07/03/09 11:25:45 8ji1gCeo
「私メリーさん。今、貴方の後ろにいるの」
背後から聞こえたその声に麻生はとっさに反応して振り返ると、そこには白い着物を纏った黒髪長髪の少女がいた。
恨めしそうに眉間にしわを寄せ、手には出刃包丁を握らせている少女。
「私メリーさん。貴方を殺しに……」
少女が再び口を開くや否や、何を思ったか麻生は少女の頭部を両手で掴み引き寄せて、唇を食べた。
直後に乙女の叫びが麻生の口の中で反響し、少女の手からは出刃包丁が滑るように落下した。
――優しい顔になったね。
麻生は眉間のしわが緩み、動揺している少女……いや、メリーさんの素の表情を見て、そう呟いた。
「なっ……何をっっ」
恥らうメリーさんは、床に落としてしまった出刃包丁を急いで拾い上げ……ようとした所を、麻生の両手に防がれ
「いま君はどこにいるのか分かってるのかい?」
そう訊かれた。メリーさんは一瞬首を捻ったが、すぐに顔を引き寄せられたとき、玄関から麻生太郎の部屋に入り込んでいたことに気づいた。