07/06/05 14:26:25 ca08tWtl
俺は自分が嫌いでしかたない。
物心ついて俺が世間一般でいう「平凡」にあてはまらない体だということを知って、
ずっとそれを気に病んでいた。
父の再婚で家族になった継母は機嫌が悪いときは「あんたがそんな体だから母親
は逃げてったのよ」とあげつらう。
細かい陰湿ないやがらせは毎日のように続いて、父さんに相談しようとしたけれど
俺がなにか言おうとするまえに「新しいお母さんと仲よくやってくれるよな?」と、言葉をふさぐ。
高校3年の初冬には、はやく家を出たいとそればかりを考えるようになっていた。
そんな頃だった。あいつと出会ったのは。
「久賀貴幸先輩、ですよね」
うつむいて歩くクセのある俺は、まずそいつのキレイに磨かれたローファーが目に入っていた。
名前を呼ばれて顔をあげると、品の良さそうな坊ちゃんヅラが微笑んでいる。
「僕、常葉公彦といいます。お話したいことがあるんですが、お時間いただけないでしょうか」
その「お話」というのは、随分と突拍子もないものだった。
「僕の子供を産んでもらえませんか」