【電波】電波SS投下スレ【デムパ】 at 801
【電波】電波SS投下スレ【デムパ】 - 暇つぶし2ch112:押し掛ける!押し掛ける!押し掛ける!
07/05/20 00:21:51 5MUdCAc70
ピンでがんがん仕事をしている腹黒キャラの相方に俺がとうとう切られたのは
ちょっとしたニュースになった。兄さん方や後輩たちは慰めて励ましてくれるが
いい機会だから俺は芸人を止めようかと思っている。
「いろいろ契約があって事務所を移籍できなかったので貴方の後輩には
なれなかったんですけど、互いのオフが重なった日とかに漫才をしませんか?
趣味で漫才をたしなみたいんです。貴方と」
話の流れが見えなくて突然ふってあらわれたアイドルに俺はどん引いた。
「ネタ書いてきたんです」
玄関先でざっと読ませてもらったそれは支離滅裂で酷い出来だった。
とりあえずこの人が俺のアパートの前に居るのは何か違う気がして、
ほぼ他人を換気もろくにしていない部屋に上げるのも躊躇われたから、
タクシーを呼んで帰ってもらう事にした。
「メシでも行きませんかと誘って下さいオーラ」をアイドルが
そこそこ整った顔のそこそこ綺麗な目から放っていたので、
帰ってもらった方がのちのち面倒くさいことにならない気がしたんで
そうした。ごねられたらどうしようかと思ったけれど、
アイドルは素直にタクシーに乗ってくれた。
去り際、携帯の番号を渡された。「また来ます」と言われて焦った。
怖い。(おしまい)

113:風と木の名無しさん
07/05/24 12:22:23 jIhuCos20
チャーリーとチャーリーは双子でした あまりにそっくり
どこからチャーリーで どこまでチャーリーなのか
もう全然わかりません
さあ 調べてみよう
チャーリーはチャーリーを探したけどムダでした
そう チャーリーとチャーリーは同一人物だったのです


浜辺で流木を集めながらチャーリーは考えました お店を開こうかな
砂浜の向こうから 近づいてくる最初のお客さんの
手にした空き缶を見つめます
さぁ チャーリーとチャーリーの堂々たる睨みあいが始まった!
するとチャーリーが叫びながら飛び上がりました
なんとチャーリーがチャーリーの襟元に1ドル硬貨を落としてしまったのです
「うわあ 首が折れちゃうよ! 二度と元に戻らなかったどうすんのさ!
 ま いいか!
 お前の首と俺の首は同じものだから」


チャーリーとチャーリーは双子でした
どこからチャーリーで どこまでチャーリーなのか
 もう、全然わかりません
そう チャーリーとチャーリーは同一人物だったのです

114:風と木の名無しさん
07/05/26 22:43:31 ARvFq7V1O
>>109->>112
なんかこの二人好きだよーGJ!
アイドル君がアブな可愛くてまさに理想の電波。地味でおとなしい子(タレントだけど)が何かに執着を持った途端タガがはずれて暴走しちまうのってリアリティーあるよね

115:ラジオ!ラジオ!ラジオ!
07/05/30 10:28:11 eSJeds1o0
コンサートツアーがはじまった全国津々浦々まわります。
君に会いに行く。日課だったのにツアーが終わるまでできないよ。
会いにいけなくてごめんなさい。寂しい思いをさせちゃうかな。
持ち運べるラジオとテレビを買ったよ。
ラジオって凄いんです。芸人さんの番組がいっぱいあって、
どの芸人さんもテレビだと言えないことをラジオだといっぱい言ってるんだ。
素の部分が凄く聞こえてくる。特に関西ローカルが凄い。
関西ローカルはテレビも凄いよね。あと、君の事務所がネット配信してる動画も。
そういうの全部、聴いて、見て、相関図をつくったよ。
君と誰がお友達で、誰と誰でいつどこに遊びにいったか
どんなところに飲みにいくのか、じわ~っと見えてきてぞくぞくした。
ある番組である芸人さんが言っていたことと
別の番組で別の芸人さんが言っていたことを重ねるとね、
もう、いろいろ見えてくるの。凄い。
君はまだ全国ネットにはほとんど出ていないし
君がメインのラジオ番組も持ってないけれど、地元の関西なら
君の先輩、君の後輩がいろんな番組や単独ライブで君の名前を出してくれている。
ゲストに呼んでもらって番組に出させてもらっている君も垣間見えたり、
君がどこのショッピングセンターに営業にいったかとか、学園祭で受けたかとか
僕が知りたいことがいっぱいわかる。こういうの「追っかけ」っていうのかな。
君と君と親しい芸人さんの番組を僕はくまなく見てます。聴いています。
最近お笑いに詳しくなったよ。社長にやっぱりアイドルをやめたいって、
ラジオのハガキ職人になりたいって言ったらとても怒られました。

116:ラジオ!ラジオ!ラジオ!
07/05/30 11:19:25 jxcZbgp60
ラジオを聴いていたら僕らのグループの大ファンだっていう
女の人芸人さんがいて、マネージャーにお願いして
コンサートにご招待しました。君と養成所で同期の女の人ふたり組。
楽屋に来てくれて、打ち上げにも来てもらって、僕のファンじゃなくて
うちのリーダーのファンだったからリーダーにお願いして
携帯のアドレスを教えて貰いました。ときどき飲みにいっています。
「うちら腐やけんな!」って、春の日ざしのようにあたたかな言葉をかけて
もらいました。僕と君を応援してくれる人ができたよ。
姐さんって呼ばせてもらってます。
僕のお笑い好きを社長が僕の売りにするって言っています。
僕のキャラがやっと定まったって社長は最近笑顔です。
「アイドルの自覚がない保護してやらんとあかん子」だそうです。
「お笑いオタクで趣味はラジオを聴くこと」。
ようやくプロフィールに書くことがみつかりました。
社長のはからい、つまりは事務所のゴリ押しで芸人さんとゴールデンで
ご一緒する機会が生まれたよ。君のもと相方さんとも共演させてもらいました。
いちばん好きな芸人さんは映画でも共演した君だって、
出る番組出る番組で言ってます。僕が君の名前を出すたびに
画面の下にテロップで君の名前がばーんと出て、
日本タレント名鑑にのっている君の写真が四角くうつります。


117:ラジオ!ラジオ!ラジオ!
07/05/30 11:20:14 jxcZbgp60
全国ネットで、お笑いが好きになったきっかけは君だって言ったんだ。
プライベートで仲良くなりたくてアドレスを伝えたのに
一度も携帯が鳴らない話もしたよ。君の大先輩が今度会わせてやるって、
一緒に食事に連れていってやるって公共の電波で約束してくれました。
テレビって凄いね。うちの事務所は上下関係ゆるいけど、
芸人さんって違うよね。先輩の誘いは断れない。
だから君は僕に会いに来る。
君とプライベートで漫才がしたいな。漫才の途中でね、目と目で会話して、
ああ、このコンビ、コンビ仲いいのが伝わってくるね、
見ててほのぼのするねって言われたい。
息がぴったりあってるからテンポいいね。面白いね。
今年の漫‐1グランプリ、準決勝進出するかもね。なんていわれてみたい。
君がすき。
カキタレでいいから僕を君のものにして。

118:風と木の名無しさん
07/05/30 21:16:08 dBa/AbKgO
>>115-117
GJ!加速するアイドル君が怖可愛くてたまりません。
電波って、純粋さとかひたむきさとかの進化した究極形態なのかなー…と、姐さんの作品読んで思ったよ。

しかし芸人君視点ならホラーだよな…。

非電波な芸人君が、電波なアイドル君のデンジャラスな愛にドン引きしつつ全速力で逃げつつ
それでもどこかで相手を気にしていると萌える。

119:あかん!あかん!あかん!
07/05/30 22:55:13 hz1ORts10
例のアイドルが最近ゴールデンやプライムタイムのバラエティに
芸人仲間と出まくっている。俺が出たくて出れない数々の番組に
準レギュラー扱いで顔を出しまくっている。
おっとりしたしゃべりで、ディープなお笑い評や後輩芸人が思っていても
恐ろしくて言えないことを無邪気にぽろっと言ってはアップになっている。
しかもちょくちょく俺の名前を出す。
親しい芸人仲間はキャラづくりに使われてんじゃないの?と言う。
それならそれで構わない。むしろそうであって欲しい。
芸人おたくなアイドル。自称お笑い通キャラ。いいと思う。
テレビ的に需要ある。だけど自惚れじゃなくてあの人の目が俺に本気な気がする。
それが怖ろしい。だってアパートにまで夜な夜なやって来るんだ。
洒落にもネタにもならねえよ。可愛い女の子なら俺も男だし
カキタレにしたくもなるけど29歳の男だ。同いの男で大手事務所のアイドル!
クラス一緒なら絶対友達じゃないタイプだし、なんか、うざい。
マジ女の子だったらよかったのに。アイドルのおかげで世間的に無名だった俺が
写真と名前のテロップだけでもゴールデン番組にばーんと出て、
お茶の間のみなさんに顔と名前を覚えてもらいつつあるのは喜ばしいけれど、
正直それも気持ち悪い。
先輩芸人に押し切られて一度食事に行った。
先輩が勝手に俺のアドレスを教えてしまった。以来、毎日毎晩、
おはよう、と、おやすみ、のメールがくる。返信は一度もしていない。
たまに長文メールがくる。ネタだ。俺がツッコミ、彼がボケ。
日増しになんか面白くなってきてるのも癪にさわる。
スケジュールに余裕があれば俺のアパート前で待っている人が、
ぱったり出没しなかった一ヶ月があって、ん?っと思っていたら、
コンサートツアーで、その期間はせいせいしたけど、よく考えたら俺、
あの人が来んことに、んっ?とか思っていて、駄目っぽい。あかん。
もう、あかん。いやや。


120:風と木の名無しさん
07/05/31 18:18:48 wbfKynOfO
>>119
芸人君逃げて超逃げてと思うと同時に
アイドル君頑張れ押せ押せとも思ってしまう

121:風と木の名無しさん
07/06/02 17:41:21 THB7tS5vO
アイドル君と芸人すごい萌える…
どっちが受なのかくるおしくきになる

122:受信
07/06/15 22:59:05 1l3mGKUs0
道を歩いていたら突然グミナシウル星からのお告げが聞こえてきた。
この世界はどうやらもうすぐ滅びるらしい。
『それを防ぐにはキミの協力が必要なんだ!』
お告げはあむろれいの真似をする若いなんとかという人のような声で言った。
なるほど、おれは選ばれたというわけだ。わっくわっく、どっきどっき。
そんな気持ち、アシカを好きになったとき以来だった。
アシカというのはおれの同居人であり、おれを今コンビニに遣わせた張本人であり、
おれのケツの穴のことをおれ以上に知っている人!
もちろんおれだってアシカのケツの穴のことはアシカ以上に知っている。
だってケツの穴は鏡がないと自分じゃなかなか見られないよね~。
アシカの顔はめがくりっとして黒目がちでかわいい、だからアシカって呼んでいる。
本当の名前は知らないし教えてくれない。
ともかく、今はミッションが優先だ。
まずはびりびりに破いたウォーターベッドのチラシを用意しなければ。
容易にはいかないな、これは。ギャグではない。
それから猫のひげ、コンドーム、などなど。コンドームはさっき買ったよ!ナイスタイミン!
やっぱりアシカはすごい。先見の明ある。
しかし一番肝要なのは、最後の締めであります。
おれの一番大事なもの、一番大事なものを捧げろというのだ、おさむ某は。
うーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん。
おれはうなった。道を歩きながらうなった。コンドームを片手に持って
(ごめんなさい、青少年の皆さん。でも避妊は大事だし、男の子同士だってゴムはいるんだい!
 セックスから目を逸らしたらだめなんだい!
 だってきみたちはきみたちのおとうさんとおかあさんがせっくすしたからできたんだ!)
そんなことを考えながらうなった。うなりすぎておれは狼に返信!


123:受信
07/06/15 23:00:09 1l3mGKUs0

Re:早く帰って来い
-----------------
ええーっ、マジでトシ
ちゃん出てるの?お
ねがい!録っといて
!なんでもするから
ッ!

アシカは今日は狼かな、猫かな。猫だったらひげをもらおう。
一番大事なもの、一番大事なもの……考えていたらおれは家についていて、
結局猫だったアシカに玄関で盛られてしまって玄関が水浸しになった。
コンドームはつかっちゃだめ!って言ったから、おれのせい、おれのせいか?
ともかくおれは最後の締めにおれを捧げようと思うんだ。
だっておれの一番大事なアシカが一番大事に思っているものがおれの一番大事なものじゃないのか!?
アシカを悲しませるわけにはいかんじなびあ半島!
カッコイイ5割増しでそう言ったら猫であるアシカは狼になり、絶対嫌だ!と言って頭から食われた。
そのときぴかっと遠くの空が光って、真っ白になって、案外あっけなくおれたちは宇宙のもずく。
お告げはふいになりましたが、それでもアシカとおれは一生はなれません!
永遠に宇宙を飛び続けることにした、おれたち、地球の子どもだったのよ、ららららら……

124:あかん!あかん!あかん!
07/06/20 21:00:19 gWFhqHeG0
「あんたとアイドルくん、どっちが受けなんか
くるおしくきになるんやけど」
同期のおんなにそう言われて俺は固まった。
「ごめんやけど、俺そういうのわからへん……」
「『そういうの』ってなんよ?」
「せやから、受けとか攻めとかや!」
「わかってはるやん」
「……。」そやな。
だってその道あゆんどる姉ちゃんおるんやもん。しゃーないやろ。
例のアイドルは最近多忙を極めている模様。俺のアパート前に出没しなくなった。
メールは相変わらずこまめにくるが、返したら負けやと思って
俺は一度も返してへん。
全国ネットのCMや歌番組にバラエティ、アイドルくんは大活躍だ。
俺は関西ローカルの深夜で細々とやっている。
格差はあるけど、向こうが俺を好きな自覚あり。
こんな俺のどこを?と思うけれどわからない。
「やっぱ迫られてるあんたが受けなん?
それともツッコミのあんたが攻めさんなん?」
「……。そういうんやないし」
「じゃあ、二人の仲はどうなんよ?」
「知らんよ。俺に聞かんといてや……」
「向こうは間違いなくあんたのこと好きやで。あんた次第やん」
「向こうも男やで?あかんって」



125:あかん!あかん!あかん!
07/06/20 21:30:58 gWFhqHeG0
ガツガツ食いついてくる同期のおんなをあしらって
俺はタバコに火を着けた。
「劇場の楽屋でする話やないって」
「まあええわ。それよりあんたマジで芸人やめる気なん?」
「ん。ピンは辛いわ……。気づくの遅かったけど俺、この世界あかんかった」
「一般人になったらアイドル君と共演できんくなるよ?」
「いらん心配せんでええって。そんなん願ってないねん」
「ほんまに?」
「ほんまや」
煙を吐き出しながら俺は溜息をついた。なんとはなしに眺めた楽屋のテレビの
画面の上に白抜きでテロップが流れた。
東京発の某空港会社の飛行機が関空で着陸ミスって炎上したらしい。
エンジントラブル系の大惨事。重軽傷者多数。死者も。
流れるテロップに例のアイドルくんが所属するグループの
ダンスが上手いメンバーの名前があった。アナウンサーが、彼の名前を読み上げる。
つづいてMCが上手いメンバー。演技力に定評があるメンバー。
歌がうまいメンバー。ラストが俺のアイドルくんだった。おしまい。




126:あかん!あかん!あかん!
07/06/20 21:34:53 gWFhqHeG0
訂正
某空港会社→某航空会社。


127:風と木の名無しさん
07/06/20 22:05:14 ebveWcGj0
>125
ひとつ聞いておきたい。
このまま、今後もずっと、ココとかアチラとかに投下しては
性質の悪いヒトタチに絡まれて、やんなっちゃって、最後は
投げやりエンディング もしくは投下中断
そんなことをずっと続けるつもりなんですかー??

それとももしかして絡まれるの好きなの?
実は、根っからのMで粘着絡みーズとのおつきあいがダイスキ!
投下はプレイの一環だ!!

とかだったら仕方ないけど

そういうんでなかったらー

ほんとに好きで、楽しみに読んでる読者のことも
ちっとは考えてくれ…
つかなんでそう、数字板投下に執着するかな…
絡みレスのつかないとこで読みたいよ…

128:風と木の名無しさん
07/06/21 19:35:20 pB3d0POuO
>>127
痛い人だな。ここはSS投下スレだから巣に帰りな。
アンタみたいのを【絡み】っていうんだ。

129:風と木の名無しさん
07/06/30 08:42:56 B0xmbod50
2006/08/10(木) に某スレに投下したSSです。
たぶんこのスレ向きの話だと思うので再投下させて下さい。

長文を大量投下します。
鬼畜描写は、№7以降です。
完結しています。

【注意】
現代もの。電波風味。
受けが不衛生です。
蚊と山芋を使ったプレイあり。
ぬるめ(受け攻め共に勃起&射精シーンなし)。
食品や台所用品、日用雑貨を使った
鬼畜プレイがメインです。
苦手な方は、スルーお願いします。
【警告】
プレイがらみで、
下記のものに、ちらりと触れています。
『火/の/鳥・未/来/編』。
映画版「ゲ/ド/戦/記」。
また、プレイとはほぼ関係ありませんが、
「大/平/さんのプラネタリウム」が
話の触りに出てきます。
鬼畜、陵辱等の描写を含む創作に、
「実在する映画や漫画、娯楽施設」等が
出てくるのが生理的にNGな方は、
スルーお願いします。


130:ドードーソーソー 20-1
07/06/30 08:43:37 B0xmbod50
メシを喰うのは面倒だ。
風呂も着替えもどうでもいいし、
ごみ溜のような部屋も気にならない。
28歳、男。職業、漫画家。
普通よりだらしない俺だけども、
編集の鈴木さん恐さに、
締め切りだけは守ってる。
最近、表紙&巻頭カラーを
任せられることが増えた。
テンションは上がるけども、HPは下がる。
まして今回は、
表紙&初の全ページオールカラー。
正直、詰んだと思ったけども、
どうにかこうにか、ついさっき
鈴木さんに原稿を渡せ、
スッタフのみんなを、やっと
家に帰してあげられた。
嗚呼、まぶしい。徹夜明けの目は、
斜光カーテンをまったく無視して
射し込んでくる、真夏の光に
耐えられない。呻いていたら、
峰くんが雨戸を引いてくれた。

131:ドードーソーソー 20-2
07/06/30 08:45:29 B0xmbod50
注:痰(タン)を啜る描写あり。



峰くんは、滅多に家に帰らない。
仕事が終わっても、いつも此処にいる。
曰く、「オレがいないと先生だめだから」。
ぐうの音もでない。
仕事場や仮眠室の掃除はもちろん、
時間さえあれば、洗濯も買い出しも
食事の支度も何もかも、
ガンガンやってくれる峰くんに、
引きこもりの俺はかなり甘えてる。
連日の徹夜がたたり、夏風邪をこじらせたときは、
看病までしてもらった。
喉の奥をスライムみたいな痰(タン)に塞がれ、
息苦しさに、ぜぇぜぇ喘いでいたら
マウス・トゥ・マウスで、
吸い出してくれたのを覚えてる。
 俺は峰くんに頭があがらない。
何より、峰くんとは電波の波長が合う。
どもらず話せるし、一緒にいて楽しい。
とはいえ、峰くんを
遠ざけたくなるときもある。

132:ドードーソーソー 20-3
07/06/30 08:47:07 B0xmbod50
注:「蚊と山芋を使ったプレイ」の布石あり。



締め切りが明けるたび、峰くんは
必ず俺に、淀んだ遊びを強いるのだ。
嫌で嫌でたまらないのだけども、
口に出したら嫌われそうで言えない。それにまだ我慢できる。
そういうわけで、このたびも、ミドリ色の高校ジャージと、
何日とは言わないけども長い間、
はきっぱなしだったブリーフを剥ぎ取られ、
俺は仮眠室のベッドに放られた。
徹夜明けでまぶたが重い。警鐘が鳴ってるのに、マットの心地よさにのまれ、
くらげに変身。眠りの中で海をたゆたう。
とたん拳を頭にくらった。
痛みで目が覚めた俺を見て峰くんはにこにこ嗤い、
俺の股間に鼻をうずめると、嬉しそうに言った。
「ちん毛がワキガ臭いですねぇ~」
峰くんは悪臭フェチの気がある。
それから彫刻が上手くて、変な友達が多い。
きょう、峰くんは買い出しの為外に出た。
ついでに友達に会ったかもしれない。
付けて加えて、誰も食べていないのに、
きのうまで台所にあった山芋が消えた。
 嫌な予感は的中し、俺は、頭上で両手を纏められた後、
ちんちんのカタチに彫りあげられた、たくましい山芋と、
「ぼうふらの研究をしている友人から
分けて貰った」という蚊が、10匹前後
飛び回っているビニル袋を見せつけられた。鳥肌が立つ。

133:ドードーソーソー 20-4
07/06/30 08:47:54 B0xmbod50
注1:「蚊を使ったプレイ」の布石あり。
注2:脳内世界のお話あり。



器用な峰くんは、蚊と空気が
逃げないように、手早く俺のふにゃちんを、
ビニル袋に入れると、根本を輪ゴムで結わえ
微笑んだ。股間から蚊の鳴く声が聞こえる。
ちんちんに蚊がとまった。
ビニル袋の中で童貞(やわ)な息子が縮こまり、
捨て猫みたいに、がたがたぶるぶる震えてる。
山芋を手に、にたりと嗤う峰くんと目があった。
以前風呂場で水責めにあったときの様に、
からだから体温が奪われてゆく。
俺はぎゅっと目を瞑って“名無し”のことを考えた。
峰くんのキツネ目が恐ろしいとき、
俺はいつも目を閉じ“名無し”のことを考える。
“名無し”は、俺が某週刊誌で連載してる、
SF(サムライ・ファンタジー)ものの脇キャラだ。
 文楽の人形遣いや歌舞伎の後見役。
はやい話、黒子を想像して欲しい。
“名無し”の見てくれは、まんまそれだ。
全身を黒で覆った、誰にも顔をさらさず、
ひとことも喋らない男。それが“名無し”。
 初登場は第1話の2コマ目。以来5年。
俺は“名無し”に、見せ場もセリフも与えてない。

134:ドードーソーソー 20-5
07/06/30 08:49:09 B0xmbod50
注:脳内世界のお話のみ。



一応“名無し”は、5人いる主人公サイドの
レギュラーキャラ。歴とした主人公の仲間だ。
けども絶ッ対、“名無し”には
ライトをあてないと決めている。
コミックスの表紙や毎週の扉絵はもちろん、
どこをとって見ても、“名無し”が大写しに
なっているコマが無いように、俺はこころを砕いてる。
“名無し”以外のキャラ4人のバトルシーンは、
主人公はもちろん、他の3人もメインの週を設け、
殺陣やエピに力を入れて描くけども、
“名無し”の戦闘シーンは、
誰かが戦っているコマの角や端のみだ。
5人の中では一番強い設定なので、
誰よりも強い相手と戦わせ、
一等危険な任務につかせている。
当然、怪我も多い。
同時に、“名無し”が怪我や熱病で
弱っているときは、仲間のうちの誰かに、
“名無し”以上の大怪我をおわせ、
“名無し”が極力、かまってもらえないように
心がけている。
それから、“名無し”以外の4人は、よく2組にわける。
相棒同士、背中を預け合って戦うシーンは
絵になるし、独りコマの隅で剣を振るってる“名無し”の、
「いつも独りで」な感じがよく出る。

135:ドードーソーソー20-6
07/06/30 08:50:29 B0xmbod50
注:脳内世界のお話のみ。



 ちなみに“名無し”は二刀流。
踊るように敵を斬る。
手足が長く動きに華があるからか、
コマの隅で戦うその姿を
蝶に例えられることが多い。
それプラス、上向きの美しいケツがソースになって、
“名無し”美形説が流れているらしい。
読者さまが思い描く“名無し”は、
黙々と刀を振るう、クールで美しい男のようだ。
編集部に寄せられるアンケートには、
“名無し”の見せ場を求めるものが多いとか。
けども、俺はアニメ化するときも
“名無し”役の声優さんを設けないことと、
キャラクターグッズを販売する際、
“名無し”を商品化しないことを条件にあげた。
はぶかれてこそ“名無し”だ。
この先も“名無し”の扱いをかえる気はない。
食事のシーンを中心に、
思いやり深い主人公たちには、
「独りを好むと思われる」“名無し”が
「望んでいるであろう、ほどよい距離」を取らせ、
ますます、“名無し”をぽつんと孤立させる予定だ。
俺は“名無し”に、誰にも聞こえず届かない、
終わらない叫びをあげさせたい。


136:ドードーソーソー20-7
07/06/30 08:53:38 B0xmbod50
注:蚊と山芋を使ったプレイあり。



「何考えてるんですか?」
ふいに上から峰くんの声が振ってきた。
俺にのしかかっている峰くんは、
尋ねながら腕を唸らせ、音高く
俺の頬を平手で打った。痛いッ!
 けどもすぐ、ちんちんの痛痒さと
ケツのむず痒さが頬の痛みを消した。
一度意識すると、痒みは津波のように
どっと押し寄せてくる。
カリ、サオの裏筋、中腹、其処此処を蚊に刺され、
膨らんだちんちんが痒い。
カッカカッカと火照ってる。
ばりばりぼりぼり掻き上げたくてたまらない。
けども、俺の手は頭の上。きつく縛られ動かせない。
このビニル紐さえなければ、
ちんちんを掻き毟ることができる。
山芋だって動かせるのに。
山芋をぶち込まれたケツが
むずむず落ち着かない。
かぶれた腸の裏膜が熱を持つ。痒い。
キワキワまで開かされた穴は、
正直、裂けそうで辛いけども、
キツツキの嘴みたいな速さで、
突いて突いて、擦りあげて欲しかった。


137:ドードーソーソー20-8
07/06/30 08:56:05 B0xmbod50
注1:蚊と山芋を使ったプレイあり。
注2:火/の/鳥・未/来/編/に、
   触れています。



ケツがひりひり、ほうほうする。前がじんじんする。
もんこもんこと腰をくねらせ、
身を捩っても、俺が欲しい刺激は得られない。セイロで蒸されているみたいに
からだが熱い。だくだく汗がとまらない。
「題して、『蚊に喰われながら、山芋を喰う先生』」
デジカメ片手に峰くんが、にこーっと嗤った。嗚呼ッ。
「峰くっ‥、ん…」
何匹もの蚊が、俺のちんちんを取り巻いてる。
熱い。痛い。痒い。
腫れあがった俺のちんちんは、
まるで、火/の/鳥・未/来/編/の
猿/田/博士の鼻みたいだ……。
嗚呼、神さま。痒みをとめてください。からだじゅうが熱い。
クーラーがきいているはずなのに、茹だるように暑い。
フローリングの床から、アスファルトのように
陽炎がたちのぼっている気がした。
「汗ばんでる先生に萌え」
峰くんは微笑みながら、右手に力を込め俺のケツに山芋を深く深く突き刺した。
痛いのと居たたまれないのとで、
頬と目の玉がカッと熱くなる。滲み上がってきた涙を
垂れ流してしまった俺に、峰くんがカメラを向けた。
「フォトジェニック~!」
耳を塞ぎたい。顔を覆いたい。レンズ越しに見られている、
あまりの身の置き場の無さに俺は悶えた。

138:ドードーソーソー20-9
07/06/30 08:57:26 B0xmbod50
注:蚊と山芋を使ったプレイあり。



右手に山芋、左手にデジカメ。
峰くんは山芋のぬめりを穴の奥になすりつけ、
俺の掻痒感を煽るだけ煽ると、突き離すようにあっさり引き抜いた。
嗚呼ッ、嗚呼ッ。痒い痒い、痒い。
後から後から沸きあがっては広がってゆく痒みに、
なけなしのプライドが、屁垂れてく。
俺はくねくね腰をくねらせ、カメラ目線で奥を掻いてとねだった。
けども峰くんは、わかっているくせに、俺の懇望をスルーする。
ときどき思い出したように、ごくごく浅いところでだけ、
出し挿れを繰り返す峰くんが恨めしい。
掻いて欲しいのはそこじゃない。
もっと奥をごりごり擦り上げて欲しかった。
不意に…ゴマのこうばしい香りがした。
「……?」
峰くんがデジカメと山芋のかわりに、ゴマ油とすりこぎを手にしてる。
「すりこぎは、お尻の孫の手なんですよ~」
ウインクひとつ、山芋を引き抜かれ、どくどくゴマ油を注がれた。
生あたたかくて気持ち悪い。
しかも、沁みる。ケツの中が
熱した銀のマドラーを挿れられたときみたく引き攣った。嗚呼ッ。
ゴマ油の匂いが鼻の穴経由で脳に灼きつく。
きっと俺はこれから先、この匂いを嗅ぐたび
きょうのことを思い出すんだろう。
この前、オリーブ・オイルを使われて以来、俺はパスタが喰えなくなった。
今回のこれで、俺はたぶんもう、デマエイッチョウが喰えない……。
袋麺じゃ、あれが一等好きだったのに!


139:ドードーソーソー20-10
07/06/30 08:58:51 B0xmbod50
注:すりこぎを使ったプレイあり。



「すりこぎ入りま~す」 
じゅぶっと、穴にすりこぎの先端が沈められた瞬間、
亀頭を蚊に刺され俺は泣き叫んだ。
80マイクロメートルの針が、
過度に敏感な肉を刺し貫いていく。神経が灼き切られそうだ。
ム/ヒ/S/。いま、あの白い軟膏を
両手いっぱいに受け、上へ下へ
ちんちんを撫で摩る事ができるなら、
俺は、なんだってするッ。蚊に気をとられていたら、
ケツにお雷(らい)さんが落ちた。 
「アッーーー!」
山芋で荒れたケツの中を、
ごんぶとのすりこぎが行き来する。
すりこぎの堅いイボイボに擦り上げられる度、
痒腫が細かく柔らかく潰され、
べろっとめくれあがった。嗚呼ッ。
いまにも剥がれ落ちそうな肉壁にゴマ油が沁みて沁みて、俺は絶叫した。
3週間ほど前、
歯茎にできた「どでかい口内炎」を、
電動歯ブラシでゴシゴシされ続けたとき、
コキュートスを見たと思ったけども、違った……。
もう、このケツを劈(つんざ)く痛みを、
何にたとえていいのかわからない!!!
いっそ、失神したかった。
堰を切ったように涙が溢れ出る。痙攣がとまらない。


140:ドードーソーソー20-12
07/06/30 09:01:13 B0xmbod50
注1:ほぼ脳内世界のお話。
注2:殺傷あり(ぬるめ)。



膿んだケツから、とろとろ汚血混じりのゴマ油を漏らし、
惨めったらしく悶えながら、俺は激痛を紛らわすべく、
必死に“名無し”のことを考えた。“名無し”と副長を戦わせたい。
いま、作中で主人公たち5人を追っている近衛隊の隊士たちは、
皆かなり人気がある。
次は3週ぐらい使って、敵ながら先の読者投票1位だった、
「笑わぬ副長」の過去話を描こう。
 目元に暗い影のある男(副長)が、土足でひとのなかに踏み込んでくる
豪快で奔放な男(隊長)に出逢い、
半ば強引に暗がりから日向へ連れ出された日を、
隊長だけが見たことのある、副長のまぶしい笑顔を丁寧に描くのだ。
3週かけて、しっかりと布石を打ってから、
“名無し”と副長を戦わせたい。
街中で出くわし、5対5のバトルシーンに突入。
主人公は隊長と、“名無し”は副長と対戦。コマの中心(やや右より)で主人公VS隊長。
コマの左端で斬り結ぶ“名無し”と副長。
ほぼ互角。けども、速さで僅かに勝った“名無し”の二本の刀がひらめき、
副長のからだが血を噴く。瀕死の副長。
一方、主人公は隊長に追いつめられ大ピンチ。主人公のヘルプに入る“名無し”。
“名無し”が隊長に迫る。隊長、危うし!(副長目線)。
隊長を救うべく、虫の息の副長が、地べたから身を起こす。
副長の渾身の一撃に貫かれる“名無し”。
力つき倒れる副長と、主人公の股ぐらを蹴り上げ、
副長のもとに駆け寄る隊長。



141:ドードーソーソー20-11
07/06/30 09:03:20 B0xmbod50
↑ドードーソーソー20-11です。
ごめんなさい。ナンバリング間違えました。

142:ドードーソーソー20-12
07/06/30 09:04:20 B0xmbod50
注1:脳内世界のお話のみ。
注2:血と死体の描写あり(ぬるめ)。
注3:赤ちゃんを売る業者さんや、
死体を買って、ばらし売りする
業者さん登場(ぬるめ)。



睾丸にダメージ。額に汗を滲ませ悶絶する主人公。
倒れる副長を抱きとめる隊長。(スローモーション)。
隊長の手を濡らす副長の血。
別れを告げ、隊長の腕の中で息絶える副長。
無声慟哭、もう動かない副長を左肩に担ぎ、
撤退を命じる隊長。
地べたに転がっている “名無し”。
よくよく見ると、黒装束が血に染まっているのがわかる。
股間を押さえ蹲っている主人公。主人公に駆け寄る他の仲間たち。
仲間に労られながら、“名無し”を気にする主人公。
ようやっと“名無し”の死に気がつく仲間たち。
走る沈黙。
以下数コマ、活気のある街の描写。
赤ん坊売りや、天秤を担いだ魚屋が
良い声を響かせながら横切っていく。
(赤ん坊売り:この世界ではメジャーな商売)。
タイミングよく通りかかる死に人買いの荷車。
(死に人買い:上に同じ。安値で買い取った死人を、
売れる部位と売れない部位に仕分け、卸している)。
死に人買いに声をかけられ、
“名無し”を売る主人公たち。
(死人を売るのは一般的な行為。墓に入れるのは富裕層のみ)。

143:ドードーソーソー20-13
07/06/30 09:05:23 B0xmbod50
注1:脳内世界のお話あり。
注2:死体が出てきます(ぬるめ)。



二本の刀ごと買い取った“名無し”を袋に詰め、
荷台に積む死に人買い。荷車に積まれ、
先に積まれていた7つの袋といっしょに、
ごとごと揺られていく“名無し”。
去りゆく荷車と轍を見つめ、手を合わせる主人公たち(涙無し)。
隊長たちが詰めている屯所前を通る荷車。
副長を手厚く葬っている隊長&隊士たち(涙有り)。
ラストは副長の墓のアップ。……どうかな?
 編集の鈴木さんは、駄目というかもしれない。
けども、“名無し”に相応しいラストだと思う。
スポットライトは副長に。“名無し”には、ひとすじの光も当てたくない。
「先生ッ!」
いきなり峰くんにグーで殴られた。
「何考えてるんですか?
痛いでしょ?苦しいしょ?もっと、ちゃんと、マジ泣きしてください。
ぼぉーっとされると、オレ虚しいんですけど」
 こっちに引き戻され、
忘れかけていた疼きと痒みに襲われる。
それから荒々しく髪を引き掴まれ、
俺は耳にヘッドホンをかぶせられた。
「‥…!!!」。


144:ドードーソーソー20-14
07/06/30 09:06:38 B0xmbod50
注:不快音を使ったプレイあり。



歯医者さんのグラインダーの音が、
歯を削られるときの、あの耳障りな音がした。
次いで、誰かが黒板に爪を立てる音。
フォークか何か先の尖った金属で、
ガラスを引っ掻く高い音。
不快な音が次から次ぎへと、
耳になだれ込んでくる。
厭わしい音の洪水に気が狂いそうだ。
耳を塞ぎたいのに塞げない。
わんわんする。
蚊にたかられているちんちんが痛痒い。
すりこぎを突き刺されているケツが割れそうだ。
ゴマ油の臭いが鼻をつく。頭が、……変だ。
峰くんは、のたうちまわっている俺を
満足そうに眺めると、
にこにこ狐狸臭い笑みをうかべ
音のボリュームをあげて、
何処かへ行ってしまった。
‥…気が触れそうだ。
涙がぼろぼろ止まらない。


145:ドードーソーソー20-15
07/06/30 09:08:00 B0xmbod50
注1:壊死描写あり(ぬるめ)。
注2:「ゲ/ド/戦/記」に触れています。



暫くして峰くんはお皿を手に戻ってきた。
お皿には吾/朗/監督の「ゲ/ド/戦/記」で、ハ/イ/タ/カ達が食べていたような、
スライスされた生タマネギが乗っていた。辛い。苦い。臭い。
炒めても焼いても喰えないのに、まして生なんてっ!!
漂ってくるタマネギ臭に、吐き気が込み上げる。
「えうっ」
原稿に追われていて、10秒メシぐらいしか喰ってなかったから、
吐くものがなくて苦しい。
「先生、あーん」
口をひき結んでいると、無理矢理こじ開けられた。
「好き嫌いをしちゃだめですよ~」
「…ぇぅ」
長い菜箸で、次から次へと喉の奥に突っ込まれ、
込み上げる胃液に咽せながら、どろどろ泣いた。
菜箸が喉の奥を行き来し、吐き戻そうとするたび、タマネギが押し込まれる。
口中に酸っぱい液が溢れ、口の端からだらだら垂れた。
喉がタマネギでいっぱいで、息をしたいのに、鼻でしか出来ない。
苦しい。気持ち悪い。
喉の奥でつかえているタマネギを全部、引きずり出したい。
けども俺の手は頭上で纏められたままだ。気が遠くなる。
ビニル紐に、ぎりぎり手首を絞められながら、ふいに両手が壊死し、
絵が描けなくなるイメージが浮かんだ。
椿の花みたく、俺の両手が右の手、左の手と静かに腐れ落ちて逝くッ!
恐怖にかられ、紐を切ってくれと喚いたら、
こめかみを強く殴られた。脳の奥が眩む。


146:ドードーソーソー20-16
07/06/30 09:09:31 B0xmbod50
注:幻覚、妄想、あり。


朦朧とする意識の中で、きらきら光るゆめを見た。
満天の星空の下で、俺は鼻先に峰くんのキスを受け、
満ち足りたこころで笑ってた。
峰くんもキツネ目を細めてにこにこしてる。
ちょっと向こうでは、主人公たちが
輪になって焚き火を囲んでた。
鮎の串焼きかなんかを喰ってるみたいだ。
わいわい騒いで楽しそうだけども、
何だかどこかがいつもと違う。目を凝らしたらすぐわかった。
ひとり多いのだ。輪の中に“名無し”がいる!
しかも強引に奪い取られでもしたのか、
トレードマークの黒子頭巾は主人公の手の中に。
長い手足に、きれいな顔。
神々しく輝く金色の髪も、
エメラルド・グリーンの瞳も、
笑うとできる右頬のえくぼも、
「美しい男さん。俺のキャラの中で1番」って
書き添えた、いつかの設定資料のまんまだった。
本当はずっと見たかった“名無し”の笑顔に
ハイになって、天を仰いだ。
藍色の空に、ゆるやかに流れる天の川が見えた。


147:ドードーソーソー20-17
07/06/30 09:10:30 B0xmbod50
注1:幻覚、妄想、あり。
注2:大/平/さんのプラネタリウムが
  出てきます。



まるで、大/平/さんのプラネタリウムを見てるみたいだ。
それもホ/ー/ム/ス/タ/ーじゃなくて、
メ/ガ/ス/タ/ー/Ⅱのほう。
更に言うなら、投影恒星数500万個の3/号/機/、
コ/ス/モ/ス/だ!!!
「超いっぱい星が見える!凄ぇ~!!」
大きく寝ころんで、星空を眺めてる主人公を、みんなでマネた。
「き ら き ら 光 る お 空 の 星」が
「ま ば た き」しながら俺たちを「見 て」いる。
あぁ、気持ちいい。
星空に抱かれて、こころが体に融けてゆく。
「ゆめ」だとわかっているのに、リアルに気持ちいい。
温泉につかっているみたいだ。
行ったことはないけども、そんな気がした。
このまま、このままずっと、此処にいたい。

(後日談:編集の鈴木さんの語り)

 アシスタントの峰が、半狂乱で私の携帯に電話をかけてきた。
曰く、「やりすぎた」らしい。殺してやろうかと思った。


148:ドードーソーソー20-18
07/06/30 09:12:39 B0xmbod50
先生にべったり依存されてるのをいいことに、
ちょいちょい悪さをしているのではないかと、
薄々勘付いてはいたが、まあ、私自身、
峰の性癖をとやかく言えるほど、ノーマルなわけでもないし、
たいしたことは、してなさそうだったので、
半ば容認していたのがまずかった。
峰に縋られ、私が先生の仕事場に駆けつけたとき、先生は、
お花畑に逝ってしまっていた。
直接の原因は、峰がダウンロードした不快音の塊らしい。
聴覚経由で脳をやられ、
もっか、都内の病院で療養中。
退院日は未定だが、
うちで看板張ってた漫画家だ。
一生働けなくとも、金に困ることはないだろう。
可愛そうなのは、置いてきぼりにされた私たちだ。
あんたの連載はどうなる??
続きを楽しみに待ってる読者がいるのだと、
焦点の合わない眼で微笑んでいる先生の肩を
ゆさゆさゆさぶりながら、泣けてきた。


149:ドードーソーソー20-19
07/06/30 09:14:14 B0xmbod50
先生は、私がいままで担当してきた
どの漫画家よりも不衛生で小汚かった。
そのうえ、酷いどもりで、
人見知りだかなんだか知らないが、
打ち合わせの度、おどおど、びくびく私をいらつかせた。
付けて加えて、何かしら嫌なことがある度、
“名無し”というキャラを作中で嬲るいやらしさを見せた。
担当になった当初は、正直しんどいと頭を抱えたものだ。
まあ、先生の前に担当していた御大が、
打って、休んで、また打って、
1週休んで全休符のカスタネットだったので、
締め切りを守る分、先生は遙かにましだったが。
兎にも角にも、一緒に仕事をしているうちに、
アシスタント思いな所など、
先生のよい面がちらほら見えだした。
そうして、いつしか、
私と対面する際はいつも、固く握りしめられ
ブルついていた先生の拳が、
ほんの少しずつ震えなくなっていくことに、
私は小さな喜びを感じる様になっていた。


150:ドードーソーソー 20-20
07/06/30 09:16:33 B0xmbod50
何より、ぼさぼさの髪からのぞく、
うるうる潤んだ、捨て犬の様な真っ黒おめめと、
タラコの様だと嫌悪していた
分厚いくちびるのエロさに気がついた日、
世界が変わった。
「デビュー以来先生が、毎年スルーしてきた、
編集部主催のニュー・イヤーズ・パーティ」に、
何処に出しても恥ずかしくないよう躾けて、
いつか必ず連れて行くという夢も出来た。
なのに、抜かった。私が甘かった。
心、此処にあらず。目の前に居る私が先生には見えていない。
峰を強制猥褻罪で訴えたぐらいでは
収まりがつかない、この虚しさを如何せん?
ゆさぶっていた先生の肩を、激情に駆られて抱き締めた。
好きだ、好きだ。大好きだ。
だがきっと、私はあんたを待って居られない。
ねえ先生、戻ってこないあんたを、
ずっと好きで居続ける。そんな、退路も進路もない
浮かんだままのボートみたいな恋が出来るほど、
私の心は強くないんです。
いつか、私は諦める。あんたの不在を
別の誰かで埋めるだろう。
 嗚呼、どうしてこんなにはっきり先が見えるんだろう。
右手の中指のペンだこ。「……けども」という口癖。
ミドリ色の高校ジャージ。食べることに無関心だったあんたが、
麺類なら、にこにこずるずる喰ってた事。
全部忘れて、私は生きていけそうです。

以上です。


151:風と木の名無しさん
07/06/30 22:26:18 CF25gCEP0
「再投下NG」なんてことまで>1に明記しないとならないのか…

「今の >1 には書いてないんだからいいじゃん!」
ってことなんだろうけど、
以前の投下でコレが「人を選ぶ話」って認識しているだろうに、いきなり
「投下します」 ==> 一括大量投下
ってのはどうかと思うよ。
せめて、

「以前別スレに投下した作品をアップしてもいいだろうか?」

と先に一言確認をとるくらいの気配りはあっていいんじゃないか?

ここは「電波SS投下スレ」であって、
「電波な書き手を歓迎するスレ」ではない。


152:風と木の名無しさん
07/07/01 04:20:40 4QByEEtO0
つか、その書き手さんって既にサイト持ってるんジャマイカ
どうせラーゲルが鬼畜スレつぶしに飽きて、
ちょいちょい投下のあるこっちに流れてきたってとこだろ

暇人乙
gdgdやってる暇があるなら自分の保管庫更新すればいいのに

153:G・G
07/07/01 08:19:22 g80u8NuqO
151
まあ同意。あれは読む気になれば保管庫で読めるから。

152
鬼畜スレの事情はこちらには関係なくない?
それは別にある専用スレにお願いします。


せっかく筆の早い書き手さんなんだから再掲より新作を投下してほしい。

154:風と木の名無しさん
07/07/01 15:33:49 +W8uiPFE0
age

155:風と木の名無しさん
07/07/07 22:33:44 4EJn66+zO


156:E 1/4
07/07/10 21:53:55 Z2rP4WYy0
薬剤の匂いがする部屋の中に、片村を運ぶ。
全くの偶然だ。
生徒会室に行く途中の渡り廊下の隅で気分が悪そうに蹲る彼を見つけて、焦って近寄った。
気分が悪いのかとたずねると、真っ青な顔で大丈夫というものだから、保健室の鍵をもらって連れ込む。
試験期間で部活は休みだというのに、放課後に何をしていたんだと聞くと
クラスで残って話をしていたという。
帰る際に気が向いて風景でも撮ろうとカメラを片手に
学校裏をうろついていたら突然気分が悪くなったそうだ。

ベットに寝かせて、額に手を当てる。
熱は無いようだ。
手を離そうとすると手首を掴まれた。

「何」
「二人きりだね」
「二人きりだけど」
「…鍵は閉めた?」
「それがどうかしたの」

つまらない、といった顔つきで手首を離す。

157:E 2/4
07/07/10 21:55:07 Z2rP4WYy0
「具合、悪いんだ」

白い枕に頬を乗せて片村が呟く。

「とても悪いんだ」
「見て解るよ」
「どうしたのかな、僕」

全く弱った、というような顔つきだ。

「悪いけど、頼みごとがあるんだ」
「何」
「キスしたい」

思わず片村の顔を見る。
具合はどんどん悪くなっていってるようで、汗が額ににじんでいる。

「ふざけるなよ」
「ふざけてないんだよ。見て解るだろ、僕は今具合がとても悪いんだ」
「それとどういう関係があるんだよ」
「お願いだよ。べつに変な意味じゃ無いから、あんしんして」

キスしろというのに変な意味じゃ無いやら安心やら強要するのが間違っている。
なんだこいつは、と睨みつけると弱りきった瞳で見つめてきた。

158:E 3/4
07/07/10 21:56:07 Z2rP4WYy0
手を握られる。
汗をかいている。

「お願い」

喉から振り絞るような声。

「………わかったよ」
「本当。ありがとう」

心から安堵した、という按配だ。

「俺は、どうすればいい?」
「目をつぶるだけさ」

体を起こして片村が言う。

「お前、起きていいのか」
「起きなきゃキスは出来ないよ」

ベットの上に片村が座る。
俺にも座れ、と促した。
はしたない話だが、俺も片村と向かい合うようにベットに座った。

「そういえば、鍵は閉めたのかい」
「閉めた」
「それは良かった」


159:E 4/5 すいません、収まりませんでした。
07/07/10 21:59:01 Z2rP4WYy0
俺の肩に手をかけて、片村が顔を近づける。
目を瞑るタイミングがいまいちよく解らずに、唇がついた(と思われる)瞬間に目を閉じた。

あっけなく、キスが終わった。
それは手と手が触れ合う、とか、体がぶつかる、というのとなんら変わりは無いようなことだった。
皮膚が接触して離れた。それだけだ。

「由貴、初めてだった?」
「ああ」
「そうなんだ」
「数には数えない」
「好きにしなよ」

クスクス笑って、またキスをされた。

「結構好きかも知れないな、由貴とキスするの」
「そうか」
「うん、正直に言うとあんまり君の事得意じゃ無いけど、キスは悪くないね」

喜んでいいのか解らなかったのでほうっておいた。
片村はすっかり良くなった様子だった。
俺の手を取って自分の頬に当てて笑う。

「由貴からしてくれないの」
「する理由無いだろ」
「してほしいよ」

半分やけになったように唇をつけると、キスしたまま片村は笑った。
気恥ずかしくなって具合が良くなったなら出るぞと告げると
片村は素直にベッドから立ち上がった。


160:E 5/5
07/07/10 21:59:48 Z2rP4WYy0
「僕、疲れてたんだ」
「何にだ」
「色んなことに。それで弱ってたんだよ」
「キスで直るのか」
「うん、そうみたい」

保健室を出て、鍵を閉めながら片村は言う。

「またさせてね、キス」

161:風と木の名無しさん
07/07/14 00:38:57 zr4Mfer9O
保守

GLネタならあるのになぁ…
数字も好きだが今は何かネタがない(´・ω・`)

162:だぶんをとうかした!すれっどがほしゅされた!
07/07/25 01:44:23 ydEuMjzz0
今夜、俺はプリティーフェイスを手に入れるため、ベッドへと向かった。
丸まったタオルケットの上に、覆い被さるようにして乗っかる。
「……あんみん、ぼーがい」
プリティーフェイスのプリティーボイスが俺に悪態をつく。
「安眠したいのー?」
タオルケットの端を捲って、俺は尋ねた。
心底不快そうな表情のプリティーフェイスがあらわれた!
「あんみんしたい。とてもしたい。ねむいの、おれは」
プリティーフェイスは「きょぜつ」をつかった!
俺に300のダメージ!
「またまたー、照れちゃって」
俺はかいふくのじゅもんをとなえた!
俺は200かいふくした!
「てれてねーし。おれはねる。ねるったらねる。おまえじゃま」
プリティーフェイスは「さらにきょぜつ」をつかった!
俺に600のダメージ!
「ま、またまたー………………」
俺はかいふくのじゅもんをとなえた!
しかし、なにもおこらなかった!
「な、なー……本当に寝ちゃうのかよ」
…………。
へんじがない。
「まるで、しかばねのようだ……」
しかばねのように眠るプリティーフェイスを俺は諦め、トイレへ向かった。
おお、俺よ。
ひとりでしてしまうとは、なさけない。

163:風と木の名無しさん
07/07/26 11:57:13 BjN63oTvO
なんだか萌えた。

164:こうりゃくじょうほう
07/07/28 23:14:51 O2ijJk8B0
プリティーフェイス攻略は睡眠欲と食欲が足りてる時に限る。
がんばれー

165:風と木の名無しさん
07/08/01 12:59:44 SK5LQZeT0
           コ     )                    _, -―- - 、  f.  ゲ  オ
   見  大       ,'    _ _,、 -―- 、     ,、r'´ミ   彡   \/
          イ  /    f´  ~       `ヽ.   (ミ Nリ 彡、_,.. ィt"´从   イ  イ
   モ  佐     /    (      r-、    ヽ.  i`''ー'^   _ _〈ミ〟豸
          ツ 〈     `ト、,,ィィ_ノ  `、   i  ト-_-_、 、-_''、_ー``ミV^゙i  ダ
   ノ   ガ     `、    ト-、、  ,-_'ニ、 {、r'⌒i|  `Y''oj   'O_`  iミ!| )!     コ
          ハ  i     Yニo!  ,oこ .|. Dノ/|   !" ノ     ゙ ' iミ! /.j  ゼ
   ダ  知      .j     i  {、〟    ゝレ’ !   i (_ ''      シKミ{      イ
          面  /      ', _`_,,.、ィ   /^ゝト┐  ',  ⊂ニデ   ノ ヽi、
   ゼ  ッ      〈       ', `ー_,´  /  ./ ト、_ `、 '''' '´  /|   }      ツ
          白  !        !、   / ,' ./ ¦   ` ヽ   _、イ  j f ./ L_
       タ      /        _ケ-イ゙  ,'/   i   /  `厂!   .,' レ'   |`` ー-γ
          イ ノ   _,..-''´/  |  /    i   /_,‐イ .|   _⊥/    |    /
       ラ   _⊆´  / /  /,へ j  斤^>、  | ,rイ゙  /  .|`Y'´ ./      |   ,'
` ー-ー´` ー、r'´    /  /  〃  |V゙  /    `〆、 |  厶、  | i  /⌒`ヽ、亅  /_.. - '
            /  ./     |〈  /      {  |     \| i ./       /

166:風と木の名無しさん
07/08/01 13:00:46 2hjZQsY/0
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                 ` | |ー--レリル|rfiテ ヽl イテz rr----―― ' " ´
                 | |    ヾN ゞソ    ゞソ//
                 | |    >:´|、  -  ,|`:<
                 | |     |::::::::| >  イ |::::::::|
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                 | |  /´:::::::::::::{二{}二}´::::::::ゝ-、
                 | |   l:::::,:-:::::::://::|ヽヽ::::::::::::::::::!
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                , ' ニ}く::/::::::::/:::::/|::::::::::::::::::::::::::|
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                ヽニj }  \:/ \ |:::::::::::::::::::::::::::|
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                |:!.|::::::`ー':::/  /  |::::|:::::::::::::::::!:::::!


167:風と木の名無しさん
07/08/01 18:16:22 eO694UjoO
A「トカレフさん」
B「………」
A「一途な気持ち」
B「………」
A「いかずち君」
B「………」
A「鉄柱」
B「……、…」
A「あ、動いた!」
B「…、…、…」
A「きみの名前は鉄柱っていうんだね」
B「、…、、」
A「そうなんだね。よろしくね」
C「俺のチンコに名前を付けるのは止めてくれないか、A」

168:風と木の名無しさん
07/08/17 19:47:55 6xoqGHjm0
電波な会話はこちら。
スレリンク(801板)

169:風と木の名無しさん
07/09/09 19:50:04 XRysvZf3O


170:風と木の名無しさん
07/09/17 08:03:59 yiplm0TTO


171:古代哲学1/2
07/10/03 01:39:46 +oPmMdqk0
夢見るように、と言ったのは君だった。
それは君がまだあどけない表情で僕に密やかに語った話であり、
第三階段教室のあの壊れたクーラーの生ぬるい風の当たる席でのことだった。
僕らは隣同士に座っていた。
「ほら、眠るとさ…冬眠ってあるじゃない、そういう身体の機能が低下した状態でいると
通常より永く生きられるんだって」
君の薄く、形の良いくせにいつも曖昧に結ばれた口から零れ出る言葉は、
古代ギリシア思想史の講義と混じり合い、独特の色と形を帯びて僕の脳内に降り積もる。
興味のあるような、ないようなふりをして僕はその感覚をゆっくり味わっている。
だから思うんだけど、と君は続けた。
「ねぇ、それは緩やかに夢見るように死んでいくこととどう、違うのかな」
語りながら君の細く、形の良いくせにいつも落ち着きのない左手は教授の語る
古代哲学の体系図を正確に写しとってゆく。
「よく考えてみなよ、夢の世界は目覚めたら終わり…そういうことさ」
僕がそう返すと君は少し黙り、ノートに“根本的原理の探求、水 火 数”と書いて
ゆっくりとひとつ、まばたきをした。

172:古代哲学2/2
07/10/03 01:41:45 +oPmMdqk0
その君の完璧な、色の濃い睫毛は蝶が欠伸をするようだといつも思う。
僕が見蕩れていると君は思想家の名前をノートに愛しげに連ねてゆきながら、ぼんやりと呟いた。
「じゃあ君と僕は今同じ夢を見ているのかも知れない」
「ああ、そうだね」
「なら目が覚めないといいね」
「でも起きてもきっと一緒にいると思うよ」
「ああそっか…じゃあ、それも夢ならいいね。目が覚めたらまた一緒にいるんでしょう」
「ああそうだね、きっと夢だよ。どこまで行っても…」
「終わりなく?」
「終わりなく」

生徒達が慌ただしく席を立ち、バラバラと出口へ向かう。何人もの黒い影が僕たちを通り過ぎる。
教授は立派な髭と赤ら顔もろとももういない。
僕は立ち上がり、伸びをした。君もつられて同じようにする。
「きっと、今二人は寝ているね」
「ああそうだね」
足元で他の生徒達が掬いきれなかった言葉達が、君の黒鉛の粉の取り合っている。
それらの声なき声を僕らは見て見ぬふりをする。
この先に連れてゆくことは出来ないことを知っているから。
「さあ、出ようか、今日は晴れているよ」
そして、僕らは2つの夢見るように眠る死体に別れを告げて、また違う扉に向かった。

173:風と木の名無しさん
07/11/01 23:45:31 ZlnVEHub0
ほしゅ

174:風と木の名無しさん
07/11/02 00:28:25 VeTaR/COO
>171-172
すてき(*´д`)

175:風と木の名無しさん
07/11/07 21:54:32 W93OE49D0
>>171-172
これはきれいなデムパww

176:風と木の名無しさん
07/11/07 22:37:31 QPR/Yjl40
    (⌒ーr;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ―'⌒)
    (  r{;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ィ、  )
     `´::/::::::::::::::::::::::::ヾ::`´、
  /::::::::::::,-ーーーー:::::::::::::::::\
 /::::::::::::/      ノ( \:::::::::::::::\
 |:::::::::::/ _     ")(´ ヾ:::::::::::::::::i
 |:::::::::::| ,r=、、___,j |、____,ッ-、,ヾ:::::::::::::::|
 |:::::::::::| 、、_`;ー'' '゙ー;;_ィ_`  |::::::::::::::|
 |:::::::::::l ゙<゙(・)ゝ) (r´(・)''>´ |::::::::::::::|     「特にないです」
 |:::::::::::i  """ /  """   i:::::::::::::|       
 |:::::::::::|    (o..o )      /::::::::::::::|       
 |:::::::::::ヘ   ,rニニュ、,     /::::::::::::::::|               
 |:::::::::::::::\  (ニニ/   /|::::::::::::::::::|
 |:::::::::::::::::::|\___/;;;;;|:::::::::::::::::::|
 |:::::::::::::::;;;;|;;;;;;;|   |;;;;;;;;;;;|:::::::::::::::::::|
 |:::::::::;i''´     /;;%;;%;;| ` 、::::::::::::|
 彡彡|     /;;%;%;%;;%;|  |川川/
    |   |/;%;;%;;%;;%;%;;|  |
    |  〈;;%;;%;;;%;;%;;%;%:|  |

177:土砂降り2/1
07/12/01 23:22:41 NpB4SezM0
電波っていえるかわかんないけど、保守がてら。


雨が、降っていた。
全てに対し、攻撃するかのように、叩き付けるような強い雨。
無意識に足が踏み出す。
傘なんてささない。
無差別に攻撃してくる大量の水に、その身を晒してみたかったから。
一瞬で、着ていた服がそれを吸い、とてつもない重量となる。
不思議と痛くは無かった。
強すぎる雨脚が、感覚を麻痺させたのかもしれない。
顔を上げ、空からの攻撃をまともに受ける。
もし、この雨が誰かの痛みを具現化したものであったのなら、自分が今やっているこれは、自殺行為にも為りえるんだろうか
(そんなこと、あり得ないと分かっているけど)
いい加減重さに耐え切れなくなり、両膝をつく。
まとわりつくような重みは、人間の感情に酷似しているように思えた。

178:土砂降り2/2
07/12/01 23:34:56 NpB4SezM0
もし、これが特定の人間、例えば彼の感情を表しているものだとしたら。
俺は、それを甘んじて受け入れることが出来るだろうか(馬鹿らしい)
(それによって受けた痛みが、未だ尚癒えていないとゆうのに)
ゆっくりと目を閉じ、全身から力を抜く。
自分の体温が今、普段のそれより明らかに低いことは、容易に想像がついた。
いっそのこと、このまま眠ってしまえたら、と思う。
(この哀しくも優しい雨は、俺の存在を受け入れてくれるだろうか)
誰かが、呼んでいる声がした。
その声は、俺のよく知っている、知りすぎている声。
(それが誰かなんて分かり切っているのに)
行かなくちゃ、と頭の隅で考え、そこで自分の体が動かない事に気付く。
徐々に、だが確実に強くなっていく雨の中で、このままの状態の
俺を見つけたら、奴はどう思うだろうかとぼんやり考えた。
(まるで、彼がここまで来るのが当然というように)
呼び声が驚いたようにはね上がったのを聞き、見つかったのだと理解する。
それと同時に、完全に力の抜けた自分の体が、くずれ落ちた事が分かった。
(結局、俺は無力なんだと突き付けられた気がした)


楽しかったー。
お目汚しすいませんでした。

179:風と木の名無しさん
07/12/03 22:13:31 /kpyFHC50
ナンバリングミスった・・・orz
すんません

180:対等な関係
07/12/05 22:02:59 hi0MdSFX0
彼のいのちは、この手に。

握り潰してやろうか、といつも思う。
その衝動をどうにか耐えてるのは、退屈を感じたくないからだろう。
彼が死ねば、きっと俺も死ぬ。彼が俺の心臓を握り潰さずとも。
そういった意味では、彼も俺が死ねば死ぬのだろう。この手に力を込めずとも。

彼と俺は対なのだ。
運命が望まずとも、彼と俺は対なのだ。
だから、
彼は俺の心臓を持って生まれ、
俺は彼の心臓を持って生まれた。

確かな鼓動、重み、ぬくもり、…あぁ握り潰してやろうか。
口中に苦味が広がり、手の中の心臓を軽く握った。

ドクン、とまるで答えるように心臓が震えた。

181:電波王 ◆DD..3DyuKs
07/12/08 14:04:20 jeRZlGcT0
ちんこ

182:風と木の名無しさん
07/12/13 22:23:36 sfmXmsAs0
>>180
完結してるの分かるのに続きを期待してしまう


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