07/02/14 18:35:54 ZyMBku0r0
僕の中で5月は、12ヵ月中いちばん爽やかな季節だ。
風薫る五月とか、新緑の頃とか言うし、
五月晴れの青空に鯉のぼりが泳ぐイメージは僕の中で濃厚。
実際問題、八十八夜も過ぎて夏が近づく。
そよぐ風も夏めいてくるし、庭には赤や白の平戸ツツジが咲きそろう。
何よりうちの街は街路樹がハナミズキだから、
五月になると街は淡い紅色の花で彩られる。花いっぱい。緑いっぱい。
それに五月といえば♪となりの卜っ、卜口~卜っト~ロのお姉ちゃんだ。
彼女は僕的に爽やかの象徴。だから僕の中で5月は、12ヵ月中いちばん爽やかな季節だ。
なのに五月という名前の目の前の男前はちっとも爽やかではなかった。
笑顔は爽やかだけれど存在がいや。不快だ。
彼の手には汚い油の入った天麩羅鍋がひとつ。
僕の眼下にはカレーをはったブルーの洗面器。
茶色く濁った冷めたカレーを見下ろしながら、
「と゛ろ ろ、はやく選べ」と、僕をせかす五月くんの声を聞いた。
五月君はビデオを回しながら油にする?カレーにする?と俺を見る。