07/05/20 00:21:51 5MUdCAc70
ピンでがんがん仕事をしている腹黒キャラの相方に俺がとうとう切られたのは
ちょっとしたニュースになった。兄さん方や後輩たちは慰めて励ましてくれるが
いい機会だから俺は芸人を止めようかと思っている。
「いろいろ契約があって事務所を移籍できなかったので貴方の後輩には
なれなかったんですけど、互いのオフが重なった日とかに漫才をしませんか?
趣味で漫才をたしなみたいんです。貴方と」
話の流れが見えなくて突然ふってあらわれたアイドルに俺はどん引いた。
「ネタ書いてきたんです」
玄関先でざっと読ませてもらったそれは支離滅裂で酷い出来だった。
とりあえずこの人が俺のアパートの前に居るのは何か違う気がして、
ほぼ他人を換気もろくにしていない部屋に上げるのも躊躇われたから、
タクシーを呼んで帰ってもらう事にした。
「メシでも行きませんかと誘って下さいオーラ」をアイドルが
そこそこ整った顔のそこそこ綺麗な目から放っていたので、
帰ってもらった方がのちのち面倒くさいことにならない気がしたんで
そうした。ごねられたらどうしようかと思ったけれど、
アイドルは素直にタクシーに乗ってくれた。
去り際、携帯の番号を渡された。「また来ます」と言われて焦った。
怖い。(おしまい)