07/05/17 04:56:06 0659sJCG0
□歪―忘れさせて…―
徳井には、ちゃんと彼女もおって。それも承知の上で、付き合って。愛人という立場の、娼婦のような人間になって、
徳井の欲を満たすためだけに、足を開いて。安い人間だとは思う。最低だとも思う。
けど、それすら幸せに感じて。どうしようもなかった。捨てられるなんて、手に取るように分かりきったことで。
それでも良かった。徳井が傍に居てくれるなら。
そんな関係も、終わって。もう駄目やって、言われて。分かってたけれど、辛くて……忘れられへんくらい、徳井が好きで。
大好きで。でもそれは完全な片恋。片想いに過ぎなかった。
それで、どうしようもなくなって。男色のオッサンに体を売った。でも、誰も、徳井を忘れさせてくれるような人は、
居なかった。寧ろ、募る想いは、深まる一方で…余計に虚しくなった。
ある日、知らない親父に連れられホテルに行く途中。川島に見つかった。
「福田…さん?何して……」
どこかショックを受けたような顔をした彼から目を反らすように下を向くと、親父に肩を抱かれ、ホテルへと連れられた。
俺は無償に悲しくなって、心の中で泣いた。いつものようにホテルを出てタクシーを拾って自宅へと着くと聞き覚えのある、
よく聞く声に足を止められる。「福田、さん。」
「川島………」
気まずい。なんとも言えない空気が俺達を包む。先に口を開いたのは俺の方で、とりあえず上がってもらうことにした。。
「お邪魔します。」リビングに在る時計が指す時刻は、1時を回っていた。