたペニスがずるりと引き抜かれる。

「ん… ぐ…ふぅ うぇ…」

呆けた表情の美樹の口から、飲み干し切れなかった精液の残りがとろとろと流れて滴る。

935:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/03/03 07:58:18 kTlEsbqM
呆然としたまま、美樹は性の知識を得た本に書かれていた注意事項を思い出していた。

「けほっ… もぉ…健にぃ ひどい…」
『そういえば… 口でする時は、いく時に喉を突かれないように手で握っとかなきゃいけないんだったなぁ…』

「す、すまん つい…」

出すものを出して倒錯から覚めたのか、ティッシュ箱を持ってきてオロオロと美樹の口元を拭いてやる健一。
美樹が強気に出れば、健一はなすがままに。 健一が強気になれば、美樹は従順になる。 奇妙なバランス関係。

本人達も気づかない内に、状況によって互いに責め受けの攻守が入れ替わる息の合った二人だった。
なので、二人で『始めた』時から、途中下車は在り得なかったのだ。

「健にぃ、自分だけ満足して終わる気じゃないやろね?」
「う…」

936:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/03/03 08:00:48 kTlEsbqM
じと目で睨まれて怯む健一。 美樹はベットに身体を横たえながら膝を抱える姿勢を取り、ショーツを少しずらす。
股を開いて見せるのは恥ずかしかったので、とりあえずアソコを少しだけ出して見せる事にしたらしい。

「あ、あたしのも して」
「う、うん…」

恥ずかしそうに体育座りの態勢で仰向けに寝転び、美樹はそっぽを向きながら要求した。
健一はそれに応えるべく、きゅっと閉じられた太腿によりぷっくらと強調された恥丘に顔を寄せて行く。

さっきまで指を入れていた所に舌の先を挿し込んでみる。 ピクンッ と、声は出さずに反応する美樹。
指で感じた時以上にそこは温かくて柔らかくて、ヌメリがあった。 ぎゅっぎゅっと舌の先を締め付けてくる。

「ん… んっ んくぅ… くぅん…」

ここに自分のモノを挿れれば、一体どれほどの快感を得られるのだろうかと
美樹の匂いと味と体温にやられてボンヤリし始めた頭で意識する健一。 やばいやばいという良心の声が遠ざかる。


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